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NPO法人 沖縄有用植物研究会報・準備号
NPO法 人 沖縄有用植物研究会報・準備号 最 新 の 話 題 食用カンナの生育順調 沖縄有用植物研究会が今帰仁村仲宗根で栽培中の食 用 カ ン ナ が 順 調 に 生 育 し て い ま す 。 2007 年 の 11 月 に 掘 り 上 げ た 球 根 を 直 ち に 植 付 け し た も の で 、 5 月 20 日 現 在 、 草 丈 が 50cm∼ 100cm 程 度 に 成 長 し て い ま す 。 「立花塾」の折に希望者に球根を分配したことがありま したが、植付け後の生育状況はいかがでしょうか?様子をぜひお知らせください。 こ の 球 根 は 、 立 花 先 生 が 沖 縄 に 導 入 さ れ た も の で す が 、 世 界 に 17 種 ほ ど あ る カ ン ナ 属 植 物 の 一 種 で 、中 南 米 原 産 と の こ と で す 。球 根 が 食 用 に で き て 、面 積 あ た り の 収 量 も ひ じ ょ う に 高 く 、葉 茎 も 家 畜 の 飼 料 に な る と い う も の で 、食 糧 危 機 に 備 え る べ き 有 用 植 物 と し て 筆 頭 に 挙 げ ら れ て い る ほ ど で す 。昨 年 の 第 2 回 野 外 観 察 会 の と き 、参 加 者 一 同 で テ ン プ ラ を 試 食 し 、味 も 食 感 も ◎ で 好 評 を 得 ま し た 。有 用 植 物 研 究 会 で は 、こ の 食 用 カ ン ナ を 増 殖 し 、沖 縄 県 内 へ の 普 及 を 図 っ て い く こ と を 考 え て い ま す 。そ の ま ま 美 味 し い デ ン プ ン 食 料 と し て 、食 糧 危 機 に 備 え る 作 物 と し て 、 さ ら に は バ イ オ エ タ ノ ー ル へ の 道 も 探 求 し て ・・・と さ ま ざ ま な 用 途 が 考 え ら れ る 食 用 カ ン ナ で す 。 9 月 21 日 、 22 日 に 那 覇 緑 化 セ ン タ ー に お い て 、 有 用 植 物 研 究 会 主 催 の さ まざまな植物の展示即売を計画中ですが、その時、カンナの球根を販売する予定です。 会員からの情報箱 那覇市NPO活動支援基金に応募しました。 タイトルは「屋上・ベランダ菜園で乗り切ろう!」です。申請理由は以下の通りです。 都 市 住 民 が 土 に ふ れ る 機 会 が 少 な く な っ て い る 中 、地 球 環 境 と 食 料 品 を取り巻く環境は日々悪化している。このような状況に対処するには、 都 市 住 民 の 意 識 を 変 え 自 衛 的 な 行 動 も 含 め 、楽 し み な が ら で き る こ と か ら始めることが重要である。 発 泡 ス チ ロ ー ル を 再 利 用 し つ つ 、昨 今 の 食 料 品 値 上 げ に 備 え て 屋 上 や ベ ラ ン ダ で 野 菜 を 作 る こ と は 、屋 上 緑 化 推 進 や 温 暖 化 防 止 に 貢 献 す る だ け で な く 、暮 ら し の 中 に 緑 を 取 り 込 む こ と で 自 然 を 敏 感 に 感 じ 日 々 の 生 活が豊かになると共に家計の助けにもなる。 こ の よ う な 知 識 を 普 及 し て 都 市 住 民 の 連 携 を 支 援 し て い く こ と は 、流 通 へ の 依 存 を 少 な く し た 地 産 地 消 の 実 現 に 道 を 開 く も の で あ り 、都 市 農 村の連携という今後の県土作りに示唆を与えるものである。 文任:賀川健二 連シークヮーサー 載 沖縄のカンキツ っ(その1 ) 住 秀和 シークヮーサー って何? 近 年 、高 血 圧・高 血 糖 抑 制 、抗 が ん 作 用 を も つ ノ ビ レ チ ンという物質が発見され健康食品として注目されている シークヮーサーは沖縄県の特産物であり、北は奄美諸島、 南は台湾に至るまで生育している在来のカンキツです。 