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第3回「ハンガリー旅の思い出」2006年コンテスト作品
第3回「ハンガリー旅の思い出」2006年コンテスト作品 桂川さんの作品 ハンガリーのドライブ旅行 友人が、オーストリアのウィーンとクロアチアのザグレブにいる機会を利用して中欧を夫婦二人でドラ イブ旅行を計画し、途中に昔から訪れてみたかったブタペストを訪問しました。 アメリカでの右側通行には慣れていましたが、欧州での運転は初めてで、出かける前の1ヶ月は、イン ターネットにかじりついて、欧州の運転事情の調査を一生懸命行いました。ここで役に立ったのが、「ハ ンガリー政府観光局東京事務所」のHPの”Hungary Travel Guide”と、「ブリジストン」の「ヨーロッパの交 通標識とルール」、および不案内の地理を補ってくれた道路案内の”Map 24”です。これらのHPから、 ウィーンのレンタカー会社からブタペストのホテル、ザグレブにいたる道すがら立ち寄った”Herend”の工 場およびザグレブへの道路を必死になって頭に詰め込みました。(政観注:「ヨーロッパの交通標識とルール」の HPは廃止された模様です。) 日本も国際化して、交通標識もかなり共通になっていますが、追い越し禁止、市街地の開始と終了標 識、ロータリーの優先順位など、昔ヨーロッパで車に同乗したときに感じた違いを確認することができ、 またホテルなどにいたる道筋も、一方通行を含め事前に把握することが出来たので、かなり安心して日 本を出発できました。ただしMap 24は、出発地から目的地まで、住所を入力すると国を超えてすべての 道筋を案内してくれますが、推定時間は平均100Km/hとかなりのスピードで計算されていて、渋滞 や工事中、運転の不慣れなどを考えると、十分余裕をみることが必要です。 まずは5月30日、快晴のウィーンを出発、早速高速道路に乗り損ねながら何とかハンガリーの国境へ 到着し、簡単な入国審査(車に乗ったままパスポートを出すだけ)を済ませ、レストランでEURをFtに交換 し、4日間の高速道路利用シールを貼って、勇躍ハンガリー国内の高速道路M1を疾走。オーストリアよ り、高速道路の標識が見やすいと喜んだのもつかの間、ブタペストに入る前に高速道路と一般道路の 区別がつかなくなり、早速道を間違えてしまいました。高速道路には料金所はなく、利用シールを貼って 通行し、検問で違法が見つかると高額の罰金が科せられるというシステムなので、どこが高速道路の終 わりなのかは、標識ひとつだけが頼りです。闇雲に走るうち何とか目的のドナウ川を越えましたが、どの 橋かわからず、ブタペストの市内の工事区間に遭遇、路面電車と車の波に飲まれて、昭和30年代に東 京都内を車で運転していたことを思い出しながら地図を頼りに、大使館の多くある地域のホテルに到着 しました。 ホテルは、ペスト側にある英雄広場に近いBenczurホテルで、これもインターネットで三ツ星という条件 で探したものですが、予約の情報をインターネットで入れると、早速次の日には回答が来るという対応も すばらしく、またホテルも三ツ星以上の感じで快適な二晩を過ごしました。 慣れない市内なので車はホテルの駐車場に止めて、早速地下鉄の中心地、デアーク広場のインフォ メーションセンターで、ブタペストカード48時間物を買い、署名、時間の記入を行って地下鉄での移動を 開始し始めました。その前に小用をたしたくてトイレをさがし、標識に従い地上に出ても見当たらず、掃 除をしている人に聞くと、笑って目の前の地下道を指差します。なるほどWCと書いてあり、地上の建物 ではなく地下にトイレだけが独立して掘られていました。利用料は、80Ftです。 ウィーンもブタペストも地下鉄の改札はまったくなく、自分でブタペストカードや切符を買って、刻印を押 して電車に乗り込みます。昔から10回以上訪問したウィーンでは一度も検札にあったことはなかったの ですが、ブタペストでは2日間で3回の検札がありました。これもお国柄なのでしょうか。 次は家内の希望に従い中央市場へ直行しました。地下鉄で2駅、カルビン広場からドナウ川河畔に 向って5分、二階建ての広大な市場です。 肉類、野菜などその豊富さと、野性味のあふれた品ぞろいに圧倒されましたが、家内の目当てはパプ リカで、辛いの、甘いの、瓶詰め、チューブ入りなどをお土産として買い込みました。市場の二階は、刺 繍などの民芸品が並んでいて、軽食なども出しています。 その後、今両国にある暦展示館に出入りしていることから、ハンガリーの古い暦を集めたくて、アンド ラーシ通りの古本屋へ入り、1928年、29年などのカレンダーに関係した本を数冊購入し、これからマ ジャール語を読み解いていく楽しみが出来ました。 夕食はガイドブックで地元の人が行くという、ノーチャック・ヴェンデーグルーという店に入り込みまし た。ガイドブックのとおり周りはみななじみのお客さんらしく、テーブル越しに話が弾んでいた。残念なが ら言葉がまったくわからず、交流することは出来ませんでしたが、二人でゆっくり肉と鳥などのハンガ リー料理を、ワインを飲みながら堪能しました。味や分量は程よくパプリカの味もマイルドで、日本人の 私たちにも素直に食べられるすばらしいものでした。 