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ILC検出器(仮称) - 信州大学 高エネルギー物理学研究室(HE研)

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ILC検出器(仮称) - 信州大学 高エネルギー物理学研究室(HE研)
1
■ 研究紹介
ILC 検出器 (仮称)
東北大学理学研究科物理学専攻
石川 明正
[email protected]
信州大学理学部物理学科
小寺 克茂
[email protected]
九州大学理学研究院物理学部門
末 原 大 幹, 吉 岡 瑞 樹
[email protected], [email protected]
ブリュッセル自由大学
与那嶺 亮
[email protected]
2011 年 (平成 23 年) 10 月 1 日
1
1
はじめに
2
国際リニアコライダー計画 (International Linear Col-
3
lider: ILC) の検出器詳細設計書 (Detailed Baseline Doc-
6
ument: DBD) が加速器の技術設計書とともに 2012 年
末に完成し,2013 年 6 月に公開された [1]。ILC の物理
については前号の高エネルギーニュースに研究紹介記事
7
が掲載されているので [2],本稿では ILC の検出器につ
4
5
8
9
いて解説する。2004 年にリニアコライダー加速器の基本
25
ILC における検出器は,加速器の性能を最大限に発揮
26
するために従来の電子・陽電子コライダーで用いられて
27
いた検出器性能を大きく凌ぐ必要がある:
28
29
30
31
32
技術が超伝導加速空洞に決定されてから,ILC 計画は急
10
速に進展してきた。当時,検出器コンセプトは 4 つあり,33
11
2006 年には検出器骨子書,2007 年には検出器コンセプ
12
ト報告書が各検出器コンセプト検討チームにより作成さ
13
れた。各検出器グループともに次のステップは先に述べ
14
た DBD の作成であったが,ILC 計画は実験の数が 2 つ
15
に限られていたため,検出器コンセプトを 2 つに絞る必
16
要があった。そこで,各検出器グループから Letter of
18
Intent(LOI) が国際検出器諮問グループ (International
Detector Advisary Group: IDAG) に提出され,2009 年
19
に 2 つの検出器コンセプトが IDAG による「認証」1 を
17
34
優れた Impact Parameter 分解能:
σ ≤ 5 ⊕ 10/pβ sin3/2 θ (µm)
• ヒッグス反跳質量測定のための荷電粒子に対する高
い運動量分解能:σ/p2t ≤ 5 × 10−5 (GeV/c)−1
ILD,SiD ともに上記性能を満たすために先進的なテク
36
ノロジーの高精細センサーを搭載した検出器となってい
37
る。日本グループは主に ILD 検出器コンセプトに関す
38
る開発研究を行っているので,以下では ILD 検出器に
39
ついての詳細を述べる。ILD 検出器は直径ほにゃらら
40
m の円筒形の汎用検出器になっている。図 1 に ILD 検
41
出器の完成イメージ図を示す。ILD 検出器の主要 3 検
42
出器は,崩壊点検出器として高精細かつ低物質量のピク
43
セル検出器,飛跡検出器として高分解能かつ低物質量の
受けた。現在は ILD[],SiD という 2 つの検出器コンセ
21
プトが提案されており,push-pull 方式で一つの衝突点
22
を共有する予定である。なお,ILD の LOI は当時アジ
23
ア主導の GLD と欧州主導の LDC が統合して執筆した。
24
SiD は一貫して北米主導のもとで検討を行っている。
44
45
”validation”,と言われていた。
• ジェットのフレーバーを高い効率で同定するための
35
20
1 当時,
• W と Z の不変質量を分離できるだけの高いジェッ
√
トエネルギー分解能:σ/Ejet ≤ 30%/ Ejet
Time Projection Chamber (TPC),高精細センサーを
備えたサンプリングカロリメータが検討されている。事
46
象再構成にはこれらの高精細検出器を最大限に活かす
47
ため,Particle Flow Algorithm (PFA)[4] と呼ばれる手
48
法を用いる。これは,ジェット中の各粒子のエネルギー
2
2
64
2.1
66
67
ることである。b ハドロン,c ハドロンはそれぞれ 1.5ps,
68
0.4ps 程度の寿命を持つため,生成点 (一次崩壊点) から
69
数百 µm から数 mm 飛んだ後に崩壊する。また,崩壊
70
は b → c → s のように起こるため,b クォークジェット
71
は一次崩壊点,二次崩壊点 (b → c),三次崩壊点 (c → s)
72
の 3 つの崩壊点を持ち,c クォークジェットは 2 つの崩
73
壊点,u,d,s クォークジェットとグルーオンジェットは 1
74
