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Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅
Title Author(s) Citation Issue Date URL <研究論文>現代日本の土地問題と土地政策(下) : 地方自 治の視点から 小森, 治夫 財政学研究 (1993), 18: 37-49 1993-08-07 http://hdl.handle.net/2433/156203 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 現 代 日本 の土 地 問 題 と土 地 政 策(下) ■ 研究論文 現代 日本 の土地 問題 と土地政 策(下) 地方 自治 の視点 か ら 小 森 治 夫 市 化 現 象 に よ る宅 地 の需 給 不 均 衡 と これ に対 す HI土 地政 策 と土地 税制 る対 策 の 十 分 で な か った こ と」 と して 、 「需 給 不 均 衡 」 論 が展 開 さ れ て い る。 そ して 、 緊 急 に ω政府 の土地政策 ・土地税制 の検討 1960∼61年 の戦 後 第1回 措 置 す べ き事 項 と して、 ① 宅 地 の 大 量 か つ計 画 目の 地 価 高 騰 に 対 応 的 な供 給 、 ② 既 成 市 街 地 の 高 度 利 用 、 ③ 土 地 取 す る た め に 打 ち 出 され た 政 府 の 土 地 政 策 を 囑 矢 得 制 度 の 改 善(土 地 収 用 法 の 改 善 、用 地 の先 行 と して、 戦後 第2回 目の 地 価 高 騰 で あ る1973∼ 取 得 等)、 ④ 土 地 税 制 の改 正 の 検 討(譲 74年 ま で の10数 年 の 問 に、 政 府 に提 出 され た 土 課 税 等)が あ げ られ 、 今 後 基 本 的 に検 討 す べ き 地 関 連 の 答 申 は軽 く10本 を こ え て い る ―)。この 事 項 と して 、 ① 土 地 利 用 計 画(市 間 に、 土 地 政 策 に関 す る問 題 は ほ ぼ 論 じつ くさ 区分)の れ て い る と言 って も、 決 して 過 言 で は な い だ ろ 制 度 等)が う2)。 どは 、 そ の後 、 何 らか の 形 で 実 行 され て い る。 最 初 に土 地 政 策 を体 系 的 に 取 り上 げ た の は 、 1960(S35)年 の 建 設 省 「宅 地 総 合 対 策 」 で あ る。 こ こ で は 、 「地 価 の 高騰 ・宅 地 の 入 手 難 を そ の 内容 と して い る宅 地 問 題 は 、 多 種 多 様 な需 要 に 対 し、 所 得 に 見 合 っ た価 格 、 適 当 な 規 模 、 渡差益 街 化 区域 等 の 策 定 、 ② 合 理 的 な地 価 形 成(地 価 公 示 あ げ られ た。 これ らの 対 策 の ほ とん す な わ ち、1967(S42)年 1968(S43)年 (S44)年 の土 地 収 用 法 の改 正 、 の 新 都 市 計 画 法 の制 定 、1969 の都 市 再 開 発 法 の 制 定 、地 価 公 示 法 の制 定 お よ び 不 動 産 鑑 定 評 価 基 準 の 改 正 、1970 (S45)年 の建 築 基 準 法 の 改 正 、1971(S46) 便 利 な 位 置 及 び 良 好 な環 境 を も った 宅 地 の 供 給 年 の 公 有 地 の拡 大 の 推 進 に 関 す る法 律 の 制 定 な が適 切 に行 わ れ て い な い こ と、 す な わ ち宅 地 の どで あ る。 そ の後 、 地 価 は1967年 に は 一 度 沈 静 需 要 と供 給 と の不 均 衡 に よ る もの で あ る」 と延 化 す る が 、 そ れ で も対 前 年 地 価 上 昇 率 は5.4% べて お り、 地価 高騰 の 原 因 と して 「需給 不均 衡 」 を 維 持 し、 しか も沈 静 化 の要 因 は土 地 政 策 に よ 論 を と って い るの が 特 徴 で あ る。 そ の上 で 、 対 る と い う よ りも 、 貿 易 収 支 の 悪 化 ・金 融 引 締 め 策 と して 、 ① 宅 地 需 要 の 分 散 対 策(大 都 市 機 能 の 結 果 に よ る経 済 環 境 の悪 化 が 大 きか った 。 の 分 散 、 産 業 都 市 の 育 成 等)、 ② 宅 地 需 給 の 緩 和(政 府 施 策 住 宅 の供 給 増 加 、 質 の 改 善 等)、 ③ 宅 地 の 合 理 的 利 用(都 市再開発 、土地利用 計 画 の 確 立 等)、 ④ 宅 地 造 成 の促 進(造 戦 後2回 目の地 価 高 騰 は 、 金 融 緩 和 とい わ ゆ る過 剰 流 動 性 資 金 の 発 生 を背 景 と した 「日本 列 成 手法 の 整 備 等)、 ⑤ 宅 地 の 取 引 秩 序 の 維 持(評 価機 関 の確 立 、公 共 用 地 取 得 制 度 の 検 討 等)が あげ ら れ て い た。 島 改 造 論 」 ブ ー ム に よ る もの で あ っ た が 、 これ に 対 応 す るた め に政 府 は1973(S48)年 に第 四 回地 価 対 策 閣 僚 協 議 会 「土 地 対 策 に つ い て 」 を と りま と め て い る。 こ こで は 、 「近 年 に お け る 経 済 の高 度 成 長 に伴 う人 口 ・産 業 の都 市 集 中 は 、 本 格 的 に 土 地 政 策 を 取 り上 げ た の は 、1965 都 市 地 域 に お け る土 地 利 用 の混 乱 、 地 価 の 異 常 価対策 に な高 騰 を招 き、 こ の た め 、 大 都 市 地 域 に お け る つ い て」 で あ る。 こ こで も、 地 価 高 騰 の 原 因 と 土 地 取 得 は一 層 深 刻 な 問 題 とな っ て い る。 加 う して は 、 「基 本 的 に は 、 近 年 に お け る急 激 な都 るに 、 一 昨 年 来 の 金 融 の 緩 和 を 背 景 と して 、 大 (S40)年 の 地 価 対 策 閣僚 協 議 会(地 一37一 財 政 学 研究 第18号 都 市 周 辺 の み な らず 、 全 国 に わ た って 企 業 投 資 され た わ け で あ る が、 土 地 投 機 の 横 行 を許 す 強 が 活 発 とな って い る。 これ らの 現 象 に抜 本 的 に 大 な 絶 対 的 土 地 所 有 権 と実 効 あ る都 市 計 画 ・土 対 処 す るた め に は 、 交 通 通 信 ネ ッ トワー クの 整 地 利 用 計 画 の 欠 如 に つ いて は 、 何 ら改 め られ た 備 、工業 の全国的再 配置並 びに地方都市 及び農 わ け で は な か った か ら、 そ の後 の 「規 制 緩 和 」・ 村 の 整 備 育 成 を推 進 す る こ とに よ り、 大 都 市 集 「民 活 」 路 線 に よ り容 易 に土 地 投 機 が 再 来 した 中 の 流 れ を 転 換 して 均 衡 あ る国 土 利 用 を 回 復 す の で あ る。 ま た 、 「需 給 不 均 衡 」 論 に よ る 土 地 る と と もに 、 公 共 優 先 の 見 地 か ら、 環 境 の保 全 対 策 の 中心 は 、 需 要 分 散 と供 給 拡 大 と な るが 、 に 留 意 し、 地 域 住 民 の 意 向 を くみ つ つ 、 土 地 利 現 実 の分 散 政 策 は 工 場 機 能 な ど の い わ ば マ ー ジ 用 計 画 を 策 定 して適 正 な土 地 利 用 を 図 り、 土 地 ナ ル な都 市 機 能 を 対 象 と し、 大 都 市 の 中 枢 管 理 の 投 機 的 投 資 あ る い は 売 り控 え を抑 制 し、 あ わ 機 能 が分 散 の 対 象 と な る こ と は な く、 他 方 、 供 せ て 宅 地 の 大 量 か つ 計 画 的 な供 給 を 図 る等 総 合 給 拡 大 政 策 は都 市 近郊 農 家 で あ る宅 地 の 「素 材」 的 施 策 を 強 力 に展 開 す る必 要 が あ る」 と述 べ て の 所 有 者 を 対 象 と し、 「小 売 市 場 」 に お け るエ い る。 そ の 上 で 、 対 策 と して 、 第 一 に 、 「土 地 ソ ド ・ユ ー ザ ー が 対 象 と な る こ とは な か っ た。 利 用 計 画 の 策 定 と土 地 利 用 の規 制 等 」 と して 、 エ ソ ド ・ユ ー ザ ー に対 して 良 質 な 宅 地 供 給 を行 ① 土 地 利 用 基 本 計 画 の 策 定 、② 土 地 取 引 の 届 出 うた め に は 、 公 的 機 関 に よ る宅 地 供 給 の果 た す 勧 告 制 度 の 新 設 、③ 開 発 行 為 に 対 す る規 制 の拡 役 割 が重 要 で あ るが 、 そ れ は も っぱ ら民 間 の 宅 充 強 化 、④ 特 定 地 域 に お け る土 地 利 用 規 制 の 強 地 開 発 資 本 の 利 潤 の 対 象 と され た の で あ る3)。 化 、 ⑤ 土地 融 資 の 抑 制 、 ⑥ 公 的 土 地 評 価 体 系 の 整 備 が 、 第 二 に 「土 地 税 制 の 改 善 」 と して 、 ① な お 、 土 地 基 本 法 に つ い て も簡 単 に コ メ ン ト して お こ う。 法 人 の 土 地 譲 渡 益 に対 す る課 税 の強 化 、 ② 特 別 まず 、 土 地 基 本 法 制 定 の 前 段 階 と して の 土 地 土 地 保 有 税 の新 設 、 ③ 固定 資 産 税 の 適 正 化 が 、 臨 調 に お いて は 、 ① 土 地 の 所 有 に は利 用 の 責 務 第 三 に 「宅地 供 給 の促 進 等 」 と して 、⑦ 宅 地 開 が伴 う、 ② 土 地 の 利 用 に 当 た って は公 共 の 福 祉 発 事業 の促 進 、② 公 有 地 の拡 大 の推 進 お よび 国 ・ が優 先 す る、 ③ 土 地 の利 用 は 計 画 的 に行 わ れ な 公 有 地 の 盾 用 、 ③ 農 地 の賃 貸 方 式 等 に よ る土 地 けれ ばな らない、④開発利 益 はその一部 を社会 供 給 の促 進 、 が定 め られ た。 