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UTP−1アナログオーディオケーブルの特長

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UTP−1アナログオーディオケーブルの特長
UTP−1アナログオーディオケーブルの特長
2008年4月
AVケーブルテクノロジーズ
Mail ID; [email protected]
UHL; http://homepage2.nifty.com/NEGY/
注意事項
UTP−1にはシールドが施してありませんので、電源コードと長く並走する等、ノイズ環
境が劣悪とならない様、ご注意下さい。又、自作オーディオ機器等でEMI対策が充分でな
い、特に導電ノイズを発している場合にはノイズキャンセルが出来ませんので、使用できな
い場合が有ります。
1、UTP−1の設計思想
UTPケーブル(Unshielded Twisted Pair Cable)と言うと、伝送方式は違いますが、
Cat.5, Cat.6 と言ったイーサネットLANケーブルが有名です。これらのケーブルは4対で
1ギガビットイーサネットまでの伝送が出来ます。即ち、1対当たり250MHzまでの伝
送が出来る訳です。対型ケーブルは優れものであることの証明であると思います。
私は1989年7月号のラジオ技術誌で、オーディオケーブルにはバランス型のシールド
付対型ケーブルの方が、従来主流であった同軸ケーブルより減衰量を小さく出来るので好ま
しいと提案し、製品化も行って来ました。
UTP−1ではこのシールドも取り去り更に身軽としました。UTP−1ではLANケー
ブル同様に対撚ピッチを細かくし磁界打消し効果を最大限に生かして、他からノイズが入り
込むのを防ぐ手法を採用しました。この手法を更に推し進め、多孔質PTFEの採用で絶縁
厚を極力薄くすることで、対のループを小さくし、磁界が入り込む量を更に少なくしました。
絶縁厚を薄くした場合の欠点は、導体間の静電容量が上昇し、減衰量が増加します。これを
防ぐ為に、現在入手できる材料で最も比誘電率の低い=空気に近い、多孔質PTFEのテー
プ巻き絶縁を採用しました。この採用で外径約6mmと細径ながら高解像度のアナログオー
ディオケーブルが出来ました。
シールドを取り去ったことでノイズが入り込むと心配をされる方もいらっしゃると思いま
す。HPの「シールド効果」の項に詳細を記してありますが、元々、音声帯域のシールド効
果はどの様なシールドを施しても余り期待できるものではありません。それよりLANケー
ブルと同様に上記した対撚の磁界打消し効果を有効活用するのが得策です。
シールドはその処理の仕方を誤ると、ノイズを受け取るアンテナとなる場合もあります。
平衡ケーブルを不平衡で使用する場合(詳細は「シールド効果」の項参照)がこれに当たり
ます。その意味ではシールドが無い事はシールドが原因のノイズは発生しないといえます。
2、特長
① 解像度に適したPCOCCⓇ―Aを導体に採用;
PCOCCⓇは単結晶状銅線であるので綺麗な銅線表面が得られます。これをアニールし
て軟銅線としたPCOCCⓇ−Aを採用しました。PCOCCⓇ−Aは高解像度を得られると
高い評価を受けている導体です。その理由は、単結晶状のPCOCCⓇをアニールして多結
晶としても結晶粒界が不純物の溜まり場に成っているようなことは無く、高解像度は保持さ
れるからです。(注;PCOCCは古河電気工業(株)の登録商標です。)
②
多孔質PTFEを絶縁体に採用;
上記したように絶縁厚を薄くし、ノイズ軽減を図る目的で、現在電線用に使用できる材料
で最も比誘電率が小さい多孔質PTFEを採用し、絶縁厚を0.25mmときわめて薄くし
ました。静電容量値は約45pF/mと多孔質PTFEの低比誘電率の特長を充分生かす事
が出来ました。この為、UTP−1では導体断面積が0.6mm2にも拘らず、0.75m
m2のシールド付きケーブルと同等の減衰量を得ています。
元来、多孔質PTFEは大型/スーパーコンピューター全盛の頃、CPU周りの高速細線
同軸ケーブルの絶縁体として多用されていました。
③ ケーブルの低域フィルターとしての特性;
下図にUTP−1の回路定数の周波数特性を示します。赤い線がUTP−1の減衰量特性
(低域フィルター特性)です。比較として、2x0.75mm2のシールド付きオーディオ
ケーブルの減衰量特性を示します。UTP−1では減衰量カーブがストレートで歪感の無い
音質が得られます。
「図1」UTP−1アナログオーディオケーブルの電気特性
緑;静電容量(pF/m)、紫;特性インピーダンス(Ω)、茶;導体抵抗(mΩ/m loop)
赤;減衰量(dB/km)、青;インダクタンス(μH/m)、
金;比較;シールド付きバランスケーブル(2x0.75mm2)の減衰量(dB/km)
④
制振性ハロゲンフリーシース材の採用で環境対応;
制振性ハロゲンフリーシース材を使用することでケーブル全体の制振性とハロゲンフリー
を実現しています。音質的にはPVCに比べハロゲンフリー材料は比誘電率が小さい為に、
低音域の減衰量アップを防いでいます。UTP−1はシールドが無い為にこの特長を大いに
享受しています。
ハロゲンフリー材料の欠点はシース材が擦られると、白く変色(白化現象)することにあ
ります。白化現象は配合物の難燃剤が白い粉であることに由来していますが、柔らかい布等
で白化部分を擦るとほとんど消すことが出来ます。
3.構造表
項
目
導体
材質
構成(本/mm)
仕
様
PCOCC―A
19/0.2
(軟銅線)
(0.6mm2)
外径(mm)
1.00
材質
多孔質PTFEテープ巻き(気孔率約70%)
押え巻き
糊付きPETテープを重ね巻き
識別
PETテープの色による;黄、橙
方法
PE介在2本と右撚り
外径(mm)
3.0
抑え巻
方法
布テープ重ね巻
シース
材質
制振性ハロゲンフリーシース
色
濃緑
標準厚(mm)
1.1
絶縁体
対撚
仕上り外径(mm)
5.9
4.電気的特性
項目
規格
試験方法
導体抵抗(Ω/km)
32.0以下
JIS C 3005 at 20℃
絶縁抵抗(MΩ・km)
1000以上
JIS C 3005 at 20℃
耐電圧(V/1min)
500
JIS C 3005 at 20℃
静電容量(pF/m)
約45
線心間
特性インピーダンス(Ω)
約95
TDR
伝搬遅延時間(ns/m)
約3.95
TDR
at 1kHz
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