つの崩壊点しか持たない。つまり,ジェット中の荷電粒
75
子の飛跡を精密に測定・外挿し,一次・二次・三次崩壊
76
点を検出できればクォーク識別が可能となる。特筆すべ
77
きは c クォーク識別はクリーンな環境のレプトンコライ
78
ダーでのみ可能であり,c クォークの湯川結合の測定を
79
可能にする。
80
クォーク識別をするために ILC 崩壊点検出器に要求
81
1 位置分解能が 3µm 以下,⃝
2 多重
される主な性能は⃝
82
クーロン散乱を抑えるために 1 レイヤーあたりの物質
83
3 最内層の半径が 1.6cm,⃝
4 占有
量が 0.15X0 以下,⃝
84
率が数%以下である。他の実験と比較し厳しい要求で
85
あるが,ILC 崩壊点検出器の放射線環境は 1kGy/year,
86
1011 1eV neq /cm2 /year とハドロンコライダーと比較し
87
クリーンであるため,放射線耐性や占有率をそれほど気
88
にせずに検出器の分解能を上げることを開発項目にで
89
きる。
90
崩壊点検出器の構造を図 3 に示す。一見 3 レイヤーの
91
ように見えるが,2 レイヤーを一組としたダブレットが
図 2: (color online) モンテカルロシミュレーションによ
92
るイベントディスプレイ。
93
49
を,荷電粒子は飛跡検出器で,中性粒子はカロリメータ
50
で「重複なく」測定するという方法であり,これにより
51
ジェットエネルギーの大幅な向上が期待される。図 2 に
52
モンテカルロシミュレーションによるイベントディスプ
53
レイを示す。荷電粒子は PFA によりカロリメータ中の
54
シャワーと飛跡検出器のトラックが対応づけられ (図中
55
の各色に対応),この場合はトラックの曲率からエネル
56
ギーが測定される。トラックが対応しないシャワーのエ
57
ネルギーはカロリメータで測定される。PFA において重
58
要なことはジェット中の各粒子の同定・分離であり,こ
59
のために 3 次元的に高精細な検出器が必須となる。以下
60
の各節では崩壊点検出器,飛跡検出器,カロリメータの
61
主要 3 検出器の詳細について,日本グループの活動を交
62
えて述べる。
崩壊点検出器の概要
ILC 崩壊点検出器の主な目的は b クォーク,c クォーク
を識別し,軽い u,d,s クォークとグルーオンから分離す
65
図 1: ILD 検出器の完成イメージ図。
崩壊点検出器
63
94
3 層あるため,計 6 レイヤーからなる。最内層の半径は
1.6cm であり | cos θ| < 0.96 をカバーし,最外層の半径
は 6.0cm であり | cos θ| < 0.90 をカバーする。
図 3: 崩壊点検出器の構造。
3
95
96
2.2
崩壊点検出器のセンサーテクノロジー
されており,一つの読み出しチャンネルで 20000(横) ×
142
128(縦) ピクセルを読み出す。トレイン中に得たヒット
143
情報をトレイン間にバケツリレーのように電荷を転送
144
していく事により読み出す。そのため高速な ADC が必
145
要となる。電荷の転送はピクセル内のポテンシャル井
146
戸を電圧をかけて制御し行う。放射線により 0.17eV と
147
0.42eV にトラップレベルが発生し電荷転送効率が悪化
148
することがわかっているため,-40 ℃まで冷やし電荷転
上記の要求を満たすべくピクセル崩壊点検出器の開
97
発が世界中で行われている。代表的なものはフランス
98
の MIMOSA/AROM (CMOS センサー),ドイツが主
99
の DEPleted Field Effect Transistor (DEPFET),アメ
100
リカの Chronopixel (CMOS センサー),そして日本の
101
Fine Pixel CCD (FPCCD) である。すべてのテクノロ
102
ジーでセンサーと読み出しが一つのチップに統合され
103
たモノリシック型を採用しているため,ハイブリッド型
104
141
149
送効率の悪化を防ぐ。低物質量のクライオスタットは重
150
要な開発項目である。また,センサーの厚みは 50µm と
151
薄いため,低物質量で安定な支持構造の開発も行わなく
と比較し物質量を抑えることが可能で,1layer の厚さは
106
50µm 程度である。
152
ILC は 1312(または 2625) の電子(もしくは陽電子)
107
バンチが 1ms のトレインを形成し,トレインが 5Hz で
108
衝突するビーム構造である。トレイン間の 199ms はビー
109
ム衝突が起こらない。このようなビーム構造で占有率を
110
十分小さい値に抑えるために 2 つの読み出し方法が考え
111
だされた。1 つ目は比較的大きなピクセルを用いるが,
105
112
ビーム衝突の 1ms の間に 10 回から 100 回程度データを
113
読み出し占有率を下げる方法で,MIMOSA/AROM や
114
DEPFET が採用している。2 つ目は非常に小さなピクセ
115
ルを用い,ビーム衝突中はヒットを格納しビームが衝突
116
しない 199ms にデータを転送する方法で,Chronopixel
