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目 次 - 岡山県立大学

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目 次 - 岡山県立大学
目
次
□
社会貢献年報2007の発刊に当たって
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
1
本学における社会貢献活動の体制
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
1.1
概要
1.2
社会貢献体制および教育研究体制の整備に関する経緯
1.3
産学官連携推進センターにおける領域・研究プロジェクトの設置
1.4
社会貢献の内容
2
5
・・
6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
7
地域共同研究機構
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
9
2 .0 - 1
概要
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
10
2 .0 - 2
主な業務内容
2 .0 - 3
共同研究の手順
2 .1
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
11
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
12
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
13
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
14
産学官連携推進センター
2 .1 - 1
概要
2 .1 - 2
領域・研究プロジェクト活動
2 .1 - 3
企業と連携した研究活動
2 .1 - 4
ア ク テ ィ ブ・ラ ボ( 出 前 研 究 室 )
2 .1 - 5
O P U フ ォ ー ラ ム 2007
2 .1 - 6
学外組織との連携・協働活動
2 .1 - 7
学内外に向けた広報活動
2 .1 - 8
現状及び今後の課題
2 .2
2 .2 - 2
概要
14
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
18
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
27
32
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
39
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
43
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
45
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
第 6 回晴れの国鬼ノ城シンポジウム
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
46
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
51
2 .2 - 3
各種研究会活動
2 .2 - 4
保育ステップアップ講座
2 .2 - 5
健康スポーツ支援
2 .2 - 6
講師派遣
2 .2 - 7
現状と今後の課題
2 .3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
保健福祉推進センター
2 .2 - 1
3
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
78
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
80
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
83
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
85
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
86
メディアコミュニケーション推進センター
2 .3 - 1
概要
2 .2 - 2
活動の実績
2 .3 - 3
現状および今後の課題
附属図書館
84
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
87
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 101
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102
3 .1
概要
3 .2
地域貢献
附属図書館の公開
3 .2 - 2
学外利用者への図書利用カード発行
3 .2 - 3
閉館時間の延長
3 .2 - 4
データベース講習会
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103
岡山県立図書館ネットワークへの参加
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
岡山県図書館横断検索システムへの参加
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
3 .3 - 2
岡山県図書間相互貸借システムへの参加
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
3 .3 - 3
図書館資料搬送実施施設指定館となる
3 .3 - 4
インターネット予約貸出受取館指定館となる
語学センター
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
・・・・・・・・・・・・・・ 105
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 105
現状及び今後の課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 107
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108
4 .1
概要
4 .2
地域社会への発信
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108
4 .2 - 1
CALL教室の充実
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 108
4 .2 - 2
ホームページの公開
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109
4 .2 - 3
TOEIC
4 .3
地域貢献
IPテスト
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109
4 .3 - 1
名作映画鑑賞会
4 .3 - 2
国際教養講座
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 109
現状及び今後の課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 112
4 .4
6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 103
3 .3 - 1
3.4
5
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102
3 .2 - 1
3 .3
4
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102
高 大 連 携 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
5 .1
概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114
5 .2
連携講座・出前講座
5 .3
高大の意見交換
5 .4
現状及び今後の課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 114
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 115
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116
情報及び知識の地域への発信
6 .1
公 開 講 座 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 118
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 118
6 .1 - 1
概要
6 .1 - 2
日程等
6 .1 - 3
実施状況
6 .1 - 4
今後に向けて
6 .2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117
全学講義
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 118
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 119
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 126
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 127
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 127
6 .2 - 1
概要
6 .2 - 2
今後のあり方について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 128
6 .3
地域における大学間連携活動
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 129
6 .4
アクティブキャンパス
7
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 131
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 131
6 .4 - 1
概要
6 .4 - 2
開催状況
6 .4 - 3
今後の課題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 131
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 133
国 際 交 流 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 135
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 136
7 .1
概要
7 .2
留学生の受け入れ状況
7 .3
国際共同研究の企画
7 .4
岡山県立大学と韓国又松大学校との合同研究セミナー
7 .5
今 後 の 展 望・課 題
8
行政との協働
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 136
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 137
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 146
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
8.1
IT ネ ッ ト ワ ー カ ー 養 成 講 座
8 .2
総社市との包括協定
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 152
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 152
8 .2 - 1
概要
8 .2 - 2
調印式
8 .2 - 3
今後について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 152
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 152
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153
各種委員の応嘱
8 .4
講師派遣
8 .5
非 常 勤 医 師 、非 常 勤 講 師 及 び 役 員 の 派 遣
編集後記
147
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 148
8 .3
□
・・・・・・・・・・・・ 139
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 153
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 155
社会貢献年報 2007 の発刊にあたって
学長 三宮信夫
本学は、平成 19 年 4 月 1 日より地方独立行政法人制度を導入して、開学 14 年目で
新たな出発点に立ちました。
現在全国の大学は、
少子化とグローバル化の波を受けて、
大学間競争の渦中にあります。本学は法人化を契機に、時代の変化と社会の多様なニ
ーズを敏感に受け止め、それを教育・研究活動に反映しかつその成果を地域貢献に寄
与させる体制を整えています。
地域貢献活動を全学横断的に取組む組織として、平成 17 年 10 月に地域共同研究機
構を設置し、その内部に、産学官連携推進センター、保健福祉推進センターおよびメ
ディアコミュニケーション推進センターを設けました。各センターはそれぞれ所掌分
野に応じて学外に向けた窓口を形成し、主体的に活動しながら相互に連携をとり、全
学の活動としての統合が図られています。
また、これらの組織の活動を含み、本学の学外に対する諸活動を恒常的に審議し決
定する組織として、社会活動委員会があります。同委員会では学長を委員長として、
地域貢献、外部資金獲得などの本学の重要施策を迅速かつ的確に処理しています。
一方、本学の研究成果や構想を展示紹介する企画として、「OPU フォーラム 2007」
が平成 19 年 5 月 29 日(開学記念日)に開催されました。OPU フォーラムは今回で 3
回目となりますが、今年度は、法人化の旗揚げと位置づけ、盛大に実施しました。こ
れにより社会貢献に益々力を入れる本学の姿勢を広く地域社会の方々に知っていただ
けたのではないかと思います。
社会貢献としては、上に述べた地域共同研究機構の活動の他に、語学センター及び
附属図書館による諸活動、高大連携や国際交流活動の拡大もめざしています。
これからも地域に貢献する大学として、いっそう社会貢献活動を強化していきたい
と考えますので、皆様のご支援・ご協力をお願いする次第です。
2008 年 3 月
1 本学における社会貢献活動の体制
1.1 概要
「人間尊重と福祉の増進」を基本理念に据え平成5年に開学した本学は、
「実証的な
立場から社会への貢献をめざす学問」
、すなわち、
「実学」を教育研究活動の対象とし
ている。平成 19 年 4 月の地方独立行政法人制度の導入を機に、
「人間・社会・自然の
関係性を重視する実学を創造し、地域に貢献する」ことを基本理念に据え、従来に増
して、本学で培われた教育研究成果を社会に積極的に還元してゆくという姿勢を明確
に示した。
公立大学として設置された本学は「目に見える社会貢献」を実行するために、大学
院設置が一段落した平成 12 年度以降、社会貢献体制の整備充実に努力を重ねた。その
概要を教育研究体制の整備と併せて表1に示す。社会貢献体制を見ると、地域産業の
課題解決に向けた研究を推進する連携組織として共同研究機構(改組後は、産学官連
携推進センター)を平成 12 年度に、メディア技術による地域貢献をめざすメディアコ
ミュニケーション支援センター(現在のメディアコミュニケーション推進センター)
と保健福祉の専門家を育成する保健福祉支援センター
(現在の保健福祉推進センター)
を平成 14 年度に発足させた。さらに、本学の研究成果の発信と社会貢献のための出先
機関であるサテライトキャンパスを、3 年間の新規事業として、平成 15 年度に JR 岡
山駅前に設置した。平成 18 年7月末にその計画は終了し、サテライトとしての駅前拠
点は廃止したが、その後は県下各組織・施設からの要請に応える移動型の情報発信基
地(アクティブ・キャンパス)として能動的社会貢献活動を推進している。
上述の社会貢献に関する施策はそれぞれの分野で成果を挙げた。しかし、高等教育
機関の社会貢献に関する国の政策は近年大きな変貌を遂げている。たとえば、国立大
学の独立行政法人化、大学 TLO 制度の発足がその例である。これらの環境の変化に対
応し、本学においても社会貢献に対する体制を変革していく必要があった。
以下、活動のポイントを大学の社会貢献活動の 2 つの指標、
「研究活動による社会
貢献」と「教育活動による社会貢献」の視点で述べてみたい。
まず、
「研究活動による社会貢献」の視点であるが、前述の機構・センターによる組
織単位の取組みが主体で、個々の貢献活動の間に有機的な連携が不足していた。大学
改革の重要課題でもあるこれらに対応し、平成 17 年度、地域共同研究機構を新設し、
その内部に産学官連携推進センター、メディアコミュニケーション推進センター、保
健福祉推進センターを設置統合した。これより、各センターは独立した主体活動と同
時に「OPU フォーラム」等、連携して全学的な社会貢献活動が容易に行えるようにな
った。
産学官連携推進センターにおいては、昨年度、本来学際的な「実学」の推進と社会
の開発現場対応型の体制づくりをねらいとした新たな研究分野「領域」を設置し、学
部横断的教員メンバーによる研究を活発に実施して、社会のニーズに応える体制を整
備し、今年度は、
「領域」及び研究プロジェクトも増加し、産学官による共同研究組織
の設立、共同研究の成立という実績をあげている。
次に、
「教育活動による社会貢献」の視点であるが、主たる組織的活動としては、附
属図書館及び語学センターによるものがある。これらの組織は情報や施設を開学以来
積極的に地域住民に開放し、地域貢献を地道に行ってきている。加えて来年度は、全
学教育研究機構のもとに「健康・スポーツ推進センター」を設置する予定である。こ
れにより、本学スポーツ施設の有効利用などを促進していく。また、本学は、公開講
座・全学講義、高大連携活動、国際交流にも力を入れており、これらの教育活動を通
じて社会貢献活動を行っている。さらに、本学の教員は地域社会から依頼された各種
委員や講師としても、地域社会の問題に意欲的に取り組み、地域行政にも積極的に協
力している。本年度末(平成 20 年 2 月)には、本学は総社市の恊働のまちづくりのパ
ートナーとして一層の連携強化を図るため包括協定を締結した。これまでの点と点の
個別の取組みから、組織的な地域貢献の段階に入った。大学一丸となった地域貢献が
求められる時代への対応である。
本学にとって、社会貢献活動はまさに重点分野の 1 つである。教育・研究活動と連
携した戦略を基に、地域から常に期待され続ける力強い社会貢献活動を実施できるよ
う努力したい。
1.2 社会貢献体制および教育研究体制の整備に関する経緯
本学の開学以来の社会貢献体制および教育研究体制の整備の経過をまとめると表 1
のとおりである。
表1 社会貢献体制及び教育研究体制の整備に関する経緯
年度
社会貢献体制・施設の整備
教育研究体制の整備
平成 5 年度
開学
平成 9 年度
大学院保健福祉学研究科、情報系
工学研究科設置
平成 10 年度
大学院デザイン学研究科設置
平成 11 年度
大学院情報系工学研究科博士後期
課程設置
平成 12 年度
共同研究機構設置
平成 14 年度
保健福祉支援センターおよびメ
ディアコミュニケーション支援
センター設置
平成 15 年度
サテライトキャンパス設置
平成 17 年度
地域共同研究機構設置
全学教育研究機構設置
内部に産学官連携推進センタ 内部に語学センターおよび情報教
ー、保健福祉推進センターおよ 育センター設置
びメディアコミュニケーション
推進センター設置
平成 18 年度
サテライトキャンパス廃止
情報工学部スポーツシステム工学
産学官連携推進センター内に領 科新設、デザイン学部学科再編、
域・研究プロジェクトの設置
短期大学部募集停止
平成 19 年度
総社市との包括協定
大学院保健福祉学研究科博士後期
課程設置
保健福祉学科再編
地方独立行政法人化
1.3 産学官連携推進センターにおける領域・研究プロジェクトの設
置
社会貢献活動をより活性化するためには、産学官連携推進センターを中心に、学部
横断的な研究活動を推進し、地域や社会のニーズに応えることが必要となっている。
このため、産学官連携推進センターでは、他学部や学外の研究者との連携による研究
活動を推進する「領域」を設置し、
「領域」ごとに研究プロジェクトを立ち上げた。以
下に平成 19 年度に実施した領域研究プロジェクトを示す。
領 域 名
研究プロジェクト
ポリフェノールの機能性に関する研究
バイオテクノロジー領域
「酢」の機能性に関する研究
岡山県産二段発酵茶の研究
地域政策評価領域
地域少子化対策評価研究
ミクロものづくり領域
CAEによる高付加価値ものづくり
健康・スポーツ技術開発領域
映像を用いたリラクゼーションシステム開発
生活情報技術領域
人を引き込む身体的コミュニケーション技術
1.4 社会貢献の内容
本学における現在の社会貢献の内容は以下の通りである。
組
織
地域共同研究機構
産学官連携推進センター
保健福祉推進センター
メディアコミュニケーション推進セ
ンター
附属図書館
社会貢献の内容
産学官連携
専門家への指導、教育、行政への協力
メディア活動の支援、メディア技能の指導、
教育
データベース講習会、岡山県立図書館情報ネ
ットワークへの参加、施設の開放
全学教育研究機構
語学センター
公開講座、教材の開放
その他
大学全体・学部・教員個人
公開講座・全学講義、アクティブキャンパス、
国際交流、高大連携、行政への協力
2.1 産学官連携推進センター
2.1-1 概要
今年度、産学官連携推進センターは、「共同研究・受託研究の推進」と、「学域融
合研究の創出・育成支援」を2本柱に掲げて活動を行った。
共同研究・受託研究の推進では、日々のコーディネート活動をベースに、アクティ
ブ・ラボ(出前研究室)、100 社訪問キャラバン隊、OPU フォーラム 2007 などで、積
極的な研究シーズ情報の発信を行った。特に今年度の OPU フォーラムは、法人化の
旗揚げフォーラムと位置付けて全学一丸で取り組み、888 名の多数の参加を得て盛大
に開催した。このような活動の結果、23件の共同研究と21件の受託研究が行われ
た。
学域融合研究の創出・育成支援では、「領域・研究プロジェクト」活動を本格的に
スタートさせ、5領域・7プロジェクトを推進した。この一環で、「酢の機能性活用
コンソーシアム」と「玄徳茶研究会」の2つの産学官連携組織を立ち上げ、大学の研
究シーズの実用化を推進していることが特筆される。
なお、今年度は、外部の専門家の力の活用につとめ、地域共同研究機構に企業経験
者を中心とした6名の新たな客員教授を配置し、以前からの3名と合わせて9名の客
員教授の方々に、経験・知識・人脈を活かして本学の産学官連携活動を力強く支援い
ただいた。
2.1-2 領域・研究プロジェクト活動
(1) 領域・研究プロジェクト制度の概要
今年度から公立大学法人化した本学は、「人間・社会・自然の関係性を重視する
実学の創造」という教育研究の基本理念に基づく高い水準の研究成果がますます強
く求められてきている。
そのため本学では、学部・学域横断的な学域融合研究により新たな研究活動を推
進・育成する「領域・研究プロジェクト制度」を、平成18年度に試行的に運用を
開始し、今年度からは本格的に運用を開始した。今年度推進した5領域・7プロジ
ェクトでは、新たな研究会の発足や外部資金獲得などの成果がすでに現れており、
今後本学での実学創造に対して、この領域・研究プロジェクト活動が大きな役割を
果たしていくことが期待される。
この領域・研究プロジェクトは、教員からの提案に基づき、次の条件を満たす案
件を、産学官連携推進センター長の推薦を経て学長が認定する。認定されたプロジ
ェクトに対しては、申請に応じて、地域貢献特別研究費や独創的研究助成費等の学
内研究費の優先的配分を行う。
(領域・研究プロジェクト認定の条件)
①少なくとも本学の学部・学科間を横断するメンバーで構成され、学域融合テーマ
を有すること。必要により、他学・企業・団体等の学外メンバーも参画する。
②以下のいずれかの目標を設定し、達成に向けた計画を有すること。
・全国レベルと認められる高度な学術研究
・企業または外部機関との共同研究、受託研究の成立
・科学研究費補助金等の競争的資金、文科省の大学教育支援プログラム等の獲得
(2)今年度の活動
①学内募集と認定
3月初め~4月末の期間で学内募集を行った。その結果、8件のプロジェクト
が教員から申請され、最終的に7件が認定された。
②学長を囲む領域・研究プロジェクト懇談会
各プロジェクトリーダーから学長への中間報告も兼ねて、学長を囲む懇談会を
10月1日に実施した。
③事業化に向けた研究組織の設立と活動
2つのプロジェクトでは、プロジェクトリーダーと産学官連携推進センターの
協力によって、「酢の機能性活用コンソーシアム」と「玄徳茶研究会」という
産学官連携の研究組織を設立し、大学の研究シーズの実用化に向けた活動を行
ったことが特筆される。
次表に、今年度推進した5領域・7プロジェクトの概要を示す。
平成19年度 領域・研究プロジェクトの概要
領域
バイオ
プロジェクト名、メンバー
○:代表
■ポリフェノールの機能性に関す
内 容(設定年度)
クロロゲン酸誘導体、及びグァバ茶
テ ク ノ る研究
に含まれるポリフェノール化合物の
ロジー
○辻 英明
健康機能性の仕組みを解明し,生活習
山本耕一郎、高橋吉孝、中島伸佳
慣病の予防に役立つ食品へ応用する
田内雅規
研究.(平成18年度)
方 定志(四川大学)
バイオ
■「酢」の機能性に関する研究
テ ク ノ ○山下広美
基礎研究としては,内臓脂肪細胞お
よび筋肉細胞への酢酸の影響を分子
ロジー
木本眞順美、高橋吉孝
菊永茂司(ノートルダム清心女子
さらに,酢の摂食形態を検討し,食
大)
品企業等産業界とも連携して実用化
亀井千晃(岡山大学)
を推進する.(平成18年度)
地 域 政 ■地域少子化対策評価研究
策評価
メカニズムの面から解析を行う.
国の少子化対策基本方針を受けた
○中嶋和夫
自治体の施策の有効性を検討・評価
近藤理恵、桐野匤史
し,少子化対策に寄与する研究.
加藤 隆、松田 章、早瀬道芳、
国島丈生、目木信太郎
具体的には,大容量のデータ解析シ
ステムの開発と,政策評価および調査
高橋重郷(人口問題研)、佐々井 司 分析手法の研究である.(平成18年
(同研)
度)
柴田勝任((株)グロップ)、内田章治
(同社)
ミクロ
■CAE による高付加価値ものづく
ものづ り
くり
○尾崎公一
環境調和型材料 Mg 合金の半溶融
成型技術を確立する研究.
CAE シミュレーションと射出成型
奥野忠秀
機による成型技術の確立と,デザイン
福田忠生
検討により,高付加価値 Mg 合金の実
用化を目指す.(平成18年度)
健康・
■映像を用いたリラクゼーション
映像の持つリラクセーション効果
ス ポ ー システム開発
に着目し,その実証調査をベースに,
ツ
健康・福祉等の分野への応用提案によ
○嘉数彰彦、
技 術 開 齋藤美絵子
発
中嶋和夫、中村 光
り,ビジネスへの展開も視野に入れた
研究.(平成18年度)
平田敏彦、後藤清志
バイオ
■岡山県産二段発酵茶の研究
岡山県の埋もれた特産品である二
テ ク ノ ○赤木玲子
段発酵茶の機能性を解析し,健康食品
ロジー
永井成美、有田美知子、森 将晏
として科学的に確立するとともに地
松原主典(広島大学)
産ブランド品として普及することを
福山愛保(徳島文理大学)
目指した研究.(平成19年度)
赤木正明(徳島文理大学)
河野勇人(工業技術センター)
生活
■人を引き込む身体的コミュニケ
うなずき・身振り・手振り・呼吸な
情報
ーション技術
どの生体情報を活用し,飛躍的に一体
技術
○渡辺富夫
感が得られる身体的コミュニケーシ
高橋康嗣、神代 充、山本倫也
ョンシステムを開発する.さらに,教
村上生美
育・看護・遊びなどの現場で本システ
益岡 了、西田麻希子
ムの有効性を実証し実用化を図る.
(平成19年度)
2.1-3 企業と連携した研究活動
(1) 共同研究
企業との共同研究は、後に記載の受託研究とともに、産学官連携活動の大きな
柱である。今年度は、下表に示す23件の共同研究が実施され、その内の約半数
の12件がデザイン学部関係のテーマであったことが特徴である。
平成19年度 共同研究実施状況
研 究 題 目
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
新規商品開発力強化に向けたデザイン
開発の研究
共同研究者
紙製品関連企業
本学研究代表者
デザイン学部
教授 奥野忠秀
早期デザイン導入による商品開発の可能 産業機械関連企 デザイン学部
性研究
業
教授 奥野忠秀
発酵食品の機能解析と製造開発に関す 飲食料品関連企 保健福祉学部
る基礎研究
疾患予防効果を持つ「機能性食品」の製
造と開発に関する研究
業
医療福祉機関
准教授 中島伸佳
保健福祉学部
准教授 中島伸佳
冷間ロール成形機・増管機のデザインお 産業機械関連企 デザイン学部
よび標準化の研究
業
准教授 村木克爾
きびみどり(すいおう)の成分および加工
総社市
保健福祉学部
教授 辻 英明
医療用酸素濃縮装置の市場導入デザイ 産業機械関連企 デザイン学部
ン戦略の研究
業
教授 奥野忠秀
ガーデニング用ブロックのデザイン開発 コンクリート関連 デザイン学部
に関する共同研究
企業
准教授 南川茂樹
岡山県産玄徳茶の機能・生理活性の検
飲食料品関連企 保健福祉学部
索、並びに活性成分を利用した新商品の
業
准教授 赤木玲子
開発・販売に関する研究
冷凍倉庫におけるガイドレス無人フォーク
リフトに関する研究
視覚障害者用誘導路のユニバーサルデ
ザイン研究
運輸関連企業
化学関連企業
情報工学部
准教授 神代 充
保健福祉学部
教授 田内雅規
公共駐車場関連機器のユニバーサルデ 産業機械関連企 デザイン学部
ザイン研究
業
教授 森下眞行
スポーツ活動とコンディショニングに関す
13 る研究―「まくら」がジュニア選手に及ぼ 衣料品関連企業
す影響とその特性
14
15
16
17
18
19
20
21
障害を持つ人の well-being を目指した衣
服の開発調査計画
岡山県立博物館を誘致する会の PR グッ
ズのデザイン
総社市
准教授 後藤清志
保健福祉学部
教授 香川幸次郎
デザイン学部
准教授 東島真弓
水分摂取の健康への有用性に関する研 飲食料品関連企 保健福祉学部
究 ~飲水後の誘発性熱産生の評価~
業
講師 永井成美
自動車部品(ブレーキディスク)検査機の 自動車部品関連 情報工学部
改良
企業
准教授 福嶋丈浩
生活習慣病(メタボリックシンドローム)予 岡山県国民健康 保健福祉学部
保険団体連合会 教授 香川幸次郎
防に関する介入研究
孟宗竹外皮の抽出物を配合した自然塗 家 具 ・ 雑 貨 関 連 デザイン学部
料の研究開発
「竹水」化粧品の商品化と販路の確立お
よびブランド化の研究
総社市の観光 PR を目的とした観光ポスタ
ーデザインに関する研究
血糖値改善につながる「遠赤外線」と
22 「マイナスイオン」放射の機能性岩盤
温熱ベッドのユニバーサルデザイン化
23
衣料品関連企業
情報工学部
地域資源の有効活用を目的としたエコプ
ロダクトの研究
企業
日用品関連企業
総社商工会議所
日用品関連企業
日用品関連企業
准教授 村木克爾
デザイン学部
准教授 村木克爾
デザイン学部
講師 野宮謙吾
デザイン学部
准教授 村木克爾
デザイン学部
教授 森下眞行
(2) 受託研究
公的機関や企業等からの受託研究は、共同研究とともに、産学官連携活動の大
きな柱である。今年度も公的団体からの委託がほとんどであり、下表に示す21
件を実施した。件数は前年度に比べ大幅に増加し、過去最高の件数であった。
平成19年度 受託研究実施状況
研 究 題 目
1
2
3
4
5
6
7
8
9
研究者代表者
身体的引き込みメディア技術の研究開 科学技術振興機 情報工学部
発
スポーツ医・科学サポート(動作分析サポ
ート)
スポーツ医・科学サポート(心理サポート)
構
岡山県体育協会
岡山県体育協会
教授 渡辺富夫
情報工学部
教授 平田敏彦
情報工学部
准教授 後藤清志
商品パッケージのためのロゴタイプおよび 飲食料品関連企 デザイン学部
社名ロゴタイプのデザインに関する研究
業
講師 野宮謙吾
高速・高精度スマートマシンビジョンシス 岡山県産業振興 情報工学部
テムの開発
財団
准教授 佐藤洋一郎
健康食品としての後発酵緑茶の機能性解 岡山県産業振興 保健福祉学部
析と製造工程改良に関する研究
内臓脂肪細胞および筋芽細胞を用いた
酢酸の機能性評価とそのメカニズムに関
する研究
材料界面の密着性を予想可能とする原子
レベルの計算機シミュレーション技術の開
発
ウェアラブルデバイスに用いる小型エアポ
ンプの実用化研究―バルーン型ダイアフ
ラムの最適設計―
10 まなびピア岡山2007公式ビデオ制作
11
委託者
財団
准教授 赤木玲子
岡山県産業振興 保健福祉学部
財団
講師 山下広美
岡山県産業振興 情報工学部
財団
准教授 末岡浩治
岡山県産業振興 情報工学部
財団
准教授 尾崎公一
生涯学習フェス
デザイン学部
ティバル実行委
教授 嘉数彰彦
員会
ロケ誘致のためのプロモーションに関する 岡山県産業振興 デザイン学部
研究
財団
教授 嘉数彰彦
平成19年度地域新生コンソーシアム研究 岡山県産業振興 デザイン学部
12 開発事業「トイレ支援用パワーアシストウェ
財団
教授 奥野忠秀
アの研究開発」
内因性 NOS 阻害剤 ADMA の代謝機構を
13 利用した心血管疾患の新規な予防・治療
法(薬)の開発
動的再構成技術を適用した並列パイプラ
14 イン化処理による3次元グラフィックスの高
速化
15
科学技術振興機 保健福祉学部
構
教授 木本眞順美
科学技術振興機 情報工学部
構
准教授 森下賢幸
倉敷市玉島地区まちづくりフォーラムの計 地域開発関連企 デザイン学部
画および実施
業
講師 熊澤貴之
平成19年度大山隠岐国立公園大山蒜山 環境省中国四国 デザイン学部
16 地区ウスイロヒョウモンモドキのモニタリン
地方環境事務所 教授 伊藤國彦
グ調査
17 かぎ掛け啓発用サイン等のデザイン作成
岡山県
18 少子化対策セミナー開催事業
岡山県
19
20
メディアコミュニケー
ション推進センター
保健福祉学部
教授 中嶋和夫
足圧分布測定器「フットビュー」の保健運 ゴム製品関連企 情報工学部
動指導の判定機能の開発
総社市常盤公園整備計画と住民参加プ
ロセスのデザイン
業
総社市
岡山県立美術館「岡田新一展」の岡山中
21 心市街地プロジェクトの建築・地域模型の 岡山県立美術館
制作
教授 辻 博明
デザイン学部
講師 熊澤貴之
デザイン学部
教授 山田孝延
(3) 教育研究奨励寄附金
教育研究奨励寄附金は、本学の教育・研究を奨励するために外部から寄付され
るもので、日頃からの社会貢献の成果である。今年度の受け入れ実績は次表に示
すとおり31件で、過去最高の件数となった。
平成19年度 教育奨励寄附金受け入れ実績
研 究 題 目
寄附者
情報工学部
1
WEB アプリケーションの研究開発
2
吉備路観光お土産品開発事業お菓子の 総社吉備路商工 メディアコミュニケー
ション推進センター
パッケージデザイン一式
会
教授 嘉数彰彦
3
画像処理システムに関する研究
教育関連企業
4
鋼を対象とした分子動力学ソースの開発
教育関連企業
5
6
7
8
9
10
11
岡山不動産協会
研究者代表
教授 横田一正
情報工学部
准教授 神代 充
情報工学部
助教 福田忠生
「後楽園の駅弁」開発に伴う駅弁のネーミ 飲食料品関連企 メディアコミュニケー
ション推進センター
ングとパッケージデザイン
業
教授 嘉数彰彦
「後楽園の駅弁」開発に伴う駅弁のネーミ 飲食料品関連企 メディアコミュニケー
ション推進センター
ングとパッケージデザイン
業
教授 嘉数彰彦
後楽園お庭そだち弁当の開発に伴う弁当 飲食料品関連企 メディアコミュニケー
ション推進センター
のネーミングとパッケージデザイン
業
教授 嘉数彰彦
人間心理を考慮した制御手法に関する研 シ ス テ ム 関 連 企 情報工学部
究
業
准教授 神代 充
Si 単結晶ウェーハ表面における他材料と 電子部品関連企 情報工学部
の接着強度に関する研究
業
准教授 末岡浩治
保育所の特性を生かした食育の取り組み 飲食料品関連企 保健福祉学部
に関する研究
業
講師 久保田 恵
マグネシウム合金射出成形機における成 金属製品関連企 情報工学部
形品の特性向上技術の開発
12 SP 広告制作における研究
業
准教授 尾崎公一
メディアコミュニケー
NPO 法人日印芸
ション推進センター
術研究所
教授 嘉数彰彦
13
重症心身障害児(者)におけるてんかんに
関する研究
医療福祉機関
保健福祉学部
教授 山磨康子
後楽園のお弁当の開発に伴う後楽園の
飲食料品関連企 メディアコミュニケー
14 おもてなし「お庭そだち」のネーミングとパ
ション推進センター
業
教授 嘉数彰彦
ッケージデザインの製作
15
16
シールド管路用鋼製セグメントの簡易構 金属製品関連企 情報工学部
造解析手法に関する研究
17 慮した道路資材のユニバーサル化に関
する研究
出物と転移との相互作用
造崩壊解析の並列化効果に関する研究
21 食物繊維を原料とする製造方法の開発と
食品産業への応用
23
24
25
26
業
教授 田内雅規
業
助教 福田忠生
電子部品関連企 情報工学部
業
准教授 末岡浩治
分散メモリ型並列計算機を用いた船体構 造船学術研究推 情報工学部
食品機能素材としての「有用オリゴ糖」の
22
ゴム製品関連企 保健福祉学部
分子動力学法を用いた Si 中微細酸素析 電子部品関連企 情報工学部
19 空孔注入後の2次元析出モデルの構築
20
助教 栁原大輔
加熱処理により生成する新規小麦アレル エリザベス・アー 保健福祉学部
ノルド富士財団
ゲンに関する研究
助教 比江森美樹
歩道の安全通行と障害者の誘導性を考
18
業
進機構
助教 栁原大輔
ウ エ ス コ 学 術 振 保健福祉学部
興財団
准教授 中島伸佳
劣駆動ロボットシステムの外乱除去・抑制 ウ エ ス コ 学 術 振 情報工学部
則の開発
興財団
准教授 忻 欣
人間との身体的インタラクションのための ウ エ ス コ 学 術 振 情報工学部
握手ロボットシステムの開発
興財団
准教授 神代 充
鞍関節機構を有する拇指対抗型ロボット ウ エ ス コ 学 術 振 情報工学部
ハンドの開発と産業応用
興財団
助教 井上貴浩
分子動力学法に基づいた刃状転位による ウ エ ス コ 学 術 振 情報工学部
析出強化機構の解明
興財団
助教 福田忠生
柔軟指による物体把特における安定操り 三豊科学技術振 情報工学部
メカニズムの解明
興協会
助教 井上貴浩
「後楽園の駅弁」開発に伴う駅弁のネーミ 飲食料品関連企 メディアコミュニケー
27
ション推進センター
ングとパッケージデザイン
業
教授 嘉数彰彦
28
29
30
31
後楽園お庭そだち弁当の開発に伴う弁当 飲食料品関連企 メディアコミュニケー
ション推進センター
のネーミングとパッケージデザイン
業
教授 嘉数彰彦
鋳造における溶湯の流動現象に起因する 情報通信関連企 情報工学部
鋳造欠陥指標の研究
重度心身障害児(者)におけるてんかんに
関する研究
展覧会におけるポスター・チラシのデザイ
ン研究
BIZEN 中南米美術館 08 年度企画展「ク
32 フル・アハウの残輝」の展示案内パネルの
デザイン制作
業
医療・福祉機関
印刷関連企業
BIZEN 中南米美
術館
准教授 尾崎公一
保健福祉学部
教授 山磨康子
デザイン学部
助教 西田麻希子
メディアコミュニケー
ション推進センター
教授 吉原直彦
2.1-4 アクティブ・ラボ(出前研究室)
アクティブ・ラボは、平成 17 年度から始まり 3 年目となる。この活動は教員が単
独またはコーディネータと共に企業等に出向き、研究内容紹介や技術相談・情報交換
等を行う活動で、共同研究・受託研究に結びつく可能性の高い重要な活動である。
100 社訪問キャラバン隊と併せて行うことにより企業等との情報交換や意思疎通も
深まり、ニーズを確実に把握することができて、共同研究等に結びつけることが容易
になった。今年度の活動実績を下表に示す。
平成19年度 アクティブ・ラボ(出前研究室)実績表
N0.
