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複数プロジェクタを用いた 全周球面没入型ディスプレイの開発 複数
複数プロジェクタを用いた 複数プロジェクタを用いた 全周球面没入型ディスプレイの開発 全周球面没入型ディスプレイの開発 理工学研究科 2年 林 隆伯 主任指導教員:岩田洋夫 研究の背景 人間を取り囲むようにスクリーンを配置し、そこにビデオプロジェクタで映像を 投影する映像呈示装置 IPD (Immersive Projection Display、空間没入型ディスプレイ) IPDの例 背面投射・箱型 : CAVE、CABIN、COSMOS 前面投射・球形 : Vision Station(半球、専用レンズ使用) Cyber Dome (半球、ソフトウェア歪み補正) 発光型・円筒形 : TWISTER(LEDアレイが高速回転) Ensphered Vision Ensphered Visionの特徴 全球スクリーン(樽型) 水平360°全てに投影可能 (液晶シャッタ眼鏡による全周立体視も可能) 前面投射でコンパクト 特殊レンズ不要 (ソフトウェア歪み補正) 球形なので視点を球の中心とした場合、スクリーンまでの 距離が一定となり違和感を生じにくい Ensphered Visionの原理 プロジェクタ入力画像 (歪み補正後の映像) 球面スクリーン投影映像 研究の目的 Ensphered Visionの欠点 解像度が低い 全光量が少ないため暗い 色の表現幅が狭い 解決策 プロジェクタ台数を増やし、解像度と光量の問題を改善する 性能を測定・評価し、EVにあった色調補正を模索する 新型EV - HREV 新しく開発した高解像度版EV ー Hi-Resolution Ensphered Vision (HREV) 内径1.4m 試作機 内径2.0m 立体視可能なタイプ プロジェクタ台数の決定 ディスプレイ全体のプロジェクタ画像領域の使用率が同じならば、 解像度は単純に使用プロジェクタ台数分だけ倍になる → 設置スペースと領域使用効率を考慮し、3台で全周を投影する さらに立体視のため3台を片眼1組分とし、計6台を用いる 配置設計 プロジェクタから投射された光線をプロジェクタ→平面 鏡→凸面鏡→球面スクリーンへと光線追跡し、要求す る範囲に映像が投影されるかシミュレートする 新たな問題点 凸面鏡とプロジェクタの干渉 平面鏡同士の干渉 プロジェクタによる凸面鏡からの光線の遮断 平面鏡による凸面鏡からの光線の遮断 設定するパラメータの数が増えた→設計にかかる時間が増大 干渉チェック シミュレータでの設計 【プロジェクタ】 ・日立CP-SX5600J (3CCD、SXGA) 【凸面鏡】 ・曲率半径512[mm] 【スクリーン内径】 ・2000[mm] 【投影範囲】 ・水平130° ・仰角55°、俯角50° 【補正後の入力画像】 ・領域使用率:49.5[%] プロジェクタ架台 平行移動、回転の微調整可能 調整後はボルトネジによってしっかりと固定される メカニカルシャッター タイミングベルトによって、 3組のプロジェクタ映像切り替えを同期させる さらにこれと液晶シャッタ眼鏡を同期させ、左眼・右眼 にそれぞれの映像を呈示。視差を出す。 モータを高速回転させれば チラツキはなくなる 回転シャッターの動作の様子 ソフトウェア歪み補正(1) 2-passレンダリングによる歪み補正 360 [degree] 1024 [pixel] 105 [degree] 3072 [pixel] ① 視体積を分割してテクスチャバッファへレンダリング ソフトウェア歪み補正(2) 2-passレンダリングによる歪み補正 360 [degree] 1024 [pixel] 105 [degree] 3072 [pixel] ② 各緯度経度に対応する点をテクスチャ切り出し点とする ① 視体積を分割してテクスチャバッファへレンダリング ソフトウェア歪み補正(3) 2-passレンダリングによる歪み補正 (matrox Parheliaビデオカードにより3画面出力を可能としている) 1024 [pixel] 3840 [pixel] ③ スクリーン上で正しく投影される位置に貼り付ける *各扇形1つがプロジェクタ1台に入力される ブレンディング 繋ぎ目が発生するので、扇形の両端各経度10°分を スクリーン上で重ね合わせて、描画の際にブレンディングを行う + ブレンディング用マスク 歪み補正後の画像 ブレンディングなし 最終的な出力画像(扇形1つ分) ブレンディングあり システム構成 投影の様子 性能評価(1) プロジェクタ入力画像上での領域使用率と有効画素数 従来EV: 約42% 、 約55万ピクセル HREV : 約49% 、 約200万ピクセル →解像度は約3.5倍 SXGA SXGA 1台のみで360度 従来EV ×3台分で360度 HREV 性能評価(2) スクリーン上での1画素の大きさ 従来EV:最小5mm∼最大17mm HREV :最小2mm∼最大3mm 2mm スクリーンに投影された Windowsのタスクバーの一部を撮影 投影映像比較 オリジナル画像(2000x1000) 従来EV HREV試作機 StereoHREV 内部相互反射 EVではスクリーン内部で投影光の相互反射が生じる。 