日本軍「慰安婦」－性奴隷制度に対する根本的な解決とす - peace

内閣総理大臣
外務大臣
安倍晋三
麻生太郎
さま
さま
国会ピースサイクル到着の日、2007 年 6 月 1 日
日本軍「慰安婦」－性奴隷制度に対する根本的な解決とす
べての戦争被害者に対する誠意ある謝罪と補償を！
私たちは 22 年間、自転車で全国の人々と連なり、平和、人権、環境保護を訴えてき
ました平和団体です。この間、韓国、中国の南京・東北、ベトナム、フィリピン、タイ、
マレーシア、シンガポールなどアジア各地にも自転車を走らせ、現地の人々と共に旧日
本軍の侵略の爪痕を見学し、戦争被害者との交流を深めてきました。韓国、フィリピン、
中国、インドネシア、台湾をはじめ、勇気を持って名乗り、立ちあがった日本軍「慰安
婦」被害者たちの裁判支援等にも関わり、日本政府に戦争責任と戦後補償について求め
てきたところです。
2007 年 1 月 31 日、米議会下院アジア問題小委員会では日本軍「慰安婦」に対する謝
罪と補償を日本政府に求める決議案が再提出され、2 月 15 日には同小委でイヨンス、
キムクンジャ、ラフオーハンさんら被害者 3 名が証言を行いました。カナダ議会下院小
委では同様の議案が成立しています（3 月 27 日）。この日本軍性奴隷軍事政策は、重大
な人権侵害を内容とする国際人道法に違反する、時効のない犯罪であり、歴史的、「世
界的問題（ブッシュ大統領談）」です。
これに対して、外務省は昨年、同様の議案の外交小委での成立に対し反対ロビー活動
に多額（数百万円以上）の税金を使い、今年も反対ロビーを企図しました。さらに安倍
首相本人が「強制の証拠はなかった」と発言するに至り、米国新聞報道は 2 ヶ月間に
100 件もの日本軍「慰安婦」被害に関する日本政府非難の報道を行いました。米国議会
でのこの 121 号議案の共同提出議員は 91 名に及び、成立の見通しとなっています。世
界の非難の嵐の中で、自民党は議案阻止反対ロビーの訪米を中止しました。
日本の裁判所では、10 件の日本軍「慰安婦」裁判で「強制の事実の認定」を確定さ
れ、被害者の救済を求めています。最高裁での確定事実さえ否定する安倍首相発言に対
し、韓国、中国、北朝鮮、台湾、オーストラリア、シンガポールを含め多くの政府が、
日本政府の態度に疑問を表明しています。
さらに、日本の中学校教科書から日本軍「慰安婦問題」の記述削除がされ、日本軍に
よる沖縄の集団自殺強要の記述までも削除されるに及び、「教科書への検閲」として、
これらの事実もまた極めて詳しくアジアや米国、世界のマスコミで報道され、世界から
の非難が拡大しています。
この十数年間に、国連人権委員会の 2 回にわたる勧告、韓国、台湾、中国、フィリピ
ン議会等での決議、また ILO、IJC 等国際機関により、謝罪と補償その他の処置が求め
られてきました。
安倍首相の「『慰安婦』の強制性の否定」は、国連をはじめ世界各国の謝罪と補償を
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求める動きを否定し、戦犯裁判での強制の事実さえも否定する矛盾したものです。日本
軍「慰安婦問題」に関してサンフランシスコ条約によってすべて解決済みとする政府外
務省の強弁をやめ、半世紀の沈黙を強いられ、年老いた被害者に、誠意ある謝罪と補償
を速やかに実施することを強く求めます。そのために、以下の質問をおこないます。
（1）西松建設強制連行訴訟（4 月 27 日）
、中国人「慰安婦」被害者補償請求裁判
の最高裁判決について
1.西松への労務者と中国人「慰安婦」の強制連行を最高裁が認定しているが、安倍
首相の「強制性の否定」は矛盾しないか。
2.国家総動員諸法令下での強制連行は、企業のみではなく国家による強制連行であ
るが、政府の責任はないのか？
3.アジア女性基金による「慰労金」支給が、韓国、台湾、フィリピン、オランダ被
害者に出され、中国人「慰安婦」にまったく出されないのは何故か？この不平等
をどう考えているのか？
4.中国政府は「個人の損害賠償請求までは放棄していない」と再三述べているが日
