...

Environmental regulation of animal development

by user

on
Category: Documents
10

views

Report

Comments

Transcript

Environmental regulation of animal development
Chapter21
Environmental regulation of animal development
Chapter21 Environmental regulation
of animal development
D01A029J
血液摂取
卵発生神経分泌ホルモンを分泌
(Egg Development Neurosecretary Horumone ; EDNH
または Ovarian ecdysteroidogenic hormone; OEH)
脳
卵巣
of Normal
卵の産生
例:吸血虫(Rhodinus prolixus)
成虫のメスは血を摂取する度に一群の卵を産出する。この
血の摂取によって二つの機能が働く。
環境的合図と通常発生
・Larval settlement
1:哺乳類からの血タンパクは、卵黄前駆ホルモン合成に
必要なアミノ酸を供給する。血の摂取による腹部の物理
的伸長により、内分泌刺激つまり、アラタ体からの幼若ホ
ルモン(Juvenile Hormone ; JH)分泌の活性が開始され
る。JH は、卵巣と脂肪細胞での卵黄前駆タンパク合成を
刺激する。
幼生定着
海洋幼生の通常発生への環境的合図の影響は、その
生物がさらに発達するために環境の一部として必要不可
欠なものである。
・・・海洋幼生などが(岩などに)定着す
る間に起こる
・
卵黄前駆タンパクの産出
卵母細胞
Environmental Cues and
Normal Development
・
ecdystroid(脱皮ホルモンの一種)を分泌
脂肪細胞
環境による通常発生の調節
環境的合図
力
例・Aedes asgypti
この章では、どのように生物が、その正常な発生過程にお
いて環境(的合図)を利用しているか、また同様に、自然で発
見された外因性化学物質が、どのようにして普通の発生過程
を妨げ、先天異常の原因となるのかを、論じていく。
Environmental Regulation
Development
松本
2:一回での血の大量摂取は脱皮を誘発する。
餌の近くや、変態を可能にする、
強固な基質表面上に定着する
上記の例は、哺乳類が昆虫の発生調節の役割、つまり環
境的影響を与えているということになる。
餌食や基質が放つ可溶性分子
が、幼生の定着や変態開始の合
図として利用される
・Developmental symbiosis
発生共生
ある生物の発生では、異なる生物種との共生が不可欠であ
る。これらの場合、共生者は、とても密接に主生物と結合し、
この主生物は共生者なしには、発生することができない。
こ の 共 生 関 係 で 発 生 す る 生 物 と し て 、 イ カ ( Euprymna
scolopes ) 、両生類やカタ ツ ムリの卵、 ヨコバイ( Euscelis
incisus)を例として以下に記す。
生物のさらなる発達
例・赤アワビ
例:イカとバクテリアの共生
環境的合図・・・幼生の赤藻類への物理的接触
主生物
成体のイカ(Euprymna scolopes)
・藻類の放つペプチドが、変態を誘発
するレセプターと結合する。
(脊椎動物と類似した G タンパクにリンク
するレセプター)
共生者
発光バクテリア(Vibrio Fischeri)
成 体 の イ カ
( Euprymnscolop
es)は、発光バク
テリア(Vibrio
Fischeri)を含む
嚢を構成される
光器官を持つ
幼若なイカでは、このような共生関係がない。共生関係に
到るまでの過程は、後に発表する。
生物のさらなる発達・・・定着、変態
例:両生類、カタツムリなどの卵塊と藻類の共生
・Blood meals
卵塊の密度が
高いと酸素の
供給が少ない
血食動物
多くの蚊では、卵の産生は血を摂取することによって起こ
