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将来見通しに関する注意事項
本アニュアルレポートには、
「 将来見通しに関する記述」、すなわち、電通および電通グループの
業績や財務状態を考慮した上での、電通もしくは経営者による決意、判断または現時点での見
込みに関する記述が掲載されています。
これら将来見通しに関する記述にはリスクや不確実性
が内在しており、将来の業績を保証するものではありません。実際には、
さまざまな要因によっ
てこれらの記述とは大きく異なる結果が生じる可能性があります。将来の業績に影響を与えう
る重要な要因は、本アニュアルレポート全体に記述された情報に含まれています。
これら将来見
通しに関する記述は、現時点における判断に基づくものです。
当社は、将来の出来事、状況もしく
は環境を反映し、将来見通しに関する記述を更新して公表する義務を負うものではありません。
目次
01 電通グループの企業理念
02 電通グループの事業ラインナップ概要
04 電通の事業領域と強み
08 業績ハイライト
10 株主の皆様へ
12 中期経営計画進捗報告
20 特集:グローバル領域/マネジメントインタビュー
23 企業の社会的責任(CSR)
28 コーポレート・ガバナンス
35 フィナンシャル・セクション
58 マーケット・データ
62 子会社および関連会社
64 沿革
65 取締役、監査役および執行役員
66 投資家情報
Good
In n o v a t i o n.
電通グループの企業理念
ステートメント:
「その手があったか」と言われるアイデアがある。
「そこまでやるか」と言われる技術がある。
「そんなことまで」と言われる企業家精神がある。
私たちは 3 つの力でイノベーションをつくる。
人へ、社会へ、新たな変化をもたらす
イノベーションをつくってゆく。
スローガン:
Good Innovation.
企業家精神
Entrepreneurship
アイデア
技術
Ideas
Technology
Innovation をつくり出す 3 要素
Innovationとは、
技術革新だけを指す言葉ではない。
人へ、社会へ、新しい価値をもたらす
幅広い変革を意味している。
01
電通グループの
事業ラインナップ概要
電 通 グ ル ープ 企 業 理 念「Good Innovation.」
(グッドイノ
どコンテンツを活用したコミュニケーションにより、ニュートラル
ベーション)には、クライアントである企 業や組 織のイノベー
なプランニングを実践します。さらに、企業・事業・プロダクト
ションを支え、新たな価値の創造と変革を導くことを希求する
の開発をもスコープとし、あらゆるコミュニケーション・チャンス
強い意思を込めています。電通グループでは、経営・事業・マー
をデザインの対象にして、クライアントの課題解決を行います。
ケティングなどクライアントが抱えるさまざまな課題に応える
〈主なサービスライン〉
ソリューション・パートナーのポジションにふさわしい、多様
なサービスを提供しています。その領域は、社会、環境、生活
クロスメディア・コミュニケーションプランニング、
者の変化に伴うソーシャル課題へのソリューション提供など
戦略 PR デザイン
にも拡大しています。
●クリエーティブ
● 戦略ソリューション
電 通 グル ープは、既 成 の 広 告 代 理 店 の 枠 を超え、企 業 イノ
「イノベーティブなクリエーティブ」
を志向する電通グループでは、
ベーション、ブランド・マネジメント、商品開発、企業コミュニ
アートディレクター、
CMプランナー、コピーライター、コミュニ
ケーション、ダイレクト・ビジネスなど、企業の戦略構築にか
ケーションデザイナーなど豊富な人的資産を活用し、既成の概念
かわる多様なコンサルティングやソリューションを提供してい
や手法にとらわれない多彩なパーソナリティを自在に組み合わせ
ます。モノづくりから流通の仕組み、そしてプロモーションの
て、柔軟かつ斬新なクリエーティブ・ソリューションを提供してい
在り方に至るまで、ビジネスそのものの構造が大きく姿を変え
ます。そのクオリティの高さは、年間で最も優れたクリエーターに
ていく中、多彩なコミュニケーション活動で培ってきた発想力
贈られる
「クリエイター・オブ・ザ・イヤー」
(主催:社団法人日本
を基盤に、クライアントの抱える課題に応えるソリューション・
広告業協会)全21回中19回の受賞や、広告賞受賞数で決まる
パートナーの役割を果たしています。
世界的な広告会社ランキング「ガン・レポート」
で過去 10年間常
にベスト5にランクインするという実績で証明されています。
〈主なサービスライン〉
企業イノベーション・コンサルティング、ブランドコンサルティ
●プロモーション
ング、企 業アイデンティティ
(CI・VI)、商 品 /サービス開 発、
クライシス・コミュニケーション、ダイレクト・ソリューション
電通グループが提供する「プロモーション」は、折り込みチラ
シやサンプル配 布 等の店 頭 施 策、ダイレクトメールの送 付と
●コミュニケーション・デザイン
コミュニケーション・デザイン
いった従来の「セールスプロモーション」の領域にとどまるも
生活者のコンタクトポイントが多様化し、企業からのメッセー
ショッパーズ・マーケティング」、
ITを販促に駆使する「デジタ
のではありません。売り場 視 点でより深く洞 察した「店 頭 /
ジが情報の受け手に伝わりにくくなる中で、
「コミュニケーショ
ル・プロモーション」、生活者をより深い体験に導く
「リアル・
ン・デザイン」の重要性が増しています。これは、コミュニケー
エクスペリエンス」など。これらの専門的な組織と人材ネット
ション活動を行う上で、情報の受け手にとって最適な環境を
ワークを駆使して、生活者のブランド・パーセプション形成か
どう設計(デザイン)するかということ。
ら店頭における購買行動喚起に至るまでのプロセスづくり、す
そのために、生活者の嗜好や取り巻く状況を把握し、コミュニ
なわち
「人を動かす仕組みづくり」をサポートしています。
ケーションのプロセスや機会、手段を設計します。環境形成に
〈主なサービスライン〉
有効な手法である戦略 PRやWOM/ BUZZ など既存の広告
以外の情報経路からのコミュニケーションを立案したり、ブラン
店頭/ショッパーズ・マーケティング、デジタル・プロモーション、
デッド・エンタテインメントやブランデッド・ユーティリティーな
リアル・エクスペリエンス
02
●デジタル
●ソーシャル・ソリューション
電通グループでは、デジタル・テクノロジーの進化とともに高
地球規模で取り組む環境や資源・エネルギー問題をはじめ、
度化するクライアントのマーケティング課題に、統合的かつ高
食料や医療・介護、貧困・格差などの社会的な課題の解決に
水準のデジタル・ソリューションで応えています。2010 年 1 月
は、行政機関だけでなく民間や非営利組織、さらには市民の
に発 足した事 業 統 括 会 社「株 式 会 社 電 通デジタル・ホ ール
積極的な参加と協力が不可欠です。電通グループでは、さま
ディングス」
と電通社内組織である「デジタル・ビジネス局」を
ざまな課題に対して、コンサルティング、プランニング、エグゼ
中核に、グループ各社のネットワーク力に加え、総合広告会社
キューションなどの各フェーズにおける専門チームを組織し、
の強みであるキャンペーン、クリエーティブ、マスメディアなど
ソーシャルテーマの発掘やコミュニケーション戦略の立案、運
を連 携させた、電 通グル ープならではのデジタル・ソリュー
動展開スキームの開発や具体的な支援活動など、より良い社
ションをワンストップで提供しています。また、電通の子会社
会の実現に向けたソリューションを提供しています。
である電通国際情報サービス(ISID)は、情報システム構築な
〈主なサービスライン〉
どの ITソリューションを提供し、電通グループの多岐にわたる
環境ビジョン開発、低炭素社会/生物多様性/水ビジネスに
事業領域に対しIT 面から支援しています。
関するコンサルティング・プランニング、スマートグリッド社会
における生 活 者インサイト/ 事 業 開 発、食 農ビジネス開 発、
〈主なサービスライン〉
テクノロジー&ビジネス開発、インタラクティブメディア(イン
BOPビジネス、ライフイノベーション(医療・健康・介護)ビジ
ターネットメディア、モバイルメディア、SEM、パフォーマンス
ネス、観光立国に関するコンサルティング・プランニング、マッ
メディア)、データマネジメント&マーケティング、デジタルキャン
チングビジネス、次 世 代 /シニアソーシャルビジネス、ソー
ペーン・プロデュース、デジタル制作(ウェブサイト構築、チャ
シャル・デザイン・エンジン(ソーシャルテーマの見える化)
ネル開発、デジタルクリエーティブ)
●ナレッジ&インサイト
●メディア・コンテンツ
電 通グループが提 供しているサービスは、そのすべてが独自
電通グループでは、独自のプランニング手法や豊富な実績を
の視点に基づく深いインサイトに根差しています。生活者と同
活かした課題解決型のメディア・プランニング、効率的なメディ
じ目線で、リアルな生活者像に肉迫することで得られる「生活
ア・バイイングの実践、さらには斬新なメディア企画や優良な
者インサイト」をベースに、効果的なソリューションのプランニ
コンテンツ資産の開発を行っています。また、メディア各社と
ングやコンサルティングを提供しています。また、独自の生活
の信頼関係をもとに、新規事業の開発、映画の製作委員会へ
者データベース「d-camp」を保有し、近年注目を集めている
の出資や大型スポーツコンテンツの放映権獲得など、優良コ
脳科学などの先端的なリサーチ手法も取り入れています。
ンテンツを広告キャンペーンに活用できる環境を整えています。
〈主なサービスライン〉
メディア・プランニング、メディア・バイイング、スポーツ・マー
ケティング、エンタテインメント・コンテンツ、メディアとの新
ビジネス開発
03
電 通の
事 業領域と強み
電通グループは、コミュニケーション領域を中核として、広告主や
メディア、コンテンツホルダーに対しての経営課題・事業課題の解
決からマーケティングコミュニケーションの実施まで、そのすべてを
事業領域としています。個々のサービスの質はもちろんのこと、それ
らを統合し、具体的な形にしていくIntegrated Communication
Design(インテグレーテッド・コミュニケーション・デザイン)により、
広告コミュニケーション産業の中でトップクラスの存在感を確立し
ています。コンペティターを圧倒的にリードする優位性と、コミュニ
ケーションに関するあらゆる課題にベストな統合ソリューション力を
発揮することによって、環境の変化に迅速に対応し、
「 新しいコミュ
ニケーションズ・グループ」
として持続的な成長を続けていきます。
04
1.
世界 No.2 の規模である
日本市場でトップシェアを確保
世界の広告市場の10.1%を占める日本のマーケットにおいて、
電通はトップシェアを維持し続け、国内第1位の売上高を誇る広告会社として位置づけられています。
電通が日本国内でトップシェアを維持し続ける理由は、多様な顧客ポートフォリオと主要マスメディアにおける強力な確保力にあります。
多くのブルーチップクライアントを扱っていることや、主要なグローバルクライアントも日本市場のパートナーとして
電通を選定していることなどから、バランスの取れた顧客ポートフォリオを確立しています。
また、電通は、国内広告市場で最大のボリュームを占めるテレビ媒体で競合他社を寄せ付けない
高いシェアを占めるなど、すべてのマスメディアにおいてトップシェアを確保しています。
さらに、インターネットなど成長性の高いメディアにも戦略的な布石を打つことで、日本の広告市場を常にリードしています。
主要媒体の広告市場規模比較*1
日本の広告費における売上高比率*2
2009 年
(%)
2009 年
50
(売上高比率=各社単体売上高 日本の広告費合計)
その他 30.9%
40
5.5%
5.5%
5.4%
5.3%
30
13.6%
13.6%
14.0%
13.3%
23.2%
22.6%
22.4%
22.1%
2006
2007
2008
2009
米国 34.7%
20
オーストラリア 2.0%
イタリア 2.4%
10
ブラジル 2.7%
フランス 2.9%
日本 10.1%
0
英国 3.9%
中国 4.8% ドイツ 5.6%
● 電通 ● HDY ● アサツー DK
*2 (1)HDY は博報堂/大広/読売広告社の売上を合算、各社単体数値。
( 2)各社の売上高と
*1 出典:ゼニス・オプティメディア
『世界の広告費予測』2010 年 7月から電通算出
『日本の広告費』は、集計範囲が異なる部分があります。%は『日本の広告費』
との比較を参考
*テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画、屋外広告、インターネットを含む
までに掲載しています。
出典:
『広告代理業の現勢』、
『広告と経済』
(広告経済研究所発行)、
『日本の広告費』
(当社発行)
*3
グローバル・グループ・ランキング
2009 年
順位 エージェンシー グループ
1 WPP
2 オムニコム
売上総利益(単位:百万 US$)
$13,598
11,721
3 ピュブリシス
6,287
4 インターパブリック
6,028
5 電通
3,113
6 イージス
2,109
7 アバス
2,010
8 博報堂 DY ホールディングス
1,522
9 Acxicom
10 MDC パートナーズ
750
546
*3 出典:
『Adver tising Age』2010 年 4 月から
05
2.
多様な事業ポートフォリオ
電通グループでは、メディア・プランニングおよびクリエーティブを含むマスメディア広告サービス、
各種マーケティング、セールスプロモーションに加えて、また、消費のためのコミュニケーションだけではなく、
社会的課題に対応するための「ソーシャルコミュニケーション」
の領域においても、クライアントと共に積極的に取り組んでいます。
また、オリンピック
(夏季・冬季)、FIFAワールドカップ™など社会的に関心の集まるスポーツ・ビジネスや映像作品などの
各種エンタテインメントビジネスにおいても、コンテンツホルダーとの強固なリレーションを通じて新しい事業領域を創出し続けています。
豊かな構想力と緻密な構成力、そして表現力と説得力は国内外で高い評価へと結びつき、
数多くの広告賞受賞実績となって現れています。
海外における評価
電通が「カンヌ国際広告祭(CANNES LIONS 2009)」
で「メディア・エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」等を受賞
マクギャリー・ボウエン社が米国「アドエージ」誌が選ぶ 2009 年「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー賞」
を受賞
メディアパレット台湾が台湾広告主協会が選ぶ「年間ベストメディアエージェンシー」
を受賞
電通コミュニケーションズが「バンガロール広告祭」
で「エージェンシー・オブ・ザ・イヤー」
を受賞
電通メディアインドネシアが業界誌「mix」が選ぶ「ベスト・オブ・ザ・ベスト
(メディア・エージェンシー)」
を受賞
ガン・レポート 世界で最も賞を受けた広告会社ランキング *4
2009 年
〈トラディショナルメディア(TV、プリント)部門〉
〈インタラクティブ・エージェンシー部門〉
順位 広告会社名
順位 広告会社名
1 DDB ロンドン
1 グッビー、シルベスタイン&パートナーズ(サンフランシスコ)
2 アルマップ BBDO(サンパウロ)
2 クリスピン・ポーター&ボガスキー(ボールダー、マイアミ)
3 電通(東京、大阪)
3 バスキュール(東京)
4 グッビー、シルベスタイン&パートナーズ(サンフランシスコ)
4 ファルファ(ストックホルム)
5 デルカンポ・ナスカ サーチ&サーチ(ブエノスアイレス)
5 電通(東京)
5 AKQA(ロンドン)
5 アルマップ BBDO(サンパウロ)
5 BBH(ロンドン)
5 R/GA(ニューヨーク)
*4 出典:
『THE GUNN REPORT AND SHOWREEL OF THE YEAR 2009 』
06
3.
統合ソリューション力
生活者の価値観・ライフスタイルの細分化や、デジタル化の進展に伴い
企業と生活者のコミュニケーション手法も多様化し、クライアントニーズも大きく変化しています。
電通グループはクライアントに対して、これまでもマーケティングに関する深い知見と、
有力メディアとの強いリレーションシップを用いて統合ソリューションサービスを提供してきました。
新しい時代のコミュニケーションを模索する今こそ統合ソリューション力をさらに強化し、
広告・プロモーション領域を起点に、商品開発や経営・事業戦略などの川上領域まで
課題解決の幅を広げていくとともに、質の向上を図っていきます。
電通グループの目指す統合ソリューション
クライアントとメディアへのサービスの両輪を強化し、両者を最適につなぎあわせたソリューションを提供する
経営・事業戦略
アドテクノロジービジネス
コンテンツ
商品開発
デジタルメディア
ソーシャルテーマ
製造・生産
OOH
イベントマーケティング
チャネル開発
衛星メディア
広告・プロモーション
対クライアント
対メディア
マス4 媒体
アフターマーケティング
グローバルに拡大
4.
強固で安定した財務基盤
顧客ポートフォリオの充実により、安定的な収益を確保することで
電通グループの財務基盤は強固なものとなり、格付投資情報センター(R&I)から高い格付けを得ています。
また、その信用を背景に、スポーツイベントや各種エンタテインメントなど、
良質のコンテンツに継続的な投資を行い、積極的に新しいビジネスを創造することが可能になります。
財務の安全性・健全性や成長のための投資原資確保との
バランスを重視しながら、企業価値増大に努めています。
長期 短期
格付投資情報センター(R&I)
AA a-1+
(2009 年 10 月現在)
07
メディアに新たな価値と需要を創出
クライアントのバリューチェーンの
川上から川下までをサポート
電通グループ
業 績ハイライト
株式会社電通および連結子会社
3 月 31日に終了した各連結会計年度
単位:百万円
2006
2007
2008
2009
2010
¥1,963,296
¥2,093,976
¥2,057,554
¥1,887,170
¥1,678,618
1,637,400
1,745,584
1,712,332
1,572,696
1,382,127
売上総利益
325,896
348,391
345,222
314,474
296,490
販売費及び一般管理費
267,120
285,556
289,095
271,290
259,166
営業利益
58,776
62,834
56,126
43,184
37,323
経常利益
64,837
70,044
67,993
53,363
44,790
65,103
60,712
63,610
(4,972)
40,048
当期純利益(又は当期純損失)
31,002
30,688
36,246
(20,453)
31,130
営業活動によるキャッシュ・フロー
81,058
41,962
56,007
42,359
74,989
投資活動によるキャッシュ・フロー
(31,238)
(52,003)
(18,069)
(22,263)
(9,251)
財務活動によるキャッシュ・フロー
(42,668)
(9,779)
(30,701)
(27,748)
(31,282)
3月期:
売上高
売上原価
税金等調整前当期純利益
(又は税金等調整前当期純損失)
現金及び現金同等物の期末残高
78,412
62,015
70,252
57,271
92,854
¥1,277,722
¥1,268,049
¥1,251,912
¥1,092,543
¥1,118,236
521,180
554,760
567,293
452,568
484,250
¥11,300.31
¥11,193.17
¥13,202.77
11,159.97
10,878.56
12,804.73
−
122.84
2,500
3,000
3,500
35
27
18.0
18.0
16.3
13.7
12.6
(4)
自己資本利益率(ROE)
6.1
5.7
6.5
(4.0)
6.6
(5)
総資産利益率
(ROA)
4.7
4.9
4.5
3.7
3.4
自己資本比率(6)
40.8
43.7
45.3
41.4
43.3
配当性向(7)
22.1
26.8
26.5
−
21.6
3月31日現在:
総資産
自己資本
1株当たりデータ(円)
:
当期純利益(又は当期純損失)
潜在株式調整前
潜在株式調整後(1)
配当金(2)
¥ (79.61)
¥
125.03
比率
(%)
:
オペレーティング・マージン(3)
注:
(1)2009 年 3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載していません。 (2)2009 年 3月期および 2010 年 3月期は
2009 年1月実施の株式分割後ベース (3)オペレーティング・マージン=営業利益 売上総利益 100 (4)自己資本利益率(ROE)=当期純利益(又は当期純損失) 期首・期末平均自己資本 100
(5)総資産利益率(ROA)=営業利益 期首・期末平均総資産 100 ( 6)自己資本比率=自己資本 総資産 100 (7)配当性向=1株当たり配当金 1株当たり当期純利益 100
08
(各年 3月期)
売上高
(十億円)
2,500
500
2,000
400
1,500
300
1,000
200
500
100
0
0
2006
(十億円)
売上総利益
(十億円)
2007
2008
2009
2010
営業利益・オペレーティング・マージン
2006
(%)
(十億円)
2007
2008
2009
2010
当期純利益(当期純損失)
・自己資本利益率(ROE)
(%)
80
20
40
8
60
15
20
4
40
10
0
0
20
5
-20
-4
0
-40
0
2006
2007
2008
2009
営業利益 オペレーティング・マージン
2007
2008
2009
2010
当期純利益(当期純損失) 自己資本利益率(ROE)
総資産・総資産利益率(ROA)
(十億円)
-8
2006
2010
(%)
自己資本・自己資本比率
(十億円)
(%)
1,500
10
600
60
1,200
8
480
48
900
6
360
36
600
4
240
24
300
2
120
12
0
0
0
2006
2007
2008
2009
2010
0
2006
総資産 総資産利益率(ROA)
2007
2008
2009
自己資本 自己資本比率
09
2010
株主の皆 様へ
Q.
