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不動産マーケットレポート

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不動産マーケットレポート
11
N o v e m b e r, 2 0 1 6
不動産マーケットレポート
地価上昇が続く三大都市圏の大都市では、
大阪圏と名古屋圏で上昇顕著(商業地)。
住宅地は複数の大都市で上昇の勢い鈍化・ 2
経済トレンド・ウォッチ ・・・・・・・ 4
不動産市場トレンド・ウォッチ ・・・・ 6
早期に地価上昇に転じた横浜市と川崎市
の住宅地では複数の区で上昇が鈍化 ・・ 8
熊本地震で被災された皆様に御見舞いを申し上げます。
被災された地域が一刻も早く復興できますよう、
心よりお祈り申し上げます。
地価上昇が続く三大都市圏の大都市では、大阪圏と名古屋圏で
2016 年の都道府県地価調査によれば、
7月1日時点の地価(基準地価)
は、
全国商業地の対前年平均
※1
「平均」の記載を省略)
は、0.8%の下落で
変動率が下落から横ばい に転じ、同じく住宅地平均(以下、
はありますが下落幅が縮小しています。
三大都市圏※ 2 や地方の主要大都市において地価上昇が拡大しており、商業地を中心に上昇幅の拡
大が顕著ですが、一方で三大都市圏の住宅地の一部では上昇幅が縮小しており、上昇から下落に転じ
た地域がみられます。
●概観:三大都市圏で地価上昇が継続、地方圏も地価の持ち直しが続く。
商業地と住宅地の用途別に、三大都市圏と地方圏※ 3
建設投資が活況であることなどから、三大都市圏の商業
の地価変動率を比較すると、三大都市圏は両用途とも
地における地価上昇が特に顕著です[図表 1]
。住宅地
以前から地価が上昇に転じており、現在も上昇が続いて
についても、分譲マンションをはじめとする住宅需要を主な
います。一方、地方圏の変動率はマイナスで地価下落
背景に、
三大都市圏は地価上昇が続いています
[図表 2]
。
が続いていますが、
下落幅は年々縮小しています。
※ 1:新聞報道によれば、全国・商業地の対前年平均変動率はプラス
0.005%で、
僅かに上昇に転じた。
旺盛な不動産投資需要を背景に不動産売買が活発
客の増加によるホテル・商業施設への需要増加などから
※ 2:三大都市圏とは東京圏、大阪圏、名古屋圏の対象区域を指す。
対象区域を含む都道府県は次の通り。東京圏:東京都、神奈川
県、埼玉県、千葉県、茨城県。大阪圏:大阪府、京都府、兵庫県、
奈良県。名古屋圏:愛知県、
三重県。
賃貸収益の改善期待があること、これら物件用途に係る
※ 3:三大都市圏以外の地域
に行われたことや、オフィス空室率の低下や外国人観光
[図表 1]
基準地価の対前年変動率
(商業地)
[図表 2]
基準地価の対前年変動率
(住宅地)
(%)
3
(%)
3
2
2
1
1
0
0
-1
-1
-2
-2
-3
-3
-4
2013
全国
2014
2015
三大都市圏
2016 (年)
-4
地方圏
2013
全国
2014
2015
三大都市圏
2016 (年)
地方圏
図表 1 及び図表 2のデータ出所:平成 28(2016)
年都道府県地価調査
●商業地:大阪圏と名古屋圏の大都市の地価上昇は、東京圏の大都市を上回る。
三大都市圏にある人口100 万人以上の大都市 8 都市
区部を上回って推移しており、
外国人観光客のインバウン
の商業地を対象に、2013 年から2016 年の対前年変動
ド消費やオフィス市況の改善を背景にして、今回の地価
率を比較しました[図表 3]
。いずれの都市も
[図表 1]に
上昇が東京以外の主要大都市に拡がっていることがう
示した三大都市圏平均の推移をおおむね上回っており、
かがえます。
三大都市圏の中でも、大都市で地価上昇が顕著である
ことがわかります。
その中にあって、大阪市と京都市、名古屋市は東京都
2
2016, November
その一方で、東京圏にある川崎市と横浜市、さいたま
市の地価上昇は相対的に低位で、都区部の上昇が目立
ちます。
みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート
上昇顕著 ( 商業地 )。住宅地は複数の大都市で上昇の勢い鈍化
●住宅地:東京圏で郊外住宅地を含む大都市などでは地価上昇が鈍化
同じく8 都市について、住宅地の対前年変動率を比較
や川崎市では上昇の勢いが弱まっています。
しました
[図表 4]。
[図表 2]
で示した三大都市圏の住宅
名古屋市でも上昇率の低下がみられます。名古屋市
地平均は、2014 年以降おおむね同じ上昇率で推移して
