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第 24 期 運動方針 Ⅰ. 日本の自動車産業基盤の維持・強化 グローバル
第 24 期 運動方針 Ⅰ. 日本の自動車産業基盤の維持・強化 グローバル経済の一層の進展は、世界各地で顕在化する様々な危機による日本の自動車産業への 負の影響を、容易に避けることができないものとしている。更に、日本の自動車産業は、経済実態を 反映しない為替相場における円の高騰や、交易条件の不利などが相俟って競争力を低下させてお り、グローバル競争を勝ち抜くためのイノベーションを続けているものの、国内産業の空洞化、雇用の 危機に瀕している。この様な中、私たちの産業、雇用を守るため、自動車関係諸税の軽減、簡素化に よる国内市場の健全化や円高の是正、自由貿易協定の拡大などの「グローバル競争環境の整備、確 立」と、日本の先進技術力を総合的に高めるとともにグローバルに普及を図るための「自動車産業の 新たな成長を拓く政策の推進」に強く取り組む。 一方、1990 年代以降に拡大してきた日本の財政赤字は、GDP 比において先進国では最悪の水準に 達しており、今後急速な少子高齢化による労働力人口の縮小も想定される中、社会の持続性を担保 し、安心、安定な生活基盤を確保するためにも「社会保障・税一体改革」の断行が求められている。自 動車総連は、組合員の理解を図りつつ、公正かつ実効性のある政策の実現に向け、連合を通じて政 府・与党への働きかけを強化する。 また、自動車総連は働く仲間の声を「全国的な政策実現活動」を通じて訴えてきたが、引き続き地協に よる民主党都道府県連への要請や、地方連合会を通じた国、地方自治体への働きかけを強化する。 更には、政策委員会における各労連参画の上での通年の政策の深堀に加えて、「政策推進コンベン ション」や「政策討論集会」、労連及び地協における「政策研修会」の開催等により、一体感を持った政 策の立案・推進・情報展開に取り組む。 職場に目を向けて見ると、メーカー各社はグローバル競争での生き残りをかけ、現地生産の拡大、各 国のニーズに合致した車両の開発のため、研究開発部門の現地化の加速、完成車の逆輸入や海外 からの調達部品の拡大、部品の共通化等の施策が矢継ぎ早に実施されており、完成車メーカーにと どまらず車体・部品部門においてもそれらへの対応に迫られている。 また、日本の自動車産業は中小を含む多くのサプライヤーに支えられており、その対応が困難なサプ ライヤーの存続が危うくなれば、ものづくりとしての自動車産業の崩壊が危惧される。 さらに国内にものづくりを残していくためにも、これまで以上に国内市場が重要視されてきていること から、販売現場での過当競争による産業の付加価値流出が懸念される。 日本の自動車産業はメーカー、車体・部品、販売、輸送を含めた全ての業種の総力を活かし、グロー バルでの競争力を保ってきたが、その「ものづくり」を支えているのは「人」である。引き続きその強み を発揮していくためにも職場で起きている課題を的確にとらえ、人に焦点を当てた取り組みを進める 必要がある。 加えて、グローバル化の進展に伴い、国内のみならず海外の事業体における安定した労使関係が、 産業基盤の維持・強化には不可欠なものであり、日系企業の海外事業体における健全な労使関係の 構築の重要性が増している。特にアジアを始めとする新興国の事業体における健全な労使関係の構 築には、労連・単組が多国籍企業労働組合ネットワークを構築し、日常的な連携を取ることが重要とな る。 i. 日本の自動車産業基盤の維持・強化に向けた政策の推進 1. グローバル競争環境の整備・確立に向けた政策の推進 1) 自動車関係諸税に対する取り組み<重点> 平成 24 年度税制改正においては、私たちが求める自動車関係諸税の抜本改革には至っていない ものの、「自動車重量税の軽減」「エコカー減税の延長」など求める政策の一部が実現した。