Comments
Description
Transcript
我が国の古紙リサイクルシステムの課題と その対応
経済産業省委託調査 我が国の古紙リサイクルシステムの課題と その対応に関する調査報告書 平成28年3月 はじめに 近年の我が国における古紙リサイクルは、いわゆる「ごみ減量化」や「環境負荷の軽減」といった社会的 要請を背景に、もともと回収・利用が比較的単純であった新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙に加えて、こ れまでは一般廃棄物として焼却処理されていた雑多な紙類のようなものまで既存のリサイクルシステムに取 り込んでいくという形で回収・利用の高度化に努めてきた。これらの努力は当然ながら国内の古紙回収率・ 古紙利用率の向上に寄与した一方、回収と利用の質的・量的なギャップをもたらし、古紙の一部が輸出され るような現在の古紙リサイクルシステムが確立した。 他方、このような複雑化した古紙リサイクルシステムは、一部の古紙の品質低下、古紙利用の難処理化、 古紙市況の不安定化等、古紙利用を阻害する要因ともなっている。その中で、昨年度は資源有効利用法上の 古紙利用率目標の見直しを踏まえ、平成26年度中小企業等環境問題対策調査等(古紙利用率向上の可能性 に関する調査)を実施したが、古紙利用率目標については更なる向上余地があるものの、いくつかの課題を 解決していかなければならないことが検証された。 このため、本調査においては、現在の複雑化した古紙リサイクルシステムにおける効率的な回収方法(識 別マークの議論を含む) 、選別方法、国内利用、海外利用等について、有識者、製紙業界、古紙業界、流通業 界、利用業界、地方自治体、中立団体、市民団体等から現状や課題等について幅広く意見を聞き、我が国の 古紙リサイクルシステムの新たなモデルを提言として取りまとめることにより、国内の資源有効利用の促進 に資することを目的とした。 本調査報告書が我が国の紙リサイクルの更なる進展の一助となることを期待する。 我が国の古紙リサイクルシステムの課題とその対応に関する調査委員会 委員名簿 (敬称略、順不同) 委員 渡 邉 対 馬 岩 崎 岩 部 松 本 渡 部 井 山 櫻 田 森 塚 國 島 佐 藤 玉 城 中 村 佐 野 栗 原 大久保 瀧 本 高 野 井 原 城 谷 國 弘 植 松 渡 木 川 平 鬼 邊 村 村 井 沢 政 嘉 玄 都 泰 正 志 千 秋 司 岳 夫 裕 之 伸 洋 介 潤 道 彦 信 樹 仁 正 雄 信 隆 義 継 昌 明 信 之 誠 武 嗣 正 浩 聡一郎 重 則 節 也 成 子 良 子 オブザーバー 中 川 好 明 前 田 直 史 相 馬 和 仁 富 所 富 男 関 達 司 藤 井 均 横 尾 耕 一 経済産業省製造産業局紙業服飾品課長(委員長) 北区生活環境部リサイクル清掃課リサイクル生活係 係長 西東京市ごみ減量推進課清掃係 技能長 神奈川県相模原市資源循環部資源循環推進課 課長 王子エコマテリアル株式会社古紙調達部 副部長 王子製紙株式会社生産技術本部生産技術部 部長 日本製紙株式会社原材料本部古紙調達部 部長代理 日本製紙株式会社技術本部生産部 主席技術調査役 レンゴー株式会社資材部門資材部 執行役員資材部長 レンゴー株式会社製紙部門生産本部 生産本部長 大王製紙株式会社資源・資材本部 資源部長代理 大王製紙株式会社技術開発部 部長 丸富製紙株式会社 購買部長 コアレックス信栄株式会社 常務執行役員 栗原紙材株式会社 代表取締役社長 株式会社大久保 代表取締役社長 株式会社富澤 相談役 日本再生資源事業協同組合連合会 業務委員長 丸紅ペーパーリサイクル株式会社 代表取締役社長 日本紙パルプ商事株式会社 執行役員 大日本印刷株式会社包装事業部第3営業本部シニアエキスパート 凸版印刷株式会社生活・産業事業本部事業戦略本部事業企画部環境ビジネ スチーム担当部長 一般財団法人食品産業センター技術環境部 次長 公益財団法人古紙再生促進センター 専務理事 紙製容器包装リサイクル推進協議会 専務理事 全国牛乳パックの再利用を考える連絡会 代表 持続可能な社会をつくる元気ネット 事務局長 日本製紙連合会 参事・技術環境部長 日本製紙連合会 原材料部部長代理 日本製紙連合会 原材料部調査役 全国製紙原料商工組合連合会 専務理事 日本家庭紙工業会 専務理事 紙製容器包装リサイクル推進協議会 部長 凸版印刷株式会社生活・産業事業本部 部長環境担当 事務局 野 村 秀 徳 経済産業省製造産業局紙業服飾品課課長補佐 矢 野 泰 夫 経済産業省製造産業局紙業服飾品課課長補佐 小 暮 聖 経済産業省製造産業局紙業服飾品課古紙係長 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 我が国の古紙リサイクルシステムの課題とその対応に関する調査委員会開催実績 開催日時・開催場所 議題 第1回 平成28年1月27日(水) (1)ヒアリング調査結果(中間報告)につ 14:00~16:00 いて 経済産業省第4会議室 (2)識別マーク導入の必要性の検討状況に (本館6階) ついて (3)古紙リサイクル技術ロードマップ案に ついて 第2回 平成28年3月10日(木) (1)識別マーク導入の必要性の検討結果に 10:00~12:00 ついて 三菱UFJリサーチ&コンサル (2)古紙リサイクル技術ロードマップ案に ティング株式会社19階会議室 ついて (3)報告書案について 目次 第1章 古紙利用率目標達成に向けた諸課題 .......................................... 1 1.回収および流通に係る諸課題.................................................. 1 (1)未回収古紙の掘り起こし.................................................... 1 (2)回収方法の多様化.......................................................... 1 (3)自治体ごとに異なる雑がみ回収.............................................. 2 2.国際化に係る諸課題.......................................................... 3 (1)輸出市況と国内市況の不安定化.............................................. 3 (2)輸出と国内向け古紙の品質低下の関係 ........................................ 4 3.古紙利用技術に係る諸課題.................................................... 5 (1)技術的進展の余力およびイノベーションの可能性 .............................. 5 (2)古紙利用技術への投資における費用対効果 .................................... 5 4.識別マークに係る諸課題...................................................... 6 (1)識別マーク変更の是非を平成 27 年度内を目処に決定する ....................... 6 (2)識別マークの見直しに伴い、排出者(住民) 、自治体、包装業界など関係者、関係団体 に負担(コスト)が発生する可能性を検証する ...................................... 6 第2章 古紙利用率目標達成に向けた対応策の検討 .................................... 7 1.回収および流通に係る諸課題への対応策 ........................................ 7 (1)未回収古紙の掘り起こし策.................................................. 7 (2)回収方法の多様化への対応策................................................ 9 (3)自治体ごとに異なる雑がみ回収への対応策 .................................... 9 2.国際化に係る諸課題への対応策............................................... 10 (1)輸出市況と国内市況の不安定化への対応策 ................................... 10 (2)輸出と国内向け古紙の品質低下の関係 ....................................... 10 3.古紙利用技術に係る諸課題への対応策 ......................................... 11 (1)家庭紙メーカーにおける難資源化古紙の利用促進 ............................. 11 (2)古紙リサイクル技術ロードマップの作成 ..................................... 11 4.識別マークに係る諸課題への対応策........................................... 42 (1)識別マーク導入の必要性に係る分析方針 ..................................... 42 (2)便益A、便益Bの算出..................................................... 43 (3)便益Cの算出 ............................................................ 48 (4)識別マーク導入の必要性に係る分析 ......................................... 50 第3章 我が国の古紙リサイクルシステムの将来モデル ............................... 52 参考資料 参考資料1:包装の環境配慮設計促進の動き ......................................... 54 参考資料2 ヒアリング調査結果................................................... 60 参考資料3 消費者 web アンケート調査結果 ......................................... 67 第1章 古紙利用率目標達成に向けた諸課題 ここでは、古紙利用率目標の達成に向けた諸課題として、回収および流通、国際化、古紙利用技術、 識別マークの4つの観点から概観した。 1.回収および流通に係る諸課題 古紙利用率 65%の達成に向けた回収および流通に係る諸課題として、以下の3点が挙げられる。 -未回収古紙の掘り起こし -回収方法の多様化 -自治体ごとに異なる雑紙回収 (1)未回収古紙の掘り起こし (公財)古紙再生促進センターの「平成 21 年度オフィス発生古紙実態調査報告書」によると、300 人 を超える大規模事業所では既に 94%以上の古紙が回収されている一方で、中小零細規模事業所(従業員 数が1~49 人)については回収率が 50%台に留まっており、今後、回収率を向上させていくことが期待 される。 なお、裾物3品(新聞・雑誌・段ボール)の回収率は中小零細規模事業所でも既に 70~90%以上とな っているのに対し、OA用紙、シュレッダー紙等の上質古紙は回収率が低くなっている。そのため、O A用紙、シュレッダー紙等の上質古紙を念頭に置いた掘り起こしが課題となっている。 オフィス古紙種類別回収率 (2)回収方法の多様化 古紙の主な回収・流通経路を次図に示したが、古紙の発生源は、家庭、商店街・商業施設などの小規 模発生源、紙加工工場等の大規模発生源に分けられる。 家庭から発生する古紙は、行政回収、集団回収、拠点回収、新聞販売店回収、回収業者への引渡等を 通じ、再生資源業者や中間業者を経て、直納業者から製紙工場に納入される。多様な回収ルートが整備 されている地域も多く、消費者からの古紙排出の流れは、複雑化している。 商店街・商業施設などの小規模発生源から発生する古紙は、通常、回収業者が回収しているが、回収 業者以降の流れは、再生資源業者や中間業者を経る場合、直納業者に渡る場合、輸出に回る場合など様々 である。 回収方法が多様化する中で、回収物の中に禁忌品が混入しないよう、消費者に対して注意喚起を図っ ていくことが必要となっている。 1 (資料)公益財団法人古紙再生促進センター「日本の紙リサイクル」 (平成 27 年3月) (3)自治体ごとに異なる雑がみ回収 雑がみ1の回収を行っている自治体の回収方法は様々である。公益財団法人古紙再生促進センター「平 成 26 年度地方自治体紙リサイクル施策調査」 (平成 27 年2月)によれば、 「雑誌と雑がみは混合して排 出するようにしている」が 58.7%と最も多く、次いで、 「雑誌と雑がみは個別に排出するようにしてい る」が 20.0%、 「雑がみは単独で排出するようにし、雑誌は回収していない」が 0.2%となっている。 雑がみを雑誌や他の古紙と分別して回収している自治体がある一方で、雑誌と混合して回収している 自治体もあることから、雑誌古紙や雑がみの品質が一定しない状況にあり、回収された雑がみの品質を 向上させる工夫が求められている。 (資料)公益財団法人古紙再生促進センター「平成 26 年度地方自治体紙リサイクル施策調査」 (平成 27 年2月) 1雑がみとは、家庭より発生する紙・板紙及びその製品で、新聞(折込チラシを含む。 ) 、雑誌、段ボール、飲 料用パックのいずれの区分にも入らないものをいう。具体的には、家庭で不要となった投込みチラシ、パン フレット、コピー紙、包装紙、紙袋、紙箱などの紙全般を指す。 2 また、雑がみを未回収の地方自治体も約2割程度存在し、このような自治体における雑がみ回収への 取組を促進することも重要である。 さらに、 雑がみを回収している約8割の地方自治体においても依然、 資源に回せる紙類が焼却炉で焼却されている状況にあり、雑がみ回収量増加に向けた取組を促進するこ とも重要である。 2.国際化に係る諸課題 古紙利用率 65%の達成に向けた国際化に係る諸課題として、以下の2点が挙げられる。 -輸出市況と国内市況の不安定化 -輸出と国内向け古紙の品質低下の関係 (1)輸出市況と国内市況の不安定化 中国等、海外の製品生産拡大により、日本国内で発生した古紙の輸出が増加している。近年の輸出価 格が比較的高い状況では、国内より品質要求が低い輸出に古紙が流れやすい環境となっており、価格本 位の輸出は国内の古紙リサイクルシステムを不安定化させる懸念がある。 