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第11章 図書・電子媒体等
全学報告書 第11章 目 図書・電子媒体等 的 教育・研究に必要な学術資料を収集・体系化・保存し,大学における「知の拠点」 として,これを本学の教職員,学生に提供することを目的とする。この目的を十全に 果たすため,各々の学問分野にわたり必要とされる学術資料を過不足なく収集し,そ れらについて十分な検索手段を確保し,さらに,学術情報をよりスムースに提供する ための人的資源の確保,養成に努める。またこのような図書館機能の有効な活用を促 すために,図書館リテラシー教育活動を学生に対して積極的に実施する。 1 図書,図書館の整備(教育研究上必要な学術資料の体系的整備と量的整備の適切性) ⑴ 現 ア 状 現 状 図書館では,資料購入予算約7億円を「学術専門図書費」「学習用図書費」「逐次刊行物 費」「電子的資料費」に大枠で分け,教員・図書館員による「収書委員会」「電子資料委員 会」「特別資料選定委員会」「学習用図書選書委員会」等,委員会形式の恒常的な選書体制 を整え,体系的な資料の収集に努めている。2009 年3月 31 日現在図書,資料の所蔵数及び 受け入れ状況は次の表のとおりとなっている。 図書,資料の所蔵数及び受け入れ状況 図書館の名称 中央図書館 図書の冊数 定期刊行物の種類 電子 過去3年間の図書受け入れ状況 視聴覚資 (冊) (種類) ジャーナル 料の所蔵 の種類(種 開架図書の 図書の冊数 内国書 外国書 数(点数) 2006年度 2007年度 2008年度 類) 冊数(内数) 1,155,834 1,066,927 7,429 3,352 3,448 29 40,708 28,954 25,354 備 考 2006年度統計は中央 館に生田保存庫・博 物館の図書数を含め て算出していた 電子ジャーナルの数 値はパッケージ数 和泉図書館 344,994 318,796 1,068 594 224 29 8,119 9,041 8,886 電子ジャーナルの数 値はパッケージ数 生田図書館 396,257 357,441 3,445 2,591 359 29 9,198 8,569 11,559 電子ジャーナルの数 値はパッケージ数 生田保存庫 336,986 336,986 3,020 2,117 16 636 309 2006年度統計は中央 館に生田保存庫・博 物館の図書数を含め て算出していた 78,022 78,022 951 16 4 33,090 24,501 2006年度統計は中央 館に生田保存庫・博 物館の図書数を含め て算出していた 2,312,093 2,158,172 15,913 8,670 4,051 80,290 70,609 博物館図書室 計 87 58,025 電子的資料について,2008 年度は外部データベース,電子ジャーナルを合わせ 71 契約と なった(2007 年度は国内外の 40 の外部データベース,31 の電子ジャーナルデータベース と契約)。冊子体逐次刊行物からの切り替え,デジタル資料購入の特別予算により,デジタ ル化への顕著な変化となった。なお視聴覚資料については,教育の情報化推進本部が運営す る各地区メディアライブラリーが別途資料の収集・提供を行っている。 本学の博物館は3つの展示部門を持つ。刑事部門は,1929 年実物教育のため刑事関係資 料の収集と展示を目的に創設された「刑事博物館」を前身とし,法と人権のあり方をテーマ 第 11 章 図書・電子媒体等 -1- 全学報告書 とする。商品部門は,1951 年に創設された「商品陳列館」(のち商品博物館)を前身とし, 伝統的手工業製品(伝統的工芸品)の収集と展示による,商品を通した生活文化のあり方を テーマとする。考古部門は,1952 年に考古資料の保管と展示を目的に創設された「考古学 陳列館」(のち考古学博物館)を前身とし,人類の過去と多様性の追究をテーマとする。 これら3つの部門は,第一に学内共同利用機関として,第二に国内有数の資料保存機関と して,第三に生涯教育機関として,事業を推進している。 