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3 経費負担区分の適正化と支出の削減
資料3
第4回
経費負担区分の適正化と支出の削減
平成21年10月30日
横浜市環境創造局
目
Ⅰ
次
経 費 負 担 区 分 の あ り 方 .............................................. 1
1
地 方 公 営 企 業 繰 出 金 と 一 般 会 計 負 担 の 現 状 .......................... 1
( 1 ) 地 方 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て .................................... 1
( 2 ) 下 水 道 事 業 に お け る 繰 出 基 準 の 変 遷 ( 総 務 省 繰 出 基 準 ) ........... 3
( 3 ) 本 市 下 水 道 事 業 の 繰 入 実 績 ...................................... 4
2
下 水 道 に 期 待 さ れ る 役 割 の 拡 大 と 経 費 負 担 区 分 の あ り 方 ............. 8
( 1 ) 下 水 道 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 と 期 待 さ れ る 役 割 に つ い て ............. 8
( 2 ) 役 割 の 拡 大 に 伴 う 主 な 事 業 と 経 費 負 担 区 分 の 考 え 方 ............... 9
Ⅱ
支 出 削 減 に 向 け た 取 り 組 み ......................................... 19
1
経 営 指 標 に み る 本 市 下 水 道 事 業 経 営 の 現 状 ......................... 19
2
維 持 管 理 費 ・ 資 本 費 縮 減 に 向 け て の こ れ ま で の 取 り 組 み と 今 後 の 課 題 24
2 - 1 維 持 管 理 費 縮 減 に つ い て ....................................... 24
(1)水再生センター・ポンプ場・汚泥資源化センターでの維持管理費
縮 減 の 取 り 組 み ............................................... 24
(2)水再生センター・ポンプ場・汚泥資源化センターでの今後の課題と
取 り 組 み ..................................................... 27
( 3 ) 管 き ょ 施 設 で の 維 持 管 理 費 縮 減 の 取 り 組 み ....................... 28
( 4 ) 管 き ょ 施 設 で の 今 後 の 課 題 と 取 り 組 み ........................... 30
2 - 2 資 本 費 の 縮 減 に つ い て ......................................... 31
( 1 ) 建 設 コ ス ト 縮 減 の 取 り 組 み ..................................... 31
( 2 ) 建 設 コ ス ト 縮 減 の 課 題 と 今 後 の 取 り 組 み ......................... 32
( 3 ) 支 払 利 息 削 減 に 向 け て の 取 り 組 み と 効 果 ......................... 34
( 4 ) 借 換 債 の 制 度 延 長 ・ 拡 充 に 向 け た 国 へ の 働 き か け ................ 35
資 料 ............................................................... 37
用 語 解 説 ( 本 文 中 の * 印 の 用 語 解 説 ) ................................. 51
Ⅰ
経費負担区分のあり方
1
地方公営企業繰出金と一般会計負担の現状
○地方公営企業には、独立採算を維持しつつも、公共的、政策的要請から、本来
一般行政分野が担うべき事業や、採算ベースに乗らない事業も担っていかなけ
ればならない場合があります。
○これらの事業に関する経費は、地方公営企業法において、地方公共団体の一般
会計等が負担するものと規定されています。
○ 一 般 会 計 等 に よ る 負 担 (繰 出 )の 基 準 に つ い て は 、 時 代 と と も に 見 直 さ れ て い ま
す が 、具 体 的 に は「 地 方 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て (総 務 省 自 治 財 政 局 長 通 知 )」に
よって示されています。
○ 本 市 下 水 道 事 業 に お け る 繰 入 金 は 、約 643.4億 円 (H19年 度 決 算 )で す 。う ち 634億
円 (約 99% )は 、 上 記 通 知 に 基 づ く 繰 入 れ (基 準 内 繰 入 )、 9.5億 円 (約 1% )は 政 策
的判断から独自に繰入れている基準外繰入です。
(1)地 方 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て
地 方 公 営 企 業 は 、公 共 性 と 経 済 性 を 発 揮 し つ つ 、独 立 採 算 を 維 持 す る こ
と が 原 則 で す が 、永 続 的 に サ ー ビ ス を 提 供 し て い く た め に は 、必 要 な 経 費
はサービスを受ける者からの料金等によって賄っていく必要があります。
そ の 一 方 で 、地 方 公 営 企 業 は 、本 来 一 般 行 政 で 担 う べ き 事 業 や 、政 策 的
な 見 地 か ら も と も と 採 算 ベ ー ス に 乗 ら な い 事 業 な ど 、料 金 収 入 等 に よ っ て
その経費をまかなうのに適しない事業を担っているケースがあるのが現
状です。
地 方 公 営 企 業 法 第 17 条 の 二 第 1 項 で は 、 そ の よ う な 経 費 は 、 地 方 公 営
企業の設置者である地方公共団体の一般会計又は他の特別会計において
負 担 す る も の と さ れ て い ま す 【 参 考 - 1】 。
一般会計繰入金と繰出金
繰入金
(一般会計から
見た場合)
(下水道事業会計
から見た場合)
般
会
¥
一般会計による補助金、出資金
計
1
¥
下 水 道 事 業 会 計
一
繰出金
【参考-1】地方公営企業法
第 17 条の二の考え方
地方公営企業法 第 17 条の二
第 1 項 次に掲げる地方公営企業法の経費で政令に定めるものは、地方公共団体の一般
会計又は他の特別会計において、出資、長期の貸付け、負担金の支出その他の
方法により負担するものとする。
一 その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適
当でない経費
二 当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行ってもなおその経営に伴う
収入のみをもって充てることが客観的に困難であると認められる経費
第 2 項 地方公営企業の特別会計においては、その経費は、前項の規定により地方公共
団体の一般会計又は他の特別会計において負担するものを除き、当該地方公営
企業の経営に伴う収入をもって充てなければならない。
①同条第 1 項第一号の考え方
一般行政事務を地方公営企業が肩代わりして行っている場合のように、
本来公営企業の活動とは言えないような性格の事務に要する経費であり、
それに要する経費も受益者の負担という形での回収に適しない経費と言
え ま す 。し た が っ て 、そ の 全 額 が 当 然 一 般 会 計 等 に よ っ て 負 担 さ れ る べ き
と解されています。
②同条第 1 項第二号の考え方
も と も と 不 採 算 と な る こ と が 明 ら か で あ り な が ら 、公 共 的 必 要 性 か ら 地
方 公 営 企 業 が 行 わ ざ る を 得 な い 活 動 に 必 要 な 経 費 で 、経 費 は 受 益 者 か ら の
料 金 で 賄 う の に 適 す る も の で あ り な が ら 、受 益 者 の 負 担 能 力 か ら 、そ の 全
額 を 負 担 さ せ る こ と は 困 難 な も の で あ る と 言 え ま す 。し た が っ て 、一 般 会
計等が負担するのは、不足経費だけに限られると解されています。
『地方公営企業法逐条解説』(財)地方財務協会
2
(2)下 水 道 事 業 に お け る 繰 出 基 準 の 変 遷 ( 総 務 省 繰 出 基 準 )
下水道事業における一般会計等からの繰出しは、「地方公営企業の繰
出 金 に つ い て 」(総 務 省 自 治 財 政 局 長 通 知 )に よ っ て 運 用 さ れ て き ま し た 。
繰 出 し の 対 象 事 業 や 基 準 は 、下 水 道 財 政 研 究 委 員 会 * 等 の 提 言 や 下 水 道
事業を取り巻く環境の変化など受けて、追加や修正を経て現在に至って
います。
【下水道事業における主な繰出基準の変遷】
○ S49 年 度
「 地 方 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て (自 治 省 財 政 局 長 通 知 )」
下水道の項目
はなかった。
( 昭 和 49 年 2 月 22 日 付 け 自 治 省 財 政 局 長 通 知 )
下水道事業に
○ S56 年 度 「 『 地 方 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て 』 の 一 部 改 正 に つ い て 係 る 繰 出 基 準
の設定がなさ
( 昭 和 56 年 6 月 5 日 付 け 自 治 省 財 政 局 長 通 知 )
れた。
① 雨水処理に要する経費
② 公共下水道に排除される下水規制に関する事務に要する経費
③ 水洗便所に係る改造命令等に関する事務に要する経費
○ S61 年 度
「『地方公営企業繰出金について』の一部改正について
( 昭 和 61 年 5 月 27 日 付 け 自 治 省 財 政 局 長 通 知 )
① 不明水の処理に要する経費
② 高度処理に要する経費
③ 高資本費対策に要する経費
この間、環境変化等
により、9 回に亘り
基準の追加・修正が
なされている。
項目が追加さ
れた
○ H18 年 度
「 平 成 18 年 度 の 地 方 公 営 企 業 繰 出 金 に つ い て 」
( 平 成 18 年 4 月 19 日 総 務 省 自 治 財 政 局 長 通 知 )
① 分流式下水道等に要する資本費の一部
項目が追加さ
② 下水道事業債(特別措置分)
れた
3
(3)
本 市 下 水 道 事 業 の 繰 入 実 績 (平 成 19 年 度 実 績 )
下 水 道 事 業 に お け る 地 方 公 営 企 業 繰 出 金 は 、 平 成 19 年 度 で 17 項 目 と
なっています。このうち、本市の下水道事業が実際に繰入を受けている
の は 、 8 項 目 (基 準 外 の 繰 入 を 含 む )と な っ て い ま す 【 表 - 1】 。
【表-1】平成 19 年度繰入実績
項目
1
雨水処理に要する経費
(S56 年度‐①)※1
2
分流式下水道等に要する経費
H19 繰入実
備 考 (繰 入 し て い な い 理
績(億円)
由等)
563.2
- 経営に伴う収入で賄えており、
繰入なし。
- 流域下水道なし
3
流域下水道の建設に要する経費
4
下水道に排除される下水の規制に関する事
務に要する経費
5
(S56 年度‐①)
水洗便所に係る改造命令等に関する事務に
要する経費
基
2.3
1.4
(S56 年度‐①)
不明水の処理に要する経費
7
高度処理に要する経費
繰
8
高資本費対策に要する経費
- 該当なし
入
9
広域化・共同化の推進に要する経費
- 繰出基準である下水道事業債
内
(S61 年度‐①)
6.8
6
準
(S61 年度‐②)※2
2.0
(広域化・共同化分)の残高なし
10
地方公営企業法の適用に要する経費
- 地方公営企業法適用済み(財務
規定)であり、対象外
11
- 繰出基準である下水道事業債
普及特別対策に要する経費
(普及特別対策分)の残高なし
12
緊急下水道整備特定事業に要する経費
1.1
(H9 年度‐①)
13
農業集落排水緊急整備事業に要する経費
- 農業集落排水なし
14
小規模集合排水処理施設整備事業に要す
- 小規模集合排水処理施設なし
る経費
15
個別排水処理施設整備事業に要する経費
16
下水道事業債(特例措置分)の償還に要す
- 個別排水処理施設なし
57.2
る経費
17
下水道事業債(特別措置分)の償還に要す
- 該当なし
る経費
政策的判断により、独自に繰り入れているもの
基
準
外
繰
9.5 政策的に減免している下水道
使用料減収分等
入
643.4
合計
4
【図-1】平成 19 年度繰入額における基準内繰入と基準外繰入の割合
基準内繰入
計 634 億円
(98.5%)
(1.5%)
(11.0%)
H19 年度繰入金
合計 643.4 億円
(100%)
(87.5%)
過去 5 ヶ年の一般会計繰入金合計額の推移を見ると、企業債償還が進
んだことによる企業債利息負担の軽減などにより、減少傾向にあります
【 図 - 2】 。
【図-2】
一般会計繰入金合計額の推移
900.0
850.0
800.0
775.9
一般会計繰入金合計
779.0
750.0
700.5
700.0
679.1
643.4
650.0
600.0
550.0
500.0
450.0
400.0
H15
H16
H17
H18
H19
5
【参考-2】下水道事業に係る繰出基準と繰入額の算出根拠
本市の下水道事業が実際に繰り入れている項目のうち、経費負担区分の検討を要する「雨
水処理に要する経費」と「高度処理に要する経費」についての繰出しの基準や繰入金の算出
については以下のとおりです。
※1 雨水処理に要する経費
(1)繰出しの基準
雨水処理に要する資本費及び維持管理費に相当する額
(2)繰入金算出に当たっての留意点(「公共下水道事業繰出基準の運用について」(昭和
56 年 6 月 5 日付 自治省財政局準公営企業室長通知))
①「雨・汚水経費区分基準」(次頁【参考-3】)に基づき算定すること。ただし、各
施設の機能及び構造等からより実態に即した基準を設けることができる場合は、そ
れによって算定することも可能。
②従来、雨水処理に要する経費と汚水処理に要する経費の区分を一定比率(例えば資
本費については雨水 7 対汚水 3 の割合等)を用いて行ってきた事業にあっても、速
やかに①により経費負担区分の適正化を図ること。
③2 以上の施設を有する場合は、各施設ごとにその実態に応じて算定することが望ま
しいが、各施設の実態が概ね同一であると考えられる場合は各施設に共通する算定
方法(金額)によることも差し支えない。
(3)繰入金の算出(H19 年度)
維持管理費 62.2 億円+資本費 501 億円(減価償却費 306 億円+企業債利息 195 億円)
=563.2 億円
※2 高度処理に要する経費
(1)繰出しの基準