古紙問屋店頭引き渡し価格(国内価格と輸出価格) (資料)株式会社矢野経済研究所「紙リサイクルシステムの基盤強化に関する調査報告書」(平成 26 年3月) 3 (資料)株式会社矢野経済研究所「古紙利用率向上の可能性に関する調査報告書」 (平成 27 年3月) (2)輸出と国内向け古紙の品質低下の関係 輸出価格の高騰に伴い、国内より品質要求が低い輸出向けの古紙には雑がみを混合している事例もみ られ、このような雑がみが混入した古紙が国内市場向けにも流通している。その結果、国内向け古紙の 品質低下を招来している。 4 3.古紙利用技術に係る諸課題 古紙利用率 65%の達成に向けた古紙利用技術に係る諸課題として、以下の2点が挙げられる。 -技術的進展の余力およびイノベーションの可能性 -古紙利用技術への投資における費用対効果 (1)技術的進展の余力およびイノベーションの可能性 古紙の利用回数が高まるにつれ、繊維劣化など品質の劣化が進んでいる。 技術の進展により、一部、 家庭紙メーカーでは、ほぼすべての雑がみを原料化できるようになっており、難資源化古紙の活用のた めに、これらの先端技術を横展開していく必要がある。 家庭紙メーカーの難資源化古紙利用技術 <製紙メーカーヒアリング結果> 大手再生衛生用紙メーカー ※再生衛生用紙メーカーのなかには、技術的革新により、臭いの付いた紙、汚れている紙以外のすべて の雑がみを製紙原料として受け入れているメーカーがあり、分別の推進等と合わせて、リサイクル進 展の有効な手段となりうることが考えらえる。 (中略) 2.原料となりうる古紙について ○紙であれば、 「臭いの付いた紙」 、 「かなり汚れている紙」以外、すべて原料となる。 ○このため、紙であれば禁忌品である捺染紙、カーボン紙等も原料として受け入れる。複合品について もプラスチックと紙を分離することで資源化可能である。 3.幅広い雑がみを原料とすることができる設備について ○同社の設備の特徴は、古紙が向上に入荷した後の処理工程である「熟成」 「精選」にある。熟成タワー により紙繊維を取り出しやすくするとともに、精選工程における機械的な異物除去処理の制度が高い。 〇残渣については、金属については売却、フィルムについては固形燃料化しており、ゼロエミッション を実現している。 ○仮に同社が持つ設備と同仕様の設備を他工場に導入(増設)しようとした場合、小型のパルパーであ っても、30 億円以上の投資金額が必要になるとみられる。 ○また、異物が流せる配管設備等、バックヤード設備が必要となる(同社工場はこれらを前提に設計さ れている) (資料)株式会社矢野経済研究所「古紙利用率向上の可能性に関する調査報告書」 (平成 27 年3月) 一方、 家庭紙等の小ロット品以外の紙・板紙生産についてはDIP技術に革新的な技術発展が少なく、 様々な古紙を受け入れられる状況にないが、印刷物や古紙回収システムの動向にあわせた最善の製紙プ ロセスの構築に向けた技術開発を進めていく必要がある。 (2)古紙利用技術への投資における費用対効果 製紙会社は、古紙利用を推進すべく、古紙利用技術への投資を進めてきているが、商品である紙・板 紙製品価格の上昇が見込まれない中、 古紙利用技術への新規投資に関しては、 慎重にならざるを得ない。 費用対効果に優れる古紙利用技術の開発が求められている。 5 4.識別マークに係る諸課題 識別マークに係る諸課題として、以下の2点が挙げられる。 -識別マーク変更の是非を平成 27 年度内を目処に決定する -識別マークの見直しに伴い、排出者(住民) 、自治体、包装業界など関係者、関係団体に負担(コス ト)が発生する可能性を検証する (1)識別マーク変更の是非を平成 27 年度内を目処に決定する 昨年度委託調査「古紙利用率向上の可能性に関する調査報告書」 (平成 27 年3月、株式会社矢野経済 研究所)において、 “紙マーク変更の是非については 27 年度内を目処に決定する”ことがとりまとめら れている。そのため、本調査の調査委員会の中で、紙マーク変更の是非を検討した。 (2)識別マークの見直しに伴い、排出者(住民) 、自治体、包装業界など関係者、関係団体に負担(コ スト)が発生する可能性を検証する 昨年度委託調査「古紙利用率向上の可能性に関する調査報告書」 (平成 27 年3月、株式会社矢野経済 研究所)では、識別マークの見直しを行うことで、排出者(住民)、自治体、包装業界等、関係者、関係 団体に過分の負担(コスト)が発生する可能性があるため、本調査の調査委員会の中で検証した。 昨年度報告書の検討結果 (資料)株式会社矢野経済研究所「古紙利用率向上の可能性に関する調査報告書」 (平成 27 年3月) 6 第2章 古紙利用率目標達成に向けた対応策の検討 ここでは、第1章で概観した古紙利用率目標の達成に向けた諸課題の改善、解決に資する対応策につ いて検討した。 1.回収および流通に係る諸課題への対応策 回収および流通に係る諸課題への対応策として、以下が考えられる。 (1)未回収古紙の掘り起こし策 未回収古紙の掘り起こし策として、第一に、事業系古紙の排出者と回収業者をマッチングする制度 等、中小零細規模事業者からの古紙回収強化に成功した事例(ベストプラクティス)を全国的に普及 させることが望ましい。 事業所から排出される資源化可能な紙類の清掃工場への搬入禁止措置の実施、ごみ処理計画書の提 出対象の中小規模事業者への拡大等の施策を通じ、未回収古紙の掘り起こしに成功している事例もみ られることから、地方自治体の状況に応じて、このような施策の導入を推進していくことが必要であ る。 他方、機密文書のリサイクルに関しては、「リサイクル対応型機密文書ガイドライン」が平成 26 年 2月に策定されたものの、中小零細規模事業者や地方自治体に十分に浸透しているとはいえない状況 にあり、今後、周知を図っていくことが望ましい。 紙媒体に記録された機密情報の抹消を外部の専門業者に委託する場合の手法として一般的には移動 式裁断、定置式破砕、直接溶解の手法がある。機密文書処理業者等で構成される一般社団法人機密情 報抹消事業協議会では、それぞれセキュリティの確保とリサイクルを両立する好適な手法として、例 えば、以下の 3 つのモデルを提唱している。いずれも、機密情報が抹消されるまでは当該機密文書を 排出者の所有物として取り扱っており、機密情報抹消処理が廃棄物処理ではないと一般に認められう るスキームとなっている。また、機密情報の抹消後は通常の有価の古紙と同様に取り扱っている。 【移動式裁断】 ①機密抹消業者(移動式裁断業者)が排出事業所の敷地内で機密文書を裁断し、機密情報を抹消する。 機密文書の裁断作業は、管理区域で行い、排出事業所の担当者は裁断現場に立ち会う。 ②機密抹消業者(移動式裁断業者)が裁断紙片を古紙問屋に運搬し、古紙問屋のヤードで撹拌し 1 トン ベールに梱包する。 ③1 トンベールに梱包された古紙は、製紙原料として製紙工場に搬入されてリサイクルされる。 ●移動式裁断のモデルケース 機密抹消ポイント 製紙原料の運搬 裁断紙古紙)の運搬 排出事業者 古紙問屋 移動式裁断業者 担当者立会・確認 裁断されるまでは排出事業者が所有 (資料)一般社団法人機密情報抹消事業協議会の資料をもとに作成 7 製紙工場 【定置式破砕】 ①機密抹消業者(定置式破砕業者)がセキュリティ車両で機密文書を定置式破砕施設まで運搬する。 ②機密文書専用の定置式破砕施設で機密文書を破砕し、機密情報を抹消する。排出事業者の担当者は 破砕現場に立ち会う。 ③機密抹消業者(定置式破砕業者)が破砕紙片を古紙問屋に運搬し、古紙ヤードで撹拌し 1 トンベール に梱包する。古紙問屋が定置式破砕業者の場合は、破砕紙片の運搬工程は省略される。 ④1 トンベールに梱包された古紙は、製紙原料として製紙工場に搬入されてリサイクルされる。 ●定置式破砕のモデルケース 機密抹消ポイント 破砕紙片の運搬 機密文書の運搬 排出事業者 担当者立会・確認 製紙原料の運搬 製紙工場 古紙問屋 定置式破砕業者 破砕されるまでは排出事業者が所有 (資料)一般社団法人機密情報抹消事業協議会の資料をもとに作成 【直接溶解】 ①運搬業者がセキュリティ車両で機密文書を製紙工場(直接溶解業者)まで運搬する。 ②製紙工場(直接溶解業者)に搬入された機密文書は、未開封のままパルパー(溶解装置)に投入され製紙 原料としてリサイクルされる。排出事業者の担当者は、溶解現場に立ち会う。 ●直接溶解のモデルケース 機密抹消ポイント 機密文書の運搬 排出事業者 製紙工場 (直接溶解業 者) 担当者立会・確認 溶解されるまでは排出事業者が所有 (資料)一般社団法人機密情報抹消事業協議会の資料をもとに作成 8 (2)回収方法の多様化への対応策 回収方法の多様化に伴い、禁忌品の混入リスクも高まることから、禁忌品の混入防止に係る広報・周 知活動を今まで以上に行うとともに、将来的には識別マークの導入等による紙製容器包装由来の禁忌品 (複合品)の分別促進を図っていくことが望ましい。 また、多様な回収方法を有効活用し、古紙回収量の増加を図ることが望ましい。近年、新聞紙のクロ ーズドループを構築した読売新聞仙台工場の事例は、好事例といえる。 (3)自治体ごとに異なる雑がみ回収への対応策 回収された雑がみの品質向上に向けた改善事例の一つとして、排出段階で製紙原料に向くものと向か ないものの識別を容易にする識別マークの導入が挙げられる。 また、雑がみ回収時に雑がみの品質を向上させる工夫を行っている優良事例(ベストプラクティス) の情報を、 広く地方自治体や古紙回収業者等に共有させていくことで、雑がみの品質向上が期待できる。 回収および流通に係る諸課題への対応策 諸課題 未回収古紙の掘り起こし 課題への対応策 ・事業系古紙の排出者と回収業者をマッチングする制度等中小零細規 模事業者からの古紙回収強化に成功した事例(ベストプラクティ ス)を全国的に普及 ・事業所から排出される資源化可能な紙類の清掃工場への搬入禁止措 置の実施 ・ごみ処理計画書の提出対象の中小規模事業者への拡大 ・リサイクル対応型機密文書処理ガイドラインの周知 回収方法の多様化 ・禁忌品の混入防止に係る広報、周知活動 ・多様な回収方法を生かした古紙回収量の増加 自治体ごとに異なる雑紙回収 ・雑がみの行政回収への識別マークの導入等による製紙原料不適合品 の分別促進 ・雑がみ品質向上のベストプラクティスを全国的に普及 9 2.国際化に係る諸課題への対応策 国際化に係る諸課題への対応策として、以下が考えられる。 (1)輸出市況と国内市況の不安定化への対応策 東アジア諸国の古紙需給は、比較的安定して推移し、特段、国内市況に影響を及ぼさないとみられる が、輸出不振に伴う国内古紙余剰に備え、回収古紙品質を高め、古紙の国際競争力の維持・強化を図る ことが望ましい。 輸出市況が現在から大きく変化し、中国の需要減退が顕著になる場合には、古紙の輸出先を東南アジ ア諸国にシフトさせる等の対策を講じ、輸出量の安定化、ひいては国内古紙リサイクル市場への供給量 の安定化を図る必要がある。東南アジア諸国への古紙輸出のシフトを円滑に進めていく上で、東南アジ ア諸国における古紙リサイクルシステム構築に寄与する人材育成を推進しているHIDA事業は有効で あると考えられる。 (2)輸出と国内向け古紙の品質低下の関係 雑がみからの上質系古紙の掘り起こしや、アルミ付き飲料用紙パック等の紙製容器包装の複合品等の 古紙原料としての利用促進を通じ、回収古紙品質を高め、古紙の国内循環を推進していくことが望まし い。 日中古紙セミナーを活用し、中国側に輸出されている古紙品質の実態を把握し、古紙品質の低下が認 められる場合には、品質低下防止対策を検討し、実施していくことが望ましい。 国際化に係る諸課題への対応策 諸課題 課題への対応策 輸出市況と国内市況の不安定化 ・東アジア諸国の古紙需給は、比較的安定して推移し、特段、国内市 況に影響を及ぼさないとみられるが、古紙余剰に備え、回収古紙品 質を高め、古紙の国際競争力の維持・強化を図る。 ・中国の需要減退に応じて、古紙の輸出先を東南アジア諸国にシフト させる ・HIDA事業を通じ、東南アジア諸国における古紙リサイクルシス テム構築に寄与する人材育成を推進することで、我が国からの古紙 輸出先の多様化を推進する 輸出と国内向け古紙の品質低下 ・雑がみからの上質系古紙の掘り起こしや更なる古紙商品化技術の向 の関係 上を通じ、回収古紙品質を高め、古紙の国内循環を推進。 ・日中古紙セミナーを活用し、輸出古紙の品質を把握し、品質低下防 止対策を実施 10 3.古紙利用技術に係る諸課題への対応策 古紙利用技術に係る諸課題への対応策として、以下が考えられる。 (1)家庭紙メーカーにおける難資源化古紙の利用促進 一部家庭紙メーカーでは、 「臭いの付いた紙」 「汚れた紙」以外の雑がみを原料として使えるようにな ってきており、この技術を家庭紙メーカー全体に横展開することで、まずは、家庭紙分野から難資源化 古紙の活用を推進していくことが望まれる。 (2)古紙リサイクル技術ロードマップの作成 近年、DIP技術に革新的な技術発展が少なく、様々な古紙を受け入れられる状況にないが、印刷技 術や古紙回収システムの動向にあわせた最善の古紙再生プロセスの構築に向けた技術開発を推進してい くことが望まれる。 製紙メーカー共通の課題解決に寄与する、最善の古紙再生プロセスの構築に向けた技術開発の方向性 を、 製紙プロセスのフロー別に整理し、 製紙会社の今後の設備投資計画に役立ててもらうことを念頭に、 古紙リサイクル技術ロードマップを作成することが必要である。 歩留まり向上ならびに省エネルギー化にも寄与する費用対効果の高い古紙利用技術を製紙機械メーカ ーや薬剤メーカーが開発し、製紙会社が当該技術を採用することにより一層、古紙利用を図ることが期 待できる。そのため、製紙機械メーカーや薬剤メーカーの技術開発動向も把握した上で、古紙リサイク ル技術ロードマップを作成することとした。 古紙利用技術に係る諸課題への対応策 諸課題 課題への対応策 技術的進展の余力およびイノベー ・家庭紙メーカーで、 「臭いの付いた紙」「汚れた紙」以外の雑がみ ションの可能性 を原料として使えるようになっており、この技術を家庭紙メーカ ーに横展開することで、難資源化古紙の活用を推進 ・紙・板紙メーカーは、印刷物や古紙回収システムの動向にあわせ た最善の製紙プロセスの構築に向けた技術開発を推進 古紙利用技術への投資における費 用対効果 ・歩留まりの向上ならびに省エネルギー化にも寄与する費用対効果 の高い古紙利用技術を開発することで、古紙利用を推進 調査委員会や日本製紙連合会、紙パ技術協会の協力を得て、古紙リサイクルロードマップを検討、作 成した。以下、古紙リサイクルロードマップの内容を示した。 ①古紙の発生源と古紙の種類 ア.古紙の発生源と古紙の種類 発生源からみると、古紙は、家庭・商店街等から回収した「回収古紙」と紙加工工場等から回収した 「産業古紙」に分類される。 