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化石資源依存から脱却するための 地熱発電の可能性の研究

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化石資源依存から脱却するための 地熱発電の可能性の研究
平成 20 年度 学士論文
国士舘大学工学部機械情報工学科
化石資源依存から脱却するための
地熱発電の可能性の研究
2009 年 2 月 13 日
指導
17-41510
岸本 健 教授
小林 裕樹
摘要
今日の日本においては電気があることが当り前となった。それに伴い、私達の生
活必需品なども電化製品となって便利で快適な暮らしを出来るようになった。し
かし、その影には地球温暖化・資源枯渇・環境汚染などの地球環境問題が急速に悪
化したという事実がある。日本は戦後急激な経済成長をとげ、工場では大量生産・
国民は大量消費の時代であった。これは、電気においても同じことである。そし
て、暮らしが豊かになることを目指し環境のことには見向きもしなかった。これ
は、日本だけではなく全ての先進国に言えることである。
日本は元々資源が豊富な国ではない。現に日本の化石資源輸入依存度は世界で
もトップクラスであり、エネルギー自給率も極めて低い。全てを輸入に頼ること
で生活を豊かにしてきたのである。しかし、本当に日本には資源がないのかと言
うとそうではない。使おうと努力すれば使えるエネルギーが、そして枯渇の心配
がほとんどないエネルギーがあるのである。それが地熱エネルギーである。
日本の国内には純国産のエネルギーである地熱を使った発電所が 18ヶ所(自家
用 5ヶ所を含む)ある。この発電方式でまかなっている電力は、国内電力需要の 0.2
∼0.3 である。しかし、開発に障害があるからといって逃げてきただけで、実際に
発電に使用できる資源量は現在使用しているものの何倍もあるのである。
今日の原油高を受け、やっと地熱エネルギーが再び注目されてきはじめている。
経済産業省資源エネルギー庁では研究会が、企業では新規建設計画が動き始めた。
本研究ではまず、化石資源の輸入量から調査し、同時に日本で現在使用してい
る発電方式の仕組の解明をする。次に、地熱発電の仕組及び開発状況を調査し、最
後に地熱発電関連を総合して、地熱発電により日本が化石資源依存国を脱却する
ための可能性と地熱発電についての提案を行う。
2
目次
第 1 章 研究目的
1
第2章
2.1
2.2
2.3
2.4
2.5
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19
19
21
21
21
23
23
25
28
29
30
化石資源輸入量
石油 . . . . . . . .
石炭 . . . . . . . .
天然ガス . . . . . .
LPG(液化石油ガス)
ウラニウム . . . .
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第 3 章 日本の発電事情
3.1 発電量の推移 . . . . . . . . . . .
3.2 火力発電 . . . . . . . . . . . . . .
3.2.1 石油火力 . . . . . . . . . .
3.2.2 石炭火力 . . . . . . . . . .
3.2.3 天然ガス火力 . . . . . . .
3.3 原子力発電 . . . . . . . . . . . .
3.3.1 日本での原子力発電の歴史
3.3.2 原子力発電 . . . . . . . .
3.3.3 使用済み核燃料処分問題 .
3.3.4 原子力発電事故 . . . . . .
3.4 水力発電 . . . . . . . . . . . . . .
3.4.1 一般水力 . . . . . . . . . .
3.4.2 陽水式 . . . . . . . . . . .
3.5 地熱発電 . . . . . . . . . . . . . .
3.5.1 地熱発電のこれまで . . .
3.6 新エネルギー . . . . . . . . . . .
3.6.1 風力発電 . . . . . . . . . .
3.6.2 太陽光発電 . . . . . . . .
3.6.3 海洋発電 . . . . . . . . . .
3.6.4 バイオマス . . . . . . . .
3.7 メタンハイドレート . . . . . . .
3
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第 4 章 なぜ地熱発電なのか
32
4.1 発電別二酸化炭素排出量 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 32
4.2 稼働率 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 32
第5章
5.1
5.2
5.3
5.4
5.5
5.6
5.7
第6章
6.1
6.2
6.3
6.4
6.5
地熱発電
衰退における原因 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
自然公園法における障害 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
環境学者 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
タービン及び発電方式の種類 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.4.1 乾燥蒸気利用背圧タービン方式(直接利用) . . . . . . . .
5.4.2 乾燥蒸気利用復水タービン方式(直接利用) . . . . . . . .
5.4.3 ダブルフラッシュ蒸気利用復水タービン方式(混合利用)
5.4.4 熱水分離蒸気利用復水タービン方式(直接利用) . . . . .
5.4.5 バイナリーサイクル方式(関節利用) . . . . . . . . . . .
日本国内の地熱発電所詳細 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
地熱発電のこれから . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.6.1 原子力・火力と地熱の比較 . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.6.2 政府の動き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.6.3 企業の動き . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
地熱発電技術応用発電 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.7.1 高温岩体発電 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
5.7.2 温泉発電 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .
提案
はじめに . . . . . . . . . . . . . . .
法整備の提案 . . . . . . . . . . . .
温泉組合との和解への提案 . . . . .
自然公園内における建設方法の提案
地域型・自家電力としての提案 . .
6.5.1 地域密着型 . . . . . . . . .
6.5.2 自家用 . . . . . . . . . . . .
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第 7 章 まとめ
63
第 8 章 まとめ (改)
64
第 9 章 謝辞
70
9.1 謝辞 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 70
付 録 A あとがき
1
4
第1章
研究目的
現在、資源枯渇問題や地球温暖化問題などが大変深刻な問題となっている。こ
れは、すべてが私達人間が引き起こした問題である。技術や経済が発展していく
につれて、私達の生活はとても暮らしやすいものとなった。しかし、その背景に
は多くの犠牲を伴っている。
現在、日本の発電は火力・水力・原子力をメインにバランスよく組み合わせた
ものとなっている。また、その他の発電も入ってきているが、とてもメインに使
える程のものとはいえない。そして、メインの発電の中に火力が入っていること
で地球温暖化への影響と化石資源枯渇問題の両方をかかえており、発電バランス
を見直す必要がある。
油田を持たない日本において化石資源の確保は今後も高い金銭によって行われ
ることなるだろう。それはすべて国民へと影響が出ることとなる。しかし、原油
の輸入量を減らして発電量を減らすことになれば、今まで快適な暮らしをしてき
た私達にはとてもではないが耐えられるか定かではない。だからといって高い原
油を買いつづけるのも経済を圧迫しかねない。原油の輸入量を控え、なおかつ現
在と変わらない生活ができる。そのためには、化石資源に変わる新しい資源を見
出さなくてはならないのだ。
そこで、現在では発電量のその他という分野にはいっている発電方式の中で今
後成長をさせられるであろう物を考えようというわけである。現在の火力発電の
量を賄えるかどうかを多くの発電方式から比較し、1 番有力なものを見出す。
以上のことをふまえ、本研究では原油に代わる新たなエネルギーを提案するこ
とを目的とする。
1
第2章
2.1
化石資源輸入量
石油
日本国内の油田でも年間86.7万 Kl もの採掘があるにおもかかわらず日本の
原油輸入量は 2005 年度で 422 万バレルとなっており、原油輸入依存度についても
日本は 99.7%と高く、フランスやドイツなどを上回っている。
輸入量は 1990 年代よりは多少の減少傾向にある一方で、地域依存度は高くな
り、サウジアラビア・イランなどの中東地域からの輸入が全輸入量の 90.2%(2005
年度) を占めている。日本が中東地域に輸入依存しているのは今さらのことではな
く、1960 年頃は約 80 %で、1980 年頃に 70%程に下がったがそれでも十分中東か
らの依存は高い。
図 2.1
石油輸入量(2006)
原油の国内における用途別構成は、自動車 36%、化学用原料 19.5%、家庭・業
務 16.5%、鉄鋼業 13.5%、電力 7.4%、農林・水産 2.6%、航空機 1.8%、運輸・船舶
1.8%、都市ガス 0.8%なっている。これからわかるように、自動車の燃料としての
需要が 1 番高く電力で使用している原油は 31.2 万バレルほどになる。(1 バレル=
