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ターニングセンタ及びマシニングセンタ(PDF:3686KB)

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ターニングセンタ及びマシニングセンタ(PDF:3686KB)
平成27年度
特許出願技術動向調査報告書(概要)
ターニングセンタ及びマシニングセンタ
平成28年2月
特
許
庁
問い合わせ先
特許庁総務部企画調査課 知財動向班
電話:03-3581-1101(内線2155)
目
次
第1章
調査概要
中国は、2009 年に工作機械の生産額で世界の首位に立って以来、その地位を保ってい
る。また、企業別で見ても、生産額の 1 位は中国企業である。中国市場には、旺盛な工
作機械需要があるため、国内外のいくつもの企業が製品を投入しているところ、今まで
中国企業は主に廉価版の製品を供給し、日本企業やドイツ企業等が主に高機能・高精度
要
約
製品を供給してきた。しかしながら、中国企業も、国内での高機能・高精度製品の需要
に応えるため、その技術への対応を急いでいることから、日本企業も新たな対応を迫ら
れている。また近年、中国において特許出願が急増しており、技術動向を調査する際の
中国特許情報の重要性が高まっている。
本調査では、近年中国において特に注目されている「ターニングセンタ及びマシニン
本
編
グセンタ」の分野において調査分析を行うものとし、ターニングセンタ、マシニングセ
ンタ、複合加工機・複合マシニングセンタ等の融合技術、またそれら工作機械の連携技
術に特徴があるものを対象とした。
そのため、例えば近年工作機械業界においても注目を浴びている IoT 技術や知能化技
術に関しては、
「ターニングセンタ及びマシニングセンタ」に特徴のある IoT 技術、知能
第
1
部
化技術を調査対象としており、汎用的な製造設備に用いられる IoT 技術、知能化技術に
関しては含まない。
第1節
調査の対象
本調査における調査対象範囲を図 1-1 に示す。本テーマでは、ターニングセンタ及び
第
2
部
マシニングセンタ等の「応用技術」、それらに関する「要素技術」、「技術課題」、加工対
象や加工方法に関する「加工」を調査対象範囲とした。
図 1-1
第
3
部
調査対象範囲(技術俯瞰図)
スマート工場(Ex.インダストリー4.0)
工作対象
電子機器(家電等)
要求性能(品質・価格)
ターニングセンタ
立形ターニングセンタ
横型ターニングセンタ
自動車・動力機械
低
中
融合技術
・ 複合加工機
・複合マシニングセンタ
知能化、I o T
航空宇宙・医療
高
マシニングセンタ
立形マシニングセンタ
横形マシニングセンタ
門形マシニングセンタ
5軸制御マシニングセンタ
パラレルリンク型マシニングセンタ
要素技術
工具補正機能(位置センサ)
切削監視機能
・負荷監視(過/小負荷、摩耗)
・工具寿命(時間、ATC回数、切削長さ)
融合領域要素技術
・位置制御、 ・位置検出
・振動制御、 ・加工ソフトウエア
・ATC、・APC
・回転テーブル
・ロボットハンド
・5軸制御
・多関節型工具/ワーク制御
・潤滑・クーラント
・軸受
複合加工方法
・ロングボーリングバー深穴加工
・深穴ミリング加工
・テーパボーリング加工
・ホブ切り/タービン加工
- 1 -
回転機能
・パルスモータ
(ステッピングモータ)
・AC/DCサーボ
・リニアモータ
送り機能
・ボールねじ駆動
・リニア駆動
・ウォーム駆動
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
目
次
応用技術は、本調査における対象工作機械に関するもので、
「ターニングセンタ」、
「マ
シニングセンタ」、複合加工機・複合マシニングセンタ等の「融合技術」、またそれら工
要
約
作機械の「連携技術」が含まれる。
要素技術は、工作機械構造に関わる精度や作業効率等の向上のためのハード構造を構
成する「構成要素(主軸、センタ、加工テーブル等)」、「ATC(アーム型、シャトル型等
の構造、運転技術(工具識別、工具折損の監視等))」、
「工具マガジン(可動式、固定式)」
等のハード構成と、ソフトとして精度・寿命等の監視制御を行う「工具補正機能(位置
本
編
セ ン サ 方 式 )」、「 切 削 監 視 機 能 ( 負 荷 監 視 、 工 具 寿 命 )」 等 が 含 ま れ る 。 ま た 近 年
Industrie4.0 に代表される工場の自動化において重要な技術である「知能化技術(IoT、
知能化(人工知能・自主学習))」も要素技術に含む。ただし、今回の調査においては、
あくまでもターニングセンタ及びマシニングセンタに特徴のある IoT、知能化技術を調
査対象としているため、汎用的な製造設備に用いられる IoT 技術、知能化技術に関して
第
1
部
は調査対象から除外する。
技術課題は、工作機械に関わる「小型化」、「高精度化」、「処理速度向上」、「無人運転
の長時間化」、「操作性向上」、「安全性向上」、「汎用化」、「環境への配慮」を項目として
挙げた。
加工は、工作機械による加工内容に関する特徴として、
「加工方法(旋削、ドリリング、
第
2
部
中ぐり、フライス、ねじ切り、研削、ホーニング、ブローチ、トリミング、面取り、複
合加工)」、
「加工対象物(タービン、ギヤ、航空機部品、自動車部品、金型部品、医療部
品、原子炉部品、IT 機器・携帯電話部品)」、
「加工対象材料(難削材(複合材料、金属・
合金、セラミック))」を挙げている。
第
3
部
第2節
調査の方法
1.特許動向調査
調査範囲と調査方法
(1)調査期間
第
4
部
(検索による解析)
2004 年-2013 年(優先権主張年ベース)
(詳細解析)
2009 年-2013 年(優先権主張年ベース)
(2)調査対象文献
第
5
部
(検索による解析)
PCT(特許協力条約)に基づく国際出願(以下「PCT 出願」という。)
日本、米国、欧州、中国、韓国、独国ほか各国・地域への特許出願及び登録特許
(詳細解析)
中国への特許出願、実用新案登録
第
6
部
(3)調査対象国(出願先国)
(検索による解析)
日本、米国、欧州、中国、韓国、台湾
(詳細解析)
中国
資
料
編
- 2 -
目
次
(4)解析対象
(検索による解析)(詳細解析)
解析の対象とした出願人国籍は、日本、米国、欧州、中国、韓国、台湾の 6 ヶ国・地
域であり、それ以外は「その他」とした。
出願人国籍を「欧州国籍」とする国は、以下に示す EPC 加盟 38 ヶ国である。また、
要
約
出願先として「欧州」とするのは、欧州特許条約(EPC)加盟国のうち以下に示す DWPI
収録国である 20 ヶ国と欧州特許庁(EPO)である。
【「欧州国籍」とする EPC 加盟 38 ヶ国】
アルバニア、デンマーク、ハンガリー、モナコ、セルビア、オーストリア、エス
トニア、アイルランド、マケドニア、スウェーデン、ベルギー、スペイン、アイ
本
編
ルランド、マルタ、スロベニア、スロバキア、スイス、フランス、リヒテンシュ
タイン、ノルウェー、サンマリノ、ブルガリア、フィンランド、イタリア、オラ
ンダ、キプロス、イギリス、リトアニア、ポーランド、ドイツ、トルコ、チェコ、
ギリシア、ルクセンブルク、ポルトガル、クロアチア、ラトビア、ルーマニア
【「欧州への出願先国」となる EPC 加盟 21 ヶ国】
第
1
部
ドイツ、オーストリア、ベルギー、スイス、チェコ、デンマーク、スペイン、フ
ィンランド、フランス、イギリス、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルク
センブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、ルーマニア、スウェーデン、
スロバキア、ポーランド
2.データベースと検索方法
第
2
部
国内外特許文献とも日立製作所の Shareresearch で検索を行った。
各国での公開からデータベースへ収録されるまでには、発行国からのデータ提供にか
かるタイムラグと、データベース会社の作業期間が必要である。また、PCT 出願の各国
移行のずれ等で全データを反映していない可能性がある。従って、本調査報告における
第
3
部
2012 年、2013 年の出願のデータは真の数値より少ない可能性があることに留意されたい。
3.調査手法
(検索による解析)
1.と 2.の条件に従って特許出願を検索した結果、特許文献約 27,599 件(パテントフ
ァミリー)について文献(公開公報または登録公報)を取得し、解析を行った。
第
4
部
また、検索による解析における出願人国籍は、主要出願人以外は、基本的に第 1 出願
国を出願人の国籍とし、出願人が共同出願人の場合は筆頭出願人の国籍を採用した。
(詳細解析)
1.と 2.の条件に従って特許出願を検索した結果、特許文献約 9,892 件、実用新案文献
16,649 件について 1 次文献(公開公報または登録公報)を取得し、ノイズ除去を行った。
第
5
部
ノイズ以外の 1 次文献 特許 1,660 件、実用新案 2,707 件について、中国語の公報原文及
び、日本語・英語の記載のあるファミリ案件を請求の範囲、図面、発明の詳細な説明、
などの読み込みにより、詳細解析を行った。なお、外国文献については言語の事情に応
じて、抄録、特許請求の範囲及び図面を解析対象とした。
出願人国籍は Questel 社の Orbit.com 及び、発明通信社の HYPAT -i に収録されている
第
6
部
出願人住所を出願人の国籍とし、出願人が共同出願人の場合は筆頭出願人の住所を採用
した。
- 3 -
資
料
編
目
次
第2章
要
約
市場環境調査
第1節
市場動向
1.世界の工作機械(ターニングセンタ及びマシニングセンタ)市場
ターニングセンタ及びマシニングセンタを含む工作機械市場規模は、主要 19 カ国にて
500 億$を超える巨大市場を形成している。
需要は、製造業の設備投資に比例することが知られており、先進国での製造業の動向
本
編
にはいまだ不透明感が漂うが、中国や東南アジアなどの新興国では回復の兆しが出てお
り、今後とも市場規模は、推移もしくは増加の傾向にあると推測されている。
中でも工作機械の生産状況においては中国の台頭が著しく、2011 年に 195 億$に達し、
それ以降の生産額は減少傾向にあるが、2014 年の推定値は 140 億$が見込まれ、依然生
産高の首位を保ち製造大国として台頭している。
第
1
部
2.日本の工作機械(ターニングセンタ及びマシニングセンタ)市場
日本国内の市場シェア(生産台数)においては、マシニングセンタを開発する約 35
社の企業中の上位 4 社として、ファナック、DMG 森精機、ヤマザキマザック、オークマ
が挙げられる。2014 年度の国内予想シェアは、4 社で約 62.9%を占める。
第
2
部
第
3
部
一方ターニングセンタを開発する約 30 社の企業中の上位 4 社として、DMG 森精機、ヤ
マザキマザック、オークマ、シチズンマシナリーミヤノが挙げられ、2014 年度の国内予
想シェアは、4 社で約 70.6%を占める。
3.輸出入動向
マシニングセンタの輸出入動向に関して、2014 年には、徐々に増大していた日本から
中国への輸出高が最高額となり、13 億$を超えている。また台湾から中国への輸出高も
3 億$を超えた。
第
4
部
2004 年から 2014 年の中国の様子は輸入額が増加傾向にあり、輸入が大きく輸出額が
低い、いわゆる輸入大国ぶりを示す結果となっている。
ターニングセンタの輸出入動向に関して、2014 年には、日本から米国への輸出高が 5
億$、欧州と韓国も米国への輸出高が 1 億$を超え、米国の輸入高が最も高い額となっ
ている。
第
5
部
中国への輸出高は、1 億$を超える輸出を、日本や欧州に加えて台湾が記録している。
なお、中国からの輸出額も増加しており、日本への輸出高が過去最高の 1 億$以上を記
録している。この日本への輸出額の大きさは、日本メーカの中国製の機械が輸出されて
いる金額が含まれており、純然たる中国企業から日本への輸出額ではないと考えられる
ため、注意を要する。
第
6
部
資
料
編
- 4 -
目
次
図 2-1 HS コード
2014 年【845710(マシニングセンタ)】の輸出入状況(単位:100 万 US$)
要
約
本
編
第
1
部
出典: Global Trade Atlas のデータに基づいてトヨタテクニカルディベロップメント(株)が作成。
図 2-2 HS コード
2014 年【845811(ターニングセンタ)】の輸出入状況(単位:100 万 US$)
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
出典: Global Trade Atlas のデータに基づいてトヨタテクニカルディベロップメント(株)が作成。
- 5 -
資
料
編
目
次
第 2節
中国市場を取り巻く環境
1.応用産業の動向
要
約
中 国 汽 車 工 業 協 会 の 発 表 に よ る と 、 2014 年 通 年 の 自 動 車 販 売 は 前 年 比 6.9%増 の
2,349.19 万台、生産は 同 7.3%増の 2,372.29 万台となった。販売台数は 2 位の米国(1,652
万 台)を大きく上回り、6 年連続となる世界トップを保持した。
2.人件費の動向
本
編
中国では、人件費の高騰が進んでいる。『人的資源および社会保障事業発展の第 12 次
5 か年計画要綱』は、第 12 次 5 か年計画(2011~2015 年)において最低賃金基準の引き
上げ率を年平均 13%以上に、最低賃金基準を都市就業人員平均賃金の 40%以上にする目
標を掲げている。
第
1
部
図 2-3
中国各省・自治区・直轄市の月額最低賃金の推移
(単位:元)
第
2