る。メスの蚊だけが血を摂取し、摂取以前では、卵黄前駆タ
ンパク(Vitellogenin Yolk Protain)が産生されない。
1
光合成性藻類の薄い膜
で覆うことにより酸素供給
量を補う
Chapter21
Environmental regulation of animal development
・Diapose
例:ヨコバイの卵とバクテリアの共生
形態形成と共生の例である。ヨコバイは、その胚発生をバ
クテリアに依存している。
バクテリアを取り除くこと
により、共生関係を崩
す
・
・
・
・
・
Predictable Environmental Differences
as Cues for Development
発生に対する合図としての環境的違い
力
休眠
生活環に必須の要素
環境状況に誘発された場合にのみ発現する
温帯昆虫に、よく見られる(越冬するため)
光周期(昼夜の長さの関係)の変化によって誘発される
環境変化を前兆するような象徴的刺激によって起こる
the critical day length(限界日長)
・ その昆虫数の50%が休眠に入る光周期。
・ 遺伝的に、その性質がきちんと決定されている。
気温や日照時間は、環境変化に発生を適応させるため
に様々な生物種によって利用されている。重力圧力のス
トレスもまた、いくつかの生物発生において役割がある。
・Gravity and pressur
・Sesonality and sex in aphids
重力と圧力
発生に利用されている環境の普遍的要素は、重力と運動
である。胚の運動によって引き起こされるストレスに依存し
ている骨形成も多数ある。
アブラムシの季節性と性
季節の変化に対応するため特殊化した生活環をもつアブ
ラムシがいる。春夏秋冬それぞれに、異なった性(染色体
数)のアブラムシが生まれる。
受精なしに卵
メスの無性
春に孵化
形成
アブラムシ
する卵
(染色体数12)
秋に孵化
する卵
松本
昆虫の多くは、休眠(diapose)という計画、策略を進化させ
てきた。休眠は、胚、幼体、サナギ、成体で、それぞれの種
により起き得る発生の停止である。休眠の特性としては、以
下のものがある。
このバクテリアが無い
卵母細胞から発生し
た胚は、腹部が欠け
ている
メスの有性
アブラムシ
(染色体数12)
D01A029J
例:ヒトの膝蓋骨形成
ヒトの生後の膝蓋骨形成に運動が不可欠である
例:鶏の腓骨稜(fibular crest)
この骨は脛骨と腓骨を連結している。この骨は、胚運動が
抑制されると形成されない。
越冬できる
受精卵
オスの有性
アブラムシ
(染色体数10)・・・
・
・
4本または6本の染
色体を持った精子
6本の染色体を持
った精子だけが受
精能を持つ
Phenotypic Plasticity : Polyphenism and
Reaction Norms
表現型の可塑性 : ポリフェニズムとリアクションノーム
同じ環境要因でも種が異なれば、その利用法も異なって
くる。アブラムシに見られる異なったタイプの生活環(交互
に有性と無性を繰り返す生活環も含んでいる)がある。
オス
中温
高温
低温
一個体が、ある環境下で一つの表現型を表現する能力、
また、それとは異なる環境下で異なる表現型を表現する能
力を表現型の可塑性 phenotypic plasticity と呼ぶ。
短日照時間
中温
メス
ポリフェニズム
環境によって誘発される不連続(断続
的)な表現型
・有性
長日照時間
高温
高個体密度
低温
低個体密度
高温
例
・無性
・翅(+)
・ 移住性のイナゴ
・ ウンカ
・ 北極圏の動物(毛の色)
リアクションノーム
ある程度の環境状況の中で、単一の遺
伝子によって表現される、連続的な反
応範囲をもった表現型
・無性
・翅(−)
中温(秋)では、有性のオス・メスが生まれ、この世代が越
冬できる受精卵を生む。
例
2
・ サンショウウオの体表色
・ ヒトの筋肉の発達
Chapter21
Environmental regulation of animal development
D01A029J
・Seasonal polyphenism in butterflies
蝶における季節性のポリフェニズム