117
や FPCCD が採用している。前者はトレイン間に読み
118
出し回路の電源をオフにする power pulsing を用い消費
図 4: FPCCD 小型プロトタイプチップ。
119
電力を下げることが可能であり,後者は高 γ ファクター 153
120
の電子・陽電子ビーム起因の EMI ノイズが読み出し中
121
に乗らないという長所がある。
154
155
124
MIMOSA/AROM は Brookheaven の STAR 実験及
156
び CERN の ALICE 実験,DEPFET は KEK の Belle
157
II 実験に採用され,また CCD は CERN の NA32 実験
125
や SLAC の SLD 実験 [5] で活躍した。
122
123
126
127
128
129
130
131
2.3
Fine Pixel CCD (FPCCD)
約 109 と膨大である。有感層の厚さは 15µm で全空乏
133
化されており電荷の拡散を防ぐ。前述の SLD 実験に用
134
いられた CCD は 20µm 角であるので,ピクセルサイズ
135
は 16 倍も高精細である。現在までに 6µm 角の FPCCD
136
が開発されており,8µm まで動作確認をしている。図
1 データ読み出し
読み出し ASIC に要求される性能は⃝
1 ノイズレベル 30 電子以下,
速度が 10M pixel/s 以上,⃝
159
用いた。ノイズを抑えるためにローパスフィルターと相
160
関二重サンプリング回路を実装した。現在までに 3 回
161
のチップ試作を行なっており,三次試作は TSMC 社の
162
0.25µm プロセスを用いてすべての問題点をクリアした。
2.5
研究体制
FPCCD は KEK,JAXA,信州大学,東北大学が開
165
発を行なっている。日本の研究機関しか参加していない
166
が,メンバーにはインド人,スペイン人,ドイツ人がお
167
り (過去にはベネズエラ人もいた),ILC が国際的であ
168
ることを実感する。今後はビームテストによる電荷の拡
169
散・位置分解能・検出効率の測定,6µm 角 CCD の動作
170
検証,5µm 角 CCD の開発を行ない,ILC 開始に向けて
139
140
載されておらず,CCD の横にのみ読み出し回路が搭載
138
FPCCD 読み出し ASIC
158
4 は小型プロトタイプチップで 4 つの領域にわかれてお
171
り,上から 12, 9.6, 8, 6µm 角のピクセルが搭載されて
いる。CCD であるので pixel ごとに読み出し回路は搭
137
2.4
1 消費電力 6mW/ch である。消費電力を抑えるために
⃝
電荷再配分型の逐次比較 ADC を用い,また読み出し速
度を達成するために 5M pixel/s の ADC を 2 つ並列に
FPCCD は pixel サイズを 5µm 角 (3∼6layer は 10µm
角) と非常に細かくすることで,チャンネル数を増やし
占有率を低く抑え,さらに位置分解能 1µm 以下を達成 163
√
する。シミュレーションによると s = 500GeV での最
164
内層の占有率は 1.2%と十分小さい。総チャンネル数は
132
てはならない。
センサー技術の完成を目指す。
4
飛跡検出器:TPC
172
3
173
3.1
(b)
(c)
(d)
ILD-TPC
174
前述のように,PFA の性能を最大化することが ILD
175
飛跡検出器の設計理念である。すなわち,3.5 T の高磁場
176
中で,荷電粒子を高い精度で運動量測定し,かつ 100%に
177
近い効率で飛跡再構成を行うことである。これらの目標
178
達成に対し ILD では,ガスを用いたタイムプロジェク
179
ションチェンバ (以下,TPC[6]) を採用する。
180
(a)
荷電粒子が TPC 内を通過すると,飛跡に沿って TPC
181
中のガスがイオン化され,そのときにできる電子 (以下,
182
信号電子) を読み出すことによって飛跡の位置を検出す
183
る。TPC は,他のガス検出器と比べると,信号電子を
184
長距離ドリフトさせる点が特徴的である (ILD-TPC の
Scienergy 製 GEM 型ゲート全体 (b)・拡大写真 (c)。(d)
185
場合,およそ 2 m !)。信号電子は微量であり,読み出し
はより高い開口率を目指した Fujikura 製 GEM 型ゲー
186
には,高電場をかけたガス中での信号増幅 (以下,ガス
ト拡大写真。
187
増幅) を必要とするのは,他のガス検出器と同様である。
188
189
190
191
192
193
194
195
196
197
図 5: ILD-TPC 用に試作されたワイヤーゲート (a) と
TPC 端部では,ガス増幅の後,読み出し電極から信号 216
電子の二次元位置情報,ドリフト時間,電荷量を読み出 217
し,最終的に飛跡を三次元的に再構成する。TPC の主 218
を用いると,ローレンツ力の影響を小さく抑えることが
な利点は以下の通り:
219
質量 · 不感領域を減らすことができる。MPGD の中で