部
第
3
部
第
4
部
出典:トヨタテクニカルディベロップメント(株)が作成。
3.NC 化率の動向
中国政府は、国内製造する工作機械や製造設備全体における NC 化率を引き上げるべ
第
5
部
第
6
部
資
料
編
く、政策の中で目標を設定しており、実際に NC 化率は上昇していることが窺える。
特に、金属切削工作機械の生産台数ベースの NC 化率は、2009 年 25%から 2014 年の 30%
まで上昇しており、2017 年には 39%に達すると予測されている。
第3節
中国における主要企業動向
中国市場における主要企業として、中国企業 5 社の基本情報を整理し、世界で事業を
行う上位企業 2 社に絞って事業戦略を整理した。
- 6 -
目
次
5 社には、瀋陽機床集団 Shenyang Group、大連機床集団 DMTG、秦川機床工具集団
Qinchuan Machine Tool、済南二機床集団 JIER MACHINE-TOOL GROUP、北京精彫科技集団
BEIJING JINGDIAO を選出した。
1.基本情報
各社のアニュアルレポートから、基本情報を表 2-1 に示す。各社の情報公開レベルに
要
約
より入手可能な財務データが異なる。ここでは、ターニングセンタ及びマシニングセン
タ以外の事業も含めた全社の数字である。
表 2-1
本
編
中国で事業を行っている主要企業 5 社の基本情報
社名
英語名
設立年
本社所在地
(少なくとも市まで)
資本金
従業員数
大連機床集団有限責任公司
(大连機床)
Dalian Machine Tool Group
1948年
大连市开发区
双D港辽河东路100号
瀋陽機床集団有限責任公司
(沈阳機床)
Shenyang Machine Tool Co.,Ltd
1996年
中国沈阳市经济技术开发区
开发大路17甲1号
秦川機床工具集団股份公司
Qinchuan Machine Tool & Tool
(旧:陕西秦川机械发展股份有限公司)
Group Share Co.,Ltd.
※2014年10月に社名変更
1998年
陕西宝鸡市姜谭路22号
済南二機床集団有限公司
(济南二機床)
JIER MACHINE-TOOL GROUP CO.,LTD
1937年
济南市机床二厂路2号
約5,800人
北京精彫科技集団有限公司
(北京精雕)
BEIJING JINGDIAO
1994年
北京市门头沟区
石龙工业区永安路10号
約3,000人
200.58億元 6,907人
64.9億元
2014年(2014年
同年
がなければ最
経常利益
新の)売上高
165.15億元
※営業利益
14,252人
※2013年
73.79億元
※2013年
3,122人
35.01億元
※2014年
同年
純利益
6.48億元 5.19億元
※総利益 ※純利益
0.19億元
0.43億元
第
1
部
0.19億元
出典:各社ホームページに基づいてトヨタテクニカルディベロップメント(株)が作成。
2.事業戦略
(1)DALIAN MACHINE TOOL(大連機床(集団)有限責任公司 CN)
国内外で大型/多機能/多座標連動 NC 工作機械の提供を目標としており、機械別の
第
2
部
第
3
部
国内シェアは以下の通りである。
一般工作機械 20%、経済型 NC 工作機械 10%、全機能 NC 工作機械 40%、立型マシニ
ングセンタ 35%、横型マシニングセンタ 30%、組み立て機 70%
他社との提携が盛んであり、子会社に、大連貨特金属有限公司、大連機床集団機電
設備配件銷售有限公司、大連機床(瓦房店)鋳造有限公司、大連機床(数控)股份有限
第
4
部
公司を有し、他にもグループで合弁、支配株主、出資子会社が 24 社あり。そのうち米
国・独・韓国・スイスなどとの合弁会社は 8 社を有する。
戦略展開のキーワードとして、「企業間連携」を重視していることが窺える。
(2)SHENYANG MACHINE TOOL(瀋陽機床(集団)有限責任公司 CN)
2004 年に独のシース社(SCHIESS)を買収しており、日本企業とは、2011 年 4 月の中
第
5
部
国工作機械国際展覧会にて「森精機(日本)」及び「GILDEMEISTER-Group(独)」と中国
瀋陽にて合弁会社を設立し、工作機械新商品の開発に取り組むと発表している。
2013 年より、工作機械業界の市場ニーズが継続的に低下していることを背景にして、
同社は「工業製造業者」から「工業サービス業者」への戦略転換の歩みを加速させる
旨を発表している。
第
6
部
自動車企業がディーラー網を整備するのと同様に、同社も自社の販売店を整備し、
アフターサービスを含めたソリューション・サプライヤーヘの転換に動いている。
- 7 -
資
料
編
目
次
第3章
要
約
政策動向調査
第1節
中国の政策動向
中国政府は、工作機械の重要性を鑑み、近年科学技術政策、産業政策中何等かの形で
取り上げている。特に第 12 次 5 か年計画では「ハイエンド設備製造」中に工作機械を取
り上げ、更に「中国製造 2025」では「ハイレベル数値制御工作機械」としてデジタル 5
軸制御の工作機械の国産化、育成を狙っているものと思われる。
本
編
表 3-1
中国の政策動向纏め表
年/月
名称
担当部署
内容
2005/12
国家中長期科
国務院
・自主イノベーション能力の向上。
第
1
部
学・技術発展企
・持続的な発展。
画綱要
・11 重点分野、16 重要プロジェクト、8 分野の
先端技術、4 件の重大科学研究(基礎研究)。
特に工作機械は取り上げていないが、将来的
に新しい市場のニーズを見据え、新しい産業を
第
2
部
育成する際の基盤技術である「先端技術」1 つ
として先進製造技術が指定されている。
2009/5
国 家 PJT 「 高 級
工業情報
2007 年の中国国産工作機械のシェアは 48%、高
NC 工作機械と基
化部
級 NC 機械ではシェアは一桁。
礎製造設備」
プロジェクトの目標は「2020 年までに航空宇宙、
船舶、自動車、発電設備で必要な工作機械およ
第
3
部
び基礎製造設備の 80%以上を国産化すること」
(2006-2020 中長期綱要とも合致)
2010/10
第 12 次 5 か年計
国務院
工作機械を直接取り上げてはいないが、戦略的
画(2011-15)
新興産業として 7 分野「省エネ・環境保護」、
「新
世代情報技術」、「バイオ」、「ハイエンド設備製
第
4
部
造」、「新エネルギー」、「新素材」、「新エネルギ
ー自動車」の 7 産業を挙げ育成に取り組んでき
た。工作機械はハイエンド設備製造に含まれる。
2012/5
第
5
部
「ハイエンド設
工業情報
工作機械にも一部言及し、
「六(一)資金支持力
備製造業の 12・5
化部
の増大」の項目で、「高級 NC 工作機械・基礎製
発展規画」
造設備」重大プロジェクトの実施をスピードア
ップすること、地方、企業、社会資本を誘導し
てスマート製造設備産業の R&D と産業化への資
金投入を増大させることなどに言及。なお、本
第
6
部
資
料
編
規画は以下の既存方針、政策に基づく。
- 8 -
目
次
2012/7
「12・5」時期の
国務院
工作機械への直接的な言及は 1 箇所のみ。
「コラ
国家戦略的新興
ム 15
スマート製造設備産業発展ロードマッ
産業発展規画
プ」の「重大行動」で「高級 NC 工作機械・基礎
製造設備」の重大プロジェクトの実施スピード
アップに言及した箇所。
2015/5
「 中 国 製 造
国務院
要
約
10 産業の育成中、「ハイレベル数値制御工作機
2025」(第 13 次 5
械」の項目あり。
「製品品質を早急に向上させる
か年計画)
(三-(四))」「精密・高速・高効率・フレキシ
ブルな NC 工作機械および統合製造システムを
開発する(三-(六)-2)」などの文脈での言及。
本
編
製造業全体に関する主要目標指標はあるもの
の、工作機械の直接的な数値目標の言及はない。
2015/7
企業技術改造を
国務院常
1「技術産業用アプリケーションを推進」、2「高
支援する 5 つの
務会議
度な製造システム、インテリジェントな製造設
重点方向
備」、3「クリーンな生産技術」、4「リーン生産」、
第
1
部
5「情報技術と近代的な生産管理システム」
1. 「国家中長期科学・技術発展規画綱要(2006-2020 年)」(国務院)
2005 年末に公表された、科学技術政策の基本方針を示した「国家中長期科学・技術
第
2
部
発展規画綱要(2006-2020 年)」(以下、「科学技術中長期計画」)には、将来的に新しい
市場のニーズを見据え、新しい産業を育成する際の基盤技術である「先端技術」の 1 つ
として、先進製造技術が指定されている。この中長期計画の考え方が、後の第 12 次 5
か年計画や、中国製造 2025 に関連し続けている。
第
3
部
2.「中国製造 2025」(第 13 次 5 か年計画)(国務院)
2014 年 1 月に、中国工程院(CAE)の「製造強国戦略プロジェクト」のメンバーが、
中国国務院馬凱副総理に、
「中国製造(Made in China)」構想を提案し、高く評価された。
その後、馬凱副総理が中国工業•情報化部(MIIT)、中国工程院(CAE)と関係省庁に、中
国版の次世代製造技術戦略である「中国製造 2025」戦略を策定する指示を出した。「中
第
4
部
国製造 2025」
( 中国製造 10 ヶ年計画)を通じて製造大国が製造強国になることを目指す。
これを、ネットワーク化、デジタル化、知能化等の技術を開発、利用し、工業化と情報
化を高度に融合させること等で実現する方針を打ち出している。
ここでは、「10 大重点分野」として、(1)新世代情報技術産業、(2)ハイエンドデジ
タル工作機械・ロボット、
(3)航空・宇宙設備、
(4)海洋工程装置およびハイテク船舶、
第
5
部
(5)先端鉄道装備、(6)省エネ・新エネルギー自動車、(7)電力設備、(8)農機設備、
(9)新素材、
(10)バイオ医薬及び高性能医療機器——が定められた。さらに、
「国家製造
業刷新センタの建設」、「製造業のスマート化」、「工業分野の基盤強化」、「環境にやさし
い製造業の育成」、「ハイエンド装置産業の刷新」——を重大プロジェクトとし、製造業全
般の競争力を引き上げる方針が示された。
- 9 -
第
6
部
資
料
編
目
次
第2節
研究機関・企業・大学への助成施策
1.公的助成
前述の工作機械分野の重点指向により中国政府は、工作機械の開発製造に関し助成
要
約
政策を盛んに行っている。
工業情報化部は、国家科技重大プロジェクト「高級 NC 工作機械と基礎製造設備」の
2016 年度プロジェクト申請受付を通知(2015/06/12 に発表)しており、これは近年毎
年実施している。
なお、申請条件は以下の通りである。
「国内資本または国内資本持株」の事業体が条
本
編
件であるため、現地法人を持つ海外事業体による申請は難しくなっている。
(1)申請条件(2009-2015 年)
「中華人民共和国領土内で登記し、独立した法人資格を有する国内資本または国
内資本持株の生産会社、事業単位、大学・専門学校はいずれも申請することができ
第
1
部
るが、個人の申請は受け付けないものとする。」
助成割合の多くは自己+調達資金の合計:政府助成金額=最大 2:1。上限額など
の具体的な数値の記載はなかった。また特定企業が申請し、申請が認可されたか否か
は公開されていない。
以下表 3-2 に 2009-16 年度の工作機械に関連した課題例と、当該年度のプロジェク
第
2
部
ト検収基準における、知財権(特許、実用新案登録等)に関する要件の概要を挙げる。
要件について確認すると、知財権に関する取得要件が、2012 年までは、「専利(特
許あるいは実用新案登録)」であったのに対し、2013 年以降は「発明専利(特許)」に
切り換わっている。また、2013 年以降、それまでと比較して知財権に関する条件が上
がっていることが窺える。
第
3
部
また、金属切削工作機械の課題数の動向を図 3-1 に示す。2009 年から 2013 年にか
けては、課題総数自体増加しており、さらにはその半数を金属切削工作機械に関連す
る課題で占めており、非常に重要視されていることが窺える。
2014 年以降は課題総数自体が減少しており、さらには金属切削工作機械に関連する
第
4
部
課題の割合も減少している。
図 3-1
2009-2016 年度の金属切削工作機械に関する助成金対象課題数の動向
70
62
55
60
第
5
部
50
40
40
その他の
課題数
52
44
38
29
30
21
20
第
6
部
課題総数
10
0
2009
2010
2011
2012
2013
出典:トヨタテクニカルディベロップメント(株)が作成。
資
料
編
金属切削
工作機械
関連の
課題数
- 10 -
2014
2015
2016
目
次
表 3-2
2009-2016 年度の助成金対象の工作機械関連課題例
対象年度
2016年(2016年1月開始)
申請受付公布日
2015/6/12
課題総数
21
詳細不明(【略】)
の課題数
8
金属切削工作機
械関連の課題数
9
実施期間/助成 ■実施期間
制度
2016年1月-2018年12月の3年間
■助成制度
(総則部分)
課題検収前は中央政府財政経費の30%
を超えないスタートアップ経費を支
給し、残りの中央政府財政経費は検
収後に支給。
(各課題部分)
・自己調達資金及び地方政府割当資金
の合計と中央政府財政経費との比率
は2:1以上、地方政府割当資金は中央
政府財政経費の20%以上
・中央政府財政経費の支給方法は前補
助と後補助がある(各課題によって
異なる)
2015年(2015年1月開始)
2014年(2014年1月開始)
2013年(2013年1月開始)
2014/4/21
29
2013/4/16
52
2012/4/12
62
4
11
0
10
14
32
■実施期間
