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バルブ製品アセスメントガイドライン -バルブの環境配慮設計

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バルブ製品アセスメントガイドライン -バルブの環境配慮設計
バルブのイメージキャラクター
ばるちゃん
バルブ製品アセスメントガイドライン
―バルブの環境配慮設計―
第3版
一般社団法人日本バルブ工業会
技術委員会環境ワーキンググループ
目 次
頁
まえがき ····························································································································· 1
第 3 版発行に当たって ··········································································································· 2
1
本ガイドラインの目的······································································································· 4
2
用語の定義······················································································································ 4
3
「自己評価」によるアセスメント························································································ 5
4
アセスメントの概要·········································································································· 6
4.1
評価の種類 ··················································································································· 6
4.2
しくみ評価 ··················································································································· 7
4.3
製品評価 ······················································································································ 7
4.3.1
評価対象製品 ·············································································································· 7
4.3.2
比較対象製品 ·············································································································· 7
4.3.3
新規設計目標値 ··········································································································· 7
4.4
バルブの分類 ················································································································ 8
4.5
評価項目 ······················································································································ 8
5
アセスメントの実施体制と手順·························································································· 16
5.1
しくみ評価の実施体制と手順 ·························································································· 16
5.2
製品評価の実施体制 ······································································································ 16
5.3
製品評価の実施手順 ······································································································ 17
6
評価項目の解説··············································································································· 19
6.1
省エネルギー ··············································································································· 19
6.2
リデュース ·················································································································· 20
6.3
リユース ····················································································································· 24
6.4
リサイクル ·················································································································· 25
6.5
環境・安全 ·················································································································· 27
6.6
情報提供 ····················································································································· 30
6.7
管理 ··························································································································· 32
7
評価点の付け方と配点区分································································································ 35
8
チェックシートの使い方··································································································· 36
9
関連法令 ······················································································································· 39
10
今後の方針(評価項目の改訂等) ····················································································· 41
資料
レアメタル一覧 ·········································································································· 42
参考文献 ···························································································································· 43
まえがき
一般社団法人日本バルブ工業会(以下、工業会という)では、下記二つの背景を考え、バルブ製品アセ
スメントガイドラインの策定に取り組んだ。
a) 工業会では、平成 18 年度に『バルブ産業ビジョン 2007 ―日本ブランドの恒久的な地位確立を目指
して―』を策定した。このビジョンの中では、次のような、将来あるべき姿を想定した。
バルブ業界として、環境に配慮した経営方針基準が明確になっている。
工業会として産業廃棄物の減量化を始めとした環境関連自主目標が策定され、実行
されている。
またバルブ産業における有害物質管理データベースの共有化・運用を行い、環境配
慮設計基準に基づくものづくり(含有有害物質規制、リサイクルルート構築、LCA 管
理など)を行っている。
そのためにはバルブ産業共通のリサイクルセンター等の運用もなされているほか、
部品共通化基準の策定から、共同購入や輸送等環境負荷の低い産業となっている。
これらのあるべき姿を実現するためには、製品の全ライフサイクルにわたって環境に配慮した製品設
計が求められる。
b) 安全・環境に配慮したバルブ産業の発展のため、この領域に他業界の後塵を拝さず、率先し取り組
むことで社会的責任を果たすことが重要になっている。
バルブ製品はあらゆる主要産業の中でシステム要素として使われている。例えば給水栓を通る飲料水は
人体に直結しているし、工業用弁は、プラント操業の最終操作端として高い信頼性が要求されるなど、そ
の役割、社会に与える影響は大きい。
すでに大手企業を中心に、独自の環境基準に沿って活動している企業も存在するものの、工業会全体で
さらに環境配慮に取り組む必要があるという認識のもと、バルブの環境配慮設計に対する基本的な考え方
に統一性を持たせるため、このガイドラインを制定した。
このガイドラインでは、環境配慮設計実施時に留意すべき「評価項目」を定め、その各項目についての
解説や参考となる情報も記載している。会員企業各社が積極的にこのガイドラインを活用され、環境配慮
設計に取り組まれることを期待している。
一般社団法人日本バルブ工業会
技術委員会環境ワーキンググループ
主査
1
浅井
修(株式会社キッツ)
第 3 版発行に当たって
平成 25 年の第 2 版発行後、工業会では会員企業 16 社の協力を得て、本ガイドラインに沿ったアセスメ
ントトライアルを実施した。企業規模、製造するバルブの種類や用途、これらが様々に異なる会員企業か
らの意見や要望を分析した結果、多くの見直すべき点が浮かび上がり、このたび本ガイドラインを改訂す
ることとした。
この第 3 版では、主に以下に示す修正を加えている。
a) 本ガイドラインの位置づけ
第 2 版までは、会員企業の自社アセスメントマニュアル作成に資する参考資料として本ガイドラインを
位置づけていた。第 3 版は、このガイドラインがそのまま自社アセスメントマニュアルとして活用される
ことを念頭に置き、制作した。
b) アセスメントの目的
アセスメントの主要目的は、会員企業が環境配慮への自社の取り組み姿勢を自己評価して継続的な改善
に取り組むことであり、他社との比較が目的ではないことを明記した。
c) 相対評価であることの明記
上記に関連し、製品評価はあくまでも自社製品と自社従来製品の比較による相対評価であるため、工業
会としての評価基準値は設けていないことを明記した。
d) 「環境配慮設計」への呼び換え
本ガイドラインで従来用いていた「環境適合設計」という用語が、絶対評価基準をクリアすることを目
標にするイメージが強いという意見が多かったため、
「環境配慮設計」という用語を使用することとした。
ただし、
「環境配慮設計」の意味するところは、ISO/TR14062 の対応 JIS の標題に用いられている「環境適
合設計」
と同義である
(ISO/TR14062: 2002 の原標題は、
“Environmental management―Integrating environmental
aspects into product design and development”。対応する JIS TRQ0007: 2008「環境適合設計」は、本ガイドラ
イン発行時点では更新されていない)
。
また、
「環境適合設計」は、“Design for Environment” から頭文字をとった “DfE” という略号で表記され
ることが多いため、本ガイドラインでも「環境配慮設計」を DfE と略している箇所がある。
e) 「しくみ評価」と「製品評価」
評価項目を下記のとおり、企業の環境への取組みに対する評価と、製品個別の環境側面に対する評価の
二つに分けた。
1)しくみ評価
企業として環境配慮設計にどの程度組織的に取り組めているか、その管理面のレベルを評価する。主
に定性的評価。
2)製品評価
新規開発する製品と自社従来製品又は新規設計目標値を比較し、その改善度合いを評価する。主に定
量的評価。
f) 評価支援ツールの制作
評価者が自分の PC で評価データとその評価結果を管理できるよう、Web 上でデータの入力と保存がで
きる評価支援ツールを制作した。このツールは、自社の強みと弱みをレーダーチャートで確認できる機能
2
を持ち、本ガイドラインに沿った環境配慮設計の評価を容易にする。
評価支援ツールには、
「しくみ評価チェックシート」と製品分類ごとの「製品評価チェックシート」があ
り、それぞれ工業会ウェブサイトの専用ページ(平成 28 年 11 月末までに開設予定)にログインして使用