実施日
1
4 月 10 日
平田教授(情) 日本ゼオン(株)
2
5 月8日
谷口教授(保)
3
5 月 15 日
村木准教授(デ) 倉敷レーザー(株)
情報交換
4
6 月 19 日
村木准教授(デ) オーエヌ工業(株)
情報交換
6 月 23 日
二宮教授(保)
石村准教授(保) 早島町役場
富田助教(保)
6
6 月 27 日
二宮教授(保)
石村准教授(保) 倉敷市水島保健福祉センター
富田助教(保)
7
7 月6日
中島准教授(保) ㈱機能性食品研究所
情報交換
8
7 月 19 日
筒井講師(保) ダイヤ工業㈱
シーズ紹介
9
7 月 20 日
10
8 月 10 日
筒井講師(保) 倉敷スクールタイガー縫製㈱
シーズ紹介
11
8 月 22 日
村木准教授(デ) 岡山商工会議所
情報交換
12
8 月 28 日
二宮教授(保)
相談・指導
5
担当教員
山田教授(デ)
高杉客員教授
富田助教(保)
訪
問
先
(株)タイガーマシン製作所
イケガミスチール
早島町役場
実施内容
シーズ紹介
情報交換
相談・指導
情報交換
相談・指導
情報交換
デザイン相談
情報交換
奥野教授(デ)
13
8 月 29 日
戸田客員教授
㈱エヌエスシイ
シーズ紹介
高杉客員教授
14
9 月 10 日
15
9 月 11 日
二宮教授(保)
富田助教(保)
奥野教授(デ)
早島町役場
(株)精密スプリング製作所
相談・指導
情報交換
デザイン指導
荒井助教(情)
16
9 月 19 日
17
10 月5日
18
10 月 19 日 倉重准教授(情) セイビ㈱
情報交換
19
10 月 23 日 村木准教授(デ) サンタモニカ㈱
デザイン指導
20
10 月 25 日
21
山内助教(情)
富田助教(保)
金丸教授(デ)
岡山富士通エンジニアリング
倉敷保健所
情報交換
相談・指導
情報交換
源吉兆庵㈱
情報交換
10 月 26 日 奥野教授(デ)
㈱大和製作所
デザイン指導
22
10 月 31 日 高杉客員教授
オージー技研㈱
情報交換
23
10 月 31 日 高杉客員教授
ペガサスキャンドル㈱
情報交換
24
11 月 26 日 奥野教授(デ)
(有)MIM
情報交換
25
11 月 26 日 奥野教授(デ)
オーティス㈱
情報交換
26
12 月 13 日 尾崎洋講師(デ) 作東土木運送㈱
技術指導
27
1 月 11 日
奥野教授(デ)
真庭市役所
シーズ紹介
28
2 月5日
三原助教(デ)
山陽総業㈱
デザイン指導
29
2 月 15 日
奥野教授(デ)
ユニチカ㈱
シーズ紹介
30
2 月 20 日
筒井講師(保)
池田精工㈱
情報交換
31
3 月 21 日
尾崎准教授(情) オーティス㈱
嘉数教授(デ)
情報交換
村木准教授(デ)
一橋准教授(情)
32
3 月 31 日
神代准教授(情) 池田精工㈱
筒井講師(保)
上田助手(デ)
開発会議
2.1-5
OPU フォーラム 2007
本学の研究の状況(成果,現状,構想)を広く地域社会に知っていただき、法人化以降
ますます求められる、地域の企業・団体との共同研究等の連携活動のきっかけづくり
や機運高揚を目的に、「OPU フォーラム 2007」を開催した。今年度は、法人化の旗
揚げ記念と位置付け全学一丸で取り組んだ結果、総数888名の参加者を得て盛大に
開催された。
今回の OPU フォーラムは、前回の OPU フォーラム 2005(H17.11.18)以来、約 1
年半ぶりの開催であったが、今後は毎年度開催する予定である。
(1) 概 要
日 時:平成19年5月29日(火)13:10~17:30 ※展示は 19:00 まで実施
会 場:岡山県立大学 講堂
主 催:岡山県立大学
後 援:35団体(行政, 経済団体,金融機関,産業支援団体,産学官連携組織,各種
団体等)
テーマ:新たな展開に向けて -地域社会と共に発展する教育・研究拠点を目指
し-
参加者:888名(企業・団体・個人等の学外者468名、本学教職員・学生4
20名)
その他:展示内容をまとめた要旨集を作成して配布
(2) プログラム
13:10~13: 30 学長挨拶、来賓挨拶(島津副知事)
13:30~15:00 特別講演会
「人を基軸に置いた経営 -大きな夢にチャレンジしよう-」
井上礼之 氏(ダイキン工業(株)代表取締役会長兼 CEO)
13:30~17:30 展示会
※19:00 までは開場して展示
(3) 展示会
パネル、実物、パソコン等を用いて以下のとおり71件が展示された。
(本学の展示)60件
・地域共同研究機構(3センター):6件
・領域・研究プロジェクト:5件
・保健福祉学部:15件
・情報工学部 :18件
・デザイン学部:16件
(企業・団体の展示)11件
「OPU フォーラム 2007」展示テーマ一覧
■ 地域共同研究機構
テーマ
産学官連携推進への取組み
共同研究等の事例紹介
保健福祉推進センター活動報告
担当部署
産学官連携推進センター
保健福祉推進センター
メディアコミュニケーション推進センター活動概要
メディアコミュニケーション
デジタル絵本制作講座
岡山後楽園オリジナル製品ブランド化プロジェクト- 推進センター
オリジナル弁当パッケージデザイン■領域・研究プロジェクト
テーマ
担当教員
ポリフェノールの機能性に関する研究
辻 英明 他4名
酢の機能性に関する研究
山下 広美 他5名
地域少子化対策評価研究
中嶋 和夫 他3名
マグネシウム合金の成形技術に関する基礎研究
尾崎 公一 他2名
映像を用いたリラクセーションシステム開発研究
嘉数 彰彦 他11名
■保健福祉学部
テーマ
担当教員
ギャッチベッドによる背上げ行為に関する実態調査
荻あや子、村上生美、森 將晏
安楽な介護用ベッドの開発
森 將晏
地域開業助産師の助産技術に関する研究
重西 桂子、吉永 茂美、
岡崎 愉加
認知症高齢者に動物介在療法を導入することの効果
太湯 好子
リスクマネジメント研究
横手 芳惠、山田 隆子
看護技術教育のためのマルチメディア教材の開発
掛橋 千賀子、奥山 真由美、
嘉数 彰彦、齋藤 美絵子
岡山県産二段発酵茶の機能性解析
リポキシゲナーゼによるヒト前立腺癌細胞増殖抑制
における IMP-1 の役割
酵素機能を応用した有用機能性物質の創製と環境浄
化
V. vulnificus のワクチン開発に関する研究
心血管疾患の新規リスクファクターADMAに関す
る研究
赤木 玲子
高橋 吉孝
中島 伸佳
山本 耕一郎
木本 眞順美
機能的シニアスポーツウエアー製品化への取組み
香川 幸次郎、平田 敏彦
地域子育て支援従事者の研修プログラム
中野 菜穂子
車いすおよび視覚障害歩行者の歩車道境界部移動を 中村 孝文、田内 雅規、藤井
容易にするユニバーサルデザイン縁石の開発
厚紀
地域で生活する失語症者を支援する研究と実践
中村 光
■情報工学部
テーマ
担当教員
文学研究支援のためのシステム開発
桂 宥子
ディジタルミュージアムと e-ラーニング
横田 一正、國島 丈生
ディジタル無線通信システムの信頼性改善技術
榊原 勝己、武次 潤平
電磁波のための回路技術
大久保 賢祐、岸原 充佳
高速・安定・快適に通信が行えるシステムを目指して 稲井 寛、若林 秀昭、荒井 剛
動的再構成技術を用いたディジタル集積回路
森下 賢幸、小椋 清孝
2次元共振器半導体レーザーの研究
福嶋 丈浩
未来型ロボットの実現を目指して
兼田 雅弘、忻 欣、山崎 大河
ハードウエア/ソフトウエアシステムの高信頼化技術
岡山情報ハイウェイ上にモンスターコンピュータを
構築する巨大構想
佐藤洋一郎、横川 智教、早瀬
道芳
加藤 隆、松田 章
身体的コミュニケーション技術
渡邉富夫、神代 充、山本倫也
分子シミュレーションの材料開発への適用
末岡 浩治
反応性熱流体数値解析技術の応用例
芝 世弐
スケジューリング問題の解決
亀山 嘉正、倉重 賢治
発泡ゴムの架橋プロセス
辻 博明、藤原 航、野津 滋
脳幹の機能解剖学的研究
柳原 衞
画像処理と ITS
山北 次郎、山内 仁
スポーツ選手の無酸素性・有酸素性能力と
performance
平田 敏彦
■デザイン学部
テーマ
担当教員
次世代冷房作業着のデザイン開発
奥野 忠秀
一枚の板から生まれる椅子
南川 茂樹
竹集成材の素材特性を活かした生活用品のデザイン
研究
三原 鉄平
備中国分寺周辺における景観計画の提案
熊澤 貴之
知覚特性のインタフェースデザインへの活用
益岡 了、尾崎 洋
聴覚障害者のコミュニケーションツールに関する研
究
感覚の相互作用を支援するツールの研究
吉備路の土産物ネーミング・パッケージデザイン提
案
上田 篤嗣
八尾 里絵子
齋藤 美絵子 西田 麻希子
表象文化とデザインの研究誌「REPRE 第 5 号」にお 吉原直彦、東島真由美、西田麻
ける研究
希子
Caravan Serai 花器の機能を持った家型のオブジェ
(やきもの)
大河内 信雄
青白磁グラデーションの交差と反転
久保田 厚子
酒器の提案による岡山地酒 PR プロジェクト
金丸 敏彦、作元 朋子
テキスタイルデザインコース学外研究発表会の歩み
草間 喆雄、難波久美子、島田
清徳
クラフトと地域とのつながりにおける研究
難波 久美子
テキスタイルによる空間演出
島田 清徳
LED 照明と可視光通信
児玉 由美子
■企業・団体
テーマ
「あゆみの会共同作業所の活動紹介」
企業・団体
あゆみの会
産学連携エコブランド“竹集成材プロジェクト”商
品展示
株式会社テオリ
ブレーキディスク検査装置の開発
井原精機株式会社
待ち時間レスのマルチインフォメーションシステム
株式会社アリオンシステム
美作市特産品「玄徳茶」*
吉岡茶園
凍結乾燥法を用いた食品開発*
天野実業株式会社
お酢で健康になろう!*
自然と文化のインターフェイスを目指すコンクリー
ト製品*
公共駐車場関連機器*
酢の機能性活用コンソーシア
ム
ランデス株式会社
株式会社英田エンジニアリン
グ
軽トラック搭載BOX「トラボ」*
山陽レジン工業株式会社
F3 レーシングカー*
株式会社戸田レーシング
*印の7件は、講堂前に設置したテントで展示。
2.1-6 学外組織との連携・協働活動
岡山県の産学官連携活動の中心的な組織である「岡山・産学官連携推進会議」や、
その他の産学官連携支援団体が実施する諸活動に、本学も積極的に参加した。これら
の諸活動は、情報入手・発信や、人的交流を通じて、共同研究等の拡大に大きく寄与
している。これら諸活動の今年度の実績は 以下のとおりである。
(1) 100 社訪問キャラバン隊
企業と大学等の垣根を越えて、大学等の教員が企業現場に出向き、現場見学とと
もに、企業の経営者・技術者との情報交換・意見交換を行うこの活動は、岡山・産
学官連携推進会議の産学官連携事業の一環として平成16年度から行っている。
岡山県産業振興財団が運営主体となり、岡山商工会議所が企画立案を担当し、本
学が学側のとりまとめ役となって、産学官連携の下に実施している。
本学からは、今年度も毎回参加し、現場見学や企業の方々との情報交換を通じて
企業の抱える課題などを把握するとともに、本学が協力できることを提案するなど、
地域産業活性化に向けた共同研究等に結びつける活動を積極的に進めている。今年
度の実績を下表に示す。
平成19年度 100社訪問キャラバン隊の実績
通算回数
訪問日
訪 問 先
本学参加者
第68回
4 月 13 日
倉敷レーザー㈱
3名
第69回
4 月 16 日
㈱タイガーマシン製作所
3名
第70回
5 月 17 日
オーエヌ工業㈱
2名
第71回
6 月 20 日
スミクラ㈱
6名
第72回
6 月 26 日
岡山指月㈱
2名
第73回
7 月 10 日
㈱テオリ
3名
第74回
8 月7日
㈱脇木工
2名
第75回
8 月 28 日
㈱精密スプリング製作所
3名
第76回
9 月 13 日
倉敷ボーリング機工㈱
3名
第77回
10 月4日
㈱大和鉄工所
2名
第78回
10 月 24 日
安田工業㈱
2名
第79回
11 月 14 日
㈱晃立
3名
第80回
1 月 29 日
池田精工㈱布原工場
2名
第81回
2 月 19 日
梶原乳業㈱
1名
第82回
2 月 28 日
倉敷スクールタイガー縫製㈱
2名
第83回
3月 13 日
㈱カイタック総社ファクトリー
5名
第84回
3月 18 日
カバヤ食品㈱
3名
次に今年度の100社訪問キャラバン隊の実施風景を紹介する。
【100社訪問キャラバン隊の実施風景】
第 71 回 スミクラ㈱
第 77 回 ㈱大和鉄工所
第 73 回 ㈱テオリ
第 79 回 ㈱晃立
(2) 100研究室訪問
「100研究室訪問」は、「100社訪問キャラバン隊」と同様、岡山・産学官連
携推進会議の産学官連携事業の一環として、岡山県中小企業団体中央会が事務局とな
り、平成16年度から実施されている。
企業関係者が大学等の研究室を訪問して、研究者と意見交換・情報交換を行い、お
互いのシーズ・ニーズ等を知り合うことにより、新技術・新製品開発に向けた共同研
究等のきっかけとなっている。
今年度の本学の100研究室訪問受け入れは以下のとおりである。
【第 33 回 100研究室訪問】
受入れ教員:デザイン学部デザイン工学科 村木 克爾 准教授
開催日・場所
内
11 月 28 日(水)
1 挨拶と作品紹介
岡山県立大学
2
デザイン学部棟
容
参加人数
23名
製品開発・商品力強化のためのプロダクトデ
ザインについて
3309・331 3 アトリエ棟見学
0号室
4 産学官連携推進センターの活動案内
5 質疑応答・意見交換
100研究室訪問の実施風景
アトリエ棟見学風景
作品紹介の様子
(3) 次世代交流会
この活動も、岡山・産学官連携推進会議の産学官連携事業の一環として、岡山県
産業振興財団が事務局となり、平成16年度から実施されている。
この次世代交流会は、文字どおり、企業や大学のトップ層だけでなく次世代を担
う若手の企業関係者と大学等の若手教員が出会う場を設け、産学官交流の裾野を広
げるための活動である。企業関係者や大学の教員らによる業務・研究紹介と、その
後の懇親会により、多角的に交流を深めている。今年度の本学からの参加実績を次
表に示す。
平成19年度 次世代交流会の実績(本学参加分)
日 時
場 所
岡山理科大学
5 月 23 日
第11号館8
階ラウンジ
話題提供の内容
「岡山県の産学官連携推進事業について」
岡山県産業労働部 寺元敏行氏
参加者
2名
「ノーマライゼーションの実現と産学共同
8 月 29 日
花食お食事
研究」
がーでん
倉敷スクールタイガー縫製㈱
2名
吉井一成 氏
10 月 10 日
11 月 20 日
2 月 20 日
3 月 28 日
花食お食事
がーでん
花食お食事
がーでん
花食お食事
がーでん
ピ ュ アリ ティ ま
きび
「経営者と技術者をつなげるペルソナ手
法」
2名
(有)アイ・エス・ティ 吉井誠 氏
「岡山大学における知的財産の現状」
~知的財産から見た大学の教員とは~
2名
岡山大学産学官融合センター 東英男氏
「岡山県産業振興財団の事業概要」
~支援制度・助成制度等のご案内~
岡山県産業振興財団
2名
三島佳洋 氏
「中小企業の新事業創出と産学連携~その
現状と課題」
島根大学産学連携センター 北村寿宏 氏
1名
(4) 水島工業地帯産学官連携活動
水島工業地帯産学官懇談会の事業の一つに「水島ソシエ」がある。これは、水島
立地企業中心に産学官の交流を深め、新たな協力関係や共同研究に発展することを
目指して自由な雰囲気で意見・情報交換や意見会等を行う活動である。今年度の本
学の参加実績を下表に示す。
平成19年度 水島ソシエ等の実績(本学参加分)
開催日・場所
5 月10日
内
容
参加者
水島ソシエ:第 10 回運営委員会
1名
5 月 23 日
(カレッジセミナー)
1名
岡山理科大学
岡山理科大学の概要と産学官連携の取組み
6 月 28 日
(県内企業との交流会)
㈱岡山村田製作所
㈱岡山村田製作所の概要説明と工場見学
1月 17 日
(第7回水島工業地帯産学官懇談会)
水島国際ホテル
①国際競争力強化ビジョンの報告
(三宮学
②自由討論(2テーマ)
長)
岡山国際交流センター
2名
1名
・国際競争力強化 ・産学官連携
2 月 15 日
(くらしきベンチャーフェア in 水島ソシエ)
岡山県水島サロン
特別講演「ひらめきを見えるカタチに」
講師:能登左知 氏
1名
(5) その他
前記以外の本学が関与した主な県内の産学官連携活動の実績を次表に示す。
平成19年度 その他の県内産学官連携活動
組織・活動名等
活 動 内 容
おかやま夢づくり 11/27 (岡山全日空ホテル)
備 考
年1回開催の
産学官連携推進フ ・産学官連携大賞 表彰式(2案件 10 名受賞) 県内最大の産
ォーラム(第5回)
本学情報工学部尾崎准教授も受賞
・ 記念講演(トヨタ紡織 会長 好川純一氏
学官連携公式
行事
「自動車のエレクトロニクス化とモノづくり」
岡山リサーチパー 2/1 (テクノサポート岡山)
年1回開催の
ク研究・展示発表会 ・展示発表(61 件)*本学から4件発表
県内最大の産
(第 12 回)
・特別講演(林原生物化学研究所 福田恵温氏) 学官連携研究
「夢の糖質・トレハロースの生産と用途開発」 発表会
ミ ク ロ も の づ く 3/5 (テクノサポート岡山)
り・機能性食品関連
研究発表会
国の特別電源
3分野に分かれて、30 件のポスター発表 県支援制度に
*本学から5件発表
よる研究発表
会
おかやまコーディ 総会・セミナー:6/11(ピュアリティまきび)
ネータ連絡協議会
シーズ・ニーズ情報分科会:8/27,10/29,3/24
本学は幹事大
学
パネルディスカッション:2/25
半導体ネットおか 例 会 :5/17( 県 大 ),7/26( 理 大 ),10/25( 津 本学末岡准教
やま
山),12/21(岡大)
※( )内:担当校
授が副代表
企業説明会(7社、4大学): 1/18
解 析 支 援 ネ ッ ト セミナー: 4/16,8/27
本学情報工学
OKAYAMA
情報交換会:7/20,9/26,12/13
部の教員5名
勉強会: 6/30
が会員として
有限要素法基礎講座:1/25
企業を指導
おかやまバイオア シンポジウム:「微生物と生理活性物質」5/25 本学辻英明教
クティブ研究会
「機能性食品」10/19,「生活習慣病」2/15
しんきん合同ビジ 9/12(コンベックス岡山)
ネス交流会
授が会長
岡山信用金庫
中小企業等 371 社参加の展示会、商談会
等14団体が
本学は大学コーナーで産学官連携相談に対応
共催
おかやましんきん 2/14(岡山コンベンションセンター)
ビジネス交流会
中小企業等 79 社参加の展示・商談会
岡山信用金庫
が主催
本学は大学コーナーで産学官連携相談に対応
(注)上記以外に、本学教員が運営に関与する産学官連携組織には以下のものがある。
・ハートフルビジネスおかやま ・メディカルテクノおかやま
・ミクロものづくり岡山推進協議会 ・おかやま食料産業クラスター
・岡山バイオマスプラスチック研究会
(6) 県外との産学官連携活動
本学の教員・コーディネータ等が参加した県外組織が主催した産学官連携活動の
実績を以下に示す。
①第6回産学官連携推進会議
日時:平成18年6月16日(土)~17日(日) (国立京都国際会館)
主催:内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省、日本経済団体連合会、日本
学術会議
本学参加者:奥野教授(地域共同研究機構長)、湯浅コーディネータ
内容:全体会議Ⅰ,Ⅱ、4分科会、産学官連携功労者表彰、展示会
②中国地域産学官・クラスターコラボレーションシンポジウム
日時:平成19年6月7(木)~8日(金) (松江市:くにびきメッセ)
主催:中国地域産学官コラボレーション会議、中国地域産業クラスターフォー
ラム
本学参加者:湯浅コーディネータ
内容:・講演「地域と中小企業に寄与する産学官連携」
中小企業基盤整備機構 理事 後藤芳一 氏
・特別講演「企業の成長は地域のイノベーションから」
銘建工業(株) 代表取締役社長 中島浩一郎 氏
・中国地域産学官連携アクションプランの実施状況と総括
・産学官連携活動のパネル展示 他
③中国地域コーディネータ合同会議
日時:平成19年11月15日(木) (広島合同庁舎)
主催:ちゅうごく産業創造センター
本学参加者:湯浅コーディネータ
内容:産学官連携活動の成果を大都市圏のユーザーにどのように繋いでいくか
について、全国の先進5団体からの活動紹介が行われた。
2.1-7 学内外に向けた広報活動
社会貢献活動の展開においては、本学の研究シーズ等の外部への発信と、学内の教
員等の外部情報入手・共有が極めて重要となる。このような観点から、学内外に向け
た広報活動を一層充実させるために、今年度は以下の取り組みを行った。
(1) 本学の研究シーズ等の外部発信
研究シーズ等の外部発信においては、各種展示発表会等のイベントでの発信と、
日常的に機会を見つけて行う発信とがある。以下に、それぞれについての今年度の
主な情報発信例を示す。前項までの諸活動と重複する内容もあるが、情報発信とい
う切り口でまとめた。
研究会・発表会等のイベントでの情報発信例
開催日、場所
イベント名
テーマ(発表者)
平成 20 年
岡山リサーチパーク研
CAE によるMg合金製品の高意匠・高機能化に関
2月1日(金)
究・展示発表会
する研究 (尾崎公一)
テクノサポート
発泡ゴムの架橋プロセスと気泡形状に関する基礎
岡山
的研究 (辻 博明)
身体的引き込みメディア技術 (渡辺富夫)
岡山県におけるユニバーサルデザインの実現過程
に関する研究 (朴 貞淑)
平成 20 年
「ミクロものづくり・機
バルーン型ダイアフラムの最適設計(尾崎公一)
3月5日(金)
能性食品関連研究」研究
高速・高精度スマートマシンビジョンシステムの
成果発表会
開発 (佐藤洋一郎)
テクノサポート
岡山
材料界面の密着性を予測可能とする原子レベルの
計算機シミュレーション技術の開発(末岡浩治)
内臓脂肪および筋芽細胞を用いた酢酸の機能性評
価とそのメカニズム (山下広美)
健康食品としての後発酵緑茶の機能性解析と製造
工程改良(赤木玲子)
(注)上記は県内の産学官連携による発表会での発信であり、これ以外に各種分野別学協会等での
情報発信は多数。
日常的に実施した情報発信例
手段
主 な 内 容 等
・吉備路の“走る広告”イラストトラック県外 PR へ (野宮講師、3/17)
新 聞 に
・公立大学法人岡山県立大学スタート「新時代へ飛躍」(4/1)
掲載
・床ずれ緩和の介護用ベッド 森教授がシステム試作(5/2)
・おいしく健康増進 酢使ったレシピ考案 県立大の山下講師(5/25)
・「夢と志 持たねば」県立大フォーラムで会社 CEO が講演(5/30)
・距離縮まる企業と大学 岡山「100 社訪問キャラバン隊」スタート 3 年(7/12)
・LED で新アート提案 環境造形作家 岡山県立大の児玉准教授(7/25)
・交通安全バスで訴え 県立大 3 年守安さんデザイン(9/21)
・無事故の願いバスにのせ 総社県立大生がデザイン(9/29)
・美作産「玄徳茶」最新研究の報告(玄徳茶研究会)(赤木准教授、10/18)
・竹集成材のダイニングチェア グッドデザイン賞に (村木准教授,三原助教、10/24)
・日野、藪木氏ら 10 人 岡山県産学官連携大賞に選出 (尾崎准教授、10/26)
・商品デザインへ助言 県立大岡山に「診療所」(奥野教授、11/14)
・酢使いヘルシーチョコ「メタボ」「疲れ」防止に 県立大山下講師ら考案(2/10)
ラジオ
・RSK ラジオ、KCT、oni ビジョンで「OPU フォーラム 2007」の紹介(5 月)
テレビ
・フジテレビ系列特別番組「偉大なる未来図鑑」に出演 (渡辺教授、12/29)
で発信
・各社ニュース番組にて「酢の入ったチョコレート」試食会 (山下講師、2/8)
・ORIC NEWS 飛翔:「実学の知」による社会貢献 (奥野教授、07.10 月号)
情報誌
・中小企業岡山:プロダクトデザインによる産学官連携 (村木准教授、07.11 月号)
に掲載
・同上:岡山県産二段発酵茶の研究 (赤木准教授、07.12 月号)
・同上:産学官連携によるデザインの「見せる化」(奥野教授、08.1 月号)
・同上:高齢者・障害者の QOL(生活の質)向上を目指す研究 (香川教授、08.2 月号)
・地域共同研究機構の PR パンフレット(平成 19 年度版)
資料の
・教員の専門分野・研究内容紹介パンフレット(平成 19 年度版)
作成・
・「酢の健康レシピ」(OPU フォーラム 2007 等で配布)
配布
・OPU フォーラム 2007 のリーフレット・要旨集(5/29)
・第1回玄徳茶研究会のご案内(10 月)・学術研究報告書(12 月)
その他
・次世代交流会、アクティブ・ラボ等を機会に本学の産学官連携活動を随時紹介
・おかやま産学官ネットのホームページへ随時情報提供
・ベンチャープラザ岡山(コンベックス岡山)でデザイン診療所を開設(11/13)
・おかやまコーディネータ連絡協議会で大学のシーズ発表(10/29,3/24)
・岡山商工会議所ビジネス交流会で本学の産学官連携活動の紹介(8/22)
日常的に実施した情報発信の例
地域共同研究機構パンフレット
ベンチャープラザ岡山「デザイン診療所」
第1回玄徳茶研究会
OPU フォーラムの配布冊子
しんきん合同ビジネス交流会
酢のチョコレート取材風景
(2) 学内の教員等への情報発信
本学の研究活動を活性化し、社会貢献活動の充実を図っていくためには、教員等
が研究や産学官連携活動に関係する情報を遅滞なく入手することが重要である。そ
のため昨年度から、産学官連携推進センターから全教員・関係職員に対して、以下
の情報内容を掲載したメールマガジンを発行している。今年度の概要を以下に示す。
①名称:産学官連携推進メールマガジン
②今年度の発行状況
発行回数:13回(月1~2回発行)
③掲載情報内容
a 外部の競争的研究資金の公募情報(22件)
JSTの「シーズ発掘試験」については、2月4日に特集号を発行。
b 学内公募や本学主催行事等の学内情報(8件)
「OPU フォーラム 2007」については、4月 27 日に特集号を発行。
c 外部団体主催の産学官連携行事(18件)
18件中8件が 100 社訪問キャラバン隊の案内
d その他の情報(1件)
※( )内は、掲載件数を示す。
(具体的な内容例)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
O
P U
岡山県立大学 地域共同研究機構
産学官連携推進メールマガジン
━━━━━ Vol.16 ━ 2007年12月27日発行 ━━━━━━━━
========== 目次 ===============
■H20.5/29 OPUフォーラム2008関連情報
【1】展示テーマの募集開始
■競争的研究資金等関連情報
【2】シーズ発掘試験(科学技術振興機構)<予告>
■産学官連携行事等
【3】H20.1/15 企業ニーズ説明会(コーディネータ連絡協議会)
【4】H20.1/16 医用工学シンポジウム
【5】H20.1/18 「半導体ネットおかやま」による企業説明会
■県内の産学官連携情報
【6】コミュニティーIT・タウン構想
==============================
2.1-8 現状および今後の課題
産学官連携推進センターは、全学的な立場から産学官連携を推進する機関であり、今年
度は、従来から行ってきた基本業務の「共同研究・受託研究の推進」と、今年度から本
格的に開始した「領域・研究プロジェクト」による学域融合研究の創出・育成支援を
2本柱に掲げて活動を行った。
これらの活動においては、本学の教育研究の基本理念であり、今年度公立大学法人
化した本学が社会からますます求められている「人間・社会・自然の関係性を重視す
る“実学の創造”」という理念を常に念頭に置いて取り組んできた。
基本業務の「共同研究・受託研究の推進」においては、本学の研究シーズを質の高
い “実学”として実社会に活かすべく、本学が主体的に外部に提案していく「提案型
共同研究」の検討に今年度着手し、一部具体的な提案活動も開始した。来年度以降は、
この「提案型共同研究」に向けての活動に組織的に取り組んでいく計画である。
次に、学域融合研究の創出・育成支援活動の「領域・研究プロジェクト」では、こ