2015年1月-2017年12月の3年間(殆ど
の課題)
2015年1月-2018年12月の4年間
■助成制度
(総則部分)
課題検収前は中央政府財政経費の30%
を超えないスタートアップ経費を支
給し、残りの中央政府財政経費は検
収後に支給。
(各課題部分)
・自己調達資金及び地方政府割当資金
の合計と中央政府財政経費との比率
は2:1以上(比率が1:1の課題もあ
り)
・地方政府割当資金は中央政府財政経
費の20%以上。
・中央政府財政経費の支給方法は各課
題によって異なる
ex.前補助、後補助、後補助+スター
トアップ経費支給無し
■実施期間
2014年1月-2016年12月の3年間(殆ど
の課題)
2014年1月-2017年12月の4年間
■助成制度
(総則部分)
課題検収前は中央政府財政経費の30%
を超えないスタートアップ経費を支
給し、残りの中央政府財政経費は検
収後に支給。
(各課題部分)
・自己調達資金及び地方政府割当資
金の合計と中央政府財政経費との比
率は1:1以上※「50%以上」という表
現もあり(中には、比率が2:1の課題
もあり)
・地方政府割当資金は中央政府財政
経費の20%以上。
・中央政府財政経費の支給方法は各
課題によって異なる
ex.前補助、後補助
■実施期間
2013年1月-2015年12月の3年間(5割
強の課題)
2014年1月-2016年12月の4年間
■助成制度
(総則部分)
課題検収前は中央政府財政経費の30%
を超えないスタートアップ経費を支
給し、残りの中央政府財政経費は検
収後に支給。
(各課題部分)
・自己調達資金及び地方政府割当資金
の合計と中央政府財政経費との比率
は2:1以上(中には、比率が1:1以上
の課題や、規定がない課題も)
・地方政府割当資金は中央政府財政経
費の20%以上(50%以上の課題1件のみ
あり)
・中央政府財政経費の支給方法は各課
題によって異なる
ex.前補助(殆どの課題)、後補助
当該年度のプロ
ジェクト検収基準
における、知財権
(特許、実案等)
に関する要件の
概要
リーダー企業及び関与企業による発 5件以上、10件以上、20件以上、30件 5件以上、10件以上の発明専利(特 5件以上、10件以上、30件以上の発
明専利(特許)出願件数が5件以上、 以上の発明専利(特許)を出願
許)を出願
明専利(特許)を形成
10件以上、20件以上
課題5-8は詳細不明(省略のため)
なお、課題30、33は知財権に関する
課題1、3~6、18、20、21は詳細不明
要件なし。
(省略のため)
課題13-17、23、40、45,46、49は詳
細不明(省略のため)
例1
課題2の課題要件:
「リーダー企業及び関与企業による
発明専利(特許)出願件数が10件以
上」
例2
課題7、8、10、17等の大多数の課題 課題15、16の課題要件:
課題4、5、41、44の課題要件:
要件:
「20件以上の発明専利(特許)を出 「10件以上の発明専利(特許)を出
「リーダー企業及び関与企業による 願」
願」
発明専利(特許)出願件数が5件以
上」
課題5、6,7、8等の多くの課題(半数
弱)の要件:
「10件以上の発明専利(特許)を形
成」
例3
課題13の課題要件:
課題18、23、24の課題要件:
「リーダー企業及び関与企業による 「10件以上の発明専利(特許)を出
発明専利(特許)出願件数が5件以 願」
上、ソフトウェア著作権3~5件の取
得」
課題2、3、4の要件:
「30件以上の発明専利(特許)を形
成」
例4
課題19の課題要件:
課題21、22の課題要件:
「リーダー企業及び関与企業による 「30件以上の発明専利(特許)を出
発明専利(特許)出願件数が20件以 願」
上」
【その他】
課題47:発明専利(特許)を5件以上
出願する
課題62:プロジェクト期間内に発明
専利(特許)を20件以上出願
例5
-
-
課題1~4、10、17、25等の大多数の課 課題1~3、6~12、18~22,24~29等の大 課題1、9、12等の多くの課題(半数
題要件:
多数の課題要件:
強)の要件:
「5件以上の発明専利(特許)を出 「5件以上の発明専利(特許)を出願」 「5件以上の発明専利(特許)を形
願」
成」
-
-
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
出典:トヨタテクニカルディベロップメント(株)が作成。
第
6
部
- 11 -
資
料
編
目
次
第3節
各国の政策動向
中国以外の対象国においても、各国において政府・関係官庁の科学技術政策、産業政
策が取上げられている。
要
約
特に工作機械に関連の強い科学技術政策、産業政策を掲げるドイツ、欧州、米国につ
いて、表 3-3 にまとめた。
表 3-3
本
編
第
1
部
ドイツ、EU、米国の次世代製造業に係る戦略・プログラム等
ビジョン戦略
主な推進プログラム・拠点等
予算
ド イ
新ハイテク戦略(2015-)/ハ
Industrie4.0(2011-)
総額:2 億ユーロ/3
ツ
イテク戦略 2020(2011-2014) ・国内製造基盤強化と製造シス
年
( 原
・独国における科学・イノベ
テム輸出双方を見据えたデュ
加えて、下記プログ
則 、
ーション政策の基本計画
アル戦略
ラムを実施。
プ ロ
・Industrie4.0 は新ハイテク
・CPS でネットワーク化された ・先端クラスター(2
ジ ェ
戦略/ハイテク戦略の1重点
スマートファクトリー
億ユーロ/件)
ク ト
領域の位置づけ
・次世代製造業研究
・ Autonomik
・Autonomik für Industrie4.0
Industrie4.0
・Smartfactory KL(研究拠点:
(5,000 万-3 億ユー
型)
第
2
部
第
3
部
for
ドイツ人工知能研究所が主体) ロ/1 件)
欧 州
Manufuture の 戦 略 的 研 究 ア
Horizon2020 ( 2014-20 ) :
総額:11 億 5 千万
( プ
ジェンダ
Factories of Future(以
ユーロ/7 年
ロ ジ
・高付加価値の新しい製品・
下 6 領域)
・民間が実施する場
ェ ク
サービスや新しいビジネスモ
①先進的な製造プロセス
合は、プロジェクト
ト
デルの創出
②応用性ありスマートな製造
総額の 7 割を支給。
型)
・新しい製造工学・科学の創
システム
出
③ヴァーチャル化され、資源高
・研究・教育インフラの整備
効率な工場
等
④連携可能で移動可能性の高
第
4
部
い企業活動
⑤人間中心の製造
⑥消費者の意に沿った製造
第
5
部
第
6
部
資
料
編
米 国
先進製造パートナーシップ
全米製造イノベーションネッ
1 拠点:50-70 百万
( 拠
(AMP)
トワーク(NNMI)
USD/5 年
点
・オバマ大統領のイニシアテ
・AMP の中核をなすプログラム
型)
ィブで実施
・45 の製造イノベーション研
・技術ブレークスルーのため
究所(IMI)設置(2012~)
のプラットフォーム提供、先
・America Makes(金属付加製
進製造技術ロードマップ作
造技術)で試行
成、中小企業が使用可能な施
・パワエレ、軽量・新金属、デ
設整備等を実施
ジタル製造・設計、先進複合材
・重点 4 領域:安全保障、先
料の拠点を採択済
- 12 -
目
次
端材料、次世代ロボティクス、
製造プロセス・エネルギーの
効率使用
各国の戦略の概略は以下の通り。
要
約
ドイツでは、ハイテク戦略の一環として、Cyber Physical System(CPS)でネットワ
ーク化された「考える工場」の実現を目指すプロジェクト「Industrie4.0」を実施して
いる。このプロジェクトは、機械、自動車、化学製品等の輸出競争力のある製品の輸出
強化と、工作機械の輸出大国としてのスマートファクトリーの生産技術そのものを輸出
する二段階の戦略(デュアル戦略)に基づき実施されている。このための基盤技術とし
本
編
て、米・日に次いで第 3 位の規模の生産額を誇る組み込みシステムを重視した CPS を主
軸に、スマートファクトリー、IT セキュリティ、クラウド・コンピューティング、通信
基盤等の革新的な生産技術、プロセスの研究開発を強化している。
欧州(EU) では、2004 年に Manufuture という製造分野の戦略策定を目的とした産
第
1
部
学官連携型の組織が立ち上げられ、2006 年に戦略提言を出している。その内容は、新興
国との競争、技術ライフサイクルの短期化、環境問題などを前提に、高付加価値の新し
い製品・サービスや新しいビジネスモデルの創出、新しい製造工学・科学の創出、世界
レベルの製造業創出のための研究・教育インフラの転換、といった課題について産業分
野横断的に取り組むべきというものである。 この Manufuture で策定された戦略提言を
第
2
部
受け、2008 年、
「欧州『未来の工場』研究協会(EFFRA: European Factories of Future
Research Association)」が設立された。EFFRA は、Manufuture の戦略に基づき研究開
発ロードマップを策定し、それに従い EU 枠組みプログラムである Horizon2020 のファ
ンディングも実施している。
第
3
部
米国では、製造機能が国内になくなると、雇用が確保できないばかりでなく、米国が
得意とし特化してきた R&D、デザイン、サービスも徐々に新興国に移行してしまうとの
危機意識が高まる中、オバマ大統領のイニシアティブにより先進製造を強化する一連の
政策が展開されている。特に重要な施策として、全米製造イノベーション・ネットワー
第
4
部
ク(NNMI:National Network for Manufacturing Innovation)プログラムがある。本プ
ログラムは、全国的な先進製造ネットワーク及びパートナーシップを構築し研究開発の
重点化を行い、新たなツール・技術・施設を利用可能とすること目的に金属付加製造(3
D プリンタ)、パワーエレクトロニクス、軽量金属材料、デジタル設計・製造等の先進製
造 技 術 を 対 象 に 産 学 の コ ン ソ ー シ ア ム 組 織 、 製 造 革 新 機 構 ( IMI : Institutes of
第
5
部
Manufacturing Innovation)の設置を行い、技術の普及・拡散に努めている。2014 年
10 月には PCAST より NNMI の取り組みを補完する製造センタオブエクセレンスの設置
が提案されるなど、先進製造イノベーション加速に向けた取り組みを強化している。
- 13 -
第
6
部
資
料
編
目
次
第4節
輸出規制
1.概要
要
約
主な国際条約と国際レジームを以下に掲げる。当然武器兵器に繋がる品目が多い。
(1)国際条約
①核不拡散条約 NPT
②化学兵器禁止条約 CWC
③生物兵器禁止条約 BWC
本
編
(2)国際レジーム
①原子力供給国会合 NSG
②オーストラリアグループ AG
③ミサイル関連技術輸出規制 MTCR
④ワッセナーアレンジメント WA
第
1
部
2.ワッセナー・アレンジメント
ワッセナー・アレンジメント(Wassenaar Arrangement:通称ココム)とは、通常兵器
の輸出管理に関する、国際的な申し合わせである。41 ヶ国が協定を結んでいる。「ワッ
セナー」はオランダ・ハーグ近郊のワッセナーで設立交渉が行われたことに由来する。
第
2
部
通称「新ココム」。正式名称は通常兵器及び関連汎用品・技術の輸出管理に関するワッセ
ナー・アレンジメント(The Wassenaar Arrangement on Export Controls for Conventional
Arms and Dual-Use Goods and Technologies)。なお、ワッセナー・アレンジメントは参
加国間の紳士協定であるため、法的拘束力を有さない。参加国は現在 41 か国である。
第
3
部
3.日本の外国為替管理法
日本においては、外国為替管理法によって、工作機械が法令により強く規制されてい
る。ここでは、位置決め精度の範囲等が厳しく設定され、精度が高いものは輸出禁止と
なっている。
第
4
部
なお、ここで表現される数値/公差自体が日本の工作機械の標準化にも関わり、別の
面から言えば日本の工作機械のハイエンド化への一つの指標ともなっている。
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 14 -
目
次
第4章
第1節
特許動向調査
世界における工作機械及びその制御プログラムに関する特許出願動向(検索によ
る解析)
1.PCT 出願
要
約
全体の工作機械及びその制御プログラムに関する出願件数は 5,503 件であった。年間
約 500 件から 600 件台の出願件数を推移しており、2010 年に 630 件のピークを迎えるも
その後は減少傾向にある。
欧州は、総件数 2,462 件であり、常に 40%台の出願率(年間 200 件以上)を保っていた
本
編
が、2012,2013 年度は減少傾向である。
米国の総件数は 1,145 件(20%台)であり、特にリーマンショック以前は 150 件内外
の出願数であったが、2008 年以降は減少傾向にあり 2013 年には年間 66 件に減少してい
る。
日本は、総件数 1,122 件(20%台)であり、2004 年の 79 件から増減を繰り返し、2010
第
1
部
年(150 件)にピークを向かえ、それ以後は微かな減少傾向にある。
中国は、総件数が 128 件しかなく、PCT ルートを使った出願は非常に少ない。2008 年
までは年間 10 件以下の出願件数であり、2011 年に 27 件と伸長するも 2012 年は 20 件、
2013 年は 21 件にとどまる。
図 4-1
PCT 出願における出願人国籍別の出願件数と件数推移及び出願件数比率(出願年(優先