下水の高度処理に要する資本費及び維持管理費(特定排水に係るものを除く)に相当す
る額の一部(2 分の1を基準とする)とする。
(2)繰入金算出に当たっての留意点(「公共下水道事業繰出基準の運用について」(昭和
61 年 5 月 27 日付 自治省財政局準公営企業室長通知))
①「高度処理」とは、環境基準の達成等の目的のため、活性汚泥法*又は標準散水ろ
床法*より高度に下水を処理することができる方法により下水を処理すること。
②「高度処理に要する資本費及び維持管理費」とは、高度処理を実施することにより
増加する資本費及び維持管理費をいう。
③「特定排水」とは、本来、事業活動に伴い、工場、事業所等から下水道に排除され
る汚水をいうが、具体的に特定排水とそれ以外の一般排水との区分を行うに当た
っては、排除される汚水のうち一定量以上の部分を特定排水とすることも止むを
得ない。なお、一定量の基準は、生活排水の実態、生活関連業種の実情等を勘案
して定めること。
④高度処理の実施に緊急性がある等繰出しの基準となる「2 分の 1」の比率により難
い特段の事情があるときは、地域の実情等を勘案した別の比率によることも止むを
得ない。
(3)繰入金の算出(H19 年度)
維持管理費 0.4 億円+資本費 1.6 億円(減価償却費 1.2 億円+企業債利息 0.4 億円)
=2.0 億円
6
【参考-3】雨・汚水経費区分基準
前頁「雨水処理に要する経費」のうち、繰入金算出に当たっての留意点(「公共下水道事業
繰出基準の運用について」(S56.6.5 自治省財政局準公営企業室長通知))においては、以下の
「雨・汚水経費区分基準」により算出することとされています。
(S56.6.5
自治省財政局準公営企業室長通知)
雨水・汚水経費区分基準(抜粋)
1合流式下水道の場合
(1) 資本費
①減価償却費
(イ) 管きょ
分流式で建設した場合における雨水管きょと汚水管きょの建設費を想
定し、その割合で区分する。
(ロ) ポンプ場
雨水用と汚水用に区分することができるポンプは各々その額とし、雨
水と汚水に共用のポンプは当該ポンプに係る雨水と汚水の計画揚水量の
割合で区分する。
また、ポンプ操作設備及び上屋等の雨水ポンプと汚水ポンプに共通の
施設は各施設の実態に応じ、雨水ポンプ又は汚水ポンプの設置面積の割
合、建設費の割合又は揚水能力の割合によって区分する。
(ハ) 処理場
処理場内の施設のうちその機能が雨水用又は汚水用に特定されている
ものは各々その額とし、沈砂池*及び第 1 沈殿池*等雨水と汚水に共用の
施設は当該施設に係る雨水と汚水の計画処理水量の割合で、管理棟及び
倉庫等その機能が処理場全体に係るものは処理場内のそれ以外の施設に
係る減価償却費における雨水に係るものと汚水に係るものの割合を加重
平均して得た割合で区分する。
(ニ) その他の資産
その他の資産のうちその機能が雨水用又は汚水用に特定されているも
のは各々その額とし、その機能が特定されていないものは管きょ、ポン
プ場及び処理場に係る減価償却費における雨水に係るものと汚水に係る
ものの割合を加重平均して得た割合で区分する。
(中略)
(2) 維持管理費
(イ) 管きょ
(a)補修費は、管きょに係る減価償却費における雨水に係るものと汚水に
係るものの割合で区分する。
(b)その他の経費は、管きょ内堆積物の無機物と有機物の含有量の割合で
区分し、前者を雨水処理に要する経費、後者を汚水処理に要する経費
とする。
(中略)
2 分流式下水道の場合
施設の機能が雨水処理用又は汚水処理用に特定されているものは各々当該施設に
係る経費の割合で区分し、その機能が雨水処理と汚水処理に共通するものは合流式
下水道の場合に準じて区分する。
7
2
下水道に期待される役割の拡大と経費負担区分のあり方
○下水道を取り巻く環境の変化に伴い、下水道事業に期待される役割は拡大しています。
○役割拡大に伴う取り組みを進めていくためには、
「雨水公費・汚水私費」を原則としつつも、
受益者、汚染者原則では整理しきれない、経費の負担区分について、十分に議論することが
必要です。
○役割拡大に伴う具体的な取り組みのうち、経費負担区分を整理すべき事業として、
「処理水
質の向上(高度処理)」、
「合流式下水道の改善」、
「ノンポイント対策」、
「地球温暖化対策」が
挙げられます。
(1)下 水 道 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 と 期 待 さ れ る 役 割 に つ い て
地 球 温 暖 化 問 題 へ の 世 界 的 な 関 心 の 高 ま り 、水 循 環 の 喪 失 や 計 画 を 超 え
る 降 雨 の 増 加 に よ る 被 害 の 発 生 と い っ た 、下 水 道 を 取 り 巻 く 環 境 変 化 に 伴
い 、下 水 道 事 業 に 期 待 さ れ る 役 割 は 、本 来 的 な 役 割 と さ れ て き た 浸 水 対 策
や 、公 衆 衛 生 の 維 持 、生 活 環 境 の 向 上 に 加 え て 、地 球 温 暖 化 対 策 へ の 貢 献
や 公 共 用 水 域 の さ ら な る 水 質 向 上 、地 域 の 持 続 的 発 展 の た め の 水 や 下 水 道
資 源 の 循 環 型 シ ス テ ム の 中 核 的 役 割 と な る こ と な ど 、拡 大 し て き て い ま す
【 図 - 3】 。
【図-3】拡大する下水道の役割
浸水被害の増大
生 活環 境 への 関心
の高まり
川や海の水質悪化
浸水から街を守ります。
雨水を速やかに排水し、浸水を防止
します。
浸水対策
トイレの水洗化
公共用水域の
水質保全
水質保全
の有効利用
快適な水環境の
安らぎや潤いの空間
への関心の高まり
温室効果ガス排出量の
増加、環境問題に対す
る意識の高まり
川や海をきれいにします。
家庭や事業所からの汚水をきれい
にして川や海に戻します。
下水道資源・資産
省エネ・リサイクル
社会の到来
いやなニオイもなくなります。
悪臭や汲み取りの手間から開放さ
れ、衛生的で快適な生活環境を確保
します。
保全・創造
地球温暖化対策
への貢献
8
下水を処理した再生水や汚泥等の“下
水道資源”の有効利用。水再生センタ
ーや管きょ等の“下水道資産”の多目
的利用を図り、環境行動都市の実現に
寄与します。
安らぎや憩い のある水辺環境 にし
ます。
高度処理の導入や合流式下水道を改
善します。
再生可能エネルギーの導入など温室
効果ガスの発生源に応じた対策を講
じ、地球温暖化対策に貢献します。
(2)役 割 の 拡 大 に 伴 う 主 な 事 業 と 経 費 負 担 区 分 の 考 え 方
役割拡大に伴う具体的な取り組みとして、
「 処 理 水 質 の 向 上( 高 度 処 理 )」、
「合流式下水道の改善」、「ノンポイント対策」、「地球温暖化対策」
などがあります。
こ れ ら 事 業 は 汚 染 者 (原 因 者 )や 受 益 者 の 特 定 が 難 し い た め に 、課 題 の 一
つとして、「必要な経費を誰がどのように負担するか」という経費負担
区分の問題があります。これについては、様々な考え方があるところで
すが、経営の安定性を確保しながら事業を進めていくためには、整理が
必要となっています。
経費負担区分を考えるに際しては、「受益者負担」、「汚染者負担」
「雨水公費・汚水私費」といった諸原則に加え、「下水道政策研究委員
会 【 資 料 - 5】 の 提 言 (H16.8)」 や 「 電 力 会 社 に よ る 太 陽 光 発 電 余 剰 電 力
の 買 取 制 度 (H21.5)」 な ど 具 体 的 な 提 言 等 が 参 考 と な り ま す 。
①役割の拡大に伴う主な事業
ア
○
処理水質の向上(高度処理)
現状の取組
東 京 湾 流 域 の 8 箇 所 の 水 再 生 セ ン タ ー で は 、機 械・電 気 設 備 の 更 新 等
に合せて段階的に嫌気-無酸素-好気法(A2O法)の導入【図-4】
に よ り 処 理 水 質 の 向 上 を 図 っ て お り 、 平 成 19 年 度 末 で 計 画 処 理 能 力 の
約 19% で 改 善 が 進 ん で い ま す 。
窒 素 及 び り ん は 、 従 来 の 処 理 で は 50% 程 度 の 除 去 率 で す が 、 A 2 O
法 で は 除 去 率 を 窒 素 約 70% 、 り ん 約 85% に 高 め る こ と が で き ま す 。
【図-4】高度処理施設の設置
従来:標準法
整備後:A2O法
A2O法は図のように、従来の設備を一部変更することで窒素及びリンの処理水質
の向上が図られます。ただし、処理できる水量は少なくなります。
9
○
処理水質の向上の義務化 ~下水道法施行令の改正について~
水 再 生 セ ン タ ー か ら の 放 流 水 の 水 質 の 基 準( 放 流 水 質 基 準 )に つ い て
は 、水 質 汚 濁 防 止 法 に お け る 排 水 基 準 、下 水 道 法 に お け る 放 流 水 の 技 術
上 の 基 準 を 遵 守 す る こ と が 求 め ら れ て お り ま す 。放 流 水 の 技 術 上 の 基 準
に 関 し て は 、平 成 15 年 9 月 に 下 水 道 法 施 行 令 が 改 正 さ れ( 平 成 16 年 4
月 施 行 )、 下 水 道 管 理 者 が 「 計 画 放 流 水 質 」 を 定 め て 、 こ れ に 適 合 さ せ
る こ と が 義 務 付 け ら れ ま し た 。 た だ し 、「 計 画 放 流 水 質 」 の 設 定 は 、 公
共 の 水 域 又 は 海 域 ご と に 定 め ら れ る「 流 域 別 下 水 道 総 合 計 画 」と の 整 合
性のとれたものであることも求められております。
従 い ま し て 本 市 で は 、 東 京 湾 流 域 の 水 再 生 セ ン タ ー に お い て は 、「 東
京湾流域別下水道総合計画」に掲げられた目標値※1との整合を図り、
下水道施行令改正後の放流水質基準は【表-2】のとおりとなります。
さ ら に 、放 流 水 質 基 準 が 定 め ら れ た 場 合 、下 水 道 法 施 行 令 に お い て 設
置 す べ き 施 設 の 構 造 も そ の 水 質 に 応 じ て 定 め ら れ て お り ま す【 表 - 3 】。
【表-2】下水道法施行令改正前後の放流水質基準
水質項目
東京湾流域
<改正後>
計画放流水質
処理方法
放流水質基準
(処理施設の構造)
(=計画放流水質)
従来
改正後
BOD*
20
15
T-N*
30
20
処理方法の決定と計画放流水質、放流水質基準との関係
3.0
2.0
下水道法施行令の概要:国土交通省 都市・整備局 下水道部 より抜粋
T-P*
数値は年間最大値
【表-3】計画放流水質の区分と対応する代表的な処理方法
計画放流水質の区分と対応する代表的な処理方法
本市の計画放流水質
(東京湾流域)
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
計画放流水質(mg/L)
BOD
T-N
T-P
~10
~10
~0.5
~10
~10 0.5~1
~10
~10
1~3
~10
~10
~10 10~20
~1
~10 10~20 1~3
~10 10~20
~10
~1
~10
1~3
~10
10~15 ~20
~3
10~15 ~20
10~15
~3
10~15
方 法
嫌気無酸素好気法(有機物及び凝集剤を添加、急速濾過法を併用)
循環式硝化脱窒法(有機物及び凝集剤を添加、急速濾過法を併用)
嫌気無酸素好気法(有機物を添加、急速濾過法を併用)
循環式硝化脱窒法(有機物を添加、急速濾過法を併用)
循環式硝化脱窒法(凝集剤を添加、急速濾過法を併用)
嫌気無酸素好気法(急速濾過法を併用)
循環式硝化脱窒法(急速濾過法を併用)
嫌気好気活性汚泥法(凝集剤を添加、急速濾過法を併用)
嫌気好気活性汚泥法(急速濾過法を併用)
標準活性汚泥法(急速濾過を併用)
嫌気無酸素好気法
循環式硝化脱窒法
嫌気好気活性汚泥法
標準活性汚泥法
※1:東京湾流域別下水道整備総合計画の目標水質
東京湾は閉鎖性海域であるため、水質汚濁防止法において、通常規制項目加え、
窒素とりんの規制項目が必要と定められております。これにより、本市の東京湾
流域に位置する水再生センターの目標水質にも、窒素とりんの項目を規定してい
ます。
10
(関連法令)
☆下水道法
(放流水の水質の基準)
第八条 公共下水道から河川その他の公共の水域又は海域に放流される水(以下「公共下水道からの放流水」という。)の水質は、政令
で定める技術上の基準に適合するものでなければならない。
☆下水道法施行令
(放流水の水質の技術上の基準)
第六条 法第八条 (法第二十五条の十 において準用する場合を含む。次項において同じ。)に規定する政令で定める公共下水道又は流
域下水道からの放流水の水質の技術上の基準は、雨水の影響の少ない時において、次の各号に掲げる項目について、それぞれ当
該各号に定める数値とする。この場合において、当該数値は、国土交通省令・環境省令で定める方法により検定した場合におけ
る数値とする。
一 水素イオン濃度 水素指数五・八以上八・六以下
二 大腸菌群数 一立方センチメートルにつき三千個以下
三 浮遊物質量 一リットルにつき四十ミリグラム以下
四 生物化学的酸素要求量、窒素含有量及び燐含有量 第五条の六第二項に規定する計画放流水質に適合する数値
2 前項に定めるもののほか、合流式の公共下水道(流域関連公共下水道を除く。)からの放流水又は合流式の流域下水道及びそ
れに接続しているすべての合流式の流域関連公共下水道からの放流水の水質についての法第八条 に規定する政令で定める技
術上の基準は、国土交通省令・環境省令で定める降雨による雨水の影響が大きい時において、合流式の公共下水道(流域関連
公共下水道を除く。)の各吐口又は合流式の流域下水道及びそれに接続しているすべての合流式の流域関連公共下水道の各吐口
からの放流水に含まれる生物化学的酸素要求量で表示した汚濁負荷量の総量を、当該各吐口からの放流水の総量で除した数値
が、一リットルにつき五日間に四十ミリグラム以下であることとする。この場合において、これらの総量は、国土交通省令・
環境省令で定める方法により測定し、又は推計した場合における総量とする。
3、4 省略
(処理施設の構造の技術上の基準)
第五条の六 第五条の四に定めるもののほか、処理施設(終末処理場であるものに限る。以下この条において同じ。)の構造の技術上
の基準は、次のとおりとする。
一 、二、四 省略
三 前号に定めるもののほか、水処理施設は、次の表に掲げる計画放流水質の区分に応じて、それぞれ同表に掲げる方法(当該
方法と同程度以上に下水を処理することができる方法を含む。)により下水を処理する構造とすること。
2 前項第三号の「計画放流水質」とは、放流水が適合すべき生物化学的酸素要求量、窒素含有量又は燐含有量に係る水質であつ
て、下水の放流先の河川その他の公共の水域又は海域の状況等を考慮して、国土交通省令で定めるところにより、公共下水道
管理者又は流域下水道管理者が定めるものをいう。
☆下水道法施行規則
(計画放流水質)
第四条の三 令第五条の六第二項 に規定する計画放流水質は、次に定めるところにより、公共下水道管理者又は流域下水道管理者が
定めるものとする。
一 省略
二 当該地域に関し流域別下水道整備総合計画が定められている場合においては、これと整合性のとれたものであること。
11
イ
合流式下水道の改善
○ 現状の取組
市 域 の 約 1/4 で 採 用 し て い る 合 流 式 下
水 道 は 、構 造 上 、雨 天 時 に 未 処 理 下 水 の