約 159 リットル)
2
図 2.2
主要国石油依存度
図 2.3
日本の中東依存度
3
2.2
石炭
石炭は原油に次ぐ化石資源である。埋蔵量においては石油より豊富で埋蔵地域
も偏在していない。(確認可採埋蔵量は、世界で約 9,091 億 t(2005 年)。) また、
可採年数は 150 年を越え、石油よりも単位発電量あたりのコストの面で優れてお
り流通価格も比較的安定している。
平成 12 年度の国内の総生産量は 296 万 t と、前年度比 80.3%(368 万 t) で減産と
なっており、炭鉱数もピークであった戦後の 1/50 程度となっている。しかし、石
炭も石油と同じように海外より大量の輸入をしている。量にして約 1 億 5000 万 t
で世界における石炭の輸入シェアも 1960 年頃は 8%だったのに比べ、近年では約
26%となっている。また、輸出国 1 位のオーストラリアが約 1 億 8700 万 t である
ので、オーストラリアで採掘された量の大体を輸入しているといえる。
図 2.4
図 2.5
石炭輸入量と輸入先
石炭輸入量推移
4
2.3
天然ガス
オイルショック後の新たなエネルギー源として注目され液化天然ガスにおいては
約 50%を日本が輸入している。輸入相手国としては、アラスカ、ブルネイ、UAE、
インドネシア、インドネシア、オーストラリア、マレーシアなどに分布している。
図 2.6
天然ガス輸入量(2006)
1999 年の世界の天然ガス生産量は 83 兆 CF(立法フィート) であり、現在のペー
スで行くと可採年数は 62 年となっている。また、埋蔵地域としてはロシアが 1 番
多く全体の 26.6%にあたりイランが 14.9%、カタール 14.3%の順になっている。
国内でも、天然ガスの採掘は行われており 2004 年度のデータでは天然ガス・液
化天然ガス (LNG) を合わせて 12 万 5400TJ、輸入量は 315 万 5800TJ となってお
り、国内生産率は 3.7%にしか及ばない。
また、国内埋蔵量も 1998 年のデータでは 1386dcf となっている。
現在は、都市ガス・火力発電・一般工業用燃料・として用いられているが、将来
的には自動車用の燃料や燃料電池等多くの利用が期待されている。
2.4
LPG(液化石油ガス)
世界の LPG 需要量は約 2.1 億トンで 1975 年から 1996 年の 21 年間で約 2.5 倍の
増加をみせている。また、アジア地域の需要の増大と自動車用燃料の市場 (世界で
1027 万台、1718 万トン) が増大したことなどから今後も世界規模の需要の増加が
想定される。今後の見通しとして 2020 年には供給と需要が 3.1 億トンに達すると
見られている。
5
日本の LPG(液化石油ガス) の需要は、家庭用、自動車等用、など他のエネルギー
への代替が即時には困難な民間需要の割合が高いことが特徴である。2005 年度の
実績では約 18500 千 t(家庭業務用 8077 千 t、工業用 4685 千 t、都市ガス用 1032 千
t、自動車用 1064 千 t、化学原料用 2324 千 t、電力用 464 千 t) が需要としてあり、
今後も需要の増加が見込まれる。LPG の輸入比率は約 77%程となっており、輸入
先は全体の 85%がサウジアラビアを中心とした中東諸国で残りの 15%をオースト
ラリア、インドネシア等の中東以外からの輸入となっている。
図 2.7
2.5
LP ガス輸入国別割合
ウラニウム
唯一天然に産出する核分裂核種として、原子力利用において極めて重要である。
世界のウラ二ウム埋蔵量は約 60 年といわれており、化石資源の中でも長いとは言
いがたい年数である。また、核燃料に使用されているウラン 235 はウラン 238 にと
混ざって採掘されウラン 235 の割合は 0.72%である現在確認されている埋蔵量は 1
位がオーストラリア 2 位がカザフスタン3位がカナダである。しかし、輸出量で
はカナダが 1 位である。
日本における年間の濃縮ウラン生成は、日本原燃(株)六ヶ所濃縮工場で行わ
6
れており 1050 トン SWU となっている。今後 1500 トン SWU 規模まで拡大する計
画である。
図 2.8
ウランの国別埋蔵量
7
第3章
3.1
日本の発電事情
発電量の推移
日本の高度経済成長に伴い、使用電力量も増加した。図 3.1 に日本の発電量(一
般電気事業用)の推移を示す。また、図 3.2 にアメリカ、中国、世界平均の発電別
構成比を示す。
図 3.1
図 3.2
発電量の推移
発電別割合
事項より、発電種類別に詳細を記す。
8
3.2
火力発電
今日の日本の総発電量の 1/3 を占めているのは火力発電である。しかし、今日
の地球温暖化対策である二酸化炭素排出削減の動きに反する発電でもある。また、
化石資源を燃料に使っているので化石資源枯渇問題にも関係する。各方式の発電
量 1kwh の二酸化炭素排出量は石炭が約 260g・石炭が約 200g・天然ガスが約 180g
となっている。
火力発電も他の発電と構造的には大きく変わらず、熱源が違うだけである。熱
源には化石燃料を燃やした燃焼熱を使い、それで蒸気を生成して発電機を回すこ
とになる。
化石資源燃料の価格の推移を図 3.3 に示す。
図 3.3
3.2.1
化石資源燃料の価格推移
石油火力
1970 年代前半には石油が火力発電の大部分を占めていたが、第二次石油危機の
発生を受けて、1979 年 5 月に行われた第 3 回国際エネルギー機関 (IEA) 閣僚理事
会において、
「石炭利用拡大に関する IEA 宣言」の中で石油火力発電の新設禁止が
盛りこまれていたため、現在は石炭や天然ガスなどとの混合発電所の建設しかな
くなった。また、それ以前の石油発電所も石炭及び天然ガスへの転換が促進され
た。これにより、現在では天然ガスや石炭が火力発電の主力になりそれぞれが火
力発電の 40%程度を占めている。その中で石油による発電は約 15%程度となった。
また、近年の原油高によってさらに石炭への依存度は高くなってしまった。
3.2.2
石炭火力
現在の日本の石炭利用発電いくつかの方式がある。
• 超々臨界圧発電
• 加圧流動層燃焼複合発電 (PFBC)
9
• 石炭ガス化複合発電 (IGCC)
• 石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)(開発中)
石炭は日本の 2005 年度の総発電電力量の約 25%(10 年前は 14%) をまかなってお
り、2006 年度の燃料実績によると、石炭火力発電所における石炭の使用は前年比
1.2%増の 5085 万トンとなっている。(よって、2005 年分の燃料実績は 4474.8 万ト
ンとなる。) 経済性や安全面においては他の発電よりも優位であり、現在でも石炭
図 3.4
石炭火力発電の仕組
火力発電が発電燃料首位である国は多い。例えばアメリカやドイツ、中国である。
しかし、問題もある。石炭は石油よりもカロリーが低く (重量 1 kg当りの発熱量
が 6700 k cal で石油の半分である。)、天然ガスよりも熱効率が悪い。また、固形
なので輸送や貯蔵にコストがかかる。
現在の地球温暖化対策である二酸化炭素削減の方針において、単位発熱量当た
りの燃焼に伴う二酸化炭素排出量の多い石炭の消費量の増加は問題視されている
が、埋蔵量が多く供給の安定性と低価格な石炭の利用は不可欠である。しかし、石
炭火力発電における日本の環境対策においてはかなり進んでいると言える。過去
40 年にわたり環境対策技術や効率的な燃焼方法を開発するなど環境負荷を低減す
る努力を行なってきた結果、世界の石炭火力を牽引する存在となった。石炭火力
の煙はきちんとした浄化処理を行ったうえで大気中に放出されており、黒い煙で
はなくほとんど湯気と言っていい状態である。数値的には、J − POWER の磯子
火力発電所(神奈川県)が、排煙から SOx を 99%、NOx を 91%除去している。
また図 3.5 から、熱効率面でも世界的に高いと言える。今後は、日本の環境対策
技術を世界に広めていくことにより各国の化石資源消費量を削減でき、環境への
10
負荷も軽減出来るであろう。
図 3.5
3.2.3
石炭の熱効率
天然ガス火力
天然ガスは現在の総発電量の 25%程を占めている。発電方式としては他の火力
と同じく燃焼熱により蒸気を作りタービンを回す方式である。石油・石炭などに比
べ単位発電量当たりの二酸化炭素の排出が少ない (石炭のおよそ 6 割程度) ことよ
り火力発電でありながら現在でも発電で占める割合が高くなっている。また、火
力発電でにもかかわらず出力調整機能(定格から部分負荷まで幅広い運転領域で
熱効率が高い)を有する。
図 3.6
LNG 火力発電の仕組
11
3.3
3.3.1
原子力発電
日本での原子力発電の歴史
日本における原子力発電は、1954 年 3 月に当時改進党に所属していた中曽根康
弘、稲葉修、齋藤憲三、川崎秀二により原子力研究開発予算が国会に提出された
ことがその起点とされている。この時の予算 2 億 3500 万円は、ウラン 235 にちな
んだものであった。
1955 年 12 月 19 日に原子力基本法が成立し、原子力利用の大綱が定められた。
この時に定められた方針が「民主・自主・公開」であった。そして基本法成立を
受けて 1956 年 1 月 1 日に原子力委員会が設置された。初代の委員長は読売新聞社
社主でもあった正力松太郎である。正力は翌 1957 年 4 月 29 日に『原子力平和利用
懇談会』を立ち上げ、さらに同年 5 月 19 日に発足した科学技術庁の初代長官とな
り、原子力の日本への導入に大きな影響力を発揮したことで日本の「原子力の父」
とも呼ばれている。
1956 年 6 月に日本原子力研究所(現・独立行政法人日本原子力研究開発機構)が
特殊法人として設立され、研究所が茨城県東海村に設置された。これ以降東海村
は日本の原子力研究の中心地となっていく。
1957 年 11 月 1 日には、電気事業連合会加盟の 9 電力会社および電源開発の出資
により日本原子力発電株式会社が設立された。
日本で最初の原子力発電が行われたのは 1963 年 10 月 26 日で、東海村に建設さ
れた実験炉である JPDR が初発電を行った。これを記念して毎年 10 月 26 日は原
子力の日となっている。
日本に初めて導入された商用発電炉は同じく東海村に建設された。運営主体は
日本原子力発電である。原子炉の種類は世界最初に実用化された英国製のガス冷
却炉であった。しかし経済性等の問題によりガス冷却炉はこれ 1 基にとどまり、後
に導入される商用発電炉はすべて軽水炉であった。
3.3.2
原子力発電
現在では日本の総発電量の 30%程度を供給するまでに成長した。
これほどの急成長には石油類の枯渇問題や価格高騰による石油火力類の減少に
より原子力が成長したという背景がある。また、地球温暖化の面でもエネルギー