する。また、チェックシートは CSV 形式のファイルでダウンロードもできるので、Excel でのデータ入力
もできる(但し、Excel 上での計算式の設定やグラフ作成は自分で行う)。
g) 評価項目の大幅な改定
評価項目の内容は、会員企業によるアセスメントトライアル(平成 25∼26 年に二度に渡って実施。計
16 社が参加)の結果と、環境ワーキンググループでの検討結果を反映し、大幅に改訂した。
h) バルブ製品の分類
第 2 版では、バルブの種類、材料、操作方法、用途、機能、構造の区分を詳細に提示し、評価者がこれ
らを踏まえて、全評価項目の中から必要とする項目を抽出する方法を取っていた。また、区分内の要素や
評価項目は評価者が随意に追加できるものとしていた。
第 3 版では、工業会でバルブ製品を 18 種類に分類するとともに、f)に述べた「製品評価チェックシー
ト」もそれぞれに用意した。このチェックシートでは、弁種ごとにあらかじめ評価項目を定めているので、
評価者が新しい項目を追加したり、必須項目を削除したりすることはできない。
i) 評価項目「製品製造時の水資源消費削減」の追加
廃棄物削減に係る評価項目として「製品製造時の水資源消費削減」を追加した。
j) 評価項目の大分類「廃棄処理」の削除
廃棄物削減に係る評価項目と内容が重複するため、削除した。
k) その他(語句の統一・修正)
上記 d)の他にも、第 2 版において散見された語句の不統一や適切でない用い方などは、できる限り改
めた。
3
1. 本ガイドラインの目的
本ガイドラインは、工業会が推進するバルブの環境配慮設計についての基本的な考え方を示すことを目
的としている。
主に、次の a)∼c)に関する製品横断的な指針を提示し、また、バルブの環境配慮設計において留意す
べき点として「評価項目」を定めている(評価項目に関する詳細は 4 項以降参照)。
a) 循環型社会を形成するために必要な取り組みである、リデュース(廃棄物の発生の抑制)、リユース
(資源の再利用)
、リサイクル(再生資源の利用)への対応
b) 地球温暖化対策を含め、消費エネルギーの削減化への対応
c) 環境負荷物質、有害化学物質の適切な管理
会員企業は、本ガイドラインに沿って自社バルブ製品の環境側面のアセスメントを行い、その改善度を
高めることを最終目標とする。
(解説)
我が国においては、資源の有効利用や廃棄物問題への対応の観点から、リデュース、リユース、リサイ
クルの 3R 対応強化が求められている。これら法令上の要請に加え、地球温暖化対策やエネルギー消費の
削減への対応、及び、RoHS 指令 1)、REACH 規則
2)
に代表される EU(欧州連合)の化学物質規制など環
境・安全に配慮した商品開発の観点から、リサイクル法の指定製品だけでなく、広く一般の製品について
も、設計の段階から環境側面の評価を実施することが必須になると考えられる。
本ガイドラインは、会員企業がアセスメントを実施する際のマニュアルとして用いられることを想定し
て制作した。会員企業が独自の規定等を盛り込んだ自社アセスメントマニュアルを新たに制作する場合も、
本ガイドラインをそのベースとすることが望ましい。
2. 用語の定義
本ガイドラインに使用する用語の定義 3) は次による。
a) 「製品」とは、製品本体及びこれに付属する取扱説明書、包装材、アクセサリー等をいう。
b) 「アセスメント」とは、製品の使用時における省エネルギー化、廃棄物の減量化、使用済製品の再資
源化及び製品の全ライフサイクルにおける環境負荷の低減などの促進に資するため、当該製品の製造
事業者が製品設計時に実施する評価をいう。
1)
2)
3)
RoHS 指令: 電気・電子機器における特定有害物質の使用制限についての EU による指令。RoHS は Restriction of
Hazardous Substances の略。
REACH 規則: 人の健康や環境の保護のため、登録されている化学物質以外の使用、輸入を制限するための EU に
よる規則。REACH は Registration, Evaluation, Authorization and Restriction of Chemicals の略。
用語の定義: ここでは、資源の有効な利用の促進に関する法律に定める定義及び産業構造審議会作成の「事前評価
マニュアル作成のガイドライン」
(1994 年 7 月)に規定される用語の定義を参考にしたほか、本ガイドライン独自
の用語の定義も付け加えた。
4
c) アセスメントにおいて実施される「評価」とは、製品の環境側面の状態、程度等の事実関係を調査、
実験、分析等によって把握することをいう。適否を判断する意は含まない。
d) 「しくみ」とは、環境配慮設計を行うために企業が備えておくべき管理体制をいう。
e) 「指定省資源化製品 4)」とは、資源の有効な利用の促進に関する法律(3R 法)
、法第 2 条第 9 項に定
める「指定省資源化製品」をいう。
f) 「指定再利用促進製品 5)」とは、資源の有効な利用の促進に関する法律(3R 法)
、法第 2 条第 10 項に
定める「指定再利用促進製品」をいう。
g) 「処理」とは、分別、保管、回収、運搬、再生、処分等をいう。
h) 「リデュース」とは、省資源化や長寿命化といった取り組みを通じて製品の製造、流通、使用などに
係る資源利用効率を高め、廃棄物とならざるを得ない形での資源の利用を極力少なくすることをいう。
i) 「リユース」とは、いったん使用された製品を回収し、必要に応じ適切な処置を施しつつ製品として
再使用をすること、または、保守などで再使用可能な部品を利用することをいう。
j) 「リサイクル」とは、使用済物品等や製品の製造に伴い発生した副産物を回収し、有用なものの全部
または一部を、再生資源または再生部品として利用できる状態にすることをいう。
3. 「自己評価」によるアセスメント
本ガイドラインで言うアセスメントは、会員企業が自社の環境への取組みや製品の環境側面の改善度を
自己評価する方式をとっている。自社努力をどれだけ継続できているかを評価し、今後のさらなる継続的
改善に繋げることを第一の目的としているため、評価結果に対する工業会の合否基準のようなものは設け
ていない。
本ガイドラインに従いアセスメントを実施する際には、他社又は他社製品との比較が目的ではないこと、
また、そうした比較に意味がないことは、あらかじめ理解しておかなければならない。例えば、すでに環
境配慮設計その他環境への取り組みを進めている企業であれば、改善の余地は相対的に少なくなり、評価
結果が示す改善度も低くなることが見込まれる。目を見張るような改善度を示すことは、必ずしも環境面
で優れていることを意味しない。
工業会では、会員企業各社が評価結果すなわち自社努力の結果を、積極的にユーザーに知らせることを
促すが、その際、それが他社又は他社製品との優劣を示すかのような誤解を与えてはならず、あくまでも
自社内相対評価による結果であることを説明しなければならない。また、会員企業自身も、他社が開示す
る評価結果を見て一喜一憂する必要がないことは、上に述べたとおりである。
しかし、会員企業各社がそれぞれに全く異なる視点や方法で行った評価の結果が乱立するのは好ましい
ことではないため、本ガイドラインでは、JIS Q 14021(ISO 14021)
「環境ラベル宣言―自己宣言による環
境主張(タイプ II 環境ラベル表示)
」や環境省の『環境表示ガイドライン』にできるだけ沿いながら、バ
4)
5)
「指定省資源化製品」とは、製品であって、それに係る原材料等の使用の合理化、その長期間の使用の促進その他
の当該製品に係る使用済物品等の発生の抑制を促進することが当該製品に係る原材料等に係る資源の有効な利用を
図る上で特に必要なものとして政令で定めるものをいう。政令第 3 条別表第 3 に定める、エアコン、給湯機など。
「指定再利用促進製品」とは、それが一度使用され、又は使用されずに収集され、若しくは廃棄された後その全部
又は一部を再生資源又は再生部品として利用することを促進することが当該再生資源又は再生部品の有効な利用を
図る上で特に必要なものとして政令で定める製品をいう。政令第 4 条別表第 4 に定める、浴室ユニット、システム
キッチンなど。
5
ルブ製品のアセスメント手法を示している。会員企業は本ガイドラインに従うことで、自己評価といえど
も、一定の指針に基づいた評価を行うことができる。
以上を踏まえ、アセスメントの概要や実施体制・手順などを、4 項以降に示す。
(解説)
ISO 及び JIS が規定する環境ラベルには、タイプ I からタイプ III までの 3 種類がある。それぞれの内容
を表 1 に示す。
表1
ラベル区分
基本
と規格番号
タイプ I
ISO 14024
ISO/JIS が規定する 3 種類の環境ラベル
内容
運用例
第三者認証による
a)基準に対し第三者機関が合格/不合格の判定をする。
エコマーク(一
基準合格の証明
b)原則1国1制度で製品分類と判定基準は運営機関が決める。
般財団法人日本
c)合格するとラベルを表示できる。
環境協会が運
d)ラベル表示品は環境配慮製品と判断できるので購入者に
営)
JIS Q 14024
はわかりやすい。
タイプII
事業者の自主基準
a)「省エネルギー」など主要12項目について、その定義や
ISO 14021
に基づく自己宣言
検証方法について規定されているが、事業者の自主基準に
による環境主張
より製品の環境改善を市場に対して独自に主張するもの。
JIS Q 14021
各事業者
b)第三者による判断は入らない。
c)製品だけでなく事業者が行う広告宣伝にも適用される。
タイプ III
第三者評価による
ISO 14025
定量的製品環境負
JIS Q 14025
荷データの開示
a)製品のLCA(ライフサイクルアセスメント)(注)を考
慮した定量的な環境データを表示。
b)合格/不合格の判定はしないが第三者機関が提供情報を
認証。
エコリーフ(一
般社団法人産業
環境管理協会が
運営)
c)提供情報の評価は購入者に委ねられる。
注
企業が製品を製造する過程だけではなく、製品に使用する原料の採掘段階から、製品に使用される部品や材料の製
造・精製される過程、製品が出荷され消費者に届けられる過程、消費者が使用し、修理・メンテナンスを受ける過程、
製品が消費者の手を離れて廃棄やリサイクルされるまでの、すべての過程における環境への影響評価のこと。
ISO 14021/JIS Q 14021 の規定に従えば、一事業者が単独でアセスメントを行い、独自のラベルを表示
することもできるが、環境省の『環境表示ガイドライン』では、複数の事業者により構成される団体(工
業会もこれに該当する)において自主基準を設ける必要性があることなどが述べられている。
表 1 に示した各規格の標題は、14000 ファミリーの他の規格と合わせ、表 4(p.33)に掲載している。
4. アセスメントの概要
4.1
評価の種類
本ガイドラインでは「しくみ評価」と「製品評価」の 2 種類の評価を設けている。
6
4.2
しくみ評価
企業として環境配慮設計にどの程度組織的に取り組めているか、その管理面のレベルを評価する。主に
定性的評価。少なくとも年に 1 回以上実施することが望ましい。
4.3
製品評価
新規開発する製品(評価対象製品)と、自社従来製品(比較対象製品)又は新規設計目標値を評価項目
ごとに比較し、その改善度合いを評価する。主に定量的評価。
4.3.1 評価対象製品
原則として、新たに開発・設計・製造するバルブ製品を評価の対象とする。
ただし、すでに製造を開始している製品であっても、評価に必要なデータを用意できるのであれば、こ
れを評価対象としてもよい。比較対象製品との環境側面の差を把握することは今後の目標設定にも役立ち、
意味があるものと工業会は考える。
なお、自社従来製品と比較を行う場合の評価対象製品は、自社従来製品と同等ランク(自社製品群にお
ける位置づけ等)であることを条件とする。新たな機能を付加(例えば、流量計や圧力計を組み込む、な
ど)して設計等を行う場合は、新規設計目標値との比較を行う。
4.3.2 比較対象製品
評価対象製品より前に開発・設計・製造され、比較に必要なデータを用意できる自社従来製品とする。
ただし、評価対象製品と同等ランクの製品であることを条件とする。
評価対象製品とできるだけ近い時期に開発・設計・製造された製品を比較対象とするのが望ましい。
4.3.3 新規設計目標値
自社での開発実績がない製品を新たに開発する場合、又は、実績があっても比較に必要なデータが残っ
ていない等の理由で比較対象製品が存在しない場合は、評価項目ごとの具体的な目標値を事前に設け、そ
の目標値との比較によって、評価を行う。
(注意)
a) どの会員企業も新製品を開発する際には、製品性能の様々な側面について事前に目標値を設定してい
るはずである。環境配慮設計を行う場合には、ここに環境側面での目標値設定が加わることとなる。従
って、比較対象となる従来製品の有無にかかわらず、目標値を立てることには変わりはない。
「自社従来製品との比較」を厳密に言えば、環境側面において自社従来製品から改善できているかど
うかという比較と、従来実績に基づいて設定した目標値に到達できるかどうかという比較を同時に行う
ことである。本ガイドラインでは、従来製品がない場合の「新規設計目標値」との混同を避けるため、
「自社従来製品との比較」という言い方をするが、立てた目標に向けて努力するのはいずれの場合も同
じであることを理解して、アセスメントを実施していただきたい。
b) 3 項に述べたとおり、本ガイドラインで言うアセスメントの目的は、自社の環境配慮への取り組み姿
勢を自己評価し、継続的改善に取り組むことである。従って、しくみ評価、製品評価ともに、評価結果
に対する工業会としての評価基準値や合格ラインのようなものは設けていない。
7
(解説)
特に下記、資源の有効な利用の促進に関する法律施行令(資源の有効な利用の促進に関する法律)で、
指定省資源化製品及び指定再利用促進製品については、その設計時において評価を行うことが義務づけら
れているので留意を要する。
a) 指定省資源化製品:政令第 3 条
別表 3
1) 別表第 3-3
ユニット型エアコンディショナ(パッケージ用のものを除く)
2) 別表第 3-16
ガスコンロ(グリル付き)
3) 別表第 3-17
ガス瞬間湯沸かし器(先止め式)
4) 別表第 3-18
ガスバーナー付きふろがま(給湯部を有するもの)
5) 別表第 3-19
給湯機(石油を燃料とするもの)
b) 指定再利用促進製品:政令第 4 条
1) 別表第 4-1
別表 4
浴室ユニット(浴槽、給水栓、照明器具その他入浴のために必要な器具または設備が
一体として製造される製品)
2) 別表第 4-30
電気洗濯機
3) 別表第 4-42
システムキッチン(台所流し、調理用の台、食器棚その他調理のために必要な器具ま
たは設備が一体として製造される製品)
4) 別表第 4-45
ガス瞬間湯沸かし器
5) 別表第 4-46
ガスバーナー付きふろがま
6) 別表第 4-47
給湯機
c) 指定表示製品:政令第 5 条
1) 別表第 5-1
別表 5
塩化ビニル製建設資材(硬質塩化ビニル製の管、雨どい及び窓枠並びに塩化ビニル製
