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河川・池の親しめる水辺づくり

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河川・池の親しめる水辺づくり
出典:板橋区景観計画(案)
図 景観形成重点地区「石神井川軸地区」
◆ 河川・池の親しめる水辺づくり
こうすいじき
 新河岸川の高水敷を利用して、河川景観に彩りを
添えるキバナコスモスの「花のじゅうたん」整備
を行っています(小豆沢地区)
。
 見次公園では、池畔の水辺景観向上と水質浄化を
進めていきます。
 都立城北中央公園の整備計画において、石神井川
沿いのエリアは、生物多様性を学べる場となるよ
うビオトープ池の整備や河川との一体的な整備
により、水辺に親しむ拠点整備の候補地として位
新河岸川の花のじゅうたん
置付けられています。
見次公園
見次公園
27
3
生物多様性の保全と再生
生物多様性保全の目的の一つとして、
区の鳥
ハクセキレイ※4
様々な生物が生息できる多様で豊かな
自然環境を保全・回復していくことが
あります。
崖線樹林地や河川敷などの大きな緑
地から、河川や湧水などの水辺、市街
地に点在する公園や住宅地の植込み、
屋上の緑化スペースまで、緑と水は多
様な生物の生息を支える場所となって
います。
生き物にやさしい環境は、人にとっても住みよい環境といえます。緑と水の保全・創出を通じ
て、多様な生き物が生息できる自然環境の回復を進め、生物多様性の向上を目指します。
■ エコロジカルネットワークの形成
緑を生物の生息環境の視点から捉え、崖線や荒川の大規模な緑の保全と質の向上を図るととも
に、これらの緑地を取り巻くまちなかの街路樹や河川、まとまりある樹林地等が生物の移動ルー
トとなるよう、緑のネットワーク化を目指します。
◆ コリドー(緑の回廊)の形成を目指したまちづくり
 コリドーとは、野生生物の生息地を結ぶ帯状のエリアのことで、離れた場所に生息する生
物が相互に移動することを可能にする「回廊」を意味します。
 エコロジカルネットワークは、コリドーの連続性を高め、鳥や昆虫など多様な生き物の生
息域のネットワークを広げていくことを目指すものです。
 本計画では、まとまった樹林地が一定割合見られる区域をコリドー形成の資源として捉え、
その連続性を目指すエリアを「エコロジカルネットワークエリア」として設定します。
 「エコロジカルネットワークエリア」の中でも特に崖線沿いのエリアは、樹林性鳥類であ
るコゲラやシジュウカラの繁殖可能性が高い区域を多く含むとともに、ゴミムシやシデム
シなど地表性甲虫類を指標とした調査でも、多様度指数が高い地点が多くみられました。
 このため崖線沿いのエリアをネットワークの中核となる「コリドー保全エリア」に位置付
け、民有樹林地の保全や公園内樹林地の自然性向上などを重点的に図っていくことで生物
多様性の保全を目指します(右ページ図
エリア)
。
 また、崖線沿いの保全エリアから、区内にネットワークを広げていくエリアを「コリドー
形成エリア」として位置付けます(右ページ図
※4
エリア)
。
白と黒のコントラストがはっきりしたセキレイの仲間で、平成14年に区の鳥に指定されました。河川の
岸辺や公園の芝生など身近な場所で見られ、尾を振りながら歩いたり波形を描いて飛ぶ姿が美しい鳥です。
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 コリドー形成エリアでは、既存の緑の保全とともに、エリアの緑化の推進を図る上で、コリ
ドーの形成を妨げる緑の少ない区域(ギャップ)の解消を図ることを視点とした取組みを進
め、ネットワークの範囲を徐々に既成市街地にまで広げていくことを目指します。
図 エコロジカルネットワークの形成
エコロジカルネットワークエリア
コリドー保全エリア
ネットワ ークの中核的なエ リアとし
て、民有樹林地の保全や公園内樹
林地の自然性向上を図るエリア
コリドー形成エリア
緑の連続性を高めることにより、コリ
ドー保全エリアから区内にネットワー
クを広げるエリア
緑の分布と生き物の生息状況
まとまりのある樹林地
(1 か所 300 ㎡以上かつ平均高さ 5m 以上の樹林地)
出典:板橋区緑地・樹木の実態調査(Ⅷ)
平成 21 年度
まとまりのある樹林地の割合が 5%以上のエリア
上記データをもとに作成
シジュウカラの繁殖または繁殖の兆候が確認されているエリア
コゲラの営巣が確認されている地点
地表性昆虫の多様度が高い地点
(種多様度指数(SID)の値が 2.0 以上の地点)
出典:板橋区野鳥の実態調査(Ⅳ)
平成 13 年度
出典:板橋区昆虫類等実態調査(Ⅳ)
平成 20 年度
生き物の生息地としての可能性の評価
シジュウカラの繁殖地となる可能性が高いエリア※1
(樹木被覆率※230%以上のエリア)
※1 出典:ロジスティック回帰をもちいた都市
におけるシジュウカラの生息環境適合度モデ
ル 橋本啓史 2002 ランドスケープ研究 65
シジュウカラの繁殖地としての可能性が期待され、かつ移動経
路となる可能性が高いエリア
※2 樹木被覆率:
(樹木被覆率※225%以上のエリア)
樹林地に加え、庭木の低木なども含めた樹木
シジュウカラの移動経路となる可能性が高いエリア※1
(樹木被覆率※210%以上のエリア)
被覆地の割合
コゲラの繁殖地や採餌空間としての可能性が高いエリア
出典:自然とふれあえるまちをめざして
