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岩手県農林水産部

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岩手県農林水産部
平成 19 年3月
岩手県農林水産部
巻頭にかえて
本県の農林水産業が長い低迷から脱し、国内外の産地間競争に打ち勝つには、本県ならで
はの産品等の開発など差別化戦略が必要です。
平成14年に成立した知的財産基本法を受けて、それまでの特許、実用新案、意匠、商標
といった産業財産権の他に、農林水産分野で関連の深い品種等の育成者権も明確に位置づけ
られました。
これらは、模倣品等からの保護を図るのみでなく、権利化してその実施料を確保すること
による製品開発サイクルの導入や、公開特許等を活用した高度製品の開発、地域ブランドの
強化など、積極的な活用の鍵となるものです。
本県では、政策形成プロジェクト事業いわて農林水産知的財産立県確立事業の中で、平成
16年11月に岩手県農林水産知的財産相談センターを岩手県農業研究センター内に設置し、
専門アドバイザーによる農林水産分野の知的財産にかかる普及啓発、相談対応を行ってまい
りました。
この2年半で約5千人の農林水産業者に知的財産の普及啓発をすすめ、600人以上の方
が相談に訪れ、実際に商標、実用新案等の権利の出願と登録がなされております。
今後は、農林水産業者の具体的な指導場面でも、これら知的財産の活用を図りながら取り
組むことが増えると見込まれることから、指導者の方々が直面すると思われる質問等への回
答にあたって参考となる事例を各権利制度別に整理し、配布することといたしました。
本県の農林水産業が知的財産を活用することで。地域をリードする産業に発展することを
期待し、巻頭の挨拶といたします。
平成 19 年3月
農林水産部長
1
高前田
寿幸
産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)の出願手続き、産業財産権情報(公
報)の検索・閲覧、弁理士等の相談会等について問い合わせをしたい場合は岩手県知的所有
権センターへ
名
称
岩手県知的所有権センター
(岩手県工業技術センターと(社)発明協会岩手県支部の共同運営)
所在地
〒020−0852 岩手県盛岡市飯岡新田3−35−2
岩手県工業技術センター2階
電
話
019−656−4114
FAX
019−631−1010
開館時間
午前8:30∼午後5:15
休館日
土・日曜日、祝祭日、休日、年末年始
利用料
閲覧、指導、相談は無料
設
・特許電子図書館(IPDL)閲覧用機器
・パトリス(商用データベース)検索用機器
備
■交通のご案内
●盛岡駅東口よりタクシーで約 10 分
●東北自動車道盛岡南 IC より車で約 10 分
●盛岡駅より、バスで約 30 分中島前下車
(スコーレ高校経由矢巾営業所行き)
●案内図 下図の「岩手県工業技術センター」の2階 (社)発明協会岩手県支部にお
越しください
2
連
絡 先
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸 10 番 1 号
岩手県農林水産部農業普及技術課
電話 019−629−5654
FAX019−629−5664
URL:http://www.pref.iwate.jp/~hp0508/
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農林水産知的財産Q&A 目次
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【知的財産権制度】
Q1: いまなぜ知的財産権なのか(国の知的財産権の取組み経過について)。
【参考 農林水産省の知的財産戦略の方向について】
Q2: 知的財産権とは何か。
<参照条文 知的財産基本法>
Q3: 知的財産権の目的とは。
Q4: なぜ、知的財産権を保護するのか。
【知的財産権の種類】
【農林水産物の知的財産権の例】
【 特 許 編】
Q5: 特許とは何か。
Q6: 特許となる発明 (特許の登録要件)とは何か。
<新規性でよくある Q&A>
Q6−1: 今までにない穀物の加工品を今までの製造方法を工夫して作りました。産直で販売
したところ、大変評判がよく、特許や実用新案で保護したいと思います。出願できま
すか。
<新規性がないとされるもの>
Q6−2: 研究発表してしまったものに関しては、特許申請できないのですか。
<新規性喪失の例外が認められる場合>
Q6−3: 海外では販売されているのですが、どうやら日本ではまだ知られていないようで
す。この技術内容について今出願すれば特許権を取得できますか。
Q6−4: 特許出願したものは権利化されるまで製造・販売してはいけないのですか。
Q6−5: Aという機能をもつ剪定用はさみについてと、Bという機能をもつ剪定用はさみに
ついての特許出願がなされています。
AとBの機能を併せ持つ剪定用はさみについては出願がなされていないので、出願
しようと思います。権利化できますか。
Q6−6: 私が出願した同じ日に同じような内容の出願がされました。権利化できますか。
Q7: 特許を出願するメリットは何か。
Q8: 特許は出願してから権利化までどのくらいの期間がかかりますか。
Q8−1: 出願した特許を早く権利化したい(早期審査制度について)。
Q9: 特許を出願してから権利化までの流れを教えてください。
<特許出願手続きの流れ>
Q10: 特許権の取得にかかる費用はどのくらいですか。
Q10−1: 費用が安くなる方法はないのですか。
Q10−2: 支払った審査請求料は返還されないのですか。
Q10−3: 請求項とはなんですか。
Q10−4: 弁理士にはどのようなときに依頼すればよいですか。
Q11: 出願したらすぐに権利行使して、類似品を排除していいですか。
Q12: 特許の出願をし、審査請求する前でもその技術を使いたいという場合、実施料を請求で
きますか(権利化前の実施契約について)。
Q13: 特許権を取得したら、出願日から20年間は業として特許発明を実施する権利を
独占できるのですね。
<参考 特許に係る経費>
Q13−1: 特許権等を取得後、どのように活用したらよいか。
Q14: 特許に出願していたものを実用新案や意匠に出願変更することはできるのですか。
Q15: 既に出願している特許(実用新案)について新たな発明を付け加えることはできま
すか(優先権の主張について)
。
Q16: 特許の権利侵害の罰則について教えてください。
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Q17: 権利侵害といわれました。どうすればよいですか。
Q17−1: 他人の特許権を営利目的のない公共事業に活用したいと思います。営利目的が
ないので、特許権の侵害にはならないですか。
Q17−2: 特許侵害商品とは知らないで商品を仕入れて販売していました。権利の侵害
をしているのは製造した人ですよね。
Q18: 特許権の効力の及ばない例外があるのですか。
Q19: 特許の出願をすると、公開されてしまいます。公開したくないのですが(ノウハウ
略について)
。
Q20: 先行技術の調査について。特許の公報を見てみたいのですが。
Q21−1: 「開放特許」とは何ですか。
Q21−2: 取得した特許権を売ってしまうか、誰かに使用許諾をして使用料を得たいの
ですが。
Q22: 「開放特許」にはどんなものがあるのか見ることはできますか。また、実際に導入
して、成功した事例を知りたいのですが。
【 実用新案 編】
Q23: 実用新案とは何か。
Q23−1: 従来の育苗方法を少し改良して良質な苗の生産方法を考えましたが、実用新
案権の取得はできますか。
Q23−2: 実用新案権は無審査で登録になると聞きましたが本当ですか。
Q23−3: 特許と実用新案の違いはなんですか。
Q24: 実用新案となる考案とは何か(登録を受けるために満たすべき基礎的要件)。
Q25: 実用新案のメリットは何か。
Q26: 実用新案を出願してから権利化までの期間について教えてください。
Q27: 実用新案権の取得までの流れについて。
【実用新案出願から登録までの流れ】
Q28: 実用新案出願の費用はいくらになるか。
Q28−1: 請求項とはなんですか。
Q29: 実用新案技術評価書とは何ですか。
Q29−1: 実用新案技術評価書の請求を行った場合、評価書を受け取るまでの期間はど
のくらいかかりますか。
Q29−2: 実用新案技術評価書の請求は誰でも、何度でも請求できるのですか。そうす
ると、途中で評価が異なることがあるのですか。
【商
標
編】
Q30: 商標とは何か。
Q30−1: 商標にはどんな種類があるのですか。
Q30−2: 商標の機能について教えてください。
Q31: 商標登録、また地域ブランドに商標登録することのメリットは何か。
Q32: 商標出願から登録までの期間はどれくらいかかりますか。
Q33: 商標出願から登録までの流れを教えてください。
【商標出願手続きの流れ】
Q34: 商標出願・登録の費用はいくらですか。
Q34−1: 商標登録出願した商標が登録されなかった場合、出願手数料等は返還されま
すか。
Q35: 商標権の効力の範囲、期間等について教えてください。
Q36: 商標権の効力の及ばない範囲について教えてください。
Q37: 商標権の効力は外国には及ばないのですか。
Q38: どのような場合に商標権の侵害となるのですか。
Q39: どのような商標が、同一又は類似とされるのですか。
Q40: 商標権への権利侵害への対応は。
Q41: 登録できない商標とはどんなものですか。
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Q41−1: 登録品種の名称を商標登録することはできるか。
Q42: 「地域名(産地名)
」+「普通名称」の組合せでは商標登録できないのですか。
Q43: 「鬼剣舞」という商標が既に他人によって、指定商品「わかめ」に登録されている
とき、自分は指定商品「米」に商標登録したいが、もう登録することはできないので
すか。
Q44: 区分について教えてください。
(参考 区分30類に属する商品)
(参考 区分31類に属する商品)
【参考 商品・役務区分表】
商品区分
役務区分
Q44−1: お茶の区分は 30 類か 32 類か。
Q44−2: 書換審査とはなんですか。
Q45: 類似群ってなんですか。
Q46: 指定商品の区分や類似群はどうすればわかりますか。
Q47: 商標登録の出願は、個人でもかまわないのですか?また、出願人は、複数人でもか
まわないのでしょうか。
Q48: 商標登録の出願で、一つの商標に対して、2 区分以上の指定商品を一緒の出願用紙
に記入してよいか。
Q49: 商標出願用紙には商標記載のための枠線が設けられてあるが、標準文字による商標
を出願する場合、願書の枠線による記載欄のなかに商標を記載するのですか。
【商標出願用紙見本】
Q50: 商標登録出願中の商標は補正することが出来るか。
Q51: 特許印紙はどこで購入するのですか。
Q52: 私は「穀物の加工品」に対して登録商標をしていますが、その登録商標を野菜にも
使用したいが、再度出願が必要か。
Q53: 商標登録出願をしようとしたら、既にその商標と同一又は類似の商標(指定商品
(役務)も同一又は類似)が登録されていました。その商標権の存続期間が満了日
をすぎていれば、商標登録することが出来ますか?
Q54: 登録商標は 3 年間使用していないと登録が取り消されるのか。
Q55: 商標権を侵害すると損害賠償を請求されるのですか。
Q56: 自分の登録商標と一字違いで同じ読み方のできる商標を使用されているが、商標権
の侵害ではないか。
Q57: 通常の商標と地域団体商標以外の商標制度もあるのですか。
Q58: 商標は異なっているが、商品の形態などを真似された場合はどうしたらよいですか。
【地域団体商標 編】
Q59: 地域団体商標とは何か。
Q60: 地域団体商標の登録要件は何か。
Q60−1: 自治体と農協と加工業者等で連携して特産品の地域ブランド化に取組んでき
ました。地域団体商標を出願して登録になった場合、加工業者は農協の構成員
ではないのですが、商標を使用できる方法はありますか。
【参考 使用権の種類】
Q60−2: 地域の産業振興協議会を法人化すれば地域団体商標の出願者となれるのか。
Q60−3: 「地域名」+「商品の普通名称」の商標を使用している場合、必ず地域団体
商標として出願しなければならないのか。
Q60−4: 地域団体商標は「地域名」+「商品の普通名称」の文字商標でなければ登録
にならないのか。
Q60−5: 地域団体商標の登録要件である「商標が使用された結果、周知となっている
こと」とは何か。
Q60−6: 地域団体商標の周知性の判断はどのようにするのですか。また、証明する資
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料はどんなものを用意すればよいですか。
Q61: 地域団体商標を登録するメリットは何か。
Q62: 地域団体商標の権利化までの期間はどれくらいか。
Q63: 地域団体商標の権利化までの流れはどうなっているか。
Q64: 地域団体商標の権利取得に係る費用はいくらか。
Q65: 「岩手特産大豆」の「特産」は地域団体商標の出願に認められますか。
Q66: 通常の商標と地域団体商標の違いは何ですか。
Q67: 地域ぐるみで地域ブランド化に取り組んでいれば、地域団体商標として登録できる
のですか。
Q68: 岩手県下でA農業協同組合、B農業協同組合、C農業協同組合という 3 つの団体が
商標「岩手たけのこ」を商品「たけのこ」について使用した結果、その 3 つの団体の
商標としてそれぞれ周知となっています。先日、A農業協同組合が地域団体商標の出
願をしました。登録されたら、B、Cの農業協同組合は使用できなくなるのですか。
Q69: 同じ組合せの「地域名」+「商品の普通名称」の組合せの商標を使用している事業
者が複数いる(その商標が周知となっている団体と周知となっていない団体が混在し
ている)場合、その中の商標を周知としている一事業者が地域団体商標の登録をする
と、他の事業者は同じ商標を使えなくなるのですか。
Q70: 地域で新規作目を導入して、地域のブランド化を考えている。来年導入して、収穫
(販売)はその次の年からになるが、地域団体商標を取得したい。どうすればよいか。
Q71: 地域団体商標出願しようとしている商標と類似の文字と図形との組み合せた商標が
先に出願あるいは登録になっている場合は、拒絶されるのか。
Q72: 地域団体商標の出願時に出願人の要件を満たす団体であることを証明する書面が必
要とありますが、どんな書類が必要ですか。
Q73: 地域団体商標を共同出願する場合、出願人の要件を満たす団体であることを証明す
る書類は出願人全員分が必要ですか。
Q74: 地域内で別の事業者から商標権の侵害を警告されたら。
Q75: 先使用権とは何か。
【小売役務商標制度】
Q76: 小売役務等商標とは何か。
Q77: 小売等役務の商標はどのようなものに使用するのですか。
Q78: 小売等役務商標のメリットは何か。
Q79: 小売等役務商標の権利化までの期間はどれくらいか。
Q80: 小売等役務商標の権利化までの流れはどのようになっていますか。
Q81: 小売等役務商標の取得に係る費用はどれくらいか。
Q82: 現在、野菜や果実を指定商品にした商標を所有していますが、新たに小売等役務に
ついても出願しなければなりませんか。
Q83: 産直を経営していますが、商品に係る商標か小売等役務に係る商標を出願使用と考え
ています。どちらがよいのですか。
Q84: 継続的使用権とは何ですか。
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【意 匠 編】
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Q85: 意匠とは何ですか。
Q86: 意匠登録を受けられるものはどんなものですか。
Q87: 意匠権のメリットは何ですか。
Q88: 意匠権取得までの期間はどれくらいか。
Q89: 意匠権取得までの流れはどのようになっているか。
【意匠出願手続きの流れ】
Q90: 意匠権取得の費用はどれくらいか。
Q91: 意匠権の権利取得をしました。どうやって活用すればよいでしょうか。
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Q92: 現在使用している商品の包装箱は他の産地のものと差別化を考えて、形態やデザイ
ンをとても工夫しています。意匠登録をせずに、使用していますが、他人が良く似た
デザインの袋を使用されると困ります。守る方法はないでしょうか。
Q92−1:不正競争防止法で禁止されている主な不正競争行為は。
【育成者権 編】
Q93: 育成者権とは何か。
Q94: 品種登録の要件とは何か。
○ 政令で指定されているきのこ(平成 17 年 12 月 1 日施行時点、32 種)
Q95: 育成者権のメリットは何か。
Q96: 育成者権の登録までの期間はどれくらいか。
Q97: 育成者権の登録までの流れはどうなっているか。
Q98: 育成者権の取得に係る費用はどれくらいか。
【育成者権取得までの流れ】
Q99: 育成者権の権利の及ぶ範囲はどこまでか。
Q99−1: 従属品種とは何か。
Q100: 育成者権を侵害しないために守らなければならないことは何か。
Q101: 家庭菜園や趣味の園芸で登録品種を購入して増やしても育成者権の侵害になるの
か。
Q102: 農家の自家増殖は育成者権の侵害なのか。
Q103: 育成権者から許諾が」必要な自家増殖とはどんな場合か。
Q104: 登録品種の確認はできるのか。
【共 通 編】
Q105: 発明協会の共同端末を利用して出願する方法を教えてください。
Q106: インターネットで出願できるときいたのですが教えてください。
【検索 特許・実用新案 編】
Q107: 先行技術の調査を特許の公報で行う方法を教えてください。
Q108: 特許がまだ権利期間内であるか、確認する方法を教えてください。
Q:IPC ってなに?
Q:FI ってなに?
Q:F タームってなに?