更に、 自動車総連、労連、地協、フォーラム議員、組織内地方議員一体となった活動が奏功し、『自動車取 得税、自動車重量税については「廃止、抜本的な見直しを強く求める」とした与党の重点要望に沿っ て、負担の軽減、簡素化、グリーン化の観点から見直しを行う』と記載され、今後の抜本改革に向け た方向性が示された。 従って、第 24 期を極めて重要な時期と捉え、特に地方自治体への理解浸透を図ることも含め、地協 を中心とした「全国的な政策実現活動の推進」と、本部の活動の相乗効果を最大限発揮しつつ、組 織内国会議員をはじめフォーラム議員、組織内地方議員や産業に関わる各団体等と連携を一層強 化し、自動車総連の求める抜本改革の実現を図る。 2) 国内雇用の維持に向けた政策の推進<重点> (交易環境・国内立地・資源/エネルギー・環境関連(含む組合員の意識向上)) 自動車産業の空洞化を防ぎ雇用の危機を回避するため、あらゆる政策の実施による円高の是正、 FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)構築を視野に入れた TPP(環太平洋経済連携協定)や FTA(自 由貿易協定)/EPA(経済連携協定)など高いレベルの交易環境の実現、新技術開発への企業の 投資を促す国内立地促進策及び中小企業の事業環境を整える政策の実施、電力の安定的かつ安 価な供給等、グローバル企業との公正な競争環境の整備、確立を目指す。実現に向けては、経営 者団体と連携しつつ政府・政党への働きかけを強化していく。 電力の供給不足が懸念される中、政府・与党が策定するエネルギー政策に対しては、短期も中長 期においても「安定的かつ安価な電力の供給」が図られるよう、連合、金属労協との連携を強化しな がら取り組みを進めていく。 エネルギー政策と一体的に検討が必要となる地球温暖化対策については、「全世界での公平な負 担」「実質的な温室効果ガスの削減」「環境と経済の両立」「国民負担や雇用・産業の競争力への影 響」を踏まえた国際的合意形成並びにそれを踏まえた国内政策が実施されるよう取り組みを進める とともに、「次世代自動車/低燃費車の普及」等に向けた施策の実施について政府・行政へ要請を 行っていく。 加えて、温室効果ガス削減や節電が産業部門に偏ることのないよう、民生部門(オフィス・家庭)で の取り組みを進めるべく、連合が主催する「エコライフ 21」運動に参画し、労連、単組、組合員(職 場)の意識向上を図る。 2. 雇用創出に向けた新たな成長の可能性を拓く政策の推進 1) ITS 等の情報通信、並びに次世代パワートレインの普及に向けたインフラ整備の取り組み<重点> 次世代パワートレインや最先端技術などの高付加価値技術・商品の投入を促進するインセンティブ 施策を求めることで、国内需要を掘り起こし、市場の拡大による日本の雇用創出を目指していく。そ のために必要となるインフラ整備(スマートグリッド、ITS、急速充電器・水素スタンドの設置)や、民 間企業がインフラ整備に積極的に参画できるようなインセンティブ等、必要な支援を政府・与党、地 方行政等に求めていく。 加えて、日本で確立したスマートシティ(*)等の高付加価値モデルをグローバルに展開できるよう官 民一体による戦略的な取り組みの必要性を訴えていく。 * スマートシティ・・・スマートグリッド等の主要な技術を使って都市全体のエネルギー構造を高度に効率 化した都市づくり構想 2) 国際標準化の取り組み スマートシティ等の高付加価値モデルのグローバル展開を図るには、日本の最先端技術や製品の 規格を海外企業に先んじて「国際標準化」することが重要である。そのため、官民一体での体制の 整備や、中小企業の国際標準取得、活用支援や認証、知的基盤の強化がなされるよう、政府・与党 への働き掛けを行っていく。 3. 