一 部 が 川 や 海 へ 流 失 し 、課 題 と な っ て い
ま す 。【 図 - 5 】
本 市 で は 、 施 行 令 改 正 以 前 の 昭 和 50
年 代 か ら 、「 分 流 式 下 水 道 並 み 」 の 汚 濁
負 荷 量 削 減 を 当 面 の 目 標 と し て 、雨 水 滞
水池の整備や雨水吐の改良を進めてき
ました。
合 流 式 下 水 道 で は 、晴 天 時 に 下 水 管 や
道 路 な ど に た ま っ た 汚 濁 物 が 、雨 が 降 る
と 洗 い 流 さ れ 、雨 の 降 り 始 め の 下 水 に 混
じ っ て 流 入 し ま す 。雨 水 滞 水 池 と は 、初
期降雨の汚濁負荷が高い下水を貯留す
る 池 構 造 の 施 設 で 、貯 留 し た 下 水 は 、晴
天 時 に 水 再 生 セ ン タ ー へ 返 送 し 、処 理 過
程を経ることによって汚濁負荷量の削
減 を し て い ま す 。【 図 ‐ 6】
【図-5】横浜市の合流区域
【図-6】合流式下水道の改善イメージ
雨水吐の改良
【表-4】合流式下水道改善対策の進捗(平成 19 年度末)
整備率
対策の概要
雨水滞水池の整備
78%
5mm/ha の貯留(北部、神奈川、南部の一部で未整備)
雨水吐の改良
58%
遮集管(5Qs)の整備、雨水吐の改良
ポンプ施設の改造
18 箇所(35 箇所中) 沈砂池、ポンプ井のドライ化
12
○
雨天時における放流水質が規定
下 水 道 施 行 令 の 一 部 改 正 ( H15.9) に よ っ て 、 雨 水 吐 及 び 処 理 施 設 に
係 る 吐 き 口 か ら の 放 流 水 に 対 し 、「 合 流 区 域 に お け る 雨 水 の 影 響 が 大 き
いときの水質基準」※2が定められ、一定期間内※3までに合流改善対策
を完了すること(=水質基準を遵守すること)が義務づけられました。
※2
合流区域における雨水の影響が大きいときの水質基準
総降雨量 10mm~30mm の降雨を対象に、処理区内の雨水吐+処理施設に係る吐口
からの放流水質の平均値をBOD=40mg/L 以下【図-7】にすることが定められま
した。
【図-7】各吐き口からの放流水平均水質
下水道法施行令改正の概要:国土交通省
※3
都市・整備局
下水道部
より抜粋
一定期間内
原則は、平成 25 年度までに改善対策を完了することとなっていますが、処理区域面
積が 1,500ha 以上ある場合は、平成 35 年度までとなっています。また、経過暫定と
して改善対策完了までの間は、暫定基準BOD=70mg/L が適用されます。
13
ウ
ノンポイント対策 (面源負荷対策)
路面、屋根、農地など面的に散在している汚濁源を特定できない面源
負 荷 (ノ ン ポ イ ン ト ソ ー ス )に つ い て は 、 合 流 式 下 水 道 の 処 理 区 域 で は 、
一定量が下水に取り込まれ処理されますが、分流式下水道の処理区域で
は、雨水管きょを通して直接川や海へ流出しています。下水道整備が進
み生活排水等の汚濁負荷削減が進むなかで、相対的に負荷の割合が増加
してきており、東京湾に流入する汚濁負荷として、下水道に次いで大き
い 要 因 に な っ て い ま す 。【 図 - 8 】
都市部では、人や物の集中、土地利用の高度化などによる大気の汚染
や道路面等の汚濁堆積量の増加、不浸透面積の増大による雨天時流出量
の 増 加 に よ り 、相 当 量 の 汚 濁 負 荷 が 流 出 し て い る と 考 え ら れ ま す 。
【図-
9】
路面の清掃や農地の施肥量の適正化など汚濁の発生源への対策や、雨
水の貯留や浸透により、汚濁負荷ができるだけ雨水とともに流れ出さな
いようにするなどの流出負荷対策の検討が必要となります。
【図-8】東京湾に流入する汚濁負荷(平成 16 年度)
【図-9】面源負荷の発生源
① 28%
⑥ 34%
COD
364t/日
②
⑤
1%
④
9%
③
10%
18%
① 水再生センター等放流水
② 合流式下水道越流水
③ 生活系(浄化槽、雑排水)
④ 産業系(製造、営業、観光)
⑤ 畜産系(牛、馬、豚)
⑥ 面源系(樹林地、農地、市街地)
出典:東京湾流域別下水道整備総合計画検討委員会
出典:市街地のノンポイント対策に関する手引き(案)
(参考)
滋賀県守山市の取り組み
滋賀県の守山市・栗東市における雨水排除が
主たる目的である事業と連動して、降雨に伴う
流出汚濁負荷の削減を目指している 。
管渠の雨水貯留機能を利用し、汚濁物質を含
んだ水を流域下水道汚水幹線に排出して、処理
する計画がなされている。
(日本水環境学会 HP より)
14
エ 地球温暖化対策
○ 省エネルギー、維持管理による対策
「エネルギーの使用の合理化に関す
る 法 律 ( 省 エ ネ 法 ) 」 の 遵 守 も 踏 ま え 、【図-10】下水道事業における
温室効果ガス排出量の割合(H20 年度)
対 前 年 度 比 で 電 力 使 用 量 の 1% 削 減 を
目標として取組を行っています。
具体的な取組としては、機器の間欠
運転、送風量の削減、処理水の空調熱
源としての利用などにより削減を図っ
て い ま す 。【 図 -10】
○
機械、設備更新時の省エネ対応
設備機器は、更新時に電力消費の少な
い高効率なものへの更新や駆動する材
質の軽量化を行うことで、電力使用量の
削減を図っています。
○
消化ガスを活用した発電
北部汚泥資源化センターでは消化ガ
ス 発 電 設 備 に つ い て 、 民 間 の 資 金 と 技 【図-11】消化ガス発電のイメージ
術 ノ ウ ハ ウ を 活 用 し た PFI 手 法 を 導 入
消化ガス発電機
し 、 更 新 事 業 を 進 め て お り 、 平 成 21
年度に完成します。
これにより、より高効率の発電設備
ガスホルダ
が 導 入 さ れ 、こ れ ま で に 比 べ CO2 の 排
出 量 が 25%( 年 間 588 ㌧ )削 減 さ れ る
消化ガス
見込みです。
【 図 - 11】
15
○
汚泥処理システムの転換(燃料化)
現 在 の 汚 泥 処 理 は 、 焼 却 処 分 し て い 【図-12】汚泥燃料化のイメージ
ますが、
「 燃 料 化 」へ の シ ス テ ム の 転 換
について調査検討を進めています。
燃 料 化 は 、製 造 工 程 で 焼 却 を 伴 わ ず 、
化石燃料に代替できるため、温室効果
ガスの大幅な削減が期待されます。
【 図 - 12】
○
太陽光パネルや小水力発電(新エネルギー)
水再生センターの最初沈殿池、反応タン
クの臭気防止のために設置されている覆
蓋 、建 屋 の 屋 上 な ど 太 陽 光 パ ネ ル を 設 置 可
能 と 想 定 さ れ る 面 積 は 、11 水 再 生 セ ン タ ー
で 約 13 万 m2 あ り 、 こ の す べ て に 太 陽 光 【図-13】覆蓋箇所の太陽光発電例
パネルを設置した場合の発電量は年間約
1,375 万 kWh( ※ ) と な り ま す ( 本 市 下 水 道
事 業 経 営 研 究 会 第 三 期 資 料 よ り )。
ま た 、河 川 等 に 放 流 す る 際 に 生 じ る 落 差
による位置エネルギーを利用して発電す
る も の で 、水 量 又 は 落 差 が 大 き い ほ ど 発 電
量 が 大 き く な り ま す 。近 年 の 技 術 開 発 に よ
り 最 低 限 必 要 な 落 差 は 2m 程 度 と な っ て い
ます。
2m 以 上 の 水 位 差 の あ る 水 再 生 セ ン タ ー
は 3 箇 所 あ り 、設 置 し た 場 合 の 発 電 量 は 年
間 約 50 万 kWh と な り ま す 。【 図 - 13】
※1,375 万 kWh は、一般家庭約 3,800 世帯が 1 年
間に使用する電力量に相当します。
○1 世帯当たりの標準的電気使用量
300kwh/月・世帯×12 か月=3,600kwh
(電気事業連合会 2007 資料より)
16
②
経費負担を検討する上で参考となる諸原則等
ア 受 益 者 負 担 の 原 則 (【 資 料 - 3 】 )
受益者負担の原則は、商品やサービスの提供を受けた者が、自分
の利用した商品やサービスの量に応じて、その原価に見合った対価
を支払う、という考え方です。
イ 汚 染 者 負 担 の 原 則 (【 資 料 - 4 】 )
汚染者負担の原則は、汚染物質を出している者は、公害を防止す
るための経費を自ら負担して必要な対策を行うべき、という考え方
で す 。 も と も と は 、 経 済 協 力 開 発 機 構 (OECD)が 、 貿 易 の 不 均 衡 を 是
正するために提唱されました。この原則は、世界各国で環境保護の
ための経費負担を考える際の基本原則となっています。
ウ 下 水 道 政 策 研 究 委 員 会 の 提 言 (【 資 料 - 5 】 )
下 水 道 政 策 研 究 委 員 会 は 、 国 土 交 通 省 及 び (社 )日 本 下 水 道 協 会 に
よ り 、 平 成 11 年 度 に 設 置 さ れ ま し た 。
同 委 員 会 の 、 「 下 水 道 財 政 ・ 経 営 論 小 委 員 会 中 間 報 告 」 (平 成 16
年 8 月 )の 中 で 、 合 流 式 下 水 道 改 善 事 業 と 高 度 処 理 の 費 用 負 担 の 考 え
方が示されています。
経費負担区分を考える際に「事業実施に至った経緯が行政側の責
任によるものか否か」「受益者の特定ができるかどうか」「下水道
使用者の便益を増進するか否か」といったことが、視点とされてい
ます。
なお、この視点に立って適切な経費負担区分のあり方を検討した
結 果 、合 流 式 下 水 道 改 善 事 業 と 高 度 処 理 の 経 費 負 担 区 分 に つ い て は 、
公費負担が望ましいと述べられています。
エ 電 力 会 社 に よ る 太 陽 光 発 電 余 剰 電 力 の 買 取 制 度 (【 資 料 - 6 】 )
太陽光発電の普及拡大のため、経済産業省は、小売料金単価を大
きく上回る価格での買い取りを一般電気事業者*に義務付けたうえ
で、導入拡大のための経費を「国民全員参加型で負担する」という
視点から、電力会社が買い取る際に発生する負担増は、各需要家の
電力料金に上乗せする制度を実施する予定です。
17
経費負担の現状と考え方、および経費負担を考える上で参考となる提言等
取り組み
○上段:経費負担区分の現状(○
現 )と考え方(○
考)
内容
(事業)
■下段:今後、経費負担のあり方を考える上で参考となる提言等
現 公費 1/2
○
私費 1/2 の負担(総務省繰出基準)※ただし、特定排水(事業活動に伴い、工場、事務所等
から下水道に排除される汚水など)については、全額私費負担。
考 ・基本的には汚水処理であり、私費負担とすべきだが、地方公共団体の行政選択として下水道法で
○
要求されるレベル以上の処理を行うもので、公費負担とすべき面もある。
処理水質の
向上
(高度処理)
~『下水道経営ハンドブック』
(下水道事業経営研究会)より~
■下水道政策研究委員会「下水道財政・経営論小委員会中間報告書」(H16.8)
・公共用水域の水質保全等の観点から行政として見直すこととした経緯
・受益者の特定が困難
・事業効果が特定の下水道使用者の便益を直接増進するものではない
⇒以上から、可能な限り公費負担とすることが適当である、としている。
■下水道法施行令
・窒素及びリンの削減について水質基準が明確に位置付けられている。
現 公費負担(本市の場合)
○
考 ・公共用水域の水質保全等の観点から行政として取り組むもの
○
・受益者の特定が困難
・事業効果が特定の下水道使用者の便益を直接増進するものではない。
・下水道使用者に対し、その受益の限度を超えた負担を求めることは必ずしも合理的でない。
・降雨に起因するもので、雨水対策事業と位置付ける考え方もある。
合流式下水
道の改善
■下水道政策研究委員会「第 8 回費用負担小委員会」資料(H13.11)
・越流水問題は、本来処理されるはずの管きょに蓄積した汚濁物質が、大雨によって未処理のまま公
共用水域に流出することであり、雨水・汚水双方に起因する問題。
⇒基本的には、合流式下水道の費用負担の考え方(7 頁【参考 3】)をベースに検討する必要がある。
■下水道政策研究委員会「下水道財政・経営論小委員会中間報告書」
(H16.8)では、
「高度処理の経費
負担」と同様の理由で、
「公費負担が適当」としている。
■下水道施行令
・合流区域において、雨天時に雨水吐から放流される排水の水質基準(BOD)が明確に位置付けられた。
現 現状において、特段の取り組みはない。
○
■下水道政策研究委員会「第 9 回費用負担小委員会」資料(H14.1)
ノンポイン
ト対策
・ノンポイント問題の原因は公道上などの汚濁物質が降雨に伴って流入するもの
・汚濁者の特定が一般的に困難
・汚濁者を特定しうる場合は、費用負担を求めることを検討する必要がある(ただし、汚濁物質が下水
道に入らない者と入る者の公平性を図るべき)
現 現状において、特段の取り組みはない
○
■経産省
総合資源エネルギー調査会
新エネルギー部会
緊急提言(H20.9)
・新エネルギーの導入支援、技術、設備のための多大なコストの負担方法は、エネルギー導入者が自
ら負担する、財政支出(補助金等)、エネルギー価格(電気料金、ガス料金等)に含める場合等複数のパ
地球温暖化
対策
ターンが考えられるが、いずれにせよ最終的には何らかの形での国民負担が不可避。
■経産省
総合資源エネルギー調査会
第 35 回新エネルギー部会
資料(H21.5)
・太陽光発電の導入加速化のためには、非常に安定的な低リスクインセンティブを付与する新たな取
組みが必要。
・導入拡大のためのコストは、「最終的には国民負担が避けられない」とされていることから、「国民
の全員参加型」で負担していく視点が必要であり、電力の需要家全てが負担することを基本とする。
18
Ⅱ
支出削減に向けた取り組み
1
経営指標にみる本市下水道事業経営の現状
○ 本 市 の 下 水 道 事 業 に お い て は 、効 率 的 な 管 理 運 営 に 努 め て お り 、下 水 道 管 理
費のうち維持管理費は全国で最も低い水準になっています。
○ 一 方 で 、 資 本 費 (企 業 債 利 息 + 減 価 償 却 費 ) は 比 較 的 高 水 準 に あ り 、 汚 水 処
理原価等の引き上げの要因となっています。
○ た だ し 、企 業 債 利 息 の 減 少 が 主 な 要 因 と な っ て 、 資 本 費 は 平 成 10年 を ピ ー ク
に低減傾向にあり、今後状況は改善するものと見込まれます。
省 エ ネ ル ギ ー の 推 進 や 省 力 化 な ど 取 り 組 み の 成 果 は 、特 に 維 持 管 理 費 の コ
ス ト 水 準 に 表 れ て い ま す 。総 務 省 の ホ ー ム ペ ー ジ で 公 開 さ れ て い る 、全 国 の
下 水 道 事 業 の 主 と し て 効 率 性 を 示 す 以 下 の 経 営 指 標 か ら 、そ の 経 費 削 減 の 効
果 が 明 確 に 表 れ て い ま す 。( 平 成 19 年 度 決 算 ベ ー ス )
① 汚水処理原価(低いほうがよい)
1㎥の汚水(有収水)を処理するのに要する原価(コスト)は低減
傾 向 に あ り【 図 - 14】、平 成 19 年 度 は 約 149 円 で す が 、旧 5 大 市 (横 浜 、
名 古 屋 、 京 都 、 大 阪 、 神 戸 )及 び 東 京 都 、 川 崎 市 (以 下 : 比 較 7 都 市 )の
中 で は 川 崎 市 に 次 い で 高 い 状 況 で す 【 図 - 15】。