博士ないしは修士の学位を持つ学芸員が配置され,専門的業務をつかさどるとともに,学 芸員資格及び学術研究の専門性を考慮して採用した嘱託職員の補助を得て教育・研究支援に あたっている。このため,収蔵資料の管理と継承,博物館独自の教育サービスの提供などは, 学芸員が専門的知識をもとに日常的運営を遂行している。また,各学部所属の教員と事務管 理職によって構成される博物館協議会を開催して,教育・研究計画その他を検討し,協議会 に設置された資料評価分科会によって,購入資料の評価が行われている。展示会や収蔵資料 整理などは,学芸員と協議会委員,教員・専門研究者に委嘱した研究調査員等よる共同研究 プロジェクトとして実行している。 イ 長 所 博物館は実物資料を活用した教育がその特色である。抽象概念の伝達にとどまらず,映 像・音響を加え,視覚,聴覚,嗅覚,触覚に訴える教育形態がメリットを引き出している。 公開講座で実物資料の活用を促進し,映像・音響などのメディアミックスによるリアリティ ある教育事業の形態や方法が実践されている。 さらに,国際的な学術交流に対応できる学術資料により,展覧会や研究交流を通して国際 交流の推進にも資しており,その成果は特別展の開催という形で示されている。また,大英 博物館をはじめ,スイス,カナダ等の海外の博物館に資料提供・出品を行った実績がある。 なお,2009 年度には中国の福建博物院から国家一級文物を含む資料を借用する特別展を予 定している。 ウ 問 題 点 近年,外国雑誌年平均約8%の値上りにより,資料購入予算に占める逐次刊行物費の比重 の増加が大きな課題となっている。毎年のように外国雑誌見直しアンケートを実施し,継続 雑誌をキャンセルすることで新規雑誌等の購入費用に充ててきたが,毎年 2,000 万円を超 える金額が値上がりの中に消費され,現在では必要な雑誌の維持すらも難しい状況にある。 冊子のキャンセルだけでは新規財源の確保はもはや不可能になりつつある。図書費の増額が 望めない中で外国雑誌がこのまま毎年値上がりを続けていくと,3年後の 2011 年には図書 費に占める逐次刊行物費の割合は 70%を超える。残りの 30%で研究用,学習用図書など必 要な資料すべてを購入しなければならないため,電子資料委員会では,今後のシミュレーシ ョンに強い危機感を持ち,学術雑誌の安定的供給のためにどのような方策がよいのか検討を 重ねた。電子資料委員会では,冊子体から電子化へ移行した場合のメリット,デメリットを 具体的に検討し,電子ジャーナル,データベース導入を進めるためのPULC(公私立大学 図書館コンソーシアム)からも最新情報を収集し,利便性と価格,費用対効果などの観点か ら比較を行い,冊子と電子媒体の両方で刊行されているものについては漸次電子化へ転換す る方針を決定した。ただし,電子ジャーナルはタイトルごとに購入ができる冊子体とは異な り,パッケージによる契約が主体なため,電子に切り替えることにより却って高くなるもの もある。また,冊子体よりも値上げ率は低いとはいえ,年間5%前後の価格上昇があり,財 源確保が課題になる。 第 11 章 図書・電子媒体等 -2- 全学報告書 ⑵ 問題点に対する改善方策 資料購入予算に占める逐次刊行物費の比重の増加に対しては,逐次刊行物の厳密な評価に よる取捨選択,PULC(私立大学図書館コンソーシアム)による電子ジャーナル,データ ベース契約の推進を行った。2004 年度から3年間にわたって行った雑誌各タイトルの必要 度を調査するアンケート調査は,2008 年度は,その実効性を再度検討する期間として,実 施しなかった。今後さらに他大学との協力による分担収集等,価格高騰への対処方法を探ら なければならない。 また「図書購入費の不足」「各学部の外国図書不足」が大学基準協会から指摘されており, 図書館予算の執行内容を分析し効果的な運用を図らねばならないが,図書館予算の拡充にも 眼を向けなければならない。