の活動を本格的にスタートさせ、その一環で産学官連携組織を立ち上げる等により、
本学研究シーズの実用化を推進した。来年度以降は、この「領域・研究プロジェクト」
に若手教員の関与の度合いを高めるとともに、より質の高い実学の創出・育成支援活
動を推進していく。
なお、上記した産学官連携推進センターの活動においては、ベースとなる以下の諸点に
来年度以降も注力していく。
1 本学の研究シーズの外部発信
ホームページの充実、OPU フォーラムの開催、マスコミや各種発表の場の活用等
2 学外との連携による情報入手と人脈形成
100 社訪問キャラバン隊、100 研究室訪問、次世代交流会等
3 本学教員の社会貢献意欲の向上支援
産学官連携活動や企業等の学外情報の伝達、教員の活動評価への支援等
2.2 保健福祉推進センター
2.2-1 概要
保健福祉推進センターは、昨年度まで保健福祉学部と短期大学部で運営・活動して
きたが、平成 19 年 3 月の短期大学部閉学に伴い、今年度から保健福祉学部を中心に、
情報工学部・デザイン学部からも幹事を加えて全学体制とした。平成 19 年度の主な
活動内容は次のとおりである。
センターのメインイベントとして本年度の『鬼ノ城シンポジウム』は、「笑いと健
康」をテーマに 10 月 13 日に本学で開催し、“楽しいシンポジウム”として成果を上
げた。8つの研究会活動や保育ステップアップ講座は、今年もそれぞれ独自の活発な
取り組みを行い、県内の保健福祉現場の第一線で活躍されている専門職の方々の学術
的支援を行った。また例年どおり、健康スポーツ支援として鬼ノ城グラウンド・ゴル
フ大会および岡山県立大学学長杯グラウンド・ゴルフ大会を主催した。一日保健福祉
推進センターは、1 月 18 日と 3 月 5 日に苫田郡鏡野町で「介護予防」をテーマとし
て講演を行ったが、これは鏡野町との共催で開催され、市町村との連携をいっそう進
めることができた。
2.2-2 第 6 回晴れの国鬼ノ城シンポジウム
(1)概要
本シンポジウムは、地域貢献の一環として県民の健康つくり・福祉増進に資す
ることを目的に毎年開催している事業で、その時代のニーズに沿ったテーマを選
び、専門家を招いて基調講演とシンポジウムを行っている。
今年度は保健福祉学部保健福祉学科の教員や学生ボランティアが中心となって
「笑いと健康」をテーマに開催した。近隣の住民、保健福祉施設職員、企業関係
者、学生、大学関係者など 400 名の参加者があった。シンポジウム実施後のアン
ケート調査からは「楽しかった」
「大いに笑えた」「今までにないシンポジウムだ
った」といったリラックス効果と笑いの意味を体感した感想が多く寄せられた。
日 時: 平成 19 年 10 月 13 日(土)13:00~16:30
場 所: 岡山県立大学講堂
参加者: 400 名
テーマ:「笑いと健康」
趣 旨:さまざまな価値観と規範意識が薄れている今日この頃、思いもつかない
ような事件が起こっている。高齢化・少子化と共に、将来への不安、職
場や学校の人間関係、格差社会の広がりなど、安心して健やかに生きて
いくための環境が年々厳しくなっている現状にあり、ストレスがたまる
環境はいっこうに変わりそうにない。
我が国には、「笑う門には福来たる」ということわざがあるように、古
くからいつも楽しそうにしている家には、おのずと幸せがやってくると
言われている。忙しい毎日を過ごしていると、
「笑う」余裕さえ失ってし
まう。少しも笑わず、笑えず、笑い合う人間関係つくりが苦手な子供た
ちも増えていると言われている。
近年、「笑い」
の効能が注目を集め、
「脳
を刺激する」「免疫力を高める」「痛みをおさえる」「ストレスを発散さ
せる」「細胞や血管を若わかしくする」
など心身を癒す力があることが科
学的に証明されている。また、「笑い」
は自分の気持ちを癒すだけでなく、
周りの人もなごませる効能がある。このシンポジウムからは「笑い」に
ついてさまざまな視点から切り込み、健康で生きていくための方策を探
ることができた。シンポジウムに参加することで、笑いに関する知識を
得ただけではなく、
「気分が和らぐ」
「リラックス」
できる時間となった。
(2)講演およびシンポジウムの内容
①基調講演
「笑いと健康―笑顔で長生き PPK のコツ!」
日本笑い学会副会長
医師(産婦人科・麻酔科)昇 幹夫氏
人間の体は使えば発達、使わなければ退化する。顔の筋肉も同じで、いつも難
しい顔ばかりしていると表情筋が退化し、笑おうと思っても引きつってしまう。
胎内にいた頃の記憶がある子どもたちがいる。お腹の中の頃の記憶だけでなく、
お腹に入る前の記憶として、空の上からお母さんを選んだということを語る子ど
ももいる。母親は「自分を選んで生まれてきた」と自覚してほしい。笑うと NK
細胞(ナチュラルキラー細胞)が元気になり、がん細胞が減ることが、大阪の吉
本興業の劇場での実験でわかった。気を病むのが一番いけない。気持ちが落ちる
と免疫力が落ちるので、乳がんの患者は「落ち込んだらしこりが大きくなる」と
言っている。
がんの原因の三分の一は食にある。日本の食をめぐる環境は悪く、味覚障害の
増加も話題となっている。味覚障害は亜鉛不足が原因で、過度のダイエットや加
工食品のとりすぎでなりやすい。治療が遅れると一生治らない。マヨネーズ中毒
になっている人もいる。マヨネーズを食べるとβエンドルフィンという快感物質
が分泌され、多幸感を得られるため、やめられなくなるのだ。マヨネーズは脂肪
が多い。人を良くすると書いて「食」の字となる。味覚は 10 歳までに決まるこ
とを忘れてはいけない。日本人と欧米人の遺伝子の構成は違う。洋食中心の生活
は糖尿病などの原因となる。
「国際人」ならぬ「穀菜人」になりなさい。穀物と野
菜をたくさん摂ってほしい。
タバコは最高の老け薬である。ニコチンは自然界の中で最も強い血管収縮剤で、
タバコを 1 本吸うと指先の皮膚温は 10 度下がる。子宮も収縮するので胎児の発
育が悪くなる。血の巡りが悪いのは美容の大敵でもある。
2003 年に吉本興業と筑波大学が共同実験を行った。糖尿病患者に食事のあと、
漫才を見せたら全員の血糖値が下がった。笑いが血糖値を下げる 64 の遺伝子の
働きを助けることが証明された。NK 細胞を元気にするには、笑うこと、泣くこ
と、人に話を聞いてもらうこと、化粧すること、楽しく歌うこと、が大切。その
他、よい睡眠を十分とること、冷たいものをとらない、冷やさないなど、つまり、
心地良いと思うことが大切である。喜怒哀楽は4:1:2:3の割合が良い。PPK
とはピンピンコロリの略。長生きのコツは心地よいと思えることをすること。笑
いが一番である。
吉本新喜劇の役者顔負けの話術で、笑いが絶えない講演であった。
②シンポジウム
「笑いと健康」をテーマに 3 名のシンポジストがそれぞれの専門の立場から話
題を提供し、参加者との交流を図った。
「喜怒哀楽と科学」
岡山県立大学客員教授・元岡山大学教授:高島 征助 氏
喜怒哀楽は人間にしかない心の動き。この複雑な心の動きをとらえるのは脳の
最深部にある「視床」である。
「恐怖」と「快楽」では、それを受け取る脳内の部
位も異なり、シグナルの伝わり方も異なる。
「神経伝達物質:セロトニン」「やる
気物質:ドーパミン」など、様々な物質が感情や行動に影響することがわかって
きた。一方、わからないことも多い。年をとると頭が悪くなるとは一概に言えな
いし、脳の重さで頭のよしあしが決まるわけではない。
うつ病の増加が問題になっている。ストレスを受けると、体の中で化学反応が
起こり、うつを引き起こすことがわかってきた。情報化時代になり、ストレスが
増加している。このような中では、笑うことが一番だ。
笑うことはタダでできる健康法であることが紹介された。
「”楽しさ”をあきらめないケア」
NPO 法人日本ダイバージョナルセラピー協会理事長 芹沢 隆子 氏
加齢、障害、認知症を抱えると、一番に「楽しむ」ことをあきらめるが、その
ことに疑問を持っていた。オーストラリアの高齢者には楽しそうな人が多く、楽
しむために支援するプロがいる。
「私たちは老いるから遊ばなくなるのではなく、
遊ばなくなるから老いるのだ」ということわざもある。よく生きるとは楽しく・
自分らしく・生き抜くこと。自分で楽しみをつくれなくなった時、楽しみをつくり
出すプロも必要なのではないかと、オーストラリアで気づいた。世界レジャー憲
章にも明記されたように、レジャーを供与することは健康、教育たけでなく、生
活の質を向上させるためにも重要である。レジャーは認知症の発生率を低下する
因子であるが、音楽や体をうごかすものは特に有効である。また、知的プロセス
を刺激することと社会的ネットワーク(コミュニケーション)が豊かな人は認知
症の発症リスクが低い。
楽しさをあきらめないとは、楽しく自分らしく生きることを支えることであり、
それを行うのがダイバージョナルセラピーである。ダイバージョナルとは、気分
転換、気晴らし、別の道を探すといった意味で、直訳すると「気晴らし療法」で
ある。
ダイバージョナルセラピーは、30 年ほど前にオーストラリアで始まった。
「ダ
イバージョナルセラピーとは、クライエントを中心とした実践であり、各個人が
その人にとって価値のあるレクリエーションやレジャーを経験することは、その
人の能力とは関係なく全ての人に与えられた権利であると認める」とその理念が
明確にされている。
高齢者に働きかけ、音楽・会話・赤ちゃんと接する・着飾って楽しむ(鏡で見
てもらう)
・踊りなど、さまざまに喜びを開発していくのがダイバージョナルセラ
ピー。
なくしそうな楽しみをもう一度取り戻すためのプロフェッショナルが求められ
ていることが紹介された。
「コミュニケーションロボットと笑い」
インタロボット(株)代表取締役 小川 浩基 氏
心の豊かさは人と人との間にある。その役に立つシステムをつくり出すことを
会社の理念としている。IRT(インターロボットテクノロジー)分野では、音声
からロボットの動きをつくり出すコミュニケーションロボットの開発・製品化に
取り組んできた。
コミュニケーションはキャッチボール。対面的コミュニケーションは相互に影
響しあいながら成立する。それを解析することで機械にコミュニケーション作用
を付加できないだろうか。
ロボットは産業・生活・コミュニケーションに大別される。それぞれに笑いと
の関連を見ると、産業用ロボットには名前をつけるなどの事例がある。生活ロボ
ットは、人との接触がなければ笑いの要素は必要ない。しかし、コミュニケーシ
ョンロボットには笑いは必要不可欠である。笑いは、人とのかかわりの中にある
ものだからだ。
コミュニケーションロボットには、人の声に反応してうなずいたり瞬いたりす
るものが開発されている。
例として、
「うなずき君」
、
「ティッシュ配りロボット」、
「漫才ロボット」、「癒しロボット」など、笑いを誘発するロボットたちである。
コミュニケーション場面での笑いは、最もコミュニケーションが上手くいってい
る状態と思われる。パートナーロボットとのコミュニケーションにも笑いが必要
である。
最高の笑いは人との間にしか生まれないのではないことを紹介された。
③参加者との交流
会場の参加者から笑いはどういう時に出るのか 笑わない人を笑わせるにはど
うすればいいのか、認知症の方をどうやって笑わせるかなどの質問を受け、参加
者との交流を図った。
高島氏から、笑いとは本能的なものと考えている。笑う・笑わないには遺伝子
も関係しているのではないか。家庭的な環境も関係しているだろう。しかし、人
間は本質的に笑う存在と回答した。芹沢氏は、にじみ出てくる笑いは私達にも感
動を与える。その人の持っているイメージの中の、
「可愛いいな」
、
「面白いな」な
どを引き出し、五感を心地よく刺激できたとき、笑いがにじみ出てくる。目で見
る、匂いをかぐ、味わう、心地いいものを触るなど、適切な刺激が必要である。
笑いは尊いもの。高島氏は、80歳代の方が化粧を施されたとき、
「おばあちゃん
綺麗」と声をかけられて笑っていたエピソードを紹介し、認めてもらうことが大
切であることを強調した。
小川氏からは、
「ニコニコしていると口からいっぱい幸
せが入ってくるよ」と語り合う親子を見て、ニコニコしてれば周りの人から助け
てもらえて、幸せになれることを実感したことが紹介された。
今回のシンポジウムでは、初めての試みとして、副センター長の岡崎順子教授
の指揮の下会場の参加者と共に合唱し、握手を交わしながら閉会した。
2.2-3 各種研究会活動
(1)地域看護学研究会
① 研究会の概要
地域看護学研究会は、本学看護学科卒業生のみでなく、県内で活躍する保健
師等のために研究や実践活動への示唆を得る場を提供している。これまで地域
看護活動の理論と実際、研究論文の論読、研究計画書の作成と統計等について
学習してきた。今年度は、医療制度改革に伴い、平成 20 年度から実施予定の特
定保健指導に着目し、
「効果的な特定保健指導のすすめ方」をテーマに活動した。
ア 第1回
日 時:平成 19 年 6 月 23 日(土) 10:00~12:00
参加者:18 人
テーマ:保健指導における「動機付け」の試み
~NLP(神経言語プログラミング)
の可能性~
講 師:岡山県井笠保健所長 則安俊昭 (元厚生労働省老人保健担当官)
内 容:保健指導で最も大切なのは、
「動
機付け」であり、如何にモチベ
ーションを持たせ、如何に継続
させるか!がポイントとなる。や
る気になれば、いいパンフレッ
トがたくさんある。専門職の役
割はやる気がない人に対してど
のように脳のプログラミングを書き換えることができるかである。ニ
ューロロジカルレベル(環境、行動、能力、信念・価値観、自己認識、
スピリチュアル)の段階において、せめて信念・価値観まで高める技術
が求められている。
イ 第2回
日 時:平成 19 年 8 月 11 日(土) 13:30~15:30
参加者:67 人(岡山県立大学アクティブキャンパスと共催)
テーマ:保健指導の効果って? ~保健指導の効果判定のための統計~
講 師:岡山県立大学保健福祉学部非常勤講師 矢嶋裕樹
内 容:理論は対象者がなぜある保健行動をとるのかを筋道を立てて考えるこ
とができる。理論を構成する各要因を調査により把握することで、対
象者の現在の状態と置かれている状況を把握し、保健指導計画の立
案・実行とその評価が可能になる。理論、仮説、モデルの関係を整理
し、分析方法を決定していく。今回は介入研究についての実際を紹介
し、現場の参考とした。
ウ 第3回
日 時:平成 20 年 2 月 16 日(土) 14:00~16:00
参加者:12 人(岡山県立大学アクティブキャンパスと共催)
テーマ:①英文解説 「英語の文献に親しもう ~ Facilitating Diabetes
Self-Management Goal Setting in a Real-World Primary
Care Center ~」
講 師:岡山県立大学看護学科准教授 沼本健二
②講 話:
「特定保健指導に活かせる保健行動理論と評価」
講 師:岡山県立大学看護学科教授 二宮一枝
③意見交換
内 容:英語の論文では、糖尿病患者への指導を行う専門職の訓練モデルの紹
介を行った。また、保健行動理論では、モチベーション・インタビュ
ー・プログラムやヘルスオブローカルモデルについてさらに学びたい
との要望があった。今年度、先駆的に実施している市町村の糖尿病の
特定保健指導の実施状況を紹介する中で、対象者の選定、保健指導の
難しさなどについて意見交換ができた。
② 今後の課題
今年度のテーマである「効果的な特定保健指導のすすめ方」について、理論
や統計の紹介を行ったが、来年度は実践に即いかせるよう、さらにその内容を
深めてほしいとの要望が多かった。実践との検証が課題であるといえる。
また、大学として最新の情報や海外文献の紹介なども引き続き実施していく
必要がある。
(2)ホスピスケア研究会
ホスピスケア研究会は、ホスピスケアとその理念に関心を持ち、終末期を取
り巻く社会状況の変化のなか終末期に求められているケアやより良いケアのあ
り方を考え、学び合うために活動をおこなっている。平成19年度は14名の登録
会員を迎え隔月に研究会を行った。今年度はがんと終末期に焦点をあてて活動
を行った。
ア 第1回研究会
日 時:平成19年6月16日(土) 14:00~16:00
場 所:保健福祉学部棟 6413号室
参加者:6名
内 容:1)メンバーの自己紹介
2)今年度の活動計画について
3)ホスピスケアと近年のがん対策における国内の動向について
講 師 本学 掛橋千賀子
ホスピス・緩和ケア病棟は経年的に増加(15 年で 30 倍に増加)し
ているが、絶対数は満たされていないのが現状である。また、ホスピ
ス・緩和ケア病棟の入院適応疾患は AIDS とがんに限定されており、
非がん疾患への適応拡大も今後の課題である。しかし一方、がんは依
然として大きな健康問題であり、平成 18 年 6 月に「がん対策基本法」
が成立し、翌年 4 月に施行された。平成 19 年 6 月にはこの法律に基
づき、「がん対策推進基本計画」が閣議決定され、がんによる死亡率
の減少とともにすべてのがん患者と家族の苦痛の軽減と療養生活の
質の向上が大きな目標として掲げられている。このような状況をふま
え、今年度はがん患者と家族の苦痛の軽減と療養生活の質の向上にも
焦点をあてながら、
ホスピスケアに求められているケアについて考え
ていきたい。
イ 第2回研究会
日 時:平成19年8月25日(第4土曜日) 14:00~16:00
場 所:保健福祉学部棟 6413号室
参加者:10名
テーマ:外来がん化学療法の現状
講 師:ホスピスケア研究会登録会員 犬飼昌子氏
内 容:日本のがん対策は平成16年度から開始された「第3次対がん10か
年総合戦略」に基づいた施策のひとつとして、がん診療連携拠点病院
の指定が行われ平成 18 年 10 月現在全国で 179 施設が指定されている。
地域のがん診療連携拠点病院への支援並びに専門的医師等の育成の役
割を担う国立がんセンター、がん対策情報センターをがん診療連携拠
点病院とし、地域全体のがん医療水準の向上と均てん化を目指して、
各都道府県や地域においてもがん拠点連携病院の整備がなされつつあ
る。
岡山県では、岡山大学医学部・歯学部付属病院、腫瘍センターが県
のがん診療連携拠点病院、岡山済生会総合病院、岡山赤十字病院、倉
敷中央病院、津山中央病院が地域のがん診療連携拠点病院として指定
された。岡山大学病院腫瘍センターには 11 部門が置かれ、外来化学
療法部門はその中の一つである。
平成 14 年に 8 床から年々増床されていた外来化学療法室が前身と
なり、平成 18 年 10 月の腫瘍センター開設に伴い 20 床まで増床され、
現在の腫瘍センター外来化学療法室が稼働を開始した。利用件数は開
設当初は月 100 件程度であったが、平成 18 年 10 月には 337 件、平
成 19 年 7 月には 406 件と増加傾向にあり、診療科別の利用者件数の
上位は乳腺内分泌外科、消化器内科、呼吸器内科、産婦人科、消化器
外科となっている。
外来化学療法室では、安全で質の高いがん治療を提供するために、
化学療法専門の医師、薬剤師、がん化学療法看護認定看護師、専任看
護師に加えて、医療ソーシャルワーカー、臨床心理士、栄養士、理学
療法士など色々な職種が連携している。またがん相談の受付を設置し、
がんに関する相談、緩和医療に関する相談、社会福祉の相談、心の相
談等にも対応している。しかし、外来化学療法を受ける患者の約4割
しか、かかりつけ医を持っておらず、遠方から通院治療をしている患
者が安心して治療を継続出来るように、岡山県地域医療連携マップの
作成が急務である。また、外来化学療法の導入目的は、がん増殖速度
の抑制、がんから来る症状の緩和、QOL の改善等で、治療を続けなが
らの緩和医療を受ける患者は援助の対象者となるが、緩和医療のみが
対象となる患者は、岡山大学腫瘍センターには受け皿が無く、このよ
うな患者に対する継続ケアのためにも地域の各部門や病院との連携
が今後の課題となっている。
ウ 第3回研究会
日 時:平成19年10月20日(土) 14:00~16:00
場 所:保健福祉学部棟 6413号室
参加者:14名
テーマ:がん専門看護師としての活動
講 師:済生会横浜市南部病院 がん専門看護師 林ゑり子 氏
内 容:専門看護師(以下 Certified Nurse Specialist:CNS)は複雑で解決困
難な看護問題を持つ、個人、家族および集団に対して水準の高い看護
ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識および技
術を深め、保健医療福祉の発展に貢献し、併せて看護学の向上をはか
ることを目指して活動している。CNS にはがん看護、老人看護、慢性
疾患看護、精神看護、小児看護、急性・重症患者看護、地域看護、母
性看護、感染看護の 9 分野があり、がん看護専門看護師(以下 OCNS)
は平成 19 年現在 79 名である。その役割は、がんの診断、治療、そし
て終末期という疾患の様々な過程においてがん患者やその家族が抱え
る多くの苦痛や困難に対し、がん看護に関する専門的知識と技術を駆
使し、医療スタッフと共に問題の解決に当たり、がん医療の質の向上
に貢献することである。
ここ半年の活動内容としては、オピオイド使用を増加させるための
活動、適切なオピオイドを使用するための活動、外来看護の充実、化
学療法と同時に行う緩和ケア、訪問看護との連携、ソーシャルワーカ
ーとの連携等が挙げられる。外来看護において症状のコントロールは、
患者の QOL に大きく関わる問題である。しかし従来は診療科の担当
医が疼痛コントロールを行っており、オピオイドの適切な使用が困難
なために疼痛コントロール不良な症例やオピオイドの副作用対策が
不十分な症例が発生し、オピオイド導入に対して拒否的な患者が増え
ていた。そこで、外来診療に関わる医師や看護師にオピオイドに関す
る教育を行うことで、がん患者に疼痛がある場合の相談が増え、コン
サルテーションが活発化してきた。そのことによって、緩和ケア医、
OCSN、がん性疼痛看護認定看護師、薬剤師が連携してフォローアッ
プすることが可能となり、その結果適切な情報提供がなされオピオイ
ド使用を拒否する患者が減り、良好な疼痛コントロールが可能となっ
てきている。
これらの活動によって、スムーズな外来治療の導入と在宅療養期間
の延長がもたらされている。また苦痛の緩和が行われることにより、
患者の QOL の向上が図られ患者や家族の満足度が向上してきている。
さらには、コンサルテーション業務を通じて医療チームメンバー間の
調整とチーム医療が推進されつつある。また病棟、外来を越えた一貫
したケアマネジメントを行うことで患者の QOL の向上が期待されて
いる。その他看護師の実践能力が向上することによって、看護師の満
足度も向上し退職率が下がる効果もあると考えられる。
エ 第4回研究会
日 時:平成20年2月16日(土) 14:00~16:00
場 所:保健福祉学部棟 6413号室
参加者:13名
テーマ:患者の心に寄り添うケア
講 師:高槻赤十字病院緩和ケア病棟
大池 恵理 氏
内 容:創設7年目を迎える緩和ケア病棟は、全室個室バリアフリーの平屋で、
各室からベッドのままで直接バルコニーやバルコニーに続く池の畔を
散策できるようになっており、四季折々の自然と触れあいながら過ご
すことが出来るロケーションである。面会は24時間フリーで、必要に
応じて家族が宿泊できる施設もあり、ペットの面会も自由となってい
る。また喫煙やアルコールも過度でなければ自由に楽しめ、出来るだ
け患者さんの要望に添えるように制限を設けないシステムを整えてい
る。緩和ケア病棟は、一般病棟と在宅の中間に位置する施設とも言え、
医療者がいることでの安心した療養環境の提供とともに、可能な限り
在宅に近い生活を送れることを目指して日々のケア提供を行っている。
緩和ケア病棟常勤医師は2名で、麻薬やステロイドなど緩和医療にお
けるサポートを行っており、症状コントロールと退院時サポート体制
の調整がついて、在宅に戻る場合もある。またここでのケアには体系
のしっかりしたボランティアの方々のサポートが大きな力となってい
る。しかし現実には、亡くなる2,3日前になって緩和ケア病棟への入
院を選択される場合も少なくない現状がある。それもひとつの選択肢
であるが、ホスピスは「よりよく生きるための場所」であり、一般的
によく言われる死ぬ場所では決してないということを皆さんにわかっ
ていただきたい。
緩和ケア病棟に入院する患者さんにとって、節分や桃の節句、七夕
等四季折々の行事とその方の誕生日は、それぞれがその方にとってほ
ぼ最後の行事という意味合いをもつため、緩和ケア病棟全体として大
切にとりおこなっている。また日々の生活の中でも、医療者は入院さ
れた方がそれぞれによりよく、自分らしく生きるために出来る限りそ
の希望に添えるように関わっており、その際に家族の方には十分な説
明を行って納得していただいてから、ご本人の要望を支える看護を行
っている。
患者さんへのケアは勿論のこと、入院される患者さんのご家族は遺
族になることが前提であり、入院中からご家族を含めてのケアを行い、
患者さんが亡くなられた後のグリーフケアも継続して行っている。改
めて悲しみが湧き上がってくると言われる百か日の頃に、プライマリ
ーナースが患者の療養を中心となって支えた方に手紙を送り、年二回
遺族の会を催し、話し合える場を設けている。
緩和ケア病棟ではゆったりした時間が流れていると思われるかもし
れないが、そうではない。緩和ケア病棟の患者は重症者ばかりであり、
忙しさは一般病棟と変わらない。その忙しい中で、いかにその人と向
き合う時間をつくっていくかが重要となる。そう考えると緩和ケアは、
緩和ケア病棟でしか出来ないというわけではない。患者の側にいて患
者の心の叫びを聞いていくことが何より大切だと考えている。苦しい
胸の内を明かしてくれるということは、信頼してくれているからこそ
だと受け止め、「私はあなたの言葉を聞きますよ」という姿勢で患者
と患者の心に寄り添い、「あなたの気持ちを私はわかっていますよ」
と伝えることが看護の大きな役割だと考えている。
<研究会の様子>
オ 今後の研究会の予定(第6回)
日時:平成 20 年 4 月 19 日(土)
話題提供:終末期医療-看護師がとらえた良い看取りと医療者に対する家族
の思い-(仮)
倉敷中央病院 看護師 田村紗希 氏
森 祥子 氏
今年度はがんと終末期に焦点をあてて活動を行ったが、終末期を取り巻く社
会状況の変化のなかで、終末期に求められているケアやより良いケアのあり方
について常に新しい情報を取り入れながら、より臨床や地域に根ざした活動を
行っていきたいと考えている。
(3) 看護技術研究会
① 研究会の概要
本研究会は平成 16 年に発足した。会員は医療・福祉施設ならびに教育機関
に勤務する看護職者である。またメンバーは次第に固定化し様々な取り組みが
紹介され学びは深まりつつある。目的は次に示すとおりである。
(1)看護技術に関して個々の技術の問題点を探る。
(2)個々の看護技術に関する Evidence について文献等を検討する。
(3)Evidence の検証や新しい Evidence の確立を目指し研究、公開する。
② 平成 19 年度の活動内容
研究会活動は毎月第 2 土曜日の午前に行っている。平成 19 年度は以下に示
す 9 回の活動を行った。なお参加者は毎回 15 名程度である。
ア
平成 19 年 4 月 14 日(土)
研究発表:「術後 3 日目の洗髪に対する患者の意識調査」
発表者:小寺裕子、梅田みちる(岡山市立市民病院)
本発表は、脳神経領域における術後の洗髪は近年では抜鈎前に行うように
なったが、その影響に関しては明らかにされてないところに着目し、患者
の意識を調査したものである。一般に患者の意識は抜鈎後にあるが可能で
あれば早くしたい者が大半である。
※ この発表後、沼本准教授から「術後のシャワー浴に関する Evidence」と題
した外国の文献が紹介された。
平成 19 年 5 月 12 日(土)
イ
研究発表2題
◆「尿道留置カテーテルの固定法の開発」池田訓子、池永貴久子、竹内枝
美子(岡山市立市民病院)
◆「急性期病院における看護師の不眠と薬剤使用の実態」小林愛(吉備国
際大学)
