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第21回 - 岐阜大学
平成 23 年 8 月 20 日発行 第 20 巻 2 号 日本病態生理学会雑誌 Japanese Journal of Pathophysiology 2011 Vol. 20 No. 2 第21回日本病態生理学会のご案内 【病態生理学――次の20年へ】 会期 平成23年8月20日(土)~平成23年8月21日(日) 会場 日本大学医学部 大会長 國分 眞一朗 (日本大学医学部 生体機能医学系生理学分野) 大会事務局 日本大学医学部生体機能医学系生理学分野 〒173-8610 板橋区大谷口上町30-1 ℡ 03-3972-8111 内線2236 E メール [email protected] 主催 日本病態生理学会 【参加者へのお知らせ】 1.会場 大会は日本大学医学部で行います。細見記念特別講演、一般口演、奨励賞候補口演の各会 場はプログラム及び案内図をご参照ください。 2.受付 日本大学図書館棟1階にて以下の時間帯で行います。 8月20日(土) 11時 8月21日(日) 9時 ~ ~ 18時 12時 すでに参加登録されている方は、 「大会受付」で確認後、ネームカードをお受け取りくださ い。大会当日に参加手続きをされる方は、「大会受付」で参加費 (一般3,000円、大学院生1,000円、学部学生500円)をお支払いの上、ネームカ ードをお受け取りください。なお、発表者及び共同演者(学生セッションにおける共同演 者の学部生は除く)は本学会会員に限ります。学会未入会の方は事前に正会員または臨時 会員の手続きをしてください。入会手続き先は下記の学会事務局となります。当日入会さ れる方は、「学会受付」で手続きのうえ、会費3000円を納入してください。 入会手続き先 〒501‐1194 岐阜市柳戸1‐1 岐阜大学大学院医学研究科神経統御学講座生理学分野内 日本病態生理学会事務局 3.ネームカード 「大会受付」で登録確認後お渡しします。所属・氏名をご記入の上、大会会場内では必ず ご着用ください。 4.クローク 期間中、図書館棟2階にクロークを設けますのでご利用ください。荷物などのお預かりは 当日限りとし、20日(土)は18時30分まで、21日(日)は15時まで利用可能です。また貴 重品、ペット、ナマモノなどのお預かりはできません。 5.懇親会 1 大会1日目20日(土)、18:30より図書館棟地下一階の食堂でおこないます。当日も参加を 受け付けますので、ご希望の方は大会受付時にお申し出ください(参加費4,000円)。 6.交通 会場名称:日本大学医学部 東京都板橋区大谷口上町30-1 1.東武東上線の場合 池袋駅より各駅停車(3・4 番線)にて大山駅(5 分位で到着)下車、大山駅より日大医学 部まで徒歩 15 分位(下記左側略図参照) 2.バスの場合 池袋駅西口より国際興業バス 4 番線の日大病院行きにて終点下車(25 分位)(下記右側略 図参照)通勤時間帯には 5~7 分間隔で運行 http://kokusaikogyo.ekiworld.net/dia/timechart/jikoku000104.html 国際興行バス時刻表 3.タクシーの場合 池袋駅西口より日大医学部(又は日大板橋病院)まで 15 分位 4.営団地下鉄の場合有楽町線にて千川駅下車、徒歩 20 分位 東武東上線の場合 バスの場合(池袋駅西口側) 2 3 4 【一般演題の演者の方々へ】 一般演題の発表はすべてポスターでおこないます。 ポスターは以下のような仕様に従って貼付けてください。 ポスターの大きさ 横:120cm 縦:約100cm ポスターを添付するパネル面の大きさは幅120cm、高さ約150cmになっています。 したがって、ポスターの縦の長さは、見やすい範囲で自由度を持ってお使いください。 それぞれのポスターは、1枚の独立したパネルに貼っていただきます。パネル間には十分 な間隔をとります。 ・大会第一日目(8月20日)の演者の方 15時までにポスターを貼り出してください(ポスター会場はリサーチセンター4 階です)。なお、ポスター会場の開場は11時です。ポスター発表の時間は15:00-18:00 です。ポスター発表時間のうち、16:00-17:00は討論時間としますので、演者はこ の討論時間の間はポスターの周辺においで下さい。ポスターは18時までに撤収し てください。 ・大会第二日目(8月21日)の演者の方 11時までにポスターを貼り出してください(ポスター会場はリサーチセンター4 階です)。なおポスター会場の開場は9時です。ポスター発表の時間は11:00-14:00 です。ポスター発表の時間のうち、13:00-14:00は討論時間としますので、演者は この討論時間の間はポスターの周辺においで下さい。ポスターは15時までに撤収 してください。 【奨励賞候補の方々へ】 奨励賞候補の方々は、口演とポスターによる発表を行います。奨励賞候補の方は発表開始 10分前までに次演者席に御着席ください。口演の持ち時間1題につき、発表17分、討論3 分の計20分です。持ち時間内で終了するようご協力をお願いいたします。討論は座長の指 示に従い御発言ください。ポスター発表は上記の「大会第一日目(8月20日)の演者の方」に 準じます。 5 発表用スライドの受付について 発表はPC 出力による液晶プロジェクターでおこないます。発表用PC は学会事務局で準備 いたします(OS はWindows 7。Mac OS はサポートしていません)。個人のPC 持ち込みは できません。発表スライドはすべてWindows版Power Point(2007 プレゼンテーション形式)とし、画面は横長に設定してください。発表の円滑 な運営のため、作成したPower Pointファイルは20日の12時30分までに大会事務局までお持 ち願います。 発表用ファイル受付期限:平成23年8月20日(土) 12時30分までに事務局へ 大会受付時に、発表スライドの確認をお願いいたします。確認用PC を用意いたしますの で、各自で文字化け、段ずれなどを確認していただきます。発表に使わせていただいたフ ァイルは大会事務局で、学会終了後、責任を持って消去させていただきます。 【評議員の方々へ】 8月20日(土曜日)12:00より医学部本館2階の第1会議室で行います。 【理事の方々へ】 学会に先立ち、8月19日(金曜日)18:30より、医学部本館2階の第1会議室で理事会を開催 いたします。 6 「活性化委員会主催 日本病態生理学会第3回サテライトセミナー」のご案内 第20回日本病態生理学会大会が奈良県立医大で開催されたときに、活性化委員会が中 心となって第1回サテライトセミナーを開催致しました。積極的に意見交換することを目 的とし、若手が主体となって企画した会ですが、参加者の皆様から好評をいただきました。 このようなセミナーを継続して開催することで、学会の活性化に寄与したいと考えており ます。今年は、夏に開催される本大会に先立ち、第2回サテライトセミナーを1月22日 −23日に神戸セミナーハウスで単独開催しました。専門分野の垣根を取り払って活発な 質疑応答の場を持つことができ、参加者一同、今後の研究の糧を得たのではないかと思い ます。