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鳥取市の住民税、国民健康保険料 - 開かれた市政をつくる市民の会
鳥取市の住民税、国民健康保険料、介護保険料等の県内他自治体との比較 (2014/10/15) (1)個人に対する住民税 個人の前年の収入に対して課せられる税金には、国の財源となる所得税と、県や市町村の財源 となる住民税があります。現在、住民税は次の式で計算されています。 「一世帯当たりの住民税」=「所得割額」+「均等割額」 「所得割額」= (前年の総所得金額-所得控除額)×(市町村民税6%+県民税4%)-調整控除額 「均等割額」=市町村民税3000円+県民税1000円 国の法律改正により、平成 19 年 6 月以降は原則的に全国一律で上の計算式が適用されていま す。従ってよほどのことが無い限り、住んでいる自治体によって住民税の税率が異なることはあり ません。 参考: (http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E6%B0%91%E7%A8%8E 又は、http://juuminzei.com/html/keisan.html) なお、今年4月の市長選挙の際に、現市長の陣営は「当選しても住民税は上げません」と一部の 学習会で宣伝していました。正しくは「上げません」ではなくて、 「国の法律上、鳥取市が勝手に上 げることはできない」のです。市民の税金に関する知識が無いことにつけ込んで、選挙を有利に進 めようとしたことは明らかであり、極めて悪質な手口です。 また、鳥取市議会与党の一部の議員は、現在でも、 「今後も絶対に住民税は上げません」と支援者 に約束しているそうです。 『自分たちが上げられもしない税金を、さも、上げないように努力してい るように見せかける』というこんなゴマカシを公然と行っている市議会議員には、市民に対する誠 実さという議員としての資格が最初から欠けています。こんな人を絶対に市会議員にしてはなりま せん。くれぐれもご注意ください。 (2)国民健康保険、後期高齢者医療制度、介護保険について 国民皆保険制度が完備している日本では、職場の健康保険の加入者、国民健康保険組合の加入者 (建設業・医療従事者等)、生活保護受給者、後期高齢者医療制度対象者(主として、75 才以上の すべての国民)を除き、残りの国民すべては、その居住市町村が運営する国民健康保険に加入しな ければなりません。現在、国民の約三割が国民健康保険の対象者となっており、その主な構成員は 自営業者、農業者、退職者、非正規労働者等です。 国民健康保険の加入者に対しては、毎年六月頃に住んでいる自治体から保険料の通知が送られて きます。その通知の中には国民健康保険の医療保険料(以下、医療分)の請求書に合わせて、後期 高齢者支援制度の現役世代支援金(以下、支援分)と介護保険の保険料(世帯の中に 40 才以上の人 がいる場合のみ。以下、介護分)の請求書も同封されています。 国民健康保険ではなく職場の健康保険に入っている人に対しては、毎月の給与からの天引きの形 で、医療保険料、後期高齢者医療制度支援金、介護保険料が徴収されます。 職場の医療保険は国民健康保険とは別会計であり国保医療分とは直接の関係はありませんが、後 期高齢者支援金と介護保険料は各自治体の特別会計の財源になります。国保の支援分と介護分が高 額である自治体の居住者は、職場の健康保険の加入者であっても国保加入者と同様に高額な支援金 と介護保険料を払わなければなりません。 ここで、後期高齢者医療制度と介護保険について簡単に説明しておきます。 ①後期高齢者医療制度 75 才以上の国内居住者全員と 65~74 才で障害のある人が医療支援の対象者です。平成 20 年度 (2008 年)に制度が発足しました。平成 24 年度現在、国民の約 12%に当たる 1490 万人が対象で あり、毎年約 40 万人ずつ増加しています。自治体又は自治体連合で特別会計を設けて運用していま す。 現時点での財源は国・県・市町村からの補助が五割、現役世代からの支援金が四割、残りの一割 が被保険者の保険料です。現役世代の支援金は加入している医療保険に関係なく、子供も含めて 74 才以下の国民全員が負担しなければなりません。 (参考: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BE%8C%E6%9C%9F%E9%AB%98%E9%BD%A2%E8 %80%85%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%88%B6%E5%BA%A6 又は http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/koukikourei/i ndex.html) ②介護保険制度 社会の高齢化に伴う介護の必要性の高まりに応じて、平成 12 年度(2000 年)から施行された制度 です。平成 23 年現在、国民の約六割に当たる 7277 万人が被保険者であり、531 万人が認定され て介護サービスを受けており、この数は年々増加しています。市町村ごとに特別会計を設けて運用 しています。 市町村に居住する 40 才以上の人は、自動的に住んでいる自治体が運営する介護保険の被保険者と なります。 このうち 65 才以上の人を第一号被保険者、40~64 才の人を第二号被保険者と呼びます。 生活保護受給者などの医療保険に加入していない人は第二号被保険者には含まれません。第一号被 保険者は病気等の原因を問わず、必要と認められた場合に介護サービスを利用できます。第二号被 保険者は、末期ガンなど 16 種類の特定疾病により介護が必要になった場合に限って介護サービスを 利用できます。 介護保険の財源は国・県・市町村からの補助が五割、被保険者からの保険料が五割です。保険料 は加入している医療保険を経由して、40 才以上の被保険者から徴収されます。 (参考: http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/i ndex.html 又は http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%8B%E8%AD%B7%E4%BF%9D%E9%99%BA) (3)鳥取市と県内他自治体の国民健康保険料、介護保険料等の比較 県内の各自治体の国民健康保険料の比較が、次の県のサイトに載っています。 福祉保健部医療指導課サイト:http://www.pref.tottori.lg.jp/70904.htm このサイトの中の「平成 26 年度国民健康保険料(税)決定状況」の表から、鳥取市など県内四市、 鳥取市の周辺町村などの税率を書き出すと次の二つの表になります。比較のために、鳥取市よりも 税率が高くなる自治体の数字を太い赤字で示しました。各税率の説明は以下のようになります。 所得割:前年の控除後所得に掛ける税率。世帯所得に比例。 資産割:当年度に所有する固定資産税に掛ける税率。世帯の所有資産に比例 均等割:世帯の中の被保険者人数一人当たりへの請求額。 平等割:一世帯当たりの請求額。世帯人数には関係しない。 調定額:その自治体で実際に各自治体が一人あたりに請求する保険料の平均値。市民に実際に請 求される金額の自治体別の平均を示しています。 表-1 県内四市の国保料の比較 鳥取市 米子市 倉吉市 境港市 県平均 所得割(%) 7.9 7.31 6.8 6.97 6.66 資産割(%) 16.8 16.4 22.0 21.47 24.81 療 均等割(\) 23,800 21,500 24,600 24,700 22,414 分 平等割(\) 27,200 21,500 22,400 25,300 19,653 調定額(\/人) 63,916 57,601 59,263 60,308 59,760 所得割(%) 2.6 2.3 1.9 1.78 2.29 資産割(%) 4.4 9.6 6.0 5.3 8.95 援 均等割(\) 8,500 8,000 6,800 6,100 7,851 分 平等割(\) 6,500 7,500 6,200 6,300 6,490 調定額(\/人) 20,176 20,069 16,570 15,312 19,545 所得割(%) 2.2 1.95 1.55 1.82 2.08 資産割(%) 4.4 9.6 6.5 6.51 9.79 護 均等割(\) 9,000 9,200 8,500 9,000 9,120 分 平等割(\) 6,200 4,800 5,000 4,800 5,461 調定額(\/人) 21,768 20,434 18,903 19,811 21,705 医 支 介 表-2 鳥取市と周辺町村の国保料の比較 鳥取市 岩美町 八頭町 若桜町 智頭町 湯梨浜町 所得割(%) 7.9 6.3 7.3 9.8 5.5 6.6 資産割(%) 16.8 29.3 23.6 47.0 30.0 29.0 療 均等割(\) 23,800 20,060 21,200 28,600 20,000 