権主張年):2004~2013 年 )
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
6
部
- 15 -
資
料
編
目
次
2. 出願先国別の出願件数推移
各国全体の工作機械及びその制御プログラムに関する出願件数は、54,584 件であった
要
約
が、欧州が 17,501 件(32.1%)、米国が 8,774 件(16.1%)、日本が 5,183 件(9.5%)
であった。これに対して中国が近年 2009 年以降著しい伸長を示し 15,671 件(28.7%)
を示す。
日米欧共に出願件数は、2007 年までは若干の減少化傾向があったものと推定され、2008
年のリーマンショックで減少が明確になり、2012-2013 年度は相当数減らしている。
本
編
欧州は、2007 年までは年間 2,000 件以上を保ってきていたが、2008 年以降減少し、2008
年で 1,736 件、更に 2012 年で 1,220 件、2013 年は 979 件と 1,000 件を切ってしまって
いる。
米国も、2007 年までは年間 1,000 件以上を保っていたが 2008 年で 825 件となり、2013
第
1
部
では 520 件となっている。
日本は、2007 年までは年間 500 件以上を保っていたが、2008 年で 481 件、2013 年で
は 337 件となっている。
中国は、2007 年までは年間 1,000 件以下であったが、リーマンショックの 2008 年に
第
2
部
1,004 件、2011 年には 2,097 件、2012 年で 2,792 件、2013 年には 3,381 件と著しい増加
を示した。
図 4-2
第
3
部
日米欧中韓台への特許出願における出願先国別の出願件数推移及び出願件数比率(出願
年(優先権主張年):2004~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
6
部
資
料
編
- 16 -
目
次
3. 出願人国籍別の工作機械及びその制御プログラムに関する出願件数推移
全体の 54,584 件中、欧州が 19,582 件(35.9%)、米国が 7,393 件(13.5%)、日本は
9,874 件(18.1%)である。これに対して中国は 10,978 件(20.1%)を占めている。中
国は 2009 年からの伸長が著しい。
欧州は、2007 年までは 2,000 件台を保っていたが、2008 年に 1,957 件、その後減少
要
約
化が進み、2013 年には 1,061 件と 2004 年の半数以下となっている。
米国は、2004 年当時で 1,319 件であったが 2008 年には 636 件、2013 年は 358 件と減
少している。
日本は、2010 年度までは平均 900 件台を保っていたが、その後は減少化を示し、2013
本
編
年は 761 件であった。
中国は、2004 年で 157 件、その後増加が続き、2008 年で 546 件、以後著しい伸長を
示し、2011 年で 1,620 件、2012 年で 2,312 件、2013 年で 3,082 件を示している。
図 4-3
日米欧中韓台への特許出願における出願人国籍別の出願件数推移及び出願件数比率(出
第
1
部
願年(優先権主張年):2004~2013 年)
第
2
部
第
3
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 17 -
資
料
編
目
次
4.日米欧中韓台の相互の工作機械及びその制御プログラムに関する出願状況
日本国籍の出願人は自国以外にも力を入れており、米国 1,935 件、欧州 1,958 件、中
要
約
国 1,810 件と明らかである。米国/欧州国籍の出願人も自国以外に力を入れて出願して
いることが窺われる。しかし中国国籍の出願人は日本には 30 件、米国には 198 件、欧州
には 86 件と極端に少ないと思われる。
図 4-4
日米欧中韓台相互の出願件数(出願年(優先権主張年):2004~2013 年)
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 18 -
目
次
5.日米欧中韓台の相互の工作機械及びその制御プログラムに関する出願件数収支
日本への出願は、日本国籍の 2,790 件(53.8%)以外は、米国国籍 775 件(15.0%)、
欧州国籍の 1,272 件(24.5%)が占められる。米国への出願も日本国籍が 1,935 件(22.1%)、
欧州国籍が 2,657 件(30.3%)を占める。
要
約
中国への特許出願は、日本国籍が 1,810 件(11.5%)、米国国籍が 886 件(5.7%)、
欧州国籍が 1,853 件(11.8%)である。
図 4-5
本
編
日米欧中韓台相互の出願件数収支(出願年(優先権主張年):2004~2013 年)
韓国国籍 台湾国籍
49件
0.9%
中国国籍 87件
30件 1.7%
0.6%
欧州国籍
1,272件
24.5%
611件
その他
35件
1.9%
台湾への出願
1,859件
その他
180件
3.5%
日本への出願
5,183件
日本国籍
2,790件
53.8%
米国国籍
775件
15.0%
49件
台湾国籍
772件
41.5%
韓国国籍
33件
1.8%
中国国籍
17件
0.9%
87件
欧州国籍
2,657件
30.3%
168件
米国国籍
3,355件
38.2%
219件
米国国籍
219件
11.8%
30件
33件
1958件 2657件
172件
17件
1822件
770件
22件
41件
198件
中国国籍
86件
0.5%
韓国国籍
3,801件
67.9%
韓国への出願
5,596件
韓国国籍
92件
0.5%
台湾国籍
41件
0.2%
336件
その他
109件
1.9%
日本
国籍
770件
13.8%
第
1
部
第
2
部
1272件
135件
台湾国籍
22件
0.4%
米国への出願
8,774件
日本国籍
1,935件
22.1%
775件
日本国籍
611件
32.9%
欧州国籍
172件
9.3%
台湾国籍
韓国国籍 168件 その他
1.9%
326件
中国国籍 135件
1.5%
3.7%
198件
2.3%
1935件
92件
米国国籍
336件
6.0%
欧州国籍
545件
9.7%
日本国籍
1,958件
11.2%
1810件
97件
886件
韓国国籍
160件
1.0%
台湾国籍
97件
0.6%
160件
13件
第
4
部
欧州国籍
13,083件
74.8%
その他
231件
1.5%
米国国籍
886件
5.7%
日本国籍
1,810件
11.5%
第
3
部
米国国籍
1,822件
10.4%
545件
中国国籍
13件
0.2%
その他
419件
2.4%
86件
欧州への出願
17,501件
1853件
欧州国籍
1,853件
11.8%
中国国籍
10,634件
67.9%
第
5
部
中国への出願
15,671件
第
6
部
- 19 -
資
料
編
目
次
第2節
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願/実用新案登録
動向(詳細解析)
要
約
1.全体動向
(1)出願人国籍別の特許出願/実用新案登録件数推移
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する出願人国籍は勿論地元で
ある中国が 1,273 件(76.7%)を占めるが、中国以外の国籍では、日本が 2 番目に来
る、日本は 2009 年~2013 年の各年に 48,52,42,44,37 件の総計 223 件の出願が認めら
本
編
れる。日本に次いで欧州が総計 103 件の定期的な出願を認める。
図 4-6 中国への特許出願における出願人国籍別の出願件数推移及び出願件数比率(出願年(優先
権主張年):2009~2013 年)
第
1
部
第
2
部
第
3
部
実用新案登録に関して、中国国籍の登録が 2,568 件(94.9%)を占める。次いで台
湾の 71 件(2.6%)、次に日本の 64 件(2.4%)となる。2012 年以降中国国籍による
登録数の増加が著しい。
図 4-7 中国への実用新案登録出願における出願人国籍別の実用新案登録件数推移及び登録件数比
第
4
部
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
5
部
第
6
部
注)図 4-6、図 4-7 に関して、2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全
データを反映していない可能性がある。
資
料
編
- 20 -
目
次
(2)出願人属性別の特許出願件数/実用新案登録件数推移
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願に関し、出願人属
性は、企業が 1,246 件(75.1%)、大学が 185 件(11.2%)、個人が 149 件(9.0%)
であった。特許の共願における出願人属性は、企業が 38 件、大学が 19 件、個人が 8
要
約
件であった。
図 4-8 中国への特許出願における出願人属性別の出願件数推移及び出願件数比率(出願年(優先
本
編
権主張年):2009~2013 年)
第
1
部
出願人属性
企業
出
願
人
属
性
大学
企業
38 -
大学
17
第
2
部
属性が3つ以上の共願
研究機関 個人
出願人属性
-
企業-大学-研究機関
-
2-
件数
-
研究機関
0
0
0-
個人
1
0
0
7
0
第
3
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 21 -
資
料
編
目
次
実用新案登録の出願人属性は、企業が 2,226 件(82.2%)、大学が 118 件(4.4%)、
個人が 288 件(10.6%)であった。共願における出願人属性は、企業が 33 件、大学
要
約
が 8 件、個人が 43 件であった。
図 4-9 中国への実用新案登録出願における出願人属性別の実用新案登録件数推移及び登録件数比
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
出願人属性
企業
出
願
人
属
性
企業
大学
33 -
属性が3つ以上の共願
研究機関 個人
出願人属性
-
企業-大学-研究機関
-
大学
8
0-
研究機関
0
0
0-
個人
0
0
0
-
43
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
件数
- 22 -
0
目
次
(3)ターニングセンタ・マシニングセンタに関する出願件数別の出願人人数推移
特許の出願件数別の出願人人数推移は、総数 1,137 出願人中、①1~2 件が 1,015
出願人、②3~5 件が 92 出願人、③6~9 件が 23 出願人、④10 件以上が 7 出願人とな
った、2012 年に顕著な増加を示している。複数の出願を戦略的/計画的に出していく
要
約
出願人はまだまだ少ないものと思われる。
図 4-10 出願件数別出願人人数推移(特許)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
本
編
第
1
部
実用新案登録の登録件数別の出願人人数推移は、総数 1,762 出願人中、①1~2 件
第
2
部
が 1,557 出願人、②3~5 件が 158 出願人、③6~9 件が 36 出願人、④10 件以上が 11
出願人となった、2012 年に顕著な伸びを示している。複数の出願を戦略的/計画的に
出していく出願人はまだまだ少ないものと思われる。
図 4-11 出願件数別出願人人数推移(実用新案登録)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
3
部
第
4
部
第
5
部
注)図 4-10、図 4-11 に関して、2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、
全データを反映していない可能性がある。
- 23 -
第
6
部
資
料
編
目
次
2. 中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願・実用新案登録出願に
関する技術区分(分析軸)別動向調査
要
約
(1)ターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願における出願件数推移及び
出願件数比率
その 1(技術区分:中区分まで)
(A.応用技術)中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願
においては、マシニングセンタに特化した出願の 869 件(52%)が最も多い。次いで、
ターニングセンタ及びマシニングセンタにも用いることができる汎用的な応用技術
本
編
に関する出願の 697 件(41.7%)が多い。融合技術の 37 件(2.2%)や、連携技術の
11 件(0.7%)に関する出願は少ない。
※ここで「その他」と分類付与された案件は、特許文献中の要約・請求項・実施
第
1
部
例 1・背景以外に、
「ターニングセンタ及びマシニングセンタ」に関する記載はある文
献であり、「ターニングセンタ及びマシニングセンタ」特有の構成に特化しない汎用
的な工作機械にも用いられる技術と判断している。
(B.要素技術)に関しては、B1 構成要素の 807 件(41.6%)に関する出願が多く摘出
第
2
部
され、次いで B10 融合領域要素技術の 278 件(14.3%)、B3 工具マガジンの 275 件(14.2%)、