に還 元 し社 会 的 公 平 を確 保 す べ きで あ る、 ⑤ 土 これ ら に よ っ て 整 備 され た 法 制 度 の うち最 も 重 要 な もの は、1974(S49)年 に制 定 され た 国 地 の利 用 の受 益 に 応 じて社 会 的 な 負 担 は 公 平 に 負 うべ き も の で あ る、 の5つ を土 地 臨 調 の 五 原 土 利 用 計 画 法 で あ る。 この法 律 に よ り、 投 機 的 則 と して 宣 言 した 。 そ れ が 、 土 地 基 本 法 の 段 階 取 引 に よ り地 価 高騰 が 予 想 され る区域 につ いて 、 に な る と、 ① 土 地 につ い て の 公 共 の 福 祉 優 先 、 都 道 府 県 知事 は土 地 取 引 を禁 止 す る 「規 制 区域 」 ② 適 正 な 利 用 及 び 計 画 に 従 っ た利 用 、 ③ 投 機 的 を 定 め る こ と が で き る よ うに な っ た 。 こ の 「規 取 引 の抑 制 、 ④ 価 値 の増 加 に伴 う利 益 に 応 じた 制 区 域 」 の 指 定 は 、 今 日ま で 一 例 も行 わ れ て い 適 切 な 負 担 、 と変 化 して い る。 な い 「伝 家 の 宝 刀」 で は あ るが 、 あ る程 度 は牽 こ の変 化 が どの よ うな 意 味 を もつ か に つ いて 制 の 効 果 が あ っ た もの と思 わ れ る。 しか し、 現 は 、 吉 田 克 己 氏 が 指 摘 して お られ る よ うに 、 ど 実 に 「狂 乱 地 価 」 を沈 静 化 させ た の は 、 こ れ ら の よ うな 文 脈 で 土 地 基 本 法 を読 む か が重 要 と な の 土 地 政 策 で は な く、1973年 の 第 一 次 オ イ ル ・ る4)。つ ま り、① 宅 地 対 策 、 地 価 対 策 の 文 脈 で シ ョ ック に よ る高 度 成 長 経 済 か ら低 成 長 経 済 へ 読む か、②都市 開発政策 、国土 開発政 策の文脈 の 移 行 、 す な わ ち 経 済 の停 滞 が 一 番 の 原 因 で あ で 読 む か 、 で ま った く違 った 評 価 が で き る か ら る こ と は 明 らか で あ る。 で あ る。 前 者 の場 合 は 、 土 地 基 本法 は 不 十 分 で 、 この よ うに土 地 政 策 は 多 様 に論 じ られ 、 そ の 著 し く生 彩 を欠 く。 つ ま り、 需 給 不 均 衡 論 に立 土 地 政 策 を実 施 す る制 度 に つ い て も一 応 は整 備 ち つ つ一 定 の土 地 投 機 抑 制 案 を講 じる とい う、 一38― 現 代 日本 の土 地 問 題 と土 地 政 策(下) 従 来 の政 策枠 組 み の踏 襲 にす ぎず 、 土 地 利 用 規 れ た が 、 地 価 上 昇 が 著 しい た め負 担 調 整 措 置 が 制 や 開 発 利 益 還 元 の レベ ル で は わ が 国 の土 地 所 と られ 、 農 地 は据 え 置 か れ た 。 他 方 、 市 街 化 区 有 権 の特 異 性 に 切 り込 ん で い な い 。 しか し、 後 域 内 農 地 の 宅 地 な み課 税 は1971年 の税 制 改 正 で 者 の 場 合 は 、 土地 基 本 法 は 途 端 に生 彩 を帯 び て 実 現 した が 、 翌1972年 に実 施 され る こ と な く議 くる。 つ ま り、 「適 正 な利 用 」 と は 、 既 成 市 街 員 立 法 で凍 結 され る。 地 の 工 場 跡 地 、低 層 の住 宅 地 な ど は 、 地 価 に見 そ の 結 果 は 、 「地 価 狂 乱 」 と い わ れ た 戦 後2 合 わ な い低 度 利 用 を地 価 に 見 合 っ た 高 度 利 用 に 回 目の 地 価 高 騰 で あ った 。 長 期 保 有 の譲 渡 所 得 転 換 す る とい うこ と で あ り、 こ こで 土 地 利 用 計 税 が 軽 減 され る一 方 、 保 有 税 が 低 く押 さ え られ 画 は 地 価 に見 合 っ た高 度 利 用 に転 換 す る と い う た た め 、 保 有 コ ス ト(保 有 税+借 ことで あ り、 こ こで土 地利 用 計 画 は地 価 に見 合 っ を上 回 る地 価 上 昇 を見 込 ん だ 投 機 的 需 要(仮 た 高 度 利 用 を 創 出 す る方 法 に 転 化 す る。 ま た 、 要)の 入 金 利 息 等) 需 抑 制 に失 敗 し、 そ の うえ、 法 人 所 有 の 土 「価 値 の増 加 に 伴 う利 益 に 応 じた適 切 な負 担 」 地 に つ い て は税 制 改 正 が 手 付 かず で あ っ た こ と と変 え られ た の は 、 開 発 利 益 の 社 会 還 元 の 理 念 か ら、法 人 が 土地 の買 い 占め に走 り、 巨大 なキ ャ よ り、 受 益 者 負 担 の 理 念 の 方 が 開 発 政 策 促 進 に ピ タル ・ゲ イ ソ を取 得 す る とい うこ と に な った 。 適 合 的 で あ る か らで あ る。 さ ら に 、 こ こ で の 保 有 課 税 と譲 渡 益 課 税 の 組 み 合 わ せ を誤 る と大 「公 共 の 福 祉 」 とは 、 土 地 の高 度 利 用 を 目指 し 変 な 事 態 が起 こ る 、 とい うの が こ の時 の教 訓 で て の 土 地 利 用 の転 換 、 す な わ ち 開 発 、 再 開 発 の 推 進 の こ とで あ り、 した が って 「公 共 の福 祉 優 あ る。 こ う して 第 二 次 土 地 税 制 は 、1973年 の 「今 後 先 」 とは 、 低 度 利 用 とみ な され た 土 地 所 有 者 ㊧ の土 地 税 制 の あ り方 に つ い て の 答 申」 に よ り、 「私 権 」 は 制 約 さ れ るが 、 高 度 利 用 のi推進 主 体 一 転 して 規 制 的 基 調 へ と転 換 す る。 そ の改 正 の で あ る民 間 デ ベ ロ ッパ ー に は 、都 市 計 画 規 制 の 主 要 点 は、 ① 特 別 土 地 保 有 説 の創 設 に よ る保 有 緩 稲 ・権 利 の拡 大 が行 わ れ る とい う こ とに な る。 税 の 強 化(個 現 実 の過 程 を見 る と、 土 地 基 本 法 が 開 発 政 策 の 得 した 一 定 面 積 以 上 の 土 地 に対 し、 取 得 価 格 の 文 脈 で読 まれ 、 運 用 され て い く可 能 性 が 高 い 、 1.4%を と い うの が こ こで の結 論 で あ る。 税 す る。)、② 法 人 土 地 譲 渡 益 の重 課(1969年1 次 に 、 土 地 税 制 の 歴 史 に つ い て 振 り返 っ て み 月1日 人 ・法 人 が1969年1月1日 年 々課 税 し、 取 得 価 格 の3%を まず 、 第 一 次 土 地 税 制 は 、1968年 の税 制 調 査 一 時課 以 降 取 得 の土 地 の 譲 渡 益 に 対 して 、 通 常 の法 人 税 に加 え て 、税 率20%で よ う5)。 以降取 課 税 す る。)、③ 個 人 の 長 期 保 有 地 の譲 渡 所 得 税 強 化(4分 の3 会 「土 地 税 制 に関 す る答 申」 を 受 け て 行 わ れ た 総 合 課 税)、 が 、 答 申 は 土 地 政 策 の 目標 を、 ① 土 地 供 給 お よ と土 地 成 金 と い う 「悪 質 な投 機 家 」 を こ ら しめ び有 効 利 用 の 促 進 、② 需 要(と る こ と を主 眼 に お い た 税 制 で あ る。 しか し、 地 くに仮 需 要)の な ど で あ り、 買 い 占 め に走 る法 人 抑 制 、③ 開 発 利 益 お よび 一 般 的 値 上 が り益 の 吸 価 高 騰 の 要 因 を も っぱ ら 「―部 の悪 質 な投 機 家 」 収 、 の3点 に お い て い た 。 そ の最 大 の特 色 は 、 に絞 る こ とが 正 しか った か ど うか につ い て は 、 長 期 の 土地 保 有 老 が 土地 を 手 放 す こ と を有 利 に 華 山謙 氏 の 問 題 提 起 が あ る6)。 す る条 件 を 加 え た こ とで あ り、 長 期 保 有 土地 の 1973年 の オ イル シ ョ ッ ク以 降 、 地 価 は安 定 化 譲 渡 所 得 課 税 を2分 の1総 合 課 税 方 式 か ら分 離 に 向 か い 、規 制 的 色 彩 の 強 い第 二 次 土 地 税 制 は 課 税 方 式 に 変 更 し、 さ ら に税 率 を 今 後 段 階 的 に 次 第 に 緩 和 され 、1982年 に 「長 期 安 定 的 な制 度 引 き上 げ る こ と と した 。保 有 課 税 で は 、1967年 と して確 立 」 す べ く税 制 改 正 が行 われ た。 譲 渡 の評 価 替 え が 行 わ れ な か っ た こ とに 対 して 、19 益 課 税 に つ い て は、 長 期 短 期 区 分 を5年 か ら10 70年 の評 価 替 えで 評 価 の 適 性 を期 す べ き こ とが 年 に拡 大 し、 長 期 譲 渡 所 得 課 税 の 基 本 を2分 の 答 申 に盛 り込 まれ た。 これ は予 定 どお り実 行 さ ―39― 1総 合 課 税 と し、 政 策 特 例 と して25%を 上限と 財政学研究 す る分 離 比例 税 率 を設 け た。 保 有 税 に つ い て は 、 第18号 あ る 。 言 い か え れ ば 、 「建 築 自 由 」 の も と に 市 街 化 区域 内 農 地 の宅 地 並 み課 税 に つ い て 、課 「開 発 は一 定 の 不 合 理 を もた らす 場 合 に 限 り規 税 対 象 農 地 を 拡 大 す る と と も に 、10年 以 上 の 長 制 され る」 と い うわ が 国 の 原 則 か ら、 「建 築 不 期 営 農 を約 束 した 農 地 に つ い て納 税 義 務 を 免 除 自由 」 の うえ に 「計 画 な き と こ ろ開 発 な し」 と す る長 期 営 農 継 続 農 地 制 度 を創 設 した 。 い う ヨー ロ ッパ の 原 則 へ の発 展 と い う こ と で あ しか し、1980年 代 後 半 の 地 価 高 騰 に よ り、 再 る。 代 表 的 な事 例 は戦 後 の イ ギ リス の場 合 で あ っ び1987年 税 制 改 正 が行 わ れ る こ と と な り、① 短 て。 開 発 権 を 国 有 化 して 、 開発 を 許 可 制 に して 期 譲 渡 所 得 の 所 有 期 間 を10年 か ら5年 に短 縮 す い た9>。 