の床材及び壁紙をいう、以下この項において同じ)
2) 別表第 5-6
特定容器包装(商品の容器及び包装であって、当該商品が消費され、または当該商品
と分離された場合に不要になるものをいう)
4.4
バルブの分類
本ガイドラインではバルブを次の 18 種類に分類し、それぞれに製品評価項目を設けた。工業会ウェブサ
イトの専用ページにあるチェックシートでは、データ入力開始前に製品の種別を選択するので、その製品
の評価に不要な項目は表示されないようになっている。
a) 手動弁
g) 安全弁
m) 給水栓(バス用・電気式)
b) 調節弁(電気式)
h) スチームトラップ類
n) 給水栓(洗面用・手動式)
c) 調節弁(空気式)
i) ブリーザバルブ
o) 給水栓(洗面用・電気式)
d) 調節弁(油圧式)
j) 給水栓(キッチン用・手動式)
p) 給水栓(その他・手動式)
e) 自力式調整弁
k) 給水栓(キッチン用・電気式)
q) 止水栓
f) 電磁弁
l) 給水栓(バス用・手動式)
r) 分水栓
4.5
評価項目
「しくみ評価」
「製品評価」ともに、大・中・小の分類に分けられたテーマごとに、評価項目が設けられ
。
ている(それぞれ全項目一覧は表 2、表 3 参照)
8
評価項目には、必須項目のほかに選択項目があるので、どの項目を選択するかについては、アセスメン
トに取り組むごく初期の段階で決定する。偏りのない評価とするためには、1 小分類につき少なくとも 1
項目は、その評価を実施する。
各項目の詳しい解説は 6 項に掲載している。
(解説)
製品の環境側面の評価は、製品のライフサイクル全般に渡って評価することが要求されている。本ガイ
ドラインにおける評価項目には、資源の有効な利用の促進に関する法律の、指定省資源化製品及び指定再
利用促進製品に係る事業者の判断基準においてアセスメントが求められている項目、及び、環境に関連す
る法律(エネルギーの使用の合理化に関する法律、廃棄物の処理及び清掃に関する法律など)の安全性等
の配慮と包装材の工夫の項目などが含まれる。これら、環境に関する法律を遵守するために、1 小分類に
つき、1 項目以上は評価が実施されなければならない。
9
表2
「しくみ評価」全項目
・しくみ評価では、番号 1.1.3.3 及び 6.2.1.2 の項目のみ、定量評価としている。
・配点区分は、管理=管理レベル、削 5=削減率 5%を示す。配点区分の見方については、本ガイドライン 7 項参照。
大分類
中分類
小分類
10
製品消費エネルギー
の削減
省エネルギー
番号
選択
評価項目
評価に用いる指標
配点区分
管理
1.1.1.0
選択
製品動作時、待機時など消費エネルギ
ー削減を図るための管理のしくみ
管理レベル(次に示すどのレベルで管
理できているかを評価する)
a)プロセスが標準化及び文書化され、
その遵守状況の把握・測定が可能。
プロセスが有効に機能していない
場合は修正が行われ、継続的に改善
されている。
b)プロセスが標準化及び文書化され、
訓練により伝達されている。しか
し、このようなプロセスは個人に依
存しており、逸脱が存在する可能性
がある。
c)手続きは確立しているが、標準化
は不十分で、訓練や伝達も存在しな
い。個人の知識に依存している程度
が高く、過ちが発生しがちである。
d)実施すべき手続きが欠落している。
組織として対応すべき問題を認識
できても、個人ごと、あるいはケー
スバイケースの思いつきにより対
応している。
※以下、単に「管理レベル」と記載す
る項目では、上記 a)∼d)と同じ指標
を用いる。
1.1.3.0
必須
製品製造時のエネルギー削減を図る
ための管理のしくみ
管理レベル
管理
エネルギー消費量の削減
電力換算した各種エネルギーの削減
率 ※期間(3 か月、6 か月、1 年等)
を定め、同じ期間の消費量を比較す
る。
削5
燃料・電気・
熱
製造・組立時のエネ
ルギー消費削減
1.1.3.3
選択
表2
大分類
中分類
小分類
製品の小型化及び/
又は軽量化
省資源化(減
量化、減容
化)
部品点数削減・部品
共通化
包装の減量化・減容
化
希少資源使用量の削
減
リデュース
長寿命化
製品・部品・材料等
の長寿命化
製品製造時に発生す
る廃棄物削減
11
廃棄物削減
消耗品の長寿命化と
消費削減
製品製造時の水資源
消費削減
リユース
メンテナン
メンテナンスのしや
スの容易性
すい構造
リサイクル
性向上
リサイクル
番号
選択
2.1.1.0
必須
2.1.2.0
必須
2.1.3.0
選択
2.1.4.0
選択
2.2.1.0
必須
資源・材料の使用範
2.3.1.0
必須
破砕・選別処理の容
分別容易性
易性
安全に関わ
連法規制への遵守性
る適用法令
製造段階に適用され
の遵守性
る関連法規制への遵
守性
製品の小型化及び/又は軽量化を図
るための管理のしくみ
部品点数削減及び使用部品の標準
化・共通化を図るための管理のしくみ
梱包材、包装材の重量、体積の削減を
図るための管理のしくみ
希少材料の使用量の削減を図るため
の管理のしくみ
製品・部品・材料等の長寿命化を図る
ための管理のしくみ
評価に用いる指標
配点区分
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
発生量の削減を図るための管理のし
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
管理レベル
管理
くみ
2.3.2.0
選択
製品使用時の消耗品の発生削減を図
るための管理のしくみ
製品製造時の洗浄、冷却などで消費さ
2.3.3.0
必須
れる水資源の削減を図るための管理
のしくみ
3.1.0.0
選択
4.1.1.0
必須
製品のメンテナンス時の安全性、信頼性、
容易性の向上を図るための管理のしくみ
リサイクルされた材料、リサイクル可
囲拡大
解体・分離・
評価項目
リサイクル、リユースできない廃棄物
リサイクルが可能な
製品に適用される関
環境・安全
「しくみ評価」全項目(続き)
能な材料を使用した部品、梱包材の使
用範囲拡大を図るための管理のしくみ
製品の廃棄、リサイクル時の解体・分
4.2.2.0
必須
離、分別の容易性を図るための管理の
しくみ
6.1.1.0
必須
製品に適用される関連法規制の最新情報
を把握し、遵守するための管理のしくみ
製造段階に適用される関連法規制の
6.1.2.0
必須
最新情報を把握し、遵守するための管
理のしくみ
表2
大分類
中分類
CO2(環境負
荷物質)削減
小分類
各段階での環境影響
物質の使用量削減、
代替化、発生回避の
推進
番号
6.2.1.0
6.2.1.2
「しくみ評価」全項目(続き)
選択
評価項目
必須
製品製造段階(材料固有、製造)にお
ける CO2 等環境負荷物質排出量の削
減を図るための管理のしくみ
管理レベル
管理
選択
製造段階における CO2 等環境負荷物
質排出量の削減
製造段階における CO2 排出量の削減
率 ※期間(3 か月、6 か月、1 年等)
を定め、同じ期間の CO2 排出量を比較
する。
削5
管理レベル
管理
管理レベル
管理
環境・安全
12
製品、包装の各材料に
含まれる有害化学物
質の使用回避・管理
6.3.1.0
必須
製品、梱包及び製造段階で使用される
有害化学物質関連法規制の最新情報を
把握し、遵守するための管理のしくみ
廃棄処理
廃棄処理
6.4.0.0
必須
廃棄の為の解体・スクラップ・破砕時
の安全性確保及び環境汚染等への防
止を図るための管理のしくみ
適切な情報
提供
製品のライフサイク
ル関係者への必要な
情報提供とその方法
の適切性(注)
7.1.1.0
必須
情報内容の
適正化
評価基準及び評価方
法の明示
7.2.1.0
選択
QMS(品質マネジメ
ントシステム)への
取り組み
8.1.0.0
必須
品質マネジメントシステムの管理の
しくみ
管理レベル
管理
8.2.0.0
必須
環境マネジメントシステムの管理の
しくみ
管理レベル
管理
8.3.0.0
必須
環境配慮設計を行うための管理のし
くみ
管理レベル
管理
QMS、EMS、
EMS(環境マネジメ
DfE への取り
ントシステム)への
組み
取り組み
DfE(環境配慮設計)
への取り組み
注
配点区分
有害化学物
質管理
情報提供
管理
評価に用いる指標
製品のライフサイクル(選定、購入、流通、
据付、使用、メンテナンス、廃棄等)関係
管理レベル
者に知らせるべき情報を適切な方法と内
容で提供をするための管理のしくみ
提供情報の適正性について、その評価
基準、評価方法、結果の評価などを義 管理レベル
務づける管理のしくみ
管理
管理
製品のライフサイクル関係者への必要な情報とは、例えば、製品の仕様、特性、性能、機能、使用にあたっての環境・安全面での注意事項、流通・据え付け時の注意
事項、保守に係る必要事項、製品廃棄時の注意事項、法令等に定められた特定の化学物質に係る情報、を言う。
表3
「製品評価」全項目
・工業会で制作した製品別 18 種類の評価チェックシートでは、製品によって評価項目の有無が若干異なる。この表 3 には全評価項目を掲載し、製品ごとの項目の
有無は注 1∼注 3 に示した。
・配点区分の表記は、管理=管理レベル、有無=機能等の有無、削 5=削減率 5%、削 10=削減率 10%、向 10=向上率 10%、達成度=目標達成度を示す。配点区
分の見方については、本ガイドライン 7 項参照。
大分類
中分類
小分類
製品消費エネルギー
の削減
省エネルギー
燃料・電気・
流体エネルギー消費
熱
の削減
製造・組立時のエネ
ルギー消費削減
13
製品の小型化及び/
又は軽量化
省資源化(減
リデュース
量化、減容
化)
部品点数削減・部品
共通化
包装の減量化・減容
化
流体の無駄な消費の
削減(節水、漏れ削減)
番号
選択
1.1.1.1
必須
注 2 操作方法が空気式の製品にのみある評価項目。
注 3 給水栓(4.4 項 j∼p)にのみある評価項目。
評価に用いる指標
配点区分
動作時の消費電力の削減(注 1)
製品の消費電力(定格電力)の削減率
削 10
削 10
1.1.1.2
必須
動作時の空気消費量の削減(注 2)
製品動作時の空気消費量(定格空気消
費量)の削減率
1.1.1.3
選択
待機時の消費電力の削減(注 1)
製品待機時の消費電力の削減率
削 10
1.1.2.1
選択
節湯機能の有無(注 3)
工業会の節湯区分
有無
1.1.3.1
選択
1.1.3.2
選択
生産設備、工程改善、不良率低減による
製品製造時のエネルギー消費量の削減
製品設計改善による製品製造時のエ
ネルギー消費量の削減
年間消費電力量(生産ラインもしくは
該当工程別)の削減率
年間消費電力量(生産ラインもしくは
該当工程別)の削減率
2.1.1.1
選択
製品の軽量化
製品全体の重量の削減率
削 10
2.1.1.2
選択
製品の小型化
製品全体の寸法又は体積の削減率
削 10
2.1.1.3
選択
生産時の歩留まり改善による素材使
用量の削減
素材使用量の削減率
削 10
2.1.2.1
選択
部品点数削減
部品点数の削減率
削 10
向 10
削5
削 10
2.1.2.2
選択
標準部品使用の拡大
部品標準化率(=使用標準部品点数÷
総部品点数)の向上率
2.1.3.1
選択
梱包材、包装材の重量又は体積の削減
使い捨て包装材、梱包材の重量又は体
積の削減率
削 10
2.1.5.1
選択
使用時の節水(注 3)
節水性能(エコマーク認定水栓と同等
以上)の有無
有無
2.1.5.2
選択
バルブ閉時の弁座漏れ量の削減
弁座漏れ量の削減率
削 10
選択
バルブ使用時の流体漏れ量の削減(出
口以外)
接合部から外部への漏れ量の削減率
削 10
2.1.5.3
注 1 操作方法が電気式の製品にのみある評価項目。
評価項目
表3
大分類
中分類
長寿命化
リデュース
廃棄物削減
リユース
メンテナン
スの容易性
小分類
製品・部品・材料等
の長寿命化
製品製造時に発生す
る廃棄物削減
消耗品の長寿命化と
消費削減
交換可能部品の使用
範囲拡大
分解、再組み付け容
易性
番号
選択
評価項目
評価に用いる指標
配点区分
2.2.1.1
選択
製品、部品・材料(ボトルネックにな
るもの)の耐用年数(時間)の延長化
耐用年数(時間)又は耐用動作回数の
向上率
向 10
2.3.1.1
選択
製造過程で発生する廃棄物(リサイク
ル、リユースの出来ないもの)の削減
廃棄物発生量の削減率
削5
2.3.2.1
選択
一定条件下で使用した場合の消耗品
の耐用年数(時間)の延長化
消耗品の耐用年数(時間)の向上率
向 10
3.1.1.1
選択
交換可能部品の使用範囲拡大
交換可能部品の使用率又は交換可能
部品数の向上率
向 10
3.1.2.1
選択
交換部品の標準化
交換部品の標準化率(=標準化された
交換部品数÷交換部品総数)の向上率
向 10
3.1.2.2
選択
部品の交換容易性
交換時間の短縮率
削 10
選択
リサイクル可能な材料を使用した部
品、梱包材の使用範囲拡大(注 4)
リサイクル可能な材料の使用率(=リ
サイクル可能な材料で作られた部品
の体積又は重量÷製品全体の体積又
は重量)の向上率
向 10
4.1.1.2
選択
リサイクルされた材料を使用した部
品、梱包材の使用範囲拡大(注 5)
4.2.2.1
選択
解体時、分別がしやすいように、リサ
イクル可能な材料を使用した部品の
識別表示を行うための管理のレベル
4.1.1.1
リサイクル
性向上
「製品評価」全項目(続き)
14
リサイクルが可能な
資源・材料の使用範
囲拡大
リサイクル
解体・分離・
分別容易性
破砕・選別処理の容
易性
リサイクルされた材料の使用率(=リ
サイクルされた材料で作られた部品
の体積又は重量÷製品全体の体積又
は重量)の向上率
次に示すどのレベルにあるかを評価
する。
a)重さが製品全重量の 5%未満の部品
について、解体分離に関する表示が
できている(製品本体、ドキュメン
ト類等で)
。
b)重さが製品全重量の 5%以上∼10%
未満の部品について、解体分離に関
する表示ができている(同)
。
c)重さが製品全重量の 10%以上の部
品について、解体分離に関する表示
ができている(同)
。
d)表示をしていない。
向 10
管理
注 4 「リサイクル可能な材料」は、例えば、単一材料に分離可能なステンレスのことをいう。塗料、パッキン、ガスケット、分離不可能な金属材料などは含まない。
注 5 「リサイクルされた材料」は、例えば、リサイクルで製造された紙やスクラップ回収された鉄クズのことをいう。リサイクル可能な材料と混同しないよう要注意。
表3
大分類
リサイクル
環境・安全
15
情報提供
管理
「製品評価」全項目(続き)
中分類
小分類
番号
選択
評価項目
解体・分離・
分別容易性
破砕・選別処理の容
易性
4.2.2.2
選択
解体・分別する対象物の取り外し容易性
解体、分別にかかる時間の短縮率
削 10
4.2.2.3
選択
リサイクル可能な材料の種類数の削減
リサイクル可能な材料の種類数の削減率
削 10
安全に関わ
る適用法令
の遵守性
製品に適用される関
連法規制への遵守性
6.1.1.1
選択
該当製品に対する関連法規制とその
