Comments
Transcript
全文PDF(1083KB) - Japanese Journal of Antibiotics
Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—45 347 ( 11 ) アムホテリシン B 脂質製剤が使用された 症例の後方視的検討 山岸由佳・三鴨廣繁 愛知医科大学大学院医学研究科感染制御学 (2010 年 9 月 1 日受付) 2008 年 1 月から 2009 年 6 月に愛知医科大学病院においてアムホテリシン B 脂質製剤 (liposomal amphotericin B: L-AMB) が投与された 41 例について,臨床背景と,有効性, 安全性について後方視的に検討をおこなった。 L-AMB は重症例で使用されていることが判明し,死亡により治療継続できない症例が 31.7% みられた。 L-AMB は第 2 選択薬としての投与例が 56.1% (23/41)で,前投与抗真菌薬が無効の場 合が 48.8% (20/41)であった。第 1 選択薬として投与された例は 43.9% (18/41)で, (1) Cryptococcus 感染症例 1 例,(2) severe sepsis または septic shock の症例 7 例,(3) バイオ フィルム形成が疑われる人工異物抜去不能症例 2 例,(4) step-down therapy を実施した症 例 6 例, (5) 発熱性好中球減少症において経験的投与を強力に実施した症例 2 例であっ た。 投与前後で血清カリウム値 (p⫽0.10),血清クレアチニン値 (p⫽0.05) に関しては有意 (分 な変化は認められなかった。投与開始時クレアチニン値は,1.31⫾1.30(平均 ⫾S.D.) 布範囲: 0.13⬃5.36) mg/dL であった。 L-AMB 投与前から透析を実施していた症例が 7.3%(3 例),L-AMB 投与開始後に新たに透析が必要となった症例は認めなかった。LAMB 投与例における最高血清クレアチニン値が,正常 → 異常が 29.3%(12/41),異常 値 → 異常値が 24.4% (10/41) であった。投与前が異常値であった場合に L-AMB 投与した 場合の変動について十分に検討された報告はなく,自験例は貴重な検討と思われる。抗 微生物薬で腎機能へ影響を与える薬剤併用例は 51.2% (21/41) と高率であったことは,L- AMB 使用例では他の細菌合併症が多いことを示している。クレアチニンの変動に関して は,L-AMB の投与期間にかかわらず,症例によって変動する症例とまったく変動をきた さない症例を認めた。 L-AMB 投与開始時の血清カリウム値は 4.1⫾0.8 (平均 ⫾S.D.) mEq/L,フロセミドなどの利尿薬併用例は 31.7% (13/41),投与期間中最低血清カリウム 値は 3.4⫾0.9(平均 ⫾S.D.)(分布範囲: 1.9⬃6.2)mEq/L,L-AMB 投与中カリウム補充 例は 34.1% (14/41),補充カリウム総投与量は 131.25 mEq であった。なお,低カリウムが 原因で死亡した症例は認めなかった。 L-AMB は,殺真菌的作用を有する唯一の抗真菌薬である特性を生かした投与を考慮す る一方で,重症例に用いる場合は併用薬や腎機能,カリウム値などを慎重にモニタリン グし対応しながら投与することで投与継続し得ることが示唆された。 348 ( 12 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Oct. 2010 日本でも 2006 年にポリエンマクロライド系抗 経験的治療薬,および標的治療の第 2 選択薬とし 真菌薬のアムホテリシン B 脂質製剤( liposomal て位置づけられてきた。また, L-AMB は,発熱 amphotericin B: L-AMB, 以 下 L-AMB と 略 す ) 性好中球減少症 (febrile neutropenia: FN) に対し が承認され,臨床現場での使用が可能になった。 ても適応を有している。 L-AMB の主有効成分であるアムホテリシン B 自 今回,我々は,臨床現場における L-AMB の使 体は,日本では 1960 年代に発売され,効果の高 用実態を調査し, L-AMB の適正使用のためにそ い深在性真菌症治療薬として位置付けられてい の位置づけを明らかにすべく,実際の L-AMB 使 る。日本では,最近まで,深在性真菌症治療で 用例について, L-AMB による有害事象を中心と は,キャンディン系抗真菌薬やアゾール系抗真菌 して,臨床効果も含めて後方視的に調査した。 薬が主流であったが,アムホテリシン B は,ア ゾール系薬剤が効果を示さないムーコルなどの接 I. 対象と方法 合菌やアゾール系薬剤に抵抗性を示すアスペルギ ルス属などにも有効であるといった特徴を持つ上 (1) 対象 に,現在使用されている抗真菌薬の中で,ほとん 2008 年 1 月から 2009 年 6 月に愛知医科大学病 どすべての真菌に対して,唯一,殺菌的に効果を 院で, L-AMB が投与された 41 例を対象とした。 示す薬剤でもある。しかし,一方で,アムホテリ 1 回の入院で L-AMB を複数期間投与していた場 シン B は,腎機能障害や低カリウム血症,点滴注 合は,投与目的が同じ場合は同一症例とし,投与 射中の発熱,悪寒,嘔気・嘔吐など強い副作用を 時疾患など投与目的が異なる場合は,それぞれを 有しているため,投与後の患者の状態を常に観察 1 症例とした。また,同一症例が複数回入院して し,副作用の程度を見ながら投与量の調節をする L-AMB を投与した場合は,各入院それぞれを 1 必要があるなど,使いにくい薬剤とされていた。 症例とした。 L-AMB は,従来のアムホテリシン B の強い抗真 菌活性を生かしたまま,副作用軽減を図る目的で (2) 検討方法 開発されたドラッグデリバリーシステム (DDS) 製 患者背景,臨床検査値について,診療録から, 剤である。