さらに図書館は,経常費特別補助の獲得に取り組み,2008 年 度の内示額は今のところ不明であるが,2007 年度は約1億5千万円を越える補助金を得て いる。これは図書館資料費の約 20%に相当する。ただこれが翌年度の図書館予算に反映さ れておらず,経常費特別補助の実績の反映が必要である。これにより図書館が行っている経 常費特別補助や外部資金等の獲得にも拍車がかかるであろう。今後さらに蔵書構成の適正化 を図り,資料の収集,保存方針を見直し,予算を効果的・効率的に運用しなければならない。 2 図書館の規模,開館時間,閲覧室の座席数,情報検索設備や視聴覚機器の配備等,利用 環境の整備状況とその適切性 ⑴ 現 ア 状 現 状 図書館施設の規模を「図書,資料の所蔵数及び受け入れ状況(前掲)」及び,「学生閲覧 室等(図書・電子媒体等 表2(大学基礎データ表 43))」として示した。2001 年3月に 新図書館施設として中央図書館が開館したことにより駿河台校舎における図書館利用環境の 抜本的改善が実現した。和泉図書館においては,情報ネットワーク関連設備を現行施設に追 加することが困難であったが,和泉新図書館の建設が決定され,この中で抜本的な改善を図 る予定である。なお,3館とも書庫の利用者への開放を実現し,図書館の蔵書の殆どについ てブラウジングによる利用が可能になっている。 全学部生に対する席数の割合は,ほぼ 10%前後の数値となっているものの,中央図書館, 和泉図書館がわずかであるが水準を満たしていない。 学生閲覧室等 図書館の名称 閲覧室座席数 (A) 収容定員 (B) 収容定員に対する座席数の割合(%) A/B*100 中央図書館 1,264 12,874 9.8 和泉図書館 1,006 10,894 9.2 生田図書館 746 7,451 10.0 ローライブラリー 53 517 10.3 3,069 31,736 9.7 計 第 11 章 図書・電子媒体等 -3- 備 考 全学報告書 図書館利用状況を示した。中央図書館,和泉図書館,生田図書館ともに 22 時までの開館 時間を確保し,さらに,中央,生田図書館においては休日開館を実現し,授業時間の前後は もとより,休日も含め図書館を利用した学修の便を図っている。 図書館利用状況 称 中央図書館 和泉図書館 6 (4) 生田図書館 6 (5) 非常勤職 員数 専任職員 数 名 25 (22) 45 (38) 年 間 開 館 日 337 13 (11) 275 14 (12) 347 開館 時間 月~金 8:30~ 22:00 土 8:30 ~19:00 日祭日 10:00~ 17:00 休暇中 10:00~ 19:50 月~金 8:30~ 22:00 土 8:30 ~19:00 日祭日 10:00~ 17:00 休暇中 10:00~ 19:00 月~金 8:30~ 22:00 土 8:30 ~19:00 日祭日 10:00~ 17:00 休暇中 10:00~ 19:00 年間利用者数(延べ数) 年間貸し出し冊数 2006 年度 2007 年度 2008 年度 2006 年度 2007 年度 2008 年度 680,924 人 教職員 15,756 学生 665,168 653,392 人 教職員 16,762 学生 636,630 719,855 人 教職員 17,727 学生 702,128 133,760 冊 教職員 11,549 学生 145,309 146,432 冊 教職員 10,892 学生 135,540 160,143 冊 教職員 13,975 学生 146,168 82,879 冊 教職員 3,444 学生 74,995 80,453 冊 教職員 4,008 学生 76,445 83,136 冊 教職員 5,170 学生 88,266 55,519 冊 教職員 2,496 学生 53,096 56,471 冊 教職員 2,323 学生 53,648 64,662 冊 教職員 3,036 学生 61,626 和泉は入館ゲートがない為、学生・教職員別の 入館者数は不明 入館ゲート がなかっ た 2006 年 の 学生・教職 員の利用 者別の入 館者は不 明 281,908 人 