Q109: 「開放特許」にはどんなものがあるのか見ることはできますか。また、実際に導
入して、成功した事例を知りたいのですが。
<参考 特許流通成功事例を見てみる>
【検索 商標 編】
Q110: 指定商品の区分や類似群はどうすればわかりますか。
Q111: 簡単な商標の検索方法を教えてください。
Q112: 当管内の農林水産物について、知財登録されているものを調べる方法を教えてく
ださい。
【検索 登録品種 編】
Q113: 登録品種を調べることは出来ますか、また作目別や育成者権の維持されている品
種を選択してみることはできますか。
○知的財産の権利化相談対応フロー
【相談対応事例 特許・実用新案】
○問い合わせ先一覧
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農林水産知的財産Q&A
【知的財産権制度】
Q1: いまなぜ知的財産権なのか(国の知的財産権の取組み経過について)。
A1: 近年のわが国の経済社会は、長引く不況や、企業競争の国際化などによって、非常に厳し
い状況にあり、これを打開し、持続的な経済発展を図るために「知的財産」を活用した独創
的・革新的な取組みが重要視されています。
2002年2月小泉首相が施政方針演説で知的財産の戦略的な保護・活用し、わが国の産
業の国際競争力を強化することを国家の目標とするとの表明を行いました。その後、知的財
産立国に向けた政府の取組みが次々に行われています。具体的には、知的財産を戦略的に創
造・保護及び活用することにより活力ある経済社会を実現するための国家像として知的財産
戦略会議では2002年7月に知的財産戦略大綱を取りまとめ、その中で「知的財産立国」
を目指すことを表明しました。「知的財産立国」とは何か、発明・創作を尊重するという国
の方向性を明らかにし、
「ものづくり」に加えて、技術・デザイン・ブランド等のコンテン
ツといった価値ある「情報作り」、すなわち無形資産の創造を産業の基盤に据えることによ
り、わが国経済社会の再活性化を図るというビジョンに裏打ちされた国家戦略です。
農林水産省も2006年2月に知的財産戦略本部を立ち上げ、わが国の農林水産物・食品
の特質・強さを知的財産権として権利化し、「守り」と「攻め」の両面で積極的な活用を目
指しています。
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
【参考
小泉首相 施政方針演説
知的財産戦略会議 発足
知的財産戦略大綱 決定
知的財産基本法 成立
知的財産戦略本部 発足
知的財産推進計画 決定
知的財産推進計画2004版
知的財産推進計画2005版
知的財産推進計画2006版
農林水産省知的財産戦略本部
策定
策定
策定
発足
農林水産省の知的財産戦略の方向について】
1.植物品種の育成者権の保護・活用
出願件数の増と審査期間の短縮、権利侵害対策の強化
2.家畜の遺伝資源の保護・活用
和牛の遺伝子資源保護に係る戦略的特許の取得と活用の促進等
3.地域ブランドの確立
4.特許等技術移転による新需要の創造
関係試験研究機関等において、食品の機能性の解明新品種の開発等
5.知的財産に関する普及啓発、人材育成
普及指導員の指導力向上、学校教育との連携、研究者の意識啓発等
6.推進体制の整備
戦略本部の下に民間企業の専門家による「専門家会議」を設置
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Q2: 知的財産権とは何か。
A2: 知的財産権について知的財産基本法では次のように定められています。
<参照条文 知的財産基本法>
第2条
この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物そ
の他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然
の法則又は現象であって、産業上の利用の可能性のあるものを含む)、商標、
商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密
その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
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この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、
著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律
上保護される利益に係る権利をいう。
Q3: 知的財産権の目的とは何か。
A3: 新しい技術、新しいデザイン、商標などについて独占権を与え、模倣防止のために保護し、
研究開発へのインセンティブを付与したり、取引上の信用を維持することが産業財産権制度
の目的です。
特許権は、自然法則を利用した技術的思想のうち高度なものである発明を保護対象とし、
実用新案権は自然法則を利用した技術的創作であって、物品の形状、構造又は組合せに関す
る考案を保護対象としています。
意匠権は物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、審美的な意匠を保護
対象とし、商標権は、営業者が自己の商品又は役務(サービス)を他人の商品又は役務から
区別するための標識に関する商標を保護対象としています。
これらの権利は一定期間、独占的に実施できる権利となります。
Q4: なぜ、知的財産権を保護するのか。
A4: 知的財産は土地や建物といった財産と異なり、
「財産的価値を有する情報」で、情報は容
易に模倣されてしまいます。新しい技術等が開発されるまでは大変な費用や時間、そして
人間の努力を費やしています。その新しい技術等が開発され、活用することで産業が発達
するのです。
知的財産権は、内容が公報等で明らかにされる代償としてその権利を得るものです。
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【知的財産権の種類】
知的財産権
とっ
特
きょ
許
説
明
自然法則を利用し、新しく(新規
性)、容易に考え出すことができ
ない(進歩性)、産業上有用な発
明(物・方法)
権
(特許法)
じつようしんあん
実用新案権
(実用新案法)
い
意
しょう
匠
権
(意匠法)
しょう
商
ひょう
標
権
(商標法)
物品の形状・構造・組み合わせに
関する考案(小発明)
独創的で美的な外観を有する物
品の形状・模様・色彩のデザイン
商品・役務に使用する名前やマー
ク(文字・図形・記号など)
著
農産物、林産物、水産物の生産のた
めに栽培される植物の新品種
さく
作
権
(著作権法)
しょう
商
ごう
号
権
(商法)
20年
・単板積層材(LVL)
・イクラの製造方法
・冷麺の製造方法
出願日
から
・改良農機具
10年
登録日
から
20年
から
・いわて型ペレットストーブのデザイン
・木製机のデザイン
・春一番(早取りワカメ)
・いわて健康椎茸モッコリくん(乾しいたけ)
10年
(岩手産ひとめぼれのマーク・米)
登録日
(種苗法)
ちょ
から
・米を原料とした飲料の製造方法
(更新可) ・
品種登録による
育成者権
出願日
登録日
ひんしゅとうろく
いくせいしゃ
権利の例
保護期間
から
・アルビレオ(りんどう)
25年
・きおう(りんご)
(樹木は
・いわてっこ(米)
30年)
文芸、美術、音楽、コンピュータ
プログラムなどの作品
作者死後
50年
商人が営業上自己を表示する名
称(会社名)
かいろはいちりよう
半導体集積回路の回路素子や導
線の配置パターン
(半導体集積回路配置法)
回路配置利用権
登録日
から
10年
えいぎょうひみつ
企業ノウハウや顧客リストの盗
用などの不正行為を禁止
(民法・刑法・不正競争防止法)
営業秘密
げ ん さん ちひ ょう じ
原産地表示等
(不正競争防止法)
商標・商号の紛らわしい使用や、
不適切な地理的表示などを禁止
・「意匠権」
「実用新案権」は、登録されるまで公表されない。
・「特許権」「商標権」及び「品種登録における育成者権」は、出願公表から登録までの間に権利が侵害された
場合は、相手方に対して補償金の支払を請求する権利が認められる。
11
【農林水産物の知的財産権の例】
特許権
実用新案権
・「ステンレス製漬物用重石」
○物の発明
・「漬物容器」
ステンレスのため、板状にして十分な重量
ネジ式の負圧を利用することで、短時間で容易
を得られるほか、塩分による腐食に強い。
に漬物を漬ける。
○方法の発明
・「漬物の製造方法」
商標権
漬物床全量に対し、重量比
で 1∼10%のトレハロースを
添加することで、色調、風味
に優れ、味の調和の取れた漬
意匠権
○○漬け
・
「包装用容器」
・「商品の名称」
物 を短 期間 のう ちに 製造 す
る。
「田植機」を例にあげた知的財産権
実用新案権
特許権
○物の発明
・「苗取り出し構造」
・「操作レバー配置構成」
植付爪が苗の茎先側に接触して損傷を与
えることがない。
田植機の操作レバー配置において、走行
時及び田植作業時、苗つぎ時の、田植機の
操作性を向上させるとともに、走行車上の
空間を有効に利用する。
・「植付部の姿勢制御装置」
商標権
○○田植機
浮苗を防止し、苗を確実に植付けられる
よう、植付部の姿勢を制御し、一定の植付
け深さを保つ。
意匠権
・「外観」
12
【特
許
編】
Q5: 特許とは何か。
A5: 「特許」とは、新しい技術で産業の発達に貢献する発明に対し、一定期間付与される独占
排他権のことです。
特許法では、発明者に対し、発明の内容を公開することを条件に、その発明に対して、一
定期間独占的に実施(製造・販売等)できる権利を付与するようにしています。従って、最
新の研究開発の成果である発明の内容が公開されることで、重複した研究開発が防止でき、
また改良発明が促進されるため、技術の進歩や産業の発達に役立つことになります(特許法
第 1 条)
。
Q6: 特許となる発明 (特許の登録要件)とは何か。
A6: 発明が特許権を取得するためには、以下の登録要件を満たしている必要があります。
1. 特許法上の発明であるか(特許法第 2 条第 1 項)
特許を受けるためには、特許法上の「発明」に該当しなければなりません。
特許法では、
「発明」を「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」と
定義しています。従って、自然法則に反するもの、自然法則を利用しない人為的取り
決め、個人的な熟練技能、単なる発見などは「特許」として認められません。
発明の種類としては、
「物の発明」
、「方法の発明」、
「物を生産する方法の発明」があ
ります。
2.産業に利用できるか (特許法第 29 条柱書)
特許を受けることができる「発明」であるためには、「産業として実施」できなけれ
ばなりません。従って、単に学問的・実験的にしか利用できない発明は、産業の発達を
図ることはできないことから、特許として認められていません。
3.新規性があるか(特許法第 29 条第 1 項)
特許を受けることができる「発明」は、今までにない「新しいもの」でなければなり
ません。特許権は独占権でもありますので、すでに公にされている発明に独占権を与え
ることはできないからです。(発明者本人であっても、既に公表していると、新しくな
いと判断されます。)
次の場合には、
「新しさ」がないものと判断され、特許として認められません。
◆ テレビで放映されたもの。
◆ 店で販売されたもの。
◆ 書籍に掲載されたもの。
◆ インターネットで公開されたもの。
ただし、学会等で発表した場合や公共的な一定の博覧会にのみ出品した場合は権利化の
可能性があります。
13
<新規性でよくある Q&A>
Q6−1: 今までにない穀物の加工品を今までの製造方法を工夫して作りました。産直で販
売したところ、大変評判がよく、特許や実用新案で保護したいと思います。出願で
きますか。
A6−1: 特許や実用新案として出願して権利化できるものは、今までにないもの(新規性
があるもの)です。商品化して販売しているものは、既に新規性を失っているので、
出願しても権利化することはできません。
<新規性がないとされるもの>
① 特許出願前に公然と知られた発明
② 特許出願前に公然と実施(製造や販売)をされた発明
③ 特許出願前に書籍に掲載された発明やインターネットで公表された発明
Q6−2:
A6−2:
・
・
・
・
・
研究発表してしまったものに関しては、特許申請できないのですか。
特許の申請には新規性(今までにない新しいものであるか)を有していなければ
なりませんが、学会での発表や博覧会への出展等により、その新規性を失ったもの
について、例外的に救済(新規性の喪失の例外<特許法第 30 条>)を受けられる場
合があります。
この例外的な救済を受けるためには公表した日から 6 ヶ月以内に例外規定の適用
を受けたい旨の書面(又は願書にその旨を表示)を特許出願と同時にしなければな
らないほか、特許出願日から 30 日以内に公表等の事実を証明する書面を提出しな
ければなりません。
<新規性喪失の例外が認められる場合>
試験を行う
刊行物に発表する
インターネットで発表する
特許庁長官が指定する研究集会(学会)
博覧会へ出品する
等
その結果発明が初めて公知となる
Q6−3: 海外では販売されているのですが、どうやら日本ではまだ知られていないようで
す。この技術内容について今出願すれば特許権を取得できますか。
A6−3: インターネット等の通信手段の発達により、外国における情報も入手が容易にな
り、また、外国の技術の安易な模倣を防止するため、日本国のみならず、外国で知
れ渡った技術も「新規性」判断の対象となります。したがって、外国で販売した物
を、日本でその後に出願しても、「新規性」はないことになります。
Q6−4:
特許出願したものは権利化されるまで製造・販売してはいけないのですか。
A6−4: 特許の出願にあたっては新規性を有していなければならないため、出願前に商品
化して販売したり、新聞や雑誌等に掲載することはできませんが、出願後に、他人
の特許権等を侵害していない限り、商品化して販売することや新聞等に掲載された
りすることも可能です。
14
4.容易に考え出すことができないか(進歩性があるか)(特許法第 29 条第 2 項)
他人に知られていない新しい発明であっても、従来知られていた技術から容易に考え
られる程度の発明は進歩性を有していないとして特許権を取得できません。
従来のもののちょっとした改良であっても、それによって非常に便利になったという
点があれば進歩性を有すると判断される可能性があります。
Q6−5: Aという機能をもつ剪定用はさみについてと、Bという機能をもつ剪定用はさみに
ついての特許出願がなされています。AとBの機能を併せ持つ剪定用はさみについて
は出願がなされていないので、出願しようと思います。権利化できますか。
A6−5: 新規な発明であっても、従来技術をほんの少しだけ改良しただけの発明のように、
誰でも簡単に考えつく発明については、特許を受けることができません。
公然と知られた発明や実施された発明を単に寄せ集めたに過ぎない発明や発明の
構成要素の一部を置き換えたに過ぎない発明は進歩性がないとされ、権利化するこ
とは出来ません。
5.先に出願されていないか(先願であること)(特許法第 39 条、29 条の 2)
特許権は先願主義なので、先に特許庁に出願した人にのみ特許権が与えられます。
先に同一や類似の内容のものが出願・登録されている場合は特許権が取得できない可能
性もあります。発明をしたらできるだけ早く出願することが大切になります。
Q6−6:
私が出願した同じ日に同じような内容の出願がされました。権利化できますか。
A6−6: 日本は先願主義なので、先に出願がなされた特許出願が有効となります(特許法第
39 条)。
判断の基準となるのは、その日の時刻ではなく、あくまで出願日で判断されます。
同日に出願された場合は、出願人同士の協議に委ねられます。
また、出願された特許が公開されるまでは、その内容がわかりません。そこで、公
開前に同類の特許が出願された場合は、後に出願されたものは拒絶されます。出願し
て1年6ヶ月後に公開された時点で自分の出願より前に同一や類似のものが出願さ
れていれば、権利化が難しいということになります。
権利化のための審査請求は出願後3年以内にすれば良いことになっています(特許
法第 48 条の 3)
。
6.公序良俗に反しないか(特許法第 32 条)
一般的な道徳や倫理に反する発明や、国民の健康に害を与える恐れのある発明は、例え新
しいものであったり、容易に考え出すことができないものであっても、特許を受けることは
できません。
次のような発明は、特許として認められません。
◆ 紙幣の偽造機械
◆ 麻薬の製造法
7.明細書の記載は規定どおりか(特許法第 36 条)
特許を受けようとする際には、具体的にどのような発明をしたのかを簡潔明瞭に記載した書類
として、
「明細書」を作成する必要があります。
15
不十分な「明細書」では、発明の内容を正確に把握できず、特許の審査や、権利が侵害された
際の判断もできないため、特許として認められません。
