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はじめに - The Japan Times BOOKCLUB

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はじめに - The Japan Times BOOKCLUB
はじめに
現在私が教鞭を執っている大学の新学部では、 2 学年から 3 学年への進級要件として
TOEICスコア600点を設けています。しかし、この要件をクリアし、めでたく 3 年生
となった学生が、なんなく700点を突破するかというと、案外そうでもありません。
600点台でスコアが止まってしまう学生と順調に700点を突破する学生との違いはど
こにあるのでしょうか。
600点を突破するには、それなりの勉強をしてきたはずです。日ごろから英語を聞
いて速い英語に耳を慣らし、単語も一生懸命に覚えてきたはずです。テストに出そうな
文法項目も曲がりなりにも勉強したに違いありません。それなのにどうして700点に
到達しないのでしょうか。
その理由は「継続」です。700点に到達する学生は継続的に勉強しています。しか
し、600点台でストップしてしまう学生はそうではありません。しばらくの間、英語
の勉強から離れていたり、真剣に勉強を始めたとしても、それは試験前の2、3週間前
だったりするのです。これでは700点は突破できません。
それでは、ただ継続的に勉強をしさえすればいいのかというと、そうではありませ
ん。マンネリ化した勉強の継続では進歩は望めません。勉強には常に「工夫」が必要で
す。600点を突破したときのような勉強方法の焼き直しではだめなのです。これが
「700点の壁」です。
リスニングにおいては、英語を聞く量を圧倒的に多くする必要があります。文法は、
出そうな項目だけをつまみ食いしているようではだめで、体系的に理解しなければなり
ません。そして、スコアを700点に引き上げる最大の要因はリーディングのスピード
です。600点台の学生と700点台の学生に英文を読ませると、その速さに格段の差が
出ます。音読であれ、黙読であれ、常に速く読む練習をすることが700点突破への道
なのです。
本書は、リスニング、リーディングとも「スピード」を意識した構成になっていま
す。聞いたこと、読んだことを瞬時に理解し、それを次の行動に反映させるのが、使え
るコミュニケーション能力です。そうした汎用性のある力をつけるために、小手先の解
法ではなく、基礎知識の充実と正確な理解力の習得に焦点を合わせた内容に仕上げまし
た。これが理解と反応のスピードにつながり、結果として700点を取得することがで
きるのです。
みなさんが本書を十分に活用され、一日も早く700点を突破されることを心から願
っております。
2007年10月
白野 伊津夫 *本書は『600点をめざすTOEIC®テスト』(1999年、
ジャパンタイムズ刊)を大幅に加筆修正し
たものです。
iii
目次
C. 言い換え表現
はじめに iii
本書の使い方 vi
ナチュラルスピードのリスニング
① 次々に理解していく………………2
A. 主部と述部を聞き取る/B. さまざまな構文を聞き取る
② 分速180ワードに対処する………………12
A. 会話文/B. 説明文
Part 1 写真描写問題
① 状態を表現する………………16
A. 形容詞で表現する/B. 動詞の過去分詞形で表現する/C. 副詞で表現する/
D. 前置詞句などの句で表現する
② 動作………………22
A. 意外に知らない仕事でよく使われる動詞/B. 意外に知らない日常生活でよく
使われる動詞
③ 複数の要素を聞きわける………………28
A. 位置と状態/B. 位置と動作/C. 人物描写と位置と動作/D. 動作と動作
Part 2 応答問題
① 自然な応答………………32
A. 問いかけからわかること/B. 問いかけに対して想定される応答のパターン
② 多種多様な応答文………………40
