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橋 本 香 奈
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(容器メーカー勤務・包装専士)
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日常的には,「ダイビングしてきた」などと簡単
皆さんは海の世界にどれほどなじみがあるでし
筆者には,20年間使い続けているフィルムカメ
ょうか。この夏,海でのレジャーの計画はありま
ラ(一眼レフ)があります。ダイビングの世界で
すか。テレビ番組で,海中の映像を目にする程度
はフィルムカメラを使う方に出会うことがなくな
でしょうか。
りました。でも長年連れ添ったパートナーを大事
陸上に暮らすわたくしたちにとって,水中生物
に思う気持ちから,使い続けています(写真1)。
随 想
に言い表しています。
『スクーバダイビング
と
水中写真撮影』
■水中写真撮影
ダイビングのときに必ず携帯するものがありま
す。海の世界を撮影するためのカメラ道具一式で
す。皆さんがお持ちのカメラも,完全防水のハウ
ジングで覆うと使えるようになります。太陽光の
届かない海の中をストロボ光で補いながら撮影し
ます。
の暮らしぶりはユニークに思えることがあります。
筆者が海に潜って体験したこと,旅先で見聞きし
■水中写真撮影を始めたきっかけ
たことを通じて,皆さんにお伝えしたい内容を中
水中写真撮影を始めたきっかけがあります。水
心にご紹介します。
中でイルカと対面した1シーンを,仲間が撮影し
ておりました。後日,写真としていただいたとき
■スクーバダイビング
の感動は,今でも忘れることができません(写真
2)。非常に感激し,自身が撮影した写真で見るひ
海の世界を観察するために,筆者はスクーバダ
との心を揺さぶってみたいという思いから,カメ
イビング(スキューバダイビング)による潜水を
ラとの付き合いが始まりました。
趣味としています。
スクーバは,Self-Contained Underwater
■水中の美しいもの
Breathing
写真1 水中写真撮影機材
Apparatus の
水中には,自然が創った美しいものがたくさん
単語の頭文字
あります。
を取った略語
中が透けて見える青いホヤの中に,白いドット
です。
「自給式
模様が入った透明なエビがいました。ホヤの形が
水中呼吸装置」
最も美しく見えて,エビの姿もよく見える角度を
という意味が
探し,1 cm 程度の小さな造形物を丁寧に写しま
あります。水
した(写真3)。これは逃してはならないと思う被
中で呼吸がで
写体に出会ったときこそ,いつにも増して冷静さ
きるように自
を保つようにして,ストロボの条件や撮影条件を
動給気してく
何度も確認しながら後悔のないように撮影します。
れる装置を用
■生物の行動観察
いて潜水する
写真2 イルカと筆者
食品と容器
ことを,スク
水中生物は,陸上に暮らすわたくしたちにとっ
ーバダイビン
て,ユニークな行動を示すことがあります。
グと言います。
山口県の青海島の水中で,オオカズナギという
530
2016 VOL. 57 NO. 9
魚に出会いました。体長10cm 程度の細長い体を,
普段は岩穴の中に隠して顔だけ覗かせ,おとなし
くしています。
そんなオオカズナギも,ある期間だけは非常に
アクティブになります(写真4)。2匹が向き合っ
て,アゴがはずれんばかりに口を開けているシー
ンは何をしているか想像がつきますか。次の瞬間,
互いに噛み付いたまま水中をくるくると舞ったり,
互いに絡まって岩を転げ落ちていったり,激しい
動きを見せました。
陸上に上がってから,案内をしていただいた方
キャノン
EOSKiss
EF100mm
F2.8 マクロ
XT-L
Z-200S
F2.7 1/60
RVP
インドネシア
水深 21m
に,「激しいキスシーンでしたね」と話したら,「い
や,オス同士がメスをめぐって喧嘩していたので
すよ」と説明を受けました。非常に驚きました。
手足のない魚は,口を大きく開けて存在を誇示
し(写真5),それでも決着が付かなければ噛み