Q7: 特許を出願するメリットは何か。
A7: 特許権を取得するとその特許発明を独占排他的に実施(製造・販売など)することができ
ます。他人は勝手にモノマネできませんから、市場での独占や優位性を確保できます(例え
ば、地域の産品に付加価値をつけて販売することや、他産地との差別化を図るツールとして
利用できるかも知れません)
。
また、権利化しないまでも特許の出願を行うことで、自分が実施しようとしていることを
他人が権利化してしまうのを防止することが出来ます(先に実行していたとしても、それ証
明できなければ、権利化した他人から権利侵害といわれる可能性があります)。
実施予定はなくても、他人に実施許諾(ライセンス)又は権利譲渡して実施料を得ること
もできます。
Q8: 特許は出願してから権利化までどのくらいの期間がかかりますか。
A8: 特許権については、出願してから権利化まで 2 年くらいかかっています。
出願と同時に審査請求を行うことももちろんできますが、出願された特許については、出願
。
から 1 年 6 ヵ月後に公報が公開されることになっています(特許法第 64 条)
出願に先立って、自分と同一・類似の特許やより高度な特許が先に出願されてい
ないかは調べて出願しますが、その調査時にまだ公開されていないものもありま
す。自分の公報が公開されれば、自分の出願以前の情報も公開されているので、
確認することができますので、確認後に審査請求を行っても良いのです。日本は
先願主義で先に発見した人ではなく、先に出願した人に権利が与えられるため、
出願日を先に確保すれば、
審査請求は 3 年以内に行えばよいことになっています。
Q8−1:
出願した特許を早く権利化したい(早期審査制度について)。
A8−1:
諸事情で権利化を急ぐ場合には、早期審査の申出(
「早期審査に関する事情説明書」
を提出する)をすることができ(特許法第 48 条の 6)
、4 ヶ月程度かかるようです。
出願の審査請求がなされている(審査請求と早期審査の請求が同時でもよい)特許
で以下の要件のいずれか 1 つの条件を満たしていることが必要です。早期審査請求は
無料です。
1.実施関連出願
出願人自身が出願された発明を実施している場合。出願人から実施許諾を受けた者
が出願。発明を実施している場合も含まれる。
2.外国関連出願
出願人がその発明について外国の特許庁又は政府機関へも出願している特許出願
3.出願人の全部又は一部が大学・短大・公的研究機関、又は承認若しくは認定を受けた
技術移転機関であるもの
4.出願人の全部又は一部が、中小企業又は個人であるもの。
※中小企業とは中小企業基本法に定める中小企業のことで卸売業では従業員 100 人以下、
資本金 1 億円以下、
サービス業では従業員 100 人以下、資本金 5000 万円以下、小売業では従業員 50 人以下、資本金 5000 万円以
下、製造業建設業運輸業を含むその他の業種では従業員 300 人以下、資本金 3 億円以下の企業をいいます。
16
Q9: 特許を出願してから権利化までの流れを教えてください。
A9: 特許は出願しただけでは権利を取得することができません。
出願すると、
「方式審査(提出書類が必要な形式を備えているかどうかの審査)」がなされ、出願
から 3 年以内に出願審査請求をすることで、
「実体審査(特許になるかどうかの実質的な審査)」
が行われます。
実体審査の結果、特許の要件を満たしていると判断されると「特許査定(特許として認められ
る)
」がなされ、1∼3年分の特許料を納付すると、原簿に登録されて特許権が成立します。
特許の要件を満たしていないものは「拒絶査定(特許として認められない)
」されます。
<特許出願手続きの流れ>
所要期間
発明者・出願人
①出
特許庁
②
出願公開
(公開特許公報)
願
備
考
出願から1年6ヶ月後に「出
願公開」される。
16,000 円
③ 方式審査
補正命令
「手続補正書」提出
∼
3
年
「手続補正書」が未提出の
場合は、出願が却下され
る。
出願から3年以内に「出願
審査請求」がされない場合
は、出願を取り下げたもの
とみなされる。
④ 出願審査請求
平
均
2
出願書類に不備等があれ
ば「補正命令」が出される。
⑤ 実体審査
168,600 円
+(請求項数×4,000 円)
「意見書・手続補正書」
提出
拒絶理由通知
特許として認められない出
願内容と判断されると、そ
の理由が通知される。
「意見書・手続補正書」を
提出しても、拒絶の理由が
解消されない場合は、特許
として認められない。
特許査定
拒絶査定
⑥ 特許料納付
⑦ 特許公報
1∼3 年)
毎年 2,600 円
+(請求項数×200 円)
※4 年目以降はQ13の<
参考>参照
登
「拒絶査定」に不服がある
場合は、審判によってその
是非を争うことができる。
(拒絶査定不服審判請求)
登録後は、出願日に遡って
20年間権利として保護され
る。
録
17
Q10: 特許権の取得にかかる費用はどのくらいですか。
A10:
自分で直接手続きする場合には出願料が 16,000 円、審査請求料が 168,600 円+(請求
項数×4,000 円)
、登録になった場合 2,600 円+(請求項数×200 円)×3 年分で、請求項
数が 1 つであった場合、197,000 円と他に電子化手数料(紙で出願した場合、電子データ
化するのに別途料金がかかります。
)が必要です。
また、弁理士さんにご依頼されると、代理人費用が加算されます。
Q10−1:
費用が安くなる方法はないのですか。
A10−1:
ある要件を満たす、個人・法人に対して特許料等の軽減措置があります。
個人・法人とも、審査請求料と、特許登録時の第1年目∼3年目分の維持年金費が、
軽減または猶予されます。この軽減、猶予措置は特許、実用新案両方に適用されます。
詳しい対象者と軽減措置の内容は、特許庁のホームページに掲載されています。
メニューの「お知らせ」の「制度運用改正」の中の「産業技術力強化法における特
許料・審査請求料の軽減措置について」から確認できます。
Q10−2:
A10−2:
※
支払った審査請求料は返還されないのですか。
特許審査請求料は特許が権利化できなかったとしても返還されませんが、審査請求
後、権利化の必要性が低下した特許出願又は先行技術調査により特許性がないことが
判明した等の特許出願について、審査着手前に出願を取下げ・放棄を行えば、請求に
より納付した審査請求料の半額※が返還されます。
ただし、審査請求自体を取り下げることはできませんので、料金の返還に際しては、
出願の取下げ・放棄が必要です。
平成18年8月9日から平成19年8月8日までの間に、審査着手前の出願について取下げ・放棄が行われた場合は、請求によ
り審査請求料の全額を返還します。
Q10−3:
請求項とはなんですか。
A10−3:「請求項」とは、保護を受けたい発明(今までのものと比較して、どこが新しいもの
か、どこを改良、工夫したのか)を記載した項のことです。明細書の特許請求の範囲
には、複数の請求項を記載することができ、それぞれの請求項に記載された発明につ
いて、それぞれ特許権の効力があります。クレームとも呼びます。
Q10−4:
弁理士にはどのようなときに依頼すればよいですか。
A10−4: 弁理士は知的財産権のエキスパートです。知的財産権の出願から権利化までのそれ
ぞれの段階で、代理人として活躍します(費用がかかります)
。
① 研究開発
・ 先行技術調査
・研究開発相談・アドバイス
② 権利取得段階(創造した成果物の権利化)
・ 権利取得関連の相談・アドバイス
・出願書類の作成
・ 特許庁への手続
・ 外国出願書類の作成・出願書類の翻訳・外国弁理士の斡旋・仲介等
・ 特許登録に伴う年金管理・支払事務等の権利維持業務
③ 権利活用段階(取得した権利の活用支援)
・ ライセンス交渉 ・契約書の作成
・鑑定
・ 特許流通業務の相談・アドバイス
・侵害訴訟での訴訟代理人等
18
Q11: 出願したらすぐに権利行使して、類似品を排除していいですか。
A11: 特許の出願後は、公報で公開される(1年6ヶ月後)まで権利の主張はできません。こ
の権利の主張も、特許出願中であると言えるまでで、特許登録後のように生産の差止や賠
償請求を要求することはできません。
しかし、特許の出願中に警告をすると、特許になった場合に警告を発した時点にさかの
ぼって、賠償請求ができるのです(特許法第 65 条)。警告を発しない場合は、特許になっ
た時点よりの賠償請求となります。 また、出願中でも実施権の設定や譲渡は可能です。
Q12: 特許の出願をし、審査請求する前でもその技術を使いたいという場合、実施料を請求で
きますか(権利化前の実施契約について)
。
A12: 出願公開から特許権の設定登録前であっても、契約により、実施料を得ることはできま
す。また、譲渡も可能です。
契約の中には、権利化できなかった場合の対応についても、取り決めが必要になります。
例えば、特許権にならなかった場合、それ以降の実施料は頂かないが、それまでに頂いた
実施料の払い戻しはしないとか。
実施の契約の前に、同一・類似の技術内容等について、先に権利化あるいは出願されて
いるものがあれば、権利の侵害をすることになるので、ないことを調べて確認します。
Q13: 特許権を取得したら、出願日から20年間は業として特許発明を実施する権利を独占で
きるのですね。
A13: 特許査定がされ、第1∼3年分の特許料が納付されると、特許権の設定登録がなされ、
この時から特許権が発生します。特許権の存続期間は、出願から20年ですが、4年目以降
も権利を維持するためには当該年度に入る前までに次の年度の特許料(一般に「年金」とい
います。
)を納付しなければなりません。
納付期限内に納付がなかったときは権利が消滅しますが、納付期限を過ぎてしまっても 6 ヶ
月以内であれば、その特許料と同額の割増特許料を納付すれば引き続き権利を維持できます。
<参考
特許に係る経費>
特
出 願 料
審査請求料
登録料(登録査定
後に納付する)
Q13−1:
許
16,000 円
168,600 円+(請求項数×4,000 円)
1∼3 年)
毎年 2,600 円+(請求項数×200 円)
4∼6 年)
毎年 8,100 円+(請求項数×600 円)
7∼9 年)
毎年 24,300 円+(請求項数×1,900 円)
10∼20 年) 毎年 81,200 円+(請求項数×6,400 円)
特許権等を取得後、どのように活用したらよいか。
A13−1: 知的財産権の独占的排他権を活用して自社製品の製造販売を有利に行う、独占的自
己実施する場合、また、売却・譲渡等により他社に権利自体を与えてしまう場合や、
ライセンスにより実施許諾する場合があります。
① 独占(他者に一切関係製品を作らせない)
② 通常実施権の許諾(他社に特許権等をライセンスしライセンス料を得る)
③ 部分ライセンス(特定の地域や特定の商品分野等のみライセンスする)
④ クロスライセンス(自社の特許権等と他社の特許権等を相互にライセンスする)
⑤ 専用実施権の設定(特許権等の譲渡は行わず、相手に権利を専ら使用させる)
19
⑥
⑦
権利譲渡(特許権等を他人に譲渡する)
出願しない形態での知的財産の活用(ノウハウ)
Q14: 特許に出願していたものを実用新案や意匠に出願変更することはできるのですか。
A14: 下記期間に限って、出願変更することができます。出願の変更がされた場合、もとの出
願は取り下げられたものをみなされます(特許法第 46 条)
。
出願の変更
実用新案 → 特
許
特
許 → 実用新案
意
匠 → 特
許
特
許 → 意
匠
変更できる期間
その出願の日から3年以内
最初の拒絶査定謄本の送達の日から30日以内又は
その出願の日から9年6月以内
最初の拒絶査定謄本の送達の日から30日以内又は
その出願の日から3年以内
最初の拒絶査定謄本の送達の日から30日以内
Q15: 既に出願している特許(実用新案)について新たな発明を付け加えることはできますか
(優先権の主張について)
。
A15: 出願している特許の内容を出願されている範囲内で補正することは出来ますが、新規事
項の追加は認められません。
先に出願した特許を基礎に新たな出願をする場合には、先に出願した特許の出願日から
1 年以内に限り、その出願に基づいて優先権を主張することができます(特許法第 41 条)
。
この優先権を主張して新たな出願をした場合には、基礎とした特許出願はその出願日から
1 年 3 ヶ月以内に取り下げられたものとみなされますが、新たな特許出願に係る発明のう
ち、先に出願されている発明については、先に出願された出願日にされたものとみなされ
るという優先的な取扱いを受けることができます。
発明aの出願
その後の改良実追加験等の追加的成果として
・ 新たな実施例等、新たな内容を補充=a’
・ 改良発明や関連発明が生まれた=a’’
・ 発明aを包含する広い技術的概念の発明に達した=A
a+(a’
,a’
’
、A)を出願
国内優先権制度の活用:発明aの出願日の確保
(aに関してはaの出願時を基準に判断)
出願のみなし取り下げ
(出願から 1 年 3 ヶ月)
20
・ 学会発表に間に合わせるための出願
・ とりあえず判明している部分のみ出願
・ 先の出願を発展させて発明の内容を拡充するこ
とで戦略的な特許取得に有効
Q16: 特許の権利侵害の罰則について教えてください。
A16:
① 差止請求権(特許法第 100 条)
特許権者は、特許権を侵害する者あるいは侵害するおそれのある者に対して、現在及び
将来における侵害行為の差止めを請求できる。また、侵害品の廃棄や侵害品の製造設備の
廃棄を求めることができます。
② 損害賠償請求権(民法第 709 条)
特許権者は、特許を侵害された場合侵害者に対して損害賠償を請求することが出来ます。
③ 信用回復措置請求(特許法第 106 条)
特許権者は、侵害者による粗悪品の販売などの侵害行為によって業務上の信用を害した
場合には、新聞への謝罪広告などの業務上の信用を回復するのに必要な措置を請求するこ
とができます。
④ 侵害の罪
特許権を侵害した者は、刑事罰として、5 年以下の懲役又は 500 万以下の罰金に処せら
れます(特許法第 196 条)
。また法人に対しては、1 億 5 千万円以下の罰金に課せられます
(特許法第 201 条)
。
Q17: 権利侵害といわれました。どうすればよいですか。
A17:
① 特許権の存在確認
特許登録原簿により、特許権が有効に存在しているか(無効になっている場合もありま
す。)、正当な権利者からの警告であるかを確認します。
特許権者または専用実施権を許諾されたもの以外は権利の主張をすることができませ
ん。通常実施権者では、警告を発することができません。
② 特許発明の技術的範囲の検討
特許公報により、特許請求の範囲の記載を中心に特許発明の技術的範囲がどこまで及ぶ
か検討します(特許庁に判定を求めることが出来ます。)。また、弁理士に相談しても良い
です。
③ これらの事を調査した上で対策を立てます。
あなたの製品が特許の出願日以前よりあった場合は、通常実施権が与えられます。また、
あなたの方が先だ、なぜお金を払わなければならないのだ、という人は特許庁に対し特許の
無効審判の手続きをとります(証拠書類の準備が必要になります)
。
相手の権利を侵害している場合、権利者と実施許諾契約を交わし、特許を使用できるよう
にしたり、製品の製造や販売をやめる等を検討します。
Q17−1: 他人の特許権を営利目的のない公共事業に活用したいと思います。営利目的がない
ので、特許権の侵害にはならないですか。
A17−1: 特許権者は、業として特許発明を実施する権利を専有することができます。他人が
無断で業として特許発明を実施することは出来ません。ここでいう「業として」とい
うのは、広く「事業として」の意味であり、営利目的に限らず、公共事業、公益事業
も含まれます。なお、個人的な実施や家庭内の実施については該当しません。
21
Q17−2: 特許侵害商品とは知らないで商品を仕入れて販売していました。権利の侵害をして
いるのは製造した人ですよね。
A17−2:
特許とは、その国において独占的に製造、販売できる権利です。販売という営利目
的の行為においては、特許権者の権利を侵害したことになります。ただ販売していた
だけでも特許侵害になります(販売している先を訴えるケースはまれなそうですが)。
Q18: 特許権の効力の及ばない例外があるのですか。
A18: 試験又は研究のためにする実施については、技術の進歩に関する配慮から権利の効力が
及びません(特許法第 69 条)
。
Q19: 特許の出願をすると、公開されてしまいます。公開したくないのですが(ノウハウ戦略
について)
。
A19: 製造方法などのノウハウは特許出願を行うと、その内容が公開されることで他人に知ら
れてしまうことを考慮して、特許出願をあえて行わず、秘匿にしておく戦略もあります。
この場合は何らかの原因で、そのノウハウが外部に漏れた場合に、全く打つ手がない場
合も少なくありません。したがって、この戦略をとる場合は、内部の機密情報を管理して
おく必要があります。万が一外部に漏れた場合に、その行為が不法なものであることを主
張するためにも機密情報の管理がきちんと行われていたことを証明できるようにしてお
く必要があります。