引き続き、第3回サテライトセミナーを本大会前日に開催いたしますので、若手会 員をはじめ、多くの会員の方々の積極的な参加を期待しております。 なお、今回の企画は、活性化委員会委員志水泰武先生をとりまとめ役として、岐阜大学 医学部の安部力先生、岐阜大学応用生物科学部の椎名貴彦先生にお願いして企画していた だきました。この場を借りてお礼申し上げます。 日本病態生理学会活性化委員会委員長 高木 都 ●日時:2011(平成23)年8月19日(金)14:00〜17:00 ●場所:日本大学医学部 大学院ゼミナール室1(図書館棟3F) 〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1 ●企画内容とタイムスケジュール: 13:00 受付開始 14:00〜17:00 セミナー&ディスカッション 落合 和彦 先生(日本獣医生命科学大学獣医学部 獣医保健看護学科 基礎部門) 「遺伝性乳がん原因遺伝子 BRCA2 の動物種間における機能比較」 志内 哲也 先生(徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 統合生理) 「神経ペプチド・オレキシンによる骨格筋の糖代謝調節とその生理的役割」 18:00〜20:00 懇親会(於:牛一) ●参加費:無料(懇親会費は別途徴収します:4000 円程度) ●参加申し込み:参加希望者は 2011 年 8 月 10 日までに、下記までメールでお知らせ下さ い。懇親会参加希望者はその旨もお知らせください。 7 椎名貴彦(岐阜大学応用生物科学部) メールアドレス:[email protected] 8 プ ロ グ ラ ム 細 見 記 念 特 別 講 演 教 一 育 講 演 般 演 題 (ポスター) 奨 励 賞 候 補 口 演 9 学 会 大 会 日 程 第1日目 8月20日 11:00- (土曜日) ポスター貼り出し ポスター会場 (リサーチセンター4階) 12:00-13:00 評議員会 医学部第1会議室 (本館2階) 13:00-13:05 開会の辞 記念講堂 (図書館棟3・4階) 13:05-14:00 細見記念講演 記念講堂 演題番号 14:00-15:00 細見1 (図書館棟3・4階) 奨励賞候補口演 演題番号 15:00-18:00 一般演題 記念講堂 (図書館棟3・4階) 奨励1-3 (ポスター) ポスター会場 (リサーチセンター4階) 中枢神経系 演題番号 中枢1-6 奨励候補 演題番号 奨励1-3 血管・血栓 演題番号 血管1, 2 イオンチャンネル・トランスポーター 演題番号 16:00-17:00 討 論 時 イオン1-3 間 ポスター会場 (リサーチセンター4階) -18:00 ポスター撤収 ポスター会場 (リサーチセンター4階) 18:30- 懇 親 会 学生食堂 (図書館棟地下1階) 10 第2日目 8月21日 09:00- (日曜日) ポスター貼り出し ポスター会場 (リサーチセンター4階) 10:00-11:00 教育講演 記念講堂 演題番号 11:00-14:00 一般演題 教育 1 (ポスター) (図書館棟 3・4 階) ポスター会場 (リサーチセンター4階) 循環・調節 演題番号 循環 1-9 新分野・ 13:00-14:00 研究方法 演題番号 討 時 論 新分野 1-5 間 ポスター会場 (リサーチセンター4階) -15:00 ポスター撤収 ポスター会場 (リサーチセンター4階) 11 大会1日目(8月20日) 13:05-14:00 細見記念講演 司会 國分 眞一朗(日本大学) 細見1 臨床検査医学と病態生理学 中山智祥 (日本大学医学部病態病理学系 14:00-15:00 臨床検査医学分野) 奨励賞候補口演 司会 西田 育弘(防衛医科大学校) 奨励 1 核磁器共鳴画像による骨盤底筋群トレーニング評価の 検者間信頼性について 平野 正広、秋山 純和 奨励 2 CCL-1の疼痛発現との連関、および神経細胞-グリア細胞 連関の解明 秋元 望、 野田 百美 奨励 3 嘔吐する小型実験動物スンクスの食道における内在 神経性制御 椎名 貴彦、志水 15:00-18:00 一般演題 泰武 (ポスター) 中枢神経系 中枢 1 GDNFによるDRGニューロンの神経突起伸長促進ならびに galectin-1発現誘導のメカニズム 三五一憲、柳澤比呂子、堀江秀典、門屋利彦 中枢 2 急性疼痛による脊髄および視床下部におけるFosタンパクの発現 動態:c-fos-mRFPトランスジェニックラットを用いた検討 石倉 透、鈴木 仁士、大野 素子、吉村 充弘、加藤 明子、 大西 英生、中村 利孝、上田 陽一 中枢 3 虚血脳で変性神経細胞を貪食するNG2プロテオグリカンを 発現するマイクログリア 池田愛璃、杉本香奈、檜垣ひろみ、矢野元、田中潤也 12 中枢 4 神経細胞傷害に対するグリア細胞の反応:ラット6-OHDA 負荷パーキンソン病モデルを用いた検討 田中潤也、Mohammed E. Choudhury、杉本香奈、矢野元、 高橋寿明 中枢 5 マイクログリア機能制御を作用機序とするパーキンソン病 治療薬の探索 和田愛子、杉本香奈、Mohammed E. Choudhury、山泉文香、 中枢 6 檜垣ひろみ、田中潤也 摂食と海馬可塑性の活性化 大村 裕、片淵 俊彦、森口 茂樹、福永 浩 奨励賞候補 奨励 1 核磁器共鳴画像による骨盤底筋群トレーニング評価の 検者間信頼性について 平野正広、秋山純和 奨励 2 CCL-1の疼痛発現との連関、および神経細胞-グリア細胞 連関の解明 秋元 望、 野田 百美 奨励 3 嘔吐する小型実験動物スンクスの食道における内在 神経性制御 椎名 貴彦、志水 泰武 血管・血栓 血管 1 ヒト白血球系細胞株の抗酸化作用の検討 木崎一葉、岡田寛史、鎌谷俊輔、松山幸枝、寺田知新、 恵良聖一 血管 2 脂肪細胞と血管平滑筋細胞の共存下における アントシアニンの効果 勇井 克也、山下 里奈、山田 和美、上嶋 繁 イオンチャンネル・トランスポーター イオン 1 ナトリウムイオン / プロトン交換輸送体 1 (NHE1) 阻害に よる神経膠腫細胞浸潤抑制の試み 塩田浩平、和田愛子、矢野元、杉本香奈、高橋寿明、 田中潤也 13 イオン 2 ナトリウムイオン / プロトン交換輸送体 1 (NHE1) 細胞 内局在と糖鎖修飾の関与の可能性 矢野元、塩田浩平、和田愛子、杉本香奈、高橋寿明、 田中潤也 イオン 3 Hypoxia-inducible factor-1(Hif-1)を介した心筋T型 カルシウムチャネルの発現制御機構 窪田浩志、森島真幸、秋吉裕子、王岩、賀来俊彦、 小野克重 大会2日目(8月21日) 10:00-11:00 教育講演 司会 國分 眞一朗(日本大学) 教育1 宇宙医学は病態生理学に何を示すのか 岩崎 賢一 (日本大学医学部社会医学系 衛生学分野) 11:00-14:00 一般演題 (ポスター) 循環・調節 循環 1 内耳電気刺激による心拍変動の変化 田中邦彦、池田麻友美、伊藤大和、前田祐孝、丸山裕輝 循環 2 ラット血液交差灌流心臓における心アナフィラキシーの病態 九田裕一、芝本利重 循環 3 