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21世紀の神 防災の落とし
避難勧告等を受けた際の判断と避難⾏動 兵庫県⽴⼤学 環境人間学部/⼤学院環境人間学研究科 木村 玲欧 2014年12月13日 神⼾市⼟砂災害対策セミナー 21世紀の神⼾防災の落とし⽳ ①「神⼾を知らない」神⼾市⺠ →新住⺠を中⼼に神⼾の⾃然条件・⼟地開発・歴 史災害を知らない ②「21世紀災害を知らない」神⼾市⺠ →内陸地震災害以外の海溝型地震災害や風⽔害・ ⼟砂災害を知らない ③「⼟砂災害対応を知らない」神⼾市⺠ →地震時災害対応との共通点・相違点を知らない 1 航空 写真 帝釈・丹生山系 六甲山系 神⼾市建設局資料(第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 神戸市域の概観 神⼾市建設局資料(第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 2 1938年(昭和13年6月下旬-7月上旬)阪神大水害 7月3日~5日にかけて総雨量400ミリを超える記録的豪雨 死者・行方不明者925人(うち神戸市616人)、負傷者3,393人、流出・ 埋没家屋1,753戸、全壊家屋2,905戸、半壊家屋4,465戸、床上浸水 家屋152,060戸、人的・家屋被害は神戸市およびその周辺(武庫郡住 吉村・本山村など)に多く、耕地・農作物被害は淡路島に多かった。 真砂土で構成される六甲山地 が、豪雨に伴い土砂を含む濁 流の流出が被害を拡大。崖や 擁壁の崩壊が多発したため、 市街地建築物法が改正。 『日本歴史災害事典』より 「禍福無門」昭和⼗四年⼗二月 武庫郡住吉村建⽴(現神⼾市東灘区住吉学園) 3 被害減少 砂防堰堤などの効果 昭和42年までの完成 砂防堰堤 174基 流路工 9ヶ所 護岸工事 7ヶ所 床固め工 5基 神⼾市建設局資料(第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 神⼾市の⼤雨の特徴 神⼾市の⼤雨は、瀬⼾内 の⻄よりの風と紀伊⽔道 から入る湿った南よりの 風が収束することで雨雲 が発生しやすく、加えて 六甲⼭地による地形効果 で、雨雲が発達して⼤雨 となる特徴がある。 前線が南下し⼤雨をもたらせる場合の模式図 現象別(または擾乱別) では、梅雨前線や秋雨前 線など停滞前線による⼤ 雨が最も多く、次いで台 風や台風に影響を受けた 前線による⼤雨が多い。 (地形図については、アメリカ地質調査所(USGS)のデータによりカシミール3Dで作成) 神⼾地⽅気象台 天満仁 氏 資料 (第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 4 ⼟砂災害が発生しやすい六甲⼭ 地形 急峻な地形 急な河川 地質 「風化花崗岩質」 (⼟⽯流が発生しやすい) 気候 南からの風が上昇気流 に変化(豪雨をもたらす) 神⼾市建設局資料(第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 21世紀の神⼾防災の落とし⽳ ①「神⼾を知らない」神⼾市⺠ →新住⺠を中⼼に神⼾の⾃然条件・⼟地開発・歴 史災害を知らない ②「21世紀災害を知らない」神⼾市⺠ →内陸地震災害以外の海溝型地震災害や風⽔害・ ⼟砂災害を知らない ③「⼟砂災害対応を知らない」神⼾市⺠ →地震時災害対応との共通点・相違点を知らない 5 1時間降⽔量50mm以上の年間発生回数(1000地点)について比較すると 年々増加傾向にある(全国的には10年あたり、21.5回増加) ) 気象庁ホームページより 1時間50mmの雨って? 1時間に50ミリ以上の 非常に激しい雨が降る おそれがあります。 連想できる? 