また、他人がそのノウハウと同じ技術の特許権を後から取得する可能性もあるので、特
許権の侵害と主張されても対抗できるように、他人の特許出願前からその技術を実施して
いたことを証明できる証拠(日付入りの設計図や請求書類等)を保管しておくことも必要
です。
特
許
特許庁に出願、登録が必要
有限(出願から 20 年)
取得・維持費用が必要
公開されるため、技術漏出や模
倣のおそれがある
権利期間中は実施権を専有で
きるので権利が安定
ノ ウ ハ ウ
特段の手続は不要
制限なし
秘密管理が必要
秘匿にしているため漏出、模倣は生じにくい
第三者が独自開発したり、不特定者に知られると権
利性なし(他社の特許化による実施制約の発生も有
りうる)
Q20: 先行技術の調査について。特許の公報を見てみたいのですが。
A20: 特許権を取得するためには、すでに知られている発明と同じ発明でないことのほか、すでに知
られた発明から容易に発明できたものでないことが要求されます。従って、すでに知られた発明
にはどのようなものがあるかを調べることは重要です。特許等の調査は特許電子図書館を活用
して調べることができます。方法については、【検索編】Q107∼を参考にしてくださ
い。
22
Q21−1: 「開放特許」とは何ですか。
Q21−2: 取得した特許権を売ってしまうか、誰かに使用許諾をして使用料を得たいのです
が。
A21: 開放特許とは,第三者に実施権を許諾する意思表示をした特許のことで,特許使用料
を支払うことにより誰でも利用することができます。
開放特許を活用すれば,技術力や資金力に余裕がなくても、技術開発に必要な人・物・
金・時間を大幅に節約して新製品を生産し、特許使用料を大幅に上回る利益を得ること
も可能になる場合があります。
工業技術センター内の知的所有権センターの「特許流通アドバイザー」は,他企業・大
学・研究機関などの開放特許を導入して事業展開を図る場合や,逆に自社保有特許(個人
で取得した特許も)を開放して,他社へ技術供与したい場合の相談・斡旋などを行ってい
ます。相談は無料です。
<岩手県知的所有権センター> 〒020-0852 盛岡市飯岡新田 3−52−2
地方独立行政法人 岩手県工業技術センター内
特許流通アドバイザー
019−635−8182
特許情報活用支援アドバイザー
019−656−4114
(※詳細は巻末問い合わせ先を参照のこと)
Q22: 「開放特許」にはどんなものがあるのか見ることはできますか。また、実際に導入して、
成功した事例を知りたいのですが。
A22: インターネットの「検索エンジン」で「特許流通事業」と入力して特許流通促進事業セ
ンターのHPからみることができます。「開放特許情報等の提供」欄の「特許流通データ
ベース」から開放特許の内容を知ることができます。また、特許導入して成功した事例に
ついては、特許流通アドバイザーにお問い合わせ下さい。「特許流通News Lett
er」や「知恵の輪ニッポン」などでもその一端を知ることができます。
23
【実用新案 編】
Q23: 実用新案とは何か。
A23: 実用新案で保護対象となる考案は「物品の構造、形状、これらの組合せ」です(実用新
案法第 1 条)
。
実用新案は形式的な要件を調べるだけで、実体的な登録要件は審査されず、出願後 6 ヶ月
以内に登録されます。権利期間は 10 年です。
無審査で登録になるので、登録になっても、独占権を付与される登録要件を備えている
とは限らず、他人に対して権利行使をする場合には、特許庁に対して、権利の有効性につ
いて客観的な判断を示す技術評価書を請求して、警告時に提示しなければなりません。
すぐに真似されやすい流行品やライフサイクルの短い製品等では、有効な場合もありま
す。
Q23−1: 従来の育苗方法を少し改良して良質な苗の生産方法を考えましたが、実用新案権
の取得はできますか。
A23−1: 実用新案権の保護対象は、自然法則を利用した技術的思想のうち、産業上利用で
きる「物品の形状、構造又は組合せに係る考案」に限定されています。したがって、
「方法」や「物質」は保護の対象にはなりません。
「方法」については特許権の保護
対象になっています。
Q23−2:
実用新案権は無審査で登録になると聞きましたが本当ですか。
A23−2: 無審査といっても全く審査がされないわけではなく、提出された書類が法に定め
られた様式に従って書かれているかの方式審査と、登録するために必要な基礎的要
件を満たしているかの審査は行われますが、新規性や進歩性についての実体審査は
行われません。
出願時に出願書類を出願手数料及び、1∼3 年分の登録料とともに特許庁に提出
します。出願から約 6 ヶ月位で登録になります。
Q23−3:
特許と実用新案の違いはなんですか。
A23−3:
特
許
実
用
新
案
保護の対象
「物(材料自体)
」や「方法」の発明
物品の形状・構造又は組合せに係
る考案
権利期間
出願後 20 年間
出願後 10 年間
審査の違い
出願後、方式審査、権利化のためには審 無審査。出願の際に 3 年分の登録
査請求をして実体審査を受けることが必 料を納める。
要
権利侵害対処
の違い
侵害の事実を確認後、差止請求・損害
賠償等の警告等を行う。
24
侵害の事実確認後、特許庁より実
用新案技術評価書を請求し提出
し対処を行う。
Q24: 実用新案となる考案とは何か(登録を受けるために満たすべき基礎的要件)。
A24: 実用新案法では、登録を受けるために満たすべき要件(基礎的要件)を規定しています。
この要件を満たしていない出願については、補正命令(実用新案法第 6 条の2)が出され
ます。
<基礎的要件に違反するもの>
1.保護対象違反:考案が物品の形状、構造又は組合せに係るものでないとき
2.公序良俗違反:考案が公の秩序、善良の風俗又は公衆衛生を害するおそれがあるとき
3.請求項の記載要件違反:書類の記載様式に従って書かれていないとき
4.単一性違反:2 以上の技術思想として一つにまとまっていない考案について一の願書で
出願しているとき
5.明細書、請求項の範囲又は図面の著しい記載不備:明細書、請求項の範囲又は図面に必
要な事項が記載されておらず、またその記載が著しく不明確であるとき
Q25: 実用新案のメリットは何か。
A25: 実用新案権(特許権)を取得するとその特許発明を独占排他的に実施(製造・販売など)
することができます。他人は勝手にモノマネできませんから、市場での独占や優位性を確
保できます(例えば、地域の産品に付加価値をつけて販売することや、他産地との差別化
を図るツールとして利用できるかも知れません)
。
実用新案は新規性や進歩性などの実体的要件審査を行わないで登録になるため、特許よ
り早期の権利化が可能です。早期に実施されるものやライフサイクルの短い技術の適切な
保護を図ることができます。
実施予定はなくても、他人に実施許諾(ライセンス)又は権利譲渡して実施料を得るこ
ともできます。
Q26: 実用新案を出願してから権利化までの期間について教えてください。
A26: 実用新案は実体的要件の審査を行わずに登録になりますので、出願日から約4∼6カ月
で登録されます。
25
Q27: 実用新案権の取得までの流れについて教えてください。
A27:
【実用新案出願から登録までの流れ】
所
要期
所要期
間間
発明者・出願人
発明者・出願人
①
出
願
特許庁
特 許
庁
②基礎的要件の
審査
平
均
出願料 14,000 円
と1∼3 年分の
登録料
③
方式審査
6
ヶ
月
前
備
考
備考
登録するために必要
な基礎的要件を満た
しているか。
基礎的用件不備と出
願書類に不備があれ
ば一の「補正命令」が
出される。
補正命令
手続補正書
手続補正書が提出さ
れないと出願は却下
される。
後
④
登
録
⑤実用新案公報
登 録後 は出 願日 に遡
っ て1 0年 間保 護さ
れる。
実用新案技術評価書
何人も請求可
出願後いつでも請求
可(権利消滅後も可)
Q28: 実用新案出願の費用はいくらになりますか。
A28: 実用新案出願の費用は、特許よりも安くなっています。
出願費用は、14,000円です。
登録料は、 第1年目∼3年目 毎年7,600円+請求項数×700円
第4年目∼6年目 毎年15,100円+請求項数×1,400円
実用新案技術評価書の請求 42,000円+請求項数×1,000円
第1年目∼3年目までの登録料は、出願時に支払います(実用新案法第 32 条)。
実用新案技術評価書の請求は、出願時に行っても、出願後行ってもかまいません。
Q28−1:
請求項とはなんですか。
A28−1:「請求項」とは、保護を受けたい発明(今までのものと比較して、どこが新しいもの
か、どこを改良、工夫したのか)を記載した項のことです。明細書の特許請求の範囲
には、複数の請求項を記載することができ、それぞれの請求項に記載された発明につ
いて、それぞれ特許権の効力があります。クレームとも呼びます。
26
Q29: 実用新案技術評価書とは何ですか。
A29: 実用新案権の有効性を判断する材料として、特許庁の審査官が、出願された考案の新規
性、進歩性などに関する評価を行い(実用新案法第 12 条)
、これを請求人に通知するもの
です(同法第 13 条)
。
実用新案権を行使する場合には、実用新案技術評価書を提示して警告します。
Q29−1: 実用新案技術評価書の請求を行った場合、評価書を受け取るまでの期間はどのくら
いかかりますか。
A29−1: 大体 4 ヶ月程度かかります。費用は 42,000 円+(請求項数×1,000 円)かかります。
また、評価書は誰でも請求でき(万が一、他人の実用新案権の侵害をしていそうな場
合は他人の権利について評価書の請求が可能。)、誰かが請求を行っている場合は、別
途請求しなくても、閲覧は可能です。
Q29−2:
実用新案技術評価書の請求は誰でも、何度でも請求できるのですか。そうすると、
途中で評価が異なることがあるのですか。
A29−2: 出願段階での補正や、登録後の訂正等により請求項の記載が変わる可能性があるの
で、補正や訂正の前後で、評価内容がことなることがあります。
27
【商
標
編】
Q30: 商標とは何か。
A30: 私達が商品を購入したりサービスを受けるとき、個々の商品やサービスの中身を確かめなく
ても、商品やサービスに付けられている商品名やマークで、それらがどのようなものかを判断
することができます。
この商品名やマークが「商標」であり、他の商品やサービスと区別をするための標識にもな
。
ります(商標法第 2 条)
Q30−1:
商標にはどんな種類があるのですか。
A30−1: 大別すると、文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、結合商標があります。
○ 文字商標・・・文字のみからなる商標。カタカナ、ひらがな、漢字、ローマ字、外国語、
数字等によって表されます。
○ 図形商標・・・写実的なものから図案化したものは図形商標とされる場合があります。ま
た、文字商標も、図案化されたものは図形商標とされる場合があります。
○ 記号商標・・・のれん記号、文字を図案化して組み合せた記号、記号的な紋章のことをい
います。
○ 立体商標・・・立体的形状のみからなる商標、実在または架空の人物、動物等を人形のよ
うに立体化したものなどをいいます。
○ 結合商標・・・文字、図形、記号、立体的形状の 2 つ以上を組み合わせた商標をいいます。
※色彩との結合も可能です。
Q30−2:
商標の機能について教えてください。
A30−2: 商標にはブランドを守り、育てるために三大機能があります。消費者は自分が満
足できるものの商標を目印にして買い物します。
商標は差別化した商品の消費者へのメッセージを伝えます。
(例)例えば
盛農パンの商標は
1. 出所表示機能・・・自分の商品(役務)を他人の商品と区別する機能
「盛岡農業高校が製造したパンです。
」
2.品質保証機能・・・同じ商標を使用している商品はいつも同じ品質を保証する機能
「岩手県産小麦と野田村の塩、龍泉洞の水を使用した地産地消のパンで
す。
」
3.広告宣伝機能・・・商標を使用する商品の宣伝広告の効果を高める機能
「盛岡農業高校の、盛農パンをよろしくお願いします。」
28
Q31: 商標登録、また地域ブランドに商標登録することのメリットは何ですか。
A31: 地域ブランドは、地域の関係者が長年努力して他産地との差別化を図ってきたものです。
しかし、地域ブランド品が消費者に認められ、地域名を指定して購入されたり、他産地
のものより高値で取引されるようになると、その模倣品が現れることがあります。
模倣品が出回ると、本物が売れなくなるだけでなく、本物の品質は良いものなのに、模
倣品の品質の悪いものと間違われ、地域ブランドのイメージだけでなく、産地を指定して、
品質を信じて購入した消費者の信頼も裏切り、産地の評判も悪くなる可能性があります。
商標権は、商標権を持つ人だけが、その商標を独占して使用でき、他人の模倣を排除する
ことができます。仮に、他人が勝手に使用して販売しても、商標の使用差止めを請求したり、
商標が付された商品や製造設備の廃棄を請求したり、生じた損害賠償を請求することができ
るので、商標登録をすることで、地域ブランドを守り、産地も守り、また、何より、自分た
ち産地の大事な消費者との信頼を守ることができるのです。
また、模倣品でないとしても、商標権を取得していないばかりに、同一名の品質も規格
もバラバラになってしまっていることもあります。この場合、商標権の取得に向けての話
し合いを持つことで、ブランドイメージや価値の向上が図れる可能性があります。
Q32: 商標出願から登録までの期間はどれくらいかかりますか。
A32: 出願から商標登録されるまでの期間は、おおよそ 6∼7 ヶ月程度かかっています。
29
Q33: 商標出願から登録までの流れを教えてください。
A33: 商標権の審査は、特許庁で行われます。
商標の場合、特許のように審査請求を行わなくても、出願することで審査官によって「実
体審査(商標登録されるかどうかの実質的な審査)」がなされ、商標として認められれば、
10年分または5年分の登録料を納付することにより登録されます。
商標権の存続期間は、登録の日から10年をもって終了しますが、更新登録の申請によっ
て更新できます。
【商標出願手続きの流れ】
所要期間
出願人
①出
特許庁
② 方式審査
願
6,000 円
+(区分×15,000 円)
補正命令
「手続補正書」提出
「意見書・手続補正書」
提出
考
出願されると、発行準備が
整い次第「公開商標公報」
が発行される。
出願書類に不備等があれ
ば「補正命令」が出される。
「手続補正書」が未提出の
場合は、出願が却下され
る。
③ 実体審査
平
均
1
年
前
後
備
拒絶理由通知
商標として認められない出
願内容と判断されると、そ
の理由が通知される。
「意見書・手続補正書」を
提出しても、拒絶の理由が
解消されない場合は、商標
として認められない。
登録査定
拒絶査定
④ 登録料納付
⑤ 商標公報
(10 年分)
66,000 円×区分数
(更新登録時)
151,000 円×区分数
登
「拒絶査定」に不服がある
場合は、審判によってその
是非を争うことができる。
(拒絶査定不服審判請求)
登録後は、10年間権利とし
て保護される。(更新可能)
録
・出願から登録までの間に権利が侵害された場合は、商標登録後に、相手方に対してさかのぼって補償金の支
払を請求する権利が認められる。
30
Q34: 商標出願・登録の費用はいくらですか。
A34: 出願料:6,000 円+(15,000 円×区分数)
登録料:66,000 円×区分数
例えば、指定商品 1 区分で出願・登録した場合は:
6,000 円+(15,000 円×1)+66,000 円×1=87,000 円を特許印紙で納めます。
※ 紙で出願する場合は別途電子化手数料として、1 件につき 1,200 円+(700 円×書
面の枚数)が必要になります。
更新時登録料: 151,000 円×区分数(10 年ごと、更新する場合)
弁理士に依頼する場合は別途費用が生じます。
Q34−1:
A34−2:
商標登録出願した商標が登録されなかった場合、出願手数料等は返還されますか。
出願手数料は返還されません。
Q35: 商標権の効力の範囲、期間等について教えてください。
A35:
商標権は登録により効力が発生します(商標法第 25 条)。指定商品と指定商品に類似し
ている商品について他人による使用を排除できます。
この効力は全国におよび、10年間継続します。10年経過後も、更新することで半永
久的に効力を持続できます。
商標権者は、商標権の具体的な効力として、侵害者に対して侵害行為の差止めや損害賠
償等を請求できます。
Q36: 商標権の効力の及ばない範囲について教えてください。
A36: 他人に商標を使用させる通常使用権、専用使用権を設定している場合(その契約内容で
使用許諾している範囲)や、商標登録以前から不正の競争の目的なく商標を使用していた
第三者について、その商標が周知(全国的でなくとも、一地域で広く知られている)の場
合に先使用権が認められる場合があります。また、同一・類似の商標であっても、それを
商品(役務)特性の表示として使用している場合にも効力は及びません(商標法第 26 条)。
Q37: 商標権の効力は外国には及ばないのですか。