経済産業省の古紙の統計では下図の9分類となっている。また、新聞、雑誌、段ボールの3品種が、 古紙消費量の約 85%を占めている。その他、主として印刷・製本工場、裁断所、新聞社等で発生する産 業系の古紙では、印刷されていない白い上質系・中質系のもので、 「上白・カード」、 「特白・中白」とい った品種や、印刷のあるものでは「模造・色上」 「切付・中更反古」といった品種がある。 11 古紙の発生源と古紙の分類 (資料)公益財団法人古紙再生促進センター「古紙ハンドブック 2015」 (2015 年5月) 古紙の発生源と発生する古紙の種類の関係を整理すると、次のようになる。 古紙の発生源と古紙の種類の関係 発生源 発生する古紙の種類 回収古紙 家庭 新聞、雑誌、段ボール、雑がみなど 商店街、商業施設(ショッピングモール、 大量の使用済みの段ボール箱 駅、市場、スーパーマーケット等) 事業所(オフィス) 新聞、雑誌などのほか、OA 用紙、機 密文書など 産業古紙 紙加工工場(印刷・製本工場、裁断所、新 裁ち落としや損紙、残紙など 聞社、紙器箱・段ボール箱製造工場等) (資料)公益財団法人古紙再生促進センター「日本の紙リサイクル」 (平成 27 年3月) ②古紙から生まれる製品 ア.製紙原料としての古紙 紙から紙へのリサイクルが古紙利用の特徴となっている。わが国では 2014 年実績で 21,750 千トンの 古紙が回収され、そのうち、4,619 千トンが輸出されている。一方、海外から 34 千トンが輸入されて おり、17,165 千トンが国内で再生利用されていることになる。回収された古紙の約 99%が製紙原料と なり、紙に生まれ変わっている。 その用途は、紙の分野では新聞用紙、雑誌、印刷用紙、情報用紙、トイレットペーパーなど、板紙の分 野では段ボール原紙、紙器用板紙などと幅広い品種に利用されている。 12 古紙の種類と古紙を原料にした紙・板紙製品 (資料)公益財団法人古紙再生促進センター「日本の紙リサイクル」 (平成 27 年3月) 13 イ.製紙原料以外の用途 回収された古紙の約1%が、古紙ボード、パルプモールド、家畜用敷料、固形燃料等、紙・板紙分野以 外の用途の原料となっている。最近、下水汚泥処理、道路舗装等への応用が注目されている。現状では、 この製紙原料以外の分野での古紙利用は少なく1%程度であるが、製紙原料として利用困難な低質の古紙 の利用を進める観点から、今後の利用増加が期待されている。 なかでも、紙ごみと廃プラスチックを混合して成型した固形燃料(RPF)の需要が高まっており、 その特性は、原料構成で発熱量を決めることができる燃料として品質の高いものである。すなわち、紙 と廃プラスチックの混合割合により発熱量を 5,000~10,000kcal/kg の範囲で調整できるため、燃料の 利用先に合わせた製造が可能である。 たとえば、紙と廃プラスチックを1:1で混合すると、6,190kcal/kg (低位発熱量:測定値)前後の発熱量が得られ、石炭の発熱量と同等の燃料を製造することができる。 主なRPFの利用先としては、製紙工場・鉄鋼所等でのボイラー、乾燥機等の燃料としての利用をあげ ることができる。また、再生資源を原料とするRPFは、化石燃料由来のエネルギー消費を押さえ、C O2排出量の効果的な低減に寄与するもので、地球環境の面からも評価されている。 ③古紙の再生工程の流れ 古紙の再生工程は、大きく、原質工程、調成工程、抄紙工程に分類される。 古紙の再生工程の流れ (資料)日本製紙連合会「紙・パルプ産業の現状」 14 以下には、新聞古紙、上級古紙、家庭紙用古紙、板紙用古紙の再生処理の流れを示した。 新聞古紙処理工程例 (資料)紙パルプ技術協会「紙パルプ製造技術シリーズ④ 古紙パルプ」 上級古紙処理の基本システム例 (資料)紙パルプ技術協会「紙パルプ製造技術シリーズ④ 古紙パルプ」 15 最新ティッシュ工場フロー 最新トイレットロール用紙工場フロー (資料)紙パルプ技術協会「紙パルプ製造技術シリーズ④ 古紙パルプ」 16 板紙用古紙の処理フロー (資料)紙パルプ技術協会「紙パルプ製造技術シリーズ④ 古紙パルプ」 17 ④古紙処理設備、薬品の概要 古紙の再生工程と使用する古紙処理設備、薬品の対応関係を以下に示す。 古紙の再生工程と使用する古紙処理設備、薬品の対応関係 原質工程 工程名 使用する設備、薬品 離解工程 地球釜:主として小規模の構造古紙・色上古紙等の化学パルプ比 率の高い古紙に用いられる パルパ(低濃度パルパ、高濃度パルパ、ドラムパルパ、 2次パルパ) 除塵工程 クリーナ(高濃度クリーナ、フォワードクリーナ、リバースクリ ーナ) スクリーン(丸穴スクリーン、スリットスクリーン) 脱墨工程 インキストリッパ フローテータ 洗浄工程 ディスクフィルタ (濃縮工程) ディスクシックナ 低速型ベルトフィルタ 漂白工程 漂白ミキサ ニーダ(1軸型ニーダ・2軸型ニーダ) ディスパーザ 漂白タワー(中濃度漂白タワー、高濃度漂白タワー) 白水処理 フローテータ 加圧浮上機 調成工程 叩解 リファイナー 薬品添加 填料 サイズ剤 歩留り向上剤 紙力向上剤 スライムコントロール剤 抄紙工程 アプローチ系 種箱・原料稀釈系統 ファンポンプ 除塵器 ウェットパート ヘッドボックス(紙料流出部) (ウェットエンド) ワイヤパート(脱水部) プレスパート(圧搾・搾水部) ドライヤパート ドライヤパート(乾燥部) サイズプレスパート ゲートロール等コータを含む カレンダパート カレンダ リールパート リールパート(巻取枠替え部) ワインダ・カッタ ワインダ・カッタ 18 ⑤古紙利用率向上に資する近年の技術開発成果 1)製紙機械 ア.省エネ型異物除去パルパ ・離解効率を大幅に向上させ、動力削減も達成する異物除去パルパが開発されている。異物の特性に応 じた複数の機器を用いて異物のみをパルパから除去するシステムとなっており、シーケンス制御の最 適化により異物の排出時間と頻度の増加が可能になり、離解効率を大幅に向上している。 省エネ型異物除去システム (注)インテンサマックス:フィルム状のもの、溶解しにくいものを溶解させ、選別する ラガー:ひも状の異物を巻き取る ジャンコマット:遠心力で壁に付着させ、重い異物を下に落とす インテルサパルパの適用対象、特長 19 イ.未離解片を有効繊維に変え、異物のみを脱水除去する装置 ・低級古紙による歩留まり悪化対策、耐水古紙離解率向上、リジェクト含水率低減を目的として、未 離解片を有効繊維に変え、異物のみを脱水除去する装置を Maxi Trasher & Maxi Separator が開発 している。 未離解片を有効繊維に変え、異物のみを脱水除去する装置 <用途> ●段ボール古紙からのビニル類除去 等 <特長> ●Maxi Trasher には、最新の低濃度パルパーのロ ーターとストレーナーを使用 ●Maxi Separator は、開放型スクリーンであり、 液面がスクリーンエリアになるよう調整される ため、パルプ繊維が異物として排出される機会 写真左:Maxi Trasher は著しく少ない 写真右:Maxi Separator 20 ウ.家庭紙分野での異物除去装置 ・再生トイレットペーパーを主体に家庭紙を生産販売しているメーカーで、機密古紙や企業・自治体 から回収される雑がみ等の多様な古紙を処理し、品質のよいパルプを製造することを目的に、異物 除去装置が導入されている。 ファイバーフロードラムパルパー <特長> ・20~25%の高濃度パルピング ・極小の繊維ロス ・機密古紙、ラミネート古紙等あらゆる古紙 に対応 ・プラスチックごみ等の異物の損傷を最小に して異物を大量に分離・排出できる ・清浄で、強度の高い最高品質のパルプが得 られる ティッシュ製造時に用いる灰分除去装置 <特長> ・灰分除去効果大 ・処理能力大でも省エネ ・最適なパルプの流れと均一な脱水が可能 ティッシュ製造時に用いる高性能ディスパーザー <特長> ・コンパクトで低消費電力 ・目的に応じ、ディスパーザーとニーダーの 選択が可能 ・効果的な脱水設備 ・インク粒子及び粘着異物サイズの微細化 ・繊維からのインクの分離 ・漂白剤の攪拌用でも効果的 21 エ.UVインキ除去装置 ・抄紙工程以降の工程にクリーナーを設置することでUVインキの除去が一定程度可能であることが 実証された。 (2011 年頃) ・UVインキやトナー、昇華性インキ等の難分解性・難脱墨性インキを分散させ、見えなくする装置 (ディスパーザー、ニーダー)が開発されているが、エネルギー多消費型であることが課題である。 UVインキ除去装置 <用途> ●DIP プラントでの UV インキの高効率分散 ●コピー用トナー印刷などの難分散性インキの分散 <特長> ●4軸構造 ●軸上のローター羽根が異なる速度、異なる回転方向で運 転されるため、処理原料が非常に複雑な作用を受け UV インキのような強固なインキも高効率で分散が進行 22 オ.ブレード式キャンバス洗浄装置 ・抄紙機器のキャンバス・フェルトの汚れを省コスト・省エネで洗浄できる装置が開発されている。 製紙スピードが高速化する中、 ノズル式高圧洗浄機では対応が困難になってきたため、 開発された。 乾燥工程に使用される。 ブレード式キャンバス洗浄装置 23 カ.オフィス製紙機 ・セイコーエプソン株式会社は、世界で初めて、水を使わず、使用済みの紙を文書情報を完全に抹消 した上で、新しい紙に再生する小型のオフィス製紙機「PaperLab(ペーパーラボ)」を開発した。 機密文書を社内処理したいというニーズに応えることで普及が進む可能性がある。 「PaperLab(ペーパーラボ)」の概観、仕様 オフィス製紙機「PaperLab」 名称 機器サイズ 横幅 2.6m×奥行 1.2m×高さ 1.8m (突起部を除く) 紙生産スピード 14 枚(A4 用紙)/1 分 生産できる紙 サイズ:A4、A3 種類:オフィス用紙、名刺用紙など厚み の異なる紙、色紙(シアン、マゼンダ、 イエロー、およびそれらを調合した色) 原料として使用 一般コピー用紙(A4、A3) できる紙 商品化時期 2016 年内 水を使わない「Dry Fiber Technology(ドライファイバーテクノロジー)」 (資料)セイコーエプソン株式会社ニュースリリース(2015 年 12 月1日) http://www.epson.jp/osirase/2015/151201.htm 24 2)薬品 ア.脱墨剤 ・脱墨剤が持つ機能として、1)剥離性、2)洗浄性、3)発泡性、4)凝集性、5)破泡性、6)作業性の6つの 機能が挙げられるが、現在までに、できるだけ多くの機能を具備し、その機能の高度化を図る取組 (高機能脱墨剤化)が進められてきた。 脱墨剤の種類と特徴 上市時期 過去 脱墨剤 剥離性 洗浄性 発泡性 凝集性 破泡性 作業性 脂肪酸 × × × ◎ ◎ × アニオン界面 × ◎ ◎ × × ○ 脂肪酸油導体 △ ○ ○ ○ △ ○ 油脂誘導体 ○ ○ ○ ○ △ ◎ 高級アルコー ◎ ○ △ △ ○ ○ ◎ ○ △ ○ ◎ ○ 活性剤 ル誘導体 現在 ハイブリッド 脱墨剤の変遷と背景 ・また、雑誌古紙の利用率向上に伴い、粘着異物の問題が増加しており、抄紙工程前の原質工程や調 成工程で使用する内添型ピッチコントロール剤の開発も進展している。近年は、ピッチ中のエステ ル基を分解して改質するエステラーゼ酵素製剤が使用されているが、ピッチ自体の性質を変えてし まうため、クローズド系では大変有効であるが、処理温度やpH に至適範囲があること、接触時間 を確保する必要があり即効性がないことなど、使用条件に制約があるのが欠点である。そのため、 マスキング作用と凝結作用の両方の機能を持つ、天然高分子を主成分としたカチオン性マイクロエ マルジョン製剤が開発された。マイクロエマルジョンであることから従来品よりも広大な粒子表面 積を有し、少量でも効率的なマスキング効果を発揮する。 ・ピッチコントロール剤等の粘着物除去技術は、紙おむつのリサイクルにも活用されている。紙おむ つ中のパルプは製紙原料に、高吸水性樹脂は肥料に、テープ(PP製)は燃料に有効利用できる。 25 従来型 現在 タイプ 無機 内添型ピッチコントロール剤の変遷 主成分代表例 形態 イオン性 タルク 粉体 ノニオン 硫酸バンド 水溶液 カチオン 凝結剤 カチオン性ポリマー 水溶液 カチオン マスキング ノニオン性ポリマー プロテイン エステラーゼ 天然高分子 水溶液 エマルジョン 水分散液 マイクロ エマルジョン ノニオン 弱アニオン ノニオン 弱カチオン 酵素 凝結剤+ マスキング 作用機構 脱粘着化 脱粘着化 パルプ定着 凝集防止 アニオントラ ッシュ捕捉 パルプ定着 脱粘着化 脱粘着化 エステル分解 脱粘着化 アニオントラ ッシュ捕捉 パルプ定着 イ.機能性薬品(紙力増強剤、サイズ剤) ・調成工程や抄紙工程で使用される機能性薬品として、乾燥紙力や湿潤紙力を高める紙力増強剤、紙 にサイズ性(にじみ防止)を付与するサイズ剤がある。古紙利用の増加、雑誌古紙の利用率向上に 伴い、紙の紙力が低下するため、機能性を付与する必要性が高まっている。一方、抄紙環境の汚れ を除去するために操業性の向上の必要性も高まっている。そのため、紙力増強剤にも汚れを落とす 機能を付与することが求められている。主として洋紙分野での紙力増強剤として使用される澱粉は、 投入量を増やしても機能がそれほど向上しないため、ポリアクリルアミド(PAM)系紙力剤が板 紙分野だけでなく洋紙分野でも使われるようになってきた。PAM系紙力剤の場合、遮水性や搾水 性の向上、微細繊維、填料やサイズ剤等の歩留まり向上効果も併せもつ点が特徴である。 年代 1980 年代 1990 年代 2000 年以降 PAM系紙力剤の変遷 抄紙条件 両性共重合PAM系紙力剤の技術動向 ・洋紙の中性化 ・上市(幅広いpH領域で効果発現を目的に) ・高濃度化(パルプへの定着率向上目的に) ・分岐架橋構造化(製品粘度を高めないため) ・DIP配合増によるアニ ・カチオン性物質の導入量増加(汚れ除去、パルプへの オントラッシュ成分増加 定着率向上目的に) ・填料配合量の増加 ・高分子量化(パルプへの定着率向上目的に) ・アニオン性増大 ・カチオン性物質導入量の増加(汚れ除去、パルプへの ・硫酸バンドの効果低減 定着率向上目的に) ・紙力向上への寄与が少ない低分子量ポリマー成分やパ ルプへの定着性に乏しい非イオン性ポリマー成分の 削減(紙力向上目的に) ・サイズ剤とは調成工程でパルプスラリーに添加し、紙・板紙に適度な疎水性(サイズ性)を付与し、 液体の浸透を制御する目的で使用される。サイズ剤としては、ロジンサイズ剤、AKDサイズ剤、 ASAサイズ剤の3種類が代表的である。1980 年代後半より洋紙の中性化が始まり、AKDサイズ 剤やASAサイズ剤の適用が本格的に始まった。1990 年代前半には、中性ロジンエマルジョンサイ ズ剤が開発され、中性サイズ剤3種が揃った。