内訳を見ると、維持管理費は比較 7 都市及び全指定都市中で最低な
のに対し、資本費は川崎市に次いで高く、資本費が総コストを押し上
げています。
【図-14】汚水処理原価の推移
210.0 200.0 190.0 180.0 170.0 単位:円
199.9 187.3 185.1 184.0 175.5 170.8 161.3 152.5 148.7 160.0 150.0 147.4 140.0 130.0 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
19
汚水処理
原価
【図-15】汚水処理原価の比較(H19 年度)
180.00 160.00 165.6
148.7
140.00 120.00 100.00 123.1
116.6
114.53 106.29 64.01 59.71 80.00 114.4
90.0 ]
69.26 38.22 55.53 45.09 51.79 49.32 川崎市 名古屋市 京都市
大阪市
神戸市
60.00 40.00 20.00 42.42 56.98 単位:円
104.8
59.05 51.03 0.00 横浜市
東京都
維持管理費(円/m3)
資本費(円/m3)
しかしながら、企業債の償還が進み、企業債利息負担が軽減してい
る こ と や 、 み な し 償 却 制 度 の 採 用 を 主 な 要 因 と し て 、 資 本 費 は H10 年
をピークに減少傾向にあり、総収益に対する資本費の割合は減少傾向
に あ り ま す 【 図 - 16】。
資 本 費 総 額 を 100% と し 、資 本 費 を 構 成 す る 企 業 債 利 息 と 減 価 償 却 費
の 割 合 を 見 て み る と 、20 年 前 は 支 払 利 息 60% 強 、減 価 償 却 費 40% 弱 の
割合だったのが、企業債の償還を進めた結果、利息負担が軽減され、
平 成 19 年 度 末 で は 支 払 利 息 40% 、 減 価 償 却 費 60% と 逆 転 し て い ま す
【 図 - 17】。今 後 も こ の 傾 向 は 続 く も の と 思 わ れ ま す が 、さ ら な る 企 業
債 利 息 の 縮 減 に 取 り 組 み 、資 本 費 の 削 減 を 図 っ て い く 必 要 が あ り ま す 。
【図-16】総収益と資本費の総額及び総収益に対する資本費の割合の推移
単位:億円
%
100.0
1,600
1,518
1,486
1,482
1,436
1,399
1,405
1,361
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
900
800
1,389
1,378
1,368
95.0
総収益
資本費
1,364
91.8
92.8
1,298
1,300
1,364 1,368
1,274 1,281
1,264
1,241
1,239
90.0
1,238
1,214
1,290 1,289
1,188
1,169
1,169
1,132
1,144 1,116
1,215
1,116
1,085
1,076
85.0
86.4
1,050
1,036
1,015
82.7 82.7 1,021
84.8
84.5
988
83.9
83.6
956
83.4 83.9
82.6
82.3 82.8 83.1
931
924
982
81.6
80.0
855
79.3
み なし償却制度
78.1 78.2
77.2 76.7
77.0
(※)の採用(H11)
75.0
総収益に占
総収益
める資本費
に対す
の割合
る資本
費の割
合
700
600
70.0
S61 S62 S63 H1
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19
※みなし償却制度
取得価額から補助金を控除した金額を帳簿価額とみなして、減価償却費を算出することができる制度
20
【図-17】資本費総額を 100 とした場合の減価償却費と支払利息の割合の推
70.0%
65.9%
59.5%
60.0%
54.5%
52.4%
58.7%
56.9%
50.0%
40.0%
30.0%
47.6%
45.5%
43.1%
41.3%
40.5%
34.1%
減価償却費
20.0%
支払利息
10.0%
S61
S62
S63
H1
H2
H3
H4
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
H13
H14
H15
H16
H17
H18
H19
0.0%
②
経費回収率(高いほうがよい)
汚水処理に要した費用が使用料によってどれだけ回収できているか
を 示 す 経 費 回 収 率 は 102.8% (約 1.03 倍 )で あ り 、比 較 7 都 市 の 中 で は
低い水準と言えます。
一 方 で 維 持 管 理 費 の 回 収 率 を 見 る と 360%( 約 3.6 倍 )で 比 較 7 都 市
及び全指定都市中で最高となっており、維持管理費の削減努力の結果
が 表 れ て い る と 言 え ま す 【 図 - 18】。
【図-18】経費回収率の比較
400.0 360.5 350.0 単位:円
312.9 300.0 286.6 240.9 250.0 225.0 213.7 189.5 200.0 150.0 102.8 117.6 100.0 96.4 102.5 113.0 109.0 105.8 50.0 0.0 横浜市
東京都
川崎市 名古屋市 京都市
経費回収率(%)
大阪市
経費回収率(維持管理費)(%)
21
神戸市
③ 処理区域内人口当たりの汚水処理費用(低いほうがよい)
人 口 密 度 を 見 る と 、比 較 7 都 市 で は 平 均 を や や 上 回 る 水 準 で あ り 、
スケールメリットを活かせる環境にあると言え、処理区域内一人当
たりの汚水処理費用は比較 7 都市中 3 番目です。
な お 、18 政 令 市 平 均 の 処 理 区 域 内 人 口 一 人 当 た り の 処 理 コ ス ト は 、
本 市 と ほ ぼ 同 水 準 と な っ て い ま す 【 図 - 19】。
【図-19】処理区域内人口一人当たりの処理コスト比較
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
7 都市平均は
115、18 政令市
平均は 101
④
16,268
16,497
単位:円
18,012
15,090
16,090
15,557
12,568
8,444
11,628
7,849
6,606
9,745
6,656
8,058
4,640
横浜市
人口密度 118
(人/ha)
12,460
18 政 令 市
平均は、
16,201 円
東京都
155
5,552
7,241
8,951
6,345
5,912
川崎市 名古屋市 京都市 大阪市
128
80
93
139
神戸市
91
処理区域1人あたりの維持管理費(汚水分)(円/人)
処理区域1人あたりの資本費(汚水分)(円/人)
職員1人当たり処理区域内人口(多いほうがよい)
職 員 1 人 当 た り の 処 理 区 域 内 人 口 は 、比 較 7 都 市 の 中 で は 2 番 目 で
す 。人 口 密 度 は 中 位 で す が 、施 設 や 人 員 配 置 な ど が 適 正 に 行 わ れ て い
る 結 果 と 言 え ま す 【 図 - 20】。
【図-20】職員 1 人当たりに見る処理区域内人口の比較
5,000
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
4,426
3,647
2,918
3,119
1,908
2,333
1,399
横浜市
東京都
川崎市 名古屋市 京都市
職員1人あたりの処理区域内人口
22
大阪市
神戸市
⑤
職員給与費対営業収益
使 用 料 収 入 等 の 営 業 収 益 に 対 す る 職 員 給 与 費 の 比 率 を 見 る と 、比 較
7 都 市 中 で は 最 も 低 く な っ て い ま す 【 図 - 21】。
【図-21】営業収益に占める職員給与費の割合比較
25%
21%
20%
14%
15%
10%
9%
7%
13%
12%
11%
5%
0%
横浜市
東京都
川崎市 名古屋市 京都市
大阪市
神戸市
職員給与費対営業収益
【参考-4】比較 7 都市の各データ
汚水処
経費回 処理区 処理区
汚水処
域1人 域1人
処理区
理原価
収率
施設利 使用料 汚水処
理原価 経費回
あたり あたり
団体名 域内人
(維持
(維持
用率
単価 理原価
(資本 収率
の管理 の維持
口密度
管理
管理
費)
運営費 管理費
費)
費)
(汚水 (汚水
人/ha
横浜市
(指定都市18都
市中順位)
118
-
%
円/m3
円/m3
63.4 152.92 148.70
5
8
9
円/m3
円/m3
42.42 106.29
%
%
円/人
102.8
360.5
16,268
1
12
7
1
8
円/人
処理区
域1人
あたり
の資本
費(汚
水分)
円/人
4,640 11,628
1
13
処理区 処理区
職員1
域内人 域内人
人あた 職員給与
経常収 利子負 口1人 口1人
りの処 費対営業
支比率 担率 あたり あたり
理区域
収益
地方債 基準外
内人口
残高 繰入金
人/人
3,647
8
千円/千円
0.07
5
%
102.5
5
%
3.5
-
千円/人
309
13
円/人
261
7
東京都
155
60.6 137.28 116.69
56.98
59.71
117.6
240.9
16,502
8,058
8,444
2,918
0.09
109.6
2.9
266
5,701
川崎市
128
49.9 159.66 165.56
51.03 114.53
96.4
312.9
18,011
5,552 12,460
3,119
0.11
100.0
3.3
302
648
名古屋市
80
54.9 126.19 123.06
59.05
64.01
102.5
213.7
15,090
7,241
7,849
1,908
0.14
101.8
3.1
247
45
京都市
93
56.4 129.25 114.35
45.09
69.26
113.0
286.6
16,090
6,345
9,745
2,333
0.12
101.7
3.7
300
644
大阪市
139
60.4
90.01
51.79
38.22
109.0
189.5
15,556
8,951
6,606
1,399
0.21
105.4
2.7
219
0
神戸市
91
57.0 110.98 104.85
49.32
55.53
105.8
225.0
12,568
5,912
6,656
4,426
0.13
109.7
3.3
93
229
57.5 130.63 123.32
50.81
72.51
106.7
261.3
15,726
6,671
9,055
2,821
0.12
104.4
3.2
248
1,075
62.7 134.66 128.57
53.50
75.07
104.7
251.7
16,201
6,741
9,460
2,847
0.10
104.4
3.1
270
2,392
上記7市
114.86
平均
18政令
101
市平均
98.13
23
2
維持管理費・資本費縮減に向けてのこれまでの取り組みと今後
の課題
2-1
維持管理費の縮減について
○ 水 再 生 セ ン タ ー・ポ ン プ 場・汚 泥 資 源 化 セ ン タ ー に つ い て は 、従 来 か ら 設 備
機 器 の 自 動 化 の 推 進 、施 設 の 集 約 化 な ど に 取 り 組 ん で き ま し た 。さ ら に 近 年
では、省エネルギー化の推進、直営管理の見直し、包括的民間委託*の導入
な ど に も 取 り 組 む こ と で 、維 持 管 理 費 の 縮 減 に 努 め て い ま す 。今 後 も な お 一
層 の コ ス ト 縮 減 が 求 め ら れ ま す が 、公 共 用 水 域 の 水 質 保 全 や 浸 水 被 害 の 防 除
な ど 、市 民 生 活 の 安 全 を 確 保 す る 行 政 責 任 が あ る こ と を 十 分 踏 ま え て 、検 討
していく必要があります。
○ 管 き ょ に つ い て は 、T V カ メ ラ に よ る 精 緻 な 調 査 、修 繕 工 事 に お け る 管 更 生
工 法 の 採 用 な ど を 通 じ 、効 率 的 な 維 持 管 理 に 取 り 組 ん で き ま し た 。今 後 、管
きょの老朽化が進む中、TVカメラ調査*結果に基づき、「早期発見・早期
修繕」の予防保全型維持管理を推進していく必要があります。
(1)水再生センター・ポンプ場・汚泥資源化センターでの維持管理費縮減
の取り組み
水再生センターでは、全国に先がけて、ポンプ場への遠方監視制御*の
導 入 に よ る 無 人 化 や 、水 処 理 設 備 の 自 動 化 を 積 極 的 に 進 め 、管 理 要 員 の 大
幅 削 減 を 実 現 し て き ま し た 。さ ら に 、各 水 再 生 セ ン タ ー で 個 別 に 行 っ て い
た 汚 泥 処 理 に つ い て も 、送 泥 施 設 や 送 泥 管 を 整 備 し て 、市 内 2 か 所 の 汚 泥
資 源 化 セ ン タ ー で 集 約 処 理 す る こ と で 、管 理 要 員 の 大 幅 削 減 を 実 現 し て き
ました。
ま た 、下 水 汚 泥 に つ い て は 、
「 ハ マ ユ ー キ( 肥 料 、昭 和 55~ 平 成 8 年 度 )」、
「 ハ マ レ ン ガ ( 平 成 7 ~ 16 年 度 )」 な ど に 有 効 活 用 す る こ と で 、 埋 立 処 分
費 を 削 減 し て き ま し た 。近 年 で は 下 水 汚 泥 焼 却 灰 を 改 良 土 や セ メ ン ト 原 料
化に100%有効活用しています。
※改良土
改良土とは、埋戻しや盛土などの用途の要
求する品質を満足させるために、建設発生土
に下水汚泥焼却灰、生石灰を添加、混合し、
使用状況により分級(粒径に従って振り分け)
して、土木材料として改良された土をいい、
要求品質を満足できずに処分される
土を再生利用するリサイクル製品です。
24
【下水汚泥焼却灰】
さらなる経費縮減を目指した、近年の取り組み状況は次のとおりです。
ア
省エネルギーの推進
水再生センターの反応タンクにおける微細気泡*散気装置等、高効
率 機 器 の 導 入 、送 風 機 の 運 転 制 御 の 見 直 し な ど 、日 常 の 省 エ ネ ル ギ ー
活 動 を 実 施 す る こ と で 、 大 幅 に 電 力 料 金 を 削 減 し て い ま す 。( 平 成 9
年 度 に 比 べ 約 8 億 円 縮 減 【 図 - 22】)
【図-22】水再生センター・ポンプ場の動力費
水再生センター・ポンプ場の動力費(電気代)
単位:千円
4,000,000
3,500,000
▲8億円
3,000,000
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
平成9年度
イ
平成14年度
平成19年度
管理体制の統合
平 成 21 年 度 か ら は 、同 一 処 理 区 で 、相 互 に バ ッ ク ア ッ プ 可 能 な 分
流式の栄第一水再生センターを合流式の栄第二水再生センターから
遠方監視制御し、管理体制を統合することで、夜間、休日の無人化
