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卵巣がん・化学療法 - JanssenPro
卵巣がん・化学療法 初回の化学療法を受ける患者さんへ 卵巣がん・化学療法 初回の化学療法を受ける患者さんへ 初回化学療法の種類 ……………………………… 1 各薬剤の特徴的な副作用 ………………………… 2 主な検査 ……………………………………………… 3 主な血液・尿検査について…………………………… 4 点滴中に注意すること① ……………………………… 5 点滴中に注意すること② ……………………………… 6 あなたの治療スケジュール …………………………… 7 初回化学療法の種類 化学療法の目的は、がん細胞を破壊し、がん細胞の増殖を抑えることです。初回化学 療法は再発を防ぎ、予後を良くすることが目標です。初回の化学療法レジメン※1に は下記のようなものがあります。 化学療法レジメン お薬の名前 パクリタキセル 投与方法 点滴 標準的化学療法 TC療法 ド ーズ・デ ンス dose dense TC療法※2 1日目に 投与 。これを3 ∼ 4 週間毎に繰り返します。 カルボプラチン 点滴 パクリタキセル 点滴 1、8、15日目に投与。これを 3週間毎に繰り返します。 カルボプラチン 点滴 1日目に投与。これを3週間 毎に繰り返します。 ドセタキセル 点滴 DC療法 プラチナ 単剤療法 投与頻度 6∼9サイクル 3∼6サイクル 3∼6サイクル オプション 点滴 シスプラチン単剤 または カルボプラチン単剤 点滴 1日目に投与。これを3∼4週 間毎に繰り返します。 イリノテカン 点滴 1、8、15日目に投与。これを 4週間毎に繰り返します。 点滴 1日目に投与。これを4週間 毎に繰り返します。 シスプラチン 3∼6サイクル 1日目に投与。これを3∼4週 間毎に繰り返します。 カルボプラチン CPT-P療法 投与回数(目安) 3∼6サイクル その他 ※1 レジメン:お薬の種類、投与量、投与方法、投与頻度などの治療計画。 ※2 日本から世界に発信されたエビデンスです。 (Katsumataら. Lancet, 374:1331-1338, 2009) 日本婦人科腫瘍学会:卵巣がん治療ガイドライン(金原出版)2010年版 / / 1 各薬剤の特徴的な副作用 抗がん薬による治療は、副作用を伴います。現れる副作用は、抗がん薬ごとに異なり、 下記に示したもの以外の副作用も認められます。また、種類や程度には個人差が あります。治療では2剤以上を併用することが多いので、さまざまな副作用が現れる ことも予想されます。 安全に治療を行うために定期的に検査を行いながら、治療をすすめていきます。 気になる点があれば、すぐに医師や薬剤師に相談してください。 お薬の名前 特徴的な副作用 カルボプラチン 骨髄抑制、悪心・嘔吐、食欲不振、脱毛、急性過敏反応 シスプラチン 骨髄抑制、悪心・嘔吐、食欲不振、脱毛、腎機能障害 パクリタキセル※1 骨髄抑制、末梢神経障害、脱毛、関節痛、筋肉痛、急性過敏反応 ドセタキセル※1 骨髄抑制、食欲不振、脱毛、下痢、浮腫、急性過敏反応 イリノテカン 骨髄抑制、悪心・嘔吐、食欲不振、脱毛、下痢 ※1 パクリタキセル、ドセタキセルには、添加物や溶解液にアルコールを含むものもあります。アルコールに過敏な方は、医師や看護 師にお知らせください。 日本医薬品集フォーラム:日本医薬品集 医療薬(じほう)2012年版より抜粋 / / 2 主な検査 安全かつ効率よく治療を行うために、治療前や治療中に下記のような検査を行い ます。 検査項目 内診、画像検査 (超音波、X線検査、CT、 MRI、PET-CTなど) 説 明 治療前には腫瘍の有無や広がり具合を調べます。 治療中は化学療法が効いているか、新しい病変が現れていないか、 手術・化学療法による合併症はないかなどを確認するために行い ます。 腫瘍マーカー(CA125 など) がんの進行や再発の有無、化学療法の効果を確認するために、血液 を採取して調べます。 血液・尿検査 治療前は、合併症の有無や投与するお薬の量を決めるために行い ます。 治療中は、副作用の有無を調べるために頻回に行います。投与する お薬の特性に応じて検査を組み合わせます。 裏ページに主な血液・尿検査の検査項目を記載しています。 心機能検査 (心電図、超音波検査など) 心臓の機能を確認するために行います。 / / 3 主な血液・尿検査について 安全かつ効率よく治療を行うために、治療前や治療中に血液・尿検査を行い、下記 のような項目を調べます。 検査項目 白血球 好中球 細菌感染を防ぐ働きがあり、減少すると感染症にかかりやすくなり ます。 赤血球 ヘモグロビン 酸素を全身に運ぶ働きがあります。