AKDサイズ剤由来の抄紙環境の悪化(水の汚れ) 26 が目立つようになったため、2000 年代には室温で液状のAKDサイズ剤が上市された。 年代 ~1970 年代 1970 年代 1980 年代 1990 年代 ロジンサイズ剤 酸性抄造にて溶液ロジンのみ 使用 ロジンエマルジョンサイズ剤 の国内使用開始 ロジンエマルジョンサイズ剤 の乳化性や発泡性の改善(低 分子乳化剤改良) ロジンエマルジョンサイズ剤 の発泡性や機械的安定性の改 善(高分子乳化剤の適用) 中性ロジンエマルジョンサイ ズ剤の上市 2000 年以降 サイズ剤の変遷 技術動向 AKDサイズ剤 ASAサイズ剤 AKDサイズ剤の国内使用開 始 AKDサイズ剤の保存・粘度 安定性の改良、高濃度化 AKDサイズ剤の高濃度化 高融点AKDサイズ剤の上市 ASAサイズ剤の国内使用開 始 液状タイプAKDサイズ剤の 上市 ウ.工程薬品(歩留り剤、凝結剤) ・古紙繊維は細く、短いため、古紙利用量の増加に伴い、抄紙工程における歩留まりは悪化している。 また、抄紙マシンのクローズド化やパルプ原料の品質悪化等のため、各種薬剤の効果が発揮しにく い状況へ変化している。特に古紙や填料の高配合化で歩留り剤、紙力剤、サイズ剤等の各種薬剤の 添加量が増え、抄紙マシンの汚れや紙面欠陥の問題が増加している。このような状況を踏まえ、粘 着性ピッチや紙面欠陥対策に有効な高機能凝結剤が開発されている。また、添加量を少なくし、高 い歩留りが得られる高機能歩留り剤の開発が進められてきている。 27 3)リサイクル対応型印刷物 印刷業界における古紙利用率向上に向けた取組として、 「リサイクル対応型印刷物製作ガイドライン」 の策定、リサイクル対応型印刷物製作の推進が挙げられる。 リサイクル対応型印刷物の概念とリサイクル適性 (資料)財団法人古紙再生促進センター・社団法人日本印刷産業連合会「リサイクル対応型印刷物製作 ガイドライン」 (平成 21 年3月) 本ガイドラインでは、特に、1)使用期間が短いことが明らかで、2)発行部数が多い、3)1部当たりの 用紙使用量が多い、4)仕様が定型化している(定型化が容易)等の条件に合致する場合に、個々に印刷 物の目的・機能上問題がないことを確認の上、リサイクル対応型印刷物としての製作を推奨している。 28 リサイクル対応型印刷物の対象 古紙リサイクル適性ランクリスト記載の資材のうち、リサイクル対応型印刷物に使用できるのは、A またはBランクの資材である。 (資料)財団法人古紙再生促進センター・社団法人日本印刷産業連合会「リサイクル対応型印刷物製作 ガイドライン」 (平成 21 年3月) 29 リサイクル対応型印刷物の開発・普及への取組は、1999 年度から経済産業省の国庫補助事業による「リ サイクル対応型紙製製品開発促進対策事業」として実施されてきている。 主として、印刷・情報用紙を中心とする洋紙部門での古紙利用拡大を目的に、紙分野での利用が困難 とされてきた素材・加工方法等のリサイクル阻害性評価、改良型製品のリサイクル適性評価の実施、標 準試験法の確立、およびリサイクル対応型印刷物の普及に向けた取組等が行われ、難細製化ホットメル ト接着剤、リサイクル対応型シール(全難解可能粘着紙)、リサイクル対応型UVインキの開発・普及が 進展している。 近年は、デジタル印刷分野でのリサイクル対応が進められており、ドライトナーに関し、Bランクの ものだけでなく、Aランクのものも開発されてきている。 近年開発されたリサイクル対応型資材(その1 (資料)財団法人古紙再生促進センター・社団法人日本印刷産業連合会「リサイクル対応型印刷物のす すめ~まるごとリサイクルできる印刷物をつくろう」 30 近年開発されたリサイクル対応型資材(その2) (資料)財団法人古紙再生促進センター・社団法人日本印刷産業連合会「リサイクル対応型印刷物のす すめ~まるごとリサイクルできる印刷物をつくろう」 4)紙製容器包装のリサイクル配慮設計の推進 紙製容器包装の製造事業者等における古紙利用率向上に向けた取組として、紙製容器包装のリサイク ル配慮設計の推進が挙げられる。 複合材の分離を容易化する取組や、素材への古紙利用の推進が進められている。 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 31 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 32 凸版印刷が開発した口栓付き液体用紙製容器「EP-PAK」は、内容物の保護性に優れ、常温での長 期保存が可能であるため、清酒や焼酎等の飲料に加え、業務用ヘアケア剤やカー用品等、幅広い分野で 採用されている。 「EP-PAKオルカット」は、口栓のついた頭部の下のミシン目加工を前後に折り曲げて手で引き裂 くだけで、簡単に分別できる口栓付き液体用紙製容器である。 口栓付き液体用紙製容器「EP-PAKオルカット」の開発 (資料)凸版印刷株式会社ニュースリリース(2016 年2月 18 日) 33 ⑥古紙処理設備、古紙リサイクル技術の将来展望 公益財団法人古紙再生促進センター「古紙ハンドブック 2015」(平成 27 年5月)の『古紙処理施設 の今後の方向』の中で、古紙処理設備や古紙リサイクル技術の今後の方向性が示されている。以下、該 当部分を引用した。 ア.省エネルギー化 電気消費量を削減する目的で次のような部門で新技術が展開していくと予想される。 ・パルパーや離解機の改良による離解動力の削減 ・除塵設備(スクリーン、クリーナー)の改良による押込み圧力を低圧化することでポンプ動力の削 減 ・除塵設備(スクリーナー、クリーナー)や脱墨設備(フローテ一夕ー)の改良によるパルプ処理濃 度向上により、随伴水量が少なくなることでポンプの小型化をはかる。 イ.使用水量の節減 古紙処理工程での使用水量の節減がはかれれば、繊維分の流失が抑えられ歩留まりの向上と排水処理 負荷の減少が期待出来ると同時に、工程各所のポンプの小型化もはかれるので省エネルギー化にもつな がる。 このためには濃縮、洗浄設備(ウオッシャー、シックナー)の更なる改良と、工程循環水の浄化装置(例 えば加圧浮上装置)の性能向上が望まれる。 ウ.難処理古紙対策 古紙回収率の上昇に伴い、これまでは使われてこなかった種類の古紙が回収され始める。これらの古 紙は粘着材や樹脂系の異物を含むことが多く、古紙処理工程の中でこれらをいかに効率的に除去できる かが課題になる。 離解設備と除塵設備のさらなる改良が今後も必要で、 「異物を細かくしないうちにパルプと分離する」こ とが肝要であるが、とくに精選リジェクト系の最終テール用のスクリーン、クリーナーの改良を期待し たい。 なお、技術改良だけでは対応できないような難処理原料も存在する。それらについては古紙に混入さ せない努力が極めて有効となっている。 エ.古紙処理システムの多様化 近年、機密古紙専用ラインの設置が各地で新しく行われている。これは離解時までに機密処理の機能 をはたしながら、この古紙中に多く含まれる異物にも対応できるよう離解、除塵の性能を特別に充実さ せた重装備の装置となる。 このような設備はエネルギー消費も多くなるので、一般の古紙に対しては適用できず、入荷古紙の性質 に応じた設備の設計が必要であり、今後はその操業経験を反映させて、設備も多様化の方向に発展する とみられる。 オ.古紙繊維の微細化対策 古紙使用率の向上に伴い、同じ繊維が繰り返し使用されることで、繊維の劣化、微細化が進んで行く。 これに伴い古紙パルプの強度低下が進んで行くと予想されるので、強度向上への技術対応が必要となる。 34 具体的には①叩解設備の改良、②抄紙工程での紙力増強剤の改良があげられる。 また脱インキの面では印刷後の微細繊維はインキを集中して受け止めているので、微細繊維に集中し て脱インキ処理ができれば理想であるが、微細繊維の水切れの悪さ、分離の困難さから課題は多く実現 は容易ではない。 以上のように全体の方向を述べてきたが、個別の設備、機器についても性能を向上させる地道な努力 が機器メーカーと製紙会社の協力で続けられている。たとえば、配管を詰まりにくくする、スケールが つきにくくする、磨耗を減らし寿命を延ばす、また運転開始からの立ち上がりが良く、すぐ安定するこ とで操業しやすくするなどと改良すべき課題は多い。 また、ホルムアミジルフィン酸(FAS)による新規な漂白方法が実現されたが、たとえば超音波と特殊 な薬品の組み合わせとか、これまで無かったような新しい手法が実用化されることは簡単ではないが、 だからといってその可能性はあながち否定はできない。 古紙処理技術には、まだまだ将来の発展の可能性があると言えよう。 ⑦古紙リサイクル技術ロードマップの作成 日本製紙連合会が過去に作成した次ページの資料を参考に、2030 年頃を念頭に置いた古紙リサイクル 技術ロードマップを作成した。 古紙リサイクル技術ロードマップ作成の前提となる古紙リサイクル状況 2015 古 新聞用紙 紙 印刷情報用紙 回 包装用紙 収 雑種紙 量 衛生用紙 段ボール原紙 千 紙器用板紙・他板紙 t 紙・板紙計 古紙輸出量 千t 古紙利用率 % 古紙利用限界値 2020 2025 2030 4,622 4,285 3,911 5,351 4,547 4,118 - - - 10,597 10,789 10,579 1,180 1,134 1,078 21,682 20,756 19,685 3,931 4,650 4,650 洋紙 40.3 板紙 93.2 計 63.9 65.0 紙 0.510 0.518 板紙 1.017 1.013 計 0.71 0.73 - (注1)古紙回収量、古紙利用率は 2014 年実績。古紙輸出量は 2015 年1~11 月の値。 (注2)古紙回収量の 2020 年、2025 年の値は、経済産業省委託調査「古紙利用率向上の可能性に関す る調査報告書」 (平成 27 年3月、矢野経済研究所)を引用。 35 以下、紙、板紙、リサイクル対応型印刷物、新たな紙の製法に分け、技術ロードマップを整理した。 紙、板紙については、日本製紙連合会、紙パルプ技術協会の協力を得て、工程別の現状の課題を把握し、 技術開発ロードマップ化した。 参考: (資料)日本印刷産業連合会「古紙リサイクル対応分科会活動報告書」(平成 16 年3月) 36 紙の技術ロードマップ 工程 原質 離解工程 技術開発スケジュール 現状の課題 2020 年 2025 年 高濃度化 紙製容器包装の高度利用 省エネ型異物除去パルパの普及 中性化の推進 除塵工程 比重差等を用いた異物除去 省エネ型除塵装置の開発 脱墨工程 UVインキ対策等、インキ対策 高機能脱墨剤化 省エネ型フローテータの開発 洗浄工程 スクリーンの高性能化 節水型濃縮、洗浄設備の開発 漂白工程 省エネ型ディスパーザー、ニー ダーの開発 白水処理 白水処理負荷低減に寄与する機 能性薬品、工程薬品の開発 灰分分離技術の開発 節水、省エネ型フローテータの 開発 調成 叩解 インク粒子径の微細化 古紙繊維の微細化対策 薬品添加 少使用量、低環境負荷型ピッチ コントロール剤の開発 填料の高配合化に対応した機能 性薬品、工程薬品の開発 抄紙 ウェットパート 低坪量化に応じた機能性薬品、 工程薬品の開発(繊維回収量の 増大) ドライヤパート 省コスト・省エネ型洗浄装置の 開発・普及 工程全般 汚れない用具(フェルト、ワイ ヤー等) (注)白板紙は、漂泊工程を含み、紙の漂泊工程と同様の技術課題を抱えている。 37 2030 年 板紙の技術ロードマップ 工程 原料受入 技術開発スケジュール 現状の課題 2020 年 2025 年 2030 年 センサーでの臭い付きの紙の検知・除 去技術の開発 原質 離解工程 省エネ型高効率異物除去パルパの普及 難離解古紙処理用離解設備の開発 除塵工程 省エネ型高効率除塵装置の開発 省エネ型高効率スクリーンの開発 洗浄工程 節水型濃縮、洗浄設備の開発 漂白工程 省エネ型ディスパーザー、ニーダーの 開発 白水処理 白水処理負荷低減、紙力増強に寄与す る機能性薬品、工程薬品の開発 灰分分離技術の開発 省エネ型フローテータの開発 粘着異物除去 粘着異物の吸着、除去技術の開発 叩解 紙力増強に向けた技術開発 薬品添加 少使用量、低環境負荷型ピッチコント ロール剤の開発 ウェットパート 低坪量化に応じた機能性薬品、工程薬 品の開発(繊維回収量の増大) 調成 抄紙 ワイヤパートの効率化 ドライヤパート 省コスト・省エネ型洗浄装置の開発・ 普及 工程全般 紙製容器包装 用具からの粘着異物高効率除去技術の 開発 リサイクル配慮設計の推進 紙製容器包装のリサイクル配慮設計の推進にあたっては、紙製容器包装リサイクル推進協議会等が環境配 慮設計を推進しているほか、包装の環境配慮設計のJIS化の動きを踏まえ、経済産業省産業技術環境局リ サイクル推進課が、事業者向けの手引きや、消費者向けの事例集をとりまとめている。 (54~59pの参考資料 参照) 38 リサイクル対応型印刷物に関しては、現状、ランクCに位置付けられているものがランクBもしくはラン クAに位置付けられ、リサイクル対応型印刷物として利用されるような技術開発が行われていくことを念頭 に、技術ロードマップを作成した。 リサイクル対応型印刷物の技術ロードマップ 技術 紙 技術開発スケジュール 現状の課題 2020 年 2025 年 2030 年 リサイクル対応型樹脂含浸紙(水溶性のものを除 く)の開発 リサイクル対応型硫酸紙の開発 リサイクル対応型ターポリン紙の開発 リサイクル対応型ロウ紙の開発 リサイクル対応型セロハンの開発 リサイクル対応型カーボン紙の開発 リサイクル対応型ノーカーボン紙の開発 リサイクル対応型感熱紙の開発 リサイクル対応型圧着紙の開発 インキ類 リサイクル対応型インクジェットトナーの開発 リサイクル対応型感熱インキの開発 リサイクル対応型減感インキの開発 リサイクル対応型磁性インキの開発 加工資材 リサイクル対応型クロス貼り(布クロス、紙クロ ス)の開発 リサイクル対応型立体印刷物(レンチキュラーレ ンズ使用)の開発 紙、板紙の製造にあたり、革新的な技術の開発が見込まれない中、既存の製造プロセスにとらわれない新 たな紙の製法への期待が高まっている。水を使わずに文書情報を完全に抹消した上で新たな紙を製造するド ライファイバーテクノロジー等の普及や、 疎水性を高めた超はっ水ナノ分子ペーパー等の開発が期待される。 39 新たな紙の製法に係る技術ロードマップ 技術開発スケジュール 技術 現状の課題 ドライファイバーテクノロ 水を使わずにインク消去し、新しい紙 ジーを活用した製紙機 を製造する技術の普及 超はっ水ナノ分子ペーパー 再生利用可能な環境にやさしい紙へ 2020 年 2025 年 2030 年 の「超はっ水」処理技術の適用 折り鶴からレーヨン糸を作り、ミラノ万博日本館で子ども用スタンプカードのストラップとして使用され た例もあり、2020 年オリンピック・パラリンピック東京大会のメダルのストラップに古紙由来のセルロース を原料にしたレーヨン糸を使用することができれば、日本の古紙リサイクル技術のPRにつなげる好機とな りうる。