2010 年 3月期の業績を
A.
2010 年 3月期の日本経済は、前年度の米国の金融不安に
総括してください。
端を発した世界経済の急激な悪化から緩やかに持ち直して
きたものの、厳しい雇用・所得環境が続きました。広告業
界においても、2009 年(暦年)の「日本の広告費」
(当社調
べ)
が 5 兆 9,222 億円(前年比 11.5%減)
となり、前年に引
き続き2 年連続で減少し、推定開始以来の最も大きい減少
率でした。
当社は2009年7月に策定した新中期経営計画「Dentsu
Innovation 2013」
のもと、さまざまな具体的施策を実施
し、
「第 12 回 IAAF 世界陸上競技選手権ベルリン大会」や
「第 21 回オリンピック冬 季 競 技 大 会(2010 /バンクー
バー)」
などを足がかりに、当社グループの総力を結集し積
極的な営業活動を展開した結果、下期には業績の改善を
達成することができました。当期の連結業績は、売上高
1 兆 6,786 億 18 百万円(前期比 11.1%減)、売上総利益
2,964 億 90 百 万 円(同 5.7% 減)、営 業 利 益 373 億 23
昨年 7月に発表した中期経営計画に基づいてさまざ
百 万 円(同13.6 % 減)
、経常利益 44 7億 90百 万 円(同
まなイノベーション・プロジェクトを進めてきた電通
16.1%減)、当期純利益 311 億 30 百万円(前期は204 億
グループ。当グループの2010 年 3月期の事業活動が
53百万円の当期純損失)
となりました。なお、当期純利益
終了いたしましたので、当期業績の概況を代表取締役
の増加は、前期において投資有価証券評価損511億16百
社長執行役員の髙嶋達佳がご報告します。
万円を計上していたこと、および過年度に計上した投資有
価証券評価損等の一部について損金算入または繰延税金
資産を計上したことにより、税負担率が低下したことなども
影響しました。
10
Q.
中期経営計画の進捗状況について
A.
電通グループは、2014 年 3月期をターゲットとした中期
説明してください。
経 営 計 画「Dentsu Innovation 2013」の達 成を目指し
Q.
2011 年 3月期の
A.
2011 年 3月期には、
「 2010FIFAワールドカップ™南ア
見通しを教えてください。
フリカ大会」
「 第 22 回参議院議員通常選挙」などの商機が
ています。当期においては「Dentsu Innovation 2013」
見込まれています。次期連結業績を売上高 1 兆 7,498 億
で策定した5つの領域(サービス・ビジネスモデル・グロー
円(前期比 4.2%増)、営業利益 422 億円(同 13.1%増)、
バル・人材・コスト)
でイノベーションをスタートさせてい
経 常 利 益 427 億円(同 4.7%減)、当期 純 利 益 228 億円
(同 26.8%減)
と予想しております。
ます。具体的には、新たにデジタル関連会社を統括する
事業統括会社電通デジタル・ホールディングスを設立し、
次世代のデジタル・デバイスが誕生し、メディア環境も大
グループのデジタル関連部署の改組を行いました。さらに、
きく変化するなど、電通を取り巻くビジネス環境が大きく
プロモーション領域ではクライアント企業への統合的な
変わっていく中、さまざまな施策を導入し、自己変革に取
課題解決力を高めていくためのグループ営業体制の強化に
り組むことで、新しい時代における成長モデルの確立を目
取り組みました。また、グローバル領域においては現地主導
指します。
のマネジメントの推進などを行い、日系クライアントに加え
株主の皆様におかれましては、今後とも当社グループへのご
グローバル/ローカルクライアント獲得に向けて体制を整
指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。
えております。
(詳しくはP.12の
「中期経営計画進捗報告」)
中期経営計画の実施初年度を順調にスタートさせることが
できましたので、2 年目以降も引き続き改革を推進してま
代表取締役社長執行役員
いります。
11
中期 経営計画進捗報告
中期経営計画の概要
●電通グループ中期経営計画
●
「Dentsu
Innovation 2013 経営ビジョン」
電通グループは、現在、2014 年 3月期(2013 年度)を最終目標と
企業理念「Good Innovation.」のもと中長期的に目指していく
する中期経営計画「Dentsu Innovation 2013」
を推進しています。
電通グループの目標像
同計画は、プラットフォーム時代における競争優位性を高めるため、
収 益 構 造を変え、働き方を変え、ビジネスモデルを変え、そして
・ステートメント:プラットフォーム時代において、クライアント
(企業)
、
グループ各社員の意識改革を図ることにより、さらなる成長を実現し
メディア、生活者、そして自社グループ内にイノベーション
(革新)
を
経営目標の達成を目指すものです。
もたらし、社会全体に向けた新しい価値の提供に挑戦し続ける
企業グループを目指します
●
「Dentsu
「D
entsu
Innovation 2013」策定
策定の背景
の背景
・スローガン:
「プラットフォーム時代への挑戦」
わが国では、少子高齢化が進み経済活動が成熟化していく中で、消
・「Dentsu Innovation 2013」
の目標
費行動は大量消費の時代から、多様化・細分化の流れが主流とな
「Dentsu Innovation 2013」
では、2013 年までに以下の経営
りつつあります。また、コミュニケーション・テクノロジーの進化が
目標を達成することを目指しています。
生活者のメディア接触行動を変え、メディア企業の競争構造を大き
ー 連結営業利益 700 億円
く変化させています。
ーオペレーティング・マージン 20%以上
一方、クライアントを取り巻く環境も大きく変化しています。先進各国
(オペレーティング・マージン=営業利益 売上総利益 100)
の低成長、新興国の発展、バリューチェーンのボーダレス化が進展し、
ー ROE 8% 内外企業間の競争は激しさを増しています。この厳しい経営環境を反
映し、クライアントはマーケティングROI志向を強め、非マスメディア
●経営ビジョン実現に向けた5つのイノベーション
広告や販促費にマーケティング費用をシフトさせています。また、クラ
イアントが広告会社に求める課題解決は、より一層高度化・複雑化し、
マーケティングの領域を超えてクライアントの経営・事業課題にまで
①サービス・イノベーション
踏み込んだソリューションが求められるようになってまいりました。
クライアントとの関係の持続的強化、およびメディアビジネスの再構築
これらの変化は、広告業界の構造を変え、当社グループのビジネス
・より幅広くクライアントの課題を発見して解決できるソリュー
環境に大きな影響を与えています。デジタル・テクノロジーの発展
ション能力の向上
により、生活者、企業、メディアなどのさまざまな主体が直接、相互
・付加価値を収益に結びつけ、多様な報酬・利益を獲得する体制
にコミュニケーションや取引を行い、かつその行動がリアルに記録
の構築
される新たな活動の場、すなわち
「プラットフォーム」が形成されま
・デジタルおよびプロモーション領域における実施体制の拡充、
した。情報流通やコミュニケーションが大きく変革する時代、まさに
メディアビジネス自体の競争力強化など、クライアントニーズに
「プラットフォーム時代」が到来したのです。
合致したサービス体制の再構築
このような経営環境の大きな変化に対応し、当社グループのさらな
る成長を実現するため、5つのイノベーションを推進する中期経営
計画「Dentsu Innovation 2013」
(2009 ∼ 2013 年度)
を策定し、
2009 年 7月から全社を挙げて取り組んでいます。
12
●2009 年度の総括と2010 年度に向けて
「Dentsu Innovation 2013」の初 年 度にあたる2009 年 度にお
②ビジネスモデル・イノベーション
きましては、期首に連結営業利益 158 億円の見通しを立てていま
「プラットフォーム時代」において、高い付加価値を提供できる
ポジションの確保
したが、景気も回復の兆しを見せる中、中期経営計画で掲げた5つ
・プラットフォーム上の、さまざまなキープレーヤーとの連携強化
のイノベーションを確実にスタートすることで、373 億円の営業利
・クライアントの課題解決に必要なリアルな生活者データを獲得
益を確保することができました。2008 年のリーマン・ショック以降、
日本経済は景気低迷が続いていましたが、2009 年度下期に入り
できる環境の構築
回復の兆しがみられ、広告市場も底打ち感がでてきています。
・新たなメディアビジネスモデルの構築と収益化など、新規事業
2009 年度連結業績は、厳しい事業環境の中、売上高・営業利益と
開発へのチャレンジ
もに減収・減益となりましたが、下期には食品や飲料・嗜好品など
一般消費財を扱うクライアントを中心に受注が伸び始め、バンクー
③グローバル・イノベーション
従来の概念にとらわれない、新たな視点でのグローバル化の推進
バー冬季五輪など、さまざまなコミュニケーション機会を着実にと
・現地の同業他社に十分競合できるエージェンシーネットワーク
らえることで、下期は営業増益を達成することができました。
への変革を遂げるため、M&Aを含めたマーケティングサービス
2010 年度におきましても、依然として厳しい事業環境が続くと考
等のポートフォリオ拡充
えており、気を緩めることなく、中期経営計画に基づくさまざまな改
・エリアごとでの最適なマネジメント体制の再構築、権限委譲による
革を進めていきます。
機動性の向上、利益管理の徹底など、マネジメント改革の推進
④人材・イノベーション
ビジネス環境の変化、事業構造の変革に適合した、当社グループ
全体の人事・育成制度の再構築
・社員の能力や貢献度に応じた評価・処遇体系へのシフト
・多様なキャリアパスやワークスタイルの設定、教育・研修制度の
拡充
・グループ視点での要員再配置
⑤コスト・イノベーション
当社グループ全体を通じたコスト構造の改革
・付加価値の収益化、原価低減の仕組みを確立
・間接業務を見直し、スリムで強靭な間接部門の構築
・グループ会社の役割・機能の見直し、再編の検討・実施
13
サービス・イノベーション
●プロモーション領域におけるイノベーションの課題と進捗
●デジタル領域におけるイノベーションの課題と進捗
デジタル領域における競争力の強化と業績の拡大は、当社グループ
統合的な課題解決力を高めていく上では、デジタル同様、プロモー
の成長を考える上で極めて重要であると考えています。
ション領域の強化も不可欠です。これまで、クライアントニーズに必
電通グループでは、2010 年1月、社内のデジタル関連部署を改組し、
ずしも十分に応えていなかったこの領域の体制を改めるために、
デジタル関連リソースを再編・集約した
「デジタル・ビジネス局
(以下、
2009 年 5月、電通社内に
「電通プロモーションセンター」を設置し
DB局)」
を電通社内に設置いたしました。また、新たにグループ内の
ました。フロントラインにグループ内の専門スタッフを集中的に配置
デジタル関連会社を統括する事業統括会社「株式会社電通デジタ
し、機動力を向上することにより、クライアントニーズを着実にとら
ル・ホールディングス
(以下、DDH)」
を設立し、グループのデジタル・
えて、受注機会の拡大につなげました。
イノベーションを牽引するヘッドクォーター機能を確立しました。
また、電通グループが強みとするクリエーティブ領域とプロモーション
領域の連携を強化するために、電通社内のプロモーション事業局に
DB 局では、今後、グループ全体の統合的なデジタル戦略を立案・
「ソリューション・クリエーティブ室」を開設し、クライアントに提供
実施するとともに、電通単体のデジタル領域に関する業務を推進。
各セクションと密接な協働体制を確保しながら総合広告会社の強
する付加価値の向上を図りました。
みであるキャンペーン、クリエーティブ、マスメディアなどを連携させ、
さらに、同局内に
「調達管理部」
と
「プロセス・マネジメント部」を設
統合的かつ高度なソリューションを展開していきます。
置しました。調達の最適化や業務プロセスの効率化を進めることで、
DDH は、サイバー・コミュニケーションズや電通イーマーケティン
クライアントへ提供するサービスの質や収益性の向上につなげてい
グワンなどのグループ内のデジタル関連事業を統括し、DB 局と常
きます。
に連携をしながら、ひとつの「デジタル・エージェンシー」
のように機
これらの取り組みを行った結果、この領域における2009 年度の売
能することで、デジタル・テクノロジーの進化とクライアントニーズ
上高成長率は、上期・下期ともに、プロモーション市場全体の平均
の高度化に対応する高品質のワンストップ・ソリューションを提供
を上回ることができました。
していきます。
上記の活動は2009 年度下期以降に成果として現れ始め、大手クラ
●メディア・コンテンツ領域の機構改革など
イアントをはじめ幅広いクライアントの案件を獲得できました。また、
PCメディアだけでなくモバイルや SEM などの売上も大きく拡大し、
2009 年度の当社単体のインタラクティブメディアの売上高が前期
2010 年 4月に、これまで電通社内において各媒体(新聞、雑誌、ラ
比で 32.0%伸長するなど、着実な成果を示すことができました。
ジオ、テレビ、衛星メディア、インタラクティブ、OOH 等)別に配置し
今後、この単体での成功をグループ全体に拡大させていきます。
てきた業務推進機能、プランニング機能を統合し
「MCプランニン
グ局」
を新設する大幅な機構改革を行いました。
これにより、クライアントの複雑化する課題に対し、電通の強みであ
るメディア・コンテンツの統合的なプランニングを、より有効に活用
できる体制となり、それと同時にマスメディア自体の価値向上への
取り組みも強化しました。
また、オリンピック
(夏季・冬季)やFIFAワールドカップ™などの大
型スポーツコンテンツの放映権獲得やホスピタリティ事業、映画製
作委員会への出資や新規コンテンツ開発などを通じて、世界各地
域におけるさらなるビジネス展開を推進してまいります。
14
第 21 回オリンピック冬季競技大会(2010 /バンクーバー)
ⓒPHOTO KISHIMOTO
15
グローバル・イノベーション
●グローバル領域における成長戦略
日本経済が成熟期に入る中、当社の今後の事業展開において、高い
・アジア地域における展開
成長の期待できるBRICs などの新興諸国やマーケティング・イノ
2010年3月期は、特に成長著しい中国市場を含むアジア全域での
ベーションの先端を行く欧米地域の存在感は一段と高まっています。
サービス体制を強化しました。
このグローバル領域においては、従前の方式にとらわれない新しい
メディア事 業においては、2009 年 12月の「電 通メディア韓 国」、
視点から事業に取り組み、現地主導のマネジメントを推進し、日系
2010 年 3月の「電通メディア香港」の設立により、統合的なケイパ
クライアントに加え、ローカルクライアントやグローバルクライア
ビリティを向上させています。
ントの扱いを拡大させていきます。また、業務提携やM&Aも活用
また、中国エリアにおいては、同国最大の販促ネットワークを誇り、
しながらサービス・ラインナップの拡充を進めていきます。
ITマネジメントのプラットフォームを確立する
「サントレンド・グルー
プ」
と資本・業務提携を行いました。さらに、中国 23 都市にネット
・米州地域における展開
2008 年に電通グループとなった米国子会社の電通マクギャリー・
広告会社
ボウエンは、順調な成長を続けており、2009 年には複数の大きな
アカウントを獲得したことなどが評価され、アドエージ誌の「エー
米州・欧州
ジェンシー・オブ・ザ・イヤー賞」に選出されました。
● 電通アメリカ
● 電通マクギャリー・
また、2010 年 1月に、米国で SEMやソーシャルメディア領域に強
ボウエン
みを持つイノベーション・インタラクティブ社をグループ会社に迎え
● 電通アティック
入れました。クライアントに最適なデジタル・ソリューションを機動
● 電通UK
的に提供できる同社は、グループにおけるグローバルベースでの
(2009 年8月改組)
デジタル・イノベーションの推進役となることを期待しています。
南 米 にお いては、2014 年 6 月∼7月にFIFAワ ー ルドカップ™、
2016 年 8月にはリオデジャネイロでオリンピックの開催が決定し、
今後さらなる成長が期待できるブラジルでの営業力強化に向けて、
電通ラテンアメリカを完全子会社化しました。
・
「電通ネットワーク・ウエスト」
の設置
さらには、欧米事業の強化・拡充を図るため、2010年10月に
「電通
ネットワーク・ウエスト」
を発足させました。
「電通ネットワーク・ウエ
スト」
が米州および欧州の経営管理の権限と責任を担い、これらの地
コンテンツ
域のクライアントサービス提供をスピーディに行うことにより、競争力
のあるグローバル・ネットワークとしてのポジションの早期確立を目
● 電通スポーツ
指していきます。
アメリカ
(2009 年7 月設立)
● 電通エンタテイン
メントUSA
(2010 年4 月設立)
16
ワークを持つ中国最大のPR 会社「ブルーフォーカス
(藍色光標)」
と
の合弁で、中国におけるPR 事業を推進する合弁会社「電通藍標」
を
設立し、マーケティングサービス機能の一層の拡充を図っています。
インドにおいても、現地ローカルクライアントのアカウント獲得に
成功するなど、扱い拡大に貢献しています。
今後も、現地優良企業との業務提携やM&Aなどの手段も含めて、
デジタル、
メディア、
プロモーションなどの専門的分野でのサービス・
ラインナップの拡充を加速し、統合的なソリューション能力を発揮
していきます。
ブランド・エージェンシー
● 北京電通
中国・アジア
● 電通タイランド
● 台湾電通
● 電通シンガポール
● 電通韓国
● 電通コミュニケーションズ
デジタル
(バンガロール)
など
デジタル
● 電衆数碼
PR
● クリックストリー
マーズ・インディア
● イノベーション・
インタラクティブ
(2010年1月買収)
● 電通藍標
(2010年7月設立)
メディア
プロモーション
● 電通メディア韓国
(2009 年12月設立)
● 電通メディア香港
● サントレンド・グループ
(2010年1月資本・業務提携)
グローバル・サービスラインナップの拡充
17
(2010 年 3 月設立)
ビジネスモデル・イノベーション
コスト・イノベーション
●プラットフォームビジネス戦略と進捗
●コストコントロールの実施と今後の方針
企業と生活者のコミュニケーション手法がかつてなく多様化する中
「Dentsu Innovation 2013」の経営目標を達成するために、収益
で、中期経営計画では、新しいビジネスモデルの創造に積極的に
体質の改善は不可欠な課題です。2009 年度は、中期経営計画の
チャレンジしていくことを経営ビジョンとして掲げました。当社グ
初年度として、当社単体を中心に十分な成果を出すことができました。
ループを取り巻くキープレーヤーとの連携を図りながら、それぞれ
営業費に関しては、出張費や交通費など、重点的に見直す費目を定
が提供する価値を結びつけ、より大きな付加価値を創造し続けてい
め、定量的な目標値を設定しました。これにより、2009 年度の連
くことが求められています。
結営業費は、前年度と比べて127 億円の削減効果をもたらしまし
2010 年 1月に、専門部署として
「プラットフォームビジネス開発室」
た。また連結営業費が売上総利益に占める割合も前年度実績の
を設置し、メディアや通信会社など、さまざまなプレーヤーとの連携
29.2%から26.7%に低下しました。
を開始しています。有力雑誌のデジタル版をスマート端末上で販売
また、クライアントや案件ごとの収益管理をさらに徹底し、営業利
する「MAGASTORE」、電 子 クー ポンの「iButterfly」、おサイフ
益ベースで収益をあげるべくコスト意識を高めるとともに、買切物
ケータイクーポンサービス「ピットポン」など、新しい時代の新しい
件等の仕入れを最適化するなど、収益性の改善に努めた結果、下
コミュニケーションスタイルを積極的に提案し、具現化しています。
期は減収にもかかわらず、営業利益は対前年比プラスの成長を示す
この領域は、当社グループの新たな収益の柱の一つにできるように、
ことができました。
中長期的な視点を持って育てていきます。
グループ会社においては、管理業務系のグループ会社の再編を行い、
グループ全体での管理系業務の効率化に着手しています。 今後も、高いコスト意識を維持しつつ、削減した営業費のリバウンド
人材・イノベーション
を抑制する一方で、成長のための戦略的な営業費は確保するなど、
適切な経営管理に努めていきます。
●人事制度・育成制度の再構築への取
人事制度・育成制度の再構築への取り組み
組み
当社グループの強さの源泉は、人材であり、人事制度・育成制度の再
構築は、当社グループのビジネスモデルを支える最重要のテーマのひ
とつとして、全社的に取り組んでいます。
評価・報酬制度や、多様なキャリアパス、ワークスタイルの提供、
グループ視点での要員再配置など、さまざまなテーマについて慎重に議
論を重ね、可能なものから順次改革を進めています。リーダー人材を
育成するプログラムの導入や、戦略領域のスキル向上に向けた研修体
系の見直し、新入社員の戦略領域への重点配置などは、2009 年
度にすでに実施しております。
今後も事業環境の変化に対応した人事制度の構築に向け、さまざ
まな角度から検討を行い、改革を進めていきます。
18
プラットフォーム戦略∼各プレーヤーとの連携を進行
デー
サー
ア
ィ
デ
メ
タサ
ービ
ス
クライアント
ビス
メディア
交通
ネット企業
デジタル
通信
デバイス
コンテンツ
プロバイダー
流通
ソリューショ
Dentsu
ン
新しいマーケティング・インテリジェンス
新しい情報流通ルートの構築
モバ
イル
19
コ
マ
ー
ス
生活者
特 集:グローバル領域 マネジメントインタビュー
Q.