A. 省略形の応答文/B. 一般疑問文に対してYesやNoを用いない応答文/C.
Whyの質問に対してBecauseで答えない応答文/D. 平叙文に対する応答
Part 3 会話問題
① 設問から聞くポイントを決める………………48
A. 疑問詞と動詞を中心に判断する/B. 質問文全文から判断する/C. 質問文と
選択肢から判断する
② 会話全体から意図をつかむ………………66
Part 4 説明文問題
① 聞き手を特定している説明文………………86
A. 公共アナウンス/B. 団体・個人への情報提供
② 聞き手を特定しない説明文………………100
A. 単一の情報/B. 複数の情報
スピードリーディング
① 次々に理解していく………………110
A. まとまりごとに理解する/B. 自分でフレーズを切る
② 早く情報を見つける………………116
A. スピードリーディングのための必須構文/B. 同義語・反意語を見つける/
C. 出だしから内容を判断する/D. テーマを意識した速読練習
Part 5 短文穴埋め問題
① 使える語彙を増やす………………134
A. 接頭辞/B. 接尾辞/C. よく使われる単語の組み合わせ
② 間違えやすい文法項目を再確認する………………150
A. 名詞と冠詞/B. 代名詞/C. 形容詞と副詞/D. 動詞/E. 助動詞/F. 不定詞/
G. 分詞と動名詞/H. 仮定法/I. 接続詞
Part 6 長文穴埋め問題
① 意味と語法………………182
A. 単語と単語の結びつき/B. 紛らわしい語句
② 文法………………188
A. 時制で判断する/B. 用法から判断する/C. 構文で判断する
Part 7 読解問題
① どこにどんな情報があるかを知る………………200
A. メモ/B. 手紙文/C. 説明文/D. 広告/E. 記事
② 情報を検索する………………222
A. メモ/B. 手紙文/C. 説明文/D. 広告/E. 記事
A. 何が話題になっているか/B. だれとだれが話しているか/C. 今後はどうい
った展開になるか
EXERCISEの解答と解説………………243
③ 細かい部分に気をつける………………76
A. 複数の数字や固有名詞を聞きわける/B. 話が途中で変わることに対処する/
iv
カバーデザイン ◆ 清水裕久(Pesco Paint)
本文レイアウト・DTP ◆ 朝日メディアインターナショナル
v
1 次々に理解していく
服はそのバスケットの中に入れなければならない)
◆ The items to be auctioned are displayed on the front table.(競
英文の要は動詞ですが、文が複雑になるにつれ、どれが動詞なのかがすぐには
判断できない場合があります。ここでは英文の構造をもう一度見直し、動詞を正
確にとらえることで英語の語順のまま理解していく練習をしましょう。
A.主部と述部を聞き取る
◆ The ways to balance the budget were discussed at the meet-
ing.(会議では予算を調整する方法が検討された)
track 05
⒟ 現在分詞が主語を修飾する
◆ An old lady sitting on the park bench is feeding pigeons.(公園
のベンチに腰掛けている老女はハトに餌をやっている)
◆ People waiting in line burst into the stadium.(列になって待ってい
た人がスタジアムの中になだれ込んだ)
01
① 主語のすぐ後に述語動詞が続く場合 ◆ The package arrived this morning.(小包は今日の朝、届いた)
◆ The boss signed the document after careful consideration.(社
track
長はよく考えた上で書類に署名した)
◆ The secretary answered the phone as soon as it began to ring.