当該技術を用いて、2020 年を目標に、様々な布製品への製造技術開発を進められていくことが期待 される。 また、感熱発泡紙、昇華転写紙、臭いのついた紙については、2030 年までを展望すると、リサイクル対応 型印刷物のAランク、Bランクのものの開発が見込まれないことから、別ラインでの処理を通じて、バイオ エタノール、バイオプラスチック利用やセルロースナノファイバー利用等の高付加価値利用を行っていくた めの技術開の推進が望まれる。セルロースナノファイバーの技術開発ロードマップについては、株式会社三 菱化学テクノリサーチ 「平成25年度製造基盤技術実態等調査 (製紙産業の将来展望と課題に関する調査)報 告書」に詳述されている。 (次ページを参照) 紙以外の分野への有効利用に係る技術ロードマップ 古紙原料 技術開発課題 現状の課題 2020 年 折り鶴 レーヨン糸化、布製品利用 感 熱 発 泡 紙 、 昇 華 転写 紙、臭いのついた紙 バイオエタノール、バイオプラス チック利用 セルロースナノファイバー利用 (自動車、航空機等) 40 2025 年 2030 年 セルロースナノファイバーの技術ロードマップ (資料)株式会社三菱化学テクノリサーチ「平成25年度製造基盤技術実態等調査(製紙産業の将来展望と課題に関する調査) 報告書」 41 4.識別マークに係る諸課題への対応策 識別マークに係る諸課題への対応策として、雑がみ未回収自治体が回収を行うことによる費用対効果や雑 がみ回収量増加施策実施自治体の費用対効果と、識別マーク導入に伴う費用対効果を比較し、政策実施の優 先順位を検討することとした。 識別マークに係る諸課題への対応策 諸課題 課題への対応策 識別マーク変更の是非を平成 27 年度内を目処に決定する ・雑がみ未回収自治体が回収を行うことによる費用対効果や雑がみ回 収量増加施策実施自治体の費用対効果と、識別マーク導入に伴う費 用対効果を比較し、政策実施の優先順位を検討する。 識別マークの見直しに伴い、排出 者(住民) 、自治体、包装業界など 関係者、関係団体に負担(コスト) が発生する可能性がある (1)識別マーク導入の必要性に係る分析方針 識別マーク導入の必要性に係る分析は、以下の3つの便益を算出し、その大小関係や、効果発現までの時 間、効果の持続性等を明らかにすることを通じて行うこととした。 ・便益A:雑がみ回収実施自治体増加施策による便益 ・便益B:雑がみ回収量増加施策実施による便益 ・便益C:識別マークによる雑がみの分別回収実施による便益 後述のように、便益A、便益Bは、製紙原料回収量の増加効果に一般ごみ減少効果を加え、雑がみ回収実 施に伴う回収費用の増加効果を差し引くことで算出できる。便益Aについては近年、雑がみ回収実施に転じ た自治体へのヒアリング調査を通じて、便益Bについては近年、雑がみ回収量の増加を図るべく何らかの対 策を講じた自治体へのヒアリング調査を通じて関連情報を収集し、収集した情報をもとに算出することとし た。 一方、便益Cは、製紙工場への禁忌品混入の減少効果に製紙原料回収量の増加効果を加え、消費者の負担 感の増加効果を差し引くことで算出できる。製紙工場への禁忌品混入の減少効果は、公益財団法人古紙再生 促進センターへのヒアリング調査を通じ、近年の製紙工場での禁忌品によるトラブル被害額を把握し、当該 数値を禁忌品混入の減少効果とする。 製紙原料回収量の増加効果は、経済産業省委託調査「紙リサイクルシステムの基盤強化に関する調査報告書」 (平成 26 年2月、株式会社矢野経済研究所) 、経済産業省委託調査「雑誌・雑がみの有効利用に関する調査 報告書」 (平成 25 年2月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社)等で得られた知見や、紙製容 器包装リサイクル推進協議会で試算している雑がみ回収量のデータを用いて算出する。 消費者の負担感の増加効果は、消費者 web モニターへの web アンケート調査を実施し、分別想定時間の 分析を通じて算出することとした。 42 識別マーク導入の必要性に係る分析において把握したい3つの便益 雑がみ回収 実施自治体 増加施策に よる便益A: ①+②-③ ①製紙原料 回収量の 増加効果 (売却益) + ②一般ごみ 減少効果 (社会的 費用低減) - ③雑がみ回 収実施に 伴う回収 費用の 増加効果 自治体の現在の 雑がみ回収状況 識別マーク による雑が みの分別回 収実施によ る便益C: ⑦+⑧-⑨ 未回収 約20% ④製紙原料 回収量の 増加効果 (売却益) + 既回収 約80% ⑤一般ごみ 減少効果 (社会的 費用低減) - ⑥雑がみ回 収実施に 伴う回収 費用の 増加効果 雑がみ回収 量増加施策 による便益 B: ④+⑤-⑥ ⑦製紙工場 への禁忌 品混入の 減少効果 (損失減) + ⑧雑がみ回 収量の増 加効果 (売却益) - ⑨消費者の 負担感の 増加効果 (支払意志額) (2)便益A、便益Bの算出 ①個々の自治体レベルでの便益Aの算出 参考資料2に掲載した自治体へのヒアリング調査結果を踏まえ、便益Aを算出した。 <大都市aの場合> 金額(円) 算出式 1)製紙原料回収量の増加効果 61,648,280 5,455,600kg×11.3 円/kg 2)一般ごみ減少効果(焼却費用低減効果) 62,903,068 10,810 円/トン×5,455,600kg 2)一般ごみ減少効果(焼却灰埋立費用低減効果) 620,629 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 純便益(1)+2)-3)) 720 円/トン×5,455,600kg×15.8% 0 121,243,945 総人口 2,690,214 1人あたり純便益 45.1 43 平成 27 年4月1日現在 <中都市bの場合> 金額(円) 算出式 1)製紙原料回収量の増加効果 287,490 41,070 kg×7 円/kg 2)一般ごみ減少効果(焼却費用低減効果) 710,059 41,070 kg×17,289 円/トン 2)一般ごみ減少効果(焼却灰埋立費用低減効果) 96,943 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 純便益(1)+2)-3)) 3 トン× 31,000 円/トン 0 1,094,492 総人口 99,650 1人あたり純便益 平成 27 年4月1日現在 11.0 <中都市cの場合> 金額(円) 1)製紙原料回収量の増加効果 算出式 451,227 112,807 kg×4 円/kg 2)一般ごみ減少効果(焼却処理費用低減効果) 2,504,309 112,807 kg×22,200 円/トン 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 1,548,838 ごみ袋との交換経費等 646,384 円 奨励金 112,807 kg×8 円/kg 純便益(1)+2)-3)) 1,406,698 総人口 67,820 1人あたり純便益 平成 27 年3月 31 日現在 20.7 <小都市dの場合> 金額(円) 1)製紙原料回収量の増加効果 算出式 23,000 2)一般ごみ減少効果(焼却処理費用低減効果) 115,000 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 4.6 トン×5 円/kg 4.6 トン×25,000 円/トン 0 純便益(1)+2)-3)) 138,000 総人口 34,108 1人あたり純便益 4.0 44 平成 27 年3月 31 日現在 ②個々の自治体レベルでの便益Bの算出 参考資料2に掲載した自治体へのヒアリング調査結果を踏まえ、便益Bを算出した。 <大都市eの場合> 金額(円) 1)製紙原料回収量の増加効果 算出式 740,320 105.76トン×7 円/kg 2)一般ごみ減少効果(焼却費用低減効果) 2,633,424 105.76 トン×24.90 円/kg 2)一般ごみ減少効果(焼却灰埋立費用低減効果) 394,761 8.12 トン×48.62 円/kg 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 621,680 ごみ 1/3 削減普及啓発 6,544 千円× 資源化できる紙類 9.5%(平成 26 年度) 純便益(1)+2)-3)) 3,146,825 総人口 966,817 平成 27 年4月1日現在 1人あたり純便益 3.3 <中都市fの場合> 金額(円) 1)製紙原料回収量の増加効果 492,000 2)一般ごみ減少効果(焼却処理費用低減効果) 6,046,926 2)一般ごみ減少効果(焼却灰埋立費用低減効果) 285,244 2)一般ごみ減少効果(焼却ごみ収集費用低減効 果) 5,291,460 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 純便益(1)+2)-3)) 算出式 246 トン×2 円/kg 246 トン×24,581 円/トン 28 トン×10,022 円/kg 246 トン×21,510 円/トン 0 11,529,904 総人口 414,382 1人あたり純便益 平成 27 年4月1日現在 27.8 <中都市gの場合> 金額(円) 算出式 1)製紙原料回収量の増加効果 2,336,800 184 トン×12.7 円/kg 2)一般ごみ減少効果(焼却処理費用低減効果) 3,463,984 184 トン×18,826 円/トン 3)雑がみ回収実施に伴う回収費用の増加効果 2,560,000 純便益(1)+2)-3)) 3,240,784 総人口 297,341 平成 27 年4月1日現在 1人あたり純便益 10.9 45 ③便益A、便益Bの拡大推計 ア.便益Aの拡大推計 個々の自治体における1人あたり純便益に総人口(127,110 千人)の 20%を乗じて算出することで、日本 全体での便益Aが算出できる。 127,110 千人×20%×(1人あたり純便益) 便益Aの拡大推計結果 金額(千円) 大都市aからの推計値 1,145,732 中都市bからの推計値 279,219 中都市cからの推計値 527,294 小都市dからの推計値 102,857 これより、雑がみ回収実施自治体増加施策の実施により、約1~11 億円の便益増加が見込まれる。 (注)紙製容器包装由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 1~2.8 億円、雑がみ由来のトラブ ル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 11~17.4 億円はここでは勘案しない。 イ.便益Bの拡大推計 個々の自治体における1人あたり純便益に総人口(127,110 千人)の 80%を乗じて算出することで、日本 全体での便益Aが算出できる。 127,110 千人×80%×(1人あたり純便益) 便益Bの拡大推計結果 金額(千円) 大都市eからの推計値 330,907 中都市 f からの推計値 2,828,800 中都市 g からの推計値 1,108,084 これより、雑がみ回収実施自治体増加施策の実施により、約 3~28 億円の便益増加が見込まれる。 (注)紙製容器包装由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 1~2.8 億円、雑がみ由来のトラブ ル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 11~17.4 億円はここでは勘案しない。 46 参考:雑がみ由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果の算出方法 1)雑がみ由来のトラブル発生状況を把握 公益財団法人古紙再生促進センターによる調査結果から、関東地区におけるトラブル件数、トラブル報告 量を把握。 (注)2015 年度は 12 月までの数値。 (資料)公益財団法人古紙再生促進センター 47 2)経済産業省生産動態統計から、紙の出荷単価を算出 経済産業省生産動態統計から、2011(平成 23)~2015(平成 28)年の紙の出荷単価を算出。 紙の出荷数量、出荷金額、出荷単価 数量(トン) 金額(百万円) 出荷単価(万円/トン) 2011(平成 23)年 25,512,323 2,518,125 9.9 2012(平成 24)年 24,805,207 2,460,131 9.9 2013(平成 25)年 25,415,860 2,422,572 9.5 2014(平成 26)年 25,391,184 2,492,350 9.8 (資料)経済産業省生産動態統計 3)雑がみ由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果の算出 2)で算出した出荷単価と関東地区で発生したトラブル報告書を乗じ、まず、関東地区における製紙販売 収入減少効果を算出する。 次に、全国値への拡大推計を行う。平成 25 年工業統計表「品目編」データによれば、関東地区におけるパ ルプ・紙・紙加工品の出荷額の全国シェアは、約 20.6%である。上述の関東地区における製紙販売収入減少 効果をこの 20.6%で割り戻すことで、全国値への拡大推計を行った。 2012(平成 24)年から 2014(平成 26)年の全国での製紙販売収入減少効果から、約 8.8~19.7 億円とみ なすこととした。 雑がみ由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果の算出 出荷単価 (万円/トン) 関東地区トラブ 関東地区製紙販 ル報告量(トン) 売収入減少効果 (万円) 全国製紙販売収 入減少効果 (億円) 2011(平成 23)年 9.9 4,110 40,567 19.7 2012(平成 24)年 9.9 2,953 29,287 14.2 2013(平成 25)年 9.5 1,963 18,711 9.1 2014(平成 26)年 9.8 1,849 18,149 8.8 ウ.便益A+Bの拡大推計 上述の便益A、便益Bを足し合わせると、便益は約4~39 億円と算出される。 参考として、紙製容器包装由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 0.9~2.3 億円、雑がみ由来 のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 8.8~19.7 億円を控除した便益を算出すると、-18~+29 億 円となる。 (3)便益Cの算出 便益Cのうち、製紙工場への禁忌品混入の減少効果は、製紙工場において、紙製容器包装の複合品由来の トラブルを念頭に定量化すればよいと考えられる。ここでは、公益財団法人古紙再生促進センターのデータ のうち、3大禁忌品(感熱性発泡紙、臭いのついた紙、昇華転写紙(捺染紙) )を除いた「その他」のデータ が、紙製容器包装の複合品由来のトラブルである、とみなすこととする。 48 2012(平成 24)年から 2014(平成 26)年の全国での製紙販売収入減少効果から、約 0.9~2.3 億円を製紙 工場への禁忌品混入の減少効果とみなすこととした。 紙製容器包装由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果の算出 出荷単価 (万円/トン) 関東地区トラブ 関東地区製紙販 ル報告量(トン) 売収入減少効果 (万円) 全国製紙販売収 入減少効果 (億円) 2011(平成 23)年 9.9 400 3,948 1.9 2012(平成 24)年 9.9 177 1,755 0.9 2013(平成 25)年 9.5 243 2,316 1.1 2014(平成 26)年 9.8 474 4,653 2.3 次に、識別マーク導入による雑がみ回収量増加に伴う自治体収入増加効果を算出する。 経済産業省委託調査「紙リサイクルシステムの基盤強化に関する調査報告書」(平成 26 年2月、株式会社矢 野経済研究所)によれば、識別マークを分けて表示した場合、紙製容器包装の回収量が増えると考える自治 体が 54.0%、雑がみの回収量が増えると考える自治体は約5割(48.6%)であった。ここでは、雑がみの回 収量が増えると考える自治体の割合を 50%と設定する。 経済産業省委託調査「雑誌・雑がみの有効利用に関する調査報告書」 (平成 25 年2月、三菱UFJリサー チ&コンサルティング株式会社)によれば、識別マークが変更されても、現在と同様の回収区分、回収方法 で対応可能であり、回収費用は現状と同等もしくは減少するとの回答が 80%となっており、回収費用は横ば いとみなしてよいものと考えられる。 また、同報告書では、雑誌・雑がみの混合回収量は平均で 9.7kg/人、雑誌と雑がみの分別回収量は平均で 11.7kg/人との結果が示されており、この数値を引用し、識別マーク導入に伴う紙製容器包装を中心とした 雑がみの回収量増加効果は、約 20%と設定できる。 日本全体の雑がみ回収量は、紙製容器包装リサイクル推進協議会の推計によれば、2014 年度で 348,905 ト ンである。 以上の情報をもとに、識別マーク導入による雑がみ回収量増加量を、以下の算式で算出する。 (日本全体の雑がみ回収量:348,905 トン)×(雑がみの回収量増加効果:20%)×(雑がみの回収量が 増えると考える自治体の割合:50%)=約 34,891 トン さらに、 雑がみの売却に伴う自治体収入増加効果を7円/kg(平成 26 年度の紙製容器包装の平均落札単価) を乗じて算出すると、約 2.4 億円と算出される。 これより効果の合計は、約 3.3~4.7 億円と算出される。 この効果から消費者の負担感の増加効果を差し引き、便益Cを算出する。 消費者の負担感は、消費者 web アンケート調査結果をもとに、次のように算出できる。 (我が国の世帯数:5,340.3 万世帯)×(分別時間が余計にかかると回答した割合:30%)×(0.5 分×7% +2分×23%+4分×26%+5分×44%)×(家事単価:5,042 円/週) 49 -(我が国の世帯数:5,340.3 万世帯)×(分別時間が早くなると回答した割合:27%)×(0.5 分×22% +2分×36%+4分×34%+5分×18%)×(家事単価:5,042 円/週) これより、消費者の負担感は、1,053 万円と算出された。 以上より、便益 C は、約 3.2~4.6 億円と算出される。 参考として、 雑がみ由来のトラブル発生に伴う製紙販売収入減少効果約 11~17.4 億円を控除した便益を算 出すると、-14~-6億円となる。 ※世帯数は、総務省報道発表資料「平成 27 年国勢調査 人口速報集計結果」 (平成 28 年2月 26 日) ※家事単価は、内閣府経済社会総合研究所 国民経済計算部地域・特定勘定課「家事活動等の評価について- 2011 年データによる再推計-」 (平成 25 年 6 月 21 日) (4)識別マーク導入の必要性に係る分析 雑がみ回収実施自治体増加施策、雑がみ回収量増加施策をそれぞれ単独で実施した場合の便益は、識別マ ークによる雑がみの回収、複合品の分別排出促進施策の実施の便益とそれほど変わらず、識別マーク導入に より、雑がみの回収量の増大効果、これに伴う自治体の収入増加効果、複合品由来のトラブル減少効果が一 定程度得られることが確認された。 また、産業構造審議会産業技術環境分科会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルワーキンググ ループ(第19回)、中央環境審議会循環型社会部会容器包装の3R推進に関する小委員会(第16回)第1 6回合同会合(平成 28 年2月25日開催)においても、考えられる施策として、 「紙製容器包装の回収量の 拡大の観点を含め、市民にわかりやすい識別表示への検討を引き続き行うべきである。」との方向性が出され ている。 以上のことから、識別マーク導入は、雑がみ回収量増加施策の一つとも考えられ、引き続き検討していく ことが望ましい。 しかし、施策実施効果の発現タイミングや効果の持続性を鑑みると、まず、第一に雑がみ回収量増加施策 を先行的に実施し、次に、雑がみ回収自治体増加施策を実施し、一定の便益を享受した後に、識別マークに よる雑がみの回収、複合品の分別排出促進施策を実施することが望ましい。 50 施策実施の順番ならびに便益の関係 便益 C A B 時間 各種施策の便益 評価軸 施策 実効性 便益(億円) 効果発現までの 時間 効果の持続性 雑がみ回収実施自治体増加施策 約1~11 早い 長い 雑がみ回収量増加施策 -分別排出指導制度 約3~28 最も早い 短い 数年後 長い -雑がみ集めてグランプリ -雑がみ保管袋配布 識別マークによる雑がみの回収、 複合品の分別排出促進施策 約 3.3~4.7 なお、識別マーク導入に伴い、紙製容器包装の複合品由来のトラブル発生は抑制できるが、雑がみの禁忌 品由来のトラブル発生は抑制できないことから、雑がみ由来の禁忌品を製紙工場の製紙ラインに混入しない ような仕組みづくりを併せて検討する必要がある。 古紙リサイクル技術ロードマップにおいても、2030 年までに雑がみ由来の禁忌品を効率的に除去できる技 術の開発は期待できないことから、将来的に、製紙工場で、雑がみは優先的にバイオエタノールやセルロー スナノファイバーの生産ラインに投入する等の対処を行う必要がある。 51 第3章 我が国の古紙リサイクルシステムの将来モデル 前章までの結果を踏まえ、ここでは、我が国の古紙リサイクルシステムの将来モデルを作成した。 現時点で想定する我が国の古紙リサイクルシステムの将来モデル <2020 年頃> <回収> 中小零細規模事業者 からの古紙回収強化、 事業所から排出される 資源化可能な紙類の清 掃工場への搬入禁止 措置の普及拡大、ごみ 処理計画書の提出対 象の中小規模事業者 への拡大、リサイクル 対応型機密文書処理ガ イドラインの周知等の 取組により、事業系の 未回収古紙の掘り起こ しができている。 酒パック等、紙製容器 包装の複合品の製紙 原料回収ルートが地域 ブロック別に構築され、 古紙ルートの排出時点 で製紙原料との分別が できている。 <国内利用> <選別> 自治体による事業系古 紙分別に係る推奨区分 の設定の普及拡大、事 業系古紙の回収・リサ イクルに係るマニュア ル・パンフレット、チラシ など啓発資料の周知、 等により、排出時点で の製紙原料と製紙原料 不適合品の選別が進ん でいる。 易解体性の紙製容器 包装が増加し、古紙回 収業者における複合品 の選別作業が容易に なっている。 52 古紙利用原単位が現状レベルで推移し、 印刷情報用紙の古紙利用率が高まるこ とで、古紙利用率は65%を達成している。 焼却等により資源化されていない機密 古紙の利用や、中小零細規模事業者か らの古紙回収強化により、上質・雑誌系 古紙の供給不足が解消されている。 複合品の製紙原料としての利用量が増 大し、製紙工場での複合品由来のトラブ ルが解消している。 <海外利用> 回収・選別した製紙原料となる古紙で、 国内需要を十分に充足してもなお、余 剰する分を海外輸出に充てる。 中国需要の減退に応じて、東南アジア へのシフトを的確に進めている。 <2030 年頃> <回収> 中小零細規模事業者 からの古紙回収強化、 事業所から排出される 資源化可能な紙類の清 掃工場への搬入禁止 措置の普及拡大、ごみ 処理計画書の提出対 象の中小規模事業者 への拡大、リサイクル 対応型機密文書処理ガ イドラインの周知等の 取組により、事業系の 未回収古紙の掘り起こ しができている。 酒パック等、紙製容器 包装の複合品の製紙 原料回収ルートが地域 ブロック別に構築され、 識別マークも導入され、 古紙ルートの排出時点 で製紙原料との分別が できている。 禁忌品をバイオエタ ノール、ナノセルロース ファイバー用途で回収 するルートが構築され ている。 <選別> <国内利用> 自治体による事業系古 紙分別に係る推奨区分 の設定の普及拡大、事 業系古紙の回収・リサ イクルに係るマニュア ル・パンフレット、チラシ など啓発資料の周知、 等により、排出時点で の製紙原料と製紙原料 不適合品の選別が進ん でいる。 易解体性の紙製容器 包装が増加し、古紙回 収業者における複合品 の選別作業が容易に なっている。 製紙メーカーの原質工 程もしくは調成工程で の禁忌品除去が可能に なっており、選別段階で の禁忌品の選別は不 要になっている。 53 古紙利用原単位が現状レベルで推移し、 印刷情報用紙の古紙利用率が高まるこ とで、古紙利用率は65%を達成している。 焼却等により資源化されていない機密 古紙の利用や、中小零細規模事業者か らの古紙回収強化により、上質・雑誌系 古紙の供給不足が解消されている。 複合品の製紙原料としての利用が定着 している。 禁忌品を原料に、バイオエタノール、バ イオプラスチック、ナノセルロースファイ バーとしての利用が始まっている。 <海外利用> 回収・選別した製紙原料となる古紙で、 国内需要を十分に充足してもなお、余 剰する分を海外輸出に充てる。 中国需要の減退に応じて、東南アジア へのシフトを的確に進めている。 参考資料1:包装の環境配慮設計促進の動き 1.経済産業省からの報道発表 54 2.紙製容器包装環境配慮設計の考え方 紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」の中で、包装の環境配慮 設計のJIS化を踏まえ、紙製容器包装の環境配慮設計の考え方が示されている。 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 55 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 56 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 57 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 58 (資料)紙製容器包装リサイクル推進協議会「紙製容器包装 3R改善事例集 第9版」 59 参考資料2 ヒアリング調査結果 1.識別マーク導入の必要性の検討に資する研究対象事例 全国の自治体の中から、近年雑がみ回収に新規に取組み回収量が増加した事例及び近年雑がみ回収の工夫 を通じ回収量増加を図った事例を取り上げ、事例研究を行った。 事例研究の対象自治体 近年雑がみ回収に新規に取 組み回収量が増加した事例 近年雑がみ回収の工夫を通 じ、回収量増加を図った事例 大都市(人口 50 万人以上) 都市a(平成 25 年度~) 都市e(分別排出指導制度) 中都市(人口5~50 万人) 都市b(平成 25 年度~) 都市f(雑がみ集めてグラン 都市c(平成 24 年 10 月~) プリ) 都市g(雑がみ保管袋配布) 小都市(人口5万人未満) 都市d(平成 20 年度~) 2.近年雑がみ回収に新規に取組み回収量が増加した事例 (1)都市a ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 25 年 10 月から古紙の行政回収並びに事業系ごみの焼却炉への搬入禁止を実施 ・ごみ減量目標の平成 27 年度にごみ処理量 100 万トン以下は既に達成。 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 26 年度の雑がみ回収量:5,455,600kg(約 5,455 トン) ←当初想定していた資源化可能な紙類は約 4.1 万トン(分別収集率 80%) ・平成 26 年度の雑がみ売却単価もしくは売却益:11.3 円/kg 売却量(kg)(概算) 売却益(円) 平均単価(円/kg) 新聞 2,891,700 38,961,436 13.5 段ボール 4,674,900 62,515,082 13.4 紙パック 208,000 3,697,770 17.8 雑誌 1,404,000 18,157,432 12.9 その他の紙 5,455,600 61,766,350 11.3 14,634,200 185,098,070 18,000 297,030 古紙計 紙パック:参考 16.5 ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却原価:10,810 円/トン ・平成 26 年度の焼却灰の最終処分原価:720 円/トン ・燃えるごみから切り離して雑がみ回収をはじめたことに伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) : 0円~普通ごみの減少分を雑がみ分別回収に振り分けたため 60 (2)都市b ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 25 年度から「古本・雑誌」区分に雑がみを加え、 「古本・雑誌・雑がみ」区分で雑がみの回収を実 施 ・平成 24 年度のクリーンセンターにおける燃えるごみの組成調査から、紙ごみが約 60%入っており、各 家庭で紙ごみを分別して資源にできれば、その分のごみ焼却処理費用がかからず、分別された古紙類は 資源物として古紙回収業者等に売却できるため、雑がみの回収に取組むこととなった。 