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金属が植物に与える影響について ジ

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金属が植物に与える影響について ジ
ジ
金属が植物に与える影響について
熊本市立託麻中学校 2年 今福 1 研究の動機と目的
コリウスの茎が折れ、水に差したと
ころ、根が出ていて驚いた。以前、花
瓶に10円硬貨を入れると花が長持ちす
ると聞いたことがあり、身近な金属と
して他の硬貨も使い、金属が植物に影
響を与えるかどうか調べてみることに 写真① コリウスとヒメツルソバ 写真② 折れた茎から出た根
した。
2 研究の方法
【予備の研究】 水と硬貨入りの水の中で実際に根が出るか確認する。
⑴ 水と 10 円硬貨入りの水に切ったコリウスの茎を入れる。( 写真③ )
⑵ ⑴の両方で根が出たので、水のみ(日なた、日光なし)と、1円、5円、10 円、100 円硬貨入
りの水に新しく切ったコリウスの茎を入れる。( 写真④ )
【予備の研究の結果】
⑴ 1円硬貨入りの水に白いコケ状のものが発生した。( 写真⑤ )
⑵ それぞれの成長に差が出、水のみ(日なた)でコケが発生した。(日光なしは根が出ず)
写真③
写真④
写真⑤
【予備の研究で気付いたこと】
⑴ 結果⑴から、別の容器に水と1円硬貨のみを入れて観察したところ、それも同じようになった
ので、白いコケ状のものは汚れではないかと考え、硬貨をすべて新貨にすることにした。又、硬
貨の重さが違うため、それぞれ、約 20g になるようにした。
⑵ 結果⑵から、根の成長の違いが、(a)個体による差ではないか、(b)違う植物でも同じ結果
になるか、という疑問が生じ(a)については同じ植物を複数入れる、(b)についてはコリウ
ス以外の植物も使い研究することにした。
【本研究】
⑴ 水のみ(日なた、日光なし)1円、5円、10 円、100 円の新貨約 20g 入りの水に、ヒメツルソ
バを3本ずつとコリウスを1本入れ、毎朝7時に1番長い根を測定する。足し水も同条件の水を
使用する。また、別の容器で水温の測定をする。(写真⑥⑦⑧)予備の研究のコリウスもそのま
ま観察する。(コケの観察のため水は足さない。)
⑵ つぼみが同じ程度のユリを、⑴と同じ条件の水に2本ずつ入れ観察する。
- 110 -
左から
写真⑥⑦⑧⑨
3 研究の結果
(1) ヒメツルソバとコリウスの根の伸びの測定結果(表1)
7/28 7/29 7/30 7/31
月日
天気
曇り
28.5
室温(℃)
71.0
湿度(%)
水温(℃)(*1) 28.0
水温(℃)(*2) 26.5
水
(日なた)
水
コリウス
ヒメツルソバ
(日光なし) コリウス
1円
ヒメツルソバ
コリウス
5円
ヒメツルソバ
コリウス
10円
ヒメツルソバ
コリウス
100円
1
日数
A1(mm)
A2(mm)
B1(mm)
B2(mm)
C1(mm)
C2(mm)
D1(mm)
D2(mm)
E1(mm)
E2(mm)
F1(mm)
F2(mm)
ヒメツルソバ
ヒメツルソバ
コリウス
8/1
8/2
8/3
8/5
8/6
8/7
8/8
8/9 8/10 8/11 8/12 8/13 8/14 8/15 8/16
晴れ 晴れ 曇り
晴れ 晴れ 晴れ 晴れ 曇り
晴れ 晴れ 曇り
晴れ 晴れ 曇り
雨
晴れ 曇り
晴れ
29.0
69.0
29.0
27.7
2
28.5
54.0
28.0
26.0
3
29.8
57.0
29.0
27.5
6
33
0.1
0
0
13
3
19
0.5
8
0.1
14
0
31.1
62.0
30.4
29.0
11
81
50
0
0
66
57
41
6
17
1
15
0
29.5
61.0
29.0
27.5
13
87
71
31.7
50.0
30.0
28.5
14
91
83
29.0
52.0
30.0
28.1
15
107
92
28.0
40.0
28.5
27.1
16
119
93
29.0
76.0
28.1
27.0
17
132
114
29.0
60.0
28.5
27.0
18
132
112
28.0
66.0
28.2
27.0
19
134
118
30.2
59.0
28.4
27.1
20
134
123
82
69
51
7
19
1
17
0
94
87
69
11
19
1
17
0
94
99
69
16
21
1
17
0
87
106
73
18
21
1
17
0
91
123
81
20
21
