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中国演劇の魅力

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中国演劇の魅力
2005 年度第 3 期 アジア理解講座「中国演劇の魅力」
中国演劇の魅力
毎週金曜日 全10回(1月13日∼3月17日)
U.S.エデュケーション・ネットワーク
●コーディネーターからのメッセージ
多様な中国文化のなかで、演劇はとくに魅力ある分野のひとつです。中国人の精神生活とも深く
かかわっており、中国理解のためには演劇についての知識が不可欠といっても過言ではありません。
本講座では伝統劇、地方劇はもちろん、20 世紀に入ってから日本や西洋の影響を受けて誕生、発
展してきた「話劇」も扱います。
中国の伝統劇、地方劇に共通する特徴としては、歌唱を伴うこと、そして約束事にもとづく抽象化
された演技があげられます。それを否定するところから始まった「話劇」は、基本的にセリフを中心と
したリアリズム劇でした。ところが近年の「話劇」は伝統劇に題材を求め、その演技法を取り入れること
で、可能性を広げつつあります。一方、伝統劇も「話劇」の舞台作りを一部取り入れることで、近代化
を図ろうとしています。
本講座を通じて、伝統と現代の共存あるいは融合の上に、いまも進化を続けている中国演劇の魅
力を知っていただければ幸いです。
(飯塚 容)
第 1 回 1 月 13 日(金)
伝統劇概説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 松浦 恆雄
中国の伝統劇は、古くから、中国社会において非常に重要な役割を果たしてきました。まず第一に、
中国人の宗教生活における重要性です。第二に、中国人の娯楽における重要性です。そして第三に、
中国人の処世における重要性です。
このように、伝統劇は、中国人にとっては、多様な意味を持ち、多層的に受容されてきました。本講
義では、中国の伝統劇の歴史的変遷を簡略に説明しながら、中国人の日常生活に根ざした伝統劇の
受容の諸相を明らかにしたいと思います。
第 2 回 1 月 20 日(金)
中国演劇の音楽 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 吉川 良和
中国伝統演劇は中国語で「戯曲」と言います。「曲」は、もと「物語る歌」のことです。ですから、歌が
最も大事な鑑賞要素で、北京では「芝居を聴く」と申しました。伝統演劇は3百種以上もありますが、こ
の歌唱スタイルで分類します。そこで、まず代表的4種を聴いていただき、伝統演劇は京劇だけでは
ないことを知っていただきたいと思います。次に、唐代以前の「歌舞音楽」(その流れが日本の雅楽)の
伝統を受けついでいるので、主役達の所作は打楽器で「舞う」ように動きます。その打楽器の働きの重
要性を、実際にVTRを御覧に入れて、理解していただきたいと思います。そこで、京劇などの激しい立
ち回りが曲芸とは違い、打楽器と一体になった「武舞」だとお分かりになるでしょう。また、中国の下座
は、じつは日本の古典演劇の「相方」と共有する、同様場面の同一曲流用、さらに風雨、波、川なども
打楽器で象徴的に打たれることをご紹介いたします。ぜひ、中国伝統演劇の音世界をお楽しみ下さい。
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2005 年度第 3 期 アジア理解講座「中国演劇の魅力」
第 3 回 1 月 27 日(金)
「現代話劇」概説――曹禺作品を中心に ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 飯塚 容
20 世紀初頭に日本で学んだ中国人留学生が日本演劇の影響を受けて始めた「文明戯」、そして
1910 年代後半からのイプセン流の西洋近代劇導入を経て、1920 年代に成立した台詞中心のリアリズ
ム劇を中国では「話劇」と呼びます。この「話劇」が 1930∼40 年代に成熟を見せるところまでが、いわ
ゆる「現代話劇」の範囲です。今回の講座では、中国話劇を確立した劇作家といわれる曹禺(1910‐
1996)の作品を中心に、「中国現代話劇」の豊かな成果を紹介します。
第 4 回 2 月 3 日(金)
新時期「話劇」概説 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・瀬戸 宏
新時期とは、1976 年に文化大革命が終結した後の時期を指します。それ以前とは質的に区別される
新しい時期が始まったという意味を込めて、中国で使われ始めました。狭義の新時期は 1989 年の六四
天安門事件で終了しますが、今回はそれ以後今日までを含めてお話しします。
文革終結後の中国は、それまでになかったような大きな社会変動を経験しました。会話とそれにとも