ラットアナフィラキシー低血圧における腸管膜リンパ動態 循環 4 芝本利重、九田裕一 初期~中等度粥状硬化病変の検出に対する脈波速度の有用性 ― KHCウサギにおける実験的検討 ― 勝田新一郎、林 循環 5 志保、挾間章博 高血圧ラット心筋の活動電位に対する選択的T-type Ca2+channel (Cav3.x) blockerの効果 田中みどり、佐藤義昭、太田宏之、煙山健仁、田代晃正、 晝間恵、丸山聡、西田育弘 14 循環 6 Dahl食塩感受性高血圧ラットにおける脳組織nNOS活性化と ‘高血圧’の理由 恵、煙山健仁、太田宏之、田代晃正、萩沢康介、 丸山 聡、西田育弘 循環 7 晝間 循環 8 圧受容器破壊ラットの飲水時における昇圧応答と不整脈発症 安部 力,岩田 ちひろ,森田 啓之 高張NaCl溶液静脈内投与による動脈血圧低下と心不全 飯田 知宏、安部 力、森田 啓之 血液交叉灌流摘出ラット心臓の高温条件下におけるメカノ 循環 9 エナジェティクスの研究 小畑孝二、竹下大輔、光山晋一、伊藤治男、高木 都 新分野・研究方法 新分野 1 舌痛症を伴った味覚障害患者の舌におけるTAS2Rs味覚 受容体発現の変化 髙尾恭一、國分眞一朗 新分野 2 硫化水素による低体温耐性の向上 岩田ちひろ、安部力、森田啓之 新分野 3 Del-1由来のペプチドによる癌細胞のアポトーシス誘導 北野尚孝、 真宮淳、 日臺智明、 國分眞一朗 新分野 4 基礎統合実習 −感染性ショック実験モデルの考案と考察− 井坂晋、西巻はるな、石部祐介、宮下馨、花井翔悟、 渥美里紗、福岡翼、真崎翔一、岡田宜孝、国沢秀木、 間瀬純一、朱逸清、松本宗和、斎藤史子、後藤祐介、 山下由莉、藤井雅行、中野雄太 新分野 5 運動負荷が呼吸筋に与える影響 高森正祥、秋山純和 15 16 抄 録 17 集 大会 1 日目(8 月 20 日) 奨励 1 核磁器共鳴画像による骨盤底筋群トレーニング評価の検者間信頼性について 平野正広1)2),秋山純和3) 1) 東京女子医科大学八千代医療センター, 2)国際医療福祉大大学院,3)人間総合科学大学 【目的】前立腺がんに対する根治的前立腺全摘除術術後の合併症に腹圧性尿失禁があり,治療には PFMT(Pelvic Floor Muscle Training)がある.PFMTにおける変化をMRI(Magnetic Resonance Imaging)のシネ撮影 によって評価し,得られた画像から計測値の検者間信頼性を検討した.【方法】対象は健常成人男性7名とし た.PFMT方法は「おしっこを止めるように」 , 「肛門を閉めるように」としてMRIによる評価を実施した.安 静時と2つのPFMTによる最大収縮時において,恥骨-尾骨先端(以下、P-C)距離,床面-尾骨先端(以下、F-C) 距離,恥骨-膀胱頚部(以下、P-B)距離を検者3名により各計測した.検者間信頼性についてSPSS.14Jを用い 級内相関係数(3,1)を求めた. 【結果】安静時「おしっこを止めるように」、 「肛門を閉めるように」の各P-C、 F-C、P-B距離の級内相関係数は全て0.8以上を認めた.また,PFMTによりP-C距離は減少し,F-C距離,P-B 距離は増大することを認めた. 【考察】PFMTによる骨盤底筋群収縮の変化をMRIのシネ撮影により評価した. 級内相関係数は0.8以上の良好な値が得られ,計測値は検者間に一貫性を認めた.MRIのシネ撮影による形態 機能評価は有用であることが示唆された. 奨励 2 秋元 CCL-1の疼痛発現との連関、および神経細胞-グリア細胞連関の解明 望、野田 百美 九州大学大学院薬学研究院病態生理学分野 慢性疼痛の一つである神経障害性疼痛の発現に、脊髄グリア細胞やサイトカインが関与することが報告され ている。本研究では、ケモカインの一つであるCCL-1に注目し、神経障害性疼痛発現への関与と神経および グリア細胞との連関について検討を行った。坐骨神経を部分的に結紮したマウスにおいて、アロディニア(通 常では痛みとして感じられない刺激に対して痛みを感じる症状)が確認され、結紮直後のマウスの脊髄で CCL-1の発現上昇と、CCL-1の受容体であるCCR-8の発現上昇が確認された。また、CCL-1を正常なマウスの 脊髄腔内に投与したところ、一時的な強いアロディニアが発現し、これはNMDA受容体の拮抗薬MK-801によ り抑制された。また、CCL-1髄腔内投与後の脊髄においてミクログリアの細胞分裂の増加、形態変化を確認 した。また結紮前からのCCL-1中和抗体の投与では、結紮によるアロディニアの発現を抑制した。さらにCCR-8 は神経細胞やミクログリア上に存在することを確認した。また、CCL-1は神経細胞に多く存在することやミ クログリアの化学走性を強く誘導することが示された。これらの結果より、神経障害によってCCL-1が産生・ 放出され、ミクログリアの活性およびNMDAを介し、慢性疼痛の発現に関与していることが示された。 18 大会 1 日目(8 月 20 日) 奨励 3 椎名 嘔吐する小型実験動物スンクスの食道における内在神経性制御 貴彦、志水 泰武 岐阜大学大学院・連合獣医学研究科・獣医生理学研究室 スンクス(Suncus murinus)は、物理的化学的刺激に応答して嘔吐する能力を持つ小型実験動物である。嘔吐 反応と食道運動は関連があるものの、スンクスの食道運動の調節機構については不明な点が多い。そこで本 研究では、スンクスの食道運動に対する神経性制御について明らかにすることを目的とした。スンクスから 食道を分離して、オルガンバスにて食道筋の機械的反応を記録した。食道標本の迷走運動神経を電気刺激す ると、食道横紋筋の収縮反応が誘発された。内在性の調節機構を解明するため、薬物による神経刺激を試み た。迷走神経性の収縮反応は、感覚神経の刺激剤であるカプサイシンによって抑制された。これらの結果は、 スンクス食道には、感覚神経からの情報によって活性化される抑制性神経機構が存在していることを示唆し ている。次に、この抑制効果について、薬理学的に検討した。カプサイシンによる食道運動抑制効果は、一 酸化窒素(NO)合成酵素阻害薬の前投与によって減弱した。さらに、NO供与体を投与したところ、迷走神 経刺激による食道収縮反応が抑制された。以上の結果より、スンクス食道横紋筋運動を調節する仕組みには、 NO作動性神経を含めた内在性調節機構が存在していることが明らかとなった。 中枢 1 GDNFによるDRGニューロンの神経突起伸長促進ならびにgalectin-1発現誘導のメカニズム 三五一憲1、柳澤比呂子1、堀江秀典2、門屋利彦3 1 東京都医学研・末梢神経病態、2神奈川歯科大・高次脳口腔科学研、3前橋工科大・生物工学 動物レクチンのgalectin-1 (GAL-1) は、末梢神経損傷後の軸索再生過程に関与することが報告されている。 我々は成熟ラット後根神経節(dorsal root ganglia (DRG))の組織切片を用いた免疫二重染色により、GAL-1が GDNF依存性の小径非ペプチドニューロンに強く発現することを明らかにした。そこで、GDNFがGAL-1の発 現制御に関与するのではないかという仮説を立て、DRGニューロンの分散培養系で検討した。