具体的には,アムホテリシン B をリポ 後方視的に検討した。 ソーム(脂質二分子膜)内に封入することで,血 管透過性が亢進した感染病巣への移行は維持した (3) 検討項目 まま,毛細血管からの漏出や組織細胞への移行を それぞれの症例で,性別,年齢,体重,最終転 制限し,腎機能障害を軽減する。また,点滴注射 帰,診療科,基礎疾患の有無,深在性真菌症のリ 中の悪寒や発熱など急性副作用も,従来のアムホ スク因子の有無,投与開始時の体温,抗真菌薬の テリシン B 製剤に比べて半減したという報告もあ 第一選択,第二選択の分類, L-AMB 投与目的, 1) る 。また,リポソームに封入した DDS 製剤であ L-AMB の臨床効果, L-AMB 投与中止理由, L- ることから血中滞留性に優れている。 AMB の投与期間と総投与量, L-AMB 投与開始 日本で発表されたガイドラインである「深在性 2) 時の b -D-グルカン値,真菌感染症の病態を調査 真菌症の診断・治療ガイドライン 2007」 では, した。深在性真菌症のリスク因子は,「深在性真 L-AMB は,主に,侵襲性カンジダ症の標的治療 菌症の診断・治療ガイドライン」2) および,PFALLER 薬第 2 選択薬として,侵襲性アスペルギルス症の ら3) のカンジダ血症のリスク因子を参考に,術後 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 14 日以内,3 日以上の先行する抗菌薬投与と投与 63—45 349 ( 13 ) て,検出真菌と検出部位を調査した。 された抗菌薬,低アルブミン血症(アルブミン値 3.0 mg/dL 以下),14 日以上のステロイド投与,放 (4) 真菌学的検査方法 射線療法,移植,抗腫瘍薬投与, 48 時間以上の 真菌の同定は,アピ 20C オクサノグラム(bio- 人工呼吸管理または気管切開,血液透析,熱傷, Merieux Japan Ltd.,東京)を用い,添付文書に 医療器具留置について,それぞれの有無を調査し 記載された方法を遵守して実施した。感受性検査 た。 は,ASTY(極東製薬,東京)を用い,添付文書 真菌検査を施行した症例について,検出真菌と に記載された方法を遵守して行った。 検出部位(血液,IVH カテーテル先,尿,痰,髄 液,便,ドレーン)をそれぞれ調査した。 検査値は,白血球数,血小板値,CRP (C-reac- (5) 統計学的解析 統計学的解析は,t-検定(間隔尺度)あるいは tive protein) 値,AST (aspartate aminotransferase), Fisher の直接確率計算法,Wilcoxon 符号順位検定 ALT (alanine aminotransferase), ALP (alkaline (分類尺度)を用い, p⬍0.05 を有意差ありとし phosphatase),総ビリルビン値,について,それ た。なお,データの解析は PRISM ver 5.01® を用 ぞれ L-AMB 投与開始時と終了時の値を調査した。 いて行った。 また,血清カリウム値,クレアチニン値について 調査した。 II. 結果 血清カリウム値は,投与中カリウム値の推移, 投与期間中の最低カリウム値と Grade 分類,カリ 患者背景を Table 1 に示す。 ウム投与例の有無と総投与量,フロセミド併用例 男性 65.9%( 27 例),女性 34.1%( 14 例)と男 を調査した。低カリウム血症の Grade 分類は,有 性に多い傾向を認めた。年齢分布は 64.9⫾19.4 害事象共通用語規準 v3.04) に基づき,Grade 1(血 (5⬃88)歳であった。 清 カ リ ウ ム 3.0 mEq/L 以 上 , 3.5 mEq/L 未 満 ), 診療科の内訳は,血液内科 22.0%( 9 例),腎 Grade 3( 血 清 カ リ ウ ム 値 2.5 mEq/L 以 上 , 3.0 臓内科 14.6%( 6 例),泌尿器科 12.2%( 5 例), mEq/L 未 満 ), Grade 4( 血 清 カ リ ウ ム 値 2.5 脳外科 19.0%( 4 例),呼吸器内科 7.3%( 3 例), mEq/L 未満),Grade 5(低カリウム血症による死 ,膠原病内科 7.3%(3 例) 消化器内科 7.3%(3 例) 亡)とした。高カリウム血症は血清カリウム値 の順に多く,全 13 診療科であった。 5.5 mEq/L 以上とした。 クレアチニン値は,自施設の基準値が,男性 0.6 mg/dL 以上 1.1 mg/dL 未満,女性 0.4 mg/dL 以 最終転帰は,生存 15 例,死亡 26 例であった。 L-AMB 投与時の体重は 50.6⫾12.3 (16⬃85) kg であった。 上 0.8 mg/dL 未満であることから,1.1 mg/dL 以上 L-AMB 投与日数は 14.4⫾14.6 (1⬃78) 日,投与 を異常値とした。 L-AMB 投与前,投与中クレア 量は 2.5⬃3 mg/kg/day,総投与量は 1,866⫾2,102 チニン値の推移,投与期間中最高クレアチニン (125⬃11,700) mg であった。 値,投与終了時クレアチニン値,透析の有無,抗 微生物薬のうち腎機能へ影響を与える薬剤の併用 例を調査した。 また,微生物学的検討が実施された症例につい L - A M B 投 与 開 始 時 の 体 温 は , 3 7 . 9 ⫾0 . 9 (36.4⫾39.6) °C であった。 L-AMB 投与開始時 b -D-グルカン値を測定した 34 例中 21 例 (61.8%) が陽性であった。 350 ( 14 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Table 1. Patient profile used liposomal amphotericin B. Oct. 2010 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS Table 1. (Continued). 