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ディビジョンカンパニー

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ディビジョンカンパニー
27
ディビジョンカンパニー
伊藤忠商事は、150 年という長い歴史の中で、その時々の環境変化に迅速に順応し、日本
から世界へ、繊維から資源開発、機械、食料、生活消費関連、金融サービスへ、そして川中
から川上、川下へと事業領域を拡げてきました。
その事業形態の実効性を高めるのが、迅速な意思決定と効率的な経営の実現をねらいと
して、1997 年より導入した、ディビジョンカンパニー制です。また、総本社の持つ全社横
断的な機能も、カンパニー間の連携強化を通じたグループ全体での収益最大化をもたらす
しくみです。
28 カンパニー At a Glance
32 繊維カンパニー
34 機械カンパニー
36 宇宙・情報・マルチメディアカンパニー
38 金属・エネルギーカンパニー
40 生活資材・化学品カンパニー
42 食料カンパニー
44 金融・不動産・保険・物流カンパニー
46 総本社
28
カンパニー At a Glance
伊藤忠商事株式会社及び子会社
3 月 31 日に終了した各連結会計年度
ディビジョンカンパニー
当期純利益 「その他及び修正消去」を除く
総資産 「その他及び修正消去」を除く
2008 年 3 月期
2008 年 3 月期
繊維カンパニー
9.6%
7.7%
10.6%
14.6%
6.9%
10.8%
49.7%
19.3%
9.3%
16.2%
8.8%
22.5%
5.1%
8.9%
機械カンパニー
ディビジョンカンパニー
宇宙・情報・マルチメディアカンパニー
金属・エネルギーカンパニー
生活資材・化学品カンパニー
食料カンパニー
金融・不動産・保険・物流カンパニー
カンパニー At a Glance
主要連結対象会社
■ Prominent
主要取扱品目・サービス
Apparel Ltd.
•繊維原料
•テキスタイル
•アパレル
•服飾雑貨
•産業資材
•ブランドを切り口とした衣・食・住等関連商品
■ 伊藤忠繊維貿易
(中国)有限公司
■ ㈱ジョイックスコーポレーション
■ 伊藤忠産機
•ガス・石油・化学プラント •船舶
•自動車 •鉄道車両 •発電設備
•建設機械 •繊維機械 •産業機械 •食品機械
•高分子・合成樹脂関連設備
•電子デバイス・エレクトロニクス関連設備 •水・環境関連機器
•再生可能・代替エネルギー(太陽電池他)関連装置
■ 伊藤忠テクノソリューションズ
•放送・通信事業 •電子システム機材 •インターネット関連事業
•放送・通信機器 •映像・エンターテイメント関連事業
•携帯電話関連機器及びサービス •ライフサイエンス
•コンピュータ・情報処理関連機器及びシステム
•半導体関連装置 •航空機・機内設備 •航空交通管理システム
•宇宙関連機材等 •セキュリティ機器等
㈱
■ アイ・ティー・シーネットワーク
㈱
㈱
■ ㈱スペースシャワーネットワーク
■ 伊藤忠メタルズ
㈱
■ 伊藤忠ペトロリアム
㈱
■ ITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd
■ ITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.
■ 伊藤忠丸紅鉄鋼 ㈱
■ 伊藤忠建材
㈱
■ 伊藤忠紙パルプ
㈱
■ 伊藤忠ケミカルフロンティア ㈱
■ 伊藤忠プラスチックス ㈱
■ PrimeSource Building Products, Inc.
■㈱
•鉄鉱石 •石炭 •アルミ
•鉄スクラップ •鉄鋼製品
•原油 •石油製品 •LPG •LNG
•原子燃料
•住宅資材 •木材 •紙 •パルプ •ゴム •タイヤ
•セラミックス製品 •基礎化学品
•精密化学品 •医薬品
•無機化学品 •合成樹脂
•生活関連商品
日本アクセス
㈱
■ ㈱ ファミリーマート
•小麦・大麦 •植物油 •大豆・コーン
•飲料原料(果汁・コーヒー)•砂糖類
•乳製品 •農畜水産物 •冷凍食品
•加工食品・ペットフード •飲料・酒類
■ 伊藤忠ファイナンス
•為替・証券ディーリング・証券投資、金融商品の組成・販売等の資産運
用ビジネス ・ 融資 ・ 為替保証金取引
•クレジットカード事業 •その他金融業 •不動産開発・売買・仲介・
アセットマネジメント業務 •不動産取引に関わるコンサルテーション
•ファンドへのエクイティ投資 •PFI 取組 •戸建施工
•REIT 運用 •ゴルフ場保有・運営 •保険仲介業・保険仲立人
•国内・国際 3PL 業務 •海運サービス業務
■ ジャパンフーズ
㈱
センチュリー 21・ジャパン
■ ㈱ アイ・ロジスティクス
■ ㈱ オリエントコーポレーション
■ FX プライム ㈱
■ イー・ギャランティ ㈱
■㈱
ディビジョンカンパニー
㈱
㈱
■ MCL Group Limited
■ ITOCHU Automobile America Inc.
■ センチュリー・リーシング・システム ㈱
■ 伊藤忠建機
■ エキサイト
29
30
当期純損益
総資産及び ROA
総資産(左軸)
財務ハイライト
ROA(右軸)
(単位:十億円)
繊維カンパニー
(単位:十億円)
20
600
20.5
15.0
(%)
(単位:十億円)
25
4.3
3.9
17.1
400
15
10
401.8
395.4
5.4
364.3
6
4
2
200
年 3 月期
売上総利益
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2006
2007
2008
¥100.3 ¥112.8 ¥122.9
11.7
14.8
15.0
382.7 377.2 395.4
3.1
3.9
3.9
¥124.6
17.1
401.8
4.3
¥115.2
20.5
364.3
5.4
2004
2005
5
0
06
07
08
0
06
07
08
0
機械カンパニー
(単位:十億円)
2.9
22.6
600
13.7
400
10
0
3.8
800
21.1
20
(%)
(単位:十億円)
30
635.8
3.4
4
690.9
3
489.0
2
200
06
07
08
0
年 3 月期
売上総利益
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2006
2007
2008
¥ 51.1 ¥ 58.0 ¥ 69.5
3.9
10.5
13.7
433.6 451.4 489.0
0.8
2.4
2.9
¥ 90.5
21.1
635.8
3.8
¥100.5
22.6
690.9
3.4
2004
2005
1
06
07
08
0
ディビジョンカンパニー
宇宙・情報・マルチメディアカンパニー
(単位:十億円)
20
800
14.6
15
600
11.2
10
400
5
200
0
06
(%)
(単位:十億円)
17.2
07
08
0
8
524.7 551.2 513.9
3.4
2.1
2.7
6
4
年 3 月期
売上総利益
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2006
2007
2008
¥105.5 ¥108.4 ¥116.4
2.6
14.4
17.2
464.3 489.4 524.7
0.5
3.0
3.4
¥133.5
11.2
551.2
2.1
¥139.0
14.6
513.9
2.7
2004
2005
2
06
07
08
0
金属・エネルギーカンパニー
(単位:十億円)
900
58.0
60
600
30
300
0
06
07
916.6
916.6
1,200
80.7
90
(%)
(単位:十億円)
105.7
120
08
0
644.4
10.2
781.4
11.3
20
15
12.5
10
5
06
07
08
0
年 3 月期
売上総利益
(金属)
(エネルギー)
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2006
2007
2008
¥ 24.7 ¥ 39.1 ¥ 73.9
14.4
25.8
48.2
10.3
13.3
25.6
12.9
25.7
58.0
443.7 491.0 644.4
3.1
5.5
10.2
¥102.1
46.5
55.6
80.7
781.4
11.3
¥127.5
50.0
77.5
105.7
916.6
12.5
2004
2005
生活資材・化学品カンパニー
(単位:十億円)
30
20
1,200
19.7
18.6
8
900
634.3
600
3.1
10
0
(%)
(単位:十億円)
24.8
716.8 766.8
06
07
08
0
06
4
3.7
300
07
6
2.7
2
08
0
年 3 月期
売上総利益
(生活資材)
(化学品)
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2006
2007
2008
¥ 91.9 ¥105.9 ¥111.1
59.7
70.4
72.7
32.3
35.5
38.4
11.5
20.3
18.6
557.4 583.7 634.3
2.1
3.5
3.1
¥126.2
79.4
46.8
24.8
716.8
3.7
¥122.6
74.3
48.3
19.7
766.8
2.7
2007
2008
2004
2005
食料カンパニー
(単位:十億円)
20
1,070.7 1,064.8
1,200
19.4
18.1
18.7
900
15
600
778.8
2.0
1.7
300
5
06
07
08
0
4
3
2.6
10
0
(%)
(単位:十億円)
25
2
年 3 月期
売上総利益
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2004
2005
2006
¥130.9 ¥136.2 ¥142.6 ¥ 264.6 ¥ 324.7
13.3 △ 9.3
19.4
18.1
18.7
711.6 728.0 778.8 1,070.7 1,064.8
1.9 △ 1.3
2.6
2.0
1.7
1
06
07
08
0
金融・不動産・保険・物流カンパニー
(単位:十億円)
20
(%)
(単位:十億円)
30
800
10.8
9.9
10
0
400
600.9 524.9
1.6
8
420.5
2.3
0
0
−10
−30
−4
△28.3
−20
06
07
4
08
06
△5.0
07
08
−8
年 3 月期
売上総利益
当期純損益
セグメント別資産
ROA(%)
2007
2008
¥ 16.0 ¥ 39.3 ¥ 46.0 ¥ 43.3
△ 75.6
5.4
9.9 △ 28.3
609.7 615.3 600.9
524.9
△ 11.6
0.9
1.6
△ 5.0
¥ 41.4
10.8
420.5
2.3
2004
2005
2006
カンパニー At a Glance
主要連結対象会社からの取込損益
31
Frontier+ 2008 における重要施策
(単位:十億円)
年 3 月期
Prominent Apparel Ltd.