GDNF (50 ng/ml) の投与により、培養48時間後におけるDRGニューロンの神経突起伸長が有意に促進されるとともに、 GAL-1の蛋白発現が有意に上昇した。これらのGDNF活性は、GDNF受容体RETに対する抗体 (2 g/ml) や、 phosphatidyl inositol–3’–phosphate–kinase (PI3K) 阻害薬LY294002 (25 M) を同時に投与することにより阻害さ れたが、mitogen–activated protein kinase kinase (MEK) 阻害薬U0126 (25 M) では阻害されなかった。以上より、 GDNFはRETとの結合~PI3Kシグナル伝達系の活性化を介して、DRGニューロンの神経突起伸長を促進する とともに、GAL-1発現を誘導するものと推察された。 19 大会 1 日目(8 月 20 日) 中枢 2 急性疼痛による脊髄および視床下部におけるFosタンパクの発現動態:c-fos-mRFPトランスジェ ニックラットを用いた検討 石倉 透1)、鈴木 仁士2)、大野 素子1)、吉村 充弘1)、加藤 明子1)、大西 英生2)、中村 利孝2)、上田 陽一 1) 1) 産業医科大学医学部第1生理学 、2)産業医科大学医学部整形外科学 【はじめに】中枢神経におけるc-fos遺伝子の発現は、ニューロンの活動性の指標として汎用されている。我々 は、このc-fos遺伝子発現を赤色蛍光タンパク(monomeric Red Fluorescent Protein: mRFP)で標識したc-fos-mRFP トランスジェニックラットを作出した。このトランスジェニックラットでのmRFP蛍光の発現パターンや時間 経過はFosタンパクの場合と同様と考えられるが、詳細は不明である。【方法】c-fos-mRFPトランスジェニッ クラットならびにウィスター系ラットの両足底部にホルマリンおよび生理食塩水を皮下注射し、脊髄および 視床下部におけるmRFP蛍光を蛍光顕微鏡で、Fosタンパクの発現を免疫組織化学的染色法により観察した。 【結果】ホルマリン投与群では、主に脊髄後角(L3-5, Ⅰ,Ⅱ層)および視床下部室傍核に多数の赤色蛍光および Fosタンパク免疫陽性細胞が、生理食塩水投与群では上記の部位に少数の赤色蛍光およびFosタンパク免疫陽 性細胞が観察された。未処置群では赤色蛍光およびFosタンパク免疫陽性細胞はほとんど観察できなかった。 これらを皮下注射後90分、3時間および6時間後で比較した。【考察】c-fos-mRFPトランスジェニックラット は中枢神経系での侵害受容機構を調べる上で有用な動物モデルである。 中枢 3 虚血脳で変性神経細胞を貪食するNG2プロテオグリカンを発現するマイクログリア 池田愛璃、杉本香奈、檜垣ひろみ、矢野元、田中潤也 愛媛大学大学院医学部 分子細胞生理学/プロテオ医学研究センター難治性神経疾患分子制御部門 ラット一過性中大脳動脈閉塞による脳梗塞巣核心部には、マクロファージ様細胞が集積する。これらの細胞 は骨髄由来であり、マイクログリア/マクロファージマーカーのIba1に加え、オリゴデンドロサイト前駆細胞 マーカーとして知られるNG2コンドロイチン硫酸プロテオグリカン(NG2)が発現しており、それらを BINCs(Brain Iba1+/NG2+ Cells)と称している。BINCsは梗塞巣で変性組織の貪食をする。一方、脳梗塞巣核心 部をとりまく虚血巣辺縁部(ペナンブラ)では、なお神経細胞が残存し、細かに分岐した突起を有するラミ ファイド型のマイクログリアが存在していた。これらの細胞の多くは、拡大した細胞体と太く短い突起で特 徴付けられる活性化型マイクログリアの形態を呈していた。これらの活性化型マイクログリアの多くはNG2 を発現していた。さらに、NG2陽性マイクログリアの殆どはNeuN陽性の変性した神経細胞を貪食しているこ とが、共焦点顕微鏡による観察から明らかになった。今回の結果はNG2が、マイクログリア/マクロファージ による貪食作用のいずれかのプロセスに関与していることを示唆している。 20 大会 1 日目(8 月 20 日) 中枢 4 神経細胞傷害に対するグリア細胞の反応:ラット6-OHDA負荷パーキンソン病モデルを用いた検討 田中潤也、Mohammed E. Choudhury、杉本香奈、矢野元、高橋寿明 愛媛大学大学院医学部 分子細胞生理学/プロテオ医学研究センター難治性神経疾患分子制御部門 ドーパミン神経細胞特異的な傷害を生み出す6-OHDAをラット線状体に注入してパーキンソン病モデルを作 成した。このモデルの中脳黒質において、マイクログリア、アストロサイトおよびオリゴデンドロサイト前 駆細胞でもあるNG2グリアの反応を検討した。6-OHDA投与によりドーパミン神経細胞が変性するとマイクロ グリアが活性化し、NG2陽性マイクログリアも出現、起炎症性サイトカインの発現も増強した。アストロサ イトの活性化も顕著であった。一方、サイトカインのIL3とGM-CSFからなる皮下注射薬を、パーキンソン病 モデルラットに注射すると、ドーパミン神経細胞死が防がれ、症状の顕著な改善が見られた。この場合は、 マイクログリアの活性化、NG2グリアの増加に対して、アストロサイトの活性化は抑制された。特に、NG2 グリアの神経細胞への接着が有意に増加していた。また、起炎症性サイトカインの発現が抑制され、神経細 胞保護的因子であるIGF-1やHGFの発現は増大していた。これらの結果は、マイクログリアには善悪両方の活 性化があること、アストロサイトの活性化は神経傷害の結果であること、NG2グリアは神経細胞保護的細胞 であることを示唆している。 中枢 5 マイクログリア機能制御を作用機序とするパーキンソン病治療薬の探索 和田愛子、杉本香奈、Mohammed E. Choudhury、山泉文香、檜垣ひろみ、田中潤也 愛媛大学大学院医学部 分子細胞生理学/プロテオ医学研究センター難治性神経疾患分子制御部門 パーキンソン病では、活性化マイクログリアによる起炎症性反応がドーパミン神経細胞傷害的に作用し、病 態の一翼を担っているとの考えがある。一方、マイクログリアは種々の神経保護因子の産生などによる神経 細胞保護的作用を有することも古くから認められている。従って、マイクログリアの起炎症作用を抑え、神 経保護的活性を強化できる薬物があれば、パーキンソン病治療に有効な可能性がある。これまでマイクログ リアの活性化を抑制することが報告されているcAMP上昇薬、抗うつ薬、NSAIDs等数多くの薬物をラット一 次培養マイクログリア培養液に添加し、 定量的リアルタイムRT-PCRにより、起炎症性因子としてIL-1β、TNFα、 誘導型一酸化窒素合成酵素iNOS、神経保護因子としてインスリン様成長因子IGF-1、肝細胞増殖因子HGFを それぞれコードするmRNAの発現レベルを調べた。その結果、一部の薬物は、起炎症性因子の発現を抑制し、 神経保護因子の発現を増強した。さらに、ラット黒質のスライス培養に対し、6-OHDA添加によるドーパミ ン神経細胞の変性を顕著に抑制した。今後、そのドーパミン神経細胞に対する保護効果の検証をさらに進め る予定である。 