63—45 351 ( 15 ) 352 ( 16 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Oct. 2010 Table 1. (Continued). 基礎疾患(重複あり)は,循環器疾患 41.5% 抜去不能症例 2 例, (4) step-down therapy を実施 (17 例),血液疾患 24.4%(10 例),糖尿病 22.0% した症例 6 例,(5) FN 時の経験的投与を強力に実 ( 9 例),膠原病 19.5%( 8 例),固形腫瘍 17.1% 施した症例 2 例であった。 (7 例)の順に多かった (Table 1)。 第 2 選択薬として投与された症例の先行投与抗 深在性真菌症のリスク因子(重複あり)は,先 真菌薬は,ミカファンギン (MCFG) 7 例,ホスフ 行する抗菌薬投与 3 日以上の症例が 39 例 (95%) ルコナゾール (F-FLCZ) 4 例,フルコナゾール と最多で,続いて低アルブミン血症が 37 例 (90%) (FLCZ) 2 例,イトラコナゾール (ITCZ) 3 例,ボ であった (Table 1)。 リコナゾール (VRCZ) 2 例であった。 L-AMB 投 与 開 始 時 の 血 清 ア ル ブ ミ ン 値 は 2.5⫾0.6 (0.9⬃3.9) mg/dL であった。 医療器具留置例は IVH 73.2%(30 例),尿路カ テーテル 51.2%(21 例)の順に多かった。 L-AMB と他の抗真菌薬との併用例は認めな かった。 抗真菌薬投与開始時の病型は,確定診断例 36.6%(15 例)(うち 1 例重複あり),臨床診断例 また,先行する抗菌薬投与 3 日以上の症例の投 19.5%( 8 例),深在性真菌症疑い例 36.6%( 15 与抗菌薬内訳は,キノロン系薬などの広域抗菌 例) ,FN 9.8%(4 例)であった。確定診断例では 薬,グリコペプチド系薬などの抗 MRSA 薬の頻度 真菌血症が 73.3%( 11 例/15 例)と最多であった が高くなっていた (Fig. 1)。 (Table 1)。 L-AMB 投与目的は,第 2 選択薬としての投与 例が 56.1% (23/41) で,(1) 前投与抗真菌薬が無効 検出真菌と検出部位は,血液 11,喀痰 7,IVH カテ先 5 の順であった。(Table 2)。 の場合 20 例, (2) 原因真菌に対する他の薬剤の L-AMB の有効性の評価は,死亡 13 例や有害事 MIC 値が高い場合 1 例,(3) FN 時の予防投与の場 象のため評価不能な症例などが多かったことから 合 2 例であった。第 1 選択薬として投与された例 16 例での検討となったが,臨床的に有効と判断さ は 43.9% (18/41) で,(1) Cryptococcus 感染症例 1 れたのは 75.0% (12/16),無効が 25.0% (4/16) で 例, (2) severe sepsis または septic shock の症例 7 あった。 例,(3) バイオフィルム形成が疑われる人工異物 有効例 12 例のうち確定診断例は Candida 血症 1 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—45 353 ( 17 ) Fig. 1. Administration of antibiotics over 3 days*. INH: isoniazid, RFP: rifampicin, FOM: fosfomycin, ST: sulfamethoxazole-trimethoprim, VCM: vancomycin, TEIC: teicoplanin, LZD: linezolid, MINO: minocycline, CPFX: ciprofloxacin, PZFX: pazufloxacin, LVFX: levofloxacin, GRNX: garenoxacin, CLDM: clindamycin, CAM: clarithromycin, ABK: arbekacin, AMK: amikacin, MEPM: meropenem, IPM/CS : imipenem/cilastatin, CEZ: cefazolin, CAZ: ceftazidime, CTRX: ceftriaxone, CPR: cefpirome, CFPM: cefepime, CZOP: cefozopran, TAZ/PIPC: tazobactam/piperacillin, SBT/ABPC: sulbactam/ampicillin *: Some patients administrated more than 1 antibiotics. Table 2. Isolated fungi and isolated specimen*. THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 *: 1 patient had meningitis caused by Cryptococcus and Candida species. Table 3. The type of invasive fungal infection and reasons of stopping antifungal therapy with liposomal amphotericin B. 354 ( 18 ) Oct. 2010 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—45 355 ( 19 ) 例,Candida 腹膜炎 1 例,臨床的診断例は,inva- および CRP 値は改善傾向にあった。