25,000 分 平等割(\) 27,200 14,810 17,600 25,600 19,000 21,000 調定額(\/人) 63,916 50,678 56,020 72,740 44,699 61,259 所得割(%) 2.6 3.2 3.81 2.0 1.9 1.8 資産割(%) 4.4 15.5 10.8 9.3 8.6 6.0 援 均等割(\) 8,500 9,960 9,700 6,000 7,200 6,500 分 平等割(\) 6,500 7,610 7,900 5,200 6,000 5,200 調定額(\/人) 20,176 24,568 26,346 15,311 15,046 15,983 医 支 所得割(%) 2.2 4.0 3.61 1.4 1.6 1.8 資産割(%) 4.4 24.3 12.5 12.0 9.2 7.0 護 均等割(\) 9,000 13,680 10,800 8,000 8,400 7,500 分 平等割(\) 6,200 7,250 5,600 4,800 5,000 4,500 調定額(\/人) 21,768 35,223 29,844 15,984 16,850 20,501 介 この表から言えることは、次の三点です。 ① 所得に掛ける所得割の税率は、鳥取市は他の県内三市に比べて全ての項目で高い。周辺町村と 比較しても、所得割が鳥取市よりも高い町村はわずかである。 ② 固定資産に掛ける資産割の税率が、鳥取市はどの項目でも、どの他自治体に対しても著しく低 い。唯一の例外は、米子市の医療分の資産割が鳥取市よりも 0.4%低いことだけである。 (一言で言えば、鳥取市の保険料の決め方は、多くの資産を所有する資産家層には極めて有利で あり、資産をほとんど持たず主に給与だけで生活している勤労者層にとっては、たいへん不利な内 容となっています。いったい、誰がこんな内容に賛成したのでしょうか?) ③ 一人あたりの請求額である調定額についても、鳥取市は全ての項目で他の三市及び県内平均に 比べて多額となっています。高齢化が進み鳥取市よりも財政的に不利であるはずの周辺市町村と比 べてみても、鳥取市の調定額を超える自治体はわずかなのです。 実際には各自治体によって平均的な所得、家族構成、資産額が異なります。そこで、厳密な比較 するために、標準的なモデル世帯を想定して、各自治体別に実際の請求額を試算してみました。 ・モデル-1(固定資産あり) 5人家族、世帯総収入 581 万円、固定資産税額 7 万円 家族構成 夫:45才 妻:42才 (パート収入) 夫の母:68才 (年金) 子ども二人 合計 給与等の収入 (万円) 給与控除後の給与所得 (万円) 300 192 98 33 183 63 0 0 581 288 ・モデル-2(固定資産なし) モデル-1と同一家族構成で同一収入だが、固定資産税が 0 円。 各項目の計算式は次のようになります。 ① 国民健康保険料(医療分)= (前年の総所得金額-基礎控除33万円)×(所得割料率) +(固定資産税額)×(資産割料率)+(均等割額)×(保険加入人数)+(平等割額) ② 後期高齢者制度支援金(支援分)= (前年の総所得金額-基礎控除33万円)×(所得割料率) +(固定資産税額)×(資産割料率)+(均等割額)×(世帯人数)+(平等割額) ③ 介護保険料(介護分)= (64 才以下の人の前年の総所得金額-基礎控除33万円)×(所得割料率) +(固定資産税額)×(資産割料率)+(均等割額)×(40~64 才の世帯人数)+(平等割額) 注:介護保険料は 65 才以上の人からは年金からの天引きで徴収されるため、所属する世帯にはその人の分の 請求は来ませんが、65 才以上の人も介護保険料を負担することには変わりがありません。 さて計算結果は次のようになります。実際の請求時には、計算の途中又は計算結果で百円未満の 桁は切り捨てとなるので、下の計算結果とは百円程度異なることがあります。 