公平・公正で安心な社会に向けた政策の推進 (社会保障と税の一体改革の実現に向けた取り組み)<重点> 政府が進める「社会保障・税一体改革」については、連合への積極的な働き掛け等を通じて求める 政策の実現を図るとともに、重要な政策については、組織内への理解・、浸透に取り組む。 なお、消費税引き上げとなる税制の抜本改革にあたっては、自動車関係諸税の「負担の軽減、簡素 化」の実現を求めていく。 中長期的な社会保障制度、税制改革に向けては、高齢者に偏重した現在の制度から、少子高齢化 にも歯止めを掛ける「すべての世代を支える持続可能な社会保障」への転換、並びに将来世代への 負担を軽減し社会、経済の安定を実現しうる「公平・連帯・納得の税制改革」をめざし、連合と連携を して政策実現に取り組む。 4. 道路・交通政策の推進 持続可能なクルマ社会の実現と活力あるまちづくりに向けた具体的政策集として「明日への提言 2012 年版」(第 23 期改訂)に取りまとめた道路・交通政策を基に、連合への積極的な働きかけ等を 通じて政策実現に向けた活動を進めていく。 「まちづくり」の観点での政策については、地協、地方連合を通じ、地方行政に対する働きかけを行 っていく。 自賠責保険については、自動車の保有コストを軽減する観点から、国の審議会等を通じ保険料が 適正なものとなるよう求めていく。 5. 政策推進に向けた基盤強化や活動推進 1) 「明日への提言」実現に向けた活動推進 (1) 政策実現サイクルの実践(立案・推進・実現・評価) 政府・与党の政策立案スケジュールを踏まえて第 22 期に確立した「政策立案(2~7 月)」→「政策推 進(7~12 月)」→「政策実現(12~3 月)」→「政策評価(1~4 月)」の政策実現サイクルを通じて目指 す政策・制度の実現力を高めていく。また政策実現サイクルの中では、自動車総連本部と地方を政 策でつなぎ政策実現活動を補強・強化するため、地協と連携した取り組みを強化していく。 自動車総連政策集「明日への提言 2012 年版」(第 23 期改訂)としてとりまとめた「最重点政策(自動 車総連として具体的政策を有し、政府/民主党等と直接、政策協議を行っていく政策)」を軸に、当 該年度において積極的かつ主体的に政策実現に向けて活動する項目を「政策協議項目」として選 定し、政府や民主党との政策協議や連合政策への意見反映、動向のフォロー等に取り組む。 設定した「政策協議項目」の実現に向けては、労連、地協はもとより、フォーラム議員や組織内地方 議員等を参加対象とした「政策推進コンベンション」を開催し、実現に向けた具体的な活動について 共有化を図っていく。 組織内議員や関係諸団体はもとより、地方レベルでの政策(地方連合会の政策等)に反映させるべ く各方面への理解・浸透を図るためのツールとして政策集「明日への提言」を作成(改訂)する。作成 (改訂)にあたっては、後半期に政策委員会および「政策討論集会」を活用し、組織内の意見反映に 努める。 (2) 全国的な政策実現活動の推進と地協政策研修会の開催 自動車総連は働く仲間の声を「全国的な政策実現活動」を通じて訴えてきたが、その過程において は地協の果たすべき役割が極めて重要であり、地方連合会における政策実現活動を通じて、国・地 方自治体に対する働きかけを強化していかなければならない。 具体的には、組織内地方議員やフォーラム議員との連携を通じ、地元の行政/民主党県連/地方 連合会等に対して自動車総連が掲げる政策推進項目の提言・、要請活動等、機動的に働きかけを 実施し、全国的な政策実現力を高める活動に引き続き取り組む。 加えて、自動車総連政策の理解者拡大と地協における政策実現に向けた活動の協力者を拡大する ために、各級地方議員との連携はもとより、フォーラム議員の枠にとらわれず、広く地域レベルで民 主党国会議員や地方連合会との連携を強化する。 