政策が主要課題となっていることからも燃焼を伴わない原子力の役割は大きなも
のとなっている。
しかし原子力発電は莫大なエネルギーを供給できるが、その代償はでかい。安
全面に大きな問題があるのだ。核分裂反応により発電をしているため、一定量で
の発電が最適とされている原子力発電において、需要の変化による発電量の変化
は事故の原因になるため行えない。また、核燃料貯蔵庫には、長崎型原子力爆弾
12
数千発分ともいわれる核燃料の保管がされており使用済核燃料も保管という形で
残っている。これらの保管にあたり保管者の被爆や地質的な汚染もありうること
や、高速増殖炉の事故なども絶えない。そして、原子力発電の事故を隠すなどの
問題も起きている。
だが、現在の日本では経済性や安全性から軽水炉の 2 つのタイプ、沸騰水型原
子炉(BWR)と加圧水型原子炉(PWR)が使われている。現在、沸騰水型原子
炉は、米ゼネラルエレクトリック(GE)の技術を導入した東芝と日立製作所で製
造されており、加圧水型原子炉は米ウエスチングハウス(WH)の技術を導入した
三菱重工業で製造されている。しかし、2006 年に東芝がウエスチングハウスを買
収することで業界再編が進んでいる。また、日本で独自に進化させた物の導入も
ある。
なお、日本の各電力会社での全発電量に占める原子力発電比率(2000 年度)は、
NEDO の資料によれば、 北海道電力:29%、東北電力:15%、東京電力:45%、中
部電力:23%、北陸電力:18%、関西電力:53%、中国電力:15%、四国電力:48%、
九州電力:52%、沖縄電力:0%、となっている。
日本の原子力発電所の分布を図 3.7 に、主要国の原子力発電所保有量を図 3.8 に
しめす。
図 3.7
日本の原子力発電所分布
13
図 3.8
主要国の原子力発電所保有量
世界合計では 430 基(363343 万 kW)となっている。
加圧水型原子炉 (PWR)
加圧水型原子炉(Pressurized Water Reactor)とは、核分裂反応によって生じた
熱エネルギーで、一次冷却材である加圧水 (圧力の高い軽水) を 300 ℃以上に熱し、
蒸気発生器によって二次冷却材の軽水を沸騰させ、最終的に高温高圧の蒸気とし
てタービン発電機を回し、電力を生み出す原子炉。発電炉として、原子力発電所
の大型プラントや、原子力潜水艦、原子力空母などの小型プラントに用いられる。
• 北海道電力の全原子炉
• 関西電力の全原子炉
• 四国電力の全原子炉
• 九州電力の全原子炉
• 敦賀発電所:2 号機
沸騰水型原子炉 (BWR)
沸騰水型原子炉(Boiling Water Reactor)とは、核分裂反応によって生じた熱
エネルギーで軽水を沸騰させ、高温・高圧の蒸気として取り出す原子炉であり、発
14
図 3.9
PWR 方式
電炉として広く用いられている。炉心で取り出された汽水混合流の蒸気は汽水分
離器、蒸気乾燥機を経てタービン発電機に送られ電力を生ずる。日本国内で運転
可能な原子炉の中では、最も多いタイプの原子炉であるが、原子炉炉心に接触し
た水の蒸気を直接タービンに導くため、耐用年数終了時に放射性廃棄物が加圧水
型原子炉より多く発生し廃炉コストがかさむ可能性が高い。
発電に利用された蒸気は放射能を帯びている為、蒸気を回収し再循環させるだ
けでなく、タービン建屋(たてや)など、これに関わる全ての系を堅牢に遮蔽す
ることで、放射線が外部に漏れることを防いでいる。 外部からの核分裂反応の制
御は主に制御棒や、冷却材流量の増減で行われ、冷却材喪失事故時には非常用炉
心冷却装置 (ECCS) を動作させる。
• 東北電力の全原子炉
• 福島第一原子力発電所:1∼6 号機
• 福島第二原子力発電所:1∼4 号機
• 柏崎刈羽原子力発電所:1∼5 号機
• 浜岡原子力発電所:1∼4 号機
• 志賀原子力発電所:1 号機
• 中国電力の全原子炉
• 東海第二発電所
• 敦賀発電所:1 号機
15
図 3.10
BWR 方式
改良型沸騰水型軽水炉 (ABWR)
改良型沸騰軽水冷却水炉」 (Advanced BWR) とは、沸騰水型原子炉 (BWR) を
日本が大型化を目指して改良した物であるある。
• 柏崎刈羽原子力発電所:6、7 号機
• 浜岡原子力発電所:5 号機
• 志賀原子力発電所:2 号機
• 島根原子力発電所:3 号機(建設中)
高速増殖炉 (FBR)
高速増殖炉(Fast Breeder Reactor)とは、高速中性子による核分裂連鎖反応を用
いた増殖炉のことをいう。高速増殖炉の燃料転換率は、理論的には 1.24∼1.29 程度
と考えられておりもんじゅの場合は約 1.2 である。なお、高速中性子を利用しながら
核燃料の増殖を行わない原子炉も存在する。これは単に高速炉 (Fast Reactor:FR)
と呼ばれる。
• もんじゅ
• 常陽
16
図 3.11
3.3.3
高速増殖炉の仕組
使用済み核燃料処分問題
高レベル放射性廃棄物
原子力発電所で使われた(使用済燃料)には、原子燃料がエネルギーを発生する
過程で生じた放射能レベルの高い物質がふくまれている。日本では、使用済核燃料
を再処理し、ウランやプルト二ウムを取り出して有効に利用するこことしていま
すが、再利用出来ない高レベルの放射性物質は液体の形で分離し、ガラス原料と
高温で溶かし合わせステンレス製の容器のなかで固めガラス固化体として処理す
ることとなります。なお、2007 年 12 月末までに発生したガラス固化体は約 21300
本で、年間 1100∼1600 本で増加すると見られている。ガラス固化体概要を図 3.12
に示す。
地層処分
地層処分とは、地下深層部の地層が本来持っている物質を閉じ込める力を利用
したものである。これにより人間の生活環境に影響を及ぼさないように長期に渡っ
て安全・確実に隔離する方法である。
地上に比べて地下は、地震、津波、台風等の自然現象による影響がほとんどな
く、戦争、テロ等の人間の行為による影響も受けにくいという特長がある。また、
地下にある物質は主に地下水によって運ばれますが、地下深部では地下水の動き
が極めて遅いため、物質の移動が非常に遅いという特長もある。
さらに、地下深部では酸素が極めて少ないため、錆びなどの化学反応が抑えら
れ、物質を変質させにくいという特長があり、これらの特長により、地下深部は地
上に比べ、物質を長期にわたり安定して閉じ込めるのに適した場所といえる。地
層処分の概要を図 3.12 に示す。
17
図 3.12
図 3.13
ガラス固化体
地層処分概要図
18
3.3.4
原子力発電事故
世界的に有名な原発事故を取り上げると、1986 年にウクライナ(旧ソ連)のチェ
ルノブイリ原発事故が史上最悪といわれている。その汚染量は広島原爆の 400 倍
(IAEA の記録)ともいわれており、健康被害や地質汚染などさまざまである。ま
た、立入制限区域等が設けられ、近郊の都市はゴーストタウンになった所もある。
2000 年 4 月 26 日の 14 周年追悼式典での発表によると、ロシアの事故処理従事者
86 万人中、5 万 5 千人が既に死亡した。ウクライナ国内(人口 5 千万人)の国内被
曝者総数 342.7 万人の内、作業員は 86.9%が病気にかかっている。
3.4
3.4.1
水力発電
一般水力
降水量が多く、山岳地形という気象的・地形的特徴を持った日本は水力発電をす
るのに適していた。1888 年に国内初の水力発電を行って以来、開発は全国各地で
行われ水力発電が国の電力を支えていたこともある。また、時代の需要の変化に
よってもその存在を変えながら日本の電力を支えている発電である。オイルショッ
ク以降には石油の代替エネルギーとして、また現在では電力消費のピークに対応
するために揚水発電と火力・原子力につぐ発電量を現在も担っている。水力発電の
特徴として水を流せば発電できることから瞬時負荷追従能力に優れており電気系
統への安定効果を有する電源であることや、火力・原子力等と違い燃料を必要と
しないことである。しかし、開発のための土地に限りがあることと自然任せの発
電であるという点より現在の電力需要量においては火力発電に代わる物となるの
は厳しい。現在の水力発電の規模は、国内に工事中を含めると 1869 地点存在し発
電に使えるものは、全体の約 67 パーセントにあたる 22118 千 kW である。今後は
4500kW 程度の中小規模のものが開発されていくことみられている。しかし、どこ
でも開発できるというわけではなく、現在ある問題としては堆砂、水質、減水区
域などがある。
• 流れ込み式
水を貯めることができないので、豊水期には無駄に水が流れてしまい、渇水
期には反対に発電量が少なくなるという問題点がありますが、他の方式の水
力発電に比べて建設コストが抑えられるというメリットがある。そのため、
アフリカなど海外の一部では発電方法の主流として位置づけている国があり
ます。日本も国際貢献の一環としてこれらの国々に対し、技術供与や建設を
行っています。
• 調整池式
取水ダムや調整池を作って、需要に合わせて水量を調節します。この方式で
19
図 3.14
流れ込み式水力発電
は、1 日∼1 週間の発電量をコントロールできる。そのため、短期間の天候
の変化(晴れや雨)、電力需要の変化に対応でき、流れ込み式水力発電所よ
りも効率的な発電が可能です。
日本では、昼間の電力消費量が夜間の 2 倍に達することもあります。しかし、
電気は蓄えることができない。そこで、昼間の電力需要を補うためにこのよ
うな発電方式が取り入れられています。
図 3.15
調整池式水力発電
• 貯水池式
河川をダムでせき止め、ダムに溜まった水を発電用に用いるものである。雪
どけや梅雨、台風などの豊水期に貯水し、渇水期に放流して発電する方法。
構造物から見た場合、ダム式、ダム水路式がこの方法です。
メリットとしては、河川の水を完全にせき止めるため、水の流れを自在にコ
ントロールでき、四季のある日本でも年間を通じて安定した発電が可能とな
る。放水路から流される水は河川に戻され、最終的に海に注ぎます。
しかしこのタイプの水力発電所も流れ込み式水力発電所と同様に、河川が短
い日本では建設する場所が少ないのが現状です。
また、ダムを建設することによる周辺地域の水没や環境変化など、多くの
地域住民の方のご協力がなくてはつくることができず、水力発電所の中では
もっとも環境負荷が大きいものとなっている。
20
図 3.16
3.4.2
貯水池式水力発電
陽水式
一般の流れ込み式の発電とはちがい、貯水池と貯水池の高低差を使用して発電
する物である。これの主な使用としては、水力発電の特徴である瞬間追随能力を
生かしたものであり、昼間のピーク電力などの需要が出来たときに対応して使用
される。現在では 43 地点で開発がされ、2588 千 kW がの発電ができるようになっ
ている。(水路式と合わせると 24706 千 kW が開発されている。)しかし、この発
電方式の問題は夜間に昼間の発電に使用した水を汲み上げるために同程度もしく