や愛知県三河地域では、好調な自動車産業等の地域経
きましたが、
都市別にみるとその様相は異なります。
済要因で住宅需要が堅調に推移してきたため、比較的
分譲マンションの販売価格が上昇し一般的な取得可
早い時期から地価が上昇に転じ、相対的に高い上昇率
能水準を上回っているといわれる昨今でも、海外を含む
に達しましたが、その結果、地価が高水準となり、上昇に
投資家や相続対策目的の資産家層による高額マンション
一服感が生じているものと考えられます。
の取得が堅調な東京都区部で上昇幅が拡大しているの
に対して、実需層向けのマンション供給が中心の横浜市
(以上、
都市未来総合研究所 小林勝瑞)
(商業地)
[図表 3]
都市別注にみた基準地価の対前年変動率
(対前年比/%)
9
8
※図中の数値は 2013 ~ 2016 年
の累積の変動率
東京都区部
21.7%
7
横浜市
13.8%
6
川崎市
15.6%
5
さいたま市
13.5%
4
6.8%
12.2%
横浜市9.3%
3
名古屋市
大阪市
2
さいたま市7.8%
1
京都市
0
神戸市
-1
2013
2014
2015
2016
(年)
[図表 4]
都市別注にみた基準地価の対前年変動率
(住宅地)
(対前年比/%)
3
7.4%
※図中の数値は 2013 ~ 2016 年
の累積の変動率
東京都区部
横浜市
2
川崎市
7.7%
横浜市 5.2%
川崎市 5.0%
1
さいたま市 3.2%
0.6%
神戸市 2.3%
大阪市 1.2%
0
さいたま市
名古屋市
大阪市
京都市
神戸市
-1
2013
2014
2015
2016
(年)
図表 3 及び図表 4のデータ出所:平成 28(2016)
年都道府県地価調査
注:三大都市圏にある人口100 万人以上の大都市
みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート
2016, November
3
経済トレンド・ウォッチ
■ 景気の動向(全国)
図 1 景気動向指数
140
(景気動向:CI指数 2010年=100)
(7月)
130
A.
先行指数
C110.7
B108.5
120
110
B.
一致指数
100
A101.9
90
C.
遅行指数
80
70
1月
2005年
1月
2006年
1月
2007年
1月
2008年
1月
2009年
1月
2010年
1月
2011年
1月
2012年
1月
2013年
1月
2014年
1月
2015年
1月
2016年
データ出所:内閣府
「景気動向指数」
図 2 景気ウオッチャーの景気判断指数
70
(景気の方向性:DI指数)
(8月)
60
B47.4
50
40
A.
景気の現状判断DI
A45.6
30
B.
景気の先行き判断DI
20
10
1月
2005年
1月
2006年
1月
2007年
1月
2008年
1月
2009年
1月
2010年
1月
2011年
1月
2012年
1月
2013年
1月
2014年
1月
2015年
1月
2016年
データ出所:内閣府
「景気ウォッチャー調査」
図 3 企業の業況判断指数
30
(業況判断指数:業況DI)
20
12
(11)
10
(6)
5
(2)
0
(-3)
10
0
‒10
全規模合計
大企業
(9月)
‒20
中堅企業
‒30
‒40
中小企業
‒50
‒60
3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月12月 3月 6月 9月 12月 3月 6月 9月
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
2012年
2013年
2014年
2015年
2016年
注:「大企業」は資本金 10 億円以上、
「中堅企業」
は資本金 1 億円以上 10 億円未満、
「中小企業」
は資本金 2 千万円以上 1 億円未満。
( )内の数値は直近調査の 3 ヶ月後に関する予測値
(本稿は 2016 年 12 月を対象とする予測値)
。
データ出所:日本銀行
「全国企業短期経済観測調査
(短観)
」
【データ概要】
4
2016, November
図 1 景気動向指数の CI 指数
:CI 指数は、景気の拡大・後退の大きさやテンポを示す。
(CI:コンポジット・インデックス) 景気先行指数は、景気一致指数より数ヶ月先行して動き、景気を予知するための指数。
景気一致指数は、
実際の景気動向とほぼ一致して動き、景気の現状を示す指数。
景気遅行指数は、景気一致指数より数ヶ月遅れて動き、景気の変化を確認する指数。
図 2 景気ウオッチャーの景気判断指数