伊藤忠繊維貿易(中国)有限公司
㈱ジョイックスコーポレーション
年 3 月期
伊藤忠産機㈱
伊藤忠建機㈱
MCL Group Limited
ITOCHU Automobile America Inc.
センチュリー・リーシング・システム㈱
伊藤忠テクノソリューションズ㈱
アイ・ティー・シーネットワーク㈱
エキサイト㈱
㈱スペースシャワーネットワーク
2007
2008
¥0.6
0.9
1.1
¥0.6
0.9
0.9
2006
2007
2008
¥0.4
0.4
0.4
1.1
1.3
¥ 0.4
0.7
△ 0.4
1.2
1.6
¥ 0.4
0.8
△ 2.6
0.6
1.5
2006
2007
2008
¥6.6
2.1
0.6
0.2
¥7.4
1.8
0.2
0.2
¥ 8.1
1.7
△1.1
0.2
•新規ビジネスの拡大と M&A の推進
•海外事業収益力の強化
•事業会社の収益力強化
•自動車、船舶、石油・化学プラント、建設機械関連をはじめと
したコアビジネスの更なる拡大
•環境・省エネ・代替エネルギー(太陽電池)、IPP、水・交通・
インフラ分野等新規事業領域の開拓
•優良資産の積み上げ
•航空機、
IT、
モバイル分野でのコアビジネスの成長加速
•ライフサイエンス、
コンテンツ分野での先行布石案件の収益化
•新規事業領域の開拓
※伊藤忠テクノソリューションズ㈱の数値は旧㈱ CRC ソリューションズを含む
年 3 月期
2006
2007
2008
伊藤忠メタルズ㈱※
¥ 1.0
伊藤忠ペトロリアム㈱
2.5
ITOCHU Minerals & Energy of Australia Pty Ltd. 25.9
ITOCHU Oil Exploration (Azerbaijan) Inc.
5.2
伊藤忠丸紅鉄鋼㈱
15.9
¥ 1.2
5.1
28.9
21.2
16.8
¥ 1.4
3.6
38.5
33.4
16.9
※ 2008 年 4 月 1 日付で社名変更(旧社名:伊藤忠非鉄マテリアル㈱)
年 3 月期
伊藤忠建材㈱
伊藤忠紙パルプ㈱
伊藤忠ケミカルフロンティア㈱
伊藤忠プラスチックス㈱
PrimeSource Building Products, Inc.
年 3 月期
㈱日本アクセス※
ジャパンフーズ㈱
㈱ファミリーマート
2006
2007
2008
¥0.8
1.1
1.3
2.6
7.7
¥2.4
0.8
1.8
3.2
7.4
¥0.3
0.6
1.8
3.1
6.4
2006
2007
2008
¥0.5
0.0
4.3
¥2.4
0.1
4.7
¥2.6
0.1
4.9
2007
2008
※㈱日本アクセスの 2007 年 3 月期の数値は西野商事㈱の数値を加算しております。
年 3 月期
伊藤忠ファイナンス㈱
㈱センチュリー 21・ジャパン
㈱アイ・ロジスティクス
㈱オリエントコーポレーション
FX プライム㈱
イー・ギャランティ㈱
2006
¥3.2 ¥
2.3 ¥ △ 7.0
0.3
0.4
0.4
0.6
0.4
0.7
3.1 △ 40.6
19.3
0.3
0.1
0.7
0.1
0.1
0.0
•保有権益の拡充
•バリューチェーン強化を目的とした積極的な M&A の実行
•人材の強化と海外事業収益拡大に向けた人員配置の実施
•太陽光発電、DME、バイオエタノール等の新エネルギー
ビジネスの事業化、収益化
•排出権取引、リサイクルビジネスといった環境ビジネスの
収益モデル構築
•北米住宅資材事業とパルプトレード、化学品全般等のコアビジ
ネスの強化と海外展開の加速
•ライフケア分野や環境・新エネルギー等の新規事業領域の開拓
•グループ人材戦略の推進
•リスクマネジメントの強化とコンプライアンス遵守
•対日・国内 SIS 戦略の継続推進
•グローバル SIS 戦略の推進
•付加価値事業の創出・収益化
•グループ経営の構造改革推進
•人材戦略の推進
•リスクマネジメントの強化
•コンプライアンスの遵守徹底と食の安全・安心の継続推進
•みずほグループとの連携によるオリコ新中計の実行支援
•ファンド(証券化)ビジネス、特にプライベートエクイティ分野・
不動産証券化分野において、確固たる地位の確立
•カンパニー総合力を発揮した海外ビジネスの強化
•中核事業会社群の育成・強化、再構築による収益拡大
•保険・物流分野でのリスクテイク機能の強化
ディビジョンカンパニー
年 3 月期
2006
¥0.0
0.5
1.2
32
繊維カンパニー
事業の概要と競争優位性
繊維カンパニーは、創業事業である繊維を軸に、ファッションから先
端技術分野まで、高い付加価値を追求し、幅広くビジネスを展開して
います。
祖業である繊維関連ビジネスを進化させるべく、繊維原料からテキ
スタイル、最終製品である衣料品、更には、自動車、エレクトロニクス、
複合材及び高機能素材、不織布等の産業資材用途に至る幅広い領域で、
世界各地の拠点を結び、事業を展開しています。また、海外ブランド
のインポート、ライセンス事業に加え、近年ではブランドの商標買収
や、M&A 等の手法で商権を長期安定化させるべく、グローバルな視点
で積極的な事業展開を推進しています。更に、繊維カンパニーから生
まれた先端技術分野では、日本の卓越した技術の世界展開を視野に、
事業を推進しています。
ディビジョンカンパニー
当カンパニーの強みは、絶えず新たなビジネスモデルの創出を行い、
当カンパニーは、衣服のみならず食、
タイムリーに資産の新陳代謝を行いながら、将来性のある事業に先行
住も含めた生活消費関連分野の全てに
投資する積極性と先見性にあります。特に、業界最強の優位性を持つ
わたり、付加価値を追求し、より豊か
ブランドビジネスにおいては、インポートからライセンス、販路・ア
で上質な生活を提案することを使命と
イテムの拡大、提携と買収を組み合わせた長期安定商権の確立、アジ
アを中心とするグローバルな展開など、常に先駆的なビジネスステー
して、世界を舞台に活躍の場を拡げて
ジを構築し続けています。こうした特性を活かし、他商社の繊維部門
いきます。
が相次いでその看板を下ろす中、あくまでも繊維を起点とした事業活
動を展開し、他社の追随を許さない圧倒的な収益力を誇っています。
繊維カンパニープレジデント
当期の事業環境と業績結果
岡藤 正広
当期の繊維業界は、国内市場規模の縮小傾向が続くとともに、ユーロ
高、人民元高や人件費の高騰の影響等による中国での生産コスト上昇、
更には天候不順による婦人服を中心とした衣料品市場の不振等、楽観
を許さない経営環境となりました。一方で、衣食住に及ぶライフスタ
イル提案型ビジネスや、テレビ・ネット通販等の新販売チャネルの成
長等、当カンパニーのビジネス機会は拡大しています。また、小売・
流通の統合・再編により販売先も集約され、商材提供サイドからの効
率的かつ包括的なビジネス提案機会が増大していること、FTA(Free
当期純損益/セグメント別資産/ROA
(単位:十億円)
(単位:十億円/%)
25
500
10
20
400
8
5.4
15
10
3.1
3.9
3.9
4.3
300
6
200
4
5
100
2
0
0
0
04
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
(年3月期)
Trade Agreement: 自由貿易協定)や EPA(Economic Partnership
Agreement: 経済連携協定)の締結により、地域貿易の活性化が見込ま
れることなど、ポジティブな動向も顕在化しました。
当期の当カンパニーの売上総利益は、前期比 94 億円減の 1,152 億円
となった一方、子会社・関連会社等の寄与及び、投資有価証券売却益