雨⽔が別の 場所に流れ ない状態で 5cmたま ります 1m×1mつ まり1平⽅ メートルあ たり50 リットル分 の雨⽔です まわりの雨 ⽔があつま ると・・・ 気象庁資料 より 6 雨の強さと降り⽅ 最⼤1時間降⽔量 県名 地点 期日 mm 1 千葉 香取 153 1999/10/27 〃 長崎 長浦岳 153 1982/7/23 3 沖縄 多良間 152 1988/4/28 4 高知 清水 * 150.0 1944/10/17 5 高知 室戸岬 * 149.0 2006/11/26 6 福岡 前原 147 1991/9/14 7 愛知 岡崎 146.5 2008/8/29 8 沖縄 仲筋 145.5 2010/11/19 9 和歌山 潮岬 * 145.0 1972/11/14 10 鹿児島 古仁屋 143.5 2011/11/2 *:気象台等、無印:アメダス 気象庁ホームページより 平成26年台風第11号の事例 ⿊線:台風経路 矢羽根:風向風速 緑の棒:毎時降⽔量 赤線:海面気圧 ○:09時の位置 ●:21時の位置 平成26年台風第11号経路図(事後解析による確定値) 台風第11号経路と神⼾地⽅気象台での気象変化 7月29日にマリアナ諸島近海で発生した 台風第11号は、フィリピンの東海上を発達しながら 強い勢⼒となって日本の南海上をゆっくりと北上した。 8月10日6時過ぎに高知県安芸市付近に上陸した。その後も四国地⽅をゆっくり北北東に進み、 11時前に兵庫県南部に再上陸、近畿地⽅を北北東進して14時前に日本海に進んだ。 神⼾市では、 10日09時頃から12時頃にかけて⼤雨のピークとなった。 神⼾地⽅気象台 天満仁 氏 資料(第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 7 8月8日から10日までの降⽔量時系列 mm mm 8月8日 8月9日 8月10日 グラフの雨量は、神⼾地⽅気象台(中央区脇浜海岸通)と 有⾺川(北区有⾺町にある六甲砂防事務所管理)の雨量) 国⼟交通省HP「川の防災情報」より引用 ・今年の台風第11号の事例では、気象台の10km程度北東に位置する有⾺川雨量観 測所との雨量の違いが⼤きい。 ・台風による⼤雨のピーク時に気象台では45.5ミリ/hr、有⾺川では88ミリ/hr、期 間の総降⽔量も気象台では268ミリ、有⾺川では526ミリと2倍近くの違いがある。 ・これは地形的な影響が原因と考えられる。 ・同じ神⼾市内でも場所によって降り⽅が違うことがあることに注意が必要。 神⼾地⽅気象台 天満仁 氏 資料(第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 平成26年8月豪雨による広島市の⼟砂災害 1) 場所:広島市安佐南区、安佐北区 2) 発災日:2014年8月20日(⽔) 3) 被災概要(広島市) 死者74名、負傷者44名 全壊133⼾、半壊122⼾ 高瀬雨量観測所 (八木5丁目)(国交省所管) 最大24時間雨量:247.0mm 最大3時間雨量:187.0mm 最大時間雨量:87.9mm (広島県災害対策本部 2014年9月19日 16:00 第68報) ⼟⽯流107件、がけ崩れ59件 (2014年9月19日 7:00時点) 緑井・八木地区 国交省砂防部(2014年10月9日時点)平成26年8月豪 雨による広島県で発生した土砂災害への対応状況 8 砂防・地すべり技術センター 砂防部⻑ ⼭下 勝 氏 資料 (第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 砂防・地すべり技術センター 砂防部⻑ ⼭下 勝 氏 資料 (第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 9 砂防・地すべり技術センター 砂防部⻑ ⼭下 勝 氏 資料 (第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 砂防・地すべり技術センター 砂防部⻑ ⼭下 勝 氏 資料 (第1回神⼾市・⼟砂災害対策に関する有識者会議(2014年9月16日)) 10 21世紀前半は⼤災害時代 地球温暖化による異常気象+地震活動期 • これからを生きる人々にとって、地震や異常気象 による災害は「めったに起きないもの」ではなく 「頻繁に発生して、その度に命を脅かすもの」と いう認識を持つべき わがこと意識 • ⾃分たちに身近なこととして、⾃分たちに引き付 けて考えること • ある事柄について、それが⾃分たちに直接関係す ることでなくても、それが⾃分たちそのもののこ とのように意識すること 21世紀の神⼾防災の落とし⽳ ①「神⼾を知らない」神⼾市⺠ →新住⺠を中⼼に神⼾の⾃然条件・⼟地開発・歴 史災害を知らない ②「21世紀災害を知らない」神⼾市⺠ →内陸地震災害以外の海溝型地震災害や風⽔害・ ⼟砂災害を知らない ③「⼟砂災害対応を知らない」神⼾市⺠ →地震時災害対応との共通点・相違点を知らない 11 ⼤雨による主な災害 雨の降り⽅や降る場所 によって、もたらされ る災害が異なります。 土砂災害 土⽯流 谷や斜面の土・⽯・砂などが、豪⾬ や⻑⾬によって⼀気に流れ出す。 地すべり 比較的緩やかな斜面で、地中のすべ りやすい面がゆっくりと動き出す。 がけ崩れ 地中にしみ込んだ⽔分が土の抵抗⼒ を弱め、急激に斜面が崩れ落ちる。 ⼤雨 浸⽔害 内⽔氾濫 河川の⽔位の上昇や流域内の多 量の降⾬などにより、河川外に おける住宅地などの排⽔が困難 となり、浸⽔する。 ⾃分の地域で起こり得る 災害を、事前に把握して おくことが⼤切です。 洪⽔害 外⽔氾濫 内⽔氾濫の対語として、河川の 氾濫を「外⽔はん濫」ともいう。 上流の⼤⾬による川の増⽔や氾 濫にも注意を払う必要がある。 写真:国⼟交通省HP 熊谷地⽅気象台 北⽥ 繁樹 氏を一部改変 ⼟砂災害から身を守る3ステップ 1. 住む場所が、⼟砂災害危 険箇所かどうか確認する 2. 雨が降り出したら⼟砂災 害警戒情報に注意する 3. ⼟砂災害警戒情報が発表 されたら早めに避難する 12 兵庫県CGハザードマップ 縮尺1/40000 縮尺1/10000 風⽔害・⼟砂災害から身を守るには「事前避難」 「いつも」と違う! →すぐ避難体制 屋内2階(高層階) 避難所 ⼟砂災害等で家 そのものが危険 • • • • • 雨の降り⽅が、いつもと違う 雨が今後も降り続き、危険な状態になると予想される ⼤雨警報が発表されている ⼟砂災害警戒情報・記録的短時間⼤雨情報が発表されている 避難準備情報・避難勧告・避難指示が発表されている 13 ⼤雨=災害連想(おおあめ さいがい れんそう) • ⼤雨の予報・警報等がでたら、もしくは強い雨 が降りだしてきたら、即、災害の危険性を思い 出して、適切な⾏動をとる – ⼤雨の詳しい情報・被害の情報を待たない – 「あいまいな状況」でも判断・⾏動をする – 災害が起きなかったときは「逃げ損」ではなく「上 ⼿な危機管理」をほめる • 「⽔平避難」と「垂直避難」 – 河川の近傍、⼟砂災害の危険性が高いところは、早 い段階で⽔平避難(⽴退き避難)を⾏う – 河川の氾濫・⼟砂災害の危険性が⼩さい、⽔平避難 によってかえって生命身体に危険が生じる場合は、 垂直避難(屋内退避・屋内安全確保)を考える 「⽔平避難」と「垂直避難」 • 緊急的な安全確保⾏動には3つある – ⽔平避難(⽔平移動):その場を⽴ち退いて、近隣の安全 を確保できる場所に一時的に移動する – 垂直避難(垂直移動):屋内の2階以上の安全を確保でき る高さに移動する – 待避:⾃宅などの居場所や安全を確保できる場所に留まる • 道路冠⽔、破堤危険、夜間などの⽔平避難に危険な状 況のときには垂直避難を考える – – – – 河川の近傍 マンホール、側溝、⽔路 ⽔深50cm 流れのある⽔深20cm 絵は千葉県ホームページ 14 気象情報と対応・⾏動 気象庁(2014)⼤雨や台風に備えて 間違った・誤解した「特別警報」の考え⽅ よくわからない 情報たち =わからない から無視 記録的 ⼟砂災害 短時間 警戒 ⼤雨 情報 情報 新 1位 特別警報 無視してはいけ ない! 2位 陥落 警報 特別警報が出る までは安心! 注意報 無視してよい! 気にするな! 