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片頭痛治療の新たな視点

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片頭痛治療の新たな視点
片頭痛治療の新たな視点
Migraine
セロトニンとストレートネックの関連
成和脳神経内科医院
目次
はじめに
5
私と頭痛医療
6
慢性頭痛とくに片頭痛・緊張型頭痛
9
一次性頭痛(慢性頭痛)とは・・片頭痛と緊張型頭痛との違い
9
片頭痛とは
10
そのメカニズム
13
片頭痛の画期的な治療薬トリプタン
14
トリプタンの登場
14
トリプタンの使い方
15
トリプタンはなぜ効くのか
17
トリプタンも効かない場合
18
誘因探し
19
片頭痛と遺伝
20
これまでの頭痛専門医の啓蒙の仕方
22
最近の戦略
26
片頭痛は、一生涯つきあっていかなければならない病気??
28
片頭痛とストレートネック
33
片頭痛は”片頭痛症候群”か?
41
片頭痛の分類・・・あくまでも私見です
44
片頭痛の原因
46
片頭痛の原因
1
姿勢の問題
46
片頭痛の原因
2
歯科的問題
47
片頭痛の原因
3
片頭痛と「体の歪み」
48
片頭痛の原因
4
慢性的セロトニン不足
49
片頭痛の原因
5
足病変との関連
50
-1-
解剖学的所見
50
片頭痛と生活習慣
53
総論
53
片頭痛と睡眠
59
片頭痛と食事
60
頭痛発作時の記録
65
片頭痛
70
いろいろなレベル(段階)
片頭痛治療の将来への夢
73
セロトニン生活で、片頭痛体質改善
74
セロトニン生活で、片頭痛体質改善を!
実は、私も片頭痛持ちでした
74
83
私の片頭痛を検証する
84
片頭痛の原因を見つけるために
89
片頭痛を改善された方の体験談
90
片頭痛の慢性化に関連して
95
片頭痛の慢性化・・セロトニンの関与???
95
脳過敏症候群の原因は、鎮痛薬だけが原因なのか???
99
頭痛薬
103
頭痛薬と腎障害、発癌性
103
私も”セデスG”のお世話になっていました
105
片頭痛治療の難しさ
108
特定健診保健指導と片頭痛治療
108
なぜ、片頭痛はうまくコントロールされないのか
111
片頭痛は”疾病利得”???
113
あなたの主治医は大丈夫ですか・・
「片頭痛を治す」ために・・
116
片頭痛を治すための「定期受診」のお勧め
118
「片頭痛を治す」をお勧めするまでの経緯
120
片頭痛のセルフケア
123
片頭痛改善のための10カ条
132
-2-
私の言っていることが、既にありました
133
片頭痛を改善させる”頭痛体操
135
ストレートネックを治すには
139
日本頭痛学会への提言
140
日本の片頭痛医療
140
日本頭痛学会と製薬会社
141
片頭痛研究の別の視点
145
一つの提言
148
これでよいのか
149
疫学調査のすすめ
152
第 18 回 関西頭痛懇話会報告
154
第 39 回 日本頭痛学会総会の案内が来ました
156
日本頭痛学会へのお願いです
157
最後に
158
参考文献
160
さらに、足つぼ・整体「ゆめとわ」
160
田中脳神経外科クリニックの田中滋也
片頭痛と食事
誘発因子として
166
「ストレス社会におけるセロトニン的生活の勧め」
169
片頭痛と胸鎖乳突筋
182
気象病
187
「体のユガミの簡単チェックと矯正法」
松岡勝彦
192
ストレスへの耐性を高めるセロトニン神経
199
片頭痛と足病変
209
片頭痛と睡眠
215
片頭痛と食事
ゲルソン食事療法
221
片頭痛と遺伝
223
セロトニン生活のすすめ
225
著者略歴
232
-3-
参考図書
234
あとがき
237
お断り
この書籍は、平成 23 年 8 月 19 日から平成 24 年 3 月 8 日までに、当医院のブログ「頭医
者のつぶやき」に掲載された記事を編集したものです。
ブログの記事ですので、その日・その日の記事であったため、このようにまとめますと、
些か繰り返し同じ事項を述べてしまっている箇所が多く見られます。
特に、発作時の記載方法の箇所は繰り返し・繰り返しくどいまでに述べてありますが、
重要な故にこのような形になっております。
この点は、ご容赦御願い致します。
なお本書に記載できなかった
片頭痛治療に関係する各分野
ストレートネックに関して
以上の項目は、直接、当医院のブログ「頭医者のつぶやき」に直接アクセスして頂き、
ご覧下さい。
著作権が関係しておりますので、悪しからずご了承下さい。
-4-
はじめに
片頭痛の発症および増悪要因として、セロトニンとストレートネックの関与が挙げられま
す。
まず、セロトニンに関しては、片頭痛の人は生まれつきセロトニン神経の働きが悪い(遺
伝的体質)とされています。このため、如何にして「セロトニン神経」を鍛え、セロトニ
ン不足を招く「生活習慣」を改め、セロトニンを増やす工夫が試みられています。
次に、歯のかみ合わせの悪さ、足の問題が原因となったり、さらに姿勢の悪さ、猫背等
々が習慣化して「ストレートネック」が形成され、これが日常生活の中で、前屈みの作業
などを強いられたりして、頸部の筋肉(特に胸鎖乳突筋)に負担をかけ、この刺激が常時、
三叉神経核に送られることによって「脳の興奮性」を高める素地が形成されます。このよ
うな素地をもとにして、諸々の「片頭痛誘発因子」が加わることによって「片頭痛発作」
が誘発されて来ます。(この点を明確にするのが本書の目的です)
しかし、これまで頭痛専門医の間では、頭痛とストレートネックに関しては、エビデン
スがないと否定的で、無関係と考えられて参りました。
そこで、当医院の過去 20 年間に頸椎レントゲン検査を行った方々に対して、頭痛のある
群と頭痛のない群での「ストレートネック」の出現頻度を算出した結果、明らかに「頭痛
のある方々」にストレートネックの出現頻度が高いという結果が出ました。
これとは別に、頭痛を治すために、これまで努力されて来られました鍼灸師、カイロプ
ラクターの考え方を紹介させて頂きました。
しかし、これらは何れも傍証に過ぎないと批判されます。
これらの成績をまとめている最中に、3名の男性を殺害したということで木嶋佳苗被告
の裁判が始まりました。検察側は「状況証拠」から殺人罪を、弁護側は「状況だけでは・
・」と無罪を主張されています。
片頭痛医療に対する考え方も、これと全く同様です。今後、この裁判が決着するまでと、
同様に、このような考え方が理解されるまでには、長い長い「戦い」が始まりました。
今回、「片頭痛治療の新たな視点」を提示し、頭痛専門医のご批判を仰ぎたく存じます。
-5-
私と頭痛医療
私は、昭和 43 年に大学を卒業後、昭和 45 年から国家公務員等共済組合連合会 呉共済病
院・内科に勤務しました。卒業後何もわからない、その当時は、内科医長の診察日には予
診係といって、初診患者さんの病歴をカルテに記入する役目がありました。当時の内科医
長の指導は極めて厳しく、アナムネーゼ(病歴)の記載の仕方が悪いと、何回も取り直し
を課せられた記憶があります。特に、頭痛患者さんの場合は、少なくともカルテ1ページ
を埋め尽くす位に記載しないと幾度も取り直しをさせられました。
このため医学雑誌に掲載されている「頭痛問診表」をことごとく点検し、自分なりの「頭
痛問診表」を作成した記憶があります。
翌年から、若年ながら外来診察を許可され、再診患者を診る合間に、新患の頭痛患者の
診察を行うのですが、予診係の時のように余裕をもって病歴の聴取が困難でした。
当時は、現在のようにCTとかMRIなどの画像診断の無かった時代でした。
頭痛には、一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛とは、脳の中には何も病気がなく、頭の痛みだけが病気である、という頭痛
です。二次性頭痛とは、脳の中にくも膜下出血、脳腫瘍、髄膜炎などの病気があり、その
症状の1つとして頭が痛む場合、または風邪やお酒の飲み過ぎ、薬の乱用など、頭痛が起
きる原因が何か別にある場合の頭痛のことを言います。
頭痛診断ではまず初めに、一次性頭痛と二次性頭痛をきっちりと分けて診断する必要が
あります。もし脳の中に何か病気がある場合の二次性頭痛を見逃すと、患者さんの命に関
わることも少なくありません。
このため、とにかく詳細な病歴聴取に引き続いて「神経学的検査法」を行った上で「二
次性頭痛」の除外を行う必要がありました。
当時は、悪名高き”3分診療”がまかり通っていた時代です。1日に 100 名前後診察す
る中での「頭痛患者」の診察には、「二次性頭痛」の除外を行うのが精一杯の実情でした。
参考までに、当時の頭痛検査として行われていたものは、脳波検査、頭部超音波検査、
髄液検査、脳血管撮影程度で、現在では考えられない状況でした。
このような状況をいかに打開するか考えた末、週1回、午後から「頭痛外来」を許可し
て頂きました。当時の「頭痛外来」には片頭痛と薬物乱用頭痛の方々が大半を占めており
-6-
ました。なぜ、薬物乱用頭痛が多かったのかは、上記のような”3分診療”が行われてい
た結果です。どのようなことかと言いますと、他の内科の先生方は、自分の診察患者の中
に頭痛を訴える方々がおられても、面倒臭いため、詳細な問診もなく、安易に”セデスG
”が処方されていました。現在は製造中止になり、処方されなくなりましたが、当時の鎮
痛薬としては極めてよく効きました。私は学生時代テニスの夏合宿で「水を飲みすぎて」
「胃痙攣」を起こして、七転八倒した経験があります。このとき先輩の先生にオピアトと
いう麻薬の注射をされた経験があります。この効き目は、注射した途端に、あたかも「雲
が晴れていく」ような感覚で痛みが消えていきました。”セデスG”もこの麻薬にも匹敵す
るほど「雲が晴れていく」ようにスッとした爽快感とともに痛みが消えていました。
このため、処方する医師も、処方される患者さんも、安易に服用し、いつの間にか「薬
物乱用頭痛」に移行していくケースが日常茶飯事にありました。
また、片頭痛治療薬としては、現在のようなトリプタン製剤の無かった時代でした。あ
った薬は、先程の”セデスG”と特殊な薬剤としては酒石酸エルゴタミンのカフェルゴッ
ト、クリアミンに、予防薬としてのミグリステン程度でした。
酒石酸エルゴタミンのカフェルゴットは効く人は効くのですが、とくに前兆のある片頭
痛の方に、前兆の出現と同時に、吐き気止めとカフェルゴットを同時に服用してもらうこ
とで劇的に効果を示される方がおられた反面、多くの方々は「前兆のない片頭痛」でこう
いった場合、服用のタイミングがうまくつかめず、副作用である吐き気、嘔吐しか出ず、
鎮痛効果のない方々が多かったように思います。
このような状況でしたので、もっぱら「誘因の除去」と「日常生活指導」に終始せざる
を得ませんでした。ですのでセデスGは貴重な薬剤でした。
頭痛診療での、詳細な病歴聴取の重要性と片頭痛患者さんへの治療上、誘因の除去と「日
常生活指導」の大切さを教えられたのは、この呉共済病院の 18 年間の経験からで、これ抜
きには、現在の私は考えられないと思っております。
私が、和歌山県田辺市の芳養松原という片田舎で、23 年前に「神経内科」を標榜して開
業した時点では、当時、この田辺市内には脳神経外科という診療科はありませんでした。
このため、多くの頭痛患者さんに受診して頂きました。この当時、最も困惑した患者さん
は、群発頭痛の患者さんが、酒を飲んでも、発作が出ないようにしてくれという希望でし
た。その次は、「片頭痛を一生起こらなくするようにして欲しい」というもので、特に、結
-7-
婚を控えているため、結婚までに「片頭痛を治して欲しい」という理由でした。当時から
「これまでの生活習慣を改めながら、発作の誘因を突き止め、これをもとにして解決策を
考えて行きましょう」と説明させて頂いても、このような「まどろっこしい方法」には、
誰も興味を示されず、「一発で治して欲しい」と希望される方々ばかりでした。
その後、10 年前に、トリプタン製剤が発売された当時は、「片頭痛の特効薬」と宣伝さ
れたためか、片頭痛患者さんが医院に押し寄せられるように来院され、中には、トリプタ
ン製剤使用禁忌の患者さんばかりが、どういう訳か来院されたことに困惑しました。コン
トロールされていない高血圧、末梢循環障害、狭心症、脳梗塞の既往のある方々、等々、
トリプタン製剤の限界をどうするのかといった患者さんが、多数来院されました。
しかし、トリプタン製剤も、これまで服用していた「市販の鎮痛薬」よりは、効果があ
るが、薬の値段が高すぎるし、片頭痛が根治するのではないということから、医療機関を
敬遠され、現在では、トリプタン製剤しか効かない方々しか、通院されません。
その後、画像診断が、CTからMRIと移行した途端に、片頭痛患者さんは、MRI保
有医療機関へ流れて行き、当医院には全く来られなくなりました。
その理由は、当医院の方針として、片頭痛発作の誘因(原因)を自分自身で確認しても
らうようお願いしていました。患者さんにとっては、このような「煩雑な作業」を経るこ
となく、MRIで検査をしてもらえば、「片頭痛の原因」が確認されると思っておられたよ
うです。しかし、このようなMRI保有医療機関で検査してもらっても、何も原因が分か
るはずもなく、ただ単に、「鎮痛薬」の処方をされるだけで、放置される始末でした。
当然、患者さんは、何も原因がないと、言われたため、「鎮痛薬」を服用を続行します。
このため、さらに、頭痛が増強するため、再度「MRI保有医療機関」を受診されるので
すが、またMRIを検査され、再度「心配ない」と言われ、また「鎮痛薬」を服用される
という結果になっているのが現状です。患者さんは、どうやっても、頭痛が治らないどこ
ろか「ますます増強してくるため」初めて、藁でもつかむ思いで、当医院を受診されると
いう構図です。ところが、このような患者さんに「薬物乱用頭痛」とお話しても、信用さ
れず、大阪・神戸の「頭痛専門医」に受診され、その結果、改めて、当医院で治療が開始
されるというのが、現状で、現在の患者さんの、98 % は、「MRI保有医療機関を受診さ
れた方々」の後始末ばかりです。
最初に診せてもらえば、このようにならなかったのにと、ボヤキの意味を込めて、2009
年 9 月に、「頭医者のつぶやき」というブログを立ち上げた次第です。
-8-
このような経緯があるため、当医院の方針は、「開院当初から、基本的な考え方」には変
わりなく、ブレてはいないと考えております。
特に、片頭痛・緊張型頭痛に関しては、その方針には、殆ど変わりなく行っているつも
りです。
もっと、初診時に、的確な方針を示すだけの時間的な余裕がないものかと、
「つぶやいて」
いるといったところでしょうか。
慢性頭痛とくに片頭痛・緊張型頭痛
一次性頭痛(慢性頭痛)とは・・片頭痛と緊張型頭痛との違い
日本人の一次性頭痛(慢性頭痛)のほとんどが緊張型頭痛と片頭痛です。これ以外に群
発頭痛がありますが、極めて稀です。
緊張型頭痛と片頭痛の最も大きな違いは、痛みの程度です。
医院に来られる多くの患者さんのように、仕事も家事も手につかないほど痛くて日常生
活に支障が出るという場合は、ほとんどが片頭痛と考えられます。
緊張型頭痛が体を動かすことによって軽くなるのに比べ、片頭痛は体を動かすことでよ
りひどくなります。少しでも体を動かすとズキズキと痛み、階段を上ったり体に力を入れ
たりするとガンガンする、ただひたすらに静かに横になっていたい。このような痛みが片
頭痛の特徴です。
片頭痛は人によって、また同じ人でも、そのときの体調などによって、とてもひどいと
きとそうでもないときがありますが、多かれ少なかれ生活に支障が出ます。ひどいときに
は会社や学校を休まなければならなかったり、寝込んでしまうこともあり、その生活支障
度が高いのが片頭痛の特徴です。
片頭痛で悩む日本人は、15 歳以上の人口の実に 8.4 % 840 万人もいます。
片頭痛は必ずしも片側だけが痛むとは限らず、また心臓の鼓動に合わせてズキンズキン
-9-
とは痛まない場合もあります。
さらに間違えやすいのが、肩や首の凝りです。
緊張型頭痛は、同じ姿勢を続けたり根を詰めて何かをしたときに、肩が凝って起きるこ
とが多い頭痛です。ところが片頭痛でも痛くなる前に、肩や首、側頭部などが凝ってきて、
それから頭が痛くなることがよくあります。
緊張型頭痛では、頭の両側が重かったり、圧迫されたり、締め付けられるような痛みが
ありますが、痛みの程度は軽く、仕事や家事、学校の勉強などは普通にできます。日常の
動作によって悪化することはありません。むしろ体を動かして凝りがほぐれれば、痛みは
和らぎます。マッサージを受けたり、肩を揉んだりするのも気持ちが良いものです。
片頭痛は今までにも述べているとおり、痛みは中程度からかなり強いものまであり、そ
の痛みは日常生活に支障を来たします。歩いたり階段を上ったり首を振ったりすると悪化
し、鎮痛薬を飲まなければ4時間から 72 時間続きます。痛みがひどいときには吐き気を感
じ、また実際に吐くこともあり、いつもは何でもない光や音が、眩しかったりうるさく感
じられたりすることもあります。緊張型頭痛と異なり、肩などを揉んで良くなることはあ
りません。
片頭痛とは
片頭痛は、遺伝子が原因の病気です。片頭痛がある人は、ご両親のどちらか、また両方
に片頭痛があるとされています。しかし、問診上、明らかでない人もおられます。
片頭痛の患者さんはよく、痛みがくるのがわかる、と言います。
背中が凝ってきた、凝りが肩にきた、上に上がってくる、ズキズキする、きた!という
ように、痛みがくる過程が感じられるのが片頭痛の1つの特徴で、片頭痛の予兆と呼ばれ
ています。
片頭痛の診断基準の中にも、痛みの最中の吐き気や音・光への敏感さなど痛み以外の症
状が含まれていますが、片頭痛は頭の痛みだけが症状ではありません。
何となく痛くなりそうな時期から痛みが引いていく時期に至るまで、予兆期、前兆期、
頭痛期、緩解期、回復期という5つの過程があり、特徴的なさまざまな症状が見られるこ
- 10 -
とがあります。
1.予兆期
多くの患者さんが感じる肩や背中、首の
凝り、あくびなどの症状は予兆期に現れる
ものです。予兆期にはこのほか、疲労感や、
集中力の低下、精神的な落ち込み、抑うつ
感などが見られる場合があり、また人によ
っては、お腹がすいて過食をしてしまったり、痛みなどの感覚が過敏になったりという症
状が出ることもあります。
予兆は、長い人では2,3日間、続くことがあります。
2.前兆期
頭痛の起きる直前に特徴的な前兆が現れ
ることがあり、これを前兆期と呼んでいま
す。
前兆は患者さんによってある場合とない
場合があり、片頭痛の分類でも「前兆のな
い片頭痛」と「前兆のある片頭痛」に分けられています。
前兆には、視覚性前兆、感覚性前兆、言語性前兆の3種類ありますが、ほとんどが視覚
性前兆で、感覚性・言語性前兆はあまりみられません。前兆は、頭痛の始まる前に 10 分
から 20 分程度続く一過性の症状で、長くても1時間以上続くことはありません。
視覚性前兆はいわゆる「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれるもので、初めに視野の
中心付近にチカチカ光るものが現れます。チカチカするものは次第に右または左の視野に
広がっていき、やがてその部分の視力がなくなります(視野欠損)。20 分程度経つと視力
が元に戻り、このあと、頭痛が起きます。
感覚性前兆では、顔面や腕、足などにピリピリ、チクチクした感覚が現れ、また言語性
前兆では一時的に言葉が話せなくなる状態になりますが、これらが現れるのは極めて稀で
- 11 -
す。
3.頭痛期
頭痛期は、実際に痛みを感じている状態
で、痛みの程度も軽度から中等度、重度と
さまざまです。この期間には、吐き気や嘔
吐、音・光(眩しさ)・臭いなどに対する過
敏、食欲の減退などの症状があります。
鎮痛薬を飲まずにいた場合、あるいは鎮痛薬を飲んでも効き目がなかった場合、頭痛は
4時間から 72 時間続きます。
4.寛解期
頭痛が回復に向かう時期で、少しずつ痛みが引いていきます。この時期、眠気を感じた
り、実際寝込んでしまう場合もあります。
5.回復期
頭痛がなくなった後も、しばらくは疲労感を感じたり食欲が低下するなどの症状が見ら
れることがあります。また精神的にうつ状態になったり、逆に躁状態になったりすること
もあります。この症状は半日から3日程度、続くことがあります。
このような片頭痛の症状は、患者さんによって多く現れる場合、少なく現れる場合、ま
た全くない場合それぞれですが、全体としてこのような経過を辿ることがほとんどです。
そのため片頭痛の診断には、基本的な診断基準で判断するとともに、痛みの前後の精神
的、身体的な状態を含めた包括的な診断を行うことが必要です。
- 12 -
上図のようなパターンを示すのが特徴で、自分の頭痛発作のパターンを把握することが
極めて大切で、どの段階で「お薬」を服用するかの決めてになります。
さらに、誘発因子を見つける際の大切な点です。忘れないで覚えておいて下さい。
私は片頭痛というものは、1つの大きな交響曲やピアノ協奏曲のようなものだと考えて
います。
そのメカニズム
人間に何らかのストレスがかかった場合、血小板内に備蓄されているセロトニンという
物質が血管内に放出されます。セロトニンは全身に分布していますが、脳の中では神経伝
達物質として作用し、感情に対する情報をまとめて安定させる、という役割があります。
セロトニンは血管を強力に収縮させますので、セロトニンが血液中に増加しますと血管
がキュッと縮みます。増加したセロトニンは、血小板内の備蓄が少なくなるに従って、だ
んだん減少します。血管内のセロトニンが減少すると、収縮していた血管が今度は急激に
バッと拡張します。このとき血管を取り巻いている三叉神経が刺激されて痛みに繋がると
- 13 -
言われています。
また三叉神経の末梢が刺激されると、サブスタンスPやCGRPと呼ばれる神経ペプチ
ドが分泌されます。これらの神経ペプチドは、血管作動性神経伝達物質と呼ばれるもので、
血管周囲に分泌されると炎症を起こし、血管がさらに拡がって痛みが出てきます。
これが三叉神経血管説と呼ばれる片頭痛の起きるメカニズムです。
血管が拡がって三叉神経を刺激して痛みを感じ、また三叉神経は血管を取り巻いている
ため、心臓の拍動に合わせた血流のドクドクという動きでさらに刺激され、拍動の合わせ
てズキズキと痛むこともある、ということになります。
片頭痛に効くトリプタンという薬には、拡張した血管を収縮させる作用と、サブスタン
スPやCGRPという痛みの物質が分泌されるのを抑制する作用の両方があります。いわ
ば片頭痛が起きる原因をなくしてしまいますので、それだけ効果が高いということです。
片頭痛の画期的な治療薬トリプタン
トリプタンの登場
トリプタンは片頭痛に非常に効果のある頭痛専用の薬で、日本では 2000 年に販売が許
可されました。トリプタンの登場によって片頭痛の治療は画期的に進歩しました。
トリプタンが出る前、頭痛で医者に来る患者さんに対しては、鎮痛剤か、片頭痛の治療
薬としてただ一つだけあったエルゴタミン製剤という薬を処方するのがせいぜいで、あま
りひどい場合は痛み止めの点滴をしたりしましたが、これといって効果的な治療法はあり
ませんでした。
エルゴタミン製剤という片頭痛薬は、使い方がとても難しい薬です。痛くなってから飲
んだのでは効かないので、痛くなる前に飲まなければなりません。患者さんは痛くなると
大変だからと、頻繁に飲むようになります。すると薬物乱用頭痛を起こしてしまいます。
また、ある程度痛くなってから飲むと、頭痛が治まらないばかりか悪心嘔吐を起こします。
エルゴタミン製剤を使っていた片頭痛の患者さんたちの悪心嘔吐は、そのかなりが薬のせ
いだったと言われているほどです。
また医療機関が処方する鎮痛薬は、市販のものよりは多少強いのですが、片頭痛には効
- 14 -
かない場合も多く、忙しい中わざわざ医者に行っても、たいして効かない鎮痛剤をくれる
だけなら市販の薬でも同じ、医者に行っても無駄だ、と、頭痛持ちの患者さんたちを医者
から遠ざける原因にもなっていたように思います。
ところがトリプタンは、片頭痛を持つほとんどの患者さんに対して、非常に効果があり
ます。エルゴタミン製剤のように悪心嘔吐を起こしたり、飲むタイミングがとても難しい
ということもありません。午前中を潰して病院に行くだけの価値は絶対にありますので、
片頭痛で悩んでおられる方は是非一度は試してみて下さい。
トリプタンを治療で使う場合、口から飲む経口薬(頓服)、シュッと鼻から吸収する鼻吸
入タイプ、皮下注射という3つの方法があります。注射が最も効き目が早く、打って 10
分もすると頭痛が治まってきます。次に早いのが鼻吸入タイプで 15 分ほど、頓服の場合
は1時間ほどで効き目が現れます。
注射器タイプのトリプタンをいつも持っていて、痛くなったら自分で注射する患者さん
もおられます。
片頭痛ではほとんどの場合、痛くなったときにすぐに飲むことができるよう、経口タイ
プの頓服を処方します。激しい頭痛で吐き気があり、口から飲むことが難しい場合などは、
鼻吸入タイプのものを使うこともあります。
頓服は水で飲みますが、水がなくても口にいれると溶けるタイプのものもあります。
トリプタンという薬は現在、4つの製薬メーカーから5種類発売されており、いずれも
「○○ トリプタン」という一般名がつけられています。
この5種類のトリプタンは、どれも片頭痛に効果がありますが、飲んで素早く効果の出
るもの、効き目が長く持続するものなど、それぞれ少しずつ異なります。さまざまなトリ
プタンがあれば、それだけ各患者さんの痛みの質に合わせて選ぶことができますので、患
者さんにとっても非常に便利です。
トリプタンの使い方
トリプタンは市販薬ではありません。医療機関を受診し、片頭痛という診断をされて初
めて、処方される薬です。片頭痛の痛みには非常に効果的ですが、使い方を間違えると治
る頭痛も治らず、薬物乱用頭痛になりかねません。
- 15 -
単に片頭痛だからトリプタン、群発頭痛だからトリプタンというのではなく、専門医に
自分の頭痛の様子や頻度などをきちんと話し、頭痛が起きる誘因を排除したり予防薬と併
用しながら、正しく使用することが必要です。
トリプタンは、これは明らかに片頭痛である、という頭痛が起きたときに飲みます。風
邪をひいたときの頭痛に飲んでも効果はありません。必ず、片頭痛のときに服用します。
またトリプタンも有効率 100 %ではありませんので、体調などさまざまな状況によって、
効かないときもあります。一度飲んで、2時間経ってもまだ痛みがあるか、ひどくなって
いる場合には、もう一度飲むことができます。1日に飲んでも良いと言われている個数は
トリプタンの種類によって異なり、2つまでのものと4つまでのものがあります。
市販の鎮痛薬には、かなりの量のカフェインが含まれていて胃を荒らすことがあり、ま
た1日に何度も飲むことはできません。それに比べるとトリプタンは体にとって優しい薬
と言えます。
ただし、頭痛が起きるかもしれない、と思って予防がてら毎日1錠ずつ何日か続けて飲
む、というのは避けなければいけません。他の薬と同様、薬物乱用頭痛を起こすことがあ
ります。1カ月に6回以上激しい頭痛が起きてトリプタンを飲むようであれば、主治医と
相談して予防薬を飲むべきでしょう。予防薬と併用することで頭痛の頻度が減り、トリプ
タンの効き目も良くなります。
またトリプタンにも副作用があります。服用してしばらくすると、胸の辺りが少しキュ
ッと締め付けられるようになることがあります。これはトリプタンの副作用で、患者さん
の心電図などをすべて確認しても異常がないことがわかっており、全く安全なので心配あ
りません。5分か 10 分すると症状は消えます。
もう一つ注意が必要なのは、トリプタン服用のタイミングです。服用のタイミングを間
違えると、本来なら効く頭痛も効かず、長い時間苦しむことになりかねません。
トリプタンは、明らかに片頭痛だと思われる頭痛が始まったらすぐに服用するのが最も
効果的です。日本人の場合、痛みにできるだけ耐えることを美徳とする傾向があり、痛み
が始まってもなかなか鎮痛剤を飲まない患者さんも多いのですが、頭痛がひどくなってか
らでは、さすがのトリプタンも効果が出ない場合があります。
初めてトリプタンを処方された患者さんで、効かない、と訴える人によく話を聞いてみ
ますと、痛みをさんざん我慢して我慢して、もうダメだ我慢できない、というときになっ
- 16 -
てやっと飲んだ、という場合がほとんどです。トリプタンは痛みを止めるための薬、痛み
を我慢しなくても良いための薬なのですから、始まったな、と思ったらすぐに服用して下
さい。
また片頭痛には前兆のある方もいらっしゃいますが、トリプタンは前兆時に服用しても
全く効果がありません。また痛みが引く頃になって飲んでも効きません。あくまでも「痛
み」が始まったときに服用します。
トリプタンは、「明らかな片頭痛の痛みが始まったら即座に」という最も効果的な正しい
服用のタイミングを理解して戴き、患者さんは、我慢せずに、痛みが始まったらすぐに飲
むこと。これが、患者さんの苦しみを減らし、決して安くないトリプタンという薬を有効
に活用するためには、大切なことなのです。
トリプタンはなぜ効くのか
トリプタンが片頭痛に効果があるのは、頭痛が起きる仕組みの根幹部分に作用している
ためです。片頭痛にはセロトニンという物質が大きくかかわっています。セロトニンは神
経伝達物質のひとつで、感情のバランスを安定させる役割を持ち、血管を収縮させます。
ストレスなど何らかの理由でセロトニンが分泌され、収縮した血管は、役割を果たして減
少するにつれて今度は拡張します。
血管が拡張することによって血管に絡みついた三叉神経が刺激され、頭痛が起きる、とい
うのが一つ。
さらに、三叉神経が刺激されると、サブスタンスPやCGRPなど炎症を起こす物質が
分泌され、血管を刺激して痛みが出てくる、というのが一つ。
この二つが片頭痛が起きるメカニズムです。
このように血管の収縮と拡張に大きく影響しているセロトニンですが、トリプタンとい
う薬は、セロトニンと同じような作用を持っています。そのためセロトニンの代わりに血
管を収縮させ、拡張によって三叉神経が刺激されるのを防ぎます。
さらにセロトニンは三叉神経に取りついて、痛み物質のサブスタンスPなどが分泌され
るのを抑制する役割がありますが、ここでもセロトニンの代わりにトリプタンが三叉神経
に取りつき、サブスタンスPなどの分泌を抑制して痛みが出るのを防ぎます。
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このようにトリプタンは脳の中でセロトニンとして働き、血管を収縮させ、サブスタン
スPなどの分泌を抑制する、という2つの役割を果たすことにより、片頭痛の起きる原因
そのものを排除します。
つまりトリプタンは、片
頭痛という病気のより本
質に近いところに作用し
て痛みを取るため、効果
が高いというわけです。
トリプタンが出る前に
使用されていた鎮痛剤や
市販の鎮痛薬は、本質的
な痛みの部分に作用して
いるのではなく、痛みの
伝達を途中でブロックし
て感じなくしているだけ
です。
(左図をご覧下さい)
そのため、痛みが強い
と効果がなかったり、薬
を飲んだときには少し良
くなっても、しばらくして薬の効果が薄れてくるとまたすぐに痛くなったり(痛みはずっ
と続いているため)することがあります。
トリプタンも効かない場合
今まで述べてきたように、片頭痛に非常に効果のあるトリプタンですが、それでも有効
率は 100 %ではありません。中には、トリプタンを使っても完全には治りきらなかったり、
部分的にしか効かないという場合もあります。
そのような場合には、患者さんと一緒になって、何とか少しでもよくなるように、あれ
これとさまざまな方法を試すようにします。
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トリプタンは5種類あります。すべて少しずつ異なりますから、どれが一番良く効くか
順番に飲んでみたり、また予防薬もいろいろな種類を試し、飲み方や飲む量を加減します。
故人となりましたが、樋口脳神経クリニックの樋口真秀先生の方式は、片頭痛の方にト
リプタン製剤を処方する場合、この5種類のトリプタン製剤を2錠ずつ、いっぺんに処方
して、患者さん自身に飲み比べてもらうようにしておられました。
このような方式で行きますと、薬剤の金額だけで相当な金額となり、これに検査費用が
加われば、初診時の患者負担は馬鹿になりません。
この点、処方する側にも遠慮があるのではないでしょうか?
