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三重県財政の現状と課題認識について
資料2-2 三重県財政の現状と課題認識について 総務部財政課 平成28年5月 目次 1. 本県財政の現状 ① 歳入の状況 1 ② 一般財源の充当先 2 ③ 経常収支比率の状況 3 ④ 基金残高の推移 4 ⑤ 臨時一般財源の推移 5 ⑥ これまでの議論の経緯 6 【参考資料】平成28年度当初予算編成における 財源不足の状況 7 2. 三重県財政の現状に対する課題認識(総論) 8 3. 歳入 三重県行財政改革取組における歳入確保の取組 ① 税収確保対策 9 ② 新たな財源確保対策 10 ③ 県有財産の有効活用 11 ④ 県債発行の抑制 12 ⑤ 現状に対する課題認識 13 4. 歳出 (1)公債費・投資的経費 ① 県債残高の推移 ② 投資的経費に充当した地方債残高 の推移 ③ 投資的経費の状況 ④ 実質公債費比率の推移 ⑤ これまでの議論の経緯(1) ⑥ これまでの議論の経緯(2) ⑦ 現状に対する課題認識 (2)補助費等 ① 補助費等の推移 ② 県単補助金のこれまでの見直し ③ 現状に対する課題認識 (3)社会保障関係経費 ① 社会保障関係経費の状況 ② 社会保障関係経費の主な事業 ③ 現状に対する課題認識 14 15 16 17 18 19 20 21 22~23 24 25 26 27 (4)人件費 ① 人件費の推移 ② 現状に対する課題認識 28 29 (5)その他の経費 30 5. 予算要求区分のあり方 ① 政策的経費、大規模臨時的経費の推移 31 ② 現状に対する課題認識 32 1.本県財政の現状 ①歳入の状況 普通会計歳入の推移 平成22年度以降、県税収入は増加してきているが、使途が特定されていない一般財源収入は、微増となって いる。 億円 9,000 8,000 7,000 7,271 (4,326) 6,726 (4,285) 1,181 6,757 (4,338) 1,158 4,000 803 709 824 225 367 1,242 1,224 3,000 1,315 78 2,000 2,761 (4,393) 6,997 (4,417) 680 914 1,701 655 875 1,466 910 898 804 1,483 6,728 (4,619) 1,301 626 616 1,011 792 155 640 693 1,451 1,419 1,391 1,365 265 276 265 312 2,075 2,052 2,059 2,068 2,163 1,373 378 その他 県債(臨 財債等 除き) 国庫支 出金 臨時財 政対策 債等 665 799 2,670 1,000 6,961 (4,504) 600 1,292 58 6,984 1,585 849 5,000 (4,568) 1,624 6,000 776 6,987 県税の増加 分に見合う ほどは、一 般財源総額 は増加して いない。 ↓ 交付税・臨 財債が減少 している。 一 般 財 源 2,268 地方交 付税 地方譲 与税等 県税収 入 0 19 20 21 22 23 24 25 ※普通会計とは、財政比較などのために、全国統一的に用いられる会計のことで、一般会計と特別会計の一部を合わせたもの。 ※( )内は、一般財源収入の総額。 ※本県における地方消費税引き上げの影響額 H26:39億円 ※「地方譲与税等」とは、「地方譲与税」及び「地方特例交付金」をいう。 ※「臨時財政対策債等」とは、「臨時財政対策債」、「減収補てん債(特例分)」及び「減収補てん債」をいう。 26 年度 1 2 本県財政の現状 ②一般財源の充当先 一般財源の充当先としては、人件費、公債費、補助費など経常的に支出すべき性格を有する経費が大宗を占めている。 平成22年度と26年度を比較すると、こうした経費が増加した結果、それ以外の経費に向ける余力が失われてきている。 (億円) 5,000 4,500 投資的経費や物件費などに充当できる一般財源が減少 4,619 4,568 4,000 維持補修費 47 3,500 4,355(+231) 444 4,124 維持補修費 47(△0) 補助費等 1,147 264 補助費等 1,314 (+167) 3,000 公債費 1,122 (+176) 公債費 946 2,500 扶助費 57 2,000 扶助費 56 (△1) 1,500 人件費 1,927 1,000 人件費 1,816 (△111) 500 0 H22 (一般財源) H22 (一般財源等が充当される歳出) H26 (一般財源) H26 (一般財源等が充当される歳出) ※物件費とは、人件費、扶助費、補助費等、維持補修費以外の消費的性質の経費の総称。具体的には、職員旅費や備品購入費、委託料等が含まれる。 ※ 使途が特定されない財源としては、一般財源以外に、目的が特定されていない寄附金や売却目的が具体的事業に特定されない財産収入等があり、H 22年度は295億円、H26年度は226億円となっている。 本県財政の現状 ③経常収支比率の状況 経常収支比率は、平成16年度以降、11年連続で90%を超えており、かつ増加傾向にある。平成26年度 は、95.8%となっている。(全国38位。比率の小さいほうから順位付け。) % 105.0 高水準であり全国順位も悪化 (H22:24位→H26:38位) 98.6 100.0 94.6 93.5 95.0 90.8 90.5 90.0 90.5 91.4 87.9 85.9 80.0 75.0 85.7 84.9 88.9 87.6 94.9 96.1 95.8 91.9 92.6 94.7 89.3 89.4 85.0 92.5 94.8 97.1 95.9 92.6 87.8 93.9 94.9 94.1 94.6 93.0 93.0 91.0 88.9 88.7 88.6 90.7 89.6 86.9 87.9 88.8 84.5 80.8 三重県 全国(都道府県) 78.3 県内市町 70.0 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 年度 ※経常収支比率とは、県税、普通交付税など、毎年経常的に収入されるもので、地方公共団体が自由に使える財源 のうち、人件費、扶助費、公債費など毎年経常的に支出される経費に充てられた財源の占める割合のことで、率が 3 高いほど財政自由度が低いことを示している。 4 本県財政の現状 ④基金残高の推移 基金残高(一般会計)の推移 基金残高は、減少傾向である。平成28年度末残高は、平成22年度末残高の20%程度となっている。 億円 特定目的基金 1,000 899 848 913 県債管理基金 776 800 694 600 907 874 520 716 346 324 489 286 391 400 659 644 511 297 450 305 268 200 248 358 285 298 222 111 98 12 13 14 349 2 450 94 133 125 120 160 129 16 17 18 19 20 21 385 0 0 0 192 財政調整のための基金 512 0 45 603 722 574 222 204 112 778 609 0 86 159 266 360 0 203 218 246 25 26 0 15 22 23 24 182 0 H27.6補後: 100億円 157 168 0 14 27 28 年度 ※平成27年度は最終予算後、平成28年度は1号補正予算後の年度末残高見込。 本県財政の現状 ⑤臨時一般財源の推移 臨時一般財源の推移(平成24当初~H28当初) 平成28年度の臨時一般財源総額は、平成24年度当初予算時と比べ、大きく減少している。 20,000 (単位:百万円) 18,000 17,762 これまで活用してきた臨時 一般財源が大きく減少 15,443 (+1,679) 1,295 16,000 14,000 4,100 13,764 (▲3,998) 1,070 700 10,000 1,000 5,167 2,000 13 1,749 12,000 14,910 (▲533) 4,673 1,800 住宅供給公社清算金 土地開発基金 (27年度まで) 10,883 (▲4,027) 5,697 8,000 国の交付金・貸付金 住宅供給公社清算金 土地開発基金 5,883 4,415 行革推進債 退職手当債 6,000 4,000 9,000 7,200 5,000 4,800 2,000 ( )内は前年度か らの増減額 7,200 0 H24当初 H25当初 H26当初 H27.6補後 H28当初 ※国の交付金・貸付金 H24:国の予算等貸付 H25:元気づくり交付金 H26:地域経済活性化基金 ※各年度とも当初予算ベース。