このポリフェニズムは、とても身近に見られる。北半球の大
部分で見ることができる、シロチョウ(Pieres)とキチョウ
(Colias)のポリフェニズムの例を以下に示す。
力
幼虫時の後期
Distal-less 遺伝子の転写が小さな
領域に制限されると、そこがそれぞ
れの目の中心となる。
目玉模様
の発生機
序
例:シロチョウ(Pieres)とキチョウ(Colias)
松本
サナギの初期
サナギ状態の初期の間、Distal-less
の発現は広い範囲で見られ、この発
現は模様の大きさを決定する。
日の長い夏に羽化(写真上段)
後翅が比較的明るい色素で構成される。
・Nutritional polyphenism 栄養性のポリフェニズム
Polyphenism は季節だけによってコントロールされているの
ではない。蜂や蟻では、幼虫時に与えられる栄養によって
階級の調節が行われている。
日が短く寒い春の初期に羽化(写真下段)
後翅が比較的暗い色素で構成される。
幼虫時期に与えられる栄養の調節
暗い色素は太陽光をより効率よく吸収ので、寒い春
に羽化した蝶に有利。
ローヤルゼリー・高タンパク食
ア ラ タ 体 か ら の 幼 若 ホ ル モ ン ( Juvenile
Hormone ; JH)分泌活性の調節される。
分泌量が多くなる
JH がこの器官によって分泌されるとサナギにな
るのが遅れ、そのためより大きく、(そしてある種
では)解剖学的にも特殊化する。
女王蜂、女王蟻が誕生する
・Environmsntal-dependent sex determination
環境依存性の性決定
多くの生物種が性決定に環境を利用している。魚類と
爬虫類では、よく性決定に温度を利用している。
例:Bicyclus anynana
季節変化に
適応した二つ
の表現型
高い気温は雨季の表
現型
高温・低温
メスが生まれる
丁度よい気温
オスが生まれる
オス:メス
1 : 10
オスの発生率
低い気温は乾季の
表現型
例:ワニ
気温
長所
乾季
その住処の落ち葉によ
く似た茶色で、保護色
となっている。
雨季
活発な時期なので、腹
側の目玉模様が天敵の
鳥やトカゲなどの攻撃
をそらす。
・ オス、メスの割合を1:1に縛り
付けずに有性生殖の利点を得られ
るという点。
・ オスに有利な地域とメスに有利な
地域といったむらのある生息地に
適している。
短所・・・ 温暖化などの環境破壊(地域的ある
いは地球的温暖化)に影響を受けや
すい。
3
Chapter21
Environmental regulation of animal development
その他、出会う相手によって性決定される例もある。
例:ベラの仲間(Blue headed wrasse)
オスに対しメスが多い地域
メスになる
オスが居ない地域
例
クルマムシ
オスになる
・Polyphenism for alternative conditions
変化しうる状況下でのポリフェニズム
危険で不安定な環境で生き抜くために、発生途中の生物
がその生息地で、どのようにして生き抜いていくのか以下
の例に示す。
例:鋤足ガエル spadefoot toad(Scaphiopus couchii)
過酷な環境である砂漠で発生するこの種のカエルは、
環境変化に対して独特な反応を示す。
大きな口と力強い
顎の筋肉を発達さ
せた肉食性のオタ
マジャクシの発生
発生の場である雨
季にできる水溜り
の水量の減少
D01A029J
松本
力
捕食性のクルマムシに反応
棘状突起が 130%長くなる
カタツムリ
天敵のカニに反応
殻が厚くなり歯が生える
ミジンコ
ユスリカの幼虫に反応
頭部に「ヘルメット状」の突
起が発達
コイ
カワカマスの存在に反応
腹部を肥大させて捕食される
のを防ぐ
以上の例にも、二律背反が生じる。カワカマスでは、肥大
によって捕食されにくくなるが、水の抵抗が増し、泳ぐ速度
が遅くなる。
Mammalian Immunity as a
Predator-Induced Response
摂食者誘導性防御としての哺乳類免疫
摂食者誘導性防御因子が危険の前兆に反応し適応させ
る反応であるとしたら、哺乳類の免疫系は最高の発達
を遂げている。