はそれ以上の電力を使用するということである。
図 3.17
3.5
3.5.1
陽水式水力発電
地熱発電
地熱発電のこれまで
日本で地熱発電が注目されるようになったのはオイルショックによる石油代替エ
ネルギーとしてが始まりである。エネルギー源が地球内部の熱源を使うことで純
国産のエネルギーとして当時は大きな期待がされていた。しかし、地中の高熱体
資源の有望地が国立公園内に多いという事と温泉大国日本において地中の熱水を
使うには温泉組合の反対が強かった。そのことを象徴するように、地熱発電所は
21
国立公園内にある物が現在も多い。しかし、九州では地熱発電が一般の土地に建
設されており、特に注目すべきは大分県である。日本の名泉があるにもかかわら
ず地熱発電が多く建っているのである。
しかし、オイルショック後の化石資源の価格の下落や原子力発電の成長により真
のクリーンエネルギーであるはずの地熱発電の建設は衰退していった。
その後も研究・開発は現在の NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構 )
や企業で継続されてはいた。現在では全国に電気事業用として13箇所、自家用
として5箇所の地熱発電所がある。電気事業用の総発電容量は 54 万kWで国内総
発電の 0.2∼0.3%をまかなっている。しかし、地熱発電所の新設は 1 万kW以上で
は 1996 年の滝上発電所(大分県)また、それ以下の規模では 1999 年の八丈島発
電所(3300kW)を最後に途絶えているが、日本の地熱利用技術は高く評価
されており、海外へ技術協力する程である。
地熱発電の停滞した原因として
• 事業としての魅力のなさと開発のためのリードタイムの長さ(15∼20 年)、
投資効果の割りに利益の期待が薄く、技術的・コスト的にハンディが多い。
• 地熱資源調査としての掘削で熱水が発見されるとする。利益の少ない地熱発
電よりも利益を望めるであろう温泉として利用する業者などのため
• 新エネルギーから除外と、RPS法における扱いがバイナリー発電のみの扱
いであること。また、開発条件が熱水を著しく減少させないことという曖昧
な表現であること。
• 国立公園の法的制限(当初は特定の制限区域内で開発できたが1972年か
ら開発できなくなった。これにより、自然公園内に開発可能地域の約 45%の
114 万 kW が存在するが開発不可能となる。)
• 温泉協会や自然保護団体による反対活動 (温泉地の数 km 以内に開発可能地
域の約 80%である 196 万 kW が存在する)
温泉に対する影響は掘削深度などから 99%程の確率で影響がないと言え、還
元井を使う発電方式では湧出量の減衰も掛け流しの温泉よりも少ないといえ
る。しかし、温泉組合では、自分達の所有物である温泉の出が悪くなる、温
度が下がるなどの影響があると考えている。
という原因が挙げられる。
22
3.6
3.6.1
新エネルギー
風力発電
日本の風力発電設備は 2004 年度末に 735 基超で 936MW であり、2003 年度末よ
りも 45 %の増加し 2010 年の政府目標値を約 1/3 達成した。
図 3.18 のような風車のある大規模なウインドファーム開発に一定量の経験を蓄
えた日本は、近年、台風災害・落雷・電力品質問題などの問題が発生している。風
車設計・性能を規定する外部条件 (風・電力系統・その他の自然・社会条件 ) が日
本は欧州よりも厳しい。また、大型の風車を設置する際には、景観を損ねる等の
問題があることも事実であり保護団体や住民からの反対を受けることもある。
図 3.18
竜飛ウインドファーム
問題点としては以下のようなことがあげられる。
• 耐風設計 (台風対策)
• 落雷防止 (冬季雷はとりわけ厳しい)
• 高乱流・高突風対策 (複雑地形・山岳の多い日本では、疲労問題・制御不良
が懸念される。)
• 電力品質問題 (日本は島国なので、末端で系統電力が弱小となり電力品質確
保の問題が重視されている。そのため、風力発電の電力生産への寄与率はド
イツ・スペインの 5 %台、デンマークの 20 %台に比べ日本は 0.1 %にすぎ
ない。)
• 洋上風力 (海洋国でありながら、近海でも急深のため設置は困難)
23
欧州よりも規定が厳しい裏付けとして世界の風力発電設備容量をみると、世界の
風力発電の設備容量は 2005 年 1 月には 46.048MW(46GW) に達し、過去 5 年間の
平均で年率 30 %の増加を記録している。しかしながら、風力設備は数ヶ国に偏在し
ており。ベスト 5 は上位からドイツ (16.5GW、シェア 38.5 %)、スペイン (8.0GW、
シェア 17.4 %)、アメリカ (6.8GW シェア 14.8 %)、デンマーク (3.1GW シェア 6.8
%)、インド (2.8GW シェア 6.1 %) である。日本はランキングで世界 9 位にはいっ
ているが、設備容量を基準としたシェアは 1.6 %にすぎない。
このことから、日本は欧州等に比べ風力発電の導入が進んでいないことになる。
また、日本における局所風が起きる場所は決まっている。局所風の起きる場所を
図 3.19・3.20・3.21・3.22 に示す。
図 3.19
北海道
図 3.20
24
東北
図 3.21
関東甲信越
図 3.22
3.6.2
西日本
太陽光発電
日本での太陽光発電の歴史
日本で初めて太陽光発電システムが設置されたのは 1958 年。東北電力の信夫山
無線中継所に設置された。76 年にはシャープが世界で初めて太陽電池付きの電卓
を発売した。電卓は消費電力が少なくて済むので実用化が早かったが、住宅用が
発売されたのは 93 年のことだ。 現在の太陽光発電パネルはシリコン系が主流と
なっている。シリコンでできた半導体に光が当たるとエネルギーを持った電子が
内部で動き出し、電流が生じるというのが基本原理だ。 シリコン結晶を 0・2mm
程度に薄く切って使う「結晶系」が一般的だが、最近は溶かしたシリコンをガラ
スパネルなどに 0・002mm 程度の薄さで塗布して作る「薄膜系」が注目されてい
る。需要増でシリコン価格も上昇し、大量に調達するのが難しくなっているため
だ。 ただ、太陽光のエネルギーをどれだけ効率よく電力に変えられたかを示す
発電効率は、結晶系が 10 %台後半なのに対し、薄膜系は 10 %未満と低く、効率向
上が課題となっている。
25
図 3.23
太陽光発電の仕組
日本での太陽光発電の普及
日本では太陽光発電施設の出荷額の 8 割が住宅用。これほどの普及を後押しし
たのが 19 94∼2005 年度に行った国の補助金制度である。当初は 1 キロ・Wあたり
90 万円。国は年間で総額 1322 億円を補助してきた。この補助金で 1994 年当時は
ほぽゼロだった住宅用の累積導入量は、2006 年度に 1374 メガ・Wと原子力発電所
1.4 基分まで増えた。補助金の申請状況などから、累計で約 40 万世帯に太陽光発
電システムが設置されたと想定されている。 普及が進んだと言っても全世帯の
0.8 %。国は 2020 年までに 320 万世帯に普及させる目標を示している。また、経済
産業省は 09 年度から、地球温暖化防止の観点から家庭用の太陽光発電システムの
購入補助を 4 年ぶりに復活させる。補助額は 1 キロ・Wあたり 10 万円程度になり
そうだ。 3・5 キロ・Wの発電システム(240 万円)の設置なら 35 万円の補助金
がつき、205 万円程度で済み、初期費用の回収期間は 20 年程度まで短くなる。現
在のように電力料金の値上げ傾向が今後も続けば、十数年で初期コストを回収で
きる可能性もある。
26
図 3.24
太陽光パネル
コスト
太陽光による発電コストは、まだ割高である。設備の耐用年数などから算出し
た 1 キロ・W時あたりの概算コストは、原子力 7 円、火力7∼12 円、水力 11 円。
家庭用の太陽光発電は 46 円だ。 パネルの製造コストが高いことに加え、パネル
から電力を取り出す発電効率が低いことが大きな原因だ。このため、大規模に太
陽光パネルを設置する「太陽光発電所」の実現にはハードルが高い。一方、新エ
ネルギーで期待される風力発電のコストは 10 円程度と安いものの、年間を通じて
十分な風を受けられる場所は限られている。このようなことから、新エネルギー
の切り札は、太陽光に頼らざるを得ないのも事実である。 経済産業省の目標は、
05 年に比べ 30 年に水力発電の設備容量を 1・1 倍、風力発電を 6 倍に増やす。さら
に太陽光は 40 倍に引き上げ、水力の 3 分の 2 程度にしたいとしている。 独立行
政法人「新エネルギー、産業技術総合開発機構(NEDO)」の「太陽光発電ロード
マップ」では、10 年の太陽光の発電コストを 1 キロ・W時あたり 23 円、20 年には
14 円、30 年に 7 円まで下げ、原子力発電に相当する水準にする目標を定めている。
太陽光のエネルギー量
太陽のエネルギー量は、地球上に到達するものだけで 1 平方メートルあたり約
1kw。これを 100 %変換できるとしたら、世界の年間消費エネルギーをわずか 1 時
間でまかなうことができる程のエネルギーであり、自然エネルギーのため枯渇す
る心配もない。また、発電時に二酸化炭素や硫黄酸化物、窒素酸化物などの大気
汚染物質を発生させない。さらに、日照さえ確保できれば設置場所を選ばないた
め設置する場所の広さに合わせて設計することができ、メンテナンスにおいても
構造が簡単で耐用年数も 20 年以上とされている。
しかし、主力発電に取って代わるには多くの問題がある。
• 設備稼働率が 12%程度とかなり低い
• 発電量に比べコストが高い
27
• 天候に左右される
• 夜間は発電できない
• 設置面積当たりの発電量が少ない
• 日照条件が重要である
世界の導入量
太陽光発電を巡る世界の勢力図はここ数年で激変した。きっかけはドイツが導
入した「フィードイン・タリフ」 (固定価格買い取り制度)だ。太陽光で発電
された電力を電力会社が高値で買い取ることを保証する制度で、原資は電力会社
が通常の電力利用者に月額 500 円程度を料金に上乗せすることで賄っている。例
えば、一般住宅で太陽光で発電した電力を通常の 3 倍程度の 1 キロ・W時あたり
80 円前後で買い取っている。 ドイツは 2000 年以降にこの制度を導入し、急速に
太陽光発電システムの設置が進んだ。累計導入量が 05 年に 1910 メガ・Wに達し、
トップの座を日本から奪った。06 年には 2863 メガ・Wまで伸ばし、日本(1709 メ
ガ・W)の 1・67 倍となった。環境意識の高まりからスペインも同様の制度を導
入して急速に太陽光が普及し始め、フランスも独自の制度を準備している。 最
近は、中東の産油国が積極的に導入を図っているという。原油価格の上昇で膨ら
んだオイル・マネーを原資に太陽光発電所を建設し、将来のエネルギーを確保す
る狙いがあるとみられている。 富士経済の調査では、06 年に 8111 億円だった太