220
も,ILD-TPC では,GEM や Micromegas に 1×6 mm2
1. バレル部にフロントエンド読み出し回路 (以下,FE
221
回路) が不要で,物質量を大幅に低減できる。
2. 1 飛跡当たりの測定点が大きい (200 点以上)。堅牢 222
な飛跡再構成と dEdx 測定による粒子識別を実現。223
3. 信号収集のために TPC 内かける電場 (以下,ドリ
フト電場) と,運動量測定のための磁場がほぼ平行。224
一方で,微細構造をもったガス増幅機構 (MPGD)[7, 8]
できるうえ,頑丈なサポートフレームが不要になり,物
程度の読み出し電極を組み合わせる方法が有力である。
アップグレードを見据えたピクセル読み出しの研究開発
も行われている。
ゲート機構
198
ドリフト中の信号電子の拡散が抑えられ,長距離ド
リフトさせても高い位置分解能 (100 µm 以下) が達
225
199
先に述べたイオン FB を防ぐために,電場を変化させ
成可能。これにより,ILD 全体として運動量分解能
226
200
て電子やイオンの通過,遮蔽をコントロールする仕組み
σ(1/pt ) =2×10−5 GeV−1 を実現させる。
227
201
をゲートと呼ぶ。すでにワイヤーを用いたゲート機構が
228
確立されているが,ワイヤーを張るための頑丈なフレー
202
一方で,長距離ドリフトさせると,電場や磁場の歪み 229
ムが必要であり不感領域が大きい。そのため,GEM の
203
の影響を受けやすいというデメリットもある。たとえば 230
構造をもったゲート機構に強く期待が寄せられている。
204
電場の歪みは,TPC の構造的な精度だけでなく,イオ 231
この GEM 型ゲートの開発においては,信号電子の透過
205
ンフィードバック (以下,イオン FB) による効果も無視 232
効率を最大化することが鍵となる。図 5 は,ILD-TPC 用
206
できない。イオン FB は,ガス増幅過程で生じるイオン 233
に試作されたワイヤーゲートと GEM 型ゲートである。
207
が,ドリフト領域に逆流していく現象である。この逆流
208
したイオン群がドリフト電場を乱すのである。
234
ILD-TPC を支える基盤技術
209
3.2
210
MPGD
235
236
237
パワーパルシング
FE 回路が実装される TPC 端板 (エンドプレート) の
物質量低減という観点から,FE 回路のコンパクト化も
重要である。それに伴い,高密度化する熱源からうまく
熱を取り除く工夫が必要である。その対策の一つとして,
211
ワイヤーによるガス増幅機構 (MWPC) は,これまで 238
212
の素粒子実験において優れた実績をもつ。しかしながら,239
FE 回路の消費電力そのものを減らすパワーパルシング
が検討されている。ILC のビームバンチ構造に最適化し
214
ILD-TPC においては,3.5 T 磁場によるローレンツ力 240
が信号電子群を広げる方向に働いてしまうため,位置分 241
215
解能,飛跡分離能を致命的に悪化させてしまう。
213
た電力管理の仕組みである。
5
図 7: 両脇のフレームがない GEM モジュール (左) と境
図 6: LP-TPC の内部 (左)。奥に7つのダミーモジュー
界の電場の歪みを調べるためのテストベンチ (右)
ルが見える。側面にはドリフト電場を形成するストリッ
プがならんでいる。実際のビームテストのイベントディ 273
冷却システムを活かし,実機に即した試験ボードの作成,
スプレイ (右)
試験を行っている。
274
276
今回はハードウェア開発を中心に紹介してきたが,
TPC 内部の磁場マップをつかい,不均一磁場中でも飛
277
跡再構成性能を維持するアルゴリズムなど,ソフトウェ
278
アの面でも重要な活躍をしている。
275
これまでの活動
242
3.3
243
LCTPC コラボレーション
244
245
大型試験機 (以下,LP-TPC) の制作と,ビーム試験
施設 (DESY) の整備が国際協力のもとで進められた [9]。
248
LP-TPC の制作を通して,実機建設に向けた技術の問 279
題点を洗い出すこと,実機に即した測定環境を構築する
280
ことが目的である。読み出し検出器 (MPGD+読み出し
249
電極) は一式のモジュールとなっており,LP-TPC では,
250
様々な試験モジュールに組み替えることができる (図 6)。
251
隣り合うモジュール境界に生じる電場の歪みなど,より
246
247
252
実機に即した性能評価が可能である。
253
モジュールに関しては,日本を含むアジアグループ, ド
254
イツの DESY グループや Bonn 大学,フランスの Saclay
255
グループなどがそれぞれ異なる試験モジュールを制作
256
し,性能評価を行っている。他にも,均一なドリフト電
257
場と軽量性が求められるフィールドケージは DESY グ
258
ループ, 軽量かつ高剛性のエンドプレートはアメリカの
259
260
261
262
これまで,MPGD 読み出し TPC の位置分解能公式
263