等により、当期純利益は前期比 34 億円増の 205 億円と、7 期連続の増
益を達成しました。
繊維カンパニー
33
当期の主な取組
「Frontier+ 2008」の重要施策「コアビジネスの強化」では、11 のブラン
ドを新規に導入したほか、近年推し進めてきた大型ブランド M&A 案
件である、Paul Smith や LeSportsac は、当カンパニーのブランドビジ
ネスにおける収益の柱として成長しており、特に LeSportsac は、中国
での販売開始をはじめとして海外展開を加速しました。
「新規事業領域の開拓」では、成長分野であるテレビ通販の㈱プライ
ムへの出資と業務提携を行うなど、より消費者に近いビジネスへと進
出いたしました。また、先端技術分野の事業拡大を視野に、㈱秀峰と
の分野別独占販売権契約に基づき展開中の曲面印刷技術については、
用途開発事業が軌道に乗り、携帯電話への加飾、自動車内装などへと
㈱デサントと資本および業務提携強化
(写真:ミラショーンスポーツ)
このたびの業務及び資本提携強化を機に、更に中
長期にわたる強いパートナーシップを構築し、両
社のコアビジネスにおいて当社のグローバルネッ
領域を拡大しつつあります。子会社の㈱インクマックスが展開する無
トワークを背景に、戦略的取組みを推し進めてい
水染色では、三菱鉛筆㈱との共同開発による特殊顔料インクの販売を
ます。
ディビジョンカンパニー
皮切りに、様々な素材や用途において事業展開を進めています。2008
年 5 月には、協力関係にあった㈱デサントとの業務及び資本関係を強
化するべく、同社への出資比率を高め、持分法適用会社としました。
今後も両社のコアビジネスにおいて、戦略的取組を推し進めていきます。
「海外展開の加速」では、ブランドビジネスの海外展開加速に加え、
「チャイナプラスワン」の考えに基づく生産地開拓の一環として、バン
グラデシュにニット工場、I.P.JAQ KNITTING LTD を設立、欧米向けを
中心に、付加価値の高いニット製品を生産、供給しています。
2009 年 3 月期の取組方針
「付加価値を追求したマーケティング発想によるビジネスモデルの創
造」を基本方針として、M&A による商権獲得、新規事業領域への進出
を推進していきます。具体的には、コアビジネスにおいては、より消
プライムショッピング
費者に近い川下分野の強化を図っていきます。新規事業領域において
テレビ通販事業を展開している㈱プライムと新た
は、繊維資材や雑貨等の非衣料分野における新たなビジネスの開拓を
推進するとともに、繊維から派生する先端技術案件の発掘・育成に注
力していきます。
なパートナーシップを結びました。当社の強みで
あるブランド商材などを活かしたライフスタイル
提案型ビジネスに加え、強力な販路をもつことに
より、提携のメリットを最大限に追求します。
34
機械カンパニー
事業の概要と競争優位性
機械カンパニーは「プラント・プロジェクト」
「自動車」
「産機ソリュー
ション」の 3 部門から構成されています。国内でのビジネスのみならず、
海外拠点へ約 3 分の 1 の人員を配置するなど、海外市場を中心とした
トレーディング及び事業投資を積極的に展開しています。また、戦略
パートナーとの連携により国内市場での取組にも注力しています。
プラント・プロジェクト部門では、ガス・石油化学、電力、交通・イ
ンフラ、船舶、環境等の分野において、新規プロジェクトの発掘・開発、
EPC*1、プロジェクトファイナンス、投資等、幅広いプロジェクトを推
進しています。
自動車部門では、全世界に張り巡らせた伊藤忠のネットワークを活
用しつつ、地域に根ざしたビジネスを展開しています。欧米、アジア、
国内の各市場では、卸売・小売・ファイナンス・物流等の自動車周辺事
ディビジョンカンパニー
業にも注力しています。
地域社会の発展と国際社会への貢献を
産機ソリューション部門では、建設機械トレード、卸売・小売、海外
使命とし、自動車、船舶、プラント、
プロジェクトの推進に加え、一般産業機械、繊維・食品機械をはじめ
建設・産業機械ビジネスを中心にグ
高分子・合成樹脂関連設備、エレクトロニクス関連設備などを取扱い、
ローバルな事業展開を進めています。
国内外のグループ企業とともに機器・設備の販売並びにソリューショ
ンを提供しています。
また、環境に配慮した事業として、水・
また、環境に配慮した事業として、水・太陽電池・環境関連機器の取
環境関連機器の取引、再生可能・代替
引、再生可能・代替エネルギー関連ビジネスにも取組んでいます。
エネルギー関連ビジネスにも取組んで
います。
当カンパニーは、総合商社の機械部門の中において資産効率指標
(ROA)で上位に位置する高効率経営を特徴としています。また、重点
分野への経営資源の投入や新規領域へのチャレンジにより、収益力の
一層の強化を図っています。
機械カンパニープレジデント
*1 EPC: Engineering(設計)、Procurement(調達)、Construction(建設・試運転)
古田 貴信
当期の事業環境と業績結果
鋼材等の原料高に伴うプラント建設コストの高騰や、年度後半のサブ
プライムローン問題に端を発した北米市場需要の減速及び急速な円高
等が、国内外の事業活動に広く影響を及ぼした一方、新興国市場にお
ける自動車や建機需要の拡大、海運マーケットの活況や環境関連プロ
ジェクトの旺盛な需要が追い風となりました。
当期純損益/セグメント別資産/ROA
このような環境下、当カンパニーでは、バランスの取れた収益ポー
(単位:十億円)
(単位:十億円/%)
25
3.8
20
2.9
3.4
2.4
15
10
1,000
5
600
3
400
2
0.8
200
1
5
0
800
4
04
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
0
0
(年3月期)
トフォリオの確立に努めつつ、コア事業の拡大、環境・省エネ分野等
の新規事業領域の開拓、海外展開の加速等、攻めの施策を推進しまし
た。また、中核事業会社の育成や創出にも注力しました。
当期における当カンパニーの売上総利益は、前期の投資有価証券売
却益の反動があったものの、新興国向け自動車取引の好調な推移、船
舶取引及び建機取引の拡大等により、前期比 100 億円増の 1,005 億円
と 1,000 億円を突破し、当期純利益は前期比 15 億円増の 226 億円とな
りました。
機械カンパニー
35
当期の主な取組
「Frontier + 2008」の重要施策「コアビジネスの強化」では、新興国や資
源国における自動車取引の拡大、海運市場の活況を背景とする船舶ビ
ジネスの拡大や、資源国における建機ビジネスの強化に努めました。
「新規事業領域の開拓」では、米国太陽光発電システムインテグレー
ターであるソーラーデポ社(SOLAR DEPOT, INC)の買収を行うととも
に、インドネシア・サルーラ地区における地熱発電 IPP*2 事業への参画
を決定するなど、引続き環境・省エネ分野での新規事業領域の開拓を
いすゞ自動車(トルコ)
〔自動車部門〕
積極的に推進しました。また、いすゞ自動車㈱とは、国内事業強化の
当社はいすゞ自動車㈱の戦略的ビジネスパート
ための新会社「いすゞネットワーク㈱」の経営を軌道に乗せたほか、曙
ナーとして、資本提携をベースに、日本国内はも
ブレーキ㈱との業務提携を足掛かりに、国内での産業機械・鉄道ブレー
とより、北米や南ア・中南米・トルコ・インドネシ
ア・ベトナム等の新興市場におけるトレード及び
キの販売会社を設立するなど、戦略的パートナーとの取組強化にも努
周辺ビジネス(物流、販売金融、中古車)等の海外・