陽光発電パネルの世界市場は、12 年に 4 兆 6751 億円と 6 倍温くに急拡大すると予
想している。 また、太陽光発電パネルの 07 年の生産量は日本が 900 メガ・W超
でトップだったが、中国、ドイツが 800 メガ・W前後で猛追している。メーカー別
でも、ドイツで 01 年に生産を始めたセルズが 389 メガ・Wと躍進、国内トップの
シャープ(36 3 メガ・W)を抜いて世界一の座についた。中国のサンテック(327
メガ・W)も 01 年設立ながら、豊富な投資資金で生産能力を拡大し、世界 3 位に
急浮上している。
3.6.3
海洋発電
地球表面の約 7 割を占める海洋は最も大きな太陽エネルギーのコレクタかつ貯
蔵システムである。また、太陽エネルギーがある限り枯渇しない無尽蔵な再生可
能エネルギー源である。海洋エネルギーんの中で現在注目されているのが潮流発
電と波力発電である。
• 潮流発電発電方式についての
国内では海上保安庁が明石海峡に設置した浮灯標が唯一実用化されている。
しかし大型の潮流発電装置の具体的なプロジェクトは現在ではない。
28
• 波力発電
国土交通省が簡易波力発電システムの実証実験を新潟で行っており、システ
ムとしては従来の振動水柱型空気タービン方式を採用している。これは既存
の防波堤などに取り付けられるユニット型で、商用電源を引き込みづらい防
波堤や突堤に適した物となっている。
波力についてはヨーロッパを中心に導入が積極的に展開されている。
3.6.4
バイオマス
バイオマスとは植物などの生物体(バイオマス)より得られるエネルギーのこ
とである。
新エネルギーの中でも燃焼を伴う物でありながら、なぜ新エネルギーであるの
か。それは、植物などが成長する過程で吸収した炭素(光合成に含む)を燃焼時
に放出するというカーボンニュートラルの観点により、待機中の二酸化炭素は増
加しないということである。
バイオマスの利用の種類としては
• バイオマス燃料製造(アルコール燃料、バイオディーゼル、バイオガスなど)
• バイオマス熱利用
• バイオマス発電
等の分類がある。
図 3.25
バイオマス利用の流れ
1990 年代以降、バイオマスは二酸化炭素削減(地球温暖化対策)、循環型社会の
構築などの取り組みを通じて脚光を浴び、薪や炭などの利用に加え、バイオマス
29
エタノールなど各種のバイオマス燃料の利用も拡大している。しかしその一方で
生産のために森林を破壊する例や食料との競合などの問題も指摘されており、よ
り弊害の少ない技術の開発が進められているほか、技術水準に応じた規制も検討
が進んでいる。
日本においては、地方自治体や環境保護団体などに注目されている。高度成長
期以前の日本では、落葉や糞尿を肥料として利用していたほか、里山から得られ
る薪炭がエネルギーとして活用されてきた。石油起源の資材、燃料などへの置換
により、利用は少なくなったが、廃棄物処理コストの高騰などから高度利用を模
索する自治体が増えている。しかし規模の小ささ、政策の弱さ、技術開発の少な
さなどから、実験的な規模に留まっている。
3.7
メタンハイドレート
我が国周辺でメタンハイドレートが発見されている。メタンハイドレートの埋
蔵分布図を図 3.26 に示す。また、世界の分布図を図 3.27 に示す。
図 3.26
日本のメタンハイドレート分布図
メタンハイドレート(Methane hydrate)とは、メタンを中心にして周囲を水分
子が囲んだ形になっている固体結晶である。 低温かつ高圧の条件下で、水分子は
立体の網状構造を作り、内部の隙間にメタン分子が入り込み氷状の結晶になってい
る。見た目は氷に似ており、1 立方メートルのメタンハイドレートを 1 気圧の状態
で解凍すると 164 立法メートルのメタンガスに変わる。このメタンはメタンハイ
ドレートの体積の 20%に過ぎず、他の 80%は水である。分子式は CH4・5.75H2O
30
図 3.27
世界のメタンハイドレート分布図
と表され、密度は 0.91g/cm3 である。2008 年現在、日本近海は世界有数のメタン
ハイドレート埋蔵量を誇っている。本州、四国、九州といった西日本地方の南側
の南海トラフに最大の推定埋蔵域を持ち、北海道周辺と新潟県沖、南西諸島沖に
も存在する。しかし、政府が 500 億円かけて試掘を行なっている南海トラフでは
現有する採掘技術を使用して採掘・生産しても経済的には全く引き合わないため、
商業生産に向けた民間レベルでの採掘計画は存在せず、研究用以外の目的では採
掘されていない。日本近海のメタンハイドレートの埋蔵量は天然ガス換算で 7.35
兆立方メートルであり日本で消費される天然ガスの 96 年分とされている。メタン
ハイドレートは石油や石炭に比べ燃焼時の二酸化炭素排出量がおよそ半分である
ため、地球温暖化対策としても有効な新エネルギーであるとされるている。しか
し、メタンハイドレートは化石資源かどうかというのは見解が分かれている。私
は燃やせば二酸化炭素が発生するという点より化石資源であると考える。
31
第4章
4.1
なぜ地熱発電なのか
発電別二酸化炭素排出量
化石資源からの脱却という名目について回るのはやはり地球温暖化問題である。
いくら化石資源からの脱却をしても、二酸化炭素排出を削減できなければ意味が
ないとも言える。では、各発電ごとの二酸化炭素排出量はどの程度であろうか。図
4.1 を参照すると。
図 4.1
発電別二酸化炭素排出
やはり排出量上位は化石資源燃料の燃焼を伴う発電方式になっている。また、注
目すべきは燃料の燃焼を伴わない発電方式の排出量である。太陽光・風力・原子
力・地熱・水力の順で排出が少なくなっており、太陽光に対して7分の 2、風力に
対して 2 分の 1 程度しか地熱発電は二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー
なのである。
4.2
稼働率
日本における化石資源代替えエネルギーとして、次の3つが上げられる。
• 風力発電
32
• 太陽光発電
• 地熱発電
太陽光発電については各家庭への導入を促進させる補助金制度(平成 17 年に終
了)があり、風力発電については RPS 法により電気事業者が積極的に導入した背
景と、小学校などの公共施設や都心部ではビル風を有効利用するということで総
発電容量は上がった。
しかし、発電設備容量が上がったからといって発電が出来ているかというとそ
うではない。全ての発電設備に言えることでもあるがメンテナンスなど休止させ
るため、稼働率が 100%という発電所はないはずである。よくても約 90%程度であ
ろう。
この中でも、自然エネルギーや再生可能エネルギーにおいては比較的不安定な
エネルギーが多く、安定した発電は出来ないということである。その証明として、
前 3 者の稼働率を比較すると、風力発電は約 20%、太陽光発電では約 12%、地熱発
電では約 70%ということになっている。地熱発電の稼働率が高い訳はエネルギー
の存在場所が関係しており。気候などによって生み出されるものではないからで
ある。よって、稼働率で判断するならば地熱が優秀といえるのは事実である。
33
第5章
5.1
地熱発電
衰退における原因
地熱開発が衰退した理由は 3.5 項で記したように
• 事業としての魅力のなさと開発のためのリードタイムの長さ(15∼20 年)、
投資効果の割りに利益の期待が薄く、技術的・コスト的にハンディが多い。
• 地熱資源調査としての掘削で熱水が発見されるとする。利益の少ない地熱発
電よりも利益を望めるであろう温泉として利用する業者などのため
• 新エネルギーから除外と、RPS法における扱いがバイナリー発電のみの扱
いであること。また、開発条件が熱水を著しく減少させないことという曖昧
な表現であること。
• 国立公園の法的制限(当初は特定の制限区域内で開発できたが1972年か
ら開発できなくなった。これにより、自然公園内に開発可能地域の約 45%の
114 万 kW が存在するが開発不可能となる。)
• 温泉協会や自然保護団体による反対活動 (温泉地の数 km 以内に開発可能地
域の約 80%である 196 万 kW が存在する)
温泉に対する影響は掘削深度などから 99%程の確率で影響がないと言え、還
元井を使う発電方式では湧出量の減衰も掛け流しの温泉よりも少ないといえ
る。しかし、温泉組合では、自分達の所有物である温泉の出が悪くなる、温
度が下がるなどの影響があると考えている。
というのが大きな原因である。
しかし、結論を言えば国・政府がリスクやリードタイムの長さを重視して、力
を入れて開発してこなかったというのが妥当であろう。
5.2
自然公園法における障害
地熱資源有望地は自然公園の敷地内に多い。では、自然公園法の中で開発でき
ない理由はどのようなものなのであろうか。
34
自然公園法とは優れた自然の風景地を保護すると共に、その利用の増進を図り、
国民の保健、休養及び教化に資することを目的として、昭和 32 年に制定されたも
のである。ここでいう自然公園とは、国立公園・国定公園・都道府県立自然公園
のことをさしている。
この法律の第三節にあった。簡単に言うと以下のようなことである。
• 工作物を新築し、改築し、又は増設すること。
• 木竹を伐採すること。
• 土地を開墾しその他土地の形状を変更すること。
これのために開発が出来ないのである。
地熱開発を新たに行うということは工作物(建物)を新築しなければならなく、
地熱地帯は自然公園内ということで山間部に多い、そのため木竹を伐採しなけれ
ばならない。また、土地を開墾するということにも触れることとなる。このよう
なことから自然公園での地熱開発は行えないことになる。さらに、木々の伐採に
は森林法も適用される。
5.3
環境学者
アメリカの環境学者であるレスター・ブラウン氏も、日本は地熱発電をもっと
するべきであるという意見を述べている。
——————————————————————————
日本はもっと地熱発電を 米国の環境学者 レスター・ブラウン氏提言
日本のエネルギー自給率は10%未満。原油高騰が続くなか、国産のエネル
ギー資源開発が求められている。世界的な環境学者レスター・ブラウン氏は「火山
が多い日本は世界有数の地熱資源大国。もっと地熱発電を活用するべきだ」と提
言する。地熱発電はCO2排出量も少ないクリーンなエネルギーだ。そして、
「日
本は地熱発電で国内電力の半分、もしかして、全部を賄えるかもしれない」とい
うことも言っている。
——————————————————————————
35
5.4
タービン及び発電方式の種類
地熱発電には、掘削により湧きだした蒸気を使用するのに直接利用と関節利用
の 2 つの方式がある。また、直接の場合は蒸気の状態によっても使用が異なる。
5.4.1
乾燥蒸気利用背圧タービン方式(直接利用)
乾燥蒸気利用背圧タービン方式とは、天然蒸気を直接背圧タービンに入れ、排
気を大気中に放出する最も簡単な方式である。しかし、効率が低く発電に必要な
