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第312号(2010年05月31日発行)

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第312号(2010年05月31日発行)
北里大学医学部ニューズ
歌舞伎座 閉場式当日
CONTENTS
■医療系研究科長就任挨拶………………………………………2
■平成22年度宿泊オリエンテーション報告… …………………3
■平成22年度白菊会懇談会報告… ………………………………4
■ベストティーチャー賞を受賞して……………………………5
■守礼敬人賞を受賞して…………………………………………6
■白衣授与式………………………………………………………7,8,9
■平成21年度医学教育等関係業務功労者賞受賞報告… ………10
■平成21年度医学教育等関係業務功労者賞を受賞して… ……10
■平成21年度原子力・放射線安全管理功労賞受賞して… ……11
■研究単位紹介 脳神経外科学…………………………………12
2010.5
No.312
医療系研究科長就任挨拶
医療系研究科長 勝 岡 憲 生
(教授・皮膚科学) 本年4月、大学院医療系研究科長を拝命しました。
を一層充実させ、その内容および規模においてより大型の
本研究科は、医学部、医療衛生学部の両学部にまたがる
プロジェクト研究チームを養成する為に、プロジェクト研
大学院として、平成10(1998)年4月に開設され今日に
究の企画・導入に専念する、研究科の総力を結集した専属
至っています。
「医学・医療の総合的発展のために、基礎
チームの設置を考えています。
的研究と臨床的研究の調和と充実を図り、これを推進する
研究科にとってもう一つの重要課題は国際化の推進にあ
研究者、教育者、医療現場の指導者となる高度専門技術者
ります。そのためには、教育・研究に関する最新情報の交
を養成する」ことを目的として、特徴のある研究科の設立
換と院生の一定期間の交換留学が可能な体制を確立するこ
に叡智が注がれてまいりました。その結果、今日のような
とが必要ですが、現在の留学生の受け入れ体制はソフト、
基盤が形成され、その機能が十分に発揮されています。初
ハードの両面において不十分であり、提携している海外機
代研究科長の井上松久先生、第2代研究科長の岡安 勲先
関も乏しい状況にあります。そこで、提携が可能な機関の
生、および運営委員並びに事務局の方々の御努力に改めて
開発を目的に、国際化推進委員会を設置することと致しま
感謝と敬意を表します。
した。研究・教育において世界のリーダー的存在の機関と
本年度は修士課程54名、博士課程33名が新たに加わり、 の提携は、本研究科の発展のための大きなエネルギーにな
現在本研究科は約252名の院生を抱えています。教員は、
ると考えます。
教授76名、准教授53名、講師104名、助教31名から構成さ
本研究科の開設から12年が経過しましたが、医学部と医
れています。教育範囲は基礎医科学、臨床医科学のみなら
療衛生学部双方の教職員の御協力によってほぼ完成型に近
ず、環境医科学、医療工学、医療人間科学などを含み、多
づいています。私の個人的な願望でもありますが、今後最
彩で広範囲の領域を包括した研究科となっています。教育
も期待されることは、本学における関連施設を統合した大
については既に充分な整備がなされ、研究科全体の特別講
学院への発展であります。研究・教育の向上、発展を目指
義シリーズ、学群内の共通講義、特論講義などが定着して
すとき、薬学部ほか多くの分野との連携が互いに不可欠で
いますが、院生が積極的に受講することができるように一
す。一体化を目指すとき、固定されているシステムの調整
層魅力的な教育プロジェクトの設置が望まれます。また、
など多くの問題を解決していかなければならず容易なこと
種々の職種の方が自由に、そして効率的に受講できるよう
ではないでしょう。しかし、長い時間を要したとしても達
なシステムの構築も必要であると考えます。
成すべき大きな目標として、私に託された2年間は、その
大学院生の研究テーマと目的に合わせた「プロジェクト
礎を築く時期と考え、微力ではありますが本研究科の拡張
研究」は、本研究科における際立った特色でもあります。
を目指して鋭意努力いたす所存です。
研究環境を整備するために、公募型の学内・学外短期共同
本研究科の目標である「リサーチマインドを持つ医療人、
研究制度として導入されました。現在ではこのプロジェク
国際的にも通ずる自立した研究者、研究の遂行力を持った
ト研究が定着して大きな成果をあげています。この方式は、
臨床医の育成」を常に念頭に置き、本研究科の発展に寄与
学群という縦断的な研究体制に加えて、研究のテーマに合
すべく邁進してまいりますので、ぜひとも関係者の皆様の
わせて教員と院生が横断的に共同研究グループを形成して
御協力と御指導をお願い申し上げます。
いくメリットがあると評価されています。今後、支援体制
