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燃料電池向け水素の現状と課題
燃料電池向け水素の現状と課題 燃料電池向け水素の ・水を分解すると酸素と水素が得られますが、燃料電池は、その反対のプロセ 特徴と性質 スを利用。 ・水素と酸素を直接燃焼反応させるのではなく、陰極と陽極で水素と酸素を反 応させる電気化学反応を用いて、水素の持つ化学エネルギーを電気エネルギ ーに変換。 ・燃料電池からはクリーンなエネルギーが得られるので注目され、開発が進ん でいますが、コストや発電効率にまだ解決すべき多くの課題がある。 <燃料電池の特徴> ①発電効率が40∼50%と高く、同時発生の熱を利用すると、総合のエネルギー 効率は80%(コージェネレーション、熱電供給) ②発電ではH2Oしか出ない。NOx、SOxなどの大気汚染物質を排出しない ③低振動、低騒音で、コンパクトで、建設も容易 ④多様な原燃料の利用が可能 ⑤今後の大きな課題はコスト低減と高出力密度化 ・燃料電池の種類 第1世代・リン酸型(PAFC):低温型、業務用、工業用 第2世代・溶融炭酸塩型(MCFC):中温型、大規模発電用 第3世代・固体酸化物型(SOFC):高温型、分散電源用 第4世代・固体高分子型(PEFC):低温型、自動車・家庭用 <水素エネルギーの特徴> 有 ①燃焼生成物が水だけで、クリーン 利 ②原料として豊富な水を使用することが可能で、資源上の制約をなくす な ことができるる 点 ③水から生成され、燃焼して水に戻るサイクルを使えば、地球の物質循 環を乱さない ④貯蔵が比較的容易 ⑤石油代替の流体エネルギーとして自動車・航空機燃料として使用可能 ⑥燃料電池燃料源として高効率エネルギー ⑦水素と金属、合金との可逆反応がエネルギー変換機能を有し、広範な 用途 ⑧水素と炭素原料とからの炭化水素として化学工業材料に利用可能 注 ①軽く、拡散速度が大きく、漏れやすい 意 ②爆発範囲が広く、その下限濃度が低い す ③発火エネルギーが小さく、着火しやすい べ ④単位質量当たりの発熱量は高いが、単位体積当たりの発熱量が低い き ⑤必要な時、必要な速度で、必要量を供給できるか 点 ⑥運送・貯蔵法の安全性、効率性 ⑦効率の良い水素エネルギー変換ができるか 製造方法(水素) 方法 原料 水 炭化 蒸 水素 気 改 質 法 メタノ ール メタン プロパ ン、ブ タン 部 炭化水 分 素 酸 化 法 内容 反応式 原料はナフサ軽質油、天然ガス、石油精 CmHn+mH2O 製オフガス(プロパン、ブタンなど)の =mCO+(m+n/2)H2 炭化水素。 0.5∼2Mpa、700∼850℃で、NiO触媒で水 蒸気と反応させ、CO、CO2H2の混合物であ る合成ガスを発生させ、分離精製。 工程は脱硫工程、水蒸気でCO、H2を生成 する改質工程、COを低減するCO変性工程、 CO2吸収工程、メタン化工程。 蒸発のための熱が必要で、250℃の熱が要 CH3OH+H2O=CO2+3H2 る。シフト反応で残るCOは微量の空気を CO+H2O=CO2+H2(シフト 混ぜてCO2に変換(CO選択酸化) 反応) 改質反応はNi触媒下で1∼3MPa、600∼900 CH4+H2O ℃で行われ、水性ガス化反応条件はFe-Cr =CO+3H2(改質反応) 触媒下で300∼450℃が選ばれる。 CO+H2O=CO2+H2(水性ガ 天然ガスの改質であり、都市ガスと水蒸 ス化反応) 気とを反応させる方法もある。 CH4+2H2O=CO2+4H2 600℃以上で改質 C4H10+nH2O→CO2,H2,C 改質前に硫黄分を除去し触媒被毒を避け H4,CO る。 