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第1章 手形
資格を獲って天下統一! 日商簿記 2 級試験対策 第1章 手形 速習テキスト 第1章 手形 第1節 手形の種類と会計処理 ~1. 約束手形~ 手形について学ぼう! 約束手形とは、手形の振出人が、名宛人(受取人)に対して、手形の支払 期日までに、手形に記載されている金額を自ら支払うことを約束した証券で す。 \ 替手形 為 まずは、手形からじゃ。 2 級ではより多くの手形の仕訳方法を学習するぞ!! 復習も兼ねてしっかり学んでいくのじゃぞ。 (1)約束手形の会計処理 約束手形を振り出すと、後日手形の代金を支払う義務が発生するため、振 出人は負債の増加として支払手形勘定の貸方に記入します。 受取人は、後日手形の代金を受け取る権利が発生するため、資産の増加と 序節 手形ガイダンス して受取手形の借方に記入します。 <仕訳例> 仕訳 ~1. 手形とは~ ●手形振出時 a.振出人 商品売買取引の代金決済には、現金や小切手のほか、手形を用います。手 形とは、満期日に、手形に記載されている金額を支払うことを約束した証券で、 法律上、約束手形と為替手形に分類されます。 -8- (借) ( ) ××× (貸) 支 払 手 形 ××× b. 受取人 (借) 受 取 手 形 ××× (貸) ( ) ××× -9- 資格を獲って天下統一! 日商簿記 2 級試験対策 第1章 手形 速習テキスト (2)為替手形の名宛人(引受人)の会計処理 仕訳 ●手形決済時 為替手形の手形代金の支払義務は、手形の代金の支払い依頼を受けた「引 a.振出人 (借) 支 払 手 形 ××× (貸) 当 座 預 金 ××× b.受取人 (借) 当 座 預 金 ××× (貸) 受 取 手 形 ××× 受人」に発生するということを理解しましょう。 <仕訳例> 仕訳 ●為替手形を引き受けた (借) ( ) ××× (貸) 支 払 手 形 ××× ~2. 為替手形~ 為替手形とは、手形の振出人が名宛人(引受人)に対して、受取人に手形 の代金を支払うように依頼する証券です。 (1)為替手形の振出人の会計処理 為替手形を振り出すということは、他人に手形代金の支払いを依頼すると いうことなので、なぜ依頼をできるのかを理解しておくことが重要です。 (3)為替手形の指図人(受取人)の会計処理 為替手形の受取人には、手形の代金を受け取る権利が発生します。 <仕訳例> 仕訳 具体的には、得意先等から後日代金を受け取ることができる権利である売 ●為替手形を受け取った 掛金を免除する代わりに他人への代金の支払いを依頼します。 (借) 受 取 手 形 ××× (貸) ( ) ××× <仕訳例> 仕訳 ●為替手形を振り出した (借) ( ) ××× (貸) 売 掛 金 ××× - 10 - - 11 - 資格を獲って天下統一! 日商簿記 2 級試験対策 第1章 手形 速習テキスト 第2節 自己受為替手形と自己宛為替手形 為替手形は、三者間での取引に用いられますが為替手形を二者間で用いる (2)プロシーズ株式会社に対する買掛金¥30,000 について、同社振り出し、 指図人の為替手形の呈示を受け、引き受けを行った。 仕訳 (借) 買 掛 金 30,000 (貸) 支 払 手 形 30,000 パターンを学習します。 ~1. 自己受為替手形 (自己受取為替手形) ~ 自己受為替手形とは、振出人と受取人が同一である為替手形をいいます。 このような手形は、売掛金を手形債権に転換して債権の存在、支払期日を明 確にする手段として用いることがあります。 自己宛為替手形とは、振出人と名宛人(引受人)が同一である為替手形を いいます。 このような手形は、東京本社が大阪支社に大阪の取引業者に対して買掛金 ③為替手形の振出 (株)プロシーズ ~2. 自己宛為替手形 (自己名宛為替手形) ~ ①支払いの呈示 ②支払いの引受 を支払ってもらいたいとき、東京本社が大阪支社を名宛人(引受人)、大阪の 堺筋 (株) 取引業者を指図人(受取人)とするような場合に用いることがあります。 (株) プロシーズ ④手形代金の支払い とする為替手形¥50,000 を振り出し、同社の引き受けを得た。 ③為替手形の振出 ②支払いの引受 (1)堺筋株式会社に対する売掛金回収のため、同社を名宛人、当社を受取人 ①支払いの呈示 <仕訳例> 東京本社 い 払 支 の 金 代 形 手 ④ 江坂支店 仕訳 (借) 受 取 手 形 50,000 (貸) 売 掛 金 - 12 - 50,000 - 13 - 梅田 (株) 資格を獲って天下統一! 日商簿記 2 級試験対策 第1章 手形 速習テキスト <仕訳例> 手形を裏書きしたときは、支払人が支払いを拒絶した場合にその債務を代 (1)梅田株式会社に対する買掛金¥80,000 について、指図人梅田株式会社、 名宛人当社堺筋支店とする為替手形を振り出し、交付した。 わって負うリスクの可能性を時価評価し、これを保証債務勘定(負債)の貸 方に記入し、同額を保証債務費用勘定(営業外費用)の借方に記入します。 仕訳 (借) 買 掛 金 80,000 (貸) 支 払 手 形 80,000 (株) A 商品 ①約束手形振出 (株) B ②Cに対する 買掛金支払いのために 「A振出」 の約束手形 約束手形 A 裏書譲渡 (株) C 約束手形 A 約束手形 A ③支払期限日に手形代金を 支払う予定 (2)プロシーズ株式会社に対する売掛金¥100,000 について、当社を指図人 とする引受済為替手形を受け取った。 仕訳 (借) 受 取 手 形 100,000 (貸) 売 掛 金 100,000 <仕訳例> 買掛金の支払いのため、手持ちの手形¥150,000 を裏書譲渡した。なお、 保証債務の時価は額面の 2%である。 第3節 手形の裏書・割引 仕訳 (借) 買 掛 金 150,000 (貸) 受 取 手 形 150,000 (借) 保証債務費用 3,000 (貸) 保 証 債 務 3,000 所有する手形を第三者に裏書譲渡した場合と金融機関で割り引いた場合の 処理を学習します。 ~1. 手形の裏書時の保証債務の計上~ 手形の裏書きとは、所有する手形を他人に譲り渡すことをいいます。裏書 きした場合、その手形の支払人が万一、支払いを拒絶したとき(不渡り)に、 その手形を買い戻さなければならないという二次的責任(偶発債務)を負う ことになります。 - 14 - - 15 - 資格を獲って天下統一! 日商簿記 2 級試験対策 第1章 手形 速習テキスト ~2. 手形の割引時の保証債務の計上~ ~3. 裏書 ・ 割引した手形の決済時の処理~ 手形の割引とは、所有する手形を支払期日前に換金することをいいます。 裏書・割引した手形が無事決済されたときには、支払人に代わって債務を 裏書時と同様に その手形の支払人が万一、支払いを拒絶したとき(不渡り) 負う可能性はなくなったということなので、保証債務勘定の借方に記入して に、その手形を買い戻さなければならないという二次的責任(偶発債務)を 取消し、保証債務取崩益勘定(営業外収益)の貸方に記入します。 負うことの理解が重要となります。 手形を割引したときの処理は、基本的に裏書時と同様ですが、保証債務費 用を手形売却損勘定(営業外費用)に含めて表示する場合もあります。 (株) A <仕訳例> 手持ちの手形¥150,000 を割り引き、割引料¥2,000 を差し引かれた残額 商品 ①約束手形 振出 (株)B 商品 ② 「A振出」 の 約束手形 約束手形 A が当座預金に入金された。なお、保証債務の時価は額面の 2%である。 ③決済 (株)C 約束手形 A 約束手形 A 支払期限日に手形代金を 支払う予定 ⇓ 仕訳 予定通りの支払い (借) 当 座 預 金 148,000 (貸) 受 取 手 形 150,000 手 形 売 却 損 2,000 (借) 保証債務費用 3,000 (貸) 保 証 債 務 3,000 <仕訳例> かねて裏書譲渡していた手形¥150,000 が決済された。この手形に対して なお、保証債務費用を手形売却損に含めた場合の仕訳は以下のようになり 保証債務を額面の 2%計上してあり、これを取り崩す。 ます。 仕訳 仕訳 (借) 当 座 預 金 148,000 (貸) 受 取 手 形 150,000 手形売却損 5,000 (借) 保 証 債 務 3,000 (貸) 保証債務取崩益 3,000 保 証 債 務 3,000 - 16 - - 17 -