A.
中期経営計画に関連して、電通グループのグローバル領域に
おける進展を電通の執行役員としてどのようにみていますか。
2009 年度には、電通グループの海外での売上高―すな
わち、北米、南米、欧州、アジア、中東での売上高は連結
売上高の8.6%を占めるに至りました。
広告業界は、世界的にみて大きな変革の時期を迎えてい
ます。広告費は、世界景気と、従来のマス媒体からデジタル
媒体、さらには 1 対 1のコミュニケーションへのシフトから
大きな影響を受けていますが、大手広告会社グループは
こうしたシフトに対して、引き続き事業ポートフォリオの拡充
や多様化を図っている状況です。また、先進国市場が成熟
するにつれて、新興国市場、特にブラジルとロシア、インド、
中国のBRICs が、グローバルに展開する広告会社の成長
と成功にとってますます重要となってきており、現地の広告
会社との間で競争が激化しています。
電通グループはこのような環境変化をチャンスとして活か
せる格好のポジションにあります。我々は、海外のネット
ワークを整備拡充している段階にあり、過去のビジネスに
今回のインタビューでは、電通ホールディングスUSA
基づいて設計された古いインフラやシステムに縛られてい
の社長兼 CEOであり、電通の執行役員でもあるティ
ません。むしろ、我々は優秀な人材とリソースを、新たな
ム・アンドレーが、電通グループのグローバル領域の
成長領域に集中させることができます。電通では、革新的
なコミュニケーション・デザインと、複雑化するマルチメ
現状とこれからについて報告します。
ディア戦略を管理する独自のプランニングツールの開発に
おいて、広告業界をリードしています。これらは日本国内の
クライアントにとって有効なソリューションツールとして
活用されており、グローバル市場におけるクライアントへの
提供も期待されています。
「Good Innovation.」
(グッド イノベーション)は、当社の
グローバル展開を構築していく基盤となる、理想的な企業
理念です。私は、電通グループの将来性に大きく期待して
います。
20
Q.
A.
2009 年度のグローバル領域における
「Good Innovation.」
を教えてください。
2009 年度は、電通グループのグローバル・イノベーショ
ンが大きく進捗した一年となりました。これまで電通グ
ループがグローバル領域において注力してきた、従来の
Q.
電通グループのエージェンシー・ネットワーク拡大という
A.
鍵となるのは「ネットワーク」の定義です。
「ネットワーク」
面での進捗はいかがですか。
は資本や資産、指揮・監督の関係を表す単なる組織図で
はない、という認識を我々は深めつつあります。社員一人
自動車・電機など日系企業中心のポートフォリオが極めて
一人が持っている価値を発揮させ、その価値をクライアン
重要な要素であることに変わりはありません。それに加え
トにフォーカスさせるような才能とノウハウ、情報、知的財
て、これまで以上に幅広いビジネス基盤を追求するという
産の結びつきこそが「ネットワーク」
ではないでしょうか。
戦略のシフトが、ここにきて大きな実を結んでいます。
我々は、優れた企業と優秀な人材を、電通グループに順調に
米 国では、2008 年に電 通グループに加わったマクギャ
迎え入れています。それらの企業や人材とともに、クライ
リー・ボウエン社が輝かしい年間業績を達成し、米国拠点
アントのための共通の目標を持ちながら、相互に補完しあ
の通信や製薬、一般消費財のグローバル企業から大型の
う体制を構築しようとしています。
「Good Innovation.」
は、
広告案件を新規に獲得するとともに、米国拠点の旅行や
そのような体制を構築する上でも、クライアントの課題解
エンタテインメント、金融サービスのクライアントの扱いを
決を考える上でも我々のすべての行動規範となるものです。
拡大しています。その素晴らしい成果が評価され、同社は、
私たちは、電通グループがすでに実績を確立している市場
広告やメディア、マーケティング分野の有力業界誌である
での機能をさらに広げ、グローバルでの事業展開を拡大
「アドエージ」誌が選ぶ 2009 年「エージェンシー・オブ・
する機会を積極的に追求しています。このことは、必ずしも
ザ・イヤー賞」
を受賞しました。広告会社が買収された後
電通グループがすべての市場に旗を立てなければならない、
の最初の年にこのような成功と評価を勝ち得たのは初め
あるいはそうするつもりだ、ということではありません。
てのことであり、これは、同社の電通グループへの統合に
新たな技術を活かし、革新的なアプローチを採用すること
よって、新たな価値が発揮されたことを実感しています。
で、我々がクライアントに対してトップクラスの統合的な
マクギャリー・ボウエン社のような優れた広告会社の買収
ソリューションだけではなく、クライアントが必要としている
や、優秀なローカル人材の活用、そして現地主導のマネジ
効率性も提供できると確信しています。
メントの推進をすることは、
「Good Innovation.」
をグロー
地理的には、特に南米に注目しています。この地域は、今回
バルに推進していく上で重要なことであると考えています。
の景気後退局面においても特筆すべき底堅さを見せており、
我々は、2014 年にFIFAワールドカップ™、2016 年には
オリンピック競技大会がブラジルで開催されることで、南米
が劇的な成長を遂げると予想しています。こうした機会を
より活かせるように、電通グループは電通ラテンアメリカを
完全子会社化し、また、南米市場において存在感を上げ
るための計画策定を、優先事項として進めています。
21
Q.
電通グループは、デジタル戦略に関する動きを加速させてい
ます。このことは、グローバル領域の
「Good Innovation.」
Q.
今後、どのような点に
A.
我々は今後も、
「グローバル&デジタル」
という髙嶋社長の
期待できるのでしょうか。
とどのように関連しているのでしょうか。
A.
2010 年 1月イノベーション・インタラクティブ社の買収に
よって、我々のデジタル戦略は大きく前進したのではない
でしょうか。同社は、デジタル・コミュニケーションや検索、
戦略を実行していきます。この5 年間で、電通グループに
おける海外売上高の割合は増加しています。2010 年度
ソーシャルメディアを専門領域とし、
「業界最高水準」の行
には、持続的成長を確かなものとするために数多くの方策
動ターゲティングや検索ターゲティングの技術を有する、
を講じるとともに、イノベーション・インタラクティブ社の
デジタル・マーケティング分野のリーディング・カンパニー
買収、欧州におけるリーダーシップとリソースの向上、そして
です。米国に本拠を置くイノベーション・インタラクティブ
中国での事業強化を行っています。
社と同社の事業会社である360i 社、サーチイグナイト社、
さらには、インドやロシア、ブラジル、その他の主要市場に
ネットマイニング社の 3 社は、すでに世界展開に踏み出し
おける我々のビジネス基盤をさらに強化し、拡大していく
ています。電通グループは世界各地のグループ会社と協
考えです。全体が個々の総和を超える力を発揮する、という
力し、これらのサービスをクライアントに対してグローバル
目標を持ち、多くの時間と精力を真のネットワーク構築に
に提供していく考えです。
費やすということが重要ではないでしょうか。電通グルー
イノベーション・インタラクティブ社を惹きつけた電通の
プは、クライアントが世界のどこでビジネスを展開していよ
魅力に「Good Innovation.」
とその構 成 要 素、すなわち
うとも、最適かつ統合的なマーケティング・ソリューション
優れたアイデアや技術、企業家精神に対する強いコミット
と
「Good Innovation.」
をクライアントに対して提供するこ
メントがあります。デジタル領域における優れた企業や
とをコミットしています。
人材にとって、電通グループは理想的なパートナーであり、
我々のビジョンと
「顧客志向」に賛同する企業や個人との
パートナーシップを、引き続き模索していきます。
22
企業の社 会的責任(CSR )
電通グループの CSR について
電通グループを取り巻くステークホルダー
電通グループでは、経済のグローバル化の進展に伴う、法令順守
電通グループでは、ステークホルダーとのコミュニケーションを取り
や人権、環境問題などへの関心の高まりを受け、2004 年にCSR
ながら、
CSR活動を推進していきます。
基本理念として
「電通グループ企業行動憲章」
を制定しました。
電通が目指す
「Good Innovation.」および社会的課題への取り組
これは、電通グループの経営者および社員一人ひとりが、社会的な
みのためには、社員、生活者、クライアント、株主・投資家などのス
責任を果たすために、自主的に実践していく行動規範として定めた
テークホルダーをはじめとして、社会一般、地球環境に対しても社
もので、電通グループ各社は、これを順守することを宣言しています。
会的責任を果たすべく、各種の活動に取り組んでいます。
さらに、時 代とともに変 化するCSRの考え方を反 映させるため、
2010 年 1月に内容の一部を改定しました。
電通グループ企業行動憲章については、こちらをご参照ください。
http://www.dentsu.co. jp/csr-env/charter.html
地球環境
電通では、本憲章を法令順守、労働安全衛生、人権擁護、社会貢献、
社会一般
環境保全などのテーマに、どのように対応していくのかという指針と
していますが、ステークホルダーに本憲章の意図をより良く理解し
クライアント
(顧客)
ていただくため、別途「ステークホルダーへの10の約束」
としてまと
めています。
社員
ビジネス
パートナー
生活者全般
電通グループ
メディア
株主・投資家
地域社会
NPO・NGO
※このほかにも、政府、行政機関、各種団体など、電通グループには多数のステークホルダーが存在します
電通「ステークホルダーへの 10 の約束」
① コンプライアンスを徹底し、しっかりとした情報セキュリティ管理に努めます
② 人権や知的財産権についての正しい知識を身につけ、良識ある企業活動を行います
③ わかりやすく、公平で、的確な情報開示を心がけ、適正な株主利益を確保します
④ リスクマネジメントを意識しながら、つねにフェアな事業活動を行い、品質の高いソリューションを提供します
⑤ 事業に関係するさまざまな国や地域の文化を尊重し、法令、国際的なルールを守ります
⑥ 地球環境の保全・改善のため、意志を持って積極的に活動を推し進めます
⑦ 企業市民として、社会貢献活動に積極的に取り組みます
⑧ 社員の人権、プライバシーを尊重し、適切な人事施策・制度を整備します
⑨ 社員が心身ともに健康に働ける職場環境づくりに努めます
⑩ 電通グループの経営者は、
「 電通グループ企業行動憲章」
を社内に広く知らしめ、順守するための社内制度を整えます
23
具体的なCSR活動について
●コーポレート・ガバナンス/コンプライアンス
電通では、
「電通グループ企業理念」のもと、
CSR基本理念として
「電通グループ企業行動憲章」を制定し、5つの重点領域において
具体的な活動に日々取り組んでいます。
・コーポレート・ガバナンス体制
株主総会を意思決定の頂点に、取締役会および監査役会を設置し、
電通が重点領域と定める、
「コーポレート・ガバナンス/コンプライ
取締役会のもとに
「経営会議」を設けて、経営にかかわる重要事項
アンス」
「 社員とのかかわり」
「 人 権 啓 発の推 進」
「 社 会 貢 献 活 動」
を審議・決定しています。また、1999 年からは「執行役員制度」を、
「環境への取り組み」
という社会的課題・テーマに沿って、具体的な
2009 年 4月からは「取締役兼執行役員」制を導入して、より実効性
取り組みをご紹介します。
の高い経営および業務執行体制を構築しています。監査役会は、取
締役および執行役員からの独立性を確保し、監査局ならびに外部
監査人、業務補助組織「監査役会業務室」
と連携しながら、経営の
透 明 性とコンプライアンスを確 保しています。
( 詳しくは P.28の
コーポレート・
ガバナンス/
「コーポレート・ガバナンス」)
コンプライアンス
・内部統制システム
社員とのかかわり
「電通グループ企業行動憲章」
を業務遂行上の規範および内部統制
システム実行の基盤とし、さまざまな規則の制定やマニュアルの作
環境への取り組み
成を行い、研修などを通じて全社員に徹底しています。また、各業
CSR 活動 5つの
務遂行状況の「見える化」の進捗、課題発見および改善活動の迅速
重点領域
化により、グループ価値の維持・向上を図っています。
・コンプライアンス推進体制
人権啓発の推進
社内各部門にコンプライアンスを専門に担当する部署を設置し、小
冊子「コンプライアンス・ダイジェスト」などの配布や各種研修、マ
社会貢献活動
ニュアル、社内システムを通じて、コンプライアンス意識の浸透を
図っています。また、社内で法令違反などがあった場合の内部通報
システムとして
「社内報告提案制度 D-EAR(ディーイヤー)」
を設置
し、法令順守を徹底する体制を確立しています。
・情報セキュリティ管理体制
情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格である
「ISO/IEC27001:2005」および「JISQ27001:2006」を2010 年
3月現在で電通ならびに電通グループ会社 59 社が認証取得するな
ど、厳格な情報セキュリティ管理体制を構築し、個人情報を含む重
要情報の保護を徹底しています。
24
● 社員との
社員とのかか
かかわり
わり
●人権啓発の推進
・ワーク・ライフ・バランスの推進
・電通の人権啓発の基本方針
電通はワーク・ライフ・バランスの普及を目指す厚生労働省の
「仕事
①広告コミュニケーション活動において差別表現はあってはならない
と生活の調和推進プロジェクト」に参画し、さまざまな社内組織を
②基本的人権の尊重は、社の存立基盤でありコミュニケーションの原点
活用することにより、社員一人ひとりが心身の健康を保ち、仕事と
③人権学習の目標は、表現の自由と差別表現のかかわりについて
生活のバランスをとって能力を十分に発揮できるような環境を整備
豊かな見識と的確な判断力をもつこと
しています。電通人事局に設置された
「キャリア・両立相談課」
では、
社員の声に積極的に耳を傾け、より良い働き方への意識啓発に努め
・社内外での啓発活動
ています。
また、労働組合と合同で「WLB
(ワーク・ライフ・バランス)
当社では、自社でかかわるコミュニケーション活動を人権の観点か
協議会」
を開催し、働きやすい社内風土の醸成に積極的に取り組ん
らも豊かなものにするために、啓発活動の推進機関として
「人権教
でいます。
育委員会」
を、広告表現と人権のかかわりについて検討する専門部
署として
「人権啓発部」を設置しています。また、年間を通じてさま
ざまな社員研修をグループ内で実施し、日常的に人権意識を啓発
する活動を活発化し、社員一人ひとりが人権について正しい知識を
持ち、理解を深め、その知見を生かしていくことを目指しています。
また、日本広告業協会で実施される人権関連セミナーや国・自治
体・他企業などの人権研修にも講師を派遣するなど、社外での人権
啓発活動も積極的に支援・協力しています。
・積極的な休暇取得に向けて
・人権スローガン募集とポスター制作
社員が持てる力を存分に発揮するためには、しっかりと休養し、次
人権啓発活動の一環として、電通グループでは社員とその家族を対
の仕事への英気を養うことが不可欠です。専任組織である
「労政委
象に
「人権スローガン」
を募集し、優秀作品をもとに
「電通人権ポス
員会」
では時間外労働の削減や休暇取得促進のための各種施策を
ター」を自主制作する活動を1988 年から実施しています。さまざ
立案・監督するとともに、通常の有給休暇以外にも長期リフレッシュ
まな人権の課題を広告技法を用いて、わかりやすく心に響くように
を図るための「連続休暇」の付加や「教養休暇」、四半期ごとに各職
表現した「電通人権ポスター」は自治体から貸し出しの要請もあり、
場で共有する「休暇取得計画表」などのさまざまな制度を運用し、
全国規模での人権啓発活動普及に貢献しています。
積極的に休暇が取得できる環境を整えています。
また、美術大学の学生と共同で人権ポスターを制作するコラボレー
ションも行っています。
25
●社会貢献活動
1)電通独自の取り組み
・
「電通・中国広告人材育成基金プロジェクト」
サステナブルな社会を担う人材や組織を支援することを目的に、
日本の文部科学省に相当する中国教育部をパートナーに、中国全
独自のプロジェクトを推進しています。
土の広告人材育成を支援しています。2009 年度は、大学広告教員
約 500 人を対象とした「中国広告人材育成セミナー」、選抜した広
・広告小学校
告教員を電通本社に招く
「研修員招聘プログラム」、400 人の学生
CM 劇づくりの体験を通して子どもたちの発想力やコミュニケー
を対象にした
「電通学生広告講座」
を実施しました。
ション力を養うプログラムを東京学芸大学と共同で開発し、主に小
学校の先生に提供しています。2009 年度は、全国 11 校での授業
のほか、
「広告小学校 夏休みスペシャル」を実施しました。2008
年には、子どもの能力向上に資する模範的な取り組みとして第 2 回
キッズデザイン賞「社会貢献企業賞」
を受賞しています。
中国教育部からの感謝状贈呈式の様子
2)NPO などとの活動
NPO 団体の活動に対して、電通のノウハウを提供し、活動の普及を
支援しています。
子どもたちによる
「CM劇発表」
「夏休みスペシャル」
で
子どもたちと語り合う森副社長
・
「ユネスコ世界寺子屋運動」支援
・NPOのための広報力アッププロジェクト
「伝えるコツ」
日本ユネスコ協会連盟が進める、識字率向上を目指した
「ユネスコ
NPOと共に「NPO 広報力向上委員会」を立ち上げ、共同で「伝える
世界寺子屋運動」
を広報活動などの面で支援するほか、日本サッカー
コツ」テキストを作成。NPO 団体の広報力向上支援を目的に全国
協会と協働で「アジアの子どもたちにサッカーボールを届けるプロ
各地でセミナーを行っています。
ジェクト」
など、グローバルな視野から社会貢献を果たしています。
・
「TABLE FOR TWO」活動支援
対象となるメニューを購入すると1 食につき20 円が、アフリカの学
校給食になる運動です。食堂での導入のほか、広報ツールの提供を
行っています。
「伝えるコツ」
テキスト
電通白土役員が講師を務めた
「プレゼンテーションのコツ」
の様子
髙嶋社長がモデルとなった、角度によりビジュアルが変化するポスター
26
●環境への取り組み
1)地球温暖化防止の取り組み
2)環境ソーシャル・コミュニケーションの推進
環境負荷低減に向けて、独自の取り組みを推進しています。
社内外における
「環境コミュニケーション活動」
を推進し、環境問題
に対する意識啓発に努めています。
・
「電通グループ エコ大賞」
の創設
・広告電通賞に
「環境広告賞」
を設置
2010 年から社内外向けの優れた啓発活動に対して表彰を行い、
国内で最も権威ある総合広告賞である
「広告電通賞」において、環
グループ全体で意識の共有を図っています。
境に関する優れた広告表現作品を表彰するため、2009 年度(第 62
回)から
「環境広告賞」
を新設しました。
・世界コンペティションへの協賛
国際広告協会(IAA)が主催する
「IAA 電通世界学生ポスターコン
ペティション」に協賛し、グローバルな視野から次世代の環境意識
啓発に取り組んでいます。
「電通 テックのteco活動」
・環境スローガンの募集とポスター制作
2005 年から社内に向けて
「環境スローガン」
を募集し、ポスターを
自主制作する活動を続けています。
・生物多様性プロジェクトの推進
環境省「生物多様性広報・参画推進委員会」の運営事務局として、
生物多様性の啓発を推進するさまざまな施策を企画運営しています。
・オフィスビルのCO 2 排出量削減
「地球環境共生」
「省エネルギー」のコンセプトで設計された電通汐
留本社ビルは、LED 照明などの最新設備を完備し、CO 2 排出量削
減に貢献しています。
・併設商業施設のエコ商店街化
本社ビルに併設する商業施設「カレッタ汐留」においても低環境負
3)循環型社会の形成へ向けて
荷型の空調・照明設備を採用し、
「エコ商店街化」
を進めています。
社内でのゴミ分別やエコバッグ活用など身近なリサイクル活動に取り
組んでいます。
27
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスの状況
1. 企業統治の体制の概要等について
2. 内部統制システム整備の状況
企業統治体制の概要および当該体制を採用する理由
取締役の職務の執行が法令および定款に適合することを確保する
ための体制その他当社の業務の適正を確保する体制
当社は委員会設置会社ではなく、監査役制度を採用しておりますが、
現行の企業統治形態は、スピーディな意思決定および効果的な内部
会社法第362条第4項第6号に規定される
「取締役の職務の執行が
牽制の両面で充分に機能しているものと判断しています。当社定款
法令および定款に適合することを確保するための体制その他当社の
において、取締役の任期は1年以内、員数は15 名以内と定めており、
業務の適正を確保する体制」
( 以下「内部統制システム」
という。)に
2010 年6月29日現在 11 名(うち社外取締役2名)
で取締役会を
つき、2010 年度の基本方針を2010 年 3月30日開催の取締役会
構成しています。また、監査役の任期は法令および当社定款により
で決議しました。その概要は、以下のとおりです。
4年、員数は当社定款により5名以内と定めており、2010 年6月
29日現在5名(うち社外監査役3名)
で監査役会を構成しています。
内部統制システムは、取締役、執行役員および従業員が自らを律し、
当社においては、1999 年6月から執行役員制度を導入し、業務執
当社が社会的責任を全うし、成長していくための体制です。
行機能の強化を図ってまいりましたが、2009 年4月から、同制度を
当社の取締役、執行役員および従業員の業務の執行が、法令・定款
維持しつつ取締役と執行役員の役割や責任をより明確にする
「取締
に適合し、業務が適正に行われることを確保するために順守すべき
役兼執行役員」制を導入し、より実効性の高い経営および業務執行
共通行動規範として
「電通グループ企業行動憲章」
を位置づけ、重要
体制の構築に努めています。今後においても監査役制度の長所を
委員会である「CSR 委員会」が内部統制システムの構築・運営・