CO+nH2O=CO2,H2(シフ ト反応) 2CO+O2=2CO2(選択酸化 反応) 原料炭化水素を酸素、空気、水蒸気など CmHn+m/2O2 と無触媒で常圧から5MPa、1300℃で反応 =mCO+n/2H2 させ、CO、H2の合成ガスを生成。 CmHn+mO2 触媒を使用しないので、原料中の不純物 =mCO2+n/2H2 の制約がなく、広範囲の炭化水素のガス CmHn+mCO2 化が可能 =2mCO+n/2H2(CO2改質) - 55 - 燃料電池向け水素の現状と課題 メタノ ール部 分酸化 改質 メタノ ール併 用改質 副 製鉄副 生 生ガス 水 素 食塩電 解副生 ガス 水 水 の 電 気 分 解 熱 化 学 サ イ ク ル 法 光 化 学 分 解 生 物 反 応 テキサコ法とシェル法プロセスが主流 空気を添加してメタノールを燃やしなが CH3OH+1/2O2+2N2 ら改質。発熱するので、外から熱を加え =CO2+2H2+2N2 る必要はなく、始動は早いが、窒素が残 (400∼600℃) り水素濃度が低くなる。 オートサーマル。水蒸気改質と部分酸化 CH3OH+1/3O2+4/3N2+1/ の長所を取り入れたもので、原料の一部 3H2O を部分酸化し、その熱で水蒸気改質を行 =CO2+7/3H2+4/3N2 う。 (200∼600℃) 石化プロセス、製鉄、石油精製からの副 石炭(CmHnOpNrSq)→コ 生法。 ークス、コークス(H2, 石炭を1000℃で乾留するとコークスとと CH4,CO)ガス、脱硫、 もに液状タールとコークス炉ガスが得ら 分離してH2 れる。コークス炉ガスは55%がH2で、CH4、 COなども含む。 イオン交換膜法、隔膜法で、食塩水を電 2NaCl+2H2O→ 気分解し、Ti/RuOの陽極、Fe陰極を用い、 2NaOH+Cl2+H2 陰極室にNaOHとともに純度の高いH2が発 生。 25∼30%のKOH水溶液を電解質とし、陽極 2H2O=H2+O2 にNiメッキした鉄、陰極に鉄を用い、60 陽極2OH∼90℃、電圧1.9∼2.5Vで電気分解し、純 =1/2O2+H2O+2e度の高いH2が得られる(アルカリ電解)。 陰極2H2O+2e水電解に必要なエネルギー△HはGibbsの =H2+2OH自由エネルギー△Gを電気エネルギーで、 高分子電解質膜水電解 T△Sを熱エネルギーで加えて得られる。 法は起動が早い(パー 電解には高導電性イオン交換膜を用い低 ジ、昇温が不要) 温で作動する固体高分子電解質膜水電解、アルカリ無添加 ZnO2などの固体電解質を用い900℃で水蒸 気を電解する高温水蒸気電解の3種類が ある。 1000℃以下の温度で何段かの熱化学反応 GA法 を組み合わせて水を分解する方法。 2H2O+SO2+I2 CaO、CaBr2、FeO4、FeBrを用いるUT-3サ =H2SO4+2HI(97℃) イクル、 H2SO4 MgO-SO2、I2サイクル、鉄、臭素サイクル、 =H2O+SO2+1/2O2(800 I2とSO2を循環物質とするISサイクル(G ℃) A法) 2HI=H2+I2(500℃) などの方法が開発されている。 光エネルギーを用いて水を水素と酸素に 2H2O=O2+4e-+4H+ 分解し、水素を得る方法。光エネルギー 2H++2e-=H2 の移動媒体として用いられるのが半導体 (TiO2)。 半導体光電極による水の光分解反応で、 陽極にn型半導体のTiO2、陰極にPtを用い て構成され、両極を結んで半導体電極に 太陽光を照射すると電解質溶液の水が分 解され、半導体電極の表面からO2が、Pt 電極の表面からH2が発生。 