2010.5 No.312
− 2 −
平成22年度
宿泊オリエンテーション報告
宮 下 俊 之
(教授・分子遺伝学) 前日の雨もあがり、さわやかな晴天の広がった4月8日、
まずは薪に火をつけなくてはいけませんが、初体験の学生
平成22年度新入生宿泊ガイダンスが始まりました。宿泊ガ
が多かったらしく、かなり苦労しているグループも見られ
イダンスは入学して間もない新入生同士、および新入生と
ました。カレーが出来上がるころにはすっかり仲間と打ち
教職員との親睦を深め合うことが主目的ですが、教職員が
解けた感じで、にぎやかで楽しい夕食でした。その晩は、
集団生活に馴染みにくそうな学生を早めに判断して、相応
決して推奨したわけではありませんが、遅くまで話がはず
の対応をするという目的もあります。相模大野駅からの道
んだようで、朝4時まで起きていたなどというつわものも
路混雑で遅れた学生もいましたが、大きな問題もなく貸し
いました。
切りバス3台で高尾山に向けて出発しました。
2日目は、午前中JALアカデミーの講師から、ペイシェ
高尾山麓は桜がまさに満開でした。ケーブルカーを使っ
ントコミュニケーションの研修がありました。人間関係構
て着いた高尾山薬王院で、最初の行事である座禅体験が始
築の5原則(挨拶、表情、身だしなみ、言葉遣い、態度)
まりました。40分ほどでしたが、山の上の澄んだ空気を吸
を中心に実技も含めた講義があり、真剣に取り組んでいま
いながら、日常とは少し違う上質の時間を体験できたこと
した。進級して患者さんと接する際にきっと役に立つこと
と思います。私も新入生と共に初めての座禅を体験しまし
でしょう。
た。姿勢が悪かったり、雑念がありそうな者に僧侶が警策
午後からはレクリエーションタイムでした。運動着に着
を与えるものと思っていましたが、今回は手を合わせて体
替えて体育館に集合し、施設の指導員が音頭をとって体を
勢を前かがみにして意思表示した者の背中を叩くという形
使った様々なゲームを楽しみました。皆子供にかえって楽
式でした。中には2回3回と繰り返し志願して叩かれてい
しめたようで、
体育館は歓声に包まれていました。
楽しかっ
る学生もいました。座禅の後、精進料理をいただきました。
たガイダンスも3時半には終わり、バスで帰途に着きまし
精進料理とはいってもなかなかボリュームがあり、デザー
た。
トまでついた豪華なものでした。
学生により多少の差はありますが、ほとんどの新入生が
午後は宿泊地である「高尾の森わくわくビレッジ」に向
長い学生生活のスタートラインにしっかりと立てたと感じ
かいました。到着後学生課、教務課からガイダンスがあり、
ました。まだまだ幼さ、初々しさの残る学生達ですが、6
各クラスに分かれてクラス主任の話と自己紹介が行われま
年後には頼もしい医師の卵となり巣立っていくのが今から
した。少しずつクラスメートの顔と名前が一致し始めたこ
楽しみです。新入生にはこの新鮮な気持ちを忘れないで勉
ろ、野外炊さん場で夕食(カレー)の準備が始まりました。
学、課外活動に励んでもらいたいと願っています。
− 3 −
平成22年度白菊会懇談会報告
埴 原 恒 彦
講演中の岡安 勲名誉教授
演題『がんを防ぐために』
(教授・解剖学) 4 月 21 日(水)
、
麻山無量光寺境内の北里大学医学部納骨堂前で行われた墓
本年度の北里大学白
前祭と納骨式の様子が紹介されました。
菊 会 懇 談 会 が、205
その後、本会の主目的である、会員の方々と医学部3年
名の会員(内同伴34
生との懇談が始まり、世代を超えて、和やかな時間を過ご
名)の皆様にご出席
しました。最後に、学生の松浦元君と中村聡子さんが「解
いただき、小田急ホ
剖学実習を終えて」と題した感想文を朗読し、閉会となり
テルセンチュリー相
ました。
模大野8Fフェニッ
昨今、無駄遣いをなくすために「仕分け」なるものが話
クスで執り行われま
題となり、そこでは、学問を工場で製品を生産するときの
した。本会は医学部
競争原理と同列に捕らえ、研究をいかに効率よく集中して
生と、白菊会会員の
大量に安く出来るか問われています。しかし、科学技術立
懇談を主な目的とし
国で切望されている「独創的な人材の育成と研究の推進」
ており、昨年解剖学
は実は無駄が必要な、金のかかる試行錯誤の過程です。良
実習を行った3年生全員が出席しました。
質な教育や医療、独創的な研究は、表面的採算など合うわ
懇談会では、まず相澤好治医学部長が挨拶され、医学教
けがありません。しかし、実際に総合的な未来評価能力を
育における肉眼解剖学の重要性を述べられました。また、
もたない人々によって下される下手な評価がマスコミに受
学祖北里柴三郎先生が120年前に破傷風菌抗毒素を発見し、 け、結果として流行だけを追う小器用な並の研究者に過大
血清療法を開発し、第1回ノーベル生理学・医学賞の候補
な評価が集中する現象が起きているのも事実かもしれませ
となったが、共同研究者のベーリングのみ受賞となったこ
