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たかが川柳されど川柳︵三︶

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たかが川柳されど川柳︵三︶
<たかが川柳されど川柳(3)>
<エ ッセイ>
エッセイ
たかが川柳されど川柳︵三︶
上野
一彦
静かではない。ルンバは自動ロボットなので、誰もいない
ときに働いてもらえばよい。週に二回、家人の留守の時刻
ト を だ い ぶ 前 に 発 売 し た 。 購 入 し た 人 々 の 話 を 聞 く と、
ー、米国のアイロボット社が﹁ルンバ﹂なるお掃除ロボッ
地雷の除去などに使用する軍事用ロボットの開発メーカ
い。わが家のビデオ装置など、無駄な録画を何度か繰り返
ある。タイマーのセットひとつにしても決して容易ではな
にくくなると同時に、機器のほうからも敬遠されるようで
者にとってどうも扱いにくい。こちら自身が周りから扱い
ソウタ君の活躍
評判はすこぶるよろしい。そこでわが家でも、掃除が完了
した後、今や再生専用でしか使わない、いや使えない。
に作動するようなんとか設定した。最近の電子機器は高齢
すると自ら充電コーナに帰還するタイプのものを、少々値
一般の掃除機同様、TVを視聴しながら運転できるほど
政婦さんがわが家に派遣されたなら、きっとこうなるであ
も多少ある︵この話 、家内には絶対内緒である︶。月曜日
運転音もさることながら、家具にぶつかった時の衝撃音
と木曜日、家の者が出かけた時刻に勝手に作動し、帰宅す
ろうかと想像するに難くない嫉妬の空気を感じる。相手は
は張ったが家内に相談せず購入した。
ると結構なゴミを抱えて、何事もなかったように鎮座まし
だからこそというわけでもないが、私のソウタ贔屓は
ロボット、それも円盤状の男の子なのですよ。
のだが、それでもちゃんと動き出すかどうか、出かける時
ますます高じる。何回かに一回、部屋の片付けが悪いと、
ます。サボってないことは吸い込んだゴミの量で明らかな
刻を遅らせ、そっと柱の陰から見守ることもある。ここで
たままのストッキングを巻き込んで悶絶して家路に帰り着
携帯電話の充電コードとか、寝間着のヒモとか、ぬぎすて
﹃ルンバON 猫と夫が後を追う﹄
けないでいる。また、狭いマンションなのに隣の部屋に入
一句。
こうした商品名の使用は、社会通念としてどの程度一般
私は知らない﹂となれば、その時点でドボンである。ダン
片付けといてと頼んだのに・・・。
で腹ペコのまま気絶していることもある。だからちゃんと
化しているかによるが、ギリギリである。﹁﹃ルンバ﹄なぞ、 り込み、器用にドアを押し閉め、帰還かなわず部屋の片隅
スのルンバ と勘違いし 、﹁面白い家庭の情景﹂などの評は
の役割を果たす。あまりの律義さ、素直さに、可愛さ余り
騒音はまき散らすものの、文句ひとつ言わず、黙々と自分
それはそうと、このルンバ、実に健気な働き者である。
悪くないんだよ、ぼくだけは君をちゃんと理解しているか
ウタの不始 末は私の不始末、こっぴどく叱られた。﹁君は
タイマーをいろいろ触りまくったせいらしい。それでもソ
覚ますという事件が起きた。一歳の孫が遊びに来ていて、
先日、真夜中に突然働き出し、家中びっくりして目を
早々 に名前 を付 け、家族の一員に加えた。命名は ﹁掃太
らね﹂とそうっとソウタのタイマーをセットし直しながら
誠に片腹痛い。
︵ソウタ︶﹂である。
家内に告げる 。﹁なんて無口で働き者なんだろう﹂と当て
絆で結ばれつつある。そのうち、掃除の感想をレポートす
こうして留守番役の多いぼくとソウタはますます固い
なぐさめ励ました。
こすり気味にほめ過ぎたせいか、家内のソウタに対する態