を 図 り 、年 間 で 約 1 億 円 の 維 持 管 理 コ ス ト を 縮 減 し て い ま す 。ま た 、
南部汚泥資源化センターについても、隣接する金沢水再生センター
の管理下におき、管理体制の統合を図っています。
ウ
直営管理の見直し
コンピュータの保守点検から、自家発電機の保守点検、庁舎清掃
の委託まで、幅広く委託を実施してきましたが、さらに沈砂池や水
処理施設の目視点検や清掃を行う、場内清掃点検業務を順次委託化
することで、大幅に維持管理コストを縮減しています。
場内清掃点検業務については、平成16年度、17年度の試行実
施 後 、順 次 拡 大 し 2 1 年 度 ま で に 8 か 所 の 水 再 生 セ ン タ ー で 実 施 し 、
年間で約 3 億円の維持管理コストの縮減を図っています。
25
【表-5】場内清掃点検業務委託の拡大の推移
年
度
実施センター
平成16年度 西部水再生センター
17年度 北部第二、神奈川、栄第一水再生センター
18年度 都筑水再生センター
19年度 栄第二水再生センター
20年度 中部水再生センター
21年度 南部水再生センター
エ
包括的民間委託の導入
平 成 19 年 度 か ら 汚 泥 資 源 化 セ ン タ ー に 包 括 的 民 間 委 託 を 導 入 し 、
南 部・北 部 各 汚 泥 資 源 化 セ ン タ ー を あ わ せ て 、4 年 間 で 約 5 億 円( 年
平 均 1.3 億 円 ) の 維 持 管 理 コ ス ト の 縮 減 を 図 っ て い ま す 。
※包括的民間委託
包括的民間委託とは、従来の詳細な仕様書に基づく委託ではなく、
運転管理や維持管理を民間企業の裁量に任せる性能発注方式による
委 託 で 、期 間 も 3 年 か ら 5 年 の 複 数 年 と な り 、本 市 汚 泥 資 源 化 セ ン タ
ーでは 4 年に設定しています。
委 託 内 容 も 、従 来 か ら 委 託 し て き た 運 転 管 理 委 託 に 加 え 、こ れ ま で
個別に発注していた点検や清掃などの委託業務、小規模の修繕工事、
及び物品等の調達などを一括して、委託に含むものです。
導 入 の 効 果 は 、民 間 企 業 の 運 転 管 理 の ノ ウ ハ ウ の 活 用 に よ る 業 務 の
効 率 化 、コ ス ト の 縮 減 、ま た 、行 政 側 の 人 件 費 の 削 減 、事 務 量 の 軽 減
などが図れることです。
【表-6】
近年の維持管理費削減の取組の効果
取り組み内容
縮減額(年間)
実施年度
ア
省エネルギーの推進
8.1億円
更新時期
イ
管理体制の統合
1.2億円
H21~
ウ
直営管理の見直し
3.3億円
H16~H23
エ
包括的民間委託の導入
1.3億円
H19
26
(2)水再生センター・ポンプ場・汚泥資源化センターでの今後の課題と取
り組み
水再生センター業務の委託化は、庁舎清掃や緑地管理など、行政責任
が軽く専門性の低い分野から、電子計算機等定期点検、自家用発電機点
検などの製造メーカーへの委託など、専門性の高い分野まで行ってきま
した。
平 成 1 6 年 度 か ら は 、行 政 責 任 は 重 い が 専 門 性 が 比 較 的 低 い「 場 内 清 掃
点 検 業 務 」の 委 託 化 を 、分 流 式 の 水 再 生 セ ン タ ー で 試 行 実 施 し 、委 託 業 務
評 価 を 行 っ て 、サ ー ビ ス 低 下 を 招 か な い 事 を 確 認 し て 、順 次 そ の 他 の 水 再
生センターに拡大しています。
今 後 は 、行 政 が 責 任 を 持 っ て 行 う 公 共 用 水 域 の 水 質 向 上 や 、浸 水 被 害 の
防 除 に よ る 市 民 生 活 の 安 全 の 確 保 な ど の 業 務 に つ い て も 、行 政 責 任 の 重 さ
と 、専 門 性 の 高 さ を 考 慮 し な が ら 、さ ら な る 民 間 委 託 に つ い て 、検 討 す る
必 要 が あ り ま す 【 図 - 23】。
【図-23】民間委託業務と市職員業務の役割分担のイメージ
専門性「高」
【民間委託業務】
【市職員業務】
・高圧電気設備定期点検
《マネジメント業務》
・電子計算機等定期点検
予算管理、事業計画
・自家用発電機点検
工事設計、監督業務
《運転監視業務》
・消防設備点検
運転監視、水質管理
他
・庁舎清掃
【市職員業務】
・緑地管理
《保守点検業務》
・害虫除去
設備日常点検、故障修繕
・建築設備定期点検
定期点検
・給油・オイル交換
《場内清掃点検業務》
・機械室等定期清掃
委託化移行中
27
行政 責 任 「 重」
・エレベーター点検
他
(3)管きょ施設での維持管理費縮減の取り組み
管 き ょ 施 設 は 、 総 延 長 が 11,000k m を 超 え る と と も に 、 公 道 下 に 広 範
囲 に 設 置 さ れ る 地 下 埋 設 物 で あ る こ と か ら も 、施 設 の 状 況 を 常 時 監 視 す る
こ と が 極 め て 困 難 で あ る と い え ま す 。ま た 、敷 設 か ら 一 定 年 限 を 経 過 し た
管 き ょ は 、急 速 に 劣 化 や 破 損 が 生 じ る リ ス ク が 高 ま る こ と か ら も 、効 果 的
な維持管理が求められています。
管 き ょ の 維 持 管 理 は 、「 点 検 ・ 調 査 」、「 修 繕 工 事 」、「 清 掃 」 の 3 つ に 整
理 す る こ と が で き ま す が 、近 年 に お い て は こ れ ら を 合 わ せ た 年 間 の 費 用 は
概 ね 35 億 円 前 後 で 推 移 し て い ま す 【 図 - 24】。
ア
点検・調査
目視による点検と並行してTVカメラでの調査も行うことで、予防
保全型の維持管理に向けて、管きょの健全度を精緻に把握・判断する
こ と に 努 め て い ま す 【 図 - 25】。
イ
修繕工事
TVカメラなどでの調査結果をもとに修繕すべき箇所を劣化具合に
応じてランク分けし、限られた予算の中で、緊急に修繕すべき箇所を
中 心 に 工 事 を 行 っ て い ま す 。ま た 、従 来 か ら の「 開 削 * 」に よ る 修 繕 と
比較して、相当安価であり、かつ既設管を新管と同等以上の耐荷能力
及 び 耐 久 性 を 有 す る 管( 更 生 管 )を 構 築 す る 工 法 で あ る「 管 更 生 工 法 」
に よ る 修 繕 を 進 め て い ま す 【 図 - 26、 27】。
ウ
清掃
管 き ょ 全 体 を 約 7 年 に 1 度 の サ イ ク ル で 実 施 し て い ま す が 、飲 食 店
が立ち並ぶ繁華街などは重点的に毎年実施するなど、メリハリのある
執行により、効果的な維持管理を行うことでコスト縮減に努力してい
ます。
【 図 - 24 】
修繕工事・清掃・調査別の管きょの維持管理費の推移(単位:千年)
修繕工事
清掃
管きょ調査
4,000,000
3,500,000
3,000,000
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
平成15年度
平成16年度
平成17年度
28
平成18年度
平成19年度
【図-25】
30 年経過管きょ延長とTVカメラ調査延長(いずれも累計)
12,000km
10,000km
30年経過管きょ延長累計
TVカメラ調査延長累計
8,000km
6,000km
4,000km
2,000km
0km
H1
H3
H5
H7
H9
H11 H13 H15 H17 H19 H21 H23 H25 H27 H29 H31 H33 H35 H37 H39 H41 H43 H45 H47 H49 H51
年度
(国土交通省都市・地域整備局下水道部ホームページより抜粋)
平成 19 年度、全国で下水管きょに起因する道路陥没が約 4,700 箇所で発生していますが、敷設
からの経過年数別に調べると、30 年を経過すると陥没件数が急増する傾向があります。
【図-26】
管きょの修繕工事における
更生工法の施工金額推移(年度別)
<管更生工法イメージ>
200,000,000
(円)
150,000,000
単位:円
100,000,000
既設管きょ
50,000,000
更生材による
新しい管きょ
0
(管更生工法)
既存の管きょを取り替えることなく、既設
管きょ内に新しい管きょを構築する工法
29
【図-27】
管きょの修繕工法別
1m当たり単価比較(平成 19 年度実績)
更生工法
開削工法
0
20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000 140,000 160,000
(円/m)
(4)管きょ施設での今後の課題と取り組み
既述のとおり、現状の修繕工事や清掃においても、限られた予算の中
でメリハリのある効率的な維持管理を実施し、ひいては維持管理費の縮
減に努めているところです。
し か し な が ら 、 今 後 、 管 き ょ 施 設 の 老 朽 化 の 進 展 と と も に 、「 点 検 ・ 調
査 」「 修 繕 」「 清 掃 」 が 必 要 な 管 き ょ 延 長 は 確 実 に 増 大 し 、 劣 化 や 破 損 が
生じるリスクがさらに高まることが考えられることから、なお一層の効
率的な管きょの維持管理が求められます。
とりわけ、道路陥没などの要因となる大規模な破損に対しては、管更
生工法が採用できないことから、TVカメラによる調査・分析により、
破損や老朽化を早期に発見することが重要になってきます。早期に劣化
箇所を発見して早期に適切な処置を行うために、より一層、効率的な予
防保全型の維持管理に転換していくことが必要です。
【図-28】TVカメラ画像
管種:陶管
管径:250m m
管種:陶管
管径:250m m
管 きょが、 破損し
て 、崩れか けてい
ます。
管 きょ に 亀裂 が生 じ
ています。
劣化箇所の早期発見で管更生可能
大規模破損のため開削による修繕工事が必要
30
2-2
資本費の縮減について
○ 建 設 コ ス ト に つ い て は 、 今 後 は 、 単 な る コ ス ト 縮 減 だ け で な く 、「 公 共 事
業 コ ス ト 構 造 改 善 プ ロ グ ラ ム 」に 基 づ き 、品 質 の 確 保 に も 十 分 配 慮 し た 取
組を進める必要があります。
○ 平 成 19年 度 に 963億 円 の 企 業 債 を 補 償 金 な し で 繰 上 償 還 し 、 平 成 20年 度 以
降 7年 間 で 利 息 負 担 は 、 合 計 178億 円 軽 減 す る と 見 込 ま れ ま す 。
○ 補 償 金 な し の 繰 上 償 還 制 度 が 平 成 21年 度 ま で と な っ て お り 、期 限 延 長 や 制
度 内 容 の 拡 充 等 に つ い て 、現 在 国 に 働 き 掛 け て い る と こ ろ で す が 、引 き 続
きこの働き掛けを継続していくことが必要です。
(1)建設コスト縮減の取り組み
本市では建設コストの縮減を推進するため、平成17年度に「横浜市
公 共 事 業 コ ス ト 構 造 改 革 に 関 す る 行 動 計 画 」( 注 )を 策 定 し 、全 庁 的 な 取
り組みを実施してきました。この行動計画に基づき、実際、下水道建設
コストも毎年一定額の縮減を実施することができています。
(注)「横浜市公共事業コスト構造改革に関する行動計画」
(H17~20年度)
国の「コスト構造改革プログラム」をもとに、従来の工事段階のコスト縮減にとどまらず、
計画から維持管理まですべての段階でコストを縮減する視点で見直しを行い、総合的にコスト
縮減を図ることを目的とした施策。
【表-7】
年
建設コスト縮減額の推移
度
H17
(単位:千円)
H18
H19
縮減前金額
45,071,209
49,330,333
31,594,059
縮減後金額
42,306,268
47,166,050
28,928,320
縮減額
2,764,941
2,164,283
2,665,739
6.13%
4.39%
8.44%
割
合
【表-8】
具体的な施策と縮減額(平成 19 年度)
施策名
縮減項目(具体的な項目)
*
1 技術の進歩を反 幅広セグメント の採用、管更生工法の採
用、管きょ勾配復元工法*の採用、汚泥か
映した計画・設計
き寄せ機*の主要部材の見直し
2 環境との調和
既存水路を活用した雨水幹線整備
3 資源の循環利用
水再生センターやポンプ場で集められた
洗砂をサンドコンパクションパイル*工法の材料とし
ての利用
縮減額合計
縮減額
23 億 5,723 円
3億円
850 万円
26 億 6,573 万円
31
(2)建設コスト縮減の課題と今後の取り組み
厳 し い 財 政 事 情 が 続 く な か 、引 き 続 き 建 設 コ ス ト 縮 減 の 取 組 み を 継 続
す る 必 要 が あ る 一 方 で 、行 き 過 ぎ た コ ス ト 縮 減 は 品 質 の 低 下 を 招 く 恐 れ
が あ り ま す 。ま た 近 年 、環 境 問 題 に 対 す る 世 論 の 高 ま り や 、将 来 の 維 持
管 理 ・ 更 新 費 用 の 増 大 な ど へ の 対 応 と し て 、利 便 性 ・ 耐 久 性 ・ 環 境 保 全
な ど の 性 能 や 品 質 を 確 保 す る こ と が 求 め ら れ て い ま す 。こ の よ う な 背 景
か ら 平 成 2 1 年 度 か ら は 、コ ス ト 縮 減 と 品 質 確 保 の 両 面 を 重 視 す る「 横
浜 市 公 共 事 業 コ ス ト 構 造 改 善 プ ロ グ ラ ム ( 平 成 2 1 年 4 月 )」 が 策 定 さ
れました。
こ の プ ロ グ ラ ム で 掲 げ ら れ た 施 策 は 、直 ち に 事 業 の コ ス ト の 低 減 に つ
ながるものに限定せず、社会的コスト*等も視野にいれた長期的なコス
ト を 低 減 さ せ る 施 策 や 、事 業 実 施 の 円 滑 に よ り 事 業 便 益 の 早 期 発 現 に 資
する施策等を幅広く含んでいます。
今 後 は 、 単 な る コ ス ト 縮 減 だ け で な く 、「 公 共 事 業 コ ス ト 構 造 改 善 プ
ロ グ ラ ム 」 に 基 づ き 、「 事 業 の ス ピ ー ド ア ッ プ 」、「 計 画 ・ 設 計 ・ 施 工 の
最 適 化 」、
「 維 持 管 理 の 最 適 化 」、
「 調 達 の 最 適 化 」な ど 、利 便 性・耐 久 性 ・
環境保全などにも十分配慮した取組を進める必要があります。
【参考-5】「横浜市公共事業コスト構造改善プログラム」の概要
項
目
Ⅰ 事業のスピードアップ
内
容
ア 合意形成・協議・手続きの改善
イ 事業の重点化・集中化
ウ 用地・補償の円滑化
Ⅱ 計画・設計・施工の最適化
ア 計画・設計の見直し
イ 施工の見直し
ウ 民間技術の積極的な活用
エ 社会的コストの低減
Ⅲ 維持管理の最適化
ア 民間技術の積極的な活用
イ 戦略的な維持管理
Ⅳ 調達の最適化
ア 電子調達の推進
イ 入札・契約の見直し
ウ 積算の見直し
(参考)複雑なコスト改善状況の評価
下水道事業コスト構造の改善状況を評価するコスト改善率の算定においては下水道
事業の計画、設計、施工、維持管理までのすべてのプロセスを対象とするため、非常
に複雑となっていることが課題です。具体的には算定に用いる項目には、従来通りの
工事コストの改善額のほか、工事コスト以外の効果(コスト換算)として、長寿命化・
延命化を行う工事や将来の維持管理費が改善される工事等によるライフサイクルコス