めました。
協業事業の取組を強化しています。
ディビジョンカンパニー
「海外展開の加速」では、アルジェリア国営 SONARTRACH(炭化水
素公社)向け LPG プラントをはじめとした海外プロジェクトを加速、
また海運マーケットの活況に伴い海外船主向け新造船の受注も好調に
推移しました。海外市場向け自動車・建機取引も拡大し、スズキ㈱と
ともに、マレーシアにおける四輪車代理店に資本参加するなど、海外
展開を積極的に推進しています。
*2 IPP( Independent Power Producer ):民間企業が発電設備を建設・運営し、電
力を電力会社に売る独立系発電事業
2009 年 3 月期の取組方針
自動車・船舶・建機関連、環境・省エネ・代替エネルギー(太陽電池)
、
IPP、水・交通・インフラ分野を中心に、将来の利益の源泉となる投資
活動を積極的に推進することで、利益規模の拡大を図っていきます。
また、優良案件の発掘・育成を通じ、優良資産を積み上げていくことで、
高効率経営の更なる深化を図っていきます。
チェサピーク発電所(米国)
〔プラント・プロジェクト部門〕
北米の IPP 事業子会社のティア・エナジー社が、
2007 年度に米国バージニア州コモンウェルス・
チェサピーク発電所を買収しました。当発電所か
らの電力は米国東部の需要逼迫地域に送電され、
出力は約 30 万世帯の電力需要に相当。引続き優良
投資案件の発掘を進めていきます。
36
宇宙・情報・マルチメディアカンパニー
事業の概要と競争優位性
宇宙・情報・マルチメディアカンパニーは、
「航空宇宙・電子」
「情報産業」
「メディア事業」の 3 部門から構成され、IT ソリューション、e ビジネス、
モバイル、メディアコンテンツ、航空/電子システムの各分野におい
て収益力・成長力に富んだ事業を有するほか、ライフサイエンス/サー
ビス等の新規事業領域の開拓にも積極的に取組んでいます。
航空宇宙/電子システム分野では、伊藤忠アビエーション㈱、日本
エアロスペース㈱、ユーロヘリ㈱を中心にヘリコプターや小型ジェッ
ト機の販売で高い市場シェアを誇るほか、㈱ジャムコが航空機内装品
〔ギャレー(厨房設備)
、ラバトリー(化粧室)
〕等の製造・販売を、山東
華菱電子有限公司がプリンター・スキャナー等の部品の製造・販売を
行っています。
IT ソリューション分野では、伊藤忠テクノソリューションズ㈱が先
ディビジョンカンパニー
端 IT 技術製品販売・開発・保守・運用を統合した高付加価値型ビジネス
当カンパニーは、航空宇宙、情報産業、
モデルで業界でもトップクラスの収益力を誇っています。
メディアの各事業領域において、コア
e ビジネス分野では、エキサイト㈱による総合ポータルサイト運営
事業の更なる成長と先行投資分野の収
や、教育ポータルサイトの 52 School.com 等の多彩な事業を展開して
益化に努めつつ、新規事業領域の開拓
いるのに加え、新たに T-Lab(伊藤忠商事の先端系 Web 技術の研究・活
用部隊)において Web 2.0 プラットフォームの開発に取組んでいます。
にも積極的に取組み、各業界において
モバイル分野では、携帯端末流通分野で高い実績を誇るアイ・
更なる優位性を確立することを目指し
ティー・シーネットワーク㈱を中心に、携帯端末補償事業のアシュリ
オン・ジャパン㈱、携帯コンテンツ/サービス事業の㈱ナノ・メディア
ます。
等、幅広い事業展開を行っています。
宇宙・情報・マルチメディアカンパニー
プレジデント
当期の事業環境と業績結果
井上 裕雄
航空業界では、燃料費高騰の影響により航空会社は依然厳しい経営環
境にある一方で、各社が燃費効率の良い航空機の導入を積極的に進め
たため、航空機メーカーや航空機内装品メーカーの受注は堅調に推移
しました。
IT ソリューション業界では、新会社法や日本版 SOX 法に適合した
内部統制の IT 需要が増大し、情報システム設備投資が活発化した一
方、案件の高度化・複雑化に伴い売上計上が長期化する傾向が見られ
当期純損益/セグメント別資産/ROA
(単位:十億円)
(単位:十億円/%)
20
1,000
5
16
3.0
3.4
12
2.1
2.7
0
0.5
04
800
4
600
3
400
2
8
4
ました。
200
1
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
0
0
モバイル業界では、携帯端末市場が割賦販売等の新販売モデル導入
により堅調に推移しました。加えて、端末価格上昇に伴い携帯端末補
償サービスの需要が拡大しました。
メディアコンテンツ業界においては、多チャンネル有料放送市場が
伸び悩む一方で、国内における光回線の普及に伴い、ブロードバンド
を活用した映像配信サービスの市場が拡大しました。
当期の業績は、主に携帯端末流通事業や IT ソリューション分野が順
調に推移したことにより売上総利益は前期比 54 億円増の 1,390 億円、
(年3月期)
当期純利益は投資有価証券損益の増加等により前期比 34 億円増の 146
億円となりました。
宇宙・情報・マルチメディアカンパニー
37
当期の主な取組
「Frontier+ 2008」の重要施策である「コアビジネスの強化」に関しては、
航空・電子システム分野での㈱日本航空の優先株引受や航空機内装品・
機器製造の㈱ジャムコに対する出資比率の引上げ、及びモバイル分野
でのアイ・ティー・シーネットワーク㈱による㈱イドムココミュニケー
ションズの統合といった成長加速策の実行により収益基盤の拡大を図
りました。また「先行布石案件の収益化」に関しては、モバイル分野で
アシュリオン・ジャパン㈱提供の携帯端末補償サービスが、携帯電話
アシュリオン・ジャパン社〔メディア事業部門〕
販売モデルの変化に伴い普及が進んだことや、メディア・コンテンツ
当社の関連会社アシュリオン・ジャパン㈱が運営
分野でブロードバンド放送事業を営む㈱オン・デマンド・ティービー
する「 ケータイ補償 お届けサービス 」が、NTT ド
が、㈱ NTT ぷららとの統合を通じ事業基盤を再構築したこと、及びサー
用者特典に採用されました。本施策により、今後
ビス分野で治験事業を営む㈱アクロネットが収益基盤を拡充したこと
コモの端末新販売モデル( バリューコース )の利
加入者の大幅増加が期待されます。
等の成果をあげました。
ディビジョンカンパニー
2009 年 3 月期の取組方針
中期経営計画「Frontier + 2008」の最終年度にあたる 2009 年 3 月期は、
「コアビジネスの強化」及び「新規事業領域の開拓」に積極的に経営資源
を投入していきます。具体的取組として、「コアビジネスの強化」に関
しては、伊藤忠テクノソリューションズ㈱やアイ・ティー・シーネット
ワーク㈱等中核事業会社の更なる収益力拡大や、携帯端末補償サービ
ス/ CSO 事業(製薬会社との契約による営業・マーケティング活動受
託)等先行布石案件の収益化を推進します。一方「新規事業領域の開拓」
に関しては、航空関連新規分野への事業投資や、日本原作コンテンツ
の海外展開等に取組みます。
上記取組を通じ、将来的には、当カンパニーが属する各業界でトッ
プクラスの地位の確立を目指します。
ジャムコ社〔航空宇宙・電子部門〕
( 写真:同社がシンガポール航空に納入したエア
バス A380 型航空機のスイートクラスコンソール)
当社は、民間航空分野の強化を目指し、2007 年 9
月に日本航空が保有するジャムコ株式を買受けま
した。ジャムコ社は、2009 年就航予定の次世代中
型機ボーイング 787 型航空機向けに内装品〔ギャ
レー
(厨房設備)
、ラバトリー