B2ATC の 221 件(11.4%)と続き、B11 知能化の 17 件(0.9%)に関する出願は少ない。
(C.課題)に関しては、C2 高精度化の 228 件(38.5%)、処理速度向上の 149 件(25.2%)
に関するものが定常的に出されており、日常的に必須な課題となっている。
第
3
部
(D.加工)に関しては、D1 加工方法の 337 件(86.9%)に関する出願が最も多く、D3
加工対象材料(難削材)に関する出願は 15 件(3.9%)で少ない。
図 4-12-a 技術区分:応用技術における中国への特許出願における出願件数推移及び及び出願件
数比率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)ここで「A 応用技術」と分類付与された案件は、「ターニングセンタ及びマシニングセンタ」特有の構
第
6
部
資
料
編
成に特化しない汎用的な工作機械にも用いられる技術と判断している。
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
- 24 -
目
次
図 4-12-b 技術区分:要素技術における中国への特許出願における出願件数推移及び出願件数比
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
図 4-12-c 技術区分:課題における中国への特許出願における出願件数推移及び出願件数比率(出
第
1
部
願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
2
部
第
3
部
図 4-12-d 技術区分:加工における中国への特許出願における出願件数推移及び出願件数比率(出
願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)図 4-12-b、図 4-12-c、図 4-12-dに関して、2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各
第
6
部
国移行のずれ等で、全データを反映していない可能性がある。
- 25 -
資
料
編
目
次
(2)ターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願における出願件数推移及び出願
件数比率
要
約
その 2(注目技術区分;融合技術、連携技術、知能化、加工対象物)
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願における出願人国
籍・地域別出願件数の推移及び出願件数比率を注目技術区分別に検討した。
①A3(融合技術)、A3a(複合加工機/複合マシニングセンタ)区分
A3,A3a 区分で合計 37 件の出願を確認した。A3a は 2011 年にいったん出願数が減少
しているが、その後は所定数を保っている。
本
編
②A4(連携技術)、A4a(複数の工作機械の連携)、A4b(工作機械とロボットとの連携)
この区分の出願は少ないが、A4b の出願件数が、それまで(毎年 1 件)から 2013 年
には 4 件へ増加している。
④B11(知能化)、B11a(知能化技術)、B11b(IoT、生産管理)
この区分の摘出件数は少ない。その中では、B11b IoT に関する出願が割合として多
第
1
部
く、15 件を摘出した。B11a 知能化技術は 2 件であった。
⑥D2(加工対象物)
加工対象物を明記する発明において、D2f自動車部品が 17 件と多いことが分かる。
なお、D2e 航空機部品は 6 件の摘出を見た。
第
2
部
図 4-13-a 中国への特許出願における出願人国籍・地域別出願件数推移及び出願件数比率(融合
技術)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
3
部
第
4
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 26 -
目
次
図 4-13-b 中国への特許出願における出願人国籍・地域別出願件数推移及び出願件数比率(連携
技術)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
5
出
願
件
数
(
技
術
区
分
別
)
優先権主張
2009-2013年
要
約
5
4
4
3
4
3
2
2
2
2
1
1
1
1
0
出
願
件
数
(
年
合
計
)
2010
2011
2012
2013
出願年(優先権主張年)
出願人国籍
A4:連携技術
A4a:複数の工作機械の連携
A4b:工作機械とロボットとの連携
本
編
A4b
8件
72.7%
0
2009
A4a
2件
18.2%
合計
合計
10件
図 4-13-c 中国への特許出願における出願人国籍・地域別出願件数推移及び出願件数比率(知能
化)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
1
部
第
2
部
第
3
部
図 4-13-d 中国への特許出願における出願人国籍・地域別出願件数推移及び出願件数比率(加工
対象物)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)図 4-13-b、図 4-12-c、図 4-12-d、2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ
第
6
部
等で、全データを反映していない可能性がある。
- 27 -
資
料
編
目
次
(3)ターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録件数推移及び登録件数
要
約
比率
その 1(技術区分:中区分まで)
(A.応用技術)中国への実用新案登録においては、A2 マシニングセンタに特化した
登録が 1,425 件(51.3%)で最も多い。次いで、ターニングセンタ及びマシニングセ
ンタにも用いることができる汎用的な A 応用技術に関する登録が 995 件(35.8%)と
多い。A3 融合技術に関する登録は 100 件(3.6%)と少ないが、特許出願に比べると
本
編
多い。また A4 連携技術も 41 件(1.5%)摘出された。
(B.要素技術)に関しては、B10 融合領域要素技術の 173 件(3.7%)や、B11 知能
化の 10 件(0.2%)に関する登録は少なく、主軸等の B1 構成要素の 2,876 件(62.4%)
第
1
部
に関する登録が最も多く、次いで B3 工具マガジンの 587 件(12.7%)、B2ATC の 295
件(6.4%)が摘出された。これは、モノの構成を権利化するための実用新案登録の持
つ特性が現れていると言える。
(C.課題)の実用新案登録に関しては、特許と同様に C2 高精度化の 791 件(42.6%)
第
2
部
に関する登録が多く、次いで C1 小型化の 335 件(18.0%)、C5 操作性向上の 262 件
(14.1%)に関する登録となる。C3 処理速度向上に関する登録は 148 件(8.0%)と
少ない。
(D.加工)の実用新案登録に関して、D3 加工対象材料:難削材に関する登録は、特
許と比較すると 81 件(5.5%)と多い。
第
3
部
図 4-14-a 技術区分:応用技術 中国への実用新案登録出願における登録件数推移及び登録件数比
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)ここで「A 応用技術」と分類付与された案件は、「ターニングセンタ及びマシニングセンタ」特有の構
第
6
部
資
料
編
成に特化しない汎用的な工作機械にも用いられる技術と判断している。
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
- 28 -
目
次
図 4-14-b 技術区分:要素技術 中国への実用新案登録出願における登録件数推移及び登録件数比
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
図 4-14-c 技術区分:技術課題 中国への実用新案登録出願における登録件数推移及び登録件数比
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
1
部
第
2
部
第
3
部
図 4-14-d 技術区分:加工 中国への実用新案登録出願における登録件数推移及び登録件数比率(出
願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)図 4-14-b、図 4-14-c、図 4-14-d、2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ
等で、全データを反映していない可能性がある。
- 29 -
第
6
部
資
料
編
目
次
(4)ターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録件数推移及び登録件数
比率
要
約
その 2(注目技術分野;融合技術、連携技術、知能化、加工対象物)
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録における出願
人国籍・地域別出願件数推移及び登録件数比率を注目技術区分別に検討した。
①A3(融合技術)、A3a(複合加工機/複合マシニングセンタ)区分
A3 融合技術は 76 件、A3a 複合加工機/複合マシニングセンタは 24 件の登録が摘
出された。特に 2011 年以降、A3 に関する技術は増加傾向にある。
本
編
②A4(連携技術)、A4a(複数の工作機械の連携)、A4b(工作機械とロボットとの連携)
2012 年に、A4b 工作機械と搬送ロボットとの連携に関する登録が 13 件と急増して
いる。A4 区分全体としても A4b 工作機械とロボットとの連携技術の登録数が 26 件
(63.4%)と多く摘出されている。
④B11(知能化)、B11a(知能化技術)、B11b(IoT、生産管理)
第
1
部
この区分の摘出件数は少ないが、登録数は徐々に増加しているものと判断される。
B11bIoT が 2011 年以降 6 件の登録が摘出された。
⑥D2(加工対象物)
加工対象物を明記する実用新案登録において、特許と同様に D2f自動車関連部品
が 57 件(43.8%)と多いことが窺える。D2g 金型部品は 11 件、D2e 航空機部品は 9
第
2
部
件の摘出であった。
図 4-15-a 中国への実用新案登録出願における出願人国籍・地域別登録件数推移及び登録件数比
率(融合技術)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
3
部
第
4
部
第
5
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
6
部
資
料
編
- 30 -
目
次
図 4-15-b 中国への実用新案登録出願における出願人国籍・地域別登録件数推移及び登録件数比
率(連携技術)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
図 4-15-c 中国への実用新案登録出願における出願人国籍・地域別登録件数推移及び登録件数比
率(知能化)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
1
部
第
2
部
第
3
部
図 4-15-d 中国への実用新案登録出願における出願人国籍・地域別登録件数推移及び登録件数比
率(加工対象物)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
4
部
第
5
部
注)図 4-15-b、図 4-15-c、図 4-15-d、2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ
第
6
部
等で、全データを反映していない可能性がある。
- 31 -
資
料
編
目
次
3. 出願人別動向調査
(1)中国への特許出願における出願人動向
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願件数における出願
要
約
人は、トップ出願人は SHANGHAI SANY PREC MACHINERY(上海三一精機有限責任公司 CN)
の 34 件である。しかし、2-4、6-8 位を日本企業が占めており、日本企業が意欲的に
出願を行っていることが窺える。また、10 位以内には、DOOSAN INFRACORE(株式会社
斗山 KR)の 23 件、DECKEL MAHO(DE)の 15 件もランクインしている。トップ 10 企
業には入らないものの、11-30 位には、中国国籍の企業が占める割合が非常に高い、
本
編
これは中国企業がまとまった出願を行っていないことが窺われる。なお、上記の日本
企業は上から順に、ブラザー工業、牧野フライス、オークマ、ファナック、DMG 森精
機、ジェイテクト、三菱電機、三菱重工業である。
表 4-1
第
1
部
第
2
部
第
3
部
中国への特許出願における出願人別出願件数ランキング(出願年(優先権主張年)
:2009
~2013 年)
順位
1
2
2
4
5
6
7
8
8
8
出願人
SHANGHAI SANY PREC MACHINERY
ブラザー工業
牧野フライス
オークマ
DOOSAN INFRACORE
ファナック
DMG森精機
ジェイテクト
DECKEL MAHO
NINGBO HAITIAN PRECISION MACHINERY
国籍
中国
日本
日本
日本
韓国
日本
日本
日本
ドイツ
中国
属性
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