ん。人体を解剖するということは、実は無駄の多いことで
とに触れられ、さらに、北里研究所の創立100周年、医学
す。成書通りに全ての構造がすぐに見えてくるわけでは決
部創立40周年とその記念行事についても話されました。
してありません。並みの医者を大量に生産しようとするな
このあと、例年通り、講演会へと移りましたが、今年は、
らば、現在の解剖学のやり方よりも、手を汚さずにキー操
この3月に本学病理学単位を定年退職されました岡安勲名
作ひとつで人体の中を見せる画像ソフトのほうが効率よく
誉教授に「がんを防ぐために」と題して講演を行って頂き
集中して大量に安く解剖学の教育ができるでしょう。しか
ました。岡安先生は癌の研究には「がんのでき方」に関す
し、学生諸君は正規の実習終了時間を2時間、3時間過ぎ
る研究と、
「がんの広がり方」に関する研究があり、前者
ても脂肪組織、硬い結合組織に隠れた神経、血管を捜し出
は癌の予防、後者は癌の治療に結びついてゆくことをわか
し、人体の構造、教科書にはないさまざまな個体変異、多
りやすく話されました。特に、癌のでき方において、慢性
様性を理解しようと地道な試行錯誤の過程を繰り返してい
炎症から癌化する可能性についても説明されました。また、
ます。
癌研究振興財団が挙げる「癌を防ぐ12カ条」を紹介され、 国の要求する「表面的採算性」
、つまり短期間で要領よ
ご自身が心がけ、実践されていらっしゃる健康法について
くしかも安く成果を挙げるという視点から見れば、解剖は
もご披露されました。この健康法、特に「生のにんじんを
現代的な意味では不合理なものなのかもしれません。その
食べる」ということに関しましては、会員の方々の関心と
ような状況の中で、ご遺体に問いかけ、ご遺体から学ぶと
興味を引いたようで、講演後、数人から質問がありました
いう最も基本的な経験をした学生諸君は何を得たのでしょ
が、岡安先生からは大変ご丁寧に説明をしていただきまし
うか。死から生へ、自らの力でその橋渡しをしよう、した
た。
いという彼らの真摯な姿勢、正義感の芽生えを、この懇談
次に、昨年の解剖学実習の様子がスライドで紹介され、
会を通して会員の皆さまに感じ取って頂けたらと、願って
実習初日の学生の様子、実習中に執り行われた合同慰霊祭、
おります。
3ヶ月以上に及んだ実習の終了と納棺の様子、さらに、当
− 4 −
ベストティーチャー賞を受賞して
岩 渕 啓 一
(講師・病理学) 1月のある日、病院病理部に数人の6年生がゾロゾロと
とねばり強く歩んでもらいたい。(個人的な希望を言わせ
やってきて、
「おまえが、今回のベストティーチャー賞に
てもらえるなら)将来、日本において絶望的な状況が予測
選ばれた。近いうちにインタビューをするので、その様子
されている外科系、麻酔科、産科婦人科の分野に一人でも
をビデオに収めたい。それから、謝恩会のスピーチのとき
多くの卒業生が進んでもらいたいと思っています。
に画像を流すので、その時使用する昔の写真(幼少時のも
それから、いつも感じていることですが、今の医学部の
のを含めて)をできるだけ多く提出しろ」と言うのです。
「お
カリキュラムでは国の医療政策や医療保険、高齢者福祉な
い、ちょっと待て。そんなこと急に言われたって、ぜんぜ
どの問題点について、まとまった授業を受ける機会が少な
ん身に覚えがないぞ、どうしてオレなんだ」、これが小生
く、医療現場が抱えている状況を十分に認識しないまま卒
の反応でした。今回のこの賞は、K君、I君らの大いなる
業していきます。地方病院の荒廃、医師の偏在、救急患者
謀略ではなかったか、と今では思っています。
のたらい回しなど、マスコミがしばしば取り上げる問題だ
ポリクリが終わったあと一緒に飲みに行ったり、アメフ
けではなく、その根底にある本邦の国民総医療費の恐るべ
トの応援に駆けつけたり(ろくにルールも判らないのに)、 き低さ(この事実を、新聞やテレビは意識的に報道してい
それから廊下で学生たちと出会うと、ヨッと声をかけ、立
ないようにみえます)や急速に進む国民の高齢化(人類史
ち止まってバカ話を交わしたり・・・。そんなところが評
上、
どこの国も経験したことのないスピードで進んでいる)
価(?)されたのでしょうか。
にも十分に目を向け続け、いざというときには必要な行動
さて、国試に合格するとようやくスタートラインに立つ
を起こすことを願っています。
ことになるわけですが、初期研修2年間のうちに、
「僕は、 6年生の皆さん、卒業おめでとう。それから、このような
私はこれだ!」という進路をみつけて、その道をコツコツ
栄えある(?)賞をいただき、誠にありがとうございました。
ベストティーチャー賞を受賞して
小 川 史 洋
(助教・呼吸器外科学) 卒業生のみなさん、卒業おめでとうございます。またご
2週間と数名のClinical Clerkship 3週間程度での関わり
父母・ご親族の皆さま、この度はおめでとうございます。
しかなく、出向から帰ってきたばかりで慣れていない状況
今頃はそれぞれの初心を胸に秘め、各部署で初めてのこと
でちゃんとしたことが教えられたであろうかと毎回毎回手
に戸惑いながら悪戦苦闘の日々を過ごされていることと思
探り状態の講義で非常に申し訳なく思っておりました。た
います。
だ極力質問に答えてあげられる環境を作っておこう、
講義・
この度はベストティーチャー賞という非常に名誉のある
実習は楽しく理論的にということが自分が教育者の初心と
賞をいただき、非常にうれしい気持ちとともに、私のよう
して掲げていたところです。ただ逆に学生さんの質問に答
な若輩者がこのような過分な評価をいただき大変恐縮いた
えることで自分自身の知識の向上につながったと思い、自
しております。
分自身が学生さんたちに感謝しております。
ある日、謝恩会委員の方から話があるからということで
平成22年3月23日帝国ホテルで開催されました卒業謝恩
呼び出され、一体どうしたものかと恐る恐る行ってみると、
会で、卒業生みなさんとお話し、大変だった国家試験を終
「今年の臨床部門ベストティーチャー賞です」と。
「はては
え、希望に満ち溢れた未来を話されるみなさんは非常に輝
て?ベストティーチャー賞とはなんだ??」というところ
いておりました。みなさん非常にいい目をしていました。
から始まりまして、3年くらい前から設定されたものだと
自分の卒業以来ああいう場に出たのは初めてだったもので、
いうことを聞きました。が、その選考に間違いがあるので
教員の立場としての新たな発見と自分の卒業謝恩会のこと
はと思ったのが正直なところです。実際、自分が卒業生の
を思い起こし、「自分の初心」というものを思い出し、今
みなさんを教えたのはBSL(Bed Side Learning)の1~
後一層身も心も引き締めて臨床および研究に勤しまなけれ
− 5 −
ばならないぞと自分自身が奮い立たされたような感を受け
医学部長が掲げられている「守礼敬人」という言葉に集約
ました。
されていると思います。北里大学で培ったこの
「守礼敬人」
医療においては、医療知識・医療技術はもちろん必要で
の精神は絶対忘れないようにしてください。
ありますが、最も大切なことは1人では何もできないとい
今はスタート地点に立ったばかり。これからどんな人生
うことです。日々の仕事においてさまざまな壁にもぶち当
を歩むのでしょう?自分は人生は決められたものではなく、
たり、自分の無力さも感じる方もいるかもしれません。で
自ら切り開いていくものだと思っております。皆さんの努
も、皆さんには今まで6年間同じ釜の飯を食ってきた同級
力次第でどうにでもなっていくでしょう。のちに人生を振
生、先輩・後輩などの医師仲間はもちろんのこと、コメディ
り返り、
「素晴らしい人生であった」と言える日が来るこ
カルの方々が周りで支えてくれるでしょう。つまりチーム
とを切に願っております。
医療をもって患者さんに最善を尽くす、それが最も大事な
この度は本当におめでとうございました。みなさんの輝
のではないかと思います。そのためにはきちんとしたコ
かしい未来と御活躍をお祈りします。
ミュニケーションが大切だと思います。これは、相澤好治
守礼敬人賞を受賞して
-初心忘れるべからず-
新 山 史 朗
(講師・皮膚科学)
飲みに連れて行けと言われ、今まで学生達と2回だけ飲
も経つと、寝たきり患者さんは見下ろしながら、エレベー
みに行ったことがあります。35回生の中では熱田直己君、
ターも我先に乗り降りするようになってしまいました。
池村修寛君、鎌田一宏君の3人を連れて行きました。そし
医師になって17年目、とりあえずのことは何とかこなせ
て、大野銀座の居酒屋なのに、5~6万円を次世代の医師
る、それなりの知識や経験を身に付けました。しかし、こ
達のために投資しました。今回はその中の2人が謝恩会委
の間に忘れてしまったもの、失ってしまったものがいっぱ
員であったために選ばれただけで、この賞状はあの夜の領
いあります。そのひとつはあの日、壇上にいる自分に拍手
収書だと思っています。
を送ってくれた35回生のみんなは溢れんばかりに持ち合わ
2年前にも同じような機会を頂きましたが、その際に書
せている、患者さんへの優しい気持ちです。
いたことと同じことを記します。医師になるみんなへ贈る
みんなを見ながら昔を思い出し、そんな大切なものを思
言葉はいつも同じです。
い出させてくれた、自分にとって良い機会でした。
「初心
こんな自分でも医師になりたての頃は、患者さんの気持
忘れるべからず」とはこのことでしょう。以前もこんなこ
ちを理解しようと努力していたかと思います。寝ている患
とを書きながら、2年経ったらすっかり忘れて元通りでし
者さんにも目線を合わせるよう、ベッドサイドに膝を折っ
たが、また、思い出させてくれたことにも感謝します。こ
て話しかけ、車椅子の患者さんがエレベーターの乗り降り
れからみんなが元気で、良い医師になりますように。
の際には、率先してお手伝いをして・・・・。それが16年
− 6 −
誓いの言葉を心に刻んで
― 第2回白衣授与式挙行 ―
守 屋 利 佳