こ の よ うな こ とが 、 わ が 国 の 現 段 階 で る、② 所 有 期 間2年 は現 実 的 で は な い とす る な ら、 当 面 、 周 辺 へ の 以 内 の土 地 を譲 渡 した場 合 、 極 め て 高 い 税 率 を課 す 、 ③1988年 に お け る固 定 影 響 の 大 きい 開 発 に つ い て は 、計 画 の趣 旨 に あ 資 産 税 評 価 替 え に あ た って 、 評 価 額 を抑 制 し、 う も ので あ るか ど うか を 、 自治体 ま た は 地 域 住 従 来 か らの 負担 調 整 措 置 を 継 続 ・拡 大 す る 、 ④ 民 が判 断 す る シ ス テ ム を作 る こ とが考 え られ る。 買 い換 え特 例 を原 則 廃 止 す る、 な ど2年 以 内 の 第 二 は 、 開 発 利 益 の社 会 的 還 元 に つ い て で あ 譲 渡 益 を超 重 課 す る一 方 、 長 期 譲 渡 益 の範 囲 を る且o)。 開発利 益 をその発生 要因 に よって区分 し 拡 大 し、保 有 税 の 負担 を軽 減 す る措 置 が取 られ て み る と、 ① 地 区 の整 備 開 発 が行 わ れ る こ と に る こ と とな っ た。 よ って 、 そ の 地 区 内 に 発 生 す る開 発 利 益 、 ② 幹 こ の よ うに わ が 国 の地 価 対 策 は 、 短 期 的 な 投 線 公 共 施 設 等 の 整 備 に よ り、 そ の 近 傍 に か ぎ り 機 抑 制 を 目的 と した土 地 税 制 が 中心 で あ り、 し 発 生 す る 開発 利 益 ・不 利 益 、 ③ 都 市 の 発 展 、 全 か も そ れ が 短 期 的 に クル ク ル と変 わ る も の で あ 体 的 な整 備 に よ って発 生 す る開 発利 益 ・不 利 益 、 り、都 市 計 画 ・土 地 利 用 計 画 な ど を含 め た長 期 の3つ 的 な政 策構 想 に は ま った く欠 け た も の で あ る、 受 益 者 と受 益 の 内容 が 比較 的 明 らか で あ るの で 、 と い うの が 特 徴 で あ る7)。 そ の 地 区 内 に 設 け られ る公 共 施 設 等 の 整 備 を地 に 区分 す る こ とが で き る。 ① の 場 合 は 、 区 内土 地 所 有 者 等 の負 担 とす れ ば よい 。 例 えば 、 (2)土地 政 策 の 原 則 と土 地 税 制 土 地 区 画 整 理 事 業 の減 歩 、 開 発 許 可 制 度 に お け 土地 政 策 と言 えぱ 、① 土 地 公有 化(土 地 収 用)、 る開 発 者 の地 区 施 設 負 担 義 務 、 宅 地 開 発 指 導 要 ② 土 地 利 用 規 制 、 ③ 土 地 税 制 、 とい う3つ の 手 綱 等 に よ る開 発 負 担 金 な どで あ る。 ② の 場 合 は 、 段 を ど う組 み 合 わ せ るか が 問 題 と な る が 、 こ こ 歴 史 的 に は土 地 収 用 法 を め ぐ る開 発 利 益 の 扱 い で は土 地 政 策 の 原 則 と して 、 ① 開 発 権 の社 会 化 の 問 題 して と りあ げ られ て きた が 、 公 共 用 地 の と開 発 の許 可 制 、 ② 開 発 利 益 の社 会 的 還 元 、 ③ 取 得 にお け る買 収 ・収 用 価 格 お よ び超 過 収 用 、 土 地 利 用 計 画 と土 地 税 制 の 組 み 合 わ せ 、 ④ 科 学 地 帯 収 用 、 受 益 者 負 担 金 な ど で あ る。 ③ の 全 域 的 な地 価 評 価 シ ス テ ム と地 価 情 報 の 公 開 、 ⑤ 住 的 開発 利 益 の場 合 は、 未 実 現 の キ ャ ピ タル ・ゲ 民 参 加 の ま ち づ く り、 の5つ イ ソ に課 税 す る土 地 増 価 税 、 開 発 利 益 税 で あ る。 を提 起 す る8)。 第 一 に.、開 発 権 の社 会 化 と 開発 の 許 可 制 に つ 第 三 は 、 土 地 利 用 計 画 と土 地 税 制 の 組 み 合 わ い て で あ る。 これ に は 、 土 地 所 有 権 は私 人 に 属 せ で あ る。 重 要 な こ とは 、 最 初 に詳 細 で厳 しい して い る と して も、 土 地 利 用 権 自体 は コ ミ ュニ 土 地 利 用 計 画 ・規 制 が 必 要 で あ り、 そ の土 地 利 テ ィ に帰 属 す る と い う コ ソ セ ソサ スが 肝 要 で あ 用 計 画 ・規 制 を 実 効 力 あ る も の とす る た め に 、 る。 つ ま り、 「計 画 な き と こ ろ 開 発 な し」 の 原 土 地 税 制 と の 的 確 な連 携 が必 要 で あ る と い う こ 則 を打 ち立 て る と と もに、 そ の計 画 の趣 旨 にそ っ とで あ る。 い わ ば 、 「は じめ に 土 地 利 用 計 画 あ た 開 発 で は土 地 が 最 も有 効 に利 用 で き る が、 そ り き」 で あ り、 土 地 税 制 は 間 接 的 な誘 導 手 段 、 うで な い開 発 は 開 発 の許 容 範 囲 が著 し く制 限 さ 補 完 的 な も の で あ る。 具 体 的 に は 、 土 地 利 用 計 れ る と い う社 会 的 ル ー ル を 敷 こ う とい うも の で 画 に よ り土 地 を 次 の よ うに4つ 一40― に 区 分 して 、 そ 現 代 日本 の土 地 問 題 と土 地 政 策(下) れそ れ に保 有税 を対 応 させ る こ とが 必 要 で あ る。 税 制 が果 たす 役 割 は 補 完 的 、 誘 導 的 な も の に と 開発 権 つ き宅 地 …地 価 に応 じた 固 定 資 産 税 ど ま る」 と い う立 場 を転 換 す る姿 勢 を打 ち 出 し 開発 権 な し宅 地 … … 現 行 程 度 の 固 定 資 産 税 た の で あ る。 しか し、 本 節 の 冒頭 に も述 べ た よ 都市 的 土地 利 用 権 を凍 結 した 農地(生 産緑 地) うに、 土地 政策 とは、 ①土 地 公有 化(土 地 収用)、 現 行程 度 の農 地 と して の課 税 、 た だ し、 相 ② 土 地 利 用 規 制 、 ③ 土 地 税 制 、 とい う3つ の 手 段 を ど う組 み 合 わ せ る か が ポ イ ン トで あ る。 そ 続税 は宅地 なみ とす る 都市 的土地利用権 を放棄 した農地(農 業専用 れ ゆ え 、 土 地 問題 の 解 決 の た め に は 、 土 地 税 制 地 区)… … 固 定 資 産 税 、 相 続 税 の 両 者 と も農 地 と都 市 計 画 ・土 地 利 用 計 画 が 連 携 し、 「車 の 両 と して の評 価 で 課 す る 輪 」 と して 機 能 す る必 要 が あ る し、 また 、 公 共 第 四 は 、 科 学 的 な地 価 評 価 シ ステ ム、 地 価 情 報 の公 開 で あ る。 開発 権 の社 会 化 、 開 発 利 益 の の 利 益 の た め に は 、 土 地 収 用 権 を積 極 的 に活 用 す る こ と も必 要 に な ろ う。 社 会 的 還 元 の た め に は 、 科 学 的 な地 価 評 価 が 欠 次 に、 政 府 税 制 調 査 会 の 答 申 に つ い て で あ る か せ な い 。 地 価 高 騰 の 現 状 を追 認 す る現 行 の 土 が 、 国 税 の 「新 土 地 保 有 税 」 の 導 入 を 提 言 し、 地 評 価 シ ステ ム で は な く― り、 す な わ ち、 評 価 の 結 局 、法 人 企 業 所 有 の 土地 に対 す る資 産 再 評価 、 方 法 と して は 、 現 行 の 取 引 事 例 比 較 法 中心 で は す な わ ち 時価 と薄 価 の 差 額 に 一 定 税 率 を か け る な く、 収 益 還 元 法 を加 味 した評 価 方 法 が行 わ れ 「含 み 益 課 税 」、 さ ら に 低 ・未 利 用 地 に 対 す る る べ きで あ る。 そ して 、 地 価 情 報 は 原 則 と して 課 税 強 化 な ど は、 問題 提 起 が あ っただ け で終 わ っ 完 全 に公 開 され る べ きで あ る。 ま た 、 キ ャ ピ タ て しま っ た の は残 念 で あ る。 今 回 の 地 価 高 騰 の ル ・ゲ イ ソに は売 買価 格 で 評 価 し、 財 産 税 に は 主 要 因 を な した の は 、 投 機 目的 の 土 地 取 引 や 土 収 益 還 元 で 評 価 す る とい うよ うな 、 い わ ば地 価 地 所 有 で あ り、 これ に 対 して 膨 大 な 額 に の ぼ る 評 価 の二 元 論 も必 要 で あ る。 さ らに 、 韓 国 の よ キ ャ ピタ ル ・ゲ イ ソを 直 接 的 に 吸 い 上 げ る措 置 うに、 コ ソ ピ ュー タに よ る各 種 の 「名 寄 せ」 シ が是 非 と も必 要 で あ る。 そ の た め には 、 国土 庁 ス テ ム を完 備 す る こと が必 要 で あ る ―2)。 の 「土 地 税 制 改 革 に 向 け た基 本 方 針 」 に あ っ た、 第 五 は 、 住 民 参 加 の まち づ く りで あ る が 、 そ ① 土 地 の譲 渡 益(キ ャ ピ タル ・ゲ イ ソ)に 対 す の た め に は 、 後 に み る ドイ ツの 事 例 の よ うに 、 る累 進 課 税 適 用 、 ② 法 人 企 業 所 有 地 の 含 み益 に まず 計 画 権 限 を基 礎 自治 体 で あ る市 町 村 に完 全 焦 点 を あ て た 「法 人 向 け新 圭 地 保 有 税 」 の導 入 、 に委 譲 す る こ とが 前 提 とな り、 次 に は そ の 自治 を再 び 議 論 す る必 要 が あ る も の と思 わ れ る 匡3)。 体 の計 画 づ く りに住 民 が 参 加 す る制 度 を確 立 す そ の 後 、政 府 税 制 調 査 会 答 申 の 目玉 で あ った る こ と で あ る。 ま た、 地 区 レベ ル の計 画 に つ い 「新 土 地 保 有 税 」 は 、 自民 党 税 制 調 査 会 の 手 に て は、 住 民 の 合 意 ・選 択 に 基 づ い て作 成 す る と よ って 、 完 全 に骨 抜 きに され た こ とは 、 周 知 の と も に 、 そ の よ うな住 民 参 加 、 住 民 合 意 の計 画 事 実 で あ る。 