なう自然な身体動作を基礎とする話劇は、中国社会近代化(現代化)の直接の産物でしたが、その話劇
も社会変動につれてさまざまな変貌を余儀なくされていきます。話劇という演劇形態を直接破壊しようと
いう演劇運動も起こりました。一方で、話劇を守ろうという動きも根強いものがあります。今回の私のお話
を通して、話劇破壊と話劇再生がからみあった中国現代演劇の試行錯誤の歩みを理解していただけた
ら、と思います。ビデオなど視聴覚資料もできるだけ使いたいと思います。
第 5 回 2 月 10 日(金)
様々な地方劇 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 細井 尚子
タイトルの「地方劇」は「地方戯」を日本語訳したものです。日本では「地芝居」という言葉があります
が、これは中央の芝居に対する言い方で、中央の芝居を見本としてできています。中国では、これに
該当する中央の芝居は新中国になって政策的に作られるまで存在しませんでした。つまり、各地でそ
れぞれの言語、民俗、音楽を用いて作られたのが地方戯になります。支配層のスティタス・シンボルと
なった「昆曲(昆劇)」、北京で複数の地方戯から作られた「京劇」も、地域性を超えたという点では地方
戯ではありませんが、本来は地方戯でした。すなわち、中国の芝居のうち「話劇」以外はすべて地方戯
である・であったということになります。
本講座では、まず地方戯とはどういう芝居なのか、具体的に理解した上で、地方戯全体をその発展
過程の特性から 3 つに分け、各々の代表的なものを取りあげて紹介します。
第 6 回 2 月 17 日(金)
「京劇コード」の面白さ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加藤 徹
伝統演劇の作品は、神話や民話と似ています。それは、俳優や観衆が何世代にもわたって練り上
げてできた文芸です。古来、世界のどの国でも、世代累積型集団創作の文芸は、その民族の深層心
理を映しだす鏡となっています。
神話や民話、演劇などのストーリー上の約束事を、コード(code)と言います。コードは、その時代や
社会の暗黙知的な倫理観であり、黙契でもあります。
二百年の歴史をもつ京劇は、単なる娯楽ではありませんでした。二十世紀前半までは異民族や外
国人に対する鬱屈した思いのはけ口として、二十世紀後半以降は大衆啓蒙の手段としての社会的機
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2005 年度第 3 期 アジア理解講座「中国演劇の魅力」
能をも、になわされてきました。そのため、京劇の芝居に盛られている秘密のコードを、外国人の目で
冷徹に読み解くと、中国人も気づいていない彼らの本音が、ありありと見えてきます。
「京劇コード」を読み解く面白さについて、京劇の代表作のビデオをいくつか見ながらご紹介
できれば、と思います。
第 7 回 2 月 24 日(金)
京劇の歴史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 平林 宣和
1790 年以来二百年あまりの歴史を持つ京劇は、中国を代表する伝統演劇の一つであると同時に、
また中国の近現代の歴史を最もよく反映する演劇でもあります。清末の宮廷において皇族たちの寵愛
を受けたのも、その清朝を打倒した辛亥革命の際に中国社会の改革を訴えるメディアとなったのも京
劇でした。そして、二十世紀初頭に俳優梅蘭芳は中国文化の粋としての京劇を世界に知らしめ、また
世紀半ばの文化大革命の時代には、革命プロパガンダの尖兵として、京劇は中国全土を席巻してい
ます。さらに二十一世紀を迎えた今日、京劇はこれらの歴史全てを背負いながら、一つのイメージに
は収まらない多様な姿を我々に示しているのです。今回の講座では、中国の近現代と歩みをともにし
てきた京劇の姿を、二十一世紀の今日から振り返りたいと思います。
第 8 回 3 月 3 日(金)
越劇とジェンダー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中山 文
中国の女性演劇・越劇について、劇種成立の歴史をジェンダーの視点からお話しします。
「中国の宝塚」と呼ばれ、京劇に次ぐ中国戯曲第 2 の劇種の地位を誇る越劇は、もともと浙江省の男
性農民が行なう農村芝居からはじまりました。それがどのようにして近代の上海で女性演劇として花開
いたのでしょう。そこには孤島時代の上海、女性の地位向上による女性観客の誕生、共産党の指導と
いう時代の後押しがありました。その成長過程は女性ならでは苦しみや恨みに満ちていましたが、彼
女らはつねに強い男性を味方につけ自分たちに足りない物を彼らから学び取ってきました。そして男
性たちもまた、彼女らの成長に自分の果たしえなかった理想の姿を見、喜んで力を貸してきたのでし
た。袁雪芬の越劇改革は単に芸術的な意味だけでなく、それまで虐げられてきた女優にとってとても