A37: 日本で登録した商標は日本国内のみ有効で、外国にまで権利は及びません。外国に輸出
している場合には、輸出先の国の商標法に基づいて商標登録することが必要になります。
外国で商標権を取得するためには、出願したい国に直接出願する方法と、国際的に統一
された制度(マドリット協定議定書)を利用する方法があります。
直接出願する場合には、その国の商標制度を調べ、その国の言語で書類を作成して、そ
の国の代理人を通して出願します。
マドリット協定議定書制度を利用する方法では統一された様式、一つの言語(日本では
英語)を用い、一度の手続きで加盟国であれば、複数の国に出願可能です。
31
Q38: どのような場合に商標権の侵害となるのですか。
A38: まったく同一の商標を同一の商品に使用している場合だけでなく、類似商標を類似する
商品・役務に使用する行為も侵害とみなされます(商標法第 37 条)。
他人が同一・類似の商標を同一・類似の商品に使用している場合でも、商標の出願前から
不正の目的なく使用している場合であって周知(全国的でなくとも、一地域で広く知られ
ている)である場合には、先使用権として保護され、商標権の侵害とならない場合もあり
ます。
Q39: どのような商標が、同一又は類似とされるのですか。
A39: 商品の種類が全く違う商品につけられる場合は、混同されるおそれはないので、原則と
して登録できますが、似たような商品に同一または類似の商標をつけられると紛らわしい
ので登録できない可能性があります。
商標の出願の際には、どの商品・役務にその商標を使用するのか、指定します(指定商品)
が、商品ごとに「類似群コード」が定めてあり、コードが同じだと類似する商品・役務と判
断されます。類似群コードは指定区分とは別のもので、指定区分が異なっていても区分を
またがって類似となったり、指定区分が同じでも非類似となったりします。
類似判断は次の判断要素(外観・称呼・観念)を総合的に考察します。
1.外観上の類似:見た目が似ている場合
<例>「テイオン」 ⇔
「ライオン」
(最高裁昭和 28 年 9 月 1 日判決)
「キスミー」 ⇔
「キスミ」(最高裁昭和 49 年 2 月 26 日判決)
※ 図形を利用したものの外観等の類似には注意しましょう。
2.称呼の類似 :呼び方、発音が似ている場合(漢字の商標をひらがなや違う漢字を用
いても、ローマ字にしても、全て称呼、呼び方は同じですので、類似となる可
能性があります。
)
<例>「シンガー」 ⇔
「SINKA」(最高裁昭和 35 年 10 月 4 日判決)
3.観念上の類似:言葉の意味などが似ている場合
<例>「タイガー」
⇔
「虎」
(最高裁昭和 35 年 5 月 31 日判決)
「王様」
⇔
「キング」
(大審院昭和 9 年 3 月 23 日判決)
Q40: 商標権への権利侵害への対応は。
A40: インターネット・新聞・雑誌・広告・小売店の店頭などに注意して、権利侵害を早めに
見つけるようにしましょう。
権利侵害を見つけた場合は、商標権者の名前で相手方に警告書を送付し、権利侵害の事
実および商標使用の停止などの必要な措置を要求します。事実関係が複雑な場合、相手方
が争う姿勢を見せた場合には、専門家に相談する必要があるかも知れません。
32
Q41: 登録できない商標とはどんなものですか。
A41:
1.他人の商品又は役務と区別することの出来ないものは登録することが出来ません。
① その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみの商標
(商標法第 3 条第 1 項第 1 号)
・一般名称:米について「米」「ライス」
わかめについて「わかめ」
・略称
:ワードプロセッサについて「ワープロ」
・俗称
:塩について「波の花」
しょうゆについて「紫」
・通称
:無線呼出用携帯受信機について「ポケットベル」
② その商品又は役務について慣用されている商標(商標法第 3 条第 1 項第 2 号)
・ 餅菓子について「羽二重餅」
・ カステラについて「オランダ船の図形」
・ 清酒について「正宗」
・ あられについて「かきやま」
③ その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を
含む。
)価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期等を普通に用いられる方
法で表示する標章のみからなる商標(商標法第 3 条第 1 項第 3 号)
・産地 販売地 :米について「岩手」
・品質
:清酒について「吟醸」
・原材料
:だんごについて「よもぎ」
・生産の方法
:せんべいについて「手焼き」
・生産の時期
:米について「新米」
④ ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標
(商標法第 3 条第 1 項第 4 号)
「鈴木」
、
「YAMADA」
、
「佐藤商店」など
⑤ 極めて簡単で、かつありふれた標章のみからなる商標(商標法第 3 条第 1 項第 5 号)
かな文字の一字、ローマ字の一字若しくは二字など
⑥ その他、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であるかを認識できない商標(商
標法第 3 条第 1 項第 6 号)
単なる地模様や販売促進用のキャッチフレーズなど
上記に掲げるものであっても、使用をされた結果需要者が何人業務に係る商品又は
役務であることを認識することが出来るものについては、商標登録を受けることがで
きます。
2.他人の商品と区別することができても、商標登録を受けることが出来ないものもあり
ます。
① 日本・外国の国旗や条約同盟国の紋章(商標法第 4 条第 1 項第 1 号)や国際機関
の商標と同一または類似の商 標(商標法第 4 条第 1 項第 2 号、第 3 号、第 4 号及
び第 5 号)
33
②
国、地方公共団体の機関や非営利目的の公共機関団体、事業の標章と同一又は類
似(商標法第 4 条第 1 項第 6 号)
③
公の秩序又善良の風俗を害するおそれのある商標(商標法第 4 条第 1 項第 7 号)
④
他人の肖像、氏名、名称、著名な雅号、芸名、筆名等を含む商標(その他人の承
諾を得ているものを除く)(商標法第 4 条第 1 項第 8 号)。
⑥ 需要者の間に広く認識されている他人の未登録商標と同一又は類似の商標であっ
て、同一類似の商品(役務)について使用するもの(商標法第 4 条第 1 項第 19 号)
⑦
他人の先願に係る登録商標と同一又は類似の商標であって、同一又は類似の商品
(役務)について使用をするもの(商標法第 4 条第 1 項第 11 号)
⑧
種苗法の品種登録を受けた品種の名称と同一又は類似の商標であって、その品種
の種苗又はこれに類似する商品について使用するもの(商標法第 4 条第 1 項第 14 号)
等です。
Q41−1:
登録品種の名称を商標登録することはできるか。
A41−1: 種苗法で品種登録されている品種の名称と同一又は類似の商標は、品種登録を受け
ている種苗又はこれに類似する商品について、登録を受けることができません。この
場合、種苗法上の育成者権と商標出願人が同一であっても登録を受けることはできま
せん。
Q42: 「地域名(産地名)
」+「普通名称」の組合せでは商標登録できないのですか。
A42: 自分と他人の商品を区別することの出来ない組み合せですので、基本的に登録は難しい
ですが、全国的に有名なものであれば、文字商標での登録が出来ることがあります。
また、全国的に有名とはいえないが、隣接県に及ぶ程度に需要者に知られているもので
あれば、地域団体商標で団体が権利者となって文字での商標登録が可能かもしれません。
上記以外で個人や法人が「地域名」+「商品名」の商標を取得する場合には、他人の商
品と区別させるために言葉や図形等を組み合わせた商標にすることによって、登録が可能
になることがあります。
例えば 「いわて銀河米」
Q43: 「鬼剣舞」という商標が既に他人によって、指定商品「わかめ」に登録されているとき、
自分は指定商品「米」に商標登録したいが、もう登録することはできないのですか。
A43: 商標権は指定した商品や役務について、登録商標の使用を独占(使用)し、他人による
その類似(商標の類似、商品・役務の類似)範囲の使用を排除(禁止)することができる
権利です。
したがって、登録商標の指定商品を確認します。その指定商品が同一又は類似する場合
は登録することはできませんが、そうでなければ、全く同じ(あるいは類似する)商標
名であっても登録の可能性があります。質問の場合、わかめは区分 31 類、類似群 32C02
は、米は区分 30 類、類似群は 33A01 で類似群も異なっていることから、他に類似の商標
が登録出願になっていなければ登録の可能性はあります。
34
Q44: 区分について教えてください。
A44: 区分とは、指定商品(役務)の属する類をいいます。現行の商品・役務は第 1 類∼第 45
類までの 45 区分に分類されています(第 1 類∼第 34 類までは商品、第 35 類∼第 45 類ま
では役務の区分となります。
)
。
例えば、米は第 30 類に属し、野菜は第 31 類に属しますので、指定商品が米のみであれ
ば区分数が1、米と野菜であれば区分数は 2 となります。
また、米と米粉や穀物の加工品は全て 30 類ですので、指定商品を米、米粉、もちにし
ても同じ区分(第30類)に属していますので、区分数は 1 となります。
(参考 区分30類に属する商品)
アイスクリーム用凝固剤、家庭用食肉軟化剤、ホイップクリーム用安定剤、食品香料(精油のものを
除く。)、茶、コーヒー及びココア、氷、菓子及びパン、調味料、香辛料、アイスクリームのもと、シャ
ーベットもと、コーヒー豆、穀物の加工品、アーモンドペースト、ぎょうざ、サンドイッチ、しゅうま
い、すし、たこ焼き、肉まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、べんとう、ホットドッグ、ミートパイ、ラ
ビオリ、イーストパウダー、こうじ、酵母、ベーキングパウダー、即席菓子のもと、酒かす、米、脱穀
済みのえん麦、脱穀済みの大麦、食用粉類、食用グルテン
(参考 区分31類に属する商品)
生花の花輪、釣り用餌、ホップ、食用魚介類(生きているものに限る。)
、海藻類、野菜、糖料作物、
果実、コプラ、麦芽、あわ、きび、そば、とうもろこし、ひえ、麦、籾米、もろこし、飼料用たんぱく、
飼料、種子苗、木、草、芝、ドライフラワー、苗、苗木、花、牧草、盆栽、獣類・魚類(食用のものを
除く。)
・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。)
、蚕種、種繭、種卵、うるしの実、未加工のコルク、
やしの葉
【参考 商品・役務区分表】
● 商品区分
区
分
商
品
区
分
商
第1類
工業用、化学用又は農業用の化学品
第 18 類
革、かばん類、傘
第2類
塗料、着色料及び腐食の防止用の調製
第 19 類
金属製でない建築材料
品
品
第3類
洗浄剤及び化粧品
第 20 類
家具及びプラスチック製品
第4類
工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤
第 21 類
台所用品、ガラス製品・磁器製品
第5類
薬剤
第 22 類
原料繊維、ひも、網類
第6類
卑金属及びその製品
第 23 類
織物用の糸
第7類
加工機械、原動機その他機械
第 24 類
織物及び家庭用の織物製カバー
第8類
手動工具
第 25 類
被服及び履物
第9類
理化学・配電・電気通信機器
第 26 類
裁縫製品
第 10 類
医療用機械器具及び医療用品
第 27 類
床敷物及び織物製でない壁掛け
第 11 類
電気機器
第 28 類
玩具、遊戯用具及び運動用具
第 12 類
乗物その他移動用の装置
第 29 類
動物性食品及び加工した野菜その他の食
第 13 類
火器及び加工品
第 30 類
加工した植物性の食品及び調味料、菓子
第 14 類
貴金属、貴金属製品、宝飾及び時計
第 31 類
加工していない陸産物、生きている動植物
用園芸作物
及び飼料
第 15 類
楽器
第 32 類
アルコールを含有しない飲料及びビール
第 16 類
紙、紙製品及び事務製品
第 33 類
ビールを除くアルコール飲料
第 17 類
絶縁材料及び材料用のプラスチック
第 34 類
たばこ、喫煙用具及びマッチ
35
● 役務区分
区
分
役務(サービス)
区
分
役務(サービス)
第 35 類
広告事業の管理又は運営及び事務処理
第 41 類
教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動
第 36 類
金融、保健及び不動産の取引
第 42 類
科学技術・産業に関する調査研究及び設計、
法律事務
第 37 類
建設、設置工事及び修理
第 43 類
飲食物の提供及び宿泊施設の提供
第 38 類
電気通信
第 44 類
医療、美容、農業、林業に係る役務
第 39 類
輸送、こん包及び保管並びに旅行の手
第 45 類
冠婚葬祭、警備
配
第 40 類
物品の加その他の処理
Q44−1:
A44−1:
お茶の区分は 30 類か 32 類か
お茶の指定商品の区分は基本的に 30 類であるが、一部 32 類の清涼飲料水にも含ま
れていて、その区分がはっきりしません。
特許庁に問い合わせたところ、将来的に区分の見直しがあるかもしれないが、基本
的にお茶は 30 類でよいが、お茶の成分を含んだ清涼飲料水として販売するときは、32
類となるそうです。
Q44−2:
A44−2:
書換審査とはなんですか。
平成 4 年 3 月 31 日までに商標登録出願に適用された商品区分と現行の商品分類で
は区分の構成や商品表示が変わっているため、商標権の更新時期に書換登録申請に
より、現行の区分に書き換えます。書換を行わない場合、次回の商標権存続期間の
更新は出来なくなります。
Q45: 類似群ってなんですか。
A45: 類似群は互いに類似の関係にある商品(役務)を一つのグループとしてまとめたもので、
商品(役務)の類似判断のための基準となります。
類似群は個々の商品に対して付与されており、区分が異なっていても互いに類似関係に
ある場合もあります。
商標は同一又は類似する商品(役務)に対して、同一又は類似する商標の登録は出来ま
せん。
Q46: 指定商品の区分や類似群はどうすればわかりますか。
A46: 検索エンジン等を利用して「特許電子図書館」のトップページを開きます。そのページ
のなかの「商品検索へ」の項目の中の 6 つ目の「・商品・役務名リスト」をクリック →
商品名を入力し「検索実行」をクリック → 件数が表示されたら、「リスト表示」をク
リック → 表示されるリストは左から項番、区分、商品・役務名、類似群、出願番号と
なっているので、指定する商品・役務の区分と類似群が確認することが出来ます。
36
Q47: 商標登録の出願は、個人でもかまわないのですか?また、出願人は、複数人でもかまわ
ないのでしょうか。
A47:
個人でも、法人でもかまいません。また、一人(一社)でも複数人(複数社)による共
同出願でもかまいません。
Q48: 商標登録の出願で、一つの商標に対して、2 区分以上の指定商品を一緒の出願用紙に記
入してよいか。
A48:
一つの商標で多区分の出願が可能ですが、指定商品毎にその類似群や商標の類似等につ
いての先願調査が必要です。
Q49: 商標出願用紙には商標記載のための枠線が設けられてあるが、標準文字による商標を出
願する場合、願書の枠線による記載欄のなかに商標を記載するのですか。
A49: 標準文字による商標の場合は、枠線による記載欄は必要ありません。
願書の「
【商標登録を受けようとする商標】」の欄に、直接商標を文字で記載し、その次の
行に「
【標準文字】
」と記載します。
【商標登録を受けようとする商標】
○○○○○
【標準文字】
【商標出願用紙見本】
枠線は必要ありません。
【商標登録を受けようと
する商標】
」の欄に、直接商
標を文字で記載し、その次
の行に「【標準文字】」と記
載します。
Q50: 商標登録出願中の商標は補正することが出来るか。
A50:
商標登録出願した商標の構成を変更することは、商標の要旨を変更することになるの
で、原則として認められません。
37
Q51: 特許印紙はどこで購入するのですか
A51: 郵便局で販売しています。郵便局によっては在庫がないといわれる場合があります。そ
の場合、取り寄せてもらうまで少し時間がかかるようなので、急ぐときは大き目の郵便局
のほうが良いかもしれません。
Q52: 私は「穀物の加工品」に対して登録商標をしていますが、その登録商標を野菜にも使用
したいが、再度出願が必要か。
A52: 指定商品以外に使用したい場合は、その使用したい商品について、出願・登録されてい
る商標の先願調査(指定商品とその類似群及び商標の類似)を確認し、再度出願をする必
要があります。
Q53: 商標登録出願をしようとしたら、既にその商標と同一又は類似の商標(指定商品(役務)
も同一又は類似)が登録されていました。その商標権の存続期間が満了日をすぎていれば、
商標登録することが出来ますか?