(化粧室)
、コックピッ
トコンソール〕の独占供給契約をボーイング社と
締結しており、内装品事業を中心に更なる成長が
期待されます。
38
金属・エネルギーカンパニー
事業の概要と競争優位性
金属・エネルギーカンパニーは、エネルギー資源開発、金属資源、石炭
分野を重点セグメントと位置付け、優良案件の発掘・獲得を推し進め
るとともに、トレードとの連接を図ることで、自主開発資源を起点と
したバリューチェーンを構築し、収益の極大化に取組んでいます。
金属資源・石炭分野では、豪州における鉄鉱山開発や、豪州・インド
ネシア等での炭鉱開発、豪州におけるアルミナ精製等、自主資源の開
発を行うとともに、資源トレードへの展開を通じ、収益の拡大を図っ
ています。
エネルギートレード及びエネルギー資源開発分野では、アゼルバイ
ジャン・英領北海・サハリン・豪州・北米での原油開発、オマーン・カター
、北米等における天然ガス開発への参
ルにおける LNG(液化天然ガス)
画を行うなど、自主開発により原油・ガスの権益を獲得すると同時に、
ディビジョンカンパニー
グローバルトレードの拡充を推進しています。また、温室効果ガス排
グローバル経済の発展を支える資源関
出権取引を含む環境ビジネスや、太陽光発電、DME(ジメチルエーテ
連分野において、資源開発事業とト
ル)
、バイオエタノール等といった環境負荷が少ない代替エネルギー
レードを両輪とした収益の極大化を目
の開発も推し進めています。
指す当カンパニーは、将来を見据え、
鉄鋼製品分野では、中核事業会社の伊藤忠丸紅鉄鋼㈱が、国内外
100 社強の事業会社を通じて、製品の販売・加工に留まらず、顧客へ
太 陽 光 発 電 や バ イ オ エ タ ノ ー ル、
のソリューション提供とサービス機能の強化に努めています。
DME 等、新エネルギーの開発にも注
当カンパニーの強みは、製品や地域などの面で極めてバランスがと
れたポートフォリオを構築しつつ、採算性が高い案件への投資を徹底
力しています。
することで、業界トップレベルの資産効率を誇ることにあります。ま
た、バリューチェーンの川中に位置するトレード分野において、伊藤
金属・エネルギーカンパニープレジデント
忠ペトロリアム㈱、伊藤忠エネクス㈱といった優良企業を有すること
小林 洋一
で、バリューチェーンの生み出す付加価値の増大をもたらしています。
当期の事業環境と業績結果
当期は、BRICs 諸国の急速な経済発展を背景に、原油、鉄鉱石、石炭、
その他の金属原料等、取扱商品の市況が全般的に高水準で推移すると
ともに、世界的な環境問題への意識の高まりを受けて、新エネルギー、
省エネルギーといった新たな収益機会の拡大も見られました。その一
当期純損益/セグメント別資産/ROA
(単位:十億円)
(単位:十億円/%)
150
10.2
120
11.3
12.5
1,000
15
800
12
600
9
90
5.5
60
方、米国サブプライム問題に端を発した米国国内需要の減速や、資源
400
6
3.1
30
200
3
0
0
0
04
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
(年3月期)
価格高騰を背景とした投資機会の減少と権益取得・生産コストの上昇
等がネガティブな因子として認識されました。
当期における当カンパニーの売上総利益は、主に権益保有油田の生
産量増に伴う販売数量の増加、原油価格の上昇等により前期比 254 億
円増の 1,275 億円となり、当期純利益は売上総利益の増加に加え、保
有石炭権益の一部売却等を受けて前期比 250 億円増の 1,057 億円とな
り、増収増益を達成しました。
金属・エネルギーカンパニー
39
当期の主な取組
「Frontier+ 2008」の重要施策 「コアビジネスの強化 」では、既存優良資
源案件の拡張投資と権益の買増し、新規資源権益の取得、M&A を通じ
たトレードビジネスの拡大を推進しました。
金属資源分野では、西豪州のマウント・ニューマン鉱山を中心とし
た鉄鉱山開発事業において、供給能力の更なる増強に向けた拡張投資
を実施しました。また、石炭分野においては、豪州での炭鉱開発事業
における拡張投資を継続しました。エネルギー資源開発分野では、米
Mt. Whaleback Iron Ore〔金属資源・石炭部門〕
国メキシコ湾におけるエントラーダ油ガス田の権益を取得したほか、
当社は西豪州にて 3 つの鉄鉱石 JV を運営してお
豪州南東部・ビクトリア州沖海域の生産・開発鉱区権益を取得しまし
り、現在、2010 年の年間出荷能力を 155 百万トン
た。エネルギートレード分野では、灯油・軽油等の国内販売、輸出入、
舶油事業、タンク事業等を伊藤忠エネクス㈱に集約することを決定し
とする拡張工事( RGP4 )を実行中。更に 2011 年
中に 200 百万トン超とする拡張工事( RGP5 )の先
行投資を決定しました。
ました。また LPG 事業関連では、㈱ジャパンエナジー、日商 LP ガス㈱、
ディビジョンカンパニー
伊藤忠エネクス㈱の 3 社による元売り・卸会社設立の検討を開始する
とともに、小売部門の提携による LPG 事業の強化に着手しました。
「新規事業領域の開拓 」では、ノルウェー の太陽電池用シリコン
ウェーハ製造の NorSun AS への増資実行やブラジルでのバイオエタ
ノール生産の事業化推進等、新エネルギー開発への取組を強化する一
方、プラチナ等の希少金属への取組を開始しました。
また 「海外展開の加速 」として、海外人材の育成・強化と海外事業収
益拡大を主眼に置いた人員の配置を実施しました。
2009 年 3 月期の取組方針
既存優良資源案件の着実な拡張、及び新規事業投資による保有権益の
積み増しを行っていくとともに、米国天然ガス事業に続く新規 M&A
案件の発掘・具現化に注力することで、トレードビジネスの拡大を推
進し、コアビジネスの強化を図っていきます。また、新エネルギーの
太陽光発電事業〔金属資源・石炭部門〕
当社は太陽電池用ウェーハ製造会社である
NorSun 社( ノルウェー)への増資に続き、同社の
兄弟会社で太陽光発電システムインテグレーター
の Scatec Solar AS 社への出資を決定、引続き太陽
開発においては、太陽光発電関連において、原料となるシリコン製造
光発電分野における川上分野から川下分野までの
事業への参画を推進し、川上から川下にかけてのバリューチェーン構
バリューチェーン構築に向けて取組を強化してい
築を推進し、バイオエタノール関連では、ブラジルでの事業化に向け
て、現地パートナーとの取組を加速させ、排出権関連では、トレード
に加えて、排出権創出事業への取組を強化していきます。
きます。
40
生活資材・化学品カンパニー
事業の概要と競争優位性
生活資材・化学品カンパニーは、住宅資材、紙・パルプ、ゴム・タイヤ
等の各種資材を取扱う「生活資材部門」と、基礎化学品、合成樹脂、合
繊原料、電子材料、医薬品等を扱う「化学品部門」の 2 部門から構成さ
れています。
生活資材部門では、
「住まいと暮らし」をテー マとしたバリュー
チェーンの構築・拡大を目指しています。住宅資材関連分野では、北
米における PrimeSource Building Products, Inc.(PrimeSource 社)を
中心とする事業会社群、国内における伊藤忠建材㈱をはじめとする事
業会社群が強力なネットワークを展開しています。紙・パルプ分野に
おいては、豪州等で展開している海外植林事業から、植林木 100% に
よる環境に優しいパルプ生産体制を整備している Celulose Nipo-
Brasileira S.A.