前者は膀胱刺激症状を緩和する目的で新たな固定法を開発し、従来の方
法と比較した研究である。新方法は刺激症状が緩和されるようであるが今
後、症例数を増やして学会発表に繋げることになった。
後者は急性期病院における看護師の不眠と薬剤使用の実態をアンケート
調査したものである。全体の 60%が不眠を経験し、その内の 60%が薬剤
を使用していた。不眠の原因の分析が必要であり、慢性期病棟との比較も
必要であることが討議された。
ウ 平成 19 年 6 月 9 日(土)
研究計画の発表と学術集会の報告
◆「温罨法が高齢者の上肢の血流および皮膚表面温度及ぼす影響について」
山田弥生、福本由美、原恵里加、渡辺幸世(倉敷中央病院)
この研究は抗がん剤の静脈内投与による血管痛に対する温罨法の効
果を検証するための健康者を対象にした基礎実験の成果をもとに患者を
対象に検証するための計画である。資料をもとにプロトコールに対して
討議をした。
◆「国際看護師協会 ICN 学術集会」に参加した肥後すみ子准教授から報告
があった。
エ 平成 19 年 7 月 14 日(土)
テーマ「高齢者の睡眠と脱水に関する文献検討」
発表者:奥山真由美(県立大学保健福祉学部看護学科)
ここでは発表者の日ごろの関心事をもとに文献検索した結果について資
料をもとに発表し、質疑応答を行った。何が何故問題か、討議した。キー
ワードは「高齢者」「睡眠」「脱水」「脳梗塞」であるが、さらに焦点を絞
り、まずは実態調査をするための調査票等を作成する予定である。
オ 平成 19 年 9 月 8 日(土)
2 題の研究発表
◆「手術を受ける患者の術前術後の睡眠状態の分析」山崎由美、尾崎由佳、
吉原みね子(岡山赤十字病院)
◆「大腿骨頚部骨折患者継続療養上の地域連携クリティカルパスの現状と課
題」石津かおり(岡山赤十字病院)
「地域連携クリティカルパス」は、高齢化に伴って発症の多い疾患に目を
向け、急性期病院からリハビリ施設へ一貫した方針による治療や看護が行
われることを目的に導入したシステムであるが、導入後のバリアンスの収
集、分析を目的とした実践的研究である。
カ 平成 19 年 10 月 13 日(土)
研究発表:
「特別養護老人ホームの入居者申請をめぐる家族の意思決定」
発表者:奥山真由美(県立大学保健福祉学部看護学科)
高齢化社会の到来で特別養護老人ホームへの入居待機者は急増している。
本研究の目的は、介護施設の入居待機者とその家族の意思決定プロセスなら
びに決定に影響する要因を明確にすることである。調査の結果、高齢者の 7
割が家族による決定であった。殊に高齢者が女性の場合は男性に比較してそ
の確率が高い。決定する家族にも苦悩や葛藤が認められている。本研究成果
は岡山大学大学院保健学研究科オープンフォーラム 2007 で発表された。
キ 平成 19 年 11 月 10 日(土)
研究発表:
「経腸栄養剤の温度の違いが患者に及ぼす影響」
発表者:中田千春、佐々木猛、平野里奈、渡辺恵津子、赤木幸子
(岡山赤十字病院)
本研究は経腸栄養剤を投与する際の温度設定(加温 or 常温)を問題視し
た臨床における実験研究である。加温群と常温群について患者の Vital Sign
ならびに腸蠕動を測定した結果、有意差は認められなかった。本実験では加
温投与に意味が見出せないという結論に至った。
ク 平成 20 年 1 月 12 日(土)
研究発表:「抗がん剤点滴中の患者に対する温罨法が上肢の血流と皮膚表
面温度に及ぼす影響」
発表者:山田弥生、福本由美、原恵里加、渡辺幸世(倉敷中央病院)
研究目的はジェムザール投与中の患者の温罨法による上肢の血流および
皮膚表面温度を明らかにすることである。臨床における実験研究である。実
験の結果、温罨法を施行すると血流が増加し、皮膚表面温度も上昇した。ま
た温罨法施行後 12 分で表面温度が最高値となるので薬剤投与 15 分前に温
罨法することが推奨された。
ケ 平成 20 年 2 月 9 日(土)
研究発表:
「腱板修復術後の患者のシャワー浴介助方法の見直し」
発表者:濱川沙代、山本佳代、西中尚子、中務富美子、塩田直史
(国立病院岡山医療センター)
腱板修復術後は長期間にわたり外転装具を装着しなければならないが、本
研究は装具装着のまま安全・安楽にシャワー浴をするための介助方法の工夫
とその評価である。考案された介助用具はすでに試作品が完成しているので
今回のデータを修正し基礎研究として学会報告することが勧められた。また、
医療施設によって術式や介助方法が異なるが、施設間で連携して研究するこ
との必要性も話題となった。
③ 今後の課題
本研究会での発表を学会発表へ発展させつつあるので今後も継続するが、地域
における看護研究ニーズは高いので会員を募って支援する。また、教育講演を企
画していきたい(アクティブキャンパスの活用)
。
(4)リスクマネジメント研究会
リスクマネジメント研究会は、医療施設に所属しているリスクマネジャー、看
護師長、看護教育者、研究者のメンバーで構成されている。医療現場で起こって
いるリスクマネジメントに関する諸問題を、医療事故を起こした看護師へのサポ
ートの視点で、平成 11 年度から研究活動を行っており、前年度は、医療事故を
体験した当事者(看護師)サポートの可能性を追求した基礎的研究を行った。当
年度は、そのデータを解析して、医療システムの視点から分析を深め、3 つの視
点でまとめ、第 38 回日本看護学会(看護管理)に発表した。その成果をさらに
発展させる方向を検討している。研究会の活動は、以下のとおりである。
① 会場
出石コミュニティ(岡山市幸町)
および課題別に所属施設を中心に活動
② 成果発表の演題名
・医療安全管理体制における当事者サポート構造化の試み
・医療事故当事者(看護師)サポートの現状と課題
・看護師の医療事故当事者体験におけるダメージの構造
③ 活動内容
ア 前半の活動(出石コミュニティに於いて)
日程 参加人数
4/23
7名
5/28
7名
6/25
7名
7/9
8名
8/20
7名
9/19
7名
6名
10/3
8名
10/22
活動内容
各演題の進捗状況を報告の上で検討
サポート・システム等、各構造化の検討
学会発表の際に使用するポスターの検討
イ 学会発表内容
(ア) 医療安全管理体制における当事者サポート構造化の試み
代表発表者:山田隆子(岡山県立大学)
医療現場は複雑高度化しており、発生する事故の要因連鎖の最終行為者とな
ることの多い看護師は、事故当事者になることが多い。1999 年の重大事故発生
以来、国の医療安全政策によってリスクマネジメントが推進されてきたが、発
生件数が減少しているとは言い難い。医療事故の当事者体験や事故への不安か
ら離職を招く現状が深刻化しつつある。そこで、医療組織における安全管理体
制の視点から当事者をサポートする構造を検討した。
(イ)医療事故当事者(看護師)サポートの現状と課題
代表発表者:平本美津惠(川崎医科大学附属川崎病院)
今日の医療は高度化に伴う業務の複雑化があり、医療職は迅速かつ高度な正
確さ、確実性が求められている。この臨床状況において看護師の医療事故への
関与は、その後の職業継続への障害として大きな課題となっている。当事者と
なった看護師は様々なダメージを受け、回復しきれないままに、人員不足から
通常の業務につくことが求められる現状がある。同じ経験を持つフォーカスグ
ループによるテーマ「医療事故当事者へのサポートの現状と課題」を開催した
ところ、参加者はいずれもダメージを受けた事故当事者へかかわる経験を持っ
ていた。事故後のサポートは、当事者の状況によりリエゾンナースや臨床心理
士など専門職者による場合もあるが、施設規模によっており、多くの場合その
責務は当該ユニットの看護管理者に任される現状が明らかになった。「事故後
には、患者の転帰を左右するような医療事故の責任が看護師にあると判明した
場合、いかなる場合でもその看護師に精神的サポートを提供しなければならな
い」と Kirkpatrick は述べているが、サポートの具体的方策は示していない。
また、先行研究はサポートの必要性に言及しているが、看護師のダメージとそ
の回復へのサポートを明らかにした研究は少ない。上記「現状と課題」の分析
過程では看護臨床において事故当事者を組織構造的に支援する必要が示唆され
た。そこで本研究は、さらにサポートする上での当事者ダメージを構造的に明
らかにした。
(ウ)看護師の医療事故当事者体験におけるダメージの構造
代表発表者:林千加子(川崎医療短期大学)
2006 年 4 月の医療法改正では、医療安全センターの設置や安全確保に関する
情報提供、研修の実施などが政策指針として示された。事故連鎖の最終当事者
となる看護職の事故報告は他職種を抜いて多い中で、看護職を中心とするリス
ク(セーフティ)マネジメントは事故防止の技術改善・ルールづくり・安全知
識の共有に努力を傾け、施設ごとの取り組みが行われている。新人看護師の離
職が 9.3%と、11 人に 1 人が離職していると報告され、その原因として、知識
不足・技術不足、医療事故への不安があげられる。医療の安全確保は組織環境
問題であるとともに、当事者サポートによって現状の質を維持向上させる必要
に迫られている。本研究では、事故当事者(看護師)のサポートに関与した参
加者によるフォーカスグループによって、今日の医療社会の変化著しい環境に
おける当事者サポートの現状と課題を明らかにした。
④ 後半の活動(出石コミュニティに於いて)
日程 参加人数
11/26
7名
12/17
7名
2/18
5名
3/10
活動内容
学会発表による質疑およびほかの研究成果を参考にリスクマ
ネジメントにおけるサポート課題について広く検討
研究協力参加者へのフィードバックの検討
今後の研究の方向性を検討
研究計画を考案
(5) 栄養学研究会
栄養士・管理栄養士の役割は、食を通じた健康づくりによって、人々が幸せで
生きがいのある人生を送ることができるよう支援を行うことであり、社会的には、
栄養士・管理栄養士の行う活動が医療費や介護費用の抑制にもつながるため、現
代の超少子・高齢社会において栄養士・管理栄養士への期待はますます高まって
いる。
当研究会では、栄養士・管理栄養士の専門職としての知識・技術の向上やその
延長線上にある研究活動によりその専門性を高めることを目的として、①栄養
士・管理栄養士活動に役立つ実践的研修、②会員相互の交流による実践や経験の
共有、③大学と地域との連携や研究支援、などの活動を進めている。登録会員は
40 名であり、その職種も行政、病院、福祉施設、教育機関(学校)、地域活動栄
養士、研究教育機関など多岐にわたっている。
① 栄養士・管理栄養士活動に役立つ実践的研修
ア 専門的知識を高める
日 時 平成 19 年 6 月 2 日(土)13:30~16:00
場 所 保健福祉学部棟 6101 参加者 12 名
テーマ 「食品の安全性とリスク管理」
講 師 保健福祉学部栄養学科教授
岸本 妙子
食事を家庭で用意することが少なくなる“食の外部化”、輸入食品への高い依存
率、そしてマスメディアによる食情報の氾濫など、現代の日本の状況は、我々が食
品の安全性に対して不安を抱きやすくなっている。
この講義では、何が食生活上の不安を引き起こしているのか(5つの視点から整
理)、リスクとは、食生活環境の不安要素とは何か、そしてそういった中で、解決
策として①法整備と②公共性を持った基準つくりをどのように行っていけばよい
か、という順に教えていただいた。
食生活環境の不安要素では、岸本教授の専門である、遺伝子組み換え食品につい
て、表示の面からも詳しく教えていただいた。例えば「大豆(遺伝子組み換え使用)
」
と書かなければいけないのは、「遺伝子組み換え農産物と非遺伝組み換え農産物を
農場から食品製造業者まで生産、流通、および加工の段階で混入が起こらないよう
に分別管理し、そのことが書類により証明されている」大豆を使う場合のみだが、
実際には両農産物は分別されていないので純粋な“遺伝子組み換え農産物”は存在
しない。このことを逆手にとって、メーカーは、たとえば豆腐のパックの表側に「遺
伝子組み換えダイズを使用しておりません」と書いている。一方、信頼できる表示
では、「不分別」というわかりにくい表現のみでなく、
「遺伝子組み換え原材料が含
まれる可能性があります」と書いてある。勉強した上で表示を見なければ、本当に
正しい情報を得ることはできない。また、食品の安全性を消費者求める要求の最大
限まで高めようとすると、非常にコストがかかる。リスク管理の考え方を理解し、
消費者の基準と専門家の基準、さらにはメーカー側の基準を擦り寄らせて、重なる
部分を「公共の基準」とする考え方が必要となる。さらに専門家は、安全性を徹底
して求める一般消費者に、リスク管理について辛抱強く誠意を持って説明し対応す
ることが必要であると結ばれた。
イ 栄養教育(授業)スキルの向上をめざす
日 時 平成 19 年 8 月 12 日(日) 13:00~16:00
場 所 保健福祉学部棟 6101
参加者 49 名
テーマ 「子どもたちの疑問に学び、生活化への意欲を引き出す健康教育を考える
Ⅲ ~NHK スペシャル『それでもあなたはやせますか』に学ぶ教材づく
り」
講 師
大分大学教育福祉科学部教授
住田 実
内 容
児童・生徒や一般住民など、対象の興味関
心に即した指導方法・教材研究を進めるために、住田
先生より、講義ならびに「<ダイエットと健康>の映
像教材づくりを追って」をテーマにした映像教材をご
紹介いただいた。台風で研修会が延期になり、盆入り
直前の開催だったが、大勢の熱心な参加者を得て活気
のある研修会となった。
○ 学科長あいさつ
本学栄養学科長の木本眞順美教授から、栄養学研究会の趣旨やこれまでの活
動などについての話があり、今後も活発な研究会活動が続けられるよう協力を
お願いしたいと結ばれた。
○ 講演の概要
健康に不安があって医療機関を訪問した人は、
よく話を聴いてくれるが、自己の健康に全く興
味のない相手には、
「あなたにも関係があるか
もしれない話」と思っていただくために「工夫」
をする必要がある。そこで、役立つのが、教材
方法論の手法や考え方である。
今回の 3 時間の研修テーマは、
「映像による<ダイエットと健康>の教材づ
くりを追って」
。本来、
「高齢者の病気」であるはずの骨粗鬆症、それが、なぜ
か若い女性にとっての切実な健康問題と
してクローズアップされてきている。ま
ずは、そこを“謎解き”の出発点としよ
うという発想で、若い女性にとって身近
で興味深く、かつ自らの食と生活習慣を
改めて見直す指導方法を開発しようとい
う試みであった。
バイクで日本一周をしたエッセイストの山村礼子さんは、ガソリン代を捻出
するために極端にバランスの悪い食事を数ヶ月続けた結果、骨が「スカスカ」
になったという。
「断食修行僧」
に近い生活でダイエットに励む女性がいる一方、
周りにお菓子を置いてぽりぽりと空腹を満たしながらバランスの悪い食事をし
ている若者も多い。一見、両極端とも見える若者たちの現状に、栄養指導関係
者はどう対処するか、課題と責任は大きい。講義では、映像教材分野の立場か
ら「栄養―運動―女性ホルモン―生活リズム」を融合させた教材と指導方法の
紹介があり、グループで答えを予想しながら、おおいに盛り上がった。その後、
NHK スペシャル「それでもあなたは、やせますか~警告・飽食時代のダイエ
ット~」の7つのチャプターに分割したものを、順に視聴し、教材化に向けた
研修が行われた。講義の最後には、教材作成について「限られた時間・条件内
で、最大の効果を上げる」ためには、教授学の教材構成論でいう「事項羅列型」
でなく、「典型展開型」による指導過程の発想が、栄養指導の場面でも有力であ
ろうとまとめられた。
ウ タイムリーで必要性の高いテーマを取り上げる 食育研修会
日 時 平成 19 年 9 月 22 日(土) 13:30~16:30
場 所 保健福祉学部棟1階 6101・6102 参加者 31 名
講師&コーディネーター
保健福祉学部栄養学科講師 永井 成美
内 容
○ 紹介「効果が上がりやすい食育プログラムの組み立て方」
聴き手の知的好奇心を刺激する食育プログラムを立てるためのポイント、およ
び実践例について永井講師より紹介が行われた。
○ 実践例紹介
(ア)幼児と母親への食育
「おじゃる丸のおやつ選び」
岡山県立大学 3 年次生
(総社市子育て支援事業)
「おやつ丸」をキャラクターとする、幼児と
母親対象の食育の紹介。
ペットボトルを胃袋
に見立てたおやつの栄養学的意義の説明などが好評であった。会場の専門職からは、
「ペープサートでなく、お面にしたほうが子どもの気が散らなくて良い」などのア
ドバイスがあった。
(イ)小学生への朝食指導
「山田君の朝食トレーニング」
岡山県立大学 3 年次生
(矢掛町山田小 HOT!ほっと!スクール)
小学生対象に夏休みに行った朝食についての食
育。媒体がカラフルでわかりやすいという感想、
媒体の色を食品分類の色(赤黄緑)に変更したほ
うが良い、
などのアドバイスが会場から出された。
(ウ)高齢者への食育
「でぇれぇ簡単省翁(しょうおう:勝央)料理」
岡山県立大学 3 年次生(勝央町男性料理教室)
勝央町で男性高齢者を対象に行った食育。
「水戸
黄門」や勝央町ゆかりの「坂田金時」を案内人とし
て、3 食印籠を使って食卓をバランスよく整え、低
栄養を予防することを目的とした。勝央町の管理
栄養士から参加者からの感想や後日談なども紹介していただけた。
(エ)「めざせ 831(野菜)マスター!味を切り口とした食育」
岡山県立大学 4 年次生
矢掛町山田小学校の5・6年生を対象とした食育研
究授業「めざせ 831 マスター!味を切り口とした食育」
について、研究計画から授業の実施、評価までの過程
が発表された。
○ 健康教育DVD「血液サラサラ健康生活」より,食育に役立つ映像紹介
○ ミニ講義「食育という言葉はどのように形づくられたのか、その変遷と込められ
た思いを探る」
食育という言葉が多用されているが、最初にこの言葉が書物に登場するのは明
治時代に遡る。時代とともに、「食育」という言葉やその有する意味がどのように
変化し、どのように使われていったのかについて永井講師より紹介があった。
エ 仕事に使える統計を学ぶ
日 時 平成 20 年 1 月 26 日(土)10:00~15:30
場 所 岡山県立大学保健福祉学部棟 6101
テーマ 「専門職・研究職のための-明日から使える統計を学ぼう1・2」
講 師 総合地球環境学研究所 林 直樹博士
(農学博士、統計士、データ解析士)
参加者 48 名
内 容 「電車のしくみでなく“乗り方”を覚
えて目的地まで到着していただきます」との
講師の言葉どおり、数式なし、難解な理論な
しで大変わかりやすく統計処理のハウ・ツーを
学ぶ今回で 4 回目の毎年恒例のシリーズ。講師
の著書「しらべる・まとめる・指導に生かす パ
ソコン&データ活用法」をテキストとして、午
前はデータ解析・統計処理入門」
「2 変数のデー
タ解析」を、午後は「データ解析(クロス集計
編、平均の比較編)
」および「調査票のつくり
方」について研修を行った。
統計という難しい話で長時間の研修にもかかわらず、
非常にわかりやすく、丁寧な研修をしていただいた。
②会員が行う研究活動への支援
ア 地域貢献活動、地域と連携した研究活動
○岡山市保育所第 3 ブロック 食育研究活動への支援
○新見市 高校生を対象にした食育への支援など
○食育をテーマとした研究の学会発表や論文指導、研修会講師、食育推進事業ア
ドバイザー、栄養教育に関する資料や教材提供
(6)社会福祉研究会
ア 事業の概要
平成 19 年度の研究会では、会員から出された要望(テーマ)に従って保健福
祉学科教員が講義を担当した。また、会員による事例検討(業務の紹介)を中心
に研究会を開催した。今日、社会福祉専門職(ソーシャルワーカー)への期待が
高まる一方で、その機能の問い直しが切実に求められている。今年度も、本研究
会において、会員と共にこの課題を踏まえて討議を重ねた。
平成 19 年度の研究会は、7 月 28 日(土)から 1 月 26 日(土)まで、計 5 回実
施した。時間は、14 時から 16 時 30 分の 2 時間 30 分である。会場は岡山県立大
学保健福祉学部棟で実施した。
研究会は、
(ⅰ)「講演+質疑応答」と(ⅱ)「事例検討」の 2 つを軸に開催し
た。(ⅰ)「講演」については、会員の要望に応えて保健福祉学科の教員が担当し
た。また、
(ⅱ)「事例検討」については、会員の事例報告に対して、各種専門職
からの総合的な検討を行った。
イ 研究会の参加者
研究会の対象者は、原則として社会福祉に関連する専門職である。参加者は、
行政機関の福祉関連職員、福祉事務所の職員、保健師、社会福祉施設の指導員、
医療ソーシャルワーカーなどから構成されている。今年度の会員は 16 名である。
また、講演会には会員以外の多数の聴講があった。
ウ 研究会の主な活動内容と成果
(ア)第 1 回社会福祉研究会
日時:平成 19 年 7 月 28 日(土)15:00~16:30
場所:岡山県立大学 保健福祉学部棟 6 階(6614 教室)
出席者:10 名
内容:○ 開会挨拶(保健福祉推進センター長 教授 香川幸次郎)
○ 会員と委員の自己紹介
○ 審議 今年度の活動方針,研究会の内容,事例提供者の選出
(イ)第 2 回社会福祉研究会
日時:平成 19 年 9 月 29 日(土)14:00~16:30
場所:岡山県立大学 保健福祉学部棟 6 階(6614 教室)
出席者:11 名
(ⅰ)講演:「フィールドワーク型調査を基盤としたソーシャルワーク研究」
講師:村社 卓(本学准教授)
村社先生からは実践事例等を用いて「フィールドワークの発想」
「フィール
ドワークとは何か」「ソーシャルワーク研究においてフィールドワーク型調
査が求められる理由」について説明があり、参加者と討論が行われた。
(ⅱ)事例検討:
(事例提供者:松嶋会員)
松嶋会員からは、「現場のMSWが大学院で研究をするということ」のテ
ーマで、「現場での葛藤・問題意識」を中心に報告があり、参加者はそれぞ
れの立場から報告内容に対してコメントを行った。
(ウ)第 3 回社会福祉研究会
日時:平成 19 年 10 月 20 日(土)14:00~16:30
場所:岡山県立大学 保健福祉学部棟 6 階(6614 教室)
出席者:16 名
(ⅰ)講演:「地域高齢者における閉じこもりと身体機能・活動能力の変化と
の関連」
講師:香川幸次郎(本学教授)
香川先生からは研究報告資料等を用いて、地域高齢者を対象とした閉じこ
もり研究の現状が明らかにされ、閉じこもりの類型の検証を通した閉じこも
りの定義と「閉じこもり・寝たきりの予防」について提案があった。このテ
ーマに関する参加者の関心は高く、参加者を含めて積極的な討論が行われた。
(ⅱ)事例検討:
(事例提供者:森山会員,大橋会員)
森山会員からはK町の保健福祉の概要が報告されたうえで、民生委員から
所属する地域包括支援センターへの相談事例が報告された。また、大橋会員
からは、T市の保健福祉の概要、業務の紹介とともに困難事例が報告された。
(エ)第 4 回社会福祉研究会
日時:平成 19 年 12 月 8 日(土)14:00~16:30
場所:岡山県立大学 保健福祉学部棟 6 階(6614 教室)
出席者:8 名
事例検討(事例提供者:吉田会員,西槇会員,高城会員,前原会員)
事例検討A:吉田会員からは、K市の介護保険事業利用状況について、豊富
なデータと共にその特徴・問題点が報告された。
事例検討B:西槇会員からはS市の介護保険事業の業務内容について、利用
者との関わりを中心に報告された。
事例検討C:高城会員からは「障害者の歯科医療保障に関する研究」が報告
され、福祉の視点からの課題について討議が行われた。
事例検討D:前原会員からは勤務する介護老人保健施設の職場紹介がなされ、
新人の立場から入所業務の課題等の検討がなされた。
(ウ)第 5 回社会福祉研究会
日時:平成 20 年1月 26 日(土) 14:00~16:30
場所:岡山県立大学 保健福祉学部棟 5 階(6503 教室)
出席者:8 名
(ⅰ)講演:「高次脳機能障害と相談支援」講師:中村光(本学教授)
中村教授からは、パワーポイントを用いて、高次脳機能障害の概要、高次
脳機能障害の症状、高次脳機能障害への介入(認知リハビリテーションを含
む)が明らかにされた。説明はわかりやすく、事例紹介等によりO県におけ
る活動についても理解することができた。また、このテーマに関する参加者
の関心は極めて高く、講師を含めて積極的な討論が行われた。
(ⅱ)事例検討:
(事例提供者:山成会員)
山成会員からは、K市の保健福祉の概要が報告されたうえで、身体・知的・
精神障害に関する平成 18 年度の障害認定区分、認定区分とサービスでの困
難点、在宅生活を支える相談支援事業、ケア会議の実際、相談支援事業の充
実の必要性などが、具体的な事例に基づいて報告された。
エ 今後の課題
この間、多くの会員から、本研究会に対して「事例報告を行うことでもう一度
自分の活動を見直す機会となった」という感想が寄せれた。また、研究会への要
望として、
「制度改正に伴う変更点等について検討してほしい」
「会員の提供する
事例検討を継続してほしい」
「研究会の回数をもっと増やしてほしい」などの要
望も出された。
このような会員の希望に基づいて、社会福祉関連領域の専門職者を主な対象と
した教育・学習の機会として、今後ともこの研究会を企画・運営していきたいと
考えている。社会福祉研究会では、社会福祉施設の指導員、医療ソーシャルワー
カー、行政機関職員、福祉事務所職員、保健師など社会福祉関連領域で働く専門
職の入会と積極的な参加を期待してる。
(7)介護福祉研究会
① 事業の概要
昨年度は教員及び会員から、介護福祉の現場における問題提起を、研究会に投
げかけて頂き意見交換を展開した。
今年度は、問題提起を発展させ、職場での「疑問点」や「明確にしたい事」を
中心に、テーマ絞った研究活動に重きを置いた。まず問題提起「介護の質を高め
る為に」から始まり、検討を重ねた結果、以下のテーマにたどり着いた。
介護の質を高める
介護福祉士の質を高める
経験豊かな介護福祉士を増やす == 離職を防ぐ
介護職を継続できる動機を調べる
このテーマに則して、会員は調査方法、対象、質問内容等、研究の方法論を学
び、その実践を通して、科学的な見方・考え方を習得し、将来の EBC(Evidence
Based Care)の端緒を開く介護福祉士を目指し研鑽を重ねた。 来年度には学会・
研究会報告ができるよう、
今年度末にはプレテストの集計が完了する予定である。
また、年度計画に従い、ミニ講座を開催し、最新の情報提供、研究紹介を行い、
介護福祉士及び関連専門職の業務の質の向上に尽力した。
② 活動内容
ア 第1回介護福祉研究会
日 時:平成 19 年 7 月 14 日(土)10:00~12:00
会 場:共通棟西 1階 5106 教室
参加者:7 名
内 容:1.趣旨・活動計画説明
2.会員・世話役紹介、今年度の抱負
3.研究テーマの討議
イ 第2回介護福祉研究会
日 時:平成 19 年 9 月 29 日(土)10:00~12:00
会 場:共通棟西 1階 5106 教室
参加者:7 名
内 容:1.ミニ講座:レビー小体型認知症
講
師:藤井准教授
2.研究内容検討:介護の質を向上させる要因
ウ 第3回介護福祉研究会
日 時:平成 19 年 10 月 27 日(土)10:00~12:00
会 場:共通棟西 1階 5112 演習室
参加者:6 名
内 容:1.ミニ講座: 福祉職員のメンタルヘルス
講 師: 谷口教授
2.研究内容検討:介護の質を向上させる要因「介護職を継続できる動
機」---急変事例とその後の介護職員のモチベーション
エ 第4回介護福祉研究会
日 時:平成 19 年 12 月 1 日(土)10:00~12:00
会 場:共通棟西 1階 5112 演習室
参加者:6 名
内 容:1.ミニ講座:介護老人福祉施設における排泄自立アセスメント
講
師:原野助教
2.研究内容検討:
『介護福祉職の継続に関する「動機」を分析する』た
めの調査および研究方法についての検討
オ 第5回介護福祉研究会
日 時:平成 20 年 1 月 26 日(土)10:00~12:00
会 場:共通棟西 1階 5112 演習室
参加者:6 名