しかし、1度処方された
お薬が効かない場合、2度と受診されない方も多いのも事実です。
誘因探し
片頭痛は、様々なことが引き金になって起きることが知られています。
片頭痛を防ぐには、引き起こす原因を探しだしそれを除去することが大切です
片頭痛の
誘因には、飲食物やストレス、人混みなど、さまざまのものがありますが、特定する際に
難しいのは、人によって誘因が異なること、またそのときの体調によっては、誘因があっ
たからといって必ずしも片頭痛が起きるとは限らないということです。
片頭痛が起きたときには、その前に何を食べたり飲んだりしたか、そのとき何をしてい
たか、回りの環境はどうだったか、などを分析し、片頭痛が何によって起きたのかを考え
てみましょう。同じ事が原因で何度も頭痛が起きるようであれば、それが自分の片頭痛の
誘因だと判断し、必要のないものはできるだけ避けることで、片頭痛が起きるのを防ぐこ
とができます。
片頭痛の誘因となるものは、睡眠不足や睡眠過多、人混み、赤ワイン、ビール、チョコ
レート、ハム、ソーセージ類などがよく知られています。このほかにも何か強い臭いが刺
激になって起きる場合、また夢中になって読書やテレビゲームをしたとか、夜遅くまで友
人たちと喋っていたなどということも、誘因になることがあります。
人によって、またそのときの体調によって、環境によって、片頭痛を引き起こす誘因は
さまざまです。睡眠不足が続きストレスも重なっている、というときに赤ワインを飲んだ
- 19 -
ら激しい頭痛がきた、というように、いくつかの誘因が複合的に重なっているときにも注
意が必要です。
このような「誘因探し」が片頭痛治療の第一歩であると述べておられます。
以上のように、立岡 良久先生は、その著書「頭痛退治読本」の中で述べています。
これまで出版されている「片頭痛の一般的啓蒙書」の中で「ピカイチ」であると考え
ましたので引用させて戴きました。
片頭痛と遺伝
先日、ある患者会の代表に、当医院のブログの中の「片頭痛を治す プログラム」を閲覧
して頂き、感想を求めました。
その結果、私の「方式」には納得できない、特に「片頭痛は遺伝性疾患」であり、「第三
者が介入」できないと一蹴され、このような方式は考えられないとのお叱りを受けました。
私は、この感想に、ある疑問を持ちました。
それは、確かに「片頭痛は遺伝性疾患」であることを否定しません。厳然たる事実です。
しかし、遺伝性疾患でありながら、ネット上で、「片頭痛を克服」されている体験談が、こ
れに対して、存在している事実です。
そこで、果たして、片頭痛の方々が、全て「遺伝的な要因」で発症されておられるのか、
と言う事実を まず明確にすることが、現段階で急務と考え、ここに提示致します。
このために、これまでの「片頭痛と遺伝」に関する見解をお示し致します。
(この点は極めて難解ですので、「参考文献」をご覧下さい)
片頭痛発症原因としての「遺伝の関与」の比率を提示したいと思います。
ここが、明確になれば、今後、どのようにすべきかが、明らかになると考え、従来から、
殆ど取り上げられていないことを、浮き彫りにすることが目的です。
問題は、このような「遺伝」に関与するものが、現実にどの位、存在するのかを知るこ
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とが大切です。このような観点から、実際のデータをお示し致します。
まず、最初に、1997 年に発表された、北里大学医学部の坂井文彦教授の「全国調査報告
書」によれば、遺伝の頻度は、片頭痛患者全体の 40.4 % という成績が示されています。
これ以外、に色々検索致しましたが、現時点では、名古屋の寺本純先生のデータしか見
つけることが出来ませんでしたので、この成績を、お示し致します。
その調査結果では、3,138 例を対象に調査を行い、両親のうち母親のみに類似の頭痛が
存在すると回答した患者は、1,362 例(43.4 %)と最も多かった。父親のみと回答したのは
357 例(11.4 %)であった。その他両親ともに頭痛が存在すると回答した患者が 116 例
(3.7 %)存在したところから、個別に合計すると、母親では 1,478 例(47.1 % )が、父
親では 473 例(15.1 %)であった。両親のいずれにも頭痛が存在しないと回答した患者
1,303 例のうち、子供に頭痛があると回答したのは 230 例(7.3 %)であった。
一等親で頭痛が確認されなかった患者 1,073 例のうち、二等親である祖父母に頭痛が存
在したのは 94 例(3.0 %)、同様に二等親である同胞に頭痛があると回答したのは 153 例
(4.9 % )であった。
患者本人から家族の頭痛について問診したので、家族の頭痛が確実に片頭痛であったか
どうかまで調査することはできなかったが、以上の結果から二等親以内に頭痛が存在する
ことが確認されたのは合計 2,312 例(73.7 %)であった。
なお、家族に頭痛はないと回答した 794 例(25.3 %)についてみると、そのなかで男性
は 263 例(33.5 %)で、かなり高頻度であった。
一卵性双生児についての調査では、Ziegler は、41 組の一卵性双生児のうち、11 組の少
なくとも片方と 2 組の両者に激しい頭痛が存在し、二卵性双生児では、65 組のうち、16
組の少なくとも片方と 2 組の両者に激しい頭痛が存在したと報告しています。さらに
Lucas は、1,300 組の双生児のうちから片頭痛を拾い上げて調査を行い、一卵性双生児では
26 % が両者に片頭痛が出現するのに対して、二卵性双生児ではその比率が 13 % であっ
たと報告しています。
これらの調査の中で、調査時点での未発症例が将来的に発症する可能性は否定できませ
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んが、遺伝的には同質であるはずの一卵性双生児でも両者に出現する頻度が意外にも低い
ことは、遺伝的素因以外の何らかの外的要因が片頭痛の発現にかなりの割合で影響してい
る可能性が示されたと言えます。
寺本先生の成績では、5組の一卵性双生児と1組の二卵性双生児の少なくとも1人が片
頭痛で、一卵性双生児では両者とも片頭痛であったのが3例、二卵性双生児では0例であ
ったと報告しています。
以上、現段階では、坂井、寺本両先生の成績しか見つけることができませんでしたが、
寺本先生の示されるように、片頭痛の方の 25 % の方々が、「遺伝」とは関係なく、片頭痛
を発症していることが明らかになりました。
(しかし、患者さんの申される「家族歴」がないということを判断する場合、諸々の問
題があることも考えておく必要があります。核家族化した現在どこまでこれが信用できる
かです。二親等まで調べているかどうか・・等々
遺伝的素因の要素が薄いといった表現が正しいのかもしれません。)
従って、片頭痛診療にあたって、家族歴を詳細に問診することによって、「遺伝」の有無
を聴取し、仮に「家族歴」がない場合は、原因究明を怠ってはならないと考えます。
このような手順を踏むことにより、少しでも「セロトニン生活」に近づけるよう努力は
惜しんではならないと考えます。
これまでの頭痛専門医の啓蒙の仕方
従来から、片頭痛で悩まれる方々が多いにも関わらず、医療機関への受診率が極めて低
いことが指摘されておりました。
トリプタン製剤が発売された後、頭痛専門医は色々啓蒙活動をされて来られました。
以下は、坂井文彦先生の患者さんへの説明文です。
頭痛ダイアリーは慢性頭痛解消の第一歩
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慢性頭痛はつらい頭痛ですが、そのつらさは周りの人になかなか理解してもらえません。
また、いま起こっている頭痛が片頭痛なのか緊張型頭痛なのか、実は自分でもわからない
ことが良くあります。治療法は全く異なるのに、頭痛の種類の識別が難しいのです。
頭痛ダイアリーに頭痛の起こり方や経過、薬などを記録していくと、自分の頭痛のタイ
プがわかってきます。「こんなに薬を飲んでいたんだ」とびっくりすることもあります。頭
痛は自覚症状なので自分にしかわからないのですが、ダイアリーをつけてみてはじめて自
分が悩まされていた頭痛の正体がわかります。
医師がそれぞれの患者さんの頭痛の話を聞くのは大変です。患者さんも自分の頭痛情報
を正確に医師に伝えるのには苦労します。頭痛ダイアリーを使って医師との上手なコミュ
ニケーションを工夫して下さい。
頭痛のメカニズムを治す薬
鎮痛薬でない頭痛薬のあることがあまり知られていません。頭痛は痛みだから痛みを取
るのが治療と考えられがちですが、痛み止めは「対症療法」で「原因療法」ではありませ
ん。科学の進歩により頭痛の原因が明らかにされ、原因(頭痛のメカニズム)を治療する
薬が出てきました。
片頭痛に効くトリプタン系の薬は、片頭痛のメカニズムを治療します。薬を上手に使う
ことにより、長年の片頭痛がコントロールでき、人生が変わった人もあります。
ここでは、自分で頭痛を治す方法を追求します。自分の頭痛をしっかり観察し、記録した
頭痛ダイアリーで頭痛情報を医師に伝えることにより正しい診断と治療が可能です。
頭痛、時々だったのに毎日起こる
頭痛のうちでも片頭痛はつらい頭痛です。ただ、一回の発作は1~3日で治まり、次の
発作まではケロッとして元気に仕事が出来ます。脳の痛み調節系が発作を最小限にコント
ロールしてくれるためです。この調節系が働かないと、片頭痛は慢性化し毎日起こるよう
になります。
脳の痛み調節系が働かなくなる原因はいくつか知られています。頭痛薬を飲み過ぎると
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脳の痛み調節系がさぼってしまい、そのために逆に頭痛が起こりやすくなります(薬物乱
用頭痛)。その他にも、精神的ストレス、うつ状態、肥満など脳に良くない刺激が続いたと
きに脳の痛み調節系の働きは低下します。
片頭痛が慢性化すると「時々でなく、月の半分以上に頭痛がある」「トリプタン系の薬が効
かなくなった」「仕事、家事がほとんどできない」といった状態となり、毎日の頭痛が片頭
痛なのか別の頭痛なのか(例えば緊張型頭痛や薬物乱用頭痛)もわからなくなります。い
つ頭痛が起こるか不安となり、トリプタン系の薬もやみくもに飲んでしまいます。
頭痛ダイアリーをつけると、頭痛の種類が自分自身で識別できるようになります。ダイ
アリーで見ると、連日の頭痛もひどい頭痛と軽い頭痛とが混在し、頭痛が2種類(あるい
は3種類)あることに気付きます。頭痛ダイアリーは複雑になった頭痛の正体を整理する
のに便利です。専門医を受診すると、頓服薬や予防薬の飲み方、頭痛体操を指導してくれ
ます。
死ぬことはないけど、つらい頭痛
“頭痛持ちの頭痛”の代表は片頭痛です。多くの人が片頭痛のためにつらい経験を繰り返
しています。「頭痛の最中にはガンガンする頭を取り外して、痛みが治まるまで冷蔵庫のな
かに入れておきたい」といった頭痛で、1~ 2 日寝込むほどです。
ただ、片頭痛のつらさはあまり周囲から理解されていません。病院を受診しても「CT
検査は異常ないし、死ぬことはない頭痛です」と医者に相手にされず、結局つらさを耐え、
ひとりで我慢してきました。
最近、片頭痛の原因の研究が進歩しました。片頭痛にはセロトニン、三叉神経の異常に
より脳の血管が拡張し、そのまわりに炎症の起こることがわかってきました。それらの発
見により新しい治療薬も開発されました。片頭痛治療には強力な武器です。
片頭痛のつらさをなんとかしたい(Aさん、35 歳、女性)
結婚し仕事をやめてから頭痛がひどくなりました。第 2 子出産のあとからが最悪です。
頭痛は動くと頭が割れるようにひどくなり、吐き気もします。部屋を暗くし、なるべく静
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かにして横になっています。結局、主人に早く帰ってきてもらい、子供の世話をたのみま
す。
頭痛は自分もつらいのですが、周りに迷惑をかけるのが一番つらいです。週末に子供達
とディズニーランドに行ったとき頭痛が起こり動けなくなりました。子供に「ママは僕た
ちが嫌いなんだ」と言われ、必死に頭痛を我慢しました。
病院を受診して処方してもらった片頭痛の薬(トリプタン系の頓服薬)を早めに飲むと
頭痛が軽くなり、とてもうれしかったです。気持ちが楽になりました。これからも、頭痛
の心配をしなくてすむ生活になるために通院します。
頭痛は生体への危険信号?
痛みは生体への危険信号とも言われており、人は痛みに敏感です。痛みを感ずると、危
険を感じてとっさに避けようとします。痛みはつらいものですが、身を守るための危険信
号でもあるのです。
頭痛も、くも膜下出血や髄膜炎のように時としてはっきりとした危険信号となります。
くも膜や髄膜は脳を包むように脳を守っている組織で、出血や炎症を脳に波及させない堤
防となり、また危険信号を発してくれます。後頭部を中心に、今までに経験のない強い頭
痛が急に起こります。
頭痛持ちの頭痛の代表は片頭痛で、激しい痛みで寝込むことが少なくありません。こ
頭痛は何のための危険信号なのでしょうか?片頭痛は最初に脳の一部に小さな興奮が起こ
り、徐々に周囲に拡大します(閃煇暗点など)。そのままでは脳に障害が起こります。そこ
で、脳周囲の血管が拡張し血流が増加します。脳に酸素と栄養を供給している血管が、脳
への架け橋のグリア細胞を介し脳を守ると考えられます。脳の血管拡張は強い痛みを起こ
しますが、脳の障害を必死に守り、また危険信号を発しているとも考えられます(仮説)。
片頭痛の治療は痛みを止めるだけではありません。脳を守るメカニズムを考えた治療が
必要です。このように頭痛専門医は主張されます。本当なのでしょうか?
本書の目的は、このような考えに対する「もっと別の視点」を提示することです。
- 25 -
最近の戦略
2000 年にトリプタン製剤であるイミグランが発売されて以来、いくつかの製薬会社か
ら次々と発売され、現在5種類になっています。発売当初、週刊誌やテレビで「片頭痛の
特効薬」などと報道され、全国各地の病院・診療所が頭痛外来」の看板を掲げました。
1997 年に北里大学の坂井文彦教授らによっておこなわれた疫学調査では、15 歳以上の
日本人で 840 万人の有病率でした。ところが、片頭痛と診断された人の医療機関受診率は、
医療機関に定期的に受診しているものが 2.7 % ときわめて低く、ときどき通院 12.3 % 過
去に通院 15.6 % を含めても 30.6 % であり、69.7 % は一度も医療機関を受診していませ
んでした。
このような状況にあったため、2005 年7月 17 日「慢性頭痛の診療ガイドライン」(厚生
労働科学研究費補助金
こころの健康科学研究事業
坂井分彦)が作成され、患者、医療
従事者双方への片頭痛の啓蒙活動が盛んに行われました。
しかし、せっかく医療機関を受診されても、正確に「片頭痛の診断」を受けられている
かどうか定かではありません。私の周囲でも、多数このような患者さんを診てきました。
このよう事実は片頭痛の一般啓蒙書でも、片頭痛が正確に診断されていないとの指摘が
多数記載されております。
これに対して、
医療者側からは「トリプタンは効かない」「一度受診した患者が再診しない」「薬が高い
ので患者が嫌がる」・・
そして患者側からは「トリプタンは高いだけで効かない」「検査ばかりされる」「トリプ
タンでは片頭痛が完全に治るわけではないことがわかった」・・
で結局、啓蒙活動の割には、医療機関を受診される方が増えているようには思われず、
いつの間にか、あれだけ多かった「頭痛外来」も余り眼にしなくなりました。
結局、トリプタン製剤は、片頭痛が起こったときに対処する薬剤としてはすばらしい薬
であることは間違いありません。しかし、片頭痛そのものを完全に治してしまうような特
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効薬ではありません。この点を患者さん自身が認識したまでのことです。
このような状況で、患者数が増えないため、あの手この手で「患者さんの誘導への試み」
をされておられるようです。生理中の頭痛は「片頭痛の可能性が大きい」というのは許さ
れますが、ひどいのは片頭痛を放置しておくと、将来「脳梗塞」になるとか、頭痛発作時
に市販の鎮痛薬で対処していると、「脳が興奮しやすくなり」将来「脳過敏症候群」を起こ
してくると脅しをかけて、患者さんを誘導する専門医も出てくる始末です。
私も、以前は脳梗塞を専門的に 18 年間も診療しておりました。当時は、トリプタン製
剤はなく、殆どの片頭痛の方々は、市販の鎮痛薬を服用して対処されていましたが、私の
1,000 例以上の脳梗塞の症例の中には1例も、片頭痛が原因で脳梗塞を起こされた方はお
られませんでした。
脳過敏症候群にしても、果たして「トリプタン製剤出現前には」多く存在したのでしょ
うか?
これに異論を唱える先生もおられます。この点は後に述べます。
こうまでして、患者数を増やさなくてはいけない理由が、何かあるのでしょうか?
最近の主導的立場にある頭痛専門医の方々は、「頭蓋内での片頭痛の発生機序」にしか関
心がおありでないようです。それも、すべて「仮説・仮説」に基づいた実験しかなされて
おられません。
このような実験結果は、謂わば「砂上の楼閣」にしかならないことを認識すべきです。
もっと、現実を見据えた、考えを前面に出さなければ、誰も納得しないのではないでし
ょうか?
これから、色々と「日本頭痛学会」に提言致しますが、こちらを解決される方が、片頭
痛の本質の解明には、極めて大切のように考えます。
今回の、私の「片頭痛とストレートネック」の関連性についての成績(後に、詳しく述
べます)は無視できないと考えます。これまで、頭痛そのものと「ストレートネック」と
の関係は全く「エビデンス」 なしとして考えられていた事実を反省しなくてはなりません。
今後、全国規模で、この調査・追試を行い、私に反論すべきです。恐らく、10 年前後は
かかると考えます。
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片頭痛は、一生涯つきあっていかなければならない病気??
片頭痛は、基本的には遺伝的要因によっておこる病気です。ですから、将来、遺伝レベ
ルの治療ができるようにならない限り、完全に治しきってしまうことはできません。
片頭痛治療薬のトリプタンが発売されたときには、『特効薬だ』などといった大げさな宣
伝がされたために、完全に治ると期待した患者さんがたくさんいましたが、結果的には失
望した人が多いようです。
片頭痛は、若い時にはじまり高齢になると軽くなりますが、ほとんど一生涯つづく病気
であると考えなければいけません。したがって、つねに頭痛と『同居』しながら、対応し
ていくべきものだと考えて下さい。
以上が、これまでの日本頭痛学会及び頭痛専門医の基本的な見解でした。
ところが、ネット界では、「片頭痛は医療機関では治らない」というブログが散見され、
さらに、多くの「片頭痛改善マニュアル」が販売され、多くの方々が「これらのマニュア
ル」に従って片頭痛を改善させた体験が、そのコマーシャルのなかで紹介されております。
これらの「マニュアル」に対する「頭痛専門医」の反応は以下のようなものです。
片頭痛は完治可能なのか?
片頭痛は、その発症機序の詳細がまだ分かっておらず、そのため万人に共通する根治療
法と呼べるものは存在しません。ですので、非常に難しい病気である、ということが言え
ます。症状はひとそれぞれですが、中には日常生活に大きな支障をきたすほど強い頭痛を
訴える人がいます。そうした方にとっては、片頭痛が完治できないのか、完治できないま
でも、なんとか症状を軽減させることはできないのか?という問題は非常に深刻なもので
す。
まず第一に片頭痛はまだその発症原因が詳細には分かっていません。ですので、完治さ
せることができるのか?という問いに対しての一般的な回答は「必ずしもできません」と
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いうのが正しいと思います。
巷には「片頭痛は完治させることができます!」というような広告を見かけますが、あ
れは「完治させることが出来るかもしれない可能性のひとつ」に過ぎません。もちろん、
効果を認める場合もあるでしょうが、万人に共通して治せるものではないということを認
識しておくべきです。
片頭痛はひとそれぞれ症状の程度、悪化する要因、バックグラウンドなどが異なります。
ですから、治療も各個人に合った治療方針を取らなければなりません。画一的な治療で治
る、というものではないのです。
ですから、片頭痛を完治させたい、と思うのでしたら、まずは頭痛専門外来を受診し、
医師にしっかりと自分の症状について相談することです。いきなり民間療法のような治療
法に活路を見出そうとする人がいますが、そうした行為は効率的とは言えません。頭痛で
悩んでいるのなら、まずは頭痛の専門家の診察を受けるのが最も合理的であり、完治への
近道です。
さらに、埼玉国際頭痛センター長(前・北里大学医学部)の坂井文彦先生は、「片頭痛は
自分で治す」ものであると述べておられます。
その方法として、以下のように述べています。
片頭痛を自分で治す
■生活のリズムとライフスタイルの工夫
・自分で治した人は工夫している
・誘因に気づき、対処する
週末頭痛、月経関連頭痛への工夫
・ストレス・不安対策(レラクセーシヨン)
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■頭痛体操は頭痛の慢性化を予防
・ストレス解消体操もとりいれる
・首を動かさない、負担をかけない体操
以上のような点を提唱されておられます。
以上のように、片頭痛の完治に関しては、異論の多いところです。
これまでのネット界の「片頭痛改善マニュアル」を読んでみますと、なかには「デトッ
クス」といった医学的に疑問に思えるものもありますが、セロトニン不足、体の歪みによ
るもの、足の異常(外反母趾・扁平足・浮き足)、歯のかみ合わせの悪さによるもの、姿勢
の悪さによるもの等々さまざまな原因が関与しているようです。
そこで私が現在最も注目していることは、頸椎レントゲン所見です。特に頸椎レ線所見
での「ストレートネック」です。この所見
は、緊張型頭痛との関連性は指摘されてお
りましたが(現在でも否定的な考えの頭痛専
門医が存在することも事実です)、片頭痛の
場合には、殆ど問題視されず、偶発所見と
されていました。
しかし、片頭痛の方々にも、かなり高頻
度に確認されており、現在その実態を調査
中です。後ほど、現在までの集計結果について述べさせて頂きます。
この点は無視出来ないと考えます。その理由は、現在、巷で販売されているマニュアル
を検討してみますと、片頭痛の原因が推測される「歯のかみ合わせの悪さ、姿勢の悪さ、
足の異常、体の歪み、セロトニン不足、うつ状態」等々で、いずれも「ストレートネック」
を起こす可能性があります。しかし問題は、「ストレートネック」があるからといって、そ
の原因を確認する方法がない点です。ですので、この所見を確認した場合、歯・足・体の
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歪み・姿勢・生活習慣等全ての面に渡って検討するしかありません。
片頭痛の診断は、現在、
「国際頭痛分類 第2版」の診断基準に従って行われていますが、
これに加えて、頸椎レ線所見を加えて、「ストレートネック」が見られた場合は、それが、
どこから来ているものかを徹底的に検討すべきと考え、ここに改善の余地を見出す努力を
惜しまないようにすべきと考えています。
「国際頭痛分類 第2版」の診断基準に従って行われている「片頭痛」は「片頭痛症候群」
のように思えてなりません。
このため、現段階では、以下のようなステップで片頭痛治療を進めていくべきと考えま
す。
片頭痛を自分で治す三つのステップ
最初のステップは、つらい片頭痛が起こっても何とかなる方法を知ることです。片頭痛
をしっかり認識し、薬を上手に使って頭痛を軽くします。いつ来るかわからない頭痛への
不安がなくなります。
第 2 のステップでは片頭痛の頻度、程度を減らすために予防薬を試します。ひどい頭痛
が減ることは、安心感につながります。
究極の最終ステップは自分で直す片頭痛対策です。頭痛体操をはじめ、自分の生活リズ
ムを変える工夫が役立ちます。自分で片頭痛を治す希望を持って下さい。
1.片頭痛発作の対処法
トリプタン系の片頭痛頓服薬が有効です。現在、イミグラン、ゾーミッグ、レルパクス、
マクサルト、アマージがあります。どの薬から始めるかは医師と相談して下さい。片頭痛
が始まったら、出来るだけ早く飲むのがコツです。
片頭痛の気配を感じたら、ナウゼリンなど胃・腸の動きを良くする薬を飲んで下さい。
そのあと飲むトリプタンの胃・腸からの吸収を良くします。片頭痛に伴う吐き気で、せっ
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かく飲んだトリプタンを吐き出さないためです。
2.片頭痛の起こり方を知る
片頭痛発作は、時々(月に 1 ~ 2 回)起こり、1~2日間続きます。起こり方の特徴を
知り、発作への先制攻撃を行うことが大切です。
片頭痛はひどくなると脈打つような拍動性頭痛となりますが、始めは鈍痛が少なくあり
ません。首の後ろの締め付け感が強くなり、そのあと目の奥、こめかみ、頭部全体に広が
ってひどくなります。身体を動かすと頭痛が増加するのが特徴で、つらい時は寝込んでし
まします。片頭痛と言っても片側の頭痛とは限りません。
3.片頭痛の予防薬には3種類のアプローチがあります
テラナス(ミグシス)、抗てんかん薬(デパケン、トピナなど)は片頭痛の前兆を予防し、
頭痛も軽くします。
インデラルは頭痛の頻度と程度を軽くします。
トリプタノール(少量)は脳の痛み調節系にセロトニンの刺激を送り、片頭痛による痛
みの悪循環の回路を断ち切るのを助けます。
4.頭痛体操で片頭痛を予防する
頭痛体操で片頭痛の予防が可能です。頭痛体操は脳の痛み調節系に良い刺激を送ります。
希望をもって始めて下さい。
頭痛体操の方法はインターネットでご覧になれます。頸椎を軸にして肩を水平に回し、
首の後ろのしこりをストレッチしてほぐします。
首の後ろのしこりと炎症は圧迫すると強く痛みますが、もともと脳の痛み調節系の異常
から生じたものです。ストレッチ体操で首のしこりと炎症をとると痛み調節系に良い刺激
が送られます。
このような方法を行った上で、「片頭痛をいかにして治すか」を考えるべきです。
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片頭痛とストレートネック
本年1月下旬から、3月初旬までの約1カ月余りをかけて日夜にわたり集計作業を行い
ました。その結果をお示し致します。今後、さらに症例を積み重ねていく予定であります。
片頭痛とストレートネック
はじめに
これまで、緊張型頭痛とストレートネックに関しては、寺本純、作田学先生らの関係あ
りとの報告がある反面、神奈川歯科大学付属横浜クリニックの五十嵐 久佳先生によれば頭
痛そのものとストレートネックの関係には全くエビデンスがないと言われます。
最近ネット界では、「片頭痛は医療機関では治らない」とのブログが散見され、さらに
「片頭痛改善マニュアル」が多数販売されております。これらの考え方として、頚部の異
常筋緊張を取り除く方法・ストレッチ・体操が説かれています。
また、ボトックス療法も多くの施設で行われ、その治療効果を考慮した場合や、カイロ
プラクテック手技が、片頭痛治療に多く用いられているようです。
そこで、頭痛と頚部の異常筋緊張を推察させる「ストレートネック」に注目し、頭痛と
ストレートネックの関係について検討を加えましたので、ご報告申し上げます。
対象と方法
対象は、平成 3 年 8 月 20 日から平成 24 年 2 月 29 日までの約 20 年間に、色々な訴え
で成和脳神経内科医院で受診され「頸椎レントゲン検査」を行った症例 1,867 例です。
頸椎レントゲン検査は、正面・側面・前屈位・後屈位・斜位2方向の合計6方向の撮影
を行い、ストレートネックの診断基準は、頸椎の湾曲異常に注目し、その走行が直線的と
なり、併せてその軸が前方に傾斜しているものを「ストレートネック」とし、これに加え
て「逆湾曲椎」を呈するものも「ストレートネック」 としましたが、「直頸椎」のみで、
その軸が前方に傾斜していないものは「ストレートネック」には含めませんでした。なお、
- 33 -
頸椎椎体及び椎間板の病変は問題にせず、あくまでも頸椎の走行そのものに着目して、「ス
トレートネックの診断を行いました。
頭痛の診断は、これま
で「頭痛問診表」を利
用しておりますが、今
回カルテの記載と問診
表に記載された点を再
度点検し、国際頭痛分
類 第2版」の診断基準
に従って、緊張型頭痛
と片頭痛の診断を行いました。今回の検討では、大後頭神経痛、低髄液圧頭痛の症例は、
全て、検討対象からは除外しました。
このような方法で、診断を行った症例 1,821 例に対して、緊張型頭痛、片頭痛と、全
く頭痛のない症例の3群に分けて、「ストレートネック」の出現頻度を比較致しました。
結果
上記の基準に見合う症例は、1,821 例でした。
このうち、ストレートネックを呈した症例は、1,074 例 59 % でした。
ストレートネックを呈した 1,074 例の内訳は以下の通りでした。
緊張型頭痛
785
例
片頭痛
116
例
1
例
172
例
群発頭痛
頭痛のない例
82 %
24 %
頭痛のない症例 172 例の内訳は、以下の通りです。
肩こり
73
例
- 34 -
(合計)
頸椎症
45
例
ふらつき、めまい感
19
例
7
例
28
例
うつ状態
その他
頭痛の訴えで頸椎レントゲン検査を行った 1,099 例では、このうちストレートネックを
呈したものは、902 例、82 % で、その内訳は
緊張型頭痛
970例中
785
例
81%
片頭痛
128例中
116
例
91%
1例中
1
例
群発頭痛
頭痛の無い症例 723 例のうち、ストレートネックを呈した例は 172 例 24 % でした。
次に、緊張型頭痛、片頭痛、頭痛のない症例の年齢分布は、以下の通りでした。
緊張型頭痛では
片頭痛では
- 35 -
頭痛のなかった症例では
*
*
- 36 -
それでは、頭痛専門医はネックに関してどのように対応されているのでしょ
うか?
頭痛専門医の片頭痛とストレートネックに関する考え方は、以下のようでした。
本年1月下旬から2月初めにかけて、日本で片頭痛医療の指導的立場の先生方と、近畿
地区の頭痛専門医の方々に以下のような、アンケート調査を 79 通郵送させて戴きました。
ご回答頂いた先生方は 47 名でした。ここに深謝申し上げます。
アンケート調査
1.先生は、片頭痛の場合、頸椎レントゲン検査はどのようにされていますか?