:景気の動きに敏感な職業の人を景気ウオッチャーに選び、街中の景気の現状や先行き
( 2 , 3 ヶ月先)について、景気ウオッチャーの判断による景気の方向性を示す指数。
(DI 指数:50=変わらない・横ばい、50 より高い =良くなる、50 より低い = 悪くなる)
図 3 企業の業況判断指数
:業況が「良い」と答えた企業の割合から、「悪い」と答えた企業の割合を引いた値を
業況判断指数とするもの。「良い」と「悪い」の回答割合が同じ場合は「0」となる。
みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート
■ 物価・雇用・金利等の動向(全国)
図 4 物価指数
(2010年=100)
110
(8月)
105
100
B. 消費者物価指数
(民営家賃)
C98.9
B97.4
95
90
1月
2005年
A. 消費者物価指数
(生鮮食品を除く総合)
A102.9
1月
2006年
1月
2007年
1月
2008年
1月
2009年
1月
2010年
1月
2011年
1月
2012年
1月
2013年
1月
2014年
1月
2015年
C. 国内企業物価指数
(総平均)
1月
2016年
データ出所:総務省
「消費者物価指数」
、
日本銀行
「企業物価指数」
図 5 雇用情勢
7.0
(有効求人倍率 : 倍)
1.4
(8月)
1.37 1.2
6.0
1.0
5.0
0.8
4.0
0.6
8.0
(完全失業率 : %)
3.0
3.1%
有効求人倍率
(右目盛)
0.2
2.0
1.0
1月
2005年
0.4
完全失業率
(左目盛)
1月
2006年
1月
2007年
1月
2008年
1月
2009年
1月
2010年
1月
2011年
1月
2012年
1月
2013年
注:図の値は季節調整値。完全失業率の 2011 年 3 月から 8 月は、
岩手県、
宮城県、
福島県を除く全国の結果。
1月
2014年
1月
2015年
1月
2016年
0.0
データ出所:総務省
「労働力調査」
、
厚生労働省
「職業安定業務統計」
図 6 主要金利
(%/年)
4.000
(8月)
3.500
3.000
2.500
2.475
長期固定金利型
住宅ローン
(返済期間20年以下)
都市銀行
住宅ローン
(変動)
1.500
長期プライムレート
2.000
1.500
1.000
0.950
0.500
0.000
-0.500
1月
2005年
1月
2006年
1月
2007年
1月
2008年
1月
2009年
【データ概要】
1月
2010年
1月
2011年
1月
2012年
-0.070
1月
2013年
1月
2014年
1月
2015年
長期国債
(10年物)
新発債流通利回り
1月
2016年
データ出所:日本銀行
「金融経済統計」
、
日本相互証券及び住宅金融支援機構ホームページ公表資料
図 4 消費者物価指数
国内企業物価指数
:全国の家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価を時系列的に測定する指数。
:企業間で取引される国内向け国内生産品の価格水準を示す指数。
図 5 完全失業率
有効求人倍率
:労働力人口
(15 歳以上で働く意志をもつ人)に占める完全失業者の割合。完全失業者は一定
期間中に収入を伴う仕事に従事しなかった人で、実際に求職活動を行った人。
:公共職業安定所で扱う求職者1人に対する求人数。
図 6
長期固定金利型住宅ローン
都市銀行住宅ローン
(変動)
長期プライムレート
長期国債新発債流通利回り
:民間金融機関と住宅金融支援機構の提携商品「フラット35」の借入金利の最高。
(保証型は含まない)
:個人向け都市銀行住宅ローンの変動金利型の基準金利。
:民間金融機関が信用力の高い企業に資金を1年以上貸付ける際の基準となる貸出金利。
:金融機関や機関投資家などの間で取引される長期国債新発債の利回り。
注記:図 1 から図 6 はいずれも 2016 年 10 月 3 日時点で入手できたデータに基づき作成
みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート 2016, November
5
不動産市場トレンド・ウォッチ
■ 東京圏
図 1 用途別平均地価
(基準地価の前年比)
(%)
6.0
4.9
5.0
4.0
3.0
2.0
住宅地2015年
4.0
2.7
2.1
1.8
1.5
1.0
1.4
0.7 0.6
0.0
東京23区
1.1 0.9
0.9
住宅地2016年
2.9 2.8
2.5 2.5
2.5 2.4
商業地2015年