税 率 は 、0.3%(た づ く りを行 い得 る住 民 自身 の 能 力 の 発 達 が重 要 は0.2%)、 と な る。 億 円)ま 以 上 が土 地 政 策 の5つ の 原 則 で あ るが 、 こ こ だ し、 初 年 度 基 礎 控 除 は10億 円(中 た は1平 方 メー トル3万 小 企 業 は15 円 に 面 積 を掛 げ た額 の 大 きい 方 を選 択 、 非 課 税 範 囲 に は居 住 で は最 近 の土 地 税 制 に つ い て 、 若 干 の コメ ソ ト 用(千 を して お こ う。 治 体 、 公 共 法 人 、 公 益 法 人 の所 有 地 、 民 間 所 有 平 方 メー トル 以 下 の 部 分)、 国 、地 方 自 まず 、土 地 政 策 に お け る土 地 税 制 の位 置 づ け 地 で 「高 い公 益 的 用 途 」 の 土 地 、 農 地(「 宅 地 で あ る が 、政 府 税 制 調 査 会 の 土 地 税 制 小 委 員 会 化 す べ き」 と区 分 さ れ た 農 地 を 除 く)、 山 林 、 (石 弘 光 小 委 員 長)は 「税 制 は 土 地 政 策 の 中 の 極 め て 重 要 な手 段 の 一 つ」 と初 め て 明記 した 。 従 来 の1968年 答 申で の 「土 地 政 策 全 般 に お い て ―41― 1平 方 メ ー トル3万 円 以 下 の土 地 な ど を含 め る と規 定 され た の で あ る1% ま た、 地 価 対 策 と して の土 地 税 制 に つ いて は 、 財政学研究 第18号 従 来 か ら、「固定 資 産税 の よ うな保 有税 か 、 キ ャ 義 務 面 積 を300㎡ 以 上 に した た め 大 半 の 取 り引 ピ タル ・ゲ イ ソに 課 税 す る譲 渡 所 得 税 か」 の論 きが 審 査 対 象 外 と な り、 結 局 、100m2以 上 と厳 争 が行 わ れ て い る15)。中 心 的 な 論 点 で あ る 「凍 し く した の は 地 価 高 騰 の 後 で 、 監 視 と い うよ り 結 効 果 」16)をめ ぐ って 、 激 しい 論 争 が 行 わ れ て 追 認 とい う結 果 に な った 。 ま た 、1990年4月 い る が 、 こ こで は 結 論 的 に 、 土 地 税 制 の争 点 で 公 示 価 格 の発 表 で 、 大 阪 圏 を 中心 に地 価 が50∼ あ る保 有 税 対 キ ャ ピタ ル ・ゲ イ ソ課 税 の 問 題 に 60%も 関 して は 、 投 機 を 防 止 す るた め に キ ャ ピタ ル ・ こ とは 首 都 圏 の 地 価 高騰 の教 訓 が 全 然 生 か され ゲ イ ソ課 税 は高 率 化 す る と と も に 、 保 有 税 に つ て い な い と い う こ とで も あ っ だ9)。 た しか に 自 い て は 生 存 権 的 所 有 権 者(勤 治 体 の 圭 地 政 策 に関 す る権 限 と財 源 が 限 られ て の意 思 の あ る農 民 等)に そ れ 以 外 の 者(法 労者 の住宅、営農 は保 有 税 軽 減 を 行 い 、 人 企 業 の低 ・ ・未 利 用 地 、 営 農 の 意 思 の な い農 民 等)に は 高 率 の保 有 税 を課 す る と い う原 則 を述 べ て お きた い 。 の 上 昇 した こ と が 明 らか に な った が 、 そ の い るが 、 か つ て は 環 境 保 全(公 害 規 制)、 福 祉 、 住 民 参 加 な どの 分 野 で は 自治 体 の 先 進 的行 政 が 国政 を 動 か した とい う実 績 も豊 富 な だ け に 、 今 回 の対 応 の遅 れ が 目立 った 。 さ らに 、 最 近 注 目され て い る台 湾 の 平 均 地 権 そ こで 、 本 章 で は 、 土 地 政 策 に 関 す る権 限 と の 思 想 を活 用 して 、 地 価 の 申告 と収 用 価 格 の リ 財 源 の地 方 委 譲 、 つ ま り、 地 方 分 権 の 強 化 と い ン ク シ ス テ ム を つ くる こ と も考 え られ な い で あ う課 題 を も含 め て 、 本 来 、 土 地 政 策 に お い て 自 ろ うかt7)。都 留 重 人 氏 は 、 『物 価 を 考 え る 』 の 治 体 が果 た す べ き役 割 に つ い て検 討 して み た い。 中 で 、 次 の よ うに述 べ て お られ る。 「自分 の 土 地 は 高 い の だ と思 って い る人 は 、 高 い 呼 び値 を つ け るが よ い。 しか し、 そ うす る (1>土地 政 策 と地 方 自治 自治体 の 土 地 政 策 を 考 え る に あ た って 、 現在 、 な ら同 時 に 、 そ の高 い 値 段 を も と に して 固 定 資 自治 体 が い か な る面 で 土 地 と関 わ っ て い るか を 産 税 を払 うべ きで あ り、 買 った 時 の値 段 よ りも 検 討 して み よ うQ 増 価 した部 分 につ い て は 、 売 った 時 に譲 渡 所 得 まず 第 一 に、 地 域 住 民 の 共 同施 設 を建 設 す る 税 を 払 うべ きで あ る。 そ れ が い や な ら、 自分 の に は、 そ の 用 地 を確 保 す る と い う意 味 で の 公 的 土 地 を安 く評 価 す る よ う求 め た ら よ い。 そ の か 用 地 の 買 収 業 務 が 不 可 欠 で あ る。 そ して 、 そ の わ り、 収 用 され る よ うな と きに は 、 そ の 安 い 値 公 的 用 地 の 上 に、 公 共 的 な 施 設 が 建 設 、 設 置 さ 段 で 売 らね ば な ら ぬ。 また 、 高 く評 価 され て い れ る の で あ る。 る こ と を承 知 で 土 地 を遊 ば せ て い た り、 不完 全 第二 は、土地利用 に関す るもので あって、開 な利 用 しか して い な い人 は 、 社 会 的 な資 源 配 分 発 規 制 、 建 築 規 制 、取 引 規 制 な ど が あ げ られ る 合 理 性 の 立 場 か ら、 土 地 利 用 促 進 税(又 は空 閑 と と も に 、再 開 発 、 区 画 整 理 な ど の 土 地 の再 編 か け られ た と して も、 文 句 を言 う筋 合 成 、 再 利 用 も 自治 体 の 仕 事 で あ る。 ま た、 国土 地 税)を い で は な い。」18) 計 画 、 地 域 開 発 計 画 、 都 市 計 画 な ど も、 本 来 、 自治 体 の重 要 な業 務 で あ る。 N土 地政策 と地方 自治 第 三 は 、 固 定 資 産 税 、 特 別 土 地 保 有 税 な どの 土 地 税 制 に 関 す る仕 事 で あ る。 自治 体 は、 本 来 、 地 域 住 民 が 自分 た ち の生 活 この よ うに、 現在 、 自治体 は土 地 政 策 に関 わ っ を守 る生 活 圏域 で あ る。 しか し、1980年 代 後 半 て大 き な役 割 を 果 た して お り、 権 限 と財 源 の委 の 地 価 高 騰 に際 して は、 自治 体 は事 前 に何 ら有 譲 に よ っ て さ ら に積 極 的 な 役 割 を 果 た す こ と が 効 な手 立 て を うつ こと がで きず 、地 価 高 騰 を煽 っ で き よ う。 た 張 本 人 で あ る国 の 後 手 後 手 の 対 策 待 ち で あ っ た 。 例 え ば 、 地 価 監 視 制 度 の場 合 、 最 初 は届 出 一42― ま ず 第 一 に 、 自治 体 の 公 共 用 地 の 取 得 の 問 題 に つ い て 考 え て み よ う。 現 代 日本 の土 地 問題 と土 地 政 策(下) ドイ ツや 北 欧 の都 市 自治 体 で は 、19世 紀 末 ご 公 共 用 地 を 積 極 的 に 確 保 す る政 策 を と って き た ろ か ら大 面 積 の土 地 を 長 い間 か か って 取 得 をす が 、 今 度 は 企 業 の保 有 す る投 機 的 な 買 い 占め 地 る と い う土 地 公 有 化 政 策 が と られ て き た の で 、 や低 ・未 利 用 地 を収 用 して 、 地 域 住 民 の 生活 を この 広 大 な公 有 地 を も って 必 要 な住 宅 用 地 、産 向上 させ るべ きで あ る。 業 用 地 、 公 園緑 地 な ど を確 保 して い くと い う最 な お 、 国有 地 の売 却 に つ い て は 、 ドイ ツ、 フ も確 実 な手 法 を と る こ と が で き る2り。 しか し、 ラ ソ スで は公 共 が策 定 した 利 用 計 画 が 売 却 の前 日本 の場 合 は、 この よ うな土 地 公有 化 政 策 を と っ 提 と され 、 ア メ リカ で は ラ イ トダ ウ ソ方 式 と い て きた 自治 体 は な く、 当面 、 この 土 地 公 有 化 政 う良好 な利 用 提 案 を行 った も の に 売 却 され る制 策 を 全 面 的 に採 用 す る こ とは 現 実 的 で は な い。 度 が あ り、 イ ギ リス で は用 地 取 得 を して も良 好 現 状 で は、 自治 体 の 公 共 用 地 取 得 に は 事 業 化 な 利 用 提 案 で な け れ ば 開 発 を 許 可 しな い と い う を前 提 に しか行 え ない と い う制 約 が あ り、 しか 制 度 に な って い るの に 対 して 、 日本 は利 用 計 画 、 もそ の公 共 用 地 の活 用 方 策 に つ い て も柔 軟 性 が 提 案 な しの 価 格 競 争 入 札 と な っ て い る24)。払 下 な い と批 判 さ れ て い る22)。例 え ば、 都 市 農 家 に げ の 対 象 とな る土 地 は 自治 体 が所 有 し、 地 域 社 と っ て は農 地 は重 要 な 生 存 基 盤 で あ り、 相 続 時 会 が 最 も必 要 とす る土 地 利 用 、 例 えば 生 活 関 連 の財産分割 、 レ相 続 税 対 策 等 の場 合 以 外 は 、 農 地 施 設 や 公 共 住 宅 の た め に有 効 に活 用 され な け れ を 一 括 して 売 る と い う こ とは 稀 で あ り、 ど う し ば な ら な い。 