21 大会 1 日目(8 月 20 日) 中枢 6 摂食と海馬可塑性の活性化 大村 裕、片淵 俊彦、森口 茂樹、福永 浩 統合生理学、九州大医学部、薬理学、東北大薬学部 摂食により脳内血糖値は、約3から6mMと増加する。この増加で満腹中枢は活性化し、摂食中枢の活動は抑 制される。さらにこの増加は、海馬に働きCA1ニューロンを活性化る。すなわちシナプス前線維からの伝達 物質放出は促進され、後シナプス膜の伝達物質に対す る感受性が促進する。すなわちNMDAおよびAMPAに対してである。さらにCaMKIIおよびPKCのリン酸化が 促進される。これにより、接前および接後シナプスのlong-term potentiationが促進する。摂食は生体のホメオ スターシスを維持すると同時に脳を活性化している。 血管 1 ヒト白血球系細胞株の抗酸化作用の検討 木崎一葉、岡田寛史、鎌谷俊輔、松山幸枝、寺田知新、恵良聖一 岐阜大学大学院医学系研究科 分子生理学分野 我々はこれまでに,血管内皮細胞が抗酸化作用を有していることを報告してきた。ところで血球血管芽細胞 は,血管内皮細胞のみならず白血球系細胞にも分化するが,今回,ヒト白血球系細胞株(THP-1,U937, RPMI8866,Jurkat)を用いて,それらの抗酸化作用を検討した。 培地(RPMI1640,10% FCS)に1% ヒト血清アルブミン(HSA)を加えて株化細胞を懸濁し,各々3,6,9, 24時間培養後,上清を回収した。回収した上清を高速液体クロマトグラフィーを用いて解析し,還元型アル ブミン(HMA)と酸化型アルブミン(HNA)の比(HMA/HNA比)を検討した。1% HSAのみを加えて培養したも の(細胞株なし)をコントロール群とした。 コントロール群ではHMA/HNA比は経時的に減少した(培養液中のアルブミンの酸化が進行していた)。一方, すべての株化細胞においては,コントロール群に比べてHMA/HNA比の減少は有意に抑制された。HMA/HNA 比の減少抑制の強さは,RPMI8866,THP-1,U937,Jurkatの順であった。以上の結果より,血管内皮細胞の 場合と同様に,ヒト白血球系細胞も抗酸化作用を有していることが分かった。 22 大会 1 日目(8 月 20 日) 血管 2 脂肪細胞と血管平滑筋細胞の共存下におけるアントシアニンの効果 勇井 克也 、山下 里奈2)、山田 和美2)、上嶋 繁1)2) 1) 近畿大学大学院 農学研究科 応用生命科学専攻 1) 2) 近畿大学 農学部 食品栄養学科 【目的】動脈硬化症の進展には血管平滑筋細胞(SMC)が関与しており、SMCの内膜への遊走は動脈硬化の進 行につながる。アントシアニン(C3G)はフラボノイドの一種で抗肥満効果が報告されている。本研究では、脂 肪細胞の存在下でC3GがSMCの遊走能および培養液中の線溶系因子に及ぼす影響について検討を行った。 【方 法】脂肪細胞(3T3-L1)をDouble Boyden Chamberの下層Chamberに、SMCを上層Chamberに培養して両細胞を共 存させた。そして、上層Chamber底面のメンブレン膜を通過したSMCの細胞数をSMCの遊走能として評価し た。さらに、培養液中の線溶系因子活性をフィブリンエンザイモグラフィーにて解析するとともに、活性型 PAI-1量をELISA法によって測定した。【結果】脂肪細胞存在下におけるSMCの遊走能は脂肪細胞の油滴蓄積 とともに上昇した。しかし、分化培地中にC3Gを含有させると、SMCの遊走能は低下した。また、培養液中 の活性型PAI-1量は減少し、フィブリン溶解活性は増加した。以上により、C3Gは脂肪細胞存在下におけるSMC の遊走能を抑えて動脈硬化の進行を抑制するとともに、動脈硬化に引き続いて生じる血栓形成を抑制すると 考えられた。 イオン 1 ナトリウムイオン / プロトン交換輸送体 1 (NHE1)阻害による神経膠腫細胞浸潤抑制の試み 塩田浩平、和田愛子、矢野元、杉本香奈、高橋寿明、田中潤也 愛媛大学医学部分子細胞生理学、愛媛大学プロテオ医学研究センター ナトリウムイオン / プロトン交換輸送体 1 (NHE1) は、細胞内 pH の制御に寄与するとともにアクチン細胞 骨格の細胞膜への連結点としても機能することが知られる膜タンパク質である。浸潤性のラットおよびヒト 神経膠腫細胞において、星状細胞に比して NHE1 の発現が亢進していたことから、神経膠腫細胞の周辺脳実 質への浸潤に NHE1 発現亢進が寄与する可能性を検討したところ、NHE1 ノックダウンにより神経膠腫細胞 浸潤が 90% 以上抑制された。NHE1 阻害剤として古くから知られる 5-(N-ethyl-N-isopropyl)-amiloride (EIPA) の浸潤に対する効果を検討したところ、約 50% の抑制効果を観察した。In vivo における EIPA の神経膠 腫浸潤抑制効果を検討するために、ヌードマウス脳にラット神経膠腫細胞 C6 を移植するモデル系を作成し た。組織像の検討から、本系においてはヒト神経膠腫で問題となる「潜行性浸潤」が再現できている可能性 が高く、今後、ヒト神経膠腫の治療開発における有用性が期待される。これまでの予備的検討では、本系に おいて EIPA 投与が 43% の生存日数延長効果を示しており、EIPA の浸潤抑制剤としての可能性について議 論したい。 23 大会 1 日目(8 月 20 日) イオン 2 ナトリウムイオン / プロトン交換輸送体 1 (NHE1) 細胞内局在と糖鎖修飾の関与の可能性 矢野元、塩田浩平、和田愛子、杉本香奈、高橋寿明、田中潤也 愛媛大学医学部分子細胞生理学、愛媛大学プロテオ医学研究センター ナトリウムイオン / プロトン交換輸送体 1 (NHE1) は細胞膜上に分布して細胞内 pH の制御に寄与するが、 同時に細胞内膜系に分布する画分があり、神経膠腫細胞においては主として直径約数 m の構造体として観 察される。よく知られた阻害剤である5-(N-ethyl-N-isopropyl)-amiloride (EIPA) により NHE1 活性が阻害され るが、このとき NHE1 の細胞内局在が、さらに径の小さい構造体もしくは細胞質中に拡散したように観察 され、同時にアクチン細胞骨格系の再構成が阻害されて細胞の形態が大きく変化することを見出した。一 方、NHE1 は一箇所の N-グリコシル化と複数の O-グリコシル化を受け、そのためにイムノブロット上の 分子量は成熟型の約 100 kDa に加えて非成熟型の約 80 kDa およびその周辺のブロードな値を示すこと が知られている。EIPA 処理においては NHE1 のイムノブロット上の分子量が非糖鎖修飾型にシフトして いた。pH 制御能喪失変異、アクチン細胞骨格との連携能喪失変異、および糖鎖修飾喪失変異 の、一連の NHE1 変異体の挙動の解析から、NHE1 細胞内局在と糖鎖修飾の相関について議論したい。 イオン 3 Hypoxia-inducible factor-1(Hif-1)を介した心筋T型カルシウムチャネルの発現制御機構 窪田浩志、森島真幸、秋吉裕子、王岩、賀来俊彦、小野克重 大分大学医学部病態生理学講座 低酸素刺激時に誘導される因子であるHif-1は、細胞に対する酸素供給が不足状態に陥った時に活性化するタ ンパクであり転写因子として機能する。