(白血球数; sive pulmonary aspergillosis (IPA) 1 例,尿路感染 p⫽0.05, CRP 値; p⫽0.09)。血小板数低下例が散 症 4 例であった。 見されたが統計学的に有意な低下は認められな 無効例 4 例のうち 1 例は Candida albicans が原 かった (p⫽0.10)。肝胆道系酵素に有意な上昇は 因の真菌血症で, L-AMB 投与中にもかかわらず 見 ら れ な か っ た (AST; p⫽0.56, ALT; p⫽0.14, C. albicans 血症が持続した。投与量は 2.5 mg/kg/ ALP; p⫽0.92,総ビリルビン値; p⫽0.67)。 日で,L-AMB に感性株であった。1 例は臨床的診 血清カリウム値は,投与開始時血清カリウム値 断 IPA であったがアスペルギルス抗原が上昇した は 4.1⫾0.8 (2.1⬃5.7) mEq/L,投与終了時血清カ ため無効と判断した。1 例は b -D-グルカン値陽性 リウム値は 3.8⫾0.8 (2.4⬃5.6) mEq/L で,L-AMB かつ Candida colonization 複数箇所検出された疑 投与前後で有意な低下は認めなかった (p⫽0.10)。 い例であったが,L-AMB 投与にもかかわらず b - フロセミドなどの利尿薬併用例 31.7%( 13 例), D-グルカン値が上昇し 1 週間で無効と判断した。 投与期間中最低血清カリウム値 3.4⫾0.9 (1.9⬃ 1 例は FN に対する予防投与であったが,L-AMB 6.2) mEq/L で,投与前と投与期間中最低血清カリ の投与にもかかわらず高熱が続き無効と判断され ウム値は有意な減少を認めた (p⬍0.0001) (Fig. 2)。 た。 L-AMB 投与前と投与期間中最低カリウム値の変 L-AMB 投与中止理由は,臨床症状改善のため 動は,前値のみの測定が 14.6% (6/41),高値 → 高 29.3%(12 例),死亡のため 31.7%(13 例),無効 値が 2.4% (1/41),正常 → 正常が 31.7% (13/41) と判断されたため 9.8%( 4 例),腎障害のため 例,高値 → 低値 2.4% (1/41),正常 → 低値 41.5% 9.8%(4 例),低カリウム血症持続のため 4.9%(2 (16/41),低値 → 低値 9.8% (4/41)であった (Table 例),肝機能障害のため 2.4%(1 例) ,薬疹が疑わ 4) 。 L-AMB 投与中のカリウム補充例は 34.1% れたため 2.4%(1 例),治療継続拒否のため 2.4% (14 例)で,補充したカリウム総投与量は 131.25 (1 例) ,不明 7.3%(3 例)であった (Table 3)。 L-AMB 投与前後の検査値の変動は,白血球数 mEq であった。甘草含有製剤併用例は認めなかっ た。 L-AMB 投与期間中の血清カリウム値の最低 Fig. 2. Serum potassium before administration liposomal amphotericin B and minimum value during using liposomal amphotericin B. 356 ( 20 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Oct. 2010 Table 4. Serum potassium characteristics administered liposomal amphotericin B. 値が 3.5 未満であった 21 例について, L-AMB 投 4) 低カリウム血症による死亡例は 0 例であった。血 与期間中の最低カリウム値の Grade 分類 は, 清カリウム値の推移を投与日数全体でみると,投 Grade 1 (3.0 mEq/L⬉K⬍3.5 mEq/L) 26.8%( 11 与継続とともに低下傾向がみられたが,特に長期 例 ), Grade 3 (2.5 mEq/L⬉K⬍3.0 mEq/L) 9.8% 投与例では変動がみられカリウム補充されていた (4 例),Grade 4 (K⬍2.5 mEq/L) 14.6%(6 例)で, (Fig. 3)。L-AMB 投与中に血清マグネシウムを測 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—45 357 ( 21 ) Fig. 3. The change of serum potassium during administration of liposomal amphotericin B*. Fig. 4. Serum creatinine before administration liposomal amphotericin B and maximum value during using liposomal amphotericin B. 定した症例は認めなかった。 終了時クレアチニン値は 1.39⫾1.19 (0.15⬃4.56) 血清クレアチニン値の変動は,投与開始時クレ mg/dL で, L-AMB 投与前後の血清クレアチニン アチニン値は 1.31⫾1.30 (0.13⬃5.36) mg/dL,投与 値は有意な増加を認めなかった (p⫽0.05)。投与 358 ( 22 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Table 5. Serum creatinine characteristics administered liposomal amphotericin B. Oct. 2010 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—45 359 ( 23 ) Fig. 5. The change of serum creatinine during administration of liposomal amphotericin B*. 