の開発,TPC 性能のガス組成依存性の基礎的研究, イ
264
オンフィードバックによる位置分解能への寄与の見積も
265
り, GEM 型ゲートに関するシミュレーションとハード
266
ウェア開発など,ILD-TPC 開発を支える基礎研究の中
267
心的役割を果たしている [10]。
268
日本を主体とするアジアグループが推進する検出器モ
269
ジュールのコンセプトは,隣合うモジュールの境界に生
270
じる不感領域の最小化である (図 7)。
271
272
パワーパルシングや冷却構造の検討としてシミュレー
ションを進めているほか,KEK 測定器開発室の 2 相 CO2
ILC カロリメータ
カロリメータは,中性粒子およびジェットのエネルギー
281
を主に測定するための測定器である。ILC のカロリメー
282
タは,前述の PFA の効率を最大化するよう設計されて
283
いる。PFA において,ジェットエネルギー分解能は,カ
284
ロリメータ自身のエネルギー分解能に加え PFA による
285
ジェット中の粒子分離能に左右される (図 8)。粒子分離
286
能を上げるにはカロリメータの細分化が必要であり,そ
287
のため ILD のカロリメータは横方向,縦方向とも微細
288
に分割されている。重い発光物質を使う一様カロリメー
289
タは微細分割が難しいため,我々は吸収体と微細分割さ
290
れた発光体をサンドイッチ構造としたサンプリングカロ
291
リメータを提案している。
Cornell 大学, DAQ・FE 回路はスウェーデンの Lund 大
292
学,CERN,日本が中心となって開発を進めている。
日本グループの活躍
4
カロリメータ (超前方は除く) は主に電磁シャワーのエ
293
ネルギーを測定する ECAL と主にハドロンシャワーの
294
エネルギーを測定する HCAL に分かれる。電磁シャワー
295
の発達は早いため ECAL の厚みは大きくないが密なシャ
296
ワーのためより細かい分割が必要とされる。HCAL は長
297
いハドロン相互作用長のため大きな体積が必要とされる
298
が分割度は ECAL ほど細かくなくてもよい。ECAL に
299
はタングステンの吸収体とシリコンパッドまたはシンチ
300
レータと MPPC を用いたセンサー部を 30 レイヤー重ね
301
たものが基本デザインとなっている。タングステンの厚
302
みは前 20 レイヤーが 2.1 mm, 後 9 レイヤーが 4.2 mm
303
となっている。最前方レイヤーには吸収体がない。セン
304
サーのデザインについては後で述べる。HCAL は 48 レ
305
イヤの鉄の吸収体 (合計 6 相互作用長) と 1 cm または
306
307
3 cm 角のセンサーより成り,6 相互作用長が確保され
る。センサーとしては,シンチレータと MPPC による
6
Gap
Pixel
ions
Pixel
SiO
2
Metal (Al)
+
P
e-h pair
N substrate
Metal (Al)
図 9: シリコンカロリメータセルの模式図。各セルは P+
半導体にアルミの電極が接続されている。バイアス電圧
は下部の電極より供給される。
336
プトンフィルムで絶縁した電極によって送られる。セン
337
サーのピクセル側は PCB と金属 Glue で接続されてい
図 8: ジェットエネルギー分解能のエネルギー依存性。338
る。PCB には SKIROC という ASIC が搭載されている。
高エネルギーでは PFA の失敗 (confusion term) による 339
341
SKIROC は ILC シリコンカロリメータのためにフラン
スの OMEGA グループで開発されているもので,1 枚
のチップで 64 チャンネルの読み出しを行うことができ
342
る。SKIROC にはプリアンプ・高速シェーパー (トリガ
343
用) および 2 種類のゲインを持つ低速シェーパー,ADC
344
および 15 チャンネルのアナログメモリが含まれている。
345
アナログメモリは ILC のバンチトレイン構造に合わせ,
346
1 トレイン (1 ms, 1712 バンチ) 間に各チップで発生し
310
シリコン ECAL は正方形のセルを並べたシリコンパッ 347
たトリガとそれに対する各セルの ADC 値を 15 イベン
311
ドを敷き詰めたものをセンサーレイヤとするカロリメー 348
トまで保存し,トレイン間 (199 ms) に読み出しを行う
312
タで,現在パッドの厚みは 500 µm (320 µm に変更され
349
ものである。AD 変換されたデジタルデータは SKIROC
313
る見込み),セルサイズは 5 × 5 mm2 が基本デザインと 350
最大 32 個がシリアル接続されたバスを通してデータを
314
なっている。30 レイヤの ECAL 全体では現在の ILD の 351
読み出し部へ送る。
315
大きさでは約 1 億セルとなる。現設計では 16 × 16 セ
316
ルで 1 枚のパッドとなっている。このような多数のチャ
317
ンネルを持つカロリメータは過去に例がなく,ILC 測定
318