(准教授・医学教育研究部門)
平成22年4月2日、臨床実習の場に臨む5年生に白衣授
生はそれぞれの学年副主任から名前を呼ばれて一人一人白
与式が行なわれました。スクールモットーである “Sophia
衣をかけていただきました。岡本教育委員長、鎌田学年主
kai Ergon” のエンブレムの入った白衣は、医学部同窓会
任との写真撮影を終了後、昨年度北島賞受賞者の野城聡志
から準会員である医学部学生に贈呈されたものです。今年
君、星尚美さんの先導で全員が「37回生 誓いの言葉(別
は、相澤好治医学部長、岡本牧人教育委員長、藤井清孝大
掲)」を宣誓しました。この誓いの言葉は短時間の間に野
学病院長,菊池史朗東病院長,赤星透大学病院副院長、別
城君、星さんが学生から意見を募り、大学と大学病院の理
府知恵看護部長、花井恵子東病院看護部長をお招きし、同
念も念頭にまとめたものです。新しい白衣を身にまとい、
窓会からは大内孝文会長、永岡隆副会長、竹内昭博副会長、
全員で力強く宣誓する5年生の姿は、その言葉と共に参列
増田卓副会長、石川雅一副会長、および高平尚伸常任理事
者の心にも響き、医療に携わるもののあるべき姿勢をあら
が列席されました。
ためて認識する機会となりました。5年生にはこの時の気
鎌田貢壽学年主任、新井正康副主任(Aクラス)、佐藤
持ちを忘れずに実習、更に研修へと進んでいってほしいと
威文副主任(Bクラス)、内野正隆副主任(Cクラス)
、小
思います。
林清典副主任(Dクラス)(全員が卒業生)が出席し、学
【北里大学医学部37回生 誓いの言葉】
我々37回生は、
北里大学で医学を学び、これから医療に携わっていく者として以下のことを誓います。
『叡智と実践の精神を持った医師となるために』
医学への探求心を持ち、積極的に学び続ける姿勢を忘れずに、身につけた知識を広い視野をもって実践に生かし
ながら、常に前進していくことを誓います。
『臨床実習を有意義なものにするために』
これから第一歩を踏み出していく臨床の場で、共に過ごす班員とのチームワークを大切にし、日々切磋琢磨しな
がら成長していくことを誓います。
『患者中心の医療を成すために』
優しさと謙虚な気持ちを持って患者さんの立場に立ち、その心と身体の苦痛を理解して、常に寄り添いながら思
いやりを持って接することのできる医師になることを誓います。
『チーム医療を実現していくために』
医療スタッフ各人を尊敬し、互いに信頼し合いながら、最良の医療を提供するために努力していくことを誓います。
『プロフェッショナルの一員になるために』
人の命を支えるプロフェッショナルとしての自覚を持ち、将来は医学の発展に貢献できるような医師になること
を誓います。
以上のことを使命として、
我々37回生は、これから医療に真摯に取り組んでいくことを誓います。
− 7 −
白衣授与式報告
― 学年副主任としての思い ―
内 野 正 隆
学年副主任(Cクラス) (講師・整形外科学) 平成22年4月2日、第2回白衣授与式が医学部M-36教
場に集まり、代表2名の学生が誓いの言葉を宣誓した。最
室で執り行なわれた。医学部長、教育委員長、大学病院長、
後に教員を含め記念撮影を行い授与式は閉会となった。
東病院長、両院看護部長、同窓会から会長をはじめ重責を
多くの医学生が医学生としての自覚を認識させられるの
担う先生方を前にグレーのベンケーシーに身を包んだ5年
は解剖実習と臨床実習ではないだろうか。是非、この機に
生は多少緊張した面持ちに見えた。
もう一度、襟を正し、節度ある行動をとって欲しい。医学
守屋先生の司会のもと医学部長の相澤先生、同窓会長の
部、同窓会、病院が5年生になった学生のためにこのよう
大内先生、教育委員長の岡本先生からのご挨拶があった。
な式典を企画するということは、5年生への今後の大きな
そして、いよいよ白衣授与となる。あらかじめ各学生のた
期待の現れであるのだから、期待に応えられるよう精進し
めに用意された白衣が運び込まれ、各学年副主任が授与者
て欲しい。ご挨拶の中にもあったが、学内、院内だけでな
となり、一人一人に一言声をかけ、握手をし白衣を着せて
く外でも世間の人々は学生諸君を見ているので、責任ある
あげるのである。白衣の胸には北里大学医学部の建学の精
行動をとってもらいたいと願っている。浮かれることなく、
神である「Sophia kai Ergon(叡智と実践)」と刺繍がほ
しっかり地に足をつけ勉学にそして部活をはじめとする課
どこされている。おそらく、この瞬間は気持ちを新たに臨
外活動にも多いに力を入れ、残された2年間の学生生活を
床実習に望もうと思っているだろう。その後、白衣を授与
十分に謳歌して欲しい。そして、2年後にはわれわれの仲
された学生は一度退室し、個人写真撮影を行い、改めて会
間入りをし、大きく羽ばたいて欲しい。
医学部同窓会 大内孝文会長挨拶
相澤好治医学部長挨拶
岡本牧人教育委員長挨拶
− 8 −
白衣をいただき 言うもまた難し
野 城 聡 志
第5学年 「言うは易く、行うは難し」という諺がある。私も当初