ただし、平成27年度は骨格的予算であったため6月補正後ベース。 ※企業会計からの繰入(借入)は除く。 5 6 本県財政の現状 ⑥これまでの議論の経緯 • 「本県の財政状況は、これまで一般財源収入として活用してきた臨時収入の皆減、公債費 や社会保障関係経費等の義務的経費の大幅な増加など、歳入歳出の両面で、例年以上 に厳しく、極めて深刻な状況にあります。」(28年2月18日全員協議会『第二次三重県行財 政改革取組』) • 「本県の財政状況は、歳出面では、人件費において高齢層職員の割合が多くなっており、 退職手当が200億円を超える高い水準であることや、社会保障関係経費が医療・介護の自 然増等により毎年10億円程度ずつ増加していることに加え、公債費が今後の県債償還の ピークに向けて毎年40億円程度ずつ増加しております。また、歳入面では、住宅供給公社 清算金収入20億円が皆減となるなど、これまで活用してきた臨時収入が活用できなくなる ことなどにより、厳しさを増しています。 こうした中で、平成28年度当初予算の要求状況公表時には247億円の財源不足がありま したが、歳出面では、税収関連交付金の減や大規模臨時的経費の先送り、社会保障関係 経費の精査により143億円を削減し、歳入面において、本県の要望していた退職手当債の 制度延長や財政調整基金の取崩しの追加、地方交付税の精査などにより財源の確保を 図ったところです。 (中略) しかしながら、人事委員会勧告の影響が平成27年度と合わせて81億円あったことや、退 職手当債制度が延長されたものの、制度自体は縮減されるなど、臨時収入にも限りが生じ たことから、企業会計の経営に影響を与えないギリギリの判断として、水道事業会計、電気 事業会計を合わせて55億円の借入れを行うこととしたものです。」(平成28年2月25日代表 質問知事答弁) 本県財政の現状 (参考資料) 平成28年度当初予算編成における財源不足の状況 Ⅰ 要求状況公表時点(12月7日)の財源不足額 247 億円 ① 要求時点から の増減 【歳入】 ( 一般財源ベース ) (1)地方一般財源収入(県税収入、地方交付税等) (2)財政調整基金の活用 (3)退職手当債の発行 (4)行革債、宝くじ収入等 (5)電気事業会計・水道事業会計からの繰入 (単位:億円) ▲ 29 26 50 2 55 104 億円 ② 歳入の増 計 【歳出】 ( 一般財源ベース ) ▲ 143 (1)歳出の査定・調整による減 (増減の主なもの) ・県税収入等の減に伴う税収関連交付金等の減:▲67 ・大規模臨時的経費における経費の一部先送り及び特財の活用:▲41 ・県債管理基金の積立調整による公債費の減:▲20 ・公共事業費の減:▲19(うち▲6は国費獲得による減) ・社会保障関係経費の精査:▲13 ・地方創生関係の交付金の活用:▲6 ・人事委員会勧告に基づく給与改定による人件費の増:+41 など ▲ 143 億円 ③ 歳出の減 計 247 億円 ④ Ⅱ 歳入歳出の対策計 (②-③) 財 源 不 足 額 (①-④) 0 億円 7 8 2.三重県財政の現状に対する課題認識(総論) (2月18日全員協議会知事説明) 「試算上は、投資的経費や一般行政経費といったいわゆる裁量的経費を コントロールするという前提を置いていますが、歳出全般についても見直 していく必要があると考えております。 いずれにいたしましても、歳入・歳出両面から今後どのような手段が必 要なのか検討を行っていきます。」 ⇒歳入 歳入確保における従来の取組をより効果的に進める方策とともに、新 たな歳入財源の確保策について、幅広い視点から検討していきます。 ⇒歳出 人件費、公債費、社会保障関係費、投資的経費、補助費等のいずれ についても、現状の課題をしっかりと洗い出したうえで、幅広い視点か ら、財政健全化に向けた効果的な方策を検討していきます。 3.歳入 歳入 ①三重県行財政改革取組における歳入確保の取組(1) ①税収確保対策 個人住民税の徴収対策の促進 ・H26年5月に県内全市町が一斉に特別徴収義務者の指定を徹底し、その徹底を27年 度も継続して行いました。