遵守を確認した書類の有無
技術資料の有無
有無
CO2(環境負
荷物質)削減
各段階での CO2 の
排出量削減、代替化、
発生回避の推進
6.2.1.1
選択
製品に使用する材料の生産段階、及
び、製品の生産過程で発生する CO2
排出量の削減
材料の選定改善・使用量削減、製品製
造工程改善による CO2 排出量合計の
削減率
削5
有害化学物
質管理
製品、包装の各材料に
含まれる有害化学物
質の使用回避・管理
6.3.1.1
選択
従来からの管理レベル改善の有無
有無
6.3.1.2
必須
従来からの管理レベル改善の有無
有無
7.1.1.1
選択
ライフサイクル関係者に有益な情報
の種類の増加率
向 10
7.1.1.2
選択
環境規制及び労働安全衛生法で規制
対象となっている化学物質に関する
情報提供の有無
有無
7.1.1.3
選択
浸出基準への適応性管理のレベル
(注 6)
該当製品に対する有害化学物質管理
のレベル
製品のライフサイクル(選定、購入、
使用)関係者が、選定・購入前に知っ
ておくべき製品情報の提供
製品のライフサイクル(選定、購入、
使用)関係者が知っておくべき必要情
報の提供(特定化学物質を使った指定
製品の場合)
製品のライフサイクル(流通、据付、
使用、メンテナンス、廃棄)関係者が、
購入後、開梱時、据え付け時、使用時、
保守時、廃棄時等に知っておくべき製
品の取り扱い、及び、環境安全性につ
いての必要情報の提供
ライフサイクル関係者に有益な情報
の種類の増加率
向 10
7.1.1.4
選択
機器本体に表示すべき情報の表示の見やすさ
見やすさの改善の有無
有無
7.1.1.5
選択
提供情報へのアクセスのしやすさ
8.3.0.1
必須
重点評価項目(事前に 3 項目以上を設
定しておく)における設計目標値の達
成率
適切な情報
提供
DfE への取り
組み
製品のライフサイク
ル関係者への必要な
情報提供とその方法
の適切性(注 7)
DfE(環境配慮設計)
への取り組み
評価に用いる指標
デジタル化(Web 等)されている情報
の種類の増加率
達成率の平均がどの程度かを評価する。
a)100%以上
b)80%∼100%未満
c)60%∼80%未満
d)60%未満
配点区分
向 10
達成度
注 6 給水栓及び水道用途のバルブ製品では、この項目の評価を行う。
注 7 製品のライフサイクル関係者への必要な情報とは、例えば、製品の仕様、特性、性能、機能、使用にあたっての環境・安全面での注意事項、流通・据え付け時の注
意事項、保守に係る必要事項、製品廃棄時の注意事項、法令等に定められた特定の化学物質に係る情報、を言う。
5. アセスメントの実施体制と手順
5.1
しくみ評価の実施体制と手順
本ガイドラインで言う「しくみ評価」とは、製品の環境配慮設計に取り組む前に自社の管理体制を確認
する作業である。自社の環境への取組み状況を全体的に把握できる立場にいる者(部門)が担当すること
が望ましい。
具体的な作業としては、次の図 1 に示すとおり、評価→レビュー→対策を繰り返しながら、組織の管理
体制をより万全なものに近づけることを目指す。
評価期間を設定
しくみ評価
電力消費量や CO2 排出量は、評価期間を定め、
その間の実際の消費量・排出量を把握する。
表 2 の項目に沿って評価を行う。
対策要
レビュー
対策実施
組織の管理レベルが環境配慮設計に
対応可能かどうかは自己で判断する。
製品評価に進む
図1
しくみ評価の実施手順
表 2 の項目からもわかるとおり、しくみ評価は、管理ルールの適用のレベルを確認する作業がほとんど
である。少なくとも年に 1 回は評価を行い、自社の管理体制を把握しておきたい。評価に当たる者(部門)
が継続的に担当できれば、なお理想的である。
5.2
製品評価の実施体制
製品評価は、開発・設計を行う部門と、その部門による評価記録をチェックする部門の二段階で実施す
る。客観的かつ責任あるアセスメント実施体制の整備が求められる。
a) 開発・設計担当部門
開発・設計に係るメンバーで評価実施プロジェクトを組み、その中から実施責任者を任命する。
b) 評価担当部門
当該製品の開発・設計者以外の者で構成し、開発・設計担当部門による評価が適切に行われているか
どうかをチェックする。
アセスメントは、製品設計に際して行われる機能の評価、経済性の評価、製品の製造から廃棄に至るま
での環境保全性の評価等と併せて総合的に行われることも考えられる。
16
5.3
製品評価の実施手順
実施手順の一例を図 2 に示す。実際に実施する場合は、組織構成や人員の多寡、製品の特性にあわせ、
各社なりの手法を確立していかなればならないが、ここでは、評価の初めから終わりまでにどのような作
業が必要かを示している。
① 新製品の企画、評価対象/比較対象製品の選定
(企画部門)
② 評価項目の決定及び目標値の設定
③ 項目ごとの評価
開発・設計担当
部門
④
対策の検討
集計
⑤ 判定
改善の要あり
改善の要なし
⑥ 記録の作成
⑦ 記録等に基づく評価
(担当部門が作成した記録をチェック)
⑧ 記録等に基づく判定
(デザインレビュー等)
評価担当部門
改善の要あり
改善の要なし
⑨ アセスメント実施結果の記録
アセスメント終了
図2
製品評価の実施手順(例)
【企画部門】
①新製品の企画、評価対象/比較対象製品の選定
評価対象製品と比較対象製品は、自社製品群における位置づけが同等なものにする(4.3.1~4.3.2 項参照)。
比較対象製品がない場合は新規設計目標値との比較となる(4.3.3 項参照)。この①と次の②の工程には、
様々な部門(マーケティング、営業等)の人員が関わると思われるので、部門名は仮に「企画部門」とした。
②評価項目の決定及び目標値の設定
工業会ウェブサイトの専用ページで評価対象製品のチェックシートを確認し、どの項目の評価を実施す
17
るか、事前に決めておく(必須項目は含めなければならない)
。
比較対象製品に基づく目標値、又は、比較対象製品がない場合は新規設計目標値をこの段階で設定して
おく。
【開発・設計担当部門】
③項目ごとの評価
上記②で選択した各項目について、比較対象製品又は新規設計目標値と照らし合わせ評価を行う(チェ
ックシートの見方・使い方は 8 項で解説)
。
設計の変更等の対応策の検討が必要かどうかについては、項目個々の評価結果ではなく、次の④⑤にお
いて判断される。
④集計
ここでは、製品の特性を勘案し、また、各評価項目が相互にトレードオフ
6)
の関係にある場合があるこ
とを踏まえて、③の結果を集計する。製品本来の機能が損なわれないことや安全性が確保されていること
等、製品として最低限満足すべき要件を踏まえることが必要である。
⑤判定
プロジェクト責任者は、③の結果において、しくみ改革や設計の変更等の対応策の検討が必要かどうか
の判定を行う。この際、複数の設計(案)について評価を行い、それらの総合評価から優れたものを選定
する方法も考えられる。
④の結果の良し悪しを判定するには、基本的には②の目標値と照らし合わせれば良いが、次のステップ
に進むか、あるいは、対応策の検討を行うかどうかの判断基準は、あらかじめ自社で設定しておくように
する(例:10 項目以上で改善が見られたら合格、5 項目で目標値に達していれば合格、等)
。
対応策の検討を行った場合には、再度③→④の過程を経ることとなり、対応策の検討が必要でないと判
定されるまで、この過程を繰り返す。
⑥記録の作成
上記③④の結果、並びに、対応策を報告書等の記録にとりまとめる。当該記録は、機能、経済性、製品
の製造から廃棄に至るまでの環境保全性等に対する評価と併せて取りまとめられることも考えられる。
【評価担当部門】
⑦記録等に基づく評価
上記⑥で取りまとめられた記録や、必要に応じて実施される実験、分析の結果に基づき、開発・設計担
当部門が行った評価内容等をチェックする。
⑧記録等に基づく判定(デザインレビュー等)
上記⑦において、改善の必要があると判断される場合は、評価担当部門は、対応策の検討を行う。その
後、再度、③→④→⑤→⑥の過程を経ることとなる。記録等に基づく評価の結果、改善の必要がないと判
定されるまで、この過程を繰り返す。
⑨アセスメント実施結果の記録
⑥において作成された記録、及び、⑦において行われた評価の内容を含め、アセスメントの実施内容を
記録に取りまとめる。
6)
トレードオフ: 一方を追求すれば他方を犠牲にせざるを得ないという状態・関係のこと。
18
6. 評価項目の解説
6.1
省エネルギー
6.1.1
燃料・電気・熱
a) 製品消費エネルギーの削減
注
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
1.1.1.0
製品動作時、待機時など消費エ
ネルギー削減を図るための管理
のしくみ
製品
1.1.1.1
動作時の消費電力の削減
製品
1.1.1.2
動作時の空気消費量の削減
製品
1.1.1.3
待機時の消費電力の削減
・エネルギーは、電力、ガス、石油エネルギーなどを指
す。空気圧、油圧、水圧などを駆動方式とするバルブ
を製造している場合は 1.1.1.0 の評価を行う。
・1.1.1.1 と 1.1.1.3 は、動作時及び/又は待機時に電力を
使う製品にのみ設けられている項目。
・1.1.1.2 は、操作方法が空気式の製品にのみ設けられて
いる項目。空気消費量は駆動部サイズと供給空気圧
で決まる。全開→全閉→全開(1 往復)させたときの
必要空気量。
番号は表 2、表 3 の番号に対応する(以下同様)
。
1997 年に京都で開催された COP3 7) 以降、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量削減が地球
規模の重要課題となり、特に全ライフサイクルにわたる製品の省エネルギー化は最重要テーマの一つにな
っている。
1999 年 4 月に施行された改正省エネ法では、特定のエネルギー消費製品に対し「トップランナー方式 8)」
が採用され、それぞれの製造事業者は、省エネ性トップの製品を目指すよう定められた。
バルブ製品は特にエネルギーを消費する構造であることが少ないため、この項の評価が難しいが、駆動
部などのエネルギー消費が検討されるべきであろう。
b) 流体エネルギー消費の削減
評価種類
製品
番号
1.1.2.1
評価項目
節湯機能の有無
評価方法など
給水栓を対象とした項目。工業会の節湯基準 9) に従い、
節湯 A、節湯 B、節湯 A1、節湯 B1、節湯 C1 のいずれか、
又はその組み合わせに当てはまるものを節湯水栓とする。
住宅・建築物におけるエネルギー消費量のうち、その多くを給湯設備が占めていることから、給湯設備
の使用湯量を低減することが重要である。
台所、洗面、浴室で湯水混合水栓を使って湯水を使用する際、使用時に湯水を出しっ放しにしたり、必
要以上の流量で使用したりすると、水の消費量が増えるだけでなく、給湯のためのエネルギー消費量も増
大する。節湯水栓を設置することで、不要な湯水の使用と給湯エネルギー消費量を削減する。
7)
8)
9)
COP3: 気候変動枠組条約第 3 回締約国会議。
トップランナー方式: 省エネ法に基づく機器のエネルギー消費効率基準の策定方法。
節湯基準: 工業会で定めた「節湯型機器のモニター方法」にて、基準を満たしている機器を節湯 A、B、AB と定義
し、
「住宅建築物の省エネ基準」の構造規定を満たすものを節湯 A1、C1、A1C1 と定義している。
19
c) 製造・組立時のエネルギー消費削減
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
1.1.3.0
製品製造時のエネルギー削減を
図るための管理のしくみ
しくみ
1.1.3.3
エネルギー消費量の削減
製品
1.1.3.1
生産設備、工程改善、不良率低
減による製品製造時のエネルギ
ー消費量の削減
製品
1.1.3.2
製品設計改善による製品製造時
のエネルギー消費量の削減
・製品製造に使用するエネルギーが電気、ガス、石油な
ど複数にわたっている場合は、省エネセンターなどの
原油換算表を用い、目標値の設定や使用したエネルギ
ー消費量の把握ができているかの評価を行う。
・1.1.3.3 ではエネルギー消費削減量を把握する。3 か月
ごと、6 か月ごと等、事業者で期間を定め、前回消費
量との比較で評価する(少なくとも 1 年に 1 回は評価
を実施する)。全事業所についての評価が難しい場合
は、対象とする事業所を限定し、チェックシートの備
考欄に事業所名を記入する。
・製品評価時に、エネルギー消費削減量を計るときは、
母数に、生産台数、売上額などを適宜設定する。
・評価対象製品の全製造工程のエネルギー消費量を厳密
に測定するのが難しい場合は、事業者で一定の決めを
設け、測定対象範囲を限定して評価してもよい(例え
ば、鋳物製造工程に限定する、加工に時間がかかり使
用電力が大きい弁体や弁箱等の大きな部品の製造工
程に限定する、等)
。
省エネ法の改正前は、工場・事業場所単位で、所定量以上のエネルギーを使用する大規模建築物を規制
対象としていたが、改正により、中小規模の建築物まで範囲が広がり、所定エネルギー総使用量を超える
事業者は事業者単位で規制対象になった。
したがって、製品使用時の省エネに加え、製造段階での省エネにも配慮する必要がある。製造段階では、
設備等の改善で取り組む部分と、開発段階から取り組む部分とに分かれるであろう。
6.2
リデュース
6.2.1
省資源化(減量化・減容化)
資源をできるだけ有効に活用すること、及び、製品廃棄時に発生する廃棄物を極力減らすことなどのた
めに、減量化・減容化の評価を行う。この減量化・減容化を実施することで、資源の有効活用が図られ、
結果として、製品コストの削減、流通コストの削減などへつながることが期待できる。
a) 製品の小型化及び/又は軽量化
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
製品
2.1.1.1
製品の軽量化
製品
2.1.1.2
製品の小型化
・これら項目の評価では、全構成部品の個別素材重量、完
成品重量、寸法、体積が把握管理されていることが必要。
・体積については、厳密に求めた数値を用いるか、外形
寸法を用いるかを事業者で設定する。
製品
2.1.1.3
生産時の歩留まり改善による素
材使用量の削減
製品全体の重量が変わらない場合も、設計改善(歩留まり、
不良率改善等)による材料の削減量を評価する。歩留まり、
不良率評価は、設計試作、量産試作段階で実施する。
製品の主要構成部品の質量又は容積(体積)について個々に把握する。
20
主要構成部品は、その部品の合計質量が製品全体の 50%以上を占めるように選択するのが望ましい。ま
た、その部品の製造段階において発生する端材の量を低減したり、発生した端材を有効に利用したりする
ことを心がけるべきである。
b) 部品点数削減・部品共通化
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
2.1.2.0
部品点数削減及び使用部品の標
準化・共通化を図るための管理
のしくみ
製品
2.1.2.1
部品点数削減
製品
2.1.2.2