あったが、最初から立派な形にまとまらなくとも、自分の
はもっともな事だと納得していたのだが、今は、必ずしも
心を改めて見つめ直して、その思いの一部を言葉に表わし
そうでは無いものだと思っている。
たのだろう。中には上手くまとまらなかった者もいるかも
北里大学医学部で第2回目の白衣授与式を迎えるにあた
しれない。しかし、大小様々なそれは、着実に輪郭を創り
り、初めての試みである “誓いの言葉” の作成に携わるこ
上げていった。各々に込められた想いを受け止め、まとめ
ととなった。完成した暁には全員がそれを唱え、誓いを立
ていくという大切な役割を担った私達は、パズルを組み立
てるわけである。代表者としての責任を感じると同時に、
てるようにして皆の “誓いの言葉” へと練り上げていった。
私個人の考えだけではなく、より多くの意見を反映させる
白衣授与式当日、完成した一言一言が、私の身体を震わ
べきだと思った。そこで、同学年全員に対してアンケート
せた。私が読み上げた後に、背後から聞こえる皆が復唱す
を行い、その意見を極力生かしていこうと考えたのである。
る力強い声は、こだまのように私の胸に響き、心の内に漠
最初は、完成形に近い文章として募集することも考えた
然と存在した欠片の一つ一つに共鳴するのを感じた。
のだが、特に括りは設けずに広く意見を募集することと
私達はこの誓いと共に、それが照らし出す道をしっかり
なった。というのも、私自身がこの “誓いの言葉” につい
と歩んで行く責任がある。“行うは難し” と言って、足を
て考えてみた時、一つの言葉にまとめ上げることの大変さ
止めてはならない。たとえそれが険しい道であっても、共
に気付かされたのである。自分が医師になるに向けて誓う
に誓った仲間と共に、日々進んで行くのである。私はこの
こと。改めて考えると、その大きさを感じることになる。
“誓いの言葉” に恥じぬような医師を目指し、来る臨床実
4月から臨床の現場に足を踏み入れた先も、自分の目に見
習に真剣に取り組み、より実り多いものにしていきたいと
えぬ遠く先まで続いていく道。私達は何を掲げ歩んで行く
思う。そこで得られた知識と経験を、将来に向けての糧に
べきか。自分でもはっきりとしないまま、周りの人の話を
していきたい。この白衣の胸には “Sophia kai Ergon” の
聞くと、やはり同じく頭を悩ませている人もいるようだっ
文字が記されている。以前はこの言葉について曖昧なイ
た。
メージしか無かったが、白衣授与式を終えた今は、“誓い
だが、次第にその欠片は集まり始めた。私自身もそうで
の言葉” の一部として、しっかりと私の胸に刻まれている。
白衣をいただき 誓いの言葉に込めたもの
星 尚 美
第5学年 去る4月2日に、白衣授与式が行われました。
んできたことを知ることができて、嬉しかったとともに自
学生一人一人が白衣を着せていただいた時には、想像し
分も頑張らなくてはという気持ちになりました。
ていたものとは少し違い和気あいあいとしたものでしたが、
「優しさと謙虚な気持ちを持って患者さんの立場に立ち、
最後に5年生全員で誓いの言葉を述べた時には、いい緊張
その心と身体の苦痛を理解して、常に寄り添いながら思い
感が漂っていて身が引き締まりました。
やりを持って接することのできる医師になる」―これは誓
今回の授与式では、今年からの試みとして誓いの言葉を
いの言葉の一部ですが、私はこの言葉が5年生全員の総意
考えることになり、私はその準備に関わりました。多くの
として最も相応しいのではないかと思います。
学生から、理想の医師像、医師として大切だと思うこと、
これからの臨床実習において、上記の言葉を胸に留めて
これからの決意などについての意見を出してもらい、また
患者さんに接していくことで、医師や看護師、薬剤師など
北里大学医学部らしさも取り入れた「誓いの言葉」を創り
の医療者だけでなく患者さんからも多くを学んでいきたい
出すことは、考えていたよりも難しいものでした。
と思います。
いままで、学生同士で理想の医師像や医師として必要な
このたびは白衣を頂きどうもありがとうございました。
ものについてじっくりと話し合う機会はなかったため、同
この授与式がより充実したものとして北里大学医学部に根
学年のみんながいろいろな視点や決意をもってここまで歩
付いていくことを願います。
− 9 −
平成21年度医学教育等関係業務
功労者賞受賞報告
技術担当部長 高 橋 正 身
(教授・生化学) 本表彰は、医歯学に関する教育、研究の補助業務に顕著
ました。遺伝子高次機能解析センターは我が国でも有数の
な功績のあった方を対象に、文部科学大臣より授与される
実験動物施設として順調に運用され、医学部はもとより医
大変栄誉ある賞であります。この度、本医学部の技術職員
療衛生学部の研究にも大きく寄与していますが、その陰に
の中から、遺伝子高次機能解析センターの中山茂信主任が
は同氏の地味なご努力が大きく貢献してきております。今
受賞される運びとなりました。同氏は昭和52年に本学に採