表-3 県内四市の国保料の比較(モデル世帯について) モデル-1 固定資産 あり モデル-2 固定資産 なし 項目 鳥取市 米子市 倉吉市 境港市 県平均 医療分(\) 307,270 278,639 289,320 295,562 274,964 支援分(\) 101,220 97,690 80,310 74,152 95,291 介護分(\) 62,260 60,925 51,195 56,295 63,626 合計(\) 470,750 437,254 420,825 426,009 433,881 鳥取市との差額(\) 0 -33,496 -49,925 -44,741 -36,869 医療分(\) 295,510 267,159 273,920 280,533 257,597 支援分(\) 98,140 90,970 76,110 70,442 89,026 介護分(\) 59,180 54,205 46,645 51,738 56,773 合計(\) 452,830 412,334 396,675 402,713 403,396 鳥取市との差額(\) 0 - 40,496 - 56,155 - 50,117 - 49,434 表-4 鳥取市と周辺町村の国保料の比較(モデル世帯について) モデル-1 固定資産 あり モデル-2 固定資産 なし 項目 鳥取市 岩美町 八頭町 若桜町 智頭町 湯梨浜町 医療分(\) 307,270 254,690 278,090 386,720 243,950 291,040 支援分(\) 101,220 128,740 135,969 79,510 83,930 75,920 介護分(\) 62,260 115,220 93,349 51,460 53,680 53,020 合計(\) 470,750 498,650 507,408 517,690 381,560 419,980 鳥取市との差額(\) 0 27,900 36,658 46,940 -89,190 -50,770 医療分(\) 295,510 234,180 261,570 353,820 222,950 270,740 支援分(\) 98,140 117,890 128,409 73,000 77,910 71,720 介護分(\) 59,180 98,210 84,599 43,060 47,240 48,120 合計(\) 452,830 450,280 474,578 469,880 348,100 390,580 鳥取市との差額(\) 0 -2,550 21,748 17,050 - 104,730 - 62,250 他の三市との比較では、調定額から予想したとおり、鳥取市では他市に比べて年間に五万円程度 (固定資産を持たない場合)も余計に負担しています。 驚くのは、周辺町村との比較結果です。固定資産を持たないモデル世帯が、鳥取市から智頭町に 引っ越した場合には年間十万円以上、湯梨浜町への場合は年間六万円以上も負担が軽くなるのです。 国保料だけで見れば、持ち家を持っていない世帯は、鳥取市から智頭町に引っ越して鳥取市に通勤 した方が「はるかにお得!」ということになります。 また先に予想したように、かなりの固定資産を持っている世帯では他自治体との負担の差が少な いのに対して、固定資産を持たない世帯では他自治体に比べてより多額の保険料負担となっていま す。 次に、県内各自治体の高齢化率(65 才以上の人の数が占める割合)を下の表に示します。 (県統計課サイト:http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=151280) 表-5 県内自治体の高齢化率(%) (H22 年 10 月時点での推計値) 鳥取市 米子市 倉吉市 境港市 岩美町 八頭町 若桜町 智頭町 23.2 24.2 28.6 26.6 30.1 28.1 40.7 36.0 湯梨浜町 26.9 全県 26.3 県内で鳥取市よりも高齢化率が低いのは、この表には示していませんが人口約三千人の日吉津村 の 23.1%だけです。言わば、鳥取市は県内で一番若い街と言ってよく、他の市町村は鳥取市よりも 高齢者の割合が多いのです。若い人が一番たくさんいる鳥取市よりも、鳥取市に比べて高齢者率が 5%以上高い倉吉市や約 13%も高い智頭町の方が、介護保険料も含めた国保料がはるかに安いとい うのは、いったいどういうことでしょうか?鳥取市の国保料は、固定資産を持たない世帯の場合、 高齢化率が四割の若桜町の国保料と大差がないのです。 鳥取市の国保料がこんなに高額になった背景には、市民の市政に対する無関心があります。今年 春の市長選では新人三人が三つどもえの激戦をくりひろげましたが、投票率は予想外に低く有権者 の半分程度の 53.0%でした。四年前の H22 年 11 月の前回市議選の投票率では 57.2%でした。有 権者の半分近くは、「誰が当選しても同じこと」と思っているように見えます。 でも本当に、 「誰が当選しても同じ」なのでしょうか? 今の鳥取市政は、竹内前市長の十二年間のカジ取りの結果であり、竹内氏の後継者であることを 公式表明した前副市長がこの春の市長選で当選したので、この流れはまだ続いています。 