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詳細はこちら - 日本鉄道広告協会
現在、全国には、大小含め約 160 基の大型ビジョンが設置されています。今回は、大型 ビジョンの運営会社3社をお訪ねし、開発の経緯や運営方式等についてお聞きしました。 お訪ねしたのは、大型ビジョンのパイオニアである新宿アルタビジョンを運営する㈱スタ ジオアルタ様、日本最大級のLEDビジョンであるユニカビジョンを新宿で運営する㈱ユ ニカ様、渋谷109フォーラムビジョンや原宿アストロ、有楽町マリオンビジョンを運営 し、業界団体である一般社団法人日本パブリックビューイング協会の代表理事をされてい る㈱パス・コミュニケーション様です。 11 月 12 日(金)にお聞きした内容を掲載しています。 【お話をお伺いした皆様】 ㈱スタジオアルタ メディア事業部長 能勢潤様 メディア事業部兼ネットワーク事業開発室 担当部長 福田由美様 メディア事業部 主任 大東克彦様 ㈱ユニカ 取締役金融担当部長 PR事業部 事業部長兼務 三木博史様 PR事業部企画制作課長 梶田倫之様 PR事業部営業課長 石塚 朗様 ㈱パス・コミュニケーションズ 営業本部営業部リーダー 永井学様 【聞き手】 公益法人日本鉄道広告協会 技術開発委員会副委員長 ㈱スタジオアルタ 五味一幸 委員 吉田勝広 委員 徳光郁夫 http://www.studio-alta.co.jp/ 新宿アルタビジョンは、1980年、㈱三越と㈱フジテレビジョンが共同で設置した日 本初の大型ビジョンで、今年で 30 周年になります。設備の導入に当たっては、「革新的な ものを」と、当時先進的と言われていたアメリカの屋外広告を見て歩き、日本で第1号、 世界発のハイビジョン放映可能なビジョンとして設置しました。事業としては、多角化戦 略の一環で実施したもので、事業成立を考えて、費用対効果を見ながら展開しました。 お客様の状況は、長期掲出から短期の販促プロモーションに変化しています。アルタビ ジョンの前にある「ステーションスクエア」での生中継など一日だけのイベント使用や、 時間指定でのスポット掲出が多くなっています。特に、生中継は、人が滞留するスペース が必要ですが、新宿、渋谷や六本木等のビジョンをセットした「大型ビジョンライブネッ トワークサービス」を展開しています。 放映時間については、テレビ素材に合わせて 15 秒、30 秒にしています。これにより、 テレビコマーシャルと同じ素材が回せるという利点があります。アスペクト比については、 16:9ですが、4:3にも対応しています。現在のところ、クライアント様が制作され るテレビコマーシャルのHDカム素材は、4:3が半分以上であり、まだ、16:9の方 が尐ない状態です。来年7月のデジタル化に向けて16:9を制作するクライアント様が 増えていますが、現状では費用対効果を考え、4:3が主流と言えます。出稿状況を見ま すと、大型ビジョンは、テレビのスポットとセット商品として利用されている場合が多く、 4:3での掲出が多く見られます。 当社では、アルタビジョンだけを販売することもありますが、5年前から首都圏だけで なく、地方のビジョンとセットして販売しています。やはり、クライアント様は、東京、 大阪など7大都市のビジョンとのセットで掲出を希望されます。選択のポイントは、①タ ーゲットに合わせたビジョン②地域での人気③設置場所の人通りの多さであり、全国16 0箇所のビジョンから選択していただいています。 全国ビジョンをセットする上で、画質、サイズ、アスペクト比、審査基準等の標準化の 必要性を感じています。著作権問題、総務省の取組み、放送事業、有線法等業界全体とし て取り組む課題があります。当社としては、大型ビジョンのパイオニアとして、全国の大 型ビジョンのキーステーションとして情報を発信したいと考えています。 私どもは、交通媒体とのセッティングも考えています。自宅でテレビを見て、アルタビ ジョンで接して、またテレビで接触する、というサイクルに、駅や電車での接触を加える ことでより効果を高めること可能です。現在でも、一部の交通広告媒体と連動して販売す ることもあり、今後とも、鉄道広告と連携していきたいと思います。 ㈱ユニカ 会社サイト http://www.yunika.co.jp/ ユニカビジョンサイト http://www.yunikavision.jp/ ユニカビジョンは、今年4月に放映を開始した新しい街頭ビジョンです。新宿東口駅前 の当社所有のユニカビルの壁面に 100 ㎡のハイビジョン画面が3面と 52mの文字放送から なる日本最大級の大型街頭ビジョンを設置しています。 屋外メディア事業は当社にとって新しい挑戦でした。新宿という場所にふさわしいビジ ョンの計画を具体化するために、ラスベガスの施設をはじめとする世界各国の街頭ビジョ ンをリサーチして検討を重ねました。特徴的な意匠や視認範囲などの機能性、技術的にも 実現可能であるものとして、ビル壁面の曲面を使って大型の3面のビジョンを導入して今 のユニカビジョンが誕生しました。インパクトのある外見だけでなく、映像表現や情報発 信の手法やオリジナルコンテンツといったこだわりが随所にあります。 まずは映像の美しさです。