採用して、当社の事業形態に合う形に当てはめ、コーポレート・ガバ
改善を行います。
ナンスを高めながら、経営体制を強化してまいります。
また、取締役会決議事項以外の経営上の重要事項を決議し、取締役
1)取締役、執行役員および従業員のコンプライアンス体制
会決議事項を事前審議するため、執行役員によって構成される経営
当社の取締役および執行役員は、取締役会規則、経営会議運営規則、
会議および経営会議の下部組織として重要事項の事前審議または
役員規則および執行役員規則に則り、適切に業務を執行します。
取締役および執行役員は、当社における法令違反その他のコンプラ
日常的な業務執行の決議を行う重要委員会を設置しています。
イアンスに関する重要な事実を発見した場合には、遅滞なく取締役は
(重要委員会)投資委員会、組織人事委員会、
CSR委員会
取締役会、執行役員は取締役会または経営会議において報告する
とともに、速やかに監査役に報告することとします。
当社のコーポレート・ガバナンス体制は、以下の図のとおりです。
従業員のコンプライアンス体制の整備・向上を図るために、CSR 委員
会のもと担当部署が規則・マニュアル類の整備、研修教育の実施を行
株主総会
選任
うこととし、社長直轄の監査局が内部監査を行います。
選任
また当社は、法令違反その他のコンプライアンスに関する内部通報体
選任
制として
「社内報告提案制度D-EAR」
を位置づけ、適切に運用します。
会計監査人
監査役から当社のコンプライアンス体制についての意見および改善
監査
監査役/
取締役会
監査役会
策の要求がなされた場合は、取締役および執行役員が遅滞なく対
応し、改善を図ることとします。
選任・監督
当社は反社会的勢力および団体との関係を遮断し、反社会的勢力
監査役会業務室
監査
および団体からの要求を断固拒否するために、担当部署を設置し、
代表取締役
社内外の協力窓口と連携して対応します。
監査局
2)取締役および執行役員の業務執行の効率化を図る体制
内部監査
監査
当社は、取締役および執行役員の業務執行を効率的にするために、
執行役員
各局
取締役会を月1回開催するほか、経営会議を月3回開催し、経営方
28
針および経営戦略に関わる重要事項についての審議を経て執行
7)子会社を含めた企業集団の内部統制システム
決定を行います。
当社は、子会社を含めた企業集団の行動規範として
「電通グループ
さらに、取締役および執行役員を中心に構成される重要委員会を設置し、
企業行動憲章」
を位置づけ、子会社各社が本憲章の採択を決議します。
委譲された権限の範囲内での決議あるいは審議を行います。また、必要
また当社は子会社が企業集団の一員として整備・運用すべき項目を
に応じて取締役会、経営会議および重要委員会は臨時にも開催します。
定め、これらを基に子会社各社で規則を定め、内部統制システムの
取締役会、経営会議あるいは重要委員会での決定事項は、各担当
構築・運営・改善を推進し、企業集団内外での適切な取引関係を
取締役または執行役員から各局
(室)長へ速やかに指示され、職制を
確保します。
通じて全従業員へ伝達を行い、速やかな業務執行を図ります。なお
緊急を要する事項については、社内電子掲示板システム等も活用して
8)財務報告の適正性を確保するための体制
迅速に伝達を行います。
当社は、CSR 委員会のもと、当社グループの財務報告の適正性を
確保するための体制を構築します。業務執行部署・子会社は、整備・
3)
取締役および執行役員の業務執行にかかる情報の保存・管理体制
構築を行った内部統制が適切に運用されているか、日常業務を通
当社の取締役および執行役員の業務執行にかかる情報については、
じて自己点検を行います。当社監査局は、業務から独立した立場で
文書管理規則および情報管理ガイドラインに基づき、適切に保存・
内部統制のモニタリングを実施し、財務報告に係る内部統制の有
管理します。
効性について評価を行います。
4)
リスク管理体制
当社は、損害の拡大を防止し、これを最小限にとどめる体制を構築
3. 内部監査、監査役監査、会計監査の状況および
するために、毎年リスクについての社内調査を行い、重要なリスクの
内部統制部門との関係
内部統制部門との関係
洗い出しを行います。これらのリスクに対する予防と発生した場合の
全社対応体制および各担当部署のリスク管理体制を整備するため
1)内部監査
リスク管理規則を定め、重要なリスクから優先して具体的な対応
監査局に内部監査室を置き、従業員 26 名によって内部監査を行っ
計画を策定し、対応します。また、CSR 委員会のもと、内部統制担当
ています。内部監査は、年度監査計画に基づき、各局および国内外
部署が中心となり、リスク管理状況について自己点検を行い、リスク
関係会社を対象に実施しています。なお、監査局にはグループ監査
管理体制の整備・向上を図ります。
役室もあり、主要なグループ会社に監査役を派遣しています。監査
局は、代表取締役社長執行役員の指揮下で、内部統制の整備・運
5)監査役の職務を補助する組織とその独立性について
用状況について、個々の立場からモニタリングを実施し、不備を発
当社は、監査役の職務を補助すべき従業員の組織体制として
「監査
見した場合は内部統制部門に通知し、改善を促しています。
役会業務室」を位置づけ、監査役会直轄組織として取締役および
執行役員からの独立性を確保します。
2)監査役監査
監査役監査については、5名の監査役(社外監査役3名)が、監査
6)監査役への報告体制と監査の実効性の向上について
役会は原則として月1回開催し、監査の方針と分担を定め、監査計
取締役および執行役員が監査役に報告すべき事項についての規定
画に基づいて取締役の職務執行を監査しています。特に、グループ
を定め、取締役、執行役員および従業員は、当社の業務または業績
全体の内部統制、コンプライアンス、リスク管理体制等に関しては、
に影響を与える重要な事項について監査役に速やかに報告するこ
重点的に監査を行っています。社外監査役のうち、1名(安部修武
ととします。また、前記規定に記載のない事項に関しても、監査役か
氏)は、金融機関で長年勤務し、公開会社の元常勤監査役として
ら報告を求められた場合は、取締役、執行役員および従業員は遅滞
監査経験もあり、財務および会計に関する知見があります。また、
なく監査役に報告することとします。
取締役の職務の執行に対する監査の一環として、独立した立場から、
監査の実効性を向上させるために、監査役から要請がある場合には、
内部統制の整備および運用状況を監視、検証し、監査の過程にお
当社監査局ならびに外部監査人との連係を確保します。
いて必要に応じて内部統制部門の報告を受けています。
29
また、監査役の職務を補助するために監査役会業務室を設け、5名の
5. 社外役員との責任限定契約について
従業員を置いています。
当社は社外取締役および社外監査役との間において、会社法第
3)会計監査の状況
423 条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契
当社は、会計監査についての監査契約を有限責任監査法人トーマツ
約に基づく賠償責任限度額は、1,000 万円と法令の定める最低責
と締結しており、会計監査を受けています。なお、同監査法人および
任限度額とのいずれか高い額となります。
当社監査に従事する同監査法人の業務執行社員と当社の間には、
特別な利害関係はありません。また、代表取締役から提出された
内部統制報告書を受け、内部統制監査を実施し、内部統制の整備
6. 社外取締役および社外監査役の機能、役割、選任について
および運用状況を監視、検証し、監査の過程において必要に応じて
内部統制部門の報告を受けています。
社外取締役については、当社に対する経営の監督機能およびチェッ
当期において業務を執行した公認会計士の氏名および監査業務に
ク機能を期待しており、各社外取締役が、当社業務に対する理解お
かかる補助者の構成については以下のとおりです。
よび各々の経営者としての経験を踏まえ、当社経営を俯瞰的にとら
え、助言いただくことで、当社の企業価値向上に寄与することを期待
公認会計士の氏名等
所属する監査法人名
しています。社外取締役の選任については、当社の業務の領域の広
永 田 高士
さから、これらに対する理解の高さを優先し選定しており、結果とし
松本 仁
指定有限責任社員 業務執行社員
て社外取締役 2 名はいずれも当社と取引のある大株主の代表者と
有限責任監査法人トーマツ
瀬 戸 卓
なっています。しかし、当社の社外取締役が当社大株主の代表者で
水 野 博 嗣
あっても、当社と当該大株主間の取引は定型的なものであり、一般
会計監査業務にかかる補助者の構成
株主との利益相反は生じないものと考えています。当社といたしまし
公認会計士6名、その他 12名
ては、中立性がありかつ当社業務に精通する社外取締役が適切に
選任されており、各人が当社の期待する社外取締役としての機能お
よび役割を十分に果たしていると考えています。社外取締役は、取
4. 内部監査、監査役監査および会計監査の相互連携
締役会において内部監査室、監査役および会計監査人ならびに内
部統制部門から適宜報告を受けて相互の連携を図っています。
当社の監査体制は、監査役監査、監査法人による専門的な立場か
また、社外監査役については、それぞれの分野での豊富な経験を生
らの会計監査を主体とした監査および内部監査から構成される三
かし、取締役会およびその業務執行に対しての監督機能を期待して
様監査を採用しています。監査役監査および会計監査が法定監査
います。なお、当社社外監査役 3 名のうち2名(根來泰周氏および遠
であり、内部監査は経営トップの意志に基づき、内部統制システム
山敦子氏)が東京証券取引所の上場規程に定める独立役員であり、
について独立的評価を行うとともに社内不祥事を防止することを主
独立役員として指定していない当社社外監査役安部修武氏につい
眼にする任意監査ですが、内部監査室、監査役および会計監査人
ても、一般株主との利益相反は生じないものと考えています。社外
との相互連携については、監査役会において会計監査人および内部
監査役の選任については、各分野での経験を生かして監査を行って
監査室から適宜それぞれの監査の方法と結果について報告を求め
いただける方、会計および財務に関する知見のある方を優先して選
るほか、主として常勤監査役が定期的に、個別に情報交換を行って
任しています。当社といたしましては、中立性がありさまざまな分野
います。内部監査室においても、監査役ないし監査役会から要請が
での経験を豊富に有する社外監査役が適切に選任されており、各人
あった場合には、適宜報告および情報交換を行うほか、会計監査人
が当社の期待する社外監査役としての機能および役割を十分に果
とも個別に情報交換を行っています。内部監査室、監査役および会
たしていると考えています。社外監査役は監査役会において他の監
計監査人と内部統制部門との関係につきましては上記 3.に記載の
査役、会計監査人および内部監査室から適宜それぞれの監査の方
とおりです。
法と結果について報告を求めるほか、適宜個別に情報交換を行い相
互の連携を図っています。また、社外監査役としての独立した立場
30
から、内部統制の整備および運用状況を監視、検証し、監査の過程
(注)1. 株主総会の決議による定額報酬限度額は、取締役が月額
において必要に応じて内部統制部門の報告を受けています。
5,500万円
うち社外取締役 月額150万円以内(2009年6月開催の
定時株主総会決議)
7. 社外取締役および社外監査役との関係
(注)2. 株主総会の決議による定額報酬限度額は、監査役が月額
当社では、従来から社外取締役および社外監査役を選任していま
(注)3. 月例報酬の額には2009 年6月26日開催の第 160 回定時
す。2010 年6月29日現在、取締役では11 名中2名、監査役では5
株主総会終結のときをもって退任した取締役7名および監査
名中3名が社外からの選任であります。
役1名(うち社外取締役1名)
を含んでいます。また、上記支
これら5名の社外役員との人的関係、資本的関係または取引関係その
給対象者のうち、退任取締役1名は退任と同時に監査役に、
1,100 万円(2009 年6月開催の定時株主総会決議)
他の利害関係は、以下のとおりであります。ただし、いずれの取引も定型
退任監査役1名は退任と同時に取締役に就任しており、
2名に
的な取引であり社外役員個人が利害関係を有するものではありません。
かかる報酬等の額は取締役としても監査役としても上記の表
中の額に含めています。このため、取締役および監査役の人数
①社外取締役石川聰氏は、大株主である一般社団法人共同通信社
の内訳の計と合計とは、2名の相違があります。
社長であり、また、株式会社共同通信社代表取締役社長を兼任
(注)4. 月例 報 酬につきましては、2009 年4月から2010 年3月
しており、各法人と当社の間には、取引があります。
まで役位に応じ、返上を行っています。上記の表は月例報酬
返上前の金額です。
②社外取締役中田正博氏は、大株主である株式会社時事通信社の
(注)5. 上 記の表には 2010 年 6月29日開 催の定 時 株 主 総 会に
代表取締役社長であり、同社と当社の間には、取引があります。
おいて決議された賞与支給額を記載しています。また、社外
取締役および監査役には賞与支給を予定していません。な
③社外監査役遠山敦子氏は、財団法人新国立劇場運営財団理事長
お、社 外 取 締 役を除く取 締 役(16 名)の月例 報 酬 総 額は
であり、同法人と当社の間には、取引があります。
528 百万円、賞与総額は 66 百万円、報酬総額は 594 百万
円です。社外監査役を除く監査役(3名)の月例報酬総額お
なお、社外監査役根來泰周氏および社外監査役安部修武氏と当社
よび報酬総額は 76 百万円です。
との間に特別の利害関係はありません。また、いずれの社外取締役・社
取締役および監査役の報酬等の決定にかかる方針の概要
外監査役も、当社および当社グループ会社に在籍したことはありません。
当社では、2007 年6月28日開催の定時株主総会の決議により、
取締役および監査役の退職慰労金を廃止しました。これを受け、報酬
8. 役員報酬の内容
等の額の決定についておおむね以下の方針を定めています。
役員区分ごとの報酬等の総額、
取締役の報酬については、さらなる企業価値向上に向けた取締役の
報酬等の種類別の総額および対象となる役員の員数
報酬体系に相応しいものとするべく、アカウンタビリティや業績連動
性を考慮したものとするため、月例報酬と業績連動賞与の2つから
月例報酬
賞与
合計
取締役
(うち社外取締役)
542 百万円 19 名
(13 百万円 3 名)
66 百万円 10 名
(- 円 - 名)
608 百万円 19 名
(13 百万円 3 名)
酬全体の約3分の1としています。固定報酬である月例報酬の総
監査役
(うち社外監査役)
105 百万円 6 名
(29 百万円 3 名)
-円 -名
(- 円 - 名)
105 百万円 6 名
(29 百万円 3 名)
績連動の指標としては、連結売上総利益と連結営業利益の2つの財
全役員
(うち社外役員)
647 百万円 23 名
(42 百万円 6 名)
66 百万円 10 名
(- 円 - 名)
713 百万円 23 名
(42 百万円 6 名)
事業年度終了後に株主総会に諮ることとします。ただし、社外取締役
なるものとしており、業績連動賞与の比率は標準的業績の場合、報
額は、株主総会で承認された報酬枠の範囲内で決定しています。業
務指標の達成度に応じるものとし、具体的な支給総額については、
の報酬については、その職務に鑑み、固定報酬である月例報酬のみ
31
11. 株主総会の特別決議要件
とします。各取締役の報酬額は取締役会の決議により決定されます。
監査役の報酬については、その職務に鑑み、固定報酬である月例報
酬のみとし、月例報酬の総額は株主総会で承認された報酬枠の範囲
当社は会社法第 309 条第2項に定める株主総会の特別決議要件に
内とします。各監査役の報酬額は監査役の協議により決定されます。
ついて、定款に別段の定めがある場合を除き、議決権を行使する
ことができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、
その議 決 権の3分の2以 上をもって行う旨定 款に定めています。
9. 株主総会決議事項を取締役会で決議することができるとした事項
これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、
株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。
当社は、下記の事項について、株主総会決議事項を取締役会で決議
することができる旨、定款で定めています。
12. 株式の保有状況
自己株式取得決定機関:
①保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式
当社は、資本政策の機動性を確保するため、会社法第 165 条第
銘柄数
286 銘柄
2 項の規定により、取締役会の決議により市場取引等により自己の
貸借対照表計上額の合計額
64,372 百万円
株式を取得することができる旨定款に定めています。
②保有目的が純投資目的以外の目的である投資株式の銘柄、株式数、
貸借対照表計上額および保有目的
中間配当の決定機関:
当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第 454 条
第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年9月30日を基準
銘柄
日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めています。
東宝株式会社
株式数(株)
貸借対照表
計上額(百万円)
保有目的
3,779,900
5,692
取引関係の維持強化のため
株式会社テレビ朝日
12,000
1,704
取引関係の維持強化のため
当社は、取締役(取締役であった者を含む。)および監査役(監査役
株式会社スカパー
JSATホールディングス
40,594
1,631
取引関係の維持強化のため
であった者を含む。)が、期待される役割を十分に発揮できるよう、
アサヒビール株式会社
責任免除:
918,400
1,609
取引関係の維持強化のため
株式会社三菱 UFJ
フィナンシャル・グループ
2,807,900
1,375
取引関係の維持強化のため
める最低責任限度額を控除して得た額を限度として免除することが
ライオン株式会社
1,794,000
844
取引関係の維持強化のため
できる旨定款に定めています。
松竹株式会社
1,000,000
778
取引関係の維持強化のため
東映株式会社
1,300,000
621
取引関係の維持強化のため
株式会社ヤクルト本社
228,600
576
取引関係の維持強化のため
野村ホールディングス
株式会社
827,300
570
取引関係の維持強化のため
取締役会の決議により、会社法第423条第1項の賠償責任について、
法令に定める要件に該当する場合には、賠償責任額から法令に定
10. 取締役選任の決議要件
当社は、取締役の選任決議について、株主総会において、議決権を
③保有目的が純投資目的である投資株式
行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主
該当事項はありません。
が出席し、その議決権の過半数によって選任する旨定款に定めてい
ます。なお、取締役の選任決議は、累積投票によらない旨定款に定
めています。
32
監査報酬の内容等
1. 監査公認会計士等に対する報酬の内容
前連結会計年度
当連結会計年度
非監査業務に
監査証明業務に
非監査業務に
監査証明業務に
基づく報酬
基づく報酬
基づく報酬
基づく報酬
(百万円)
(百万円)
(百万円)
(百万円)
提出会社
139
22
124
15
連結子会社
185
8
168
-
計
324
30
293
15
区分
2. その他重要な報酬の内容
前連結会計年度(自 2008 年4月1日 至 2009 年3月31日)
在外連結子会社の財務書類について、提出会社の監査公認会計士
等である監査法人トーマツと同一のネットワークに属する者に対し、
監査証明業務に相当すると認められる業務に対する報酬が 38 百万
円あります。
当連結会計年度(自 2009 年4月1日 至 2010 年3月31日)
在外連結子会社の財務書類について、提出会社の監査公認会計士
等である有限責任監査法人トーマツと同一のネットワークに属する
者に対し、監査証明業務に相当すると認められる業務に対する報
酬が 36 百万円あります。
3. 監査公認会計士等の提出会社に対する非監査業務の内容
前連結会計年度(自 2008 年4月1日 至 2009 年3月31日)
財務報告にかかる内部統制の整備・構築に対する指導・助言業務
等についての対価を支払っています。
当連結会計年度(自 2009 年4月1日 至 2010 年3月31日)
連結子会社の会計に関する調査についての対価を支払っています。
4. 監査報酬の決定方針
当社の監査法人に対する監査報酬は、前事業年度までの監査内容
および監査法人から提示された当事業年度の監査計画の内容などを
総合的に勘案して決定しています。
33
34
フィナンシャル・セクション
目次
36 経営者による財政状態および経営成績の分析
46 連結貸借対照表
48 連結損益計算書
50 連結株主資本等変動計算書
52 連結キャッシュ・フロー計算書
54 単体財務要約
56 収益の状況(単体)
35
経営者による財政状態およ び 経 営 成 績 の 分 析
株式会社電通および子会社
2010 年 6 月29 日現在
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在に
見積りを行わなければなりません。経営陣は、例えば、債権の貸倒、
おいて、当社グループが判断したものであります。
投資、法人税等、財務活動、退職金、偶発事象や訴訟等に関する見通
しや判断に対して、継続して評価を行っています。経営陣は、過去の
概況
実績や状況に応じ合理的だと考えられるさまざまな要因に基づき、
見積りおよび判断を行い、その結果は、資産・負債の簿価、収益・
当社グループは、収益の多くを広告事業から得ており、マス4 媒体
費用の報告数字についての判断の根拠となります。実際の結果は、
(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)の広告およびそれに関連する広告の
見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