標準部品使用の拡大
【標準部品とは】
本ガイドラインでは、一般規格部品、複数の製品で使用
可能な部品、同一製品内でも複数使用する部品などを標
準部品とするが、詳細な定義は事業者が決めてもよい。
【部品の共通化とは】
設計段階で標準部品が設定された結果、その部品を共通
利用することで、調達、在庫管理、生産、保守など大幅
なコスト削減が望める。
減量化のためには、部品点数の削減と並行して部品の共通化に取り組む必要がある。部品の共通化によ
り無駄な部品を造らないことが促進される。無駄な部品を生めば、無駄な在庫が増え、また無駄な材料や
製造設備、器具などが生まれ、そして、いずれ廃棄される。それらが廃棄されるときには大量のエネルギ
ーが消費され、それは全部地球にストレスを与えることになる。
c) 包装の減量化・減容化
注
評価種類
番号
製品
2.1.3.1
評価項目
評価方法など
梱包材、包装材の重量又は体積
の削減
製造時の部品梱包材及び製品の使い捨て包装材や梱包
材を対象とし、重量又は体積を指標とする。
【使い捨て材とは】
事業者が回収せず、購入者側が処分する材料のことをいう。
【チェックシートへの記入】
・通い箱を活用している場合は削減率 100%とするか、
又は回収率で評価して、その旨を備考欄に記入する。
1.1.1.1~1.1.1.3 や 1.1.2.1(p.19)の項目が特定の製品のチェックシートにのみ設けられているのに対し、2.1.3.1 は
全製品のチェックシートに設けられている。しかし、梱包材や包装材を使用していないのであれば、本項目を選択
する必要はない。以下の項目も同様に、自社製品に該当するか否かを適宜判断し、該当する項目についてはできる
だけ評価に取り組むようにする。
流通段階における環境負荷低減のために、包装材についても減量化・減容化に取り組むことが重要であ
る。この取組みは、輸送時の積載性の向上、輸送効率向上にもつながる。
d) 希少資源使用量の削減
評価種類
番号
しくみ
2.1.4.0
評価項目
評価方法など
希少材料の使用量の削減を図る
ための管理のしくみ
対象希少材料の範囲は事業者で一定の決めを設ける。
【バルブ製品に使われる主な希少材料の例】
チタン、クロム、コバルト、ニッケル、タングステン、
モリブデン、ビスマス。
21
希少金属(レアメタル)とは、希土類(レアアース)などを含み、地球上の存在量が少なく経済的に利
用価値の高い金属、または、量は多くても経済的・技術的に純粋なものを取り出すのが難しいものなど、
希少価値の高い金属を総称するものである(p.42 にレアメタル一覧掲載)。
これらの希少金属のうちクロムやニッケルの含有量が多いステンレス鋼や耐熱合金は、バルブ製品で使
用される場合が多く、設計段階でその使用量を把握するとともに、安全性や耐久性に留意しながら、可能
なものについては削減に向けて努力するのが望ましい。
希少資源の利用要求は増加してくる一方である。希少資源使用削減の評価方法として、長寿命化を含め
て総合的に評価する必要がある。
e) 流体の無駄な消費の削減(節水、漏れ削減)
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
製品
2.1.5.1
使用時の節水
製品
2.1.5.2
バルブ閉時の弁座漏れ量の削
減
製品
2.1.5.3
バルブ使用時の流体漏れ量の
削減(出口以外)
【節水水栓の定義】
エコまち法に基づく低炭素建築物認定基準の“節水に資
する水栓”に該当する水栓で、日本環境協会のエコマー
ク認定した水栓、又は同等以上の節水性能を有する水栓。
・この項目は、エネルギー消費ではなく資源消費の観点
で評価する。
・漏れの測定方法(工業用弁の場合、API、ANSI 等の規
定に基づく評価試験、客先仕様等)を明確に規定し、
実力値(試験結果での漏れ量)で評価する。
【チェックシートへの記入】
漏れ量の具体的数値を入力する。
【漏れ量測定に使える指標】
工業用弁では、ISO15848 にパッキンからの許容漏れ量の
規定がある。
6.2.2
長寿命化
長期使用の促進を検討するにあたっては、機器の安全性についての評価が重要である。
「製品の耐久性向上」は製品の構造面から、
「部品・材料の耐久性向上」は製品の構成要素である部品・
素材の面から、耐久性を向上させるものである。
「保守・修理の可能性・容易性向上」は、使用段階における保守・修理を行いやすくすることにより、
長期使用の促進を図ろうとするものである。
評価種類
番号
製品
2.2.1.1
評価項目
評価方法など
製品、部品・材料(ボトルネッ
クになるもの)の耐用年数(時
間)の延長化
以下の①~③を考慮に入れて寿命又は耐久性を計る評価
方法を明確に定め、評価を行う。
①耐用寿命時間
②耐用動作回数
③高耐久性の部品や材料への変更
【寿命の定義・基準作成の参考となる規格】
・SIL 認証: IEC61508 シリーズ(邦訳版標題「電気/電子/
プログラム可能電子安全関連システムの機能安全」
)
。
・JIS S 3200 シリーズ(水道用器具の性能試験)
。
製品の長寿命化を実現するためには、基本的に部品・材料の耐久性向上が重要である。バルブ製品は一
般的に寿命が長いといわれているが、その寿命は使用環境、動作回数、制御する流体の種類、使用年数な
どで決められるので、これらの要素を適切に踏まえて設計する必要がある。
22
また、長寿命化にこだわり、例えば小型化や軽量化などを犠牲にしたり、もともと使用年数があまり長
くない製品の廃棄時に、十分な寿命を残して無駄に廃棄したりすることなどにならないよう、気をつけな
ければならない。
製品寿命を決定するボトルネックになる部品がある場合は、その部品の耐久性を集中して向上させる工
夫が必要であろう。
さらに、製品の外装や塗装などは使用条件を考慮し、適切な耐磨耗性、耐汚損性、耐腐食性及び耐熱性
等をもたせる必要がある。
6.2.3
廃棄物削減
製造段階での産業廃棄物の削減は、EMS(環境マネジメントシステム)の中の重要項目の一つであり、
廃棄物を出さない設計、工夫が必要である。また、発生した廃棄物を法令に基づいて適正処理するととも
に、分別廃棄によりリサイクル率を向上させることも重要である。
a) 製品製造時に発生する廃棄物削減
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
2.3.1.0
リサイクル、リユースできない
廃棄物発生量の削減を図るた
めの管理のしくみ
【リサイクル、リユースできない廃棄物の例】
潤滑油、各種廃液、ウエス、各種廃材。
製品
2.3.1.1
製造過程で発生する廃棄物(リ
サイクル、リユースの出来ない
もの)の削減
・上記例を参考に、削減対象廃棄物とその削減目標値は
事業者で決める。
・評価範囲は、評価対象製品の製造工程単位、生産ライ
ン単位等、事業者が一定の決めで定める。
・必要であれば体積削減率を指標としてもよいが、重量
換算した数値を指標とするのが適当であろう。
製造段階で発生する補助材、副資材、輸送運搬時の梱包材、据付時に使用する補助材や線材、緩衝材な
どの剰余材、などの廃棄物の発生削減を考慮しなければならない。
b) 消耗品の長寿命化と消費削減
評価種類
番号
しくみ
2.3.2.0
製品
2.3.2.1
しくみ
2.3.3.0
評価項目
評価方法など
製品使用時の消耗品の発生削減
を図るための管理のしくみ
一定条件下で使用した場合の消
耗品の耐用年数(時間)の延長
化
製品製造時の洗浄、冷却などで
消費される水資源の削減を図
るための管理のしくみ
・2.3.2.1 では、消耗品の耐用寿命、交換周期の向上率を
指標とする。
【消耗品の例】
パッキン、ガスケット、潤滑油、バッテリ等。
・造水、廃水処理には少なからずエネルギーを消費する
事を理解する。
・製品製造時に消費する水資源の使用量削減に努力して
いるか、事業所、ライン別等で、製品生産時の水消費
量を把握し、計画的な削減に努めているかを評価する。
地球の水資源は危機に瀕している。温室効果ガスに関する「カーボンフットプリント 10)」と同じように、
10)
カーボンフットプリント: 二酸化炭素などの温室効果ガスの出所を調べて把握すること。炭素の足跡。
23
地球環境に対する人類の影響力を測定する指標として、
「ウォーターフットプリント」
(以下、WF)という
考え方が出始めている。
WF とは、ある製品のライフサイクルで使用される水の総量を計測する指標で、製品の製造や輸送のほ
か、自治体や国、企業の事業過程に必要な水の量が合計される。WF の算出は、企業や消費者が世界的な
水危機の影響を理解し対処する上で役に立つと考えられている。また、各個人が日々の生活で使用する水
の総量を知ることもできる。
リユース
6.3
バルブ製品については、もともと製品寿命が長いということもあり、修理をしてリユースしたり、部品
をリユースしたりするという概念になじみが薄いが、今後資源の有効活用の観点から、開発段階から検討
に入れていく必要がある。
6.3.1
メンテナンスの容易性
a) メンテナンスのしやすい構造
評価種類
番号
しくみ
3.1.0.0
評価項目
評価方法など
製品のメンテナンス時の安全
性、信頼性、容易性の向上を図
るための管理のしくみ
自社製品に以下①~③が考慮されているかを評価する。
①交換可能な部品の選択・表示がされているか。
②部品交換の容易性が図られているか。
③交換部品の標準化が図られているか。
【チェックシートへの記入】
交換部品がない製品(メンテナンスがない製品)のみ製
造している場合は、本項目を選択しなくてもよい。
製品を長期にわたって良い状態で使用するためには、保守・修理(部品交換等)のしやすい製品開発が
重要になってくる。製品の開発時点で、部品の共通化や部品交換時間の短縮も考えておくべきである。
小サイズの一般弁は修理するより、交換するほうが効率的な場合が多いことにも留意が必要である。
ここでは保守・修理の必要性の高い部品(部位)について、交換可能な部品の選択・表示がされている
かの配慮を行う。
b) 交換可能部品の使用範囲拡大
評価種類
番号
製品
3.1.1.1
評価項目
評価方法など
交換可能部品の使用範囲拡大
【交換可能部品とは】
ユーザー、メンテナンス担当者が、全体を交換せずにそ
の部品のみ(市場で入手可能なもの)を交換することで
復帰できる部品をいう。
部品は使い捨てではなく、できるだけリユースできることが望ましい。また、リユースできる部品につ
いては、その旨を表示する。保守・修理の必要な部品は、あらかじめ取扱説明書等に明記する。
24
c) 分解、再組み付け容易性
評価種類
番号
製品
3.1.2.1
評価項目
評価方法など
交換部品の標準化
・製品設計、生産段階での部品標準化の一部としてとら
えられるが、保守交換部品に絞った評価を行う。
・2.1.2.2(標準部品使用の拡大)と重複しているが、こ
こでは交換部品に特定して評価する。
【交換部品の標準化とは】
ユーザー又はメンテナンス担当者に部品交換の容易性を
提供するため、部品の仕様が明示され、単独で管理(生
産、販売)され、他機種との互換性を持つように設計さ
れていることをいう。
交換の容易性の観点から、部品の共通化は重要である。不要な保守在庫の削減にも効果があり、ひいて
は資源の節約に貢献できる。
部品等の共通化は保守・修理を容易に行うための重要課題であるが、単に同一製品内の共通化のみなら
ず、製品間、ひいては、製品の世代間などの長期的な観点でも共通化が図られていることが望ましい。
評価種類
番号
製品
3.1.2.2
評価項目
評価方法など
部品の交換容易性
部品、モジュールなどの交換が容易に出来るよう、工具
レス、少ない工具、特殊工具使用の削減など考慮されて
いるかを加味し、実際の交換時間を測定評価する。
資源有効利用のために、リユースできる部品又は保守・修理部品、ユニットはできるだけモジュール化さ
れていて、容易に取り外しがしやすい構造になっていること、また、再組み付けも容易に行えることが必要
である。このためにも、部品点数を少なくすることや、取り付け方法にも簡単にできる工夫が必要である。
6.4
リサイクル
6.4.1
リサイクル性向上
評価種類
番号
しくみ
4.1.1.0
評価項目
評価方法など
リサイクルされた材料、リサイ
クル可能な材料を使用した部
品、梱包材の使用範囲拡大を図
るための管理のしくみ
回収対象品がある場合は、その表示が適切であるかを評
価する。
【リサイクルされた材料の例】
例えば、リサイクルで製造された紙やスクラップ回収さ
れた鉄クズ。
【リサイクル可能な材料の例】
例えば、単一材料に分離可能なステンレス。塗料、パッ
キン、ガスケット、分離不可能な金属材料などはリサイ
クル可能材には含まない。
製品廃棄時の処理方法については、資源有効利用の観点から、リユース→再生利用→熱回収→適正処分
の順にリサイクルの有効性が下がっていく。したがって、バルブ製品の廃棄時での処理方法としては、リ
ユース、再生利用などを考えるべきであろう。これを実現するためには、材料ごとに分類しやすくしたり、
処理を行う前に、必要な部品などへの分解、分別がしやすくなっていたりすることが必要である。
25
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
製品
4.1.1.1
リサイクル可能な材料を使用
した部品、梱包材の使用範囲拡
大
製品
4.1.1.2
リサイクルされた材料を使用
した部品、梱包材の使用範囲拡
大
・管理対象とするリサイクル可能な材料及び/又はリサ
イクルされた材料は、事業者にて設定する。
・リサイクル可能な材料、リサイクルされた材料ともに、
製品全体の体積又は重量に対する使用率を指標として
評価する。
材料として用いる金属、樹脂、又は包装に用いる紙パルプなどのうち、リサイクル可能なもの、及び、
リサイクル済みのものの使用率を評価する。
再生資源を活用し、リサイクル性を高めると、製品の寿命、品質、性能安全面に影響が出ることがある
ので、総合的に評価することが重要である。さらに留意すべき点は、再生資源の中に含まれる規制対象と
なる化学物質の含有状況の把握である。
バルブ製品の場合、バルブ本体の鋳造などに使われるスクラップ材などは特に注意して規制対象の化学
物質の含有状況を管理する必要がある。
6.4.2
解体・分離・分別容易性
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
4.2.2.0
製品の廃棄、リサイクル時の解
体・分離、分別の容易性を図る
ための管理のしくみ
4.2.2.1
解体時、分別がしやすいよう
に、リサイクル可能な材料を使
用した部品の識別表示を行う
ための管理のレベル
次の点について、そのレベルを評価する。
・リサイクル可能な材料の識別を容易にするため、本体、
取扱説明書、HP、図面、付属注意書き等に材料名表示
をするしくみ。
・解体容易性が考慮された設計にするしくみ。
製品本体や HP、取扱説明書等ドキュメント類における表
示の有無とそのレベルを評価する。具体的には、部品を
重さで分類し、どれくらい細かい部品にまで識別表示が
できているかを評価する(重さの区分は表 3 の 4.2.2.1 を
参照)