嫌気性酵素ヒドロゲナーゼ、ニトロゲナ 基質+バクテリア ーゼなどや、クロスデリウムやエンテロ =H2 バクターなどの発酵水素発生バクテリア C6H12O6+6H2O や、アナバエナやロードバスターなどの =6CO2+24H++24e光合成微生物がグルコース、セルロース、 ヒドロゲナーゼで12H2 澱粉、タンパク質を基質として水素を発 生させる。 その発生速度はエタノール発酵よりも早 いものがあり、生ゴミ2000万tから光合成 で水素20億Nm3/年が発生できる。 製造コスト(概算) ①第13回燃料電池実用化戦略研究会資料(H17.4) ・「燃料電池・水素関連の技術開発状況と対応の方向性について」(エネ庁燃料 電池推進室) (1)水素の価格目標(燃料電池自動車用) 2005 開発・導入期 2010 普及期 2020 本格普及期 150円/Nm3 80円/Nm3 40円/Nm3 (2)燃料電池自動車スタックコスト 2005 開発・導入期 2010 普及期 2020 本格普及期 数百万円/kW 5千円/kW 4千円/kW (3)定置用燃料電池システム製造価格 2005 開発・導入期 2010 普及期 2020 本格普及期 800万円 120万円(2008年) 40万円 - 56 - 燃料電池向け水素の現状と課題 (参考)国の導入目標 2010 普及期 210万kW 5万台 約4万トン 約500箇所 定置式燃料電池 燃料電池自動車 水素需要 水素ステーション数 2020 本格普及期 1,000万kW 500万台 約58万トン 約3,500箇所 ②新日本石油「水素エネルギーおよび燃料電池の開発状況について」 (H17.6.2) ・水素製造コストの比較 水素生産能力 高純度水素製造・精製コスト(円/Nm3) (万Nm3/日) 石油精製 鉄鋼COG 100 11.1 16.3 60 11.4 16.9 30 12.0 18.1 (注)鉄鋼COGからの水素製造・精製コストは、平成11年度WE-NET報告 書からの引用 【参考】 原料 製造コスト COG 16∼21円/m3 天然ガス 28.8円/m3 ナフサ 19.9円/m3 図解新エネルギーのすべて((社)化学工学会) 製造上の課題 ①燃料電池の基本性能の向上 ・燃料電池スタック、改質器、水素燃料貯蔵、全体システム等について、高効 率化、耐久性等の向上が必要 ②経済性と性能の向上 ・自動車用燃料電池では、現在の自動車エンジンのコストと同程度(車両価格 で既存の内燃機関自動車比1.2倍)が必要で、1kW当たり4千円が目標 ・水素燃料一回充填あたりの航続距離でも、従来の自動車と同程度以上(80 0㎞)が必要で、水素車載量7㎏の実現が必須 ・定置用燃料電池では、エンドユーザー負担を50万円/台以下にすることが 目標であり、耐久性では、9万時間、4千回の起動停止が必須 ③燃料開発と水素価格 ・燃料電池で利用する水素の製造、貯蔵、輸送方法が供給インフラ整備と併せ て大きな課題。 ・今後の技術革新に期待される部分が大きいが、現時点では、多様な方式につ いて開発競争が進められている。 ・水素価格は、現在のガソリン価格と同水準となる40円/Nm3が目標 ④基準・標準等のソフトインフラの整備 ・安全性・耐久性等の基準や機器等の基準・標準について、国内的・国際的整 備に積極的に取り組む必要がある。 供給体制構築上の [自動車用] 課題 自動車企業にとっての燃料電池自動車の開発は、企業イメージの向上とともに、 将来の生き残りをかけての開発プロジェクトとして位置付けられる。世界の主 要メーカーが凌ぎを削っているが、膨大な開発費と水素インフラの不確実性の ために、独自開発を躊躇する企業も存在している。 対抗技術であるハイブリッド自動車の開発が急速に進み、現状では燃料電池車 にも見劣りしない高効率を達成し、現実の市場でも熱狂を持って受け入れられ ている。 