2∼ 3 月 に 開 花 、8 月 頃 か ら 酢 の 物 用 の 青 果 と し て 収 穫 さ れ 、10∼ 11 月 頃 に ジ ュ ー ス 加 工 用 、12∼ 1 月 頃 に 完 熟 の 生 食用として収穫されます。 2004 年 か ら 農 水 省 の 委 託 に よ る 沖 縄 特 別 研 究 の プ ロ ジ ェクトで沖縄北部の特産であるシークヮーサーについて の 成 分・加 工 方 法・商 品 開 発・栽 培・マ ー ケ ッ テ ィ ン グ 等 の 研 究 を す る こ と に な り 現 在 も 進 行 中 で あ り ま す 。こ の 連 載を通して分かってきたことを紹介したいと思います。 ま ず は 基 礎 か ら で す が 、シ ー ク ヮ ー サ ー は 田 中 長 三 郎 博 士 の分類によると後生カンキツ亜属のコミカン亜区柑香小 果 亜 類 広 葉 品 類 に 属 し ま す ( 下 記 参 照 )。 ま た 、 庭 先 で よ く植えられているシキキツはトウキンカン区に属します。 < カ ン キ ツ 属 の 系 統 図 ( カ ン キ ツ 総 論 .1999.よ り 抜 粋 ) > 初生カンキツ亜属 パペダ区 鋭頭葉亜区 鈍頭葉亜区 長翼葉亜区 カブヤオ ・ セベレスパペダ ・ サウスウィックパペダ プルット ・ バリンコロング ・ サムヤオ カシーパペダ ・ タイランドパペダ ・ アンナンパペダ ライム区 真正ライム亜区 大果ライム区 擬パペダ亜区 ライム ・ タヒチライム ・ スイートライム ベルガモット ・ カルピー ・ ジェロークハンジ ビロロ ・ レモンリアル シトロン区 シトロン亜区 レモン亜区 大果中間亜区 シトロン ・ マルブツシュカン ・ タイヒタイヒ レモン ・ ヒメレモン ・ スイートレモン アダムリンゴ ・ ポンデローサ ・ バロチンベルガモット ザボン区 ザボン亜区 ザボン中間亜区 カンキツ属 ダイダイ区 中果中間亜区 ダイダイ近似亜区 アマダイダイ近似亜区 ユズ接近亜区 後生カンキツ亜属 ミカン区 トウキンカン区 原始ユズ亜区 真正ユズ亜区 擬ミカン亜区 ブンタン ・ カイコウカン ・ ウゾンクネブ グレープフルーツ ・ キヌカワ ・ セキオウカン ヤマミカン ・ アサヒミカン ・ コトウカン 軟果類 硬果類 擬クネンボ類 ナルト ・ ナツミカン ・ キンコウジ ダイダイ ・ キノット ・ ロクガツミカン キクダイダイ スイートオレンジ ・ オオトウミカン ・ フナドコ ヒューガナツ ・ ウジュキツ ・ デーデー カワバタ シュンコウカン 狭葉品類 クネンボ ・ ウンシュウミカン ・ ヤツシロ ケラジ ・ オートー ・ タルガヨ ポンカン ・ チチュウカイマンダリン ・ ゲンショウカン タチバナ ・ コベニミカン ・ キシュウミカン 広葉品類 シイクワシャー ・ コウジ ・ フクレミカン 房成類 孤立類 真正ミカン亜区 芳香類 柑香類・大果亜類 コミカン亜区 柑香類・小果亜類 ユズ区 黄果類 橙果類 イーチャンジェンシス ユズ ・ ハナユ ・ スダチ コウライタチバナ シキキツ ・ チョウセンダイダイ ・ オオナルト チョット 立ち話 立花吉茂 「頭寒足熱」は人を対象にした言葉であるが、植物にも当てはまる ようである。十分なデータはないが長年の経験と勘で間違いないと 信じている。 吉村不二男先生がミカンの木の地下温度を調べた面白い研究をさ れ、これが非常に参考になった。ミカンが寒い季節風にさらされて、 当会顧問の立花先生 葉 が 傷 む こ と が あ る が 、 そ れ は 寒 さ で 傷 む の で は な く 、 温 度 が 1∼ 2℃ に も な る と 、根 の 吸 水 が 不 可 能 に な る か ら 、水 不 足 で 葉 が 傷 む 、と い う こ と が 判 っ た の で ある。今ではスプリンクラーで水を散布して、寒害を防ぐようになった地方もある。 恩師の玉利幸次郎先生は、温室にグッピーを飼う事を奨励された。熱帯植物の越冬温度と グッピーの越冬温度が、ほぼ等しいことを勘で知っておられたのである。