回の受賞もそのような実績が高く評価されたものと思いま
用され、以来33年間、実験動物施設の業務に従事されてき
す。本当におめでとうございます。
平成21年度医学教育等関係業務功労者賞
を受賞して
中 山 茂 信
(技術担当主任・遺伝子高次機能解析センター)
思いもよらないご推挙を頂き、平成21年度「医学教育等
様々な器具・手法の開発は充実の毎日であった事を思い浮
関係業務功労者」として11月25日文部科学大臣より表彰状
かべます。 この度の受賞に際し、推挙の労をお取りいた
並びに記念品(銀杯)を授与されました。30数年にわたり
だいた技術担当部長高橋教授、遺伝子高次機能解析セン
医学の発展に寄与すべく行ってきた仕事が評価されたもの
ター長篠原教授及び関係各位に心より深謝いたします。ま
と大変うれしく思います。
た、長年にわたり関わってこられた諸先生方、技術系職員、
入職当初から臨床・基礎ともに中・大動物を中心とした
そして側面から応援していただいた事務の方々にお礼申し
臓器移植・各臓器の循環計測等の実験が盛んに行われてお
上げます。最後になりますが、健康で仕事を続けて来られ
り、実験外科技術の向上、各種計測機器を用いた計測技術
た事を長い間支えてくれた妻に感謝するものです。
の向上を目指したものでありました。殊に、計測のための
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平成21年度原子力・放射線安全管理功労賞を
受賞して
青 木 勝 巳
(
)
学部教育系技術係長・医学部附置
医
バイオイメージング研究センター RI部門
「平成21年度原子力・放射線安全管理表彰」の表彰式が、 術職員としての研究支援の基本姿勢」の指導を受け、また、
平成21年11月6日に東京霞が関、東海大学校友会館で行わ
実際の業務に当たっては、「指示されたことの本質を見据
れました。
えて行動すること」
、
「常に、今、何が最も重要かを考えて
今年度は、放射線安全管理功労者は私を含め12名、環境
行動すること」等を、根気よくご指導して頂き、そのレー
放射能対策功労者が2名、原子力防災対策功労者が1名、
ルの上を走り続けた結果と考えています。
核物質管理功労者の2名が文部科学省大臣賞を受賞しまし
現在は、医学部研究者(教員)の方々の放射線安全管理
た。過去、北里では北里大学病院が団体として受賞してい
を含めた研究支援を行う教育系技術職員(選任放射線取扱
ます。
主任者兼務)としての業務のほか、全学RI安全管理委員
「原子力・放射線安全管理功労表彰」は、科学技術庁時
会(委員長:馬嶋正隆医学部教授)の下部組織である「R
代に「長官賞」として、原子力・放射線安全に尽力して優
I連絡会」
(全学部等の放射線取扱主任者の情報交換の場)
れた成果を挙げた個人又は団体等を表彰することにより、 の世話人として、学外の放射線安全管理や法令改正等の情
関係者の更なる意欲の向上と原子力の安全確保及び核物質
報提供に努めています。また、相澤好治医学部長、川上倫
管理に対する国民の理解の増進に資することを目的で制定
前技術担当部長、高橋正身現技術担当部長、馬嶋正隆セン
されましたが、文部科学省と改編された時に、「文部科学
ター長のご承認のもと、最新の情報を得る環境と放射線取
大臣賞」として、再スタートした賞です。
扱主任者試験に合格された方々に放射線安全管理経験を説
当日、10時半より表彰式が行われ、中川正春文部科学副
明する機会を頂いています。
大臣、文部科学省原子力安全課、原子力委員会、放射線審
医学部では、今年2月より、庶務係尾上吉美係長(平成
議会、功労表彰委員会等の委員長、委員、主催者の関係者
22年3月定年退職)、江花賢一係長が中心となり、文部科
など100名近くの方々が出席されているなか、副大臣より
学省からの指示による「管理下にない放射性同位元素等の
表彰状、主催者より表彰盾を拝受いたしました。その後、
一斉点検」が行われています。私も、RI部門池田岳紡技
11時半より記念撮影、表彰記念パーティがあり、1時過ぎ
術員とともに、そのお手伝いをさせて頂いています。本大
には、すべてが終了し、解散となりました。超高層ビルの
学は、設立当初より、放射線安全管理に対し、多くの先生
先駆けとなった霞が関ビルの33階での授賞式は、戦後初め
方のご協力が得られ、大きな問題もなく業務が遂行出来て
ての私立の医学部と何か共通する点もあり、授賞式会場か
います。
らの東京タワーを見た時、改めて、受賞したことを実感い
最後となりますが、この表彰は、私個人ではなく、上記
たしました。
先生方のほか、医学部の放射線施設を利用されている先生
今回の受賞は、現所属長の馬嶋正隆先生を始め、昭和50
方、尾上前係長をはじめとする日頃施設の維持管理にご協
年入職時の橋本省三、柏木登、川上正也、堀田恭子、井上
力頂いている関係者の方々と一緒に頂いた賞と考えていま
松久等の歴代の所属長、また田中邦男、鈴木春男、浜崎秀明、 す。改めて、この場を借りて、厚く御礼申し上げますとと