期間中最高血清クレアチニン値は 1.7⫾1.4 (0.15⬃ 10 例が多く,固形癌は 7 例と少なかったが,これ 5.69) mg/dL で,投与前と投与期間中最高血清ク は当院の入院症例の特徴と考えられた。深在性真 レアチニン値は有意な増加を認めた (p⬍0.0001) 菌症のリスク因子として先行する抗菌薬投与,デ (Fig. 4)。L-AMB 投与前と投与期間中最高クレア バイス留置が多く,これまでの報告 2,3) と同様で チニン値の変動は,正常 → 正常が 18 例,正常 → あったが,低アルブミン血症が 90.2% (37/41) に 異常 12 例,異常 → 正常 1 例,異常 → 異常 10 例 みられ,真菌の腸管等からの translocation の誘因 であった (Table 5)。抗微生物薬で腎機能へ影響を となっている可能性が示唆された。 与える薬剤併用例は 51.2%(21 例)であった。ク 現在日本で使用されている深在性真菌症ガイド レアチニンの変動は,長期投与,短期投与にかか ライン2) において,侵襲性カンジダ症に対しては, わらず,症例によって変動する症例とまったく変 L-AMB は,主に第 2 選択薬として位置づけられ 動をきたさない症例を認めた (Fig. 5)。投与前か ているが,自験例のように severe sepsis や septic ,L-AMB 投与開始後に新 ら透析例が 7.3%(3 例) shock の症例(8 例)や,播種性血管内凝固 (DIC) たに透析が必要となった症例は認めなかった。 合併例(10 例)などの場合には,L-AMB のもつ 殺真菌作用を期待して第 1 選択薬として投与され III. 考察 ていることが判明し,今後,各種ガイドライン等 における L-AMB の位置づけを見直す必要性が示 今回の検討では,循環器疾患 17 例,血液疾患 唆された。 360 ( 24 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 今回の L-AMB の有効性の検討では, L-AMB 63—_5 Oct. 2010 の貯留性が高いため,非常に長く体内に存在し, 投与開始から有効性評価まで確認できた症例が非 血中濃度半減期,24 時間よりも後の g 相は約 150 常に少なかったため,今後も症例を蓄積して検討 時間となっている8,9)。このように血中での滞留性 する予定である。 も高いという薬物動態的特徴があるため,L-AMB L-AMB の有害事象には,悪寒,嘔吐,腎毒性, を投与中止あるいは終了した後も,低カリウム血 低カリウム血症,低血圧,高血圧,頻脈,低酸素 症が遷延することがあり,投与を終えたあとも暫 1) 血症などが知られている 。L-AMB は,アムホテ くは血中カリウムの値の推移に注意が必要であ リシン B (AMPH-B) をリポソーム化することで薬 る。今回の検討で L-AMB 投与期間中の最低カリ 5) 剤が有する有害事象を低減しえた薬剤である 。 ウム値の Grade 分類は,Grade 1 (3.0 mEq/L⬉K⬍ 腎障害は,以前の製剤であるアムホテリシン B の 3.5 mEq/L) 26.8%(11 例),Grade 3 (2.5 mEq/L⬉ デ オ キ シ コ ー ル 酸 製 剤 (d-AMPH-B) (0.6 K⬍3.0 mEq/L) 9.8%( 4 例 ), Grade 4 (K⬍2.5 mg/kg/day) (n⫽344) と,リポソーマル化した製剤 mEq/L) 14.6%( 6 例 ) で , L-AMB 投 与 全 体 の である L-AMB (3 mg/kg/day) (n⫽343) の比較試 51.2% (21/41) と高頻度に認めた。国内第 II 相臨 験 6) では,血清クレアチニン値が治療開始前の検 床試験での低カリウム血症発現頻度は 27.1% であ 査値の 2 倍以上と定義された腎毒性の発現頻度 り,また井山ら( 2010 年)10) は 21.9% (7/32),浜 は,d-AMPH-B 群よりも L-AMB 群が有意に少な 11) は 24.0% (6/25) と報告している 田ら(2010 年) かった (p⬍0.001)。しかし,それでも L-AMB の がこれらの報告と比較すると当院での発現頻度は クレアチニン上昇の発現頻度は,ベースラインの 高い。これは,フロセミドなどの利尿薬併用例が 1.5 倍を超える頻度が 29.4%,2 倍を超える頻度が 31.7% であったことも要因の一つとして考えられ 6) 18.7%, 3 倍を超える頻度が 8.2% であり ,腎毒 た。また, L-AMB 投与前と,投与期間中の最低 性は低いとはいえない。腎毒性を有する併用薬と 血清カリウム値の変動は,正常 → 低値が 41.5% して,抗菌薬(アミノ配糖体系薬など),免疫抑 であったが,高値 → 低値を 1 例認めており, L- 制薬(シクロスポリン,タクロリムスなど),抗 AMB によるカリウム低下の影響には注意と慎重 ウイルス薬(フォスカルネット,ガンシクロビル な対応が必要と思われる。また,一方で,高値 → など)と L-AMB の併用例では,腎毒性の発現頻 高値を 1 例認めたが,これはもともと腎不全があ 6) 度は有意に高まるという報告 があることから, るために, L-AMB によるカリウム低下の影響と L-AMB 投与の際は併用薬に注意が必要である。 腎不全によるカリウム上昇の影響が相殺され,腎 モニタリングは,血中クレアチニンのみならず血 不全によるカリウム上昇が勝ったためと推察され 中カリウム値や血中マグネシウム値の測定も必要 た。自験例のように, L-AMB 投与前から腎機能 である。これらの低下を回避することで低カリウ が不良な症例においては低カリウム血症のみなら ム血症,低マグネシウム血症そのものによる重篤 ず, L-AMB による腎機能悪化による高カリウム な有害事象を回避できるだけでなく,糸球体濾過 血症にも注意が必要と思われる。