これにより、特別徴収の割合が、H21年度の取組開始時か ら21.9ポイント増加の87.9%(全国2位)となりました。 市町と連携したより効果的な徴収方策や徴収対策の検討 ・三重地方税管理回収機構による滞納整理拡充事業(個人住民税及び少額滞納事案 の受け入れ)がH27年4月から開始され、機構での徴収額及び市町から機構への移 管に際し市町へ納付された個人住民税の納付額の合計額が約4億7千万(11月末時 点)となりました。 県民が納税しやすい環境の整備 ・H26年度から、クレジットカード納税の支払専用サイトをオープンし、インター ネットからのクレジットカード納税を実施しました。H26年度実績で7,375件(約3 億円)、H27年度実績で12,571件(約5億1千万円)となりました。 9 10 歳入 ②三重県行財政改革取組における歳入確保の取組(2) ②新たな財源確保対策 ネーミングライツの導入 ・三重県営スポーツガーデン(「三重交通G スポーツの杜 鈴鹿」)及び三重県営総合競技場(「三重交 通G スポーツの杜 伊勢」)にH26年10月1日から導入した結果、1施設あたり年間500万円(2施設計 1,000万円)の財源確保を図りました。 公用車への広告掲載 ・H24年度から事業を開始し、本庁及び地域庁舎で公募に基づく広告掲出がなされ、新たな財源 確保が図れました。 県行造林におけるオフセット・クレジット制度の導入 ・H24年11月に開始して以来、県行造林が吸収するCO2について、企業等へ販売してきました。 新たな税の検討 ・平成26年4月から「みえ森と緑の県民税」を導入し、H28年度税収は10.5億円を見込んでいま す。 ふるさと納税の推進 ・各種広報媒体の活用、インターネットによる寄附システムの導入、伊勢志摩サミットを寄附項 目に追加したこと等により、H27実績で件数が411件、金額が33,951千円となり、件数・金額と もに今までで最も多くなりました。 歳入 ③三重県行財政改革取組における歳入確保の取組(3) ③県有財産の有効活用と長寿命化 未利用の県有財産の積極的な売却と有効活用 ・未利用の県有財産の売却については、インターネットオークション(一 般競争入札等)を活用するなど積極的に取り組みました。 ・適正な財産管理と個別財産の利活用については、財産の自己点検要領を 策定し、各所属において財産の自己点検を実施しました。課題を有する 財産(個別財産)については、利活用の検討及び利活用計画の策定を行 いました。 ・県民ホールの広告については、随時募集により追加掲出を行いました。 11 12 歳入 ④三重県行財政改革取組における歳入確保の取組(4) ④県債発行の抑制と予算編成プロセスの見直し 最適な資金調達先の組み合わせ及び発行要件の検討 ・最適な資金調達先の組み合わせ及び発行要件を実現するため、資金調達先の多 様化、発行条件・発行年限など条件のバリエーションを検討しながら、県債を発行 しています。 ・県債発行において、5年以下の金利が低水準であったため、5年債を発行し、公 債費の抑制を図りました。 歳入 ⑤現状に対する課題認識 ①県税収入の確保 県税収入確保のためには、民間の自律的な経済活動を促し、税収基 盤を強化させていく必要があります。ただし、普通交付税の交付団体で ある本県では、歳入増に一定の制約がかかります。 また、納付を確実なものとすることは、歳入確保の取組みとして重要で あることから、納税者の利便性の向上を図るなどの取組を引き続き進め る必要があります。 ②県有財産の利活用 未利用財産は、H24年度と比較し、平成27年度(H28.1月末)では増加 しています。より効果的な売却・貸付により、歳入確保につなげていく必 要があります。 ③多様な財源確保 これまで取り組んできたもののうち、相当の効果があったと認められる ものについては、引き続き取組を進める必要があります。そのうえで、さ らなる歳入確保を図るためには、新たな自主財源の確保に努めていく必 要があります。 ④県債の発行抑制 公債費は、今後の県債の償還ピークに向けて、さらに増加する見込み です。公債費負担の軽減のため、単年度の元利償還金の抑制に努めて いく必要があります。 13 14 4.