企画・制作(クリエーティブ)等を通じたコミュニケーションおよび
当社は、特に以下の重要な会計方針について、当社グループの財政
プロモーションに関する事業を中心に事業展開を行っています。当
状態および経営成績に特に影響を与える、あるいは、当社の連結財
社グループは、マス4 媒体の広告取引のほか、以下の広告取引等を
務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りにより、
行っています。
大きな影響を受けると考えています。
・プロモーション
収益の認識
・屋外広告および交通広告等のOOH
(アウト・オブ・ホーム)
当社グループの収益の内訳は、主に各種メディアへの広告出稿に
メディアを活用した広告サービス
よってメディア会社から得られる手数料、およびクリエーティブ・
・インタラクティブメディア
(インターネットおよびモバイル)および
サービスを含む広告制作や各種コンテンツサービス等サービスの
衛星メディアを活用した広告および各種サービス
・エンタテインメントおよびスポーツマーケティング、イベント、
提供に対する広告主等からの報酬です。手数料による収益について
パブリック・リレーションズおよびパブリック・アフェアーズ、
は、メディアに広告出稿がなされた時点で収益に計上し、その他の
ダイレクト・マーケティング、マーケット・リサーチ、
収益については、サービスの提供が完了し、対価の測定が合理的に
e-ソリューション等にかかるサービス
可能となり、経済的便益が流入する可能性が高くなった時点で計
上しています。
当連結会計年度における広告業の外部顧客に対する売上高は、当
当社グループが広告主へ広告枠を販売したことに対し、メディア
社グループの連結売上高の約 97%を占めています。当社グループ
会社から受け取る手数料をコミッションといいます。日本では、一
の連結売上高は、主に広告主への広告料金の請求によるものです。
般に、広告会社は広告主の依頼に基づきメディア会社から広告枠
情報サービス業の売上高は、当社の子会社である
(株)電通国際情
を購入し、購入額と同額で広告主に販売します。当社グループが
報サービスが行っている情報処理サービスおよびコンサルティング
受領するコミッションは、通常、広告主に請求する広告出稿料金に
事業等によるものです。当社グループは、主に、日本国内で事業を
対する一定割合の金額であり、その料率は通常、当社グループと
展開していますが、世界的なネットワークを通じてアジア、欧米にお
当該メディア会社間の交渉により決定されます。ただし実際には、
いても事業を展開しています。なお、当連結会計年度の連結売上高
広告業界の慣例として、メディア会社からの購入額と当該コミッ
に占める海外売上高の割合は、8.6%となっています。
ションとを相殺し、その残額をメディア会社に支払っています。当社
グループは、広告枠に関して広告主に請求する金額すべてを売上高
として計上し、メディア会社に対する支払額を売上原価として計上
重要な会計方針および見積り
しています(図 1 参照)。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と
図 1 広告のスペースまたは時間枠の取引
認められている会計基準に基づき作成されています。
広告料金
また、当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における
広告主
資産・負債の報告数値および偶発債務等オフバランス取引の開示、
広告料金
当社および
グループ各社
メディア会社
取引手数料
報告期間における財政状態および経営成績について影響を与える
36
広告制作やその他の広告サービスによる収益は、これらサービスに
退職給付引当金
対する報酬として広告主およびその他のクライアントが当社グループ
に支払う金額です。同サービスに関する料金については、通常、外注
退職給付費用および債務は、年金数理計算上で設定される前提条
先および子会社から請求された費用に利益を加えた金額をベースと
件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、
して交渉を行いますが、定額の報酬またはその他の報酬体系をとる
将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される
場合もあります
(図 2 参照)。
死亡率および年金資産の期待運用収益率などが含まれます。実際
の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場
合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、
図 2 広告の企画・制作(クリエーティブ)等の取引
外注費
当社および
グループ各社
広告主
一般的には将来期間において認識される費用および計上される債
外注費
務に影響を及ぼす可能性があります。
協力会社
報酬
当連結会計年度の経営成績の分析
貸倒引当金
売上高および売上総利益
当社グループは、広告主等の顧客からの回収不能時に発生する損
当連結会計年度における当社グループの売上高は、1兆 6,786 億
失の見積額について、貸倒引当金を計上しています。広告主等の顧
円(前連結会計年度比 11.1%減)
となりました。
客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当
そのうち、広告業セグメントは、1兆 6,201 億円(同 10.1%減)
とな
が必要となる可能性があります。
りました。この主な要因は、当社においてインタラクティブメディアが
増収となったものの、マス4 媒体すべてが前連結会計年度を下回り、
投資の減損
減収となったことによります。
情報サービス業セグメントの売上高は611 億円(同 18.6%減)
とな
当社グループは、将来における継続的な成長のために、新規事業お
りました。情報サービス業セグメントは
(株)電通国際情報サービス
よび海外事業ならびに取引先等への投資を行っています。これらの
を中心として、情報システム構築などのITソリューションを主要な事
投資には、価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の算定が困
業内容としています。当連結会計年度においては、企業の IT 投資
難である非公開会社の株式が含まれます。当社グループは、投資価
は強く抑制され、同社の受注は非常に厳しい水準で推移しました。
値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資の減損を計上し
また、その他の事業セグメントは、218 億円(同 43.0%減)
となり
ています。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の
ました。主に前連結会計年度中にジェネオンエンタテインメント
(株)
簿価に反映されていない損失または投資の回収不能が発生した
を売却したことにより減少しました。
場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。
海外セグメントの売上高は、1,429 億円(同 19.9%減)
となりました。
ロシアにおける子会社の新規連結による増加はありましたが、米国
繰延税金資産
金融不安に端を発した世界経済の急激な悪化により、米州のほか、
アジア地域についても減収となりました。
当社グループは、将来の課税所得および慎重かつ実現可能性の高い
当連結会計年度の売上総利益も、売上高と同様の要因により2,964
継続的なタックス・プランニングの検討に基づいて繰延税金資産を
億円
(同5.7%減)
となりました。なお、当社の売上総利益率の上昇等
計上していますが、繰延税金資産の全部または一部を将来回収でき
により、売上総利益率は、17.7%
(同 1.0ポイント増)
でした。
ないと判断した場合、当該判断を行った期間に費用として計上する
可能性があります。
37
(各年 3月期)
売上高
(十億円)
2,500
500
2,000
400
1,500
300
1,000
200
500
100
0
0
2006
(十億円)
2007
2008
売上総利益
(十億円)
2009
2010
営業利益・オペレーティング・マージン
2006
(%)
(十億円)
2007
2008
2009
2010
当期純利益(当期純損失)
・自己資本利益率(ROE)
(%)
80
20
40
8
60
15
20
4
40
10
0
0
20
5
-20
-4
0
-40
0
2006
2007
2008
2009
-8
2006
2010
2007
2008
2009
2010
当期純利益(当期純損失) 自己資本利益率(ROE)
営業利益 オペレーティング・マージン
販売費及び一般管理費
営業利益、営業外損益および経常利益
当連結会計年度における当社グループの販売費及び一般管理費は、
販売費及び一般管理費の削減に努めましたが、売上総利益の減少を
2,591 億円(前連結会計年度比 4.5%減)
となりました。
補うことができず、営業利益は 373 億円となり前連結会計年度に
前連結会計年度に比べ、通信交通費等の削減に努めた結果、前連結
比べ 13.6%の減少となりました。
会計年度に行った子会社の買収による給与及び手当の増加や数理計
また、持分法投資利益の減少により営業外収益が 118 億円(前連結
算上の差異の費用処理額の増加による退職給付引当金繰入額の増
会計年度比 18.6%減)
となり、営業外費用は44 億円(同 0.2%減)
加がありましたが、全体では減少しました。なお、売上総利益に占め
であったため、経常利益は447 億円
(同 16.1%減)
となりました。
る給料及び手当の割合は、45.8%
(同2.7ポイント増)
となっています。
38
マス 4 媒体広告費が 5 年連続して減少する一方、インターネット
特別損益および当期純利益
広告費は、前年比 1.2%増とわずかではありますが増加傾向が続き
前連結会計年度は、投資有価証券評価損(511 億円)の計上等に
ました。すでに家庭内のメディア接触時間では、インターネットが
より特別損失は 601 億円でしたが、当連結会計年度の特別損失は
テレビに次ぐメディアとなっており、こうしたメディア環境の変化に
事業再編損20億円等、65億円にとどまったため、税金等調整前当期
伴い、広告主においても、マス 4 媒体とインターネットやモバイル
純利益は400億円
(前連結会計年度は49億円の損失)
となりました。
などのインタラクティブ・メディアを組み合わせた効果的かつ効率
以上に法人税、住民税及び事業税、過年度法人税等、法人税等調
的なメディア・プランニングの提供、広告効果の検証など、ニーズの
整額ならびに少数株主利益を加減した当期純利益は、過年度に計
高度化が進んでいます。当社グループでは、こうしたクライアント・
上した投資有価証券評価損等の一部について、損金算入または繰
ニーズに的確に応えるため、統合的なコミュニケーション・デザイン
延税金資産を計上したことによる税負担率の低下もあり、311 億円
によるソリューションの提供に努めています。
最近の傾向として、このような幅広い領域にわたる一貫したサービス、
(前連結会計年度は 204 億円の損失)
となりました。
コスト効率や広告効果の検証ツール等に対するニーズの高まりから、
広告主が大手広告会社との取引を増やす傾向にあると思われます。
経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループでは、プロモーションなどのサービスを、マス4 媒体の
広告と関連して提供することも多く、例えば、
プロモーションの場合、
クライアントは消費者による商品およびサービスの購入を促進する
収益
ため、マス4 媒体の広告キャンペーンをPOP(ポイント・オブ・パー
当社グループの収益は、主にマス4 媒体やインタラクティブメディア、
チェス)
および販促イベント、その他の方法と組み合わせて展開する
OOHメディアなどの広告に係るサービスおよびそれに関連するクリ
のが一般的です。これらのサービスに対する需要はマス4 媒体の
エーティブ・サービスによるものであり、広告枠の販売に係るメディア
広告への需要とは別に変動することもありますが、マス4 媒体の
会社からのコミッションが大半を占めます。特にマス4 媒体の広告
広告の需要に影響を与える要因は同時にマス4 媒体の広告以外の
枠の販売に係るコミッションが当社グループにとって重要な収益と
サービスの需要にも影響を与えます。
なっています。
当社グループはまた、エンタテインメントおよびスポーツマーケティ
マス4 媒体の広告に関連して、収益に影響を及ぼす主な要因は次の
ングにかかるサービスからも収益を得ています。具体的には、映画、
とおりです。
スポーツ・イベント、音楽等のメディア・コンテンツについて、制作、
・国内の広告費
(景況全般、技術革新、規制緩和および競争激化等、
マーケティング、協賛社獲得、スポンサーシップ・放映権・その他諸
権利の販売・仲介を行っています。これらのサービスによる収益の
産業に影響を与える情勢により変動)
・日本の広告業界における当社グループの競争力
内訳は、メディア・コンテンツに関する諸権利の純売買益または取扱
・広告枠に対してメディア会社に支払う料金
手数料、メディア・コンテンツに含まれる諸権利および使用権からの
・広告主の媒体ニーズの変化
収益、そして諸サービスに対する報酬です。収益は、イベントの開催
日本国内の広告費の伸長は、日本の景気との相関性が高いため、
場所や開催時期、当社グループが諸権利を得る条件、メディア・コン
広告費の動向を測る指標として国内総生産(GDP)
の名目成長率を
テンツに対する消費者の需要や関心度、広告主および放送局等の
参考にしています。2009 年度の日本経済は、前年度の米国金融不
当該諸権利に対する需要の度合いなどの要因によって異なります。
安に端を発した世界経済の急激な悪化から、緩やかに持ち直してき
さらに、当社グループは、CRM(顧客管理サービス)、
e-マーケティ
たものの、厳しい雇用・所得環境が続きました。
ングサービスおよびシステム構築サービスなどのソリューション事業
このような環境下、2009 年(暦年)
の
「日本の広告費」
(当社調べ)
も、
の提供による収益も得ています。このサービスによる収益は、広告
前年比11.5%減と2年連続の減少となりました。エコカー減税、エコ
サービスによる収益に影響を与える要因のほか、システム開発に
ポイントなどプラス材料があったものの、世界的不況による景気低
かける設備投資額の市場トレンドにも影響されます。
迷が大きく影響しました。特に年前半の減少幅が大きく、年後半は
また、海外における広告サービスによる収益も得ています。収益に
やや持ち直しています。
影響を与える要因は、日本においても海外においても概して相違ない
39
(各年 3月期)
総資産・総資産利益率(ROA)
(十億円)
(%)
自己資本・自己資本比率
(十億円)
(%)
1,500
10
600
60
1,200
8
480
48
900
6
360
36
600
4
240
24
300
2
120
12
0
0
0
2006
2007
2008
2009
2010
0
2006
総資産 総資産利益率(ROA)
2007
2008
2009
2010
自己資本 自己資本比率
経営戦略の現状と見通し
といえます。よって、国ごとの景況、特定産業の発展、広告業界に
おける当社グループ企業のポジション、サービスに対する報酬に
関する市場慣習、広告主のメディアごとの需要の変化などによって、
今日、国内では少子高齢化の進展や環境問題への関心の高まり
当社グループが事業展開する国々における収益トレンドが異なる
など、社会構造や社会意識が大きく変容するとともに、デジタル・
可能性があります。また、当社グループの報告通貨である円と、当社
テクノロジーの発展により生活者のライフスタイルも急速に様相を
グループが展開する海外諸国の通貨間の為替レートの変動も、海外
変えつつあります。また、先進各国の市場の成熟化が指摘される
における広告サービスによる収益に影響を与えます。
一方で、世界経済における新興諸国の存在感は一段と高まり、内外
企業はグローバルな事業展開を加速させています。
販売費及び一般管理費
当社グループではこのように急速に進む経営環境の変化の中、現
販売費及び一般管理費のうち、最も大きな割合を占めるのが賞与を
1月に新しいグループ企業理念「Good Innovation.」
(グッド イノ
含む給料及び手当です。そのほか、退職給付引当金繰入額、業務委
ベーション)を導入し、2009 年7月には新中期経営計画「Dentsu
状に満足することなく、時代の変化をチャンスととらえ、2009 年
託費、借用料、福利厚生費等が販売費及び一般管理費に含まれます。
Innovation 2013」
を策定しました。新中期経営計画のスローガン
当社は、2002 年度に業績連動型の給与体系を導入し、人件費の
=「プラットフォーム時代への挑戦」のもと、クライアント、メディア、
変動費化に努めています。しかしながら、今後、人材増強により人件
生活者、そして自らの内部での「Good Innovation.」を追求すると
費が増加する可能性があります。
ともに、そこから生じた多様な価値を結び付け、さらに大きなシナ
退職給付引当金繰入額に影響を与える要因としては、年金資産額、
ジーを社会全体にもたらす企業グループを目指し、さまざまなプロ
当社グループの従業員数、給与の水準、および退職・年金制度の諸
ジェクトを進めています。
条件が挙げられます。
「プラットフォーム時代」において、当社グループはかねてより培って
2002 年 11月の汐留本社ビル竣工に伴う減価償却費は、2003 年
きた固 有の力、
「 知 恵(インサイト)」
と
「アイデア(クリエーティビ
度をピークに、減少しています。また、当該減価償却費は、第三者に
ティ)」を、テクノロジーによって得られる生活者に関する新たな知
賃貸している本社ビルおよびアネックスビルから得る賃貸料収入等
見やコミュニケーション手段と重ね合わせ、クライアントに高品質
により、部分的に相殺されます。
なソリューションを提供するとともに、新しいビジネスモデルの構築
40
資金需要
などにも取り組み、これらを統合していくことでビジネスチャンスの
拡大を図ってまいります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施の
ための媒体料金および制作費の支払等ならびに人件費をはじめと
資本の財源および資金の流動性についての分析
する販売費及び一般管理費であります。
また、近年においては既存の広告取引とは異なる事業機会を発掘
するため、デジタル領域およびグローバル事業への投資に係る資金
資産、負債および純資産
需要が生じています。
当連結会計年度末は、前連結会計年度末と比べ、現金及び預金や
投資有価証券が増加したことから、資産全体では256 億円の増加と
財務政策
なりました。一方、負債については、借入債務が減少したことにより、
負債合計は67 億円の減少となりました。また、当期純利益 311 億
当社グループは、運転資金につきましては、内部資金、コマーシャル・
円の計上により、純資産合計は324 億円の増加となりました。
ペーパーまたは短期借入金により調達することとしています。流動
資産から流動負債を控除した運転資本については、当社グループでは
キャッシュ・フロー
以前から流動資産が上回っています。前連結会計年度および当連
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」
という)は、
および 1,068 億円の超過となっています。
928 億円(前連結会計年度末 572 億円)
となりました。営業活動に
当社グループでは、資金の短期流動性を確保するため、シンジケート
結会計年度における当社グループの運転資本は、それぞれ962 億円
よる収入が、投資活動および財務活動による支出を上回ったため、
銀行団と450 億円の融資限度枠を設定しています。また、キャッ
前連結会計年度末に比べ 355 億円の増加となりました。
シュ・マネジメントを強化するため、資金余剰状態にある国内子会社
から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している国内子会社に
・営業活動によるキャッシュ・フロー
貸出を行うグループ・ファイナンス・システムを導入しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは、749 億円(前連結会計年度は
当社は、格付機関である
(株)格付投資情報センター(R&I)から長
423 億円)
の収入となりました。前連結会計年度はその他流動負債
期格付 AA、短期格付 a-1+を取得しています。
の減少による支出でしたが、当連結会計年度はその他流動負債の
増加による収入であったため、営業活動によるキャッシュ・フロー
経営者の問題意識と今後の方針について
合計では 326 億円増加しました。
・投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果使用した資金は、92 億円(前連結会計年度は 222
不透明な経営環境のなか、当社グループは、克服せねばならない数
億円)
となりました。連結子会社株式の追加取得による支出が減少
多くの問題を抱えており、環境の変化を読み取り、自らが時代に即
したため、前連結会計年度より130 億円減少しました。
して変化していく必要があります。日本経済は厳しい状態が続いて
・財務活動によるキャッシュ・フロー
おり、またBRICsなどの新興国の台頭によって世界の勢力図が変化
財 務 活 動の結 果 使用した資 金は、312 億円(前 連 結 会 計 年 度は
しつつあります。数年後の世界経済の勢力図は、明らかに今とは異
277 億円)
となりました。長期借入れによる収入の減少が、自己株
なる姿になると考えます。
式の取得による支出の減少を下回りましたが、コマーシャル・ペー
モノづくりから流通の仕組み、そしてメディアや広告にいたるまで、
パーが増加による収入から減少による支出になったため、前連結会
ビジネスそのものの構造が大きく変わっていくなか、私たちは、豊かな
計年度に比べ 35 億円の増加となりました。
想像力を駆使して、新しい時代に適した企業グループをダイナミック
に築き上げていかなければなりません。そのためには、今後も当社
グループはプロフェッショナル集団として進化を続けながら、自信を