その結果、映像のコントラストが落ちる。 ラジオシティでシミュレートすることもできるが、完全にはモデル化 できない。 そこでまず反射の影響を実測する。 相互反射の測定 緯度経度10°ごとに輝度100%の四角を投影。 そのときの反射の様子を全方位カメラで撮影し、スクリーン全体において各ピ クセル値を測定する ←前面黒投影の撮影画像 ←反射測定パターン投影時 ←上2つの差分画像+メディアンフィルタ 相互反射の測定結果 緯度別のスクリーン反面への反射の影響 緯度別のスクリーン全体への反射の影響 12 投影緯度 10 8 6 -20∼-30度 0∼-10度 投影緯度 20∼10度 -3 -4 0∼ -5 0∼ 0度 - 2 -4 0 0∼ 度 -3 -1 0 0∼ 度 -2 0∼ 0度 -1 0 10 度 ∼ 2 0 0度 ∼ 1 3 0 0度 ∼ 2 4 0 0度 ∼ 3 5 0 0度 ∼ 4 5 5 0度 ∼ 50 度 0 高緯度の投影光が スクリーン全体に強く影響 40∼30度 2 55∼50度 4 -40∼-50度 スクリーン全体での平均画素値 14 55∼50度 50∼40度 40∼30度 高緯度の投影光が 30∼20度 30∼20度 10∼0度 0∼-10度 -10∼-20度 -20∼-30度 -30∼-40度 -40∼-50度 反面での測定緯度 低緯度へ影響 反面での測 定画素値 15-20 10-15 5-10 0-5 →高輝度値である 空 がある風景などでは、 見たい建物などがある低緯度への反射の影響が甚だしい 反射抑制 測定結果をもとに、反射の幾何関係のみを考慮した反射抑制マスクを作成 →インタラクティブなコンテンツにも応用できる 反射抑制マスク (反射の影響を強く及ぼす 緯度部分ほど、輝度が下がる) まとめ まとめ Ensphered Visionの投影領域あたりのプロジェクタ台 数を増やしたHREVを開発し、 解像度が改善されたことを確認した。 特性を測定し、内部反射抑制などのソフトウェアによ る色調補正を行った。またそれが有効であることを確 認した。 今後の課題 高解像度実写映像による立体視 歪み補正キャリブレーションの簡易化など メンテナンス性の改善 プロジェクタ数の決定 プロジェクタ3台で全周を投影するとピクセル使用効率が良い 70 60 35 30 50 40 25 20 30 20 15 10 10 0 5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 プロジェクタ台数 [10万ピクセル] [%] プロジェクタ台数の違いによる変化 全使用領域率 全有効画素数 照度分布 照度分布 従来EV: 20∼35[lx] HREV : 50∼180[lx] 試作機の性能 明るさの違い 従来EV HREV 試作機の性能 相互反射による影響 試作機の性能 階調特性 試作機の性能 補正値の算出 試作機の性能 階調補正 試作機の性能 自然画での階調補正(輝度情報のみ) StereoHREVデータ ハードウェア プロジェクタ: 日立CP-SX5600J(3CCD、SXGA) 計6台 スクリーン: FRP製、内径2.0[m]、中心高1.7[m]、仰角55°、俯角-55°、120°ごとに3分割される 反射鏡: 平面鏡 - 直径400[mm]、凸面鏡 – 曲率半径512[mm]、厚さ100[mm] 投影範囲 ディスプレイ全体: 水平360°、仰角55°、俯角-55° 1プロジェクタ分: 水平130°(ブレンディング部両端経度10°ずつ含む)、垂直105° 左眼・右眼プロジェクタの投影位置のずれ: 経度30°分 プロジェクタ入力画像 全体: 全有効画素数約1930000[pixel]、全領域使用率約49[%] 1プロジェクタ分:縦560[pixel]、 横1885[pixel](緯度55°部) 1170[pixel](赤道部) 520[pixel](緯度-50°部) 投影時 結像状態: 俯角部2[mm]→仰角部3[mm] 視力換算: 1[pixel]が緯度0.1875°分に相当 → 視力0.0925 凸面鏡による焦点深度の変化 代替画像での反射抑制 ←オリジナル画像 ←反射抑制なし ←反射抑制あり 反射抑制評価 代替画像での反射抑制評価 【全体輝度値】 抑制なし:106 抑制あり:113