重要な社会運動でもありました。同時に、これこそ男女が協力して進めてきた、理想的な女性解放運
動であるといえるのかもしれません。
第 9 回 3 月 10 日(金)
現代劇と伝統劇のコラボレーションの可能性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 伊藤 茂
中国では現代劇を「話劇」、伝統劇を「戯曲」と言います。私の担当は、その両者のコラボレート、共
同作業とよべるような作品の現状を紹介することです。日本では、現代劇と伝統劇はたがいに壁を作
って別の道を進む傾向がありました。それに比較すると中国演劇では、伝統劇は現代劇の技法を摂
取することに一貫して積極的です。また話劇も「戯曲」から脚本や技法を摂取して、自らを豊かにしよう
としてきました。とくに文革後、もはや「戯曲」は、単純に 伝統劇 とはよべないほど大胆な現代化を進
め、 新編戯曲 の秀作を生み出してきました。また近年の歌舞伎が演出に蜷川幸雄や野田秀樹を起
用しているように、中国でも伝統劇と現代劇を区別なく担当する演出家の例が増えています。そして彼
らの仕事が、西欧演劇の模倣ではない中国独自の演劇を生み出す可能性を見せはじめているので
す。ビデオでいくつか代表的な作品を見ながら、伝統と現代を融合させようとする彼らの演劇観にまで
話を広げていければ、と考えています。
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2005 年度第 3 期 アジア理解講座「中国演劇の魅力」
第 10 回 3 月 17 日(金)
「話劇」の日中交流 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 内山 鶉
日本の新劇や小劇場と中国の「話劇」、その共通点と相違点、歴史的な接点はどこにあるのでしょう
か? 日本も中国も 20 世紀になって欧米から移入した現代劇をつくりはしましたが、いまだに猿真似
あるいは借物ではないのか、という根本的な問いは消えません。中国の現代劇には最近、伝統劇に
取材した舞台が増えているようです。これは中国独自の国劇をつくろうとする巨大な実験の一つでは
ないでしょうか? 小山内薫にはじまる日本国劇の実験もいつか行方知れずになりそうな日本にとって、
注目に値するものと思われます。伝統劇と現代劇がそれぞれ独自の発展経路をもつ日本と中国も、か
つて木下順二が語ったように、それぞれの道をきわめたところに、欧米の輸入品でない、日本や中国
の真の現代劇が成り立つのかもしれません。そのためにこそ毎年の相互訪問など、千田是也、杉村春
子、滝沢修ら諸先輩が日中の演劇交流に力をつくされたのでしょう。
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2005 年度第 3 期 アジア理解講座「中国演劇の魅力」
講師紹介
飯塚 容(いいづか ゆとり)
(講座コーディネーター)中央大学文学部教授
1954 年生まれ。専門は中国現代文学、演劇。東京都立大学大学院修了。日中演劇交流「話劇人社」
理事。主な著書に『演劇の「近代」』『近代劇の変貌』(共著 中央大学出版部)など。訳書に『中国現
代戯曲集』『高行健戯曲集』(共訳 晩成書房)、李馮『もうひとりの孫悟空』(中央公論新社)、余華『活
きる』(角川書店)、高行健『霊山』『ある男の聖書』『母』(集英社)、鉄凝『大浴女』(中央公論新社)な
ど。
松浦 恆雄(まつうら つねお)大阪市立大学大学院文学研究科教授
1957 年生まれ。神戸大学文学研究科修士課程国文学(中国文学)専攻修了。博士(文学)。大阪市立
大学文学部助手、講師、助教授を経て、現職。専門は、中国現代文学、演劇。主な著書に『中国のプ
ロパガンダ芸術』(共著 岩波書店 2000)、『中国 20 世紀文学を学ぶ人のために』(共編 世界思想
社 2003)など。
吉川 良和(きっかわ よしかず)一橋大学大学院社会科学研究科教授
1943 年大阪府堺市生まれ。東京都立大学大学博士課程中途退学。神奈川大学教授を経て 1998 年
より一橋大学社会学部教授、2000 年より、現職。主な著書に『中国音楽と芸能』(創文社)、「中国伝統
芸能の試論と研究手引き」(『中国通俗文学への視座』東方書店 所収)、「中国の唱導演劇」(『芸能と
祭祀』勁草書房 所収)、「中国における語り物音楽の展開」(『日本の音楽・アジアの音楽』岩波書店
所収)など。
瀬戸 宏(せと ひろし)摂南大学外国語学部教授
1952 年大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部、同大学院博士後期課程修了。博士(文学)。中国現
代文学演劇を話劇を中心に研究。日本現代中国学会理事、日本演劇学会幹事。主な著書に『中国
の同時代演劇』(好文出版 1991)、『中国演劇の二十世紀 中国話劇史概況』(東方書店 1999)、