教職員 3,607 学生 278,301 346,127 人 教職員 4,318 学生 341,809 博物館の施設 部門 管 理 施設 部 門 教 育 普 及 部 門 調 査 研 究 部 門 部門 館長室,事務室,会議室, 倉庫 図書室,書庫,閲覧室,教 室,体験学習室,ミュージ アムショップ 学芸研究室,作業室1,作 業室2,展示準備室 収 展 蔵 部 示 施設 門 室 前室,一時保管室,収蔵室1,収蔵 室2,特別収蔵室,写真保管室1, 写真保管室2 常設展示室,特別展示室,(大学史 展示室) 博物館資料 部門 刑事部門 考古部門 商品部門 時田昌瑞ことわざ 合計 2007 年度 受入数 資料総数 (件数) (件数) 30 204,119 11 78,630 1 7,707 ― ― 42 290,456 第 11 章 2008 年度 受入数 (件数) 35 4 15 1,280 1,334 図書・電子媒体等 -4- 資料総数 (件数) 204,154 78,634 7,722 1,280 291,790 全学報告書 博物館利用状況 年度 開 館 日 数 (日) 入 館 者 数(人) 資 料 貸 出 品 数 (点) 掲 載 等 (点) 撮 影 (点) 古文書閲 覧(点) マイクロ閲 覧(リール) 博物館 343 64,670 648 417 1,360 4,657 148 黒耀石センター 250 5,119 - - - - - 博物館 344 55,585 539 472 2,625 4,098 154 黒耀石センター 245 2,785 - - - - - 部門 2008 2007 博物館の収蔵資料は,常設展をはじめ各種展示で公開するほか,国内外の博物館等が開催 する展覧会へ出展している。また,調査・研究を目的とする学生・教員・外部研究者への閲 覧利用に供している。刑事部門の古文書閲覧のほか,考古部門においては資料調査 48 件 (2008 年度)を受け入れている。また,教科書,教養書などの出版にあたっての利用,報 道機関による取材も増加している。特別展をはじめとする各種展覧会の開催により,貴重な 学術資源や本大学及び博物館における調査研究の成果を公開し,学習機会を幅広く提供して いるが,2008 年度の実施結果は次のようになった。 博物館展覧会入場者数 2007 年度 第1回 2008 年度 第2回 特別展 3,990 主催展 1,370 共催展 735 568 その他 展覧会 1,370 1,872 第3回 第4回 2,830 3,244 949 合計 第5回 計 第1回 第2回 第3回 6,820 2,074 3,902 - - 5,976 1,370 747 - - - 747 1,303 1,846 4,675 - - 6,521 7,435 5,173 1,429 1,014 16,928 第4回 計 7,616 20,860 主催展覧会の参加者数は前年度を下回っているが,研究成果報告としての性格の強い展 覧会であったことが影響しているとも考えられる。共催展覧会の2回目は黒耀石研究セン ターが周辺自治体と連携した展覧会である。その他の展覧会はほぼ同数の参加者数となっ たが,駿河台西町会による展覧会は集客力があり,地域連携の重要性を示している。なお, 小規模のコレクション展は,2007 年度は 12 回の実施であったが,2008 年度は計 13 回,3 部門すべてにおいて実施した。 博物館は実物保管のほかに,80 年近くにわたる収集活動の結果,国内の博物館でも有数 の博物館資料・図書を所蔵しており,豊富な資料を利活用することができる。しかし,図書 の所在情報が図書館と一元化が完了していないため,一部の図書のデータ検索ができない状 態になっていた。2007 年度より図書情報の遡及入力を開始し,雑誌以外の一般書・発掘調 査報告書等については完了している。2008 年度に増加した図書は,購入 237 冊、寄贈 4,191 冊である。 イ 長 所 第 11 章 図書・電子媒体等 -5- 全学報告書 現状の施設,要員体制,また前節で述べた学術資料の蓄積に基づき,下記のような利用者 サービス活動を展開している。 ① レファレンスサービスの充実 文献,電子資料に精通した職員を重点的に配置し,従来のカウンターサービスに加えて ウェッブによるオンラインナレッジシステムの稼動により,参考質問のデータベース化を 2008 年度から開始した。 ② 利用者の苦情へのこまめな対応 3館に投書箱を設置して,利用者の意見を聴取し,原則として2週間に一度,掲示によ り回答している。利用者からの指摘によって改善した事柄も多い。回答は 2006 年度から 図書館ホームページで公開を行っている。なお,意見の聴取は前述のオンラインナレッジ システムでも行っている。 ③ ニーズに応じた閲覧施設 一般の閲覧室,パソコンなどの利用を禁止したブース型の静寂な閲覧室,ゼミや小授業 が可能なグループ閲覧室,机の配置などを自由に変えておしゃべりもできる共同閲覧室, 大型の地図を広げたり壁掛けのできる地図室,新書・文庫コーナーに隣接した椅子だけの 軽読書席など,利用目的に応じた閲覧施設を設置し,利便性を図っている。 ④ ノートパソコンの貸出 図書館の情報機能を高めるため,中央図書館で 60 台,生田図書館で 30 台の貸し出し 用ノートパソコンを用意して館内利用に供している。 ⑤ シラバス本コーナーの設置 教育支援の一つとして,シラバス掲載の参考図書を全て2冊ずつ購入し,1冊は開架書 架,1冊はシラバス本コーナーに学部・教員別に配架している。現在それらの所蔵情報を Oh-o!Meijiシステムと連携することを検討している。 ⑥ マルチメディアコーナー 3館にインターネットに接続できるパソコンを設置し,各種電子資料へのアクセス,情 報機器を利用した学習環境の整備を実現している。 ⑦ ギャラリーにおける蔵書等の展示 図書館の特色ある蔵書や新収の貴重書を展示するとともに,解題小冊子を作成して,蔵 書の理解を深めることに役立てている。例年7月から9月にかけては,司書課程及び司書 講習と連携した「図書館の文化史」展も開催している。 ⑧ 校友やリバティアカデミー会員,付属中高生への開放 生涯学習時代への対応として,校友やリバティアカデミー会員などの社会人に対し館 外貸出しを含めたサービスを行っている。休日利用は,これらの利用者が全入館者数の 半数近くになる。中高で進められている「調べ学習」を支援するため,貸出しを含めた サービスを実施している。なお,系列校である中野学園の生徒も利用可能である。 ⑩ 英語版ホームページ 留学生や海外からの利用に対応するため,2006 年 10 月から公開している。 ⑪ 教育活動 図書館利用者教育の一環として,学部間共通総合講座「図書館活用法」を 2000 年度か ら開講し,入館者数や資料の館外貸出数の増加など,大きな成果をあげている。履修者の 予習復習に役立てることを目的に,2006 年度に3点づつ,2008 年度までに合計9点がデ ジタルコンテンツとして製作し,図書館ホームページで利用できる。さらにゼミナール毎 第 11 章 図書・電子媒体等 -6- 全学報告書 の課題に直結した図書館の活用法を担当教員との打合せに基づき説明する「ゼミツアー」 の実施,各種データベースの利用講習会の開催など,多彩な教育活動を図書館利用者に対 して行っている。なおこれらの活動については,2007 年度に「『教育の場』としての図 書館の積極的活用」として文部科学省の特色GPに採択された。 図書館活用法講義 履修者数推移 駿河台 (前期) 和泉 (前期) 和泉 (後期) 生田 (後期) 計 2003 年度 *130 223 198 551 2004 年度 177 575 292 1044 2005 年度 87 *228 *229 *155 699 2006 年度 133 291 252 160 836 2007 年度* 89 120 138 152 499 2008 年度 116 60 482 306 *2007 年度はパソコンを一人一台とする実習のため募集人数を限定して実施した。 