竹内市政での与党会派(新、清和会、公明党、無所属の一部)は常に議会の六割以上を占め、与 党に所属する議員の大半は、前市長の施策のほとんどについて賛成し続けて来ました。市長が別の 人物であったなら、あるいは市長が竹内氏のままであっても市長の施策を厳しくチェックする市議 が多かったなら、鳥取市の国保料はここまで高くなっていたのでしょうか? 智頭町や湯梨浜町の首長や議員とおなじような考えを持つ人が、今までに鳥取市の市長や市議の 過半数になっていたならば、私たち鳥取市民は今のように高額な負担をしなくて済んだはずです。 智頭町に比べて国保料が標準的世帯あたりで四年間合計で約四十万円も高くなったのは、今までの 市長選や四年前の市議選で私たち市民の選択が不適切であったこと、あるいは、 「投票に行かず選択 の機会をみずから放棄した」ことの結果なのです。 市長選・市議選の結果は、私たちの財布の中身にすぐに影響してきます。 決して、「誰が当選しても同じ」ではないのです。 次の今年十一月の市議選では、どの候補がいままで議会でどんな行動をとって来たのかをよく確 認しましょう。新人候補の場合には、他の市町村に比べて高額な国保料の問題や、市庁舎新築移転 問題に象徴される市のムダ遣い体質に対して、今後どのように行動するつもりなのかをきびしくチ ェックしましょう。 くり返しますが、今の鳥取市では、市政に無関心で市長選・市議選の投票に行かない有権者が多 ければ多いほど、市民の大半が損をする仕組みが出来上がっているのです。 「あなたまかせ」でいると、結局、損をするのは私たち自身です。 (4)鳥取市の国民健康保険と介護保険の特別会計の推移 国民健康保険の医療分の財源ですが、加入者の納める保険料だけでは医療を受ける際の給付金を まかなうことが出来ません。足りない分は国・県と市が負担しています。 鳥取市の国民健康保険(医療分)の財源区分の最近の推移を下のグラフと表に示します(鳥取市の 各年度特別会計当初予算 http://www.city.tottori.lg.jp/www/genre/0000000000000/1187664203824/index.html から抽出) 。 当初予算歳入(億円) 財源種類 国・県 保険料収入等 市一般財源 合計 H21 H22 H23 H24 H25 H26 51.74 59.12 56.41 55.43 56.27 56.26 111.18 99.50 115.96 122.80 129.39 123.36 12.65 17.41 20.31 17.05 16.10 16.98 175.57 177.03 192.68 195.28 201.84 196.64 平成 26 年度の財源全体の約 197 億円の中で鳥取市の負担分は 17 億円です。この金額を鳥取市 は一般会計から国民健康保険特別会計に対して補助しているわけです。 今まで見てきたように、鳥取市の国保医療分の保険料は県内の他の三市や県内平均に比べてかな り高額です。国保特別会計に対する一般会計の補助金を増やせば市民の支払う保険料を安く出来る のですが、市が最近やっていることは全く正反対で、補助金はピークの平成 23 年度に比べて今年度 は 3 億円以上も減らされています。 次に介護保険特別会計について、同様に最近の財源の推移を下にグラフと表で示します。介護保 険の予算額は毎年増え続けており、鳥取市の場合、あと二、三年で介護保険予算が国民健康保険(医 療分)予算を超えると予想されます。 (鳥取市の各年度特別会計当初予算 http://www.city.tottori.lg.jp/www/genre/0000000000000/1187664203824/index.html から抽出) 。 鳥取市介護保険の財源推移 250 当 200 初 予 150 算 ( 100 億 円 50 ) 市一般財源 保険料収入等 国・県 0 H21 H22 H23 H24 H25 H26 当初予算歳入(億円) 財源種類 H21 H22 H23 H24 H25 H26 国・県 51.72 55.77 57.66 61.75 66.28 70.62 保険料収入等 62.07 67.79 68.68 72.54 79.43 83.54 市一般財源 19.00 20.42 20.78 21.75 23.76 25.05 132.79 143.97 147.13 156.05 169.47 180.26 合計 鳥取市の介護保険予算は一年に約 10 億円ずつ増えています。今年、いわゆる団塊世代の全てが 65 才を越えることになるので、今後は介護対象者が増えて介護保険の費用の増加がさらに急速にな る恐れがあります。 