◆
A crowd gathering in front of the clinic blocked the traffic.(診
療所の前に集まった群衆は交通のじゃまになった)
track 06
⒠ 過去分詞が主語を修飾する
◆ The dresses made of silk were displayed in the showcase.(絹
◆ The sign put on the door reads “Staff Only.”(ドアにかけられた表示
には『関係者以外お断り』と書かれている)
◆
Part 2
応答問題
でできた洋服がショーケースに展示されていた)
(秘書は電話が鳴り始めるとすぐに受話器を取った)
② 主語と述語が離れる場合
track 02
⒜ 副詞が入る ◆ He always wanted to be a CEO.(彼はいつも最高経営責任者になりたい
Part 1
写真描写問題
主語と動詞の間にある語句の性質を瞬時に判断する
動詞の意味を把握し、その後の語句との関連を理解する
ポイント
売にかけられる品物は前のテーブルに陳列されている)
ナチュラルスピード
のリスニング
1 次々に理解していく
A story written by a 10-year-old girl won the grand prize in the
contest.(10歳の女の子が書いた話がコンテストで最優秀賞をとった)
と思っていた)
◆
The salesman often visits New York on business.(そのセールスマ
The guest thoroughly enjoyed the musical this evening.(客は今
York.(ロンドンで知り合った男の人が私に会いにニューヨークの事務所まで来た)
◆ A very precious wine which came from France was served at
晩のミュージカルを心ゆくまで楽しんだ)
⒝ 形容詞句が主語を修飾する ◆ A man with a cap is mowing the lawn.(帽子をかぶった男は芝を刈って
track
03
◆
Part 3
会話問題
ンは仕事でよくニューヨークを訪れる)
◆
track 07
⒡ 関係代名詞が主語を修飾する
◆ The man whom I met in London visited me at my office in New
the party.(フランスから輸入されたとても貴重なワインがパーティーで出された)
The man who stole the jewels from the department store was
arrested by the police.(デパートで宝石を盗んだ男が警察に逮捕された)
いる)
A poster in the window shows the price of a sports car.(窓に貼
られたポスターにはスポーツカーの値段が書かれている)
◆ A dog on a leash is waiting for the traffic light to change with
his keeper.(ひもにつながれた犬は飼い主と共に信号を待っている)
track 08
⒢ 関係副詞が主語を修飾する
◆ The place where we are going to have a press conference has
not been decided yet.(記者会見を開く場所はまだ決まっていない)
◆ The way how he became a billionaire is described in the book.
(彼が億万長者になった方法がその本に書かれている)
⒞ 不定詞が主語を修飾する ◆ The clothes to be cleaned should be put in the basket.(洗濯する
track
2
04
◆
The date when the companies announce the merger is set on
July 10th.(両社の合併を発表する日は7月10日に設定されている)
3
Part 4
説明文問題
◆
track 14
③ 省略、挿入、倒置
⒜ 主語の省略(主語が共通する場合、2度目以降が省略されます)
◆ He closed the door and locked it.(彼はドアを閉め、鍵をかけた)
⒝ 動詞の省略(動詞が共通する場合、2度目以降が省略されます)
◆ Jenny works in the morning and Tom at night.(ジェニーは朝働き、
トムは夜働く)
⒞ 挿入(慣用句が挿入されます)
◆ Ralph is, as far as I know, a very diligent worker.(私の知りうるか
ぎりでは、ラルフはとても勤勉な社員だ)
⒟ 挿入(do you think/supposeが挿入され、その後は平叙文の語順に変わ
ります)
◆
What do you think I bought through a mail-order catalog?(私が
通販カタログで何を買ったと思いますか)
⒠ 倒置(強調される語が文頭に来ることで、be動詞や助動詞に相当する語
句が主語の前に出ます)
◆ Never did I expect to see her there.(そこで彼女を見かけるとは思いも
よらなかった)
等間隔で現れる「強」のリズム
英語は音の強弱がはっきりした言語で、強く読まれる音節によって英語独特のリズム
が作り出されます。強勢のある音節は時間的にほぼ同じ間隔で現れ、強勢のない音節は
弱くしかも速く読まれます。
英語では強勢のある箇所に重要語が、強勢のない箇所にあまり重要でない語が来ま
す。ですから英語のリズムに合わせて強勢のある箇所の意味を取るようにすれば、内容
が自然と把握できるようになります。強勢のない部分は弱形の発音で読まれたり、音が
脱落したりします。こうした音の特徴を把握しておけば、弱くまた速く読まれる部分も
うまく聞き取れるようになるでしょう。
track
① Work hard.
●
⑨ Put i t in the box.
●
●
② Put i t down.
●
●
③ I bought it.
15
●
(A) told
(B) placed
●
(C) exited
A
B
C
2. Tomの行動を選んでください。
(A) waits
(B) looks after
(B) has recognized
(C) drives
A
B
C
(C) has assembled
A
B
C
(B) noticed
(C) gathered
A
B
C
(C) picture
A
B
C
⑬ Carry i t i f you want.