ゼミツアー参加者数推移 2006 年度 回数 参加者数 2007 年度 回数 参加者数 2008 年度 回数 参加者数 中央図書館 81 1006 109 1278 102 1137 和泉図書館 130 2416 142 2541 181 3055 生田図書館 12 127 4 38 25 267 計 223 3549 255 3857 308 4459 この他,中央図書館ギャラリーにおいて授業に関連した図書の展示を定期的に開催, 生田図書館ギャラリーゼロにおける展示,グループ閲覧室の実習授業への提供,情報検 索授業への外部データベース(教育用バージョン)の提供なども行っている。 ⑫ 社会貢献 図書館の地域への開放については,すでに 2003 年3月,「千代田区立図書館と明治大 学図書館との相互協力に関する覚書」を締結し,千代田区民に対する本学中央図書館の開 放を実現している。この協定により,千代田区住民は図書館利用手続き(年間 3,000 円)を経て,資料の貸出も含め,中央図書館の利用が可能になっている。また,2004 年 7月には「杉並区立図書館及び杉並区内大学・短期大学図書館の相互協力に関する協定 書」を締結し,いわゆる「杉並区図書館ネットワーク」に参加することにより,杉並区民 に対する和泉図書館の開放を実現している。この協定により,杉並区民は図書館利用手続 き(年間 1,000 円)を経て,資料の貸出も含め,和泉図書館の利用が可能になっている。 同様に生田図書館では,川崎市多摩区民への生田図書館の開放に関する覚書を 2006 年3 月に川崎市多摩区と交わし,2006 年4月から区民への開放を実現した。さらに,中央図 書館における講演会,展示会,和泉図書館における講演会など地域への開放を念頭に置い た諸活動を実施している。 第 11 章 図書・電子媒体等 -7- 全学報告書 地域住民貸出状況 2006 年度 2007 年度 2008 年度 中央図書館(千代田区民) 233 冊 190 冊 421 冊 和泉図書館(杉並区民) 718 冊 532 冊 688 冊 生田図書館(多摩区民) 655 冊 750 冊 1113 冊 1606 冊 1472 冊 2222 冊 合計 ⑬ 学術国際交流 海外協力の一環として,2005 年度にカナダ・ケベック州政府と協定を結び,相互の永 続的な資金拠出に基づく「ケベック文庫」を図書館に設置した。この文庫は本学はもとよ り日本国内におけるカナダ・ケベック研究に多大な貢献をなすものと期待される。 ⑵ 問題点に対する改善方策 図書館利用者用座席数の不足については,図書館の面積に限りがあるため大幅な増加は現 在のところ困難である。このため,図書館外から図書館資料をある程度利用可能にする電子 図書館システムの充実を図り,図書館利用者に対する改善の一助としてきた。図書館は3館 平均で年間 340 日開館しており,これは私立大学図書館としては有数の日数であるが,さ らに学習の便宜を図るために,冬季休業中の開館日拡大を実現する。 図書館活用法の履修者数は年々漸増しており,実習科目で一人一台のパソコンを使っての 授業ができないなど授業環境が悪化した。そのため 2007 年度には定員を設け履修者数を抑 制したが,授業の目的が学生の図書館への導入教育であるため,少人数教育を維持しつつ, 授業コマ数を増やして対応した。今後,授業のレジュメや資料は図書館ホームページで公開 しているが,教育の情報化推進本部と連携してデジタルコンテンツ化を推進し,履修者の予 習復習に役立てるとともに,広く公開する。 ゼミツアーの内容は,施設案内,利用方法,利用上のマナーに加え,オプションとして, 特定主題資料の配架案内,OPACや外部データベースの検索方法を用意している。今後は, オプション部分を重視し,ゼミや学生・院生の主題テーマに沿って,さらに専門的な解説 (例えば,法律関係データベース,統計関係データベース,電子ジャーナル,などの使用 法)を中心にしたい。また,卒論作成のためのアドバイスメニューも検討している。なお, 生田図書館は,中央図書館,和泉図書館に比較して参加者が少ないが,これは理工学部や農 学部の場合,図書館の基本的な利用法については研究室単位で指導する習慣が定着している ためである。 