蒸気消費量が復水式の 2 倍以上となるので優れた方式とはいえないが、蒸気中に
非凝縮ガスが多量に含まれるときに使われ、設備が簡単なことから、発電所の建
設時に工事用電源として用いられることが多い。
図 5.1
5.4.2
背圧タービン式発電
乾燥蒸気利用復水タービン方式(直接利用)
乾燥蒸気利用復水タービン方式とは、天然蒸気を復水タービンに入れ、排気を
噴射復水器内で冷却水と混合凝縮させる方式である。この方式は、乾燥蒸気が得
られる場合の最も一般的なものであり、イタリアのラルデレロや米国のガイザー、
日本の松川 (岩手県) はこの方式の地熱発電所である。
5.4.3
ダブルフラッシュ蒸気利用復水タービン方式(混合利用)
ダブルフラッシュ蒸気利用復水タービン方式とは、湧き出してきた蒸気が水分
を多く含むときに使われ、熱水分離器により分割された蒸気と高温の水分を共に
36
発電に使う方式である。この方式は、蒸気のみの発電に比べ、出力が 15∼20 %増
加し、処分する熱水の量が 10 %減少する。
5.4.4
熱水分離蒸気利用復水タービン方式(直接利用)
熱水分離蒸気利用復水タービン方式とは、抗井から蒸気と熱水の混合流体が噴
出する場合、まず気水混合物を気水分離器に入れ、分離した蒸気を復水タービン
に入れる方式である。排気を噴射復水器で凝縮させる点は前の方式と同様である。
この方式は抗井から気水混合物得られる場合の最も一般的なものでありニュージー
ランドのワイラケイ、日本の大岳 (大分) などの発電所がこの方式を用いている。
図 5.2
5.4.5
復水タービン式発電
バイナリーサイクル方式(関節利用)
バイナリーサイクル方式とは、地熱流体がほとんど熱水である場合、熱交換器
によって、その熱を 2 次流体(低沸騰点流体に限る)に伝え、その蒸気によって復
水タービンを駆動する方式をバイナリーサイクルという。
37
図 5.3
バイナリー発電
38
5.5
日本国内の地熱発電所詳細
日本の地熱発電所の所在地を図 5.4 に示す。また、地熱発電所ごとの詳細を記す。
図 5.4
所在地と火山帯
• 森発電所
– 蒸気供給:道南地熱エネルギー (株)
– 発電部門:北海道電力 (株)
– 発電出力:50,000kW
39
– 運転開始:昭和 57 年 11 月
– 所在地:北海道茅部郡森町
– 備考:山あいの濁川温泉郷に隣接し、海の幸が豊富な内浦湾や、雄大
な自然とスキー場が点在し、一年中楽しめる駒ヶ岳・大沼エリアにも近
い。北海道唯一のそして日本で最も北にある地熱発電所である。
図 5.5
森発電所
• 大沼地熱発電所
– 蒸気供給:三菱マテリアル (株)
– 発電部門:三菱マテリアル (株)
– 発電出力:9,500kW
– 運転開始:昭和 49 年 6 月
– 所在地:秋田県鹿角市
– 備考:製錬所の電力をまかなうため、十和田八幡平国立公園内の八幡平
北西山麓に国内 3 番目の地熱発電所として建設された。近くを通る観光
道路(八幡平アスピーテライン)からの眺望に配慮し、建物や冷却塔の
高さが低く抑えられている。
40
図 5.6
大沼地熱発電所
• 澄川地熱発電所
– 蒸気供給:三菱マテリアル (株)
– 発電部門:東北電力 (株)
– 発電出力:50,000kW
– 運転開始:平成 7 年 3 月
– 所在地:秋田県鹿角市
– 備考:鹿角八幡平の自然公園に囲まれた発電所で、近くには八幡平、湯
瀬、玉川などの温泉郷やスキー場、湯瀬渓谷、鉱山跡を利用したマイン
ランド尾去沢などの観光地がある。
図 5.7
澄川地熱発電所
• 松川地熱発電所
– 蒸気供給:東北水力地熱 (株)
41
– 発電部門:東北水力地熱 (株)
– 発電出力:23,500kW
– 運転開始:昭和 41 年 10 月
– 所在地:岩手県松尾村
– 備考:十和田八幡平国立公園内の高地に位置し、南東方向に岩手山を望
む。松川・八幡平などの温泉郷やスキー場も近く、八幡平の中腹に伸び
るアスピーテラインからの眺めはすばらしい。日本最初の地熱発電所
で、高さ 45m の冷却塔が印象的である。
図 5.8
松川地熱発電所
• 葛根田地熱発電所
– 蒸気供給:東北水力地熱 (株)
– 発電部門:東北電力 (株)
– 発電出力:1 号機 50,000kW、2 号機 30,000kW
– 運転開始:1 号機 昭和 53 年 5 月、2 号機 平成 8 年 3 月
– 所在地:手県雫石町
– 備考:十和田八幡平国立公園内に位置し、近くにはスキー場や温泉が点
在する。1 つの地熱発電所としては本州最大の出力を有する。また、地
下 4,000m もの深いところにある地熱資源の活用をめざした国の調査研
究が、発電所近くで行われた。
42
図 5.9
葛根田地熱発電所
• 上の岱地熱発電所
– 蒸気供給:秋田地熱エネルギー (株)
– 発電部門:東北電力 (株)
– 発電出力:28,800kW
– 運転開始:平成 6 年 3 月
– 所在地:秋田県湯沢市
– 備考:秋田の酒どころ湯沢市南東部に位置する。湯治場の雰囲気を残す
泥湯温泉や、日本三大地獄霊場の一つである川原毛地獄にも近い。景観
に配慮した山小屋風の建物は、周囲の森ともよく調和している。地熱資
源を有効利用するため平成 9 年に出力アップを行った。
図 5.10
上の岱地熱発電所
43
• 鬼首地熱発電所
– 蒸気供給:電源開発 (株)
– 発電部門:電源開発 (株)
– 発電出力:12,500kW
– 運転開始:昭和 50 年 3 月
– 所在地:宮城県鳴子町
– 備考:けしで有名な鳴子に位置し、豊富な湯量の鳴子温泉郷や、新緑・
紅葉が美しい鳴子峡へも近い。また、発電所近くには轟音とともに熱湯
を吹き出す間欠泉がある。数百キロ離れた同社の磯子火力発電所(横浜
市)から遠隔監視運転をしている。
図 5.11
鬼首地熱発電所
• 柳津西山地熱発電所
– 蒸気供給:奥会津地熱 (株)
– 発電部門:東北電力 (株)
– 発電出力:65,000kW
– 運転開始:平成 7 年 5 月
– 所在地:福島県柳津町
– 備考:福島県会津盆地西方の奥会津地域に位置し、地熱発電所の単機出
力では国内最大の 65,000kW を誇る。発電所本館、冷却塔などの外観を
レンガ調に統一し、自然景観との調和を図っている。また、平成 7 年 10
月の福島秋季国体では、当発電所の地熱発電による炬火採火が行われ好
評を博した。
44
図 5.12
柳津西山地熱発電所
• 八丈島地熱発電所
– 蒸気供給:東京電力 (株)
– 発電部門:東京電力 (株)
– 発電出力:3,300kW
– 運転開始:平成 7 年 5 月
– 所在地:東京都八丈町
– 備考:東京の南、約 290km の太平洋上に浮かぶ八丈島に、国内で初め
ての離島における地熱発電所として建設された。寒冷期には、町の温
室団地への暖房用として熱供給も行っている。また、併設の PR 館から
は、設備全体(蒸気井発電設備)が一望できる。
図 5.13
八丈島地熱発電所
45
• 杉乃井地熱発電所
– 蒸気供給:(株) 杉乃井ホテル
– 発電部門:(株) 杉乃井ホテル
– 発電出力:3,000kW
– 運転開始:昭和 56 年 3 月
– 所在地:大分県別府市
– 備考:別府湾を望む観海寺温泉に国内でホテル初の地熱発電所として設
けられ、杉乃井ホテルに電力を供給している。階段状の滝は冷却塔の役
目をし、ホテル内の見所にもなっている。また、発電用蒸気に伴う熱水
は冷暖房や給湯など多目的に利用されている。
図 5.14
杉乃井地熱発電所
• 滝上発電所
– 蒸気供給:出光大分地熱 (株)
– 発電部門:九州電力 (株)
– 発電出力:25,000kW
– 運転開始:平成 8 年 11 月
– 所在地:大分県九重町
– 備考:九重山麓の飯田高原を縦断するやまなみハイウェイ沿いにあり、
観光地として人気の高い湯布院温泉にも近い。大岳・八丁原発電所と合
わせると、九重町の地熱発電の合計出力は約 15 万 kW にもなる。また、
九重町では浴用・暖房・温室などの地熱利用も盛んである。
46
図 5.15
滝上発電所
• 八丁原発電所
– 蒸気供給:九州電力 (株)
– 発電部門:九州電力 (株)
– 発電出力:1 号機 55,000kW、2 号機 55,000kW
– 運転開始:1 号機 昭和 52 年 6 月、2 号機 平成 2 年 6 月
– 所在地:大分県九重町
– 備考:風光明媚な阿蘇くじゅう国立公園の一角に位置し、周辺には筋
湯、宝泉寺などの温泉や、四季折々の風景が楽しめるやまなみハイウェ
イがある。一つの地熱発電所としては日本最大の出力を有する。
図 5.16
八丁原発電所
• 大岳発電所
– 蒸気供給:九州電力 (株)
47
– 発電部門:九州電力 (株)
– 発電出力:12,500kW
– 運転開始:昭和 42 年 8 月
– 所在地:大分県九重町
– 備考:阿蘇くじゅう国立公園に位置し、日本初の事業用地熱発電所とし
て運転を開始して以来 30 年を経過した今も順調に安定運転を続けてい
る。また、約 2km 離れた八丁原発電所と約 20km 離れた滝上発電所の
遠隔監視も行っている。
図 5.17
大岳発電所
• 山川発電所
– 蒸気供給:九州地熱 (株)
– 発電部門:九州地熱 (株)
– 発電出力:30,000kW
– 運転開始:平成 7 年 3 月
– 所在地:鹿児島県山川町
– 備考:薩摩半島の南端に位置する。日本最南端の地熱発電所。海岸に近
く田畑に囲まれた場所にあり、薩摩富士の別名をもつ開聞岳の眺望は素
晴らしい。また、発電所近くの長崎鼻、指宿は南国情緒あふれる観光地
として有名。
48
図 5.18
山川発電所
• 大霧発電所
– 蒸気供給:日鉄鹿児島地熱 (株)
– 発電部門:九州電力 (株)
– 発電出力:30,000kW
– 運転開始:平成 8 年 3 月
– 所在地:鹿児島県牧園町及び栗野町
– 備考:霧島屋久国立公園の栗野岳山麓に位置する。霧島連山を望む地に
あるため、建物の形や色などは景観に配慮されている。宮崎県との県境
に広がるえびの高原は、山や湖が神秘的な景観を織りなし、新緑・ミヤ
マキリシマ・紅葉・樹氷など四季折々の自然美が楽しめる。
図 5.19
大霧発電所
49
• 霧島国際ホテル発電所
– 蒸気供給:大和紡観光 (株) 霧島国際ホテル
– 発電部門:大和紡観光 (株) 霧島国際ホテル
– 発電出力:100kW
– 運転開始:平成 8 年 3 月
– 所在地:鹿児島県牧園町
– 備考:霧島屋久国立公園、霧島連山の山麓、豊富な温泉と自然に恵まれ
た、神話のふるさと、丸尾温泉に位置。既存の温泉井を利用して、霧島
国際ホテルに設置されたわが国で始めての小規模地熱発電所。蒸気湿分
分離器で分離された熱水は温泉として利用されていた。現在はバイナ
リー発電方式に変更されている。
図 5.20
霧島国際ホテル発電所
• 世界の地熱
図 5.21
世界の地熱発電所
50
5.6
5.6.1
地熱発電のこれから
原子力・火力と地熱の比較
発電所の 1 基の発電容量でも地熱発電は現在の主力発電と比べると厳しいのが