減少するとめまい、息切れ、 頭痛などの症状が現れます。 血小板 出血を止める働きがあります。減少すると出血しても止まりにくく なったり、少しぶつけただけで容易に内出血を起こすことがあり ます。 総ビリルビン AST(GOT)、ALT(GPT) γ-GTP、LDH、ALP 肝臓の機能の指標となります。上昇すると、肝機能に障害がある 可能性が考えられます。 血清総タンパク 血清アルブミン 血液中に含まれるタンパク質の量です。低下すると、肝臓や腎臓に 障害がある可能性が考えられます。 BUN 血清クレアチニン 腎臓の機能の指標となります。上昇すると、腎臓に障害がある可能性 が考えられます。 24時間クレアチニン クリアランス 腎臓の機能を確認する検査です。低下すると、腎臓に障害がある 可能性が考えられます。尿検査が必要です。 CRP 体が炎症を起こしている時に作られる物質です。上昇すると、感染症 にかかっている可能性が考えられます。 / / 4 説 明 点滴中に注意すること① 点滴の漏れ(血管外漏出) 点滴しているお薬が血管の外に漏れると、漏れ出した部位に炎症が起こる危険性 があります。 炎症の程度はお薬により異なります。 ● 点滴しているお薬が漏れた時の危険性 強い炎症を起こすお薬 パクリタキセル ドセタキセル 中程度の炎症を起こすお薬 軽度の炎症を起こすお薬 カルボプラチン シスプラチン イリノテカン − 西垣玲奈ら. 薬事, 51:1963-1966, 2009改変 血管外漏出を防ぐためには点滴中は点滴している部位を大きく動かさないように することが大事です。点滴の落ち方などにも気をつけてください。 また、点滴を始める前にトイレを済ませてください。点滴中にトイレに行きたく なった場合には、医療スタッフに声をかけてください。 点滴中や点滴後に下記のような症状や気になることが ある場合は速やかに医師や看護師にお知らせください。 □ 注射針やチューブの周辺から点滴が漏れている (手や腕がぬれてくることがあります) □ 点滴の落ち方が遅くなった □ 注射針の周辺がはれている □ 注射針の周辺がピリピリと痛い □ 注射針の周辺が赤い □ 注射針の周辺にいつもと違う感じ(違和感)がある / / 5 点滴中に注意すること② 過敏症 体には、菌やウイルスなどの異物に対する免疫システムが備わっています。過敏症 とは、体が抗がん薬を異物と認識して、過剰な免疫反応により起こる症状のこと です。お薬によってはこのような過敏症が現れることがあります。 症状などにより主に下記の2種類があります。 ● アレルギー反応 抗がん薬投与開始から5∼10分以内の早期に多く現れますが、30分∼1時間は注意 が必要です。症状が現れたら投与を中止する場合があります。 ● インフュージョンリアクション アレルギー反応と同じような症状もありますが、それぞれの抗がん薬独自の症状も みられます。抗がん薬投与中または投与開始後24時間以内に多く現れます。 ゆっくり点滴することで、発症の予防や症状を軽減させることができます。 点滴中や点滴後に下記のような症状や 気になることがある場合は 速やかに医師や看護師にお知らせください。 □ 顔や体がほてる □ 顔が赤くなる □ 息苦しい □ 心臓がドキドキする □ 体にかゆみを感じる □ のどがかゆい □ 気分が悪い / / 6 あなたの治療スケジュール あなたの 化学療法 レジメン □ その他 □ TC療法 □ dose dense TC療法 <投与スケジュール> 日周期で 回繰り返します。 お薬の名前 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 お薬の名前 8日目 9日目 10日目 11日目 12日目 13日目 14日目 お薬の名前 15日目 16日目 17日目 18日目 19日目 20日目 21日目 お薬の名前 22日目 23日目 24日目 25日目 26日目 27日目 28日目 副作用の程度によりお薬の投与を延期したり、お薬の量を減らしたりすることがあります。 また、吐き気などの副作用を軽減するためのお薬も投与します。 / / 7 memo 8 ― 作成協力者 ― 本冊子の作成にあたっては、 卵巣がん体験者の会スマイリー 片木 美穂 さん ならびに 岩手医科大学医学部 産婦人科学教室 教授 杉山 徹 先生 聖マリアンナ医科大学 産婦人科 教授 鈴木 直 先生 岩手医科大学医学部 産婦人科学教室 非常勤講師 熊谷 晴介 先生 鳥取大学医学部 産科婦人科 助教 島田 宗昭 先生 の各先生方にご指導、ご協力いただきました。ご厚情に深謝いたします。 ヤンセンファーマ株式会社 お名前 © Janssen Pharmaceutical K.K.2013 DOX-0064 DOX.Pt037.4_1 2013年7月作成