歳出 (1)公債費・投資的経費 ①県債残高の推移 県債残高の推移 県債残高は、平成20年度に1兆円を超え、その後も、年々増加している。建設地方債等は、平成24年度 をピークに減少に転じている。地方全体でみると、平成14年度以降、減少してきている。 (億円) 県債現在高 うち建設地方債等 全国(右軸) 全国(うち建設地方債等)(右軸) (兆円) 16,000 160 14,000 140 12,000 120 全国はH14が ピーク 10,000 100 80 8,000 6,000 60 本県はH24が ピーク 4,000 40 2,000 20 0 0 h12 h13 h14 h15 h16 h17 h18 h19 h20 h21 h22 h23 h24 h25 h26 ※建設地方債等とは、国の地方財政対策により決定される臨時財政対策債や災害に対応するための災害復旧事業債等を除いたもの。 (1)公債費・投資的経費 ②投資的経費に充当した地方債残高の推移 投資的経費に充当した地方債残高は、全国平均が減少する中、本県は横ばいで推移。 投資的経費に充当した地方債残高の推移 (平成14年度を100とした場合) 105% 101% 100% 100% 100% 102% 101% 100% 98% 96% 97% 95% 96% 95% 95% 横ばい 94% 90% 85% 81% 80% H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 三重県 H23 H24 H25 H26 三重県を除く全国平均 ※普通交付税の算定項目の一つである「地域の元気創造事業費」において、行革努力の指標として「地方債現在高削減率」が用い られているが、当該削減率は、全国数値がピーク時であった5年間(平成12年~16年度)の平均と直近5年間の平均により算定されて おり、この考え方を参考とした。起点は、平成12年~16年度の中間年である平成14年度とした。 ※投資的経費に充当した地方債残高を表すものとして、地方債残高合計から臨時財政対策債、退職手当債、減収補てん債を除いた ものを用いた。 15 16 (1)公債費・投資的経費 ③投資的経費の状況 投資的経費の状況(H12~16年度平均とH22~26年度平均と比較) 投資的経費の大宗を占める土木費及び農林水産業費の普通建設事業費は、直近5年間(平成22~26年 度)と平成12~16年度を比べた場合、全国平均より減少率が小さくなっている。 減少率が全国平均を 下回る (億円) H12~H16 平均 H22~H26 平均 増減率 (%) 全国平均 (%) 全国順位 普通建設 事業(土木 費) 1,099 694 ▲36.9 ▲43.0 37位 普通建設 事業(農林 水産業費) 462 247 ▲46.5 ▲51.3 37位 ※全国順位は、増減率の大きいほうから順位付け。 ※普通交付税の算定項目の一つである「地域の元気創造事業費」において、行革努力の指標として「地 方債現在高削減率」が用いられているが、当該削減率は、全国数値がピーク時であった5年間(平成12 年~16年度)の平均と直近5年間の平均により算定されており、この考え方を参考とした。(地方債現在 高からは、臨時財政対策債、災害復旧事業債等は除外されている。) (1)公債費・投資的経費 ④実質公債費比率の推移 実質公債費比率の推移 実質公債費比率は、平成23年度までは全国平均を下回っていたが、平成24年度に全国平均を上回り、 その後も増加している。 三重県 (%) 全国(都道府県) 15.5 15.0 14.9 14.7 14.6 14.7 14.5 14.1 13.9 14.0 13.7 13.5 13.5 13.5 13.5 13.6 13.1 13.0 13.0 12.8 13.0 12.5 12.5 12.3 12.6 12.6 12.7 12.0 h17 h18 h19 h20 h21 h22 h23 h24 h25 h26 ※実質公債費比率は、地方税、普通交付税のように使途が特定されておらず、毎年度経常的に収入される財源のう ち、公債費(普通交付税が措置されるものを除く)に充当されたものの占める割合。当該年度の公債費負担の大きさ を示す指標である。 