一方、低酸素刺激は発達段階の心血管機能の分化、新生、維持に重 要な役割を担うことが知られているが、心筋イオンチャネルの発現に対する作用については不明な点が多い。 本研究では、初代培養ラット心筋細胞に低酸素刺激を加えた際のT型Ca2+チャネル(CaV3.1, CaV3.2)の発現 変化と、Hif-1に関連した転写制御機構を明らかにすることを目的とした。心筋細胞を低酸素環境下(1% O2, 3 h)で培養すると、CaV3.1,CaV3.2 mRNA発現量、Hif-1タンパク発現量、及びHif-1の転写活性は顕著に増加し た。また、関連する転写因子(GATA4, Csx/Nkx2.5)の発現も顕著に増加した。そこで、siRNAを用いたノッ クダウン実験を行ったところ、Hif-1 siRNA導入群では低酸素刺激によるCaV3.1, CaV3.2 mRNA発現量の増加は 認められず、転写因子(GATA4, Csx/Nkx2.5)も同様の変化を示した。以上の結果より、低酸素刺激によるT 型Ca2+チャネルの発現制御にはHif-1の活性化を介した転写制御機構が関与する可能性が示唆された。 24 大会 2 日目(8 月 21 日) 循環 1 内耳電気刺激による心拍変動の変化 田中邦彦、池田麻友美、伊藤大和、前田祐孝、丸山裕輝 岐阜医療科学大学 保健科学部 放射線技術学科 内耳前庭系、特に耳石器は加速度を感知し運動神経のみならず交感神経活動を変化させることが知られてい る。今回我々は、内耳前庭系への電気刺激 (Galvanic Vestibular Stimulation: GVS)によって心臓自律神経活動の 指標とされる心拍変動にどのような変化が表れるかを検討した。21~24歳の健康成人男女18名について仰臥 位で5分間、動脈血圧、心電図を連続的に計測した。GVSは2 mA、0.01~10 Hzの正弦波で、周波数はランダ ムに変化させた。256秒の心電図R-R間隔から求めた心拍変動の低周波数帯 (LF)および高周波数帯 (HF)のパ ワーをGVSの有無で比較した。またGVSなしの状態で起立させた際の血圧変化を記録した。起立時に血圧が 維持されるか上昇する被検者ではGVSを与えた時のHFパワーが有意に増加したが血圧が低下する被検者で は変化を認めなかった。LFとHFの比は、GVSによって増加したが起立時の血圧変化とは相関を認めなかった。 これまでに我々は起立時の血圧変化と耳石機能が相関することを示していることから、GVSによるHF変化は 前庭−自律神経応答の評価方法となりうる可能性が示唆された。 循環 2 ラット血液交差灌流心臓における心アナフィラキシーの病態 九田裕一、芝本利重 金沢医科大学 医学部 第二生理学 【目的】ラット血液交差灌流心でアナフィラキシー時の心収縮性低下に及ぼす冠動脈血流量ならびにβ-アド レナリン受容体(AR)についてβ1-とβ2-AR阻害の影響を比較検討した。 【方法】抗原感作したWistarラットから心臓を摘出し、未感作ラットの動脈血で冠動脈を定圧灌流した。左室 留置バルーンで測定した左室圧(P)を130mmHgに維持して、抗原を冠動脈内に投与した。冠血管抵抗と心収縮 性指標のdP/dtmaxを算出した。また、冠血流量をアナフィラキシーと同様に減少させた。さらに、β1-とβ2-AR 阻害剤を前処置して検討した。 【成績】抗原投与により一過性に冠血流量とdP/dtmaxが低下したが10分には投与前置に復した。未感作ラッ ト心で冠血流を減少させると心アナフィラキシーと同様に心収縮性が低下した。β1-ARよりβ2-ARの阻害の方 が冠血管抵抗増加が大きく、よりdP/dtmaxが低下した。 【結論】ラット心アナフィラキシーでは一過性に冠血流量減少とともに心収縮性が低下する。心収縮性低下 にはアナフィラキシー冠血管収縮による冠血流量の低下が主として関与している。β1-よりもβ2-AR阻害の方 が心アナフィラキシーを増悪させること示唆された。 25 大会 2 日目(8 月 21 日) 循環 3 ラットアナフィラキシー低血圧における腸管膜リンパ動態 芝本利重、九田裕一 金沢医科大学 医学部 第二生理学 【目的】アナフィラキシーショックの血圧低下には有効循環血液量減少が少なくとも関与している。それは 血管外への体液濾過の増加による可能性がある。しかし、アナフィラキシーショック時の血管内外の水分移 動の検討は十分には行われていない。今回、ラットアナフィラキシー低血圧時の腸間膜リンパ動態を、静水 圧上昇の影響とともに検討した。 【方法】卵白アルブミンで感作した麻酔下SDラットに抗原を投与した時の腸間膜リンパ流量(Qlym)を門脈圧 とともに測定した(アナフィラキシー群)。また、未感作ラットで門脈圧を同様に上昇させて圧上昇の影響を 比較検討した(門脈圧上昇群)。 【成績】抗原投与後2分には体血圧は低下し、門脈圧は21cm水柱上昇した。Qlymは3.3倍に増加したが10分に は投与前置に復した。門脈圧上昇群では増加したQlymのピーク値はアナフィラキシー群と有意差を認めなか った。 【結論】ラットアナフィラキシー低血圧時の腹腔血管床における血管外への体液漏出は門脈圧上昇時の一過 性であり、それには静水圧上昇の関与が大きいことが示唆された。 循環 4 初期~中等度粥状硬化病変の検出に対する脈波速度の有用性― KHCウサギにおける実験的検討 勝田新一郎1、林 志保2、挾間章博1 1 福島県立医科大学医学部細胞統合生理学講座 2 いわき市立総合磐城共立病院麻酔科 大動脈脈波速度(AoPWV)が初期~中等度硬化病変の検出にどの程度有用であるか調べるために、様々な平均 血圧(MAP)レベルで遺伝性高コレステロール血症(KHC)ウサギと正常ウサギのAoPWVを比較した。10-12か月 齢のKHCおよび正常ウサギ各13匹をペントバルビタール麻酔下で仰臥位固定し、2本のカテーテル圧トランス デューサーを大動脈起始部と総腸骨動脈分岐部に留置した。アンギオテンシンⅡおよびニトロプルシッド投 与に対する昇圧および降圧時の脈波を記録した後、血管内エコー(IVUS)カテーテルを用いて胸部大動脈近位 部と腹部大動脈近位部における昇圧、降圧時の血管径(Dm)を記録した。AoPWVは正常群、KHC群ともにMAP と有意に正相関した。MAPが80mmHg以上では、AoPWVは両群間の差がごく僅かであるが、KHC群の方が有 意に高かった。Dmと圧−ひずみ壁弾性率(Ep)は両群ともMAPと有意に正相関し、壁厚(h)は有意に負相関した。 EpとDmは各MAPレベルで両群間に有意差はないが、hはKHC群の方が有意に大きかった。AoPWVは血圧補 正を行えば動脈の器質的変化の評価や被験者間の比較が可能ではあるが、初期~中等度硬化病変の検出には 有用性が少ないと考えた。 26 大会 2 日目(8 月 21 日) 循環 5 高血圧ラット心筋の活動電位に対する選択的T-type Ca2+channel (Cav3.x) blockerの効果 田中みどり、佐藤義昭、太田宏之、煙山健仁、田代晃正、晝間恵、丸山聡、西田育弘 防衛医科大学校 生理学講座 近年Cav3.xが遺伝性の心筋症や肥大心のラット心室筋で見出された。しかし、病態心で増加したCav3.xの意義 は不明である。