内 容:1.ミニ講座:高齢者虐待について
講
師:桐野助手
2.研究内容検討:
『介護福祉職の継続に関する「動機」を分析する』た
めの半構造化面接法による調査を行った結果から、「介護を続けら
れる理由」「辞めたいと思った理由」「辞めたくても踏みとどまった
理由」に分けてキーワードを抽出した。3 月に 60 施設 300 人を対
象に質問紙を郵送する。
カ 第6回介護福祉研究会(予定)
日 時:平成 20 年 3 月 22 日(土)10:00~12:00
会 場:共通棟西 1階 5112 演習室
研究内容検討:途中経過の報告、今後の日程について検討する。
(第1回 自己紹介)
③ 今後の課題
今後は、調査票の作成の方法を学びながら調査を行い、データの収集並びに解
析を経て、平成 20 年秋には介護福祉研究会で発表するようにまとめていく予定
である。
平成 19 年 11 月 28 日「社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律
案に対する附帯決議」が国会で可決成立し、
『実効性のある福祉・介護労働力確保
対策を総合的に推進すること。
』と謳われている。本研究会の成果は、離職者の防
止に直結する即ち人材確保に極めて有効な結果が得られると期待され、様々な機
会に結果を紹介する予定である。
(8) 地域子育て支援活動研究会
① 研究会の概要
地域子育て支援活動研究会は、県内各地で取り組まれている地域子育て支援活
動(保育所・幼稚園未就園の子どもとその親を対象にした地域における支援活動)
について、実践や経験を交流し、互いに学びあうとともに、その成果・課題を共
有しよりよいあり方を考えることを目的として平成14年に発足した。これまで
は短期大学部児童福祉専攻が主催してきたが、短大閉学・保健福祉学科統合後も、
これまでの積み重ねを基に、計6回の研究会を計画した。
研究会メンバーについては、今年度、15名の会員を得た。会員は保育士や、
NPO スタッフ、保健師など多様な職域・職種で構成され、地域子育て支援の活
動と関心の広がりを表している。
② 今年度の内容
ア 第1回研究会
日 時:平成 19 年7月 28 日(土)14:00~16:00
場 所:学部共通棟西 1 階 5127・5128 会議室
内 容:実践交流・今年度研究会の取り組みについて
参加数:13 名
多彩な職種と活動の場を持つ会員の自己紹介も兼ねつつ、それぞれの取り組み
とそこでの成果や課題などを話し合い、今年度の研究会の年間計画を検討した。
児童虐待問題について、現場での戸惑いや対応の難しさが語られたことから、年
間計画に盛り込むこととなった(第5回研究会)
。また、第 6 回研究会では、や
はり関心を集めている発達障害の問題について取り上げることとした。会員の要
望や支援現場での課題にこたえることを志向した研究会の構成となった。
イ 第2回研究会
日 時:平成 19 年9月 14 日(金)18:30~20:00
場 所:学部共通棟西 1階 5127・5128 会議室
内 容:講座:
「地域子育て支援と保育所の役割」
講 師:岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科 中野菜穂子
参加数:20名
平成21年度実施を目指して保育所保育指針の改定作業が進展中である。そこ
で、改訂の動向について紹介しながら、保育所が地域支援を進めるための課題に
ついて検討した。
保育所保育指針の改定案(中間報告)では、保育所と地域子育て支援について
取り上げられており、
子どもの育ちや環境の変化の中で、これからの保育所には、
地域の子育ての拠点としての機能が期待されている。そのためには条件整備や他
機関・他領域との連携が求められる。
参加者から連携事例や保育所の子育て支援の実際について話題提供や情報交
換も行われ、今後の見通しを得ることができた。
ウ 第3回研究会
日 時:平成 19 年9月 29 日(土)
・30 日(日)
場 所:閑谷学校研修センター
内 容:「子育てネットワーク研究交流集会 in 岡山 2007」
この集会の企画主旨は本研究会の趣旨と合致するものであり、また本研究会の
会員は実行委員または報告者やシンポジウムコーディネーターなどとして、この
集会に積極的に関与している。そのためこの研究交流集会を今年度3回目の研究
会として位置づけた。
エ 第4回研究会
日 程:平成 19 年 11 月9日(金)14:00~16:00
場 所:学部共通棟西 1階 5127・5128 会議室
内 容:講座「コミュニケーション力をきたえる~社会的知能のアップ」
講 師:岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科 西山修
参加数:18人
子育て支援は、さまざまな人とのかかわりの中で展開される。一方で、保護者
や同僚等との人間関係に悩む支援者も少なくない。今回は、とくにノンバーバル
(非言語)の役割に注目しながら、人との豊かなコミュニケーションについて学
び合った。
具体的には、社会的知能のトレーニングを意図した映像クイズや、簡単なカウ
ンセリング演習を行いながら、ふだんは意識が向きにくい、ノンバーバル・コミ
ュニケーションへの気づきを促した。この回は、保育ステップアップ講座との合
同開催により、多彩なメンバーの参加を得ることができ、充実した学びのひとと
きとなった。
オ 第 5 回研究会
日 時:平成 19 年 11 月 24 日(土)14:00~16:00
場 所:学部共通棟西 1階 5127・5128 会議室
内 容:「保健師と保育士の連携と子育て支援」
助言者: 岡山県立玉島学園 家庭支援専門専門員 赤澤由美子氏
参加数:8人
子育て支援の現場で近年、児童虐待問題への対応が課題となっている。児童虐
待の早期発見・対応のために、保健師と保育士が連携を強化することが重要であ
る。また、虐待を行った親支援の手法について関心が高まっている。
この問題について、最も経験的蓄積のある児童養護施設より家庭支援専門相談
員の赤澤氏をお招きした。討議へのご助言にあわせ、児童養護施設での他機関と
の連携や、アメリカで開発され、日本でも導入が進みつつある親援助と治療のプ
ログラム「コモンセンス・ペアレンティング・プログラム」についてのご紹介を
いただいた。このプログラムについては特に参加者の関心が高く、良い情報提供
の機会となった。
カ 第6回研究会
日 時:平成 20 年1月 26 日(土)14:00~16:00
場 所:学部共通等西 1階 5127・5128 会議室
内 容:講座とディスカッション
「発達障害の理解と支援」
講 師:岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科 西山修講師
助言者:岡山短期大学幼児教育学科 上地玲子先生
参加数:12人
最近注目が高まっている発達障害について、支援者には理解と支援にかかわる
知識や技術を持つことが求められている。
そこで、本学教員による講座で発達障害にかかわる基礎知識や最近の動向など
を学ぶとともに、各支援現場での取り組みや事例について論議した。岡山県臨床
心理士会:発達障害部会でご活躍中の上地玲子先生にもご参加いただき、論議へ
のご助言をいただいた。
早期療育や支援の提供がのぞまれるが、療育の場の少なさや地域格差など、課
題は少なくない。
現状や課題が参加者それぞれの報告から浮き彫りになると共に、
それぞれの場での取り組みを進める現場や保護者の努力から互いに学びあう機会
となった。
③ 今後に向けて
当研究会は多彩な登録会員とともに、活発な討議を行い、登録会員にも本学ス
タッフにとっても様々な示唆や気づきを得られる場となっている。子育て支援の
場の多様化は、実践研究へのニーズの多様化ももたらしている。ニーズにこたえ
るための研究会のあり方を再検討しながらいっそうの発展を期したい。
2.2-4 保育ステップアップ講座
保健福祉学部保健福祉学科が中心となって行う「保育ステップアップ講座」は、旧
短期大学部児童福祉専攻の実績を継承・展開し、今年度で6回目の開催となった。保
育所、幼稚園の先生方をはじめ、子どもにかかわる多くの方々の参加を得て、地域の
学びの機会として既に定着している。今年度はさらに、内容の刷新、広報の徹底、合
理的な運営を試み、全4回の講座を8月から 11 月にかけて実施した。今年度の講座
の概要は、次のとおりであった。
第1回「子どもの歌、再発見♪」
日時:平成 19 年8月 10 日(金)18:30~20:00 参加者:32 名
講師:岡山県立大学保健福祉学部教授:岡崎順子
内容:保育内容「表現」に含まれる「音楽表現」は、音楽を楽しみ、自分なりに表
現することを通して、子どもたちの豊かな感性や表現する力を養う領域であ
る。そのための保育者の基礎的技能や力量が問われる。第1回の講座では、
子どもたちの好きな歌を見直し、参加者が子どもの歌を「再発見」する機会
を提供した。詩と音楽の関係を丁寧に追いかけ、その歌が持つ個性を再発見
しながら、子どもたちが生き生きと歌える伴奏法を教授した。初任者からベ
テラン保育者、さらには一般の方の参加もあり、楽しく有意義な講座となっ
た。
第2回「地域子育て支援と保育所の役割」
日時:平成 19 年9月 14 日(金)18:30~20:00 参加者:21 名
講師:岡山県立大学保健福祉学部准教授:中野菜穂子
内容:保育所保育指針の改定作業が急ピッチで進められている。改定に関わる議
論の中で、地域の子育て拠点としての保育所の機能強化が、見直しの 1 つ
の視点となっている。第2回の講座は、地域子育て支援活動研究会との合
同開催とし、保育や子育て支援に関わる多くの方の参加を得た。子どもの
育ちや環境の変化の中で、これからの保育所に期待される役割について、
話題提供と情報交換を行い、今後の見通しを得ることができた。
第3回「ダンス・コミュニケーションを楽しむ」
日時:平成 19 年 10 月 12 日(金)18:30~20:00 参加者:10 名
講師:岡山県立大学保健福祉学部講師:新山順子
内容:子どもたちの豊かな身体表現を受け止め、そして引き出す…。保育者には、
やわらかな身体的コミュニケーションの能力が求められる。第3回の講座
では、人とのかかわりから生まれる自由なダンスを楽しく体験しながら、
保育者自身のからだの感性を高めることを目指した。参加者は、講師の用
意した心地よいプログラムのもと、自分のからだを解放し、感性を研ぎ澄
ます体験をすることができた。
第 4 回「コミュニケーション力をきたえる―社会的知能のアップ―」
日時:平成 19 年 11 月9日(金)18:30~20:00 参加者:18 名
講師:岡山県立大学保健福祉学部講師:西山 修
内容:保育はさまざまな人とのかかわりの中で展開される。一方で、保護者や同
僚等との人間関係に悩む保育者も少なくない。第4回の講座では、とくに
ノンバーバル(非言語)の役割に注目しながら、人との豊かなコミュニケ
ーションについて学び合った。具体的には、社会的知能のトレーニングを
意図した映像クイズや、簡単なカウンセリング演習を行いながら、ふだん
は意識が向きにくい、ノンバーバル・コミュニケーションへの気づきを促
した。楽しく活動に参加する中で、ちょっとした人間関係や自己成長のコ
ツをつかんでもらうことができた。
参加者は前年度を大幅に上回り、累計で 81 名となった。講座案内の工夫や、申
込方法の簡略化などの効果があったものと推察される。また広報では、地元総社へ
の発信にも力を入れ、保育・子育て支援分野における社会的貢献を広く知っていた
だく機会ともなった。今後の課題としては、地域におけるニーズを捉えながら、一
層充実した講座内容を用意することが肝要と考える。多彩で充実した内容を提供す
るために、学部学科を超えた協働も重要と考えている。
2.2-5 健康スポーツ支援
岡山県立大学の地域貢献活動の一環として、県民の健康づくりおよび体力の維持増
進に資することを目的に次の事業を行った。
(1) 第6回鬼ノ城グラウンド・ゴルフ交歓大会
目的:岡山県立大学保健福祉推進センターと高梁川流域の各グラウンド・ゴルフ
愛好団体が連携して日頃の練習成果を競い、お互いの交流によって親睦と技
術の向上を図り、グラウンド・ゴルフの普及、大学・地域の発展を願い、本
大会を開催した。
日時:平成19 年9月15 日(土)
会場:岡山県立大学グランド(陸上競技場・サッカー場・野球場)
主催:岡山県立大学保健福祉推進センター
共催:総社市教育委員会、高梁川流域グラウンド・ゴルフ愛好団体
参加者:450名(山手GG協会、清音GG協会、総社阿曽GG協会、総社下倉
GG協会、総社東GG協会、倉敷市GG協会、真備町GG協会、船穂GG
協会)
(2)岡山県立大学学長杯第 14 回グラウンド・ゴルフ大会
目的:学内開放の一環として、地域住民へスポーツに参加する機会を提供し、
親睦を深め健康づくりを願い開催する。
日時:平成 19 年 11 月 10 日(土)
会場:岡山県立大学グラウンド(陸上競技場・サッカー場・野球場)
主催:岡山県立大学保健福祉推進センター
共催:総社市教育委員会、総社市グラウンド・ゴルフ協会
後援:山陽新聞総社支局
参加者:240名(参加団体:球友会、清音同好会、総社悠遊会、昭和、きび
路、タンチョウ、鬼ノ城 GG 同好会、和楽、ふたば会、山手 GG 同好会、
総社東 GG 同好会)
短期大学部の閉学に伴い、学長杯の主催を保健福祉推進センターに移したた
め、学生による大会の企画・運営ができなくなったが、総社市グラウンド・ゴ
ルフ協会や地域の愛好者の協力で継続することができた。両大会は年々参加者
も増え、次第に定着してきたと考えられる。20 年 4 月には、「第 16 回岡山県
グラウンドゴルフフォアサム総社大会」
(参加予定者 1200 名)を予定している。
今後も、健康スポーツ支援による地域貢献活動を充実させる工夫が必要である。
2.2-5 一日保健推進センター
岡山県立大学保健福祉推進センター業務の一環として、本学から担当教員がチーム
を組んで出向き、県民の健康づくりの支援のため、講演や実技指導、健康相談などを
行う「一日保健推進センター」事業を毎年実施している。平成19年度は岡山県苫田
郡鏡野町との共催により、平成20年1月18日鏡野町国民健康保険病院、3月5日
鏡野町中央公民館において2回に分けて開催した。第6回にあたる今回は「介護予防」
をテーマに高齢者を介護している介護職員及び地域住民を対象に、講演を行った。
(1) プログラム
① テーマ:「介護予防」
② 目 的:岡山県立大学保健福祉推進センターでは、保健福祉分野の専門職員
のレベルアップ支援などを通じて、県民の健康づくり・福祉増進の
面から地域貢献活動を展開している。その一環として、同センター
教員が専門分野ごとにチームを組み県内各地に出向き、県立大学が
有している保健福祉分野の知識・技術等を直接地域住民に幅広く提
供し、健康づくりに役立てていただくために「一日保健福祉推進セ
ンター」を開催している。
今回は鏡野町の介護職員および地域住民を対象に介護予防及び自
立支援を促進することを目的とした講演会を行い、福祉増進に資す
ることをねらいとする。
③ 主催:岡山県立大学保健福祉推進センター、鏡野町国民保険病院、
鏡野町役場
④ 場所:鏡野町国民保険病院、鏡野町中央公民館
⑤ 参加者:24名(1 月 18 日)、 22名(3 月 5 日)
⑥ 内容:講演「転倒について」
講師 香川幸次郎 岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科教授
介護予防サービスの現状について説明し、調査結果を交えて特に
転倒経験と活動低下の関係について強調し、運動器向上のポイント
しついて講演した。
講演「排泄ケアについて」
講師 原野かおり 岡山県立大学保健福祉学部保健福祉学科助教
失禁も種類や特徴を示し、失禁があってもトイレで排泄すること
の意味を説明した。さらに、排泄自立可能かどうかの見分け方と排
泄ケアのポイントについて講演した。
(2)今後の課題
参加者は主に介護職員および看護職員であった。受講者の勤務を勘案し、少人
数に分けた講演とした。転倒・排泄ともに身近なテーマであり、質の向上に役立
てたいという感想をいただいた。2回目の講演では、意見交換の機会を持ち、積
極的な意見交換ができた。参加型の講演で且つ実践可能な提案をしていくことを
次の課題としたい。
2.2-6 講師派遣
保健福祉推進センターでは、岡山県立大学保健福祉推進センター規程第2条に規定
する業務に該当するもので、市町村等から教員の派遣依頼があったものについて、個
別に認定を行い、講師等として内容に合った専門分野の教員を派遣している。
平成19年度におけるその状況は次のとおりである。
派遣日
5 月 29 日
5 月 29 日
6 月 16 日
6 月 23 日
内容
倉敷市特別支援教育専門家派遣事業専門家会議
地域子育て応援ネット構築事業運営協議会
中・高・大学生と幼児・学童とのふれあい食育教
室事業
岡山市保育協議会第3ブロック 食育研究への
指導
6 月 23 日
食育の講演
7 月 27 日
岡山市保育協議会第3ブロック
指導
食育研究への
派遣教員
山磨康子教授
久保田恵講師
依頼者
倉敷市
岡山県
久保田恵講師
岡山県
永井成美講師
岡山市
久保田恵講師
久米南町立
弓削保育園
永井成美講師
岡山市
7 月 31 日
8 月7日
9 月 20 日
9 月 23 日
9 月 26 日
11 月 26 日
12 月 6 日
倉敷市特別支援教育専門家派遣事業専門家会議
中・高・大学生と幼児・学童とのふれあい食育教
室事業
倉敷市特別支援教育専門家派遣事業専門家会議
岡山市保育協議会第3ブロック 食育研究への
指導
岡山県保育会給食部会講演講師
倉敷市小・特別支援学校給食献立審査委員会献立
内容審査
食育の講演
倉敷市小・特別支援学校給食献立審査委員会献立
内容審査
12 月 20 日 倉敷市特別支援教育専門家派遣事業専門家会議
岡山市保育協議会第3ブロック 食育研究への
12 月 25 日
指導
2月3日
倉敷市学校給食展 講師
3 月 12 日
倉敷市特別支援教育専門家派遣事業専門家会議
12 月 7 日
山磨康子教授
倉敷市
久保田恵講師
岡山県
山磨康子教授
倉敷市
永井成美講師
岡山市
永井成美講師
岡山県
川上貴代講師
倉敷市
永井成美講師
矢掛町立山
田小学校
川上貴代講師
倉敷市
山磨康子教授
倉敷市
永井成美講師
岡山市
川上貴代講師
山磨康子教授
倉敷市
倉敷市
2.2-7 現状と今後の課題
本センターは平成14年4月に設置されて以来、地域に開かれ地域に貢献する本学
の一翼を担い、保健福祉学部の持つ知識や技術を直接県民の方に、また専門職の人々
を介して還元する活動を幅広く展開してきた。今年度も開催した鬼ノ城シンポジウム
は時代が要請する身近なテーマを取り上げ、県民の方々と健康や福祉の問題を共に考
える機会を提供してきた。一方、保健福祉分野の専門職を対象とした研究会等を開催
し、専門的な立場から県民の健康福祉問題の解決策を探り、130 名を越える専門職の
方々がその成果を日々の実践において活かしている。
その他健康づくりの支援を始め、
教員を講習会や研修会等に派遣し、本学の持てる知識や技術が地域に還元されており、
保健福祉センターの活動も定着してきたと評価できる。
しかし昨今の急速な少子化や高齢化、人口減少社会の到来が叫ばれるなど、保健福
祉を取り巻く環境は大きく変化してきている。とりわけ核家族化に象徴されるように
生活を支える基盤は脆弱化し、従来のフォーマルな支援のみでなく、インフォーマル
な支援との連携が求められるなど、新たなニーズが生じている。他方、一連の食品に
関する報道に見られるように、食の安全・安心に対する県民の関心は高く、健康を研
究対象としている我々にとっても等閑視できないものである。
本センター開設から 6 年が経過しセンターの活動は定着してきたが、健康や福祉問
題は日々変化してきており、県民の方々のニーズに対応した地域に貢献できるセンタ
ーを今後とも目指していきたい。
2.3 メディアコミュニケーション推進
センター
2.3-1
概要
平成19年度においても、地域社会のメディアコミュニケーションの支援要望はや
はりグラフィック制作物が多くを占めた。こうした要望に対しセンターでは、今年度
新たな対応として、スタッフ教員の教育下にある学生を制作に参加させ、制作指導す
ることで成果物を完成させる方法をとった。いわば従来からあった学生アルバイトの
動員ではあるが、今年度はこの学生の制作指導において、実地教育という側面を強く
打ち出して取り組んだ。
つまり、学生に単なる労務作業を求めるのではなく、クリエイティブな成果物を求
めたのはもちろんであるが、その制作過程で「地域社会が何を求め、それにどう応え
て行くか」を重視した制作指導を行った。クライアントの要求を聞く打ち合わせ、現
場取材、意見交換、そして考案試作、プレゼンテーションと、モノがつくられる過程
を丁寧に体験させる(特にクライアントとの協議に時間をかけた)という実地教育を
展開したのであった。
このことは学生からも高く評価され、参加を希望する学生から次の「仕事」の問い
合わせが来るほどであった。
そうした「仕事」を具体的にあげると、
①第19回生涯学習フェスティバル「まなびピア岡山2007」をPRする緑茶缶
のデザイン
②(社)岡山県食品衛生協会の食の安全認証プレートのデザイン
③ショッピングセンターリブ21の外壁の巨大アートデザイン
④岡山県が進めている「かぎ掛け県民運動」の啓発用サインの考案とサインポスタ
ーの制作などである。
これらの制作支援事業はいずれもマスメディアで取り上げられ、岡山県立大学デザ
イン学部学生のデザインを生かした社会貢献活動として報じられた。なかでもリブ2
1外壁の巨大アートデザインでは巨大アートの完成除幕式が行われ、指導したスタッ
フ教員と制作した4人の学生が除幕式に参加、学生4人にショッピングセンターから
感謝状が贈られた。その様子は新聞だけでなくテレビでも広く報道された。
グラフィック制作支援は年度末になって、BIZEN中南米美術館の08企画展に
おける展示案内パネルのデザイン制作という大がかりな「仕事」が舞い込み、現在、
スタッフ教員3人が学生5人を指導・教育しながら制作活動を展開中である。
こうした学生を指導・教育する形の制作支援は、グラフィックだけでなく、映像の
分野にも波及する動きが出てきた。岡山県と進めた「かぎ掛け県民運動」のサイン等
の制作支援がきっかけとなって、最近被害が蔓延している「振り込め詐欺」を未然防
止するための映像作品を制作することになった。まだ、スタートしたばかりだが、学
生を教育動員するとともに外部からの協力も得ておこなう計画で、新年度にまたがる
メディアセンターの大きな事業として期待されている。
最後に、平成16年度にスタートした岡山後楽園を核とする産学官連携の後楽園プ
ロジェクトにおいては、今年度から過去の事業の果実を享受する段階にはいった。後
楽園のお弁当「お庭そだち」および後楽園の名前を冠した駅弁「後楽園のお弁当」は
いずれもほどほどの売れ行きがあって、ロイヤリティ方式によるデザイン料の受け入
れが定着してきたことを報告しておく。
活動のかたちと件数は下記のとおりである。
<19年度活動のかたちと件数>
審査委員・講演・講座の講師
グラフィック制作支援
5件
10件
映像制作・送信支援
2件
デジタルコンテンツプロデュース支援
1件
2.3-2
活動の実績
(1)地域支援活動
【審査員・講演・講座】
①防犯ビデオの解析
日時:4月24日分析
依頼:玉島警察署
内容:玉島警察署の防犯ビデオの映像を分析する。
対応:嘉数彰彦教授
②第54回NHK杯全国高校放送コンテスト岡山県予選の審査員
日時:6月23日審査
依頼:NHK岡山放送局
内容:高校生の日頃の放送活動の成果を競う全国コンテストの岡山県予選で審
査員をつとめる。TVドキュメントやアナウンスなど7部門で県内高校
20校(のべ180人)から応募があった。
対応:嘉数彰彦教授が審査員として、TVドキュメントやTVドラマなど5部
門の審査に参加。予選通過したものは7月24日から26日に東京で行
われた全国決勝大会に進んだ。
岡山県予選 審査結果発表(7・6・23)
③第 25 回国民文化祭岡山県実行委員会・企画委員会委員
日時:9月 3 日就任
依頼:岡山県国民文化祭準備室
内容:平成 22 年秋に岡山県で開催される第 25 回国民文祭において県が実施
する事業の企画立案などに尽力する。
対応:嘉数彰彦教授に打診があり、9 月 3 日の第一回実行委員会で企画委員会
委員に就任。企画委員会は 9 月 3 日、11 月20日、2 月 6 日に開かれ、
出席して意見を述べた。
【グラフィック制作支援】
①観光岡山のブランドマークの新規開発
日時:2月13日依頼
依頼:岡山県観光産課
内容:岡山県の特産品に、岡山を代表するブランド品であることを示すマーク
を付して大々的にアピールしていこうと、あらたに岡山ブランドマーク
を開発するもの。
対応:野宮謙吾講師が担当。依頼されたのは前年度であったが、考案作業に入
ったのは今年度になってから。5月末に完成した。岡山県の採用の決定
を得て、6月1日、岡山県のHPで発表、掲載された。
観光岡山のブランドマーク
②生涯学習フェスティバル「緑茶缶」のデザイン制作支援
日時:4月26日依頼
依頼:岡山県生涯学習フェスティバル推進室
内容:第19回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア岡山2007」をP
Rするため緑茶缶を製造することになり、その緑茶缶の表面をデザイン
する。
対応:野宮謙吾講師の指導でデザイン学部4年の寺川恭代が制作。6月11日
最終完成をみた。寺川のデザインは山陽新聞などで報道されたほか、総
社市の広報誌に掲載され、生涯学習フェスティバルのPRに貢献した。
山陽新聞 07・8・4
緑茶缶(表)
総社市広報誌に掲載
③後楽園茶摘祭り用のおにぎりのパッケージデザイン制作支援
日時:5月9日依頼
依頼:㈱河本食品と岡山後楽園
内容:後楽園の茶摘祭りに出されるおにぎり弁当を「お庭そだち」シリーズの
ひとつとしてパッケージデザインする。
対応:西田麻希子助教が担当。6月11日に完成、データを納品。
茶摘まつりのおにぎり弁当
④食の安全認証プレートのデザイン制作支援
日時:5月10日依頼
依頼:(社)岡山県食品衛生協会
内容:販売している食品が安全で安心できるよう、常に自主的にチェックして
いる店だということを示す岡山県の認証プレートのデザインを制作する。
対応:野宮謙吾講師の指導でデザイン学部3年の藤本恵美子が担当。2案をプ
レゼンテーションし決定した。
食品の店に設置される
⑤インド現代絵画展のポスター等制作支援
日時:5月
依頼:NPO法人日印芸術研究所
内容:7月に東京、上野の森美術館で開催される「インド現代絵画展」のポス
ター・チラシ・入場券一式の統一デザインをおこなう。
対応:西田麻希子助教が担当。6月9日に完成、データ送付。
⑥第6回晴れの国鬼ノ城シンポジュウムのポスターとチラシ
日時:6月中旬
依頼:保健福祉推進センター
内容:恒例となった保健福祉推進センター主催の「晴れの国鬼ノ城シンポジュ
ウム」のポスターとチラシのデザインを制作するもの。第 6 回のテーマ
は「笑いと健康」
。
対応:西田麻希子助教が担当。6 月下旬打ち合わせ、7 月下旬納品した。
「笑い
と健康」のテーマにふさわしいユニークなデザインに仕上がった。
「笑いと健康」のポスター(チラシも同じデザイン)
⑦日本看護研究学会中四国地方会・学術集会のポスターとチラシ
日時:6月14日
依頼:保険福祉推進センター
内容:平成 20 年 3 月 2 日、岡山県立大学でおこなわれる日本看護研究学会中
国四国地方会大21回学術集会「臨床における研究と基礎研究との融
合」をひろくアピールするためのポスターのデザインを制作する。
対応:西田麻希子助教がデザインを担当。吉備路の写真は嘉数彰彦教授。7月
25日にデータで納品。
テーマは「臨床における研究と基礎研究との融合」
⑧リブ21外壁への巨大アートデザインの制作支援
日時:8月2日
依頼:協同組合リブ・清水男代表
内容:総社市のショッピングセンター「リブ21」の外壁に、地域の人たちが
楽しさを感じるようなアートデザインを制作する。スペースは高さ2.