抗体は抗原と結合して抗原を不活性化、または消滅さ
せる。免疫反応の基礎はクローン選択仮説の5つの主
な仮定によって簡素に述べられる。
1.それぞれの B リンパ球(B 細胞)は、一種類だけ
の抗体を作る。その形は、ある抗原の一つの形に
だけ特異的である。
2.それぞれの B 細胞は、細胞内で作った抗体を、特
異性をもった側が外側面に向くようにして、細胞
膜に配置する。
3.抗原は(主にマクロファージによって)B 細胞膜
上の抗体に提示される。
4.これらの抗原と結合した B 細胞だけが、抗体を分
泌する形質細胞へと完全に発達することができる。
これらの B 細胞は繰り返し分裂し、広範囲の粗面
小胞体をつくり、莫大な数の抗体分子を合成し、
血流中に分泌する。
5.形質細胞によって作り出された抗体の特異性は、
B 細胞上にあったものと正確に同じである。
例:プルテウス幼生
食物の不足
繊毛が長く伸び、食物摂取
能力が上昇する
これらの表現型の可塑性 phenotypic plasticity には二
律背反 trade-off が生じる危険性がある。カエルの例では、
肉食性のオタマジャクシは厳しい環境下で生き残ること
ができるが、その成体は比較的小さくなる。プルテウス幼
生では繊毛が長いと、プルテウスの期間が長くなってしま
うというデメリットが生じる。
Predator−Induced Defenses
摂食者誘導性防御
厳しい環境に対処するためサバイバル戦略の一つとして、
ある動物では、特定の天敵に出会ったときに新しい機構
を発達させる能力を進化させた。
捕食者誘導性防御
predator-induced defense
predator-induced polyphenism
Sidelight & speculations
Genetic Assimilation 遺伝学的同化
外的誘発因子から内的誘発因子への移行によって
環境によって誘発された特徴は生物遺伝子の一部
となる
・Waddington
遺伝学的同化 genetic assimilation
・Schmalhausen
安定性淘汰 stabilizing selection
・Lamarckian
獲得形質遺伝 inheritance of aquired characteristic
天敵の放つ化学物質によって、胚や幼体がその天
敵からうまく逃げることができるように変化すること
カイロモン(kairomones)
捕食者が放ち、餌食の防御機構を誘発する化学物質
4
Chapter21
Environmental regulation of animal development
D01A029J
松本
力
・電気的インパルスが網膜から哺乳類の脳へと通る通路
例:C.H.Waddington と I.I.Schmalhausen による、ダチ
ョウのカルス板(皮膚硬結)についての研究
カルス・・・地面や表面の摩擦に対する皮膚
の増殖反応で形成された皮膚。
ダチョウは、先天的に地
面に触れる可能性のあると
ころの皮膚にカルスを持っ
て生まれてくる。
環境誘発性の
表現型が遺伝
子型へと組み
込まれたと考
えられる
網膜神経
両側の外側膝状体核
脳の視覚皮質
遺伝学的同化は、進化による変化に勢いをつける
のに重要な役割を果たす。
視放線
両眼の映像と奥行きの知覚
Learnig : An Environmentally Adaptive
Nervous System
習得:環境的適応性神経系
新たな経験が、新しい神経細胞の形成、あるいは既存の神
経細胞間での新しいシナプスの形成を引き起こし、もともと
の神経連絡を変化させる。
Environmental Disruption Of Normal
Development
通常発生の環境による妨害
例:シマフィンチ
発達中の生物は環境の影響を受けやすい。同時に、これは
生物が発達の中断を促す環境変化の影響も受けやすいこ
とを意味する。先天的異常や流産の原因は内的要因と外的
要因の両方による。外的要因(ある化学物質やウイルス、放
射性物質、高熱)による異常は破壊(disruption)と呼ばれる。
これらの破壊の要因となるものを催奇形物質と呼ぶ。ほとん