(1)全例、行う
(2)適宜、行っている
(3)全く、行っていない
2.行って、ストレートネックを見た場合どのような考えておられるでしょうか?
(1)片頭痛の発症要因と何らかの関係があると考える。
治療・指導面で活用する
その場合は、どのように、指導されておられますか?
(2)全くの、偶発所見であると考え、無視する
3.片頭痛とストレートネックに関する文献をご存じでしたら、お教え下さい。
- 37 -
以上のような、形式で行いましたが、ただ適宜行う先生方に、どのような場面で行うの
かという質問が欠落したことが、今になって悔やまれます。
その回答を頂きました 47 名での集計の結果です。
頸椎レントゲン検査に関しては
全例、行っている
4名
適宜、行っている
21名
全く、行っていない
22名
ストレートネックに対する考え方として
治療面で生かす
19名
全く、無視する
23名
ストレートネックに関する「文献」は皆無でした。
以上のような結果が得られました。
考案
上記のように、これまで片頭痛とストレートネックに関する文献は殆ど見当たりません。
ですから、考案を記述しても、全て推測の域をでませんので控えさせて頂きます。
ただ、ストレートネックを呈したものは、頭痛を訴えた群では 82 %に、頭痛の訴えのな
い群では 24 %と明確な頻度の差が認められ、明らかに頭痛とストレートネックの関連性を
示唆する成績でした。
そして、これまで、寺本純・作田学先生が指摘されておられた緊張型頭痛の 81 %以上に、
片頭痛では 91 %とはるかに高頻度に認められたことです。
- 38 -
さらに、頭痛のない症例の中で、肩こり、ふらつき、めまい感のみの方々を将来頭痛を
訴えてくる予備軍と解釈すれば、さらに 92 例が追加されることになり、さらに高頻度とな
る計算になります。(緊張型頭痛では、肩こり・めまい感・ふらつきを随伴されることが多
数経験されるからです)
今回の成績は、頭痛専門医でない、一介の神経内科医である一般開業医の成績です。
私の診療する和歌山県田辺市芳養松原という地域は、田辺市の端の「みなべ町」に接す
る地域にあります。ここは「梅の産地」でもあります。当医院を受診される方々は殆どと
いってよい位、梅の生産、製造に関わっており、職業も「うつむき姿勢の前屈みの姿勢」
をとる作業の多い地域です。このような地域的な側面からストレートネックの頻度が多い
結果が出ているのかもしれません。
いずれにしても、今回の私の成績が特殊なものと考えることなく、日本全国の頭痛専門
医が、このような視点で「片頭痛患者」さんの見直しをされますことを期待致しておりま
す。今回のアンケート調査でも明確なように「片頭痛に対する頸椎レントゲン検査」 はご
く限られた先生方しかなさっておられないようです。
もっと「ルチーン検査」として行われることを切に要望申し上げる次第です。
全国規模で調査が行われれば、もっと新たな視点が開けてくるものと考えます。
このような成績が積み重ねられれば、片頭痛治療での、「頭痛体操、ストレッチ」の有用
性が確認されるのではないでしょうか。
また、ボトックス療法をされておられる先生方にとっては、ボトックス療法の有効例と
無効例の比較を行う際の「あるヒント」になるのではないでしょうか。
さらに、カイロプラクテック手技の有効性を論ずる場合の参考になると考えます。
今後、全国的な規模で調査、さらに追試が必要とされます。ここを強調致します。
緊張型頭痛で、永関慶重、大和田潔先生らは、”ある体操”で簡単に「緊張型頭痛」が治
ってしまうと主張されますが、当医院では、このような頭痛体操に加えて「レーザー照射」
を行いながら軽快に努めておりますが、そんなに簡単には軽快しません。
- 39 -
このようなストレートネックは、はっきり申し上げて「簡単には」よくなりません。
患者さん自身は「重大な病気でない」という安心感で来院されないだけではないでしょ
うか?
それとも「肩こり」として、あきらめているのではないでしょうか。
ストレートネックに関しては、最近、多くの先生方が、若い女性に「頭痛がなくても」
日常茶飯事に認められると指摘されております。
今回も、片頭痛とストレートネックの調査を行う上で紀南地区で開業されておられる脳
神経外科医の中北和夫先生に協力を依頼したところ、以下のようなコメントを頂きました。
ストレートネックと片頭痛についての関連性は存じておりません。
恥ずかしいことですが緊張型頭痛についての関連性も知りませんでした。
最近の若い人の頚椎XPを撮るとほとんどの例で生理的湾曲が見られません。
片頭痛とストレートネックが関連があるとするのでしたら、片頭痛がもっと多く
あってもいいような気がしますが、いかがでしょうか?
まともな答えになっていませんが、頚椎疾患を扱うためよく頚椎XPを撮ってお
りますので、そのXP所見からの印象を申し上げました。
このコメントは、私は極めて重要と考えます。
と言いますのは、このような「ストレートネック」を示す若年層が多いという事実です。
これが、ある一定期間持続することにより、片頭痛の遺伝的要因を持つ人は「片頭痛」へ、
このような遺伝的要素のない人は、緊張型頭痛へ進展する可能性を秘めているのではない
でしょうか?
昔から、locus minoris という概念があったはずです。これは、医学的には証明されては、
いませんが、現実には、このような形態で「病気」が発症している事実は無視できません。
- 40 -
片頭痛は”片頭痛症候群”か?
現在、片頭痛の診断は「国際頭痛分類 第2版」に基づいて行われています。というこ
とは、問診と神経学的検査法を駆使して行われているということです。(画像検査で何もな
いことが前提ではありますが・・)
私は、現在、片頭痛患者さんを診ていて感じることです。それは、以前、私が、医師に
なった昭和 45 年から、脳卒中医療に携わって参りましたが、この当時と何かしら、共通し
た部分を感じるからです。私は、昭和 45 年から、平成 1 年までは、急性期脳卒中医療に全
精力をつぎ込んで参りました。
私が、医師になりたての頃の昭和 45 年当時は、脳卒中の診断は、「文部省研究班の診断
基準」に従って行われていました。(当時は、現在のようには画像診断は何もなく、行うこ
とはできませんでした)
この基準は、問診と神経学的所見に基づいたもので、片頭痛の診断と全く同じ手法で行わ
れていました。
この診断基準では、理学的診断を困難にするいくつかの因子が存在しており、当時すでに
成書に記された種々の診断学的知識を駆使しても、厳密な鑑別診断率は 70 % 前後とされ
ていました。(当時の呉共済病院の成績もこれを如実に示しておりました)
このため、当時、日本では、秋田県立脳血管研究センター、美原記念病院、阪和病院脳卒
中診療部の3カ所だけが、急性期脳卒中に脳血管撮影を導入して診断しておりました。
私も、研修医の当時から、将来の脳卒中専門医を志して、内科医でありながら、広島市民
病院 脳神経外科の三宅新太郎先生に脳血管撮影の手ほどきを受け、脳血管撮影の手技を身
につけました。
しかし、当時の「神経学」の教科書には「脳梗塞急性期には脳血管撮影は行ってはならな
い」と記載されておりました。このため、脳梗塞患者への脳血管撮影は、発症後1カ月た
ってから、細々と脳神経外科領域で行われていたに過ぎませんでした。
しかし、私は、この禁忌とされていた時代から、上記3病院の先生方の方式を見習って、
勇猛果敢に、発症当初から、脳血管撮影を行って参りました。そして、昭和 50 年になって、
日本に初めて、CTが導入され、これと同時に、秋田県立脳血管研究センターに研修に行
- 41 -
かせてもらい、CTの読影と脳梗塞診療全般について、教えを乞いました。
そして、秋田から呉に帰ると同時に、内科医長の岡田啓成を説得し、呉共済病院にもホ
ールボデイ・タイプのCTを導入してもらいました。
この時点から、脳卒中患者が救急搬送された場合、「神経学的検査」を行った後、直ちに
頭部CTの撮影を行い、何も所見がなければ、引き続き脳血管撮影を行うという検査方式
を確立しました。
このような検査方式で診断する限り、「文部省研究班の診断基準」で脳梗塞と診断される
ものの中には、小出血、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍が多く混在していました。
脳血管撮影上、閉塞所見が見られた場合は、発症後1週間目に、脳血管撮影を再度行い、
閉塞所見の再開通の有無を、必ず確認しておりました。また、その間に、健側3本の血管
撮影を追加して、側副血行の状態を検索しておりました。
これらの方式により、脳血管撮影の閉塞所見の有無により、脳梗塞を分類し、閉塞所見が
無ければ、翌日から、リハビリテーシヨンを開始し、早期離床に努めてまいりました。さ
らに、閉塞所見が見られるものは、「脳血栓症か脳塞栓かを」厳密に鑑別を行い、「血行再
開療法」の適応の有無を判断していました。脳塞栓の場合は、そのまま放置していても、
自然に開通してしまうからです。
脳血栓症の場合、当時、販売されていた「ウロキナーゼ」を使っても、殆ど効き目はあり
ませんでした。
脳塞栓の場合「再開通の時期」によって、急激に悪化する症例と劇的に回復するものの2
通りがあることに着目しました。そしてこの境界が、発症3,4時間目にあることが判明
致しました。
また、両側の内頸動脈、椎骨動脈を行った脳梗塞例は、必ず、ウイリス輪の発達が先天的
に悪いということも判明し、発症前に、ウイリス輪の発達の善し悪しを検索すれば、将来、
脳梗塞へ移行するかどうかも、予測可能となりました。
このような所見をもとに、この後の 10 年後には、rt-PA (アルテプラーゼ)が開発され、
血行再開療法が現実のものになっていったのです。
以上の成績は、第 34 回共済学会総会の宿題報告で「脳梗塞の臨床」として発表させて頂
きました。1986 年 10 月のことでした。
- 42 -
この詳細は、当院のホームページの「文献情報」に掲載しております。
以上のことで、私が申し上げたかったことは、脳梗塞の診断は、従来の問診と神経学的検
査法を基にした「文部省研究班」の診断基準では、確診には至らず、さらに、脳血管撮影
とCT検査の2つを追加することによって、脳梗塞の細かな分類と病態まで解明すること
が可能となり、治療方針が、自ずと明らかになったことです。
従って、片頭痛の診断も、「国際頭痛分類 第2版」の問診と神経学的検査法をもとにした
診断基準で診断する限りは、種々の原因で「片頭痛」と同様の症状を来すものが、混在し
かねないということです。
「国際頭痛分類 第2版」の片頭痛の診断基準は「トリプタン製剤」の適応を決めるための
基準であるとさえ、寺本純先生は指摘されてます。
現実に、ネット上では、「医療機関で治らなかった片頭痛」が、自分自身で治したという
「体験談」が散見されるようになりました。
さらに、有料の「片頭痛克服マニュアル」が多く販売され、これらを利用された方々の「喜
びの体験談」が多数、掲載されています。これらが、どこまで信用に値するかは定かでは
ありませんが・・・。
この中で、歯科医の内田信友先生の「歯のかみ合わせの悪さ」を矯正すれば、片頭痛が改
善されるというものは説得力があるように思われます。
また、「体の歪み」を矯正して、片頭痛を改善させた「体験談」も多く掲載され、ネット
では、多くの「整体院」「カイロプタクター」が宣伝しています。日本頭痛学会では、推奨
ランクはCとして、殆ど問題にされていませんが、アメリカでは、カイロプラクターが、
大々的に治療されているのが YOU TUBE から伺い知ることができます。
また、日本では、保険診療で認可されていない「ボツリヌス毒素」による治療が、日本で
はごく限られた施設でしかされていませんが、これもアメリカでは広く行われております。
さらに、ヨガ、太極拳などで治療される方もおられ、これらは「セロトニン活性化」を目
的とした方法であろうかと思います。この「セロトニン活性化」の方法をダイレクトに取
り入れた「山崎有為」の方式まで出現してきています。
脳内セロトニンの不足が色々な病気の原因の一つとして知られています、不眠症、睡眠障
- 43 -
害、冷え性、片頭痛、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群などの様々な病気が
誘発されていると考えられています。
Diksic らによれば、健常男性は女性より約 52%脳内セロトニンを産生する能力が高い。
またセロトニンの前駆物質であるトリプトファンが欠乏すると、女性では脳内セロトニン
合成が男性の 4 倍減少する。(Diksic M. et al.,94: 5308-5313, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1997)
そして、季節的に、春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての片頭痛の方
々が一番苦手とする季節であるという事実です。
このように概観してみますと、片頭痛には、各種の原因が関与していることは、間違い
ない事実です。
以上のような理由から、片頭痛の診断には、問診および神経学的検査法だけで行う「国
際頭痛分類 第2版」だけで行われている現状が、何となく納得できません。
今後、血中セロトニン値と脳内セロトニン値が臨床的に簡単に測定可能となれば、もっ
と新たな展開が期待できるのではないでしょうか?
以上のような観点から、少なくとも「歯のかみ合わせの悪さ、体の歪みの有無」を検討
する意味合いで、頸椎レントゲン検査を行うしかないのでしょうか。
片頭痛の分類・・・あくまでも私見です
これまでの、いろいろな報告から、以下のような「片頭痛の分類」を試みました。
あくまでも、仮説に基づいたものです。
1.先天的なもの
これは、生まれつき「セロトニン神経」の機能が悪いものです。
- 44 -
2.頸椎X線所見上で、異常所見のないもの
(1)生活習慣上に問題があるもの
不規則な生活習慣、睡眠時間のとり方に問題がある場合です。
(2)ストレスが関与している場合
肉体的・精神的ストレスを含めたものです。
※
これらは、「セロトニン不足」が関与しているものです。
3.頸椎X線所見上で、異常所見があるもの
(1)体の歪みに由来するもの・・姿勢等に関連したものです。
(2)歯のかみ合わせが悪いことに由来するもの。
(3)足に問題がある場合・・外反母趾、浮き足、扁平足等です。
(4)「セロトニンの枯渇」に由来するものです。
セロトニン不足を来す生活習慣が、慢性的に存在する場合です。
これまで、「片頭痛と頸椎の所見の関係」については、殆ど関係ないと考えられ、大和田
潔先生は、その著書の中で、全く関係ないと断言されておられますが・・・
そして、殆どの頭痛専門医の見解では、頭痛とストレートネックには因果関係がないと
されております。
私は、頸椎の所見の有無(ストレートネック)を、一番に問題に考えております。
- 45 -
これに、血中および脳内「セロトニン」の定量測定が可能となれば、片頭痛の原因の「診
断」がさらに、容易になると考えます。
現段階では、「ボツリヌス毒素」を試験的に、注射して、その反応性を確認して、「セロ
トニン不足」との関係をみる方法が、近道のように思えますが・・
これは、あくまでも推測の域をでません。
このような考え方は、現在「頭痛専門医」の方々は、全く否定的で、これを、現在の主
治医に求めることは、到底不可能です。
ですから、現段階では、頸椎レントゲン検査を少なくともしてもらって、頸椎の湾曲の
状態を調べてもらうしかないと考えます。
これを基に、自分の「片頭痛」について、ひとつずつ自分自身で「検証」するしか、「片
頭痛を治す」手段はないと考えております。
片頭痛の原因
片頭痛の原因
1
姿勢の問題
姿勢の悪さ、猫背は「ストレートネック」を
来す大きな要因になっており、長時間の前屈み
の姿勢を持続することは、頭痛の悪化に繋がる
と経験的に指摘されていました。
ストレートネックを呈しておられる方は、常
に頭の重さは周囲の椎間板や筋肉や神経に過剰
なストレスを与え続けていますので、 そういっ
た期間が長期間続いてくると、頸椎に歪みがあ
るので、胸鎖乳突筋や肩甲挙筋に影響します。
- 46 -
北海道の北見公一先生は以下のように述べています。
慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛症候群が多く合
併することを見出しました。また片頭痛に限らず,頭痛が慢性化する場合に中枢性痛覚過
敏(central sensitization, CS)という現象が関係していることが知られています。これは
末梢からの痛み情報が時間的・空間的に多く中枢に伝わると,次第に痛みの閾値が低下し,
わずかな痛覚情報にも反応する過敏さが出現することを言います。CS になるとわずかな圧
迫や熱・冷感を痛みとして感じるようになります。
首や肩の筋肉からの侵害刺激情報が出つづけることにより,脊髄を介して三叉神経脊髄
路核,さらに三叉神経主知覚核のニューロンが痛覚過敏を来たし,それが頭部・顔面の慢
性の痛みへとつながるとされます。筋緊張の原因としては,中枢神経系の可塑的変化(す
なわちセロトニンの枯渇など)が末梢の機構にも影響し,筋緊張を持続させたり,筋組織
内へのアセチルコリンの放出を増加させたりすると考えられます。そして当初の出来事が
治まったあとも CS が継続し,結果的に緊張型頭痛を慢性化させるとされます。この機序
はむしろ片頭痛の慢性化によく当てはまります。すなわち中枢神経系の可塑的変化という
ものが,睡眠障害によりもたらされるものであり,それにより傍脊柱筋の慢性緊張がもた
らされ,CS を来すと考えられるのです。
以上のような観点から、鍼灸師、カイロプラクターが施術されておられる訳です。
ネット界で片頭痛治療の革命児ともてはやされている坂戸孝志の「片頭痛 大革命」は
胸鎖乳突筋に対するマニュピユレーシヨンです。
また、ボツリヌス毒素を使ったボトックス療法も、これら頚部筋肉群の異常緊張を緩和
させることによって効果を発揮しているものと推定されます。
片頭痛の原因
2
歯科的問題
これまで、片頭痛と歯科との関連を指摘するものが多く、ネット上で紹介されています。
- 47 -
その代表的なものは、内田信友先生の「N.H.R.頭痛解消法」です。歯のかみ合わせの悪さ
が「ストレートネック」を起こして頭痛の原因となるという考えです。
このため、先生独自の提唱する「体操」と「テンプレート療法」を行うことによって、
片頭痛が改善されると言います。
また、歯のかみ合わせの悪さが、噛む度に三叉神経核に異常な刺激を送り続け、これが
「脳の興奮性」を高め、片頭痛の原因となると考えているようです。
噛み合わせと片頭痛治療
園田 哲也
NHK あさイチ噛み合わせ治して偏頭痛が治る
「片頭痛」特効薬は存在しない。上西 雅一
(慢性頭痛の根本原因は「下アゴのずれ」にある)
港デンタルクリニック
歯科頭痛外来
などの色々なホームページで紹介されております。
詳細は、これらのホームページに直接アクセスされるか、当医院のブログ「頭医者のつ
ぶやき」にも掲載しておりますので、こちらをご覧下さい。
片頭痛の原因
3
片頭痛と「体の歪み」
あなたの日常生活を振り返ってみてください。以下のような姿勢や体の使い方をしてい
ませんか?
◎ イスに座るとつい脚を組んでしまう
◎ ヒールの高いクツを長時間履いている
◎ 立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている
◎ 横座りをする
◎ 立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い
◎ いつもどちらかを下にして横向きに寝ている
- 48 -
◎ または、うつ伏せになって寝ている
◎ 長時間座りっぱなしの仕事
◎ イスやソファーに浅く座ってしまう
◎ バックなどはいつも同じ方の肩にかける
◎ 重たいモノを持つ仕事をしている
◎ 赤ちゃんをダッコしていることが多いなど
いかがですか、思い当たることはありませんか?
このような体の使い方をしていると、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤のユガ
ミから脊椎( 背骨) のユガミが生じてきます。
頭痛、肩こり、首のコリ、背中やそうして、胸の痛み、腰痛、股関節の痛み、膝の痛み、
足のむくみ、冷え症、生理痛などを引き起こしてしまうのです。
このような「体の歪み」もストレートネックの一因にもなっていることが想像され、こ
こに注目して、カイロプラクター、整体師、鍼灸師らは治療を行い、成果を挙げておられ
ます。
片頭痛の原因
4
慢性的セロトニン不足
ストレスが、片頭痛の誘発因子の方は、かなり多いようです。一般的には、ストレスか
ら一気に解放されるて起こるようです。これは、感情だけでなく神経も含めた体全体が急
激にリラックス状態になるので血管も急激に拡張して片頭痛を誘発するのです。
これを、防ぐために、 過度なストレスを感じないように普段の生活を送れば、そのギャ
ップでストレスが解放されたときに過剰な反応をしないので、そういう生活を心掛けるよ
うに工夫をします。
セロトニン不足を引き起こす「不規則な生活習慣・食事・睡眠不足」等が日常的になっ
- 49 -
て来ますと、精神的に「うつ状態」となり、これに伴って姿勢も悪くなり「ストレートネ
ック」を引き起こす原因となっています。
これらも、片頭痛の発症要因・増悪因子にもなる可能性があります。
片頭痛の原因
5
足病変との関連
笠原厳によれば、そのホームページで、「外反母趾、指上げ足(浮足)、扁平足など足裏の
異常があると、足裏が不安定になり、重心が踵の方へ移動して歩き方も悪くなってしまう
のです。そして、悪い歩き方は時間経過に伴い、首に過剰な衝撃波やねじれ波という有害
なストレスを歪みの多い首へ繰り返し伝えてしまうため、何倍もの負担を加え続けること
になるのです。次第に変形(歪みや微細な疲労骨折)を起こして頭痛を発症させてしまうの
です。」と述べておられ、ストレートネックの原因の一つとされています。
ですから足裏のバランスを整えて、重力の上に効率よく立ち、そして正しい歩行をする
ことが重要だと述べています。
解剖学的所見
すべての原点は、解剖学的所見によるべきです
まず、北里大学時代の坂井文彦教授は、第 49 回 日本神経学会総会(2008 年)の会長講
演で「患者さんから学んだ片頭学」で、以下のように述べておられます。
.片頭痛の痛みは通常,脳幹の三叉神経尾側核で痛み調節系によりコントロールされるが,
ここでの調節系が作動せず.痛み抑制神経が逆に痛みを賦活する現象が生ずる.三叉神経
尾側核が痛みに過敏な状態となり,この刺激が trigeminocervicalconvergence を介して逆行
性に伝わり後頭部に筋硬結,圧痛部位をつくると考えられる。
そこで、問題となる、脳幹の三叉神経尾側核の解剖学的所見です。
- 50 -
これに関しては、樋口脳神経クリニックの樋口先生は以下のように記述されています。
「三叉神経脊髄路核尾側亜核」とは三叉神経脊髄路核の最下部にあり、上位頚髄と連続的に移
行します。この亜核は、頭部(三叉神経支配)および上位頚部(Cl-C2 頚神経支配)における侵
害受容器性求心性線維(痛覚と温冷覚)の中継核として機能することで、頭痛と密接に関わる
重要な中継核です。
三叉神経脊髄路核は脳幹部の橋から下行し延髄を経て上位頚髄(C1-C2)に至ります。三叉
- 51 -
神経脊髄路核の下部であ
る 尾 側 亜 核 ( subnucleus
caudalis) と 頚 髄 背 側 の 灰
白質(後角)には形態学的・
組織学的に差異はなく、連
続的に移行しています。さ
らに尾側亜核と頚髄後角
は生理学的にも類似して
おり、解剖学的にも機能的
にも相互にオーバーラッ
プしながら密接に関わっ
て、脳幹から脊髄に至る連
続した柱状の灰白質(灰白
柱)を形成します。一方、上
位頚神経(Cl-C2)の求心性
線維終末も脊髄レベルだ
けでなく上方の脳幹部にも広がっていることから、「三叉神経脊髄路核尾側亜核」は頚髄後角
が延髄に伸びたものとも解釈できます。このように「三叉神経脊髄路核尾側亜核」内には三叉
神経からの求心性線維と上位頚神経からの求心性線維の終末が存在し、さらには中間神経
(外耳道と耳の後方部の感覚:広義の顔面神経)、舌咽神経(舌の後 1/3・咽頭部・鼓室の感覚)、
迷走神経(外耳道の下部と後部・耳介後部の耳と乳様突起の間の部分の感覚)の各求心性終末
も存在します。
このように考察を加えていきますと、決して、「片頭痛の引き金」になるものは、生まれ
つきの「脳の過敏性」からくる、光・臭い・音が誘因となって、後頭葉・側頭葉が刺激さ
れて起きてくることは、当然あり得ることです。しかし、これだけではないことを認識し
なくてはなりません。
先程述べましたように、解剖学的に、三叉神経の尾側核は、頸髄の神経回路とも連絡し
ています。この点から、頸椎X線所見で異常を認める方々が、頸部筋肉群に影響を及ぼし
- 52 -
て、三叉神経尾側核に繋がって、絶えず刺激を送っていることは明確です。
このように、考えますと、ストレートネックの原因となる可能性のある「体の歪み」「歯
のかみ合わせの悪さ」「足の問題」「セロトニン枯渇状態」の先天的要素以外の関与は否定
できないと考えます。
以上、解剖学的所見という「原点」に立ち返り、再検討すべきと考えます。
片頭痛と生活習慣
総論
片頭痛の治療は、トリプタン製剤が出現する以前から、基本的な考え方として、規則正
しい生活を行って、食事をバランスよく摂り、睡眠を十分にとり、リラックスするように
と、生活指導がなされて参りました。これはエルゴタミン製剤の時代からずっとです。
- 53 -
(このように至極、当然のような生活様式でありながら、片頭痛の方は、このような一
般常識である「生活様式」からかなりかけ離れている方が多いように見受けられます。)
しかし、当時は、このような生活様式のあり方が「セロトニン不足」と関連づけた考え
ではなく、あくまでも、経験的に考えられていました。
日本頭痛学会・日本神経学会の作成した「片頭痛診療ガイドライン」には、このような
生活指導に関しては、全く触れられておりません。
平成 20 年、第 36 回日本頭痛学会において、東邦大学生理学教室の有田秀穂教授によっ
て「血中セロトニンは脳内セロトニンの変動を反映するか?」という招待講演が行われて
以来「セロトニン神経をいかにして活性化するか」について検討が重ねられ、巷では「セ
ロトニン生活」といった「言葉」まで作られ、また、医療関係者でない一般人から、この
方式で、「片頭痛を克服した」と主張されるまでに至っています。
従来行われて来た生活指導の「規則的生活・十分な睡眠・バランスのよい食事摂取・リ
ラックス」が、
「セロトニン生活」で行えることが、医学的に証明されたと言えます。 「セ
ロトニン生活」を、日常生活に具体的に取り入れる方法を示したのは、山崎有為で、自ら、
この方式を実践して「片頭痛を克服」したと「頭痛解体新書」の中で述べています。
山崎とは別に、禅、太極拳、ヨガの方式も、これと同様の考え方と思われます。
ところが、トリプタン製剤が出現後は、このような基本的な生活指導をせずに、薬だけ
を服用すればよいといった風潮が優勢となり、これが「片頭痛は治らない」という考えや
批判につながり、現在でもなお、片頭痛は不治の病とされています。
最近では、エビデンス医療を重要視する余り、このような「基本的な生活習慣」による
「片頭痛治療効果」のエビデンスがないために軽視されているのか、または当然のことと
して触れていないのでしょうか?(言うまでもないこととして)。
恐らくは、厳重な「セロトニン生活」を徹底して行っていけば、いつの日かは、片頭痛
は起こらなくなるものと期待され、これを試みる方々が多くなったようですが・・
ただ、誰も、生きている以上「聖人君子」のように「セロトニン生活」の全てを行うこ
とが可能であるとは限らず、この点は、妥協しながら、片頭痛と「お付き合い」しなくて
は、いけない場合も当然あります。このような場合が多いことは否定しません。
このよう状況であるからこそ、頭痛外来も、トリプタン製剤メーカーも、
「お互いが潤う」
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ことによって、丸く収まっているのかも知れません。しかし、片頭痛患者さんにとっては、
たまったものではありません。
あくまでも、理想的な形の「生活様式(ライフスタイル)」にすれば、発作は「必ず、起
きなくなる」といった、夢を「医師たる者は示すべき」ではないでしょうか。
それとも、片頭痛患者さんがいなくなれば、頭痛外来は干上がり、トリプタン系製剤メ
ーカーの収益が激減してしまうため、以上のような点を無視されているのでしょうか?
以前、当医院のホームページにも、引用させて頂きましたが、今でも印象深い記事です
ので、再度、ここに掲載させて頂きます。
それは、医学ジャーナリストの「植田美津江」さんが、自分のホームページに、平成 17
年 5 月 17 日に掲載されたものです。
―安易なガイドラインこそが危ない―
5 月 2 日付日経新聞に「頭痛の悩み
専門医が診断」のタイトルで、「慢性頭痛」を正確
に診断・治療する専門医を日本頭痛学会が認定するという内容が発表された。
「慢性頭痛」とは、脳梗塞とか脳血栓のように、深刻な病気ではないのに頭が痛い症状の
ことで、3 種類に大別されるらしい。ずきずきした激しい痛みを生じる「片頭痛」、肩や首
筋のコリを伴う「緊張型頭痛」、決まった時期に起こる「群発型頭痛」で、最も多いのが「片
頭痛」と「緊張型頭痛」の混合型だといわれる。実際、日本人の 4 割が慢性頭痛で悩んで
いるそうだが、緊張型頭痛などはパソコン世代にとっては日常の悩みの種だろう。
1998 年には「全国慢性頭痛友の会」が発足し、現在 700 名の全国会員で構成されている。
サイトには、慢性頭痛に悩む方の日記や経験があちこちにあり、その苦悩や、ときにはユ
ーモラスな闘いぶりを知ることができる。
頭痛に限らず、万人に効く薬はないことから、結局は色々な鎮痛剤を試すことになり、
医学は進歩しているといっても慢性頭痛の原因はおろか治療法さえ確立されていないのが
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現状である。古来から存在するのに治療法がないという点では風邪と同じということだ。
さて、記事の内容は「頭痛の専門医を頭痛医として認定する」、「慢性頭痛の診療ガイド
ラインを作成する」ことにより、患者の悩み解消につながるといったもの。科別ではなく、
症状別のガイドラインは珍しいことから、多少は「患者中心」のように見えるが、根本的
な考え方は間違っているように思える。
慢性頭痛の解消法は、「自分にあった適切な鎮痛剤を見つけ」
、「ストレスや疲労などを避
け」、「リラクゼーションを試み」、「頭痛と上手に付き合う」ことに尽きるようだ。さらに
それ以前に、重篤な脳血管疾患との鑑別を早期に行うことが絶対不可欠である。とすれば、
慢性頭痛の対処に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医の役割であるはず、診断して
もこれといった治療法がないなら(恐らくは確固とした治療法は生まれない)、ガイドライ
ンを作っても慢性頭痛の解消にはつながらない。慢性頭痛に悩む人は、「診断」後の慢性頭
痛からの開放こそを切に期待しつつ、鎮痛剤に依存する精神的ストレスから逃れたいので
ある。
厚労省は何かというと「学会」を持ち上げ、「ガイドライン」を作ることで安全なところ
に身を置くことと引き換えに、疾患の多様性と他の治療の可能性をつぶしてしまう。
こ
こからも、今の医療に必要なのは、専門医ではなくむしろ一般医(かかりつけ医やホーム
ドクター)であるはずなのに、医学教育改革をせずにガイドラインばかり作ってお茶を濁
しているのだ。
医学が進歩したというより、診断学のみが進歩し患者の苦しみや訴えは置き去りにされ
ている。仮に、リラクゼーション効果を期待できる「東洋医学」「インド医学」など西洋医
学以外の医療とのダイナミックな融合を図ることで、慢性頭痛に代表されるストレスが深
く関与した現代病はかなり解決できるように思う。
しかし現実は、いずれの取り組みからも逃げ、重い腰をあげようとはしない。これでは
せっかくの症状別ガイドラインも、結局は自己満足の産物で終わってしまうに違いない。
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ここまでが、記事の内容です。以下は、私の考え方です。
私が申し上げたいことは、果たして「片頭痛は生まれつきの体質」があって治らないも
のか、という疑問です。そのような体質があっても、一生、片頭痛を発症しない人もいま
す。例えば、片頭痛のある母親から、生まれた一卵性双生児の子供でも、必ずしも、2人
とも、片頭痛を発症するとは限らないという臨床的事実があります。これは、何を意味し
ているのでしょうか?