A53:
既に指定商品(役務)が同一又は類似のものに登録・出願された同一又は類似の商標が
ある場合は、商標登録をすることができません。
また、存続期間満了後も 6 ヶ月以内は割増登録料を納付することにより更新が可能であ
り、この期間内に更新の申請がないときは、その商標権は存続期間満了時に遡って消滅し
たものとみなされます。この期間が経過するまでは商標権は一応存続しているものとして
扱われます。
さらに、その満了日から 1 年経過前は商標登録できないことになっています。
Q54: 登録商標は3年間使用していないと登録が取り消されるのか。
A54: 登録後、3 年間一度も使用されたことがなければ、第三者の請求で取消審判の対象とな
ります。しかし、一度でも使用したことがあれば、その証拠書類や、これから使用する
ことになっているのであれば、そうならざるを得なかったことを証明する書類等を提出
することで、取消にならない可能性もあります(商標法第 50 条)
。
Q55: 商標権を侵害すると損害賠償を請求されるのですか。
A55: 権利侵害に対する商標法上の救済は差止(商標権者は自己の商標権を侵害する者、又は
侵害のおそれがあるものに対して、侵害の停止、予防)を請求することができます(商標
法第 36 条)
。その請求に際しては、侵害行為に使用された物の廃棄、侵害行為に使われた
設備の除去、その他侵害の予防に必要な行為を請求することが出来ます。商標権者は、侵
害者に対して信用回復措置(謝罪広告の掲載)を請求することができます(商標法第 38
条)。さらに、民法による損害賠償又は不当利得返還を請求することも出来ます。
Q56: 自分の登録商標と一字違いで同じ読み方のできる商標を使用されているが、商標権の侵
害ではないか。
A56: 一字変えただけの商標は呼称(呼び方)が同じであり、商標自体が類似しているといえ、
登録商標の指定商品と同じ又は類似の商品に使用されている場合は侵害となります。
38
Q57: 通常の商標と地域団体商標以外の商標制度もあるのですか。
: 団体の構成員に使用させる目的で取得する商標を「団体
A57: ①団体商標(商標法第 7 条)
商標」といい、この場合の出願が団体商標出願です。
地域や産地全体が力を結集して統一のブランドを育成していくようなと
きに、自らは商標を使用せずに、団体の構成員に使用させるために、団体
自身の名義で商標を登録することを可能としているのが団体商標です。
②防護標章(商標法第 64 条)
: 登録された商標権は、指定商品、サービスと類似する
商品・サービスまでしか効力が及ばず、非類似の商品・サービスには効力
が及びません。そのため、登録されている商標でも著名なものはその信用
や顧客吸引力を狙って他人に非類似の商品やサービスに流用されてしまう
ことがあります。これを防ぎ、自己の登録商標を保護するための制度が防
護標章制度です。
防護標章登録することで非類似の商品・サービスであっても、他人が使
用することができなくなります。
Q58: 商標は異なっているが、商品の形態などを真似された場合はどうしたらよいですか。
A58: 商品形態を模倣する行為は、「不正競争防止法」で規制されており、この法律を利用し
て訴えることができます(意匠権のQ92参照)
。対応については、弁護士などの専門家
に相談し、警告書の作成等を検討します。
39
【地域団体商標
編】
Q59: 地域団体商標とは何か。
A59: 「地域名」と「商品名」からなる文字商標について、農業協同組合等によって使用され
たことにより、隣接都道府県に及ぶ程度の周知性を獲得した場合は「地域団体商標」とし
て商標登録を受けることができるという制度です。
Q60: 地域団体商標の登録要件は何か。
A60: 以下の要件を全て満たしている必要があります(商標法第 7 条の 2)。
1.出願人が主体要件を満たしていること
①法人格があること
②事業協同組合法等の特別な法律に基づいて設立された団体であること
③法律上、構成員資格者の加入の自由が保証されていること
Q60−1: 自治体と農協と加工業者等で連携して特産品の地域ブランド化に取組んできまし
た。地域団体商標を出願して登録になった場合、加工業者は農協の構成員ではない
のですが、商標を使用できる方法はありますか。
A60−1: 地域団体商標は商標権者が独占排他的に使用するのではなく、団体の構成員に使
用させることが商標の登録要件となっています。
加工業者は団体の構成員ではありませんが、団体の構成員になるか、許諾により
通常使用権を設定することにより、商標の使用が可能になります。
商標権は権利者がその登録商標を独占排他的に使用する権利ですが、許諾によっ
て、他人に自分の登録商標を使用させることができます。
【参考 使用権の種類】
通常使用権
専用使用権
Q60−2:
商標権者から許諾を受けた場合に他人が登録商標を使用で
きる権利、地域団体商標でも設定登録可能。
商標権者から許諾を受けた場合に他人が独占的に登録商標
を使用できる権利、地域団体商標では設定登録不可。
地域の産業振興協議会を法人化すれば地域団体商標の出願者となれるのか。
A60−2: 地域団体商標の出願者となれる団体は、特別の法律で設立された団体で、その構
成員となるための加入の自由がその法律に定められていなければならないので、法
人化しただけでは難しいと思われます。
出願したい地域団体商標がある場合、その協議会の中に出願者となれる団体があ
れば、出願者となっていただき、その団体の構成員になるか、あるいは使用許諾を
得れば使用することはできます。
また、地域団体商標ではなく、通常の商標制度であれば、協議会でも出願は可能
です。その場合は「地域名」+「商品名」の文字商標のみでは登録は難しいので、
図形との組み合わせにする等が必要になります。
40
2.出願人の構成員に使用させる商標であること
組合員が生産し農協や漁協が集荷・販売している商品の商標については「構成員
に使用させる商標」と推定して取り扱われます。
3.商標が地域の名称及び商品(役務)の名称等の文字からなること
① 地域名は現在の行政区単位ばかりでなく、旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海
域名等の地理的名称が含まれます。
② 商品の産地等を表示する際に付されている文字として慣用されている文字は登
録に使用することができます。例えば、「本場」「特産」「名産」「完熟」
「天然」
等。
③ 図形等との組合せは地域団体商標としては登録できません。通常の商標登録は出
来ます。
Q60−3: 「地域名」+「商品の普通名称」の商標を使用している場合、必ず地域団体商標
として出願しなければならないのか。
A60−3: 「地域名」+「商品名」という組合せの商標であっても、通常の商標として出願・
登録を受けることができます。この場合、文字での登録のためには全国的に著名で
なければなりません。
図形等との組み合せで登録することができる可能性があります。
Q60−4: 地域団体商標は「地域名」+「商品の普通名称」の文字商標でなければ登録にな
らないのか。
A60−4: 「地域名」+「商品名」という文字商標しか登録できません。それ以外の組み合わ
せの商標等は、通常の商標として出願・登録を受けることができます。
4.商標中の地域の名称が商品と密接な関連性を有すること
地域団体商標の指定商品については「○○(地域の名称)産の△△(商品の名称)」
のように地域的な限定を付す必要があります。
5.商標が使用をされた結果、周知となっていること
商標が使用の実績があり、出願人の団体又は構成員の業務に係る商品若しくは役
務を表示するものとして周知となっていること(全国的ではないが、例えば、隣接
する県に及ぶ程度に需要者に知られていること)
。また、使用している商標と出願す
る商標が同一であること。
使用している商標が産地名と商品名が離れて表示になっている場合は商標として
一体化して使用されていないとみなされ、登録できない可能性があります。
Q60−5: 地域団体商標の登録要件である「商標が使用された結果、周知となっていること」
とは何か。
A60−5: 需要者の間に広く認識されていることとは、
「例えば、隣接都道府県に及ぶ程度の
需要者に認識されていることが必要」とされています。全国的な需要者の間に認識
されている必要はありませんが、隣接県や消費地等では認識されている必要があり
ます。
また、使用されている商標及び商品(役務)と出願された商標及び指定商品が同
一である必要があります。例えば「岩手産○○」の商標で周知であったとして、出
願の際には「本場・岩手産○○」とした場合、「本場・岩手産○○」は実際に使用し
41
て周知とはいえないので、
「周知性がない」という理由で拒絶されます。
また、使用している商標が産地名と商品名が離れて表示になっている場合は商標
として一体化して使用されていないとみなされ、登録できない可能性があります。
Q60−6: 地域団体商標の周知性の判断はどのようにするのですか。また、証明する資料は
どんなものを用意すればよいですか。
A60−6: 周知性の判断では下記の事実について審査されます。
1.実際に使用している商標及び商品または役務
2.使用開始時期、使用期間、使用地域
3.生産、証明若しくは譲渡の数量または営業の規模(営業地域、売上高)
4. 広告宣伝の方法、回数、内容
5.一般紙、業界紙、雑誌またはインターネット等における記事掲載の回数及び内容
6.需要者の商標の認識度を調査したアンケートの結果
上記については下記のような書類によって証明します。
1.広告宣伝が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)
2.仕切伝票、納入伝票、注文伝票、請求書、領収書または商業帳簿等
3.商標が使用されていることを明示する写真
4.広告業者、放送業者、出版業者または印刷業者の証明書
5.同業者、取引先、需要者等の証明書
6.公的機関(国、地方公共団体等)の証明書
7.一般紙、業界紙、雑誌またはインターネット等の記事
8.需要者を対象とした商標の認識度調査(アンケート)の結果報告
Q61: 地域団体商標を登録するメリットは何か。
A61: 1.ニセモノや類似商品を排除できる
2.地域の生産者や関係業者等の「地域ブランド」に対する意識を高める
3.商標(ブランド)の使用基準が明確になり、品質管理、イメージ向上ができる
生産者等の団結が強くなり、自信や生産意欲にもつながる可能性があります。
4.地域ブランドを活用して地域のイメージや認知度が高まり、地域が活性化する
地域ブランドとなった農林水産物を単に商品としてだけでなく、それを観光や飲
食に応用したサービス、加工食品等を開発するなど地域ブランドを活用した戦略で
地域の活性化を図れる可能性があります。
Q62: 地域団体商標の権利化までの期間はどれくらいか。
A62: 出願から商標登録されるまでの期間は、おおよそ 7 ヶ月程度で、通常の商標の登録と同
じくらいです。
42
Q63: 地域団体商標の権利化までの流れはどうなっているか。
A63: 通常の商標と同様です(Q33【商標出願手続きの流れ】参照)
。
Q64: 地域団体商標の権利取得に係る費用はいくらか。
A64: 通常の商標登録に係る費用と同様です。
出願料:6,000 円+(15,000 円×区分数)
登録料:66,000 円×区分数
例えば、指定商品 1 区分で出願・登録した場合は:
6,000 円+(15,000 円×1)+66,000 円×1=87,000 円を特許印紙で納めます。
※ 紙で出願する場合は別途電子化手数料として、1 件につき 1,200 円+(700 円×書
面の枚数)が必要になります。
更新時登録料: 151,000 円×区分数(10 年ごと、更新する場合)
弁理士に依頼する場合は別途費用が生じます。
Q65: 「岩手特産大豆」の「特産」は地域団体商標の出願に認められますか。
A65: 産地を表すために慣用されている言葉も一緒に登録することができますので、認められ
ます。他にも、
「本場」
「名産」
「完熟」「天然」等は一緒に登録することができます。
Q66: 通常の商標と地域団体商標の違いは何ですか。
A66:
通常の商標
地域団体商標
商標登録の要件
普通名称・慣用名称でない、他人の
商品と混同されないなど特定の要件
に該当しなければ、原則誰でも・どの
ような商標でも出願登録可能
主体(出願者)要件、一定の周知性、商標に
使用される地域名と商品に密接な関係があ
ることなど、特定の要件該当している場合の
み、商標の出願・登録が可能
地域団体商標として登録された後でも、登
録要件を満たさなくなった場合は無効審判
の対象となる
「地域名」+「商品名」
の商標の取扱い
文字のみの商標としては原則、商標
登録不可
図形入り商標とするか、使用による
全国的な周知性が認められる場合に
のみ登録可能
文字のみの商標として登録可能
逆に図形入りの商標は地域団体商標では
登録不可
存続期間
10年 更新可能
10年 更新可能
権利の移転
合併、その他の一般承継による移転
=可能
商標権の譲渡による移転可能
合併その他の一般承継による移転可能
商標権の譲渡による移転は不可
使用権の設定
通常使用権の設定可能
専用使用権の設定可能
通常使用権の設定は可能
専用使用権の設定は不可
Q67: 地域ぐるみで地域ブランド化に取り組んでいれば、地域団体商標として登録できるので
すか。
A67: 地域団体商標制度の登録要件を全て満たすものでなければ、登録できません。
出願者が農協等の団体でない場合や、商標が「地域名」+「商品名」ではないものについ
ては、通常の商標登録となります。
43
Q68: 岩手県下でA農業協同組合、B農業協同組合、C農業協同組合という 3 つの団体が商標
「岩手たけのこ」を商品「たけのこ」について使用した結果、その 3 つの団体の商標とし
てそれぞれ周知となっています。先日、A農業協同組合が地域団体商標の出願をしました。
登録されたら、B、Cの農業協同組合は使用できなくなるのですか。
A68: 同一地域で複数の団体が同一の商標を使用しており、いずれも周知となっている場合に
は、需要者に混同をもたらすおそれがあるため、一団体では地域団体商標の登録を受ける
ことはできません。
こうした場合であっても、同一の商標を使用している複数団体がまとまって共同出願し、
地域団体商標の登録要件を全体として満たすと判断される場合は登録が認められます。
Q69: 同じ組合せの「地域名」+「商品の普通名称」の組合せの商標を使用している事業者が
複数いる(その商標が周知となっている団体と周知となっていない団体が混在している)
場合、その中の商標を周知としている一事業者が地域団体商標の登録をすると、他の事業
者は同じ商標を使えなくなるのですか。
A69: 地域団体商標の登録出願の日の前から、不正の競争の目的でなく、その指定商品または
類似商品について同一・または類似の商標を使用していた者は、その商品についてその商
標を使用する権利を有すると規定されています(先使用権)
。
通常の商標登録による商標権についても、先使用権はみとめられますが、地域団体商標
の場合と違って、自分たちの商標が周知になっていなければ認められず、使用できなくな
る可能性があります。
Q70: 地域で新規作目を導入して、地域のブランド化を考えている。来年導入して、収穫(販
売)はその次の年からになるが、地域団体商標を取得したい。どうすればよいか。
A70: 地域団体商標は登録したい商標が①「地域名」+「商品名」からなる文字の商標で、②
商標が使用されたことにより、隣接都道府県の需要者には知られるようになったもので、
③団体が出願者となって、④構成員に使用させる商標を取得する制度です。
これから、ブランド化をするものではまだ商標が使用されていないので、隣接県に及ぶ
ほどの周知もされていない段階ですので、まだ出願することはできません。
しかし、
「地域名」+「商品名」の商標を使用し続けて、その要件を満たされたときに
出願することはできます。
また、地域団体商標ではなく、通常の商標制度で「地域名」+「商品名」に言葉や図
形等を組合わせて、他人の商標とはっきり区別できるようにして、出願するということ
もできます。
地域団体商標制度も通常の商標制度も、その商標の使用に関する権利を商標権者に独
占させ、模倣品を防ぎ、類似商品との差別化を図るものですから、うまく活用すること
が大事です。
Q71: 地域団体商標出願しようとしている商標と類似の文字と図形とを組み合せた商標が先に
出願あるいは登録になっている場合は、拒絶されるのか。
A71: 地域団体商標は、その構成の全体を不可分一体のものとして同一又は類似のものの判断
をします。
地域団体商標の商標登録より先に出願された商標で、その地域団体商標と同一又は類似
44
の文字と識別力のある図形又は文字との組合せで登録された商標が存在する場合、原則と
して、先願商標はその図形等の部分が自己と他人の商品・役務(サービス)をはっきり区
別できる部分(地域名と商品の普通名称の組合せの文字商標は原則として登録できない)
であり、地域団体商標とは類似しないと判断されることから、後願である地域団体商標の
出願は拒絶されないと思われます。
Q72: 地域団体商標の出願時に出願人の要件を満たす団体であることを証明する書面が必要と
ありますが、どんな書類が必要ですか。
A72: 1.組合等の登記事項証明書
2.構成員の加入の自由を示した設立根拠の法の写し(願書に設立根拠法及び該当条項
を記載することにより、提出にかえることができます。例 農業協同組合法 第 20
条)。
Q73: 地域団体商標を共同出願する場合、出願人の要件を満たす団体であることを証明する書
類は出願人全員分が必要ですか。
A73: 共同出願の場合、出願人全員が主体要件を満たす必要があり、共同出願する団体すべて
の証明書を提出する必要があります。また、単独の団体で地域団体商標を出願した後で共
同出願になった場合や、共同出願人に変更があった場合も出願時と同様の証明書の提出が
必要になります。
Q74: 地域内で別の事業者から商標権の侵害を警告されたらどうすればよいか。
A74: 警告してきた事業者の商標権を侵害しているのか、事実関係を調査します。
警告してきた事業者が商標権者かどうか、その商標は何を指定商品にしていて自分が使
用している商品と同一・類似のものであるのか、商標は同一・類似なのか、商標権は権利
期間内なのか等を調べて、使用を即中止する、あるいは使用許諾の契約を結ぶ等の検討を
します。
もしも、警告してきた事業者が商標を出願する前から同一・類似の商標を同一・類似の商
品に使用していた場合は、先使用権が認められ、その商標を使い続けることができる場合
があります。ただし、地域団体商標と通常の商標の場合では、先使用権の認められる範囲
が異なるので注意します。
権利を取得したい、使用したいと考えている商標の表示形態が商品の普通名称、産地、
品質など商品(役務)の特性を表示するものにすぎず、商品の出所を示す商標としての機
能をしていないと認められるときには、商標権の効力が及ばず、商標権の侵害とはなりま
せん。
Q75: 先使用権とは何か。
A75: 他人の商標登録出願前から不正競争の目的なく使用していた同一又は類似の未登録商標
を継続して使用できる権利です。
○ 通常の商標の場合:先使用権が認められるのは、周知となっている商標に限られ
ます。
○ 地域団体商標の場合:周知でない商標についても先使用権が認められます。
先使用権が認められる場合でも、商品(役務)の出所の混同防止のため、適当な表示を付す
ことを請求されることがあります。
45
【小売役務商標制度】・・・平成 19 年 4 月 1 日施行
Q76: 小売役務等商標とは何か(商標法第 2 条第 2 項)
。
A76: これまで商標登録することのできなかった、小売・卸売の事業者が商品販売に際して行
っている顧客に対する便益の提供(品揃え、陳列、接客サービス)を第 35 類の役務商標
として平成19年の4月1日から登録可能となります。