どの催奇形物質は、ある重要な発生期間だけにその影響を
発揮する。
モデル鳴声を記憶
習得過程で新しい神経が脳の特定領域(声に関
する筋肉をコントロールできる原始的線条)に発達
未発達な若いオスフィンチに限り、年をとりすぎたフィ
ンチや、若いメスフィンチには見られない。
Teratogenic Agents
催奇性物質
EXPERIENTAL CHANGES IN INHERENT MAMMAL
IAN VISION PATHWAY
哺乳類の先天的視覚回路における経験による変化
異なる生物では催奇形の要因も異なる。催奇形要因で最
も多い部類は薬や化学物質である。催奇性物質には、次
のようなものがある。
神経の発達は、全て遺伝子によるものではなく一部は経験
による。
例
高山性植物の一種
例:Hubel と Wiesel の新生仔猫の右目蓋を縫い閉じる実
験
新生児猫の右目蓋
を縫い閉じ、3ヶ月
間放置。その後、右
目蓋を開いた。
光刺激による皮質細
胞への信号は、ほと
んど全て左眼から来
る。
生後4∼6週間に右側膝状体神経と左側膝状体神経
の間に競争が起こり、左側膝状体神経核から視覚皮
質への連結が安定化するため。
5
妊娠した羊が摂取すると、そ
の新生児は単眼症を引き起
こす。
ニコチン・カフェイン
先天性異常は無いが、比較
的小さい新生児が生まれる。
農薬・有機水銀
神経異常、行動障害が生じ
る。
処方薬
癲癇薬であるパルブロ酸によ
る骨の奇形
Chapter21
Environmental regulation of animal development
・Retinoic acid as teratogen
松本
力
・Other teratogenic agents
他の催奇性物質
上記以外にも、詳細なメカニズムは解明されていないが催
奇性要因とされているものがある。
催奇性物質としてのレチノイン酸
レチノイン酸は、哺乳類の胚の前後軸、四肢を形成する
のに重要であるが、多量に存在すると催奇性物質となる。
CHEMICALS 化学物質
高濃度の鉛、水銀、亜鉛などが飲み水、野菜、空気中に存
在する地域では先天性異常の発生が約2倍もある。
ビタミン A と13−cis−レチノイン酸
発生中の胚の中
活性レチノイン酸である trans-レチノイン酸と
9−cis―レチノイン酸へと変化
PATHOGENS AS TERATOGENIC AGENT 病原体
1963∼1965年の風疹の流行で、アメリカではおそらく20,
000の胎児が死に、30,000の新生児が先天性異常を持
って生まれた。
例
盲目、難聴、
ウイルス サイトメガロウイルス
小児性麻痺、
単純ヘルペス
精神遅滞
脳や目の異常
バクテリア 原虫の一種
原生生物 Treponema gondii
初期胎児の死
梅毒の原因菌
先天性難聴
Treponema pallidum
レチノイン酸受容体(retinoic acid receptors : RARs)
と結合
Hox 遺伝子の表現の変化
前後軸の一部が変化し神経管の頭蓋領
域からの神経堤の体内移動を抑制
IONIZING RADIATION 電離放射線
電離放射線は染色体を破壊し、DNA の構造を変化させる。
たとえ診断のための放射線による先天性異常が起こる証
拠がなくとも、妊娠している女性は X 線を避けたほうがよ
い。
耳の欠損、顎の欠損・縮小、口蓋裂、大動脈
弓の異常、胸腺の欠如、中枢神経系の異常
・Alcohol as a teratogen
Sidelight & Speculations
Endocrine Disruptors 内分泌撹乱因子
催奇性物質としてのアルコール
アルコールを飲む母親の子供に、先天的欠陥の症状が
見られる。この先天的欠如のことを胎児アルコール症候群
(fetal alcohol syndorome : FAS)と呼び、発育不全,頭部・
顔面奇形,四肢欠損などが特徴であり、しばしば後に知
能発育不全が出現する。
内分泌撹乱物質(一般的に環境ホルモンと呼ばれてい
ると思われる)は、普通のホルモンの機能を阻害する外
来性の化学物であり、次のような方法で阻害する。
1・受容体に結合することによって正常のホルモンの機能
をまねる。