て も 「細 切 れ 転 用 」 を せ ざ る を え な い 。 と ころ が 、 自治 体 は 一定 の ま と ま りが あ り、 か つ 事 業 計 画 が な い か ぎ り、 土 地 を 事 前 に取 得 す る こ と 第 二 に、 土 地 利 用 に関 す る も の に つ い て 検 討 して み よ う。 まず 、 都 市 計 画 に 関 す る権 限 と財 源 を、 地 域 が で き な い の で ∀ 結 局 は民 間 デ ベ ロ ッパ ー が土 住 民 と 自治 体 に 委 譲 す る こ と が重 要 で あ る2s)。 地 を 買 い 、 ミニ 開 発 の 住 宅 に して しま い 、 ス プ 1968(S43)年 ロー ル 化 が進 行 す る。 45)年 自治 体 に よ る 土 地 の 先 行 取 得 に つ い て は 、 の 新 都 市 計 画 法 お よび1970(S の 建 築 基 準 法 改 正 に よ り、 ① 都 市 計 画 決 定 権 限 の 都 道 府 県 知 事 お よび 市 町 村 へ の 委 譲 、 「公有 地 の拡 大 の 推 進 に関 す る法 律 」 が あ り、 ② 都 市 計 画 の案 の 作 成 お よび 決 定 の過 程 に お け 市 街 化 区 域 内 に お け る土 地 の先 買 い を認 め て い る住 民 参 加 手 続 の 導 入 、 とい う改 正 が な され た るの だ が 、 ① 時 価 相 場 よ りか な り低 い公 示 価 格 が 、 問 題 点 が き わ め て 多 い。 を基 準 とす る、 ② 任 意 協 議 で あ る、 ③ 財 源 措 置 ① の都 市 計 画 の 決定 権 限 に つ い て は 、 本 来 、 に欠 け て い る、 とい う3つ の点 で 問 題 が あ り、 基 礎 的 自治体 で あ る市 町 村 に委 譲 され るべ き な 実 質 的 な 効 果 が発 揮 され て い な い 。 そ れ ゆ え、 の に 、 都 道 府 県 知 事 に と ど め られ 、 ま た起 債 ・ ま ず 、 「公 有 地 の拡 大 の 推 進 に 関 す る法 律 」 に 補 助 金 な どの 財 政 的 な 仕 組 み や技 術 基 準 な どを よ る公 共用 地 の先 買 い に対 して 、 国 が財 源 の 保 通 じて 、 実 質 的 に も法 的 に も 国 の 強 い 指 揮 監 督 障 を行 う こ と が必 要 で あ る。 ま た 、 ドイ ツ の 事 が及 ぶ 制 度 に な っ て い る。 ② の住 民 参 加 制 度 に 例 に み られ る よ うに、 自治 体 に広 範 な先 買権 を つ い て も、(イ)都 保 障 す る こ と が必 要 で あ る。23)。さ ら に、 企 業 に 開 催 さ れ る公 聴 会 ・説 明会 等 が 義務 化 さ れ て が 保 有 して い る投 機 的 な 買 い 占 め地 や 低 ・未 利 お らず 、 しか も都 市 計 画 当局 が公 述 を 「聴 きお 市 計 画 の 案 を作 成 す る と き 用 地 に対 して 、 自治 体 が 生 活 用 地 等 に 使 用 す る く」 とい う方 式 で あ る、(ロ)案 た め に、 取 得 価 格 に維 持 費 を加 え た程 度 の対 価 とす る と きに行 わ れ る案 の 縦 覧 と意 見 書 の 提 出 で も っ て収 用 す る こ と が で き る よ う、 自治 体 に に 関 して 、 そ の 期 間 と 方 法 が 不 十 分 で あ る 、 土 地 収 用 権 を付 与 す べ きで あ る。 既 に 述 べ た よ (ハ)市 を決定 しよ う 区町 村 都 市 計 画 審 議 会 が 法 的 に規 定 さ うに 、 「高 度 成 長 」 期 に お い て 、 自治 体 は 企 業 れ て い な い 、(二)市 誘致 のために、土地収用権 の行使 まで含 めて、 決 定 に ほ と ん ど関 与 しな い な ど、 きわ めて 不 十 ―43― 区 町村議 会 は都市計 画 の 財政学研 究 第18号 の せ られ た 数 値 が そ もそ も全 体 と して 高 す ぎ る 分 で あ る。 この よ うな 不十 分 な権 限 委 譲 で は な く、 真 に 基 礎 的 自治 体 で あ る市 町 村 と地 域 住 民 が 、 自分 と い う問 題 点 が あ る。 そ れ ゆ え、 ① の い わ ゆ る 「線 引 き」 に つ い て た ち の住 む 地 域 の都 市 計 画 が 決 定 で き る よ うに 、 は 、 「水 ぶ くれ」 的 に拡 大 され た 市 街 化 区域 の 都 市 計 画 決 定 の権 限 と財 源 を 委 譲 す る こ と が何 見 直 し、 す な わ ち 「再 線 引 き」 が必 要 で あ る し、 よ り も必 要 で あ る。 ② の 開発 許 可 制 度 に つ い て は 、 開 発 の 定 義 を イ 次 に 、 土 地 利 用 計 画 、 開発 規 制 、 建 築 規 制 に ギ リス の よ うに広 範 な土 地 利 用 の変 更 を対 象 と つ い て で あ る が、1980年 代 の 「規 鰯 緩 和 」 政 策 し、 自治体 の 規 制 権 を 強 め る こ と が必 要 で あ る。 の 実 施 の過 程 で み られ た よ う な、 「通 達 」 に よ ま た 、③ の 用 途 制 限 に つ い て は、 各 用 途 地 域 内 る 自治 体 の 締 め付 け をや め る こ と が何 よ り先 決 の用 途 制 限 を厳 格 化 す る一 方 、 よ り小 さ な単 位 で あ る。 と りわ け 、 自治 体 独 自 の土 地 政 策 と言 で の ゾー ニ ソ グ(計 画 の詳 細 化)を い う る 「宅 地 開 発 指 導 要 綱 」 に対 す る 「行 き過 必 要 で あ る し、 容 積 率 制 限 に つ い て は 、 あ ま り ぎ」 の 是正 指 導 を即 刻 や め る こ と が重 要 で あ る。 に も 高 す ぎ る容 積 率 を低 く制 限 す る こ と が必 要 さ らに 、1968年 都 市 計 画 法 お よ び1970年 建 築 す る こと が で あ る。 基 準 法 改正 に よ り、① 市 外 化 区 域 、 市 街 化 調 整 ま た 、 土 地 の取 引 規 制 に つ い て は 、 国 土 利 用 区域 とい う区域 区 分 手 法 の 創 設26)、② 区域 区 分 計 画 法 が ポ イ ソ トと な る が 、 い わ ゆ る 「規 制 区 と関連 した開 発 許 可 制 度 の 創 設2ア)、 ③用途 地域 域 」 制 の 導 入 す れ ば 、 地 価 抑 制 は可 能 で あ る と 制 の 細 分 化28)と容 積 率 制 限 の 全 面 的 採 用29)、な い わ れ て い る。 しか し、 問 題 点 と して は 、 「規 どの 制 度 改 革 が土 地 利 用 規 制 の 強 化 の た め に な 制 区 域 」 制 を導 入 に 伴 う多大 な行 財 政 負 担 、 つ され た が 、 問 題 点 も多 い30)。 ま り、人 員 お よ び 買 取 り請 求 の場 合 の 買 収 資 金 が必 要 と され る こ とか ら、知 事 が指 定 を躊 躇 す ① の い わ ゆ る 「線 引 き」 に つ い て は 、(イ) 答 申の4区 分 制 度 か ら る危 険 性 が 指 摘 され て い る。 例 え ば 、 埼 玉 県 知 2区 分 に変 更 され 、 運 用 上 の 柔 軟 性 を欠 き矛 盾 事 の畑 和 氏 は 、東 北 新 幹 線 建 設 に伴 う地 価 急 騰 を 生 じた 、(ロ)市 街 化 区域 の 計 画 と市 街 地 整 時 に規 制 区 域 の指 定 を検 討 した が 、法 律 の 要 件 備 プ ロ グ ラ ム お よび 宅 地 な み課 税 と の 関 係 が曖 が 厳 しい うえ に 、 「買 取 り請 求 権 」 に 応 じる財 昧 に され た 結 果 、 市 街 化 区域 は 地 方 自治 体 が市 力 が 自治体 に は ない と い う問 題 を指 摘 して い る。 街 地 整 備 が 可 能 な範 囲 を こえ て 「水 ぶ くれ 」 的 また 、東 京 都 知 事 の 鈴 木 俊 一 氏 は 、東 京 都 内 の に広 くな った 、 な どで あ る。 ② の 開 発 許 可 制 度 土 地 取 引 が 年 間15万 件 、1人 に つ い て は 、(イ)開 100件 だ か ら、 人 員 を1500人 増 や さな け れ ば な 宅 地 制 度 審 議 会 の 第6次 発 の定 義 が イ ギ リス の 制 が こな す の は 年 間 発 規 模 が0.1 らな い と述 べ て い る3り。 この よ うな 自治 体 の行 ha以 下 の も の は許 可 不 要 と した た め 、 「バ ラ建 財 政 負 担 を 国 が 保 障 す る こ とが な け れ ば 、 「規 ち」 「ミニ建設 」 を促 進 す る結 果 とな った 、(ハ) 制 区 域 」 は 「抜 かず の 宝 刀 」 とな る こ と は確 実 市 街 化 調 整 区 域 に お い て 例 外 的 に認 め る建 築 行 で あ る。 度 と比 較 して 著 し く狭 い 、(ロ)開 為 ・開 発 行 為 が 多 く、 い わ ゆ る 「滲 み 出 し」 的 第 三 は 、土 地 税 制 に 関 す る もの で あ るが 、 そ 開 発 が進 ん だ 、 な どが あ る。 ③ の 用 途 制 限 に つ の 大 前 提 と して 、 自治 体 の課 税 自主 権 を大 幅 に い て は、 最 も き び しい 第1種 住 居 専 用 地 域 で さ 充 実 ・強 化 す る こと が何 よ り も重 要 で あ る。 え 、 で き あ が る街 の姿 を 明確 に規 定 で き る ほ ど まず 、 固定 資 産 税 に つ いて は 、 評 価 額 の 公 開 に は 詳 細 で は な い こ とが 問 題 で あ り、 ま た 容 積 を 原 則 に して 、 評 価 額 を 収 益 還 元 方 式 で 算 出 す 率 制 限 に つ い て は 、各 々 の 地 域 制 ご と に法 律 に る こ と が 必 要 で あ る32)。