その後の後天的な要素、環境因子等々が関係している証拠ではな
いでしょうか?
一卵双生児の「片頭痛を発症」していない方に、もう片方の片頭痛を発症している人の
「片頭痛の誘発因子」を多数負荷すれば、恐らく、頭痛は誘発されるでしょう。
ただ、このような「実験」は人道上、許されることではないため、されていないだけの
話です。
この遺伝的素因に関して、東京女子医科大学の清水俊彦先生が「頭痛女子のトリセツ」
の中で、以下のような興味深い記述をされています。ここに引用させて頂きます。
もともと母親が頭痛持ちだったのですが、本人は今まで全く頭痛というものを経験した
ことがなかったある女性。
嫁いだ先では、旦那さんを含めて、おじいちゃん、おばあちゃん・・家族みんなひどい
頭痛持ちの家系でした。ところが頭痛の経験のなかった彼女が、嫁いだ途端にひどい頭痛
に悩まされるようになり、私のところへ来たのです。
話を聞いてみると、嫁姑の争いもなく生活環境的にはストレスも全くなく、特に問題は
ありませんでした。もしかして「片頭痛は伝染する病気なの?」といった疑問も湧いてき
ます。
が、じつはそうではありません。さらに話を聞いてみると、この嫁いだ先の食生活に問
題があることがわかりました。ほぼ毎日、洋食の連続。彼女は、もともと母親と同じ片頭
痛を起こすかもしれない体質を持っていました。そこへ、血管拡張物質を多く含んだ毎日
の食事が刺激となり、ついに脳の血管が耐えきれず、片頭痛を発症してしまったというわ
けです。
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また、ネット上で、片頭痛を治された方々の体験談をどのように説明するのでしょうか
(これらの体験談を書かれておられる方の、片頭痛は「自己診断」でなく、全ての方々は
「頭痛専門医」の「頭痛外来」を受診されて、片頭痛と診断されています)
これらの方々は、自分で片頭痛を治したと、その体験を綴っています。
私は、全ての片頭痛とは言いませんが、片頭痛体質をもっている方が、後天的な要因、
生活習慣の乱れ、(食生活、姿勢の悪さ)・ストレス・歯のかみ合わせの悪さ、体の歪み等
々の原因から引き起こされてくるものがあると考えます。本質的に「体質」そのものによ
る頻度は、どの程度かは、明らかではありませんが・・。
少なくとも「国際頭痛分類第2版」の基準に従って「片頭痛」と診断されているものは、
「片頭痛症候群」であって、その原因は様々だろうと思われます。
とくに、ストレートネックを呈する片頭痛の方々はこのような視点は必須と考えます。
これらに対して、原因を追及することなく、一律に「トリプタン製剤」だけでは
何時までも治らず、挙げ句の果てが、「先天的な体質」によるものとされてしまうのがオチ
ではないでしょうか?
少なくとも、片頭痛の原因として想定されている可能性を考慮して、日常の生活習慣の
確認を含めて、原因の精査を行い、見つからない場合は、頭痛発作の引き金を丹念に調べ、
これを手がかりに、原因を追求していくべきと考えます。
このような点は、これまで「片頭痛と診断された」方々が、現在、どのようになってい
るのかを、アンケート調査でも行ってみれば、明確になると考えますが、「日本頭痛学会」
のお偉い方々には、興味がないのか、いつまでも実態調査をされようとはされません。
このような点を解明しない限り、いつまでも小橋雄太さんに、馬鹿にされ続けることだ
ろうと思います。
私には、片頭痛で悩んでおられながら、治せない方は、自ら「治す道筋」を閉ざしてし
まっているとしか思えません。自分で治すものである、という意識に欠けています。
どんな病気も、医師が治すのだからと言って、他人まかせではダメなのです。
このような意味で、片頭痛は糖尿病をはじめとする生活習慣病と同じであると主張した
いのです。2型糖尿病は、ご承知のように、食生活の乱れ・運動不足・ストレス等の生活
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習慣の中から、糖尿病の素質のある方が発症してきます。ですから、糖尿病の治療には、
これらの発症要因、特に食生活を最低限、改めない限り、糖尿病の治療はうまくいきませ
ん、食生活の改善は、「患者さん自身」がしなくてはなりません。知識として知っているだ
けでは、ダメで、実行しなくては、糖尿病の改善は得られません。いかに知識だけ豊富で
あっても、実際に自分で行わない限り、何も解決しません。片頭痛も全く同じなのです。
このような点で、片頭痛は生活習慣病と全く同じであると言っている所以です。
片頭痛という病気は、自分自らが克服していく病気である、と認識さえすれば、必ず、
起こらなくなってきます。決して、諦めないで下さい。
このように意識改革をしない限り、片頭痛は治すことはできません。
このような点を踏まえない限り、いつまでも「片頭痛は治らず」、「頭痛外来」と「トリ
プタン製剤のメーカー」を儲けさすだけのことです。
理想的な形の「生活様式(ライフスタイル)」にすれば、発作は「必ず、起きなくなる」
といった、指導を行うことによって、発症初期の方は、1年もすれば、軽快するのではな
いでしょうか。そして、慢性片頭痛へ移行される方も減少するのではないかと期待されま
す。
片頭痛と睡眠
睡眠習慣の改善は片頭痛改善につながります。
*
1.眠る時間と起きる時間を一定にする
2.自分に合った睡眠時間を取る(ふつう成人で6~8時間)
3.週末に夜更かし、寝坊をしない。
4.よく寝られなかったとしても、翌朝寝坊したり、うたた寝をしない。
5.寝付きにくければカフェイン摂取量をチェックする。
- 59 -
6.アルコールの飲みすぎも睡眠を妨げます。
5.定期的な運動は安眠を誘います。ただし夜遅く運動をしないこと。
以上の点が極めて大切です。この理由は、以後、この書籍を読み進めていかれれば、自
然に理解されてきます。
片頭痛と食事
Foods for Headache Relief - Healthy Living Tips at WomansDay.com には、頭
痛を和らげる食べ物が 9 種類紹介されていました。
1:ベイクドポテト
二日酔いで頭痛がする場合、アルコールの利尿作用によって脱水症状が起こり、また必要
な電解質が失われてしまうため頭痛が起こるそうです。栄養士によると、カリウムが豊富
な食品を食べるのは頭痛解消によいとのことで、カリウムを 721mg と豊富に含んでいる皮
付きのベイクドポテトは頭痛解消に持ってこいの食品と言えそうです。
2:スイカ
頭痛の主な原因は脱水症状なので、スイカのように水分豊富な食品を食べてみるのもいい
かもれしれません。野菜や果物に含まれている水分には必須ミネラルが含まれているため、
頭痛の予防にはよいそうです。スイカをそのまま食べる以外にも、氷とヨーグルト、ハチ
ミツ、すりおろしショウガを加えたスムージーにして摂取するのもいいかもしれません。
ショウガには頭痛による吐き気を抑える効果もあるので、一挙両得が期待できます。
3:コーヒー
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アルコールは血管を拡張する作用があるため、頭痛を引き起こすことがあります。コーヒ
ーに含まれるカフェインは逆に血管を収縮させるため、二日酔いなどによる頭痛を抑える
のに効果があるということです。しかし、効果があるからと言って飲み過ぎると、カフェ
インの利尿効果のために脱水症状を助長し、かえって頭痛が強まるかもしれないため、適
量を飲むのが大切です。結論として、二日酔いには 1 杯のコーヒーはよい薬となりますが、
日がな 1 日コーヒーを飲み続けるのは逆効果のようです。
4:全粒粉のトースト
炭水化物ダイエットを試しているような人は、脳のエネルギーとなるグリコーゲンが不
足しがちになり、それによって脱水症状を引き起こし、結果として頭痛に悩まされること
も多いとか。この場合、全粒粉のトーストなどでグリコーゲンを補給し、栄養バランスを
取るよう心がけるとよいそうです。
5:アーモンド
片頭痛に悩まされる人は、マグネシウム豊富な食品を含む食事を心がけることで改善で
きる可能性があるとのこと。血管をゆるめる作用のあるマグネシウムを豊富に含むアーモ
ンドを取り入れてもいいかもしれません。
6:サルサソース
意外ではありますが、頭痛の種類によっては、スパイシーな食品が頭痛の回復に比較的
すぐに効いてくるようです。副鼻腔炎が原因となっている頭痛の場合、スパイシーな食事
は炎症を抑える効果があるということで、頭痛を軽減させ、鼻の通りをよくするかもしれ
ません。
7:ヨーグルト
頭がガンガンする場合、体がカルシウムを欲している可能性があるようです。脳が効率
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的に機能するにはカルシウムが不可欠らしいので、ヨーグルトのようにカルシウムが豊富
な食品を食べると効果があるかもしれません。
8:ごま
いろいろなおかずにパラパラふりかけて食べることのできるゴマは、粒が小さいながら
栄養満点。ビタミン E が豊富で、血液の循環をよくし、またマグネシウムも多く含むため、
頭痛の改善にいい要素がたくさんあります。
9:ほうれん草のサラダ
ほうれん草は血圧を下げ、二日酔いを防ぎ、また頭痛の予防にも効果があるとのこと。
サラダを作る時、レタスの代わりにほうれん草を使うのもいいかもしれません。フルーツ
の入ったサラダが苦手ではない人は、ほうれん草とスイカ、それから干しあんずを皿に盛
り、アーモンドを散らして、ラズベリー・ビネガーをかけたサラダを作ると頭痛によい食
材が 1 度に摂取できます。
片頭痛患者とマグネシウム
片頭痛患者の3~5割はマグネシウムが不足していて、頭痛時の脳内マグネシウム濃度
を測定すると通常の濃度より19%低いことが報告されました。これにより片頭痛とマグ
ネシウムが関係していることが知られるようになったのです。
マグネシウムとは、カルシウムや鉄と同様に人間にとって必要不可欠なミネラルの一種
です。
マグネシウムはカルシウムと深く関係しており、血管や筋肉・神経など様々な細胞の緊
張と弛緩のバランスを保つ働きがあります。
マグネシウムが不足すると、筋肉が痙攣しやすくなり、めまい、ストレスがたまる、疲
れやすい、足がつるといった症状が起こります。
- 62 -
また血管も痙攣しやすくなり、痛みに敏感になるため、頭痛の原因になるとも言われて
います。
マグネシウムが片頭痛に有効なのは、血小板が凝集するのを防いだり、血管の収縮を抑
えたりといった効果があるからです。
現在、病院でも片頭痛に有効な治療法として、マグネシウムは使用されていますし、ま
た様々な臨床治験が発表されてきています。
厚生労働省では、現在健康な生活を送るためにマグネシウムを 1 日に 300mg 程度摂取す
るように呼びかけていますが、国民全体を見回してもなかなかその基準値に達していない
のが現状です。
この背景には、戦後の日本人の食生活が肉中心の半欧米化に変化したこと(野菜・海産
物の摂取不足)、さらに白米、白砂糖、精製塩などの精製食品をとりがちになったことなど
があります。
さらに片頭痛誘発要素(ストレス、妊娠、生理、飲酒など)はマグネシウムを涸渇させて
しまいます。
マグネシウムはもちろん食事からでも摂れますが、現状ではほとんどの人が必要量の摂
取ができていない状態なのです。
またマグネシウムは過剰摂取しても、腎機能が正常であれば体外に排泄されます。
マグネシウムはいりごま・いんげん豆・アーモンド・ひじき・えび・油揚げ等に多く含
まれます。ですので、これらの食品を取り入れた食事を心がけることで偏頭痛の改善を期
待できます。ただ、マグネシウムはカルシウムと一緒に摂取しませんと十分に働きません。
ですので、同時にカルシウムも十分に摂取する必要があります。
また、基本的なことですが、食事内容も重要ですが、一日三食規則正しく食事を取るこ
とも重要です。片頭痛は疲労やストレス、不規則な生活の中では悪化します。ですので、
まずは生活リズムを整えることが何よりも重要な予防になります
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片頭痛を予防または改善するには、次の5つを守る生活と食事がすすめられ
ています。
1)セロトニン
セロトニンは、セロトニンの前駆物質であるトリプトファン
を含む牛乳からとります。
2)交感神経系
自律神経の安定には、歩行運動(40分/回を、週5回以上)
3)ミトコンドリア
ミトコンドリア機能はビタミンB群を果物と緑黄色野菜からとります。
4)マグネシウム
マグネシウムは野菜や豆類(大豆製品や納豆など)に多く含まれます。1日400 mg
のマグネシウムを補充すれば3~4週間後に片頭痛の頻度がへります。特にヒジキと
黒豆が有効です。
5)ラジカル・スカベンジャー(活性酸素の毒性を解毒する物)
ビタミンC・A・Eを果物と緑黄色野菜からとります。
また、緑茶やコーヒーも頭痛に有効です。これは含有成分のカフェインが、血管を緊張さ
せて片頭痛を軽減させます。
頭痛体質を治すには、栄養のバランスをよくし、野菜・豆類を積極的にとることが大切
- 64 -
です。
以上のように、片頭痛を治療・予防していく上で、食生活も大切な点であることが、理
解して頂けたかと思います。
これ以外のもっと詳しくは、当ブログの「セロトニン生活」と当医院ホームページの文
献情報の「片頭痛と食事「片頭痛と食品」をご覧下さい。
頭痛発作時の記録
これまで、立岡良久先生はその著書「頭痛退治読本」の中で、片頭痛治療を行う上でま
ず、片頭痛の誘因を見つけるための「誘因探し」を強調されています。
最近では、小橋雄太さんは、そのブログ「イミグラン錠・副作用なしに偏頭痛を治しちゃ
え」の中で、自分自身、10 年来、閃輝暗点という前兆を伴う片頭痛に悩まされ、おまけに
トリプタン製剤が全く効かない「トリプタン・ノンレスポンダー」であったようで、この
ため自分で「片頭痛を治す」ために、いろいろ試みられた手順をブログに記載されていま
す。
その方法の要点は、頭痛発作時に、その発生前日と当日の状況を詳細に記録を重ね、こ
れを積み重ねる事によって、共通の発生要因を探り、原因と思われるものに対してひとつ
ずつ対処していくというものです。その結果、小橋さんの場合、「体の歪み」に原因がある
ことに気づいて、最初は整体師のお世話になって、治したとのことです。
この間、頭痛外来にも受診されたそうですが、何も解決しなかったようです。
小橋さんは記録のための「専用ノート」を用意して、ノートが真っ黒になるまで詳細に
記録されたようです。
まさに執念というほか無かったのではないでしょうか?小橋さんが述懐されておられるよ
- 65 -
うに、なまじトリプタン製剤が効いていたらここまではしなかったと・・
上の表は、小橋雄太さんが考案された記録方式です。
ただ、どのような点から「体の歪み」が原因であったと判断されたのかの「詳細」が記
載されていないのが残念です。
この点は、私も片頭痛患者さんを最初に診せて頂いた際に、発作時の状況を記録して頂
くようにお願いしています。その際に、私は、北里大学の坂井文彦・五十嵐久佳先生らが
考案された「頭痛ダイアリー」を利用させて頂いていますが、頭痛発作時に「思い当たる
ことがあれば」適用欄にメモしてもらうようにお願いするのですが、大半の方は、頭痛の
起きた日と程度は記載されるのですが、肝心の「思い当たること」の記載はありません。
いつも、私は、再来時に、この点をお聞きするのですが、決まって返ってくる「返答」は
何がきっかけになったとか、原因はよく分からないということです。
片頭痛発作は、何か引き金になるものが無い限り起きないと、くどいばかりに説明する
のですが、理解されません。あたかも、突如に、起きて来るという返事しか得られません。
最近、東京女子医大の清水俊彦先生が「頭痛女子のトリセツ」という書籍を出版されて
おられますが、片頭痛発作と誘因の関係がわかりやすく書かれており、この書籍を5冊ば
かり購入して、患者さんに貸し出して、読んで頂いております。
それまでは、当医院では、一般的に、誘因(トリガー)となりうるものをすべて記載し
たものを、お渡しして、発作時に何が関与していたかを見つけ出すようにお願いしていま
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した。具体的に、どこで、どのような状況で起きたのか、例えば、その日の体調はどうで
あったか(食事はちゃんと摂取していたか、睡眠は十分であったか、あるいはいつもより
寝過ぎていなかったか、生理中ではなかったか)また、天気がどうであったか、さらに、
どのような場面で頭痛が起こり始めたか、等々、気がついたことを記録してもらうことで
す。従って、このような誘因を見つけ出せるのは、患者さん本人しか出来ないことです。
最近、来院された方で、ご主人が「片頭痛」なのですが、いつも奥さん同伴で来られ、
本人に何を質問しても、何一つお答えにならず、奥さんだけが、ペラペラお話になり、こ
の中で、休日のあと起きているように思われたため、睡眠の取り方についてお聞きして、
初めて「寝過ぎ」が誘因と判明しました。そのため、休日も、平日と同じように起床する
ように指導し、一端は、落ち着いたかのようにも思われたのですが、最近、再度、激しい
頭痛が4,5日続くため来院されたのですが、本人に何を尋ねても一切お答えになりませ
ん。今回は奥さん自身も気がついた点がなかったようです。
ただ、痛い、痛いと言って来院されるのでは、何も解決しません。
このような例をみて理解して頂けると思いますが、夫婦で、1日のうち半分は生活を共
にしていても、発作の誘因は、本人以外には、全く分からないということです。
最も、患者さんにして欲しくないことは、片頭痛の原因が、CTで分からなければ、M
RIであれば、原因が分かるのではないかと考えて、MRIを撮影してもらうことです。
MRIを撮影したからといって、片頭痛の原因は絶対にわかりません。
いずれにしても、患者さん本人が、片頭痛発作時の状況の把握・分析の積み重ねを行う
ことが、片頭痛克服するための、最低必要条件だろうと考えます。
発作時の記録方法ですが、私は、これまで、北里大学の坂井文彦・五十嵐久佳先生らが
考案された「頭痛ダイアリー」を利用しておりますが、このダイアリーの摘要欄の空欄が
せまいためか、ほとんどの方は記載されません。ただ頭痛の起きた日と、その程度くらい
しか記入されません。このため、小橋雄太さんのように、専用のノートを用意して、発作
状況を詳細に記録するのが一番よいように思います。
このように記録を重ねるだけで、自分自身で、発作の誘因が探り出せる方々は少ないの
ですが、このような方々は、自分で対処されて、発作を起こらなくされています。
(一番は、頭痛ダイアリーとしてではなく、「日記」そのものを付けてもらうのがベストな
のですが、果たして患者さんはこれを医師に見せるかどうかです。プライバシイの問題が
絡んできますので、この点は問題があるようです。ここが難しい点です。)
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問題は、いくらこのように発作時の記録をお願いしても、発作の引き金が何かを見いだ
すことができない方がおられます。これらの方々は、次の2つが原因として考えられます。
一つは、発作の誘因が、日常生活そのものの中にあるために気がつかない場合と、もう
ひとつは、自分の「片頭痛発作」のパターンがよく理解されていない場合です。
次の「片頭痛発作のパターン」がよく分かっていない場合に、発作の誘因の分からない
方は、一般的な「片頭痛発作」に関する知識がなお不足しているため、自分の発作パター
ンが、よく理解できていないものと思われます。このような方のために、当医院では「慢
性頭痛のすべて」というCDを作成しています。これをご覧になられれば、短時間で「片
頭痛」そのものを理解してもらえると考えます。これまで「片頭痛改善マニュアル」を作
成された7人の方々は、普通の医師以上、頭痛専門医なみの知識を持っておられることに
驚かされます。ということは、片頭痛を克服するには、片頭痛の”一般的な知識”が必要
とされることの「証明」だろうと思います。
敵を知り(一般的な片頭痛の知識)、己を知る(自分の片頭痛を知る)ことが、片頭痛克
服のスタートと考えて下さい。
患者さん以外の人間には、誰も分からないことで、本人の原因探索の意志がない限り、
分からないということです。ここに片頭痛治療の難しさがあります。こんな面倒なことを
する位なら、痛み止めを飲んで我慢しようといったことが、根本的治療にまで至らない理
由であることは想像できるだろうと考えます。
もうひとつ。発作の誘因が、日常生活そのものの中にあるために気がつかない場合です。
このような方々は、全く誘因に気がつかず、ご多分に漏れず、私の再来患者のすべてです。
この場合、ストレートネックを必ずといって良いくらい持っておられます。
最近、来院された 50 歳男性の患者さんは、片頭痛の家族歴が不明で、頸椎レントゲン
検査では、ストレートネックを呈し、直立位で、頸椎が前傾していました。発作の誘因と
して思い当たるものはなく、ただ趣味の「ラジコンの組み立て」を4,5時間にわたって
長時間「うつむき姿勢」で行ったり、横になって、右側臥位で2,3時間ビデオ鑑賞を行
って、枕を高くして就寝すると、翌朝、必ず、頭痛発作が起きると述懐されていました。
この方は、「姿勢」に関連して、発作が起きており、本人は、トリガーを自覚されておら
れませんでした。このように「姿勢」に関連したものは、自分では、トリガーを自覚でき
ません。
(今後、体操による姿勢の矯正、日常生活上、前屈みの姿勢を長時間保持しないことに注
- 68 -
意し、場合によっては「整体」を考慮の上、経過観察の予定です)
以前、全国慢性頭痛友の会の会長の秋山扶佐子さんに、私の考えをお示ししたところ、
会長に、私の考え方の間違いを指摘されました。それは、会員の片頭痛の方々の殆どが「発
作の引き金」が分からないという指摘でした。全く、その通りであると反省しました。
それは、最近、片頭痛の方々の「ストレートネック」を呈する方々の多さに我ながら驚
いているためです。このような「ストレートネック」を来す原因として、現段階では、姿
勢の悪さ(前屈みの姿勢を長時間強いられる作業に従事することも含めて)、歯のかみ合わ
せの悪さ、足に扁平足・外反母趾がある場合、体の歪みの場合、慢性的な「セロトニン不
足を来す日常生活習慣」などの諸々が推定されております。
このような視点から考え直すことによって、別の考えも生まれてくるのではないでしょ
うか。
最近の誘発因子調査によると、片頭痛の誘発因子としては、「睡眠不足」71.1 %、「頸・
肩の凝り」67.1 %、
「旅行・外出」65.3 %、
「過労」52.9 %、
「目の疲れ」44.5 %、
「緊張」43.6
%、「睡眠過多」27.6 %などが挙げられました。また、チョコレートや赤ワインなどの特定
の食品により頭痛が誘発されたとする人は極めて少数でした。
このように、誘発因子として 「睡眠不足」「頸・肩の凝り」が多く挙げられています。
このような結果を見ても、ストレートネックの関連性を裏付けるものと考えます。
日常何も意識せずに行っていることが関係している場合は、当然本人が気がつくこと自
体無理なことだと考えます。
今後の、片頭痛治療の主眼は、「ストレートネック」を如何にして改善させるかが一番
と思われます。しかし、如何に是正させるか、ここが最大の問題点でもあります。
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「片頭痛」
いろいろなレベル(段階)
私は、一言で「片頭痛」といっても、いろいろなレベル(段階)があるように思います。
大まかに分けるなら、3段階があるのではないでしょうか?
まず、第1段階は、発症間もない段階の片頭痛の場合で、まず頭痛の発作の度に、その
誘因(引き金)が分かる段階です。しかし、まだ、片頭痛と診断できない時期です。
この段階であれば、誘因に対する対策を立てて、極力誘因を除去すれば、発作は防げま
す。発症原因が何か、徹底的に追求する姿勢が極めて重要です。
これまで、発症当初に、頭痛の余りに激しいため、救急で医療機関を受診される方が多
いのですが、救急の現場では、CT検査で異常がなければ、そのまま鎮痛薬の投与だけで
放置されることが殆どでした。(救急業務を考えればやむを得ないことです)。
しかし、治まった段階で改めて、頭痛外来か神経内科を受診を指示しなければなりませ
ん。そして、「片頭痛の疑い」がある旨説明し、初回の頭痛を起こした要因をつぶさに検討
し、以後の経過を追求しなくてはなりません。(当然この時点で「ストレートネック」の有
無を頸椎レントゲン検査で確認しておくことが極めて大切です)
片頭痛の診断基準にもありますように、頭痛発作が5回ないと片頭痛の診断は行えない
ことになっております。このため、以後の発作の度に受診を促して、発作の誘因をその都
度確認する必要があります。この際には、頭痛が出現するまでの「ある一定期間」の間に、
「生活様式の変化がなかったかどうか」を確認することが必須です。
このようにして、5回程度の頭痛発作時の受診である程度は、発作の誘因は確認できま
す。このため、片頭痛の最終診断が下された段階で「治療方針」が決定できます。
この段階で、誘因の除去に努め、生活様式に問題があれば是正させることが大切です。
そうすれば、1年もすれば根治可能です。
片頭痛患者さんの苦痛は、頭痛そのものの苦痛もですが、一番の苦悩は「自分の痛み」
を周囲の人が理解してくれないということです。頭痛の初発から片頭痛が「最終診断」さ
れるまで幾度も救急医療機関を受診されても頭部CT検査で異常がないという「ただそれ
だけの理由」から医師から見放されてしまい、あげくの果ては周囲の理解が得られないと
いう結末になっていることを医師は、厳粛に反省すべきです。
頭痛の初発の段階から「片頭痛の疑い」として以後5回目の発作までに的確に診断する
- 70 -
ことが極めて重要です。この期間であれば「経験豊かな頭痛専門医」であれば、頭痛発作
の誘因の推測および同定は可能です。決して諦めずにこの段階で「頭痛専門医」を受診す
べきです。この段階で治してしまうことが極めて大切です。
第2段階は、発作時にいくら注意を払っても、誘因がつかめない段階です。このような方
は、日常生活そのものの中に誘因があって、分からない場合です。自分の生活習慣が「セ
ロトニン生活」とどのように異なっているかを検証する必要があります。
不規則な生活、食生活が、日常的になってしまっているからです。
さらに、ストレートネックがあれば、ストレートネックを来した原因を探求すべきです。
このような方々が、現在、受診される片頭痛の大半で、発症後数年経過している方々で、
永い人では 10 年以上経過して受診される方も多いのが実情ではないでしょうか。
この段階でも「原因追及」の姿勢は極めて重要で、鎮痛薬・トリプタン製剤の投与に終
始する医師に、いつまでも係っていてはダメです。何時までも治りません。
第3段階は、片頭痛に薬物乱用性頭痛が加わったり、変容性片頭痛となってしまった段階
です。このような場合は「頭痛専門医」の手に委ねるしかありませんが、頭痛専門医の”
プロ”でも軽快しない方も多いのが実情です。
以上のように考えますと、繰り返される頭痛の場合は、まず「片頭痛」かどうかを診断
してもらい、早期に「第1段階」で治してしまうことが、極めて重要です。
市販の鎮痛薬を飲みながら、自己判断することは、極めて危険です。
問題の、第2,3段階にまで、不幸にも至ってしまった場合は、徹底的に現在の「ライ
フスタイル」を見直して、「セロトニン生活」を目指す必要があります。これ以外には、方
法は無いと言っても過言ではありません。そうしない限り、発作の都度、市販の鎮痛薬や
トリプタン製剤が、一生手放せなくなってしまいます。
私は、片頭痛は「生活習慣病」と同じように考えております。
生活習慣病は、現在「特定健診」で予防できるようになっていますが、大半の方々は、
「健
診」だけは受けますが、メタボと診断されても、殆どの方は「生活指導」までは受けられ
ません。厚生労働省の方針通りに、「生活指導」まで受け、これを実行する限り「生活習慣
病」にまではならないわけで、ひいては、脳卒中・心臓病・腎臓病はこの世から、無くな
- 71 -
ってしまい、内科系の開業医の患者さんは、半減してしまうことになります。
しかし、このような「生活指導」を受けられず、高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風にま
でなってしまう方々がおられるお陰で、内科系開業医が「飯が食える」のではないでしょ
うか。
これに例えるならば、片頭痛の第1段階は、
「メタボ」と特定健診で診断された段階です。
そして第2段階の方は、高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風にまでなった段階です。
さらに第3段階の方は、脳卒中・心臓病・腎臓病にまでなってしまった状態と考えて頂け
れば、理解しやすいのではないでしょうか?
「ライフスタイル」を見直して、食生活を改善しましょうと、口では簡単に言えますが、
実行するのは、患者さん自身です。高血圧・糖尿病・高脂血症・痛風の場合も、生活習慣
を徹底的に見直せば、薬も要らなくなるはずですが、現実はそうではありません。これら
の方々は、薬さえ飲んでおれば、治ると思っておられるようです。
最近、ネット上のブログで「片頭痛は、医療機関では治らない」と非難されていますが、
私は、そうとは考えておりません。片頭痛を無くすためには、このように「ライフスタイ
ル」を見直して、食生活を改善しましょうと、いくらお話ししても、当の本人が、薬に頼
っておれば、あたかも「治る」と錯覚を起こされているのではないでしょうか?
どんな病気の患者さんでも、全て医師まかせで、治してもらえるものと期待されておら
れるようです。しかし、片頭痛も生活習慣病も医師まかせでは、ダメなんです。
10 年前に、トリプタン製剤が発売された当時は、テレビや新聞等のマスコミで、「片頭
痛の特効薬」と大々的に宣伝されました。当時は、片頭痛患者さんは「これで片頭痛は治
る」と思われた方が、いかに多かったかが思い出されます。しかし、現実には、確かに「市
販の鎮痛薬」よりは「鎮痛効果」のある薬ではありますが、これで「片頭痛が根治する」
わけではないということが、次第に患者さんに浸透し、その結果、殆どの片頭痛患者さん
は、医療機関には受診されなくなりました。このような高価な「お薬」は、トリプタン製
剤しか効かない方々にしか人気はないようです。
- 72 -
私が、ここで申し上げたいことは、片頭痛が起こり始めた段階(先程の「第1段階」
)で、
なるべく早く、医療機関を受診され、どのようにして「片頭痛を治す」かについて指導を
受け、これに従って、生活習慣を見直すことによって、片頭痛を起こらなくすべきと考え
ます。手遅れにならないうちに、手を打つべきと考えます。
ただ、このような「指導」もせずに、ただ鎮痛薬かトリプタン製剤を処方するような「医
療機関」は敬遠すべきだろうと思います。
第3段階にならないように、第1段階の「片頭痛の疑い」の時点で、明確な診療方針に
基づいて、治療開始することが片頭痛を無くすためのは必須事項です。
片頭痛治療の将来への夢
以下のようなことを書きますと、反感を買い・お叱りを受ける覚悟で片頭痛治療への将
来の夢を、記述致します。
これまで述べて参りましたように、片頭痛は、何かしら「糖尿病」と似通っている点が
あるように、私には思えてなりません。
先日の記事「片頭痛と遺伝」のところで、樋口先生の引用記事(参考文献)にもありま
したように、片頭痛と糖尿病は、遺伝形式と発症様式に共通点がありそうです。
片頭痛も、糖尿病と同様に、1型と2型があるのではないでしょうか?