(CENIBRA 社)、紙製品の販売会社である伊藤忠紙パル
ディビジョンカンパニー
プ㈱に至るまで、幅広いバリューチェーンを構築しています。また、
広範な産業分野の素材(川上)から最
ゴム・タイヤ分野では、総合商社最大級の天然ゴム集荷・加工事業から、
終製品(川下・リーテイル)に至る一連
日・米・欧におけるタイヤ卸/小売事業に至るバリューチェーンを確
のバリューチェーンの中で、顧客ニー
立しています。
ズを捉えた事業展開を行っていくとと
化学品部門では、化学品の川上から川下までの広範なポートフォリ
オの実現と、各セグメントにおける良質な資産の積上げを基本方針と
もに、医薬・環境・新エネルギー 等、
し、基礎化学品から合成樹脂製品、電子材料、医薬品原料まで競争力
新規分野の開拓も積極的に進めていき
のある幅広い商品を取扱っています。グローバルな販売ネットワーク
を活かし、これら商品群のトレードを拡大するとともに、ブルネイで
ます。
のメタノール製造事業や、中国での合繊原料事業投資等、先行的な取
組も行っています。傘下に有する伊藤忠ケミカルフロンティア㈱、伊
生活資材・化学品カンパニープレジデント
藤忠プラスチックス㈱等の収益力のある事業会社群は、業界トップク
髙柳 浩二
ラスの収益力をもたらしています。
当期の事業環境と業績結果
北米住宅市況が、サブプライムローン問題の影響により急減速したほ
か、国内住宅市況も改正建築基準法施行の影響を受けて低迷しました。
また、原燃料高及び現地通貨高に伴う製造コストの上昇が収益の下押
し要因となりました。その一方、アジアにおける化学品需要の拡大、
当期純損益/セグメント別資産/ROA
(単位:十億円)
(単位:十億円/%)
25
3.5
20
15
原油価格高値推移に伴う化学品市況の高値安定、新興国のモータリ
1,000
5
3.7
3.1
2.7
800
4
600
3
2.1
10
400
2
5
200
1
0
04
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
0
0
(年3月期)
ゼーションを背景としたタイヤや合成樹脂の需要拡大等が追い風とな
りました。
当期における売上総利益は、主に北米及び国内の住宅資材需要減速
の影響により前期比 35 億円減の 1,226 億円となり、当期純利益は前期
比 51 億円減の 197 億円となりました。
生活資材・化学品カンパニー
41
当期の主な取組
「Frontier + 2008」の重要施策である「新規事業領域の開拓」では、環境
関連・ライフ & ヒューマンケア分野を中心に、新規事業領域の開拓を
推進しました。環境関連分野では、島根県との提携による水質浄化事
業や、総合植林事業を推進したほか、バイオエタノール事業への参画
を検討しました。ライフ&ヒューマンケア分野においては、中国医薬
卸業への出資などを通じ、医薬事業の強化を行いました。
「海外展開の加速」では、北米住宅資材分野において、米国の床材販
売会社 Galleher Corporation の買収等、M&A を含めた積極的な取組
を実行し事業強化を図りました。天然ゴム加工分野では、ゴム加工事
業会社の増産体制を確立。タイヤ分野では、ロシアにおいて川下分野
の開拓を推進しました。また、Sumika Polymer Compounds Europe
PrimeSource 社〔生活資材部門〕
PrimeSource Building Products, Inc. は全米屈
指のネジ・釘卸会社です。全米及びカナダに 35 カ
所の物流拠点を有し、大手ホームセンター中心に
住宅資材の販売を行っており、従業員は約 1,000
人を数えます。
Limited を買収し、欧州市場における自動車用途向け樹脂コンパウン
ディビジョンカンパニー
ド事業の事業基盤も強化しました。インドでは、レジ袋製造最大手へ
の出資により、拡大するインドのレジ袋市場へ参入しました。中国で
は、寧波 PTA 工場が操業開始し、PTA の取扱 100 万トン体制を確立しま
した。このほか、ブルネイでのメタノール製造事業では、Brunei Shell
Petroleum Company Sdn Bhd とメタノールの原料となる天然ガスの供給
契約を締結、2010 年の商業運転開始を目指しています。
「コアビジネスの強化」では、ポートフォリオマネジメントによる安
定収益構造の実現を図りました。化学品全般、タイヤ、パルプを中心
に輸出・三国間トレード・海外地場ビジネスを拡大しました。また、伊
藤忠プラスチックス、伊藤忠ケミカルフロンティア等の化学品中核事
業会社の収益力強化を図るとともに、中近東を中心とした化学品や石
化プロジェクト等の川上案件を推進しました。
ブルネイ・ダルサラーム国メタノール製造事業
2009 年 3 月期の取組方針
〔化学品部門〕
2007 年 4 月に天然ガス供給契約締結、2008 年初めに
はプラント建設に着工し、2010 年前半の商業運転
「コアビジネスの強化」としては、1)事業会社の成長戦略の推進と事業
取込収益の拡大、2)北米住宅資材関連分野における M&A を含めた成
3)世界的なパルプトレードの拡大、
4)タイヤの販売ネッ
長戦略の推進、
トワークの強化と収益力の更なる強化、5)大型石化分野における事業
投資と収益確保、並びに 6)合成樹脂分野における海外事業強化とト
レード拡大に取組んでいきます。
「新規事業領域の開拓」としては、医
療関連ビジネスの強化及び環境・新エネルギー関連ビジネスを推進し
ていきます。
開始(年産 85 万トン)に向けて着実に準備が進んで
います。
42
食料カンパニー
事業の概要と競争優位性
食料カンパニーは、国内の事業基盤の強化・拡大と海外収益の拡大を
重点施策と位置付け、食品の安全・安心に対する管理機能の一層の高
度化を図りながら、食料業界のグローバルリーダーとしての地位確立
を目指しています。顧客ニーズを起点に川上(食糧資源開発・製造加工)
から川中(中間流通)
、川下(リーテイル販売)までを垂直統合し、効率
的な生産・流通・販売を図る SIS(Strategic Integrated System:戦略的
統合システム)が当カンパニーの基本戦略であり、川上から川下に至
るまで有力事業会社が SIS 戦略の強固な基盤を構築しています。
食糧資源分野では、リーテイル分野と密接に連携しつつ、北米、ア
ジア、豪州、南米等の既存供給拠点を有効活用し、販売ネットワーク
の拡充を図るとともに、海外原料供給拠点(北米の CGB Enterprise,
Inc. の穀物集荷事業等)を整備しています。
ディビジョンカンパニー
製造加工分野では、国内においては伊藤忠製糖㈱、伊藤忠飼料㈱等
食糧資源の開発から原料供給、食品の
を中心に、海外においては、中国におけるアサヒビール㈱及び頂新国
製造、流通、リー テイルに至るまで、
際集団との提携による清涼飲料製造事業や、インドネシアにおける、
食料全般に渡る事業領域において SIS
はごろもフーズ㈱との水産缶詰事業等、戦略的提携を駆使し、事業を
戦略をグローバルに推進・展開してい
拡大しています。
中間流通分野では、伊藤忠食品㈱及び㈱日本アクセスを中心に国内
き、世界の食料業界のリーディングカ
最大規模の食品卸事業を展開しています。また、伊藤忠フレッシュ㈱
ンパニーを目指していきます。
やユニバーサルフード㈱による生鮮事業、外食市場における流通事業
にも注力しています。
食料カンパニープレジデント
リーテイル分野では、㈱ファミリーマートや㈱吉野家ホールディン
田中 茂治
グスを中核として、SIS 戦略の起点となる顧客ニーズを川中・川上にタ
イムリーに伝達する体制を構築しています。このほか、ユニー㈱との
業務提携も推し進めています。
当期の事業環境と業績結果
食料業界では、相次ぐ偽装表示や賞味期限改ざんに加え、中国産食品
問題等により食の安全・安心に対する消費者の信頼が大きく揺らぐ 1
年となりました。また、少子高齢化に伴う需要の縮小や供給過剰に伴
い、競争環境は激化の一途をたどり、業界再編が加速しました。加えて、
当期純損益/セグメント別資産/ROA
(単位:十億円)
川上(原料、燃料)のインフレと川下(消費者物価)のデフレ傾向も継続
(単位:十億円/%)
60
1,200
12
40
800
8
20
2.6
1.9
2.0
1.7
0
△1.3
–20
04
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
400
4
しました。その一方、中国及びアジア諸国では個人消費の堅調な推移
が見られました。
当期の売上総利益は、主に日本アクセスの通期連結化や食品流通分
野における国内事業会社の収益力強化、食糧原料分野を中心とする海
外収益拡大により前期比 600 億円増の 3,247 億円となり、当期純利益
0
0
は、国内株式相場下落による減損や一部事業会社での固定資産・投資
–4
有価証券の減損等が発生するも、食糧原料分野における海外収益の増
加や食品流通分野での収益増等により前期比 6 億円増の 187 億円とな
(年3月期)
りました。
食料カンパニー
43
当期の主な取組
当カンパニーでは、対日・国内 SIS 戦略の継続推進とグローバル SIS 戦
略の加速を軸に、
「Frontier + 2008」の重要施策である「新規事業領域拡