持ってさらなる改革を進めていかねばなりません。
41
現在、2009年7月に発表した新中期経営計画
「Dentsu Innovation
また生活者のメディア接触行動(1日のうちどのメディアにどのくらい
2013」
に基づき、さまざまなプロジェクトを進めていますが、成果は
の時間接触しているか)
をみると、テレビが 216.1 分に対し、インター
確実に現れており、引き続き改革を推進してまいります。
ネットが 59.8 分とテレビが圧倒的な地位を占めています
(出所:ビ
デオリサーチ、MCR2009 年東京地区)。しかしながら、今後生活者
のメディア接触行動が劇的に変化した場合には、当社グループ売上
事業等のリスク
高の過半を占めるマス4 媒体広告への需要が変化し、当社グループ
の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす
可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。
・取引慣行等に伴うリスク
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日
わが国の広告取引においては、広告会社は、広告主の代理人として
現在において当社グループが判断したものです。
ではなく、自己の責任でメディア会社等との取引を行うことが慣行と
なっています。そのため、当社グループは、広告主の倒産等の場合に、
広告主から広告料金の支払を受けられないにもかかわらず、メディア
広告業界全般に関するリスク
会社等に対して支払債務を負担する可能性があります。
・景気変動によるリスク
広告業界においては、さまざまな事情により、広告計画や内容に、突然
当社グループを含めた広告会社の業績は、市場変化や景気の影響
の変更が生じることが少なくありません。当社グループでは、主要取引
を受けやすい傾向があります。市場変化や景気によって広告支出を
先と基本契約を締結するなど、取引上のトラブルを未然に回避する努力
増減させる広告主が多いためです。
を行っていますが、不測の事故または紛争が生じる可能性があります。
当社グループは、サービス内容の多様化を進めるなど、景気の影響を
海外においては、欧米を中心に、広告会社が同一業種に属する複数
受けにくい事業構造の形成に努力しています。しかし、当社グループ
の広告主を担当しない
「一業種一社制」
と呼ばれる慣行があります。
の国内売上高は、全売上高の約9割を占めているため、国内マクロ経
しかし、わが国では、このような慣行は一般的でなく、当社グループも、
済の動向および広告支出額の大きい国内主要産業部門における景
同一業種に属する複数の主要企業を顧客としています。仮にわが国
気の動向が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
の慣行が変化し、それに対する当社グループの対応が適切さを欠いた
場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
・メディアの構造変化によるリスク
『平成 21 年日本の広告費』
(当社発行)によれば、インターネット広
競合によるリスク
告費は 1996 年の調査開始以来、伸長を続けており、2004 年には
ラジオ広告費を、2006 年には雑誌広告費を、2009 年には新聞
・広告会社との競合
広告費を上回り、11.9%のシェアとなりました。一方、マス4 媒体
わが国では、広告会社間において、激しい競合が行われています。
広告費(新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4つのマス媒体に露出される
国内広告会社間の事業統合や、外国広告会社による日本市場への
広告費)は2005 年から5年連続して減少しましたが、その構成比
参入は、業界構造を変化させる可能性があります。
は47.8%
(2009 年)
と依然として大きなシェアを占めています。
将来、顧客獲得をめぐる競合がさらに激しくなった場合、または、
当社グループは、インターネット等を活用した広告手法の発達は、マス
外国広告会社の日本市場への参入に伴う、業界構造や取引慣行の
4媒体広告と、インターネット広告の連携による相乗効果をより高め、
変化に、当社グループが適応できない場合には、当社グループの業績
将来にわたって広告市場全体の拡大に貢献するものと考えます。
に悪影響を及ぼす可能性があります。
2010 年6月現在、すでに当社グループはマス4 媒体広告のみならず
インターネット広告においても主導的な地位を占めており、さらなる
・隣接業種および新規参入企業との競合
事業機会の発掘と拡大に取り組んでいます。
当社グループの事業領域が拡大するにつれて、総合商社、コンサル
しかし、当社グループが適切に対応できなければ当社グループの
ティング会社など隣接業種との競合が生じる機会も増加しています。
業績に悪影響を与える可能性があります。
さらにインターネット関係の事業等においては、新規参入企業も多く、
42
これら企業と当社グループは、新規事業の開発等において競合する関
当社グループでは、メディア広告市場における地位を強固にするため、
係にあります。今後、これらの事業領域において当社グループがサー
マス4媒体、
OOHメディア
(交通広告・屋外広告等のアウト・オブ・
ビス面またはコスト面で顧客の要求に適切に応えることができない場
ホームメディア)
および衛星メディア
(BS放送およびCS放送)
などへの
合、または新規企業の参入により広告の取引慣行が急激に変化した
投資、ならびにそれに関連するリサーチや事業開発プロジェクトに対す
場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
る投資を行ってきています。しかし、メディア広告に対する需要が低迷
した場合や競争が激化した場合等には、研究開発や事業化に要した投
資に応じた収益や予定した成果を上げられない可能性があります。
広告主・メディア会社との関係に関するリスク
また、インターネット広告の領域においては、当社グループはクロス
当社は、わが国の主要広告主と取引関係を有しており、これら広告主
メディア型キャンペーン提案(複数のメディアや広告表現を消費者の
の大半と長年にわたり安定的な取引関係を維持しています。2010年
行動に合わせて効果的に掛け合わせたキャンペーン提案)
の積極化は
3月期における当社の上位取引先(広告主)10 社に対する売上高は、
もちろんのこと、検索連動型広告(広告主があらかじめキーワードを
当社の全売上高の約2割となっています。
購入し、検索エンジンでそのキーワードが検索された場合に表示さ
また、当社は、マスメディア各社の事業運営および営業活動を通じ、
れるインターネット広告)等多様な広告手法や広告主の裾野の広
社業発展の基礎をつくってまいりました。このような活動により、当
がりに対応すべく、大手専門エージェンシーとのアライアンスやそ
社は、広告主・メディア会社との間でのニーズ調整と円滑な取引を
の他専門会社や技術への積極的な投資を行っています。しかしな
実現しています。
がら、インターネット広告分野の技術やサービスの急速な進化に対
しかしながら、当社が、既存または新規の広告主またはメディア会
し、当社グループの対応が適切でなかった場合は予定した成果が上
社に対して、そのニーズに合致したサービスを提供できない場合に
げられない可能性があります。
は、取引関係の終了・解消、受注の減少または取引条件の変更等が
生じる可能性があり、その結果、当社グループの業績に悪影響を及
・e-ソリューション開発に関するリスク
ぼす可能性があります。
当社グループは、事業多様化の一環として、CRM(顧客管理サービス)、
近年、広告主は、コスト削減の必要から、発注先の広告会社を1社
e-マーケティングサービスおよびシステム構築サービス等のe-ソ
に集中するなどの方法により、効率的な広告サービス提供の要求
リューション事業の拡大に努めています。しかし、そのサービスに対す
を強めています。そのため、マスメディア広告取引における収益性が
る顧客の需要が予想を下回る場合、顧客の注文に適切に応えることが
低下する傾向が継続する場合には、当社グループの業績に悪影
できない場合、または他のe-ソリューション企業に対する競争力を維
響を及ぼす可能性があります。
持できない場合には、予定した成果が上げられない可能性があります。
国内市場における営業基盤の強化に関するリスク
・プロモーション事業拡大に関するリスク
広告主にとってプロモーション施策の重要性が高まっており、市場も
・システム、データベース等の開発に関するリスク
拡大しています。当社グループはこの機会をとらえ、店頭マーケティ
当社グループは、広告主による広告およびマーケティング支出の効
ング専門会社、チラシ制作専門会社、ダイレクトビジネス専門会社、
果を実証的に検証するためのコンピュータ・システムや、データベー
顧客アクセス専門会社などを設立し、プロモーション領域における
ス等の研究開発に取り組んでおり、これらの活動を通じて、潜在的
事業拡大を図っています。しかしながら、広告主の需要が拡大しない
な需要を掘り起こすとともに、国内広告市場における当社グループの
場合、あるいは当社グループが競合会社に対する競争力を維持でき
シェア向上を目指しています。しかし、これら研究開発活動の成果が
ない場合には、計画どおりの事業拡大ができない可能性があります。
商品化・実用化される時期は未定であり、今後広告主ニーズの変
化や、技術的な困難等によって、当社グループの研究開発活動が、
コンテンツ事業に関するリスク
予定した成果を上げられない可能性があります。
当社グループでは、映画、テレビ番組、スポーツイベントおよび音楽
・メディアおよびインターネット広告事業等への投資に関するリスク
等に関する権利の獲得、制作への投資を活発に行っており、映画や
43
その他のコンテンツの製作・配給・販売、ライセンシングおよびスポ
当社の保有するピュブリシスグループ株式について、減損処理を行う
ンサーシップ権や放送権の販売、ならびに映画、その他のコンテン
ことが必要になる可能性もあります。
ツに関する広告の販売から収入を得ています。しかし、これらの中
人材の確保と育成に関するリスク
には、事業計画が多年度にわたる場合、または多額の取得コストや
財務的コミットメントを必要とする場合があります。また、昨今では
コンテンツを供給するメディアも多様化しています。しかも、コンテ
当社グループの成長力および競争力は、優秀な人材の確保とその
ンツ事業の成否を左右する生活者の反応を確実に予測することは、
育成に大きく依存します。人材の確保に関しては、新卒者の安定的
困難であります。これら事業が計画どおりに進捗しない場合、また、
採用や専門的知識・経験を持ち即戦力となる中途採用により確保を
予定した投資効果が得られなかった場合には、当社グループの業
図っています。それとともに、本人の職務や能力に応じた教育研修
績に悪影響を及ぼす可能性があります。
等により、人材の育成を図っています。しかしながら、何らかの理
グローバル事業に関するリスク
出する可能性もあります。このような事態が生じた場合、当社グ
由により人材の確保が困難になる可能性および優秀な人材が流
ループの成長力と競争力に悪影響を及ぼす可能性があります。
・海外事業拡大に関するリスク
当社グループは、海外において、当社グループ独自のネットワークを通
法規制等に関するリスク
じて、また他社との提携により事業を行っており、2010 年3月期にお
ける当社グループの海外売上高比率は、8.6%であります。当社グルー
当社グループは、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の
プでは、当社グループの成長を実現するためには、グローバルな事業
法令および諸規制の適用を受けていますが、いずれも現状では当社
ポートフォリオの構築を図ることが重要であるという認識の下に、海
グループの事業に悪影響を及ぼす懸念はありません。しかしながら、
外における事業展開を行っています。具体的には、競争力を強化し、
今後、新たに広告主の広告活動、広告の形式および内容等に影響を
利益を増大するために、人材やプランニングシステムなどの現地化を
及ぼす法令や、各種規制が採用もしくは強化された場合、または
推進しています。しかし、海外事業展開には多額の資金を要する場合
法令および各種規制の解釈が変化した場合には、広告業界および
もあり、また広告会社間の競争も熾烈です。したがって、当社グループ
当社グループの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
の海外事業が計画どおりに進捗または成功しない場合には、当社グ
また、当社グループは事業遂行上、広告主の情報や個人情報等を
ループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
取得することがあります。当社グループでは情報セキュリティマネジ
また広告市場の成長が著しく、当社としても独自のネットワークを通じ
メントシステムの国際規格を取得するなど、情報管理には万全を期
て事業拡大に特に注力しているBRICsやアジア諸国は、広告ビジネス
していますが、万一情報漏えい等の事故が発生した場合には、当社
がいまだ発展途上であります。今後政治情勢、経済情勢、法規制、商習
グループの信頼性を著しく損なう可能性があり、当社グループの業績
慣などさまざまな要因により、広告ビジネスが予想どおりに発展しな
に悪影響を及ぼす可能性があります。
い場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
訴訟等について
・ピュブリシスグループとの資本・業務提携に関するリスク
当社は、現在ピュブリシスグループに出資し、広告サービス等の分
当連結会計年度末日現在において、当社グループはその業績に重大な
野における業務提携を行っています。しかし、この資本および業務
影響を与え得る訴訟には関与しておりません。しかしながら、当社グ
提携から、当初期待した成果を上げられない可能性があります。
ループは、広告の内容および表現等当社グループの事業遂行に関連し
また、当社は、ピュブリシスグループの議決権総数の約 15%を保
て提起される、取引先、各種団体、消費者または各種知的財産権の保
有する少数株主に留まるため、ピュブリシスグループの経営への関
有者等による訴訟に、直接または間接的に関与する可能性があります。
与は限定的であり、したがって、ピュブリシスグループの事業方針や戦
略を、当社グループに有利な方向に導くことができない可能性があ
ります。さらに、ピュブリシスグループの株価が大幅に下落すると、
44
45
連 結 貸借対照表
株式会社電通および連結子会社
2010 年および 2009 年 3 月31 日現在
単位:百万円
資産の部
2009
2010
¥ 58,417
¥ 93,837
427,696
415,657
1,179
163
流動資産
流動資産
現金及び預金
受取手形及び売掛金
有価証券
たな卸資産
14,464
11,208
前渡金
27,599
29,444
短期貸付金
繰延税金資産
その他
貸倒引当金
流動資産合計
1,840
−
10,481
11,408
7,984
8,060
(3,345)
(1,356)
546,317
568,424
83,691
80,038
160,803
160,396
固定資産
固定資産
有形固定資産
建物及び構築物(純額)
土地
8,144
7,559
252,639
247,994
ソフトウエア
21,327
17,405
のれん
20,658
23,647
その他
5,033
4,327
47,019
45,380
174,464
181,878
その他(純額)
有形固定資産合計
無形固定資産
無形固定資産合計
投資その他の資産
投資有価証券
515
876
繰延税金資産
35,466
34,951
その他
37,234
40,612
長期貸付金
(1,112)
貸倒引当金
(1,883)
投資その他の資産合計
246,567
256,436
固定資産合計
546,226
549,811
¥1,092,543
¥1,118,236
資産合計
46
単位:百万円
負債の部
2009
2010
¥ 367,422
¥ 360,759
流動負債
流動負債
支払手形及び買掛金
短期借入金
3,625
3,382
1 年内返済予定の長期借入金
5,118
18,615
1,870
1,552
21,592
24,222
未払法人税等
5,602
6,526
繰延税金負債
2
10
返品調整引当金
129
130
役員賞与引当金
202
285
リース債務
未払費用
事業再編損失引当金
その他
流動負債合計
276
408
44,232
45,700
450,075
461,595
116,195
97,576
2,286
2,026
固定負債
固定負債
長期借入金
リース債務
376
407
再評価に係る繰延税金負債
10,293
10,293
退職給付引当金
繰延税金負債
29,775
31,942
役員退職慰労引当金
898
862
事業再編損失引当金
247
−
9,246
7,974
固定負債合計
169,318
151,083
負債合計
619,394
612,679
58,967
58,967
その他
純資産の部
株主資本
資本金
資本剰余金
61,583
60,899
利益剰余金
429,615
454,014
(67,367)
自己株式
482,798
株主資本合計
(65,056)
508,824
評価・換算差額等
(2,440)
その他有価証券評価差額金
126
繰延ヘッジ損益
737
(886)
土地再評価差額金
(7,187)
(7,187)
為替換算調整勘定
(20,730)
(17,237)
評価・換算差額等合計
(30,230)
(24,573)
新株予約権
少数株主持分
純資産合計
負債純資産合計
47
0
−
20,581
21,306
473,149
505,556
¥1,092,543
¥1,118,236
連 結損益計算書
株式会社電通および連結子会社
2010 年および 2009 年 3 月31 日に終了した連結会計年度
単位:百万円
売上高
売上原価
売上総利益
2009
2010
¥1,887,170
¥1,678,618
1,572,696
1,382,127
314,474
296,490
135,566
135,799
販売費及び一般管理費
給料及び手当
役員賞与引当金繰入額
209
291
退職給付引当金繰入額
9,453
11,476
役員退職慰労引当金繰入額
266
197
福利厚生費
17,420
16,916
減価償却費
14,583
13,313
1,885
2,010
のれん償却額
貸倒引当金繰入額
ー
174
91,904
78,988
271,290
259,166
43,184
37,323
受取利息
1,294
664
受取配当金
1,701
1,412
その他
販売費及び一般管理費合計
営業利益
営業外収益
為替差益
持分法による投資利益
その他
598
−
8,970
7,380
2,028
2,416
14,592
11,873
支払利息
2,466
2,275
為替差損
ー
150
営業外収益合計
営業外費用
投資事業組合運用損
長期前払費用償却
貸倒引当金繰入額
その他
営業外費用合計
経常利益
875
−
ー
855
89
36
982
1,089
4,413
4,407
53,363
44,790
特別利益
81
871
投資有価証券売却益
864
398
貸倒引当金戻入額
248
−
事業再編損失引当金戻入額
201
−
−
196
固定資産売却益
関係会社支援損戻入益
その他
特別利益合計
48
379
386
¥ 1,774
¥ 1,852
単位:百万円
2009
2010
固定資産売却損
¥ 18
¥ 32
固定資産除却損
264
795
1,405
318
特別損失
減損損失
投資有価証券評価損
事業再編損
子会社清算損
その他
特別損失合計
51,116
1,331
ー
2,074
ー
830
7,305
1,210
60,110
税金等調整前当期純利益(又は税金等調整前当期純損失)
(4,972)
法人税、住民税及び事業税
14,489
過年度法人税等
ー
法人税等調整額
法人税等合計
少数株主利益
177
124
8,375
¥(20,453)
49
10,480
(2,229)
14,667
812
当期純利益(又は当期純損失)
6,594
40,048
542
¥31,130
連 結 株主資本等変動計算書
株式会社電通および連結子会社
2010 年および 2009 年 3 月31 日に終了した連結会計年度
単位:百万円
2009
2010
前期末残高
¥ 58,967
¥ 58,967
当期末残高
58,967
58,967
61,586
61,583
株主資本
資本金
資本金
資本剰余金
資本剰余金
前期末残高
当期変動額
株式交換による増加
ー
自己株式の処分
(2)
その他資本剰余金の負の残高の振替
ー
当期変動額合計
(2)
当期末残高
(841)
(0)
157
(684)
61,583
60,899
460,444
429,615
利益剰余金
利益剰余金
前期末残高
在外子会社の会計処理の変更に伴う増減
(728)
−
当期変動額
剰余金の配当
(9,769)
当期純利益(又は当期純損失)
(20,453)
土地再評価差額金の取崩
連結範囲の変動
持分法の適用範囲の変動
−
ー
(0)
ー
当期変動額合計
(30,100)
当期末残高
31,130
7
114
その他資本剰余金の負の残高の振替
(6,839)
429,615
266
(157)
24,399
454,014
自己株式
自己株式
前期末残高
(6,754)
(67,367)
当期変動額
株式交換による増加
ー
自己株式の取得
(60,650)
自己株式の処分
37
当期変動額合計
(60,612)
当期末残高
(67,367)
3,784
(1,475)
2
2,311
(65,056)
株主資本合計
株主資本合計
前期末残高
574,243
在外子会社の会計処理の変更に伴う増減
(728)
482,798
−
当期変動額
株式交換による増加
ー
剰余金の配当
(9,769)
当期純利益(又は当期純損失)
(20,453)
土地再評価差額金の取崩
7
自己株式の取得
(60,650)
2,943
(6,839)
31,130
−
(1,475)
自己株式の処分
34
1
連結範囲の変動
ー
(0)
持分法の適用範囲の変動
114
その他資本剰余金の負の残高の振替 ー
当期変動額合計
(90,715)
当期末残高
¥482,798
50
266
−