高血圧rat(SHR)の心筋におけるJSR Ca2+ handling の機構とCav3.xの生理的役割を明瞭にするた め我々は、撰択的Cav3.x阻害剤 efonidipineの鏡像異性体( R(-)e)の SHR肥大心に対する機械的特性についての 効果を検討し、R(-)e 1μMがSRにおけるCa2+の遅い補充を回復する事を示唆して来た。これらの結果に基づき 更なる洞察を得るため我々は、SHR及び対照ラット(WKY)乳頭筋について、細胞内活動電位(AP)を記録し、 R(-)eの効果を検討した。APの波形は、顕著な部位特異性を示したので、筋の同一部位で比較を行った。R(-)e 1μMはSHRにおいてAPの半値幅を減少させWKYに近似させたが、静止膜電位及びAPの振幅には影響を与え なかった。実験結果を裏付けるために、Kyoto modelを用いてCav3.xの発現増加の近似分析を行った。以上の 結果は機械的特性の結果に基づく推定と一致し、R(-)eはAP持続時間遅延の抑制により高血圧或いは肥大心の 治療に効果があると考えられる。 循環 6 晝間 Dahl食塩感受性高血圧ラットにおける脳組織nNOS活性化と ‘高血圧’の理由 恵、煙山健仁、太田宏之、田代晃正、萩沢康介、丸山 聡、西田育弘 防衛医科大学校・生理学講座 Dahl食塩感受性高血圧(DSS8%)ラットでは脳幹nNOSがupregulateしており、交感神経活動が中枢性に抑制 されている。さらに、nNOSは高食塩ではなく、血圧上昇により活性化することが分かった。今回は、①この 活性化が高血圧を抑制しようとする代償性作用であること、②なぜ高血圧が維持されるのか、を検討した。 <方法>①7週齢雄DSSラットにテレメーターを埋め込み、無麻酔・無拘束下に連続的血圧測定を開始し、術 後8日目から高食塩負荷し高血圧発症させ、22日目よりnNOS阻害剤(S-methyl-L-thiocitrulline, SMTC)を脳室 内長期投与し、この間の血圧上昇変化を測定した。②食塩非感受性正常血圧Sprague-Dawley (SD)ラットの脳 組織nNOS(酵素活性・神経核nNOSニューロン数)と比較した。<結果>①SMTC脳室内連続長期投与する と血圧がさらに上昇した。②脳幹nNOS活性はDSS8%≈SD8%だが、nNOSニューロン数は延髄でDSS8%>SD8%。 一方、間脳、特に室傍核nNOSニューロン数はDSS8%<<SD8%であった。<考察>Dahl食塩感受性高血圧ラッ トでは、延髄nNOSが代償性に交感神経抑制性に働くが充分ではなく、さらに、室傍核nNOSが高血圧でも活 性化されないことも高血圧が維持される一因と推測された。 27 大会 2 日目(8 月 21 日) 循環 7 安部 圧受容器破壊ラットの飲水時における昇圧応答と不整脈発症 力、岩田 ちひろ、森田 啓之 岐阜大学大学院 医学系研究科 生理学分野 圧受容器が正常なラットでは起立時の動脈血圧は維持されるのに対し,圧受容器を破壊したラット(SAD)では 15 ± 1 mmHg程度低下する。しかし,この応答は飲水時以外の起立時の応答であり,飲水を伴う起立の場合は 昇圧応答が見られた(60 ± 5 mmHg)。そこで,今回我々は,SADラットを用いて,飲水時における昇圧応答の メカニズムを調べることにした。水ボトルの位置(高所と低所),飲水方法(自発的と受動的),水ボトルの 中身(水,5%グルコース溶液,生理食塩水)による昇圧応答の違いは見られなかった。また,口腔内リドカ イン塗布や舌咽神経および上喉頭神経を切除した場合でも昇圧応答に違いは見られなかった。さらに,ラッ トの飲水速度と同速度(1.3 ml/min)で胃内に直接水を投与した場合では昇圧応答は見られなかった。一方,起 立飲水時の昇圧応答はプラゾシン投与によって完全に消失した。また,飲水による昇圧応答が大きい場合で は徐脈性の不整脈が見られ,この不整脈はアトロピン投与により消失した。今回の実験では,求心路の同定 はできなかったが,遠心路はα1受容体を介したものであることがわかった。 循環 8 飯田 高張NaCl溶液静脈内投与による動脈血圧低下と心不全 知宏,安部 力,森田 啓之 岐阜大学大学院 医学系研究科 生理学分野 意識下および麻酔下のラットに等張液(0.9% NaCl溶液および5% グルコース溶液)を静脈内投与しても動脈血 圧は維持されるが,高張液(9% NaCl溶液および50%グルコース溶液)を静脈内投与すると動脈血圧は一過性に 低下する。このメカニズムを調べるために,圧受容器を破壊したラットを用いて,9% NaCl水溶液静脈内投与 した時の動脈血圧,左心室圧,中心静脈圧を測定した。9% NaCl溶液を投与すると,動脈血圧は33 ± 4 mmHg 低下した。この応答は,NOS阻害薬(L-NAME), ニコチン受容体遮断薬(ヘキサメソニウム), アデノシン阻害 薬(カフェイン)で抑えることができなかった。しかし,左心室収縮期血圧は40 ± 5 mmHg低下し,左心室拡張 期血圧は12 ± 3 mmHg上昇し,中心静脈圧は1.7 ± 0.2 mmHg上昇した。これらの応答は約30秒で元の状態に戻 ることから,一過性の急性心不全が起こっていることが考えられる。さらに,迷走神経を切断すると,中心 静脈圧は元の値に戻らないまま上昇し続け,最終的には死に至った。これらの結果から,高張液投与による 一過性の動脈血圧低下は急性心不全により生じ,この心不全の進行には迷走神経が重要であることが分かっ た。 28 大会 2 日目(8 月 21 日) 循環 9 血液交叉灌流摘出ラット心臓の高温条件下におけるメカノエナジェティクスの研究 小畑孝二、竹下大輔、光山晋一、伊藤治男、高木 都 奈良県立医科大学医学部医学科生理学第二講座 熱中症の重症例では体温が40℃以上に上昇し、心機能の異常を伴う循環不全が報告されている。本研究では 血液交叉灌流ラット摘出心臓を用いて、灌流血液温度の上昇による心臓の力学的エネルギー学的性質の変化 を調べて、熱中症による体温の上昇が心臓の生理機能に与える影響を検討することを目的とした。灌流血液 温度の正常群(36℃)と高温群(42℃)で左心室収縮期末圧―容積関係(ESPVR)、左心室圧―容積面積(一 心拍毎の総機械的エネルギー:PVA)と一心拍毎の心筋酸素消費量(VO2)を測定した。ESPVRは、高温群 で下方移動した。VO2― PVA直線関係は、傾きは変化しなかったが、VO2切片値は減少する例が多かったが、 変わらない例もあった。これらの結果から、高温条件下においては、すべての心臓において収縮性の低下に よりPVA減少が起こるが、PVA非依存性のカルシウムハンドリングに要する酸素消費の減少は心臓によって 差違が見られた。このように高温条件下では、心臓の収縮性は一様に低下するが、エネルギー学的検討から は、興奮収縮連関におけるカルシウムハンドリング抑制の起こり方には違いが見られた。 新分野 1 舌痛症を伴った味覚障害患者の舌におけるTAS2Rs味覚受容体発現の変化 髙尾恭一、國分眞一朗 日本大学医学部生体機能医学系 生理学分野 舌痛症は、舌に器質的異常は認められないにもかかわらず、舌の先端や縁に痛みが続く疾患である。