17 18 (1)公債費・投資的経費 ⑤これまでの議論の経緯(1) (平成28年2月25日代表質問知事答弁) • 「本県は地方交付税の交付団体である以上、歳入に一定の 制約がかかるため、そうした制約の範囲内の歳出規模とせ ざるを得ず、そのためには来年度以降、歳出全般について の様々な見直しなど、持続可能な財政運営に向けて、覚悟 を持って進めていかなければならないと考えています。 • 特に、平成23年度に発生した紀伊半島大水害や24年度に 発生した台風17号等の被害に対する災害復旧事業に加え、 リーマンショック以降の国の経済対策への対応や、三重県 総合博物館(MieMu)の整備費用などのために県債を発行 し、その償還が順次開始されるなどの要因で、公債費が今 後の県債の償還ピークに向けて、さらに増加する見込みで あり、県債発行を抑制し、公債費負担を如何に減らしていく かが財政運営上の大きな課題であります。」 (1)公債費・投資的経費 ⑥これまでの議論の経緯(2) (平成28年3月7日予算決算常任委員会総括質疑知事答弁) • 従って、裁量的経費以外の経費についても何らかの対応を とっていかないといけません。 • 投資的経費について、県債残高の抑制を図っていくものの、 償還までの据置期間が3年間あったりするので、効果の発 現には時間がかかるだろうと考えています。 • そのような中、例えば、マイナス金利である状況を利用して、 県債の償還年限をできる限り長くすることで、毎年の償還の インパクトを減らしていく方法であるとか、時間外の抑制や組 織のスリム化により総人件費の抑制を図っていくなどを含 め、あらゆる手法を考えております。」 19 20 (1)公債費・投資的経費 ⑦現状に対する課題認識 • 投資的経費のあり方を考えるにあたっては、公債費が 今後の県債の償還ピークに向けて増加する見込みであ る中で、公債費負担を如何に減らしていくかが財政運営 上の大きな課題であることを踏まえる必要があります。 • そのうえで、起債運営にあたっては、単年度の元金償還 負担を圧縮するために、償還期間を延ばすことを検討 する必要があります。 (2)補助費等 ①補助費等の推移 補助費等(一般財源等充当額)の推移 補助費等に充当した一般財源等の額は、増加傾向である。年度により変動はあるものの、市町村に対する もの及びその他に対するものが増加している。ただし、一般財源等を充当した経費には、国庫補助事業の 地方負担分(いわゆる補助裏)と単独事業分があることに留意する必要がある。 国・同級他団体に対するもの 26 (億円) h22 その他に対するもの 611 521 632 h23 h24 509 h25 520 h26 市町村に対するもの 511 27 676 1,180 32 716 682 1,147 1,217 31 601 1,268 31 1,314 21 22 (2)補助費等 ②県単独補助金のこれまでの見直し (平成28年度当初予算調整方針) 県単独補助(負担)金については、社会経済情勢の変化、官と民、県と市 町の役割分担、事業効果、補助率の適正化、公平性等の観点から抜本的 な見直しを行うこととし、厳しい財政状況も踏まえ、補助制度創設時における 意義が薄れたものや補助実績の低調なもの、少額補助金などについて、思 い切った廃止、統合、縮小等を進め、行政のスリム化を図ること。 (平成16年1月 財政問題検討会報告「危機的な財政の健全化に向け て」) 【県単独補助金 見直し対象事業】 ・終期設定がない補助事業 ・補助率1/2を超える高率補助金 ・補助額1,000千円未満の零細補助金 ・市町村に対する交付税措置と重複している補助金 ・国庫補助事業に対する県単上乗せ補助金 ・県の補助額以上の繰越額、剰余金のある団体への補助金 (平成16年1月 財政問題検討会報告「危機的な財政の健全化に 向けて」 つづき) 【今後の県単独補助金創設にあたっての全庁的統一ルール案】 ・終期設定(原則3年以内)がなされており、かつ毎年度の達成目 標が明らかになっていること ・補助率は、原則として1/2以内とすること ・国庫補助事業に対する県の上乗せ補助でないこと ・新たな補助制度の創設にあたって、既存の補助制度の廃止がなさ れていること ・補助対象経費が市町村の基準財政需要額に算入されていないこと ・1市町村あたり補助額が1,000千円以上であること ・団体の収支上、県の補助が必要不可欠であること (県の補助額以上の剰余金等が発生していないこと) 【その他】 ・市町村の財政力も勘案した補助率の設定 ・市町村に対する補助制度の押しつけの禁止 ・特定団体に対する長期にわたる補助金の再評価 等 23 24 (2)補助費等 ③現状に対する課題認識 • 平成20年度決算と平成25年度決算を比較すると、本県の 「補助費等」の一般財源に占める割合は、平成20年度は 19.1%(うち市町に対するものは5.9%)、平成25年度は 21.2%(うち市町に対するものは9.7%)と増加しています。 • 負担金、補助交付金のうち、法令で義務付けられたものにつ いては、裁量の余地がありませんが、県単独補助金につい ては、県と市町、団体等それぞれの責務や役割分担を踏ま えたうえで、常にそのあり方を見直す必要があります。 • また、現行の補助制度について、制度創設時には一定の行 政ニーズがあったとしても、その後、制度の意義が薄れてき たり(=当初の目的はある程度達せられた)、補助実績が低 調なもの(=ニーズがなく活用されていない)などについて は、廃止・縮小・統合を進めていくことを徹底する必要があり ます。 • 市町を対象とする国庫支出金や交付税措置と重複する県単 補助金がないか、点検する必要があります。 (3)社会保障関係経費 ①社会保障関係経費の状況 社会保障関係経費の状況(平成22年度→平成26年度) 社会保障関係経費は、増加傾向にあり、平成22年度と平成26年度を比べると、約75億円増加 (937→1,012)している。 補助費等のうち民生費(児童、高齢者、障害者等の施策に要する経費)が大きく 増加していることが要因である。 1,200 単位:億円 1,012(+75) 1,000 800 937 補助費等(衛生費) 113 補助費等(労働費) 30 11(△19) 96(△17) 600 400 大きく増加 補助費等(民生費) 675 794(+119) 200 0 扶助費 118 110(△8) H22 H26 ※社会保障関係経費は、「扶助費」及び「補助費等のうち、民生費(災害救助費を除く。)、衛生費(清掃費 を除く。)、労働費」の合計額としている。 25 26 (3)社会保障関係経費 ②社会保障関係経費の主な事業 社会保障関係経費のうち、予算額が大きく増加(平成22年度⇒平成28年度)しているもの 介護給付費の負担(+70億円)、後期高齢者医療関係の負担(+40億円)の増加額が大きい。 (単位:千円) 細事業名 介護給付費 県負担金 障害者介護給付費 負担金 後期高齢者医療 費県負担金 事業概要 要介護者に対する介護給付及び要支援者に 対する予防給付に要する費用の一部を県が負 担する。 障がい児・者一人ひとりのニーズに応じた障 がい福祉サービスに係る給付等の支援を行う。 後期高齢者医療広域連合が支弁する医療費 の一部を公費で負担し、高齢期の適切な医療 の確保を図る。 国民健康保険調整交付金 市町間の保険料負担能力に格差が存在し、 国庫負担等のみでは解消できないため、調整 交付金により市町間の財政調整を行う 。 国民健康保険保険基盤安定負担 金 低所得者に対する保険料の軽減分相当額を 公費で補填することにより、市町国民健康保険 財政の基盤の安定化を図る。 後期高齢者医療 保険基盤安定 高齢期における適切な医療の確保を図るた め、低所得者等の保険料軽減分を公費で負担 する。 制度県負担金 児童入所施設措置費 子ども医療費補助金 児童手当事業費 教育・保育給付事業費 (旧 施設型給付費負担金等) 養育・保護を必要とする母子等を児童福祉施 設に措置、または里親に委託した場合、これに 要する費用を支弁する。 子どもに必要な医療を安心して受けさせられ るよう、市町が行う小学校6年生までの医療費 を助成する事業に要す る経費について補助す る。 児童手当法に基づき、市町が支給する児童 手当について、費用を負担する。 市町が民間の保育施設(認定こども園、幼稚 園、保育所)において教育・保育を実施した場 合、これに要する費用を負担する。 