件数
34
29
29
26
23
21
20
15
15
15
(2)中国への実用新案登録出願における出願人動向
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録件数における
出願人は、特許と同じくトップ出願人は SHANGHAI SANY PREC MACHINERY(上海三一精
機有限責任公司 CN)の 50 件である。また実用新案登録はランキング 10 社の内、8
社は中国籍の出願人である。これにより、中国企業は特許よりも実用新案登録を重視
して利用していることが窺える。
第
4
部
2 位に GUANGZHOU HAOZHI INDUSTRY(昊志機電股份有限公司 CN)の 29 件、SHENYANG
MACHINE TOOL DESIGN RESEARCH INSTITUTE(瀋陽機床デザイン研究所 CN)の 22 件が
認められる。更に日本の企業では DMG 森精機も 22 件の 3 位、ブラザー工業が 20 件の
6 位と続いている。
第
5
部
第
6
部
資
料
編
表 4-2
中国への実用新案登録出願における出願人別登録件数ランキング(出願年(優先権主張
年):2009~2013 年)
順位
1
2
3
3
3
6
7
8
8
10
出願人
SHANGHAI SANY PREC MACHINERY
GUANGZHOU HAOZHI INDUSTRY
DMG森精機
ANHUI LINQUAN COUNTY ZHICHUANG SEIKI
SHENYANG MACHINE TOOL DESIGN RESEARCH INSTITUTE
ブラザー工業
CHANGZHOU TRANSCEND CNC MACHINE TOOL
NINGBO HAITIAN PRECISION MACHINERY
NANTONG GUOSHENG ELECTROMECHANICAL
FUJIAN WEINO CNC
- 32 -
国籍
中国
中国
日本
中国
中国
日本
中国
中国
中国
中国
属性
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
企業
件数
50
29
22
22
22
20
19
18
18
15
目
次
(3)注目出願人のターニングセンタ・マシニングセンタに関する出願/登録動向
注目出願人の 2009 年~2013 年のターニングセンタ・マシニングセンタに関する特
許出願件数推移(特許)を検討した。
注目出願人の出願動向に関して、特許出願数の最も多かった SHANGHAI SANY PREC
MACHINERY(上海三一精機有限責任公司 CN)の 88 件は、2011 年以降出願件数が急増
要
約
しており、2011 年から 2013 年にかけては 21 件、37 件、30 件と推移している。SHENYANG
MACHINE TOOL(瀋陽機床(集団)有限責任公司 CN)は、2011 に 9 件、2013 年位 14 件
の出願を認める。DALIAN MACHINE TOOL(大連機床(集団)有限責任公司 CN)は 2009
年から出願が認められ、2011 年に 12 件、2013 年に 8 件の出願を認める。
日本のファナックは 2009 年から出願が認められ 2013 年に 47 件、合計 71 件の出願
本
編
を認めた。また韓国の DOOSAN INFRACORE(株式会社斗山 KR)も定常的に出願をなし
ている。
中国の BEIJING UNIVERSITY OF TECHNOLOGY(北京工科大学 CN)は 2010 年から出願
が認められ、2013 年には 10 件の出願が認められた。
図 4-16
第
1
部
注目出願人の出願件数推移(特許)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
- 33 -
資
料
編
目
次
注目出願人のターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録動向に関
して、中国籍企業の 2011 年以降の実用新案登録数が急増している。特に SHENYANG
MACHINE TOOL(瀋陽機床(集団)有限責任公司 CN)は、2011 年で 54 件、2012 年 13
要
約
件、2013 年 11 件で、SHANGHAI SANY PREC MACHINERY(上海三一精機有限責任公司 CN)
は、2011 年で 73 件、2012 年で 76 件、2013 年で 30 件と認められ、増加が顕著である。
特許出願数を定常的に行っていた DOOSAN INFRACORE(株式会社斗山 KR)は 3 件及
び、BEIJING UNIVERSITY OF TECHNOLOGY(北京工科大学 CN)は 4 件となり、実用新
案登録をあまり利用していない。なお、ファナックは 2013 年に 19 件が実用新案登録
本
編
が出願されている。
図 4-17
注目出願人の登録件数推移(実用新案登録)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
注)2012 年以降はデータベース収録の遅れ、PCT 出願の各国移行のずれ等で、全データを反映していない
可能性がある。
第
6
部
資
料
編
- 34 -
目
次
4. 出願日から発行日までの経過日数動向
中国籍出願人によるターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許及び実用新案
登録の出願日から発行日までの期間を図 4-18-a に示す。
通常、出願日から 18 か月後の公開であり、それに基づいた 19 か月目の公開が 630 件、
しかし早期である 3 か月後公開が 255 件、4 か月が 1161 件、5 か月後が 686 件、6 か月
要
約
後が 485 件、7~9 か月後が 402 件であり、規定公開月よりも早期に公開された案件の総
数は 3671 件であり、82.5%の出願が早期公開制度を利用していることとなる。
これに対し、中国以外の国籍の出願人による特許及び実用新案登録の出願日から発行
日までの期間を図 4-18-b に示す。
7 ヵ月後の公開が最も多いが、これは、後に述べる理由が考えられるため、早期公開
本
編
制度を利用しているとはいえない。次に、19-24 ヶ月後の公開が多く、早期公開制度の
活用はあまりなされていないものと思われる。
※特許協力条約による国際出願(PCT)利用時に、国際出願は基礎となる先の出願日、優
先日の 12 か月以内に為さねばならないが、そして更に優先日から 18 か月後に国際公開
となる(実際は 1~2 か月後)。つまり国際出願日から見た場合 6~7 か月後に公開となっ
第
1
部
ており、このようなピークが見られていると考えられる。
図 4-18-a
出願日から発行日までの期間(中国籍出願人全体)(2009-2013 年)
第
2
部
第
3
部
図 4-18-b
出願日から発行日までの期間(中国以外の国籍の出願人全体)(2009-2013 年)
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 35 -
資
料
編
目
次
5. 特徴的な特許、実用新案登録動向に関する調査
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する出願に関する特徴的な技術
要
約
区分に関する出願動向を(1)‐(3)にて示す。
(1)技術区分「課題:C2 高精度化」
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願及び実用新案登
録における技術課題において、最も多い「C2 高精度化」の技術区分を有する案件を調
査する。
本
編
C2、C2a、C2b の技術区分を付与する特許出願においては、主軸に関するものが 30
件であり、最も多い。特に、C2 を付与する案件においては、B1a 主軸が多く、30 件の
うち 27 件を占める。C2a の振動防止を課題とする案件においては、B10e:振動制御に
関する発明が多く、その下位区分となる B10e1:びびり制御は 12 件と最も多い。C2b
第
1
部
の熱変位対策を課題とする案件においても、やはり B10f:熱変位に対する計測に関
する発明が多く、B10f2a:補償にて 11 件である。また、大学の割合が比較的高い。
中国への特許出願全体における大学属性の出願人の割合は、11.2%であるのに対して、
16%となっている。
第
2
部
図 4-19
中国への特許出願における技術区分別特許出願件数(B 要素×C2 課題:高精度化)(出
願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 36 -
目
次
図 4-20
中国への特許出願における技術区分(C2 課題:高精度化)別出願件数における出願人
属性比率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
同様にターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録において「C2
高精度化」の技術区分を有する案件を調査する。
第
3
部
C2、C2a、C2b の技術区分を付与する実用新案登録の案件においては、主軸に関す
るものが 175 件であり、多い。この傾向は特許出願と同様である。一方特許出願の傾
向と異なるのは、B1g4:摺動に関する登録が 181 件と最も多いことである。またコラ
ムに関する登録が多い点も特許とは異なる傾向である。C2a の振動防止を課題とする
案件においては、B1a:主軸に関する考案が最も多く、10 件である。C2b の熱変位対策
第
4
部
を課題とする案件においては、B1a3:冷却に関する考案が多く、12 件である。
C2a,C2b に関しては、特許出願の傾向と異なっている。
第
5
部
第
6
部
- 37 -
資
料
編
目
次
図 4-21
中国への実用新案登録出願における技術区分別特許登録件数(B 要素×C2 課題:高精度
化)(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 38 -
目
次
図 4-22
中国への実用新案登録出願における技術区分(C2 課題:高精度化)別登録件数におけ
る出願人属性比率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
(2)技術区分「要素:B11 知能化」
B11 知能化に分類されたのは、特許 17 件(内、中国籍出願人による出願 16 件)、実
用新案登録 10 件(内、中国籍出願人による出願 10 件)であり合計 27 件である。
第
3
部
先端技術領域と呼べる本技術区分に対し、中国籍出願人が占める割合が多い。
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願・実用新案登録件数
において、技術区分が「要素:B11 知能化」を振られた案件の動向を調査する。
※ なお、今回の調査においては、あくまでも「ターニングセンタ及びマシニングセ
第
4
部
ンタ」に特徴のある「知能化」技術を調査対象としているため、汎用的な技術に
関しては調査対象外となっていることに注意を要する。
表 4-3 を確認するに、特許出願に関して 17 件の分類付与があり、B11a(自主学習・
第
5
部
人工知能)に関するものは 2 件、他の 15 件は IoT に関する(NetWork に関する)もので
あった。出願国籍は B11a の 1 件が米国であり、他の 16 件は中国籍である。
上記 B11a(米国籍出願人)が振られた1件の出願のポイントは、「ギアの螺旋溝を
作る工作機械の適応制御系」を唱えたもので、所定の電力下で諸条件を読み取り加工
制御するものであり、一般的に日本の大手メーカの提唱する知能化に考え方は略同一
- 39 -
第
6
部
資
料
編
目
次
である。他の B11a(中国籍出願人)の 1 件は、ロボットと MC を結びつけた搬送シス
テムに関する知能化である。
更に B11b にもロボット(搬入出)やワークの加工フロー、プロセス、アルゴリズム
要
約
に関連している出願が 5 件摘出された(合計 6 件である)。
表 4-3
技術区分「B11 知能化」に関する特許出願内訳
No 国籍
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
属性
公報
技術区分 発明のポイント
1 CN:中国
企業
CN103699072
B11b
2 CN:中国
企業
CN103419072
B11b1a ファナックのシステムを用いたNC工作機械インテリジェンス管理
3 CN:中国
企業
CN103279090
B11a
4 CN:中国
大学
CN103048968
B11b1a ネットワーククラスタ制御によるTC/MC温度補償
5 CN:中国
大学
CN102736562
B11b
知識データベース使用の障害(予測)診断
6 CN:中国
共同出願(企-大)
CN102736602
B11b2
複数MCと搬送ロボットの通信型パレットの搬出入
7 CN:中国
大学
CN102662352
B11b1a MCのネットワーク型インテリジェントターミナル制御
8 CN:中国
個人
CN103419080
B11b1a フィードバック型MCシステム構造
9 US:米国
企業
CN101733680
B11a
ベベルギア加工の適応制御系システム
10 CN:中国
大学
CN101733680
B11b
非接触オンラインネットワーク型ベアリング加工溝測定方
11 CN:中国
大学
CN101758425
B11b
統合型チャックと軸受+NET管理
12 CN:中国