トの改善額、環境負荷低減や工事に伴う通行規制改善などによる社会的コストの改善
額を用いる必要があります。特に工事コスト以外の効果は想定される影響が幅広く、
コスト換算は容易ではありません。
32
【参考-6】「横浜市公共事業コスト構造改善プログラム」に基づく取組事例
(従前の「横浜市公共事業コスト構造改革に関する行動計画(H17~20)」と比較
して拡充されたもの)
「Ⅳ
調達の
電子納品
最適化」に関する取組(抜粋)
公共事業を効率的、効果的に実施するため、入札契約手続きの利便性を向上し、
の拡充に
ITを活用したシステムの構築を推進する必要があります。そこでCALS/E
ついて
C(Continuous Acquisition and Life-cycle Support / Electronic Commerce:
公共事業における電子納品システム) を活用することで、工事関係書類等につ
いて受発注者の電子媒体を通じた相互のやりとりを促進し、情報共有や電子納品
を図ります。将来的には、こうした取組は下水道施設の災害復旧や維持管理にも
大きく寄与するものと言えます。
CALS/ECのうち、設計委託業務等は平成 21 年度から本格運用を開始して
おり、工事は情報の蓄積をもとに環境整備や運用ルール等の整備を行うことで順
次拡大し、平成 22 年度より本格運用となります。
総合評価
厳しい財政状況を背景に今後も公共工事の減少が見込まれますが、一方で、談
落札方式
合の防止など契約の透明性を高めること、また入札における行き過ぎた競争を防
の採用に
止し品質低下を防ぐことが求められています。そこで企業の技術力と価格の双方
ついて
を総合的に評価し落札者を決定する総合評価落札方式の採用により、より技術力
の高い企業が落札者として選定されやすくなることで品質の向上、企業の技術開
発の促進、入札談合の抑制を図ります。これにより価格のみによる競争であった
以前よりも建設コストは増加することになりますが、品質の良好な工事が実施さ
れることで将来的な維持管理費の減少も期待されます。
平成 20 年度は、下水道工事 8 件について、総合評価落札方式が実施されてい
ます。
ワンデー
工事現場において発注段階では予見不可能であった問題点が発生した場合、
レスポン
対処に必要な発注者の意思決定に多くの時間を費やす場合があるため、実働工
スの推進
期が短くなり、工事等の品質が確保されないケースがあります。そこで発注者・
について
施工者の迅速な対応(即日回答)を促す「ワンデーレスポンス」を推進し、工
期の短縮・事業便益の早期実現を図ります。ワンデーレスポンスの推進により、
工事が早期に完了することで市民への負担を軽減し、発注者間のコミュニケー
ションの向上や技術の伝承を促し、請負者の効率的な現場施工を可能にするな
ど、市民、発注者、受注者のそれぞれにメリットを発生させることを目的とし
ています。平成 20 年度から試行という形で、下水道工事2件について実施して
おります。
33
(3)支払利息削減に向けての取り組みと効果
国 に お い て 、平 成 19 年 度 予 算 か ら 、過 去 に 借 り 入 れ た 高 金 利 の 公 的 資
金(公営企業金融公庫資金等)を、補償金を支払わずに繰上げ償還する
ことや、民間資金等で低金利借換をすることが、臨時特例措置として制
度 化 さ れ ま し た 。こ の た め 、低 利 で 資 金 を 調 達 し 、H19 年 度 に 過 去 に 借 り
入 れ た 7% 以 上 の 借 入 金 約 963 億 円 を 繰 上 償 還 し た こ と に よ っ て 、 平 成
20 年 度 か ら 26 年 度 ま で の 7 年 間 で 、企 業 債 利 息 は 借 換 前 に 比 べ 合 計 178
億 円 の 軽 減 が 見 込 ま れ て い ま す 【 図 - 29】 。
【図-29】借換えによる利息軽減効果の見通し(本市下水道事業)
70
H20 年度から H26 年度
66.2
単位:億円
60
までの 7 年間で、合計
52.4
借換後支払利息
50
178 億円の削減
38.2
40
H20 H21 H22 H23 H24 H25
年度
借換前
66.2 52.4 38 26 14.5 6.8
借換後
9.3 7.1 5.1 3.3 1.9 0.9
利息軽減額 56.9 45.3 33 22 12.6 5.9
借換前支払利息
(億円)
H26 合計
2.4 206.1
0.3 27.9
2.1 178.2
30
25.6
20
14.5
10
6.8
9.3
0
7.1
2.4
5.1
3.3 1.9 0.9 0.3
H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26
【参考-7】補償金免除繰上償還制度の概要
(趣旨) 徹底した総人件費の削減等を内容とする財政健全化計画又は公営企業経営健全化計画を策
定し、行政改革・経営改革を行う地方公共団体を対象に、平成 19 年度~平成 21 年度までの 3 年間
で 5 兆円程度の公的資金(旧資金運用部資金、旧簡易生命保険資金、公営企業金融公庫資金)の補償
金免除繰上償還等を行い、高金利の地方債の公債費負担を軽減するもの。
(要件等)
1.旧資金運用部資金及び旧簡易生命保険資金の繰上償還(H19~H21)
(1)対象地方債
普通会計債及び公営企業債(上水道、簡易水道、工業用水道、下水道、地下鉄、病院)の年利 5%
以上の地方債
(2)対象団体
年利段階に応じ、市町村合併、財政力、公債費負担、公営企業資本等に基づいて段階的に設定
(財政力 1.0 以上の団体を除く)
○対象地方債残高:3 兆 8,000 億円程度以内
2.公営企業金融公庫資金の繰上償還及び公営企業借換債(H19~H20)
(1)対象地方債
普通会計債(公営住宅、臨時地方道、臨時河川等、臨時高校)及び公営企業債(上水道、簡易水道、
工業用水道、下水道、地下鉄)の年利 5%以上の地方債
(2)対象団体
年利段階に応じ、市町村合併、財政力、公債費負担、公営企業資本等に基づいて段階的に設定
○対象地方債残高:1 兆 2,000 億円程度
出典:総務省ホームページ
34
(4)借換債の制度延長・拡充に向けた国への働きかけ
補 償 金 免 除 の 繰 上 償 還 制 度 は 、該 当 団 体 の 財 政 状 態 に よ っ て 、利 率 5%
~ 7 % の 地 方 債 の 繰 上 償 還 が 、補 償 金 の 負 担 な し に 認 め ら れ る も の で す 。
さらに下水道事業に係る企業債については、有収水量当たりの汚水分
元 利 金 償 還 金 額 が 要 件 と な っ て お り 、本 市 下 水 道 事 業 の 場 合 は 、利 率 7%
以上の企業債の繰上償還が認められることとなりました。なお、免除さ
れ た 補 償 金 は 126 億 円 ( 下 水 道 事 業 ) と 見 込 ま れ ま す 。
本 市 下 水 道 事 業 が 抱 え る 利 率 5% 以 上 の 企 業 債 残 高 は 、 平 成 19 年 度 末
時 点 で 1,800 億 円 超 を 有 し て お り 、 仮 に 繰 上 償 還 が 認 め ら れ た 場 合 は 、
利息負担軽減に大きく寄与すると見込まれます。
た だ し 、現 行 制 度 が 平 成 21 年 度 ま で の 制 度 で あ る た め 、制 度 の 延 長 と
対象要件の緩和、拡大について国に働きかけを行っています。この実現
に向け、今後も機会あるごとに働きかけを行っていくことが必要です。
【参考-8】平成 19 年度公的資金補償金免除繰上償還制度の要件(下水道事業)
繰上償還が可能な
負債の利率
5%以上
6%以上
有収水量当たりの
汚水分元利償還金
158 円 以
上
132 円以
上
本市の場合、
97 円(H18 決
算)のため、
ここに該当。
7%以上
132 円未満
・実質公債費比率 15%以上
・経常収支比率 85%以上
・財政力指数 0.5 以下
・特定環境保全公共下水道
(環境基準で経営圧迫が認められるもの)
・災害、人口減少等
(やむを得ない事情で経営圧迫がみとめ
られるもの)
・金融公庫で平成 18 年度までの借換債臨
時特例措置分の対象
その他右記いずれ
かの要件に該当す
るもの
【参考-9】平成 19 年度繰上償還対象企業債
繰上償還対象資金 利率
金額(千円)
旧資金運用部資金 7%以上
66,389,855
公営企業金融公庫 〃
29,927,478
合計
96,317,333
(内訳)
旧資金運用部資金
借入年月日
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
S55.3.25
S56.3.25
S56.3.25
S57.3.25
S57.3.25
S58.3.25
S58.3.25
S59.3.26
S60.3.25
S60.3.25
小計
借用証書NO 利率(%)
53038
54039
54040
55036
55037
56021
56022
57031
58027
59006
7.15
8.00
8.00
7.30
7.30
7.30
7.30
7.10
7.10
7.10
公営企業金融公庫資金
繰上償還額(円)
1,329,303,750
2,595,179,515
1,011,829,624
5,885,375,265
3,582,040,482
8,795,445,600
4,170,646,891
13,643,615,229
11,475,059,162
13,901,359,007
66,389,854,525
35
借入年月日利率(%) 繰上償還額(円)
S56.2.20
S57.3.24
S57.3.24
S58.3.25
S59.3.22
S59.3.29
S60.3.20
S60.3.29
小計
8.10%
7.40%
7.40%
7.40%
7.20%
7.20%
7.20%
7.20%
38,056,303
2,004,950,636
3,550,141,905
2,642,367,111
8,735,231,154
1,361,812,721
8,687,382,726
2,907,535,117
29,927,477,673
36
資
37
料
【資料-1】
○地方公営企業法第 17 条の二の解釈
(出典:『地方公営企業法逐条解説』((財)地方財務協会【抜粋】)
(一) 負担区分の意義
地方公営企業は、一定の財貨またはサービスを個々の住民に供給することを目的とする事業
である。財貨またはサービスを供給するためには当然一定の経費を要する。このような経費は、
事業によって供給される財貨またはサービスを受ける者が、その供給される財貨またはサービ
スの量に応じて負担することが衡平である。
(中略)地方公営企業の活動は、給付対価という経済原則に基づいて給付に要する費用を自ら
回収していくものであって(中略)それは給付に要する経費を受益者が負担するという意味にお
いて受益者負担の原則に支配されるものであり、受益者の負担する額は、給付に要する経費を
十分に償うものであり、(中略)
しかしながら、受益者負担の原則が支配し得るのは、あくまでもその地方公営企業の活動が、
企業ベースに乗り得るような活動である場合である。(中略)地方公営企業は、一般に公共性が
極めて強く、(中略)地方公共団体という主体によって経営されているために、本来地方公共団
体の一般行政事務と考えられるような仕事を企業に行わせたり、もともと採算をとるとが困難
であり、企業ベースには乗らないような活動でも公共的な必要があるという理由によって採算
を無視しても実施しなければならない場合がある。
(中略)地方公営企業については、受益者負担の原則になじまない経費について独立採算の枠
からはずして企業の設置者たる地方公共団体そのものが主として一般会計によって負担すべ
きこととし、これらの経費以外の経費について独立採算の建前のもとに処理することとされた
のである。
(二) 一般会計等において負担すべき経費
(中略)一号該当経費は、地方公共団体の一般行政事務を企業が肩代わりして行っている場合
のように本来企業の活動とはいえないような性格の事務に要する経費であって、その活動は給
付対価という関係において経済活動として行われるものではなく、したがってそれに要する経
費も受益者負担という原則に基づき料金という形で回収するのに適しない経費である。
これに対して二号該当経費は、経費そのものの性質としては、受益者負担の原則にもとに料
金によってまかなっていくことに適するものであるが、現実の問題としてそれに要する経費の
全額を受益者に負担させることが受益者の負担能力等からみて困難な経費であり、もともと不
採算となることが明らかでありながら、企業の公共的必要性等から地方公共団体の経営する企
業としては、そのような活動を行わなければならないようなものに要する経費である。
(中略)このような性格の相違のために、一号該当経費にあっては、(中略)その全額が当然
一般会計等において負担すべきものとされる。二号該当経費については、一般会計等が負担す
るのは(中略)不足経費だけに限られるのであって、そのような種類の経費が全額一般会計等
の負担となるものではない。
38
【資料-2】
○平成21年度の地方公営企業繰出金について(通知)【抜粋】
(平成21年4月24日付け
総務省自治財政局長通知)
第10 下水道事業
1 雨水処理に要する経費
(1) 趣旨
雨水処理に要する経費について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
雨水処理に要する資本費及び維持管理費に相当する額とする。
2 分流式下水道等に要する経費
(1) 趣旨
分流式下水道(「公共下水道事業繰出基準の運用について」昭和56年6月5日付け自治準企第
153号)に基づくものをいう。)等に要する資本費の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
分流式の公共下水道(特定公共下水道及び特定環境保全公共下水道を除く。)並びに特定公共
下水道、特定環境保全公共下水道、流域下水道、農業集落排水施設、漁業集落排水施設、林業
集落排水施設、簡易排水施設、特定地域生活排水処理施設、小規模集合排水処理施設及び個別
排水処理施設に要する資本費のうち、その経営に伴う収入をもって充てることができないと認
められるものに相当する額とする。
3 流域下水道の建設に要する経費
(1) 趣旨
広域的な水質保全を図る観点から流域下水道(下水道法第2条第4号イに該当するものに限
る。)の整備を推進するため、建設改良費の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
都道府県にあっては、流域下水道の当該年度の建設改良費から当該建設改良に係る国庫補助金
及び市町村からの建設費負担金を控除した額の40%(単独事業に係るものにあっては10%)、市
町村にあっては、都道府県の流域下水道に対して支出した建設費負担金の40%(単独事業に係る
ものにあっては10%)とする。
ただし、平成12年度から平成21年度までの各年度に実施する事業にあっては、繰出しに代えて
臨時的に発行する下水道事業債の元利償還金に相当する額とする。
4 下水道に排除される下水の規制に関する事務に要する経費
(1) 趣旨
公共用水域の水質保全に資するために行う下水道に排除される下水の規制に関する事務に要す
る経費について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
特定施設の設置の届出の受理、計画変更命令、改善命令等に関する事務、排水設備等の検査に
関する事務及び除害施設に係る指導監督に関する事務(専ら下水道の施設又は機能の保全のた