本音である。地熱発電所の設備容量はおよそ5万 kW となっており原子力はおよ
そ 100 万kW、火力ではおよそ 60∼80 万kWである。地熱発電所が火力発電所 1
基に匹敵するには 10 基必要で、原子力では 20 基となる。また、地熱発電が火力
に代わるとなると、現在より 100 倍の発電設備容量がいることになる。
5.6.2
政府の動き
実際、経済産業省もことの重大さを受け止め、去年には資源エネルギー庁で地
熱発電研究会を発足させた。ここでは、現在の日本国内にどれだけの量の地下高
温資源があるかを再調査した。その結果は、インドネシアに次ぐ世界第 2 位の資
源量を日本の国土内に保有していることが判明した。また、その発電可能量は現
在国内にある全発電所の約1割に当たる2347万 kW である。しかし、全部が
開発できるというものではなく、このうちの約 8 割は国立公園内にあるというこ
とである。では、残りの 2 割でどれほどの発電ができるのであろうか。原子力発
電所の標準発電容量が約100万 kW となっている日本で原発3基相当の372
万キロワットが地熱発電で開発可能ということである。また、発電方式 RPS 法の
範囲であるバイナリー発電とすれば源泉掛け流しの井戸よりも湧出量の減衰は少
ないということである。また、近年開発されつつある温泉発電と組み合わせるこ
とでさらに833万 kW 相当も開発可能という。この 2 つが合わされば原発 10 基
分の発電を賄えることになる。
5.6.3
企業の動き
2009 年 1 月 3 日の日本経済新聞より抜粋。
—————————————————————————地下の熱水や蒸気を利用する地熱発電所の新建設計画がほぼ 20 年ぶりに国内で
動き出す。三菱マテリアルとJパワー(電源開発)2009 年度から事業化に乗り出
し、約 400 億円を投じて出力 6 万kWの発電設備を建設。日鉄鉱業と九州電力も約
200 億円で発電所を新設する。政府も今春に地熱発電支援策をまとめる方針で、二
酸化炭素をあまり出さず、燃料価格の乱高下リスクがない地熱を国産エネルギー
として活用する動きが広がりそうだ。
三菱マテリアルとJパワーは秋田県湯沢市で、地下 2000 m前後から熱水や蒸気
を汲み上げ、発電に利用する事業化に着手する。環境アセスメントなどを経て着
工、16 年にも稼動させる。電力は東北電力などへ販売する。日鉄鉱業と九州電力
51
は 15 年前後に、鹿児島県霧島市の既存地熱発電所(出力 3 万kW)の隣接地に新
たに 3 万kWの発電所を建設する。両社は同地でさらに数百億円を投じ、6 万kW
分の新設備も検討。周辺の地質調査を同時に進める。
出光興産の子会社、出光大分地熱(大分県九重町)も、2ヶ所目の地熱発電設
備建設に向け、09 年以降、本格調査などに取り掛かる計画だ。
経済産業省は地熱発電開発を支援する。電力会社担当者、学識経験者らが参加
する研究会を発足。4 月までに初期投資への資金支援や国立公園内で事業化時の規
制緩和策をまとめる方針だ。
日本は地熱資源に恵まれ、発電量は現在、新エネルギーの風力の約 2 倍、太陽
光の約 3 倍ある。ただ稼働中の地熱発電所は東北や九州地方など全国 18ヶ所(自
家用含む)だけで、出力合計は 50 万kW強と国内発電能力の 0.2%前後にとどまっ
ている。国内の地熱開発は石油危機後の 70 年代に進んだ。ただ原子力発電の普及
や化石燃料価格の下落で、火力などより出力が小さな地熱発電所建設は進まなかっ
た。出力 1 万kW以上の大型発電所は、九電と出光大分地熱が運営する滝上発電
所(大分県)が稼動した 96 年以来、途絶えていた。地熱発電は発電時に二酸化炭
素をほとんど出さず、設備建設や送電などを含めても二酸化炭素排出量は火力の
数十分の 1、原子力の半分程度。原燃料を海外に頼らないため為替や燃料変動のリ
スクもない。
——————————————————————————
これを見ると、政府だけではなく各企業も地熱発電の重要さに気づいたと考え
られる。また、2009 年には新規の建設計画が 20 基分ある。
52
5.7
5.7.1
地熱発電技術応用発電
高温岩体発電
高温だが天然の流体(熱水、蒸気)が含まれない岩盤を高温岩体(HDR:Hot
Dry Rock)といい、火山国である日本には大量に賦存すると考えられている。高
温岩体の持つ熱エネルギーを利用し発電するためには、まず地上から坑井を掘削
し、高温の岩体に圧力を加えて人工的にき裂(フラクチャ)を造り、人工的な貯
留層(き裂群)を造成する。次に坑井(注入井)をかいして水を地上から貯留層
内に通過させ、岩体の熱エネルギーを奪った水を他の坑井(生産井)から蒸気・熱
水として回収し、発電に利用する技術である。図 5.22 に簡単な説明を記す。
図 5.22
高温岩体発電概要
53
この発電方法により天然の蒸気の貯留層がなくても地熱発電が行えるというこ
とである。また、図 5.23 から分かるように、日本には高温岩体発電の有望地が多
くあり、天然の蒸気貯留層を見付けるよりも高い確率で蒸気を確保できる。
図 5.23
温度分布
現在はまだ研究・実証段階で実用化された例は存在しないが、日本では、昭和
60 年以来山形県肘折において実験を行おり。NEDO の資料によると、平成 3 年度
に深度 1,800m(温度約 250 ℃)付近の浅部人工貯留層に対して約 3ヵ月間の循環
抽熱試験を行い、深度 2,200m(温度約 270 ℃)付近の深部人工貯留層に対して、
平成 7 年度は 25 日間の予備循環抽熱試験を、平成 8 年度には 1ヶ月間の導通改善
循環試験を行い、熱水・蒸気の安定回収に成功したとある。また、平成 12 年度か
ら 14 年度にかけて、約 1 年 9ヶ月間の循環抽熱試験(長期循環試験) を実施し、前
半の約1年間は、深部貯留層のみに注水し貯留層の長期性能を評価する「深部循
環」を、後半の約 7ヶ月間は、浅部・深部貯留層へ同時に注水し貯留層相互の影響
や性能評価を行う「マルチ循環」を実施し、、約 550 日蒸気・熱水を安定的に回収
することに成功し、実用化に向けて貴重なデータを取得たとある。
54
高温岩体発電システムの研究は世界各地で行われており、日本、EC、スイス、
オーストラリアにおいて基礎的な技術に関する現場実験が行われています。また、
昭和 55∼61 年度の 7 年間に、IEA との実施協定に基づき、日・米・西独 3 国によ
る共同研究を行っていた。
5.7.2
温泉発電
温泉数
現在の日本の温泉分布は2005年で3868カ所に上る。
図 5.24
源泉数の推移
ただ、入浴に適さない湯温50度以上の温泉も多い。入浴に適した温度に下げ
るために水を混入すると、温泉成分が薄まることから、多くの旅館では高温温泉
水を未利用のまま捨てているのが実情。地熱技術開発では、全国の温泉のうち1
0%程度が温泉発電システムを利用できる温度があり、そのすべてに発電システ
ムの導入をすると総発電出力が71万 kW で、火力発電所1基分の出力に相当す
る規模になるという試算を出していおり、環境省によれば、温泉は毎年344カ
所(湧出量計毎時4万3600リットル)ほど増えると推定されている。
また、日本でも有数の高温温泉である草津温泉で開発計画が存在する。
以下抜粋
—————————————————————————
源泉で 1800 世帯分の大規模発電、草津温泉が計画
温泉の町・群馬県草津町が、高温の源泉を活用した大規模発電を計画している。
町内の約半数にあたる 1800 世帯分を賄える年間約 1040 万 kWh の電力を供給し、
売電した場合は約 1 億∼1 億 5000 万円の収入になるという。温泉利用の大規模発
電は国内に例がなく、クリーンエネルギーとしても期待がかかる。町によると、発
55
電方式は、アンモニア水を利用した「カリーナサイクル」と呼ばれる方法を採用。
沸点が-33 度と低いアンモニアの特性を生かし、 95.4 度の「万代源泉」でアンモニ
ア水を加熱する。一気に蒸気化させてタービンを回し、発電する。気化したアン
モニアは、凝縮機などで水と混ぜて再利用するため、理論上は半永久的に安定し
た発電が可能。二酸化炭素などの温室効果ガスもほとんど排出しないという。発
電に利用した源泉もそのまま旅館などへ給湯する。発電施設の建設費は約 5 億円
で、毎時 1290kWh の発電が可能。売電した場合、1kWh 当たり 9∼15 円が見込ま
れ、 東京電力に支払う送電線の借用料を差し引いても、8 年後には初期投資を回
収できるという。町は、来年にも新エネルギー・産業技術総合開発機構に補助金
を申請し、事業化を目指す。経済産業省の総合資源エネルギー調査会委員を務め
る柏木孝夫・東京農工大大学院教授(環境エネルギー・システム工学)は「構造が
複雑で割高にはなるが、実現できれば自然エネルギーによる電力自給の先進的な
モデルになる。環境と観光の融合という点でもメリットが大きい」と話している。
[読売新聞]
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温泉発電の仕組
温泉発電は大きく分類して2つある。
• 小規模バイナリー発電方式
この発電の仕組としては、バイナリー発電と同じである。2 次流体(低沸点
流体に限る)に水を混ぜた水溶液を使い、熱交換器によって温泉の熱を 2 次
流体に伝え、2 次流体を蒸発させ、その蒸気でタービンを回して発電する仕
組みである。
図 5.25 に 2 次流体をアンモニアとしたカリーナサイクルでの発電概要を示す。
低沸点の 2 次流体を使うことで発電に使用するために使う熱源体も温度が最
低でも約80度∼120度あれば発電できるということである。
• 熱電変換発電システム
この発電は、高温の源泉(90度以上)と冷却水の温度差を利用して熱電変
換素子で発電するものである。
熱電変換素子とは、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する電子部品
で、2種類の異なる金属または半導体を接合して作られます。この発電装置
の特徴としては、構造が簡単で動く部分がないため故障の心配が少ないこと
と、24時間休むことなく発電できることです。仕組を図 5.26 に、設備図を
5.27 に示す。
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図 5.25
図 5.26
カリーナサイクル
熱電変換素子
地中熱ヒートポンプ
地上の温度は季節などのよって変化するが、地中の温度はほぼ 1 年中一定となっ
ている。日本のように四季があり、夏は冷房・冬は暖房を使う地域には最適なシス
テムとなっている。 通常のエアコンは、夏季においては外気に熱を捨てて冷房
を行い、冬季においては外気から熱を奪い暖房を行います。それに対して地中熱
ヒートポンプは外気の代わりに夏季においては地中に熱を捨てて冷房を行い、冬
季においては地中から熱を奪い暖房をうというシステムである。システムの概要
図を図 5.28 に示す.