。
製品
解体分離を容易にする観点で、材料・部品等の材質判別のための表示は適切な内容で、見やすくなって
いるかを評価する(プラスチック部品には JIS 等の規格に従った記号が表示されているか、表示は見やす
い大きさか、見やすい場所にあるか、など)
。
ここでいう解体・分離・分別対象物としては、下記 1)~3)のようなものがあるが、各社において、実
情に合わせて選定する。
1)
破砕前に取り外すことにより、より高付加価値の資源として利用可能なもの。
例:バルブ本体金属、モータ、単一素材プラスチック等
2)
破砕処理が困難で、破砕前に取り外さなければいけないもの、又は、作業環境や設備に悪影響を
与える可能性のあるもの。
例:コンプレッサ、モータ等
3)
破砕後の選別が困難であり、処理残渣(シュレッダーダスト等)中に移行したり、大気中に散逸
したりして環境負荷の原因となる可能性のあるもの、又は、回収された再生資源(鉄・非鉄スクラッ
プ等)中に混入して、その価値を低める可能性のあるもの。
例:プリント基板、被覆電線等
26
評価種類
番号
製品
4.2.2.2
製品
4.2.2.3
評価項目
評価方法など
解体・分別する対象物の取り外
し容易性
リサイクル可能な材料の種類
数の削減
分解に要する時間を測定し、評価する。
【リサイクル可能な材料の種類数低減の例】
従来品は SUS304 と 316 の 2 種類を使用⇒最新モデルで
は 316 に統一。
種々の素材が混ざった破砕物を素材ごとに選別することは、使用済みバルブ製品から資源を回収する手
段として重要である。しかし、異種金属をろう付けや溶接などにより結合し分離できない構造にしたり、
リサイクル可能なプラスチックに金属などをインサートしたりすると、部品としての強度は増すが、リサ
イクルのための選別処理が難しくなる。リサイクルの観点では、できるだけこのような方法を避けるよう、
設計時点で考慮すべきである。
なお、プラスチック材料に関しては、2001 年に改正された資源の有効な利用の促進に関する法律(指定
再利用促進製品の判断基準)の(リサイクル)第 3 条で、100g 以上のプラスチック部品への材質表示、そ
の他の工夫が必要となった。
6.5
環境・安全
6.5.1
安全に関わる適用法令の遵守性
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
6.1.1.0
製品に適用される関連法規制
の最新情報を把握し、遵守する
ための管理のしくみ
製品
6.1.1.1
該当製品に対する関連法規制
とその遵守を確認した書類の
有無
下記①②が求められる。
①対象関連法令が全てリストアップされるしくみがある
こと。
②対象関連法規について評価され又管理されるしくみが
あること。
関連国内法だけではなく、近年は CE マーキングを要求
されることが多い。バルブに関連する EU ニューアプロ
ーチ指令を考慮、管理する必要がある。
しくみ
6.1.2.0
製造段階に適用される関連法
規制の最新情報を把握し、遵守
するための管理のしくみ
【製造段階に適用される関連法規性】
省エネ法、労働安全衛生法、PRTR、VOC 等の管理など。
国内環境安全諸規制はもとより、9 項(p.39)にも記載のとおり、EU(欧州連合)では、1985 年にニュ
ーアプローチという概念の元に、安全に関する全ての規制が一本化された。
バルブに関連する産業用機械製品・装置に適用される主な EU ニューアプローチ指令には、次の 1)~6)
等が挙げられる。
1)
圧力機器指令(PED)
2)
RoHS 指令 11)
3)
低電圧指令(LVD)
4)
電磁両立性指令(EMC)
5)
機械指令(MD)
6)
防爆指令(ATEX)
これらの指令内容は、変化していくとともに、解釈が難しい面があるが、その影響は大きいので、注意
11)
RoHS 指令: 電気・電子機器における特定有害物質の使用制限についての EU による指令。
27
深く変化の動向を見守り、内容を読み解く必要がある。また、その他の関連指令についても、該当する場
合は注意を要する。
関連法規制を含め、安全管理について留意しておきたい点を以下に挙げる。
7)
製造段階における安全性
製品の製造段階において、作業者の安全性を確保すべき法令(安衛法など)を順守すること。
8)
流通段階における安全性
製品の輸送、機器の運搬時における荷崩れ振動等に伴う危険の防止処置がとられていること。
9)
使用段階における安全性
使用段階での安全性に関して、主に以下の法令を順守すること。
①電気用品安全法
②電気用品の技術上の基準を定める法令
③火災予防条例
④水道法
⑤下水道法
⑥労働安全衛生法
⑦消防法
⑧電気事業法
⑨高圧ガス保安法
⑩ガス事業法
JIS や社内規格等も考慮しながら安全性を確保することが重要である。
サービス段階における安全性
10)
保守・修理作業の安全性が確保されていること。例えば、部品交換時に無理な体勢をとることがな
いか、作業中にうっかり作業員が怪我をしてしまうような部位がないか、高温・高圧の部位がある場
合は注意書きがあるかなど、さまざまな角度からの作業安全性に関する考慮がされていること。
リサイクル段階における安全性
11)
リサイクル段階でも、保守・修理時と同様、作業者の安全性確保が必要である。主な留意点として
は、解体・分別時に危険を伴う作業がないこと、危険物質による作業者への影響がないことなど、ま
た、必要に応じて安全性確保のための注意書きを表示することなどがある。
6.5.2
CO2(環境負荷物質)削減
評価種類
番号
しくみ
6.2.1.0
しくみ
6.2.1.2
製品
6.2.1.1
評価項目
評価方法など
製品製造段階(材料固有、製造) ・6.2.1.2 は管理レベルを評価するのではなく、定量比較
における CO2 排出量の削減
による評価を行う。3 か月おき、6 か月おき等期間を決
を図るための管理のしくみ
め、継続的な改善を目指す(少なくとも 1 年に 1 回は
実施するようにする)
。全事業所についての評価が難し
い場合は、対象とする事業所を限定し、チェックシー
製造段階における CO2 等環境
トの備考欄に事業所名を記入する。
負荷物質排出量の削減
・評価母数としては売上高、生産台数などが考えられる。
・排出量はそれぞれの原単位データから積算できる。
・環境フットプリント等を参考に評価する。
製品に使用する材料の生産段 【個々の製品製造時における CO2 排出量削減方法の例】
階、及び、製品の生産過程で発 ①CO2 排出量の少ない材料の選定
生する CO2 排出量の削減
②材料削減による排出量削減
③工程改善による排出量削減
28
上表で言及している環境フットプリントについては、
(一社)日本鋳造協会のサイトにわかりやすい資料
が掲載されている(http://www.foundry.jp/wp-content/uploads/2012/08/efp1.pdf)
6.5.3
有害化学物質管理
評価種類
番号
しくみ
6.3.1.0
製品
6.3.1.1
製品
6.3.1.2
評価項目
評価方法など
製品、梱包及び製造段階で使用
される有害化学物質関連法規
制の最新情報を把握し、遵守す
るための管理のしくみ
浸出基準への適応性管理のレ
ベル
・6.3.1.0 は、該当する指令・法規制が対象になくても、
含有成分を把握し、
「ない」と言うことを管理すべきで
あるので必須項目としている。
・6.3.1.1 は選択項目としているが、給水栓や水道用途の
バルブでは、できるだけ評価に取り組む。
・6.3.1.1 と 6.3.1.2 で評価に用いる指標は、現時点での管
理レベルではなく、管理レベル改善の有無である。比
較対象製品製造時の管理レベルと比較して、改善があ
ったかどうか(主観でよい)を評価する。
【有害物質関連規制の例】
欧州関連指令(REACH、RoHS など)
、化審法、化管法、
浸出基準など。RoHS 自体の適応対象は電気電子製品で
はあるが、機械部品でも装置に組み込まれることが多い
場合は、RoHS 対応は必要となっている。
該当製品に対する有害化学物
質管理のレベル
EU の RoHS 指令、ELV 指令 12)、REACH 規則 13)、国内の PRTR 法 14) などに代表される規制で、その使
用を制限されている、生物の健康に直接有害な影響を与える化学物質については、その使用を、それぞれの
規制、法令に従って禁止若しくは適切な管理がされなければならない。RoHS 指令が対象とする物質の非含
有証明や、REACH 規則の SVHC(高懸念化学物質)の含有情報データシートの提出を求められることも多
い。このためには、製品のライフサイクルの各段階で安全な部品・材料が選択されていることが必要である。
さらに、欧州以外の規制(米国カリフォルニア州の有害物質防止法など)や、関連する業界団体のガイ
ドライン(グリーン調達調査共通化協議会の『製品含有化学物質管理ガイドライン』、アーティクルマネジ
メント推進協議会の『製品含有化学物質管理ガイドライン』など)にも積極的に取り組む姿勢が望ましい。
海外へ輸出される製品については、輸出先の法令等を調査し順守することが必要である。
6.5.4
廃棄処理
解体・スクラップ・破砕時に、爆発や環境汚染物質の放出が予想される場合は、その対策、注意喚起の
手段をとらなければならない。
特にバルブを取り外した際に、残存流体が構造上残ってしまう可能性のある機種については、ユーザー
が有害物質環境汚染物質を取り扱っていた場合、それらが外部に放出される危険性があることをユーザー
及び処分担当者に知らせておく必要がある。
評価種類
番号
しくみ
6.4.0.0
評価項目
評価方法など
廃棄の為の解体・スクラップ・
破砕時の安全性確保及び環境
汚染等への防止を図るための
管理のしくみ
危険物質が全くなくても、事業者として管理体制を持っ
ているかどうかを評価するべきである。
12)
ELV 指令: EU における自動車廃棄時の環境規制。ELV は End-of Life Vehicles Directive の略。
REACH 規則: 人の健康や環境の保護のため、登録されている化学物質以外の使用、輸入を制限するための EU に
よる規則。
14)
PRTR 法: 化学物質排出移動量届出制度。
13)
29
6.6
情報提供
6.6.1
適切な情報提供
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
7.1.1.0
製品のライフサイクル(選定、
購入、流通、据付、使用、メン
テナンス、廃棄等)関係者に知
らせるべき情報を適切な方法
と内容で提供をするための管
理のしくみ
【提供すべき情報】
・製品の仕様、特性、性能、機能など。
・使用に当たっての環境・安全面での注意情報・流通、
据え付け時の注意事項など。
・保守に関わる必要事項・製品廃棄時に必要な注意情報。
・法令等により定められた特定の化学物質を使用してい
る指定製品の場合の定められた表示。
【評価時の視点】
・HP に掲載することやカタログなどが販売店、営業担当
者を通じて客先に適切に提供することが出来ているか。
・問合せに対し、複数の通信手段(電話・FAX・E メー
ル等)で対応出来ているか。
・提供情報の内容がわかりやすく、誤解を生じないよう
編集されているか、特に特定の言葉から他のことをイ
メージし、受け取り側の誤解を誘発してしまうような
表現がされていないか。
・提供情報は正確で、根拠となる情報も必要に応じて提
供されているか。
製品
7.1.1.1
製品
7.1.1.2
製品のライフサイクル(選定、
購入、使用)関係者が、選定・
購入前に知っておくべき製品
情報の提供
製品のライフサイクル(選定、購
入、使用)関係者が知っておくべ
き必要情報の提供(特定化学物
質を使った指定製品の場合)
ここでの「知っておくべき製品情報」とは、例えば、エ
ネルギー使用量、リサイクル材料の使用率等を指す。比
較対象製品と評価対象製品で、それぞれ情報の種類の数
を比較し、その向上率を評価指標とする。
法令により定められた特定の化学物質を使用している指
定製品の場合の評価項目。自社製品に関係する法令の内
容を把握・理解(=しくみ評価)した上で、製品の個々の
レベルでも、定められた表示をできているかを評価する。
製品
7.1.1.3
製品説明書、取り扱い説明書などで適切に情報提供でき
ているか、特に法令により定められた表示が必要な場合、
それを行っているかを評価する。例えば、製品に含まれ
る化学物質の一覧、製品廃棄時の注意事項等の情報の種
類数について、その向上率を評価する。
製品
7.1.1.4
製品のライフサイクル(流通、
据付、使用、メンテナンス、廃
棄)関係者が、購入後、開梱時、
据え付け時、使用時、保守時、
廃棄時等に知っておくべき製
品の取り扱い、及び、環境安全
性についての必要情報の提供
機器本体に表示すべき情報の
表示の見やすさ
製品
7.1.1.5
提供情報へのアクセスのしや
すさ
30
自社従来製品に比べ情報の表示の見やすさが改善されて
いるか否かを評価する(主観でよいが、以下に示す評価
時の視点を踏まえる)
。改善されていると評価した時は、
チェックシートでは「有」を選択すればよい。
【評価時の視点】
・表示内容が理解しやすいか。
・見やすい位置にあるか。
・読みやすい表示になっているか(表示の大きさなど)
。
利用者が必要情報(カタログ、仕様書、図面、取扱説明
書、含有物質リスト、RoHS 証明書、その他環境関連の証
明書等)にいつでもペーパーレスでアクセスできる環境
を提供できているかを評価する。デジタル化されている
情報の種類の数を比較し、その向上率を評価指標とする。
上記項目に沿い、製品のライフサイクル関係者に対し、取扱説明書、製品カタログ、ホームページ等を
通じて、省エネ・省資源等に関する情報が適切に提供されているかを、しくみ・製品の両面で評価する。
情報提供時に留意すべき点としては、大きく以下の 5 つが挙げられる。
1) 取り扱い時の情報提供が適切にされているか
取扱説明書などで、取り扱い時の適切な説明、情報提供がされ、取扱者が適切に扱えるようにすること。
2) リサイクル・廃棄物処理に係わる情報提供、使用材料の表示がされているか
廃棄方法、回収方法、部品、材料の表示についての必要な情報が提供されていること。
3) 長期使用のための情報提供がされているか
消耗品については、取扱説明書等に交換時期や交換方法、サービス部品コード等を記載することによ
り、製品の長期使用につながると考えられるため、ユーザーや修理業者向けの情報提供を積極的に行う
べきである。
消耗品と同様に、保守・修理の必要性の高い部品についても、取扱説明書等に交換時期や交換方法、サー
ビス部品コード等を記載することにより、製品の長期使用につながると考えられるため、ユーザーや修理業
者向けの情報提供を積極的に行うべきである。ユーザーが製品を長期にわたって使用することができるよう
に、ユーザー自らが保守・修理などが行えるように、長期使用に役立つ情報の提供を行う必要がある。
4) 容器包装の分別情報提供がされているか
5) 包装の識別表示
資源の有効な利用の促進に関する法律により、容器包装が指定表示製品に指定され、バルブ製品の包