そ の 上 で 、 生 存 権 的 土 記 され て い るい くつ か の数 値 の 中 か ら選 ん で 都 地 所 有 権 を保 障 す る た め に 、 欧 米 諸 国 と同 様 、 市 計 画 で 指 定 す る仕 組 み で あ る が 、 メ ニ ュ ー に 住 宅 の 税 率 を 業 務 施 設 よ りも軽 減 す る べ きで あ ―44― 現代 日本 の 土地 問 題 と土地 政 策(下) る。 自営 業 者 、 営 農 意 欲 のあ る農 民 に つ い て も、 画 に関 す る一 般 的 な規 定 をお い た 「連 邦 建 設法 」 軽 減 す べ き で あ る。 が定 め られ た 。 こ の連 邦 建 設 法 は 全 国適 用 の計 特別 土 地 保 有 税 は 、 前 述 した よ うに 、 国税 に 画 法 と建 築 法 を 兼 ね た 法 律 で あ り、 この法 律 の お け る土 地 譲 渡 益 重 課 制 度 に よ る土 地 投 機 、 仮 も と に都 市 計 画 に相 当 す る 「建 設 管 理 計 画 」 が 需 要 の 抑 制 の効 果 を 補 完 す るた め に 、 土 地 保 有 策 定 され る。 この 建 設 管 理 計 画 は 、 土 地 利 用 計 に 伴 う管 理 費用 の増 大 に よ って 、 投 機 的 取 引 の 画(Fプ 抑 制 と土 地 の供 給 促 進 に資 す る こと を 目的 と し 2つ の 計 画 で構 成 さ れ て い る。 前 者 は 、 市 町 村 た もの で あ っ た 。 しか し、1978年 度 に 「土 地 の が全 地 域 を対 象 と して定 め 、 州 支 庁 で 認 可 され 上 に恒 久 的 に利 用 す る建 物 、構 造 物 が あ れ ば免 る土 地 利 用 計 画 で あ る。 土 地 利 用 計 画(Fプ 税 」 と い う免 除 制 度 が創 設 され た こ とに よ り、 ソ)の 拘 束 力 は 、 市 町 村 ・行 政 庁 に の み 及 び 、 課 税 対 象 額 の7割 が 免 税 に な って い る。 これ と 直 接 個 人 に は及 ば な い。 後 者 は、 市 町 村 が策 定 の 関 連 で い え ば 、 国 税 と して の 新 土 地 保 有 税 を し、 議 会 の議 決 に よ り条 例 と して 決定 され る。 創 設 す る必 要 は な か っ た の で あ る。 固定 資 産 税 地 区 詳 細 計 画(Bプ を 上述 の よ うに 適 正 化 し、 特 別 土 地 保 有 税 の免 お い て は 、 各 種 の 法 的 拘 束 力 が発 生 し、 地 区詳 除 制 度 を抜 本 的 に 見 直 し、 と くに企 業 の 保 有 す 細 計 画(Bプ る遊 休 地 、 低 ・未 利 用 地 に は 高 率 の 保 有 課 税 を ラ ン)と 地 区詳 細 計 画(Bプ ラ ン)の ラ ラ ソ)が 策 定 され た地 区 に ラ ソ)の 実 施 が 義 務 づ け られ る。 この よ うに、 ドイ ツ の都 市 建 設 ・都 市 計 画 は、 課 す るべ き で あ る。 一 般 消 費税 の 導 入 に 伴 い、 連 邦 建 設 法 に よ り進 め られ て き た が 、60年 代 の 地 方 消 費 税 が 国 に 吸 収 され た こ と と併 せ て 考 え 中 期 以 降 、 第 二 次 産 業 革 命 と呼 ば れ る工 業 化 、 れ ば 、 この 地 方 税 源 の 充 実 ・強 化 に な る方 策 が 急 速 な都 市 化 に よ り、 人 口の 大 都 市 周 辺 部 へ の 支 持 され る べ きで あ ろ う。 集 中 、住 宅 事 情 の悪 化 、都 市 機 能 の 低下 、 居 住 ・ 最 後 に、 土 地 投 機 に対 す る特 効 薬 と して の、 労 働 環 境 の悪 化 、 土 地 投 機 の 横 行 、地 価 の急 上 過 剰 な不 動 産 金 融 に対 す る規 制 の 問題 が あ る33)。 昇 な ど、 強 力 な公 の手 に よ る都 市 ・村 落 の再 開 自治 体 は金 融 機 関 に 対 して 、① 投 機 的 な 土 地 取 発 、 ニ ュー タ ウ ン の新 開 発 が 課 題 に な っ た。 こ 引 や 著 し く適 正 を 欠 く価 格 に よ る土 地 取 引 に対 の よ うな 課 題 を推 進 す るに は 、 連 邦 建 設 法 は 多 す る融 資 を 中止 す る、 ② 既 に実 行 さ れ た 不 動 産 くの欠 陥 を も って い た。 そ れ は、 ① 大 戦 後 の戦 関 連 融 資 に つ い て も、 不 適 切 と判 断 され た も の 災 復 興 と住 宅 の大 量 建 設 中 心 の発 想 で あ る 、② に つ い ては 早 期 に回 収 す る よ う強 力 に指 導 す る、 建 設 基 本 計 画 ・土 地 利 用 計 画 ・建 築 計 画 は 、土 ③ 担 保 価 値 の基 準 を見 直 す 、④ 土 地 投 機 融 資 の 地利用 の具体化 を土地所有 者等 のイニ シアテ ィ 実 態 を 調 査 し、 そ の 結 果 を公 表 す る等 の 措 置 を ブ に委 ね て い た 、 ③ 土 地 所 有 者 や 利 害 関 係 人 を と るべ きで あ る。 また 、 自治 体 に過 剰 な 不 動 産 含 む 広 範 な住 民 を 計 画 と事 業 の実 施 に 参 加 させ 金 融 を規 制 す る権 限 を与 え るべ きで あ る。 る行 政 手 続 が 不 十 分 、 ④ 投 機 価 格 を取 引 価 格 と 以 上 、 こ こで は 、 国 の持 つ 土 地 政 策 の 権 限 を して承 認 す る こ と を強 制 して い た た め 、 再 開発 大 幅 に 自治 体 に 委 譲 し、 自治 体 の責 任 に お い て の実 施 を著 し く困 難 に して い た、 土 地 所 有 権 者 行 う独 自 の土 地 政 策 の 自由 を 大 い に認 め る こ と の権 利 保 護 が 手 厚 く、 再 開 発 利 益 を 少 数 者 が 独 を 強 く主 張 す る もの で あ る。 占 して い た 、⑤ 再 開 発 ・新 開 発 に対 す る連 邦 の 財 政 援 助 の規 定 が な い 、 な ど で あ る。 この よ うな立 法 上 の 欠 陥 を除 去 す る こ とを ね (2)ドイ ツの 土 地 政 策 本 節 で は 、 土 地 政 策 に お い て 地 方 自治 の果 た し うる重 要 な役 割 につ い て 、 ドイ ツ の 土 地 政 策 出 さ れ て 以 来 、6年 間 の 難i産の 末 、1971年 に 「都 市 建 設 促 進 法 」 が制 定 され た。 この法 律 は、 を事 例 に検 討 す る3% ドイ ツ の 土 地 ・開 発 法 制 は 、1960年 らい と して 、1965年 に そ の 法 案 が 連 邦 議 会 に提 に都市計 ―45― 再 開 発 と新 開 発 措 置 の み に適 用 され る連 邦 建 設 財政学研究 第18号 法 の 特 別 法 で あ り35)、そ の特 徴 は、 ① 私 的 所 有 の 区 画 整 理 の 特 例 措 置 、(ハ)市 権 の尊 重 、 ② 住 民 参 加 に よ る計 画 の 民 主 化 、 ③ 得 の た め の先 買 権 、(二)先 土 地 所 有 権 に対 す る社 会 的 拘 束 性 の 強 化 、 と し 化 さ れ た収 用 とで もい うべ き土 地 取 得 権 、(ホ) て 要 約 す る こ とが で き る。 取 りこ わ し命 令 、(へ)建 ま ず 、 事 業 開 始 の 手 続 に は 、(イ)準 備的 調 命 令 、(チ)収 用 、(リ)建 町村 の土地 取 買 権 よ り強 く簡 素 築 命 令 、(ト)近 代化 物 の 賃 貸 借 契 約 の廃 査 、(ロ)地 区 指 定 、(ハ)利 害 関 係 人 との討 議 ・ 棄 な ど が あ り、 強 力 な 法 的 手 法 を市 町 村 に付 与 社 会 計 画 の 作 成 、 の3段 して い る こ と が 注 目 さ れ 、 さ らに 、 計 画 利 得 階 が あ るが 、 住 民 参 加 に よ る計 画 の民 主 化 の視 点 か ら と くに注 目す べ き は 、(イ)準 備 的 調 査 と(ハ)利 害関 係人 と の討 議 ・社 会 計 画 の 作 成 で あ る。 (=開 発 利 益)の 吸収 に つ い て も注 目す べ き点 が あ る。 つ ま り、 公 の 負 担 に よ っ て生 じた 土 地 価 格 の 上 昇 は 自動 的 に 所 有 者 に 帰 属 す る も の で この 事 前 の準 備 調 査 は 、 再 開 発 の 必 要 性 、 社 は な い と して 、 計 画 利 得 の公 共 還 元 の途 を ひ ら 会 的 ・構 造 的 ・都 市 建 設 的 現 況 の把 握 、 再 開 発 い た こ と で あ る。(イ)適 正 価 格 を こ え る場 合 の計 画 及 び 実 施 の 可 能 性 に つ い て の 判 断 資 料 を は土 地 取 引 の認 可 を拒 否 す る土 地 取 引 の 認 可制 、 得 る と と も に、 土 地 所 有 者 等 の再 開 発 に対 す る (ロ)補 償 金 お よび清 算 金 の 算 定 に あた って は 、 協 力 の 可 能 性 に つ い て 調 査 す る こ と も含 ま れ 、 再 開 発 ・新 開 発 の 見 込 み 、 準 備 お よび実 施 に よ ま た 、 再 開 発 に 対 す る土 地 所 有 者 等 の 提 案 に 応 り生 じた 地 価 上 昇 は 、 関 係 人 が 自 らの 費 用 に よ ず る 目的 も も つ 。 こ の調 査 に お い て は 、 予 定 さ り許 され た方 法 で これ を 実 現 した 場 合 に 限 って れ て い る再 開発 に よ っ て生 ず べ き社 会 的 ・経 済 考 慮 され る とす る補 償 金 算 定 の 原 則(こ 的 領 域 に お け る個 人 の生 活 状 態 に 関 す る不 利 益 に基 づ く地 価 は 、 各 特 別 市 及 び 郡 の鑑 定 委 員 会 な影 響 を 回 避 す るた め の社 会 調 査 も含 ま れ 、調 が鑑 定 す る)、(ハ)再 査 実 施 に 際 して は 住 民 に事 業 の 制 度 を 説 明 し、 地 区 内 に存 す る土地 の所 有 権 者 は、 再 開 発 に よっ 住 民 と 意 見 の交 換 を は か る とい う意 味 で 行 政 的 て生 じた 土 地 の 価 格 上 昇 に相 当 す る負 担 金 を、 手 続 機 能 を も併 せ 有 す るの で あ る。 