本政府（外務省）は中国政府のこの立場を否定するのか？
（2）アジア女性基金について
1.受給者 285 人の国別内訳をなぜ公表しないのか？
2.「アジア女性基金」解散（2007 年 3 月）後の今後の予定は。
3.オランダ被害者には、政府資金から謝罪金を支給し、「アジア女性基金」から医
療福祉資金を支給している。他の国々の被害者には謝罪金と医療福祉金の両方を
「アジア女性基金」からのみ支給している。この違いは何故か？
4.中国、北朝鮮、マレーシア、東チモール、そして韓国、台湾の「アジア女性基金」
拒否被害者には何もなされていないが、今後どうするのか？
（3）安倍首相の「
『慰安婦』への強制性の否定」発言について
1.全米で 2 月、3 月だけで 100 件を超える安倍首相非難の新聞報道があった。さら
に世界中に日本軍によるアジアでの残虐行為がインターネット VTR でも氾濫して
いるが、どう受け止めているか？
2.ワシントンポスト紙 3 月 24 日社説に対し、北野充中米公使が「内政干渉、事実誤
認」と反論している。しかしハイアット論説委員長は共同通信に「社説はわれわ
れの見方が反映されたもので、訂正の必要はないと考えている」と述べた。外務
省は今、どう考えているのか？
4.安倍首相の訪米時には、「『慰安婦』への強制性否定発言（被害者は売春婦で喜ん
でお金をたくさん稼いだ）」は取り消されていないが（4 月 27 日 NYT 報道）、どう
か？
（4）米議会決議案 121 号（マイク・ホンダ下院議員提案）について
1.この 121 号議案への反対・阻止ロビーに何円使ったか？どこからの支出か？
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2.昨年、毎月の反対ロビー活動に 7 万ドル使用との報道があるが、確認できるか？
3.安倍首相のブッシュ大統領への「謝罪」表明に、マイク・ホンダ議員は「ブッシ
ュ大統領は被害者でないので、謝罪は被害者に対してすべきだ」と語っているが
（4 月 27 日 NYT 報道）どう考えるか？
4.3 月 27 日カナダ議会下院小委員会でも日本軍による性奴隷制被害者への謝罪と賠
償がなされるまで要求する決議案（ウェインマスターン議員発議）が成立した。
確認しているか？どう受け止めているか？
（5）教科書から「慰安婦」の記述が削除されている。これは被害者に対する誠
実な態度なのか？なぜ削除するのか？
（6）植民地支配を受けた朝鮮、台湾や日中戦争から第 2 次世界大戦中に、日本
軍の政策として強制的に性奴隷を強制された被害女性たちをはじめ、すべて
の戦争被害者に対して真摯な謝罪と補償を含む、戦後外交政策の大幅な転換
の必要について
1.戦後の外交政策の見直しとして、海外の戦争被害者に対する日本政府の態度（真
摯な謝罪と補償）政策が必要ではないのか？
2.海外の戦争被害者から提訴された裁判は何件掌握しているか？（私たちの情報で
は 87 件あるが）
3.クマラスワミ、ゲイ・マクドゥーガル国連人権小委員会特別報告官らの 2 度にわ
たる報告とその後の勧告では、イ.被害者の納得の行く謝罪と補償、ロ.責任者・
関係者の処罰、ハ.教育での周知徹底、二.再発の防止等の処置を行い、これを国
連人権小委に定期的に報告するよう勧告されている。無視しているのか？
4.韓国議会、台湾立法院、中国全国人民代決議、フィリピン議会外交小委決議、米
議会外交小委決議、カナダ議会小委決議等各国議会決議が積み重ねられている。
どう受け止めているか？
5.日本の裁判所で政府は、時効、除籍、国家無答責、国際条約などを持ち出しても
抵抗しているが、この問題は歴史的な、世界的な犯罪の追及として、言い逃れの
できない責任が日本政府にあるのではないか？
6.日本軍「慰安婦」被害問題は世界では“日本軍による性奴隷制被害”と通常呼ば
れている。被害者は半世紀の沈黙を強いられ、なお高齢の女性たちである。この
問題は世界的に、そして歴史的に“重大な人権侵害”であり“人道に対する罪”
に値すると感じていないのか？
以上
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