また、全国の地協において年 1 回以上開催する「地協政策研修会」においても、全単組代表者はも とより、民主党国会議員や各級地方議員、地方連合会など政策実現への関係者への自動車総連政 策の理解浸透、政策推進協力者の拡大を図る。 (3) 総合生活改善における政策・制度の取り組み 組合員の生活を総合的に改善するためには、労働条件改善の取り組みに加えて政策・制度課題へ の取り組みが不可欠である。そのため、通常国会会期中の取り組みとなる総合生活改善「政策・制 度の取り組み」においては、「政策協議項目」として設定した政策が、国会審議を経て成立、実現す るまで動向を注視し、自動車総連独自の活動や連合の取り組みへの積極的な参画を通じて確実な 政策実現を目指す。また組織内の情報共有化を図るため、国会審議・成立等の動向をタイムリーに 展開していく。 (4) 上部団体、政府・政党の政策立案プロセスへの対応 連合は政府・与党と定期的に政策協議を実施するほか、政府の開催する各種審議会において労働 者の立場から意見を述べるなど、政府・政党の政策立案に深く関わっている。 こうした事を踏ま え、連合の各種委員会や全国の地協が関わる地方連合会の各種活動等に積極的に参画して自動 車総連の政策を反映させ、政策実現を図っていく。 民間・ものづくり・金属産業にかかわる政策課題については、金属労協の各委員会を通じて金属部 門他産別と連携し、政府への働き掛けを行っていく。 国政選挙における民主党マニフェストの改訂にあたっては、自動車総連の政策が反映されるよう、 組織内議員やフォーラム議員と連携し対応を図っていく。 2) 顧問・政治顧問・組織内国会議員との連携充実 顧問、政治顧問、組織内国会議員との日常的な連携はもとより、定期的な懇談会についても、政策 推進と機能強化の観点から、引き続き 12 労連会長の参加のもと、政治情勢や政策に関わる情報の 共有化を図るとともに、政策実現に向けた政策協議を深めていく。 3) 「車と社会を考える政策フォーラム」との連携強化 自動車総連の政策・制度の取り組みにおいて、「車と社会を考える政策フォーラム」を「日本の自動 車産業基盤の維持・強化を最優先課題と捉え、自動車産業、総連政策への深い理解に基づき、自 動車総連政策の実現に協力し、推進していただける議員集団」と位置づけ、より強固な関係づくりを 目指し取り組む。 具体的には、日常のフォーラム議員との連携はもとより、フォーラム議員代表懇談会、フォーラム総 会や全国の各地協での政策研修会等を相互理解を深める機会として有効に活用できるよう取り組 む。 また、自動車総連の具体的政策を立案・推進するにあたっては、フォーラム議員の政府・与党内の 役職や委員会、精通する政策分野(税制、環境、年金医療など)などを踏まえつつ、状況に応じた連 携にも対応していく。 ⅱ. 環境変化をとらえた業種横断的な課題解決の推進 1. 人に焦点をあてた課題解決に向けた取り組み<重点> 日本の自動車産業はチームワークと常に改善し続ける向上心に支えられ、さらには人を育て職場 の力を高めることでグローバルでの競争を乗り越えてきた。 今後も、日本の自動車産業が持続的に発展していくためには、働く人が意欲や活力を持って常に前 向きに挑戦し続ける環境整備が必要であり、環境変化を踏まえ、職場実態を的確に把握した上で、 働き方やグローバル人材不足等の課題解決に向けて人に焦点をあてた取り組みを推進していく。 活動を進めるにあたっては、メーカー、車体・部品、販売、輸送を含めた関連する産業全体としての 強みを念頭に、課題解決に向けた取り組みを推進していく。 また、メーカー、車体・部品、販売、輸送、それぞれの業種で起こっている問題は他業種とも密接に 関連しており、課題解決に向けては産業全体の課題と位置付け活動を推進していく。 2. 産業全体での課題解決に向けた取り組み 1) メーカー 直面している市場・産業構造の変化を踏まえ、メーカー部門として現場で起きている問題を共有する とともに、懸念される課題に対して議論を深め、産業全体の健全発展に向けた対応について自工会 との産業労使会議等での意見交換へつなげていく等、スピード感をもった取り組みを行っていく。 