『中国話劇成立史研究』(東方書店 2005)など、訳書に『中国現代戯曲集』第一集(共訳 晩成書房
1994)など。
細井 尚子(ほそい なおこ)立教大学社会学部助教授
早稲田大学大学院文学研究科芸術学(演劇)専攻博士課程単位取得中退、文学博士。立教大学社
会学部助教授・早稲田大学演劇博物館 COE 客員講師。専門は演劇学・中国表演学。京劇、川劇な
どの舞台演劇、端公戯、打城戯などの宗教的芸能、チベット族の祭の芸能、ウイグル族の舞踊など少
数民族の芸能、泉州の糸操り人形劇の他、越劇と宝塚歌劇の比較研究など、娯楽としてのパフォーマ
ンスが対象。演じられるものだけではなく、演じる場、観客、演者、興行なども含めて対象とするため、
フィールド調査を大事にしている。論文に「越劇と宝塚歌劇」(『中国 21』vol.20)、「チベット族ランジャ
の祭 ルロ ――中国青海省黄南蔵族自治州同仁県」、「中国福建省と四川にみる 表演 ――人の移
動との関連の中で」など。
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2005 年度第 3 期 アジア理解講座「中国演劇の魅力」
加藤 徹(かとう とおる)広島大学総合科学部助教授
1963 年東京生まれ。東京大学文学部中文科、同大学院で中国文学を専攻。その間、北京大学にも
留学。主著に『京劇──政治の国の俳優群像』(中公叢書、2002 年サントリー学芸賞受賞)、『漢文力』
(中央公論新社 2004)、『西太后』(中公新書 2005)ほか。
ホームページ「京劇城」 http://home.hiroshima-u.ac.jp/cato/KGJ.html
平林 宣和(ひらばやし のりかず)早稲田大学政治経済学術院 助教授/演劇博物館研究員
専門は二十世紀を中心とした中国近現代演劇史で、京劇に関連する論著としては、「革命現代京劇
の英雄人物造型に関する一考察−京舞体三結合を中心に」(『中国都市芸能研究』第三輯 2005)、
「国劇の黄昏−中華文化と本土文化の狭間で」(『広島経済大学研究論集』 2002)、「梅蘭芳と綴玉
軒−近代知識人と京劇の古典化」(大修館書店『しにか』 1995)などがある。
中山 文(なかやま ふみ)神戸学院大学人文学部教授
大阪外国語大学大学院外国語学研究科東アジア語学専攻修士課程修了。日中演劇交流「話劇人
社」理事、日本ジェンダー学会理事、日本現代中国学会、日本女性学会所属。大阪大学外国語学部、
神戸学院大学教養部を経て 2004 年より現職。この間 1999 年から 2000 年まで北京大学、復旦大学訪問
教授。主な著書に『中国女性史入門』(共著 人文書院 2005)、『霧里観花――中国戯劇的可能性』
(共著 中国戯劇出版社 2003)、「陸游の離婚」(『一海知義の漢詩道場』 岩波書店 2004)、「袁雪
芬と上海越劇――家と女をめぐって」(『ジェンダーから見た中国の家と女』 東方書店 2004)、「梅花
奨与茅威濤」(『中国戯劇梅花奨二〇周年文集』 中国戯劇出版社 2004)など。
伊藤 茂(いとう しげる)神戸学院大学人文学部教授
1949 年生まれ。神戸大学文学部卒、大阪大学大学院文学研究科修了。能・狂言を中心に日本古典
芸能の変遷、とくに近代化過程についての考察から研究生活を始め、以後、対象を近、現代演劇に
広げ、劇場や制作など環境論的考察を進める。近年は、中国演劇をフィールドに日中の演劇を作品
や環境から比較し、多くの評論や上演批評を発表。1997 年、中国戯曲学院客座教授。1998 年より日
中演劇交流「話劇人社」常務理事、機関紙「幕」編集長。著書に『上海の舞台』(翠書房 1998)、『霧
里観花』(共著・戯劇出版社 2003)、「藤澤浅二郎と中国人留学生(春柳社)の交流の位置」《中国話
劇研究 第十輯》(共著・文化芸術出版社 2004)など。
内山 鶉(うちやま じゅん)劇団民藝演出家
1934 年東京生まれ。1958 年早稲田大学文学部演劇科を卒業、続いて東京都立大学大学院中国現
代文学の竹内好ゼミに参加、1963 年劇団民藝に入団、宇野重吉に師事して内外の現代劇を演出。
1977 年から 78 年文化庁派遣でイギリスに 1 年間研修。主な演出作品にゾラ『居酒屋』、曹禺『日の出』、
イプセン『人形の家』、久保栄『火山灰地』『林檎園日記』、三好十郎『炎の人』『その人を知らす』、木下
順二『子午線の祀り』『巨匠』、黒井千次『家族展覧会』など。1965 年の第 2 次訪中日本新劇団に参加
以来 10 数回中国を訪れ、1992 年から 93 年には上海青年話劇団で『世紀の悲劇』、上海人民芸術院
で『東京の月』を演出、上海演劇人協会の名誉会員となる。中国演劇の翻訳に、曹禺『雷雨』『日の
出』『北京人』、錦雲『犬おやじの涅槃』など。現在、日本演出者協会理事、日本大学芸術学部講師、
日中文化交流協会常任理事、日中演劇交流「話劇人社」理事なども務める。
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