H22当初予算 H28当初予算 (1) (2) 事業費増加額 (2)-(1) 増加額順位 (昇順) 法令根拠 約70億円 16,645,132 20,605,431 3,549,846 6,654,806 12,423,939 15,202,686 3,960,299 介護保険法 1 3,104,960 2 2,778,747 3 障がい者日常生活 支援法 高齢者の医療確保 法 国民健康保険法 6,090,835 8,458,164 2,367,329 4 約40億円 3,863,090 5,355,010 1,491,920 国民健康保険法 5 2,198,113 3,298,426 1,100,313 6 2,182,749 3,226,327 1,043,578 7 1,312,025 2,224,357 912,332 8 3,696,976 4,469,319 772,343 9 高齢者の医療確保 法 児童福祉法 児童手当法 2,324,568 3,033,016 708,448 10 子ども・子育て支援 法 (3)社会保障関係経費 ③現状に対する課題認識 • 社会保障関係経費は、医療費や介護給付費の自然増 により増加傾向にあり、高齢化の進展により今後も増加 が見込まれます。 • 社会保障関係経費は、法令で義務づけられたものが多 く、そうしたものは県の裁量の余地がないという点にも 留意しつつ、国の動向や社会経済情勢などの推移を見 据えながら、県の役割や給付の水準と範囲が適正であ るかなどについて、常に考慮していく必要があります。 27 28 (4)人件費 ①人件費の推移 人件費の推移(普通会計決算 平成23年度~平成28年度) 本県の人件費は、平成23年度の水準を下回っているものの、平成26年度以降増加傾向にある。一方、地 方財政計画の給与関係経費は平成26年度以降横ばいとなっている。 (単位:億円) 2,280 215,000 2,260 2,262 2,240 2,235 2,235 210,000 2,219 2,220 205,000 2,200 2,189 2,180 200,000 地方財政計画は 横ばい(折れ線) 2,160 三重県 2,153 195,000 2,140 2,120 地方財政計画 190,000 2,100 185,000 2,080 左軸:県 H23 H24 H25 H26 H27 (最終補正後) H28 右軸:地財 (当初予算) ※本県の人件費について、平成23年度から平成26年度までは決算ベース、平成27年度は最終補正後 ベース、平成28年度は当初予算ベースとしている。 (4)人件費 ②現状に対する課題認識 • 本県では、三重県行財政改革取組の期間中(平成24年 度~平成27年度)、給料表の引下げ等を内容とする給 与制度の総合的な見直しを実施したことなどの結果、総 人件費の抑制につながりました。 • 第二次三重県行財政改革取組(平成28年3月)におい ては、 「業務運営方法の改善や民間活力の導入促進 等の既存事業の見直しを通じて、総人件費の抑制を図 りながら、効率的で機動的な業務遂行が可能となる組 織体制・運営や弾力的な勤務形態のあり方などについ て検討を進めます」としてます。 • 人件費は、歳出総額の約3割、一般財源総額の約4割 を占めるとともに、義務的経費の中でも最も割合が大き いことからも、引き続きその動向に留意する必要があり ます。 29 30 (5)その他の経費 • 物件費などの経費について、ワーキングメンバーからの 各自提案等も含め、幅広に検討します。 5.予算要求区分のあり方 ①政策的経費、大規模臨時的経費の推移 政策的経費、大規模臨時的経費の推移(平成24年度→平成28年度) 政策的経費は、シーリングにより圧縮が図られてきたが、大規模臨時的経費は高止まりの状況。 単位:億円 100 95 90 86 83 80 77 72 70 60 50 45 48 48 40 35 28 30 20 10 政策的経費(非公) 0 平成24年度当初 (シーリング 75%) 平成25年度当初 (90%) 平成26年度当初 (80%) 平成27年度当初 (85%) 平成28年度当初 (70%) 大規模臨時的経費 ※政策的経費とは、公債費や人件費のような義務的経費、大規模臨時的経費を除いたもののうち、実施にあたり 県に一定の裁量の余地がある事業に要する経費のこと。 ※大規模臨時的経費とは、施設の改築・大規模改修、システム開発等に要する臨時的かつ大規模な経費をいう。 31 32 予算要求区分のあり方 ②現状に対する課題認識 • 大規模臨時的経費は、高止まりの傾向にあり、そのあり 方について点検する必要があります。