る 装 置 を つ け る こ と を メ ー カ ー に 提 案 し た い 。 例 え ば、
﹁今 日 はソウ タ 君が活 躍 する日 だ からよろ しくね﹂ と
度はいささか冷たく、まるで働きものの、しかも美人の家
- 26 - 27 -
<たかが川柳されど川柳(3)>
<エ ッセイ>
でも、 それ が実現 しようも のなら、ソウタとぼくは家の
か 、﹁部屋の整理整頓が下手なようです﹂とか・・・。
﹁ もっと衣類の始 末をちゃんとしておいてください 。﹂と
日本でも、谷中、青山、多摩とハカマイラーの友人と
八 〇 と) ﹁ 第 二 の 性 ﹂ の 著 者 シモ ー ヌ ・ ド ・ ボ ーヴ ォワ ー
ル︵ 一 九 〇八 ∼ 一 九八 六 ︶ の墓 で あ っ た。
し て 知 ら れ る ジ ャ ン ・ ポ ー ル ・ サ ル ト ル 一( 九 〇五 ∼一 九
今日、私が会いたいのは世界的に高名な哲学者カップ
と 共に 記 憶 にあ る ︶ など 多 く の有 名 人 が 眠る 。
ら聞かされた﹁ドレフュース事件﹂は未だに悪魔島の名
れた軍 人 ドレフュース︵中学の英語 の時間に 、A先生か
に私の大好きな彫刻家ザッキン、ユダヤ人ゆえに迫害さ
﹁女の 一 生﹂の作家モーパ ッサン、 ジャコメッティと共
﹁ エドガ ー・キネ﹂で下車した。モンパルナス墓地に は
散策を 積ん できた 私は、二 人の墓に 詣でるべく、メトロ
外に 放り 出され、締め出されることにきっとなること で
しょ う 。
ぼ く のフ ラ ン ス旅 行
昨 年秋 より、娘夫婦が婿さんの仕事の関係 でフラン ス
に居 住し ている。まだ一歳にならな い孫の顔 を見ると い
う 名目で 、 暮れか ら正月、パリ郊外のイベットという鄙
ュリー 美術 館を日 々堪能し 、昼のシ ャンゼリゼのみなら
都の お決 まりのコース、ルーブル、オルセー、オラン ジ
パリまでは小一時間、おのぼりさんよろしく、芸術の
ル の名を 怪しげな発音で尋ねれば﹁すぐわかるよ﹂の 仕
入り口 で地 図がも らえると 聞いてき たが、守衛にサルト
ト ナー で あ った ボ ー ヴ ォワ ー ル 女史 、 お 二人 の墓 であ る 。
人︵この表現はあ まりふさわしくない ︶、いや生涯のパー
ルで あり 、契約結婚の先駆者でもあるサルト ルとその 愛
ず 、 夜 の イ ル ミ ネ ー シ ョ ン の シ ャ ン ゼ リ ゼ も ぶ ら つ き、
草。日 本の 有名人の墓のよ うにボラ ンティアの案内人も
び た町 の ペ ンシ ョ ン で二 週 間 過 ごし た 。
四〇年 ぶり のエッフェル塔 、凱旋門 はもちろん、クリニ
いなければ、案内板があるわけでもない。それらしき場
所の墓 誌 を一つ一つ探して いると、 ありまし た、ありま
ャ ン クー ル の 蚤の 市 に も出 かけ た。
そう した 冬の パリ でも っと も心 に残っ たのは、 モンパ
した。
パリは一か月、いや一年いても、その季節、季節で表
情 を 変 え 、 飽 き る こ と の な い 街 だ ろ う 。 短 い 滞 在 だ が、
パ リ だ け で は と 、 お の ぼ り さ ん は お の ぼ り さ ん ら し く、
- 28 - 29 -
ルナス墓 地で、かの実存主義を世に広め、﹁知の巨人﹂と
墓の 上に はさ りげ なく 一輪 のけ しの花 とバラの 花、そ
して訪れた人がそっと置いたいくつかの小石。それが自
然で二人の愛にふ さわしい風情を醸し出している 。﹁至上
の愛ここにあり﹂しばしたたずみ、同じ場所に眠る二人
の 魂の 交 流 を感 じ つ つそ の 場 を後 に し た 。