万年 最下位 でも1回来れば、 次は数十年後! たぶん何もない 大丈夫! 雷だけは 怖いかも… 15 間違い・誤解を解くために ⼤雨警報中に 地域名指し 重⼤な災害が起こるおそれ ただちに命を守る 特別警報 ⼟砂災害 警戒情報 記録的 短時間 ⼤雨情報 警報 警報 災害が起こるおそれ 注意報 情報を読み解く⼒を持つ ・TVを⾒ていたらデータボタンで⾃分が いる場所の情報把握 ・暴風警報・⼤雨警報で、既に命の危険! ・⼤雨特別警報→⼤雨警報に上乗せさせる 「切迫した危険」情報 ・記録的短時間⼤雨情報、⼟砂災害警戒情 報も⼤雨警報に上乗せされる情報 ・避難準備情報より強い避難勧告は危険信 号、もっと強い避難指示は「切迫した危 険」情報 ・既に外が危険な時は垂直避難! ・2階以上の斜面から離れた部屋! ・地下は危険 16 人間はリスク情報を素直に受けとらない リスク対応行動 排除 社会環境 バイアス メカニズム リスク情報 無視 個人 リスク情報の受容 リスク認知 (情報のゆがみ) リスク対応行動 広瀬弘忠(2006) 無防備な日本人より 正常性バイアス( normalcy bias ) たとえそれが危険な状況であっても、ちょっ とした変化ならば、それを「日常のこと」と して処理してしまうこと 人間は特に「ゆるやかな変化」に対して反応が鈍くなる! テロ 逃げ遅れる 津波 火災 豪雨 17 煙に気づいている にもかかわらず、 部屋を出ようとは しなかった 煙に気づく時間は ほぼ同じだが、 3人の⽅が外に出 るまでに時間がか かった 正常性バイアスは「必要な機能」 • 地球環境や社会環境などの様々な環境に 適応してきた人間にとって必要な機能 – ⼼の安定を保つ・過重負担を防ぐ – ちょっとした変化ならば「正常」の範囲内と とらえる – 気温・湿度、相⼿の声の⼤きさ・ピッチなど 毎日のゆらぎを「日常」としてとらえる – 平時においては、このお陰で我々は「日常」 を過ごしていくことができる 18 非常時に働く「正常性バイアス」が危険 異常を正常の範囲内のことと捉えてしまう錯誤 ⼼の安定を保つメカニズム 精神への過重負担を防ぐ 危険な状態に気づかない 2000年東海豪雨 人間は環境変化に 対して強い! 生命の危険をおび やかすような緊急 事態に即座に反応 できない! 死者10名、床上浸水27,180棟 Q)あなたは警報を聞いてどう思いましたか? たいしたことはない と気にとめなかった 警報どおり大雨や洪水 が起こるかもしれない と思った 9.7% 9.7% 雨はかなり降ると思ったが、災害 が起こるとは思わなかった 80.6% 西枇杷島町(N=144) 廣井脩編著(2004) 災害情報と社会心理より 19 2000年東海豪雨 死者10名、床上浸水27,180棟 Q)(軽視した人に)あなたはなぜそう思ったのですか? まさか自分の住むところが大被害 を受けるとは予想もしなかったから 81.5 今までこの地域はほとんど災害が なかったから 40.0 今まで何度も警報が出ていたのに、 災害が起こらなかったから 33.8 いざという時も何とか避難できると 思ったから 6.9 1.5 その他 0 20 40 60 80 100 西枇杷島町(N=130) 廣井脩編著(2004) 災害情報と社会心理より さまざまなバイアス ・同調性バイアス( conformity bias ) 「⾃分が思い違いをしているのかも」「変な⾏動をとりたくない」 ・同化性バイアス( assimilation bias ) 「まさかあれが、事態を引き起こす原因になるとは思わなかった」 ・楽観主義的バイアス( optimism bias ) 「まあ⼤したことにはならないだろう」 ・バージン・バイアス( virgin bias ) 「何だかよくわからない」(未経験なのでわからない) ・専門家バイアス( expert bias ) 「今までだってうまくやって来られたのだから、きっと⼤丈夫」 20 狼少年効果(誤報効果)( false alarm effect ) たび重なる誤警報の結果、警報や警告が信頼されなくなる ・非常ベル ・⼤雨洪⽔警報 ・津波警報 1982年⻑崎⽔害 死者299名、全半壊1,538棟、被害総額17,909棟 ・7月11日から22日までの12日間に、4度の⼤雨・洪⽔警報発令→被害なし ・地元気象台は23日夕⽅「⼤雨・洪⽔警報、強風・雷雨・波浪注意報」を発令 ・23日夕刻から24日未明にかけて豪雨(午後7時からの1時間で日本観測史 上最高の187mm(⻑与町役場)を、午後7時からの3時間で366mm(⻑ 崎⼟建)(日本観測史上3位)を記録した。 ・避難の呼びかけを受けた人の避難率は27.3%だった。 広報ぼうさい No.27(2005) さまざまなバイアスをどう乗り越えるか 1.バイアスは必ず生じることを理解する ・本人にとっては無意識のもの=気づかない ・バイアスそのものを認識しようとするのではなく、それぞれの状況に おいて「バイアスがかかっているのではないか」とチェックする 2.状況と⾏動をパッケージ化する(⾏動のパッケージ化) ・危機的場面について「この状況のときにはこうする」という事前⾏ 動計画を作っておく 例:警報ベルが鳴ったらどんなときでも、必ず現場を確認する ・訓練などを通して、⾃動的に体が動くようにしておく 3.機先を制して場の主導権を取る ・「なにもしない」という同調性バイアスを働かせない ・機先を制した⾏動・声がけによって、場の主導権をにぎる 21 マニュアルは、 作るためにあるのではなく、 使うためにある! • 紙1枚のマニュアルでもよいので、あるテーマについて、組織・体制、指 揮・調整、具体的な活動、活動に関する資源・情報のやりとり、協⼒およ び連携などについて、マニュアルにする。 • マニュアルにした後は、そのマニュアルを訓練で実際に使ってみて、良 かった点、改善すべき点などを明らかにした上でマニュアルを改訂する。 神⼾市消防局(2014) 災害時に組織的な活動ができる⾃主防災組 織へ〜阪神・淡路⼤震災20年へむけて〜 22 … 訓練は「定食メニュー」でよいのか 1. 避難勧告に対応する訓練 2. ⼤雨から「身の安全を守る」ための⾏動に移す訓練 • ⽔平避難か垂直避難かを判断する訓練 • 避難所への⽔平避難訓練 • 時間帯による避難訓練 3. 安否確認・被害確認 4. 救護・救出・搬送訓練 5. 要援護者に特化した安否確認・搬送訓練 6. 避難経路確認訓練 7. 応急復旧・二次災害防⽌訓練 8. 帰宅等に関する訓練 9. 浸⽔・洪⽔に対する対応訓練 10. 炊き出し等に関する訓練 11. 備蓄品・装備品の使用訓練 12. 避難所運営協⼒に関する訓練 13. 地域災害対応協⼒に関する訓練 ・・・・・・ 23 訓練には「継続性」と「発展性」が重要 継続性によって「わがこと意識」を維持する ・年間計画の中に「防災訓練をする日」を位置づける 例:国や⾃治体の「防災訓練の日」と連動させる(9月1日防災の日 、11月5日津波防災の日、1月17日防災とボランティアの日) ・様々な地域・組織の⾏事に「防災訓練の要素」を組み込む 例:祭りや運動会に防災⾏動につながる要素を入れる 防災運動会、祭りを利用した設営・炊き出し訓練、防災まつり 発展性によって「わがこと意識」を向上させる ・前年度とは「違う内容」に焦点をあて、その内容をテーマとしたマニ ュアルの整備・訓練を通した点検を⾏う 例:初期対応、安否確認、消⽕、救助救出、要援護者、情報伝達・・・ ・他の地域・組織の⾏事の「真似できそうな実践」を組み込む 例:講演会・ホームページなどでアンテナを張って情報収集する 「安全・安⼼は⾃分たちで作るもの!」 災害・犯罪という非日常をいかに乗り越えるか →「その場しのぎ」では対応できない 「普段やっていることさえ、なかなかうまくできない。ましてや、普段やって いない・考えていないことなど、できるわけがない」 →これまでの知恵・教訓を学び、⾃分たち (⾃分の学校・地域・家など)の弱いと ころ、学校・地域・家で起こりうる問題 を知ることで、対応⼒・応用⼒を上げて いく 「あわてない」 24