1.2
0.9 0.9
商業地2016年
0.2 0.2 0.4
多摩地域
横浜市
川崎市
さいたま市
千葉市
注:各年 7 月 1 日現在の地価の対前年変動率の平均。
データ出所:都道府県地価調査
図 2 総人口の推移
12,000
(千人)
(%)
2.0
2014年4月(左目盛)
10,000
1.5
8,000
1.0
2016年4月(左目盛)
6,000
0.5
4,000
0.0
2015年4月
前年同月比増減率
(右目盛)
2,000
-0.5
0
東京都区部
東京都下
横浜市
川崎市
さいたま市
-1.0
千葉市
2015年4月(左目盛)
2016年4月
前年同月比増減率
(右目盛)
注:各年 4 月 1 日現在の値。
データ出所:各都市の
「推計人口」
及び総務省公表資料
図 3 J-REIT 保有賃貸マンションの NOI 評価額利回り
[運用時 NOI 利回り]
(%)
16.0
(前年同期比:%ポイント)
2.0
14.0
1.5
2014年3月期
(左目盛)
12.0
1.0
2015年3月期
(左目盛)
10.0
8.0
-0.2
-0.2
0.0
-0.1
6.0
4.9
4.0
4.6
5.2
5.9
5.2
5.5
-0.5
-1.0
-1.5
2.0
0.0
0.5
-0.2
-0.1
-0.2
全国
東京23区
都下
(多摩地域)
-2.0
神奈川県
埼玉県
2016年3月期
(左目盛)
2015年3月期
前年同月比増減率
(右目盛)
2016年3月期
前年同月比増減率
(右目盛)
千葉県
注:各投資法人の 2016 年 3 月末までの決算資料による。
【データ概要】
データ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA(リートレーダー)
」
図 1 用途別平均地価
(公示価格・基準地価)
6
2016, November
:
「地価公示」
は、一般の土地の取引価格に対して指標を与え公共事業用地の取得価格の算定の基準
となる等により、適正な地価の形成に寄与することを目的として、国土交通省の土地鑑定委員会が
毎年1回、標準的な土地についての正常な価値を示すもの。
「都道府県地価調査」は、国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年 7月1日における
調査地点の正常価格を不動産鑑定士の鑑定評価を求めた上で判定するもの。
図 2 総人口
:各 都市の行政区域に常住する人口総数の推計値。
国勢調査人口を基準とし、これに毎月の住民基本台帳等の増減数を加えて推計したもの。
図 3 NOI 評価額利回り
:NOI 評価額利回りは、J-REIT(上場不動産投資信託)の全投資法人が保有する住居専用型賃貸
マンションの期末鑑定評価額に対する直近 1年間の純収益
(NOI )の割合を示す。
図は地域別に物件毎
(賃料保証・固定賃料物件を除く)の NOI 評価額利回りを単純平均したもの。
みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート
■ 主要大都市(札幌・仙台・名古屋・京都・大阪・神戸・福岡)
図 4 用途別平均地価
(基準地価の前年比)
(%)
9.0
8.0
7.0
6.5
6.0
5.0
3.6
4.0
3.0
2.0
1.0
1.4
0.0
2.1
8.0
7.6
7.3
4.5
4.9
2.6
4.7
1.9
札幌市
仙台市
5.3
1.4
7.3
住宅地2015年
6.1
住宅地2016年
4.8
3.8
3.6
0.4 0.6
名古屋市
0.6 0.5
0.5 0.5
京都市
大阪市
2.1
1.5
商業地2015年
2.9
商業地2016年
神戸市
福岡市
注:各年 7 月 1 日現在の地価の対前年変動率の平均。
データ出所:都道府県地価調査
図 5 総人口の推移
(千人)
3,000
(%)
2.0
2014年4月(左目盛)
2,500
1.5
2,000
1.0
2016年4月(左目盛)
1,500
0.5
1,000
0.0
2015年4月
前年同月比増減率
(右目盛)
500
-0.5
0
札幌市
仙台市
名古屋市
京都市
大阪市
神戸市
-1.0
福岡市
注:各年 4 月 1 日現在の値。
2015年4月(左目盛)
2016年4月
前年同月比増減率
(右目盛)
データ出所:各都市の
「推計人口」
及び総務省公表資料
図 6 J-REIT 保有賃貸マンションの NOI 評価額利回り
[運用時 NOI 利回り]
(%)
16.0
(前年同期比:%ポイント)
2.0
14.0
1.5
12.0
1.0
10.0
8.0
-0.2
-0.3