私の夢は、茶道具の水差しを骨壺にし、家内と入る事
であ る。 先日、備前で格好のものを手に入れ 、家内の 了
解も得た 。 サルト ルとボー ヴォワールにあやかりたいわ
け で、 こ の 墓参 り は 感動 の 一 瞬で あ っ た 。
港町 オンフルール
サルトルとボーヴォワールの墓
<たかが川柳されど川柳(3)>
<エ ッセイ>
バ スでモ ン サンミ シェルまで足をのばした。途中、昼食
をと るた めに寄ったさびれた港町オンフール は光と水 に
あふ れ て いた 。
セ ーヌ川の 河口に有 るノルマ ンディー地方のこの古い
港町は 、ブ ータン 、モネな ど、印象 派の画家たちからも
愛 さ れ 、 多 く の 絵 が 残 され て いる と い う。 緯度 が 高い せ
いか空 も 高く、雲の形状に も味があ る。空気は澄みきっ
ており、下手な写真も一味違う。港に浮かぶ漁船は貝を
獲る船 ら しいが、まさに印象派格好 の舞台で あることを
彷 彿 とさ せ る 。
にわか旅人の感傷もあって、﹃こんなところに住んでみ
た い ﹄ な ど と い う 陳 腐な セ リフ がつ い 脳裏 を よぎ る 。 せ
めて ﹁生 まれ変わるならこの港のカモメがい いな﹂と つ
ぶやくと 、﹁あら、六義園の池のカメじゃなかったの﹂と、
落差のあるご指摘。
﹁ ふ らん す に 行き た し と思 へ ども ふ らん すは あまりに
遠し﹂ 朔太 郎のあの時代の 情緒は、 現代日本人には遠い
さ れ ど 川柳 ︵ 平成 二 六 年上 半 期 ︶
パリの街の上、雲は流れる。そんな情景をご紹介しよ
う。
たか が 川 柳
一月
友 が来 てぽ っか り 小 春日 和 で す
聞こえぬ 振りも二度三度、その上の工夫が三度四度。﹁ま
な シ チュ エー ショ ンを 感 じ 取る 鋭 敏 さは 増 し て きて お り 、
確か に耳 も遠く なったが 、聞こえないほうがよさそう
ま あ い いか 聞こ え ぬ 振り も 三 度四 度
縮。。
のです、なんて。新春早々ちょっといやらしい感じで恐
山がま ぶし かった。何でも チラリの ほうがありがたいも
高 尾山 に登った時、雲間からチラ リと姿を 現した富士
チ ラリ 見 え あ りが た さ 増す 富 士 の山
を 読み ま し た。
そんな 時間 、そこ だけが小 春日和の別世界。そんな情景
い が、 散 策 や語 ら い の友 人 は 誠 にあ り が たい 。 そ んな 日 、
ご時世 。﹁友、遠方より来る。また楽しからずや﹂ではな
増税 やら 、医療 介護費の 負担増やら、なにかと厳しい
凱旋門屋上からのパリ
たとぼけ て !﹂と お小言が ・・・聞こえぬ振りも五度六
度 かな 。
題詠 ﹁ 結 う﹂
- 30 - 31 -
想 念と な っ てし ま っ た こと を 実 感し た 。
﹃ 地球 は 狭 し見 上 げ る空 は 広 し﹄
夕暮れと飛行機雲
<たかが川柳されど川柳(3)>
言 葉遊 び と 叱ら れそ う だ が。 結 う は、 結 ぶ につ な が り 、
島 田結 い 契 り結 ん で 縛ら れ る
部 下を も っ て働 け た ら 幸せ で し ょう ね 。
薄 っすら 恋 心を伝 えるなんて言う妄想。こんなかわいい
(
理 屈よ り 気 合で い つ も妻 の勝 ち
)
結 ぶ は 縛 る に つ な が る と す れ ば 、 そ れ は 人 生 そ の も の。
つまらないサラ川風といわれそうだが。世の中のロジ
佳作
文金 高島 田を島田だけで略してよいものかどうか不安 を
分かっ ただ けでも 家内平穏 、大人な んです。でもカミさ
カル な運 びを大切にする御仁でも家庭は別。でもそれ が