器の最大の特徴となっている。
寄与が大きくなり,低エネルギーではカロリメータ自体 340
のエネルギー分解能の寄与が大きい。
308
309
ものまたはガス RPC によるものが提案されている。
4.1
シリコン ECAL
319
シリコンセルの構造を図 9 に示す。シリコンパッドは
320
n 型半導体のバルク部分と p 型 (p+ 型) のセル部分およ
321
びインシュレータ,メタル電極から成っている。セル部
322
分とメタル電極は多数のピンで接続されている。電極間
323
には 120 V (現在の仕様) の逆バイアス電圧がかけられ,
324
全空乏化状態で運転する。セル間の不感領域は 10 µm
325
とセルサイズの 5 mm に比べ十分小さい。センサーの
326
リークカレントや静電容量の電圧依存性は仕様とよく一
327
致しており均一な性能が得られている。パッドの境界に
328
絶縁のためのガードリングを用いる必要があるかどうか
329
については現在検討を進めている。
330
図 10 はシリコン ECAL のレイヤ構造 (Slab) を示し
331
ている。シリコン ECAL では 1 レイヤのタングステン
332
吸収体と 2 レイヤのセンサー・エレクトロニクスをパッ
333
ケージ化したものを Slab とし,タングステン構造体 (兼
334
吸収体) の間に挟み込んでレイヤ構造を形成する。セン
335
サーに供給する 120 V のバイアス電圧は 100 µm のカ
図 10: シリコンカロリメータのレイヤ構造。
352
このように変換回路がセンサーに直結した構造になっ
353
ているため,ILD カロリメータでは変換回路での発熱・
354
消費電力を抑えるべく,Power Pulsing という運転方法
355
を用いる。これは 1 ms の間に多数のバンチが到来し,
356
その後 199 ms の空白区間があるという ILC のバンチ
7
357
構造を利用し,空白区間のうち読み出しに必要な時間を
358
除いた部分では回路の電源を落とす仕組みである (セン
359
サーにかけるバイアス電圧は落とさない)。
360
これらの要素を一通り備えたプロトタイプ (techno-
361
logical prototype) が完成し,昨年 7 月に 10 パッド分の
362
センサーおよび回路を用いて DESY にてビームテスト
363
を行った (図 11)。ASIC および PCB,読み出し等にま
364
だいくつか問題を抱えているものの,電子のトラックや
366
MIP 信号を収集することに成功した。power pulsing 運
転も行い,回路にパワーを供給してから 600 µs 以内は
367
ゲインのドリフトがあるもののその後は安定して運転
368
が可能なことがわかった。今後 ASIC や PCB の改良を
369
行った後,より大規模な試験を行う。
365
図 12: 2008 年に Fermilab で行われた陽電子ビームテ
ストによるエネルギー分解能のビームエネルギー依存
性。パッド間のギャップ補正により分解能は向上するが,
ギャップを除いた分解能には及ばない。
図 11: DESY にてビームテストが行われたシリコンカ
ロリメータ technological prototype。
377
シミュレーションによる最適化,シリコンセンサーの
378
基礎特性解析で貢献しており,今後 DAQ や構造の最適
379
化についても研究を進めていく予定である。
380
5
381
382
383
シリコンカロリメータ自体の性能については,2007 年 384
シンチレータ ECAL (ScECAL)
ScECAL では, 45 × 5 mm2 の小さな短冊形プラス
ティックシンチレータを層毎に直行させて配置する。各
シンチレータの発光を現行 2.45 × 1.9 × 0.85 mm3 の
パッケージに封入された 1 × 1 mm 有感面積の PPD で
および 2008 年に 30 レイヤ (フルレイヤ) を用いたビー 385
読み出す。利点は, 1) チャンネル数を ∼ 108 から ∼ 107
ムテストを CERN および Fermilab で行っている。本 386
まで一桁減らすことができる,2) プラスティックシンチ
ビームテストは 1 cm × 1 cm のセルサイズかつ変換・387
レータの柔軟性が,温度変化,移動時の工学耐性に富ん
読み出し回路はレイヤの外にある physics prototype を 388
だ検出器の作成を可能とする,3) 時間分解能が ∼ 1 ns,
用いて行われた。本プロトタイプはパッド間のギャップ 389
が大きい構造だが,ギャップ部分を除いた性能としては,
4) 磁場の影響を受けない,である。図 13 左) に,一枚
のタングステン吸収層を挟んだ2枚の検出層と,右) に
6-45GeV の電子ビームに対して
シンチレータと PPD の一例を示す。
390
(16.53 ± 0.14 ± 0.50)%
√
+ (1.07 ± 0.07 ± 0.10)%,(1)
E[GeV/c]
(誤差の第一項は統計誤差,第二項は系統誤差)
4-20 GeV の陽電子ビームに対して