平成 26 年度現在、鳥取市の一般会計から介護保険特別会計の補助は約 25 億円であり、市の負担 は平均で毎年約 1 億円以上増え続けています。介護保険では市の負担分は国の法律で予算全体の 12.5%程度と決められており、介護保険の費用が増えるほど市の一般会計の負担も比例して増える ことになります。 次に、鳥取市の後期高齢者医療制度の特別会計は、国保医療分や介護保険に比べるとまだ予算 規模が小さく、平成 26 年度で 19.4 億円の規模です。この財源として鳥取市は一般会計から 4.7 億 円を補助しています。この特別会計も年々増える傾向であり、市の一般会計からの補助も増加して います。 以上をまとめると、平成 26 年度現在、鳥取市の一般会計から国民健康保険、介護保険、後期高齢 者医療制度への補助金を合計すると約 47 億円となります。この金額は高齢化に伴って今後さらに増 加することは確実であり、一般会計への負担も増加します。 さらに、市所有の施設(小中学校、体育館、文化施設、本支庁舎、公民館等)は老朽化が進んでお り、今の施設を今後も維持しようとするならば、市自身の試算でも今後 50 年間にわたって毎年約 65 億円の出費が必要になるとしています。この試算には市有の道路・橋、水道・下水道の補修費用 は含んでいないので、それらを合わせるとさらに出費が大幅に増えます。 (鳥取市公共施設白書: http://www.city.tottori.lg.jp/www/contents/1392855774709/index.html) 市の一般会計への負担が膨らむ一方で、市歳入の約三割を占める国からの地方交付税は来年度 から削減されることがすでに決まっています。合併してから十年間の特例として認められていた合 併算定替という制度が六年後に完全に廃止されるので、平成 32 年(2020 年)には今よりも地方交付 税が 57 億円も減額になります。一般会計予算規模が 900 億円程度の鳥取市にとってはたいへんな 打撃です。 今まで述べてきたように、国保・介護保険などの社会保険費用や、施設や道路などのインフラの 補修費用が今後増加することは、誰が見ても明らかです。一方、国からの仕送りである地方交付税 の減額も確実です。市の人口減少と経済の不振で個人・法人からの税収も低下傾向です。今後、景 気が良くなるとしても、市税は良くて現状維持が精いっぱいでしょう。 こんな時に、周辺整備費用を含めれば総額で 100 億円を軽く超えると見込まれる市庁舎新築移転 事業など、絶対に実施すべきではありません。そんなカネがあるのなら、国保や介護保険特別会計 への補助金を増額して市民の負担を減らすべきです。 ちなみに、鳥取市よりも国保料が安い県内三市のうち、境港市は 2009 年に、倉吉市は 1998 年 にそれぞれ本庁舎の耐震改修を完了し、今後は使えるだけ使うとしています。(1982 年建設の米子 市庁舎は、最初から現在の耐震基準を満たしています。) また、ご承知のように鳥取県庁も 2011 年に耐震改修を完了しました。県内四市の中で市民の社会保険料の負担が一番多い鳥取市だけが、 なぜ耐震改修よりも費用がかさむことが明らかな新築にこだわりつづけるのでしょうか。実に不思 議です。「市民の財布の中身」のことなど、何ひとつ考えていないように見えます。 現在、鳥取市の国保料(医療、支援、介護の合計)の請求額(調定額)は、米子市に比べて一人当たり 平均で年間約 7800 円も高いのです。市内の対象人口を全人口の約半分の十万人と仮定すれば、年 間 8 億円程度を特別会計に補助するだけで国保料を米子市並みに引き下げることが出来ます。社会 保険料の負担が減れば、市民の財布もいくぶんかはゆるみ、市内で消費に回るおカネも増えるでし ょう。 さらに補助を増やして智頭町や湯梨浜町並みまで社会保険料を引き下げれば、両町の最近の実績 に見るように、若年層の他自治体からの転入や都会からのIターンが増えて子育て世代の増加も期 待できます。多額の費用をかけて市庁舎が立派になったとしても、誰も鳥取市に引っ越しては来ま せん。かえってその分だけ市民の負担が増して、出ていく人が増えるだけです。 竹内市政の延長を今後も続け、さらにハコモノをどんどん建て続けても、その費用の大半は都会 のゼネコンに吸い取られてしまいます。大半の市民はその費用を負担する側となり、そのツケを国 保料、保育料、水道料金、各種手数料などの更なる値上げ、市有各施設の使用料の引き上げや施設 の廃止、道路や橋の補修費用の削減などの形で負担させられることになるのです。 /以上