社 会 調 査 に 金 銭 で 市 町 村 に支 払 う とい う清 算 負担 金 の 支払 、 関 す る部 分 は 、 新 開 発 措 置 に も準 用 され て い る。 の規定 開発終 了後、再 開発指定 (二)市 町 村 が 再 開 発 措 置 実 施 の 必 要 上 取 得 し 地 区指 定 は、 再 開 発 地 区 は 、 市 町 村 の 条 例 に た土 地 は 公 有 化 せ ず 、 公 共 目的 の た め に 必 要 な よ り、 上 級 官 庁 の認 可 に よ り指 定 され 、 新 開 発 用 地 を 除 き、 再 開 発 後 は 再 び私 人 の所 有 に還 元 地 区 は 、 州 政 府 の 命 令 に よ り指 定 され る。 す る とい う市 町 村 の土 地 譲 渡 義 務 、 再 私 有 化 、 地 区 指 定 後 、 市 町 村 は直 接 の 利 害 関係 人 と討 議 を行 う こ と を義 務 づ け られ 、 討 議 事 項 は、 職 な ど で あ る。 そ して 、1987年 に、 連 邦 建 設 法 と都 市 建 設 促 業 ・事 業 ・家 族 関 係 ・年 齢 ・住 民 要 求 ・社 会 的 進 法 の両 法 お よ びそ の 他 の関 連 法 令 が 合 体 して 、 関係 ・地 域 的 事 業 ・関 係 人 の相 互 依 存 関 係 に及 「建 設 法 典 」 とな つ た が 、 前 述 した ドイ ツ の土 び 、 そ の結 果 を文 書 と して と りま と め て 、 社 会 地 ・開 発 法 制 の優 れ た特 質 は 、基 本 的 に 建 設 法 計 画 を作 成 す る もの と され て い る。 市 町 村 は 、 典 に 引 き継 が れ て い る。 つ ま り、 建 設 法 典 第1 これ に基 づ い て 、 不 利 益 な影 響 を 回避 ・緩 和 す 編 「一 般 都 市 建 設 法 」 は 、 連 邦 建 設 法 の 主 要 部 るた め に 、 住 民 移 転 ・職 業 等 に 関 し援 助 す べ き 分 で あ る同 法 第1部 義 務 を 負 う。 この社 会 計 画 は 、 行 政 に対 す る住 し、 建 設 法 典 第2編 民 参 加 の 新 しい制 度 手 法 と して 大 い に注 目 さ れ 市 再 開発 お よ び新 開 発 に 関 す る都 市 建 設 促 進 法 る。 の規 定 な らび に連 邦 建 設 法 の 一 部 の 規 定 を 継 承 また 、 実 施 の た め の法 的 手 法 と して は 、(イ) の 規 定 を継 承 「特 別 都 市 建 設 法 」 は 、 都 して い る36)。 再 開 発 指 定 地 区 内 の 土 地 の投 機 的 取 引 を 抑 制 す るた め の土 地 取 引 等 の 認 可 、(ロ)連 な い し第6部 邦建設 法 ―46一 こ の よ う に 、 ドイ ツ の 土 地 ・開 発 法 制 は 、 ① 住 民 参 加 に よ る コ ミュ ニ テ ィ ・レベ ル の 開 発 計 現 代 日本 の土 地 問題 と土 地 政 策(下) 画 の民 主 的 決 定 、 ② 都 市 計 画 の 権 限 を基 礎 的 自 の 獲 得 を 公 的 な制 度 と して 容 認 す る社 会 構 造 の 治 体 で あ る市 町 村 が握 る、 ③ 開 発利 益 の社 会 的 こ と で あ る。 還 元 が行 わ れ て い る、 とい う3点 に お い て 、 き 第 二 の 課題 につ い て は 、 第1章 で 検 討 した が、 わ め て 優 れ た もの で あ る。 そ れ に対 して 、 日本 ま ず 日本 型 地 域 開発 の 特 質 と して 、第 一 に 「巨 の 土 地 ・開発 法 制 は、 第 一 に、 絶 対 的 土 地 所 有 大 な 投 資 国 家 」 、第 二 に産 業 基 盤 整 備 へ の 偏 重 権 が 大 前 提 とな って お り、 開 発 は土 地 駈 有 者 が と 生 活 関 連 基 盤 整 備 の 軽 視 、 第 三 に地 方 自治 体 自 由 に行 う こ とが で き 、地 域 住 民 や 自治 体 は規 の 国 家 の 下請 機 関 化 、 の3点 制 す る こ と が で き な い 、第 二 に、 都 市 計 画 、 土 る 「産 業 基 盤 」 の問 題 と住 宅 問題 に つ い て検 討 地 利 用 計 画 を 決 め る権 限 は 基 礎 的 自治体 や 地 域 した 。 つ い で 、 日本 型 地 域 開発 と土 地 問 題 の か 住 民 に は な く、都 道 府 県 知 事 の 、 そ れ も機 関 委 か わ りに つ い て 検 討 し、 第 一 に た び重 な る 国土 任 事 務 と な っ て い る、 第 三 に、 開 発 利 益 の 社 会 開 発 計 画 ・地 域 開 発 計 画 の 策 定 と地 価 高 騰 との 還 元 方 策 は き わ め て 乏 し く、 土 地 所 有 者 が 開 発 密 接 な 関 係 、第 二 に 自治 体 が 媒 介 とな って 、 内 利 益 を 取 得 す るの が い わ ば 当然 視 さ れ て い る、 陸 性 の 土 地 を 土地 所 有 者 か ら企 業 へ 売 り渡 す 、 な ど の 点 で き わ め て 対 照 的 で あ る と言 え よ う。 あ る い は 臨 海 部 の 公 共 水 面 を 漁 業 補 償 に よ り漁 を 指 摘 し、 い わ ゆ 民 か ら買 い取 っ て 企 業 へ売 り渡 す シス テ ム、 第 三 に 国 家 に よ る土地 市 場 の 上 か らの創 出 の 問題 、 お わ りに の3点 本 稿 の 第 一 の課 題 は 、 従 来 の土 地 問 題 ・土 地 政 策 の議論 を、① 小 土地 所 有論 、 ②土 地 公 有 (国 有 化)論 を 指 摘 した 。 第 三 の課 題 に つ い て は 、 第3章 討 した が 、 まず 第3章 と第4章 で検 で は、 政 府 の 土 地 政 策 と 、 ③ 開発 権 ・計 画 権 の 公 共 的 独 占 土 地 税 制 の検 討 を行 った 。 つ い で 、 土 地 所 有 権 論 、 の3つ に 概 括 した 上 で 、 日本 に お け る土 地 か ら土 地 利 用 権 へ の転 換 、 都 市 計 画 ・土 地 利 用 所 有 の 独 自性 を あ らわ す キ ー概 念 と して 、絶 対 計 画 の重 視 、 開 発 利 益 の 社 会 的 還 元 の 実 現 な ど 的 土 地 所 有 権 を前 提 とす る 「日本型 土 地 シス テ を 中 心 と す る土 地 政 策 の5つ ム」 を提 起 す る こ とで あ っ た。 第 二 の 課 題 は 、 最 近 問 題 とな って い る土 地 税 制 に つ い て も若 干 開 発 権 ・計 画 権 を地 域 住 民 と 自治 体 が 掌 握 し、 の コ メ ソ トを した 。 第4章 開 発 を コ ソ トロー ルす る シ ス テ ム が で き な か っ い て地 方 自治 が 本 来 果 た す べ き役 割 を考 え るた た 過 程 を 、 日本 型 地 域 開 発 め 特 質 と土 地 問 題 と め、 自治 体 の 公 共 用 地 の取 得 、 土 地 利 用 、 土 地 の か か わ りを 検 討 す る こ と に よ り明 らか に し よ 税 制 な ど に つ い て 検 討 した 。 そ して 、 土 地 政 策 の原 則 を提 起 し、 で は、土地政策 にお うとす る こ とで あ っ た。 第 三 の 課 題 は 、 土 地 政 に お け る地 方 自治 の役 割 の モ デ ル 的 な 事 例 と し 策 の あ り方 に つ い て、 地 方 自治 の視 角 か ら検 討 て 、 ドイ ツ の 土地 政 策 を検 討 した 。 して み る こ とで あ っ た 。 第 一 の課 題 に つ い て は、 第2章 で 検 討 したが 、 まず 「日本 型 土 地 シス テ ム」 成 立 の前 提 と して 、 強 大 な絶 対 的 土 地 所 有 権 、 実 効 あ る都 市 計 画 ・ 土 地 利 用 計 画 の 欠 如 の2つ の問 題 を検 討 した 上 1)こ れ らの 答 申に つ い て は 、 土 地 問題 研 究会 ・(財) 日本 不 動産 研 究所 編 『土 地 問題 事 典』、東 洋経 済 新 報 社 、1989年 、 参 照。 2)1966(S41)年 の物 価 問題 懇 談 会 「地価 問 題 に つ い で 、 キ ー概 念 で あ る 「日本 型 土 地 シ ス テ ム」 を て」 に注 目す べ きとす るの は 、都 留 重 人氏 で ある。 こ 提 起 した。 「日本 型 土 地 シ ス テ ム」 とは 、 絶 対 の報 告 で は、 まず 「地 価 高騰 の実 態 」 と 「地 価 高騰 が 的 土 地 所 有 権 を前 提 と して 、 土 地 価 格 を支 え る ひ きお こ して い る諸 矛 盾」 に つ いて か な り詳 し く述 べ 財 政 ・金 融 面 で の 国 家 的 支 援 を背 景 とす る企 業 た後 、 「地 価 問題 に つ い て の基 本 的 な考 え方 」 に触 れ と金融 資 本 の土 地 所 有 、 土 地 投 機 の問 題 で あ り、 て、 と くに 「土地 の公 共 性」 を謳 い、 そ の上 にた って 、 地 価 上 昇 、 土地 投 機 に よ るキ ャ ピ タル ・ゲ イ ソ ① 土地 行 政 の 一 元化 と土地 利 用 計 画 の確 立 、② 都 市 地 一47― 財政学研究 第18号 域 に おけ る土地 の公 的保 有 の推進 、③ 開 発利 益 の吸 収 な れた 評 価 が行 われ が ち で あ り、特 定 地 点 の 高値 取 引 還 元 と地価 の公 示 制 、④ 宅 地 の 大量 供 給 、 ⑤土 地 流 通 が他 地 点 の取 引 に直接 波 及 しや す い 、 とい う問題 点 が 機 構 の改 革 整 備 、 を あ げ て い る。 都 留 重 人 氏 は 「『物 あ り、 これ らが今 回 の地 価 高 騰 を追認 、拡 大 した重 要 懇 』 報 告 につ い て言 え ぱ 、 その 一 部分 が いわ ば 『つ ま な 要 因で あ る。 み喰 い』 され た程 度 で 、政 府 の 側 で本 格 的 な取 り組 み が な か っ た か ら、 地 価 高 騰 の 第 二 の 山 ・第 三 の 山 が 続 い て 日 本 社 会 を 襲 う こ と に な り」(都 留 重 人 『地 価 を 13)都 留 、 前 掲 書 、153∼154ぺ ― ジ。 