全学での共通利用を前提とする電子媒体の安定的供給には,図書館も経常経費特別補助申 請や価格の抑制を目的としたPULCの利用を行うが,学内の合意を得て全学部共通で研究 費の一定比率を電子媒体購入費用に拠出することや,電子化申請によって獲得した補助金を 図書館予算に配布するなど,従来とは異なる方法で財源確保の検討を行う。電子化により, 今まで以上に学術雑誌を通じて広く世界に研究情報を発信し,また受信した情報を研究・教 育に還元する知の循環環境を整備するのがこれからの図書館である。 博物館に所蔵する図書についても引き続き遡及入力をおこない,2009 年度中にデータの 一元化を実現する。博物館全体の入館者数は増加傾向にあるが,特に,研究成果報告型の展 第 11 章 図書・電子媒体等 -8- 全学報告書 覧会こそ,本来,大学として最も社会に対しアピールすべき展覧会テーマである。また,特 別展入場者数における在学生の比率が低く,館が主催する事業においてもおしなべて参加数 は少ない。在学生の利用促進にあたっては,イベントの不特定者への広報に依存するのでは なく,収蔵資料の調査・研究活動や博物館施設の利用を,ゼミ単位,あるいはサークル単位 での呼びかけをおこなってゆく。また、2008 年度から博物館をテーマとする学部間共通総 合講座を開設した。 3 情報インフラ 3-1 ⑴ 学術情報の処理・提供システムの整備状況,国内外の他大学との協力の状況 現 ア 状 現 状 図書館業務については発注から目録データ作成,予算管理まですべてのシステム化が終了 し,殆ど全ての蔵書についてのデータ化も終了し,インターネットを通じた蔵書データベー スの検索が可能になっている。また国立情報学研究所の学術情報システムに参加することに よって他大学とのシステム的連携も大きく進展している。また「図書館ポータルシステム」 を構築し,これにより利用者はインターネットを通じて資料の貸出予約,取寄せ依頼,自身 の利用状況の把握などが可能になっている。なお,2005 年度には,「図書館ポータルシス テム」の校友への開放も実現し,さらに学生・教職員・校友に対して携帯サイトの利用を開 始した。提供するサービスは,図書館からのお知らせ,蔵書検索(OPAC),ポータルサ ービス(貸出延長,予約状態確認,配送状態確認)等で問い合わせである。 他大学との協力については,本学,法政大学,明治学院大学,学習院大学,東洋大学,青 山学院大学,國學院大学,立教大学の8大学で「山手線沿線私立大学図書館コンソーシア ム」を形成し,相互の教職員学生が各大学の図書館を利用できる体制を構築した。本学図書 館はコンソーシアム8大学のうち最も他大学から利用される図書館となっている。さらに 2004 年度からは,杉並区図書館ネットワークを形成することにより,本学和泉図書館,女 子美術大学,高千穂大学,東京立正短期大学,立教女学院短期大学との相互利用を,また国 立情報学研究所情報資料センターとの大学院生レベルの相互利用を実現している。 大学別コンソーシアム利用状況(2008 年度 第 11 章 ) 図書・電子媒体等 -9- 全学報告書 年間 入館者数 (所属) (利用館) 青山 青山 学習院 國學院 東洋 法政 明治 明治学院 107 616 249 236 410 117 308 2,043 135 198 186 405 69 633 1,822 76 182 157 38 56 996 149 374 20 56 815 801 47 402 1,775 260 1,393 8,974 118 589 学習院 196 國學院 466 21 東洋 108 51 57 法政 149 45 82 249 明治 1,377 711 1,493 1,604 2,136 明治学院 140 36 26 100 75 94 立教 242 245 79 128 232 239 50 合計 2,678 1,216 2,488 2,604 3,196 2,480 601 イ 立教 合計 1,215 2,966 18,229 問題点 図書館システムは,業務処理システムとしても利用者サービスシステムとしても十全かつ 安定的な稼動を実現している。