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第36回OYO展セミナー こんなに大事な堤防 −知られざる堤防の働き− 講演者:応用地質㈱ 河川事業推進室 佐藤謙司 本日お聞きいただく内容 洪水から暮らしをまもるー堤防の概要ー 堤防の働きー洪水vs堤防ー 堤防を強くするー堤防の質の強化ー 洪水から暮らしをまもる ーOYOの取り組みー 洪水から暮らしをまもる ー堤防の概要ー 全国の一級109水系に10,000kmを 超える長さの堤防 関東では 久慈川・那珂川・利根川・荒川・多摩川・ 鶴見川・相模川・富士川の8水系 堤防総延長は1,600km以上 流域で暮らす人口数は3000万人以上 群馬県 水深0.5∼2m 昭和22年カスリーン台風と 同様に利根川の堤防が決 壊したら・・・・ 水深0.5m未満 (国土交通省関東地方整備局資料より) 凡 例 栃木県 水深2m以上 堤防決壊箇所 羽生 昭和22年洪水氾濫実績 氾濫面積 約440km2 浸水域内人口 約60万人 被害額 約70億円 幸手 久喜 川 根 利 茨城県 蓮田 春日部 岩槻 埼玉県 越谷 1日目 草加 川口 秋葉原 UDX 亀有 金町 路 水 放 川 荒 隅田 川 東京都 千葉県 総武本線 松戸 2日目 小岩 市川 3日目 4日目 平井 東京湾 氾濫シミュレーション結果 氾濫面積 約530km2 浸水域内人口 約232万人 被害額 約34兆円 堤防の働きー洪水vs堤防ー 侵食との戦い 越流との戦い 浸透との戦い このほかに 地震・津波・高潮との戦いも・・・ 浸透との戦い 4 3 7 6 C G 2 F E D H13洪水時の状況 1 B 1 A 湖 川 2 要点検箇所 水 防 箇 所 堤防 3 水位と水防箇所の関係(H13洪水) 3.0 水位標高 (m) H13年9月洪水 2.5 計画高水位 H=2.35m 2.0 No.1水防箇所 No.2水防箇所 No.3水防箇所 1.5 No.4水防箇所 警戒水位 H=1.10m No.5水防箇所 1.0 No.6水防箇所 No.7水防箇所 0.5 0.0 0 10/5 12:00 1 10/6 12:00 2 10/7 12:00 3 10/8 12:00 4 10/9 12:00 5 10/10 12:00 6 10/11 12:00 7 10/12 12:00 8 10/13 12:00 経過日数 9 10/14 12:00 10 10/15 12:00 11 10/16 12:00 12 10/17 12:00 13 10/18 12:00 14 10/19 12:00 漏水状況模式図 外水位 長時間継続 盤ぶくれ 漏水 パイピング 泥炭・粘性土 揚圧力 砂質土 粘性土 採用された対策工 二重フトン籠工 ドレーン層t=1.0m 堤内側腹付け盛土 覆土 t=0.5m 堤内排水路 堤外側腹付け盛土 1 :5.0 1 :3 .0 遮水シート・連結ブロック 現堤防 腐植土及び泥炭 止水鋼矢板 砂質土層(透水層) 粘性土層(不透水層) H13洪水を上回るH18洪水 3.0 H18最高水位 2.41m 水位標高 (m) H13最高水位 2.17m 2.5 H13年9月洪水 H18年10月洪水 A地点水防箇所 計画高水位 H=2.35m 2.0 No.1水防箇所 No.2水防箇所 1.5 No.3水防箇所 No.4水防箇所 警戒水位 H=1.10m 1.0 No.5水防箇所 No.6水防箇所 No.7水防箇所 0.5 0.0 10/5 12:00 0 10/6 12:00 1 10/7 12:00 2 10/8 12:00 3 10/9 12:00 4 10/10 12:00 5 10/11 12:00 6 10/12 12:00 7 10/13 12:00 経過日数 8 10/14 12:00 9 10/15 12:00 10 10/16 12:00 11 10/17 12:00 12 10/18 12:00 13 10/19 12:00 14 浸透との戦い第2ラウンド 4 3 7 6 C G 2 F E D H13洪水時の状況 +H18災害箇所 1 H18 A水防箇所 B 堤防 川 1 A 2 H13水防箇所 3 H13要点検箇所 湖 モニタリングによる 洪水監視例 ピーク水位 2.41m 湖水位 D−1−1 D−1−2 堤内排水路水位 D−1−3 D−1−4 堤防を強くするー堤防の質の強化ー 堤防は形で決められていた 堤防の強さを評価する方法はH14から 堤防の外見的見栄えから中身の評価へ 全国の堤防の点検と対策が進行中 量的整備から質的整備へ <量的整備> <質的整備> 計画高水位に応じた形状規定の達成 量的整備を達成した堤防形状に *)流量改定で堤防が大きくなっても浸透 おいても不足する機能の強化 に対する安全性が向上したとは言えない 堤防の詳細点検状況 全国(国管理) 要 対策 2396 km 対策 不要 4080 km 点検 未了 3641 km (H18/12 国土交通省) 点検未了 対策不要 要対策 要 対策 711 km 関東(国管理) 点検 未了 128 km 対策 不要 829 