大」
「海外展開加速」
「コアビジネス強化」に取組みました。
対日・国内 SIS の取組としては、㈱日本アクセスと西野商事㈱の統合
を完了し、全温度帯食品を全国規模で展開できる国内トップクラスの
食品流通網を構築しました。市場拡大が顕著な中食・惣菜分野では、
カネ美食品㈱の株式を取得するなど、食品流通・小売分野の強化を図
TBP(タイベストパッカー)社〔生鮮・食材部門〕
りました。また、ユニーグループとの業務提携の一環として「からだ
食料資源の確保及び生産地の集中リスクを避ける
スマイルプロジェクト」を立ち上げ、メーカー・流通・小売の三位一体
ため、当社関連会社のプリマハム㈱と共同で、タイ
開発による高付加価値商品の開発と、小売の障壁を越えた販売を実現
にアジア最大級の最新鋭食品加工工場を設立いた
しました。同工場は日本の農林水産省より家畜家禽
しました。畜水産用飼料の需要増加に対応すべく BASF ジャパン㈱
類と偶蹄類加工の認可を受けており、国内・海外工
の機能性飼料部門を買収し、2007 年 12 月に同製品の製造・販売事業
場で培った技術・ノウハウを結集させ、安全・安心を
追求したレイアウトと最新設備を備えた工場です。
ディビジョンカンパニー
を継承する新会社・日本ニュートリション㈱を設立。更には、国産農
産物の卸売・販売会社として㈱アイ スクウェアを設立、JBAC(日本ブ
ランド農業事業協同組合)との業務提携により、国産野菜・果物の生産
及び販売拡大に向けた取組を推進しました。
グローバル SIS の取組としては、中国における清涼飲料製造事業の
収益拡大が進んだほか、北米の CGB Enterprises, Inc. によるコーン穀
倉地帯・中西部にある集荷業者 2 社の買収により、米国穀物集荷物流
事業の強化を実現しました。また、中国・タイに最新鋭の畜産加工工
場を設立し、同国における畜産加工事業の拡充を図りました。
2009 年 3 月期の取組方針
食料業界のリーディングカンパニーとして、対日・国内 SIS 戦略及びグ
ローバル SIS 戦略の加速推進、及び付加価値事業の創出・収益化に取組
CGB(Consolidated Grain & Barge)社〔食糧部門〕
当社の関連会社である CGB Enterprises Inc. は米
国中西部 60 カ所に点在するエレベーター群、艀オ
むほか、グループ経営の構造改革を推進し、強固な収益基盤の確立を
ペレーションを通じ、安定的な穀物の集荷・供給を
目指していきます。また、グローバル人材戦略の推進やリスクマネジ
行っています。同社は農業周辺サービスを提供す
メントの強化、そしてコンプライアンスの遵守徹底と食の安全・安心
に対する取組にも注力していきます。
ることにより農家との強固な信頼関係を構築して
おり、また各集荷拠点を有効活用した物流事業も
行っています。
44
金融・不動産・保険・物流カンパニー
事業の概要と競争優位性
当カンパニーは、金融・保険、建設・不動産、物流の 3 事業部門から構
成されており、ファンド(証券化)
・リーテイル(消費者)
・海外ビジネ
スの強化を成長の軸に置きながら、中核事業会社を中心に収益の拡大
を目指しています。
金融・保険部門における金融関連では、
「金融市場営業」
「法人ソ
リューション」
「リーテイル」の 3 分野でビジネスを展開しており、長
年蓄積してきた豊富な経験と実績を武器に、商社の特徴を最大限に活
かした取組を進めています。保険関連では、保険仲介業を中核に、再
保険から仲介までを国内外のネットワークで幅広くカバーしていま
す。建設・不動産部門では、不動産証券化ビジネス・分譲マンション
等の不動産開発・コンサルティング・仲介・PFI 事業・資機材の取扱い等、
総合商社機能を活用した広範なビジネスを展開しています。物流部門
ディビジョンカンパニー
では、国内外における物流ソリューション事業、物流インフラ事業を
3 つの事業部門それぞれが、業界にお
展開しています。中国では、国内物流と国際物流を連携させ、中国全
ける強みと商社ならではの総合機能を
土をカバーするワンストップサービスを提供しています。中核事業会
活かしつつ、時代のニーズを捉えた創
社である㈱アイ・ロジスティクスは商社系物流会社の中でも最大の売
造性豊かなサービスを提供し、収益拡
大を目指します。
上規模を有しています。
当期の事業環境と業績結果
2008 年 3 月期は当カンパニーにとって大きな環境変化の起きた年で
金融・不動産・保険・物流カンパニー
プレジデント
した。投資ファンド・不動産証券化等の分野で市場参加者の裾野が拡
岡田 賢二
大したこと、新興国を中心に物流の国際化へのニーズが増加したこと
等が追い風となった一方で、米国のサブプライムローン問題を端緒と
した信用圧縮、貸金業法改正の影響等、楽観を許さない状況が続いて
います。
当期の売上総利益は、長期開発不動産案件の販売方針変更に伴う売
却損/評価損の計上等により前期比 19 億円減の 414 億円となりまし
た。当期純利益は金融関連事業の大幅改善により前期比 391 億円増の
108 億円となりました。
当期の主な取組
当期純損益/セグメント別資産/ROA
「Frontier + 2008」の重要施策に基づき、ファンド(証券化)ビジネス、
(単位:十億円)
(単位:十億円/%)
100
800
20
50
0.9
2.3
1.6
0
△5.0
–50
–100
△11.6
04
05
06
当期純損益(左軸)
セグメント別資産(右軸上)
ROA(%)
(右軸下)
07
08
400
10
リーテイル(消費者)ビジネス及び、海外ビジネスの強化を図りました。
ファンド(証券化)ビジネスでは、プライベート・エクイティ
(PE)ビジ
ネス及び、不動産証券化ビジネスに軸足を置いた展開を推進しました。
0
0
PE ビジネスでは、中華圏メザニンファンドをはじめとする海外取組を
–400
–10
推し進め、収益拡大を図りました。不動産証券化では、当社がメイン
–800
–20
(年3月期)
スポンサーである賃貸住宅特化型 J-REIT:アドバンス・レジデンス投資
法人との連携を強化するとともに、商業・オフィス等、他分野の取組を
拡大し、ポートフォリオの分散を進めました。海外では、シンガポール
金融・不動産・保険・物流カンパニー
45
の Mapletree Investment Pte. Ltd. との相互成長を目指して、業務提携
の期間延長、及び提携内容の強化を行いました。
リーテイル(消費者)ビジネスでは、金融分野において貸金業法改正
を契機とした市場環境変化への対応に努め、同法改正の影響を大きく
受けた㈱オリエントコーポレーションについては、経営改善策が一定
の成果を得ました。また、ファミマクレジット㈱が、カルチュア・コ
ンビニエンス・クラブ㈱の出資を受け入れ、新規クレジットカード
「ファミマ T カード」の発行を開始しました。この他、国内投信投資顧
問会社への出資を行い、個人金融資産の取込に向けた足場を築き上げ
ファミマ T カード〔金融・保険部門〕
ました。保険分野では、市場ニーズに合致した商品組成に取組むとと
当社は㈱ファミリーマートと協同して、ファミマ
もに、グループの幅広いチャネルを通じた拡販に努めました。
クレジット㈱でのクレジットカード事業に取組ん
海外ビジネスでは、重点地域をアジア・中国と定め、新たな人員を
配置するとともに、PE ビジネス、建設・不動産、保険仲介及び再保険、
BRICs 諸国での物流事業等を通じ、収益の拡大を図りました。
でいます。
同社は 2007 年 11 月より、異業種間共通ポイン
トプログラム( T ポイント)を導入した『ファミマ
T カード』の発行を開始しました。
ディビジョンカンパニー
上記重要施策以外では、保険・物流分野でのリスクテイクビジネス
の強化として、再保険ビジネスの拡大、商社伝統の海運ビジネスにお
ける海外有力パートナーとの船舶共同運航の拡大等に取組みました。
2009 年 3 月期の取組方針
金融・保険部門の金融分野では、PE ビジネスを中心としたファンド(証
券化)ビジネスの強化、並びにローン関連ビジネスの再構築、金融市場
営業分野における機能/収益力の強化と海外拠点の再構築、クレジッ
トカード事業戦略並びにリーテイル分野におけるビジネスパートナー
戦略の推進・拡大を進め、保険分野では引受業務の取組推進、海上・海
外・貿易保険での提携ブローカーとの連携推進等による収益力の強化
に注力していきます。
建設・不動産部門では、不動産証券化ビジネスにおける収益規模拡
アイ・ロジスティクス社〔物流部門〕
(写真は板橋倉庫)
物流部門の中核事業会社である㈱アイ・ロジス
大や、新規分野・エリアの強化、及びポートフォリオ分散に取組むと
ティクスは、国際フォワーディング事業から物流
ともに、海外事業強化、並びに新規分野の開拓を通じ、不動産市況の
センター事業までを行う、国際総合物流企業です。
影響を軽減する事業構造の構築に努めていきます。
物流部門では、自動車関連物流など、商社の強みを生かした商物一
体型のバリューチェーン展開を進める一方、部門横断取組みにより、
特に海外物流インフラなどのプロジェクト推進を図っていきます。ま
た、海運分野における船舶共同運航などのスキーム物流ビジネスの深
化にも取組んでいきます。
46
総本社