二輪車については、国内市場活性化に向けて、駐車場の整備拡充やバス専用レーンの二輪車走 行可能化等、自工会二輪車特別委員会と連携しながら二輪車の利用環境改善を促進する取り組み を、地域の実態に応じて展開していく。 大型車は、自工会大型車特別委員会と連携し、開発コスト低減に向けた、グローバル規制と国内規 制の関連性や課題の把握に取り組む。 メーカー13 組合における年間カレンダー協定については、幅広い業種から成り立つ自動車産業に おける「統一モデルカレンダーの重要性」を十分に認識し取り組む。 労働政策面での取り組みについては、自動車総連共闘のリーディングユニオンとして、環境整備を 含め牽引役としての役割を果たしていく。総労働時間短縮に関しては、各単組のカットゼロに向けた 「年休取得 3 ヵ年計画」の進捗の共有化をはかり、取り組みを牽引していく。 2) 車体・部品 日本の自動車産業は中小を含む数多くのサプライヤーに支えられているが、環境変化への対応が 困難となり企業の存続が危うくなれば、ものづくり産業全体の崩壊につながることが危惧される。 労働組合の視点で、日本にものづくりを残していくための議論を深め、産業労使会議等を通じて経 営側に提言を行っていく。また、産業台で取り組む必要があるものについては経営者団体との連携 を強化し、政府や政党、国や地方行政に対してものづくり産業維持に向けた政策を推進していく。 労働政策に関する取り組みでは、業種間・企業規模間等に存在する賃金格差の是正を図っていくと ともに、総労働時間短縮に向けた取り組み等、着実に進めていく。 3) 販売 輸出環境の厳しさにより、各メーカーの国内市場での競争が激化しつつあり、過当競争の再燃によ り、自動車産業の付加価値の流出が懸念されるなど、販売業界を取り巻く環境の大きな変化に対応 し、公正な競争環境の整備・確立に向け取り組んでいくとともに販売業界の魅力向上に向けては、 ワーク・ライフ・バランスの実現を目指していく。 具体的には、START12 の取り組みを通じた年間総労働時間短縮に取り組む中で、年間休日増(104 日未満の一掃)、年次有給休暇の取得推進、営業スタッフの魅力ある働き方の実現など、働き方の 改善にトータルで取り組んでいく。 また、「販売業界の魅力ある働き方の実現」や「高付加価値で魅力ある産業の確立」を目指し、正月 三が日の休業の取り組みについて毎年着実に前進させていく。 加えて、職場の安全確保に向けては、販売部門として労働災害、通勤災害の情報共有を行うととも に、自販連との産業労使会議においても意見交換のテーマに掲げ、労使で販社における安全衛生 活動の推進をフォローしていく。 大型車におけるサービススタッフの長時間労働の改善については、引き続き取り組んでいくととも に、業界の環境変化を捉えた対応を労使ではかっていく。 賃金については、絶対額を重視した取り組みを進める上での販売部門としての課題を整理し、必要 な対応を検討していく。また、成果主義的要素の強い賃金制度における賃金カーブ維持/賃金改善 など業種課題の課題についても対応を検討していく。 4) 輸送 積年の課題である「路上積み降ろし問題」の課題解決に向けメーカー・販売部門との連携に加え、 各労連が実情に即して策定した改善計画に基づく活動状況を共有するなど、自動車総連・労連が一 体となった取り組みを推進していく。 安全な輸送に繋げるため、キャリアカー全般に関する各種規制等の改善に向けた検討を行う。また 「ドライバー不足問題」や「適正な運賃問題」など、輸送部門における厳しい事業環境の改善に向け た取り組みについて検討していく。 