私も自宅でグッピ ーを飼っていたが、夜間の最低温度が12℃を下回るともう餌を食べなくなり、それより2 ∼3℃下がると弱ってしまい、やがて死ぬ事を知った。この事から、熱帯植物の最低吸水温 度 は 12∼ 13℃ 付 近 に あ る 、と 考 え る よ う に な っ た 。勿 論 、温 度 は い つ も 一 定 で は な い し 、植 物の種類によっても差があるに違いない。 「 頭 寒 足 熱 」 は 西 洋 の 古 い 本 に も 書 い て あ っ た 。「 ボ ト ム ・ ヒ ー ト 」 と 呼 び 地 温 を 上 げ て 、 冬期の挿し木に応用する、とある。私もツバキの冬の挿し木に応用して、好成績をあげた経 験 が あ る 。こ の よ う な 頭 寒 足 熱 の 好 結 果 の 例 は 極 め て 多 い 。 (「 植 物 屋 の こ ぼ れ 話 」か ら 抜 粋 ) 好 著 紹 介 「生物の多様性」 <立花吉茂先生推薦の言葉> 『生命の多様性』 エドワード・ ウィルソン 結論から言えば大変面白く読める自然科学書である。きわめて レベルの高いものでありながら、専門的なものはひとつ、ひとつ 翻訳 大貫昌子・牧野俊一 例を挙げて理解を助けてくれる。 著者のウィルソン氏は昆虫の社会学という専門馬鹿になり易い 岩 分野の研究者である。この本を読む限りにおいて、彼は全く正反 波 書 店 1995 年 対の性格と他人に解らしめるための能力はずば抜けているように 思われる。学術的に視野が広く、博識であり、それは「人間の本 性 」と い う よ う な 問 題 で ピ ュ リ ッ ツ ァ 賞 に 輝 い て お り 、さ ら に は「 ア リ の 社 会 」の 研 究 で も 同 賞 を 受 け て お ら れ る の を 見 れ ば 判 る で あ ろ う 。上 下 二 巻 に わ た っ て 生 物 の 多 様 性 と い う 難 問 を 誰 に で も 判 る よ う に 記 述 さ れ て い る が 、こ の 二 冊 に は 近 代 生 物 学 の マ ク ロ な 部 分 の 全 て が 網 羅 されていると言っても過言ではないほど、広範囲にわたって記されている。 最 後 に ウ ィ ル ソ ン 氏 は 、自 然 保 護 の 原 典 と な る「 環 境 の 倫 理 」を 、そ し て「 解 決 へ の 道 」を 詳しく述べ、人類破滅から救われる可能性が残っている、と力説している。 二 巻 に わ た っ て 自 然 の 仕 組 み を 面 白 く 、読 み 物 と し て 、高 い 知 識 を 与 え て く れ る こ の 大 著 は 専門を離れて多くの識者に読まれる価値が非常に高い書物である。 「研究会」だより 第 14 回 「 立 花 塾 」 開 催 案 内 テーマ「候補選定中」 南部 7 月 26 日 ( 土 ) 那覇緑化センター 午後 6 時∼8 時半 北部 7 月 27 日 ( 日 ) 名護中央公民館 午後 1 時半∼4 時 野草木自然織り教室開催 当研究会の理事でもある出口 富美子さんが南城市主催で体験 教室を開催しました。大好評で 大勢の参加者が集まりました。 出口さんは沖縄の身近な植物を 使った織り物の普及を目指して 精力的に活動しています。 沖縄タイムス 2008 年 6 月 7 日→ <沖縄有用植物研究会・法人企業一覧>(敬称略) 株式会社 りゅうせき 賛助会員 <入会方法> 左 記 事 務 所 あ る い は 会 員 に 連 絡 し 、入 会 金 発 行 :NPO 法 人 沖 縄 有 用 植 物 研 究 会 1,000 円 、 年 会 費 2,000 円 の 支 払 い ( 振 込 代 表 賀 川 健 二 TEL098−884−3743 先:特 定 非 営 利 活 動 法 人 那 覇 市 首 里 石 嶺 町 2-175-9(〒903-0804) 究会 HP≪http://www.geocities.jp/k_com48≫ た 、立 花 塾 に 参 加 さ れ る 方 は 、受 付 に て 入 沖縄有用植物研 理 事 賀 川 健 二 )を お 願 い し ま す 。ま 会 手 続 き を 行 っ て く だ さ い 。入 金 を 確 認 し て、会員登録いたします。