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米住宅価格の上昇持続 - ニッセイ基礎研究所
ニッセイ基礎研究所 No.12-155 30 Jan.2013 米住宅価格の上昇持続 ~11月前月比は10ヵ月連続の上昇 主任研究員 土肥原 晋 TEL:03-3512-1835 E-mail: [email protected] 経済調査部門 11 月ケース・シラー20 都市指数は、季節調整後では前月比 0.6%と 10 ヵ月連続で上昇、前年 比でも 5.5%と伸びを高めた。一方、11 月FHFA月例指数は前月比 0.6%、前年比 5.6%と上昇、 前月・前年比とも 10 ヵ月連続の上昇を見せた。季節的に住宅需要期を過ぎているものの、その他 の住宅関連指標も概ね高水準を維持、販売在庫も減少するなど住宅価格の上昇は持続的と思われる。 1、ケース・シラー指数~前月比は 10 ヵ月、前年比では6ヵ月連続の上昇 S&P社が 1/29 発表した 11 月ケース・シラー20 都市住宅価格指数(季節調整後:SA)は、 前月比 0.6%と市場予想と一致した。10 ヵ月連続の上昇となるが、これは 2006 年4月以来であり、 住宅ブームが終わってからは初めてとなる。 ただ、“季節調整前(NSA)”の値では同▲0.1%と連月 の下落、季節的な需要期が過ぎたこの時期では例年のこととなる。なお、前年比(NSA)では 5.5% と 2006 年 8 月(5.7%)以来の伸びとなり、10 月(4.2%)から伸びを高めた。10 都市指数でも前 月比 0.5%(SA、10 月 0.5%) 、前年比 4.5%(NSA 、10 月 3.3%)と上昇している。 20 都市中、前月比(SA)で下落したのはニューヨーク(同▲0.3%)のみで、上昇が大きかったの は、サンフランシスコ(2.5%)、ミネアポリス(1.9%)、アトランタ(1.6%)となる。前年比では 19 都市が上昇、 フェニックス(22.8%)が突出しているが、サンフランシスコ(12.7%)、デトロイト(11.9%)、ミネアポリス (図表1) ケース・シラー20 都市指数の推移① 20 (図表2) ケース・シラー20 都市指数の推移② 2.0 220 (%) (%) 前月比(SA:右目盛) 15 ピーク(2006/7、206.52) 1.5 200 前年同月比(左目盛) 10 1.0 5 0.5 0 0.0 ピークからの下落率 (▲29.4%) 180 ▲5 ▲ 0.5 ▲ 10 ▲ 1.0 ▲ 15 ▲ 1.5 160 140 120 (▲2.0%、2009/01) ▲ 20 ▲ 2.0 2004/01 2006/01 (資料)S&P 社 1| 2008/01 2010/01 2012/01 100 2000/01 2002/01 2004/01 2006/01 (資料)S&P 社 |経済・金融フラッシュ No.12-155|Copyright ©2013 NLI Research Institute All rights reserved 2008/01 2010/01 2012/01 (11.1%)、ラスベガス(10.0%)等でも二桁の上昇を見せた。なお、前年比の下落もニューヨーク(▲1.2%) のみだった。また、2006 年央の住宅価格ピーク時から 10 月までの下落率(NSA)は 20 都市指数で ▲29.4%と、これまで最大となる 2012 年3月の下落率(▲35.1%)から縮小、11 月 20 都市指数の水 準は、住宅ブーム以前との比較では 2003 年8月と同程度だった。都市別でピークからの下落率が 大きいのはラスベガス(▲57.2%)、マイアミ(▲46.2%)、フェニックス(▲45.4%)等で、ピークからの下 落率の最小はデンバー(▲4.1%)だった。なお、発表元のS&P社のコメントは以下の通り。 「冬季の住宅価格には季節的な弱さが見られ、季節調整前では 10 都市が前月から下落、20 都 市指数も前月比▲0.1%と下落した。ただ、前月よりも下落した都市数が減少、前年比では 19 都市 で上昇、20 都市指数も 5.5%と高い伸びを見せ、季節調整後の前月比も上昇するなど、住宅価格の 改善は続いている。地域的には、南西部のラスベガスやフェニックスが強い戻りを見せている。サ ンベルトも回復過程を主導している。住宅販売も高水準であり、住宅市場が回復に向かっているの は間違いない。今後は景気の押し上げに寄与するだろう」 (注:同社では季節調整前指数を優先指標と して用いている)。 2、FHFA 月例指数でも、10 ヵ月連続の上昇 FHFA (連邦住宅金融局)1/23 発表の 11 月の月例住宅価格指数(FHFA Monthly HPI、SA)は 前月比 0.6%と市場予想(0.7%)を下回ったものの、前年比では 5.6%(前月は 5.5%)と伸びを高めた。 前月比・前年比とも 10 ヵ月連続の上昇となり、連続上昇期間は、前月比では 2006 年5月、前年 比では 2007 年7月以来となる。 全米を9地域に分けた地域別住宅価格指数の前月比では、山間部が 2.1%、太平洋岸地域が 1.7%等、7地域で上昇した一方、内陸部北東地域の▲1.0%等2地域で下落した。前年比では山間 部が 14.8%と高く、太平洋岸地域が 11.1%、大西洋岸南部地域が 7.0%となるなど全ての地域で上 昇、伸び率が最も低かったのは大西洋岸中部地域(0.5%)だった。上昇力の弱い地域も見られる が、全般的に住宅価格は上昇傾向を強めており、全米へと広がりを見せている。 (図表3) FHFA 月例 HPI の推移(%) (図表4) FHFA 地域別 HPI の推移(%) 12 2.4 (%) (%) 8 1.6 4 0.8 0 0.0 12 300 全米指数 太平洋岸地域 内陸部南西地域 ニューイングランド 住宅ローン金利(右目盛) 250 (%) 11 全米指数 (1991/1=100) 10 9 8 200 7 6 150 ▲ 0.8 ▲4 5 全米(前月比、SA、右目盛) 全米(前年比) ▲ 1.6 ▲8 住宅ローン金利 (右目盛、%) 100 4 3 ▲ 12 2003/1 (資料)FHFA ▲ 2.4 2006/1 2009/1 2012/1 50 2 1991/1/1 1996/1/1 2001/1/1 2006/1/1 2011/1 (資料)FHFA (お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情 報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。 2| |経済・金融フラッシュ No.12-155|Copyright ©2013 NLI Research Institute All rights reserved