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図 5.27
図 5.28
温泉発電設備
地中熱利用ヒートポンプシステム
58
第6章
6.1
提案
はじめに
現在の日本では電気があるのが当り前になって、電気がなければ生活がしてい
けなくなっていると言ってもいいほどである。自分の回りを見渡せば、冷暖房、通
信手段、家具・家電などほとんどの物が電気によって動いていると言ってもいい
ほどである。これは、何も日本だけに言えたものではなく、全ての先進国に言え
る。また、新興国を見ても分かるように経済成長には電力が欠かせないのだ。
そのような状況で、化石資源からの脱却を日本がするためには、その代わりと
なるエネルギーが必要である。
そこで今回は、化石資源代替エネルギーとしての可能性が 1 番高い地熱発電に
ついての導入例などの提案を行う。
6.2
法整備の提案
地熱開発の発展には 1 番の原因である法律の妨げをどうにかしなければならな
い。というのも、地熱開発の有望地が国立公園内に多いということと地下熱水に
ついての法律が温泉法に偏っているあるからである。ここでは、自然公園法と温
泉法に対抗すべく地熱発電についての法律を提案するべきである。そこで重要な
のが以下の点である。
• 目的を地球温暖化防止や化石燃料エネルギー削減とする
• 自然公園内の制限区域における限定的な解除
• 温泉法における蒸気の温度制限の上限の設置
• 電力事業者への義務化
• 地熱発電開発への補助の強化
• 申請の簡略化へのシステム構築
などの要素が必要考える。
59
現行の法整備ではかなりのリードタイムを要するのは事実である。自然公園法・
温泉法・森林法・電気事業法・環境アセス法など多くの法律への申請をまとめて
出来るのならば開発のリードタイムはかなりの短縮が望める。
6.3
温泉組合との和解への提案
温泉組合の理解を得るためには、実際に使用してもらうのが 1 番であると考え
る。霧島国際ホテルで以前設置していた発電施設(背圧タービン方式・認可出力
100kW)は、コンテナを改造したものであった。2006 年に改装された、現在のバ
イナリー発電方式(認可出力 100kW)のものでもさほど大きさに変わりはないよ
うである。ということは、コンテナ 1 つ分ほどの土地があれば地熱発電所は設置
可能ということである。また、日本では 1m あたり約 10 万円といわれている掘削
費用も温泉組合では温泉井を所有しているので、大幅に削減できるはずである。
そして、温泉組合との和解の方法であるが、霧島ホテルの方式を使えばおよそ
5000 万円前後で設置出来るはずである。新規に地熱発電所を建設するよりもかな
りコストが抑えられる。また、電力単価も約 5 円という試算であるので、地熱発
電に理解がある温泉井を持ったホテルや旅館に対して設置を補助又は限定期間的
に発電システムを貸しあたえるということをしていくことで地熱発電が温泉と共
存できるという印象を植え付けていく方法が考えられる。実際、地熱発電システ
ムを持ったホテルは経営と売電で成り立っているところもある。これは、採算の
合わないホテルなどにとってはかなりおいしい話ではないだろうか。
新しい温泉の呼び名としてエコ温泉という分野を作り、その温泉に対しては補助
金などを支給するという措置を取るなどすれば導入を進めるのではないだろうか。
6.4
自然公園内における建設方法の提案
自然公園や山中において、人工的な建設物は不自然となる。これを解決するた
めには、地下に発電所を建設するしかないのである。また、地熱発電は蒸気発電
なので、発電に使用した高温の流体の冷却が必要である。蒸気の冷却による湯気
の排出を抑えるためには、発電後の流体を出来る限り熱交換させて、発電所自体
の暖房や給湯に無駄なく使う。さらには、自然公園内は電線が引けないため、付
近の施設に地下で蒸気や電力線の複合パイプラインを使って提供することで景観
を維持することが出来ると考える。
地下発電所を建てるのは夢のようなことではない。地下の巨大構造物として首
都圏外郭放水路の内部図を図 6.1 に示す。
この図から分かるように日本は地下にこれほど大きな空間を作ることが出来る
のである。
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図 6.1
6.5
首都圏外郭放水路
地域型・自家電力としての提案
地熱発電は大電力を生み出せる電力ではない。現に国内の地熱発電所の設備容
量は 5 万 5000kW が限界である(設備容量 11 万 kW の発電所があるが、タービン
を 2 基使用している)。一般的に 5 万 kW でおよそ 3 万世帯の電力を賄えるという
計算なので大電力を必要としない一般家庭への電力供給には問題がない。
6.5.1
地域密着型
地熱発電は地下に高温熱源もしくは蒸気貯留層がなければ成り立たない。日本
の地下火山帯は図 5.4 で示した通りである。この火山帯のラインに上もしくは近隣
にある物として必ずといっていい程温泉がある。そして、温泉があるところには
ホテルや旅館などの宿泊施設がある。宿泊施設は電気が各家庭のように切ること
は少ない。通路などは絶対的に電気がついている。また、冷暖房についても絶対
といっていいほどついていることが多い。そのような場所の電力供給として地熱
発電を積極的に導入していくべきではないだろうか。また、地熱発電所につきも
のである湯気の排気についても温泉街から出ているのならば、なんの違和感も感
じないはずである。
6.5.2
自家用
現在、個人所有となっている発電所は 5ヶ所ある。そのうち、ホテルが所有して
いる発電所は 3ヶ所であり、九重観光ホテルが所有する設備容量 500kW、杉乃井
61
ホテルが所有する設備容量 1900kW、霧島国際ホテルが所有する地熱発電では日
本最小の設備容量 100kW の地熱発電所がある。
1 番導入が簡単である霧島国際ホテル(出力 100kW)を例にとる。
以前使用していた方式では蒸気生産井・還元井及び温泉井の掘削費用を除外し
たものとすると、設備は 2.5m × 6.2m のコンテナを改造して作られた物であるか
ら設備費(タービン・総配電設備を含む)は 5000 万円で設置できる。また、井を
堀り直した時もコンテナなので移動が容易である。また、利用効率 80%・電力単
価 22 円として試算すると年間 1500 万円を節約出来き、償却も 4 年で済む。この設
備を使えば点検整備を含めても 6 年で確実に元をとることができる。
バイナリー発電方式に変わっても井の掘削は必要なく、設備の大きさもそれほ
ど変わらないようである。設備費(総配電設備を除く)としては 3500 万円で既存
エネルギーによる代替効果は年間 45kl である。
全国に温泉井が蒸気として噴出している地点は 2006 年 3 月末時点で 1162ヶ所あ
る(環境省より)。この中で、霧島国際ホテルと同等の条件を満たすものがあるな
らば、同程度(設備容量 100kW)の発電設備が可能である。また、カリーナサイ
クルを使うのであれば 70 度以上の流体が湧出していれば発電が出来るはずである
ので、発電可能地点は増加することになる。
62
第7章
まとめ
• 日本のエネルギー自給率は世界的にも極めて低く、化石資源輸入依存である。
また、輸入地域にも依存している。
• 国内の電力は、昼間のピークでは火力・原子力が大部分を占めており、夜間
は原子力・石炭火力により電力をまかなっている。そして、地熱発電も割合
としては 0.2∼0.3%であるが 1 日を通して安定した電力を供給している。
• 地熱エネルギーは自然エネルギーの中は優秀であり太陽光発電や風力発電で
使用するような不安定なエネルギーではない。また、発電だけではなく冷暖
房や給湯など使用出来る分野は様々である。
• オイルショック時には代替エネルギーとして注目されたが、法律・温泉組合・
高額な初期投資・掘削技術などの障害によって開発が衰退していった。
• 地熱発電に関する技術などは世界でも高く評価されている。
• 日本国内には世界 2 位の地熱資源量があり、開発制限区域の自然公園以外だ
けでも原子力発電所約 3 基に相当する電力が発電でき、地熱発電応用技術な
どを確立することが出来ればさらに発電量は増える。
• ここ 20 年程は新規の建設や増設などはなかった。しかし、昨年より経済産
業省資源エネルギー庁で研究が発足するなど地熱発電に注目が集まってきて
いる。さらに、今年(2009 年)は 20 基という大規模な新規地熱発電の建設
が計画されている。
63
第8章
まとめ (訂正)
自然エネルギ-の有効利用と化石資源の減少により日本でも導入された地熱だが、
初期コストに見合った発電量がなく地熱資源もどこにでもあるとは限らないとい
う背景により時代と共に衰退していった。今日、地熱発電が見直され始めている
が国内の総資源埋蔵量を全て開発しても 10%に満たないという結果が出た。
ベース電力として使用できる物ではあるが、自然公園などの犠牲を払ってまで開
発したとしてもこの発電割合では割りに合わないといったところであろう。
しかし、一般電力でなければ十分に活用できる物である。高温工場排水・温泉
事業者など高温の流体を持っているところでは地熱探査などの費用が必要ないた
め温度さえ満たすことができれば導入することが可能である。現に、既に自家用
の発電所を持ったホテルでは、使用電力のほとんどを自家発電でまかなっている。
今後の地熱発電が活躍出来るフィールドとしては、自家用というのが妥当である。
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69
第9章
9.1
謝辞
謝辞
書籍の提供及びアドバイス、パソコンの使いかたなど教えてくださった岸本先
生、また、院生の方々に感謝いたします。
70
付 録A
あとがき
あとがき
1
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