とりわけドライバー職については、変動給比率が高く不安定な賃金体系や、その結果として生じる長 時間労働に対する是正、さらにはコンプライアンスの観点から「改善基準告示に対する確認の場の 設置」に取り組み、その推進により魅力の向上へつなげていく。 5) 一般 一般部会は、研究開発、教習所等、業種が多岐にわたっていることから、個別の分科会等の中で特 性に応じた情報交換を行っていく。 加えて個別課題解決に向け、同様な業種を構成組織に持つ他産別との連携や連合への意見反映 等へ取り組んでいく。 6) 次世代に車の魅力を伝える取り組み 第23 期に引き続き、「車の魅力」や「ものづくり」を次世代に伝えて行くことを目的に各地協と連携し、 『親子 de ものづくり』を開催し、活動の定着と全国的な展開を目指して取り組んでいく。 また工作キット(現状:四輪木製モーター自動車と 3 種類のペーパークラフト)の種類追加も併せて 検討していく。 3. より実効性を高める産業労使の取り組み 産業を取り巻く、激しい環境変化に対応していくため、各業種部会で議論している業種課題につい て、定例的に開催される労使会議や必要に応じて開催するトップ懇談等で課題を労使で共有すると ともに解決に向けた議論を深めていく。 部工会、自販連、陸送協会との労使会議で議論した内容について産業全体の課題と位置づけ、自 工会との労使会議の場において問題提起するなど、経営者団体との労使会議間の連携を強化し て、課題解決につなげていく。 4. 雇用問題への対応 雇用問題が発生した場合には各労連・地協と連携し、速やかに対策本部を立ち上げ再就職支援の 取り組みを行う。また、必要に応じて、地方連合会や友誼産別に対しても再就職支援の協力要請等 の働きかけを行う。 非正規労働者への対応を含めた雇用課題等への対応として、足元の雇用動向の把握に努めてい く。 5. 安全衛生の取り組み 安全衛生活動については高止まりしている重大災害を撲滅し、「災害ゼロ」の達成を目指し、重大災 害恒久対策ホームページなどを活用し労連、単組の取り組み強化に向けたサポートをしていく。 また、不幸にも重大災害が発生した場合には、類似災害の防止につなげていくため、迅速に労連を 通じて単組に重大災害情報の発信を行うとともに、発生原因、恒久対策の情報についても速やかな 水平展開が出来るよう取り組みを強化する。 さらに、近年の重大災害発生の傾向として、通勤災害の割合が増加していることから、交通安全の 取り組みを強化していく。 メンタルヘルスについては、法改正の動きを踏まえ、自動車総連と労連の役割を明確にした上で、 取り組みのサポートを強化していく。 ⅲ. グローバルでの健全な労使関係の構築に向けて 1. 国際労働諸問題に対応できる体制整備 1) 多国籍企業労働組合ネットワークの構築<重点> グローバルでの健全な労使関係の構築に向け、多国籍企業労働組合ネットワーク構築の取り組み を、引き続き重点的に推進していく。 労連、単組における海外労働組合との二国間会議、マルチ(多国間)会議の開催に向けた国際委員 会における取り組みについて、メーカー部会、車体部品部会、販売部会と適宜連携し推進していく。 主要三極産業別組織とのネットワーク構築により、相互連携を強化する。 (1)米州地域・・・UAW(全米自動車労働組合)トップミーティング、実務者会議 (2)欧州地域・・・IG メタル(独金属産業労動組合)実務者会議、AFW(ロシア自動車・農機具労動組 合)・EWU(ロシア機械労働者労動組合)定期交流 (3)アジア地域・・・アジア自動車労組会議(日本、台湾、フィリピン、マレーシア、インドネシア、タイ、 韓国、インド、インダストリオール(*)本部自動車担当部長 参加のマルチ会議) * インダストリオール・・・正式名称は IndustriALL Global Union。2012 年 6 月に IMF(国際金属労連)と ICEM(国際化学エネルギー鉱山一般労 組)と ITGLWF(国際繊維被服皮革労連)が統合した、金属、鉱業、化学、エネルギー、繊維の各産業の労働者 5,000 万人の新 GUF(国際 産業別労働組合組織)。 