2・ホルモンが受容体へ結合するのを阻害し、また、ホル
モンの合成を阻害する。
3・ホルモンの体内輸送や体内からの排除を妨げる。
FAS の誘発機構
神経堤の移動が、著しく損なわれる
・Environmental Estrogens 環境エストロゲン
DDT、DDE などの農薬やプラスチック安定剤のエストロ
ゲン様効果による、オスのメス化
細胞接着分子 L1 の能力である細胞間接着を妨げる
神経細胞のアポトーシスを引き起こす
機構
D01A029J
・
過酸化物を持つ官能基
を生み出し、細胞膜を
酸化し細胞融解を誘発
・
GABA 受容体の活性化
や、同時にグルタミン酸
塩受容体の抑制
例:DDE,DDT・・・農薬として 1972 年まで広く使用。
エストロゲンの模倣、アンドロゲン
の機能抑制でエストロゲンのように
振舞う。半減期は約 100 年
・
・
・
・
未発達な前脳、前頭鼻
突起、脳神経節からの
何百万という神経細胞
の消滅
フロリダワニの個体数減少
スペリオル湖の魚のメス化
乳癌の増加
世界的なヒト精子の減少
例:ダイオキシン ・・・農薬や紙を製作工程の
副産物
ラット・オス胎児
・ 精子数が減少
・ 睾丸が縮小
・ オス特有の性行動が少なくなる
6
Chapter21
Environmental regulation of animal development
カワウソ、アザラシ、
ミンク、魚の生殖能
力の衰退をもたらす
ジエチルスチルベ
ストロール(DES)
類似の PCBs
エストロゲンレセプタ
ー の他の部位に結
合することによって、
エストロゲン受容体
に影響をあたえる
2.発生の適応性は、周囲環境が同じ遺伝子型から異な
る表現型を誘発させるのを可能にしている。
3.いくつかの種は、同遺伝子型からはっきりと異なっ
た表現型を異環境合図によって誘発されるポリフェ
ニズムを示す。
4.環境中で発見される物質(催奇性物質)は、通常の
発生を妨げることができる。催奇性物質は自然に発
生する物質と合成される物質がある。
・ Deformed
Frogs : Pesticides Mimicking
Retinoic Acid?
農薬のレチノイン酸様効果による奇形のカエル?
JH に似ている殺虫剤メトプレンが日光に曝されると、メ
トプレンは崩壊しレチノイン酸に似た物質が産生される
と考えられている。そのために、アメリカ・カナダでは原
生林中の池で、奇形のカエル・イモリが増加している可
能性がある。
・ Chains of Causation 原因の関連性
法律的にも、科学的にも、原因の関連性を確立するの
は難しいことであり、必要なことでもある。
だが、ヒトへの影響を確立するのが最も難しい。
人類には多くの遺伝子型がある
異なる時に摂取した異なる化合
物の混合体に曝されている
動物実験から得られた証拠により、目下、人間と野
生動物はこれらのホルモン調節因子の危険にさらさ
れていることが推測できるが、まだまだ必要なデータ
は十分でない
Genetic-Environmental
Interaction
遺伝子と環境の相互関係
その化合物が催奇性であるかないかは、その物質にさらさ
れた個々の遺伝子など様々なことに依存している。催奇性
因子の血統による影響の差異は、催奇性因子に反応性の
または、無反応な遺伝子構成要素の存在を強く示唆してい
る。
例:ヘビースモカーな母親の胎児
TGF- β に対す る
対立遺伝子(A2)
を持っている胎児
力
1.環境は様々な方法で発達に影響を与えることができる。
発生は時々、生物が予期し環境中に見つけることがで
きる通常の周囲状況から合図を受ける。
・ Environmental Thyroid Hormone Disruptors
甲状腺ホルモン撹乱因子
ある種の PCBsの構造は甲状腺ホルモンと似ている。
このためPCBs は甲状腺ホルモン輸送タンパクと競合
阻害を起こしてしまう。
・
・
松本
まとめ
例: ポリ塩素化 ・・・1970 年代に禁止されるまで冷
ビフェニル
却剤として広く使用されていた
(PCBs)
一部の PCBsは、
ステロイド受容体に
結合する
D01A029J
口蓋裂などを引き起こす可
能性が10倍になる
7
Fly UP