今後,拡大する電子的資料に関するシステム的なサービス体 制を整備する必要がある。 ⑵ 問題点に対する改善方策 図書館システムの改善事項としては,電子図書館システムの充実・整備を進めている。図 書館が所蔵する一次資料の電子化・学外各種データベース・電子ジャーナル等を一元的に, 情報ネットワークを通じて利用者に提供する電子システムの構築を進めつつあり,図書館ポ ータルシステムの改善,携帯電話版OPACの公開などにより,利用者サービスの改善を行 っていく。他大学図書館との協力については,利用者サービス面だけではなく,資料の分担 収集等も含め連携体制を拡大するために,特に山手線沿線私立大学図書館コンソーシアムの メンバー校との間で検討を進めている。 3-2 学術資料の記録・保管の配慮の適切性,保存スペースの整備状況や電子化の状況 ⑴ 現 状 ア 現 状 中央図書館,和泉図書館については,蔵書の増加に伴い書庫の収容能力が限界に達しつつ ある現状であり,生田保存書庫の有効活用をすすめているが,今後6年程度で図書館全体の 書庫は満杯になる見込みである。図書館所蔵一次資料の電子化については,2001 年度から 年次計画を立案し,積極的に推進してきた。主に貴重書資料を中心に電子化を進め,これを 図書館ホームページで公開している。学術情報のオープンアクセスについては,国立大学を 中心に,NIIの協力の下で大学に所属する研究者の研究著作物や機関の知的資産を学内の サーバに集積し,メタデータを付して著作権の許す範囲において公開する「機関リポジト リ」のシステムが普及し始めている。これを受け,他大学の取り組みや公開状況を具体的に 調査検証したところ,学術雑誌高騰により世界的な規模で学術情報の流通・入手が阻害され ている状況に対するものとして,また,大学のステータスを高めるものとしても大変有益で あると判断し,大学として協力することとした。2007 年度に図書委員会の下に学術成果リ ポジトリ運営委員会を設置し,各学部,教授会の了承を得,本学の紀要,研究報告書等の著 第 11 章 図書・電子媒体等 -10- 全学報告書 作権処理の手続を実施した。また,図書館の刊行物を中心にリポジトリへの収録を始めた。 博物館資料についても,所蔵資料の記録・保存を各部門において次の通りデジタル化を推進 している。①考古部門 2000~2004 年度にわたり,5年計画で所蔵写真のデジタル化をお こなった。ウイリアム・ガウランド写真資料のデジタル化を行っている。②刑事部門 館蔵 「内藤家文書」のマイクロ・フィルム撮影と史料目録のデジタル・データ化をおこなってい る。③その他利用頻度の高い資料写真のデジタル化を推進した。 図書の遡及入力作業については,19,488 冊(2008 年度)の遡及処理を行った。このよう に継続的な取り組みを進めているが,画像データベースの公開・提供については,課題が残 る。ホームページを介しての公開については,現在の市販ソフト(IBM ホームページビルダ ー)の利用による方式では技術的な問題から実施が難しいことが判明している。 イ 問 題 点 機関リポジトリの構築作業として,既刊紀要類の遡及的入力を行っている。しかし論文本 文の電子化にあたってコピーによるPDF化という方法をとっており,コスト的にも文字検 索にノイズが生じるなどシステム的な面でも問題が生じている。 ⑵ 問題点に対する改善方策 機関リポジトリの構築を前提とした,紀要等学内学術情報の出版方式の検討を開始した。 具体的には,出版物刊行のための印刷過程で,副産物として本文の電子データを生成するこ と,原稿入稿時にマークアップによりメタデータを自動生成,さらに全文検索への対応が可 能なデータを生成することなどを課題として検討を進めている。博物館に所蔵する学術情報 提供用のシステム構築について,全学的なレベルでの画像データベース公開システム構築を 念頭に,関連部署との間で協議を進める。 第 11 章 図書・電子媒体等 -11-