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 26 年度の雑がみ回収量:41,070kg ←平成 26 年度の「古本・雑誌・雑がみ」回収量:656,800kg 平成 24 年度の「古本・雑誌・雑がみ」回収量:697,870kg ・平成 26 年度の雑がみ売却単価もしくは売却益:7円/kg ←売却単価には、選別圧縮梱包等の中間処理委託費を含む。 ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却原価:17,289 円/トン ←平成 26 年度の焼却処理単価 :17,289 円/トン ←平成 26 年度の焼却灰の処理単価:31,000 円/トン ・燃えるごみから切り離して雑がみ回収をはじめたことに伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) : 0円 ←新たな分別区分の設定となると、費用増となるため実現しなかったと考える。 (3)都市c ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 24 年 10 月からごみ減量化作戦連合協議会(地域の婦人会が母体)が、市役所環境課、出張所、公 民館にて雑がみの回収を実施 ・雑がみ回収量に応じて市指定ごみ袋と交換。(山手地区の協議会が平成 22 年度に始めた仕組みで、ごみ 減量に寄与することが確認されたため、全市の取組に拡大) ・市のクリーンセンターで燃えるごみの組成調査を行ったところ、紙ごみが約 30%あり、当時、焼却灰を 持ち込む最終処分場の残余年数が3年を切っていたため、ごみ減量化作戦連合協議会で取組むこととな った。 ・都市cでは平成 18 年4月よりごみ有料化に着手し、燃えるごみの減量化を図ってきたが、平成 22 年度 以降、ごみ排出量は微増に転じていた。そのため、燃えるごみの中に多く含まれる雑がみの回収に着手 した。 ←平成 17 年度の燃えるごみ排出量:16,660.82 トン 平成 22 年度の燃えるごみ排出量:10,878.82 トン 平成 25 年度の燃えるごみ排出量:11,706.62 トン ・雑がみの回収開始当初は、レシート(感熱紙)の回収も認めていたが、平成 27 年 4 月からは回収対象外 とした。シュレッダーごみの回収も当初は認めていたが、事業系と思しき雑がみの混入が増えてきたこ とや、 異物となるプラスチック袋に入れて排出されることから、平成 27 年4月からは回収対象外とした。 また、冊子・ノートのみみを切って排出する人も散見されたため、平成 27 年4月からは回収対象外とし た。 61 都市cにおける雑がみ持込量とごみ袋の交換枚数の対応関係 交換ごみ袋 45 リットル 30 リットル 20 リットル 10 リットル 雑がみ持込量 2kg 1 1 1 3 3kg 1 4kg 2 3 6 6kg 2 3 4 1 9 8kg 4 6 12 9kg 3 10kg 5 7 1 15 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 26 年度の雑がみ回収量:112,806.7kg(約 113 トン) ←平成 26 年度の環境水道部長のマニフェストが、雑がみ回収量 100 トンであり、マニフェスト達 成 ・平成 26 年度の雑がみ売却単価もしくは売却益:4円/kg ←別途、ごみ減量化作戦連合協議会には8円/kg の奨励金を出しており、協議会は 12 円/kg の利 益を得られる。合計で 1,219,760 円の収入。平成 26 年度の利益は約 60 万円弱。 ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却原価:22,200 円/トン ←平成 26 年度の不燃ごみの処理費用は 28,400 円/トン ←平成 26 年度の資源ごみの処理費用は 21,500 円/トン ・燃えるごみから切り離して雑がみ回収をはじめたことに伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) : 646,384 円 ←ごみ袋との交換は2kg 以上の持込量との間で行われるため、持込量の端数が発生する。端数の 持込量に対し預り証を発行し、次回の持込量と合算することができるようにしており、この預り 証の印刷費や交換対象となるごみ袋の購入費が主な費用。 (4)都市d ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 20 年度から雑がみの行政回収を実施(衛生処理組合を構成する2市2町の中では唯一の実施) ・ごみ減量化目標である一人1日当たり 60g の減量を実現するために、もえるごみに含まれる紙の資源化 が求められている。 62 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 26 年度の雑がみ回収量:約 4.6 トン ←衛生処理組合での紙製容器包装回収量は 45,999kg(約 46 トン) ←このうち雑がみは 10%。雑がみは都市dのみ回収のため、約 4.6 トン ・平成 26 年度の雑がみ売却単価もしくは売却益:5円/kg ←雑がみの量が少ないため、紙製容器包装の売却単価に依存 ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却原価:25,000 円/t ・燃えるごみから切り離して雑がみ回収をはじめたことに伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) : 0円 ←雑がみ回収以前から紙製容器包装や新聞・雑誌等の行政回収ルートは確立しており、雑がみは全 体の 10%程度と少ない排出量であったため、紙製容器包装類に組み込んで回収業者に委託して いるため、金額増加はみられない。 3.近年雑がみ回収の工夫を通じ、回収量増加を図った事例 (1)都市e ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 18 年度から雑がみの行政回収を実施 ・平成 19 年度から「焼却ごみ 1/3 削減」 (年間焼却ごみ量 254,000 トン)を目標にごみの減量やリサイク ルの推進に取組み、平成 26 年度(平成 27 年 3 月末現在)の焼却ごみ量は 250,531 トンとなり、目標達 成。 ・上記の「焼却ごみ 1/3 削減」に資する取組として、以下の雑がみ回収への取組を実施。 平成 19 年度:雑がみ分別などの普及・啓発開始 平成 20 年度:全庁職員と町内自治会との協働によるごみステーションでの早朝啓発の実施(~平成 21 年度、平成 25 年度) 平成 22 年度:市内公民館で活動するサークルに対し、雑がみ分別・資源化の説明会を開始 平成 23 年度:分別・排出ルールを守らない者に対する指導制度の運用開始 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 23 年度比、平成 26 年度の雑誌・雑がみ回収量増加量:105.76 トン ←平成 23 年度:7,678.68 トン、平成 26 年度:7,784.44 トン ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却原価:24.90 円/kg ・平成 26 年度の焼却灰の最終処分原価:48.62 円/kg ・分別排出指導制度の運用に伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) :281,868 千円 ←ごみ1/3削減啓発事業費:31,154 千円 ←家庭ごみ分別推進事業費:250,715 千円 ・老朽化した清掃工場の建て替え費用の節約効果:約 180 億円 (2)都市f ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 26 年度から雑がみの回収量増加に向け、 「雑がみ集めてグランプリ」 (雑がみの回収量の多かった自 治会連合会や世帯を表彰する制度)を実施。 63 総回収部門 :自治会連合会全体の回収量 世帯回収部門:世帯あたりの回収量 増加率部門 :昨年度同期間からの増加率 ・ 「雑がみ集めてグランプリ」実施の目的は、普通ごみとして捨てられ、焼却されてしまっている紙類の中 で、分別可能なものを少しでも分別するため。また、市内の最終処分場の延命のため。 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 25 年度比、平成 26 年度の雑誌・雑がみ回収量増加量:86 トン ←平成 25 年度:56 トン、平成 26 年度:142 トン(いずれも 10~12 月回収量) ・平成 26 年度の雑がみ売却単価もしくは売却益:2円/kg ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却原価:24,581 円/トン ・平成 26 年度の焼却灰の最終処分原価:10,022 円/トン ・平成 26 年度の焼却ごみの収集運搬原価:21,510 円/トン ・雑がみ集めてグランプリの実施に伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) :0 円 (3)都市g ①雑がみ回収への取組状況 ・平成 20 年1月から雑がみの行政回収を実施(回収は民間事業者に委託) ・平成 26 年 11 月に市内の全世帯に雑がみ保管袋を配布。 (シルバー人材センターが県民だよりと一緒に全 戸にポスティング) ・ごみ焼却量削減による最終処分場の延命化や処分費用の削減、紙類の回収量増加による歳入増加を目的 に、雑がみ回収袋の配布を実施。 ②雑がみ回収への取組の費用対効果に関連するデータ ・平成 25 年度比、平成 26 年度の雑誌・雑がみ回収量増加量:46 トン ←平成 25 年度:735 トン、平成 26 年度:781 トン ←雑がみ保管袋が一杯になった平成 26 年2月の回収量は前年同月比 5 割増 ・平成 26 年度の雑がみ売却単価もしくは売却益:12.7 円/kg ・平成 26 年度の焼却ごみの焼却・最終処分原価:18,826 円/トン ・雑がみ保管袋の配布に伴い増加した雑がみ回収費用(平成 26 年度) :256 万円 ←雑がみ保管袋の作成費:196 万円(約 14 円/枚×12 万 8,000 枚) ←雑がみ保管袋全世帯配布に伴う費用:60 万円(約 4.3 円/枚×12 万 8,000 枚) 都市gにおける雑誌・雑がみの回収量の推移 (単位:トン) 行政回収量 集団回収量 平成 21 年度 1,048 平成 22 年度 918 平成 23 年度 928 平成 24 年度 944 平成 25 年度 735 平成 26 年度 781 64 1,843 1,765 1,811 1,720 1,650 4.古紙リサイクル技術ロードマップ案作成に資する研究対象事例 古紙リサイクル技術ロードマップ案作成に資する事例として、近年の紙パルプ技術協会「紙パ技協誌」に 掲載されている技術を研究対象として取り上げることとした。 古紙リサイクル技術ロードマップ案作成に資する研究対象企業 対象企業 ヒアリング項目案 製紙機械メーカー 相川鉄工(静岡市) 、IHI フォイトペーパーテクノロジー(中 央区佃) 、青木機械(静岡県富士市) 、アンドリッツ(中央区晴海) 薬品メーカー ・古紙利用率向上に資する近年の技術開発成果 日新化学研究所(大阪府高槻市) 、花王テクノケミカル研究所 ・今後の古紙利用率向上に資する技術開発への (和歌山市) 、星光 PMC(千葉市) 、ソマール(埼玉県草加市) 取組状況 製紙メーカー 王子マテリア(中央区銀座) 印刷業界、紙製容器包装メーカー 日本印刷産業連合会、凸版印刷、大日本印刷 65 5.今後の古紙利用率向上に資する技術開発への取組状況 (1)製紙機械 ・板紙分野では、古紙利用率は 96~97%に達しており、禁忌品の除去、とりわけ昇華転写紙(捺染紙)の 除去が課題。紙分野では、金、銀、ラミネート紙の除去も課題。 ・異物除去システムを構成するパルパの下部に設置されているスクリーンプレートの丸孔の径を現在の6 mm から2~3mm にし、より多くの異物除去が可能になるような開発が求められている。 ・ブレード式キャンバス洗浄装置のブレードを現在の4枚から将来は8枚にすることが求められている。 ・歩留りの向上と省エネの両立が課題。 (2)薬品 ・脱墨剤に関しては、UVインキの除去が今後の研究課題。 ・昇華転写紙(捺染紙)を除去する薬剤は現状存在しないが、製紙メーカーの生産ラインへの昇華転写紙 の投入量はそれほど多くないため、研究対象になりにくい。 ・これまで進められてきたピッチコントロール対策も引き続き重要であり、使用量が少なく、環境にやさ しいピッチコントロール剤の開発が求められている。 ・填料の高配合化(炭酸カルシウムに加え、タルク、カオリン、酸化チタン等を配合すること)は、填料 の使用量増加による、紙力、サイズ性の低下につながるが、洋紙分野では安価な填料の高配合化による コストダウンが進展することが予想され、填料の高配合化に対応した機能性薬品、工程薬品の開発が課 題。 ・紙・板紙の低坪量化(軽量化)に伴い、紙力や歩留まりが低下することから、紙・板紙の低坪量化に応 じた機能性薬品、工程薬品の開発が課題。 ・薬品の添加量削減、白水負荷低減に寄与する機能性薬品、工程薬品の開発が課題。 (3)リサイクル対応型印刷物 ・インクジェットトナー印刷物のリサイクル対応への取組も進められており、将来的には、Bランク、A ランクの商品開発・普及が課題。 (4)紙製容器包装のリサイクル配慮設計の推進 ・アルミを使用せずに、透明蒸着バリアフィルムを使用した紙パック等が開発されており、このような製 品の普及が課題。 66 参考資料3 消費者 web アンケート調査結果 1.調査の概要 (1)調査の目的 識別マーク導入に伴う消費者の負担感の定量化を目的に実施した。 (2)調査対象 全国の消費者(NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションの消費者モニターを活用) (3)調査方法 インターネット調査(NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューションを活用) (4)調査期間 平成 28 年3月3日~3月4日 (5)調査項目 ①回答者の属性(年齢、居住地域) ②居住地域の特徴(家庭ごみ有料化、店頭回収での古紙回収状況) ③紙マークの認知度、紙マークを目印にした分別排出状況 ④識別マーク導入に伴う負担感 (6)回収サンプル数 全国合計で 1,023 件。居住地域別(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)で可能な限り ほぼ均等な回収サンプル数が得られるように配慮した。 2.