めに行う事務を除く。)に要する経費に相当する額とする。
39
5 水洗便所に係る改造命令等に関する事務に要する経費
(1) 趣旨
水洗便所に係る改造命令等に関する事務に要する経費の一部について繰り出すための経費であ
る。
(2) 繰出しの基準
水洗便所への改造命令及び排水設備に係る監督処分に関する事務に要する経費の2分の1とす
る。
6 不明水の処理に要する経費
(1) 趣旨
不明水の処理に要する経費について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
計画汚水量を定めるときに見込んだ地下水量を超える不明水の処理に要する維持管理費に相当
する額とする。
7 高度処理に要する経費
(1) 趣旨
下水の高度処理に要する経費の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
下水の高度処理に要する資本費及び維持管理費(特定排水に係るものを除く。)に相当する額の
一部(2分の1を基準とする。)とする。
8 高資本費対策に要する経費
(1) 趣旨
自然条件等により建設改良費が割高のため資本費が著しく高額となっている下水道事業につ
いて、資本費負担の軽減を図ることにより経営の健全性を確保することを目的として、資本費
の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
ア
繰出しの対象となる事業は、供用開始30年未満の下水道事業(特定公共下水道及び流域下
水道を除く。)で、前々年度における当該事業の資本費及び使用料がそれぞれ次の要件を
満たすもので、経営健全化のために十分な努力をしていると認められる事業とする。
① 資本費
有収水量1m3当たりの算定対象資本費(資本費から雨水処理に要する資本費及び分流式
下水道等に要する資本費に処理区域内人口密度の段階等に応じ次に定める乗率を乗じ
て得られる額を控除した額とする。)が41円以上
40
処理区域内人口密度(人/ha)
乗率
25未満
0.6
25以上50未満
0.5
50以上75未満
0.4
75以上100未満
0.3
100以上
0.2
特定環境保全公共下水道等
0.6
※ 特定環境保全公共下水道等とは、特定環境保全公共下水道、農業集落排水施設、漁
業集落排水施設、林業集落排水施設、簡易排水施設、特定地域生活排水処理施設、小
規模集合排水処理施設及び個別排水処理施設をいう。
② 使用料
有収水量1m3当たりの使用料が150円以上
イ
繰出しの基準額は、前々年度における有収水量1m3当たりの算定対象資本費のうちア①に
定める基準を超える額(次に定める算定対象資本費の段階ごとに、それぞれの段階に応じ
て定める乗率を乗じて得られる額の合算額)に、前々年度における当該事業の年間有収水
量を乗じて得た額とする。ただし、前々年度における有収水量1m3当たりの使用料(以下
「使用料」という。)が201円に満たなければ、さらに、次に定める調整率を乗じて得た
額とする。
① 乗率
地方公営企業法を適用している企業
地方公営企業法を適用していな
い企業
算定対象
乗率
資本費(円/m3)
②
算定対象
乗率
資本費(円/m3)
41以上61未満
0.8
41以上61未満
0.8
61以上123未満
0.85
61以上246未満
0.85
123以上
0.95
246以上
0.95
調整率
使用料/201円
9 広域化・共同化の推進に要する経費
(1) 趣旨
効率的な下水道整備、経営の健全化・効率化等を図る観点から下水道事業の広域化・共同化を推
進するための計画に基づき実施する施設の整備に要する経費の一部について繰り出すための
経費である。
(2) 繰出しの基準
下水道事業債(広域化・共同化分)の元利償還金の55%に相当する額とする。
41
10 地方公営企業法の適用に要する経費
(1) 趣旨
経理内容の明確化、透明性の向上等を図る観点から下水道事業への地方公営企業法の適用を推
進するため、地方公営企業法の適用に要する経費の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
地方公営企業法の適用に要する経費の2分の1とする。
11 普及特別対策に要する経費
(1) 趣旨
下水道普及特別対策要綱により実施された事業に係る下水道事業債(普及特別対策分)の元利
償還金の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
下水道事業債(普及特別対策分)の元利償還金の55%に相当する額とする。
12 緊急下水道整備特定事業に要する経費
(1) 趣旨
緊急下水道整備特定事業実施要綱により実施された事業に係る下水道事業債(臨時措置分)の
元利償還金について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
下水道事業債(臨時措置分)の元利償還金に相当する額とする。
13 農業集落排水緊急整備事業に要する経費
(1) 趣旨
農業集落排水緊急整備事業実施要綱により実施された事業に係る下水道事業債(臨時措置分)
の元利償還金について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
下水道事業債(臨時措置分)の元利償還金に相当する額とする。
14 小規模集合排水処理施設整備事業に要する経費
(1) 趣旨
小規模集合排水処理施設整備事業実施要綱により整備される汚水等を集合的に処理する施設
等の建設改良費の一部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
建設改良に要する経費の30%とする。
ただし、平成9年度から平成21年度までの各年度に実施する事業にあっては、繰出しに代えて
臨時的に発行する下水道事業債の元利償還金に相当する額とする。
42
15 個別排水処理施設整備事業に要する経費
(1) 趣旨
個別排水処理施設整備事業実施要綱により整備される個別合併処理浄化槽の建設改良費の一
部について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
建設改良に要する経費の30%とする。
ただし、平成9年度から平成21年度までの各年度に実施する事業にあっては、繰出しに代えて
臨時的に発行する下水道事業債の元利償還金に相当する額とする。
16 下水道事業債(特例措置分)の償還に要する経費
(1) 趣旨
平成5年度の国庫補助負担率の恒久化に伴い、平成12年度までに許可された下水道事業債(特
例措置分)の元利償還金について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
下水道事業債(特例措置分)の元利償還金に相当する額とする。
17 下水道事業債(特別措置分)の償還に要する経費
(1) 趣旨
平成18年度の下水道事業に係る地方財政措置の変更に伴い、「下水道事業債(特別措置分)の取
扱いについて」(平成18年3月31日付け総財経第68号)に基づき発行をした下水道事業債(特
別措置分)の元利償還金について繰り出すための経費である。
(2) 繰出しの基準
下水道事業債(特別措置分)の元利償還金に相当する額とする。
43
【資料-3】
○受益者負担の原則
受 益 者 負 担 の 原 則 と は 、商 品・サ ー ビ ス の 提 供 を 受 け た 者 が 、自 分 の
利 用 し た 商 品 ・ サ ー ビ ス の 量 に 応 じ て 、そ の 原 価 に 見 合 っ た 対 価 を 支 払
う、という考え方です。
下 水 道 政 策 研 究 委 員 会 の「 費 用 負 担 小 委 員 会 中 間 報 告 」に お い て 、高
度 処 理 の 費 用 負 担 の 考 え 方 の と こ ろ で 、費 用 負 担 に お け る 受 益 者 責 任 を
採 用 し た 例 と し て 、 ド イ ツ の バ ー デ ン -ビ ュ ル テ ン ベ ル ク 州 の 水 料 金 制
度の例を掲げています。
ドイツでは、地下水が貴重な飲料水用の水資源であるが、同州では肥料に含まれる硝酸塩
による地下水汚染に悩まされていた。
そこで同州は水保全区域を設定し、地域内での肥料の投入を禁止または制限したのである。
このような施策の結果、肥料の使用を制限された農家は単位あたりの収量が減少し、所得が
減少した。排出者責任の原則に従えば、水質を維持するための費用は、当然地下水汚染の原
因者である農家が負担すべきこととなる。
しかしながら州政府は、専門家意見書の見解を参考として、水質を維持するために州が負
担している財政支出の対価を水料金という形で州の水質保全政策の受益者から徴収すること
とした。(中略)このように、受益者負担の原則により広く水利用者全体に費用の負担をさせた
のは、水保全区域の設定に伴う肥料投入の制限は、全ドイツで一律ではなく、バーデン-ビュ
ルテンベルク州のみで実施される特定地域に限った政策であり、同州の水質保全区域内以外
の農家は、従来どおり肥料の投入を行い、農業生産に従事することが可能であり、同州の水
質保全区域内の農家にのみ排出者責任により、費用負担を求めるのは明らかに負担の公平性
に反するというものである、ということによるものである。
「費用負担小委員会 中間報告資料」
肥料投入の制限
バーデン-ビュルテンベルク州
水保全地域
汚染者負担原則が採用されなかった理由
(州面積の約 20%)
① 同州のみで実施される制度であった。
② 肥料削減政策が「適切な農業活動準
則」を上回る要求であった。
③ 農業という特殊な産業への配慮
『環境税の理論と実際(諸富
44
徹)』(有斐閣)を基に作成
【資料-4】
○汚染者負担の原則
汚染者負担の原則は、公害防止のための費用負担のあり方についての考え方です。
1972 年(昭和 47 年)に OECD 環境指針原則勧告の中で示された原則で、当時の社
会的な背景としては、工場・事業場などからの公害の発生がありました。このため、
環境(公害)対策全般を視野に入れた原則的な考え方が求められ、そうしたニーズに
対応した原則として確立されてきたものです。OECD 加盟国に対してその実施が勧
告されています(1974 年(昭和 49 年)理事会勧告)。
希少な環境資源の合理的利用を促進し、且つ国際貿易及び投資における、歪みを回避するための
汚染の防止と規制措置に伴う費用の配分について用いられるべき原則が、いわゆる「汚染者負担の
原則」である。
この原則は、汚染者が受容可能な状態に環境を保つために公的当局により決められた上記の措置
を実施することに伴う費用を負担すべきであるということを意味する。
換言すれば、それらの措置の費用は、その生産と消費の過程において汚染を引き起こす財及びサ
ービスのコストに反映されるべきである。これらの措置を講じるに際して、貿易と投資に著しい歪
みを引き起こすような補助金を併用してはならない。
(1972 年(昭和 47 年)OECD 環境指針原則勧告より抜粋)
汚染者負担原則を適用した事例としては、「島根県の馬潟(まかた)工業団地周辺水路
ダイオキシン類対策事業」に関する費用負担問題があります(なお、現在も継続審議中)。
(背景)
・松江市の馬潟工業団地の周辺水路の底質から、環境基準を超えるダイオキシン類が検出。
・島根県知事がその対策として公害防止事業を実施するに当たり、公害防止事業事業者負担法第 6
条第 1 項に基づき、審議会の意見を聞いて、費用負担計画を定めることとなっている。
・島根県知事は、平成 16 年 3 月 24 日に島根県環境審議会に対し「馬潟工業団地周辺水路ダイオキ
シン類対策事業に係る費用負担計画について」諮問。
・島根県環境審議会では、費用負担計画検討部会を設け、公害対策事業の費用負担の考え方について
審議を行い、平成 16 年 12 月 17 日最終報告書が提出された。
(最終報告書「費用負担の基本的考え方」について(抜粋)
・馬潟工業団地周辺水路のダイオキシン類による汚染については、人の活動が当該汚染に対して相当
程度寄与していると認められることから、環境基本法に定める「汚染者負担の原則」の考え方に基
づき、当該汚染の原因者に費用負担を求めることが適切である。
・費用負担を求めるに当たっては、当然ながら、原因者に「事業の必要を生じさせた限度において」、
「適正かつ公正に」負担を求めなければならない(環境基本法第 37 条)。すなわち、当該公害防止
事業の必要性と当該原因者の活動との関わり合いの程度(いわゆる原因者の寄与度)が、合理的、か
つ、適切に算定されなければならず、また、原因者が複数存在する場合には、その複数の原因者間
での費用の負担が不公平なものとならないようにしなければならない。
本件においては、前述のとおり、環境基準を超えるダイオキシン類の含まれた水路底質に係る公
害防止事業の事業費の負担のあり方が問われているので、それに対する寄与度を基準として、複数
の原因者間での費用負担の公平性を図ることが適切である。
45
出典:島根県 HP より抜粋
環境基本法
第三十七条
(原因者負担)
国及び地方公共団体は、公害又は自然環境の保全上の支障(以下この条において「公害等に
係る支障」という。)を防止するために国若しくは地方公共団体又はこれらに準ずる者(以下
この条において「公的事業主体」という。)により実施されることが公害等に係る支障の迅速
な防止の必要性、事業の規模その他の事情を勘案して必要かつ適切であると認められる事業が
公的事業主体により実施される場合において、その事業の必要を生じさせた者の活動により生
ずる公害等に係る支障の程度及びその活動がその公害等に係る支障の原因となると認められ
る程度を勘案してその事業の必要を生じさせた者にその事業の実施に要する費用を負担させ
ることが適当であると認められるものについて、その事業の必要を生じさせた者にその事業の
必要を生じさせた限度においてその事業の実施に要する費用の全部又は一部を適正かつ公平
に負担させるために必要な措置を講ずるものとする
公害防止事業事業者負担法 第二条の二
(事業者の負担)
事業者は、その事業活動による公害を防止するために実施される公害防止事業について、そ
の費用の全部又は一部を負担するものとする
同法第六条 (費用負担計画)
施行者は、公害防止事業を実施するときは、審議会の意見をきいて、当該公害防止事業に係
る費用負担計画を定めなければならない。
46
【資料-5】○下水道政策研究委員会(費用負担、下水道財政・経営論小委員会)の概要と提言
【設置】平成 11 年 2 月
【設置主体】国土交通省都市・地域整備局下水道部、社団法人
日本下水道協会
【経緯】
H11.2
下水道政策研究委員会設置(「計画」「費用負担」「流域管理」の3つの小委員会を設置)
テーマである「今後、国民から期待される下水道の役割とは何か。また、
その役割を実現するための整備・管理はどのように行われることが適切か
について 12 回に亘り審議。
H14.5
報告書「中長期的視点における下水道整備・管理の在り方について」
その後、社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会の「下水道・流
域管理小委員会」に議論の場を移す
⇒H15.4 小委員会報告「今後の下水道の整備と管理及び流域管理のあり方
はいかにあるべきか」
⇒H15.10 「社会資本整備重点計画」閣議決定
(今後 5 年間の社会資本整備の方向性を示すもので、委員会での
検討内容が政策として結実)
H15.8
国土交通省下水道部プロジェクト「下水道 11 プロジェクト」
(11 プロジェクトの中心的課題)
①下水道中長期ビジョンプロジェクト
②下水道財政・経営論プロジェクト
③水循環・水行政の将来像プロジェクト
下水道を取り巻く社会経済情勢が変化
し、長期的な下水道の方向性、厳しい財