●
⑭ It s time to take a break.
●
⑦ He put i t on.
●
●
⑮ I wanted to meet her again.
●
●
⑧ He told me to go.
●
●
●
⑥ I gave i t to him.
●
4. “I”(私)のしたことを表す動詞と同じ意味の語を選んでください。
(A) supposed
●
●
3. 述語動詞と同じ意味の語を選んでください。
(A) has become
●
⑤ Send me a fax.
1. 2つめの述語動詞の意味に最も近い語を選んでください。
●
⑫ She wanted me to write about it.
●
CDに録音されている英文を聞いて、それぞれの問いに答えてください。
●
⑪ He wanted to write to her.
④ I spoke to her.
track
●
⑩ I wrote a letter.
●
●
EXERCISE 4
16
●
●
●
⑯ I spoke to her the day before she left.
●
●
●
5. そこにあったものを選んでください。
(A) cameraman
(B) lady
(答えは246ページ)
700点
突破語彙
10
□ as far as ... …する範囲内では □ diligent 勤勉な □ mail order 通信販売
(mail-orderは形容詞)
11
1 どこにどんな情報があるかを知る
Part 7ではまとまった英文を読んで、どのくらい内容を理解できるかが試さ
れます。英文の長さに圧倒されてつい忘れがちですが、それぞれの文章は各々理
由があって書かれています。このことを念頭に置いて読み進めることで、話の展
開を把握するといいでしょう。ここでは、代表的な種類の文章を題材に、どこに
どんな情報があるかを見ていきます。これにより、英文の構造が明らかになりま
す。
ポイント
宛先、差出人、件名から概要をつかむ
どのような行動を求められているかに注目する
April 15ⓘ
From:
Dale Thomas, Director of Information Technology, Raeburn
Corp.ⓐ
To:
All support staffⓑ
Subject: Office training for new operating system and softwareⓒ
201
解答と解説
200
[質問文例]
1. Why is this meeting being conducted?(なぜこのミーティングが行われる
ことになるのですか)
[答えがわかる情報]ⓓ
2. Who needs to attend this meeting?(このミーティングに出席する必要があ
るのはだれですか)
[答えがわかる情報]ⓖ
3. What will happen during the meeting?(ミーティングでは何が行われるので
すか)
[答えがわかる情報]ⓔ
4. What should attendees do before the meeting?(参加者は事前に何をすべき
ですか)
[答えがわかる情報]ⓕ
5. When did the problems that caused the meeting begin?(このミーティング
を行う発端となった問題はいつ始まったのですか)
[答えがわかる情報]ⓓ
Part 7
読解問題
Several staff members have e-mailed me regarding difficulty adjusting to the new operating system and software.ⓓ As a result, on Friday, April 20,ⓙ our software specialist, Kevin Davis,ⓗ will be giving
a two hour hands-on training session on the new operating system
and accompanying software.ⓔ The training will be held from 2 p.m.
to 4 p.m.ⓚ in the tech lab. Everyone will have an individual station to
work from. Please bring a list of questions and problemsⓕ that you
have been experiencing since the new system was installed last
week so that Kevin can directly respond to these and make your
work day more productive. This is a mandatory meeting.ⓖ
Part 6
長文穴埋め問題
Memorandum
① 基本情報
◆ 差出人
ⓐ=部長
◆ 宛先
ⓑ=全社員
◆ 用件
ⓒ=研修
② 現状
ⓓ=新しいシステムについていけない社員がいる
③ 今後の行動
ⓔ=研修が行われる
ⓕ=社員は質問を用意する必要がある
ⓖ=全員に参加義務がある
④ 関係者
ⓗ=Kevin Davis が研修を担当する
⑤ 数字
ⓘ=このメモが書かれた日にち
ⓙ=研修の日にち
ⓚ=研修の時間帯
Part 5
短文穴埋め問題
A.メモ
スピードリーディング
1 どこにどんな情報があるかを知る
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