燃料電池の研究開発が進展するに従って、より本質的な壁が顕在化している。 100年以上かけて熟成されてきた自動車は、今日では極めて完成度が高く、 無駄がない。こうした既存の自動車に互して、燃料電池自動車が市場に浸透し ていくには、燃料電池の価格を現状の100分の1程度まで低減させなければ ならない。これには、当初イメージされていたような単純な量産効果や従前か らの原価低減手法では、到達できないと見られるようになってきている。 水素インフラの整備もこれからであり、その整備には時間と費用が係る。特に 水素ステーションにおけるイニシャルコストが法規制から高くならざるを得 ず、水素供給コストに影響するため、インフラ整備が進んでも、普及に生涯と なる可能性がある。 関係法令・税制上の H14.10 課題 燃料電池実用化に関する関係省庁連絡会議 産業界からの検討要望項目(6法律28項目)に関して、安全性の確 保を前提としつつ、検討を行い、スケジュール等を取りまとめ H16.3 水素をエネルギーとして利用する燃料電池の初期段階での導入を想定 した規制の見直しが完了 ・6法律:高圧ガス保安法、道路運送車両法、道路法、建築基準法、消防法、 電気事業法 ・導入初期段階での規制の見直しであり、普及段階に向け更なる規制見直し(基 準づくり)が必要 - 57 - 燃料電池向け水素の現状と課題 国 ・経産省の取組状況 ①水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)(H14∼H17年度) ・国内初、大規模な燃料電池自動車実証走行による研究 ・世界初、異なる燃料・製造方式による水素ステーションの並行運用 ・東京・横浜を中心に10カ所の水素ステーション ・愛・地球博でのFCバス8台運行用の水素ステーション 等 ②燃料電池実用化戦略研究会 H11.12 設置(経済産業省資源エネルギー庁長官の私的研究会) H13.1 「燃料電池実用化戦略研究会報告」の取りまとめ 燃料電池の意義の明確化、燃料電池実用化・普及に向けた課題の整理、 課題解決の基本的な方向性の提示 H13.8 「個体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用技術開発戦略」を策定 固体高分子形燃料電池関連技術の現状レベルの整理、システム及び個 別要素技術の開発目標の設定、最重要課題の特定、技術開発における 産学官の役割分担の明確化 ③「固体高分子形燃料電池/水素エネルギー利用プログラム」(H13.8)策定 固体高分子形燃料電池関連の技術開発予算や関連の施策を体系化 ④「JEVA電気自動車フォーラム」(H13年度∼) ・日米欧政府による燃料電池自動車の開発状況に関するパネルディスカッショ ン等を実施 ⑤産業技術総合研究所固体高分子形燃料電池先端基盤研究センターの設立 ・直面する技術的課題と非常に厳しいコスト要求に対し、根本的な「既知の物 理限界」の打破に繋がる独創的研究の遂行 ・国交省の取組状況 [燃料電池自動車] ①自動車メーカー4社が実施した燃料電池自動車公道走行試験の大臣認定 ②H11年度∼「燃料電池自動車技術評価検討会」を開催 ③H14年度∼「次世代低公害車開発促進事業」のおいて実証試験を実施 ④H12年度∼「燃料電池自動車国際シンポジウム」の開催 [定置用燃料電池] ①H11年度∼住宅用燃料電池の導入・実用化に関する調査研究 ②H13年度∼エネルギー資源の自立型循環型住宅技術の開発委員会による検討 ③水素貯蔵・供給技術としての液体有機ハイドライドを利用した研究開発プロ ジェクト(北海道大学)や、積雪寒冷で広域分散型社会である北海道におけ る燃料電池活用型社会形成についての調査を実施 ・環境省の取組状況 ・神戸市ポートアイランドにおいて廃棄物を活用した生ゴミバイオガス化燃料 電池(りん酸形定置用)発電施設の実施検証事業を実施 ・生ゴミのメタン発酵による燃料電池等を設置する地方公共団体に対してその 設置費用を一部助成するとともに、グリーン購入法による特定調達品目とし て燃料電池を指定 ・H13年度∼「低公害車フェア」燃料電池車の展示を実施 ・農水省の取組状況 バイオマス資源を用いた燃料電池に使用しうる各種燃料製造の研究を実施 ・政府の取組状況 ①小泉総理によるイニシアティブ H13.12 総理、関係閣僚、各会派代表等による燃料電池自動車試乗会開催 H14.2 施政方針演説において、燃料電池の3年以内の実用化を目指す旨発言 H14.4 閣僚懇談会発言 燃料電池自動車市販第1号の政府率先導入を指示 H14.12 政府の燃料電池自動車納車式 ②副大臣 燃料電池プロジェクトチーム H14.2 経産省、国交省、環境省からの5副大臣により発足 燃料電池自動車及び定置用燃料電池の開発・普及施策の拡充・強化に向けた検 討を実施 ③率先導入 H14.12 燃料用電池自動車5台を政府として率先導入 経産省敷地内に移動式の水素供給設備を設置 H15 経産省、国交省、環境省に燃料電池自動車3台追加導入(計8台) H17.4 首相公邸に世界初の市販燃料電池を導入 荏原バラード製、松下電器産業製各1台 ④燃料電池実用化に関する関係省庁連絡会議 H14.5 内閣官房に設置(関係省庁:内閣官房、内閣府、警察庁、消防庁、経 済産業省、国土交通省、環境省) H14.10 規制の再点検の道筋を取りまとめ(6法律28項目) H16.3 規制の再点検(6法律28項目)の見直しの完了 - 58 - 燃料電池向け水素の現状と課題 他府県 道内 ・市町村 愛媛県 ・H17年度 NEDO実施・定置用燃料電池大規模実証事業 ・愛媛県、松山市、今治市の1県2市が間接参加 ・愛媛県に精油所をおく太陽石油(東京)がNEDOの助成を受けて行う実証試験 ・1県2市が計4カ所で保有施設を実験場として提供 ・県は県庁舎と中央児童相談所、松山市は中央消防署城北支所、今治市は養護 老人ホーム清流園 ・この事業で自治体が設置場所となる事例は他にない ・実験期間はH17.9から2年間 ①稚内市 ・風力発電と燃料電池を組み合わせたエネルギーシステムの導入に向けた調査 を同市において実施する予定 ②別海町 ・国土交通省北海道局では、H16∼17年度に北海道大学で取り組んでいる有機 ハイドライドを活用した事業のうち、バイオガスを燃料電池に活用する実証 試験を同町において実施 ・企業 (研究開発状況) 北海道ガス ・H17秋から家庭用燃料電池を使ったコージェネレーション(熱電併給)シス テムの実用化 ・寒冷地で使いやすいよう室内設置型を利用、5−10台弱を実際の住宅に据 え付け、天然ガスから電気や湯をつくる。設置工事代を含めコストを現在の 約1割の1台100万円程度に引き下げたうえで、2008年をめどに市場に本格 投入する計画。 ・H17年度は松下電器産業と荏原バラード(東京・大田)がそれぞれ東京ガス と共同開発した機種を導入 ・この機種は室外設置型のため、凍結防止や放熱ロス抑制のため住宅の中に置 けるようにする方向でメーカーに改良を要請 ・改良機は10月をめどに設置 ・北ガス社員宅を対象にする方針だが、1−2台は社外公募する可能性もある。 ・新エネルギー財団がシステムの実証と普及に向け今年度から3年間、設置費 を補助する制度(05年度は1台最大600万円)を創設。