km 洪水から暮らしをまもる ーOYOの取り組みー 地球温暖化に伴う気候変化への適応 堤防内部の複雑な築堤履歴・土質の違 いをとらえる 基礎地盤の地質や地形の変化も堤防の 性能を左右する 防災マネジメントへ 100年後の降雨量の増加が 治水安全度に大きく影響 北海道 1.24倍 東北 1.22倍 北陸 1.07倍 山陰 1.11倍 瀬戸内 1.10倍 近畿 1.06倍 100年後の現計画の 関東 1.14倍 中部 紀伊南部 1.11倍 九州 1.07倍 四国南部 1.13倍 1.11倍 治水安全度(年超過確率) は、大きく低下 1/200⇒1/90∼145 1/150⇒1/22∼100 1/100⇒1/25∼90 出典:H20.6 社会資本整備審議会資料 堤防・基礎地盤を調べる 物理探査技術 表面波探査 牽引型電気探査 (オームマッパー) 比抵抗(縦軸)とS波(横軸)の クロスプロットによる土質区分 600 550 500 Resistivity (ohm-m) 比抵抗(Ω−m) 450 400 沖積砂礫 Ag 350 300 250 200 砂質土 As 150 洪積砂礫 Dg 100 50 粘性土 Ac 0 0 50 100 150 200 250 300 350 S-wave velocity(m/s) S波速度(m/s) 400 450 500 複合探査による堤防基礎地盤の性状把握例 (A) 表面波探査による地盤のS波速度構造 Elevation (m) S-wave velocity profile by a surface-wave method 15 S-wave velocity No.1 10 500.70 280.00 220.00 160.00 100.00 N 10 20 30 40 50 5 0 5 -5 10 -10 15 (m/sec) 6000 6100 6200 6300 6400 6500 6600 6700 6800 6900 7000 7100 7200 7300 7400 7500 7600 7700 7800 7900 8000 (m) Distance (B) 比抵抗探査による地盤の比抵抗構造 Elevation (m) Resistivity profile by a CCR method 15 Resistivity No.1 10 N 10 20 30 40 50 5 0 5 -5 10 -10 300.00 140.00 80.00 15.00 15 6000 6100 6200 6300 6400 6500 6600 6700 6800 6900 7000 7100 7200 7300 7400 7500 7600 7700 7800 7900 8000 (ohm-m) (m) Distance (C)クロスプロットによって評価した地質断面図 Elevation (m) Revised geological profile based on a cross-plot analysis 15 No.1 10 5 As 0 -5 Ac B N 10 20 30 40 50 Ac Ag -10 5 10 Ac & As 15 6000 6100 6200 6300 6400 6500 6600 6700 6800 6900 7000 7100 7200 7300 7400 7500 7600 7700 7800 7900 8000 Distance (m) 簡便・安価なサウンディング技術 液状化ポテンシャルサウンディング サウンディング用打撃装置を利用した打ち 込み式水位観測井設置とモニタリング サウンディングオーガ 液状化ポテンシャルサウンディング 現場での簡便な調査で、N値(地盤の硬さ)と細粒分含有率を推定する 得られたデータから液状化の判定が可能 対策効果確認のための水位モニタリング 打ち込み式水位観測井 →従来型のボーリング削孔方式よりも効率的で経済的な観測孔 簡易打撃装置を 斜面に設置 保孔管の 打込み 基礎地盤 先端部を打込み 有孔部の露出 ロッドを回収し 水位計を設置 現場調査装置(サウンディングオーガ)製作 堤防や基礎地盤の、ごく浅い部分のゆるみなどを手軽に調査 ハンドル おもり ロッド トルクレンチ ロッド オーガ オーガ部拡大 収納状況 防災のための総合的(ソフト・ハード) な技術の提供 土の調査、試験する原位置・室内試験技術 複雑な堤防の構造を探求する技術 被災の履歴、環境変化を把握する技術 防災対策検討を支える技術 施工・維持・管理を支える技術 MAGISを利用した情報化技術 おわりに 「大地をまもる」の一端として、洪水から 暮らしを守る施設である堤防の大事な 働きの一部をご紹介しました。 OYOは堤防の災害対策や、安全性向上 を目指し、30年を超える経験を重ねてき ました。 難しい土構造物である堤防と向き合うに は、現場を見て、現場を知ることの積み 重ねが不可欠との認識に立ち、今後とも 技術の研鑽を重ねて参ります。 この資料に関する 技術的なお問い合わせは [email protected] 営業的なお問い合わせは [email protected] までお願いいたします