Q76−1:
小売等役務に含まれるサービス活動は。
A76−1: 商品の小売又は卸売りにおいて小売業者又は卸売り業者が顧客に対して行う個々
のサービス活動が含まれます。商品の販売自体は含まれません。
1.商品の品揃え
2.商品の陳列
3.接客サービス
4. ショッピングカート・買い物かごの提供
5.商品の包装・紙袋・レジ袋の提供
6.通信販売において、商品選択の便宜を図るための商品のレイアウトを工夫した
カタログの提供や、インターネットの端末画面上のサイトの作成等
Q76−2:
小売等役務商標の出願用紙の指定役務はどのように記入するのですか。
A76−2: 小売等役務商標については、指定役務の区分は第35類、指定役務は「○○の小
売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供」と役務を指定します
(○○は取扱い商品名)
。
Q77: 小売等役務の商標はどのようなものに使用するのですか。
A77: 小売店等における店舗の看板、従業員の制服、レジ袋等へ商標が使用できます(商標法
第 2 条第 3 項)
。
取扱商品、折込みチラシ、値札、レシートへの商標の使用については、使用の態様によ
って、商品商標、小売商標等役務商標のいずれにも該当する場合があると考えられます。
Q78: 小売等役務商標のメリットは何か。
A78: 小売業者が顧客に対して行っている商品の品揃え等のサービスは、商品の販売に伴う付
随的な行為とされているため保護されていませんでした。そのため、取扱い商品に応じて
商品商標を取得しなければならないことから、手続きや費用の負担が大きくなっていまし
た。
商標を店舗の看板や従業員の制服のみに使用している場合には、新たに小売等役務とし
て登録することができるので、商品ごとに取得していた手続きや費用の負担がなくなりま
す。
Q79: 小売等役務商標の権利化までの期間はどれくらいか。
A79: 通常の商標登録の権利化までにかかる期間と同程度と思われます。
46
Q79−1:
小売等役務商標の出願日の特例期間とは。
A79−1: 平成19年4月1日から6月30日までの3ヶ月間に出願された小売等役務を指
定している商標出願については同日出願とみなされます。
Q80: 小売等役務商標の権利化までの流れはどのようになっていますか。
A80: 通常の商標登録と同様です(Q33【商標出願手続きの流れ】参照)。
Q81: 小売等役務商標の取得に係る費用はどれくらいか。
A81: 通常の商標登録に係る費用と同様です。
出願料:6,000 円+(15,000 円×区分数)
登録料:66,000 円×区分数
例えば、指定商品 1 区分で出願・登録した場合は:
6,000 円+(15,000 円×1)+66,000 円×1=87,000 円を特許印紙で納めます。
※ 紙で出願する場合は別途電子化手数料として、1 件につき 1,200 円+(700 円×書
面の枚数)が必要になります。
更新時登録料: 151,000 円×区分数(10 年ごと、更新する場合)
弁理士に依頼する場合は別途費用が生じます。
Q82: 現在、野菜や果実を指定商品にした商標を所有していますが、新たに小売等役務につい
ても出願しなければなりませんか。
A82: ある商品とそれを取り扱う小売等役務とは、類似するものとして審査が行われます。し
たがって、商品「野菜、果実」に係る登録商標と同一・又は類似する商標を、他人が野菜
の小売等役務について出願した場合には、その出願は拒絶されます。
登録商標を、店舗の看板や従業員の制服のみに使用している場合には、新たに小売等役
務として出願することが適切と思います。
Q83: 産直を経営していますが、商品に係る商標か小売等役務に係る商標を出願しようと考え
ています。どちらがよいのですか
A83: 1.商標を商品の値札に付したり、商品チラシに付したりして、商品について使用して
いる場合には、商品に係る商標として商標出願することができます。その商品につ
いて他人の登録商標と同一又は類似である場合には登録できません。
2.商標を取扱商品が表示されていない店舗の看板や従業員の制服に使用している場
合には、商品について使用する商標とは考えられないため、現在の商標法では保護
されません。このような商標については小売等役務を指定して商標出願することが
できます。
3.小売等役務に係る商標を不正競争の目的なく平成19年3月31日以前から使用
している場合には、継続的使用権が認められます。
47
Q84: 継続的使用権とは何ですか。
A84: 小売等役務に係る商標を平成19年3月31日以前から不正競争の目的でなく継続して
使用している場合には、継続的使用権が認められ、小売等役務について商標権を習得した
者からの商標権の侵害の訴えに対して抗弁することができます。
ただし、商品に係る商標や小売役務以外の役務に係る商標の権利者からの侵害の訴え
に対してはこの継続的使用権は認められません。
48
【意
匠
編】
Q85: 意匠とは何ですか。
A85: 意匠とは物品あるいは物品の部分における形状・模様・色彩に関するデザインをいいま
す(意匠法第 2 条)
。
Q86: 意匠登録を受けられるものはどんなものですか。
A86: 意匠法で意匠とは「物品(物品の部分を含む)の形状、模様、色彩又はこれらの結合で
あって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」と定義されています。したがって、単なる
形状、模様、色彩のみのデザインでなく、必ず物品と結びついていることが必要です。例
えば、粉状物及び粒状物の一単位のように肉眼で形態が判断しにくいものは対象になりま
せん。
1.工業上利用できる、量産可能なもの(意匠法第 3 条柱書)
自然物を意匠にした観葉植物や盆栽のようなものは量産できないので登録できま
せん。絵画や彫刻のような美術品も出来ません。
2.新規性のあるもの(意匠法第 3 条第 1 項、第 3 条の2)
出願前にそれと同じ又は類似の意匠が存在しないこと。
3.容易に創作された意匠でないこと(意匠法第 3 条第 2 項)
4.不登録事由に該当しないこと(意匠法第 5 条)
公序良俗に反するものや他人の業務に係る物品と混同生ずるおそれのあるものは
登録を受けることがありません。機能のみに基づく意匠は特許法・実用新案法によっ
て保護されるので、意匠法では保護されません。
5.先願であること(意匠法第 9 条)
6.1 つの出願に 2 以上の意匠を含んでいないこと(意匠法第 7 条)
意匠は物品ごとに成立するものなので、全く同じ形態のデザインになっていても、
物品が異なれば別々に出願する必要があります。
Q87: 意匠権のメリットは何ですか。
A87: 意匠権を取得すると、登録された意匠と同一又はこれに類似する意匠にまで効力を有し、
登録意匠の実施(製造・販売)をする権利を専有することができます。
意匠権の存続期間は 15 年ですが、平成 19 年 4 月 1 日からは 20 年になります。
Q88: 意匠権取得までの期間はどれくらいか。
A88: 出願から登録まで、7ヶ月程度かかっているようです。
49
Q89: 意匠権取得までの流れはどのようになっているか。
A89:
所要期間
所要期間
【意匠出願手続きの流れ】
発明者・出願人
発明者・出願人
①
出
願
特許庁
特 許 庁
備考
備
② 方 式 審 査
願
手続補正書
平
均
7
ヶ
月
程
度
補正命令
③
出願書類に不備があれ
ば「補正命令」が出さ
れる。
手続補正書が提出さ
れないと出願は却下
される。
実体審査
意 匠権 とし て認 めら
れ ない 出願 内容 と判
断されると、その理由
が通知される
拒絶理由通知
意見書・手続補正書
④
登録査定
登録料納付
意見書・手続補正書を
提 出し ても 拒絶 理由
が 解消 され ない 場合
は、意匠権として認め
られない。
拒絶査定
⑤
登
⑤意匠公報
録
拒絶査定に不服があ
る場合は、審判によっ
てその是非を争うこ
とができる(拒絶査定
不服審判請求)
。
登録日から 20 年間権
利 が 保 護 さ れ る
(H19.4.1 以前は 15
年)。
Q90: 意匠権取得の費用はどれくらいか。
A90: 出願料
登録料
考
第1年から第3年まで
第4年から第10年まで
第11年から第15年まで
(第15年から第20年まで
16,000円
毎年 8,500円
毎年16,900円
毎年33,800円
毎年33,800円)
Q91: 意匠権の権利取得をしました。どうやって活用すればよいでしょうか
50
A91: 特許権や実用新案権についてはライセンス(使用許諾)する相手については、各地域の
知的所有権センターの特許流通アドバイザーがお手伝いをしてくれるのですが、意匠権に
ついては、権利者自身が探さなければならないようです。
意匠登録公報を見て、直接連絡がある場合もそうですが、自分で探す場合、その意匠権
を使用しそうな会社等に電話やメールで連絡する、マスメディア(新聞や業界紙、専門誌、
技術誌等)を利用したり、HPで紹介するなどでライセンスする相手を探します。
もちろん、自身が事業化することもできます。
Q92: 現在使用している商品の包装箱は他の産地のものと差別化を考えて、形態やデザインを
とても工夫しています。
意匠登録をせずに、使用していますが、他人が良く似たデザインの袋を使用されると
困ります。守る方法はないでしょうか。
A92: 不正競争防止法は、他人の開発成果や営業活動の成果に便乗した営業活動を規制し、
公正な競業秩序を図ることを目的とした法律です。
他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為は不正競争行為としてこの不正競
争防止法で禁止され、差止請求をすることができます。
ただし、模倣品を譲り受けたときにそれが模倣品であることを重大な過失なく知らな
かった者による譲渡等並びに日本国内において最初に発売した日から 3 年を経過した商
品の譲渡は法律の適用から除外されます。3 年経過後も保護したい場合には、やはり最初
から意匠登録することが望ましいと思われます。
Q92−1:
A92−1:
不正競争防止法で禁止されている主な不正競争行為は。
①混同惹起行為 (第 2 条第 1 項第 1 号)
他人の周知(全国的に有名である必要はなく、商品が競合する地域でその商品
の需要者に認識されている。)の商品表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、商
品の容器若しくは包装その他商品または営業を表示するものをいう。
)と同一又は
類似の表示をして自己の商品が他人の商品であるかのように、その出所の誤認起
こすおそれのある行為。
②著名表冒用行為(第 2 条第 1 項第 2 号)
他人の商品・営業表示として著名(全国的に良く知られている)な商品表示等
と同一又は屡次のものを、自己の商品表示等として使用する行為。
③形態模倣行為(第 2 条第 1 項第 3 号、第 4 項、第 5 項)
最初の販売から 3 年以内の他人の商品の形態を模倣した商品を譲渡等する行為。
④営業秘密(第 2 条第 1 項第 4 号∼第 9 号、第 6 項)
窃取等の不正な手段によって営業秘密を取得し、自ら使用し、若しくは第三者
に開示する行為。営業秘密として保護を受けるには、秘密管理性、有用性、非公
知性が必要です。
⑤誤認惹起行為(第 2 条第 1 項第 13 号)
商品、役務やその広告等に、その原産地、内容等について誤認させるような表
示をする行為。
⑥信用毀損行為(第 2 条第 1 項第 14 号)
競争関係にある他人の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為。
51
【育成者権
編】
Q93: 育成者権とは何か。
A93: 新しく育成された品種を種苗法に基づき、登録することで、その品種を育成(登録)し
他人に業としてその登録品種を独占して利用できる権利が認められる権利で、新品種を保
護します。
Q94: 品種登録の要件とは何か。
A94: 品種登録により保護される植物は、「栽培される全ての植物(繻子植物、しだ類、せん
たい類、多細胞の藻類)
」及び政令で指定された「きのこ」が対象となります。
これらの新品種を育成された方(育成者及びその継承人)は、品種登録の出願をするこ
とができます。
○ 政令で指定されているきのこ(平成 16 年 9 月 8 日現在、32 種)
あらげきくらげ、うすひらたけ、えのきたけ、エリンギ、おおひらたけ、きくらげ、きぬがさ
たけ、くりたけ、くろあわびたけ、こむらさきしめじ、しいたけ、しろたもぎたけ、たまちょ
れいたけ、たもぎたけ、つくりたけ、とんびまいたけ、なめこ、におうしめじ、ぬめりすぎた
け、はたけしめじ、はなびらたけ、ひめまつたけ、ひらたけ、ぶなしめじ、ぶなはりたけ、ほ
んしめじ、まいたけ、まんねんたけ、むきたけ、むらさきしめじ、やなぎまつたけ、やまぶし
たけ
品種登録を行う際には、次の全ての要件を満たしている必要があります。
1 区別性
既存品種と重要な形質(形状、品質、耐病性等)で明確に区別できること。
2 均一性
同一世代でその形質が十分類似していること。
(播いた種子からすべて同じものができる。)
3 安定性
増殖後も形質が安定していること。
(何世代増殖を繰り返しても同じものができる。
)
4 未譲渡性
出願日から1年遡った日より前に出願品種の種苗や収穫物を譲渡していな
いこと。
(外国での譲渡は、日本での出願日から4年(永年性植物は6年)遡った日。)
5 名称の適切性
品種の名称が既存の品種や登録商標と紛らわしいものでないこと。
Q95: 育成者権のメリットは何か。
A95: 品種登録されると、品種の名称、植物体の特性、登録者の氏名及び住所、存続期間等が
「品種登録簿」に記載されるほか、官報で公示され、育成者権が発生します。
育成者権を取得すると、業として登録品種を利用*する権利を専有します。
従って、育成者権者以外の人は、育成者権者の許諾を得なければ登録品種を業として利
用することはできません。
*【品種の利用】とは何か
(1)種苗に係る行為
①生産:種苗を生産すること
②調整:きょう雑物の除去、精選、種子の洗浄、乾燥、薬剤処理、コーティング等
③譲渡の申し出:カタログを配布し、注文を受け付けられるようにすることや店頭に品種名
52
及び価格等を掲示すること
④譲渡:種苗の販売、植物園での入場者への配布等
⑤輸出:種苗を外国に向け送り出す行為
⑥輸入:外国にある種苗を国内に搬入する行為
⑦保管:①∼⑥のための保管
(2)収穫物に係る行為
種苗段階で権利行使する適当な機会がなかった場合には収穫物に関する(1)同様の行為と
「貸渡しの申出」、「貸渡し」にも権利が及ぶ。ただし、「調整」は、収穫物では考えられ
ないため除かれる。
貸渡しの例:植木、観賞用植物等のリース
Q96: 育成者権の登録までの期間はどれくらいか。
A96: 出願から登録品種として認められるまでの期間は、審査が順調に進めば、平均して 3 年
前後と言われています。
Q97: 育成者権の登録までの流れはどうなっているか。
A97: 品種登録の審査は、農林水産省で行い、生産局種苗課審査室の審査官が担当します。
審査は、①提出書類による審査、②栽培試験、現地調査、③審査に必要なものとして提
出を求めた資料や書類に基づいて行われ、品種登録の可否について判断されます。
出願後は、補正命令、名称変更命令等が出される場合があります。また、現地調査のた
めに出願品種等の栽培や栽培試験のための種苗の送付が指示されます。これらの命令に従
わなかったり、現地調査を拒んだ場合には、品種登録の出願は却下、あるいは拒絶されま
す(参照 【育成者権取得までの流れ】)
。
Q98: 育成者権の取得に係る費用はどれくらいか。
A98:
出願料
登録料
登録後 1∼3年まで
登録後 4∼6年まで
登録後 7∼9年まで
登録後10∼25(30)年まで
53
47,200円
毎年 6,000円
毎年 9,000円
毎年18,000円
毎年36,000円
【育成者権取得までの流れ】
所要期間
育成者・出願人
①出
農林水産省
願
備
考
出願書類に不備等があれ
ば「補正命令」が出される。
補正命令
「補正書」が未提出の場合
は、出願が却下される。
「補正書」提出
② 出願公表
平
均
3
年
前
後
③審
査 (書類審査、現地調査、栽培試験)
拒絶理由通知
「意見書」提出
品種登録
1∼3 年)
毎年 6,000 円
※4 年目以降は 3 頁参照
出願品種の名称が、商標
登録されているものと紛ら
わしい場合は、別の名称へ
の変更を命じられることが
ある。
(名称変更命令)
登録品種として認められな
い出願内容と判断される
と、その理由が通知され
る。
「意見書」を提出しても、拒
絶の理由が解消されない
場合は、登録品種として認
められない。
また、名称変更、現地調査
を拒んだ場合も登録品種と
して認められない。
拒絶査定
④ 登録簿記載・公示
⑤ 登録料納付
「拒絶査定」に不服がある
場合は、異議申し立て、あ
るいは拒絶処分の取消訴
訟を行うことができる。
登録後は、25年間権利とし
て保護される。(樹木の場
合は30年間)
育成者権発生
・出願公表から登録までの間に権利が侵害された場合は、品種登録後に、相手方に対してさかのぼ
って補償金の支払を請求する権利が認められる。
Q99: 育成者権の権利の及ぶ範囲はどこまでか。
A99: 登録品種及び登録品種と明確に区別されない品種、従属品種、交雑品種の「種苗」、
「収
54
穫物」等について、その生産、譲渡、輸出、輸入又は保管等を独占的に行うことができま
す。
保護される期間は植物の場合25年間、樹木は30年間(平成17年6月17日以前に
登録になった植物は20年間、樹木は25年間)です。
Q99−1:
従属品種とは何か。
A99−1: ある登録品種を親品種としてその登録品種に主として由来し、わずかな特性のみを
変化させて育成された品種。
1.変異体の選抜、2.戻し交雑、3.遺伝子組み換え、4.細胞融合により育成
されたものでもとの登録品種の性質がわずかに変わっているだけの品種。
Q100:
育成者権を侵害しないために守らなければならないことは何か。
A100: 登録品種の種苗は正規のルート(農協、種苗会社、小売店等)から購入し利用しまし
ょう。
登録品種の種苗を増殖して、他人に譲渡してはいけない(無償、有償問わず)
。
登録品種の切花や鉢物等を購入し、それから苗を増殖して切花を収穫してはいけない。
Q101:
家庭菜園や趣味の園芸で登録品種を購入して増やしても育成者権の侵害になるのか。
A101: 個人的、家庭的な利用は侵害になりませんが、増やした種苗を1回でも、少量でも無
償でも、親戚や友人であっても他者に譲渡したら、個人的、家庭的利用とはみなされま
せん。
Q102:
農家の自家増殖は育成者権の侵害なのか。
A102: 新品種の育成やその他試験・研究を目的として行う品種の利用や、農家が正規のルー
トから登録品種を購入して、生産した収穫物の一部を自分の次期作としてそのまま種苗
として用いることは認められています(契約により自家増殖が禁じられている場合もあ
ります)
。
Q103:
育成権者から許諾が必要な自家増殖とはどんな場合か。
A103:
1.自家増殖が禁じられている栄養繁殖植物を増殖する場合(裏ページ参照)
アルストメリア属、オドントグロッサム属、オンシジウム属、かすみそう属、カトレア属、
ガーベラ属、カランコエ属、クレマチス属、ジゴカクタス属、シンビジウム属、セントポ
ーリア属、チューリップ属、デンドロビウム属、なでしこ属、ペチュニア属、ペラルゴニ
ウム属、ほうせんか属、かきつばた、カーネーション、あじさい属、ばら属、ポインセチ
ア、しいたけ(自家増殖の制限が省令で指定されている植物)
おもだか属、ししうど属(とうきを除く)、スマランサス属、せいようわさび属、パパイ
ヤ属、まつぶさ属、マルピーギア属、アガスタケ属、アンゲロニア属、イソトマ属、いわ
だれそう属、ヴァーレンベルギア属、エオニウム属、エクサクム属、エボルブルス属、エ