1
17
0
95
125
99
25
24
1
17
0
105
136
99
28
25
1
17
0
109
143
104
32
27
1
17
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
29.0
61.0
29.0
27.5
4
2
0
0
0
0
0
2
0
0.1
0
2
0
4
0
0
0
1.5
0
4
0
2
0
8
0
29.3
58.0
29.0
27.8
5
15
0
0
0
5
0
11
0
4
0
11.5
0
31.0
51.0
30.0
28.5
7
56
8
0
0
26
8
25
1
10
0.1
15
0
30.0
64.5
30.0
28.1
8
59
20
0
0
38
17
28
2
13
0.1
15
0
30.0
64.0
29.0
27.8
9
70
28
0
0
46
24
30
2
15
0.1
15
0
30.0
70.0
29.9
28.5
10
76
30
0
0
48
33
35
4
15
0.1
15
0
29.0
42.0
28.0
27.0
12
85
67
×
×
82
69
51
7
19
1
17
0
B以外 E2はつ 100円
水を足 ぶ状の が変色
した
根
メ モ
*1水のみの水温 *2ヒメツルソバ入りの水温 1円:アルミニウム100%
160
8/4
曇り
F1は
葉がか
さかさ
F2は
枯れて
いない
10円:青銅(銅95% 亜鉛4~3% すず1~2%) 5円:黄銅(銅60~70% 亜鉛30~40%) 100円:(銅75% ニッケル25%)
OO
mm
#
A1
ࡅࡔ࠷࡞࠰ࡃߣࠦ࡝࠙ࠬߩᩮߩિ߮ߩࠣ࡜ࡈ
ࠣ࡜ࡈ㧝
ヒメツルソバとコリウスの根の伸びのグラフ(グラフ1)
#
A2
$
B1
140
B2
$
120
C1
%
100
C2
%
80
60
D1
&
D2
&
E1'
40
20
E2'
F1(
F2(
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
( 3 )
℃
(2) 水のみとヒメツルソバ入りの水の水温の変化(グラフ2)
日
水のみ
32
水
31
1 円
30
29
5 円
ヒメツルソバ
入りの水
28
1 0 円
27
1 0 0 円
26
計測日
7月31日 晴れ
25
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
時
-
△
: つ
: 花
ぼ
が
み
少
数
18
ゆ
り の
1
2
○
―
―
―
―
―
△
―
―
―
○
―
―
―
△
―
△
―
―
―
の 状 態
○
し 開 い た 状
19
観
察
3
日数
ᣣᢙ
20
結
果
( 表
4
○
○
―
△
―
△
―
△
○
○
―
△
△
△
―
―
―
―
△
△
: 花 が 開 い た
態
× : 枯 れ
2 )
5
×
△
△
△
○
△
△
×
△
△
状 態
た 状
6
7
×
△
△
△
×
△
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
×
態
4 研究の考察
⑴ A1~B2の結果から、植物の成長には日光が必要である。
⑵ C1、C2の結果より、1円硬貨(アルミニウム)の与えた影響はない。又、新貨から汚れは
出なかったので、白いコケ状のものは汚れと考えられる。
⑶ D1~F2の結果より、5円(黄銅)、10 円(青銅)、100 円(白銅)硬貨は根の成長を遅らせ、
特に 10 円、100 円硬貨はその影響が大きい。
⑷ 100 円硬貨は水により変色する。
⑸ ヒメツルソバの根は、それぞれの条件の水の中で3本とも同じように成長したので、根の成長
の差は個体による差ではないとわかる。
⑹ コリウスの根とヒメツルソバの根は、それぞれの条件の水の中で同じような成長の違いがあっ
たので、植物の種類に関係なく金属の影響があったとわかる。
⑺ 水を足さなかった予備の研究のコリウスは、水のみ以外ではコケや水の濁りが発生しなかった
ので、金属にはそれを抑える働きがあるとわかる。(写真⑨)
⑻ グラフ2より、ヒメツルソバ入りの水の方が1日を通して水温が低いことから、植物には水温
の上昇を抑える働きがあるとわかる。
⑼ 表2より、わずかの差で5円硬貨が長く持ち、花が咲いて枯れることも成長の過程とすると、
花が長く持つことも成長の遅れと考えられ、金属の影響があったといえる。
- 111 -
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