企業
CN101727104
B11b
LAN制御型NC工作機械のネットワーク
13 CN:中国
企業
CN101653916
B11b
オンライン型測定・加工装置のセンサ
14 CN:中国
大学
CN101592950
B11b1
ネットワーク制御のNC工作機械と工具マガジン
15 CN:中国
企業
CN101569979
B11b
オンライン数値制御型MCの加工プロセスとプロセスセンター
16 CN:中国
大学
CN101533274
B11b2
MCネットワーク制御-タスクと加工ツールのアルゴリズム
17 CN:中国
企業
CN101493683
B11b2
デジタル化誤差補正テンプレートを用いた多軸制御MCシステ
ムの翼加工作業フロー
第
6
部
資
料
編
- 40 -
ユビキタスネットワークのMC通信ミドルウエア
ロボットインテリジェンスNC工作機械管理
目
次
表 4-4 を確認するに、実用新案登録では全部で 10 件の分類があったが、B11a の分
類はなく、B11 が 4 件、B11b が 6 件であった。
B11 に振られた案件は、発明のポイントとして自立学習・人工知能や Net に関する
明記がない案件であり、実際に抽出した B11ha,インテリジェント MC システムとして、
要
約
データベース蓄積型の最適方法選択、学習が窺われる案件である。
なお、実用新案登録 10 件の内 7 件は、ロボット(搬入出)やワークの加工フロー、
プロセス、アルゴリズムに関連している出願であった。
特許の 6 件を合わせると 13 件/27 件中(48%)ということになる。
即ち、TC/MC に特徴のあるの知能化技術に関し、ロボット(搬入出)やワークの加工
本
編
フロー、プロセス、アルゴリズム加工のに関連している出願が多く、中国籍出願人の
焦点が当っていることが分かる。
表 4-4
技術区分「B11 知能化」に関する実用新案登録内訳
No. 国籍
技術区分
B11b2
発明のポイント
1 CN:中国
属性 公報
企業 CN203495501U
2 CN:中国
企業 CN203197672U
B11b
NC工作機械とマニプレータ協働
3 CN:中国
企業 CN203076598U
B11b
主軸スピンドルのサーボ制御
4 CN:中国
企業 CN203062239U
B11
インテリジェントCNC多機能MCのプロセス制御装置
5 CN:中国
企業 CN203091815U
B11
インテリジェントMC制御プロセスセンタ
6 CN:中国
企業 CN202934344U
B11b
コンベヤベルト搬送+複数CNC工作機械協働
7 CN:中国
企業 CN202694094U
B11b
無線LAN使用NC工作機械の加工フローグループ制御
8 CN:中国
個人 CN202196306U
B11b
MC工具マガジン位置制御
9 CN:中国
企業 CN202114540U
B11
ベベリング歯車加工フローのインテリジェント制御装置
10 CN:中国
企業 CN201645251U
B11
移動防塵装置付きインテリジェントMC
第
1
部
ロボットと工作機械MCとの協働
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 41 -
資
料
編
目
次
(3)技術区分「要素:B1 構成要素」
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願及び実用新案登
要
約
録における要素技術において、最も多い「B1:構成要素」の技術区分を有する案件を
調査する。
B1 区分を付与する特許の小区分までの内訳においては、B1a 主軸に関するものが
348 件であり、最も多い。その次に多いのは、B1g 送り機能の 183 件であり、次に B1c
本
編
加工テーブル 131 件となる。
B1a 主軸に関する発明としては、汎用性のある工作機械に振られる A 応用技術区分
101 件、A2 マシニングセンタ 99 件と最も多い。また B1g 送り機能に関しては、汎用
的な工作機械に振られる A 応用技術に関する発明が 40 件と多い。また B1c 加工テー
第
1
部
ブルに関しては、A2 マシニングセンタに関する発明が 40 件と多い。
また B1a 主軸に関する発明の課題としては、C2 高精度化 27 件、C3 処理速度向上
15 件が最も多い。全体として、C2 高精度化に関する発明が多い。
第
2
部
図 4-23
中国への特許出願における技術区分(B1
要素技術:構成要素)別出願件数比率(出願
年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 42 -
目
次
図 4-24
中国への特許出願における技術区分別出願件数(B1 構成要素×A 応用技術)
(出願年(優
先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 43 -
資
料
編
目
次
図 4-25
中国への特許出願における技術区分別出願件数(B1 構成要素×C 課題)(出願年(優先
権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 44 -
目
次
同様に、ターニングセンタ・マシニングセンタに関する実用新案登録において、
「B1
構成要素」技術区分を有する案件を調査する。
B1 区分を付与する実用新案登録の小区分までの内訳においては、B1g 送り機能の
559 件に関するものが最も多い。その次に多いのは、B1a 主軸の 470 件であり、この
要
約
順番は特許とは異なる。
B1g 送り機能に関しては、下位区分の B1g4 摺動において A2 マシニングセンタに関
する考案が 122 件と多い。また B1a 主軸に関する応用技術としては、汎用性のある工
作機械に振られる A 応用技術区分 158 件、A2 マシニングセンタ 145 件と、最も多い。
本
編
B1g 送り機能の下位区分である B1g4 摺動に関する考案の課題としては、C2 高精度
化に関する考案が 99 件と多く、次に、C1a 構成要素の小型化に 28 件、C5 操作性向上
20 件と続く。また B1a 主軸に関する考案の課題としては、C2 高精度化 123 件、C5 操
作性向上 34 件の順で多い。全体として、C2 高精度化に関する考案が多い点は特許と
共通であるが、C1a 構成要素の小型化や、C5 操作性向上に関してもまとまった件数が
第
1
部
摘出されており、この点の動向は特許とは異なる点である。
図 4-26
中国への実用新案登録出願における技術区分(B1
要素技術:構成要素)別登録件数比
第
2
部
率(出願年(優先権主張年):2009~2013 年)
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 45 -
資
料
編
目
次
図 4-27
中国への実用新案登録出願における技術区分別登録件数(B1 構成要素×A 応用技術)
(出
願年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
資
料
編
- 46 -
目
次
図 4-28
中国への実用新案登録出願における技術区分別登録件数(B1 構成要素×C 課題)(出願
年(優先権主張年):2009~2013 年)
要
約
本
編
第
1
部
第
2
部
第
3
部
第
4
部
第
5
部
第
6
部
- 47 -
資
料
編
目
次
第5章
要
約
知的財産権の活用に関する調査
第1節
中国特許・実用新案権の侵害訴訟動向
1.訴訟件数と訴訟類型
特定工作機械分野に関する特許権又は実用新案権が対象となった訴訟案件は 84 件(訴
訟提起年は 2003 年~2015 年)である。
このうち、特許権が対象になっている案件は 39 件(46%)、実用新案権が対象となっ
本
編
ている案件は 45 件(54%)であり、それぞれについての訴訟の類型は、表 5-1 の通りで
ある。侵害訴訟は、12 件(訴訟全体の 14%)であり、訴訟全体から見ると侵害訴訟の割
合は少ない。侵害訴訟全 12 件ののうち、特許案件は 5 件、実用新案案件は 7 件であり、
実用新案権が用いられる割合が高い。なお、使用したデータベースの判例収録率は、100%
ではないため、本節中で示す訴訟件数ならびにその割合の評価には注意を要する。
第
1
部
第
2
部
表 5-1 中 国 に お け る 特 定 IPC : B23B1/-B23B25/,B23P23,B23C1/-B23C3/,B23Q1 … B23Q41 、
G05B19/18-G05B19/416 に関する特許権・実用新案権別訴訟類型の割合
侵害訴訟
異議申立
拒絶/再審査
取消審判/
無効審判
発明者補償に
関する訴訟
所有権に
関する訴訟
合計
特許権
5(13%)
7(18%)
20(51%)
6(15%)
1(3%)
0(0%)
39(100%)
実用新案権
7(16%)
0(0%)
0(0%)
34(76%)
2(4%)
2(4%)
45(100%)
全体
12(14%)
7(8%)
20(24%)
40(48%)
3(4%)
2(2%)
84(100%)
出典:トヨタテクニカルディベロップメント(株)にて作成。
第
3
部
2. 訴訟提起の時期
侵害事件に限って、特許案件、実用新案案件別に、訴訟提訴の時期を暦年別に示した
ものが、図 5-1 である。
中国の侵害訴訟は、12 件であり、侵害訴訟のうち、特許案件は 5 件(侵害訴訟全体の
第
4
部
13%)、実用新案案件は 7 件(侵害訴訟全体の 16%)である。
中国全体における知財民事訴訟件数の推移は 2008 年以降増加の傾向が見られ、また実
用新案権に関わる民事訴訟案件の推移においても、2008 年以降急増の傾向が見られたが、
工作機械分野に限定すると、この傾向は当てはまらないと言える。
またこの工作機械分野において、侵害訴訟が最も多くおきているのは米国であり、次
第
5
部
いで日本、中国である。
図 5-1
中国における特定 IPC に関する特許権・実用新案権別訴訟提訴の時期(侵害事件)
(単位:件)
第
6
部
出典:トヨタテクニカルディベロップメント(株)にて作成。
資
料
編
- 48 -
目
次
第6章
第1節
総合分析(全体動向)
総合分析 1
中国は世界最大の工作機械市場を有しており、応用産業の伸びと共に継続する。
要
約
主要な応用産業である中国の自動車販売数は増加傾向であり、この需要に合わせて世界最
大のターニングセンタ及びマシニングセンタの輸入国となっている。また中国への工作機械
及びその制御プログラムに関する特許出願数は増加傾向にあり、2004 年から 2013 年間の調
査において、2010 年には欧州を抜いて最大の特許出願数を記録し以後も増加傾向及び首位
を保っている。またその出願の 68.2%が中国籍の出願人であり、自国内の開発の活発化も
本
編
進んでいることが窺える。これらの要因から市場が活発化していることが考えられる。
ただし、現状中国から他国(日米欧韓国台湾)への輸出や特許出願はあまり行われていな
い。
第
1
部
総合分析 2
中国へのターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願・実用新案登録件数の増
加が見られるが、2009 年から 2013 年の調査においてその多くは小規模な出願(年間 1~2
件)を行う出願人が増加していることによるものである。大規模な特許出願を行う出願人は
第
2
部
多くない。現状では、一部の大企業を除いて、特許出願戦略/特許網の創造という概念はま
だ定着していない。
ただし、2013 年より助成金施策に関する知財権の検収基準の変化(応募要件となる出願
件数の増加)が起こっており、今後の出願動向として、実用新案登録出願から特許出願への
切り換えや、年間 10 件以上の特許出願を行う企業が出てくる可能性もあるため、注目が必
第
3
部
要である。
・・・
総合分析 3
中国内で工作機械に関する研究開発を行うものは、国費の援助(助成金・法人税減税・試
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部
験研究費)による後押しが欠かせない。
中国籍出願人によるターニングセンタ・マシニングセンタに関する特許出願及び実用新案
登録件数の増加を後押しする要因としては、
「高級 NC 工作機械・基礎生産設備」プロジェク
トの検収基準である「専利権の形成」があると推察する。
また出願だけではなく、2009 年から 2013 年の調査において中国籍の出願人は 82.5%の出
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願において早期公開制度を利用しており、積極的な早期の権利化を図っていることが分か
る。
権利化の積極性を後押しする要因としては、ハイテク企業認定による税優遇制度の認定条
件である、「主たる製品(サービス)の核心技術に対して自主知的財産権を有する」という
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点が推察される。
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総合分析 4
要
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(2003 年から 2015 年の調査において)現状、工作機械分野に関する侵害訴訟は他国と比
較しても少ないため、中国における訴訟リスクは高いとは言えない。
ただし、2006 年から 2012 年の調査において、他の産業の侵害訴訟件数は増加の一途をた
どっていることもあり、中国全体として訴訟を行う土壌は育っている。
本分野の侵害訴訟で用いられる知財権としては、2003 年から 2013 年の調査において、