3m横巾8.2mあり、フィルムにインクジェットプリントする。
対応:野宮謙吾講師の指導で、デザイン学部3年生4人、岡崎純子、寺本志穂、
藤村友梨、藤本恵美子が共同して担当。現地調査やクライアントとの打
ち合わせ、そしてプレゼンテーションと段階を追って制作した。
10月29日除幕式が行われ、4人に感謝状が贈呈された。除幕式の模
様はテレビニュースでも取り上げられ、4人の活躍が紹介された。
巨大アート(高さ2.3m巾8.2m)
除幕式(7・10・29)
山陽新聞(7・10・30)
感謝状をいただく
制作した 4 人
⑨かぎ掛け運動の啓発用サインの考案とポスターの制作支援
日時:7月25日
依頼:岡山県安全安心まちづくり推進室
内容:岡山県が進めている犯罪のない安全安心のまちづくり事業のひとつとし
て、かぎ掛け県民運動をアピールするため、啓発用のサインを創出し、
そのサインをつかったポスターやステッカーのデザインを制作する。
対応:桑野哲夫教授が担当。デザイン学部学生3人でチーム編成し、依頼者の
コンセプト説明からはじまってラフ案の検討、デザイン案についての協
議、修正案提示、プレゼンテーション、最終決定、入稿、校正などと丁
寧に順を追って作業を進めた。
最終的には、
「かぎ掛け県民運動」
の新聞広告の原稿まで制作タッチし、
9月30日に、公共用ポスターB2、B3版と家庭用ステッカーのあわ
せて3種のデータを納品。
かぎ掛け運動のサイン(家庭用)
かぎ掛け運動のサイン(街頭用)
10月9日、岡山県庁記者クラブでかぎ掛けサインの記者発表が行
われ、桑野教授と学生が出席して説明した。
3人の学生は、デザイン学部3年、相川梨恵、藤田有紀子、森下奈
実恵。
岡山県政記者クラブで記者発表
山陽新聞(7・11・5)
⑩BIZEN中南米美術館企画展の展示案内パネルのデザイン制作
日時:1月25日依頼
依頼:BIZEN中南米美術館(森下泰之理事長)
内容:BIZEN中南米美術館が行う平成 20 年度企画展「クフル・アハウの残
輝」の展示案内パネル、およそ15枚をデザインする。
対応:吉原直彦教授のもと東島真弓准教授、西田麻希子助教がチームを組んで
デザイン学部学生5人を指導教育しながら制作にあたる。2月10日、
BIZEN中南米美術館を訪ね、展示状況を見学したほか、制作物につ
いてのトータルイメージを確認した。
学生はデザイン学部3年の寺本志穂、藤本美恵子、藤村友梨、森瑞恵、
山崎博加の5人。納品予定は3月10日。
BIZEN中南米美術館
古代アメリカの文化遺産を展示
【映像制作・送信支援】
①CM制作講座
日時:8月22日
依頼:山陽女子高等学校・放送部(門田豪毅顧問)
内容:山陽女子高等学校・放送部の生徒25人を対象にCMの制作について講
義する。
対応:生徒を本学デザイン学部に招き、スタジオや編集室など映像制作の現場
設備を見学させるとともに、CMの制作について撮影・編集の技術を教
授した。
CM制作講座
CM制作講座(デザイン学部スタジオ)
②デジタルクリエーター養成講座
日時:8月25日、26日、9月1日、2日の4日間
依頼:本学デザイン学部として毎年実施するもの。
内容:本学デザイン学部が有するデジタル映像制作の設備と技能を活かし、県
民の多くにデジタルコンテンツの制作技術を身につけてもらう。人材養
成講座。
今年度は第19回生涯学習フェスティバル「まなびピア岡山2007」
実行委員会の要請により、フェスティバル会場などで活躍が期待されて
いる撮影ボランティアを対象に講座を展開した。
対応:デザイン学部の教室などを使って、嘉数彰彦教授、斉藤美絵子助教、西
垣浩行助手が講座を指導。受講者は上級者10人、初・中級者5人で4
日間にわたって、撮影の実習などもふくめ撮影の仕方、編集の仕方など
を講義した。
③第19回全国生涯学習フェスティバル「まなびピア岡山2007」
・
インターネット映像配信
日時:11月2日~11月6日
依頼:岡山県情報政策課
内容:
「まなびピア岡山2007」でおこなわれた開会式をはじめとする催しを
全県民に視聴してもらうためフェスティバル会場の映像をインターネッ
トで県内に配信する。
対応:嘉数彰彦教授、斉藤美絵子助教が担当。
情報政策課の協力要請を受けて、岡山情報ハイウエイを使ったストリー
ミング、あるいはマルチキャスト方式によるインターネット配信を実施。
シンフォニーホールで行われた総合開会式をはじめ、倉敷市の芸文館
での閉会式、また、メイン会場の桃太郎アリーナからはステージ上のイ
ベントを配信した。一般県民はインターネットで各会場の映像を楽しむ
ことが出来た。
開会式の様子(シンフォニーホール)
パソコンやワンセグで受信できた
ネット配信の機器
④阿哲商工会・CATV番組制作支援
日時:11月8日から12月20日
依頼:阿哲商工会
内容:阿哲商工会のCATV番組として制作中のビデオ作品「発見発掘新見物
語」の編集指導。
対応:嘉数彰彦教授が㈱イメージクラスターで制作中の同番組の編集を指導し
た。
【プロデュース支援】
①第2回「デジタル岡山グランプリ」のプロデュース支援
日時:4月~11月
依頼:岡山県立図書館において結成された「デジタル岡山グランプリ」実行委
員会(嘉数彰彦実行委員会委員長)
内容:デジタルコンテンツの制作が一層盛んになることを目標に、デジタル映
像作品を募集し、優秀なクリエーターを表彰する。
対応:岡山県立図書館を中心に民間の企業・団体の参画を得て、共催事業とし
て展開。嘉数彰彦教授が企業・団体への協賛への呼びかけから実行委員
会の立ち上げ、さらに公開審査までをプロデュースするもの。
2回目の今年は「まなびピア岡山2007」の参加事業として、早め
に作品の募集をはじめた。また、デジタルコンテンツ制作のための撮影
技術などのセミナーも開催した。
経過:4月10日
第1回実行委員会。嘉数彰彦教授が実行委員長に就任。
5月 1日
作品募集開始。
8月18日
「デジタル岡山グランプリ参加セミナー」を開き、嘉数
彰彦教授が映像作品の制作技術について教授。
9月22日
作品募集締め切り。158点の応募があった。
10月 6日
事前審査。158点を視聴。
7日
事前審査。158点を視聴。
10月21日
予備審査。ノミネート作品を選出。
11月 4日
公開審査と表彰式。ノミネートされた9作品を一挙上映、
映画「バッテリー」監督の滝田洋二郎氏を審査委員長に
厳重審査し、グランプリなど総額90万円の賞が決定し
た。
あいさつする嘉数教授
公開審査の会場
グランプリ作品の表彰
(2)その他の活動
①OPUフォーラム
19年度OPUフォーラム「新たな展開に向けて」(5月29日実施)におい
て、メディアコミュニケーション推進センターの活動報告のほか、2つの研究発
表をおこなった。
ⅰ、メディアコミュニケーション推進センター活動報告 嘉数彰彦教授ほか
ⅱ、岡山県立図書館デジタル絵本製作講座 西垣浩行助手ほか
ⅲ、岡山後楽園オリジナル製品ブランド化プロジェクトオリジナル弁当パッケ
ージデザイン 斉藤美絵子講師、西田麻希子助教、西垣浩行助手。
メディアセンター展示コーナー
岡山後楽園の弁当パッケージデザイン
絵本製作講座
②電話相談
サテライトキャンパスが、昨年度(18年7月)閉鎖されたため、今年度は公
に計画的におこなう「メディア支援相談会」は出来なかった。このため、今年
度はメディアコミュニケーション推進センターのHPを見て、あるいは口コミ
によって持ち込まれた相談に対応してきたところである。
この結果、センターへの電話、あるいは推進員の渉外活動のなかで得られた
相談が11件になった。このうち、正式に支援に結びついたのは「食の安全認
証プレートのデザイン」と「かぎ掛け県民運動のサイン等の考案・デザイン」
であった。そのほかについては相談後、制作依頼があったもののお断りしたの
が3件あった。
特異な案件で、岡山大学資源生物科学研究所から「瓦で生育するツメレンゲ
を用いた屋上緑化のデザイン」の支援・共同研究の依頼があり、正式に支援研
究申請も出された。しかしながら、メディアセンターには適任の専門家がいな
いことから数回の協議の末、デザイン工学科の古民家再生を専門とする太田民
雄教授を紹介した。現在、太田教授のもとで支援研究が順調に進んでいる。
(3)対価受け入れ状況
デザイン制作支援などによって対価の受け入れが可能なものについては、教育研
究奨励寄付金と受託研究の2通りで受け入れており、今年度、受け入れたものは
次の通りである。
【教育研究奨励寄付金】
①後楽園のお弁当「お庭そだち」
(ロイヤリティ方式)
河本食品(18年4月、5月分)
104,868円
②駅弁「後楽園のお弁当」
(ロイヤリティ方式)
三好野本店(18年10月~12月)116,447円
③吉備路観光のお土産品「きびじ日和」
(単発)
総社吉備路商工会(19年4月)
300,000円
④駅弁「後楽園のお弁当」
(ロイヤリティ方式)
三好野本店(19年1月~3月)
128,464円
⑤後楽園野お弁当「お庭そだち」
(ロイヤリティ方式)
河本食品(18年6月~07年3月) 76,369円
⑥後楽園のおもてなし「お庭そだち」
(ロイヤリティ方式)
後楽園四季彩(18年4月~07年3月)5,495円
⑦インド現代絵画展のポスターほか(単発)
NPO日印芸術研究所(19年6月)200,000円
⑧駅弁「後楽園のお弁当」
(ロイヤリティ方式)
三好野本店(19年4月~9月)
304,093円
⑨後楽園のお弁当「お庭そだち」
(ロイヤリティ方式)
河本食品(19年4月~9月)
99,549円
⑩BIZEN中南米美術館の展示案内パネル
BIZEN中南米美術館(20年3月)300,000円
【受託研究】
①「かぎ掛け県民運動」のサインの考案とポスター(単発)
岡山県安全・安心まちづくり推進室(19年7~9月)
99,750円
2.3-3
現状および今後の課題
メディアコミュニケーション推進センターは、デザイン学部の持てる知識と技術を
地域社会に還元していこうと、平成14年4月に設立された。以来、メディアセンタ
ーは、県市町村や学校など公的機関を対象に、写真や動画やグラフィックなどのメデ
ィアコミュニケーションに関して技術的な指導・支援を展開、設立の目的を順当に果
たしてきた。
しかしながら、振り返ってみると地域社会が要求するメディア支援は、特に、映像
とグラフィックの分野に集中しがちで、
実際には、
具体的な制作支援が多くを占めた。
このため担当する教員スタッフのなかには同時に複数の制作を抱え、多忙を極める事
態も起きた。この結果、メディアセンターとしては手一杯を理由に支援依頼をお断り
する場合もあった。
このような現実の課題に対処するため、今年度は学生を指導・教育しながら制作に
あたる学生参加の方法をとってきた。しかしながら、これによって、教員スタッフの
制作作業にかかる時間は減少するものの、学生の指導・教育あるいは作業の監理・監
督を行う時間はより増大した。
独立行政法人の1年目にあたり、「地域社会に貢献していくなかでも相当の対価を
得るべし」との方針によって、教員スタッフともども鋭意メディアセンター活動に従
事してきた。様々な課題があるものの、当面は、今年度はじめた学生の指導教育をす
るなかでのメディア支援活動という方法をとらざるをえない。
事業の展開においては、メディアセンターが目指す方向は従来と変わりなく、今後
も次のように目標を掲げ邁進する。
1、従来の県市町村などからの依頼に加え、民間からの依頼も受ける。しかし、単
なる制作支援ではなく、テーマ性をもった研究的要素の高いものとする。
一方で、学生の実地教育の側面から、学生に制作参加を求め、指導・教育しな
がら制作支援する。
2、地域社会のメディアコミュニケーション活動の進展のため、必要な知識と技術
を教授する「写真・動画・アニメ・CG・HP・編集」などのワークショップ
を展開する。
3、高大連携につながる高校生を対象とした教育企画事業を実施する。
4、産官学連携に結びつくメディア支援を積極的におこなう。ただし、テーマ性が
高く、企画から携わることができ、地域貢献に役立つものを対象とする。
2 地域共同研究機構
2.0-1 概要
地域共同研究機構は平成 17 年 10 月、本学の研究・教育活動を活性化し、地域社会
や行政機関との連携を深め、地域産業の振興及び福祉の充実を図るため、学内の社会
貢献体制を見直し、統合化された組織として発足した。傘下の産学官連携推進センタ
ー、保健福祉推進センター、メディアコミュニケーション推進センターの各組織は従
来のセンター活動に加え、連携して全学的社会貢献活動が行えるようになった。
今年度における各センター活動のポイントは、各センターの有する本来のテーマを、
この統合化された組織の利点を生かしいかに発展・深化させていくかであった。本学
の公立大学法人化を記念した「OPU フォーラム 2007」の開催、第 18 回全国生涯学
習フェスティバルにおける協力支援活動、全学的研究組織「領域・研究プロジェクト」
の推進等において、この組織の統合化が活かされたことをまず明記したい。以下、各
センターにおける今年度の活動概要を紹介する。
産学官連携推進センターでは、
「共同研究・受託研究の推進」と「学域融合研究の創
出・育成支援」を 2 本柱に掲げて活動を行った。
共同研究・受託研究の推進では、日々のコーディネート活動をベースに、アクティ
ブ・ラボ(出前研究室)、100 社訪問キャラバン隊、OPU フォーラム 2007 などで、
積極的な研究シーズ発信を実施した。特に、今年度の OPU フォーラムは、法人化の
旗揚げフォーラムと位置づけて全学一丸で取組み、888 名の多数の参加を得て盛大に
開催した。
学域融合研究の創出・育成支援では、「領域・研究プロジェクト」活動を本格的に
スタートさせ、5 領域・7 プロジェクトを推進した。この一環で、
「酢の機能性活用コ
ンソーシアム」と「玄徳茶研究会」の 2 つの産学官連携組織を立ち上げ、大学の研究
シーズの開発実用化を推進していることが特記される。
また、企業経験者を中心とした 6 名の新たな客員教授を任命し、学外の専門家の力
を産学官連携による社会貢献活動に活かすべく体制を強化した。
保健福祉推進センターは、昨年度まで保健福祉学部と短期大学部で運営・活動して
きた。平成 19 年度 3 月の短期大学部閉学に伴い、今年度から保健福祉学部を中心に、
情報工学部・デザイン学部からも幹事を加え、全学体制とした。各種研究会活動は、
6 年目を終えて定着し、県民の健康づくり・福祉増進に資することを目的に毎年開催
している「鬼ノ城シンポジウム」は、今回「笑いと健康」をテーマに“楽しいシンポ
ジウム”として成果をあげた。
メディアコミュニケーション推進センターは、今年度も地域社会からメディア支援
の要請が数多く寄せられた。これらを法人の事業として厳選し、取り組む中で、今年
度は制作活動への学生の参加を計画的に推進した。制作のプロセスにおいて、実社会
における「クリエイティブなものづくり」を体験・指導するこの支援策は、実地教育
の新たな可能性を開くとともに学生からも、
関係者・団体からも大きな評価を受けた。
教育と社会貢献の連動が創りだす実学の可能性が期待される。
2.0-2 主な業務内容
地域共同研究機構の主要な業務は次のとおりである。
① 民間機関および行政機関との共同研究、受託研究および連携事業
② 民間機関および行政機関の技術者および専門家に対する専門技術の指導、教育、協
力および援助を通じた融合研究の創出、育成支援
③ 地域社会における学術研究の振興および交流
地域共同研究機構の組織図は次のとおりである。同機構の組織および管理運営に関
する重要事項は理事長が委員長である「社会活動委員会」で審議される。
2.0-3 共同研究の手順
民間企業及び行政機関などの研究者(以下共同研究者という)が本学教員との共同
研究を申し込む場合、まず、本学の所定の様式の共同研究申請書を地域共同研究機構
長(以下機構長という)に提出する。機構長は共同研究を行う学内の教員等に研究実
施計画書を提出させ、所属する学部長などの意見をまとめ、その意見書を学長に提出
する。学長は社会活動員会に諮問し、その答申および意見書に基づき適当と認めた場
合、共同研究の実施を承認する。学長は承認した旨を共同研究者、機構長、学部長な
どに通知し、速やかに共同研究者と契約を締結する。その後、共同研究者は該当教員
等と共同研究を開始する。以上の手続きを図示すると次のとおりである。
3 附属図書館
3.1 概 要
岡山県立大学附属図書館は1、2階合わせて 2,628 ㎡の総フロアを有する。閲覧
室の全座席数は182席を収容し、この他にも個人閲覧室が3室、グループ閲覧室
1室(12名用)がある。また、AV(視聴覚)コーナーを設置し、AV教材によ
る学習ができるシステム(8台)を備えている。その他にOPAC端末5台、CD
-ROM検索・インターネット検索ができる端末を10台、レポート作成用パソコ
ン10台、館内貸出のノートパソコン8台、マイクロリーダー1台を設置している。
蔵書内容は、図書・製本雑誌等で約21.1万冊、DVD・ビデオ等の視聴覚資料
4,450本、継続購入雑誌が304種(内41種は旭電気株式会社からの寄贈)
である。これらはすべてコンピュータ管理されている。運営については、図書館長、
各学部の8学科から選出された委員及び事務局長で構成されている図書館専門委
員会が所掌し、図書館の運営、図書館資料の収集、その他の図書館に関する重要事
項について審議している。開館時間については、学部講義期間は平日9時~21時
30分、土曜日は9時~17時まで開館している。長期休業中は、平日9時~17
時、土曜日は閉館となっている。
3.2 地域貢献
3.2-1 附属図書館の公開
本学は、開学当初から、図書館を地域住民に開放し、地域の教育文化の向上に
役立てるため、本学の教育・研究機能に支障のない範囲で、公共図書館では提供
し得ない専門図書等を県民に公開している。全開架方式をとっているので、学外
者は自由に館内閲覧ができ、専用端末からOPACによる蔵書検索や文献複写が
可能となっている。図書の貸出しについては、間接貸出し(公共図書館を通じて
貸出が可能)を利用することができる。
平成12年に岡山県立大学附属図書館利用規程の第2条第3項(利用者の範囲)
に本学及び県立短期大学の卒業生・退職教職員を定め、直接貸出し(利用者が来
館し、利用登録することにより貸出利用が可能)を始めた。その後、貸出しがで
きる利用者の範囲を順次拡大し、平成14年9月に岡山県立大学附属図書館利用
者内規を作成し、直接貸出利用者を拡大してきている。
利用状況を見ると、次表からもわかるように一般の利用者が約8割を占め、市
内だけでなく広く県内からの利用があり、地理的条件を勘案してもよく利用され
ていると言える。平成19年4月から平成20年2月末までの貸出冊数の累計は
347冊である。
学外者の図書館利用者数
学外者の内訳
人数(人)
比率(%)
他大学の学生
66
7
他大学の研究者
27
3
大学以外の学生
20
2
※平成 19 年 4 月
大学以外の研究者
60
6
~平成 20 年2月
795
82
968
100
その他・一般
計
末
3.2-2 学外利用者への図書利用カード発行
図書資料の貸出しを希望する学外の有資格者の申し出に対し、図書利用カードを
発行している。有効期限は1年である。原則として更新は可能であり、最長3年と
している。平成20年2月末現在、375枚の学外者用図書利用カードを発行して
いる。登録者の平均像としては、看護・保健医療関係従事者が大半を占め、地域性
は県内外から広く利用されていることが特徴である。
平成19年度は、2月末現在で新たに36枚の図書利用カードを発行している。
3.2-3 開館時間の延長
開学当初は17時閉館であったが、
学生からの強い要望があり、平成9年度から、
講義期間中は20時まで開館していた。さらに平成14年度に2か月間の試行を踏
まえ、平成15年度から、講義期間は平日21時30分、土曜日は17時までの開
館を行っている。
平日の夜間開館及び土曜日に開館することにより、より多くの学外の方々の利用
が見受けられるようになった。とりわけ、看護・保健医療関係従事者に多く利用さ
れ、専門的な情報収集、情報整理の落ち着いた場を提供しているようである。
3.2-4 データベース講習会
学外利用者には、看護・保健医療関係従事者が多いことは、すでに述べたが、そ
うした方々が文献探索するのに必要な医学中央雑誌・MEDLINE 等のデータベース
講習会を開催している。この講習会は、学内の教員の要望により、一度に20名程
度を限度に要望の都度、開催している。
3.3 岡山県立図書館情報ネットワークへの参加
3.3-1 岡山県図書館横断検索システムへの参加
図書館所蔵資料の発信は、図書館のホームページで行っていたが、平成17年1
月の図書館情報システム更新を期して「岡山県図書館横断検索システム」に参加し、
情報提供館となって広く情報発信している。
この岡山県図書館横断システムは、岡山県立図書館がセンター館となって、県内
の公共図書館を中心に大学図書館も参加するという館種を越えた岡山県内図書館
の総合利用を可能にしたネットワークである。所蔵データ726万件以上を有する
目録データベースであり、現在の参加館は、岡山県内の公共図書館29館、私立図
書館1館、大学図書館4館の合計34館となっている。
県民は、インターネット上で利用したい資料を横断検索することにより、どの図
書館が所蔵しているかを瞬時に知ることができる。情報ネットワークを介して館種
を超えた情報資源の共有化が実現している。特に大学図書館に対しては、専門的資
料の所蔵という役割が強く期待されている。
3.3-2 岡山県図書館間相互貸借システムへの参加
上記にあわせて参加した「岡山県図書館間相互貸借システム」は、オンライン上
で現物貸借のやり取りができるILL(図書館間相互貸借 Inter-library-loan)の機
能を有しており、岡山県版のNACSISーCAT/ILLシステム(国立情報学
研究所/目録データベース・図書館間相互貸借)とみなせるものである。NACS
ISに参加していない市町村図書館を網羅しているので、地域色の豊かな図書館ネ
ットワークであると言える。
大学図書館としてこのシステムに参加し、
蔵書データを提供しているのは、本学、
岡山大学、岡山商科大学と岡山理科大学の4大学である。
県立図書館を通じての県民への貸出冊数は、平成16年度までは年間に数冊であ
ったが、システム参加後は飛躍的に増加し、平成19年度は2月末現在の集計で1
35冊である。
3.3-3 図書館資料搬送実施施設指定館となる
県民の貸出冊数が急増した要因には、本学が「図書館資料搬送実施施設指定館」
になることにより、岡山県立図書館からの搬送便が週2回、図書館に乗入れる体制
が整い、この物流システムに加わったことにより業務が拡大したことが挙げられる。
送料は、岡山県立図書館と配送業者との年間一括契約によって利用者に一切負担が
掛からないようになっており、利用上の大きなメリットとなっている。
また、本学は、岡山県立図書館から直接借り受けた図書を、当附属図書館で返却
可能となるような施設指定を取得している。平成19年度は2月末現在で、本学を
返却館として利用した返却冊数は450冊である。
3.3-4 インターネット予約貸出受渡館指定館となる
本学学生、教職員及び県民が岡山県立図書館の図書をインターネット上で、予約
貸出を依頼する際に、本学附属図書館を受取館・返却館に指定することも可能であ
る。特に本学が夜遅くまで開館しているので、公共図書館では時間帯が合わないよ
うな県民には、極めて利便性が大きいと思われる。
平成19年度は、2月末で本学を受取館、返却館として利用した総冊数は77冊
となっている。
3.4 現状及び今後の課題
本学附属図書館は、開学当初から生涯学習の場として県民に開放してきた。開館
時間の延長、開館日数の拡大、あるいは「岡山県図書館横断検索システム」への参
加によって、社会貢献の観点から多面的な取り組みと柔軟な対応を図っており、諸
成果を上げてきていると自負するものである。
今後も県民からの生涯学習への要望により柔軟に応えられるようにするとともに、
現在実施している業務の安定的維持とその充実に努める所存である。
4 語学センター
4.1 概要
岡山県立大学では国際化、高度情報化社会における「使える英語」を全学生に習得
させることを目指して、2005年度より語学教育のカリキュラム改定を行った。そ
の結果、全学部で1年次の基礎英語I, IIと英会話I, IIが必修となった。さらに、2, 3, 4
年次生を対象とする英語のクラスが開講されるので、希望者は4年間一貫して英語を
学ぶことができるようになった。また学内LANにより英語学習システム「ALCネット
アカデミー」を利用すれば、英語の種々の運用能力を高めて、TOEICなど各種語学試
験の準備をすることが可能である。英語以外の外国語としてはドイツ語、フランス語、
中国語、韓国語を学ぶことができる。語学センターは各言語の運用能力の向上はいう
までもなく、語学学習を通じて海外の文化を学んだ高度教養人の育成、ひいては豊か
な人間性の涵養を目指している。
また、語学センターは地域社会との繋がりを大切にしている。名作映画鑑賞会をは
じめ、毎年秋に開催するスピーカーズ・コーナーや国際教養講座は学外の方々にも公
開している。
語学教材としては、英語及び上記外国語のマルチメディア教材、各種英語検定試験
用の問題集など多数そろえており、学内外の方々の利用に供している。
4.2 地域社会への発信
4.2-1 CALL 教室の充実
語学センターは現在、2つのCALL
(Computer Assisted Language Laboratory)教
室(8120 教室、8122 教室)を開設している。今
年度は、これまでPCが33台しかなかった81
22教室にあらたにPC12台を追加し、設備の
充実をはかった。
各CALL教室に45台ずつ、
計90台のPCが設置されたため、パソコンを
利用する語学の授業が同時に2クラス開講可能
となった。また、学生が自学自習のために ALC
ネットアカデミーを利用しやすくなった。
今後、
CALL教室の利用者を学外にまで広げるか否
かを検討中である。
4.2-2 ホームページの公開
将来的にCALL教室を地域貢
献に活用することも視野に入れ、
語学センターでは日本語版と英語
版のホームページを公開している。
語学センターの活動、スタッフの
紹介等の他に、語学センターの催
しやお知らせ等の情報を随時、学
内外に広く発信している。
4.2-3 TOEIC IP テスト
今年度は学内で 5 月 23 日、11 月 19 日に TOEIC IP テストを実施した。次回は 2008
年 2 月 18 日に実施を予定している。岡山県立大学で TOEIC IP テストを受験したい
という学外からの問い合わせがある。幸い県立大語学センターはCALL教室が充
実しているので、
TOEIC IP テストの受験者を学外にまで広げるか否か検討中である。
4.3 地域貢献
4.3-1 名作映画鑑賞会
語学力の向上、異文化理解のために名作映画の観賞会を開催している。今年度は
4 月 1 日から 11 月 30 日の間に計8回行なった。この催しは学外者にも公開してお
り、学内外の鑑賞人数は延べ26名であった。
4.3-2 国際教養講座
語学センターは地域社会とのつながりを目
指し、毎年秋国際教養講座を開催している。
(1) スピーカーズ・コーナー
今年度の「スピーカーズ・コーナー」
では、11 名の学生が参加した。
(プロ
グラム参照)留学生は日本語で、日本
人学生は英語で発表した。学外からの
聴衆者も多く、「今後いろいろな国に
行くためにも、今回はいい経験になっ
た」、
「様々な視点を持った方々の発表
で楽しめた。来年以降も続けてほし
い」などの感想が寄せられた。留学生
からは「留学生にとってスピーカー
ズ・コーナーは必要だと思う。自信に
繋がり、自分の国のことを紹介でき、
交流の機会もあるからだ。来年チャン
スがあったら、また参加したい」とい
う意見が寄せられた。
「スピーカーズ・コーナー」参加者
(2) 講演会
今年度は「どんな人が外
国語を習得してきたか」と
題して、保健福祉学部沼本
健二准教授が講演された。
語学センターのオープンハ
ウスも兼ね,本年度の講演
会は CALL 教室(8122)で行
った。沼本先生が今年度で
中学校入学と同時に英語を学習し始めて、その新鮮な経験に
興奮を覚え、
「自分もいつかはペラペラに」と期待して教室に
出たものです。
いつかその気持ちも薄れて、教室に出ているだけではとても
話せるようにはならないと勝手に結論。
しかし、大学に入ってみると英語達者な女子学生で花盛り、
どんな努力があったのか問うてみることもせず、手をこまぬいて
いるばかりの凡庸な学生生活、それ以来、折に触れて読んだ
先人の自伝・伝記で出会った幾人かの外国語達者を取り上げて
お話ししたいと思います。
本学を退職されることもあ
り、参加者は 50 名を優に越
え、盛況であった。
参加者からは以下のよう
な感想が寄せられた。
・ 紹介された大人物に負け
ない様に自分のベスト
をつくそうと考えさせ
られた。
・ 話がおもしろく、楽しか
った。本格的に英会話を
なお、同日同教室にて 10:30~12:00「スピーカーズ・コーナー」の部が開催されます。
勉強しようと思って
いる。まったく英語ができないので今日の講義で勇気が出てきた。
・ 先人達がいかにして外国語を学んでいたか、その様子を楽しく聞くことができた。
外国語習得方法の共通的点は、暗唱することが基本に思えた。まずは英語表現をし
っかりとまねることから始めたい。
・言語を学ぶということを多面的に講義されて、大変参考になった。
沼本健二准教授による講演会
4.4 現状及び今後の課題
開学時に設置され、老朽化した LL 教室の改装を 2004 年度から開始し、昨年度、語
学センターは2つの CALL 教室を開設した。今年度は CALL 教室の設備を充実させた。e
ラーニングに対応できる設備を活かして、どのような地域貢献ができるかが、今後の
検討課題である。
県大生は 1 年次の基礎英語 I で e ラーニングシステムであるアルク・ネットアカデ
ミーの利用法を習得し、その後、中級英語や上級英語のクラスの受講、及びアルク・
ネットアカデミーを使った自学自習の継続により、 3 年次後半で TOEIC を受験するこ
とを目標としている。語学センターにおける TOEIC IP テストの受験を地域の方々にも
開放できないかは、検討課題の一つである。
国際教養講座は語学センターの行事として年々定着してきている。学外からの要望
も多いので,これは今後も継続していきたい。
今年度は語学センターの臨時的任用事務職員が新たに採用された。来年度には新任
の教授、准教授が着任予定である。スタッフが一丸となり、新たな気持ちで地域に開
かれた語学センターとして、質の高い地域貢献を実現していきたい。
5
高大連携
5.1
概要
本年度も昨年に引き続き、本学と岡山県教育委員会との間で締結した連携教育の
実施に係る協定書に基づいて、県立高等学校生徒に対し大学レベルの教育を履修す
る機会を提供し、学習意欲や進路意識の高揚を図るとともに、個性の一層の伸長に
資するため、高等学校の生徒を対象とした連携講座の開催や大学教員の高等学校へ
の講師派遣を実施した。
また、高等学校と本学との意志疎通を図り、今後の高大連携・交流等について話
し合うための懇談会等を開催した。
5.2
連携講座・出前講義
平成19年度の連携講座・出前講義の実施状況
高 校 名
担当学部
玉野光南高校
情報工
就実高校
教 員 名
講 義 内 容 等
受講
人数
40
1年生 H19.5.24
輝く女性になるために
-看護の仕事-
80
1年生 H19.7.17
4
2年生 H19.5.15
保健福祉 講 師 岡崎 愉加
倉敷工業高校
講 師 島田 清徳 ワークショップ(※2)
デザイン
2
(※1)
(シルクスクリーン)
准教授 難波久美子
スライドレクチャー
39
教 授 大河内信雄
学生たちが挑む、新しい
焼き物のデザイン
教 授 金丸 敏彦 生活を楽しむ生活雑貨
岡山工業高校
デザイン
助 教 作元 朋子 ワークショップ説明会
(※1)
教 授 金丸 敏彦 セラミックデザイン演
助 教 作元 朋子 習(※2)
教 授 村上 生美 患者のニーズと看護
保健福祉
准教授 中島 伸佳
総社南高校
デザイン
実施日
教 授 兼田 雅弘 制御とロボティックス
准教授 難波久美子 学部施設見学(※2)
笠岡高校
学年
栄養学科の案内と研究
紹介
18
4
2年生
H19.8.2 、
3、6、7
1年生 H20.2.27
2年生 H19.7.22
2年生
H19.8.4 、
5、11
13
8
2年生 H19.10.9
教 授 吉原 直彦 グラフィックデザイン
教 授 桑野 哲夫 のプロセス
74
1~3
H19.10.23
年生
高梁高校
情報工
教 授 稲井
寛 工学系学部・学科の紹介
12
2年生 H19.10.25