神 様 も たま に 間 違う 縁結 び
ん だ けで な く 女っ て ・ ・・ 。
感じ つ つ 。
神様に も ミスが あるということ。とは言いながら、自
してい る わけです。人間のわがまま に付き合 う神様のほ
分の選球眼の悪さ、忍耐力の弱さをすべて神様のせいに
通販もある種の現実逃避かな。馬券や 宝くじは結果が
浅 き夢 通販 馬 券 宝く じ
出るまでのお楽しみ。つまり現実に目が覚めるまでが楽
しい ので す。ということは通販オタ クにも当 てはまるの
う こ そ大 変 で すね 。
銀 杏 結い 褌 締 める 異 邦 人
かな。
(
)
上 句﹁バイ キング﹂ とやった のですが。五〇歩一〇〇
食 べ放 題 欲 と美 容 の 板挟 み
きっ と 恋 愛力 な ん ても の も あり そ う な 気が し て 一句 。
ら は 睡 眠 力 と い う も の を 感 じ る 。 食 事 に し て も 然 り。
ど こででもすぐに寝られる人を見ると、歳をとってか
恋 す るも 食 べ るも 寝 る もみ な 力
題 詠 ﹁食 べ る ﹂
今 や三 横綱全員がモンゴル出身。その雄姿、日本人 よ
りも 日本 人らしい横綱ではあるにしても、相 撲は国技 と
佳作
なる と 、 いさ さ か 情け な い 気も し な い わけ で は ない 。
二月
恋 心義 理 に くる ん で そっ と 出 す
バ レ ン タ イ ン の 日 に 恋 人 に チ ョ コ レ ー ト を 贈 る 習 慣 は、
日本の チ ョコレート会社の 戦略だっ たそうだが。職場で
振り向けば同じ香りの別の女 ︵金賞︶
歩 。 食 べ 放 題 、 飲 み 放 題 は 、 若 い 頃 は う れ し か っ た が、
今は元 と ってないなーの実 感が先に 立つ。それゆえ、つ
即興のお題は﹁香り﹂
は 義 理 チ ョ コ の 横 行 。 で も そ ん な 義 理 チ ョ コ め か し て、
い つ い食 べ 過 ぎて し ま う自 己統 制 力 の無 さ 。
か たや無駄 食いと飽食。ラーメン何十杯も食う奴は適
一句。達昭氏を含め皆さんからも票をいただき金メダルの
と振り向けば、そこには別の人が。なんていう妄想からの
エレベータなどで昔馴染んだ香水の匂い。あっあの人だ
者生 存か ら言えば滅びの人種。かた や飢餓と 飢えに苦 し
光栄に浴した。
飽 食 と飢 餓 が 同居 の わ が地 球
み 、栄養 失 調の子 どもたちもいる地球。人類がかしこい
生 物な ら ば この 矛 盾 何と か な ら ない の 。
三月
わ れら 川 柳 同 人﹁ 多 年 草﹂ の 主 催者 岡 部 晃彦 氏 の 師 匠 、
に気づく。 春はどんな小さな庭にも等しく訪れる。﹁ベラ
桜は一斉に咲き、はじめてそこに桜の木があったこと
路地裏のちいさな庭に春が来た
つ まりわ れわれの師匠の師匠にあたる岡部達昭氏を国 分
ンダのプランターにも春届く﹂とどっちがよかったかなと
句 会 ︵国 分 寺 殿 ヶ谷 公 園 紅葉 亭 に て︶
寺殿 ヶ 谷 公園 紅 葉 亭 にお 招 き して 句 会 を催 し た 。雑 詠 は 、
思いつつ、川柳味は薄いが春を待つ気持ちを精一杯表して
二月
あらかじめ各自二句達昭氏にお送りし、当日選んでいた
みた。
探してたリモコンなぜか冷蔵庫
だいた 。 題詠は達昭氏も交 えての即 興の作句 による互選
と い う趣 向 で あっ た。
夜 中に 一度でも小用に起きる習慣あれば﹁不眠症﹂ と
家中捜し、最後にまさかと思って冷蔵庫を開けてみると、
さっきまで手元にあったTVのリモコンが見つからない。
最近、年がら年中何か探し物をしている。今日もまた、