低カリウム血症 量の減少の回避につながる。また, L-AMB 投与 を引き起こす薬剤として,血清カリウムを排泄す 時の腎機能障害を予防あるいは軽減するための方 る作用を有する副腎皮質ホルモンや,ループ利尿 法として,充分な補液投与を行うなど尿量の確保 剤,サイアザイド系利尿薬があり, L-AMB との 7) が有用である 。 また, L-AMB は肝臓などの細網内皮系組織で 同時使用は低カリウム血症や腎障害を増悪させる 可能性がある。しかし,これらの薬剤は深在性真 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—45 361 ( 25 ) 菌症の症例では併用される頻度も低くないため, 投与前の腎機能が高い症例における変動には十分 電解質などのモニタリングを頻繁に行うことで多 注意が必要であると思われる。クレアチニンの変 くの場合は対応可能である。長期投与例では 2 相 動は,投与期間にかかわらず,症例によって変動 性に血清カリウム値が低下された症例を経験した する症例とまったく変動をきたさない症例を認め が,頻回のモニタリングと適切なカリウム補充で た。前値の 1.2 倍を超える血清クレアチニン値の 対応可能であった。 上昇を認めた症例は,国内第Ⅱ相試験で 39.8%, クレアチニン値は,L-AMB 投与前が 1.31⫾1.30 井山ら( 2010 年)の検討で 12.5% と報告されて (0.13⬃5.36) mg/dL,異常値であった症例が 26.8% いるが,投与前が異常値であった場合に L-AMB ( 11 例)を占めた。今回の検討では, L-AMB 投 投与した場合の変動について十分に検討された報 与日数や採血ポイントによる影響を考慮していな 告はなく,自験例は貴重な検討と思われる。ま いが, L-AMB 投与前と,投与期間中の最高血清 た,抗微生物薬で腎機能へ影響を与える薬剤併用 クレアチニン値の変動が,正常 → 正常の 18 例は, 例は 51.2%(21 例)と高率であったことも,当院 0% 以上 20% 未満の増加が 55.6% (10/18) と最多 の L-AMB 使用例の特徴と考えられる。L-AMB 投 であったのに対し,正常 → 異常の 12 例は,+80% 与前から透析中であったり,血清クレアチニン値 以上の増加が 41.7% (5/12),20% 以上 40% 未満の が高値であった症例の検討がされた報告はなく, 増加が 33.3% (4/12) と,増加割合が高い特徴を認 今回の検討は貴重と思われる。今後のデータの蓄 めた。異常 → 異常の 10 例は,20% 以上 40% 未満 積が望まれる。今回の検討から,血清クレアチニ が 4 例, 0% 以上 20% 未満が 3 例で増加傾向は正 ン値が投与開始前から高値であっても L-AMB 投 常 → 異常と比較すると緩やかであった。しかし, 与を控える必要はなく,慎重なモニタリングと十 1 例で増加率が 82% の症例を認めており,L-AMB 分な輸液で投与が維持できると考えられる。 Table 6. The recommended criteria of liposomal amphotericin B in Aichi Medical University Hospital. 362 ( 26 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Oct. 2010 深在性真菌症の診断・治療を考える場合,個人 が患者救命につながる一歩とも言える。 L-AMB 防衛の側面,集団防衛の側面,社会防衛の側面の の腎毒性に注意する必要はあるが,単に腎機能だ 3 つの側面から考えることも重要であり,個人防 けにとらわれるのではなく,重症例では, step- 衛の側面では,殺真菌的作用を有する L-AMB の down therapy の概念を導入して,短期間でも殺菌 位置づけ (step-down therapy),透析症例を含めた 作用の強い L-AMB を使用するなどの考え方も必 腎障害症例における抗真菌薬の選択( L-AMB の 要である。また,カリウムの変動には留意する必 使用について,シクロデキストリン含有抗真菌薬 要があり,カリウム低下例では初期段階から,カ 投与について)を再考することなどが該当する。 リウムの補充も考慮する必要がある。このような 集団防衛の側面とは,ブレイクスルーをおこさな 考えに立脚すると,日本の深在性真菌症治療のガ い抗真菌薬の (antifungal-heterogeneity) 使用と, イドラインにおいても,米国感染症学会 (Infec- 真菌の薬剤感受性(アンチバイオグラム)の把 tious Diseases Society of America; IDSA) が 2009 握,社会防衛の側面として,医療経済性を考慮し 年に発表した「カンジダ症治療の実践的臨床ガイ て経口薬へのスイッチを取り入れることなどが該 ドライン:米国感染症学会による 2009 年改訂 当する。殺真菌作用を有する L-AMB を,今後ど 版」12) において取り入れられている step-down ther- のような位置づけで使用するかについて,今回の apy の概念も取り入れる必要があると考える。 結果から, L-AMB は重症例で使用されているこ とが判明し,死亡により治療継続できない症例が 文献 31.7% もみられたことを考慮すると,septic shock 1) MOEN, M. D.; K. A. LYSENG-WILLIAMSON & L. J. SCOTT: Liposomal amphotericin B. A review of its use as empirical therapy in febrile neutropenia and in the treatment of invasive fungal infections. Drugs 69: 361⬃392, 2009 2) 深 在 性 真 菌 症 の ガ イ ド ラ イ ン 作 成 委 員 会 の症例,バイオフィルム留置例,深在性真菌症の うち,感染性心内膜炎,中枢神経系感染症,骨感 染 症 ,ま た ,原 因 真 菌 が , Candida glabrata や Candida krusei の場合が選択されると考える。