1型とは、小児期に発症し、これが大人まで継続するタイプです。2型とは、15 歳以降
に発症したものが考えられます。
2型は、糖尿病と同様に、食生活の乱れ、不規則な生活、姿勢の悪さ、ストレス等々原
因で、片頭痛体質を持った人に発症するということです。
今後、治療面では、頭痛の原因となるものを確定することによって、極力、取り除ける
ものは取り除き、これと平行して、セロトニン生活」に近づける生活習慣にすることです
(これは、糖尿病治療における「食事・運動療法」に相当します)。
そして、将来的に、血中セロトニンと脳内セロトニン量を反映する「何らかの指標」
がみつかるようになれば、誰ものコンセンサスが得られるのではないでしょうか?
(糖尿病における「ヘモグロビンA1Cのように・・)
- 73 -
セロトニンの枯渇状態を、臨床的に「検査データ」として示すことが出来れば、誰の眼
にも明らかになるのではないでしょうか?
以上のような検査方法が確立されれば、糖尿病がうまくコントロールされるように、片
頭痛もうまく「コントロール」されてくるのではないでしょうか?
(ここで、「片頭痛克服とか治す」といった表現をしますと、誤解を生み、先日、お叱り
を受けた方にまた、怒られるでしょうから・・)
あくまでも、片頭痛発作を「封じ込める」ことによって、コントロールしていくという
ことです。当然、生活習慣が乱れてくれば、発作は再度、出現して来ます。
頭痛体質そのものは、依然として、存在するのですから・・
セロトニン生活で、片頭痛体質改善
セロトニン生活で、片頭痛体質改善を!
1.セロトニン神経は、どんなはたらきをするのでしょうか?
セロトニン神経は、脳の中心にあ
る「脳幹」の、さらに中央に位置す
る「縫線核」という部分にあります。
そして、大脳皮質や大脳辺縁系、視
床下部、脳幹、小脳、脊髄など、あ
らゆる脳神経系と結合し、脳の広い
範囲に影響を与えている神経です。
セロトニン神経は、目覚めと共に活
発化する交感神経に影響し、覚醒後
のアクティブな行動を可能にするた
めに、カラダを適度なスタンバイ状
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態にするはたらきをします。
心の面では、クールな覚醒、つまり平常心を保つはたらきをします。セロトニン以外に
も心の状態を演出する神経には、快感や陶酔感を増幅する「ドーパミン神経」と、様々な
ストレスによって覚醒反応を引き起こす「ノルアドレナリン神経」があります。セロトニ
ン神経は、この2つの神経に対して抑制作用を及ぼし、興奮と不安のバランスを図り、心
の状態を中庸に保つはたらきをします。
2.セロトニン神経が弱まるとどんな
ことが起きるのでしょうか?
セロトニン神経が弱まると、中枢神経
系のバランスが崩れ、様々な症状を引き起こします。覚醒状態をうまくコントロールでき
なくなるため目覚めが優れず、その後もなかなか調子が出ません。また、うつ状態やパニ
ック発作、摂食障害(過食や拒食を繰り返す)など、俗に“現代病”と呼ばれている症状
の多くが当てはまります。また、ストレスが加わった時に過激な行動が抑えられなくなる
「キレる」という状態も、セロトニン神経が弱まった時に起こる症状と重なります。
かつて、セロトニン神経を破壊されたラットを、マウスと共に飼育するという動物実験
が行われました。すると、ラットはマウスを殺して食べてしまうという、通常みられない
行動を引き起こしました。しかし、ラットの脳にセロトニンを補給するとこの症状は消失
したといいます。動物実験をそのままヒトに当てはめて考えることは妥当ではないかもし
れませんが、セロトニンが極端に欠乏した状態の1つの例証といえます。
また、脳内セロトニンの不足が色々な病気の原因の一つとして知られています、片頭痛、
不眠症、睡眠障害、冷え性、うつ病、産後うつ、更年期障害、月経前症候群などの様々な
病気が誘発されていると考えられています。
女性は男性の 52%しか脳内セロトニンがなく、さらに生理前や更年期による女性ホルモ
ンの変化により脳内セロトニンが少なくなると考えられています。その事から、片頭痛、
冷え性、産後うつ、更年期障害、月経前症候群、などは女性に多いと考えられています。
- 75 -
3.セロトニン神経はどうして衰えてしまうのでしょうか?
セロトニン神経には、歩行、呼吸、咀嚼などの基本的なリズム運動によって活性化され
るという特性があります。毎日の生活の中で、こうしたリズム運動を自然に繰り返してい
れば、セロトニン神経は正常レベルに保たれます。したがって、こうした運動を極端に抑
えた生活を継続することは、セロトニン神経の減弱を招きます。例えば以下のような生活
習慣には要注意です。
・あまり外出をしない
・移動にクルマを頻用し、歩くことが少ない
・コンピュータ操作などで1日数時間にわたって同じ姿勢をとり続ける
・夜ふかし、朝寝坊の昼夜逆転生活
また、加齢による身体機能の衰えも運動不足に繋がります。セロトニン神経の活性には
太陽の光も影響しますから、インドア指向の最近の子供たちの生活、とくに連日、息をつ
めてゲームをやり続けるという習慣などは、セロトニン神経が減弱しやすくなるのです。
4.セロトニン神経を鍛えるにはどうしたらいいのでしょう?
まずは、セロトニン神経の活性を妨げる生活習慣を改善することが第一です。朝起きて
太陽の光を浴び、適度な運動とバランスのよい食事を摂るなど、規則正しい生活を心がけ
ましょう。その上で、意識的な呼吸法やリズム運動を実践すると効果的です。ただし疲れ
過ぎたり、栄養の摂取をサプリメントなどに頼り過ぎると、かえってセロトニンの過剰摂
取を招くことも。また、こうした規則的な生活を継続させることが重要です。
5.セロトニンを増やすための5つのポイント
(1.)早寝早起きの規則的な生活を心がける
セロトニンは、太陽の出ている日中に分泌されやすく、睡眠中は日が沈んでからは分泌
- 76 -
が少なくなります。これは後述のメラトニンの働きと関係していますが、人間が本来持っ
ている生活リズムは『日中に活動し夜は寝る』と言うもので、この原則を守ることがセロ
トニン神経の活性化に効果的だといわれています。
(2.)太陽の光を浴びる
セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンと相対する性質があります。
セロトニンは脳の覚醒を促し、メラトニンは睡眠に作用します。
メラトニンが分泌している間はセロトニンの分泌は少なく、逆にセロトニンが多く分泌
されている間はメラトニンの分泌は少なくなります。
太陽の光(のような非常に強い光・明かり)を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニ
ンの分泌がストップし、代わりに脳の覚醒を促すセロトニンの分泌が活発化されるのです。
昼夜逆転の生活をしていたり、日中部屋の中にばかりいると、セロトニンとメラトニン
の分泌のバランスが崩れ、不眠症になったり、うつ病になりやすくなったりしてしまうの
です。
毎朝日光を浴びる行為は、セロトニンを鍛えるだけで無く、生活リズムを整えることに
もつながります。
(3.)リズミカルな運動をする
スクワットや階段の昇り降りなど、一定のリズムを刻む運動を反復して行うとセロトニ
ン神経が活性化されるとされています。
先日国民栄誉賞を受賞された、女優の森光子さんも 70 歳から体力維持の目的でスクワッ
トを始めて、これまでずっと継続して来たそうです。
89 歳でも舞台に立ち続ける彼女の元気の源も、このリズミカルな運動にあるといえるで
しょう。
同様に活発な活動をされている黒柳哲子さんもスクワットを毎日しているのも知られて
います。
スクワットに限らず、
『ウォーキング』や『深呼吸/腹式呼吸』
、最近人気の『フラダンス』
など、リズムの良い運動を継続して続けていくことが、セロトニン神経の活性化に役立つ
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とされています。
また、こういった運動を 5 分以上行うとさらに効果的であると言われています。
(4.)食事をする際に、よく噛む
食事の際は必ず物を噛みますね。
このものを噛む動作(咀嚼:そしゃく) も、一定のリズムを伴った運動であるといえま
す。
上述のリズミカルな運動と同じく、セロトニンの活性化に役立ちます。
「運動はちょっと苦手・・・。」と、考えられている方でも、食事は必ず取るでしょうか
ら、食事の際によく噛んで食べることを心がけてみてはいかがでしょうか。
『ものをよく噛む』と言うことは、栄養の効果的な摂取や、消化を助けることにもつな
がりますし、あごの筋肉の維持など、セロトニンの活性化以外にも様々なメリットがあり
ますし、どなたでも簡単に試せる方法です。
(5.)トリプトファンを含む食品を食べる
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う
物質です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込
む必要があります。
セロトニンの材料
=
『トリプトファン』 +『 ビタミン B6』ガソリンが無ければ車が
走らないように、材料がなければ人間の体はセロトニンを作ることができません。
体内でセロトニンを生成するには、必要な材料が幾つかあります。
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う物
質です。
- 78 -
トリプトファンとは必須アミノ酸の一種です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込む
必要があります。
= 『トリプトファン』 +『 ビタミン B6』
セロトニンの材料
ガソリンが無ければ車が走らないように、材料がなければ人間の体はセロトニンを作る
ことができません。
体内でセロトニンを生成するには、必要な材料が幾つかあります。
セロトニンは脳内の『ほう線核』と言う部位で作り出されます。
ほう線核でセロトニンを作り出すために必要な材料の一つが『トリプトファン』と言う
物質です。
トリプトファンとは必須アミノ酸の一種です。
トリプトファンは、体内では生成することができない物質で、食事により体内に取り込
む必要があります。
また、セロトニンを体内で作り出すには、トリプトファンのほかにもう一つ『ビタミン B6』
が必要です。
トリプトファンとビタミン B6 が『ほう線核』で合成されることで、セロトニンが生成
されるのです。
トリプトファン
⇒必須アミノ酸の一種。食物から摂取する必要がある。
ビタミン B6 ⇒たんぱく質やアミノ酸の合成や分解を補助する働きを持つ。
セロトニンの原料となるトリプトファンとビタミン B6 を体内にバランスよく摂取する
ために、これらの栄養素を豊富に含んだ食材を摂ることを心がけましょう。
トリプトファンを含む食品の一覧
セロトニンの材料となるトリプトファンは食事を通じて私たちの体に補給されています。
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チーズなどの乳製品、納豆や肉類などのお馴染みの食品にもトリプトファンは含まれて
います。
トリプトファンを配合しているサプリメントや栄養補助食品も広く販売されています。
普段の食生活で以下のような食品を意識して食べて、セロトニンの生成を促進させまし
ょう。
バナナ 10mg/100g
豆乳 53mg/100g
牛乳 42mg/100g
ヨーグルト 47mg/100g
プロセスチーズ 291mg/100g
ひまわりの種 310mg/100g
アーモンド 201mg/100g
肉類 150 ~ 250mg/100g
赤身魚 200 ~ 250mg/100g
糸引納豆 242mg/100g
すじこ 331mg/100g
たらこ 291mg/100g
白米 89mg/100g
そば 192mg/100g
Wiki:トリプトファンより引用
ビタミン B6 を含む食材
赤身の魚(マグロ・カツオなど)
肉類(豚肉・鶏肉・牛肉など)
レバー(豚・鶏・牛)
豆類(大豆・小豆など)
果物(バナナ・プルーンなど)
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尚、ビタミン B6 は腸内の細菌によっても一部体内で作られるため、一般的には不足し
にくい栄養素であると言われています。
ただし、もう一方のトリプトファンは、体内にはもともと存在しないアミノ酸です。
セロトニンを鍛えて健康な生活を送るには、上記のような食物を摂るように心がけ、普段
の食生活から意識して変えていくことががとても重要であると言えるでしょう。
片頭痛という病気は、脳血管が何らかの誘因で拡張しやすい体質からくるものです。こ
の「頭痛体質」は「セロトニン不足」が関与していると想定されています。
この「セロトニン不足」に対してどう対処するのか、これまで東邦大学の有田秀穂教授
らの知見をもとに「セロトニンを増やす、活性化させる」方法が提唱され、上記のような
ことに注意するようにこれまで言われてきました。
最近、頭痛コンサルタントの山崎有為さんが、この「セロトニンを活性化する」方法を、
日常生活にどのように組み込むかを具体的に示しています。
インターネットで、「山崎有為」 をキイワードにして検索すると、「頭痛体験レポート」
を閲覧できます。以後は有料となっていて、5,000 円で「頭痛解体新書
第一幕」が入手
できます。この頭痛解体新書に、具体的な方法が記載されています。
これらを、日常生活習慣に組み入れることによって、頭痛体質を改善させ、片頭痛を治
そうというものです。
片頭痛を治そうと考えておられる方には、参考になります。是非とも、チャレンジして
みて下さい。
片頭痛を治療されておられる方は、是非「有田秀穂」教授の著作を、お読みになられる
ことをお薦め致します。以下のように、多くの一般書が出版されています。
脳内セロトニン活性法
だいわ文庫
心も脳も元気になるストレス整理術
脳ストレスが消える生き方
2011.10
2011.6
ドーパミン的価値観からセロトニン的価値観
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脳ストレスに強くなる!セロトニン睡眠法
心が強くなるあきらめない脳のつくり方
まんがセロトニン健康法
うつ・ストレスに負けない自分を作ろう
ストレスに強い脳を作る6つの習慣
仏教と脳科学
ポジテイブで粘り強くなれる技術
1日5分のセロトニン・セラピイ
うつ病治療・セロトニンから呼吸法・座禅。瞑想・解脱まで
脳からストレスを消す技術
セロトニンと涙が人生を変える
セロトニン・ウオーキングで、スッキリ&キレイ
心のストレスが消える処方箋
幸せ脳内物質セロトニンを増やすための実践10カ条
家族で読みたいストレスすっきり
脳活習慣今すぐできる
認知症介護はセロトニンで楽になる
歩けば脳が活性化する
お遍路さんは何故歩くのか?
セロトニン脳
呼吸、日光、タッピングタッチの驚くべき効果
健康法
ストレスに強い脳
弱い脳
そのカギはセロトニンが握っていた
ウオーキングセラピイ
セロトニン活性法
脳のちから禅のこころ
坐禅とセロトニンの科学
朝5分間脳内セロトニントレーニング
うつ・キレるを治すトレーニング
脳内セロトニン神経強化実践10カ条
ここ一番に強くなるセロトニン呼吸法
セロトニン生活のすすめ
スポーツからスピーチまで
朝5分の幸運習慣
セロトニン「脳」活性法」簡単にできる
セロトニン生活のすすめ
お日さまセラピイ
セロトニン欠乏脳
キレ
る脳・鬱の脳を鍛え直す
セロトニン脳トレーニン
グ
ココロに効く!キレイ
になれる!
呼吸を変えれば「うつ」
はよくなる!研究医が教える禅的呼吸法
以下、多数あります。ご紹介まで・・・」
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実は、私も片頭痛持ちでした
私も、20 代後半から、片頭痛に悩まされていました。呉共済病院での5年間の臨床研修
を終えた時点で、以後 10 年間共済組合等連合会に奉職するという契約をすれば、1カ月
間の海外研修と称して、1カ月間自由に海外旅行ができる制度(現在なお存在するかどう
かは知りませんが、当時の国家公務員等共済組合連合会にはありました)がありました。
私も、この制度を利用して、世界一周の旅行を計画して、その海外旅行に行きました。発
症は、最初の訪問国のギリシャのアテネでした。羽田空港から、24 時間のフライトを終え
て、お昼の食事に出た食前酒の赤ワインを飲んで食事を終えた1時間後に、今まで経験し
たことのない激しい頭痛に襲われ、その後の見物どころの騒ぎではありませんでした。翌
日以降も、昼の食事の度の食前酒の赤ワインを飲む度に頭痛に襲われ、以後は食前酒は飲
まないようにしました。
海外旅行が終わってからは、重症患者を受け持たされて、3日3晩徹夜をすることが、
日常茶飯時の病院でしたが、これが終わって一息ついて酒を飲む度に、激しい頭痛に見舞
われていました。当時は糖尿病に関する一般的な知識が乏しかったためもあり、糖尿病性
昏睡で入院する患者さんが多く、受け持ちになると、患者さんが覚醒するまでは、一睡も
できないことがザラでした。頭痛発作中に、患者さんが急変したりすると、パニック状態
になる程、まさに地獄の苦しみも味わいました。
最近では、平成 19 年5月に肺炎で、白浜はまゆう病院に入院した時は、突然の入院で
もあり、4人部屋に入ったのですが、4人部屋というのは、軽症の患者さんが入る所です
ので、狭い部屋に4人の患者さんと、付き添いの人、見舞客が多く出入りされ、酸素濃度
が低下していたことに敏感に反応し、激しい頭痛に見舞われ、そのまま意識を失い、気が
ついた時には、個室に移されていた経験があります。
また、子供の頃は、海水浴に行った際に小舟に乗った時とか海釣りに行って舟に乗ると
よく船酔いをしていた記憶があります。
また、学生時代は、当時家が島根県の松江市にあり、大学は広島市であったため、休暇
中に、夜行バスで広島から松江まで帰っていましたが、バスに乗るのに、最後部座席に乗
ると必ずといっていい位に酔ってしまい、おまけに頭痛も出現し、着くまでの5時間が地
獄のようであったのが想い出されます。
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以前、Windows が発売された頃、大阪の日本橋に中古のパソコンを買いに、特急のくろ
しお号に乗って往復を度々していましたが、空腹で乗車すると必ず酔ってしまい、帰宅し
てから頭痛を頻繁に起こしていました。空腹と電車の揺れ(とにかく特急くろしお号は揺
れます)が、関係していました。
私の場合、睡眠不足が一番関係があったようで、以後、自分の片頭痛がどのような状況
で起こるかを全て把握し、それらに対処して、現在全く片頭痛は起こらなくなりました。
私の片頭痛を検証する
私の「片頭痛」に関して述べさせて頂きました。
この点に関して、色々な角度から、検証したいと思います。
まず、「遺伝」というか「家族歴」についてです。
私の、両親には、全く、頭痛を訴えることはありませんでした。
私の父親は、山梨県山梨市の「ぶどう農家」の長男でした。ところが「医師」になりた
いとの夢が諦めきれず、京都大学に入学し、以後、山梨の家の跡継ぎは、次男である「政
彦さん」に譲り、独自の生活をしたようです。結局、
「医師」にはなれず、教師の道に進み、
大阪の堺市に居を構え、以後の生活が始まりました。私の記憶では、大阪での生活は記憶
にはありません。母親も、山形の出身としか聞いておりませんでした。
その後、父親の勤務の関係で、大阪から四国の高知県、さらに島根県の松江市に転居し
た関係で、私の親族といえる方には、顔を合わすことは全くありませんでした。このよう
な状況ですので、母親の関係する一族とも全く面識はありませんでした。
ところが、一昨年、母親が死亡し、私の家の「お墓」は山梨県の山梨市にある関係で、
本年3周忌を行いました。それが終わってから、父親の次男の「政彦」さんも既に亡くな
られており、政彦さんの娘さんと雑談をする中で、極めて激しい頭痛を繰り返されておら
れることを、本人の口から知らされ、「医師」として、「片頭痛」かどうかあれこれ、お聞
きして、「これは紛れもなく、片頭痛」と考えた次第です。
- 84 -
このように、両親には、頭痛がないと、
「遺伝性なし」と短絡的に判断されます。それに、
わたしのような、極めて特殊な家族関係にある場合、二親等の頭痛の状況など知る由もあ
りません。
このような、私のような状況を踏まえた上で、家族歴の有無を確認する上で、問題は山
積しているようです。どこまで患者さん「家族には頭痛はない」ということが、信用でき
るものかどうか・・
私の「片頭痛」を発症するまで・・
片頭痛は、ある人の言をお借りすれば、幼少期から発症すると申され、一生治らないも
の、と確信されておられる方々が如何に多いかということを実感しております。
私も、
「片頭痛体質」を受け継いでいることは、過去のことを振り返り、実感しています。
それは、片頭痛になる人間は幼少時から、ある特徴があることを、東京女子医科大学の
清水俊彦先生が指摘されておられます。私も、その通りでした。
私が、小学生の頃、父は、松江市から日本海側の海水浴場に、夏休みには連れて行って
くれました。海水浴場にいくと、小舟に乗せてくれて、遠くまで漕いで、海を見せてくれ
たのですが、必ず、船酔いして、楽しむどころの騒ぎではありませんでした。
その後、広島大学の医学部に入学し、夏休みとか冬休みには、実家の松江市にある家に
帰っていましたが、当時の「国鉄」の料金を考えますと、私鉄の「夜行バス」が料金が安
いことを知り、これを利用ししておりました。ところが、運転席に近い所に座席が確保で
きた時は何も問題はありませんでしたが、時に、最後部座席しか、明いていなかった場合
は、最悪で、車酔いで、到着するまでの5時間は「地獄の時間」でした。途中で、下車し
たくても、真夜中の中国山脈の中に取り残されるかと思えば、我慢するしかありませんで
した。
呉共済病院に勤務して
私が、広島大学医学部を卒業する年度は、昭和 43 年でした。この当時は、「インターン
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制度廃止運動の最終年度」の最後の仕上げの時期にさしかかっていました。この運動を継
続する関係から、なぜだか私がその先頭に担ぎ出されていました。決して、思想的な背景
があった訳ではありません。純粋な感覚で、指導してきたように思います。
最終的に、インターン廃止が決定された後、医学部卒業後の「臨床研修」をどのように
するかという問題が残されていました。当時、「青医連 広島支部の委員長」として「医局
講座制打破」をスローガンに掲げ、「入局拒否」を唄って行動を持続しました。この間、自
殺者を3名を生み出したことを反省し、私も、考えを改めると同時に、当時、既に、結婚
までして一児の親でしたので、すべて投げ出す覚悟で、国家公務員共済組合等連合会 呉共
済病院の内科に、入り込みました。
当時の呉共済病院は、院長が笠潤一郎、内科医長が岡田啓成で、内科医員 20 名で、500
床の総合病院で、内科は 200 床でした。まさに、野戦病院と形容されるような病院でした。
当時の内科は、人工透析を全国に先駆けて行っておりました。まだ、最初の時代でした
ので、血液透析はキール型でしたので、除水効果が悪く、肺水腫を併発している場合は、
腹膜透析を併用して行っていました。このようにしても延命効果は1カ月前後でした。ま
た現在のように内シャントでなく、外シャントでしたので、血栓でよく閉塞し、このため、
夜間に「シャント掃除」に呼び出されていました。
当時の呉地区は、人口 20 万人で、当院以外に、総合病院の国立呉病院があり、交代で、
救急の当番をしていました。この時代は、肝硬変の昏睡もしくは食道静脈瘤破裂による吐
血、糖尿病性昏睡、脳卒中などの意識障害、心筋梗塞の救急が大半を占めておりました。
このため、入ったと同時に、静脈切開、気管切開、ゼングスターケン・チューブの挿入
等々の手技を叩き込まれました。だいたい、毎日、救急車で5,6名は救急搬送されてき
ました。研修1年目は、この救急患者を、上の先生方と一緒に診せられ、入院後は「受持
医」として、20名前後診ておりました。
また、内科医長の診察が隔日にあり、この日は「予診係」をさせられました。
さらに、重症の患者さんが多いため、殆ど毎日、誰かが亡くなられ、死後は病理解剖を
義務づけられていて、解剖の度に、その所見を記載する「シュライバー」をさせられまし
た。このような状況でしたので、受持患者 20 名のうち、4,5人は重症患者で、24 時間、
気が抜けない患者さんばかりでした。そして、受持患者の状態報告を、必ず内科医長に報
告しなくてはなりませんでした。さらに受持患者の「臨終の宣告」は、必ず「内科医長」
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が行うことになっていましたので、例え夜中であっても連絡するようになっていました。
このような「報告が遅いと」罵声を浴びせられることは日常茶飯事のことで、「患者は死
なないもの」といった考えで、報告が遅い、遅いと怒鳴られ、患者さんが亡くなられよう
っものなら「人殺し」と罵られる毎日でした。何も、東も西も分からない「研修時代」で
すので、これが、どれだけのストレスになっていたか計り知れないものがありました。
このような毎日でしたから、殆ど、昼も夜もない状態で、まともに家に帰ることは、殆
どありませんでした。睡眠も1日に、3,4時間寝れればいいところで、毎日の「規則正
しい生活」とは全く無縁の世界でした。これが、毎日で、日曜日などは全くないに等しい
状態でした。ですから、病院の他の職種の方々が、毎朝、「おはようございます」と挨拶さ
れても、自分にとっては「朝という感覚がなく」朝の挨拶どころでなかったため、職員か
らは、「変人」と思われていたようでした。
このような生活の連続であるため、上の先生方は、30 歳になると「判で押した」ように
自分の故郷に帰って、お父さんの医院の手伝いをされていました。
海外旅行での出来事
このような5年間の研修医時代が終わった時点で、今後、さらに呉共済病院に 10 年間
奉職するという契約をすれば、1カ月間、「海外研修」と称して「海外旅行」ができる制度
が当時の「国家公務員等共済組合連合会」にありました。
私は、勤務当初から、5年の研修期間が終われば、
「神経学」を専門に診療するつもりで、
それまでに、「脳血管撮影の手技」を身につけるまで準備していたために、迷わすに、この
契約を結びました。そして、世界一周の海外旅行を計画しました。
皆さんも初めての「海外旅行」をされた方は経験されていると思います。昭和 50 年の時
代です。旅行の1カ月前から、飛行機が墜落しないかとか、外国語が喋れないのに大丈夫
だろうかとか、行く先々の治安は大丈夫だろうかと、際限もなく、あれこれ考えて眠れな
いことも度々でした。
このようにして「海外旅行」に出発しました。最初の訪問国はギリシャのアテネでした。
羽田空港から 25 時間のフライトでした。機中は、狭い座席に座り、この間歩くことは、ト
イレ以外にはなく、寝ようにも、殆ど眠ってはいなかったように思います。
アテネに到着したのは、現地時間の午前 10 時頃でした。昼まで観光をして、昼食の時に、
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昼間から食前酒にワインが出てきたため、珍しそうに口にしました。昼食後、さらに観光
が始まったのですが、バスに乗って間もなく、今まで経験したことのない激しい頭痛に見
舞われました。このため、その後は観光どころの騒ぎでなく、おとなしくバスの中にいる
しかありませんでした。その日の夜頃には、何とか治まりましたが・・
翌日も、昼食時のワインを飲むと再度、激しい頭痛に見舞われました。
これで、ワインがよくないと思い、次の日からは、ワインを飲まないようにして、以後
旅行中は、頭痛は起きませんでした。
これが、私の最初の片頭痛発作でした。
その後の片頭痛発作
旅行から帰ってきても、例えば、糖尿病性昏睡の患者さんを受け持って、3日3晩徹夜
をして、やっと患者さんが覚醒して、その晩、「祝杯」をあげると激痛に襲われます。(睡
眠が十分であれば、いくら酒を飲んでも大丈夫なのですが・・)
最近では、睡眠時間には注意しているためか、殆ど起きなくなってはいるのですが、時
々、土曜日の午後から大阪での「講演会」に出席するため、診療終了後、特急くろしお号
で行くのですが、この帰りの時間が遅くなって、空腹のまま、帰りの電車に乗車すると、
帰宅後、必ず、頭痛発作に見舞われます。どうも、空腹と、電車の揺れがよくないようで
す。
特急「くろしお号」の揺れのひどさは、有名です。
以上が私の片頭痛の概略です。
私の場合、発症前の約5年間の全く不規則な生活に加え、睡眠不足、食事もまともに摂
取していない状態をもとに発症の準備状態が作られたように思います。
そして、発症直前には、25 時間の狭い座席に閉じこめられ、気圧の変化、これまでの「地
獄のような生活」から解放されるという安堵感、そして現地に無事着いたという安心感に
追い打ちをかけるように「ワインを飲んだ」ことが直接の引き金になったようです。
これだけの「誘因」が加われば、発作が起きても、決して不思議ではないと思います。
私自身の場合は、このように振り返ってみて、発症前の5年間の生活がなければ、恐ら
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く、片頭痛は発症しなかったのではないかと思えてなりません。
実際の患者さんを診察する場合は、頭痛が何かということばかりに気を取られ、発症前
の「生活状態」までには、注目していないのが実情ではないでしょうか。
片頭痛の原因を見つけるために
片頭痛の原因を見つけてくれるのは、現在は、あなたの「主治医」には到底不可能と考
えます。と言いますのは、医療機関に初めて受診する場合の注意点として、「あなたの頭痛
の状態を、正確に伝える」という項目が、必ずネット上、記されております。
これを基に、医療機関に受診された時点で、いろいろ問診されます。あらかじめ、診察
前に、「問診表」に記入を求められる施設も多いかと存じます。
これらの、問診にしても、問診表にしても、短時間で「片頭痛の診断」にまで持って行
こうとする意図で行われているに過ぎません。
ということは、「あなたの片頭痛の原因が何か」ということには、直結していません。
結局、診察医は「国際頭痛分類 第2版」の基準に適合するかを確認して、「片頭痛」の診
断を行っているに過ぎません。このような、診断過程で、たった5分前後で、行えるのか、
という疑問をいつも、私は、持っております。
頭痛専門医の中には、1日 300 人前後診察されておられる方が、おられるようです。単
純に計算しても、24 時間フルに診察しても、1人当たりの診察時間は、5分以下という計
算になります。このような診察時間内で、どのような「診療」がなされているのでしょう
か?
ここが、私にとっての最大の疑問点です。
私も、これまで過去 40 年間、片頭痛患者さんを診せて頂きました。私の経験では、5
分以下の「診察時間」では、到底十分な説明は不可能と認識しております。このため
片頭痛の原因追及までには至らないという理由を、今回は述べさせて頂きます。
それは、片頭痛を起こして来た背景に関する「問診」項目が欠落している点です。
片頭痛の診断に関する「問診」あるいは「問診表」で、ある意味では、診断可能でしょ
う。これは否定しません。しかし、あなたの「片頭痛の原因」を探ることにはなっていま
せん。そういう私自身も、このような点までは、次の患者さんの「待ち時間」を考慮して
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省いてしまうことが日常茶飯事のことでした。ときに、時間的な余裕のある場合に、お聞
きすることもありますが、決まって、患者さん自身は、お答え下さいません。
このような状況にありますので、「初診時」には確認できない項目で、ここに「片頭痛の
原因」を探る方法論に、ある意味で「難しさ」を感じております。
私が、片頭痛の原因を探るための方法として考えていることは以下の点です。
それは、18 歳以降に、片頭痛を発症された方に関しての「確認事項」です。
片頭痛を発症する前の、数年間の間に「ライフスタイル」が変わっていなかったか、と
いうことです。このような生活様式の「変化」を初診時に「お聞きしても」即座にお答え
される方は、ほとんどいらっいません。しかし、ここを「省いてしまえば」あなたの「片
頭痛の原因」を探る糸口は途絶えてしまいます。
もともと生まれつきのものであるという「先入観念」に捕らわれる限り、原因の探索の
道は閉ざされてしまいます。
以上のような、「診療場面」を考慮して、皆さんにお願いしたいことがあります。
それは、あなたの片頭痛が発症する前の、数年以内に、「ライフスタイル(生活様式)」
に変化はなかったかを、思い出して、もしあれば、どのようなことがあり、それが現在で
も続いているかどうかということです。
これが、明らかになれば、原因探索の道が開けると考えます。
これは、私自身の「片頭痛改善」を考えた上で、お勧め致します。
片頭痛を改善された方の体験談
片頭痛は簡単に治ります!