政状況を踏まえた下水道財政・経営の問
題等について引き続き検討を行う必要性
から。
○課題の重要性に鑑み、下水道政策研究委員会を再開して審議を行うこと
とした。
○審議にあたっては、「下水道中長期ビジョン」「下水道財政・経営論」
「流
域管理」の3つの小委員会を設置
H16.8
下水道政策研究委員会「下水道財政・経営論小委員会」中間報告書
「下水道を取り巻く社会経済情勢と下水道財政・経営の今後の方向」
47
○下水道政策研究委員会(下水道財政・経営論小委員会)の提言について
「 下 水 道 財 政・経 営 論 小 委 員 会 中 間 報 告 書 」(平 成 16 年 8 月 )に お い て 、
今後下水道が取り組むべき新たな課題として、合流式下水道改善事業、
高 度 処 理 等 が 掲 げ ら れ て お り 、そ の 費 用 負 担 の 考 え 方 を み る と 、次 の 点
を判断基準としています。
①事業実施に至った経緯が、行政側の責任によるものか否か。
②受益者の特定ができるか否か。
③下水道使用者の便益を増進するか否か。
○合流式下水道改善事業
(前略)合流式下水道は、浸水防除と水洗化の促進を同時、かつ早期に実現するため、昭
和 40 年代までに大都市を中心に経済性等を踏まえて実施されてきたが、合流式下水道か
らの雨天時未処理下水の放流が社会問題化されたことも背景にあって、公共用水域の水質
保全等の観点から行政として見直すこととした経緯から、これによって必要となっている
合流式下水道改善事業に要する費用は、公費負担とすることが適当である。
また、合流式下水道改善事業の事業効果は、雨天時の越流水による公共用水域の水質汚
濁の改善等であり、受益者を特定することが極めて困難である上、下水道使用者の便益を
増進するものでもない。そうした観点からも合流式下水道改善に要する費用は、公費負担
とすることが適当であると考えられる。下水道使用者に対して、その受益を超えた負担を
求めることは、必ずしも合理的とは言えないからである。
合流式下水道改善事業は、降雨に起因して発生する水質汚濁等に対処するための事業で
ある。降雨は自然現象であり、その場所や水量を人為的にコントロールできるものではな
いのであるから、雨水対策事業と位置づけ、全額を公費負担とする考え方も成り立つ。
○高度処理
(前略)高度処理に要する費用の負担についても、①行政側の責任②事業の実施による受
益者の特定③事業の実施による下水道使用者の便益の観点から、合流式下水道改善事業と
同様の考え方が成り立つものと考えられる。
(中略)高度処理は(中略)終末処理場から排出される窒素・リンの含有量について(中略)
行政側の判断で目標を定めて進めていくものである。
高度処理による受益者の特定は困難であることや、事業効果は特定の下水道使用者の便
益を増進するものでもないため、高度処理分の維持管理費と資本費を可能な限り公費負担
として整理することが適切である。
48
【資料-6】
○電力会社による太陽光発電余剰電力の買取制度
経 済 産 業 省 で は 、太 陽 光 発 電 の 普 及 拡 大 の た め 、こ れ ま で 電 力 会 社 に
よ っ て 自 主 的 に 行 わ れ て い る「 余 剰 電 力 買 取 メ ニ ュ ー 」に 基 づ く 太 陽 光
発 電 の 買 取 費 用 に つ い て 、「 新 た な 買 取 制 度 」 が 必 要 で あ る と さ れ 、 検
討されてきました。
そ の 結 果 、小 売 料 金 単 価 を 大 き く 上 回 る 価 格 で の 買 い 取 り を 一 般 電 気
事 業 者 に 義 務 付 け た 上 で 、「 導 入 拡 大 の た め の コ ス ト を 国 民 全 員 参 加 型
で負担する」という視点により、電力会社による買取負担増加部分は、
各需要家の電力料金に上乗せされることとなりました。
【電気事業分科会第2次報告(案)(抜粋)】
「電気料金は、電気事業法に基づき、能率的な経営の下における適正な原価を基に算定することとされてお
り、現在、事業者により自主的に行われている『余剰電力買取メニュー』に基づく太陽光発電の買取費用に
ついても、その他の電力調達に係る費用と同様、原価(想定費用)に基づき算定した料金による回収を行っ
ている。しかしながら、『太陽光発電の新たな買取制度』においては、小売料金単価を大きく上回る価格で
の買取りを一般電気事業者に義務付け、導入量の量的拡大を図り、買取りに要する費用は需要家すべてが負
担するとの基本方針が示されていることから、当該費用については、通常の原価算入を行う方法ではなく、
実績買取費用に基づいて需要家が負担する仕組みとすることが適当と考えられる。
○「太陽光発電の新たな買取制度」は、エネルギー供給構造高度化法及び同法に基づく大臣告
示に基づき、一般電気事業者が要件を満たした太陽光発電の余剰電力について、所定の価格
での買取義務を負うもの。
○この価格水準は、小売料金単価を大きく上回る水準で、法令で定められるものである。また、
買取義務が生ずる一般電気事業者にとっては、効率化に向けた経営努力を行うといった余地
はないもの。こうした点にかんがみ、買取費用の転嫁に際しては通常の原価算入を行う方法
ではなく、実績買取費用に基づいて需要家が負担する仕組みが適当とされたところ。
○また、国民負担を可能な限り抑えつつ、エネルギー間・電気事業者間の競争の観点を踏まえ、
「全員参加型」の制度設計とすることが基本方針として示されていることから、買取費用の
負担については、託送の仕組みを用いて、全ての需要家が電気の使用量に応じて広く薄く負
担するシンプルな制度設計とすることが適当。
(注)国民負担をできるだけ抑える観点等から、太陽光発電の余剰電力に限定して買取りを行う制度設
計としており、標準世帯の負担額は、月額 30 円程度~100 円程度の見込み。また、電気の使用量
に比例した負担であるため、使用量が少ない家庭は負担額も少なくなる。
第 2 回買取制度小委員会資料(H21.7.23 資源エネルギー庁)
「太陽光発電の新たな買取制度について」<買取費用の転嫁の具体的な方法等>
49
50
用
空白
51
語
解
説
下水道財政研究委員会
【3 頁】
活性汚泥法
【6 頁】
標準散水ろ床法
【6 頁】
沈砂池
下水道財政のあり方を調査研究するため、財団法人日本都市センターにより設置
された委員会で、委員は国および地方公共団体の関係者並びに学識経験者から構成
される。これまで第 1 次から第 5 次にわたる 5 度の委員会が組織され、同委員会か
ら出された提言は、時々の下水道行財政にとって指針的役割を果たしてきた。
(出典:『第 4 期横浜市下水道事業経営研究会(第 2 回)資料』
)
活性汚泥と言われる微生物の集合体を用いた下水の生物処理法。下水は反応タン
ク中で活性汚泥と混合、エアレーションされ、微生物の代謝作用により有機物が除
去される。その後最終沈殿池で混合液から汚泥を沈殿分離し、上澄水が処理水とな
る。分離された汚泥の一部は返送汚泥として反応タンクに送られ、残りは余剰汚泥
として処理処分される。
運転操作条件の違いにより、各種の活性汚泥法が用いられており、目的に応じて
下水中の有機物除去のほか、硝化、脱窒および生物学的りん除去に用いられる。
(出典:
『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会))
固定された砕石またはプラスティック等のろ材表面に、下水を連続的に流下また
は散布させ、形成された生物膜によって有機物を吸着、分解する方法。
標準法は散水負荷が小さいため、流入下水の負荷変動に強く、比較的良好な処理
水が得られる。
(出典:『下水道用語集』(社団法人日本下水道協会)
)
【7 頁】
第 1 沈殿池
【7 頁】
(最初沈殿池)
※東京都などでは、最初沈殿池
のことを第一沈殿池と言って
います。
BOD
(BiochemicalOxygen Demand)
【10 頁】
T-N
(Total Nitrogen)
【10 頁】
T-P
(Total Phosphorus)
【10 頁】
一般電気事業者【17 頁】
(図の出典:横浜市環境創造局HP)
沈砂池:ポンプの摩耗、処理施設内での砂の堆積を防ぐため、一般にポンプ場の
ポンプ前段に設け、下水の流速を緩めて砂等を沈降させる池。
最初沈殿池:下水の一次処理、および生物処理のための予備処理で、有機物を主
体とする比重の大きいSS(浮遊物質)分を重力沈降する沈殿池。
(出典:
『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会))
生物化学的酸素要求量。水中の有機物が微生物(バクテリア、プランクトンなど)
の働きによって分解されるときに消費される酸素の量のことで、河川の有機汚濁を
測る代表的な指標。通常 20℃、5 日間暗所で培養したときの消費量を指す。
(出典:横浜市環境創造局HP)
全窒素(総窒素)。全窒素(総窒素)は窒素化合物全体のことで、無機性窒素と
有機性窒素に分けられる。無機性窒素はアンモニウム性窒素(NH4-N)、亜硝酸性窒
素(NO2-N)、硝酸性窒素(NO3-N)に分けられ、有機性窒素はタンパク質に起因す
るものと、非タンパク性のものとに分けられる。窒素は動植物の増殖に欠かせない
元素であるが、富栄養化になりプランクトンの異常増殖の要因となり、赤潮等が発
生する。
(出典:横浜市環境創造局HP)
全りん(総りん)。全りんとは、水中に含まれる無機及び有機りん化合物中のりん
の総量をいう。下水中のりんは、し尿、工場排水、肥料等の混入に起因する。りん
酸塩は活性汚泥中の微生物の増殖に必要とされるが、一般の下水ではその量が満足
されており、余剰のりんは処理水に残留してしまう。このため、水中のりん酸塩は
海や河川、湖沼等の富栄養化の原因となり、水質汚濁の指標となっている。
(出典:横浜市環境創造局HP)
一般の需要に応じ、電気を供給する事業を営むことについて経済産業大臣の許可
を受けた者のこと。
(出典:社団法人関西電気管理技術者協会HP)
52
包括的民間委託
【24 頁】
TVカメラ調査
【24 頁】
(ポンプ場の)遠方監視・遠
方制御
【24 頁】
微細気泡
【25 頁】
かいさく
開削(工法)
【28 頁】
セグメント
【31 頁】
従来の詳細な仕様書に基づく委託ではなく、一定の要求水準を満足できれば、運
転管理や維持管理の詳細については民間企業の裁量に任せる性能発注による委託方
式。同方式は、従来から委託してきた運転管理委託に加え、これまで個別に発注し
ていた点検や清掃などの委託業務、物品等の調達及び修繕工事など幅広い維持管理
業務を委託に含めるとともに期間も複数年契約が基本となる。 導入効果は、民間
企業の運転管理のノウハウの活用による業務の効率化、コスト縮減、公共人件費の
削減などが図れることが挙げられる。なお、事業者選定にあたっては、透明性・公
平性を図るため、外部委員会を設置し、総合評価方式一般競争入札を行っている。(出
典:横浜市環境創造局HP)
既設管きょ内にテレビカメラを挿入し、管きょ内
の状況を把握する調査。管きょ内の破損、クラック、
侵入水、継ぎ手、取付管の状況をビデオテープに収録
するとともに、異常箇所を写真撮影する。
(出典:『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会))
※写真は自走式テレビカメラ(出典:東京都HP)
遠方監視とは、運転を行う施設には運転員を置かず、離れた施設から運転機器の
状態監視、計測を行うこと。
遠方制御とは、遠方にある機器を電気的または機械的に制御すること。ポンプ、
ブロワなどの運転・停止、速度の増減や運転に必要な情報を相互に転送して機器の
制御を行う。
(出典:
『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会))
散気式反応タンクにおいて、セラミック製または合成樹脂製の散気板、散気筒等
からできている散気装置から吹き込む気泡。この形式の散気装置は気泡が微細であ
る。
酸素移動効率(供給側酸素量に対する混合液[反応タンク内における下水と活性汚
泥とが混合した液]への溶解酸素量の比)が大きく、吹き込む空気量を少なくできる
ため、電力等のコスト低減に効果があるが、散気装置が目詰まりし易いデメリット
もある。 (出典:『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会)を基に作成)
地表面より土留めと支保工([しほこう]土砂などの崩壊を防ぐために施される仮
構造物)を施しながら、溝を掘削し、その中に下水管を埋設する工法。その後埋め戻
して路面を復旧する。比較的浅い下水管きょ埋設に広く用いられる。
(出典:『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会))
トンネル、特にシールド工法で使用される支保と覆工を兼ねた環片をいい、プレ
キャストコンクリート製や鋼製などがある。
※シールド工法とは、トンネル工法の一つで、鋼製の円筒形掘削機(シールド機)
を推進させながらシールド前部で掘削し、推進後はシールド後部で鋼製または鉄筋
コンクリート製等のセグメントを組み立てトンネルを構築する工法。
(出典:『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会))
シールドマシ
組み立て
ン。マシンの
た管(セグ
中で、管(セグ
メント)
メント)を組
シールドマシン
(出典:大阪市HP)
み立てて、マ
シンは進んで
いく。
管きょ勾配復元工法
【31 頁】
シールド工法
(出典:茨城県HP)
不等沈下(構造物荷重によって生じる不均等な地盤の沈下。原因としては下部地盤
が軟弱である、軟弱層の厚さが異なる、構造物が異種地盤にまたがって建てられた
等)によって所定の管きょ勾配が確保できなくなると、汚物が堆積し、臭気の発生原
因となる。この対策として、本市では下水を流しながら下水管内にインバート(下
水の流下を円滑にするため、マンホールなどの底部に設けられた導水路)を設置で
きる「管きょ勾配復元工法」を職員自ら開発し、この工法を採用することで、従来
の施工方法に比べて施工性の向上、工事費の大幅な縮減が図ることができた。
(出典:
『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会)を基に作成)
53
汚泥かき寄せ機
【31 頁】
サンドコンパクションパイ
ル工法 【31 頁】
社会的コスト
【32 頁】
最初沈殿池、最終沈殿池、重力濃縮タンクに沈殿した汚泥を沈殿池の外に排出す
るために、沈殿池の一端または中心部のホッパ(スクリーンかすおよび汚泥ケーキを
一時貯留する装置)に集める装置。池の形状によって形式が決定され、長方形池では
チェーンフライト式があり、円形池では中央駆動式および周辺駆動式がある。
(出典:『下水道用語集』
(社団法人日本下水道協会)を基に作成)
軟弱地盤に、振動または衝撃荷重を用いて砂を圧入し、径の大きな砂柱を造成す
ることで地盤の安定を図る工法。
(出典:国土交通省HP)
学術的には様々な定義づけが可能であるが、一般的には、特定の企業等、あるい
は不特定の主体から発生した環境負荷により社会が被る損失を表すものと捉えるこ
とができる。例えば、企業の開発行為によりある種の野生動物が絶滅したようなケ
ースでは、当該企業は直接的な経済的損失を被るわけではないが、貴重な野生動物
を失ったことにより社会全体が損失を被ったと考えることができる。これを経済価
値として測定したものが社会的コストの一例ということができる。
(出典:環境
省HP)
54
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