装材として使用される紙製容器包装、プラスチック製容器包装や取扱説明書の包装などにも識別表示が
義務づけられている。
6.6.2
情報内容の適正化
評価種類
番号
しくみ
7.2.1.0
評価項目
評価方法など
提供情報の適正性について、そ
の評価基準、評価方法、結果の
評価などを義務づける管理の
しくみ
評価結果に関し、外部から提供や公開を求められること
があった場合、情報の適正性をきちんと説明できること
が必要になる。実証のためのデューデリジェンスが求め
られる。耐久性、寿命、化学物質の含有率、等々につい
て、社内試験結果の適正性をレビューし、その結果を正
しく保管するしくみを構築するようにする。
提供する情報について、その評価の際の基準と評価方法、条件などは適正に表示し、対象者に誤解や不
利益を与えない配慮が必要である。
特に最近は、EU の RoHS 指令対応、国内の「特定の化学物質の含有表示に関する資源の有効な利用の
促進に関する法律の改正 15)」などにより、特定の化学物質の情報提供が必要不可欠になっている。
15)
2000 年 6 月 7 日に大幅改正され、JIS C 0950:2005(J-Moss)に基づき化学物質の含有表示が義務づけられた。
31
6.7
管理
6.7.1
QMS(品質マネジメントシステム)への取り組み
評価種類
番号
しくみ
8.1.0.0
評価項目
評価方法など
品質マネジメントシステムの
管理のしくみ
【チェックシートへの記入】
・ISO9001(品質マネージメントシステム)の認証があ
る場合はレベル a を選択してよい。
・ISO9001 の認証がない場合は、自社の品質マネジメン
トシステムのレベルを自己評価する。
ISO9001 に代表される QMS は、経営方針を作成し、方針達成に向かって PDCA サイクルを廻すための、
組織体制、計画、活動、責任、プロセス及び資源を含むマネジメントシステムである(図 3)
。
経営方針
Plan
計画
環境側面
法的及びその他の要求事項
目的、目標及び実施計画
Action
マネジメントレビュー
継続的改善
マネジメントレビュー
Do 実施、運用
資源、役割、責任、権限
教育、訓練
コミュニケーション
文書化
運用管理
緊急事態への準備、対応
Check 点検
監視、測定
遵守評価
不適合及び是正、予防処置
記録管理
内部監査
図3
6.7.2
品質マネジメントシステムと PDCA
EMS(環境マネジメントシステム)への取り組み
評価種類
番号
しくみ
8.2.0.0
評価項目
評価方法など
環境マネジメントシステムの
管理のしくみ
【チェックシートへの記入】
・ISO14000、エコステージ、エコアクション、KES(京
都環境マネジメントシステム)など第三者認証がある
場合はレベル a を選択してよい。
・第三者認証の認定がない場合は、自社の環境マネジメ
ントシステムのレベルを自己評価する。
32
ISO14001 に代表される EMS は、企業の環境管理活動の基本を規定しているマネジメントシステムであ
る。ISO14001 では具体的な対策に対しての要求を示す規格ではなく、あくまでも PDCA を廻すための指
針であるといえる。
つまり、取り組み企業は、
1) 企業活動が環境に与える影響の評価
2) その影響を軽減するための具体的な対策の検討、計画
3) それらの対策についての経済的な影響、コストパフォーマンスの検証
これらを勘案し、自分で目標をたて、計画を作成・実行し、レビューをして是正を行うというサイクル
を繰り返すことが求められる。
ISO14001 はその導入に費用がかかることから、中小企業ではエコステージやエコアクション 21 のロー
カル管理システムを導入することが多い。企業の実態に即したシステムの取り組みが必要であろう。
表 4 に ISO14000 ファミリーの規格(抜粋)を示す。環境管理のための仕様を定義した国際規格である
ISO14000 ファミリーは、日本では JIS Q 14000 ファミリーとして翻訳規格化されている。
表4
規格番号
ISO 14001: 2015
ISO 14004: 2016
ISO 14005: 2010
ISO14000 ファミリーの規格(抜粋)
発行/開発
状況
JIS 規格名称/ISO 規格名称
環境マネジメントシステム
―要求事項及び利用の手引
環境マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム ―
実施の一般指針
環境マネジメン トシ ステム―
環 境 パ フ ォ ー マ ン ス 評価の利
用を含む,環境マネジメントシ
ステムの段階的実施の指針
ISO 規格に
関する備考
JIS 化状況
2015-09-15
-
JIS Q 14001: 2015
2016-03-01
-
JIS Q 14004: 2016
2010-12-15
定期見直し中
JIS Q 14005: 2012
ISO 14006: 2011
環境マネジメントシステム―エ
コデザインの導入のための指針
2011-07-15
-
JIS Q 14006: 2012
ISO 14020: 2000
ISO 14021: 2016
環境ラベル及び宣言― 一般原則
環境ラ ベル及び宣言―自己宣
言による環境主張(タイプ II 環
境ラベル表示)
環境ラベル及び宣言―タイプ I
環境ラベル表示―原則及び手続
2000-09-15
2016-03-15
-
-
JIS Q 14020: 1999
JIS Q 14021: 2000
1999-04-01
JIS Q 14024: 2000
環境ラ ベル及び宣言―タイプ
III 環境宣言―原則及び手順
環境マ ネジメント―環境パフ
ォーマンス評価―指針
環境マネジメント―ライフサイク
ルアセスメント―原則及び枠組み
2006-06-30
改正作業中
(FDIS 段階)
2017 年発行予定
2014 年確認
2013-08-01
-
2006-07-01
定期見直し中
JIS Q 14031: 2000
(改正作業中)
JIS Q14040: 2010
環境マネジメント―ライフサイ
クルアセスメント―要求事項及
び指針
2006-07-01
-
JIS Q 14044: 2010
ISO 14024: 1999
ISO 14025: 2006
ISO 14031: 2013
ISO 14040: 2006
ISO 14044: 2006
33
JIS Q 14025: 2008
表4
規格番号
ISO14000 ファミリーの規格(抜粋)
(続き)
発行/開発
状況
JIS 規格名称/ISO 規格名称
ISO 規格に
関する備考
JIS 化状況
環境マ ネジメント―ウォータ
ーフットプリント―原則,要求
事項及び指針
環境マネジメント―用語
2014-08-01
-
2009-02-09
改訂作業中
JIS Q 14050: 2012
マテリアルフローコスト会計―
一般的枠組み
環境適合設計
2011-09-15
-
JIS Q 14051:2012
2002-11-01
2008 年 7 月再公表
TR Q 0007: 2008
(2013 年廃止)
温室効果ガス―第 1 部:組織に
おける 温 室 効 果 ガ ス の 排 出 量
及 び 吸 収 量の定量化及び報告
のための仕様並びに手引
2006-03-01
改訂作業中
(CD 段階)
2018 年発行予定
ISO/TS 14067: 2013
製品のカーボンフットプリント
―算定及びコミュニケーション
のための要求事項及び指 針
2013-5-15
-
ISO 19011: 2011
マ ネ ジ メ ン ト シ ス テ ム 監査の
ための指針
2011-11-15
-
JIS Q 19011: 2012
ISO Guide 64: 2008
製品規格で環境課題を記述する
ための作成指針
2008-08-27
2015 年確認
JIS Q 0064:2014
ISO 14046: 2014
ISO 14050: 2009
ISO 14051: 2011
ISO/TR 14062: 2002
ISO 14064-1: 2006
JIS Q 14064-1: 2010
※2016年8月5日現在。
注
最新の状況は、一般財団法人日本規格協会のウェブサイト(http://www.jsa.or.jp/stdz/iso/iso14000.html)で確認でき
る。ISO 規格に関する備考の「FDIS」等の記載は、規格発行又は改正に向けたドラフト版の進捗状況を示す。WD
→CD→DIS→FDIS の段階を経て、国際規格が発行又は改正される。
6.7.3
DfE(環境配慮設計)への取り組み
評価種類
番号
評価項目
評価方法など
しくみ
8.3.0.0
環境配慮設計を行うための管
理のしくみ
製品
8.3.0.1
重点評価項目(事前に 3 項目以
上を設定しておく)における設
計目標値の達成率
(8.3.0.0)製品開発時点で、関連部署を包括した環境配
慮設計実施のためのプロジェクトが構成され、環境配慮
設計の目標値管理、評価、レビューなどを行うしくみが
準備されていることが必要となる。
(8.3.0.1)比較対象製品の有無に関わらず、製品設計時
には事前に設計目標値を立てるはずである(p.7、4.3.3
項の「注意」参照)
。また、その際には特に力を入れる評
価項目も自ずと定まってくる。ここでは、事前に定めた
3 項目以上の重点項目において、目標達成率の平均がど
の程度になるかを把握する。
例えば、重点項目とその目標達成率が、
①動作時の消費電力の削減=105%
②製品の軽量化=92%
③交換部品の標準化=96%
の場合、平均 97.7%がこの項目における評価結果となる。
製品開発に要求される事項はますます増え、その重要度を増してきている。
単なる機能設計に加え、QCD(品質・コスト・納期)の改善・高度化の要求が一般常識となり、その上
34
に Environment(環境)要求事項を考慮しなければならない(QCDE)。そして、CSR(企業の社会的責任)
を強く問われる時代となり、Compliance(コンプライアンス、法令遵守)の考慮が欠かせない時代になっ
ている(QCDE+C)。
近年、EU 指令の一つである EuP
16)
がエネルギー関連機器までに範囲が拡大され、ErP
17)
という指令に
変更となり、この中で DfE を実施することが欧州での製品流通を認める CE マーキングの要求事項の一つ
となってきた。
DfE を実施するためには、本ガイドラインの評価項目を評価することになるが、開発部門だけではカバ
ーできない事項が多い。実施に当たっては、全ライフサイクルにわたる関連部門の横断的なプロジェクト
を構成することが望まれる。
7. 評価点の付け方と配点区分
表 2(p.10)と表 3(p.13)に示すとおり、
「しくみ評価」
「製品評価」の各項目には、配点区分というも
のを設定している。これは、各項目の評価結果に対して得点を付ける際のルールのようなものである。
すべての項目は次の①~⑥に分類される指標のいずれかを用いて評価が行われるが、会員はその得点の
多寡によって、環境保全に対する自社の対応の程度や自社製品の環境側面の改善度合いを把握する。
① 管理レベルの高低(a~d)
② 機能、表示、対策等の有無
③ 削減率の大小(削減率 5%を満点とする)
④ 削減率の大小(削減率 10%を満点とする)
⑤ 向上率の大小(向上率 10%を満点とする)
⑥ 目標達成度(a~d)
1 項目につき最高点は 3 点で、次の表 5 に示すとおり、①と⑥では 3 点~0 点までの 4 段階、②では 3
点と 0 点の 2 段階、③~⑤では 3 点~マイナス 1 点の 5 段階で、配点が行われる。
例えば、表中の③、配点区分が削減率 5%の項目において、評価結果(実際の削減率)が 5.5%だった場
合、この項目での得点は 3 となる。同様に、2.8%だった場合には 2 点、2.3%なら 1 点、0%なら 0 点、- 1%
ならマイナス 1 点となる。
このように、③~⑤では、項目によって評価対象機種の評価結果が比較対象機種(又は新規設計目標値)
のそれを下回る場合もあるので、得点がマイナスになることもあるが、①②⑥の配点区分が適用される項
目では評価対象機種にのみ評価を行うため、マイナス点は設定していない。
削減率、あるいは、向上率と一口に言っても、5%削減するのでも大変であろう項目と、5%程度の削減
は難しくないであろう項目がある。これら項目に一律に配点を行うのでは、自社又は自社製品の強み弱み
を見極めにくいだろうとの判断から、このような配点区分を設定した。
16)
EuP 指令: 製品の環境法規制の一つで、LCA を行って DfE に配慮することや、CE マークの貼付などが求められて
いる。EuP は、Energy using Products の略。
17)
ErP 指令: エネルギー関連製品に対してエコデザイン(環境配慮設計=DfE)を要求する EU の指令。ErP 指令では、
電気・電子機器等エネルギーを直接使用する製品はもちろん、エネルギー消費と削減に間接的に影響を及ぼす製品
(窓や水を使用する機器など)がエコデザイン要求の対象となる。ErP は、Ecodesign requirements for energy-related
Products の略。
35
今後多くの会員企業が環境配慮設計を進めるにつれ、評価項目と配点区分の組み合わせを見直す必要も
出てくるものと思われるが、当面は表 5 の配点区分で評価を行い、不便な点などあった場合には、工業会
まで意見や提案をお寄せいただきたい。
表5
配点区分
配点区分
得点 3
得点 2
得点 1
得点 0
①管理レベル
a)プロセスが標準
b)プロセスが標準
c)手続きは確立し
d)実施すべき手続
(注)
化及び文書化され、 化及び文書化され、 ているが、標準化
きが欠落している。
その遵守状況の把
訓練により伝達さ
は不十分で、訓練
組織として対応すべ
握・測定が可能。プ
れている。しかし、 や伝達も存在しな
き問題を認識できて
ロセスが有効に機能
このようなプロセ
い。個人の知識に
も、個人ごと、ある
していない場合は修
スは個人に依存し
依存している程度
いはケースバイケー
正が行われ、継続的
ており、逸脱が存在
が高く、過ちが発
スの思いつきにより
に改善されている。 する可能性がある。 生しがちである。
②機能等の有無
有
-
③削減率 5%
n ≧ 5%
5% > n ≧ 2.5%
④削減率 10%
n ≧ 10%
⑤向上率 10%
n ≧ 10%
⑥目標達成度
a)100%以上
注
-
得点 -1
-
対応している。
無
-
2.5% > n > 0%
n = 0%
n < 0%
10% > n ≧ 5%
5% > n > 0%
n = 0%
n < 0%
10% > n ≧ 5%
5% > n > 0%
n = 0%
n < 0%
c)60%~80%未満
d)60%未満
-
b)80%~100%未満
製品評価項目 4.2.2.1 では、a)~d)の文言は異なる。
8. チェックシートの使い方
8.1
ログイン ID とパスワード
「しくみ評価チェックシート」と「製品評価チェックシート」を使うには、まず工業会ウェブサイトで