26,025
¥508,824
単位:百万円
2009
2010
評価・換算差額等
その他有価証券評価差額金
前期末残高
¥ 4,339
¥ (2,440)
当期変動額
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
(6,779)
3,177
当期変動額合計
(6,779)
3,177
当期末残高
(2,440)
737
(559)
126
繰延ヘッジ損益
前期末残高
当期変動額
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
686
(1,013)
当期変動額合計
686
(1,013)
当期末残高
126
(886)
土地再評価差額金
前期末残高
(7,179)
(7,187)
当期変動額
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
(7)
当期変動額合計
(7)
当期末残高
−
−
(7,187)
(7,187)
(3,550)
(20,730)
為替換算調整勘定
前期末残高
当期変動額
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
(17,180)
当期変動額合計
(17,180)
当期末残高
(20,730)
(17,237)
(6,950)
(30,230)
3,492
3,492
評価・換算差額等合計
前期末残高
当期変動額
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
(23,280)
当期変動額合計
(23,280)
当期末残高
(30,230)
5,657
5,657
(24,573)
新株予約権
0
0
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
(0)
(0)
当期変動額合計
(0)
(0)
0
−
23,567
20,581
前期末残高
当期変動額
当期末残高
少数株主持分
前期末残高
当期変動額
株主資本以外の項目の当期変動額(純額)
(2,986)
724
当期変動額合計
(2,986)
724
¥ 20,581
当期末残高
51
¥ 21,306
連結キャッシュ・フロー計算 書
株式会社電通および連結子会社
2010 年および 2009 年 3 月 31日に終了した連結会計年度
単位:百万円
2009
2010
営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益(又は税金等調整前当期純損失)
¥ (4,972)
減価償却費
減損損失
16,165
1,405
318
のれん償却額
3,454
貸倒引当金の増減額(減少)
(688)
退職給付引当金の増減額(減少)
(762)
受取利息及び受取配当金
支払利息
為替差損益(益)
持分法による投資損益(益)
¥40,048
18,001
2,010
(1,189)
2,146
(2,995)
(2,076)
2,466
2,275
(35)
(3)
(8,970)
(7,380)
投資有価証券評価損益(益)
51,116
−
売上債権の増減額(増加)
63,992
12,340
たな卸資産の増減額(増加)
7,190
3,343
(3,562)
(1,191)
仕入債務の増減額(減少)
(51,902)
(7,613)
その他の流動負債の増減額(減少)
(11,740)
その他の流動資産の増減額(増加)
その他
(1,877)
小計
60,119
利息及び配当金の受取額
利息の支払額
法人税等の支払額
営業活動によるキャッシュ・フロー
18,338
1,306
78,838
6,783
6,166
(2,520)
(2,304)
(22,022)
(7,711)
42,359
74,989
投資活動によるキャッシュ・フロー
有価証券の取得による支出
(997)
有価証券の売却による収入
1,200
1,129
(4,974)
(2,983)
有形固定資産の取得による支出
193
有形固定資産の売却による収入
(4,248)
投資有価証券の取得による支出
(0)
1,336
(4,441)
9,662
3,627
ソフトウエアの取得による支出
(7,588)
(3,839)
貸付けによる支出
(4,116)
(638)
投資有価証券の売却による収入
3,826
貸付金の回収による収入
連結子会社株式の追加取得による支出
連結の範囲の変更を伴う子会社出資金の取得による支出
−
(5,707)
−
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入
629
連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出
(132)
ー
長期前払費用の取得による支出
80
その他
¥(22,263)
投資活動によるキャッシュ・フロー
52
1,191
(10,090)
−
(6)
(5,066)
440
¥(9,251)
単位:百万円
2009
2010
財務活動によるキャッシュ・フロー
短期借入金の純増減額(減少)
¥ (5,116)
コマーシャル・ペーパーの増減額(減少)
15,000
長期借入れによる収入
40,000
¥
(341)
(15,000)
−
長期借入金の返済による支出
(5,136)
(5,123)
リース債務の返済による支出
(2,213)
(2,058)
少数株主からの払込みによる収入
710
自己株式の取得による支出
配当金の支払額
少数株主への配当金の支払額
その他
(1,475)
(9,769)
(6,839)
(601)
(519)
28
財務活動によるキャッシュ・フロー
(27,748)
現金及び現金同等物に係る換算差額
現金及び現金同等物の増減額(減少)
現金及び現金同等物の期首残高
合併に伴う現金及び現金同等物の増加額
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額
現金及び現金同等物の期末残高
53
−
(60,650)
76
(31,282)
(5,519)
1,052
(13,172)
35,508
70,252
57,271
190
−
ー
75
¥ 57,271
¥ 92,854
単 体 財務要約
株式会社電通
3 月31 日に終了した各会計年度
単位:百万円
2006
2007
2008
2009
2010
¥1,577,131
¥1,602,062
¥1,585,982
¥1,447,410
¥1,315,072
1,362,987
1,385,322
1,369,289
1,254,694
1,129,592
売上総利益
214,144
216,739
216,692
192,716
185,479
販売費及び一般管理費
174,929
178,242
180,410
168,845
159,165
営業利益
39,214
38,496
36,281
23,870
26,313
経常利益
46,218
47,746
47,341
34,585
33,702
45,076
39,707
38,865
(25,466)
28,830
21,537
22,243
24,533
(32,771)
27,055
¥1,102,001
¥1,135,805
¥1,112,758
¥ 986,741
¥1,010,812
464,524
487,345
491,819
383,028
406,410
¥ 7,901.97
¥ 8,111.36
¥ 8,936.06
7,892.39
8,103.44
8,932.81
ー
ー
2,500
3,000
3,500
35
27
18.3
17.8
16.7
12.4
14.2
(4)
自己資本利益率(ROE)
4.7
4.7
5.0
(7.5)
6.9
(5)
総資産利益率
(ROA)
3.6
3.4
3.2
2.3
2.6
自己資本比率(6)
42.2
42.9
44.2
38.8
40.2
配当性向(7)
31.3
37.0
39.2
ー
24.8
3月期:
売上高
売上原価
税引前当期純利益
(又は税引前当期純損失)
当期純利益(又は当期純損失)
3月31日現在:
総資産
自己資本
1株当たりデータ(円)
:
当期純利益(又は当期純損失)
潜在株式調整前
潜在株式調整後(1)
配当金(2)
¥ (127.55)
¥
108.67
比率
(%)
:
オペレーティング・マージン(3)
注:
(1)2009 年 3月期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載していません。また、2010 年 3月期の潜在株式調整後1株
当たり当期純利益については、1株当たり当期純利益を下回らないため記載していません。
(2)2009 年 3月期および 2010 年 3月期は 2009 年1月実施の株式分割後ベース (3)オペレーティング・
マージン=営業利益 売上総利益 100(
4)
自己資本利益率(ROE)=当期純利益(又は当期純損失) 期首・期末平均自己資本 100 (5)総資産利益率(ROA)
=営業利益 期首・期末平均総資 産
100 ( 6)自己資本比率=自己資本 総資産 100 ( 7)配当性向=1株当たり配当金 1株当たり当期純利益 100
54
(各年 3月期)
売上高
(十億円)
売上総利益
(十億円)
2,000
240
1,500
180
1,000
120
500
60
0
0
2006
(十億円)
2007
2008
2009
2010
営業利益・オペレーティング・マージン
2006
(%)
(十億円)
2007
2008
2009
2010
当期純利益(当期純損失)
・自己資本利益率(ROE)
(%)
80
20
40
8
60
15
20
4
40
10
0
0
20
5
-20
-4
0
-40
0
2006
2007
2008
2009
2010
-8
2006
営業利益 オペレーティング・マージン
2007
2008
2010
当期純利益(当期純損失) 自己資本利益率(ROE)
業種別売上高構成比
業務区分別売上高構成比
その他 7.9%
コンテンツサービス 5.7%
その他 1.7%
情報・通信 14.6%
出版 2.1%
不動産・住宅設備 2.8%
2009
テレビタイム
マーケティング/
22.0%
プロモーション 12.7%
交通・レジャー 4.1%
官公庁・団体 4.2%
飲料・嗜好品
10.6%
家電・AV機器 5.0%
2010年3月期
クリエーティブ
外食・各種サービス
化粧品・トイレタリー
5.2%
2010年3月期
12.5%
7.8%
趣味・スポーツ用品
OOHメディア 3.0%
5.3%
流通・小売業
5.6%
薬品・医療用品 5.7%
食品 7.1%
インタラクティブメディア 2.6%
ラジオ 1.5%
雑誌 3.3%
新聞 9.3%
金融・保険 6.3%
自動車・関連品 5.7%
55
テレビスポット
25.6%
収 益の状 況(単体)
3 月 31日に終了した会計年度
業 務 区分別売 上高( 単体 )
(百万円)
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
2006
2007
2008
2009
2010
● テレビタイム ● テレビスポット ● 新聞 ● 雑誌 ● ラジオ ● インタラクティブメディア ● OOHメディア ● クリエーティブ ● マ−ケティング/プロモーション ● コンテンツサービス ● その他
単位:百万円 2006
3月31日に終了した会計年度
テレビ
¥ 750,302
2007
47.6%
¥ 748,856
2008
46.7%
テレビタイム
347,147
22.0
357,603
22.3
テレビスポット
403,155
25.6
391,252
新聞
197,745
12.5
193,731
雑誌
74,670
4.7
ラジオ
25,844
インタラクティブメディア(1)
OOHメディア(2)
クリエーティブ
¥ 734,205
2009
46.3%
348,098
21.9
24.4
386,107
12.1
181,545
73,703
4.6
1.6
24,746
1.5
18,767
1.2
21,545
36,152
2.3
43,075
171,008
10.8
¥ 692,992
2010
47.9%
343,431
23.7
24.3
349,561
11.4
146,766
69,914
4.4
23,704
1.5
1.3
23,990
2.7
48,904
188,230
11.7
¥ 626,274
47.6%
289,464
22.0
24.2
336,810
25.6
10.1
122,264
9.3
60,010
4.1
43,392
3.3
22,014
1.5
19,434
1.5
1.5
26,220
1.8
34,606
2.6
3.1
42,056
2.9
39,233
3.0
198,792
12.5
177,438
12.3
164,973
12.5
マーケティング
185,266
11.7
173,321
10.8
179,051
11.3
170,868
11.8
167,209
12.7
コンテンツサービス(3)
/プロモーション
92,089
5.8
109,980
6.9
100,578
6.3
82,104
5.7
75,492
5.7
その他
25,283
1.6
24,871
1.6
25,294
1.6
26,938
1.9
22,191
1.7
合計
¥1,577,131 100.0%
¥1,602,062 100.0%
¥1,585,982 100.0%
¥1,447,410 100.0%
¥1,315,072 100.0%
注:
(1)インタラクティブメディアとはインターネット、モバイル関連メディアのことを指します。 ( 2)OOH メディアとは交通広告・屋外広告等のアウト・オブ・ホーム・メディアを指します。 ( 3)コンテンツ
サービスとはスポーツ領域、エンタテインメント領域での権利販売業務、企画立案、制作実施業務およびその他のコンテンツサービスを指します。
56
業 種 別売 上 高( 単体 ) (百万円)
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
2006
2007
2008
2009
2010
● 情報・通信 ● 飲料・嗜好品 ● 化粧品・トイレタリー ● 食品 ● 金融・保険 ● 自動車・関連品 ● 薬品・医療用品 ● 流通・小売業 ● 趣味・スポーツ用品 ● 外食・各種サービス ● 家電・ AV 機器 ● 官公庁・団体 ● 交通・レジャー ● 不動産・住宅設備 ● 出版 ● その他
単位:百万円
3月31日に終了した会計年度
情報・通信
2006
¥ 204,251
2007
13.0%
¥ 240,620
2008
15.0%
¥ 227,624
2009
14.4%
¥ 214,076
2010
14.8%
¥ 191,999
14.6%
飲料・嗜好品
156,944
10.0
157,784
9.8
152,764
9.6
144,744
10.0
139,995
化粧品・トイレタリー
130,332
8.3
121,269
7.6
117,093
7.4
106,344
7.3
102,924
7.8
84,786
5.4
86,891
5.4
88,282
5.6
88,723
6.1
93,974
7.1
6.3
食品
10.6
金融・保険
144,237
9.1
133,429
8.3
123,375
7.8
99,716
6.9
82,383
自動車・関連品
129,435
8.2
130,130
8.1
123,701
7.8
103,493
7.2
74,822
5.7
薬品・医療用品
76,742
4.9
75,599
4.7
85,033
5.4
78,484
5.4
74,809
5.7
流通・小売業
73,292
4.6
80,242
5.0
77,582
4.9
76,468
5.3
73,110
5.6
趣味・スポーツ用品
50,907
3.2
56,957
3.6
73,046
4.6
75,185
5.2
69,322
5.3
5.2
外食・各種サービス
80,683
5.1
73,320
4.6
81,453
5.1
69,336
4.8
67,970
110,826
7.0
106,876
6.7
91,677
5.8
85,920
5.9
66,297
5.0
53,518
3.4
47,709
3.0
49,137
3.1
46,209
3.2
54,867
4.2
交通・レジャー
69,989
4.4
67,624
4.2
71,441
4.5
64,522
4.5
54,129
4.1
不動産・住宅設備
47,429
3.0
49,557
3.1
51,533
3.2
42,979
3.0
36,738
2.8
出版
45,353
2.9
47,888
3.0
42,732
2.7
32,288
2.2
27,874
2.1
118,399
7.5
126,158
7.9
129,500
8.2
118,916
8.2
103,851
7.9
家電・AV機器
官公庁・団体
その他
合計
¥1,577,131 100.0%
¥1,602,062 100.0%
¥1,585,982 100.0%
¥1,447,410 100.0%
¥1,315,072 100.0%
注:
(1)掲載業種は、2010 年 3 月期の業種別売上高上位15 業種です。 ( 2)業種分類については適宜見直しを行っており、当社が毎年発行している『日本の広告費』における業種分類とは、必ずしも一致
しません。上表は最新(2010 年 3 月 31日現在)の業種分類により、過去に遡って集計したものです。
57
マーケット・データ
暦年ベース
日本および主要各国の広告マーケット規模
国内年間広告費推計および国内総生産に占める広告費比率
(十億円)
(百万米ドル)
500,000
(%)
8,000
1.6
6,000
1.2
4,000
0.8
2,000
0.4
400,000
300,000
200,000
100,000
0
0
2005
2006
2007
2008
2009
0
2005
● 米国 ● 日本 ● ドイツ ● 中国 ● 英国 ● フランス ● その他欧州 2006
2007
2008
2009
国内広告費 国内総生産に占める広告費比率
● その他アジア太平洋 ● 中南米 ● その他
日本および主要各国の広告マーケット規模
暦年
単位:百万米ドル 2005
2006
2007
2008
2009
米国
$166,234.9
39.9% $173,434.3
38.9% $177,652.8
37.5% $170,217.7
35.6% $148,309.6
34.7%
日本
50,689.7
12.2
51,250.5
11.5
51,629.7
10.9
49,624.7
10.4
10.1
ドイツ
23,530.6
5.6
25,057.7
5.6
26,219.3
5.5
26,148.4
5.5
23,926.6
5.6
中国
12,326.0
3.0
14,821.0
3.3
16,905.0
3.6
19,193.7
4.0
20,611.2
4.8
3.9
43,383.3
英国
18,340.3
4.4
18,639.7
4.2
19,825.3
4.2
19,188.8
4.0
16,732.1
フランス
12,461.7
3.0
13,086.3
2.9
13,521.2
2.9
13,561.3
2.8
12,280.2
2.9
その他欧州
68,275.4
16.4
76,403.3
17.1
84,432.5
17.8
87,405.9
18.3
72,423.4
16.9
その他アジア太平洋
30,725.9
7.4
33,014.9
7.4
36,372.1
7.7
37,965.1
7.9
36,383.7
8.5
中南米
18,368.7
4.4
21,143.3
4.7
24,758.0
5.2
28,459.4
6.0
27,397.1
6.4
16,163.4
3.9
18,998.4
4.3
22,186.0
4.7
25,785.9
5.4
26,018.5
6.1
その他
合計
$417,116.6 100.0% $445,849.3 100.0% $473,501.8 100.0% $477,550.9 100.0% $427,465.7 100.0%
注:広告費には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオ、映画、屋外広告およびインターネットが含まれます。 出典:
『世界の広告費予測』
( 2010 年 7月ゼニス・オプティメディア)
〈 各数値は『世界の広告費予測』に
掲載されたものです。〉
国内年間広告費推計および国内総生産に占める広告費比率
単位:十億円 暦年
2005 2006 2007 2008 2009 国内広告費
¥ 6,823.5
¥ 6,939.9
¥ 7,019.1
¥ 6,692.6
¥ 5,922.2
国内総生産
501,734.4
507,364.8
515,520.4
505,113.9
474,924.0
1.36%
1.37%
1.36%
1.32%
1.25%
国内総生産に占める広告費比率
注:
(1)2007年に「日本の広告費」の推定範囲を 2005 年に遡及して改定しています。 (2)広告費には、テレビ、新聞、雑誌、ラジオによる広告、折込広告、展示・映像、ダイレクトメール、屋外広告、交通広告、
電話帳広告、POP 広告、衛星メディアおよびインターネットに関する広告が含まれます。
出典:
『平成 21年日本の広告費』
(当社発行)
58
日本の媒体別広告費および構成比
暦年
テレビ
単位:十億円 2005
¥2,041.1
2006
29.9%
¥2,016.1
2007
¥1,998.1
29.0%
2008
28.5%
¥1,909.2
2009
28.5%
¥1,713.9
29.0%
1,037.7
15.2
998.6
14.4
946.2
13.5
827.6
12.4
673.9
11.4
雑誌(1)
484.2
7.1
477.7
6.9
458.5
6.5
407.8
6.1
303.4
5.1
ラジオ
177.8
2.6
174.4
2.6
167.1
2.4
154.9
2.3
137.0
2.3
48.7
0.7
54.4
0.8
60.3
0.8
67.6
1.0
70.9
1.2
新聞
衛星メディア関連広告(1)
377.7
5.6
482.6
6.9
600.3
8.6
698.3
10.4
706.9
11.9
プロモーションメディア広告(1)2,656.3
38.9
2,736.1
39.4
2,788.6