岡山芳泉高校
情報工
高度メディア社会の身
教 授 渡辺 富夫 体的コミュニケーショ
ン技術
27
2年生 H19.11.16
保健福祉 教 授 二宮 一枝
看護学への招待-地域
で看護
保健福祉 教 授 山本耕一郎 食中毒について
邑久高校
Mechatronics-情報・機
械・電気電子の融合によ
准教授 大西 謙吾
る、「うごき」の理解と
ものづくり-
情報工
島根県立
松江東高校
情報工
岡山工業高校 デザイン
20
1・2
H19.11.16
年生
34
34
2年生 H19.12.13
教 授 渡辺 富夫 うなづきを科学する
60
中・高
H20.1.26
校生
准教授 難波久美子 キャリアライフに関す
講 師 島田 清徳 ること
38
2年生 H20.2.13
保健福祉 教 授 辻
倉敷天城高校
・中学校
食品の働き
栄養学科の紹介
33
英明
(注)表中※1は連携講座、※2は本学で実施したもの。
5.3 高大の意見交換
本学と岡山県高等学校長協会との懇談会及び本学と県内の高等学校進路指導担当
教員との意見交換を以下のとおり実施した。
(1)本学と岡山県高等学校長協会との懇談会
① 日 時:平成19年7月23日(月)14:00~16:00
② 場 所:本学本部棟2階大会議室
③ 出席者:14名
④ 内 容:県立大学の法人化、各学部及び入試概要の説明、議題協議、意見
交換等
*配布資料:2007大学案内、平成20年度入学者選抜要項等
(2)本学と県内の高等学校進路指導担当教員との意見交換会
① 日 時:平成19年8月1日(水)13:30~16:00
②
場 所:本学本部棟2階大会議室
③
出 席:40人(県内の高等学校進路指導担当教員等)
④
内
容:各学部・学科の説明、平成20年度入学者選抜の変更点、高等
学校からの事前質問・要望事項に対する本学の回答
* 配付資料:2007大学案内、平成20年度入学者選抜要項等
5.4
現状及び今後の課題
ここ数年、高大連携の意義や重要性に対する認識が高校、大学双方で高まってい
る。特に、高校側の連携への要望が高く、本学としても、その期待に十分応えてい
くことができるようさらに高大連携の取組みを充実させていくこととしている。ま
た、本年度は、はじめて県外の高校において連携講座・出前講義を行い、好評であ
った。今後も、県内だけでなく、県外の高校とも連携を深めるための連携事業を行
っていきたい。
また、本学では、今後ますます多様化する高校側のニーズを的確にとらえ、その
期待に応えるため、高校との情報交換を定期的に行っていくこととしているほか、
本学からも積極的に情報発信を行い、地域に開かれた大学として、高校生及びその
保護者に対し本学の特色や取組みを広く広報していくこととしている。
6
情報及び知識の地域への発信
6.1 公開講座
6.1―1 概要
一般県民を対象として公開講座を開催した。特に本年度の講座は二つのコース
を設け、前半の A コースは、小学生とその保護者(親、または祖父母)を対象と
した体験型の講座、後半の B コースは、人と地球に優しい機械器具の研究・開発・
設計などについて講演を実施した。
6.1-2 日程等
テ ー マ:人間中心の設計思想 ~地球にやさしいものづくり・人づくり~
担当学部:情報工学部
実施場所:学部共通棟(南)8206 講義室、(西)5207 講義室、体育館他
受講対象:A コース:県内居住の小学 4〜6 年生とその保護者
B コース:県内居住者、あるいは通学・通勤している人
そ の 他:各コース 6 回の講義・実習のうち、4 回以上出席の方に修了証書を交
付した。
日程
13:30〜13:40
8月 20 日
(月)
13:40〜14:50
15:05〜16:15
講師等
テーマ等
岡山県立大学長 三宮 信夫
スポーツシステム工学科
准教授 後藤 清志
准教授 越川 茂樹
スポーツシステム工学科
開講式
トランポリンでバランスをと
ってみよう(実技)
8 月 21 日
13:30〜14:40
(火)
14:55〜16:05
8 月 22 日
13:30〜14:40
情報システム工学科
人を引き込む身体的コミュニ
(水)
14:55〜16:05
教授
ケーション技術(講義・実演)
8 月 25 日
(土)
9月1日
(土)
13:30〜15:00
15:10〜16:40
13:30〜15:00
15:10〜16:40
教授
平田 敏彦
准教授 倉重 賢治
渡辺 富夫
スポーツシステム工学科
教授
西山 修二
スポーツシステム工学科
教授
濱田 泰一
情報通信工学科
教授
兼田 雅弘
情報通信工学科
教授
横田 一正
コース
スポーツ運動の基本を調べよ
う(実測)
人間の動的特性を考慮した製
品開発(講義)
超伝導センサーで測る脳の活
動(講義)
制御とロボティックス(講義)
人間中心のディジタルミュー
ジアム(講義・実演)
A
A
A
B
B
B
B
スポーツシステム工学科
13:30〜15:00
教授
9月8日
(土)
スポーツシステム工学科
15:10〜16:40
16:40〜16:50
野津 滋
教授
山北 次郎
情報工学部長 加藤 隆
地球と人に優しい熱機器(講
義)
地域住民の視点から考える情
報通信技術の進展(講義)
B
B
閉講式
6.1-3 実施状況
(1)参加者
・申込者数 合計 46 名
居住地
A コース
Bコース
総社市
4
19
岡山市
4
6
倉敷市
3
8
その他
2
0
計
13
33
・修了証交付者数:合計 23 名(A コース 4 名、Bコース 19 名)
(2)講座内容
① トランポリンでバランスをとってみよう(Aコース)
◆トランポリンの特性と効果
トランポリン運動の大衆スポ-ツへの発展の意義は、
「幼児」や高齢者(老人)
の体力づくりから、他のスポ-ツの基礎トレ-ニング、女性の美容体操等まで、
様々な効用を有しているところにある。
例えば、トランポリンは空中での運動感覚(身体バランスの維持)が発達し、
運動におけるリズム感などを促進するのに役立つ。また、全身的持久力や心肺機
能の向上、内臓機能の促進などの効用を有している。
さらに、トランポリンは身体の柔軟性や敏捷性を高める効果が期待でき、大衆
スポ-ツとして今以上に発展する可能性を秘めている。
◆「幼少年期」に伸ばそう運動神経
「三つ子の魂、百まで」ということわざがあるが、本講座では「幼少年期」の
小学校高学年における調整力向上を目的とし、早期教育が将来、豊かで活力ある
生活に繋がり、身体運動の楽しさや快適な感情の育成及びより優れた人間形成の
役割を担うための実技(体験学習)をおこなう。
そのなかで、保護者と共にトランポリンを通じて、全ての面においての「バラ
ンス」の重要性を感じ、楽しく身体運動や体力づくりをおこなう。
さらに、自己の運動イメ-ジを明確にするために、ジャンプ等の映像をフィ-
ドバックすると同時に、スポ-ツ科学的分野にも興味を促す。
② スポーツや運動の基本を調べよう(Aコース)
◆ はじめに
より速く、より高く、より遠くへをめざしてスポーツや運動をすることは大変
素晴らしいことです。この様な目的で運動やスポーツをするためには、動きの基
本を学ぶことと自分の能力を知ることが大切です。また、スポーツや運動の基本
に「走る」
、
「跳ぶ」
、
「投げる」があります。今回は皆さんのお家の方と一緒に「走
る基本」
、
「跳ぶ基本」
、
「投げる基本」を学習し、さらに自分のそれぞれの力を調
べてスポーツや運動の基本を考えてみましょう。
◆ スポーツや運動の基本を学習しよう。
・速く走(速歩)るための動きを学習してみよう。
・遠くに跳ぶための動きを学習してみよう。
・遠くに投げるための動きを学習してみよう。
◆ スポーツや運動の基本を調べよう
・50m走(速歩)を測定してみよう
・立幅跳びを測定してみよう。
・ソフトボール(ハンドボール)投げを測定してみよう。
◆ スポーツや運動の基本をパソコンでまとめてみよう。
・スポーツや運動の基本(走時間、跳やく距離、投てき距離)をパソコンに
入力してみよう。
・スポーツや運動の基本を図にしてみよう。
・スポーツや運動の基本を比較してみよう。
③ 人を引き込む身体的コミュニケーション技術(Aコース)
情報機械を介して人とのインタラクションを円滑に促進し、コミュニケーショ
ンを支援するのがヒューマンインタフェースの主要な目的の一つである。そのヒ
ューマンインタフェース研究の基盤としてまず母子間の原初的インタラクショ
ン・コミュニケーションに着目し、母親の語りかけに対して乳児の手足の動きの
引き込みを音声・画像解析して、そのインタラクションのメカニズムをマン・マ
シン・インタフェースに応用しようと試みたのが 1978 年であるから、この身体
的コミュニケーションの魅力に取り憑かれて早 30 年近くになる。この間、母子
間インタラクションから成人間インタラクション、集団インタラクションの引き
込みを合成的に解析して、うなずきや身振りなどの身体的リズムの引き込みをロ
ボットや CG キャラクタのメディアに導入することで、対話者相互の身体性が共
有でき、一体感が実感できる「心が通う身体的コミュニケーションシステム
E-COSMIC(Embodied Communication System for Mind Connection)
」を研
究開発し、身体的コミュニケーション技術を開発してきた。本技術は、身体を介
してのコミュニケーションの解析理解と創出支援技術であり、高度メディア社会
の生活情報技術として期待されている。さらにこの技術を基に、科学技術振興機
構戦略的創造研究推進事業 JST CREST で「人を引き込む身体性メディア場の生
成・制御技術」の研究開発が 2006 年 10 月から5年間の予定で開始されたので紹
介する。
・ コミュニケーションにおける引き込みと身体性
・ 心が通う身体的コミュニケーションシステム E-COSMIC
・ 生活情報技術としての身体的コミュニケーション技術
・ 人を引き込む身体性メディア場の生成・制御技術への挑戦
・ 身体的コミュニケーションの不思議さへの感動
④ 人間の動的特性を考えた製品設計(Bコース)
◆ まえがき
製品開発の時代の変遷は三つのステップに分類でます。第1ステップは機能の
みを満足した基本設計,第 2 ステップは必要機能を満足し,さらに人間の静的特
性すなわち人間の幾何学的特徴を考慮した好適設計,第 3 ステップは必要機能を
満足すると同時に人間の静的特性を考慮し,さらに人間の動的特性まで考慮した
最適設計です。たとえば振動環境下において人体が示す振動特性などを考慮した
設計などがこれに相当します。
◆ 人間の動的特性を考えた例
人間の動的特性を考えた製品設計において,工学上重要性の高いものとして,
人間-自動車-道路系が考えられます。自動車の快適性向上への要求は,近年飛
躍的に高まっています。さらに市場で要求される性能も年々高度となり,乗員の
感覚・感性を満足させるには,乗員も車両のダイナミクスを決める大きな要素と
考えた設計,車両-乗員-路面系を連成系として捉え,人や環境に優しい車両お
よび路面系の最適化を図る新しい先進的な設計法が必要になっています。
さらに,
人間-鉄道車両系,人間-航空機・宇宙系,人間-船舶系,人間-土木建設・鉱
山機械系,人間-農業機械系など人体を含む動力学的現象を解明し設計に反映で
きる技術資料を休系化することが望まれています。
◆ あとがき
製品を市場に出すには多くの性能を短期間で満足させることが必要です。例え
ば,車両の乗り心地は車両の商品性を左右する重要な性能の―つです。本講座で
は乗り心地の向上をはかるうえにおいて必要な新技術の手法を紹介しました。路
面,タイヤ,サスペンション,車体,シート,人間をトータルなシステムとして
捉えた取り扱いが必要です。
すなわち人体を車両に含む連成系としての解析をし,
乗員各部で受ける振動乗り心地等の官能評価をシステム設計の中に組み込み,乗
員の運動を車両-乗員-道路系として体系化する試みです。
人や環境に優しい車両開発が―層重要視される現在,この種の試みは今後ます
ます重要性を増すでしょう。人体を含む解析技術は車両の振動乗り心地に関する
設計と評価に際して,特に初期段階における車両全体の諸元決定や各システムの
基本設計に対し合理的に見通しを立てながら行えるようにすることであり,開発
の過程での方向づけを可能にします。ドライバの脳の活動までを考慮した人間の
動的特性を考慮した解析を自動車技術に取り込まないと,次の世代の自動車技術
を先導することはできないように思われます。
⑤ 超伝導センサーで測る脳の活動(Bコース)
物を見たり、音を聞いたり、触ったり、手足を動かしたりするとき、脳はいつ
も働いています。脳の役割を大きくわけると、私たちの身のまわりの「変化」を
感じ・分析し、その変化に対してどのように対応するかという行動を起こすため
の「命令」を手や足の筋肉に与えることです。つまり、感覚の情報処理を行い、
運動の情報生成をするということになります。このような仕事をしているとき脳
はどのように働いているかということが、脳科学の分野で調べられてきました。
歴史的には、動物の脳に細い電極を埋めて、神経細胞の活動を計測することで、
例えば、光を感じるとき、脳の一番後ろにある視覚野という場所の細胞が活動す
ることや指に何らかの刺激が入ったときには脳のてっぺんにある体性感覚野とい
われる場所にある神経細胞が反応することがわかってきました。サルやラットに
比べ、ヒトの脳はまだまだ解らないことが沢山残されています。ヒトの脳活動を
計測するために電極を埋めることはできないので、脳を頭蓋骨の外から観なけれ
ばなりません。このことが、ヒトの脳を研究するために超えなければならないハ
ードルでした。
近年、PET(Positron Emission Tomography)、機能的MRI(Functional
Magnetic Resonance Imaging)、脳波計(EEG, Electroencephalography)や脳
磁計(MEG, Magnetoencephalography)などの計測手法が開発され、ヒトの脳機
能が少しずつ解りはじめています。PET は血液に放射性物質をまぜ、活動した脳
部位での血流量が増加し、その部位の放射性物質量が増加することをセンサーで
検出し、コンピュータで解析することによって、脳のどこが活動したかを調べる
装置です。機能的MRIも血流が増加した脳の部位を探す装置です。脳波計は、
脳の神経細胞が活動するときに発生される電気信号を頭皮に貼り付けた電極によ
り電圧の変化として計測する方法です。脳磁計は、神経細胞が活動するとき細胞
の中に流れる電流が生成する微弱な磁場(地磁気の10億分の1程度)を超伝導
センサー(SQUID)を用いて計測し、計測された磁場をコンピュータで解析するこ
とによって、磁場の発生源を見つける装置です。磁場の発生源は脳が活動した場
所であると考えることができます。本講義では、脳磁計でなぜ脳の活動を調べる
ことができるかという計測原理と脳磁計により計測された脳の活動の例を紹介し
ながら、ヒトの脳機能がどこまで解ってきたかを紹介します。
⑥ 人間中心のディジタルミュージアム(Bコース)
◆ はじめに
PCやデジカメ等の情報機器の発達によりディジタル化されたマルチメディア
情報の作成は容易になり、インターネットのブロードバンド化の進展によりそれ
らの流通も盛んになっている。これら情報を効率的に管理し、視覚的に提示する
システムとして、
「誰でもが容易に作成できる」ディジタルミュージアムを研究開
発している。本講座では、さまざまなディジタルミュージアムについて考え、現
在研究開発中のディジタルミュージアムのデモと説明を行う。
◆ ディジタルミュージアム
主として以下の2つのディジタルミュージアムのデモと説明を行う。
D-Cubis
ディジタルコンテンツ(静止
画、動画、音声等)
、建物、配
置情報から3Dのディジタル
ミュージアムが構成されてい
る。玉野市立海洋博物館や倉
敷市立連島東小学校の薄田泣
菫ミュージアムに使用されて
いる。
PasQ
実写のパノラマ写真か
ら仮想3D空間を構成
するので、屋内・屋外を
問わず、リアリティの高
いミュージアムが実現
できる:岡山市立オリエ
ント美術館等で実験中。
⑦ 制御とロボティクス(Bコース)
「制御」という言葉は、日常生活のあらゆる場面で耳にする言葉ですが、
「制御」
とは一体どういうことなのか? 同じ制御でも人間が行う「手動制御」と機械やコ
ンピュータが行う「自動制御」がありますが、本講座では、後者の自動制御につい
て、いくつかの身近な例を挙げて説明すると共に、その歴史や起源について解説し
ます。
また、人間や生物のような動きをするロボットが最近話題になっていますが、ロ
ボットは制御の典型的な対象です。では、
「ロボット」とは何か?現存のロボットに
求められるものは何? などを分かりやすく説明します。
最後に、研究室の最近の研究成果を紹介します。
お風呂の湯温制御
・制御とは
・制御システムの基本構造
・フィードバック制御の起源
ロケットの姿勢制御と手のひらの棒立て
・ロボット
・研究紹介
⑧地域住民の視点から考える情報通信技術の進展(Bコース)
本県では、高速大容量の岡山情報ハイウエイにすべての市町村の公共ネットワ
ークが接続した巨大なネットワークが形成されています。こうした他県にない優
れた環境を生かし、地域における安心・安全の確保、地域の抱える様々な課題解
決への貢献、地域のコミュニティ機能の強化・活性化など、地域に根ざした情報
通信技術の利活用について考えてみよう。
県内には様々な地域があり、地域ごとに多様な課題を抱えています。地域の課
題を解決するには、地域社会を構成する個人・団体の連携・協力関係の構築が不
可欠であり、地域の人間関係を基本とした活動をITが支援することが効果的で
あると考えられています。
急速に進行する地域社会の過疎化と高齢化への対応、
産業経済の高付加価値化、
地域の安全・安心の確保など、地域が抱える課題を地域コミュニティの中で解決
するための手段として、特色ある地域情報化を推進する必要があります。
本講座では、進展する情報通信技術の特性を理解し、安心・安全確保の観点か
ら、地域社会の人間関係を基本とする活動にITが如何に支援できるかについて
考えてみよう。
・有線通信と無線通信 - 光ファイバと無線通信 -
・ 地域インフラノン<3つのゼロ>
- 地上波デジタル、携帯電話、ブロードバンド -
・2011年問題
- 地上波デジタルとアナログTV波の停波 -
・コミュニティITタウン構想 - 地域の多様な課題解決へITが支援 -
・元気ある地域社会 - ITが村落崩壊を制止できるか -
(3)参加者からの意見・感想
・熱意ある講演ばかりだった。
・身近に感じる話題が多かったのでとても良かった。
・実物を見たり、実演があったら良いなと思う。
・公開講座の存在をもっと広報した方がよい。
・講座の時間をJRの列車の時間にあわせて欲しい。
・事前にもらったパンフレットと講座の内容が多少ずれていたような気がする。
6.1-4 今後に向けて
講座内容については、受講者に好評だった。いずれの講座も、講座終了後も熱
心な質問が飛び交い、終了時間をオーバーするほどだった。
公開講座の実施内容は、充実しているが、いかに受講生を確保するかが今後の
課題である。一般の人に訴えるようなテーマ・講義名を検討するほか、地元のニ
ーズを把握し、適切な広報を行うことも重要である。
6.2 全学講義
6.2-1 概 要
全学講義は、学生・教職員の教養を高め、地域の文化の向上に寄与することを目
的に、社会の第一線で活躍されている著名な講師を招聘して毎年実施している。
(1)日程およびプログラム
日時:平成20年1月10日(木)14:30~16:00
会場:岡山県立大学講堂
講師:環境ジャーナリスト枝廣淳子氏
演題:
「地球と自分の幸せのために
~ビジョンを描いて、夢をカタチにしていこう」
(2)枝廣淳子氏のプロフィール
東京大学大学院教育心理学専攻修士課程修了
環境ジャーナリスト、翻訳家、(有)チェンジ・エージェント会長、(有)イーズ代
表、NGOジャパン・フォー・サステナビリティ共同代表、2つの会社を経営
する傍ら、執筆、講演、翻訳、環境 NGO 運営など、環境を軸にマルチキャリ
アを展開中
(主な著書)
「朝2時起きで、なんでもできる!」
「地球のために私が出来ること」
「なぜあの人の解決策はいつもうまくいくのか?」
(主な訳書)
「不都合な真実」
「成長の限界 人類の選択」
(3)講演内容の要旨
地球温暖化をテーマに環境問題を取り上げる中で、GNPとは異なるGNHと
いう指標があることを紹介。ビジョンを描くことの大切さ、ビジョンの描き方を
伝え、システム思考で全体像を把握して本当の解決策を考えることの重要性を説
いた。行動を変えるためのヒントや自己マネジメントに関する内容もあり、学生
だけでなく一般の人にとっても大変示唆に富む内容の講義であった。
6.2-2 今後のあり方について
全学講義は、本来、本学の学生が聴講すべきものであるが、ここ数年出席者の偏
り、出席率の低下が懸念されてきた。このため、本年度は、時を得た話題、講師を
招聘し、他の講義との重複を避けた日程で行ったところであるが、出席者の偏りの
解消、出席率の向上にはつながらなかった。
こうしたことから、今後、学生が興味をもち多くの学生が出席する講義とすると
ともに、単に学生のみを対象とせず、広く地域の住民にも聴講してもらえるように
改めて、本講義の目的や意義を再確認するとともに、テーマの選定、日程、周知方
法等を再検討していく必要がある。
6.3 地域における大学間連携活動等
全国的にも充実した高等教育機関の集積地である岡山県内15の四年制大学が相互
に連携・協力し、県内の高等教育全体の資質向上や地域社会への貢献等を目指す目的
で、平成18年4月に「大学コンソーシアム岡山」が発足、平成19年度には「環太
平洋大学」を加えて、16大学となった。さらに、特別会員として5短期大学及び1
高等専門学校が加わった
その事業のひとつとして社会人教育事業「シティ・カレッジ」を県内各地で開講し、
一方、山陽新聞社では、県内の大学の協力を得て、生涯学習講座「山陽新聞カレッジ」
を開始した。なお、この2つの事業は、趣旨・目的がほぼ同様であることから、受講
生にわかりやすくするため、平成19年度から「吉備創生カレッジ講座」として統合
され、本学も次の3講座を提供した。
吉備創生カレッジ開講状況
◇ 共生福祉への視座 -共に生きるとは
担当教員:保健福祉学部 吉本充賜教授
日 程 等:平成19年4月28日~7月14日(6日)
場
所:吉備創生カレッジ さん太キャンパス
講座内容:近年、
「共に生きる」という言葉をよく耳にするようになった。また、
「共生」という表現も耳に入る。他方で人間関係が希薄になってき
たとも言われている。親子、地域住民、学校、職場で人間の絆が失
われているということの反映が「共生」を目指しているのでしょう。
すべての人間、とりわけ障害を持つ人と持たない人との共生に視点
をあて、あるべき社会を提示する。
◇ まちづくりとユニバーサルデザイン
担当教員:保健福祉学部 田内雅規教授
日 程 等:平成19年5月18日~7月6日(3日)
場
所:吉備創生カレッジ さん太キャンパス
講座内容:今、誰もが一度は聞いたことのあるユニバーサルデザインやバリア
フリー、まちづくりの概要を理解する。特に視聴覚障害者支援設備
や機器を中心に話を展開する。
◇ 生物多様性の意味を考える
担当教員:デザイン学部 伊藤國彦教授
日 程 等:平成19年11月17日~12月15日(3日)
場
所:吉備創生カレッジ さん太キャンパス
講座内容:絶滅危惧生物を中心に、今日の環境問題を考える。
6.4 アクティブキャンパス
6.4-1 概要
アクティブキャンパスは、公開講座や専門分野に関する研究会等の開催につい
て県下各地域の組織・施設等からの要望に応え、本学の主体的な取組を行うため、
従来の定置型のサテライトキャンパスに変えて、移動型の情報発信基地として平
成 19 年度に設けたものである。具体的には、①企業関係者等との交流や共同研
究の相談などの産学官連携事業、②本学における最新の研究内容、デザイン作品
等に関する情報の発信事業、③社会人を対象とした公開講座等の開催事業、④そ
の他本学の地域貢献活動の推進に必要な事業について、社会活動委員会で事業計
画を承認するとともに、必要な支援を行うものである。
6.4-2 開催状況
◎「第 2 回金の卵学校選抜オールスターデザインショーケース」出展
概要:デザイン学部デザイン工学科プロダクト及び建築デザインコースの実
習課題を出展・公開する。
日時:平成 19 年 8 月 30 日~9 月 9 日(11 日間)
場所:東京六本木「AXIS ギャラリー」
担当:デザイン学部デザイン工学科 教授 森下眞行
◎グリーンデー2007「高梁川河川敷 総社水辺の学校 屋外作品展示」
概要:グリーンデー2007 実行委員会からの要請に基づき、
「環境にやさしい
ライフスタイルとプロダクト」の成果を発表・展示する。
日時:平成 19 年 4 月 21 日
場所:そうじゃ水辺の学校
担当:デザイン学部デザイン工学科 教授 森下眞行
◎ユニバーサルデザイン学習ゲーム 開発普及事業
概要:岡山県のUD普及事業推進に貢献するため、楽しくUDを学ぶことが
できるゲームを試作開発し、発表する。
日時:平成 19 年5月、7 月、9 月、11 月(計 8 日)
場所:ユニバーサルデザインフォーラム、まなびピア 2007 会場
担当:デザイン学部デザイン工学科 教授 森下眞行
◎看護にやさしい英語講座
概要:現役の看護師、看護学生を主な対象として、看護英会話の講習と英語
論文の購読を実施する。
日時:平成 19 年 4 月 9 日~9 月 10 日の間に計 21 回
場所:岡山市勤労者福祉センター
担当:保健福祉学部看護学科 准教授 沼本健二
◎公開講座「歌の翼に乗せてⅡ」
概要:他者の声を聞きまた、それとあわせて伸びやかに歌うことで心身の健
康に益し、大学に対する親近感を深める。
日時:平成 19 年 4 月~12 月の間、月 1 回(計 9 回)
場所:岡山国際交流センター
担当:保健福祉学部保健福祉学科 教授 岡崎順子
◎わくわくワークショップ「フォト・ブック(写真集)を作ろう」
概要:倉敷フォトミュラルの実施に伴い、写真への理解を深めるため 、小
学生を対象としてフォト・ブックを作成する。
日時:平成 19 年 10 月 28 日、11 月 4 日(2 日間)
場所:倉敷市芸文館、倉敷市民会館
担当:デザイン学部造形デザイン学科 准教授 北山由紀雄
◎保健師活動実践講座
概要:今日の保健師活動に必要な実際的理論と技術を提供する。
日時:平成 19 年 8 月 11 日、平成 20 年 1 月 26 日、2 月 16 日(3 日間)
場所:公立学校共済組合岡山宿泊所 ピュアリティまきび他
担当:保健福祉学部看護学科 教授 二宮一枝
◎保健福祉推進センター事業によるリスクマネジメント研究会
概要:リスクマネージャー(看護)の実状とその有効性の評価に関する調査研
究の一環として行う。
日時:平成 19 年 4 月~平成 20 年 3 月の間に 21 回
場所:岡山市幸町出石コミュニティ
担当:保健福祉学部看護学科 教授 横手芳恵
◎高校生を対象としたフォト・ワークショップ
概要:より写真に対する理解を深め興味を持ってもらうために写真展の開催
を前提としたワークショップを実施する。
日時:平成 19 年 8 月 5 日~7 日(3 日間)
場所:倉敷市芸文館
担当:デザイン学部造形デザイン学科 准教授 北山由紀雄
◎まなびピア・ロハスなプロダクトデザイン展
概要:プロダクトデザイン実習 2 で実施した課題「環境にやさしいライフス
タイルとプロダクト」の成果を展示・発表する。
日時:平成 19 年 11 月 2 日~6 日(5 日間)
場所:岡山県環境学習センター「アスエコ」
担当:デザイン学部デザイン工学科 教授 森下眞行
◎まなびピア・サバイバルデザイン展
概要:プロダクトデザイン実習 2 で実施した課題「防災グッズ」の成果を展
示・発表する。
日時:平成 19 年 11 月 2 日~6 日(5 日間)
場所:岡山県総合グラウンド「桃太郎アリーナ」
担当:デザイン学部デザイン工学科 教授 南川茂樹
6.4-3 今後の課題
アクティブキャンパスは、本年度から開始した取組である。今後、この取組が定
着し、サテライトキャンパスの実績・経験を生かしさらに多様な事業が展開される
ことを期待する。
本年度は、地域社会へ大学情報を発信する活動を特に積極的に実施した。より身
軽なアクティブキャンパスの特性を生かし、地元に密着した活動を行うことができ
たものであり、引き続き、アクティブキャンパスを通じて、地域との交流の場を提
供していくこととしている。
7 国際交流
7.1
概要
近年の急速な国際化の中で、国際交流推進は本学の活動目標のひとつとして大きな位
置を占めている。本年度は平成19年5月に中国四川大学と、また、7月には同じく中国
南昌大学と学術交流協定を締結した。平成8年3月に英国ウェールズ大学、セントアンド
リュース大学と交流協定が初めて締結されて以来、
平成20年3月までに海外5つの大学
と交流協定が結ばれたことになる。ここ数年は、経済発展めざましく、歴史・文化背景が
近い中国、韓国など東アジアの大学と交流協定が締結されているのが特徴であり、この傾
向は我が国の他の教育機関にも同様に見られ、しばらく続くものと思われる。本年度の本
学の国際交流をふり返り、以下の項目について報告する。なお、学生の海外語学・文化研
修内容については、教育年報2007を参照されたい。
7.2 留学生の受入れ状況
平成15~19年度の5年間における留学生の受入れ実績は、次のような状況であ
る。学部生は、19年度の場合、中国(2名)とカンボジア(1名)の2か国から計
3名、また学部研究生は、中国(6名)
、フィリピン(1名)の7名となっている。
大学院は、中国(7名)、韓国(3名)
、ベトナム(1名)の3か国から計11名を
受け入れている。
本学ではアジア諸国を中心に留学生を受け入れ、その数も年々増加している。隣国
や開発途上国からの留学生に本学は専門知識や技術を教えるが、同時に本学学生は留
学生から異文化の新鮮なインパクトを受ける。この相互作用の故に、今後も積極的に
留学生を受け入れていくことが必要である。
岡山県立大学外国人留学生の状況
年度
人数
学部・院別
学部
H15
12
(3)
4(2)
大学院
8(1)
学部
H16
18
(5)
7(5)
大学院
11
所属学部・研究科別
国 籍
・情報工学部
1(1)
中国 3(1)
・デザイン学部
3(1)
ブラジル1(1)
・保健福祉学研究科 3(1)
中国 7
・情報系工学研究科 2
韓国 1(1)
・デザイン学研究科 3
・情報工学部
2(2)
中国
6(4)
・デザイン学部
5(3)
ヨルダン1(1)
・保健福祉学研究科 3
中国
9
・情報系工学研究科 3
韓国
1
・デザイン学研究科 5
ブラジル 1
学部
11(8)
H17
22
(8)
大学院
11
学部
9(5)
H18
20
(5)
・保健福祉学部
1(1)
中国 9(7)
・情報工学部
3(2)
韓国 1(1)
・デザイン学部
7(5)
カンボジア1
・保健福祉学研究科 4
中国
8
・情報系工学研究科 3
韓国
1
・デザイン学研究科 4
ブラジル 1
ヨルダン 1
・保健福祉学部
2(2)
中国 7(4)
・情報工学部
4(2)
韓国 1(1)
・デザイン学部
3(1)
カンボジア1
・保健福祉学研究科 3
中国
7
大学院
・情報系工学研究科 3
韓国
2
11
・デザイン学研究科 5
ブラジル 1
ヨルダン 1
学部
H19
21
(7)
10(7)
大学院
11
・保健福祉学部
2(2)
中国
8(6)
・情報工学部
2
カンボジア1
・デザイン学部
6(5)
フィリピン1(1)
・保健福祉学研究科 3
中国
7
・情報系工学研究科 3
韓国
3
・デザイン学研究科 5
ベトナム 1
※( )内数字は内数で研究生の人数を表す。
7.3 国際共同研究の企画
本学教員は本年度も海外の研究者と共同研究を企画し、成果を上げている。
本学教員の平成19年度の国際共同研究の実績概要は次のとおりである。
(1)課題名:働く母親のスピルオーバーの関する調査研究
研究者:保健福祉学部保健福祉学科 中嶋和夫
韓国ウソン大学校
岡田節子
実績:本調査研究では、岡山県立大学が開発した「スピルオーバー
測定尺度」の交差妥当性の検討を目的に行った。その結果、前記測定尺
度の因子モデルが韓国データに適合することを明らかにした。
(2)課題名:シングルマザーの就労支援に関する研究
研究者:保健福祉学部保健福祉学科 近藤(三上)理恵
韓国ソウル大学 曺興植
ドイツ ハインリッヒ・ハイネ大学 島田信吾
実績:韓国でシングルマザーの就労を困難にしている要因に関する
アンケート調査を実施し、日韓の比較検討を行った。また、ドイツにお
いて、NPOと公的機関に対してシングルマザーの就労支援に関するイ