会員各社個別の専用ページ(以下、マイページという)にログインする必要がある(図 4)。最初のログイ
ンは、工業会事務局から発行される ID と初期パスワードで行うが、その後は自分でパスワードを設定し
直し、自社関係者以外がマイページに入れないようにしなければならない。
なお、この Web 上のチェックシートは、工業会が平成 28 年秋に開始する「環境配慮バルブ登録制度」
と連動した作りになっており、評価完了後には同制度への製品登録も行えるようになっている。
図4
注
マイページへのログイン
図に示すのは制作途中の画面であるため、実際の外観とは異なる(以下、図 5~図 9 も同様)
。
36
(注意)
パスワードは定期的に設定し直すこと。また、評価に係る関係者の異動などがあった場合にも、設定し
直した方がよい。
8.2
マイページ
マイページの構成を図 5 に示す。ここで「しくみ評価」
「製品評価」のチェックシートの新規作成と評
価途中で保存したデータの呼び出しを行う。
パスワードの変更はここで行う。
製品評価を新しく開始する時はここ
をクリック(図 6 の画面に進む)。
評価途中で保存した
データがリスト表示さ
れる。
これらのボタンで、評価デー
タ入力の再開、リストからの
削除、CSV 形式ファイルのダ
ウンロードを行う。
環境配慮バルブ登
録制度への登録が
完了した製品は、こ
ちらのリストに移動。
図5
マイページの画面構成
37
8.3
評価データの入力
ここでは、新しく製品評価のデータ入力を始める場合の作業を例にとり、その流れを図 6~図 9 に示す。
「新規設計目標値」を選択した場合
は、下の製品名等入力欄は表示さ
れない。
製品種別を選択する
と、その製品向けの評
価項目が図 7 で表示さ
れる。
評価対象製品の製
品名等を入力する。
この画面の下部にチェックシート(図 7)がある。
図6
製品情報入力
各項目の末尾にある「?」をクリックすると、配点区分や評価
に用いる指標等のヘルプ情報が表示される。
データ を 入 力 する と 自
動的に計算され、配点
区分に基づき得点が表
示される。
例えば使用電力等の削減
を評価する項目なら、電力
に関する単位がプルダウ
ンメニューに表示される。メ
ニューにない単位を用いる
場合は「その他」を選び、
備考欄に単位名を入力す
ればよい。
必須項目は★で示され
る。選択項目は、デー
タを入力すると自動的
にチェックが入る。
入力内容は都度保存でき、次回ログイン時に作業を再開できる。
データ入力が終わったらここをクリックし、図 8、
図 9 に進む。
図7
製品評価チェックシート
(注意)
マイページには複数名が同時ログインできるが、チェックシートのデータを修正した場合などには、ロ
38
グインしているメンバーが各自ブラウザの更新ボタンを押さないと、修正内容が画面に反映されない。
8.4
評価結果の確認
データ入力作業が完了するとレーダーチャートが表示され(図 8)
、評価項目の大分類ごとに自社製品の
環境側面の長所短所を一目で把握できるようになっている。
図8
レーダーチャート
また、これは「環境配慮バルブ登録制度」に関係する機能であるが、ユーザー向けの評価結果開示シー
トに掲載する項目名を選択し、自動的に PDF 形式のシートを作成することができる。
シートに掲載
したい項目を
選択。
PDF 生成
図9
評価結果開示シート作成
紙幅に限りがあるため、チェックシートの紹介は以上に留めるが、非常にシンプルでわかりやすい操作
性をもった作りとなっている。すべての会員が環境配慮設計に取組み、このシステムを利用いただければ
幸いである。
9. 関連法令
9.1
国内の主な環境関連法令
バルブの環境配慮設計を進めるにあたり、その内容や改正の動向を常に把握しておきたい国内の環境関
39
連法令を、前項までに言及していない法令も含め、以下 a)~o)に挙げる。通称がある法令については、
括弧内にその通称を併記し、a)~f)には簡単な解説を付した。
a) 資源有効利用促進法(3R 法)
循環型社会を形成していくために必要な 3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを総合的
に推進するための法律。特に事業者に対して 3R の取り組みが必要となる業種や製品を政令で指定し、自
主的に取り組むべき具体的な内容を省令で定めている。10 業種・69 品目を指定して、製品の製造段階にお
ける 3R 対策、設計段階における 3R の配慮、分別回収のための識別表示、事業者による自主回収・リサイ
クルシステムの構築などが規定されている。
b) エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)
工場や建築物、機械・器具についての省エネ化を進め、効率的に使用するための法律(2009 年 4 月改正)
c) 地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)
温暖化防止を目的とする我が国初めての制度で、温室効果ガス 6%削減目標を達成するための土台とな
るもので、京都議定書の温室効果ガス 6 種類を対象にしている。
d) 容器包装リサイクル法(容リ法)
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律。
e) 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)
化学物質の有害性の調査や国による監視(リスク評価)等を行う。
f) 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法)
「化学物質管理促進法」という通称で呼ばれることもある。PRTR は Pollutant Release and Transfer Register
の略。
g) 水道法
h) 特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)
i) 労働安全衛生法(安衛法又は労安法)
j) 下水道法
k) 高圧ガス保安法
l) 水質汚濁防止法(水濁法)
m) 大気汚染防止法(大防法)
n) 悪臭防止法
o) 土壌汚染対策法(土対法)
9.2
バルブに関連したニューアプローチ指令
EU(欧州連合)では従来、製品の安全性に関する規制や指令が各国でばらばらに存在していたが、1985
年にニューアプローチ指令という法体系に、安全に関する全ての指令・規制を一本化した。2015 年現在は製
品の特性ごとに 25 の指令・規則が規定され、それぞれの必須要求事項を満たした製品には CE マーク 18) を
表示すること、又は適合宣言書を作成することが求められている。CE マーク又は適合宣言書がある製品は
欧州域内を自由に流通させることができ、これらがない対象製品は、欧州では流通させることができない。
18)
CE マーク: ニューアプローチ指令に適合した製品に許可される認証マーク。必須要求事項の大半は製品の安全性
にかかわるもの。
40
CE マークに係る指令のうち、主な産業用機械製品・装置に適用される指令は、圧力機器指令(2014/68/EU)、
電磁両立性指令(2014/30/EU)、機械指令(2006/42/EC)である。
バルブ製品においても、欧州市場を考える場合は、これら指令の対象になっているものはその要求事項
を満たす必要がある。直接欧州に輸出しない場合でも、納入先の装置などに使われ、それが欧州への輸出
に関連するときは、顧客から対象指令の要求と同等な管理を求められることがある。
バルブに関連したニューアプローチ指令の一覧を表 6 に示す。
表6
バルブに関連したニューアプローチ指令
指令名称
指令番号
主な対象機器
圧力機器指令(PED)
2014/68/EU
最大許容圧力が 0.5bar を超える容器
・AC1000V、DC1500V 以下の全ての電気・電子機器
・特定有害物質の非含有管理
RoHS 指令
2011/65/EU
低電圧指令(LVD)
2014/35/EU
AC50~1000V、DC75~1500V で使用される電気・電子
機器
電磁両立性(EMC)指令
2014/30/EU
・電気・電子機器一般
・妨害電磁波を出さない、影響されない
機械指令(MD)
2006/42/EC
工作機械など単体で使用される機器で可動部があるも
の(特殊な大型電動バルブが該当する可能性あり)
エネルギー使用製品のエコデザイン
要求事項の設定に関する枠組み指令
(ErP 指令)
2009/125/EC
エネルギー関連製品
防爆(ATEX)指令
ガス器具指令
2014/34/EU
2009/142/EC
爆発性雰囲気で使用する機器
ガスコンロなど
温水ボイラー指令
簡易圧力容器指令
92/42/EEC
2014/29/EU
液体・ガス燃料などを使って給湯する機器など
ガス圧力容器、自動車用ブレーキ用圧搾空気容器等
一般製品安全指令(GPSD)
製造物責任指令(PLD)
2001/95/EC
85/374/EEC
LVD やほかに特定指令対象がない全ての消費者製品
全ての欠陥製品が対象
注) 指令は適時見直しが実施され、新指令に置き換えられているので、常に最新の情報を把握しておく必要がある。
10. 今後の方針(評価項目の改訂等)
本ガイドラインで定めた評価項目(p.10 からの表 2、表 3)は、多種多様なバルブ製品をカバーする必
要があったため、環境配慮設計時の留意点としてはごく基本的な内容に留まっている。しかし、特に製品
評価において、より厳密なアセスメントを行おうとする場合、その製品ならではの独自の項目を設ける必
要性が生じることは十分に予想される。
したがって、本ガイドラインに掲載している評価項目はあくまで現時点での完成版であり、今後はさら
に充実した項目群にしていかなければならない。そのためにも、工業会では、これから実際にアセスメン
トに取り組んでいく会員の意見を存分に取り入れ、評価項目を改訂していきたいと考えている。また、こ
れまで同様、このガイドラインも定期的に見直しを行い、必要に応じて改訂を実施する。
産業全体的な環境配慮設計推進のため、工業会は会員への普及・啓発活動を継続していく。
41
資料
レアメタル一覧
レアメタルの定義は国際的に定まったものはなく、一般的に下表にあるような、埋蔵量が少ないか、埋
蔵量が多くても経済的に抽出が難しい非鉄金属類で、希土類(レアアース)も含まれる。
金属名
元素記号
金属名
元素記号
リチウム
3 Li
ランタン
57 La
ベリリウム
4 Be
セリウム
58 Ce
ホウ素
5B
プラセオジム
59 Pr
21 Sc
ネオジム
60 Nd
チタン
22 Ti
プロメチウム
61 Pm
バナジウム
23 V
サマリウム
62 Sm
クロム
24 Cr
ユウロピウム
25 Mn
ガドリニウム
コバルト
27 Co
テルビウム
ニッケル
28 Ni
ジスプロシウム
66 Dy
ガリウム
31 Ga
ホルミウム
67 Ho
ゲルマニウム
32 Ge
エルビウム
68 Er
ルビジウム
37 Rb
ツリウム
69 Tm
ストロンチウム
38 Sr
イッテルビウム
70 Yb
スカンジウム
レアアース
マンガン
イットリウム
レアアース
レアアース
(ランタノイド)
63 Eu
64 Gd
65 Tb
39 Y
ルテチウム
71 Lu
ジルコニウム
40 Zr
ハフニウム
72 Hf
ニオブ
41 Nb
タンタル
73 Ta
モリブデン
42 Mo
タングステン
74 W
パラジウム
46 Pd
レニウム
75 Re
インジウム
49 In
イリジウム
77 Ir
アンチモン
51 Sb
プラチナ
78 Pt
テルル
52 Te
タリウム
81 Tl
セシウム
55 Cs
ビスマス
83 Bi
バリウム
56 Ba
42
■参考文献
本ガイドラインを作成するにあたり、主に以下の文献を参考にした。
1) 「再生資源の利用の促進等に資する製品設計における事前評価マニュアル作成のガイドライン」(産
業構造審議会廃棄物処理・再資源化部会、1994 年 7 月)
2) 「TR Q 0007:2008 環境適合設計」(日本規格協会)
3) 「新版バルブ便覧」(編: 社団法人日本バルブ工業会、発行: 日本工業出版)
4) 「バルブ産業ビジョン 2007」「バルブ産業ビジョン第 3 期計画」(社団法人日本バルブ工業会)
5) 「バルブ製造業における PRTR 排出・移動量算出マニュアル」
(社団法人日本バルブ工業会)
6) 「省エネルギー便覧 2010」
(財団法人省エネルギーセンター)
7) 「LCA 概論」
(著: 伊坪徳宏・成田暢彦・田原聖隆・青木良輔、監修: 稲葉敦、発行: 産業環境管理協
会)
8) 「ISO14000 のための環境影響評価」
(著: 市川芳明・ 山田賢次、監修: 福島哲朗、発行: 日経 BP 社)
9) 「主要 EC 指令と CE マーキング―EMC 指令に適合するための基礎技術」
(著: 鈴木茂夫、発行: 工学
図書)
10) 「CE マーキング対応ガイド」
(日本規格協会)
11) 「環境適合設計の実際」
(編: 市川芳明、発行: オーム社)
12)「WEEE/RoHS, ELV, REACH の要求事項に対応した有害元素分析と代替え技術」
(編・発行: 技術情報
協会)
13)「改正 RoHS Directive 2011/65/EU OF THE EUROPEAN PARLAMENT AND OF THE OUNCIL of 8 June
2011 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronics equipment (recast)
和訳」(有限会社イーアイイー)
14)「IEC/TR-62476:2010
ス
電気電子機器における物質の使用制限に対する製品の評価のためのガイダン
仮訳」
(一般社団法人東京環境経営研究所)
■制作
一般社団法人日本バルブ工業会
主 査
浅井
修
委
古谷
元洋
員
技術委員会環境ワーキンググループ
株式会社キッツ
アズビル株式会社
藤原 昌憲
株式会社三栄水栓製作所
桶川 智也
株式会社タブチ
福本 丈登
株式会社テイエルブイ
小林 一穂
東洋バルヴ株式会社
砥川 裕行
TOTO 株式会社
長野 誠二
日立バルブ株式会社
吉原
株式会社フジキン
豊
佐藤 浩司
株式会社 LIXIL
問
渡辺
正春
NPO 法人武蔵野・多摩環境カウンセラー協議会
事務局
松野
孝彦
一般社団法人日本バルブ工業会
顧
43
バルブ製品アセスメントガイドライン
―バルブの環境配慮設計―
平成 23 年 3 月 21 日 第 1 版発行
平成 25 年 4 月 1 日 第 2 版発行
平成 28 年 9 月 9 日 第 3 版発行
一般社団法人日本バルブ工業会
http://www.j-valve.or.jp/
〒105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8 機械振興会館 5F
Tel. 03-3434-1811/Fax. 03-3436-4335
E-Mail: [email protected]
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