(16.67 ± 0.30 ± 0.44)%
√
+ (1.75 ± 0.24 ± 0.39)%,(2)
E[GeV/c]
370
371
(preliminary,誤差は (1) 式と同様)
のエネルギー分解能が得られた。
図 13: 左) ScECAL 二層。右) シンチレータと PPD。
391
374
ILD の た め の シ リ コ ン ECAL の 開 発 は フ ラ
ン ス の LLR
(Laboratoire
Leprince-Ringuet),
LAL(Laboratoire de l’accelerateur lineaire),九 州 392
375
大学,東京大学を中心としたグループによって進めら
376
れている。日本グループは特にビームテストの解析や
372
373
6
基本性能
393
この ScECAL 180 × 180 mm2 , 30 層のプロトタイ
394
プを作成し,2008 年と 2009 年に Fermilab で 2 GeV
8
395
396
397
398
399
400
- 32 GeV の 電子ビームに対する性能試験を行った。429
この実験で検証された ScECAL のエネルギー分解能 430
√
は,統計項が (12.8±0.1(stat.)±0.4(syst.))/ E(GeV),431
定数項が (1.0 ± 0.1(stat.)+0.5
−1.0 (syst.) )% であり,期待 432
通りの性能を示した。また,直線フィットからの最大の
に設置された 144 の短冊型シンチレータである。シンチ
レータは各が反射フィルムで覆われており,それによっ
て適度な光量と光量の位置一様性,光クロストークの抑
制を保持している。
ずれは 1.6 ± 0.7%である。
401
ScECAL の特徴は,短冊形シンチレータを用いてその
402
幅相当の正方分割度を引き出すことであり,strip split-
404
ting algorithm (SSA) と呼ばれる方法がすでに確率され
ている。
405
この方法を用いた場合の 100 GeV ジェットのエネル
406
ギー分解能を短冊セルの長さの関数として図 14 左に
407
示す。短冊の長さを 60 mm に伸ばしても,ジェットエ
408
ネルギー分解能は良く保たれている。また,図 14 右は
409
5 × 5 mm2 , 45 × 5 mm2 , 15 × 15 mm2 セル ScECAL の,
403
チャンネルをコントロールする。右の写真は基板の裏側
図 15: 4 つの ASIC を搭載した基板と, 左) と,その反対面
に敷き詰められている 144 のシンチレータ, 右).
433
411
412
413
45 GeV - 250 GeV のジェットのエネルギー分解能であ 434
り,SSA を使った場合の 45 × 5 mm2 ScECAL は,同
435
図 16 左はビームテストで得た最小電離損失粒子
じセル面積を持つ 15 × 15 mm2 の場合より明らかに 436
(MIP) に対する反応の ADC カウント分布である。閾
値 0.5 MIP 直上の 4 光電子ピークから見え,最大頻度
437
にあるのは 7- 8 光電子ピークである。図 16 右は 3 GeV
438
の電子ビームに対する SSA による 5 × 5 mm2 細分割の
よく,5 × 5 mm2 ScECAL からの劣化はわずか 0.2% で
5
45×5 w/o SSA
15×15
45×5 w/ oSSA
alt10 w/ oSSA
Sc 5×5
Si 5×5
4
4.5
4
RMS90/E
RMS90/E
様子を見せている。
(%)
(%)
ある。さらに,一層毎に短冊層を 10 × 10 mm2 の正
3.5
Entries
410
800
3
ScECAL w/o SSA
2.5
2
600
3
ScECAL w/ SSA
1200
1000
3.5
400
0
20
40
60
Length of strip
80
100
(mm)
0
50 100 150 200 250 300
Energy of One Jet du(GeV)
200
0
300
図 14: SSA を使った場合と使っていない場合のジェットエネ
416
5 × 5 mm2 ScECAL の場合とほとんど遜色がなくなる
417
(legend alt10 w/ SSA)。
6.1
ILD への実装
419
この技術を ILD に実装するために,ScECAL でもセ
420
ンサーの読み出しからデジタル化までの機能を一ボード
421
におさめ,層間に埋め込む設計を採用する。2013 年に
700
800
900
439
440
441
418
600
図 16: MIP シグナル 左) は 4 p.e. ピークから立ち上がり,
最確値付近には 7 - 8 p.e. ピークが見えている。右は 3 GeV
電子ビームによる 5 × 5 mm2 分割されたエネルギー分布.
414
方セルに置き換えた場合,ジェットエネルギー分解能は
500
ADC counts
ルギー分解能のシンチレータ長さ依存性, 左) と,各種シンチ
レータ形状による 45 - 250 GeV ジェットのエネルギー分解能,
右).