LEDの採用については、赤見電機様と日亜化学工業様のご 協力を得て 10mm ピッチのLEDを採用しました。設置検討当時、屋外ビジョンの画像は 25mm程度が一般的でしたが、ハイビジョン化が進むことを見据えて、映像の再現力、色 の表現力に秀でた 10mm ピッチ表面実装型の高性能LED表示機であることにこだわりま した。世界でも高水準と言われる日本製の LED による安定した発色は、日照時でも美しい 色を再現し迫力ある映像放映を可能にしています。 次に日本初となる3面連動の映像表現も大きな特徴です。3面同一の映像、3面が異な るマルチ映像、3面1体の映像が可能です。これにより映像のインパクトが増すとともに、 広告をご出稿いただくクライアント様のニーズにもお応えできると考えています。この技 術の実現の為には、完全に同期する技術や、複数のビジョンの編成、運用を行うための独 自システム開発も行いました。 オリジナルコンテンツについては、地域特性を考え、楽しく役立つ情報としてシネマ映 像やイベント情報、ファッション情報などを企画・放映しています。こうした日々のオリ ジナルコンテンツ以外にも特別企画として、今年7月に実施した「映画『インセプション』 ジャパンプレミアム」や8月の「お台場合衆国『めざましライブ』生中継」等のリアルタ イム映像を毎月のように企画しています。また、全長 52m の文字放送ではニュースや天気 予報、地域情報を提供しています。 さらに、放映内容を充実させるために、クライアント様の CM や当社のオリジナルコン テンツに幅広く活用できるリアルタイムシステムの導入も行っています。例えば、映画情 報コンテンツでは作品映像とともに流れる各映画館での次回の上映時間までのカウントダ ウン。放映素材に最新の情報を追加することで、CM やオリジナルコンテンツの内容や表 現の新たな可能性を引き出せると考えています。こうした技術も積極的に取り入れている のです。 ユニカビジョンのある新宿東口周辺は、本当に多くの人が様々な目的で訪れる場所です。 最近では海外の方も多く見かけます。そうした中でも皆さんが楽しいと感じてくれるよう なオリジナルコンテンツの放映を今後も企画したいと思います。地域のランドマークとし て、新しい屋外映像メディアとして、ユニカビジョンを認知していただけるように運営し てまいります。 ㈱パス・コミュニケーションズ http://www.pas-com.co.jp/ ㈱パス・コミュニケーションズは、昭和 10 年創業の広告会社である株式会社アドエー社 を平成 20 年に吸収合併して設立しました。自社映像メディアとしては、1991年に設置 した「原宿アストロ」 (原宿・表参道)をはじめ、 「109フォーラムビジョン」 (渋谷駅ハ チ公口) 、 「マリオンビジョン」 (有楽町マリオン壁面)の都内3ヶ所で街のランドマークと なる大型ビジョンを運営しています。映像コンテンツの制作・配信・表示まで、全てワン ストップで行う「オペレーションセンター」も開設し、自社運営メディアだけでなく、他 社の大型ビジョンのオペレーション業務も委託されています。 最近では、自社メディアだけでなく全国の大型ビジョンをネットワークして販売するこ とも多く、メディアレップ(媒体社と広告代理店との仲介)業務が中心となってきていま す。現在、広告代理店は、大型ビジョンを単体で扱うというより、テレビの補完媒体と位 置づけ、全国の大型ビジョンをパッケージにして販売しているので、当社のレップの比率 は高まってきています。 大型ビジョンについては、クライアント様からの認知も上がる一方、放映する広告の認 知率を求められことが多くなってきました。大型ビジョンはサーキュレーションの算出基 準が曖昧で、事業者ごとに異なった基準を採用しているのが現状です。クライアント様か ら要請があった場合、ビジョンにカメラを設置し、15 秒フレームの中で、何人通過したか 視聴可能人数を提出したこともあります。大型ビジョンは、大画面によるインパクトある 広告表現が可能であり、先進性は評価されているものの、リーチメディアとして広告効果 の測定など、データ整備を行わなければならない状況になっています。 一般社団法人日本パブリックビューイング協会として最近の状況をお話すると、映像機 のリニューアル時期を迎える事業者も多く、この機会に合わせてアスペクト比を4:3か ら16:9に変更し、ハイビジョン化に対応できる媒体が増えております。しかし、一方 では多額の設備投資を伴う大型ビジョン事業は、立地条件によって広告収入に大きく差が 生じるため、映像機の劣化とともに事業を撤退する会員が出ているのも現状です。 鉄道広告に目を転じると、デジタルサイネージ化が加速してきています。映像について も、縦位置での動画、フラッシュ画、横の動画と進化してきており、大型ビジョンとのコ ラボも考えられます。現在、渋谷駅ハチ公前では、クライアント様の要望もあり、当社の 「109フォーラムビジョン」も含め4つのビジョンを活用して同時刻同時放映を行うこ とにより空間ジャックを演出し、かなりの広告効果をあげています。このため、大型ビジ ョンは、鉄道広告同様リーチメディアであり、生活動線メディアとして、駅メディアから 連続するメディアとしてのパッケージプランを企画することも命題だと考えます。