(2.0ha 以上の樹林地と、その周辺 500m にある 0.2ha の樹林地) 平成 18 年 独立行政法人 都市再生機構
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◆ ビオトープの整備・管理
 一般的にビオトープとは、池や水草、食餌植物などの植
栽により、生物の生息環境を人為的に整備したスペース
写真
がイメージされます。
 本計画ではこれに加え、動植物の生育環境保全のために
人為の影響を最小限に抑えたスペースも、ビオトープの
一形態として位置付けるものとします(閉鎖管理の公園
樹林地など)
。
 いずれのスペースも、生物多様性の保全・向上を目的と
赤塚ため池公園ビオトープ
したもので、エコロジカルネットワークの充実を図る上
で、多様な形態のビオトープを区内各所に配置すること
を目指します。
赤塚溜池公園ビオトープ(閉鎖管理)
協働の取組み
 ビオトープを良好に維持管理していくためには、きめの細かい手入れ作業が不可欠です。
放置されたビオトープでは、生物種構成が単調となり、ビオトープ本来の機能が失われる
とともに、害虫や落ち葉など近隣住居への悪影響も発生します。
 ビオトープの良好な管理には、日常的な観察や手入れを継続的に行う地域の協力が不可欠
であり、区民との協働の取組みを進めます。
◆ 自然環境実態調査の実施
 区の自然環境の実態を把握するために、各種自然
環境実態調査を行います。各種調査は、区の自然
度の健康診断ともいえるもので、これらの調査結
果を基礎データとして活用し、自然地の保全や緑
のまちづくりの取組みを進めていきます。
 調査結果は、報告書の発行とともに、区ホームペ
ージでも幅広く区民に公表していきます。
魚類調査
■ 調査の種類
緑地・樹木の実態調査 / 野鳥実態調査 / 魚類調査 / 昆虫実態調査 / 水系・湧水実態調査
協働の取組み
 区の自然環境は、それぞれの地域での日常的な観察の積み重ねによって、よりきめ細かい
現況の把握につながります。
 区民の協力による地域の自然観察データなども、調査に幅広く活用していきます。
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■ 区の花ニリンソウなど山野草の保全
ニリンソウは、春に開花するキンポウゲ科の多年草で、
区の花ニリンソウ
雑木林の林床に自生します。板橋区内でも、かつては多
く自生していましたが、現在では都市化により、都立赤
塚公園など一部の地域に残るのみとなりました。また、
2010年版東京都レッドリストでは、ニリンソウが区
部において初めて準絶滅危惧種に位置付けられました。
区では、ニリンソウが咲く武蔵野の雑木林に象徴され
るような緑豊かな自然環境の回復を願い、昭和 55 年に
ニリンソウを区の花に選定しました(平成 7 年には「緑
化の推進に関する条例」に指定)。
ニリンソウ自生地をはじめとした山野草の自生地環境
を大切に保全していきます。
◆ 区の花ニリンソウの保全
 都立赤塚公園大門地区の崖線沿いには、奥行き10~20m、延長200mにもわたる都
内最大のニリンソウ自生地があります。
 区立公園では、赤塚植物園が見どころとなっており、種子を採取して育てた苗を頒布した
り、栽培講習会を開催するなど、ニリンソウの普及・啓発にも力を入れています。この他
に、小豆沢公園、にりんそう公園、薬師の泉庭園をはじめ、数十株程度の小さな群落も含
めると10か所程の公園でその姿を見ることができます。
 ニリンソウは、春に開花し夏には地上部が枯れてしまうため、普段なかなか目にすること
もない小さな山野草ですが、区の花に指定された趣旨を尊重し、その他の山野草も含めた
生育環境を大切に保全していきます。
協働の取組み
 都立赤塚公園のニリンソウ群落は、
長年にわたる区民ボランティアの
手入れによって守られてきたもの
で、現在も都立赤塚公園友の会のボ
ランティアグループによる保全作
業が続けられています。
 ニリンソウ群落での緑のガイドツ
アーやニリンソウ観察 Day(都立
赤塚公園とボランティア共催)では、
群落の保全に携わっているボラン
ティアグループによる観察ガイドが活躍しています。
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都立赤塚公園のニリンソウ群落
◆ 区の花ニリンソウのPR
 都内の自治体でも、ニリンソウのような山野草を区や市の花に指定しているのは珍しい事
例です。
 区の花ニリンソウは、自然環境の回復を願う区民の気持ちの象徴として指定されたもので
あり、ニリンソウをシンボルとした「自然環境を大切にする心」をより多くの区民に広め
ていく必要があります。
 区では、区の花ニリンソウをPRするために、
ニリンソウの開花する時期をニリンソウ月間
として、区の花ニリンソウ展、赤塚植物園ニリ
ンソウ講習会、ニリンソウのパンフレットの発
行などとともに、ボランティアグループとの協
働によるガイドツアー(前頁)の開催など、様々
な取組みを行っており、今後も積極的な PR を
進めていきます。
 平成20年には、ニリンソウの妖精をイメージ
した区の観光キャラクター「りんりんちゃん」
が誕生しました。
 「りんりんちゃん」は、コミニティバスのボデ
ィデザインとなるなど様々な場面で区の花ニ
リンソウのPRに活躍し、多くの区民に親しま
れています。
コミュニティバス「りんりんGO」
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