415
400
6.2
ScECAL 今後の展望
現在のデザインでは PPD はレイヤーに垂直配置され,
442
幅 ∼ 0.9 mm 死空間を 45 mm 毎につくる。これを抑え
443
るために,PPD をシンチレータの下面に装着するデザ
444
インを最近考案し,実験室内ではその効果を確認した。
445
また,クラスターのモリエール半径を抑え,ECAL の
446
厚みも抑えるために,シンチレータの厚みを 1 mm に減
447
らす研究も行っている。
422
はこのために開発した基板2層のプロトタイプについて
423
ビームテストを行った。図 15 左) は一層の基板と,基板
424
をコントロールするインターフェース群の写真である。
425
基板には4個の ASIC (SPIROC2, Omega) が搭載され,
426
それぞれの ASIC は 36 チャンネルからの信号を増幅
427
し,ディジタル化して,インターフェースに送り出す。
428
したがって,この一枚の基板,180 × 180 mm2 , は 144
450
2012 年,浜松ホトニクス株式会社は 1 × 1 mm2 に
10,000 ピクセルを持つ PPD を開発した。ILC の重心
エネルギー 500 GeV における Bhaba 散乱の考察によ
451
り,1チャンネルの最大光子数を 15,000 - 20,000 光電
448
449
452
子と見積もっているので,10,000 ピクセルはゴールに
453
かなり近づいた物である。このような高エネルギー電磁
9
454
クラスターが物理的に重要な事象に影響する可能性は小
455
さいが,1 TeV へのアップグレードも視野に入れ,浜松
456
ホトニクスにはさらなるピクセル数を求めている。
457
7
ILD のハドロンカロリメータ
458
ILD-HCAL では 1 m の HCAL 厚に対して,48 層
459
分割,各層に 20 mm の鉄吸収層を使う。鉄は他の重金
460
属よりもハドロン相互作用長と放射長との比が小さく,
462
(λ1 /X0 = 9.5) ハドロンシャワー中で電磁相互作用する
成分の観測も適度に可能とする。
463
センサー層には二つのコンセプトがある。一つは ScE-
464
CAL と同様,プラスティックシンチレータを PPD で読
465
み出す。ただしシンチレータの形状は 30 × 30 × 3 mm3
466
タイルである。一方,分割度を 10 × 10 mm2 まで小さ
467
くし,この粒度のバイナリー情報からハドロンシャワー
468
の再構築するというディジタルハドロンカロリメータ
469
(DHCAL) のコンセプトがある。しかし,30 - 40 GeV 以
461
図 17: AHCAL プロトタイプの応答直線性 (左) と,エネル
ギー分解能 (右). global SC ではクラスター全体のするエネ
ルギー分布を使い,local SC ではセル毎のエネルギー密度に
よりソフトウェア-補償を行った結果。
498
である。この技術には検出器が微細分割されていること
499
が重要であり,PFA のみならず,単粒子に対する性能
500
にとっても微細分割が大切となっている例である。
501
AHCAL と ScECAL の読み出し技術はほとんど共通
502
しており,2014 年の秋には,技術プロトタイプの共同
503
テストビーム実験を予定している。
504
参考文献
470
上の粒子エネルギーになると粒子数の飽和が避けられな
471
いため,ILD ではそのエネルギーサイズを 3 段階 (2 ビッ
472
ト) まで弁別する HCAL の研究をしている。この関係で
473
前者をアナログハドロンカロリメータ (AHCAL) 後者を
474
セミデジタルハドロンカロリメータ (SDHCAL) と呼ぶ。
475
また,ScECAL グループは 90 × 10 mm 2 のシンチレー 505
[1] どこにあるの?
476
タ HCAL に SSA を用いると, 30 × 30 mm AHCAL
で確立された技術をそのまま適用して 10 × 10 mm2 分
[2] たなべっち
477
478
割の Strip AHCAL を作ることができることに注目し,507
479
AHCAL のオプションとしてその開発研究を行ってい
480
る。ここでは AHCAL の開発状況を報告する。
2
506
508
[4] まーくとむそん
509
[5] K. Abe et al., Nucl. Instrum. Meth. A400, 287
510
481
7.1
AHCAL
511
482
AHCAL グループは 1 × 1 m2 × 38 層のプロトタイ
483
プを作成し,CERN と Fermilab でその基本性能を実証
484
した。図 17 左はプロトタイプの応答直線性を,右は π ± 513
485
に対するエネルギー分解能を示している。ハドロニック 514
486
シャワーのエネルギー分解能を高めることの難しさは,
487
その中でハドロン反応と電磁相互作用が同時におこり,
488
それらの反応で検出層に落とすエネルギー比に違いが 516
489
あり,さらにはその混合比の変動がイベント毎に揺らぐ
490
事から来る。AHCAL では電磁相互作用の場合にエネル
491
ギー密度が高くなることを利用して,セル毎にハドロン
492
反応らしさと電磁相互作用らしさを決めるか (LC),も
493
しくはクラスター全体のセルエネルギーの分布により
494
(GC) 電磁相互作用率を決めて校正を行い,単純にエネ
495
ルギー和を取った場合に比べて,20% ほど良いエネル
512
515
496
497
ギー分解能を得ている。図 17 右に見られるように,その
√
場合のエネルギー分解能の統計項は 45% Ebeam (GeV)
[3] ILD ほーむぺーじ
517
518
(1997).
[6] CERN
COURIER,
http://cerncourier.com/cws/article/cern/29014
[7] RD51
Collaboration,http://rd51public.web.cern.ch/rd51-public/
[8] http://www.kek.jp/en/Research/AAT/DTP/MPGD/
[9] LCTPC collaboration,http://www.lctpc.org
[10] ILC
TPC
R&D
at
Asia,http://www-
hep.phys.saga-u.ac.jp/ILC-TPC/
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