こ のような考えに基づいて,当院では, L-AMB 投 与推奨基準を設けている (Table 6)。 今回の検討で L-AMB は重症例で使用されてい ることが判明し,死亡により治療継続できない症 例が 31.7% もみられた。また,真菌血症が 31.7%, セプシス合併が 24.4% みられたこと,最終死亡例 が 63.4% であったことは,重症例において,第 2 選択薬としてではなく,唯一の殺真菌的抗真菌薬 であることを勘案すると,重症例である場合こそ, L-AMB を選択することも必要なのではないかと いえるかもしれない。リスクや重症度の低い症例 では,有害事象も少ないのは当然であるが,深在 性真菌症症例の場合は,腎機能悪化症例や透析患 者においても選択せざるを得ない症例があり,リ スクや重症度を考えた L-AMB 投与のタイミング (編):深在性真菌症の診断・治療ガイドライ ン 2007。協和企画,東京,2007 3) PFALLER, M. A. & D. J. DIEKEMA: Epidemiology of invasive candidiasis: a persistent public health problem. Clin. Microbiol. Rev. 20: 133⬃163, 2007 4) 有 害 事 象 共 通 用 語 規 準 v 3 . 0 日 本 語 訳 JCOG/JSCO 版。2004 年 10 月 27 日 5) ADLER-MOORE, J. & R. T. PROFFITT: Ambisome: liposomal formation, structure, mechanism of action and pre-clinical experience. J. Antimicrob. Chemother. 49 (Suppl. 1): 21⬃ 30, 2002 6) WALSH, T. J.; R. W. FINBERG, C. ARNDT, et al.: Liposomal amphotericin B for empirical therapy in patients with persistent fever and neutropenia. N. Engl. J. Med. 340: 764⬃771, 1999 Oct. 2010 THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 7) BRANCH, R. A.: Prevention of amphotericin B induced renal impairment. A review on the use of sodium supplementation. Arch. Intern. Med. 148: 2389⬃2394, 1988 8) BEKERSKY, I.; R. M. FIELDING, D. E. DRESSLER, et al.: Pharmacokinetics, excretion, and mass balance of liposomal amphotericin B (AmBisome) and amphotericin B deoxycholate in humans. Antimicrob. Agents Chemother. 46: 828⬃833, 2002 9) BEKERSKY, I.; R. M. FIELDING, D. E. DRESSLER, et al.: Plasma protein binding of amphotericin B and pharmacokinetics of bound versus unbound amphotericin B after administration of intravenous liposomal amphotericin 63—45 363 ( 27 ) B (AmBisome) and amphotericin B deoxycholate. Antimicrob. Agents Chemother. 46: 834⬃840, 2002 10) 井山 論,村瀬和幸,佐藤 勉,他:当科に おけるリポソーマルアムホテリシン B の使用 評価。感染症学雑誌 84: 182⬃186, 2010 11) 浜田幸宏,小松 彰,瀬戸良教,他: Liposomal-Amphotericin B の有効性および安全性 の検討。感染症学雑誌 84: 193⬃198, 2010 12) PAPPAS, P. G.; C. A. KAUFFMAN, D. ANDES, et al.: Clinical practice guidelines for the management of candidiasis: 2009 update by the Infectious Diseases Society of America. Clin. Infect. Dis. 48: 503⬃535, 2009 Retrospective investigation on the cases treated with liposomal amphotericin B YUKA YAMAGISHI and HIROSHIGE MIKAMO Department of Infection Control and Prevention, Aichi Medical University Graduate School of Medicine We have