のこ と。 それが数度となれば真正の不眠症。 気にする と
不思議にもそこで静かに眠っていた。我ながらあきれるや
不 眠 症永 眠 ま での ひ と 騒 ぎ ︵ 佳 作 ︶
なお眠り は 浅くな る。しか し、やがては圧倒的な永眠が
︵銀賞︶
ら情けないやら。
終の句の結びはやはりありがとう
控 えて お り 、不 眠 症 な ど生 き て いる 証 み たい なも の。
題詠﹁香り﹂
- 32 - 33 -
<エ ッセイ>
<たかが川柳されど川柳(3)>
四月
入学式
晴れ着の親子
大きなカバンが歩いてい
る。毎年の風物詩ですが、やや大きめの制服を着たあのや
何を読んでも、どう読んでも、やっぱり結びはあ・り・
が・と・う。辞世句なんて早いという気もするが作ってお
んちゃ坊主が今日はなぜか凛々しい。そんなほほえましい
情景を一句。
佳作
いてわるいことはない。ただただ感謝である。
題詠﹁環﹂
増税の寄りをうっちゃるママの腕
︵金賞︶
表裏みせぬあなたはメビウスね
八%
)
幣が軽 くな ってい る。福祉など掛け声ば かり。高 齢者に
それだけじゃない。あれもこれも。気がつくと貨
メビウスの環、不思議ですね。表がいつの間にか裏に。
単純で、割と分かりやすい自分に比べ、そんな人も存在し
いかとの思い。
銀メダル
そう。環というお題に、ふと思いついたのがメビウスの環。 とっての厳しい現実。なんとかこの閉塞感を吹き飛ばせな
環のなかで今日も私は走ってる
猫の手のベビーシッター鬼の手に
(
)
女性の社会進出の増大に伴い、追いつかぬ保育行政の貧
走り続けることが仕事なのかな。
ひともまた、そ の日その日を、繰り返し生きている 。﹁二
困さが待機児童やら非認可の施設やベビーシッターを生ん
籠のなかの二十日鼠
十日鼠と人間﹂スタインベックみたいだが、それが日常な
でいる。ママにとっては猫の子も借りたい状況。なかには
題詠﹁声﹂
質の悪い輩も存在。虐待などはまさに鬼の所業。
んですね。
人 間は瞬間 的に壊し てしまう。そ
環境を壊す人間返り討ち
悠久の時の 営みを
つぶやきが付け木となって炎上す︵佳作︶
コミュニケーションの
の愚かさを文明と呼ぶ。自然を破壊し、自然に報復される。
ライン
ツイッター
形態がおおきく変化してきている。不特定多数との交信も。
スカイプ
結局は、文明といいつつも自業自得の所業、まさに返り討
ちにふさわしいのではないか。
炎上はそうしたなかでの一現象。つぶやきが炎上するなら
つぶやきは燃料棒。ちょっと大げさなので付け木に。
都合よく声なき声は利用され
)
制服のやんちゃ坊主の様変わり
だんだ ん 耳も聞 こえ難く、理解も半可通。でも状況か
(
思いを 口 にしな くても、仄聞とか配慮のあるのが日本
らなんとなく返事をしている。相手にもそれを感じると
四月
の美徳だったのに。声高に叫ぶ人が増えるとともに、声
き、あ れ ・これ・それで通 用するコ ミュニケ ーションに
佳作
なき声 は 勝手に利用される ご時世。 沈黙は金 は為政者か
も 寛 容に な り ます 。
題詠 ﹁ 捨 て る ﹂
ら の 讃辞 、 そ れこ そ惨 事 に つな が る 。
名 声 も棺 桶 ま での お つ き あい
捨 て る よ り別 れ 上 手は 捨 て られ る︵ 佳 作︶
が 女性 か ら の 票は い た だけ ま せ ん。
す べて 捨 て 生 まれ た ま まで グ ッ ド・ バ イ
佳作
が、モ テモ テ男を 見ていて 、ついこの句が浮かびました
解決 して いきます。必ずしも自分のことでは ありませ ん
す。でも 捨 てられ るのは、当初辛くても、時間が見事に
わか る人 にはわ かります ね。捨て れば心に傷が残りま
浮世の 毀誉褒貶 。﹁歳とると勲章欲しがる馬鹿もいる﹂