「片頭痛に悩む女性にお勧めです」から
片頭痛は治らない、薬とうまく付き合っていくものだというのが医学界の常識。
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でも、私も高校の頃に突然の閃輝暗点→嘔吐→頭痛という症状にものすごく恐怖を覚え
たものです
そしてその頃は、まだまだPCが広く普及していなかった頃なので、これが片頭痛とい
う事も分からず、また病院に行ってもうまく自分の症状を伝えられず、またトリプタンな
どの薬も世に出ていない時代でした。
ですので、これがただの頭痛だと認知しておらず、何か恐ろしい病気が潜んでいるので
は・・・と思っていました。
短大を卒業し、就職してからもこの症状は見られました。
キツかった・・・
小さな店だったので、一人で店番している時に片頭痛が起こったら、吐き気と痛みを抑
えながら接客。
合間合間にトイレに駆け込んで吐きつつ・・・
あの頃は頭痛より、吐き気の方が我慢できず、苦しかったなぁ~。
しかし、『あること』をして、私の片頭痛はピタリと治まりました。
本当にそれをしてから、片頭痛は一度もやってきません。
その『あること』とは・・・
私、下の歯の奥歯が1本、変なふうに生えてきていたんです。
みんな上に向かって生えているけど、1本だけ横向きに。
永久歯の生え変わりのときにそうなってしまっていて、それをそのまま放置していたん
だけど、
歯磨きしにくいし、虫歯になったらやっかいだろうなぁと思い、23歳の頃に抜いたん
です。
そしたら・・・
『これが原因だったの??』っていうくらい、片頭痛は起こらなくなりま
した。
今、ネットで色々検索していたら、虫歯や歯並びが頭痛の原因である事もあるらしいで
すね。
子供の頃から頭痛に悩まされてきた人が歯列矯正をしたら治ったとか、虫歯を治したら
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頭痛が治まったとかそんな声が色々と紹介されていました。
ですので、片頭痛に悩む方は、一度歯医者に行って検査してみるのもいいかも。
私はもう片頭痛で悩みたくないので、それを機会に4本生えていた親知らずも全て抜き
ました!
しかし、緊張型頭痛(筋肉の張りからくる頭痛)は今でもなります笑
イミグラン錠・副作用なしに偏頭痛を治しちゃえ
このブログは小橋雄太さんのブログです。
その方法の要点は、頭痛発作時に、その発生前日と当日の状況を詳細に記録を重ね、こ
れを積み重ねる事によって、共通の発生要因を探ることによって、原因と思われるものに
対してひとつずつ対処していくというものです。その結果、小橋さんの場合、体の歪みに
原因があることに気づいて、最初は整体師のお世話になって、治したとのことです。
この間、頭痛外来にも受診されたそうですが、何も解決しなかったようです。
症例
作者は不明ですが、ネットから拾ってきました。
私は19歳くらいの頃から約5年間にわたり片頭痛に苦しんだ事がある。
親友と「富士山に登ろう!」とか「ダイビングしよう!」と楽しい約束をしていても
突然頭半分が心臓の鼓動と共にズキンズキンと痛くなり、キャンセルせざるおえない。
自分の生活の質も落ちるし、約束をドタキャンセルすると言う事は友情信頼関係にもヒ
ビが入る。
片頭痛の発作が起こったら、代表的頭痛薬バファリンを飲んでも効かない事が多く、
当時は「頭痛」程度では病院に行っても真剣に診察してくれることもなかったが、
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「片頭痛」と診断した医師から偏頭痛治療薬「クリアミンA」という血管収縮剤をもらっ
た事があります。
片頭痛治療薬にはエルゴタミン製剤とトリプタン製剤に大きく2つ分類され
私はエルゴタミン製剤の「クリアミンA」を処方されたわけです。
この薬、気になって調べて見ると酒石酸エルゴタミン製剤という片頭痛の原因、脳内血
管を膨張させ周囲の神経などを刺激し炎症を起こすセロトニンという物質に作用し血管を
収縮させる。常用すると頭痛中毒を起こし大変な事になるらしい
実際、副作用(クラクラしたり倦怠感)に襲われたので服用はやめました。
そこで自分で編頭痛のメカニズムを考え独断自己治療をはじめました。
まず片頭痛発生に至る経緯を分析し考えてみました。
片頭痛は頭の血管がダラ~ンと伸びて付近の脳内神経を刺激し炎症を起こして頭痛が起き
るメカニズム。
薬以外で血管を収縮させる方法を考えて実行してみました。
①タバコを吸って血管を収縮させる・・・喫煙では更に偏頭痛が酷くなった。
②コーヒーや緑茶(カフェイン)を大量に常飲する。
③血管を拡張させるような辛い食べ物を控える
④クルマを運転する時はサングラスを掛ける。
荒療治
⑤熱い風呂につかり血管を広げて頭から冷水をかぶり血管を収縮させる方法!・・悪くな
さそう
⑥徹夜仕事明けではダラダラ寝るのは止め、日中は寝るのを我慢しプールで泳ぐようにし
ました。
完治までコレ!といった原因は特定出来ませんでしたが、神経質な性格から大雑把な人間
への変化、
水泳や地元・千葉九十九里浜での心底「楽しい!」と思えるサーフィンとの出会いが片頭
痛との決別だった気がしてなりません。
現在私は禁煙し、悪いとされる辛いものは好んで食べ、激しいサーフィンやダイビングも
やりますが
年に1回くらい冷房で身体を冷やすと「片頭痛」が起きる事があるものの、
ほぼ完治したと思います。
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以下、参考までに、片頭痛をうまくコントロールされている方の方法をお示
し致します。
片頭痛をお持ちの方、生活習慣を変えてみよう!
片頭痛と戦うこと憂鬱だった26年以上、もう5年以上も発症してない
私が実行したこと。していること。
【やるべき要素=プラス】
納豆を毎日食べる。
ウオーキングをする。
毎日同じ時間の睡眠時間を確保。
できれば、同じ時間に起きて寝るを習慣に!
水分を適当にとる。
お腹が空いたらビスケットや飴をなめる。
日光のまぶしさを避けるためにサングラスをかける。
日光のまぶしさを避けるために帽子をかぶる。
肩こりを感じたら即座に肩を回したり血行をよくする。
それでも辛い時は血行をよくするバンテリンなどを塗る。
呼吸が浅くなっているのに気がついたら深呼吸する。
何事も楽天的に考える。
毎日、大声で笑うこと。(ストレス解消)
【避けるべき要素=マイナス】
チョコレートは全く食べない。
チーズはほどほどに。
赤ワインも飲む時は少量で止める。
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あと、オリーブオイルもいけないって聞いたことあるけど、
私は影響ないので、普通にパスタとか食べています。
締め付ける洋服・下着はきない。
まぶしい光はみない。
朝、起きて直ぐにテレビは見ない。
目を駆使しない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
今、思い出したのはこんだけ。
まだまだ、あるはず。
今となっては自然と生活に取り入れていることが
あるので、無意識なことも、他人からみたら
「あれ?変わっていることやっているね?」って
いうものがあるかもしれない。
また、気がついたら追記します!
片頭痛と関係することは何でも、とことん、
どんどんプラス要素を増やし、どんどんマイナス要素を避けよう!
片頭痛で悩んでないで、実行あるのみ!
早く始めれば、それだけ早く片頭痛から解放されると信じて!!
片頭痛の慢性化に関連して
片頭痛の慢性化・・セロトニンの関与???
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慢性の頭痛である片頭痛は繰り返し頭痛発作が起こる反復性の片頭痛として始まり
約 30 %寛解し、また、約 30 %の患者さんは高齢になっても反復性の片頭痛のままであり、
約 40 %の患者さんは慢性化するとされています。(日本頭痛学会誌 2010
vol.37
シンポ
ジュウム 3-5:竹島多賀夫)
慢性化のリスク要因には医療介入できない因子として、女性、社会的経済的階層(低い
教育歴と低収入)、婚姻状態(未婚)、頸部または頭部外傷の既往などがあり、介入可能な
因子には、肥満、いびき、睡眠時無呼吸、生活上のストレス、カフェイン摂取、急性期頭
痛薬の過剰使用が知られています。片頭痛発作時には神経原性炎症により三叉神経血管系
の過敏性と中枢感作がおこりますが、この炎症と感作の慢性化が片頭痛の慢性化の中心的
なメカニズムと考えられています。
片頭痛の体質を有する人は、光、音、臭いなどの外的刺激により脳の特定部位の興奮性
が増大し、これがある限度を超えると頭痛として表現されます。これらの刺激に対して、
脳内視覚野である後頭葉、聴覚中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米でも報
告されています。最近、片頭痛患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠
い た 状 態 が 長 期 間 放 置 さ れ て 発 症 す る 経 年 的 な 症 状 を 「 脳 過 敏 症 候 群 ( Cephalic
Hypersensitivity Syndrome)」とする概念が提言されています。
慢性連日性頭痛の治療には、適切な頭痛診断と病態把握に立脚した合理的な戦略が必要
で、リスク要因のうち、回避可能なものは避け、薬物乱用があれば中止し、適切な予防療
法薬を投与することが原則であるとされています。慢性化した片頭痛はしばしば難治性と
なりますので、あらかじめ反復性の片頭痛治療において急性期治療薬の使用を適正化し、
発作頻度が高い場合は適切に予防薬を使用し、慢性化を予防することが重要であると言わ
れて参りました。
さらに、慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。痛み止めを多く飲み過ぎると、脳の痛みの調節系は働く必要がなくな
り、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを飲
むことになり、悪循環になります。痛み調節系の機能低下により頭痛が毎日くるようにな
ったと思われます。片頭痛の慢性化は、最近増加しており、脳の痛み調節系を活性化する
ことが治療の第一歩とされています 。
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北見公一先生は慢性片頭痛の患者さんに,傍脊柱筋(脊柱起立筋,姿勢筋)の筋筋膜痛
症候群が多く合併することを見出しました。また片頭痛に限らず,頭痛が慢性化する場合
に中枢性痛覚過敏(central sensitization, CS)という現象が関係していることが知られて
います。これは末梢からの痛み情報が時間的・空間的に多く中枢に伝わると,次第に痛み
の閾値が低下し,わずかな痛覚情報にも反応する過敏さが出現することを言います。CS に
なるとわずかな圧迫や熱・冷感を痛みとして感じるようになります。
姿勢の悪さや歯のかみ合わせの悪さ等により生じるストレートネックが、首や肩の筋肉
からの侵害刺激情報が出つづけることにより,脊髄を介して三叉神経脊髄路核,さらに三
叉神経主知覚核のニューロンが痛覚過敏を来たし,それが頭部・顔面の慢性の痛みへとつ
ながることが推測されます。筋緊張の原因としては,中枢神経系の可塑的変化(すなわち
セロトニンの枯渇など)が末梢の機構にも影響し,筋緊張を持続させたり,筋組織内への
アセチルコリンの放出を増加させたりすると考えられます。そして当初の出来事が治まっ
たあとも CS が継続し,結果的に緊張型頭痛を慢性化させるとされます。この機序はむし
ろ片頭痛の慢性化によく当てはまります。すなわち中枢神経系の可塑的変化というものが,
睡眠障害によりもたらさるものであり,それにより傍脊柱筋の慢性緊張がもたらされ,CS
を来すと考えられるのです。
慢性片頭痛では視床下部がドパミン系の過剰活動の状態になっており,睡眠障害が重要
な背景であるかもしれない言われています。慢性片頭痛患者はさまざまなタイプの睡眠障
害を有するとされ,薬物離脱により頭痛とともに睡眠障害も寛解したという報告もありま
す。この睡眠障害と片頭痛の慢性化との関係については,REM 睡眠の内容変化が関与して
いる可能性があるのです。
正常な REM 睡眠期には脊髄以下の運動系が機能しなくなり,眼球運動以外は完全な筋
弛緩の状態になりますが,この正常な筋弛緩が得られなくなることによって,睡眠中に身
体運動が起こることがあります。周期性四肢運動障害や,夢が行動化したかのような複雑
な運動が生じる REM 睡眠行動障害という睡眠障害がありますが,REM 睡眠時に周期的に
手足が動く現象は小児にはよく見られる現象であり,成人でもストレスで歯ぎしりが起こ
ることは知られています。つまり何らかのストレスにより,REM 睡眠期に本来筋弛緩が得
られるはずの傍脊柱筋に筋緊張が残存するようになることは十分考えられるのです。
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以上のことと,多くの患者さんは片頭痛が慢性化するときに強い情動ストレスを伴う自
己不全感(例えばまた強い頭痛が起こって倒れるのではないか,生活できなくなるのでは
ないか,という恐怖感など)を体験していることより,可能性としてドパミン系が過剰に
活動するために,悪夢のような情動反応を夜間に何度も起こし REM 睡眠期に筋弛緩が得
られなくなり,傍脊柱筋の慢性緊張が起こっているのではないかと推測されます。
慢性片頭痛の患者はほとんどが元気を回復するような睡眠をとっていないとこれまで報
告され,この元気回復が出来ない睡眠障害が慢性片頭痛の発生頻度と病態に関与している
と考えられています。すなわち慢性片頭痛の女性 147 人に,朝起きたときリフレッシュし
ているか,疲れているか,をたずねたところ,83.7 %の女性が疲れていると答えたそうで
す。また彼女らに健康的な睡眠指導を行うと 48.6 %の慢性片頭痛患者が反復発作性の片頭
痛に戻ったと報告しています。(参考文献「睡眠」の事項を参照して下さい)
さらに北見公一先生は、片頭痛に限らず慢性頭痛の患者さんには,睡眠改善が必要と述
べています。慢性片頭痛の場合は,悪夢の原因であるドパミン系の過剰活動を抑える目的
で D2 拮抗薬を就寝前,傍脊柱筋の筋緊張を抑える薬を就寝前,それと片頭痛予防薬を投
与し,大半の患者さんで頭痛の頻度減少が得られたと述べておられます。
睡眠改善のために推奨される方法としては,起床時間を規則正しくする,床の中に長く
居すぎない,シフト勤務者以外は午後 3 時以降の昼寝を避ける,夕方のタバコやカフェイ
ン,アルコールの摂取は避ける,日中早い時間に規則的な運動を心がける,就寝前に心身
のリラックスのための工夫をする,眠れなくても時計は見ない,寝る前に空腹であればス
ナックやぬるめのホットミルクなどは可,などがあります。寝る前のリラックス法として
は,呼吸調整,自律訓練法,漸進的筋弛緩法,アロマテラピーその他,自分にあった方法
を推奨されております。
以上概観してみましたが、片頭痛の慢性化には、睡眠障害、ストレス、うつ状態、姿勢
に関与する筋肉等々さまざまなものが関与しており、ここでもストレートネックさらにセ
ロトニンの関与が示唆されます。
本来「セロトニン不足」がある上に、さらに不規則な生活やストレスなどが加わり「セ
ロトニンの枯渇」した状態が慢性化に関与しているように想像されます。
このような意味で、片頭痛が慢性化した方々の、日常生活習慣の状況を、つぶさに明確
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にして頂きたいものです。ここにポイントがあるように思われます。
今後、脳過敏症候群に至った方々の、治療成績が、どのような結果になるか、極めて興
味深い点です。今後、期待しております。
脳過敏症候群の原因は、鎮痛薬だけが原因なのか???
片頭痛の治療に関して、東京女子医科大学の清水俊彦先生は以下のように述べておられ
ます。
「小児期から、特有の過敏性を示す小児片頭痛の患者に対して、必要以上の過敏性を脳
にあたえないよう、生活指導や片頭痛予防薬もしくは頓挫薬を含めた服薬指導を適切に行
うことが何よりも重要です。しかしながら、片頭痛との適切な診断を受けるに至るまでに、
すでに数年~十数年もの年月を経ているような際には、痛みの水面下ですでに慢性化して
いると想定される脳感作の結果生じた脳過敏を、バルプロ酸ナトリウムやトピラマートな
ど片頭痛予防効果の確認されている抗てんかん薬を数カ月、服用し、取り払うことにより、
その頻度や程度を減少させ、トリプタン製剤の効果を最大限かつ確実なものとすることが、
将来の薬物乱用頭痛や脳過敏症候群への進展を阻止する最良の治療選択であるといえます。
しかしこのような治療方針をとりつつ治療しても、なおも元来の片頭痛発作の頻度や程度
に改善が得られず、またトリプタン製剤の十分な効果が得られないような、難治性の症例
に遭遇することもしばしばあり、このような際には、脳感作が築かれた状態以外に、増悪
因子が関与していることを考えなくてはならず、この場合、副鼻腔炎、甲状腺疾患、帯状
疱疹ウイルスの再活性化、早朝高血圧の存在を考慮すべき」と述べておられます。
また、獨協医科大学の渡邊由佳先生は、片頭痛の慢性化には心理的要因の関与が考えら
れており、気質性格調査における損害回避はセロトニンと相関があるとされ、片頭痛患者
は特徴的な気質性格があることが示唆され、損害回避は、慢性片頭痛や薬剤乱用頭痛でよ
り高くなる特徴がみられ、慢性化のリスクになると述べています。
このような慢性化・難治症例となる原因が、果たして、不適切な、トリプタン製剤以外
の「鎮痛薬」での対応だけに、あるのか甚だ疑問に思われます。
これらの慢性化に関与すると思われるのは、頸椎X線所見に異常を認める症例(ストレ
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ートネック)に多く出現してくるのではないかと推測されます。
これらストレートネックをきたす原因としては、現段階では、「体の歪み」「歯のかみ合
わせの悪さ」「足病変」 「セロトニン枯渇状態」 が推定されます。
これらを、是正しない限り、絶えず「三叉神経核」が刺激され続け、これが「脳過敏」
を助長させているものと思われます。
ところが、これまで「頭痛専門医」の間では、このストレートネックは殆ど問題にされ
ておりませんでした。秋葉原駅クリニックの大和田潔先生の考えを引用します。
「重たい人間の頭を支えるため、首の骨は生理的なカーブ(湾曲と呼ぶ)を持っています。
ところがこの大切なカーブが無くなってしまい、まっすぐな首の骨の上に重たい頭が乗っ
かっている人がいます。このような状態をストレートネックといいます。ストレートネッ
クやなで肩は頭痛の原因といわれますが、私は、あまり頭痛とは関係ないと考えています。
私がお会いした方々は、もっぱら変容性片頭痛の治療をすることで、痛みから解放され
たり、体操で改善した方々が殆どだったからです。もし、なで肩やストレートネックとい
った骨格的な問題が本質であるなら、骨格に手を入れる手術をしない限りよくならないは
ずです。」
以上が、「頭痛専門医」の共通した考えのようで、片頭痛と「ストレートネック」の関係
を論ずる先生は、ほとんどおられません。
ただ、カイロプラクターは、最も重要視され、ここに大きな見解の差があります。
私の経験では、片頭痛の方々に「ストレートネック」を示す頻度がかなり多いという成
績をお示し致しましたが、問題は、これが何の原因で起きているかの断定の難しさがある
ように感じています。
今後、慢性化・難治症例の中に、どの程度の頻度で「ストレートネック」が存在し、こ
れをどのように考えるかがポイントだろうと考えます。
再度、樋口脳神経クリニックの樋口先生は、以下のように述べておられました。
これは、いろいろな意味で示唆的ですので、引用させて頂きます。
長期経過した片頭痛における脳過敏症候群
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片頭痛の病態生理は三叉神経血管説で説明されていますが、近年の研究により、その本
体は脳過敏(興奮性)であることが示唆されています。すなわち片頭痛の体質を有する人
は、光、音、臭いなどの外的刺激により脳の特定部位の興奮性が増大し、これがある限度
を超えると頭痛として表現されます。これらの刺激に対して、脳内視覚野である後頭葉、
聴覚中枢である側頭葉などが過敏に反応することが欧米でも報告されています。最近、片
頭痛患者さんにおいて、脳の興奮症状に対する適切な対処を欠いた状態が長期間放置され
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て発症する経年的な症状を「脳過敏症候群(Cephalic Hypersensitivity Syndrome)」とする概
念が提言されています。その主な症状は、生活に支障を来たすようなめまい、不眠、不安
感、連日の頭重感です。片頭痛の既往を持つ患者さんがこのような症状を訴える場合は、
過去において片頭痛に適切な対処を欠いた結果である可能性があります。
[出展:清水・平田:慢性頭痛の新しい概念:脳過敏症候群:2010 年日本頭痛学会総会抄
録集より一部改変]
上記に対する反論記事の要約(匿名だが信頼できる医師・医学者と拝察します)
脳過敏性症候群についての疑問
片頭痛の治療に限界を感じているのは一般の頭痛専門医はみな同じだと思います。 現在
のトリプタンだけでは患者さんの満足度は上がりません。それに代わる治療も現在は存在
しない訳です。そのひとつの方法論として挙げておられるのでしょが、学会での話は納得
できるものではなく、説得力がありませんでした。脳の過敏性を示すとされる根拠が極め
て希薄であります。 片頭痛の人の一部は幼い時から腹痛や嘔吐,めまいなどがあり(小児
周期性症候群),大人になってもめまいが多かったり車酔いしやすかったりすることは言わ
れていますが,それを言い換えただけで全く新しい考えではありません.対照コントロー
ルとの比較を行って初めて言うべきだと個人的には思います.発表した先生は脳波の振幅
をみて鋭いから過敏性があると研究会で言ってましたが,疑問です.光過敏にしてもそれ
が脳過敏を表しめまいなどが多いという報告はあるのでしょうか?
データがそろってい
ないので,提唱(medical hypothesis:仮説の提案)ぐらいにしておけばいいとは思うのです
が,メディアで流れると多くの誤解を生むと思います。
(樋口コメント:現時点では微妙な問題です。仮に一部には該当するケースが存在しても、
一連の片頭痛の経過を「脳過敏症候群」という新しい病名に組み入れる発想には同意でき
ません。片頭痛患者の脳に過敏性[疼痛の受け入れやすさ]が存在することは周知の事実の
ようですが、「○○症候群」という命名は性急に過ぎたと思います。ただし今後、脳波など
のデータによっては、コンセンサスを得られる可能性のある魅力的なトピックスでもあり
ます)
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頭痛薬
頭痛薬と腎障害、発癌性
2001 年4月 19 日、フェナセチン含有医薬品(セデスGやサリドンなど)の濫用対策と
して厚生労働省は、これらの薬剤の供給を停止するとの措置を発表しました。
これらの薬剤を長期連用することによって、重篤な腎障害、腎盂・膀胱腫瘍等の長期・
大量使用したことにより腎・泌尿器系障害の症例が見らること、最近 10 年間で 1.4 倍に使
用量が増加していること、頭痛、月経痛、歯痛等の鎮痛には、長期使用での副作用の危険
が低い代替薬剤として、アスピリン、アセトアミノフェンがあることなどを理由にあげて
います。
フェナセチンは体内(肝臓)で代謝されてアセトアミノフェンになり、鎮痛解熱効果を
発揮する薬剤です。単剤としてはほとんど用いられず、もっぱら、他の鎮痛剤と合わせた
形で使用されています。
アメリカではフェナセチンとアスピリン(+カフェイン)の合剤、ヨーロッパや日本で
はピリン剤とフェナセチン(+カフェイン)の合剤が主に使用されていました。セデスや
サリドンは後者です。
これらを長期間使用した人の中から腎障害の患者が多数出たことと、両方の合剤に共通
してフェナセチンが使用されていたことから、フェナセチン原因説が登場したものです。
しかし、実はフェナセチンよりもセデスGなどに含有されているイソプロピルアンチピリ
ン(ピリン系薬剤)や、厚生省が安全としているアスピリンを含めて、アセトアミノフェ
ン以外の非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)の方がはるかに害が大きく、問題は深刻です。
グッドマン・ギルマンという欧米の薬理の教科書 1970 年版には、すでにこと点が次のよ
うに指摘されています(ただし最近の版には問題指摘が明瞭ではありません)。
「共通する薬剤はフェナセチンですが、これらの鎮痛剤にはアスピリンやピリンなどの
強力な抗炎症剤が含有されている点も共通しています。メカニズムは明らかではありませ
んがアスピリンで腎臓の細胞が剥がれて尿にたくさん出てきます。アセトアミノフェンや
フェナセチンにはその作用は少ないのです。」
腎臓で血液から尿をつくり出す細い血管は、局所のプロスタグランディンという血管を
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広げる物質の作用で広げられています。そこに、アスピリンやピリンなど非ステロイド抗
炎症剤が使われると、プロスタグランディンの合成を抑えて腎臓の血管は収縮させるため
に、腎障害を起こしてしまうのです。
セデスGなどの主成分はイソプロピルアンチピリンというピリン剤です。そして、この
ピリン剤(ピラゾロン剤)にも発ガン性が報告されています。フェナセチンとピラゾロン
剤(フェナゾン)を比較した動物実験では同程度に癌(尿路系、肝臓など)がみとめられ
ています。
おなじく、ピリン系の解熱剤スルピリン(商品名メチロンという注射剤で有名)でも動
物で発ガン性が認められています。
一旦許可された後で、発ガン性の「データ隠し」が発覚して市場から追放されたスキシ
ブゾン(ダニロン)もピリン剤です。
さらには非ステロイド抗炎症剤(NSAIDs)のゾメピラクや、スプロフェンなども発がん
性が指摘されています。
インドメタシンなどでは発ガンのデータはあまり目立ちませんが、抗炎症作用が強いた
めに、腎障害や消化管障害(潰瘍、出血、壊死など)、あるいは、血液障害(再生不良性貧
血など)で死亡してしまうために、動物が発ガンする前に死亡してしまい、発がんが目立
たなくなってしまうと考えられます。
しかも、アスピリンやボルタレン、ポンタール、ロキソニンなど非ステロイド抗炎症剤
は、腎障害や消化管障害、血液障害などは、臨床使用量のほとんど同じ量か少し増やした
だけでも急激に生じます。もちろん、急に生じない人は長期連用すると、フェナセチン含
有鎮痛剤よりもずっと早く、腎障害を生じてきますし、発がんの危険もありえます。
発熱時の痛み止め、解熱剤として使用すると「脳症」も問題になります。
実際に、臨床的にも、発ガン以外の毒性の方が問題であり、全体としてみた場合の毒性
は、死亡も含めて、発ガン以外の毒性の方がずっと大きいでしょう。
ヒトでは実際、非ステロイド抗炎症剤を使用してどれくらい死亡するのでしょうか。イ
ギリスの調査から、処方箋の数などを換算してみると、日本では年間 6000 人以上が胃・十
二指腸潰瘍で出血し、そのうち 600 人は死亡していると推定できます。
医療過誤事件の直接死因が、非ステロイド抗炎症剤による腎不全と推定される人が多数
いますので、実際には 1000 人を越えているのではないかと考えられます。それに、インフ
ルエンザなどの時の脳症として、小児だけでも毎年 100 人~ 200 人いるわけですから、今
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回公表された数人の尿路系腫瘍を「はるかに」「はるかに」しのぐ、大規模なものです。
一方、フェナセチンは体内(肝臓)でアセトアミノフェンという比較的抗炎症作用が弱
い鎮痛剤に変化して効果を発揮します。むしろ、フェナセチンは腎臓にはアスピリン、ピ
リンなど抗炎症剤よりもずっと腎臓には優しい薬です。
先に記したように、非ステロイド抗炎症剤は腎障害を起こすよりも先に胃・十二指腸潰
瘍を起こす人の方が多いために、そちらの副作用の方が有名だけであって、軽い腎障害の
ある人では、フェナセチンよりもはるかに短期間で腎障害を起こすのです。
アセトアミノフェンは、フェナセチンの余分な代謝物がない分さらに毒性は少なく、胃
にも腎臓にも優しい薬なのです。
セデスGなど頭痛薬が市場からなくなるのを機会に、本当は中止する方がよいのですが、
どうしても、中止できない人は、アセトアミノフェンに切り換えることをお勧めします。
間違っても、ボルタレンやポンタール、アスピリン、ピリン系など、非ステロイド抗炎
症剤を長期に連用しないようにして欲しいものです。
最近、ロキソニンが市販薬となりましたが、セデスGほどの切れ味がないため、連用さ
れることはないと思われますが、注意が必要です。
いずれにしても、頭痛薬の安易な使用は慎むべきです。
私も”セデスG”のお世話になっていました
セデス G(以下セデス)は病院で処方される鎮痛薬でした。懐かしい薬です
市販のセデスとはすこし成分が異なります。
セデス G:(1g 中)には、 イソプロピルアンチピリン 150mg アリルイソプロピルアセチ
ル尿素 60mg フェナセチン 250mg 無水カフェイン 50mg が含まれていました。
セデスはピリン系の鎮痛薬で、ほかの鎮痛薬とはいささか働きが違います。
セデスには、カフェインとアプロナール(プロピルアリルアセチル尿素)という鎮静薬
も入っています。
この組合せが独特の効果を顕わします。
片頭痛のモヤモヤがスカッと晴れるのです。
- 105 -
セデスは月数回服む分には、とても切れ味のよい薬ですが、それがアダになり、
やがて頻回のむようになってきます。
するとだんだん有効時間が短縮し、効きが悪くなってきます。
「ほかの消炎鎮痛薬はまったく効かない」というのがセデス中毒の特徴でした。
セデスと縁を切るのは、とてもつらいのですが、
1~2週間すると「雲間から日がさすように」頭痛が楽になってきます。
今まで効かなかった消炎鎮痛薬が効くようになってきます。
なお、セデス G およびその類似薬は腎毒性のために 2001 年に製造中止となりました。
その経緯は、前回も述べましたが、もう一度
頭痛、歯痛などに使う解熱鎮痛剤フェナセチンを10年以上飲み続け、慢性腎不全や膀
胱癌になる例が相次いでいるとして厚生労働省は 2001 年4月 19 日、製薬企業 25 社に、こ
の薬の製造販売をやめるよう指導しました。この 8 年で 21 人の副作用報告があり、うち 1
人が死亡したといいます。厚労省は副作用を防ぐには供給をやめ、ほかの鎮痛剤に切り替
えるしかないと判断しまた。
フェナセチンは明治時代からある解熱鎮痛剤で、医師の処方が必要でした。年間 800 万
~ 900 万人が服用していたとみられます。セデス G(塩野義製薬)、サリドン(日本ロシュ)
が代表的な薬剤です。2 品目でフェナセチン製剤の 9 割を占めまていました。一方、市販
築の新セデス、セデス・ハイ、サリドン A などは、フェナセチンが入っておらず、2001
年の措置とは関係ありません。
厚労省の依頼で 21 例を分析した上田志朗・千葉大教授(内科)によりますと、慢性腎不
全になったのは平均 13 年間服用した人でした。また膀胱や腎うに腫瘍ができた人は平均 17
年飲んでいたといいます。
長期間服用による腎障害は以前から分かっており、24 年前から厚生省は医師らに注意を
呼びかけていました。一方で、頭痛予防などとして毎日飲み続ける患者が多いといいます。
上田教授は「飲まないと不安になるなど、心因性の習慣的なもの」とみています。
- 106 -
1982 年からは医師の処方なしには買えないよう変更しまたが、この 10 年で販売量が 1.4
倍に増加しました。
2000 年 11 月からの 5 カ月間に副作用報告が 5 件続いたのを受け、厚労省は製薬企業に
製造販売の中止を求めることにしました。同省は「アセトアミノフエン、アスピリンなど
ほかの鎮痛剤があり、治療上は問題ない」としています。
このようにして、セデスGは、2001 年以来、製造・販売が中止されました。
今は代わりに「SG 顆粒」という商品が販売されております。
フェナセチンの代わりに、アセトアミノフェンが入っています。
しかし、セデスを愛して止まない方々が沢山いらっしゃいましたが、「SG 顆粒なんてや
っぱり効かない!!やっぱ、セデス G じゃなくっちゃ!!」という方が多数おられま
す。「あのお薬は本当によく効きましたね。強い頭痛も、15分もしないうちに
スーっと
消えていくあの感覚。」これがセデスファンの実感です。
私も、頭痛に際して服用しておりました。服用して 10 分もしないうちに、スーっと痛
みが引いていくのが自覚されました。この効き目は、「麻薬」に匹敵するのではないでしょ
うか?
