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新聞インキ溶剤(ソルベント)及び 新聞インキオイル(潤滑

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新聞インキ溶剤(ソルベント)及び 新聞インキオイル(潤滑
1999年4月21日
三共油化工業株式会社
新聞インキ溶剤(ソルベント)及び
新聞インキオイル(潤滑油留分)の安全性について
印刷インキを構成する原料は、大別すると①顔料②ビヒクル③添加剤の3つです。
この内、ビヒクルは石油系溶剤、潤滑油留分、植物油、天然樹脂、合成樹脂等から成り立って
います。
ビヒクルが顔料を分散し、印刷素材に転移したのち、揮発、酸化又は印刷素材へ浸透して顔料
等が固着します。
平成9年9月、新聞インキ溶剤(ソルベント)にアロマフリー(AF)溶剤を使ったインキが、
エコマークインキとして発売されるとの新聞発表があり、その後、新聞インキ溶剤のAF化に
ついていろいろ話題になっていますが、誤った解釈もあるようなので簡単に解説します。
1.現在、新聞インキに「インキ溶剤」として使用されているソルベントは、
低 沸 点 溶
剤(
∼約120℃)
中 沸 点 溶
剤(約120℃∼約230℃)
高 沸 点 溶
剤(約230℃∼約320℃)
がありますが、これらのソルベントは、他に塗料、シンナー、洗浄剤、可塑剤等の分野で広く
使用されています。
これらのソルベントは、一般に油脂、樹脂の溶解力が強いが、揮発性が高いため、換気の悪い
場所での有機溶剤中毒に注意が必要です。又、現在は、VOC(Volatile Organic Compound)
即ち、有機大気汚染物質についての規制はありませんが、将来は、世界的に溶剤の使用を少な
くしようとの動きにあります。
そうした動きを先取りするにしても、なぜ、アロマだけがソルベント中の他の成分よりも有害
性が強いように言うのか、なぜアロマ含有量1%を基準にしてエコマークを認定することにし
たのかなど、明確な根拠のないまま、環境安全という名目の先取りでアロマフリーがスタート
してしまいました。
他国のエコラベル機関である米国(Green Seel)
、ドイツ(Blue Angel)、
―1―
EU (EU Ecolabeling) では、オフセット
オフセット印刷
オフセット印刷インク
印刷インク及
インク及びインキ溶剤
インキ溶剤についてのアロマ
溶剤
フリーとか芳香族の%等の議論は一切無く、エコマークの指定も行っていません。
2.一方、新聞インキに「インクオイル」として使用される潤滑油留分は、ソルベントとは異
なり、超高沸点で、揮発性は低く、大気汚染の心配はありませんが、作業員の安全衛生の
為に、MSDS(安全データシート)に明記するための安全基準が決まっています。
即ち、米国 OSHA(労働安全衛生局)の精製度基準と、EU DMSO 抽出物量(PCA:
多環芳香族)3%未満基準の両方をクリアーしていない場合は、MSDS に「発がんの恐れ
あり」と明記することを平成9年4月1日実施で決定しています。
そこで、
「インキ溶剤」と「インクオイル」は、性質的にも、規制面からも、別々の角度
から安全を考えねばならない点に注意する必要があります。
即ち、
(1)インキ溶剤(ソルベント)は、
① 大気汚染減少を考えた選択が、将来的には必要となるかもしれないが、
目下、法規制はない。
② 根拠は明確ではないが、日本ではムードとして、AF(アロマフリー)
溶剤を選択するユーザーが増えるかもしれない。
一方、
(2)インクオイル(潤滑油留分)は、
① 米国の OSHA(精製法基準)と、EU の DMSO 抽出物量3%未満の基準を
クリアーしていない場合は、製造販売に当って、MSDS に「発がんの恐れあり」
(特に皮膚がん)と明記、警告することが定められている。
② ここでは、全てのアロマを悪玉としているわけではなく、多環芳香族(PCA)と言
われるアロマだけが、発がん要因であることが多くの実験で証明されている。又、
善玉のアロマが残っていることは、溶解性にむしろ優れている。
混同のないよう重ねて申し上げますと、ソルベントでは、仮に、AF溶剤を選択するところが
増えたとしても、インクオイルは、OSHA と PCA によって、安全なものが選択されることには変
りはありません。
以上
―2―
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