ンタビューを行った。
(3)課題名:言語コミュニケーション障害に関する言語学的/社会学的
側面からの比較研究
研究者:保健福祉学部保健福祉学科 中村 光
韓国ウソン大学校 韓 眞順 閔 亭兒
実績:在宅失語症者の家族における介護負担感を測定する尺度である
Communication Burden Scale(COM-B)(小林ら、2007)の韓国版を共
同で作成した。今後これを用いて日韓の比較研究を実施する。
(4)課題名:高齢者のスピリチュアリテイーに関する研究
研究者:保健福祉学部看護学科 太湯好子 高井研一
国光恵子(博士課程3年)
保健福祉学部保健福祉学科 中嶋和夫
韓国啓明大学 朴 千萬 朴 慶敏
中国延辺大学 金 信子
実績:日本人高齢者を対象に6因子を下位概念とするスピリチュアリテイ健康
尺度を開発し、QOL殿関係を因果関係モデルから検証した。さらに韓
国、中国の高齢者でも調査を実施し、日韓中の高齢者のおいてもこの6
因子が無視できない共通性の高い下位概念であることを示した。
(5)課題名:心臓血管疾患における血管内皮機能とメチル化アルギニン
代謝系との関連について
研究者:保健福祉学部栄養学科 木本眞順美
米国スタンフォード大学心臓血管医学部門 J.P.Cooke
実績:Dr.Cooke を通してアイオワ大学 Dr.Dayal ならびに Dr.Radinov
とも共同研究を行い、現在それぞれの成果を Heart and Circulation
Physiology および Circulation に論文投稿中である。
(6)課題名:集合住宅団地内老人福祉環境実態調査及び改善方策の研究
研究者:デザイン学部デザイン工学科 山田孝延 朴 貞淑
韓国ウソン大学校建築学部 李 海旭
実績:高齢社会という日本、韓国に共通する状況において、集合住宅における
老人福祉環境を改善し、高齢者が快適に居住できる団地内環境の改善方
策を提案するために、両国の優れた集合住宅を合同で見学調査すること
になり、2月には韓国の集合住宅団地を調査した。今後岡山、倉敷、大
阪に調査範囲を広げ、改善策の検討は20年度にまとめる予定である。
(7)課題名:植物における機能性を有するポリフェノール化合物の検索及び応用に
関する研究
研究者:保健福祉学部栄養学科 辻英明 高橋吉孝
中国四川大学生化学・分子生物学科 方 定志
実績:植物におけるポリフェノールの検索を行い、有用なポリフェノールの応
用を目的として研究を行っている。方教授より提供された3種類のドク
ダミについて分析を行い、血糖値調節機能を有するクロロゲン酸誘導体
と考えられる化合物の存在を認め、その構造の解明を行っている。
7.4 岡山県立大学と韓国又松大学校との合同研究セミナー
(1)概要
平成 17 年 1 月に韓国又松大学校と学術交流協定を締結して以来、本年度を入
れて 3 回の合同研究セミナーが開催されている。また、本学は、本年 5 月及び 7
月に、それぞれ中国四川大学と南昌大学と学術交流協定を締結した。このため、
本年度のセミナーには、その学術交流協定締結を記念して、四川大学生物化学・
分子生物学科方定志教授及び大学院修士課程 2 年の学生 1 名、ならびに南昌大学
Sino-German 研究所陳紅兵教授および高金燕教授を招待し、講演ならびにポスタ
ー発表を行った。合同研究セミナーは平成 19 年 8 月 11 日に岡山県立大学におい
て下記のプログラムに従って開催された。本学から教員 12 名、大学院生 13 名お
よび学部学生 7 名が参加し、又松大学校から教員 4 名および学生 3 名が参加した。
合同研究セミナーには、岡山県立大学、又松大学校、四川大学、南昌大学合わせ
て総勢 43 名の教員、学生が出席した。セミナーの他に、懇親会を開催して相互
の親睦を深め、各大学の教員及び学生間で活発な意見交換を行った。
四川大学方定志教授の講演
ポスター会場の風景
(2)合同研究セミナーのプログラム
日時:平成 19 年 8 月 11 日(土)10:00~17:30
13:00~15:00 Oral Presentation
15:30~17:30 Poster Presentation
場所:岡山県立大学共通棟 8206 号室
テーマ:Third Woosong University-Okayama Prefectural University
Joint Conference on Nutrition
(3)実施内容
① Oral Presentation: 13:00-15:00
O1
A Study on sanitary regulation of the raw materials of gelatin.
Sisub Jung
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, 300-718, Korea
O2
Reduced HDL cholesterol is not ssociated with carbohydrate-induced
hypertriacylglycerolemia in a young Chinese Han population.
Zhengke Li1, Hui Tang1 , Ren Rong Gong2, Jia Lin1, Chanfen Gan1, Xin Huang1,
Ronghui Li1, and Ding Zhi Fang1
1
Department of Biochemistry and Molecular Biology, West China Medical Center and
2
Department of Cardiac and Thoracic Surgery, West China Hospital (RRG), Sichuan University,
Chengdu 610041 P. R. China.
O3
Purification of buffalo β-lactoglobulin and evaluation of its antigenicity.
Xin Li 1,2, Zenglin Luo 1,2, Jinyan Gao 3 , and Hongbing Chen 1,2
1
Key Laboratory of Food Science ,Ministry of Education , Nanchang University, Nanchang
330047,China
2
Sino-German Joint Research Institute, Nanchang University, Nanchang 330047, China
3
Department of Food Science, Nanchang University, Nanchang 330047,China
O4
Characterization of Tri a Bd 27K, a major allergen in wheat.
Masumi Kimoto, Miki Hiemori, Nobuko Komiyama, Makiko Suzuki, Hiromi
Yamashita, and Hideaki Tsuji
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja ,Okayama 719-1197, Japan
② Poster Presentation: 15:30-17:30
P1
Characterization of glucose permease of the phosphotransferase system from
Corynebacterium ammoniagenes.
Ki-Hong Yoon
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, 300-718, Korea
P2
Development of functional rice with fluidized bed coating system.
Hyun-Ah Kang , Hee-Nam Lee, Dong-Soo Lim, Gyu-Hee Lee, and Myung-Gon
Shin
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, , 300-718, Korea
P3
Effect on blood pressure regulation in normal life hypertensive women with
habitual calcium and sodium intakes.
Jung-A Park
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, 300-718, Korea
P4
Characterization of α-galactosidase produced by a soybean isolate, Bacillus
licheniformis.
Jae Hwan Lee, and Ki-Hong Yoon
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, ,300-718, Korea
P5
Chemical compound changes of barley and buck wheat seeds during
Germination.
Jong-Seo Park, Hyun-Ah Kang, Gyu-Hee Lee, and Myung-Gon Shin
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, 300-718, Korea
P6
Fatty acid composition and volatile compounds of ginger rhizomes according
to varieties.
Yeun-Kook Jung, Gyu-Hee Lee, and Khee-Hyuck Kim
School of Food Biotechnology and Nutrition, Woosong University, Jayang-dong Dong-ku,
Daejon, 300-718, Korea
P7
The influence of high carbohydrate diet on serum lipid profile is associated
with a polymorphism of apoAV (-1131T >C).
Jia Lin 1, Ren Rong Gong 2, Hui1, Zhengke Li 1, Chanfen Gan 1, Xin Huang
1
,Ronghui Li 1, Jian Dong 2, and Ding Zhi Fang1
1
Department of Biochemistry and Molecular Biology, West China Medical Center, Sichuan
University, Chengdu 610041, China
2
Department of Cardiac and Thoracic Surgery, West China Hospital, Sichuan University,
Chengdu 610041, China
P8
Rheology of pressure-shift-frozen egg yolk.
Yuri Jibu1, Ai Teramoto2, Hiroko Kuwada1, Keiko Yasukawa1, and Michiko
Fuchigami1
1
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
2
Department of Health and Nutrition, Kanto Gakuin University, Yokohama, Kanagawa
236-8503, Japan.
P9
Texture and structure of pressure-shift-frozen egg custard gel as affected by
sorbitol or maltitol.
Ai Teramoto2, Yuri Jibu1, Hiroko Kuwada1, Keiko Yasukawa1, and Michiko
Fuchigami1
1
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
2
Department of Health and Nutrition, Kanto Gakuin University, Yokohama, Kanagawa
236-8503, Japan
P10
Texture and structure of pressure-shift-frozen boiled egg.
Hiroko Kuwada1, Yuri Jibu1, Ai Teramoto2, Keiko Yasukawa1, and Michiko
Fuchigami1
1
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
2
Department of Health and Nutrition, Kanto Gakuin University, Yokohama 236-8503, Japan
P11
Mice lacking TNF-α display reduced symptoms of high-fat diet-induced
insulin resistance and increased levels of PKC-ζ/λ, -δ and -βII.
Makiko Suzuki1,2, Mayumi Yamamoto3, Hisayasu Wada1, Hiroya Sakuma3, Mie
Okumura3, Toshihiro Kojima3, Takako Maruyama3, Kuniaki Saito2, Mitsuru
Seishima2, and Keigo Yasuda4.
1
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama Prefectural
University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
2
Department of Informative Clinical Medicine and
3
Diabetes and Endocrinology, Gifu
University Graduate School of Medicine, Yanagido, Gifu 501-1194, Japan
4
Center for Lifestyle-related Disease, Matsunami General Hospital, Tashiro 185-1,
Kasamatsu-cho, Hashima-gun, Gifu 501-6062, Japan
P12
Production of oligosaccharides from dietary fibers by immobilized
Clostridium-cell reactor.
Nobuyoshi Nakajima
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
P13
Tumor suppressive 8-lipoxygenase inhibits expression of insulin-like growth
factor II mRNA-binding protein-1.
Noriyuki Kubota, Natsuki Ekuni, Yuki Kawakami, and Yoshitaka Takahashi
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
P14
Anti-inflammatory and anti-tumorigenic activities of the polyphenols from
Psidium guajava.
Tomoko Hosokawa1, Tomomi Nakamura1, Yuki Kawakami1, Yoshitaka Takahashi1,
Hideo Yoshida2, and Takahiko Hada2
1
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama Prefectural
University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
2
Research Center, Bizen Chemical Co.Ltd., Tokutomi363 Akaiwa, Okayama 709-0716, Japan
P15
Characterization of an anti-allergic component in the hull extract of black
soybean.
Etsuko
Morikawa, Miki Hiemori, Masumi Kimoto, Hiromi Yamashita, and
Hideaki Tsuji
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
P16
Effect of dietary polyunsaturated fatty acid on insulin sensitivity and lipid
metabolism in Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty (OLETF) rat.
Takayo Kawakami, and Yasuko Murakami
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural university, 111 Kuboki, Soja, OKayama 719-119 , Japan
P17
Improvement of obesity and glucose tolerance by acetate in Type 2 diabetic
Otsuka Long-Evans Tokushima fatty (OLETF) rats.
Hiromi Yamashita, Katsuhiko Fujisawa, Erina Ito, Seika Idei, Nobuyo Kawaguchi,
Masumi Kimoto, Miki Hiemori, and Hideaki Tsuji
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
P18
Gastrointestinal digestion and absorbability of tropomyosin, a major allergen in
shrimp.
Ayumi. Kunimoto, Miki Hiemori, Machiko Yatani, Hiromi Yamashita, Hideaki Tsuji,
and Masumi Kimoto
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja, Okayama 719-1197, Japan
P19
Experimental immunization of attenuated Vibrio vulnificus mutants in mice.
Koichiro Yammaoto1, Rie Segawa, Kohei Hosohara1, Miyuki Inoue1, Kenji Yokota2,
and Keiji Oguma2
1
Department of Nutritional Science, Faculty of Health and Welfare Science, Okayama
Prefectural University, 111 Kuboki, Soja shi, Okayama 719-1197, Japan
2
Department of Bacteriology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and
Pharmaceuticl Sciences, Shikata-cho, Okayama 700-8558, Japan
7.5
今後の展望・課題
本年度、特に学生に関する国際交流事業の企画や立案、実施を計画的に円滑に遂行
するため教育研究活動委員会の下部組織として国際交流実施専門委員会が設置され実
質的に活動を開始したこと、さらに20年度から教育経費として国際交流推進費が新
設され、財政面の支援がなされるになり、今後の本学の国際交流事業の推進に大きな
一歩を踏み出すこととなった。20年度は本年度新設された国際交流実施専門委員会
の具体的な活動や予算化された事業費の妥当且つ有効な使用を見据えつつ包括協定を
締結した総社市との連携を昨年度にも増して強化し、地域と密着した活動に発展して
いくことが望まれる。
8 行政等との協働
8.1 ITネットワーカー養成講座
岡山県では、岡山情報ハイウェイを始めとする IT インフラが整備され、県民生活
に活気と恩恵をもたらしている。県民がより快適に、IT インフラを利用するためには、
県内各地域において、実際にシステムを構築することができ、ネットワーク管理技術
を持った人材の育成が必要不可欠である。特に、行政、教育などの公共分野において
は、こうした現場の人材育成の遅れが目立ち、業者任せになっており、IT インフラの
効率的利用を阻害している。このため、平成 16 年度から、本学では、岡山県 IT 人材
育成事業の一環として「IT ネットワーカー養成講座」を開講し、実践的なネットワー
ク管理技術者の育成を行っている。なお、今年度は、本事業の最終年である。
(1)講座内容
TCP/IP プロトコルが階層構造になっていることを理解し、ルータ、スイッチ等
のネットワーク機器の設定方法や小規模な LAN(Local Area Network)の構築と
その運用・管理方法について、シスコの教育用教材を一部利用して実習する。本講
座は、セメスター1 から 4 までの全 4 コースがあり、各セメスターの最後には学科
および実技の修了試験がある。基礎コースのセメスター1・2 を受講すれば、ネッ
トワーク技術の基礎やルータの基本的な操作方法が取得できる。さらに、応用コー
スのセメスター3・4 を受講すれば、ネットワークの設計や管理技術を習得するこ
とができる。受講中のセメスターの修了が次のセメスターの受講資格となる。各セ
メスターの講座内容は下記のようになっている。
z セメスター1
ネットワーク技術の基礎を説明し、イーサネットケーブルの製作・配線方法を実
習指導する。講義中心の内容となる。
z セメスター2
ルーティングの基礎を説明し、ルータの基礎的な設定方法を実習指導する。
z セメスター3
IP ネットワーク技術を説明し、ルータ、スイッチの設定方法を習得および簡単な
LAN を構築できるように、実習指導する。
z セメスター4
IP アドレスの効率的な拡張、WAN(Wide Area Network)の基礎的な技術を説
明し、実践的な LAN 構築、管理、運用する方法を指導する。
(2)今年度の開講実績
本講座は、本学の山北次郎教授らにより起案され、準備のために、情報工学部の
教員が、シスコで約 30 日間の研修および試験を受験し、資格を取得後に平成 16 年
度から開講した。今年度の開講実績は下記の通りである。受講者は、岡山県または
県内市町村の職員、公立学校の教職員、CATV 等公共機関の職員といった社会人で
ある。
① 講師
情報工学部
若林 秀昭 准教授
武次 潤平 助教
② 受講状況
コース
受講者数
12 名
セメスター2
受講者の所属
鏡野町情報政策課、土木部道路整備課、
全 12 回
岡山県健康づくり財団 他
10 名
セメスター3
備前県民局、倉敷水道局、津山高等技術
全 12 回
専門学校 他
7名
セメスター4
美作県民局、岡山工業技術センター、県
全9回
立金川高等学校、土木部都市局 他
情報工学部棟 2202 室
③ 会場
④ スケジュールと内容
今年度は 3 時間 15 分×33 回にわたり、開講した。開講時間は計 107 時間である
が、実際は 130 時間近く、開講している。
セメスター2(毎回 18:15~21:30)
回
日
程
内
容
1
5 月 17 日
アドレッシング、ルータの基本操作
2
5 月 24 日
静的ルーティング
3
5 月 31 日
RIP
4
6月7日
IGRP
5
6 月 14 日
標準アクセスリスト
6
6 月 21 日
拡張アクセスリスト
7
6 月 28 日
練習
8
7月5日
学科試験
9
7 月 12 日
実技試験
10
7 月 19 日
再試験
11
7 月 26 日
再試験
12
8 月 16 日
再試験
セメスター3(毎回 18:15~21:30)
回
日
程
内
容
1
10 月 9 日
2
10 月 16 日 RIPv2、EIGRP
3
10 月 23 日 PPP、OSPF
4
10 月 30 日 OSPF
5
11 月 6 日
6
11 月 13 日 スパニングツリー、VLAN
7
11 月 20 日 トランキング
8
11 月 27 日 練習
9
12 月 4 日
10
12 月 11 日 実技試験
11
12 月 18 日 再試験
12
12 月 25 日 再試験
クラスレスルーティング
ポートセキュリティ
学科試験
セメスター4(毎回 18:15~21:30)
回
日
程
内
容
1
1月8日
DHCP
2
1 月 15 日
IP アドレスの拡張(NAT、PAT)
3
1 月 22 日
PPP、フローティングスタティックルート
4
1 月 29 日
フレームリレー
5
2 月 19 日
練習
6
2 月 26 日
学科試験
7
3月4日
実技試験
8
3 月 18 日
再試験
9
3 月 25 日
再試験
(講座の様子)
各セメスターにおいて、修了試験を受験された方の修了率は、
ほぼ 100%である。
写真は、受講者がシスコ製のルータとスイッチを使って、小規模な LAN を構築す
る実習を行っている様子である。本学の学部生および院生も本講座に参加している。
(3)終わりに
本講座は予定通り、今年度で終了である。そこで,本事業の初年度からの累計受
講者数を以下にまとめる.基礎コース(セメスター1・2)の修了者数は 30 名,応
用コース(セメスター3・4)の修了者数は 10 名であり、岡山県の IT 人材育成に貢
献できたのではないかと思われる。
また、平成 19 年にシスコの教育用教材が改訂されており、この教材に沿って、
新しく IT ネットワーカー養成講座を始めるには、講師の養成および機材の環境の
準備等にかなりの時間と予算が必要となる。
累計受講者数
一期生
二期生
三期生
平成 16 年 9 月~平 平成 17 年 11 月~ 平成 19 年 1 月~平
セメスター
成 17 年 7 月
平成 18 年 12 月
成 20 年 3 月
合計
受講者数
1
19
8
19
46
2
12
6
12
30
3
7
3
10
20
4
開講せず
3
7
10
8.2 総社市との包括協定
8.2-1 概要
本学は、平成 20 年 2 月 20 日総社市との間で連携協力に関する包括的な協定を締
結した。本学と総社市は開学以来、様々な交流を行ってきたが、本学の法人化や、
大学・地域を取り巻く状況の変化により、相互の立場を明確にし、より一層の連携
活動を促進することが求められているため、包括協定の締結に至ったものである。
この包括協定は、保健,福祉,産業,環境,教育,文化,まちづくりなど様々な
分野で本学と総社市とが組織的に連携協力し、相互支援を一層深めるためのもので
ある。
8.2-2 調印式
平成 20 年 2 月 20 日、総社市役所市長公室において、中村吉男総社市議会議長の
立会の下、片岡聡一総社市長と学長が協定書に署名・押印した。
8.2-3 今後について
今後、本包括協定に基づき、市長と学長の定期的な意見交換の場を設けるほか、
人的交流及び知的物的財産の相互利用等総社市との交流をさらに深め、地域への働
きかけを強化していくこととしている。
来年度においては、総社市の広報誌「広報そうじゃ」に本学の広報ページを連載
する予定であるほか、本学学生の作品展や研究発表展示を市庁舎内で行うなどの企
画を計画中である。
8.3 各種委員の応嘱
本学における平成19年度の各種委員の応嘱の状況は、次のとおりである。
区
分
国・独立
行政法人
岡 山 県
県 内
協議会 ・
市町村
各種団体等
計
保健福祉学部
8
24
13
23
68
情報工学部
4
12
8
26
50
デザイン学部
1
22
13
18
54
13
58
34
67
172
合
計
8.4 講師派遣
本学における平成19年度の講師派遣の状況は、次のとおりである。
区
分
岡 山県
県 内
協議会 ・
市町村
各種団体等
教育機関
計
保健福祉学部
3
16
49
17
85
情報工学部
1
7
10
9
27
デザイン学部
1
2
19
14
36
5
25
78
40
148
合
計
8.5 非常勤医師、非常勤講師及び役員の派遣
本学における平成19年度の非常勤医師、非常勤講師及び役員の派遣の状況は、
次のとおりである。
区
非常勤医師
非常勤講師
役員
計
保健福祉学部
5
21
2
28
情報工学部
0
23
3
26
デザイン学部
0
3
1
4
5
47
6
58
合
分
計
編集後記
これで3巻目となる岡山県立大学の「社会貢献年報 2007」を出版することができました。
執筆された先生方および各組織の担当者に厚くお礼申し上げます。
本学は今年度より公立大学法人化し、新たなスタートを切りました。昨年までは、個々の
教員の教育・研究そして地域貢献活動の集まりが、結果的に本学の成果でありました。
しかし、今年度からは、取組み方が少し変わりました。中期計画、年度計画により各組織
の目標が定められ、組織下の教員は計画的にその達成に取組むことになったのです。そう
いう観点から見てみますと、本年度の活動は多様な「ひろがり」を見せ始めているといえると
思います。以下、その具体例を述べさせていただきます。
まず最初は、「個」から「群」へというひろがりです。本学には、地域共同研究機構をはじめ
とする各学部、各分野において社会貢献活動に取り組む組織は十分に備わっています。
個々の研究者が、共通のテーマを持つことにより「群」となし、プロジェクトを立ち上げ大きな
成果を生み出す体制を整えています。これが昨年度発足した「領域・研究プロジェクト」とい
う組織です。今年度はこの活動において、具体的な成果が見られ、さらなる拡大・発展が期
待されています。
次にあげるのは、「受動」から「能動」へという「ひろがり」です。企業・地域からのニーズに
お応えし共同研究に結びつけるだけでなく、大学側からシーズを紹介し提案しながら進めて
いく「提案型共同研究」、アクティブ・キャンパス、アクティブ・ラボにその兆しが見られます。
件数では、少しもの足りないものもありますが、従来の活動の枠を超えて大学経営の観点に
立った新たな内容を有するものも出て来ました。
そして、最後は「点」から「線・面」への展開という「ひろがり」です。平成20年2月20日には、
本学が立地している総社市と包括協定を結びました。この組織的な協定により相互支援体
制の充実を図りながら、より一層、地域貢献に寄与することができるようになりました。従来は、
教員個人と市の担当課のレベルでの企画が大半でしたが、これからは、双方が戦略的に社
会貢献・教育・研究を進めることができるようになりました。
本学は「人間・社会・自然の関係性を重視する実学を創造し、地域に貢献する」という教
育研究の理念を掲げています。教育・研究を通して「実学の知」を創造し、あらゆる方面の知
識となり力となって地域に貢献することがその使命です。大学は敷居が高いと思われがちで
すが、本年報に記載のセミナー等、本学教員が活躍している場へご参加いただけましたらこ
の年報を出版したことの価値を見出すことができます。
今後とも本学の社会貢献活動にご理解とご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げま
す。
評価委員会 社会貢献年報部会
主査 奥野 忠秀
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