当社は、ディビジョンカンパニー制の採用により、経営の機動性を高める一方で、
全社横断的な横串機能を担う分掌役員を、営業・経営企画・経営管理・海外それぞ
れの分野に設けており、総合力を最大限に発揮していく取組を進めています。
営業分掌
横田 昭
営業分掌役員 「Frontier+ 2008」で推進する全体利益の最大化に向けたカンパニー
横断的な取組を一元的に統括・推進する組織が、営業分掌役員を
トップとする「ライフケア事業推進部」
「先端技術戦略室」
「開発戦略
室」の総本社開発部署です。
ディビジョンカンパニー
「Frontier+ 2008」においては、未来の収益を支える「L-I-N-E-s」
を新規事業領域の開拓における重点分野としています。その各分
、Infrastructure
野である Life Care〔医療関連・健康関連ビジネス〕
〔機能インフラ(IT ・ LT ・ FT)/社会インフラ関連ビジネス〕
、New
〕
、
Technologies & Materials〔先 端 技 術(バ イ オ・ ナ ノ 他 )
Environment & New Energy〔環境・新エネルギー〕において、全
カンパニーの総力を結集し、持続的な高成長を果たしていくための
ベースとなる収益構造の構築を、全社横断的に図っています。
ライフケア事業推進部
少子高齢化社会の到来で拡大が予想される医療関連・健康関連のビジネス領域
で、新たなビジネス・市場の創出やカンパニー間の共同プロジェクトの立案や
運営、収益化に至るまでの取組を推進しています。
当部の戦略としては、医薬品・医療機器/材料の製造という川上から、病院・
調剤薬局という川下までの幅広い分野において、M&A や新規事業の立ち上げを
積極的に実行しています。
また、当部主管の子会社にはセンチュリーメディカル㈱があり、医療用機器・
資材の販売を行っています。
AED 普及で救命率向上に貢献
当社は AED(自動体外式除細動器)のトッ
プメーカー㈱フィリップスエレクトロニ
クスジャパンと販売に関し、業務提携契
約を締結しており、AED の普及による救
命率向上に貢献しています。
東京本社 1 階に設置の AED
総本社
47
先端技術戦略室
バイオ・ナノテクノロジーをはじめとした先端技術分野のシーズと市場のニーズ
をマッチングさせることにより、新たなビジネス領域の開拓と将来の収益源を生
み出すためのビジネス開発業務を推進しています。国内外の研究機関との戦略
望な先端技術シーズの囲込み、共同開発、共同マーケティング等のインキュベー
ションを実施し、商業化段階に入った案件を順次カンパニーへ移管しています。
再生医療分野へ進出
当社は、世界最先端の幹細胞(万能細
胞)関連技術を有する㈱リプロセルと
資本・業務提携を行いました。同社の
国内外への事業展開に協力していくと
ともに、将来的には再生医療、細胞治
療分野での事業展開を視野に入れ、同
社が必要とする技術開発に協力・支援
をしていきます。
㈱リプロセル白金研究所での細胞実験
開発戦略室
環境・新エネルギー、インフラ、消費関連といった戦略領域において、カンパ
ニー横断型、先行布石型案件の開発・営業支援を行っています。横断的取組の
一環として、地方自治体と協力協定を締結し、先端技術や地域振興等をテーマ
とする地域ビジネスを推進するとともに、中小企業向けのファンドを活用する
などして中小企業関連ビジネス等を推進しています。また、
「横断案件推進委員
会」の事務局として、
「L-I-N-E-s」分野を中心にカンパニーと連携した M&A の推
進等、横断的に取組むための幅広い活動を行っています。
地方自治体との提携
2007 年 10 月、当社発祥の地である滋賀
県と、先端技術分野を中心とする協力協
定を締結しました。先端技術分野の県内
中小企業・ベンチャー 企業や理工系大学
等の研究・製品開発・販路支援において、
当社の先端技術分野ビジネスのノウハウ
の活用や、新規ビジネスの創出を図るこ 提携会見にて
とを主目的としています。
(嘉田滋賀県知事と小林社長)
ディビジョンカンパニー
提携関係を活用した技術シーズの発掘やベンチャー企業への投資等を通じた有
48
経営企画
菊地 哲
経営企画担当役員 経営企画担当役員の傘下には、業務部、事業部、広報部、IT 企画部、
調査情報部、IR 室があり、主に全社経営計画の策定、戦略推進及び
支援を行っています。
「Frontier + 2008」では、重要施策である新規事業領域の開拓と
ディビジョンカンパニー
コアビジネスの強化、世界視点での人材戦略、財務体質の強化と
リスクマネジメントの進化、経営システムの強化と整備の実現に
向けて、総本社各部はもちろん、全カンパニーと一体となり、伊藤
忠商事のグローバルな戦略展開を強力に推し進めています。
全社的な経営計画の企画・立案及び推進
業務部が中心となり、全社的な経営計画の立案を行うとともに、全カンパニーの
経営企画部に対して戦略の遂行を指示・指導しています。また、経営資源の配分
や計画の進捗管理、業績評価、更にはグループ事業戦略及びモニタリングも行う
など、伊藤忠商事グループ全体の司令塔としての役割を担っています。
戦略推進の支援機能
広報部及び IR 室においては、グループ内外への各種コミュニケーションを通じ、
全社の経営戦略を側面から支援しています。IT 企画部では、IT 戦略の立案及び IT
インフラの整備を行い、伊藤忠商事のグローバル展開を情報システム分野から
バックアップしています。また事業部が、各カンパニーや国内外の事業会社が戦
略を推進していく上でのより実務的なサポートを担っています。
総本社
経営管理
49
渡邉 康平
経営管理担当役員 経営管理担当役員の傘下では、財務部、経理部、営業管理統括部、
リスクマネジメント部、人事部、法務部、総務部、CSR・コンプラ
イアンス統括部の 8 部体制を敷いています。
「財務戦略・リスクマネジメントの強化」をはじめ、
「内部統制の
戦略の推進」等を各部が主体となって推進しています。
財務戦略・リスクマネジメントの強化
財務部・経理部を中心に、主要財務指標の改善による格付けの更なる向上と、グ
ループ経営戦略を支える経営管理体制の強化に取組んでいます。
また、リスクマネジメント部を中心に、市場リスク・信用リスク・投資リスク等、
様々なリスクに対処するため、必要なリスク管理体制及び管理手法を整備、リス
クを総括的かつ個別的に管理し、その高度化に努めています。
内部統制、CSR 、コンプライアンスの強化
内部統制の強化に向けて開示委員会を中心に、財務報告を含む開示に関する内部
統制の方針・施策の検討・立案、有価証券報告書等の内容の精度確認を実施する
等、グループ全体の内部統制整備にあたっています。また、CSR・コンプライア
ンス統括部を中心に、CSR 活動やコンプライアンス強化に関する外部への理解促
進と社内への浸透を図り、積極的かつ主体的な CSR の推進とコンプライアンス体
制のより一層の充実に努めています。
世界人材戦略の推進
「世界人材戦略」とは、
「グループ全世界ベースでの全体最適を目指すための戦略」
です。世界各国における事業展開を積極的に進めるため、人事部内の世界人材・
開発室を中心に世界 4 拠点の世界人材・開発センターと、各カンパニーや海外に
おける人材戦略を有機的にネットワーキングさせて、グループ全体の人材力強化
にあたっています。
ディビジョンカンパニー
「コンプライアンス体制の強化」、
「世界人材
強化」、
「CSR の推進」、
50
総本社
海外分掌
丹波 俊人
海外分掌役員 「Frontier + 2008」はその副題を「世界企業を目指し、挑む」とし、
重要施策のひとつとして「海外展開の加速」を挙げ、世界で収益を
上げる真のグローバル展開を目指しています。
この推進体制を強化するために、2008 年 4 月に新たに海外分掌
ディビジョンカンパニー
役員を任命しました。
海外分掌役員は、海外地域代表者を指揮するとともに全社的な
海外市場戦略及び商品戦略を総括し、重点地域・注力地域を中心
に海外収益の更なる拡大・強化を目指していきます。
海外展開推進体制の強化
これまで経営企画担当役員の傘下にあった海外市場部を海外分掌役員の直轄組織
とし、海外分掌役員を中心にグループ内における海外での戦略的大型案件の具現
化を促進する体制を強化し、取組を加速しています。新しい海外市場部では、従
来の海外店支援・統括を中心とした業務に加え、各カンパニーの海外大型案件の
支援を積極的に支援しています。
重点地域・注力地域での重要施策
海外分掌役員を中心に、
「Frontier+ 2008」での重点地域である、北米、中国・アジ
アにおける、各カンパニーの既存事業の強化・拡大並びに事業投資案件の具現化
に向けた積極的なサポートを推進していきます。また、豊富な資源を有し経済規
模が拡大している国々や伊藤忠商事が他社と比較して優位性の高い国々を注力地
域とし、その地域における案件取組を推進・加速していきます。
世界人材戦略への支援
「Frontier + 2008」での人材戦略である「世界に人材を求め、育て、活かす」ことの
実行のために、海外市場部は人事部及び各海外拠点とも連携の上、
「世界人材」の
育成支援を推し進めています。
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