以前、学生時代、テニスの夏期合宿で、暑さのため、水を飲みすぎて、「胃痙攣」を起こ
して七転八倒したことがあります。このとき、初めて「麻薬」を注射され、痛みが「雲が
晴れていく」ような感覚で消えていきました。これとと、全く同じ感じでした。
この、激しい頭痛が、セデスGを服用することによって、スーっと痛みが引いていく感
覚を一度経験しますと、セデスGの虜になることは間違いありません。
セデスGが販売中止になって 10 年も経過したにも関わらず、セデスG復活を望んでお
られる方々が、如何に多いかは納得できます。
私も、セデスGが販売中止になった時、自分自身のこともありましたが、頭痛患者さん
の鎮痛薬に何を今後使えばよいか、と呆然としました。各種の NSAID's はありますが、セ
デスGに匹敵するものはないのですから・・・
販売中止になった背景は、あるとしても、服用する側と、処方する側が、
「きちんと対応」
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すれば、よかったのではないかと考えます。
服用する側は、連用すれば「セデス中毒」になり効き目がなくなること、そして腎障害
・発癌性があることを認識しておればよいのではないでしょうか?
服用する側の立場からすれば、激痛を我慢するよりは、将来、癌になろうとも、服用は、
私は止めなかったと思います。自業自得と諦めます。これが宿命だと・・
逆に、セデスGが販売されていた時代は、一般内科医は、患者さんが「頭痛」を訴えた
場合、その頭痛のタイプとは関係なく、一律にセデスGが処方されていたという事実です。
3分診療の中で、時間のかかる「頭痛の問診」など殆どの医師は行っていませんでした。
このような医師への指導方法は、どこかにあるはずです。
それにしても、厚生労働省は、「害になるものは問答無用で中止する」といった考えには
納得がいきません。将来、殆どの薬が、使用中止になってしまうのではないでしょうか?
薬剤は、本来毒物であるという認識に基づいて使用すべきです。
そして、セデスGを、「麻薬並の」扱いとすれば、よかったのではないでしょうか。
トリプタン製剤が、1錠 1,000 円として、セデスG 1g が 50 円としても、医療経済面
でも節約ができるのではないでしょうか。
私は飲み比べたことはありませんが、トリプタン製剤とセデスGは、どちらが切れ味が
よかったのでしょうか?
片頭痛治療の難しさ
特定健診保健指導と片頭痛治療
平成 20 年 4 月から、特定健康診査・特定保健指導が開始されました。
この健診で「メタボリック・シンドローム」と評価された場合、保健指導を行うにあた
って、本人の「生活習慣病に関する」意識の程度によって、以下の5段階に分類されてい
ます。
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無関心期・・・病識なし
行動変化を考えない
関心期・・・・必要を感じる
準備期・・・・本人なりの行動変化
実行期・・・・適切な行動をはじめる
維持期・・・・適切な行動が6カ月以上継続
行動変容のステージモデルとして、それぞれの段階で行うべきことが、これまで示され、
これに従って、現在、保健指導が行われています。
無関心期
気づきを促す
関心がない理由・抵抗する要因を整理する
関心期
行動変容による利益や価値を明確にしていく
準備期
行動目標・計画の設定支援
行動変容の評価
実行期
行動の継続支援
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モニタリングとサポート
自立に向けた計画づくり
継続期
セルフモニタリング
セルフケア
状況の変化など逸脱要因への対応
結果の評価
このような考えで厚生労働省が「特定健診」の制度を作ったにも関わらず、健診は受け
るが、「保健指導」まで受ける方は少なく、「生活習慣病」になってしまっている方が後を
絶たないのが実情です。
私は、これに準じて、片頭痛治療に応用して、行くべきと考えます。
殆どの片頭痛の方々は、「片頭痛は生まれつきの遺伝性疾患」であって、「適正にコント
ルールさえすれば、発作が起こらなくなる」といった考え方に批判的かつ懐疑的かつ否定
的で、中には「一般的な片頭痛に関する知識は、極めて豊富である」にも関わらず、その
場、その場の発作を鎮めてくれる「トリプタン製剤」があるのだから、何も治す必要はな
いし、「治る」わけがないと思っておられます。この段階が「無関心期」です。
次は、周囲の片頭痛の方が、発作が起きなくなった方をご覧になられて、
「起こらなくなる人もある」ということに気がついた段階が「関心期」に相当します。
そこで、どうすれば良いのかと考え始めた段階が、「準備期」に相当します。
そして、これを実行する段階が、「行動期」です。
- 110 -
さらに、
「発作が起こらなくなった生活習慣」の維持と継続する段階が、
「継続期」です。
頭痛を改善するには理由を明確にして、行動を続ける習慣を身につける必要があります。
人は動機がなければ行動を起こしません。
オーストリアの精神科医、心理学者であったビクターフランクルの名言に、もしあなた
が十分に大きななぜをもっていれば、どのようにというプロセスはどんなに難しいもので
あっても耐える事ができる、ビクターフランクルは著書、夜と霧の中で、極限状態におけ
る精神状態がもたらす影響について精神科医の観点から書いています。
もしあなたが頭痛を早く克服したいのであれば多く明確に克服したい理由を書き出し、
またそれが達成できたら得られるもの、達成できなければ失うものを明確に書き出してみ
ましょう。いったん、ここでストップして、なりたい自分になるため是非理由を紙に書き
出してみましょう。
そして、「片頭痛を治す」ことに興味を示されたなら、ネットで「片頭痛を治す」をキイ
ワードにして検索され、片っ端しに、確認されることをお勧め致します。
現在の「頭痛専門医」というのは、「科学者」です。学問的に実証されたものしか、患者
さんには言わないのが原則です。このため、「片頭痛を治す」など論外と、まず否定される
ことは間違いありません。これが、「頭痛専門医」の有り様ですから・・
生まれつき、先祖から受け継いだ「頭痛体質」を根本的に「治す」ことは不可能です。
これは、どうにもなりません。これは「頭痛専門医」が主張される通りです。
しかし、「片頭痛を封じ込める」方法は、どこかにあるはずです。これを模索して行こう
ということです。
なぜ、片頭痛はうまくコントロールされないのか
もう一度、何故「片頭痛がうまくコントロール」されないのか、再確認させて頂きます。
- 111 -
片頭痛がうまくコントロールされない理由です。繰り返しにはなりますが・・
まず、第一点は、このように生活習慣を改めればよいと「頭では理解している」にも関わ
らず、これを現実に、実行されない場合です。これを実行されない方々を、よく診ますと、
「片頭痛は生まれつきの病気である」という先入観念です。実行してみて、改善されなけ
れば、何ら解決の糸口さえ見いだせないと考えます。まず、問題点を改善してみることで
す。その後は、次の解決策が、見えてくるはずです。
しかし、仕事の関係で、どうしても改善が不可能な方もいます。これが、現在の問題と
している課題です。
第2点は、頭痛発作の「引き金」になるものが、全く分からない方々です。
このような方々は、日常生活習慣そのものの中に、トリガーが存在します。
その原因としては、歯のかみ合わせに問題がないかどうか、さらに「姿勢」に問題がな
いかどうか、特に「パソコン作業・前屈みの姿勢を強制されていないかどうか」単純な点
検で、ある疑いは生まれてくるはずです。とくに、「姿勢」の問題は、本人が「無意識にし
ていることで」全く自覚されませんので、極めてやっかいなものです。
これを簡単に「スクリーニング」するために、「頸椎レントゲン検査」を行えば、推測で
きるはずです。いくら薬を飲んでも、改善されない方は、首のX線撮影はされていますか。
ここが、一番のポイントです。頭痛の原因は、脳内病変だけではなく、首にも原因がある
ことを念頭におく必要があります。
第3点は、自分の片頭痛が、どのような発症様式を示しているかどうか、ということで
す。お母さん、もしくは、お父さんに「頭痛」があるのか、さらに「おばあちゃん、おじ
いちゃん」に頭痛がなかったかどうか」調べることです。もし、どなたかに頭痛があり、
「発
症時期」が、幼少時期から起きておれば、まず間違いなく、「遺伝的」なものです。これら
の方々は、生まれつき「セロトニン神経」の働きが悪い方と思われます。このような方は、
恐らく「コントロール」はなかなか、困難と予測されます。しかし、「セロトニン生活」を
徹底させて、どこまで改善が望めるか、行ってみるしかないと考えます。
これに対して、幼少時には無かったが、成人期になって発症された方は「セロトニン欠
乏」を起こすような「生活環境」に置かれていなかったか、どうかの検討が必要です。
- 112 -
さらに頸椎レントゲン検査で「ストレートネック」を呈していないかどうかです。
このような方は、必ず、原因さえつかめれば、改善するはずです。治らない訳はありま
せん。自分が診て貰っている主治医は、このような点検をされておられるでしょうか。
このように、単純な作業で、「臨床的」に推測が可能ではないでしょうか。
症状が改善されないからといって、薬の種類を、あれこれ変更してもらっても何も解決
されないことを認識する必要があります。
あなたの主治医は、あなたの「生活習慣・ライフスタイル」を的確に把握されておられ
ますか?ここを、抜きには、いくら薬を変更されようとも、何も解決しません。
片頭痛という「症状」だけで、「薬の服用」という「方程式」はないということが理解し
て頂けたかと存じます。
このようにして、「片頭痛を治す」手順を模索すべきと考えます。
確かに、生まれつき「セロトニン神経」のできの悪い方は、いらっしゃいます。しかし、
すべての「片頭痛の方」が、このような「先天性」のものとは限りません。最後まで、チ
ャレンジして、治らなければ、それなりの対処法を見つければ済むことではないでしょう
か?
このように考えますと、血中セロトニンおよび脳内セロトニン値の測定が臨床的に可能
となれば、このような煩雑な思考過程は必要なくなるのではないでしょうか?
今後の臨床研究に期待するところです。
片頭痛は”疾病利得”???
このようなタイトルを載せると、片頭痛の方々から”半殺し”の目に会うことは必定です。
- 113 -
片頭痛の方々は、周囲の誰にも頭痛の苦しみを理解して貰えず、自分独りで悩み、何とか
したいと思っておられる方が殆どであろうかと思います。
私も、勤務医時代は片頭痛で苦しめられ、昼夜を問わず、何が原因で起きるかが分から
なかった頃は、発作中に病棟の受持患者さんの急変とかシャント掃除で呼び出された際の
苦痛の凄まじさや外来診察日に発作があった場合は最悪で、患者さんの訴えを聞けるよう
な状態でなくても、痛みを我慢して、診察をせざるを得ませんでした。この間、何度、医
師を止めようかと思ったことでしょうか。
その後、睡眠不足が関係し、生活のリズムが乱れると、起きてくることに、薄々気がつ
いても、受持患者さんの状態如何では、どうにもならないことも多々ありました。
ですから、片頭痛の方々の苦しみは理解しているつもりです。
最近ネットで知った方で、長年片頭痛で苦しまれ、片頭痛に関する知識は「頭痛専門医」
と遜色ない程で、自分の発作の引き金が何かをよくご存じで、セロトニン不足を招く生活
様式がよくないと、よく理解されておられます。ただ、自分のライフスタイルが、良くな
いと思っていても、改善が無理のように見受けられました。
よく言われることですが、頭痛改善のためには、頭痛を無くしてしまった場合の利点と、
これまで通り頭痛が持続した場合の利点、を比較するべきとされています。
どちらが、得なのかを理解しないと、改善できないと考えます。
頭痛は、生活のリズムの限界を超えた場合(無理な生活をして)の「危険信号」として
起きるとされています。無理をしてでも、仕事をこなして、その限界を超えた際に頭痛が
出現し、例えば3日間頭痛に苦しめられるとします。しかし、発作が起きても、トリプタ
ン製剤が良く効く方であれば、2時間前後で頭痛は無くなってしまえば、この2時間だけ
の「時間的ロス」 さえ眼をつむれば、こちらの方が「仕事の効率」が上がると考える限り、
面倒くさい「生活リズム(ライフスタイル)」の改善などは決してされません。
そして、東京女子医科大学の清水俊彦先生の著書の「頭痛女子のトリセツ」「頭痛女子の
コンカツ」に書かれてありますように「片頭痛の方は、頭脳明晰で頭の良い人」というエ
リート集団なのです。このエリート集団が、頭痛を無くしてしまって「単なる凡人」
になってしまうことが耐えられないのでしょうか?
- 114 -
頭痛が、生活リズムの限界を超えた場合の、ある意味で「危険信号」として出現して来
るという考えは、私の生活を振り返り、十分納得できると考えております。
私は、勤務医時代は、毎日・毎日血管撮影に明け暮れ、1日5,6件の件数を私独りで
行っておりました。(1日5人として、連続撮影で行うため、単純に計算して、毎週 900
回の照射を受け、これが 10 年間です。)このため昭和 60 年過ぎてからは、週末には得も
言われない「全身倦怠感」に襲われ、何もする気がなくなる程でした。初めて、現在問題
とされている「放射能障害」に気がつき、ここを「危険信号」 と判断し、脳卒中専門病院
への転職を考え、その後「富永記念病院」での「脳梗塞急性期の血行再開療法」に夢を託
しました(ここであれば、勤務医が交代で検査をするであろうから、件数は当然減ると考
えた次第です)。ところが、当時の富永記念病院では、近くにナンバがあるせいか、救急車
で日に5,6回は搬入されるものの、大半は「急性アルコール中毒」か「過呼吸症候群」
の患者さんばかりで、1年8カ月いた間に診た「急性期脳梗塞」の患者はたったの1名で
した。この時に思ったことは、今後、このまま脳卒中診療を続行する限りは、
「放射能障害」
で命を落としますよという「神の思し召し」と考え、泣く泣く急性期脳卒中医療は断念致
しました。
この後、田辺で診療を始めて、当直がなくなってからは、殆ど「片頭痛発作」に襲われ
ることはなく、極く限られた状況でしか 起こらなくなりました。
私の場合は、自分から「生活習慣」を積極的に改めた訳ではありませんが、片頭痛が起
きなくなった背景には、このような「生活習慣」の”変化”が存在しています。
私の場合は、生活習慣改善のための取捨選択は、無かったわけですが・・・
そして、それと引き換えに、「凡人」になってしまいました。
以上のように、片頭痛は”疾病利得”なのかとの疑問を持った次第であります。
頭痛を治した方が得なのか、このままの状態がベストなのか・・
ただ、医師の独善的な考えで、片頭痛を無くしてしまうことが、片頭痛患者さんにとっ
ては、必ずしも得策ではないように思える次第で、タイトルのような表現になってしまい
ました。お怒りの方もおられますでしょうが、私の”偏見”として看過して下さい。
- 115 -
あなたの主治医は大丈夫ですか・・
「片頭痛を治す」ために・・
あなたが、
初めて受診されたり、現在診て頂いている先生は、「片頭痛を治す」工夫を
されておられるのでしょうか?
その点検項目を提示致します。
まず、あなたの生活習慣を主治医は、きちんと把握されていますか?
規則正しい生活、睡眠時間、食生活面の点検は十分になされていますか?
「現在の精神的・肉体的ストレス」のチェックはされていますか?
ストレスを少なくするアドバイスはありましたか?
家族歴の点検は十分ですか。あなたの両親、さらに、その御両親の両親まで・・
職業および仕事の具体的な内容は、把握はされていますか?
パソコン操作、前屈みの姿勢を長時間とっていないかどうか・・
歯のかみ合わせに関する質問はありましたか?
頸椎レントゲン検査はしてもらいましたか?
トリプタン製剤に関する説明は十分にしてもらっていますか?
服用のタイミングの指導はありましたか?
これまで何種類試されましたか?
セロトニンについての説明はありましたか?・・
「セロトニン生活」の適否?
あなたの発作の誘因探しの方法の説明はありましたか?
その記録方法についての説明はありましたか?
一般的な片頭痛に関する「説明書」は渡されましたか?
「頭痛体操」「ストレッチ」「呼吸法」に関する説明はありましたか?
以上、思いつくまま列記致しました。
これらのことを指導されることなく、「鎮痛薬」もしくは「トリプタン製剤」を処方さ
れただけであれば、まず、将来の「薬漬け」の生活は目に見えており、まず、「片頭痛は治
す」方向にもっていくことは、到底不可能です。「片頭痛を治す」目的で、医療機関を受診
された場合は、次は、別の「医療機関」を考えるべきです。
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一時的に「痛み」から解放されることしか望まれない方は、何も申し上げません。適
当に・・・
これまで、片頭痛を克服された方々は、「片頭痛」という病気を、とことん自分で調べ上
げ、さらに「自分の片頭痛」との違いを見つけた方が、治されています。
片頭痛という病気は、なお現在でも「化け物」のような病気です。各人それぞれ「片頭
痛」を起こしている「原因」はそれぞれだろうと思います。これを、覆い隠して、
「薬」
「薬」
「薬」で終始される「医師」がいることを認識しなくてはなりません。
そういう私も、これまで「片頭痛は、生まれつきの体質」によるもので「治らない」し、
「年をとって、脳の血管が動脈硬化を起こして、拡張しなくなれば」頭痛発作も起こらな
くなるものという認識しかありませんでした。ですから、この時代は、「片頭痛治療のしお
り、初版、改訂版」を作成して、これらを全て印刷して、お渡ししておりましたが、どの
ように発作を回避するかということに終始し、
「治す」という考えは全くありませんでした。
ところが、小橋雄太さんのブログを拝見して以来、見方が変わりました。
この見地から、自分の「片頭痛に関する知識」を再構築しました。
しかし、これまで「不治の病」とされていた「片頭痛」が、たった一人でも「治された
という事実」は無視することはできませんでした。
このような経緯があり、以上のような点検項目を、私なりに作成致しました。
私は、以前、北里大学の教授の時代の坂井文彦先生が「片頭痛医療」は「患者さんとの
コミュニケーシヨン医療」であるという考えを、改めて認識致しました。この考え方なく
しては、「片頭痛をなくす」ことには繋がらないと思います。
患者指導は、医師優位ではなく、同一の立場から、片頭痛患者さんと向き合わなくては
いけないことを思い知らされております。
このため、私自身が患者さんに知って頂きたい「片頭痛に関する一般的な知識」さらに、
今後「片頭痛を改善するための方法」をすべて記載した「知識」を満載した「DVD」を
初診時にお渡ししております。これを「紙の印刷物」にすれば、2,000 ページにも及ぶ膨
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大なものです。患者さん自身の興味にあわせて、読んでもらえればという考えで作成して
います。このような方式をとらない限り、初診患者さんには、到底納得して頂けないと考
えております。これは、わたしのような「頭痛専門医」でもない「カリスマ性」のない医
師のなせる業なのかもしれません。簡単に説明するにしても、5分前後では、説明しきれ
ない内容です。5分間という時間内は、片頭痛という診断を下すまでの、最小限度の時間
と私は考えております。
少なくとも、1日 300 人前後を診察されるという、超人的な「頭痛専門医」もおられる
とお聞きします。単純に計算しても、1人「5分未満」という計算で, 24 時間の診療時間
になります。本当に、このような診療で「患者さんは納得」されるのでしょうか?
以上、皆さんが、現在、診て頂いている先生に、このまま「任せておいてよいかどうか」
それも「片頭痛を治す」ために適当かどうかを、反省を促す意味で、述べさせて頂きまし
た。
片頭痛を治すための「定期受診」のお勧め
片頭痛で医療機関を定期的に受診される方は、これまでの各施設の統計をみますと (こ
の詳細を明らかにしても、冗長な文章になりますので、敢えて掲載しません)全片頭痛患
者さんの 2.7 % とされています。これらの患者さんは、
「市販の鎮痛薬が効かないために」
医療機関で「トリプタン製剤」を処方してもらうための患者数と想定されます。
問題は、この中で半数近くの方々は、医療機関を受診されることなく「市販の鎮痛薬」
で耐えておられるようです。しかし、この鎮痛薬を月に、7~10回以上服用をされます
と、以後、いろいろと問題を起こす危険性があります。それは「薬物乱用頭痛」を併発し
てくる危険性です。
それと、このような回数まで服用されなくても、頭痛発作の度に、「市販の鎮痛薬」で一
時抑えをされておられると、将来、「脳過敏症候群」 にまで進展しかねないと、東京女子
医科大学の清水 俊彦先生は警告を発しておられます。本当かどうか定かではありませんが。
このような弊害を考慮して、頻繁に起こる頭痛は、必ず、一度は医療機関を受診され、
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頭痛は、どのタイプなのかを、的確に診断してもらうことをお勧め致します。
ただ、注意して頂きたいことは、CTもしくはMRIの検査をして、「何も心配ありませ
ん」、という医療機関に出くわされたら、「どうして頭痛がおきるのか」ということを執拗
なまでにお聞きすることが一番大切です。これを明確にされない「医療機関」は即座に、
諦めて下さい。このような所では、頭痛は治りません。もっと、よい所を探して下さい。
現在、日本頭痛学会が認定する「頭痛専門医」 が近くにあります。そこを、再度、受診
されるようにお勧め致します。
「片頭痛を治す」ための「医療機関」への受診のあり方を提言致します。
大半の「片頭痛の患者さん」が一度は、医療機関を受診されても、殆どは、何故か、以
後継続して受診されません。この方々の考え方の大半は「片頭痛は生まれつきの体質」に
よるもので、一生治らないと諦めてしまわれ、以後、受診されておられないのが実情では
ないでしょうか?