6.0
4.0
6.3
-0.6 5.9
5.5
5.4
0.5
-0.2
-0.3
-0.3
5.3
5.3
0.0
-0.3
-0.4
5.2
5.4
2.0
0.0
-0.5
-1.0
-1.5
政令指定都市
札幌市
仙台市
注:各投資法人の 2016 年 3 月末までの決算資料による。 【データ概要】
図 4 用途別平均地価
(公示価格・基準地価)
名古屋市
京都市
大阪市
神戸市
福岡市
-2.0
2014年3月期
(左目盛)
2015年3月期
(左目盛)
2016年3月期
(左目盛)
2015年3月期
前年同月比増減率
(右目盛)
2016年3月期
前年同月比増減率
(右目盛)
データ出所:都市未来総合研究所「ReiTREDA(リートレーダー)
」
:
「地価公示」
は、一般の土地の取引価格に対して指標を与え公共事業用地の取得価格の算定の基準
となる等により、適正な地価の形成に寄与することを目的として、国土交通省の土地鑑定委員会が
毎年1回、標準的な土地についての正常な価値を示すもの。
「都道府県地価調査」は、国土利用計画法施行令に基づき、都道府県知事が毎年 7月1日における
調査地点の正常価格を不動産鑑定士の鑑定評価を求めた上で判定するもの。
図 5 総人口
:各 都市の行政区域に常住する人口総数の推計値。 国勢調査人口を基準とし、これに毎月の住民基本台帳等の増減数を加えて推計したもの。
図 6 NOI 評価額利回り
:NOI 評価額利回りは、J-REIT(上場不動産投資信託)の全投資法人が保有する住居専用型賃貸
マンションの期末鑑定評価額に対する直近 1年間の純収益
(NOI )
の割合を示す。
図は地域別に物件毎
(賃料保証・固定賃料物件を除く)の NOI 評価額利回りを単純平均したもの。
注記:図 1 から図 6 はいずれも 2016 年 10 月 3 日時点で入手できたデータに基づき作成
みずほ信託銀行 不動産マーケットレポート 2016, November
7
早期に地価上昇に転じた横浜市と川崎市の住宅地では複数の区で上昇が鈍化
東京圏の人口100 万人都市の中で、住宅地平均でみて、地価上昇の勢いが鈍化している横浜市と川崎市に
ついて動向を紹介します。
[図表 1]は、東京圏の住宅地における基準地価の対前年平均変動率の推移を、横浜市平均および川崎市
平均と比較したものです。東京圏平均が 2009 年から2013 年までマイナス(=地価下落)で推移し2014 年に上
昇に転じたのに対して、
川崎市は2012 年に、
横浜市は2013 年にプラスとなり、
比較的早い時期から地価上昇が
始まりました。高い利便性と居住性が両立しているエリアであることに加え、複数路線が乗入れる交通拠点に
おける大規模開発等により住宅供給が活発に行われたことが背景にあると考えられます。その反面、
地価上昇
に一服感が現れたのも比較的早く、2014 年から2016 年にかけて東京圏の上昇率がおおむね同率を保ってい
るのに対して、
横浜市と川崎市では上昇率が縮小しています。
2016 年時点では、横浜市と川崎市の複数の区で地価上昇が鈍化しています。過去 2 年連続して上昇率が
0.5%ポイント以上縮小した、あるいは住宅地の平均地価が下落に転じた区は6 区あります[図表 2]
。これらの
区では東京圏平均などと比べて2014 年まで大幅な地価上昇で推移しましたが、2015 年以降は頭打ちの傾向
が強まっています。また、川崎市麻生区では地価上昇率がマイナス(=地価下落)に転じており、調整局面入り
の可能性がうかがえます。
[図表 1]
東京圏と横浜市、川崎市の基準地価の
[図表 2]
横浜市、
川崎市において基準地価
(住宅地)
変動率
(住宅地)
の上昇が鈍化または地価下落に転じた区
(%)
8
(%)
3.0
6
2.5
4
2.0
2
1.5
0
-2
1.0
-4
0.5
-6
0.0
-8
-10
-0.5
2007
08
09
10
11
東京圏
12
13
14
15
横浜市
16 (年)
2013
横浜市磯子区
横浜市瀬谷区
川崎市
2014
2015
横浜市港北区
横浜市都筑区
2016 (年)
横浜市緑区
川崎市麻生区
図表 1 及び図表 2のデータ出所:平成 28(2016)
年都道府県地価調査
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(8)
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不動産マーケットレポート 2016.11
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