調査結果 (1)回答者の属性 回答者の年齢別の構成は、20 代が3%、30 代が 17%、40 代が 26%、50 代が 30%、60 代が 24%となって いる。居住地域別ではほぼ均等の数値となっている。 年齢別(n=1,023) 20代, 33, 3% 居住地域別(n=1,023) 九州・沖 北海道, 縄, 127, 129, 13% 12% 60代以上, 247, 24% 30代, 170, 17% 40代, 263, 26% 四国, 128, 12% 東北, 125, 12% 中国, 127, 12% 関東, 129, 13% 50代, 310, 30% 67 近畿, 129, 中部, 129, 13% 13% (2)居住地域の特徴 居住地域の特徴として、家庭ごみの有料化の状況、スーパーマーケット等での古紙の店頭回収の状況を把 握した。 ①家庭ごみの有料化の状況 家庭ごみの有料化の状況を尋ねたところ、 「可燃ごみの袋が有料の指定袋である」への回答が約3分の2 (66%) 、 「可燃ごみの袋は指定されておらず、無料である」への回答が 29%であった。 家庭ごみの有料化の状況(n=1,023) わからない, 50, 5% 可燃ごみの袋 は指定されて おらず、無料で ある, 297, 29% 可燃ごみの袋 は有料の指定 袋である, 676, 66% 20 ℓ の ご み 20 ℓ の ご み 袋購入単位 (枚/回) 袋1枚単価 (円/袋) 最小値 1 1.5 最大値 100 80 平均値 13 25 この結果を居住地域別にみると、北海道、東北、中部、九州・沖縄では、 「可燃ごみの袋は有料の指定袋で ある」への回答割合が、他の地域に比べて高くなっている。一方、関東、近畿、四国では、 「可燃ごみの袋は 指定されておらず、無料である」への回答割合が他の地域に比べて高くなっている。 家庭ごみの有料化の状況(地域別) 全体 全体 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 可燃ごみの袋 は有料の指定 袋である 可燃ごみの袋 は指定されて おらず、無料 である わからない 実数 % 1023 100.0 ①676 66.1 ②297 29.0 ③50 4.9 実数 % 実数 129 100.0 125 ①125 96.9 ①97 ③1 0.8 ②23 ②3 2.3 ③5 % 実数 % 100.0 129 100.0 77.6 ②47 36.4 18.4 ①77 59.7 4.0 ③5 3.9 実数 % 129 100.0 ①98 76.0 ②21 16.3 ③10 7.8 実数 % 実数 129 100.0 127 ②54 41.9 ①80 ①68 52.7 ②40 ③7 5.4 ③7 % 実数 % 100.0 128 100.0 63.0 ①64 50.0 31.5 ②56 43.8 5.5 ③8 6.3 実数 % 127 100.0 ①111 87.4 ②11 8.7 ③5 3.9 68 ②スーパーマーケット等での古紙の店頭回収の状況 スーパーマーケット等の店頭での、新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の古紙の回収状況を尋ねた結果、 半数強(約 57%)の人が「新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の古紙を回収している」と回答した。 「新 聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の古紙を回収していない」への回答は 30%であった。 スーパーマーケット等での古紙の店頭回収の状況(n=1,023) わからな い, 133, 13% 新聞、雑誌、段 ボール、牛乳 パック等の古紙 は特段回収し ていない, 304, 30% 新聞、雑誌、段 ボール、牛乳 パック等の古紙 を回収している, 586, 57% この結果を居住地域別にみると、東北、中部、四国では、 「新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の古紙 を回収している」への回答割合が、他の地域に比べて高くなっている。一方、近畿、中国では、 「新聞、雑誌、 段ボール、牛乳パック等の古紙を回収していない」への回答割合が他の地域に比べて高くなっている。 スーパーマーケット等での古紙の店頭回収の状況(地域別) スーパーマー ケット等で新 聞、雑誌、段 ボール、牛乳 パック等の古 紙を回収して いる 全体 全体 北海道 東北 関東 中部 近畿 中国 四国 九州・沖縄 スーパーマー ケット等で新 聞、雑誌、段 ボール、牛乳 パック等の古 紙は特段回収 していない わからない 実数 1023 ①586 ②304 ③133 % 実数 % 実数 % 実数 100.0 129 100.0 125 100.0 129 57.3 ①72 55.8 ①85 68.0 ①76 29.7 ②44 34.1 ②23 18.4 ②38 13.0 ③13 10.1 ③17 13.6 ③15 % 実数 % 実数 % 100.0 129 100.0 129 100.0 58.9 ①84 65.1 ①62 48.1 29.5 ②26 20.2 ②48 37.2 11.6 ③19 14.7 ③19 14.7 実数 % 実数 % 実数 % 127 100.0 128 100.0 127 100.0 ②52 40.9 ①86 67.2 ①69 54.3 ①56 44.1 ②31 24.2 ②38 29.9 ③19 15.0 ③11 8.6 ③20 15.7 69 (3)紙マークの認知度、紙マークを目印にした分別排出状況 紙マークの認知度を尋ねたところ、約8割が「知っている」と回答した。 紙マークの認知度(n=1,023) 知っている, 797 1 0% 20% 知らない, 226 40% 60% 80% 100% この結果を居住地域別にみると、北海道、東北、中部では紙マークの認知度が他の地域に比べて高く、関 東、九州・沖縄では紙マークの認知度が他の地域に比べて低くなっている。 紙マークの認知度(居住地域別) 全体 知っている 知らない 実数 1023 ①797 ②226 % 実数 100.0 129 77.9 ①107 22.1 ②22 % 実数 % 100.0 125 100.0 82.9 ①105 84.0 17.1 ②20 16.0 関東 実数 % 129 100.0 ①89 69.0 ②40 31.0 中部 実数 % 129 100.0 ①109 84.5 ②20 15.5 実数 % 実数 129 100.0 127 ①99 76.7 ①95 ②30 23.3 ②32 % 実数 100.0 128 74.8 ①103 25.2 ②25 % 実数 100.0 127 80.5 ①90 19.5 ②37 % 100.0 70.9 29.1 全体 北海道 東北 近畿 中国 四国 九州・沖縄 また、この結果を古紙の店頭回収の実施状況別にみると、スーパーマーケット等で古紙を回収している地 域では紙マークの認知度が他の地域に比べて高く、逆に、スーパーマーケット等で古紙を回収している地域 では紙マークの認知度が他の地域に比べて低くなっている。 70 紙マークの認知度(古紙の店頭回収の実施状況別) 全体 全体 スーパーマーケット等で新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の 古紙を回収している スーパーマーケット等で新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の 古紙は特段回収していない わからない 知っている 知らない 実数 % 1023 100.0 ①797 77.9 ②226 22.1 実数 % 実数 586 100.0 304 ①505 86.2 ①217 ②81 13.8 ②87 % 実数 100.0 133 71.4 ①75 28.6 ②58 % 100.0 56.4 43.6 紙マークを知っている人に対し、目印にした分別排出状況を尋ねたところ、 「紙マークを目印にして、可燃 ごみと分別して排出している」人の割合が 51%、 「紙マークを目印にはしていない」人の割合が 49%となっ ていた。 紙マークを目印にした分別排出状況(n=797) 1 0% 紙マークを目印にし て、可燃ごみと分別し て排出している,410 20% 紙マークを目印に はしていない, 387 40% 60% 80% 100% この結果と紙マークの認知度別とのクロス集計を行った結果、紙マークを知っていて、紙マークを目印に して、可燃ごみと分別して排出している割合は、回答者全体の約 40%に上ることがわかった。 紙マークを目印にした分別排出状況(紙マークの認知度別) 全体 全体 知っている 知らない 実数 % 実数 % 実数 % 1023 100.0 797 100.0 226 100.0 71 紙マークを目 印にして、可 紙マークを目 燃ごみと分別 印にはしてい して排出して ない いる ①410 40.1 ①410 51.4 0 0.0 ②613 59.9 ②387 48.6 226 100.0 紙マークのついたもののうち、 複合素材のものは製紙原料に向かないことへの認知度を尋ねたところ、 38% の人が「知っている」と回答し、62%の人は「知らない」と回答した。 複合素材のものが製紙原料に向かないことへの認知度(n=1,023) 1 0% 知っている, 387 知らない, 636 20% 40% 60% 80% 100% この結果と紙マークの認知度別とのクロス集計を行った結果、紙マークを知っていて、紙マークのついた 複合素材のものが製紙原料に向かないことを知っている人の割合は、回答者全体の約 35%であること、紙マ ークを知っているが、紙マークのついた複合素材のものが製紙原料に向かないことを知らない人の割合が回 答者全体の約 43%であることがわかった。 複合素材のものが製紙原料に向かないことへの認知度(紙マークの認知度別) 全体 全体 知っている 知らない 知っている 知らない 実数 1023 ②387 ①636 % 実数 100.0 797 37.8 ②356 62.2 ①441 % 100.0 34.8 43.1 226 ②31 ①195 100.0 3.0 19.1 実数 % 72 (4)識別マーク導入に伴う負担感 識別マーク導入に伴い、分別時間がどのように変化するかを尋ねたところ、 「いままでと変わらない」への 回答が 43%と最も多く、次いで「いままでよりも余計に時間がかかると思う」への回答が 30%、「いままで よりも早くなると思う」への回答が 27%となった。 識別マーク導入時の分別時間(n=1,023) いままでよりも いままでよりも 余計に時間が 早くなると思う, かかると思う, 272, 27% 311, 30% いままでと変わ らない, 440, 43% 「いままでより早くなると思う」と回答した人に対し、どの程度早くなるかを尋ねたところ、 「1~3分未 満/週」への回答が 36%、 「3~5分未満/週」への回答が 24%、 「0~1分未満/週」への回答が 22%、 「5 分以上/週」への回答が 18%となった。 「いままでよりの余計に時間がかかると思う」と回答した人に対し、どの程度時間がかかるかを尋ねたと ころ、 「5分以上/週」への回答が 44%、 「3~5分未満/週」への回答が 26%、 「1~3分未満/週」への 回答が 23%、 「0~1分未満/週」への回答が7%、となった。 どの程度早くなるか(n=272) どの程度余計に時間がかかるか(n=311) 0~1分未満/ 週, 20, 7% 5分以上/週, 0~1分未満/ 49, 18% 週, 60, 22% 3~5分未満/ 週, 64, 24% 5分以上/週, 138, 44% 1~3分未満/ 週, 99, 36% 1~3分未満/ 週, 71, 23% 3~5分未満/ 週, 82, 26% 73 紙の分別排出に関するアンケート調査票 はじめに、あなたのことについておうかがいします。 Q1 あなたの年齢は? 1.20 代 2.30 代 3.40 代 4.50 代 5.60 代以上 Q2 あなたのお住まいの地域は? 1.北海道 2.東北 3.関東 4.中部 5.近畿 6.中国 7.四国 8.九州・沖縄 (注)関東は、1都6県に加え、新潟県、長野県、山梨県、静岡県を含む。 中部は、富山県、石川県、岐阜県、愛知県、三重県。 近畿は、福井県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、和歌山県、兵庫県。 以下の設問には、 ごみ出しの主担当者の協力を得てご回答ください。 (あなたがごみ出しの主担当者でしたら、 引き続きご回答ください。 ) Q3 あなたがお住まいのまちでは、可燃ごみを入れて出す袋は有料の指定袋ですか? 1.可燃ごみの袋は有料の指定袋である →Q3-1へ 2.可燃ごみの袋は指定されておらず、無料である 3.わからない Q3-1 20リットルのごみ袋はおいくらですか? 袋入りで 円 Q4 あなたがお住まいのまちでは、スーパーマーケット等の店頭で、新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック 等の古紙を回収していますか? 1.スーパーマーケット等で新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の古紙を回収している 2.スーパーマーケット等で新聞、雑誌、段ボール、牛乳パック等の古紙は特段回収していない 3.わからない Q5 紙マーク(紙製容器包装の識別マーク)を知っていますか? 1.知っている →Q6へ 2.知らない →Q7へ Q6 紙マークを目印にして、可燃ごみと分別して排出していますか? 1.紙マークを目印にして、可燃ごみと分別して排出している 2.紙マークを目印にはしていない 74 Q7 紙マークのついたもの(紙製容器包装)の多くは製紙原料になるのですが、洗剤の箱や飲料用紙パッ ク、紙コップ等の複合素材のものは、製紙原料に向かないことを知っていますか? 1.知っている 2.知らない Q8 紙マークのついたものに新たな識別マークをつけ、製紙原料になるものと製紙原料にならないものと を分別して排出してもらうことを考えています。現状と新たな識別マークをつけた際の分別を比べて、ど ちらの場合がより時間がかかると思いますか。 1.いままでよりも早くなると思う →Q8-1へ 2.いままでと変わらない 3.いままでよりも余計に時間がかかると思う →Q8-2へ Q8-1 どのぐらい早くなると思いますか? 1. 0~1分/週 2. 1~3分/週 3. 3~5分/週 4. 5分以上/週 Q8-2 どのぐらい余計に時間がかかると思いますか? 2. 0~1分/週 2. 1~3分/週 3. 3~5分/週 4. 5分以上/週 ご協力ありがとうございました 75