2) 海外事業体における健全な労使関係構築への働きかけ<重点> 日本の自動車産業基盤の維持・強化に向けては、海外事業体における安定した労使関係が不可欠 であり、海外事業体における健全な労使関係の構築に向け、国際労働運動の動きに関する日本の 労使間での理解を深めていく。 国際労務問題に対応できる体制整備に向け、国際委員会にて議論をしていく。 海外労務問題発生報告書の共有を引き続き推進すると共に、ILO 中核的労働基準に抵触する案件 については対応事例を国際委員会にて共有し、労連・単組の海外労使紛争への対応力強化と未然 防止につなげていく。 3) 海外労働組合情報の収集と共有 連合、金属労協、UNI-LCJapan(UNI 日本加盟協議会)との連携により、海外労働組合情報の収集に 努める。 国際委員会における、自動車総連と労連、労連相互の海外労働組合情報の共有を密に行う。 従来のメーカーと車体部品部門を対象とした、「海外事業体組織化調査」に、販売部門を追加し、現 地労使関係情報の実態把握を行う。 4) 国際労働運動を担う人材育成 国際労働運動に携わる人材育成に向けた労連、単組の活動に対し、自動車総連としてサポートして いく。 JILAF が開催する国際活動家養成コースに自動車総連本部、労連から参加し、国際労働運動にて 活躍できる人材を育成する。 連合二国間セミナー、金属労協国際労働研修プログラム、UNI-LCJapan セミナー、自動車総連調査 団、海外労働組合受け入れ等の機会を活用し、国際労働運動に携わる人材を増やしていく。 2. 国際連帯活動の推進 1) 連合国際活動への参画 連合国際委員会、多国籍企業問題小委員会において、自動車総連としての役割と責任を積極的に 果たしていく。 ITUC(国際労働組合総連合)など国際労働組合組織、ILO(国際労働機関)・OECD(経済協力開発機 構)など国際機関の状況について、連合国際局を通じ情報収集を行い、国際委員会にて共有してい く。 「国連ミレニアム開発目標(MDGs)(*)」の達成に向け、NGO-労働組合国際協働フォーラムの企画 委員会に参画していく。 * 国際ミレニアム開発目標(MDGs)・・・Millennium Development Goals は、開発分野における国際社会共 通の目標。2000 年 9 月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニ アム宣言を基にまとめられた。MDGs は、極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015 年までに達成すべき 8 つの目標を掲げている。 2) 金属労協国際活動への参画 金属労協の活動に国際委員会等への参画を通じて、自動車総連としての役割と責任を積極的に果 たしていく。 インダストリオール自動車部門アジア地域の活動を補完すべく、金属労協が国内外で開催する、労 使紛争未然防止セミナーに企画段階から積極的に関与していく。 インダストリオールアクションプランを踏まえ、国際会議における女性の意見反映を更に進めるた め、主要会議への女性参加率 30%以上を確実に推進する。 3) UNI-LCJapan 国際活動への参画 UNI- LCJapan 中核組織として、その役割と責任を積極的に果たしていく。 UNI- LCJapan アクションプログラム「パートナーシップ労使関係のアジア太平洋地域における普及」 を目的に、UNI- LCJapan が進める各種プロジェクト、セミナーに参画していく。 UNI・UNI-Apro と自動車総連販売部会との連携強化に努める。 第 3 回世界大会で採択されたブレイキングスルー戦略計画を踏まえ、全ての意思決定機関におい て女性の代表を 40%達成するという目標に取り組む。