39.7
2,627.2
39.3
2,316.2
39.1
インターネット広告
総広告費(1)
¥6,823.5 100.0%
¥6,939.9 100.0%
¥7,019.1 100.0%
¥6,692.6 100.0%
¥5,922.2 100.0%
注:
(1)2007 年に「日本の広告費」の推定範囲を 2005 年に遡及して改訂しています。
出典:
『平成 21年日本の広告費』
( 当社発行)
日本の業種別広告費(マス 4 媒体広告費)
暦年
エネルギー・素材・機械
2005
¥ 50.1
単位:十億円 2006
1.3%
¥ 56.2
2007
1.5%
¥ 64.0
2008
1.8%
¥ 48.7
2009
1.5%
¥ 32.7
1.2%
食品
302.3
8.1
298.9
8.2
299.3
8.4
301.4
9.1
288.5
10.2
飲料・嗜好品
282.2
7.5
276.5
7.5
263.7
7.4
246.8
7.5
227.0
8.0
薬品・医療用品
184.5
4.9
177.9
4.9
182.8
5.1
183.6
5.6
163.3
5.8
化粧品・トイレタリー
326.0
8.7
319.3
8.7
311.4
8.7
293.8
8.9
275.9
9.7
ファッション・アクセサリー
110.7
3.0
123.2
3.4
127.8
3.6
115.8
3.5
93.1
3.3
精密機器・事務用品
40.8
1.1
42.3
1.2
44.6
1.2
40.8
1.2
30.7
1.1
家電・AV機器
90.7
2.4
91.9
2.5
85.0
2.4
81.8
2.5
70.5
2.5
248.2
6.6
235.0
6.4
216.9
6.1
192.2
5.8
134.5
4.8
2.1
自動車・関連品
家庭用品
67.6
1.8
62.5
1.7
63.8
1.8
61.0
1.8
58.9
趣味・スポーツ用品
162.7
4.4
165.2
4.5
156.9
4.4
169.2
5.1
142.0
5.0
不動産・住宅設備
166.0
4.4
166.8
4.5
173.0
4.8
147.5
4.5
112.6
4.0
出版
148.2
4.0
143.1
3.9
137.1
3.8
114.1
3.5
94.5
3.3
情報・通信
267.7
7.2
268.5
7.3
266.7
7.5
241.4
7.3
203.3
7.2
流通・小売業
253.9
6.8
234.8
6.4
223.4
6.3
210.6
6.4
191.3
6.8
金融・保険
327.2
8.8
304.7
8.3
246.2
6.9
212.9
6.4
151.4
5.3
交通・レジャー
288.1
7.7
288.0
7.9
289.7
8.1
269.4
8.2
233.5
8.2
外食・各種サービス
147.3
3.9
148.4
4.0
151.8
4.3
144.2
4.4
134.8
4.8
官公庁・団体
教育・医療サービス・宗教
案内・その他
合計
52.3
1.4
43.6
1.2
54.1
1.5
45.5
1.4
47.6
1.7
136.7
3.7
128.8
3.5
119.2
3.3
100.1
3.0
85.4
3.0
86.7
2.3
90.5
2.5
91.5
2.6
77.7
2.4
55.8
2.0
¥3,740.8 100.0%
¥3,666.8 100.0%
¥3,569.9 100.0%
¥3,299.5 100.0%
¥2,828.2 100.0%
注:
(1)
2007 年に「日本の広告費」の推定範囲を 2005 年に遡及して改訂しています。 ( 2)広告費には、地上波テレビ、新聞、雑誌、ラジオ広告およびこれらに関連するクリエーティブの費用を含みます。
出典:
『平成 21年日本の広告費』
( 当社発行)
59
国内広告会社上位10 社の売上高(単体)
(百万円)
3,500,000
3,000,000
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
2005
2006
2007
2008
2009
● 電通 ● 博報堂 ● アサツー DK ● 大広 ● 東急エージェンシー ● JR 東日本企画 ● 読売広告社 ● 朝日広告社 ● デルフィス ● 電通東日本
売上高
単位:百万円 暦年
電通
2005
¥1,559,149
2006
22.8%
¥1,606,759
2007
23.2%
¥1,588,769
2008
22.6%
¥1,499,154
2009
22.4%
¥1,310,582
22.1%
博報堂
705,250
10.3
714,391
10.3
716,975
10.2
705,751
10.5
589,290
10.0
アサツー DK
384,849
5.6
378,804
5.5
387,860
5.5
358,596
5.4
310,971
5.3
大広
145,901
2.1
136,092
2.0
137,947
2.0
138,622
2.1
122,091
2.1
東急エージェンシー
124,656
1.8
123,175
1.8
121,971
1.7
116,387
1.7
98,714
1.7
JR東日本企画
96,203
1.4
101,993
1.5
109,794
1.6
104,159
1.6
91,186
1.5
読売広告社
102,119
1.5
90,522
1.3
98,025
1.4
89,489
1.3
73,994
1.2
朝日広告社
57,000
0.8
57,011
0.8
57,984
0.8
51,578
0.8
42,359
0.7
デルフィス
78,541
1.2
61,447
0.9
60,768
0.9
55,723
0.8
41,526
0.7
電通東日本
44,670
0.7
48,764
0.7
46,607
0.7
39,096
0.6
34,680
0.6
参考:日本の広告費(十億円) ¥
6,823.5 100.0%
¥
6,939.9 100.0%
¥
7,019.1 100.0%
¥
6,692.6 100.0%
¥
5,922.2 100.0%
注:
(1)掲載社名は 2009 年の売上高ランキングに基づく上位 10 社です。(
2)上位 10 社の売上高と、参考として掲載している「日本の広告費」は、集計範囲が異なる部分があります。(
3)%は「日本の
広告費」との比較を参 考として掲載しています。
「 日本の広告費」の推定範囲は 2007 年に改 訂されています。2005 年、2006 年の数値は遡 及して改 訂されています。 ( 4)I&S BBDO、マッキャン
エリクソン、オグルヴィ&メイザー・ジャパン、JW T・ジャパン、グレイワールドワイド、ドラフトエフシービー(旧 FCB ワールドワイド)は 2009 年の売上を発表していません。
出典:2005∼2008 年については、広告経済研究所発行『広告代理業の現勢』
( 2008 年版)、2009 年は『広告と経済』
( 2010 年 2 月 21日発行)、日本の広告費は電通発行『日本の広告費』
( 2009 年版)。
60
国内広告会社上位10 社の 4マスメディア売上高(単体)
(百万円)
2,500,000
2,000,000
1,500,000
1,000,000
500,000
0
2005
2006
2007
2008
2009
● 電通 ● 博報堂 ● アサツー DK ● 大広 ● 東急エージェンシー ● JR 東日本企画 ● 読売広告社 ● 朝日広告社 ● デルフィス ● 電通東日本
4マスメディア
単位:百万円 暦年
電通
2005
¥1,033,490
2006
27.6%
¥1,051,129
2007
28.7%
¥1,011,403
2008
28.3%
¥ 959,619
2009
29.1%
¥ 816,649
28.9%
博報堂
449,362
12.0
457,287
12.5
451,684
12.7
416,504
12.6
356,663
12.6
アサツー DK
240,753
6.4
241,300
6.6
244,976
6.9
220,278
6.7
191,247
6.8
大広
94,595
2.5
90,149
2.5
90,376
2.5
90,338
2.7
81,175
2.9
東急エージェンシー
52,405
1.4
48,585
1.3
47,933
1.3
45,575
1.4
37,602
1.3
JR東日本企画
12,649
0.3
12,291
0.3
15,442
0.4
12,685
0.4
10,202
0.4
読売広告社
55,844
1.5
49,652
1.4
50,293
1.4
44,077
1.3
36,325
1.3
朝日広告社
38,657
1.0
37,607
1.0
36,806
1.0
32,007
1.0
27,393
1.0
デルフィス
35,515
0.9
26,920
0.7
25,153
0.7
21,864
0.7
13,985
0.5
電通東日本
27,490
0.7
29,118
0.8
28,361
0.8
22,872
0.7
19,926
0.7
参考:日本の広告費
(十億円) ¥
3,740.8 100.0%
¥
3,666.8 100.0%
¥
3,569.9 100.0%
¥
3,299.5 100.0%
¥
2,828.2 100.0%
注:
(1)掲載社名は 2009 年の売上高ランキングに基づく上位 10 社です。(
2)上位 10 社の売上高と、参考として掲載している「日本の広告費」は、集計範囲が異なる部分があります。(
3)%は「日本の
広告費」との比較を参 考として掲載しています。
「 日本の広告費」の推定範囲は 2007 年に改 訂されています。2005 年、2006 年の数値は遡 及して改 訂されています。 ( 4)I&S BBDO、マッキャン
エリクソン、オグルヴィ&メイザー・ジャパン、JW T・ジャパン、グレイワールドワイド、ドラフトエフシービー(旧 FCB ワールドワイド)は 2009 年の売上を発表していません。
出典:2005∼2008 年については、広告経済研究所発行『広告代理業の現勢』
( 2008 年版)、2009 年は『広告と経済』
( 2010 年 2 月 21日発行)、日本の広告費は電通発行『日本の広告費』
( 2009 年版)。
61
子会社および関連会社
2010 年 3 月 31日現在
当社は子会社および関連会社とともに事業を展開しています。
2010 年 3月31日現在、当社の連結子会社は122 社、持分法適用関連会社は34社となっています。
議決権の所有割合
所在地
名称
主要な事業の内容
(間接所有割合)
( %)
連結子会社
(株)
電通東日本
日本
100.0
(株)
電通西日本
日本
100.0
中国地区、四国地区および兵庫県、石川県、福井県、富山県における広告業
(株)
電通九州
日本
100.0
九州地区における広告業
(株)
電通北海道
日本
100.0
(株)
電通名鉄コミュニケーションズ(1)
日本
50.0
プロモーションとOOH領域に特色をもつ総合広告業
電通ヤング・アンド・ルビカム
(株)
日本
51.0
電通とヤング・アンド・ルビカム社出資の広告会社
(株)
サイバー・コミュニケーションズ
日本
100.0
(株)
DAサーチ&リンク(3) 日本
55.0
関東地区、東北地区および静岡県、新潟県における広告業
北海道地区における広告業
インターネット広告事業
SEM領域を中心とするインターネット広告事業
(55.0)
(株)
ザ・ゴール
日本
77.8
(株)
電通テック 日本
100.0
販促・イベント・CM・印刷などの企画・制作
(株)
電通クリエーティブX
日本
100.0
クリエーティブコンテンツ制作事業全般
ファッション・アクセサリー関連業界専門の広告業
(100.0)
(株)
電通パブリックリレーションズ
日本
100.0
パブリックリレーションズに関する企画立案と実施
(株)
電通キャスティング アンド
日本
100.0
広告に関するタレントなどのキャスティング業務
エンタテインメント
(株)
電通テーブルメディアコミュニケーションズ 日本
95.0
折り込み広告の企画制作
(95.0)
(株)
電通国際情報サービス
日本
61.9
(株)
電通ファシリティマネジメント(7)
日本
100.0
不動産の運用管理、賃貸、売買・仲介、保険代理業
米国
100.0
米国における持株会社
100.0
米国における広告会社
情報システム構築、各種業務ソフトウエア販売・サポート
(0.0)
Dentsu Holdings USA, Inc.
Dentsu America
LLC(4)
米国
(100.0)
Dentsu mcgarrybowen, LLC
米国
100.0
米国における広告会社
(100.0)
ブラジル
Dentsu Latin America Propaganda Ltda.(5) 100.0
ブラジルにおける広告会社
北京電通広告有限公司
中国
70.0
中国における広告会社
Dentsu
(Thailand)Ltd.
タイ
100.0
タイにおける広告会社
(98.4)
Dentsu Media
(Thailand)Ltd.
タイ
100.0
タイにおけるメディア事業会社(メディア・エージェンシー)
(51.0)
貝立徳股份有限公司
台湾
Dentsu Korea Inc.(6)
韓国
100.0
台湾におけるメディア事業会社(メディア・エージェンシー)
(30.0)
85.0
韓国における広告会社
その他 97 社
62
議決権の所有割合
名称
所在地
主要な事業の内容
(間接所有割合)
( %)
持分法適用関連会社
(株)
アドギア 日本
34.0
アウト・オブ・ホームメディア、店頭プロモーションに特色をもつ広告業
(株)
フロンテッジ
日本
40.0
ブランディングを中核に据えた広告業
日本
34.0
電通とピュブリシス・グループ出資の広告会社
(株)
ビデオリサーチ
日本
34.2
テレビ視聴率調査、ラジオ聴取率調査ほか調査全般
(株)
オプト
日本
35.1
ネット広告を中心とした eマーケティング事業
ビーコンコミュニケーションズ
(株)
(35.1)
(株)
ディーツーコミュニケーションズ
日本
46.0
iモードをはじめとしたモバイル専門の広告業
(10.0)
Publicis Groupe S.A.(2)
DCTP Entwicklungsgesellschaft für
フランス
15.0
グローバルに展開する広告コミュニケーショングループの持株会社
ドイツ
37.5
ドイツにおけるテレビ番組枠販売/番組制作会社
韓国
33.0
韓国における広告会社
TV-Programm mbH
Phoenix Communications Inc.
その他 25 社
注:
(1) 持分は、100 分の50 以下ですが、実質的に支配しているため子会社としています。 (2) 持分は、100 分の20 未満ですが、実質的な影響力を持っているため関連会社としています。 (3) (株)電通サーチ&リンクは 2009 年10月1日付で、
(株)DAサーチ&リンクに社名を変更しました。
(4) Dentsu America, Inc. は 2010 年1月21日付で、Dentsu America LLC に会社形態を変更しました。
(5) Dentsu Latin America Propaganda S/A は 2009 年11月25日付で、Dentsu Latin America Propaganda Ltda. に会社形態を変更しました。
(6) Dentsu InnovaK Inc. は 2009 年12 月22日付で、Dentsu Korea Inc. に社名を変更しました。
(7) (株)電通ファシリティマネジメントは(株)電通ヒューマンリソースとの合併に伴い、2010 年 7月1日付で、
(株)電通ワークスに社名を変更しました。
63
沿革
1901 年
光永星郎、日本広告(株)、電報通信社を創立
1906 年
電報通信社を改組、
(株)日本電報通信社を創立
2003 年 (株)電通東日本、
(株)アド電通東京、
(株)
電通東北の3 社を合併し、
(株)
電通東日本とする
ジェネオン エンタテインメント(株)、
1907 年 (株)日本電報通信社、日本広告(株)を合併、
Geneon Entertainment(USA)Inc. を子会社化
通信と広告を併営
1936 年
2004 年 (株)電通北海道と(株)アド電通(北海道)を合併、
通信部門を同盟通信社(現・共同通信社、
(株)電通北海道とする
時事通信社)に移譲、広告専業となる
電通カイエン・ホールディングスを設立
1943 年
広告代理業整備で16 社吸収 東京、大阪、
1947 年
吉田秀雄、第 4 代社長に就任 広告電通賞制定
1949 年
学生広告論文電通賞制定
1951 年
民間ラジオ放送開始 本社にラジオ局新設
(株)電通東日本と(株)電通 EYE が合併、
1953 年
民間テレビ放送開始 本社、大阪支社に
(株)電通東日本とする
1955 年
社名を(株)電通と改める
1967 年
東京本社、築地に新社屋完成
1974 年
米『アドバタイジング・エージ』誌、1973 年の
2005 年
名古屋、九州に本拠を置く
「ISMS 認証基準」のグループ認証を取得
国内全事業所で ISO14001(2004 年版)認証を取得
2006 年 (株)電通テックを完全子会社化
ラジオテレビ局新設
(これに伴い、上場廃止)
2007 年
米・ヤング・アンド・ルビカム社と提携
1984 年
米・ヤング・アンド・ルビカム社と
1988 年
2007年 3月期 売上高 2 兆円達成
髙嶋達佳、第11代社長に就任
(株)オプト(現持分法適用関連会社)との
取扱高で電通が初の世界第1位と発表
1981 年
情報セキュリティ規格「BS7799」および
資本・業務提携の強化に基本合意
2008 年
約 600 億円の自己株式を取得
国際営業ネットワーク「DYR」を設立
電通ホールディングスUSA が
International Agency of the Year 賞受賞
米・マクギャリー・ボウエン社を買収
電通スマートを設立
(米『アドバタイジング・エージ』誌)
2009 年
株券の電子化に伴い、
(株)電通の
1989 年
1989 年 3月期 売上高1兆円達成
1993 年
成田 豊、第 9 代社長に就任
1995 年
地域電通 5 社を設立
(株)サイバー・コミュニケーションズを完全子会社化
日中広告教育交流プロジェクトスタート
(これに伴い、上場廃止)
1996 年
普通株式を分割(1:100)
電通グループの新中期経営計画を発表
(株)電通アクティス(東京)と他のグループ 3 社を
2010 年
合併し、
(株)電通テックとする
中国・サントレンドグループと資本・業務提携
(株)サイバー・コミュニケーションズを設立
電通ホールディングスUSA が
1997 年 (株)電通テックが店頭市場
米・イノベーション・インタラクティブ社を買収
(現・ジャスダック証券取引所)へ株式上場
2000 年
電通ネットワーク・ウエストを発足
ビーコムスリーグループへ資本参加
(株)サイバー・コミュニケーションズが
大証ナスダック・ジャパン市場へ株式上場
(その後、2003 年に東証マザーズ市場に上場)
(株)電通国際情報サービスが東証一部へ株式上場
2001 年
創立100 周年 東証一部へ株式上場
2002 年
俣木盾夫、第10 代社長に就任
電通デジタル・ホールディングスを設立
ビーコムスリーグループ、ピュブリシスと統合
ピュブリシスグループに資本参加
汐留本社ビル竣工
64
取締役、監査役および執行役員
2010 年 6 月29 日現在
執行役員
代表取締役
髙嶋 達佳
*
樋口 文雄
森 健
中原 博
取締役
森 隆一
*
杉本 晶
石井 直*
松下 康
秋山 創一
*
橘 益夫
三浦 武彦
*
木沢 裕一
新山 迪雄*
杉山 恒太郎
中本 祥一 *
内海 朋基
*
岩上 和道
*
松島 訓弘
ティム・アンドレー
白土 謙二
登内 昭
社外取締役
志村 薫
石川 聰
谷 尚樹
中田 正博
加藤 讓
秋山 隆平
常勤監査役
阿波 典久
松田 公春
髙田 佳夫
鶴田 友晴
平野 透
田中 信治朗
監査役
小宮 源太郎
根來 泰周
遠山 敦子
安部 修武
*は執行役員を兼務
65
投資家情報
2010 年 3 月 31日現在
本社所在地
所有者別株式分布状況
〒105-7001 東京都港区東新橋 1-8-1
株主数(名)
電話:03-6216-5111(代表)
政府・地方公共団体
構成比
(%)
1
30,800
0.01
金融機関
90
66,701,240
23.98
金融商品取引業者
30
6,473,070
2.33
647
83,632,763
30.06
1
29,026,278
10.43
46,038
61,216,783
22.01
384
31,103,066
11.18
47,191
278,184,000
100.00
インベスター・リレーションズ担当
その他の国内法人
コーポレート・コミュニケーション局 IR 部
自己株式
〒105-7001 東京都港区東新橋 1-8-1
個人・その他
電話:03-6216-8015
外国法人等
E-mail:[email protected]
株式数
(株)
(外国個人含む)
合計
上場証券取引所
東京証券取引所市場第一部(証券コード:4324)
大株主上位10名
株主名
所有株式数(株)
比率
(%)
社団法人共同通信社
20,488,800
7.37
発行済株式総数
株式会社時事通信社
19,748,680
7.10
278,184,000 株
日本マスタートラスト
13,810,900
4.96
11,328,880
4.07
9,120,200
3.28
電通グループ従業員持株会
8,365,678
3.01
信託銀行株式会社(信託口)
株式会社みずほコーポレート銀行
定時株主総会
日本トラスティ・サービス
毎年 6 月東京にて開催
信託銀行株式会社(信託口)
財団法人吉田秀雄記念事業財団
4,984,808
1.79
株主名簿管理人
株式会社リクルート
4,929,900
1.77
三菱 UFJ 信託銀行株式会社
株式会社 TBSテレビ
4,000,000
1.44
〒100-8212 東京都千代田区丸の内一丁目 4 番 5 号
日本生命保険相互会社
3,873,700
1.39
※上記のほか、
当社は29,026,278株、
発行済株式総数に対し、
10.43%の自己株式を保有しています。
ホームページアドレス
http://www.dentsu.co.jp
66
67
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