リンギウム属、おりづるらん属、カリシア属、グラプトペタルム属、スカエウォラ属、ス
55
、ソリダゴ属、ソリダステル属、たつなみ
コパリア属、セネキオ属(シネラリアを除く。)
そう属、ちぢみざさ属、ディアスキア属、ディーフェンバキア属、ディサ属、とけいそう
属、ノラナ属、はえとりぐさ属、ビデンス属、プラティア属、プレクトランツス属、ヘレ
ボルス属、まるばびゆ属、まんねんぐさ属、ローマかみつれ属、らっきょうときいいとら
っきょうとの交雑種、らっきょうとやまらっきょうとの交雑種、アデニウム属、えごのき
属、エルウァタミア属、きだちるりそう属、げっけいじゅ属、シンフォリカルポス属、セ
ルリア属、たばこそう属、つた属、デイコ属、ディジゴテカ属、ドゥランタ属、パキラ属、
ひさかき属、ルクリア属、ゆすらうめ種、はなびらたけ種、ほんしめじ種(同上に平成1
9年8月1日から追加される植物)
2.イチゴ等の種苗をメリクロン培養のように別の作業過程を経て増殖する場合
3.きのこの種菌を殺菌、空調等の施設を備えた培養センターのような特別な施設で増殖する
場合
4.契約で自家増殖が禁止されている場合
5. 自家増殖してあまった種苗を近所の農家に配布する場合(有償、無償を問わない)等
Q104:
登録品種の確認はできるのか。
A104: 登録品種の確認は「品種登録ホームページ」で確認できます。ただし、正確な情報につい
ては農林水産省の品種登録簿の閲覧または謄写の請求により確認してください。
品種登録のホームページアドレス http://www.hinsyu.maff.go.jp
【共
通
編】
Q105:
発明協会の共同端末を利用して出願する方法を教えてください。
。
A105: ① 事前手続き:申込書類を特許庁に提出し、番号等をもらう(所用日数は約 2 週間)
② 特許庁に予納金を納付する(予めお金を納めておきます)。
③ 出願書類を作成してFD,CD−R,DVD等に保存します。
④ 発明協会支部に端末機利用の申込をします。
Q106:
インターネットで出願できるときいたのですが教えてください。
A106: 平成 17 年 10 月からブロードバンド回線利用のインターネット出願が可能となりまし
た。インターネット出願を行う場合には、特許庁が認める認証局が発行する電子証明書、
インターネット出願ソフトが必要となります。
また、特許庁が開発したパソコン出願ソフトを使用して、ISDN 回線を通じてオンライ
ン出願もできます。 が、あまり頻繁に出願しない場合は、発明協会の端末や、特許事
務所、書類等の出願でよいと思います
56
【検索
特許・実用新案
Q107:
編】
先行技術の調査を特許の公報で行う方法を教えてください。
A107: 特許権を取得するためには、すでに知られている発明と同じ発明でないことのほか、すでに
知られた発明から容易に発明できたものでないことが要求されます。従って、すでに知られた
発明にはどのようなものがあるかを調べることは重要です。特許等の調査は次のような方法
で行うことができます。検索エンジンで「特許庁」を検索すると、特許庁の HP や特許電子
図書館が見ることができます。
①
②
③
④
⑤
「特許電子図書館
(IRDL)」をクリックし
ます。
特許庁の HP からもいろいろな情報を得ることができます。
①:制度の紹介や出願から登録までの手続きについて説明されています。Q&A もあります。
②:探している情報を選択できます。
③:パソコン電子出願についての情報を得ることができます。
④:知財の研修会などの情報が分かります。
⑤:地域団体商標についての情報が分かります。
57
簡単な検索なら、
ここでもできま
す。初心者向け検
索の「1.特許・
実用新案の検索」
をクリックする。
ここをクリックすると、「の全てが含まれ
る」か「のいずれかが含まれる」の選択が
できます。入力するキーワードによって使
い分けることができます。
技術用語や出願人、発明
者など、キーワードを入
力します。ここでは H5
以降に公開されたもの
を検索できます。
ここでは「漬け物」を例
にしています。
キーワードを入
力したら、「検索
実行」をクリック
する。
検索結果の件数が表示さ
れます。
「一覧表示」をク
リックするとリストが表
示されます。
58
見たい発明の「公開番号
/登録番号」をクリック
すると簡単な要約を見る
ことができます。
詳細表示が見たい場合に
は、
「表示中の特許の詳細
表示画面を表示する」を
クリックする。
「請求の範
囲」や「効
果」「図面」
等を選択し
て見ること
ができま
す。
59
審査請求はまだ行っていない
ものであることがわかる
※ 詳しい先行調査については、岩手県知的所有権センターの特許情報活用支援アドバイザーに相
談・指導を受けましょう。相談・指導は無料です(但し調査代行は行っておりません)。
<岩手県知的所有権センター> 〒020-0852 盛岡市飯岡新田 3−35−2
岩手県工業技術センター内
019−656−4114
(※詳細は巻末問い合わせ先を参照)
60
Q108:
特許がまだ権利期間内であるか、確認する方法を教えてください。
A108:
経過情報を見て確認します。
例えば番号が
分かっている
場合、経過情
報検索への
「1.番号照
会」をクリッ
クします。
経過情報(番号紹介)では、
これらの番号がわかっている
もので特許・実用新案・意匠・
商標を検索することができま
す。
①
②
③
④
61
例えば、広告番号がわかっている
特許の経過情報を見る場合、
① 特許をクリックし、
②番号種別をプルダウンで選択し、
③番号を半角で入力、
④検索実行をクリックします。
リストが表示されたら、番号
をクリックします。
現在[基本項目] が表示されてい
ます。
次に[出願情報]を見てみ
ます。クリックします。
Q:IPC ってなに?※
A: 世界共通の特許分類番号(国際特許
分類)。A23L 2/38 は食品の非アルコール
性飲料についての技術分野です。
Q:FI ってなに?※
A: IPC をわが国の技術事情によって細分
化したもの。日本固有の分類番号。
Q:F タームってなに?※
A: F タームは先行技術調査を迅速に行
うためにコンピュータ検索用に開発さ
れた検索インデックス。
※ IPC や FI、F タームは先行調査の際に活用します。
62
拒絶理由の通知:特許を受ける
ことができる発明の条件をみ
たしていない、特許できないと
判断された場合に届く通知書。
拒絶理由条文第29条第1項
は新規性がないことをいう。
「登録情報」をク
リックします。
手続補正書:拒絶理由の通知を
受けた場合に、その拒絶理由を
解消するために、明細書や図面
を補正すること。
意見書:拒絶理由に対する反
論、補正書を提出した場合に
は、どの部分を補正したのか、
意見書で明らかにして、補正後
の特許請求の範囲の発明につ
いて意見を述べる。
特許権はまだ有効期間内にあ
ることがわかります。
年金:特許の登録料を一般に
年金といいます。
63
Q109: 「開放特許」にはどんなものがあるのか見ることはできますか。また、実際に導入し
て、成功した事例を知りたいのですが。
A109: インターネットの「検索エンジン」で「特許流通事業」と入力して HP からみること
ができます。
開放特許のデータベース「特許流通
DB」を検索してみることができます。
「特許流通成功事例」では開放特許
を活用した成功事例を見ることがで
きます。
例えば、「特許流通 DB」をクリックすると
「開放特許流通事例」では紹介され
た開放特許を活用できる事例を紹介
しています。
「特許流通データベ
ース検索へ」をクリ
ックする
例えば、ヤーコンに関する開放
特許が見たい場合の例 ヤー
コンと入力して「検索」をクリ
ックする。
64
検索結果が表示されたら、
「検
索結果を表示」をクリックす
る。
見たいものをクリックする
ことでその内容を表示させ
ることができます。
65
<参考 特許流通成功事例を見てみる>
次に開放特許を活用して成功
した事例を見るためには「特
許流通成功事例」をクリック
します。
自分がみたい特許流
通成功事例をクリッ
クします。
66
67
【検索
商標
Q110:
編】
指定商品の区分や類似群はどうすればわかりますか。
A110: 検索エンジン等を利用して「特許電子図書館」のトップページを開きます。そのペー
ジのなかの「商品検索へ」の項目の中の「7.商品・役務名リスト」をクリック → 商
品名を入力し「検索実行」をクリック → 件数が表示されたら、
「リスト表示」をクリ
ック → 表示されるリストは左から項番、区分、商品・役務名、類似群、出願番号と
なっているので、指定する商品・役務の区分と類似群が確認することが出来ます。
「特許電子図書館」
が開けたら、
「7.商
品・役務名リスト」
をクリックします。
③
①商標登録したい「商品・役務名」
を入力します。例えば「米」
②「検索実行」をクリックします。
③検索結果が表示されたら、
「リスト
表示」をクリックします。
①
②
②該当する商品・役務の区分・類
似群が分かったら、検索画面をク
リックして戻ります。
①例えば、玄米の加工品
は区分が 30 類、類似群
は「32F03」であること
が分かります。
68
類似商品にどのようなものが
含まれるのか、確認してみま
す。
「類似商品・役務審査基準」
をクリックします。
先ほど確認した、玄米の加工品
の 区 分 が 30 類 、 類 似 群 は
「32F03」であったので、
「第3
0類」をクリックします。
69
玄米の加工品の類似
群 32F03 に属する商
品の一覧が確認でき
ます。この群内のも
のには、同一・類似
の商標登録は登録で
きないということに
なります。
70
Q111:
簡単な商標の検索方法を教えてください。
A111: まず、商標を使用したい商品の区分、類似群を確認してください(Q106を参照し
て確認します)。次に登録(検索)したい商標を決めます。例えば、指定商品「米」に
「イナバウアー」という商標を登録したい場合です。
特許電子図書館の商標検索「7.商品・役務名リスト」で「米」の区分が「30 類」
、類
似群が「33A01」を確認します。その後商標検索の「称呼検索」→称呼イナバウアー(カ
タカナ入力)
、区分か類似群のどちらか入力して「検索」→結果がでたら「一覧表示」→
「出願/登録番号」→で確認できます。
「4.呼称検索」
をクリック
注意!!登録したい商標が長い名称の時
には、いくつかに区切ってそれぞれでも
検索する必要があります。
例えば「北国雪見山菜漬け」と商標登
録したいときは、
「キタグニユキミ」と「キ
タグニ」と「ユキミ」でも検索してほう
が、類似の商標の漏れを防ぐことができ
ます。
③
①称呼「イナバウアー」とカタカナ
で入力、漢字やひらがなの場合も必
ずカタカナで入力する。
②区分か類似群コードを入力する
(区分が同じ同士でも類似群が異な
ることがあるので、類似群コードの
方が良いかもしれません)。
③検索結果が表示されたら「一覧表
示」クリック
①
②
71
Q112: 当管内の農林水産物について、知財登録されているものを調べる方法を教えてくだ
さい。
A112: 下記は、それぞれ、特許・実用新案、意匠・商標についての公報検索のページです
が、検索項目に「出願人」や各種「番号」等はあるのですが、「住所」等はありませ
ん。登録していそうな会社や個人名や、商標であれば、使われている名称等で検索す
ることはできそうですが・・・。
検索できる項目
特許・実用新案権に
ついて
商標について
検索できる項目
72
【検索
登録品種
編】
Q113: 登録品種を調べることは出来ますか、また作目別や育成者権の維持されている品種を
選択してみることはできますか。
A113: できます。インターネットの検索エンジンで「品種登録情報」と検索すれば、「品種
登録ホームページ」を見ることができます。
ここで、
出願書類
等が入手するこ
とができます。
このページの「登録品種」
・
「出願公表」のところ(
の品種についてみることが出来ます。
)で、登録品種や出願中
ここのキーワードを入力します。
「米」とか「りんご」
という作物名でもかまいませんし、登録品種名が分か
っていれば、その名称でもかまいません。
登録品種については
検索したい作物の種
類をここで選択しま
す。
※
同じ画面です。
登録が維持されてい
る品種を調べたいと
きは、ここをチェック
します。
※ 出願公表されている品種について調べたいときも同様に行います。
73
○
知的財産の権利化相談対応フロー
1 知的財産権について、それぞれの保護される内容と権利化までの流れや費用等について
説明する。特許・実用新案・意匠の出願にあたっては、新規性が重要になるので公表前、販
売前であることも確認する。
2 発明、考案したものの特徴を整理する。商標については不登録要件に該当しないか確認
する。
・ 今までの物や技術と比較してどこをどのように工夫したのか。
・ 商標の場合、指定商品(役務)は何か。
3
特許電子図書館等を利用した先行技術調査・侵害性の調査を行う。
・ 同一、類似の可能性がある特許・実用新案・意匠・商標の有無
・ 同一、類似の可能性がある特許・実用新案・意匠・商標が発見された場合、その権利範
囲の確認(侵害性の有無)
・ 侵害性が疑われる場合、上記の審査経過(審査請求の有無、権利化の有無等)
・ 上記の権利化状況(権利期間内か、権利者は誰か)
4
※
先行技術調査・侵害性の調査の結果に基づいて権利化についての検討項目を知らせる。
・ 権利化するかどうか(出願するか否か)
。
・ 権利区分は妥当か。
・ 権利範囲は妥当か。
・ 類似があった場合、違いを明確にできないか。
・ 権利区分を変えて、出願できないか。
・ 侵害のおそれのある場合、その対処について(使用許諾や中止等の検討)
。
先行技術調査以降については、岩手県知的所有権センターに相談しながら進める。
【相談対応事例
特許・実用新案】
地域の林業グループで間伐材を活用して、「木製の折りたたみ式ゴミ収納装置」を作成した。簡単に模
倣されないように権利化したいが、どうしたらよいか。
特に工夫した点については、ゴミを収納する部分が普段は折りたたみ式のドアの内部に収納されていて、
場所をとらないこと。ゴミを収納するネットは簡単な手順で広げられること。ゴミは低い位置から搬入す
ることができ、子供やお年寄りに優しい構造であること。また、ゴミ収納部分の上部には掲示板が設けら
れていること、等である。
【 対 応 】
1. 知的財産権について、それぞれの保護される内容と権利化までの流れや費用等について説明する。
出願にあたっては、新規性が重要になるので販売前であることも確認する。
74
(1) 特許法
折りたたみ式のゴミ収納装置は既に存在しているものであり、その物自体に新規性はない。
また、間伐材を利用したことで特許が取得できたとしても、他の素材を用いた模倣品等は
抑えられない。
(2) 実用新案法
無審査登録なので、およそ 6 ヶ月で登録され、権利を得られるが、権利行使の際には、特
許庁に「技術評価書」申請が必要になる。
折りたたみ式のゴミ収納装置の改良という物品の構造に関する考案なので実用新案での
出願は考えられる。
(3) 意匠法
物品の外観を保護するのが意匠法。外観の意匠(デザイン)を保護できる。
(4) 商標法
物品を販売する際に自己の商品・役務と他人の商品・役務をはっきり区別させるための
もの。「ゴミステーション」が登録商標であることがわかり、出願用紙には記入できない
ことが判明(商標登録は原則使用できない。どうしても使用するときは(商標登録)と表
示する)
。
(5) 不正競争防止法
商品の形態は、市場に投入してから 3 年間は不正競争防止法 2 条 1 項 3 号の規定によっ
て、模倣行為を阻止できる。商品の販売が 3 年以内の短期間であれば、同法での保護は有
効である。販売期間が 3 年以上であれば、形態の保護については意匠出願も考える。
2. 開発したものの特徴を整理する。
知的財産権について説明し、どこをどのように工夫したのかを整理し、販売期間も長くなく、デ
ザインについては不正競争防止法で 3 年間は保護されるので、「折りたたみ式ゴミの収納装置」の
改良ということで実用新案権での権利取得を目指すことにした。
3. 特許電子図書館を利用した先行技術調査・侵害性の調査を行う。
先行技術調査を行い、先に出願・登録されている同一や類似の可能性がある特許・実用新案がな
いか検索を行った。そうしたところ、1 件、類似の可能性が高いものを発見した。
また、この商品を製造販売するに当たり、権利侵害する特許や実用新案が存在すると困ることに
なるので、障害になる可能性がある特許・実用新案について審査経過(審査請求の有無、権利化の
有無等)
、権利化状況(権利期間内か、権利者は誰か)を調べた。
このように、特許や実用新案への出願・権利化をせずに、知らないところで商品化されている場
合や既にそのようなものが存在している可能性もあるので、インターネット等で調べられるものに
関しては、情報を確認することも必要です。
4. 発見された特許の公開公報をもとに権利化について検討する
発見された特許の公開公報には自分たちが出願を考えている折りたたみ式であることや、掲示板
つきであることが記載されていたので、特許出願しても、この点について広い権利化は難しいとい
うことになった。
そこで、今回開発したものと、類似として発見された特許に記載されたものとの違いを明確にし
て、折りたたみ式のネットの収納部分について権利化できるか、権利化するべきかを検討し、実用
新案権として出願した。
75
問い合わせ先一覧
【産業財産権】
■ (社)発明協会岩手県支部
・住 所 〒020-0852 岩手県盛岡市飯岡新田 3-35-2 地方独立行政法人岩手県工業技術センター2階
●産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)の権利化、公報の閲覧等、産業財産権全般につ
いて問い合わせをしたい場合
・TEL 019−634−0684 FAX 019−631−1010
・E−mail: [email protected]
■ 岩手県知的所有権センター
・相談受付時間 8:30∼17:15(土日祝日、年末年始は除く)
・相談料 無料
・住 所 〒020-0852 岩手県盛岡市飯岡新田 3-35-2 地方独立行政法人岩手県工業技術センター2階
・U R L http://www.pref.iwate.jp/~kiri/chiteki/top.htm
●特許流通について問い合わせをしたい場合
・特許流通アドバイザー 千葉 広喜
・TEL 019−635−8182
FAX 019−631−1010
・E−mail: [email protected]
※要請があれば、貴社に出向いて相談・指導を行うことができます(出張料無料)。
●特許情報の活用(調査方法など)について問い合わせをしたい場合
・特許情報活用支援アドバイザー 中嶋 孝弘
・TEL 019−656−4114 FAX 019−631−1010
・E−mail: [email protected]
※要請があれば、貴社に出向いて相談・指導を行うことができます(出張料無料)。
■
特許庁
【代表電話】03(3581)1101番
【育成者権(種苗法)
】
■登録品種の確認 品種登録ホームページアドレス http://www.hinsyu.maff.go.jp
■権利侵害 品種保護Gメンホームページアドレス http://www.ncss.go.jp
■詳細 農林水産省生産局種苗課 品種登録班
〒100-8950 東京都千代田区霞が関1−2−1
TEL 03-3502-8111(代表)
FAX 03-3502-6572
独立行政法人種苗管理センター 品種保護対策役(通称:品種保護Gメン)
TEL 029-838-6589
E-mail [email protected]
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