ブタペスト2日目は、観光バスで、全体を見ておくことにして、デアーク広場のバス発着場より英雄広 場を経由して、ブタ側のゲッレールトの丘で、ドナウ川をはさむブタペストの全景を楽しみました。 丘の上に連なるブタ側の町と平坦なペスト側の町が、ドナウ川をはさんで対照的で、またそれぞれの 建物が歴史を感じさせる落ち着いた眺めになっていて、しばらくはうっとりと眺めておりました。続いて 王宮の丘にまわり、王宮、マチャーシュ教会などの建物を鑑賞、王宮地下迷宮には残念ながら入る時 間がなかったのですが、ゴシック様式の教会のつくりに見とれました。 国会議事堂は装飾がすばらしく、950年受け継がれた王冠の展示室内は、歴史を大切にする国民 の気持ちが伝わってきました。本会議場も高い天井に電子投票装置を設置した議員席など、新旧を織 り交ぜたつくりで、これでは牛歩戦術もきかないかもしれませんが、議場の外には議員の葉巻を点けた まま置いておく灰皿が並び、演説の長さが計れるとの説明に、長時間の演説による審議延長などの駆 け引きも行われるのではないかと想像しました。 観光バスをおり、次に向ったのがデアーク広場の地下にある、地下鉄博物館です。ブタペストは、欧 州大陸では最初の地下鉄が開通したところで、その工事の状況や当時の車両など、興味深く観察しま した。最初に開通した英雄広場へ向うM1は、今でも3両編成のそれも短い車両が使われており、ホー ムから地上へもほんの数メートル上がるだけで、本当に道路の真下を掘って蓋をしたというのが実感さ れる、歴史を感じさせる地下鉄で、東京の銀座線と一脈通じるものがあります。写真は英雄広場駅の 切符売り場で、天井の鉄板のすぐ上は道路です。 3日目はブタペストを後にしてクロアチアへ向う日ですが、なんとしても有名なブタペストの温泉に入り たくて、朝5時過ぎに起き、6時から開いているというセーチェニ温泉に出かけました。ホテルから歩い て10分ほど、公園の中にある宮殿のような温泉です。 中に入ると数㎡の檻があり、そこに入って着替え、係りの人が鍵をかけて監視してくれるシステムで、 パスポートなどの紛失の心配をしていたのが取り越し苦労のようです。事前に用意した水着に着替え て早速探検を始めました。10人から20人ほど入れる小型の温泉が、温度ごとに別れており、 38℃~36℃、36℃~34℃等2℃刻みで表示されているところに、思いおもいくつろいでいる老人が 多く見られました。日本より低温のようです。 扉を開けて露天に行くと、そこは25mのプールと、回転プール、ジャグジープール、そして少し暖かい プールがあり、ここでは早朝にもかかわらす若い男女が楽しんでいる姿もありました。ここの写真を撮り たかったのですが、温泉ということで、カメラを持ち込まなかったので、残念ながら写真はありません。 入場料は、2300Ftですが、2時間以内だと帰りに700Ft返金となり、2時間ほどで出てくるのではな く、もっと長く楽しむものだということを悟りました。各プールには、20分を限度に一度上がるようにな ど、注意書きがあります。何しろ日本では考えられないほどの豪華な建物で、大きく広く、これに匹敵す るのは、常磐ハワイアンセンターかもしれません。 2日間楽しんだブタペストを後にして、一路クロアチア国境へ。途中バラトン湖の北にある、ハンガ リーの名品ヘレンドの工場に立ち寄りました。 工場は、田園地帯にあるこじんまりした建物の集まりで、工程を観察できるミニ工場をマジャール語 の案内に従って見学しましたが、瀬戸や備前などの工程を見ているので、大体は理解でき、きれいな 絵付けを丁寧にしている女性の姿は、ベトナムのバッチャンの陶器工場で絵付けをしていた少女の姿 に重なりました。すばらしい製品を眺めながら懐と相談の上、一品を購入し、工場を後にしました。 バラトン湖の南岸の高速を快適に走ること30分、突然高速が切れて一般道に入りました。といっても 高速は乗用車130Km/h、一般道は90Km/h、市街地は50Km/hという制限速度で、ビュンビュ ン飛ばす車が多く、特にトラックなどの後に10台ほどもつながっても、後ろから遠慮なく追い越しをか け、対向車が来ると強引に割り込みをかけて避難し、またすぐに追い越しをかけるという、恐れていた 状況に巻き込まれました。はじめは右側通行、マニュアル車、なれない交通常識ということでおとなしく していましたが、そのうちにこちらも車の流れにのらなければという気になって、国境近くに来たときは、 ほとんど負けないで運転することができるようになりました。 このようなわけで、何とか無事クロアチアへの国境に到達し、パスポートに判をもらって、出国しまし たが、ヘレンドでの買い物の免税手続きをどこでするかわからないままクロアチアへ入ってしまったの で、残念ながら税金は戻ってきませんでした。この点は事前にもっと勉強して、車での越境のときの通 関を調べておくべきだと残念に思っております。ヘレンドでもらった免税手続きの案内書にも、車での時 の説明がありませんでした。 振り返ってみると、ハンガリーは、今回訪問したオーストリア、クロアチアと比較して、物価が一番安い ような気がしました。3カ国とも落ち着いて、安心できる国で、楽しい時間を過ごせたことが何よりです。 今回は、旅行計画を立てるのにインターネットをフルに利用しましたが、ハンガリーも観光案内が充 実しており、居ながらにしてかなり詳しい旅行計画が立てられますので、大いに利用されることをお勧 めします。 2006年8月