北ガスは同制度を事 業化や市場投入機開発に向けたノウハウ蓄積などに活用 ・研究会組織 稚内新エネルギー研究会 ・H17.3設立 ・「環境と経済の好循環のまちモデル事業」(環境省委託事業)に応募中 ・事業の中で、不安定な風力を水素製造に有効利用し、風力エネルギーと燃料 電池の連携を行うこととしている。 大学 北海道大学 ・有機ハイドライドを活用した水素貯蔵・供給技術の研究・開発 ・NEDOの先導的基礎技術研究開発事業を活用した固体高分子形燃料電池の開発 (H16∼17年度) 民間 ・企業の研究 ①トヨタ自動車(株) ・エミッション・ゼロのエコカーを目指して、H4から燃料電池車の研究開発に 着手 ・ハイブリッド技術の進化系として、独自の技術による世界トップレベルの燃 料電池ハイブリッド車・FCHV(Fuel Cell Hybrid Vehicle)を開発 ②日産自動車(株) ・H14 国土交通大臣認定を取得し国内公道での走行試験を開始 ・H15 当初計画を2年前倒しし、更なる改良を加えた03年モデルの限定リース 販売を開始 ③本田技研工業㈱ ・4世代の実験車を公開 H11.9 燃料電池車実験車両「FCX-V1」「FCX-V2」の発表 H12.9 4人乗りの実験車両「FCX-V3」 H13 走行性能向上、衝突時の安全対応を行なった実験車両「FCX-V4」 ・H14.7 「FCX」が米国における販売要件である米国環境保護庁(EPA)カリ フォルニア大気資源局(CARB)の認定を、燃料電池車として世界初 取得 ・H14.12 内閣府とロスアンゼルス市に「FCX」を1台ずつ同日に納車 ・H16末までに、日米合わせて30台程度を限定販売 ・H17.1.27∼H17.4.30とH17.11.1∼H18.4.30の間、道に対し寒冷地仕様の燃料 電池車をリース車として納入。道では公用車として使用し、普及啓発活動に - 59 - 燃料電池向け水素の現状と課題 活用(担当課:資源エネルギー課)。 ④ダイムラー・クライスラー日本(株) ・H3 燃料電池技術の研究、開発、試験を開始 ・H6 世界初の燃料電池車NECAR 1(ニュー・エレクトリック・カー/ネッカ ー)を発表 ・H13 NECAR 5にて燃料電池車として日本初の国土交通省の大臣認定を取得、 公道試験を実施 ⑤ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(株) ・H10春、米ゼネラルモーターズ(GM)は、自動車向け代替動力源として燃料 電池を研究開発するため、燃料電池事業本部(FCA)を設立 ・FCAは2010年末までの燃料電池自動車の市販開始を目指している ・米・ミシガン州ウォーレン、ニューヨーク州ロチェスター、カリフォルニア 州トーランス、ドイツ・マインツカステルの計4拠点にある研究開発センタ ー(500名以上のエンジニアが所属) ・H12 東京にFCAの日本支部を設置 ⑥三菱自動車工業㈱ ・ダイムラー・クライスラー社の協力を得ながら、燃料電池自動車の実用化を 目指し開発中 ⑦スズキ(株) ・ゼネラルモーターズと協力して、燃料電池車の開発中 ⑧新日本石油(株) ・エネルギーの安定供給や環境問題を踏まえて、天然ガス(LNG)、燃料電池・I PP(電力卸売)・風力発電など、さまざまな新エネルギー事業にも積極的に 取り組んでいる。 ・燃料電池の開発においては、H15.2に、世界初となる家庭用燃料電池の一般 家庭向けモニターテストを開始 ⑨コスモ石油(株) ・H13 家庭用定置型燃料電池システム開発で、ブタン燃料の試験機の実証化 に成功 ・現在はすべての家庭で利用可能な、灯油を燃料とする試験機の完成を目指し て取り組んでいる ⑩昭和シェル石油(株) ・中央研究所を中核に、石油製品や非石油製品、新エネルギー、燃料電池関連、 環境分野などの基礎研究から、製造開発および技術サービス分野まで、広範 囲な研究活動実施 ⑪東京ガス(株) ・天然ガスの新しい用途として期待されている燃料電池については、1980年代 から開発に取り組み、すでに業務用オンサイト燃料電池の実用化 ・固体高分子形燃料電池を用いた家庭用コージェネレーションシステムの開発 も推進 ・将来実用化が期待されている燃料電池自動車の普及のために、天然ガスをベ ースとした水素供給インフラ整備のための技術開発に取り組む ⑫岩谷産業(株) ・燃料電池自動車に使用される「水素」において、約50年の歴史と国内40数% のトップシェアを誇る。 ・創業者・岩谷直治現名誉会長の「究極のクリーンエネルギーは水素」である という信念に基づき、S53には日本初の「商業用液体水素プラント」を建設。 ・S61に打ち上げに成功したH-1ロケットへの液体水素の供給をはじめ、武蔵工 大液体水素自動車の支援、スラッシュ水素製造実験の成功など、その他多く の実績と経験あり ・全国で水素製造工場13ヵ所、その他高圧ガス充填工場120ヵ所のネットワー クを保有。全国各地で素早く液体水素を供給することが可能 ⑬新日本製鐵(株) ・水素について、副生ガスからの水素製造の経験を有し、「水素・燃料電池実 証プロジェクト(JHFC)」や「製鉄プロセス顕熱利用高効率水素製造技術開発」 などの国家プロジェクトに参画 ⑭鶴見曹達(株) ・同社は電解専業メーカー ・電解工程からは良質の水素ガスが発生することから、JHFCプロジェクトに参 画し、当社工場の一画に水素ガス供給ステーションを設け、ガスの供給を開 始 - 60 - 燃料電池向け水素の現状と課題 ⑮栗田工業(株) ・栗田工業は、「水と環境の先進的マネジメント企業」として、「水」から「水 と環境」に事業領域を拡大 ・来るべき水素エネルギー社会の実現に向けて、新環境事業の一環としてエネ ルギー事業に参入 ・燃料電池自動車用水素供給ステーション(移動式)の技術開発 ・更に燃料電池について、すでに防災対応用燃料電池発電設備を実用化してお り、固体高分子形燃料電池コージェネレーションシステムについて技術開発 ⑯シナネン(株) ・燃料電池自動車への水素供給インフラ整備を実施 ⑰伊藤忠エネクス(株) ・ガソリンスタンド約2,100ヵ所、LPガススタンド53ヵ所、さらに自社所有のC NGエコステーションを運営 ・グループ会社では工業用水素を製造 ・販売を実施 ⑱出光興産(株) ・水素製造技術開発や燃料電池の商品開発において実証レベルまで到達 ⑲パブコック日立(株) ・化学プラント向け大型水素製造や、MCFC用水素製造で培った技術を基に、H1 2から「オンサイト水素製造装置」や「PEFC用水素製造装置」の開発に着手 ・外熱式や部分酸化式の水素製造装置、および高圧水素貯蔵容器の製品化を進 めている ⑳東邦ガス(株) ・H14.10には、中部地区では初めて、また民間企業が独自に手掛けるものとし ては国内初となる天然ガス改質方式の水素ステーションを設計・建設 ・燃料電池自動車への充填実績を積み重ね、水素ステーションの建設やその運 用に関わる技術開発を推進 その他 荏原バラード 松下電器産業 ・研究会、関連団体 燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)((財)新エネルギー財団) ・H12.3設立 ・会員:136社・団体 ・燃料電池実用化戦略研究会(資源エネルギー庁長官の私的研究会)において 提言がなされた燃料電池実用化・普及に向けた課題解決の基本的な方向性に 沿って、課題の具体的な検討を行い、政策提言として取りまとめ、会員企業 自ら課題解決の努力を行うとともに国の施策への反映を図っている ・組織−2つのワーキンググループとその下にサブワーキンググループ ●技術開発企画WG (1)要素技術検討SWG …自動車用、定置用燃料電池に共通なキーテクノロジーについての現状 の課題及び将来の高度化に向けた課題の抽出、技術開発施策の検討。 (2)システム技術検討SWG …自動車用、定置用システムの商品として要求される安全性、省資源性 を達成するために必要な課題の抽出、技術開発施策の検討。 (3)燃料関連技術検討SWG …燃料の製造・貯蔵・供給技術に関して種々の燃料に要求される性能、 利便性等を達成するために必要な課題の抽出、技術開発施策の検討。 ●市場化等環境整備企画WG (1)規制・制度SWG …将来の燃料電池実用化に向けて、現行関連法規制の問題点を明確にす ると共にその見直しのためのアクションプランの検討 (2)基準・標準SWG …基準・標準についての活動状況を把握し、これらの策定に向けた効率 的な、体制の構築及び効果的な対応方針策定のための検討。 (3)燃料選択SWG …燃料選択へ向けての客観情報の整理と分析、燃料供給体制整備方針に 関する官民の役割等の検討。 (4)実証試験SWG …自動車用、定置用大規模実証試験プロジェクトの企画検討。 海外の状況 ①米国 ・H5.9 クリントン政権下でスーパーカー構想に基づく官民共同開発プロジェ クト「PNGV」が発足。その一部として、燃料電池自動車の開発プログラ - 61 - 燃料電池向け水素の現状と課題 ムがスタート ・現在、2020年頃に主要エネルギーを水素に転換することを目標に、水素燃料 電池車と水素の技術開発などに重点を置いたさまざまなプログラムを実施 ・地域レベルでは、カリフォルニア州が燃料電池自動車の導入に向けて、州政 府、自動車メーカー、石油会社、燃料電池メーカーと共同し、1999年に「C aFCP」を結成。H12.11、サクラメントに研究施設と水素ステーションを 設置し、デモンストレーションを開始 ②欧州 ・欧州では、燃料電池バスによる「欧州FCバス実証走行プロジェクト」とし て、H13より、7ヵ国、9都市でのデモンストレーション試験「CUTE」プ ロジェクトと、アイスランドでの「ECTOS」プロジェクトがスタート ・燃料電池バスとしては、合計30台のダイムラー・クライスラー製の「CIT ARO」バスが走行試験に使用される予定になっているほか、H14よりドイ ツのベルリンでスタートした水素を利用した乗用車による実証試験「CEP」 プロジェクトでは、約20台の燃料電池自動車が導入される予定 ・これらの実証走行プロジェクトのため、欧州では、再生可能なエネルギーに 重点を置いた水素の製造が行われるとともに、燃料電池自動車に充填する水 素ステーションの構築が進められている 支援制度 【(財)新エネルギー財団】 平成17年度「定置用燃料電池大規模実証事業」助成金 1)助 成 額:上限・燃料電池システム設置1台当たり600万円 2)助成事業実施期間 :第1期・助成金交付決定日(H17.4.25)から H17.9.30 まで(事業実施年度H17∼H19) 3)助成対象:①燃料供給事業者 ②事業実施機関にシステムを5台以上、合計10台以上設置し、 一般家庭等での運転データ等の実測データを2年間取得可能 5)応募期間:第1期終了、第2期はH17.8頃 道庁内関係課の取り 家庭用燃料電池の道内での開発を促進するため、平成16年度及び平成17年 組み 度に国土交通省住宅局住宅生産課の燃料電池等の新エネルギーの住宅への導入 のための技術開発事業により、民間企業と連携して実証試験を実施(旭川市、 函館市) - 62 -