付いて喧嘩をすることがあるのです。
写真3 透明なホヤの中に透明なエビ
「地球の海フォトコンテスト」(2015 年)
激しい喧嘩の末,勝者がメスと寄り添う姿まで
見届けても,次の日には違うメスをめぐって新た
地球環境部門グランプリ作品『仮の棲み家』
に喧嘩をしかけているのを目撃することがありま
す。あるいはすでに違うメスとデートをしてい
卵が孵化するまで見守っているところに出会いま
る場合もあります。生存のための,厳しい喧嘩が
した(写真6)。この殻の内側にはイカも卵を産み
日々繰り広げられているのだと思います。
付けていました。イカもまた,この場所が狙われ
にくいと判断したのでしょう。半透明なイカの卵
■卵を産み付けるのに安心な場所
の中には,すでに立派なイカの形に育った赤ちゃ
弱肉強食の水中世界では,生物たちが産み付け
んが,ハッチアウト目前で待機しておりました。
た卵が少しでも多く孵化できるように工夫して
海中には,残念ながら人間が使った包装商品や,
います。巻貝や水底に落ちている木片,ココナッツ
その他日用品がゴミとなって堆積する場所もあり
の殻をそっとひっくり返すと,
ます。生物はそれが何であるか知る由も
魚やイカの卵を発見できます。
ありません。それらを利用すると卵を守
親指の爪の長さほどの体長の
るのに都合が良いと判断するのか,ゴミ
ミジンベニハゼという魚がいま
す。ココナッツの殻の内側で,
写真4 オオカズナギ
食品と容器
写真5 威嚇
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写真6 ココナッツの殻の内側
2016 VOL. 57 NO. 9
に産み付ける場合もあります。
いうメッセージです。
ピロータイプ包装のスナック菓子袋
1年前に訪れたときに
の中で,ミジンベニハゼが卵を守って
はなかったものです。
いる姿を見たことがあります(写真7)。
この落書きは少し文言
を変えて複数の場所に
描かれていました。
塀や建物に落書きす
るのは感心しません。
でも,海に向かうひと
の視界に必ず入るこの
メッセージは,消さず
写真7 菓子袋の中で卵を見守る
写真8 ビーチの落書き
にしばらく残しておい
ても良いと思いました。
■便利なものが多用されると
■あとがき
便利なもの,魅力的なものが普及し,人々の生
水中写真を撮る趣味を通じて水中世界のおもし
活が豊かで便利になるのは喜ばしいことです。た
ろさに惹かれ,飽きることがありません。また,
だし,同時にそのゴミ処理の方法を整えなければ
プライベートな旅先であっても,包装の世界に身
皆が困ってしまいます。
を置く者として,仕事と結びつけて種々考えるこ
東南アジアの小さな島で実際に見た光景として,
とも必要であろうと思います。
家畜がつながれた場所,農産物を育てる畑のすぐ
最後に,フィリピンで撮影した美しい景色を皆
脇に,プラスチックなどのゴミでできた高さ2m
様にご紹介します(写真9)。持続可能な社会に向
ほどの山を見て,ぎょっとしたことがあります。6
けて,皆で知恵を出し合い,これからも取り組ん
年前の TOKYO PACK 会期中に,
「アジア包装会議
でまいりましょう。
2010」が開催されました。そこで,東南アジア
諸国の持続可能な社会への取り組み状況を拝聴し
ました。各国の,固形廃棄物の扱いについて言及
していました。一部のリサイクルを開始した国も
あれば,廃棄物の収集ルールが機能せず,川や海
にひっそりと流しているという,先行きが危ぶま
れる国もありました。
包装の分野でも日系企業が東南アジア諸国に進
出し,安くて機能的な包装を提供し,人々の生活
に潤いを与えるような商品が登場しています。包
装の製造から廃棄までに配慮し,持続可能な社会
写真9 フィリピンのビーチ
への取り組みで広く世界に貢献したいものです。
※カラー写真を HP に掲載しています。
(http://kangiken.net/)
■突如出現した落書き
昨年12月にインドネシアを訪れたとき,ビー
チのすぐ手前に大きな落書きを発見しました(写
真8)。プラスチック類を海に投棄しないようにと
食品と容器
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