中村健の歴代の放射線管理室長、ならびに、中沢圭治前大
もに、さらに医学部の放射線安全管理の遂行に努めたいと
学病院放射線管理室長などの先生方から「北里の教育系技
考えています。
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昨今の不景気のなか、就職活動の早期化と長期化が学生に重くのしかかっている。私
の教室の修士課程2年生の学生は、就職活動によりこの半年間ほとんど顔を会わさない
状況が続いている。また、卒業研究の理学部4年生は、公務員試験対策の予備校に平日
に通うため、大学には毎日来れないと当然の権利のように言う。文科省は大学における
就職支援態勢の強化を図り、大学生の「就職力」を1年生のうちから身につける教育プ
ログラムなどに対して30億円の補助金を出している。このような小手先の就職技術指
導が、大学教育を無視して進めている企業の採用活動に対して、どの程度有効があるの
か甚だ疑問である。社会的に大きな変化を求められている大学教育ではあるが、社会の
ニーズだけに左右されない軸も持つべきではないか。(H・S)
研究単位紹介
脳神経外科学
脳神経外科学は医学部開設以来、初代教授矢田賢三先生
を中心とした諸先輩方によりその基盤が築かれ、1986年
には大和田隆教授の救命救急医学部門にも分化発展した。
1995年6月より二代目教授として小生が教室運営を担当し、
教室員が一丸となって脳・脊髄・末梢神経疾患、救命救急
など広範な脳科学における主要な臨床外科部門として、診
療・教育・研究活動を推進している。自立性のある熱い心
を持った真に実力のある臨床医の育成、さらに高度先進医
前列左より 岡 秀宏、倉田 彰、藤井清孝、山田 勝、阿部克智
後列左より 鈴木祥生、宇津木聡、佐藤澄人、宮島良輝、萩原宏之、佐藤公俊、
木島千尋、壇 充(学生)
、宮下圭一(学生)
療を支える
左手前より 藤井清孝、北原孝雄、今野慎吾、
犬飼 円、中原邦晶
基礎・臨床
トップレベルであり、研究論文の学会発表、学術誌掲載も
研究、
国内・
活発である。現在では標準的な脳神経外科専門医研修に加
海外留学に
え、血管内治療、radiosurgery、機能的手術、神経内視鏡
も力点を置
手術等のsubspecialtyの研修や資格取得、さらには脳血管
い て い る。
センター(倉田彰診療教授)などを通じて神経内科、血管
年間の手術
内治療、
リハビリテーションをはじめとする多診療科連携・
件数はわが
地域連携チーム医療の確立を目指している。
国において
(文責 藤井清孝 脳神経外科学教授)
編 集 後 記
毎朝、学生が校内を蟻のように連なって歩く。初々しい顔を
した学生が多い。新入生だろう。黄金週間明けの頃なると気に
なることがある。「学校に行くのが億劫になる。毎日からだが
だるい。すべてに無気力になる。」などの症状はありませんか?
五月病−新入生がこの時期に訴える精神的に不安定な状態であ
る。几帳面で真面目なガンバリヤさんに多いそうだ。期待して
いた大学生活と現実の生活とのギャップが原因となって、環境
に適応できずにおこる精神状態である。小さなことにも大きな
ストレスを感じるようになる。乗り越えるためには、クヨクヨ
せずに気持ちを切り替えてリフレッシュすることや、一人で悩
まずにグチをこぼしたりすることも大事である。
先日、さらに気になる放送番組を見た。今、大学の学生食堂
で一人では食事がとれない学生が増えているそうだ。ランチメ
イト症候群(学会等で認められた病名ではない)などと呼ばれ
るそうである。「一人で食べる姿を見られたくない」という、一
人で食事をすることへの恐れと、食事を一人でするような自分
のことを、周囲は友人のいない人間、すなわち魅力のない、価
値のない人間だと思うだろうという不安からくるらしい。その
ため、友人にみられないように図書館や時にはトイレに隠れて
食事をするそうである。このような孤立を恐れる大学生の心理
について、高校時代における他人との交わりや生活体験の不足
からくるコミュニケーション障害だと分析する。都内のある大
学では、入学前に入学予定者を集めてゲームをするなど、新入
生がお互いにコミュニケーションがとれるように手助けをする
などの対策を講じているところもあるようである。今のところ、
北里大学ではこのような噂は耳にしないが、例外でなくなる日
がくるのだろうか。(R・O)
医学部ニューズ〔第312号〕
http://www.med.kitasato-u.ac.jp/
●発行責任者 相 澤 好 治
●編集責任者 廣 畑 俊 成
〒252-0374 相模原市南区北里1-15-1
北里大学医学部内 医学部ニューズ編集委員会
TEL.042-778-8704(直通)
FAX.042-778-9262
E-mail [email protected]
●発 行 日 平成22年5月31日発行
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