Comments
Description
Transcript
為替換算調整勘定の資本の部計上に伴う税効果 会計適用上の留意事項
為替換算調整勘定の資本の部計上に伴う税効果 会計適用上の留意事項及び会計制度委員会報告 第6号「連結財務諸表における税効果会計に関 する実務指針」の一部訂正について 当協会は、平成13年1月17日付けで、会計制度委員会報 告第6号「連結財務諸表における税効果会計に関する実 務指針」を改正しております。 お知らせすることといたしました。 また、会計制度委員会報告第6号の設例5「在外子会社 の留保利益に係る税効果」について、一部修正漏れ(為 この改正で、在外子会社等の財務諸表の換算において発 替換算調整勘定を資本の部に計上すべきところ、資産の 生する為替換算調整勘定が一時差異であることを示しま 部に計上されたままとなっておりました。 )があったため、 したが、このたび、為替換算調整勘定について、税効果 訂正させていただきました。 会計適用上の留意事項と具体的な計算例を取りまとめ、 (常務理事 西川 郁生) 為替換算調整勘定の資本の部計上に伴う税効果会計適用上の留意事項 平 成 13 年4月25日 日本公認会計士協会 従来、連結貸借対照表において資産又は負債として計上されていた為替換算調整勘定は、 平成12年4月1日以後開始する連結会計年度から資本の部に計上されることとなったため、 為替換算調整勘定は子会社及び持分法適用関連会社(以下「子会社等」という。 )への投資に 係る一時差異を構成することとなる。税効果会計の適用上、為替換算調整勘定に対する税効 果は主に投資会社が株式を売却することによって実現するものであるため、基本的には子会 社等の株式の売却の意思が明確でない限り認識しないこととされているが、子会社等の株式 の売却の意思が明確な場合には、為替換算調整勘定を含む子会社等への投資に係る一時差異 について、税効果を認識することが必要となる(会計制度委員会報告第6号「連結財務諸表 における税効果会計に関する実務指針」 (以下「連結税効果実務指針」という。 )第30項) 。 この場合、連結貸借対照表の資本の部に計上される為替換算調整勘定は、それに対応して 認識された繰延税金資産及び繰延税金負債に見合う額を加減して計上する。 子会社等への投資に係る一時差異には、取得後(連結)剰余金(連結調整勘定の償却を含 む。以下同じ。 )を構成するもの(留保利益等)と連結剰余金を構成しないもの(為替換算調 整勘定等)とがあり、後者に属する為替換算調整勘定は、発生時に連結上損益計上されてい ないが、当該為替換算調整勘定の実現額は子会社等の株式の売却時に個別決算上の売却損益 に含めて計上される(連結税効果実務指針の設例5参照のこと) 。 - 1 - なお、子会社等が計上したその他有価証券評価差額金(税効果後)のうち、親会社の子会 社株式取得後に発生し連結貸借対照表の資本の部に計上された金額に関しても、子会社等へ の投資に係る一時差異を構成する(連結税効果実務指針第4項(2)) 。これも、連結子会社の 親会社持分額と親会社の個別財務諸表上の子会社株式との間に差異を生じさせ、子会社株式 の売却により当該差異が解消するものだからである。この場合の税効果額の取扱いは、為替 換算調整勘定の場合と同様である。 《参考》計算例 1.前提条件 (1) 親会社はX1年度に全額出資の子会社を設立した(出資額は500円) 。 (2) 親会社はX2年度の期首に子会社株式を第三者に1,000円で売却することとなった。 (3) 親会社は子会社から配当金を受け取らないこととした。 (4) 親会社及び子会社の税率は50%とする。 (5) 親会社の財務諸表 【B/S】 現金 子会社株式 未払法人税等 資本金 当期利益 【P/L】 子会社株式売却益 法人税等 当期利益 X1年度 円 − 500 − (500) − − − − X2年度 円 1,000 − (250) (500) (250) (500) 250 (250) (6) 子会社の財務諸表(X1年度) 外 貨 換算レート 円 貨 【B/S】 現金 未払法人税等 資本金 当期利益 為替換算調整勘定 7 (1) (5) (1) − 120 〃 100 110 − 840 (120) (500) (110) (110) 【P/L】 諸収入 法人税等 当期利益 (2) 1 (1) 110 〃 (220) 110 (110) - 2 - 2.連結財務諸表 連 結 修 正 (X1年度) 親会社 【B/S】 現金 子会社株式 未払法人税等 繰延税金負債 資本金 当期利益 為替換算調整勘定 円 − 500 − − (500) − − 円 840 − (120) − (500) (110) (110) − (220) 110 − (110) 【P/L】 諸収入 法人税等 法人税等調整額 当期利益 − − 子会社 投資と資本 円 連結財務諸表 税 効 果 円 55 55 円 840 − (120) (110) (500) (55) (55)(注3) 55 55 (220) 110 55 (55) (500) (110)(注1) 500 (注2) (注1)繰延税金負債110=子会社投資に係る将来加算一時差異(当期利益110+為替換算調整勘定110)×50% (注2)法人税等調整額55=連結剰余金を構成する一時差異(当期利益110)×50% (注3)為替換算調整勘定55=為替換算調整勘定(110)−対応する繰延税金負債(55) (X2年度) 親会社 【B/S】 現金 子会社株式 未払法人税等 繰延税金負債 資本金 期末剰余金 為替換算調整勘定 円 1,000 − (250) − (500) (250) − 【P/L】 子会社株式売却益 法人税等 法人税等調整額 当期利益 期首剰余金 連結除外 期末剰余金 (500) 250 − (250) − − (250) 子会社 円 − − − − − − − 連 結 修 正 為替換算調整 開 始 売却損益修正 勘定及び 税効果戻入れ 円 円 円 (110) 110 55 55 − − − − (110) 55 (注5) 110 − − 55 (55) (55) (注6) 110 (注4) − 110 (55)(注7) (55) (110) − − (55) 連結財務諸表 円 1,000 − (250) − (500) (250) − (390)(注8) 250 (注8) (55)(注8) (195) (55) − (250) (注4)売却損益修正110=連結剰余金を構成する一時差異(X1年度留保利益110) (注5)期首剰余金修正55=連結剰余金を構成する一時差異(X1年度留保利益110)に係る繰延税金負債の開 始仕訳(X1年度計上分) (注6)売却による為替含み益の実現による為替換算調整勘定に係る繰延税金負債の当該勘定への直接戻入れ 55(純額) なお、前期末の為替換算調整勘定110は、前期末における外貨建財務諸表の換算から生じ、連結修正仕 訳はないため、当期首の連結修正仕訳もないことに留意する。 (注7)法人税等調整額55(注5の繰延税金負債の戻入れ) (注8)税金費用195(250−55)の税引前利益390(子会社株式売却益)に対する割合は税率50%と一致してい る。 以 上 - 3 -