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大豆の生育期土壌処理除草剤による雑草防除
大豆の生育期土壌処理除草剤による雑草防除 大豆栽培における除草作業は、雑草の発生状況に応じて、耕起前の茎葉処理除草剤散 布、播種後の土壌処理除草剤散布、生育期の中耕培土作業や茎葉処理除草剤散布、生育 期・収穫期の手取り除草という流れで行われています。 生育期の除草対策として重要な中耕培土作業は、適期に2回の実施が基本です。しか しながら梅雨下での作業であり、実施時期の遅れや作業精度の低下により十分な除草効 果が得られず、茎葉処理剤の散布を併用する場合も多いのが実態です。 近年登録された生育期土壌処理除草剤は、処理後の一定期間、新たな雑草の発生を抑 制し、剤によっては生育の小さな雑草を枯殺します。使用方法は畦間処理あるいは畦 間・株間処理で、各種散布装置が市販されています(図1、2、3)。 降雨や作付規模等から中耕培土作業の適期の2回実施が困難な場合、生育期に土壌処 理除草剤散布作業と中耕培土作業と組み合せた1回の同時作業で、より計画的な雑草防 除が期待できます(図2、3、4) 。 図1 吊り下げノズルによる除草剤散布 図2 トラクター除草剤散布装置による中耕培土(中耕ディスク)同時除草剤散布 図3 薬剤散布機による中耕培土同時除草剤散布 【基本的な 基本的な除草体系の 除草体系のイメージ】 イメージ】 【中耕培土・ 中耕培土・生育期土壌処理除草剤散布同時作業を 生育期土壌処理除草剤散布同時作業を用いた除草体系 いた除草体系のイメージ】 イメージ】 図4 生育前半の除草作業体系のイメージ ○生育期土壌処理除草剤の種類と選択 現在、登録のある生育期土壌処理除草剤は、トレファノサイド乳剤・トレファノサイ ド粒剤、ロロックスです(表1)。トレファノサイド乳剤・粒剤は主にイネ科雑草に効 果がありますが、雑草の発芽前でないと効果は大きく低下します。処理時期は生育期で、 大豆の葉齢による制限がありません(但し、収穫 45 日前まで)。ロロックスは広葉雑草 に効果があり、草丈 15cm 以下のものにも効果があります。但し、イネ科雑草には効果 が低い他、広葉雑草でも効果の低い草種があります。処理時期は、大豆3葉期以降です (但し、収穫 30 日前まで)。なお、除草剤の選択に当たっては、 ①雑草の種類及び生 育状況、②大豆の生育状況から判断します。なお、雑草の発生状況によっては茎葉処理 剤の併用も考慮して下さい。 表1 大豆生育期処理除草剤 剤の区分 対象雑草 茎葉処理剤 一年生イネ科 一年生広葉 使用方法 土壌処理 一年生雑草 一年生雑草 一年生雑草 (主にイネ科) (主に広葉) 畦間処理 畦間・株間処理 雑草茎葉散布 雑草茎葉散布 畦間処理 (全面散布) (全面散布) 除草効果・持続 処理時に生育 処理時に生育 処理時に生育 散布後一定期 性 中の雑草を枯 中の雑草を枯 中の雑草を枯 間効果持続(処 理時に 生育中 殺 殺 殺 の 雑草に は効 果が 期待でき ない) 主な除草剤 ナブ゙乳剤、ポルト 大豆バサグラン液 バスタ液剤、ラウン トレファノサイド乳 フロアブルなど 剤 ドアップマックスロー 剤、トレファノサイト ドなど 粒剤 使用時期 (雑草発生前) 剤によって効 大豆2葉期~ - (使用時期は 果のあるイネ科 開花期(雑草の 収穫前日数も 雑草の葉齢が 生 育 初 期 ~ 6 厳守) 異なる。 葉期) 除草効果につ 適用雑草とし 一部除草効果 剤により一部 適用雑草とし いての留意点 てスズメノカ の劣る草種が 除草効果の劣 てツユクサ、カ ある る草種がある タビラを除く ヤツリグサ、キ ク・アブラナ科 を除く 散布後一定期 間効果持続+ 処理時に生育 中の雑草を枯 殺 ロロックス 大豆3葉期以 降(雑草草丈15 cm以下) 一部除草効果 の劣る草種が ある 注)農薬は H23.4.25 現在の登録状況 ○留意点 ・ロロックスの畦間・株間処理では、薬液が大豆の本葉にかからないよう調整してく ださい。また、薬液が大豆の成長点にかかると枯死するので十分注意しましょう。 ・除草剤の使用に際しては、登録内容を遵守するとともに、周辺の作物に飛散しない よう十分注意してください。 ・大豆が湿害などにより生育不良になると、大豆による遮光が不十分となり雑草が多 発するため、大豆の生育量を十分確保できるよう適切な栽培管理を行うことが重要 です。 【経営普及課専門技術指導担当 岩津 雅和】