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特許が 5 件(侵害訴訟全体の 42%)、実用新案権が 7 件(侵害訴訟全体の 58%)であり、
実用新案権が用いられる割合が高く、注意が必要。
総合分析 5
中国の特別科学技術プロジェクト(工業情報化部「高級NC工作機械・基礎生産設備」プ
ロジェクト」)の変遷は、中国自身が設定した重点開発項目で自国の技術力向上をはかり、
他の先進国メーカとの競争を狙う課題(領域)を示したものであり、課題の継続性や深化とい
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った動向に注目が必要である。
2009 年から 2013 年の調査において、中国へのターニングセンタ及びマシニングセンタに
関する特許出願及び実用新案登録動向に着目すると、「加工対象物」の解析では、技術区分
“切削対象”の D2f自動車部品が多い。当該区分(自動車部品)を更に、走行系部品とエン
ジン関連部品とに分けてみたが、両者共に特に突出した件数とならず、中国企業の研究開発
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の中心は、「自動車部品」全体に亘っている。
上記プロジェクトにおいては、2011 年から自動車に関する課題が出始め更に 2013 年以降
特に自動車と航空機に関する課題が多数提示されており、今後の開発の動向や出願状況に着
目すべきである。
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第2節
総合分析(技術区分別動向)
総合分析 6
2009 年から 2013 年の調査において、中国へのターニングセンタ及びマシニングセンタに
関する特許出願においては、主軸に関する発明が多く、用途として汎用的に用いられるもの
要
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と、マシニングセンタに限定した技術とが、二分して注力されている。またそれらの高精度
化が大きな課題となっている。
実用新案登録においては、(主軸の)送り機能に関する発明が多く、用途をマシニングセ
ンタに限定した技術が多い。課題としては高精度化に続いて、構成要素の小型化、操作性向
上について主に取り組まれている。
総合分析 7
2009 年から 2013 年のターニングセンタ・マシニングセンタ調査において、中国では、一
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部の大学が先端的研究を行っていると考えられ、諸外国で実用化が諦められた高難度な研究
(Ex. 精度を高めることが難しいとされるパラレルリンク機構を有する工作機械)も行われ
ていることが認められた。
全体的に多い研究内容としては、主軸や送り機能の高精度化に関する開発が行われてお
り、普遍的な課題に焦点を当てターニングセンタ及びマシニングセンタの基礎的な構造開発
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が行われている段階である。
また高精度化技術の一つとして、加工ソフトウェアが一定以上の比率を占めているが、こ
れは CAD/CAM として特徴を持つパッケージソフト化されたようなものではなく、例えばある
一つの加工方法に対するソフトの開発等であり、先端的なソフト開発を行っているわけでは
ない。
総合分析 8
2009 年から 2013 年のターニングセンタ・マシニングセンタ調査において、技術区分 A3
複合加工機・複合マシニングセンタに代表される融合技術、A4 連携技術に特化した特許出
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願・実用新案登録件数は、ターニングセンタ及びマシニングセンタに比較してまだまだ少な
い。
特に A4 連携技術に関して特許出願を行うだけの技術力が不足していると思われ、この領
域に関しては、絶対数は少ないが日本企業の出願が上位を占めている。
本領域は、中国内の人件費高騰等による「機器換人」
(ファクトリーオートメーション化)
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という社会的背景、及び国際的な流れと、更に中国の政策による後押しがあるため今後の動
向に注目すべきである。
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総合分析 9
2009 年から 2013 年のターニングセンタ・マシニングセンタ調査において、Industrie4.0
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に代表される知能化や IoT についての特許出願・実用新案登録件数は少ない。また特許・実
用新案登録の内訳を見ると、中国籍の出願人がこの知能化区分の大部分を占めており、中国
以外の国籍の出願人による中国への特許出願は殆どないため、他国からの進出については進
んでいるとは言いがたい。
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中国籍出願人の知能化重点領域は「ロボット等によるワークの搬出入、更にはワークの加
工フロー、プロセス、アルゴリズム」にあるものと思われる。これは日本欧米等の「知能化」
の概念とは若干異なり、ロボットによる処理や、データベース蓄積化と最適選択に関する技
術をまず知能化と考えているように思われる。
世界的な工作機械発展の流れにおける重要領域の一つであるため、今後の動向について注
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目が必要である。
※ 但し、今回の調査対象はあくまでもターニングセンタ及びマシニングセンタに特徴のあ
る知能化・IoT 技術であることに留意する
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総合分析 10
中国籍出願人にとって実用新案登録の有効性は高く、2009 年から 2013 年のターニングセ
ンタ・マシニングセンタに関する調査において多くの中国籍出願人(全体の 94.9%)が利
用している。
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これは、中国において、実用新案登録による権利活用は近年においても十分に可能である
ことと、中国籍出願人にとっては、特許よりも安価に出願が可能であり、簡易な審査(方式
審査のみで、実体審査は無い)で権利化が可能であり、国費による援助を受けるための知財
権取得に対して有効であることが考えられる。
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第3節
提言1
提言
「技術的優位性を保つための研究開発方針の策定」
中国のターニングセンタ及びマシニングセンタ分野の研究開発は、「マシニングセンタ」
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の「主軸」や「送り機能」等の基礎的設備が対象となっており、「融合技術」や「知能化」
といった特定の先端技術分野に特化した研究開発として、世界に先駆けた影響を与えるだけ
の結果を出しているとは言えない(総合分析 6,8,9)。
一方、応用産業を意識した研究開発として、切削対象を自動車部品に限定した特許出願数
が多く、助成金の課題変遷では自動車分野にて 2013~14 年度は精密化等を狙った課題が提
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出されている。また助成金の課題変遷においては、航空機加工における5軸加工方法が 2013
~14 年度と多数課題が提出されているが、出願数は多くない。助成金課題の持続性から見
ても中国政府が主導する注力応用産業は絞られつつあると思われ、それに付随する工作機械
の研究開発分野は、遅かれ早かれ追従するものと思われる(総合分析 2、5)。
このような状況から、航空機部品や自動車部品を加工する工作機械の需要は今後も活発化
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していくものと思われ、さらに高度化が進む場合には、高精度/高難易度な加工が求められ
る。これらの加工を行うためには、先端的なハードとしての「融合技術」、さらにはソフト
として「知能化」された制御システムを欠かすことは出来ない。
我が国のメーカはこの航空機/自動車関連分野、特に先端分野である「融合技術」と「知
能化」された制御システムの研究開発を強力に持続させ強い優位性を保つようにすべきであ
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る。
その上で、自動車分野に航空機分野といった、規模や特性も異なる応用産業の市場に対し、
その成長の程度に応じて先んじた特許権/実用新案権など広く産業財産権を確保した輸出
売買を行うべきである。ノウハウ保護や技術流出の防止等の観点からも、その売買・出願を
行う技術の選出やタイミング等の戦略を、長期的に考えていく必要がある。
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提言 2
要
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「産官学の連携による、先端技術の迅速な製品化とそれに伴う市場戦略の強化」
中国においては、発明を創出し出願することがここ数年で広く定着し、工作機械分野、ま
たその中のターニングセンタ及びマシニングセンタ分野においても、出願数は増加傾向 にあ
る。しかしながら、年間に 10 件以上まとまった出願を行うような大規模な出願人は多くな
い。そのため、研究開発をリードするような明確なプレイヤーはいまだ存在せず、また個々
の技術レベルが高くとも、組織的な開発戦略が脅威とはなっていない。
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日本としては先端的な研究に対して技術的なリードがあるという認識に大きな変化はな
いが、中国内の個々の動きが組織的に動き出すと、一気にキャッチアップしてくる可能性は
高い。(総合分析 2,3,8,9,10)
従って、中国市場における将来的な日本の優位性を確保するため、
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1)研究レベルの先端技術を世界に先駆けて実装していく組織的、戦略的な取り組み、製
品化の更なるスピードアップが必要である。
2)中国における標準化/規格化においては、日中の意思疎通を密にすることにより、日
中の関係にとって最適となる協力体制を構築することが必要である。
工作機械を含む IoT や知能化技術に関して、日本においてもロボット新戦略を基にした組
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織体であるロボット革命イニシアティブ協議会が設立されている。産官学連携の取り組みに
対して積極的に参画することにより、先端技術の研究開発に対する推進力とし、また中国だ
けではなく国際的な製品化や規格化に向けて一歩前へ進みだすための推進力とすることも
重要である。
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提言 3
「中国での知財リスクの認識と対策」
中国の工作機械分野における侵害訴訟の現状としては、絶対数こそ少ないものの、中国籍
の原告による訴訟が全てであり、また実用新案権を用いた訴訟の件数が特許よりも多い。ま
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た中国の他の産業では侵害訴訟件数が増加しており、実用新案権の利用も含めて、訴訟経験
が蓄積されている(総合分析 4)。
実用新案登録の取得・活用時のメリットは、実体的審査が無く登録になる点、権利活用が行
いやすい点(権利行使の際の技術評価書の提示規定がない等)、無効審判時に特許よりも無効
とすることが難しい点(無効資料の組合わせ要件)がある。
本
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上記を踏まえた上で中国全体の侵害訴訟の動向を鑑みるに、ターニングセンタ及びマシニ
ングセンタに関する技術開発が成熟して権利活用に耐えうる知財権を中国籍事業体が取得し
た場合、中国籍の原告から中国進出企業への侵害訴訟の提訴数は増加するものと思われる。
そのため、中国進出時には、上記訴訟リスクについて認識して下記対応を取る必要がある。
1)訴訟を起こされないがための中国の有効知財権の調査/把握
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2)訴訟時の情報(金額・手続き・勝率等)の把握
3)トレードオフ(クロスライセンス)のための特許出願
どれも、費用対効果の観点すら検討されていない可能性もあると思われ、実行できている
日本企業は少ないものと思われる。どれも、一朝一夕で可能ではない。
そのため、日本の工作機械業界として、全体でリスク分散を図るための協力体制を整える
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ことも、ひとつの選択肢である。
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