︵銅賞︶
ご時 世。 名声なんていうものも所詮はかない ものだと い
うこ と を 何と か 句 にし た く て。
五月
ゴ ーグ ルに マ ス クも ほ し い鯉 の ぼ り
花粉症 、空気汚 染、文明の進歩は人間の生活環境を大
(
)
結 局は そういうこと。とは言いな がら最後 の最後ま で
執 着 を捨 て た らあ な た 死ん で ま す
きく変化させている。薫風のなか、悠々と大空を泳ぐ鯉
枯 れ過 ぎ て 焼け ぼ っ くい に火 はつ かず
グ ッド ・バイの句はきれいすぎ。本音は生 きて、生 き
執着は わ が心を去りません 。執着は 終着まで のエネルギ
す っ か り 安全 パ イ 。昔 は こ うじ ゃ な かっ た と 思 いつ つ 、
て、 生き 抜くのです。まさに執着は 終着まで のエネル ギ
でさえ 、 この汚染に息も絶 え絶えと いった句 想からのゴ
身体 が利 かなけりゃ好々爺への道をひた走る 。同窓会 も
ー そ のも のな の で す。 こ っ ちの 方 が 人間 臭 い で すね 。
ー と いう わ け です 。 太 宰風 にグ ッ ド ・バ イ と つぶ や く 私 。
敬老会。 ま あそれ でいいの かもしれません。実は本番で
六月
ー グ ルと マ ス ク着 用。
焼 けぼ っ く いを 松 ぼ っ くり と ミ スし ま し た。 お粗 末。
呆け た の かあ の う なず き と 生 返事
- 34 - 35 -
(
<エ ッセイ>
<たかが川柳されど川柳(3)>
この歌はあの想い出の栞です
)
お いし ん ぼ 思わ ぬ と こで 食 あ た り 和
好きな歌には必ず自分の歴史がからみます。あの歌を聞
(
いろい ろな知識を教えてもらった﹁美味し んぼ ﹂、放射
く と あ の 頃 の 思 い 出 が 蘇 り ま す 。 胸 が 少 し 痛 く な っ て、
)
能の影 響を めぐっ ての論争 、休載。作者のまじめな取り
そっと隣りの妻を見る。ああ俺も若かったなー。
(
組み 姿勢 が理解されなかったんですね。それだけ現地 の
晃彦師匠から額縁級とのお褒め。
佳作
方々はピリピリし ている 。﹁そんな影響は聞いてない﹂と
諦めの悪い歌詞ほど演歌受け
︵佳作︶
い い き る 現 地 の 医 者 の 言葉 に 、経 験 主 義 楽 観主 義 かな な
演歌の歌詞はどうしてあんなに未練がましいのだろう。
+
好きなのに別れたとか、逢いたいけれど我慢するとか、歌
︵佳作︶
んて 感 じ て。
若 者 は 歩き スマ ホに 身を 任 せ
には悲恋がつきもの。めんどくさい奴だなーと思うときも
ある。
︵了︶
歩 き スマ ホ は 現代 の 風 物。 そ ん な に何 も か も身 を 任 せ
佳作
て も いい の か と心 配に な る 。道 路 の 穴ぼ こ や 電柱 に ご 用
心 との 老 婆 心な ら ぬ 老爺 心 。
婆 ちゃ ん の 生き が い なの よ 医 者 通い
(
)
こち とら も高齢 者。混ん でるクリ ニックもレストラン
も旅 の 車 中も 、 大 方ご 婦 人 連。 し か も みな さ ん 元気 そ う 。
女性 は太 陽である、ということは男性は月なのかな。 遠
カラオケのいいとこ
慮し な が らお 邪 魔 させ て い た だき ま す 。
題 詠 ﹁ 歌﹂
サビだけのパッチワークの歌暦
ろは歌詞を覚えてなくてもいいところ。恐ろしい勢いでメ
モリースパンが縮小中。好きな歌もサビの部分だけのパッ
チワーク。それでもまだましな方かも。
- 36 -
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