また 、政 府 税 制 調 査 会 ・土 地 税 制 小委 員 会 委 員長 石 弘 光 氏 『 土地税制改 田克 己 「現 行 法 の パ ラ ダイ ム と土 地 基 本 法 」、本 14)「 特 に問 題 な の は、1平 方 メー トル3万 円 以下 の 土 、97∼104ペ ー ジ)と 革 』東 洋 経 済 新 報社 、1991年 も参照 。 て い る。 間 義 人 ・五 十 嵐 敬 喜 ・原 田 純 孝 編 日本 経 済 評 論 社 、1990年 4)同 上 書 、52∼63ペ 5)大 谷幸夫編 『土 地 基 本 法 を 読 む 』、 、 所 収 、46∼47ペ 地 を非 課 税 にす ると した こ とで あ っ て、 東 京 、大 阪 圏 以 外 の宅 地 の 平 均地 価 は路 線 価 評価 で約2万7千 ー ジ。 円だ か ら、 『3万 円 』 を限 界 値 とす る と い うこ と は、 地 価 ー ジ。 『都 市 に と っ て ‡ 地 と は 何 か 』、 ち く ま ラ イ ブ ラ リー18、 筑 摩 書 房 、1988年 6)「 編 、前 掲 書 、所 収 。 述 べ 考 え る 』、 岩 波 新 書 、1990年 3)吉 12)渡 辺 俊 一 「 韓 国 の 土 地政 策 と土地 公 概 念 」、 本 間 他 、172∼174ペ ー ジ。 大 都 市 圏 に お け る住 宅 地 価 格 の 上 昇 の 原 因 の す べ て を少 数 の投 機 家 の責 に帰 す こ とは誤 りで あ っ た。 … …(中 略)… … も し、将 来 の 地価 上 昇 を期待 して現 在 の 土地 利 用 を変 更 せ ず に保 有 し続 け る こ とを投 機 と呼 ぶ とす る な ら企 業 ばか りで な く農 家 もそ して争 って 宅 地 を 買 お うと したす べ て の宅 地 所 有者 も投 機 に走 って が平 均 以下 の土 地 は 、 いか に大 規模 で も課 税 を免 れ る とい うこと を意 味 す る。 地 方 に大規 模 な工 場 用地 な ど を保 有 す る企 業 に と って は、 きわ め て有 利 な措置 で あ り、 明 らかに大 企業優 遇 策 とみ な され るゆえ んで あ る。」 (都留 重 人 「地 価 対 策再 論 」、 『世 界』1991年4月 15)都 留 、 前 掲 書 、88∼92ペ 4∼318ペ 号) ー ジ 。 都 留 、 前 掲 論 文 、31 ー ジ。 16)凍 結 効 果 と は、 キ ャ ピ タル ・ゲ イ ソ課 税 が 高率 で あ いた の で あ る。」(華 山 謙 「戦 後 の 土地 政 策 」、『ジュ リ ると、 土 地 の所 有 者 に よる土 地 売却 が抑 制 され 、 い わ ス ト増 刊 総 合 特 集 ば 「凍 結 」 され た状 態 に な る とい う考 え方 で あ る。 転 換 期 の 土地 問 題 』No.34、1984 年 、106ペ ー ジ) 7)宋 隻 鍾 「韓国 の土地 政策 、土地 税 制」 、宮 本憲一 ・ 植 田和 弘 編 『東 ア ジ アの 土地 問 題 と土 地 税 制』 、動 草 書 房 、1990年 、所 収 、 は 、韓 国 の 土地 税 制 に つ いて も 9)内 谷 編 、 前 掲 書 、215∼236ペ 田脩 作 ー ジ。 号 ∼1981年2月 『台 湾 の 土 地 政 策 』、 青 木 書 店 、1992年 18)都 留重人 『物 価 を 考 え る 』、 岩 波 新 書 、1967年 。 、182 ペ ー ジ。 19)『NHKス 20)田 「英 国 土 地 政 策 と 土 地 開 発 利 益 の 課 題 」、 『土地 住 宅 問題 』1980年4月 瀬光義 ペ シ ャル 緊 急 ・土 地 改 革 地価は下げ られ る』、 日本放 送 出版 協 会 、1990年 わ が 国 と 同 じ問題 が指 摘 で き る と述 べ て い る。 8)大 17)川 号。 村 明監 修 、(財)日 本 都 市 セ ソ ター編 著 『自治体 の 土 地 政 策 』、 ぎ ょ うせ い 、1983年 。 田村 明 「自 治 体 土 地 政 策 の 理 念 と 手 法 」、 『都 市 問 題 』 第76巻 第10号 10)石 田頼 房 「開発 利 益 の還 元 の 歴 史 と政 策」 、石 田頼 房 編 『大都 市 の土 地 問 題 と政 策 』、 日本 評 論社 、1990 年 、所 収 。 、 1985年 。 21)椎 名重 明編 著 『土 地 公 有 の史 的 研 究』、 御 茶 の 水 書 房 、1978年 。 11)日 本 の地 価公 示 制 度 に は、 ① 限 られ た地 点 の土 地 の 価 格 を評 価 した ものに す ぎな いが 、地 域 の平均 上昇 率 22)早 川和 男 ・山崎寿 一 「自治 体 の環境 計 画 と土地 政策 」、 前掲 『都 市 問題 』 とい う形 の集計 ・発 表 が行 われ るた め、 地 価 上昇 局 面 23)野 村 総 合 研 究所 、 前 掲書 。 で は 、一 定 の 地域 の地 価 が面 的 に上昇 してい る と一 般 24)同 上 書 。 に 受 け取 られ が ち で あ る、② 取 引 事例 比 較 法 に よる評 25)区 分 区域 制 度 とは、 都 市 的土 地 利 用 を行 う地 域 で あ 価 が一 般 的 に な っ て い るた め、 周 辺 で高 度 な利 用 が行 る都 市 地域(都 市 計 画 区域)を わ れて い る場合 に は、 そ の土 地 の もつ収 益 性 とか け は に市 街 地 を形 成 して い る区域 お よ びお お む ね10年 以 内 一48一 「市街 化 区 域 」(す で 現 代 日本 の土 地 問題 と土 地 政策(下) に優 先 的 かつ 計 画 的 に市 街 化 を 図 るべ き区域)と 「市 街 化 調 整 区域 」(市 街 化 を抑 制 す べ き区域)の2つ に あ り、 そ の財 産 所 有 に よ って 現 に 年 々生 み 出 され る収 分 け る制 度 で 、 地 図上 で1本 の線 で2つ に 区分 す るの 益 に着 目 して課 税 され る収 益 的 財産 税 に ほか な らない で 「線 引 き」 と言 われ る。 か らで あ る。」(重 森 暁 「地 方 税 制 改 革 と地 域 政 策 」、 27)開 発許 可 制 度 とは、1964(S39)年 の宅 地 造 成 事業 法 をひ きつい で 民間 開 発 行為 の整 備 水 準 を規 制 す る こ と、 お よび区域 区分 と関 連 づ けて そ れ ぞれ の区 域 で許 可 す る開発 の 規模 ・目的 ・性 格 を規定 す る こ と、 を通 じて市 街 化 を コ ソ トロー ルす る こ とを意 図 した 制度 で 32)「 なぜ な ら、 固 定 資産 税 は年 々 課税 され る経 営 税 で 池 上 他編 、 前 掲 書 、186ペ ー ジ。 33)中 島 晃 『住 民 運 動 勝 利 の時 代』 、か もが わ 出版 、 1990年 。 34)成 田 頼 明 「西 ドイ ツ都 市 建 設 促 進 法 の 概 要 と問 題 点 」、 『ジ ュ リス ト』 第508号 、1972年 。 成 田 頼 明 「西 ドイ あ る。 イ ギ リス の 開発 許 可 制 に な らって 創 設 され た、 ツ都 市 建 設 促 進法 と若 干 の 憲 法 問題 」 、杉 村 章 三 郎先 「計 画 な き と ころ開 発 な し」 とい う原 則 が うか が え る 生 古希 記 念 『公法 学 研 究 』 、1974年 、後 に 同 『土地 政 画 期 的 な制 度 で は あ る。 策 と法 』、 弘 文 堂 、1989年 、所 収。 稲 本洋 之助 ・戒 能 28)用 途 地域 制 とは 、 市 街 地 を ブ ロ ッ ク化 して8種 類 通厚 。田山 輝 明 ・原 田純 孝編 著 『ヨー ロ ッパ の 土地 法 (1種 住 専 、2種 住 専 、住 居 、 近隣 商 業 、 商 業 、準 工 制』、東 京 大学 出 版 会 、1983年 。藤 田宙 靖 『西 ドイ ツ 業 、工 業 、工業 専 用)に 色分 けす る もので 、「線 引 き」 の土 地 法 と 日本 の土 地法 』、 創 文社 、1988年 。 野 村 総 に対 して 「色塗 り」 と言 われ る。 この よ うに都 市 の市 合研 究所 、前掲 書 。 田山輝 明 『ドイツの土 地住 宅法 制』、 街地 をそ の利 用 目的(用 途)に 成文 堂 、1991年 。 よって 区 分 し、 それ ぞ れ の地 域 ・地 区(ゾ ー ソ)で 異 な っ た建 築 、土 地 利 用 35)再 開 発措 置 とは 、 「 都 市建 設 上 の欠 陥 を 除去 す る た 規制 を行 う制 度 を 「地 域 地 区 制 度 」(ゾ ー ニ ソ グ)と め、 一 定 の 地域 を と くに建 築 物 の除 去 お よ び新建 築 ま 言 う。 た は建 築 物 の近 代 化 に よ り根 底 的 に改 良 ・改 善 す る措 29)容 積 率 とは、 建 築 の述 べ床 面積(地 階 を含 む全 て の 置」 を い い 、新 開 発 措 置 と は、 「国土 整 備 ま た は州 計 階 の床 面 積 の和)を 敷 地 面 積 で割 った 値 の こと で、 こ 画 の 目標 に従 って 、 ニ ュー ・タ ウ ソを建 設 し、既 存 の の容 積 率 の上 限 が 用途 地 域 ご とに定 め られ る。 指 定 さ 集落 を新 しい コ ミュニ テ ィ単 位 に 開発 し、 既 存 の集 落 れ た容 積率 は、 そ の敷 地 に建 て るこ との で きる建 物 の を ニ ュー ・タ ウソの 周 辺 に拡 張 す る措 置 」 をい う。 大 き さの上 限 を決定 す る ので、 そ の敷 地 の開 発 可能 性 、 ひ いて は 収益 性 を決定 す る重 要 な因 子 とな る。 30)石 中 の 日本 本 プ ロ ジ ェ ク ト取 材 班 ・磯 村 尚 徳 山 輝 明 ・鈴 木 直 哉 「新 『建 設 法 典Baugesetzbuch』 に つ い て 、 『土 地 住 宅 問 題 』150号 田、前 掲 書 。 大 谷編 、 前掲 書 。 31)NHK日 36)田 土地法制研究会編 『世 界 の 土 地 は だ れ の もの か』、 日本放 送 出版 協 会 、 1987年 。 動産研 究』 『第29巻 。 西 ドイ ツ 「西 ド イ ツ 建 設 法 典(仮 訳)」 、 『不 第1号 ∼ 、1987年 ∼ 。 田山 輝 明 「ドイ ツ建 設 法 典 の制 定 過 程 と都 市 再 開 発 」、 田 山、 前 掲 書 、所 収 。 ―49― 、1987年