retrospectively investigated clinical profile, efficacy, and safety in 41 patients who were treated with liposomal amphotericin B (L-AMB) in Aichi Medical University Hospital between January 2008 and June 2009. It turned out that L-AMB was used for severe infectious diseases and 31.7% cases discontinued L-AMB therapy because of death. L-AMB was administered as the second-line therapy in 56.1% (23/41), and was not effective in 48.8% (20/41). L-AMB was administered as the first-line therapy in 43.9% (18/41); (1) 1 for cryptotoccal infection, (2) 7 for severe sepsis or septic shock, (3) 2 for the case which cannot remove medical device and might have biofilm formation, (4) 6 for the induction of step-down therapy concept, (5) 2 for febrile neutropenic patients who have needed aggressive empiric therapy. There was no significant difference in serum potassium level (p⫽0.10) and serum creatinine level (p⫽0.05) between pretreatment and posttreatment with L-AMB. The serum creatinine level before initial treatment with L-AMB was 1.31⫾1.30 mg/dL. The patients for 7.3% (3 cases) had dialyzed before initial treatment with L-AMB, however, there was no case who need dialysis after administration of L-AMB. As for the highest creatinine level in L-AMB administered cases, 29.3% (12/41) and 24.4% (10/41) were normal to abnormal, and abnormal to abnormal, respectively. This is the first investigational report when the serum creatinine level before initial administration of LAMB had been abnormal. The other antimicrobial agents, which might have influenced renal function, were administered to 51.2% cases (21/41). That means the cases administered L-AMB might have other bacterial infections. As for the serum creatinine level, we observed the changing cases 364 ( 28 ) THE JAPANESE JOURNAL OF ANTIBIOTICS 63—_5 Oct. 2010 and the cases which did not cause the change at all regardless of the administering period of LAMB. The serum potassium level before initial administration of L-AMB was 4.1⫾0.8 mEq/L, concomitant use of furosemide etc. was 31.7% (13/41), the lowest serum potassium level was 3.4⫾0.9 (1.9 – 6.2) mEq/L in during using L-AMB, the serum potassium was 34.1% (14/41) in replenish potassium during administration of L-AMB, and the total replenished potassium was 131.25 mEq. We did not observe the case who had died because of the low potassium. Since L-AMB was the only fungicidal drug, when we use L-AMB for the serious infectious diseases to make the best use of the characteristic, we have to pay attention to the concomitant medication, renal function and the serum potassium level.