40-60歳 前後の女性に発症し、本来の味がしないという味覚障害をしばしば伴うことが知られている。我々は第20回 本学会大会において、被験者の感覚を必要としない味覚評価の方法ScReP 法(Scraping Reverse-transcription PCR method)を報告した。その結果、味覚に違和感を訴えて来院する患者の味覚受容体TAS2Rsの遺伝子発現 は、味覚に違和感を感じない健常な被験者と比べて、減少したことを観察した。本研究はScReP法を舌痛症患 者に施行し、舌痛症に伴う味覚障害時のTAS2Rs発現変化の検討を行った。その結果、舌痛症患者において TAS2Rs遺伝子発現の減少が認められた。さらに舌痛症の改善に伴うTAS2Rs遺伝子発現変化を4 週間ごとに16 週間にわたって経時的に検討した。その結果、舌における痛みが改善するに従って、TAS2Rs遺伝子発現が増 加し、ろ紙ディスク法による味覚検査の結果も改善したことを認めた。 29 大会 2 日目(8 月 21 日) 新分野 2 硫化水素による低体温耐性の向上 岩田ちひろ、安部力、森田啓之 岐阜大学大学院 医学系研究科 生理学 非冬眠動物であっても、強制的に体温を下げることにより代謝を抑制し、人工冬眠状態にすることができる。 この方法は、救急現場や手術室で低体温療法として用いられているが、感染、不整脈、虚血再環流障害の出 現といった重篤な副作用のために、低体温の程度や期間は限られている。硫化水素は好気性代謝の抑制、炎 症性メディエーターの抑制により代謝の抑制作用と、虚血に対する臓器保護作用があると報告されている。 硫化水素ドナーであるNaHSを体内に投与することにより、低体温への耐性が向上するかどうかを、ラットを 用いて調べた。生理食塩水を投与したラットは21.3±1.1℃で血圧低下(平均血圧50mmHg以下)が認められた のに対して、NaHSを投与したラットでは17.1±1.0℃まで血圧を保つことができた。低体温状態を数時間維持 すると多彩な不整脈が出現し、死に至る場合もあるが、NaHSを投与することにより、この不整脈の出現が抑 制され、ラットが死亡することなく復温、覚醒をさせることができた。NaHSを投与することで、より長期間、 より低い体温の維持ができるようになる可能性がある。 新分野 3 北野 Del-1由来のペプチドによる癌細胞のアポトーシス誘導 尚孝1)、真宮 淳1,2)、日臺 智明2)、 國分 1) 日本大学医学部 歯科口腔外科学分野 2) 日本大学医学部 生理学分野 眞一朗2) 目的:Developmental endothelial locus-1(Del1)は主に発生の過程で発現する細胞外基質タンパクである。Del1 は三つのEGF(上皮成長因子)モチーフ(EGF1、EGF2、EGF3)と二つのディスコイディンドメイン(C1、C2) から構成される。われわれは今までにDel1のドメイン解析を行ってきており,本研究において、in vitro実験 系でDel1が種々の培養細胞にアポトーシスを誘導することを示し、その活性中心を同定した。 材料と方法:数種類の培養細胞にDel1遺伝子を導入し、傷害された細胞に対しアポトーシスが誘導されてい ることを示した。さらにDel1のドメイン解析を行い、アポトーシスの情報伝達系について検討した。 結果:Del1遺伝子導入によりアポトーシスによる細胞死が誘導された。アポトーシスを誘導する活性はE3領 域に局在することが明らかになった。さらに、カスパーゼ系を介してアポトーシスが誘導されることが明ら かとなった。 考察・結論:Del-1のE3領域がカスパーゼ依存性のシグナル伝達系を介して種々の細胞にアポトーシスを誘導 することが発見された。 30 大会 2 日目(8 月 21 日) 新分野 4 基礎統合実習−感染性ショック実験モデルの考案と考察− 井坂晋1、西巻はるな1、石部祐介1、宮下馨1、花井翔悟2、渥美里紗2、福岡翼2、真崎翔一2、岡田宜孝3、国沢秀木3、 間瀬純一4、朱逸清4、松本宗和4、斎藤史子5、後藤祐介6、山下由莉7、藤井雅行8、中野雄太9、 1) 日本大、2)藤田保健衛生、3)近畿大、4)岐阜大、5)東京女子医大、6) 高知大、7) 順天堂大、8)広島大、9)東京大 大学が異なり、学年も異なる18名の学生が3グループに分かれ、提示されたシナリオに対し、各グループで感 染性ショックの実験モデルを考案した。実験にはラットを麻酔下で用い、血圧、心拍、直腸温などをモニタ リングしながら、Lipopolysaccharide(LPS)の投与し、その後、薬物投与、あるいは輸液によって、有効性がど の程度あるのかを検討した。実験中の血液サンプルは生化学的手法にて分析し、LPSの投与に伴う諸臓器へ の変化の影響を評価するために、組織を採取し、病理組織学的検討を行った。感染性ショックの病態や種々 の処置の有効性についての考察をしていく。 新分野 5 運動負荷が呼吸筋に与える影響 高森正祥1、秋山純和2 1) 埼玉医療福祉専門学校 理学療法学科、2) 人間総合科学大学 保健医療学部リハビリテーション学科理学 療法学専攻 【目的】呼吸器障害者の運動強度に対する呼吸筋の反応を知るため健常人で負荷に対する呼吸筋への影響を 口腔内圧計を用いて検討した。【方法】研究1では、自転車エルゴメータによる機械的負荷強度20、40、60、 80Wattsの4段階、研究2では、60、80、100、120Wの4段階とした。生理的負荷強度の指標は%HRmax、ダ ブルプロダクト(DP)とし、口腔内圧の変化について一元配置分散分析を用いて検討した。研究2において 呼吸回数を指標とした変化を検討した。 【結果】研究1、2ともに機械的負荷強度、生理的負荷強度による有意 差を認めなかった。呼吸回数を指標とした分析では最大呼気圧(PEmax)において有意差を認めた。【考察】 呼気筋力の低下は、呼吸回数増加により起こることが示唆される。運動負荷強度の設定は呼吸数が30回以下 で行なわれることが望ましいと考える。吸気筋より呼気筋において運動による影響が大きいので、呼吸筋力 強化は呼気筋力の強化がより重要であると考えられる。また呼気筋への負担軽減を目的に徒手による胸郭の 柔軟性改善が重要と推察される。 31 第 20 巻第 2 号 日本病態生理学会雑誌 編集兼発行人 平成 23 年 8 月 20 日発行 小杉忠誠 第 21 回日本病態生理学会大会事務局 発行所 日本大学医学部生体機能医学系生理学分野 〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町 30-1 電話 03-3972-8111(内線 2236) E-mail [email protected] 複写される方へ 本誌に掲載された著作物を複写されたい方は, (社)日本複写センターと包括複写許諾契約を締結されている企業の従業員以外は,著作 権者から複写権等の行使の委託を受けている次の団体から許諾を受けてください。著作物の転載・翻訳のような複写以外の許諾は直接 本会へご連絡ください。 〒107-0052 東京都港区赤坂 9-6-41 TEL: 03-3475-5618 乃木坂ビル 3 階 FAX: 03-3475-5619 学術著作権協会 E-mail: [email protected]