以後継続して受診される方は、「トリプタン製剤」の魅力に引き入れら
れた方々のように思います。
このような状況を踏まえて、私は、片頭痛で初診された方々には「確かに、遺伝的な要
素はあるとしても、決して、諦めてはならない」自分で解決できる方法を、くどいまでに
説明申し上げております。
このため、片頭痛を改善もしくは克服するために、定期受診を必ずお勧めしています。
発作回数が少ない方でも、最低3カ月毎に、定期的に受診すべきであると申し上げてお
ります。発作の回数が多い方は、1,2週間後には受診が必要ですが・・
この3カ月毎の「定期的受診」で確認している項目があります。それは、以下の点です。
1.規則正しい生活が行われ、睡眠時間が確保されているか、食事面が大丈夫かというこ
とです。これを抜きにしては、何も今後の治療はあり得ないからです。
2.発作時の対応がうまく行っているかの確認をします。
うまく、いっていなければ、別の薬剤を、改めて考慮します。
3.発作時の記録をもとに、「頭痛の引き金」が何かを、お互いが確認しあうことです。
なかには、天気のためとか生理に関連している方もおられます。
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また、全く、何が関係しているか、分からない方もおられます。
このような方々は、それぞれ、次の対策を立てていきます。
原因が分かった方々は、お互い、どのように解決すべきか、話し合えば解決の道筋は
どこかに、あるはずです。
4.そして、生まれつき「セロトニン合成が本来悪い」方々は、根気よく「セロトニン生
活」を、推し進めていく姿勢を崩さないことです。これを点検していきます。
以上のような点検項目は、ある意味では、患者さんまかせでは、解決できない点があり
ます。医療者と患者さんが、一緒に向き合って、解決すべきことです。
片頭痛は治らないといった偏見が、治らなくしています。この点を認識することが一番
と考えます。
いくらでも、片頭痛を克服というか、片頭痛を起こらなくする「術」を身につけられた
方々がおられることを忘れないで下さい。
自分の「殻」に閉じ困ってしまうことが、何の解決にもならないことを・・
「片頭痛を治す」をお勧めするまでの経緯
それは、まさに偶然でした。上に述べましたように、たまたまネット上に、小橋雄太さ
んのブログを見つけた時から始まりました。
そのブログとは、「イミグラン錠・副作用なしで偏頭痛を治しちゃえ」というブログでし
た。これを読んで、本当なのか疑問を持ち、改めて、また別にこのようなサイトがないか
どうか探しまくりました。そうしますと、あと2サイトありました。それが
「私が片頭痛を治した方法~片頭痛、のち快晴!」
「片頭痛に悩む女性にお勧めです」
この2つは、小橋さんのブログのようには、詳しく述べられていませんでしたが、やはり
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「体の歪み」「歯の矯正」を行うことによって、起こらなくなったそうです。
私も、昭和 45 年に医師になってこの方、片頭痛に興味をもっていましたが、これまで読
んだ医学書には、片頭痛の原因が「体の歪み」とか「歯のかみ合わせ」が原因となるとい
う記載を見たことはありませんでした。また頭痛を診るための「バイブル的」な存在の日
本神経学会が作成した「頭痛治療ガイドライン」さらに日本頭痛学会が作成した「慢性頭
痛診療ガイドライン」「国際頭痛分類 第2版」には、このような片頭痛の原因として、「体
の歪み」とか「歯のかみ合わせ」等々の記載は全くありません。
そして、この3サイトに共通する点は、「片頭痛は医療機関では治らない」ということで
した。確かに、上記の2つのガイドラインともに、「片頭痛を治す」という項目はありませ
ん。一般的には、片頭痛は、片頭痛を起こしやすい体質があり、このため何らかのきっか
けで「脳が興奮しやすい」ために頭痛が起こり、将来「遺伝子治療」が行われるようにな
らない限り根治することは不可能で、自然の経過にまかすしかないというのが一般的な考
えでした。ただ、日常生活上の「予防的対策」の注意点が述べられているに過ぎません。
ということは、3サイトが指摘する通りです。
そこで、ネット上で、「片頭痛を治す」をキイワードにして検索しまくりました。
特に、整体、カイロプラクテイック、歯科矯正、ヨガ等々得られる限り情報収集いたし
ました。特に注目した点は、YOU TUBE で得たもので、アメリカで行われている治療方法
は極めて興味がありました。特に、カイロプタクターの手技、マッサージ法、さらに歯科
矯正(テンプレート療法)、ヨガ療法、ボツリヌス療法等々さまざまな手法が紹介されてい
ます。日本では、片頭痛治療は「薬物療法」 が主体で、とくにトリプタン製剤を中心とす
るものが殆どで、いささか奇異な感じがします。
そして、次に行ったことは「片頭痛克服マニュアル」の有料サイトに注目しました。
このようなサイトは7つありました。以下にお示し致します。
「頭痛コンサルタント山崎有為公式サイト 頭痛体質改善でお悩みのあなたへ」
「片頭痛改善マニュアル
「驚異の偏頭痛克服法
「片頭痛
大革命
「N.H.R 頭痛解消法
岡田俊樹」
山本幸一」
坂戸孝志」
内田信友」
「片頭痛はきっとよくなる
和田昌」
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「頭痛よサヨウナラ
細見岳央」
以上、7つのマニュアル全てを購入し、検証致しました。
この中で、最も共感できたものは、山崎有為さんのものでした。岡田俊樹、和田昌さん
のものも「山崎有為」さんのものに近いものと思われます。
山崎有為さんのものは、いかにしてセロトニンを増やして頭痛体質を改善させるかとい
うことに主眼が置かれ、このための具体的な方法が説かれています。
「N.H.R 頭痛解消法
内田信友」は「歯のかみ合わせ」が悪いと「頸椎の前彎が消失し、
いわゆるストレートネック」になり、これが頭痛の原因で、これを是正するためにストレ
ッチ、体操、さらに、テンプレート療法に言及しており、かなり説得力があるものでした。
以上7つのマニュアルはそれぞれ、必ず「片頭痛が治る」という謳い文句です。
片頭痛の原因が、各人それぞれであるため、一律には行かないようにも思えますが・・
まず、小橋雄太さんは、発作の都度、頭痛発作時の状況を子細に記録を重ねることによ
って共通する要因を見つけ出すということを提唱されています。
私も、片頭痛の患者さんには、小橋さんの提唱されるように、頭痛発作時に状況を子細
に思い起こして記録して頂くようにお願いしています。
(当医院では「片頭痛治療のしおり」
を作成し、片頭痛全般の説明を行い、特に誘因として考えられているものには、どのよう
なものがあるのかを詳細に説明しています。このしおりを印刷したものを各患者さんにお
渡ししています)。このように記録をお願いしているのですが、患者さんによって、何が原
因となって発作が誘発されているかが皆目見当のつかない方が多数いらっします。
以前、当医院に開院後来院して頂いた患者さんが以後、薬物乱用頭痛をどの程度起こさ
れているのかを、アンケート調査をしたことがあります。その結果では、初診時に私が指
導したように、発作時の記録を丹念に行い、それに対処された方々は、片頭痛発作が起き
なくなっていました。このような患者さんばかりであれば、よいのですが、先程述べたよ
うに、発作時の状況を冷静に把握できず、発作の原因が分からない方がおられます。何回
お願いしても、記録できない方が継続して来院されているのが実情です。これまで、どう
して発作時の状況の記録が出来ないのか、考えに考えた末至った結論は、発作の原因が日
常生活習慣そのものの中にあるため気がつかないことに最近読んだもので、納得させられ
ました。それが、山崎有為さんの「頭痛解体新書」でした。
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山崎さんの言うように、日常の生活習慣を見直す中で、何が原因となっているのかが、
恐らく理解されてくるものと確信した次第です。
教科書的には、「生活スタイルの見直し、改善」が漠然と書かれていますが、どのような
点を具体的に改善すべきかが明確ではありませんでした。
私は、山崎さんの提唱されるプログラムに従って、自分の生活習慣を見直して、ライフ
スタイルを変えていけば、必ず、片頭痛は治ると考えております。
こうして見ますと、片頭痛治療における医師の役割とは、頭痛発作にいかに対応するか
ということと、発作回数が多い場合、いかにして回数を減らすかというだけではないでし
ょうか。片頭痛は、医師が治すのではなく、患者さん自身が治すものであるということで
す。ここに、片頭痛を治す、難しさがあると考えます。
以前、北里大学の坂井文彦教授が「片頭痛医療はコミュニケーシヨン医療」とくしくも
表現されましたが、現実はこのような世界ではないようです。
頭痛専門医は、トリプタン製剤を患者さんにせっせと処方し、「片頭痛は治らない」から
時期がくるまで我慢しなさいというだけでは、製薬会社を儲けさすだけで、日本頭痛学会
もこのあたりを見直す時期に来ているように思えてなりません。
片頭痛のセルフケア
人間の睡眠サイクルは3時間といわれています。最初の3時間ぐっすり眠ることができれ
ば、あとはオマケだともいいます。 片頭痛持ちではない人でも、日曜日に10時間も寝れ
ば頭が痛くなることがあるでしょう。
大切なのは、自分に合った睡眠サイクル・時間を知ることです。
そして、最も大切な点は、起床時間と就寝時間を一定にすることです。
また、長時間の昼寝が頭痛をまねくこともあるので、長い昼寝も要注意です。昼寝は30
分以内にしておくのが丁度いいのです。 片頭痛持ちの人や、睡眠時間によって頭痛が起こ
るという人は、少しの心がけで頭痛が予防されることもあるのです。
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食生活も片頭痛に大きな影響を与えるものであり、栄養バランスのとれた食生活は、極
めて大切です。
まずは、食の内容を考える前に、食事の時間帯を見直してみましょう。
1番避けたいのは食事を抜くことです。血糖値が下がった空腹状態は、偏頭痛が起きや
すい状態です。休日に朝食を抜いて ブランチで済ませることもよくありません。また、
最近の若い女性に多いダイエットも引き金になる可能性があります。 これも、運動をしっ
かりするダイエットならいいのですが、なかには、断食したり、1つの食品ばかりを食べ
たり、いっさ いの炭水化物をとらないなど、極端なダイエットに走る人もいるようです。
特に頭痛もちにとって、炭水化物を抜くのはもっともよくない方法です。糖の一種であ
るグルコースが減って、頭痛を誘発してしまいます。
また、長期間にわたるダイエットで貧血になると頭痛の回数が増えます。摂取した方が
いいとされる栄養素にはビタミン B2 マグネシウムが あります。ビタミン B2 は、医学調
査によって片頭痛の予防効果があるとわかっている栄養素です。このビタミン B2 を多く
含む食品には、 玄米、胚芽米、大豆、納豆、うなぎ、豚肉、レバー、卵、牛乳、チーズ、
ごまなどがあります。特に、玄米や発芽米は、最近注目の食材です。 スーパーなどで、簡
単に手に入るので、毎日のご飯に混ぜたりして気軽に取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、ほうれん草などの緑黄色野菜にもビタミン B2 が含まれています。緑黄色野菜は貧
血の予防にも効果的ですから、積極的に食事に取り入れましょう。
このように、睡眠時間や食事の時間、食べものを気をつけることは大事なのですが、寝す
ぎたらどうしようと思ったり、 絶対何を食べなければいけないと思ったりしていてはよく
ありません。寝ることに幸せを感じたり、食べることを楽しんだり することが大切です。
さらに、、脱水症状を避けるため水分補給を心がけること(特に起床時)も大切です。
長時間同じ姿勢は頭痛の引き金となります。毎日毎日、パソコンのディスプレイとにら
めっこ、という人は、 緊張型頭痛になる割合がぐんと上がります。一般的に女性にやや多
く見られる緊張型頭痛ですが、長時間パソコン作業をしていれば、男性の発症率も高くな
ります。気づかないうちに何時間も同じ姿勢で座ってしまうことがあると思いますが、 40
~ 50 分ごとに席を立って心身をリフレッシュすることが大切です。
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窓から遠くの景色を見たり、3 分程度歩いたりするだけで効果があります。座った状態
でも、頭を回したり、 肩を上げ下げしたりして筋肉をほぐすだけでもずいぶん変わるもの
です。
ふだんパソコンを使う環境も大切で、ディスプレイやキーボードの位置、机や椅子の高
さ、照明の明るさは十分かなど、 こまめに点検してみましょう。からだに合わない環境は
眼精疲労をまねく原因にもなります。
普段の姿勢も重要です。姿勢が悪いと、いろいろな部位に不調があらわれてきます。気
づいていないだけで、からだの癖は いろいろとあるものです。習慣になった姿勢が、肩や
首のこり、腰痛、そして頭痛の原因になっていることもあります。 時には、自分の姿勢を
全身、鏡でチェックしてみてもいいでしょう。
歩き方も健康を大きく左右します。自分に合った歩きやすい靴で、きちんと姿勢よく歩
いていれば、からだのゆがみを 矯正してくれます。これらは頭痛のためだけでなく、健康
や美容にもいいことなので、実践すべきです。
頭痛がきた時に運動するのはいけませんが、普段なんでもない時に軽い有酸素運動でリ
フレッシュすることは非常に大切です。 ダイエットにも効果があり、健康にもいいと実践
する人が増えているウォーキングは、片頭痛の人にもおすすめの運動です。 加えて「スッ
スッハー」と、腹式呼吸をしながら歩くことで、片頭痛頭痛と関係が深いセロトニン神経
をきたえることができると 考えられています。緊張型頭痛の人にも、有酸素運動でからだ
をほぐすのは有効です。
また、ジムなどで首の筋肉を重点的にきたえていけば、しだいに肩から首にかけてのこ
りが解消されるでしょう。
このように、頭痛を軽減するために自分でできる対処方法はたくさんあります。なんと
なくいいと思うものを実践しながら自分に合ったものを見つけていきましょう。
ストレスは頭痛の最大の天敵と言えるでしょう。
ですから、このストレスと上手く付き合っていくことが頭痛の予防・軽減につながっ
ていくわけです。 ストレスの発散方法は人それぞれで、これをやれば一発でストレス解消、
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などという万能薬はありません。 スポーツをしたり、友人と騒いだり、自分の好きなこと
をするのが一番です。 また、患者さん自身がなおしたい、と思うことはとても重要です。
しかし、必要以上に気負って、何事にも神経質になってしまっては決して頭痛はよくな
りません。 頭痛を軽減するためにはリラックスがポイントです。
絶対になおさなければいけないなどと気負わず、時にはアバウトになることも必要なので
す。
セルフケアでなにより大事なことは、自分の頭痛の誘発因子を知り、上手に付き合う、
または回避して いくことです。ストレスが誘発因子だとわかったなら、仕事を分散させて、
ためこまない、マイペースで 仕事のできる環境を作るなどの工夫をしてみましょう。
また、片頭痛の患者さんは、ひと仕事終えてホッとすることが頭痛の引き金になること
もあるので要注意です。 だからといって、1年中緊張しっぱなしではいられません。やは
り、何事もためこまず適当に、という姿勢が大切です。
頭痛持ちの人は、日頃から完璧主義者や神経質になりすぎていないかどうか、振り返っ
てみてください。 どうかあまり自分を追いつめないで、なんとかなるさという気持ちを持
ってみてください。その心がけひとつで人生は楽しくなります。
香りで気分がリラックスするという人は、アロマテラピーがおすすめです。 たとえば、
安眠効果があるといわれるラベンダーの香りは、頭痛にも効果的といわれています。 最近
は、さまざまなアロマオイルが市販されているので、好きな香りを探してみてください。
枕に数滴たらしたり、アロマポットで焚いてみたり、使い方も工夫してみましょう。 緊張
型頭痛の人は、お風呂にたらしてゆっくりとつかるのもいいでしょう。 偏頭痛の人でも、
香りが好きな人はどんどん試して下さい。しかし、においが苦手な人は、かえって発作を
誘発することになるので控えましょう。
また、つぼ押しやマッサージをしてみるのもよいでしょう。つぼ押しは、首や肩のこり
をほぐしたり、肉体的ストレスを 解消したりできます。イライラを解消するとされるつぼ
もあるので、気休めにしかならないかもしれませんが、試して みるとよいでしょう。
マ
ッサージは、最近いろんな種類のマッサージサロンがあるので自分に合ったものを見つけ
るのも よいですが、やはり自分でやるのが経済的ですし、いつでも、どこでもできるので
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よいでしょう。その際には、ほぐしたい 場所を一点集中でマッサージするのではなく、全
体的に広い範囲をマッサージすることを心がけましょう。
全然ストレスを感じないという人はほとんどいないと思います。ですが、このように、
工夫次第でストレスは簡単に解消できるものなので、自分がいいと思うものは実践してい
きましょう。
また生活習慣の中で、強い光・大きい音の刺激を受ける場合もあると思います(=車の
クラクション・まぶし過ぎるほどの日差し)。これらの刺激が原因で、片頭痛を発症する場
合も多いと言われています。そのような場合(外出時)、赤茶系のサングラスをかけること
が、片頭痛予防効果に繋がります。大きな音に関しては(雑音をさえぎる)、耳栓をするの
も効果的だと思います。
そしてもう1つ…片頭痛には、季節も大きく関係していることをご存知でしたでしょうか。
片頭痛が一番発症しやすい時期…その時期は春~夏にかけてなのです。春~夏=太陽が照
りつける・気温が上昇するとともに、新陳代謝も活発になります。つまり、血管が拡張す
る機会も増えてくるわけです。暑さ対策=片頭痛対策ともいえるのです。
春は、脳内のセロトニンの変動が大きく、ほぼすべての片頭痛持ちがいちばん苦手とす
る季節であることを認識することも大切です。
片頭痛を引き起こす誘因を生活から取り除くようにしましょう
片頭痛の治療の第一歩は片頭痛を引き起こす誘因をできるだけ生活から取り除くことで
す。片頭痛の誘因は人それぞれによって異なりますから、まず自分の頭痛発作がどのよう
な原因で誘発されやすいかを把握することが大切です。誘因をつきとめてそれを改善・排
除することで発作の頻度や程度をかなり軽減することができます。片頭痛の誘因には、過
度のストレス、不規則な生活習慣、気候の変化や刺激の強い環境、アルコールや特定の食
べ物、などがあります。
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過度のストレス
片頭痛を引き起こす誘因として最も大きなものが心身のストレスです。片頭痛は過度の
ストレスがかかって誘発される以外に、ストレスから解放されて心身の緊張状態が和らい
だときにも引き起こされることもわかっています。仕事はあまり無理をして頑張りすぎな
いように注意して、適度な気分転換やリラクゼーションを日常生活に取り入れることが大
切です。
.不規則な生活習慣
生活習慣で最も片頭痛に影響を及ぼしやすいのが睡眠で、睡眠が不足したり、逆に眠り
すぎても片頭痛が引き起こされます。特に、平日の働きすぎの反動で休日に眠りすぎると
片頭痛が起きやすいことが知られていますから、なるべく適度な睡眠を心掛けるようにし
なければなりません。また、少食や不規則な食事による過度の空腹が片頭痛を引き起こす
ことがあるほか、運動不足または運動のしすぎも誘因となることがあります。ときに入浴
によって血管の拡張を招くために片頭痛が引き起こされることもあるので注意が必要です。
.気候の変化や刺激の強い環境
暑さや寒さ、あるいは気圧の変化が片頭痛の誘因となることがわかっています。気候の
移り変わりの時期には体調に配慮するようにして、片頭痛の兆しに注意する必要がありま
す。また、強い光や騒音、強い臭いなどの物理的刺激に加え、人込みや換気の悪い部屋な
どが片頭痛を引き起こすことがありますから、なるべくそのような刺激や環境を避けるよ
うにします。
.アルコール飲料や特定の食べ物
特定の食べ物が片頭痛を引き起こすことが知られていますが、個人差があるため自分の片
頭痛がどのような食べ物によって起こりやすいかを把握しておくことが大切です。特に、
アルコール飲料は血管拡張作用に加えて、アルコール飲料に含まれるヒスタミンが片頭痛
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を引き起こしやすいため、注意する必要があります。また、片頭痛を誘発しやすい物質に
グルタミン酸ナトリウムがありますが、これは人工調味料としてインスタント食品やスナ
ック菓子に添加されていますからなるべく避けた方がよいでしょう。その他に、チーズや
チョコレートなどの食べ物が誘因となることが知られています。
生活習慣を見直す
慢性頭痛の痛みを薬で軽減できたら、次は生活習慣の見直しをしましょう。
頭痛は不規則な生活リズムや食生活、ストレスが原因となって発生している可能性があ
ります。ここでは、これらの原因について詳しく説明をしていきます。
不規則な生活
どうして、不規則な生活をしていると頭痛が起こるのか?
それは、不規則な生活をしていることで、脳にストレスが溜まり、
結果、自律神経の機能を低下させるからです。
脳の自律神経がうまく機能しなくなると、血管の拡張から片頭痛が起きたり、肩こりなど
の筋肉の緊張から緊張型頭痛が起きるようになります。
このように、脳の自律神経の機能を回復させるためにも、不規則な生活を改善する必要が
あるのです。好ましい規則正しい生活とは・・・
• 毎日充分な睡眠を取る
• 食事は 1 日 3 食きちんと取る
• 喫煙は控える
• 暴飲暴食をしないようにする
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ちなみに、必要以上に睡眠時間を取ることは好ましくありません。
寝過ぎると頭の血管が広がってしまい頭痛が起こりやすくなります。
休日だからといって何時間も寝てしまうと生活のリズムも崩してしまうため、適度な睡
眠時間を心がけてください。もりろん、徹夜などをするのも避けた方が良いです。
生活のリズムを確立して、健康的な生活を送ることが重要です。
食生活
食べ物の中には頭痛を誘発すると言われている食品があります。
例えば、チーズ、赤ワイン、チョコレートなどです。
日本人は食べ物によって頭痛を引き起こす可能性は低いと言われていますが、もし、毎日、
チーズやチョコレートなどをたくさん食べているなど、身に覚えがある方は一度控えて様
子を見てみましょう。
ちなみに、アルコール類や柑橘系のジュースなどが原因となっている方も稀にいます。
こちらも少し気をつけてみてください。(もちろん、アルコールは二日酔いの原因になりま
すので、飲みすぎには要注意です)
精神的なストレス
精神的なストレスも頭痛の大きな原因の 1 つに挙げられます。
心配事や不安、悩みを抱えることで、自律神経がうまく機能しなくなり、血管の拡張や
筋肉の緊張など頭痛を引き起こす原因に繋がるのです。
精神的なストレスは、それぞれの環境や個々の性格に左右されることが多いため、簡単
には解消することが難しいかもしれません。
しかし、そのなかでもストレスの原因を改善したり、自分なりの解消法を探すなど、ス
- 130 -
トレスを軽減させる方法を見つけてください。
私たちの生活の中には、頭痛が発生する原因がたくさん潜んでいます。
頭痛が起こるたびに薬を飲むことも良いですが、根本的な痛みの原因を解決しなければ、
ずっと薬を飲み続けることになってしまいます。
薬の飲みすぎが頭痛の新たな原因になる可能性もあります。
そうならないためにも、まずは生活習慣を一度見直して、少しでも改善に取り組んでみて
ください。
話は変わりますが、有名人で片頭痛持ちの方が多いことは、皆さん、ご存じだろうと思
います。その中で、作家の方々が多いことを・・
例えば、樋口一葉、芥川龍之介、石川啄木、直木三十五、木下杢太郎、夏目漱石、五木
寛之等々・・挙げればキリがないと思われます。
夏目漱石の「吾輩は猫である」を読めば、主の生活ぶりが、伺われます。また、五木寛
之は、自分の片頭痛が「睡眠不足」が関係していると述べておられます。
作家の方々は、原稿の締め切りに間に合わすべく、睡眠時間を減らしたり、長時間の渡
って、机に向かって、前屈みの姿勢で、ペンを走らせる、空気の入れ換えが十分でない部
屋で・・といったことが、想像されます。
このように、片頭痛は「生活習慣」との関わりが極めて大きいことを示していると考え
ます。
- 131 -
片頭痛改善のための10カ条
1.睡眠時間の確保が 頭痛克服の第一歩です。
2.規則正しい生活を行いましょう
3。入浴方法を考えましょうーゆっくり暖まって血行改善をー但し、発作中は禁忌です。
4.こりをほぐす呼吸法ー深呼吸のすすめ
5.こりをほぐすストレッチをしましょう
6.ウオーキングーできるだけ歩くように意識して
7.首、肩のマッサージ、ツボ押しをしましょう
8.リラックスする方法を考えましょうー例えば、アロマテラピイとか
9.目のケアをしましょう
10. 食生活の改善
以上の点を、日常生活の中に、組み込むことが最も大切です。
少なくとも、最小限、1と2は必須項目で、あとは、できればということですが、完璧
を期するためのものです。
これに従って、ライフスタイルを変えることで、まさしく完璧に行えば、まもなく、片
頭痛は改善できるのですが、いっぺんに変更することは不可能です。
自分の生活様式と照らし合わせながら、反省し、どこに問題点があるのかを点検しなが
ら、是正していく必要があります。
改善目標に近づくに従って、発作回数は、着実に減少していきます、そして最終地点に
立てた時点で、片頭痛の発作を「封じ込める」 ことが可能ということです。
しかし、「頭痛体質」そのものは、生まれつきの「遺伝されたものです」
この点は、忘れないでおいて下さい。
また、昔の「生活習慣」に逆戻りすれば、再度、頭痛発作に見舞われます。
片頭痛をお持ちのあなたは、このような宿命を背負っておられることを自覚しなくては
なりません。頭痛体質という「生まれつき」の病因は、現段階では、なくすことは出来ま
せん。あくまでも、「封じ込めてしまう」という考え方です。
生活習慣病の代表とされる「糖尿病治療」と考え方は、全く同じです。
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「遺伝子治療」が可能となれば別ですが、現段階では、万人に行える治療ではありませ
ん。このため、現在、考えられている方法で、片頭痛を「封じ込める」ことを考えるのが
得策と考えます。治療費は全くかかりません。自分ですれば、済むことです。
自分自身の「生活様式」をもう一度、振り返ってみて、以上の「10カ条」にあてはま
るかどうか、再検討してみて下さい。何かが見えてくると思います。
「片頭痛は遺伝」と諦めてしまうことが、何の解決にもならないということを自覚すべ
きと考えます。
これが、片頭痛の病態解明の実情(現状)に合わせた、治療のあり方と考えますが、皆
さんは、如何、お考えでしょうか。
私の言っていることが、既にありました
先日、間中先生の「頭痛大学」を見てましたら、既に、同じことが載っていました。
それは北見クリニックの北見公一先生のものでした。
私の考えが決して突飛なものでないことが、よく分かりました。
当たり前のこと、当然のことを述べていただけでした。
それにしても、「頭痛大学」はとてつもなく、でかすぎます。スミマセン。
北見公一先生のストレッチ・リラクセーションプログラム
1.毎日の生活リズムを作りましょう
起床、就寝の時間は規則正しくし、
できれば 6:00 ~ 7:00 までに起床、
10:00 ~ 11:00 ぐらいまでには布団に入りましょう。
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2.朝食は軽めとし、
排便は出来るだけ午前中に済ませておくのがよいでしょう.
昼食は 1 日のうちで一番多くとってよい食事です。
栄養をたっぷりとって下さい。
夕食は遅くても 8:00 までには済ませます。
8:00 以降は物を食べないようにするのが睡眠のためにも良いでしょう。
ただし空腹ではむしろ安眠が障害されますから、
寝る前に暖めたミルクとかハープティーなどをのむとよいでしょう。
3.一日の日課として晴れている日は 3000 歩を目標に散歩して下さい。
これは通常成人の歩き方でやや速く歩く感じで、 20 分から 30 分で達成されます。
ただし歩数にこだわらず、周囲の景色を楽しみながら歩くのが長続きするこつです。
この散歩によって全身の緊張感がほぐれ、気分がすがすがしくなります。
また脳への血行も良くなり、一日の仕事を能率良くこなすことが出来ます。
4.下記のストレッチ体操を毎日行ってみて下さい。
張っている部分の筋肉をすこし引き延ばす感じで、
決して痛くなるまでやる必要はありません。
ただ、北見先生のプログラムは、「セロトニン生活」との関連については、定かではあり
ません。
北見先生は、心療内科の立場から、片頭痛治療を論ずる先生です。
やはり、常識的な、一般的な「生活様式」を提唱されておられます。
ただ、片頭痛の方々の生活習慣が、如何に、これらとかけ離れているのかが想像されま
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す。とくに、天才・偉人・奇人の「片頭痛持ち」の方々が、生活習慣を改めることによっ
て、もし仮に「片頭痛を治してしまっていた」場合、偉大な業績は残せなかったのかもし
れません。。
片頭痛を改善させる”頭痛体操”
片頭痛の場合も緊張型頭痛の場合も、頸椎レントゲン検査を行ってみますと、かなりの
頻度で、ストレート・ネックを始めとして様々な頸椎の湾曲異常がみられます。
これらの変化は、両頭痛に共通して言えることですが、内田信友先生は「歯のかみ合わ
せの悪さ」に原因があると指摘されますが、これ以外にも「姿勢」に関連して、長時間の
パソコン作業や前屈みの姿勢を持続されることによって起きてきます。そして「片頭痛の
遺伝的な体質」をもっている人は「片頭痛」を、ない人では「緊張型頭痛」を起こしてく
ることが推測されます。
このような、頸椎異常を認める方々に対して、後頸部から肩にかけての筋緊張状態に注
目してカイロプラクターが施術を行っております。
片頭痛の方でも、頭の片側でなく、両側とくに後頭部に痛みを訴えたり、なかには拍動
性でなく、緊張型頭痛のような締め付けられるような重苦しい痛みを訴えられる場合があ
るのは、このような状態が関連していると考えられます。
このような両方の慢性頭痛に対して「頭痛体操」が勧められています。
国際頭痛センター長
新百合ケ丘ステーションクリニックの坂井文彦先生は以下のよう
に述べられています。
脳には周囲の環境や体内の変化に対応して、体を一定のコンディションに保つ機能があ
ります。筋肉の緊張が続くと疲労物質や痛み物質の信号が脳に送られます。脳では筋肉の
痛みとして凝った痛み、張った痛み、つった痛みなどと色々に感じます。筋肉からの情報
は神経を介して脳に伝えられますが、神経の通る経路には中継点がいくつかあります。痛
み信号が中継される場合、中継がスムースに行われるよう、脳の痛み中枢から痛み調節物
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質が送られます。セロトニン、エンケファリンなどが痛みの中継を調整します。痛み調節
がうまくいかないと、環境の変化からくるストレス刺激がつらい痛みに感じられたり、痛
みが持続したりします。
片頭痛は三叉神経の興奮により脳の血管を拡張させ痛みを起こしますが、三叉神経は生
じた痛みを脳に伝達する働きもあります。脳幹の三叉神経核は片頭痛の痛みの発生と調節
に重要な役割を果たしています。痛みを抑制する神経も中脳から脳幹の三叉神経核に線維
を送り、痛みを調節しています。痛み調節系が上手く働かないと片頭痛は慢性化してしま
います。本来、時々起こるのが片頭痛の特徴であったのに、痛み調節系が働かないと、毎
日でも片頭痛や関連した頭痛が起こります。痛み調節系は脳の痛みの番人ともいわれます。
片頭痛が慢性化する原因としてはストレス、うつ状態などとともに、鎮痛薬の乱用が最
近増加しています。痛み止めを多く飲み過ぎますと、脳の痛みの調節系は働く必要がなく
なり、脳の痛みの番人がさぼってしまいます。ちょっとした痛みにも、さらに痛み止めを
飲むことになり、悪循環になります。
頭痛体操は、首の後ろの片頭痛圧痛点をストレッチし、その刺激で脳の痛み調節系を活
性化するのが目的です。首の後ろからは頸髄神経が脳に向かい、脳幹で片頭痛の三叉神経
系の回路とつながっています。
頭痛体操の方法
「軽く両足を開いて立ちます。両腕を前方に伸ばし、手の掌は下にむけて、肘を半分曲げ
て下さい。正面を向いたまま、頭は動かさず、両肩を水平に大きく回します。頸椎(けい
つい)を軸として肩を回転させ、頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)をストレ
ッチします。
顔はまっすぐ前を向いて、肩を回します。首が軸になります。力は抜いて、でも肩は大
きく回して下さい。首がコマの芯なり、そのまわりを肩が回っている感じです。片頭痛の
圧痛点がストレッチされるのを感じながら、続けて下さい。
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体操は2分して頂きます。朝夕一回づつ、それぞれ2分間程度の体操で首の硬さがほぐ
れます。ただ、片頭痛の発作中は、絶対に行わないで下さい。
体操で圧痛点がストレッチされ、そこから痛み調節系に良い信号が送られるのです。脳
の痛み調節系が活性化されると、痛みへの敏感さが随分少なくなります。
この体操は、緊張型頭痛、片頭痛に限らず、頭痛が起きる時に共通して起こるからだの
異変に対して行う体操です。
実は、頭痛が起きる時、共通して首の上の方にシコリができることが多いのです。
このシコリを緩和することを目的とした体操です。
この体操の実際は、以下のサイトでご覧下さい。
エーザイのホームページで、「医療関係者向けサイト」→「マクサルト」→「頭痛診療の
コツ」→「ドクターボイス」の中の「頭痛体操の有用性」でご覧になれます。
http://www.eisai.jp/medical/products/maxalt/support/voice.html
また 内田信友先生は「自分で頭痛を治す
エクササイズ」を考案されています。
これは、N.H.R. 頭痛解消法(有料)で紹介されております。
これ以外にも、YOU TUBE で「頭痛体操」で検索されれば、いろいろな体操のビデオが
閲覧できます。
このような、頭痛体操を毎日、欠かさずに行うことによって、頭痛の頻度が減少してい
くことが期待されます。
実際、これらの「頭痛体操」を毎日、欠かさずに行われる方々は、片頭痛の発作頻度が
激減されていることが経験されております。
とくに、ストレートネックを呈しておられる頭痛の方々には、絶大な効果を発揮してい
ることは、間違いのない事実です。
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ストレートネックを治すには
ストレートネックを治すために皆さんがどのようにされておられるか、ネットで調べ、
その結果を以前、当医院のブログ「頭医者のつぶやき」に掲載いたしました。
すべて、ここに掲載しますと 60 ページ前後になりますので、その詳細は、ブログを参考
にして下さい。
この中で最も疑問視されるのは、従来医療機関、特に整形外科医が行っている「頸椎牽
引」です。首を引っ張って、何の意味があるのでしょうか、かえってストレートネックを
助長させるばかりで効果があった人はいないと考えています。
私は、これまで、整体師の高瀬元勝さんの「あした元気になーれ」という矯正枕も使っ
てみましたが、皆さんには余り好評ではなかったようですが、説得力がありました。
現在、行っている方法は、鹿児島の歯科医の内田信友先生が「 N.H.R.頭痛解消法」 で提
唱されておられる体操をお勧めしております。その体操は3つです。
1.背骨を伸ばす
2.肩首のスットン体操と首周囲・頭のマッサージ
3.両手振り運動
これを、1日 15 分間毎日行うことです。
現在、私の通院中の患者さんにも行って頂いておりますが、毎日根気強く行われている
方々には絶大な効果があり、発作頻度が激減し、殆ど起こらなくなった方もいらっします。
これに加えて、岡田俊樹の「片頭痛改善マニュアル」や山崎有爲の「頭痛解体新書」に
記載されているストレッチを追加することによってさらに効果があがるようです。
このような体操・ストレッチを行いつつ、日常生活を行う上で意識的に「姿勢を正しく」
するように注意しながら、長時間にわたって前屈みの作業をする方々には、この姿勢が一
番よくないことを認識して頂いて、仕事の合間をみて、上記の2.3の体操をして頂くよ
うに指導しております。
日々の、自分の体の手入れが如何に大切かが分かっていただけるかと思います。
このようにして、片頭痛発作が減少もしくは消失していくというデータが積み重ねられ
ることのよって、片頭痛とストレートネックの因果関係が証明されると考えます。
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今後の課題でもあり、身近に・容易に行えることを試みるべきと考えます。
この効果は、内田信友先生は自信を持って推奨されておられる点で、私も追試中です。
日本頭痛学会への提言
日本の片頭痛医療
日本では、15 才以上の成人では約 840 万人が、片頭痛を持っていると推定されています。
しかし、この中で頭痛発作時に救急病院を受診しながらも、継続して医療機関を受診され
ない方も含めて、ほとんどの方は、医療機関では治療されておられないようです。
ここ 10 年間は、トリプタン製剤が販売されるようになってからは、大半がトリプタン製
剤を中心とした治療が、医療機関では行われてきました。
名古屋の寺本純先生に、「トリプタン御用医学者」と言われる程、トリプタン一辺倒にな
ってしまいつつある頭痛専門医も多数おられることも事実です。
日本頭痛学会とトリプタン系製剤のメーカーとの結びつきを勘ぐらせる一面もあります。
このように、日本の医療機関での、片頭痛治療は、薬物治療が主体で、日本頭痛学会での
演題には、カイロプラクテック手法に関連した演題は殆ど皆無に等しいのが現状です。
ところが、アメリカでは、薬物療法以外に、カイロプラクターが、片頭痛治療に大々的
に参画しています。
そして、ネット上では、「片頭痛は医療機関では治らない」というブログが散発的ではあ
りますが、目につくようになって来ました。これと歩調を合わすかのように、整骨院、カ
イロプラクターの「片頭痛治療」のコマーシャルが、目につきます。特に「片頭痛を治す」
というキイワードでネット検索を行いますと、検索されるものの大半は、整骨院・カイロ
の宣伝です。悲しいことに、「医療機関が、このようにして片頭痛を根治させる」というも
のは、歯科の先生の内田信友先生のものしかありません。内田先生の主張は、歯のかみ合
わせが悪いと、頸椎の前彎が消失して、片頭痛を起こしてくるというものです。
このような現状を見て思うことは、日本頭痛学会が、以前北里大学の坂井文彦教授がさ
れたようなアンケート調査を行って、どのような手段で片頭痛に対処し、その結果がどう
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であったかを、調査を行えば、片頭痛の病因の一端が掴めるのではないかと思います。
ネット上での「片頭痛を治した」という体験談、さらに有料の「片頭痛克服マニュアル」
を提供されている方々の主張にもある意味で、真実がある訳ですので、このあたりの検討
が必要な時期にきているように思えてなりません。
その後、有料のマニュアルを2つ見つけました。これで、マニュアル7つに、体験談は
4つになりました。やはり、これまで述べましたように、片頭痛発作時の状況を把握・分
析を積み重ね、これらの共通項を探り出すことが基本であることが判明しました。
このように考えてみますと、国際頭痛分類第2版で、片頭痛と分類されているものは、
「片
頭痛症候群」であって、この中には、体の歪みによるもの、歯のかみ合わせの悪さによる
もの、食事摂取に問題があるもの、生活習慣そのものに原因があるもの、ストレスが関与
しているもの、そして最後に「生まれつきの片頭痛体質」が関与しているもの、等々が含
まれることになるということではないでしょうか?
そして、これらに対して、それぞれ対処して、根治させるという治療方針です。
いつまでも、従来通りに、「片頭痛症候群」に対して、トリプタン製剤一辺倒の治療では
ブログの主催者に、「片頭痛は医療機関では治らない」と言われ続けることになりかねませ
ん。私は、頭痛専門医ではありませんが、神経内科医の立場がら、残念でなりません。
日本頭痛学会と製薬会社
皆さんはご存じでしょうか?
日本頭痛学会と製薬会社の結びつきについてです。日本頭痛学会ほど、製薬メーカーと
の関係が目立つ学会は珍しいのではないでしょうか。
過去3年間で、日本頭痛学会で、名を連ねた製薬メーカーを一覧してみますと、以下の
ようになっています。
第 36 回 日本頭痛学会総会 2008 年 11 月
東京ファッシヨンタウンホール
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ランチョンセミナー
1
The Science of Headache : A Message to Clinician
Hans-Christoph Diener
エーザイ株式会社
ランチョウウセミナー
2
これからの片頭痛治療~発作タイプに応じたテーラーメイド治療を考える
鳥取大学医学部
竹島 多賀夫
グラクソ・スミスクライン株式会社
イブニングセミナー
Medication Overuse Headache : Where are we now ?
Zaza Katsarava
ファイザー株式会社
スポンサードレクチャー
片頭痛は、なぜ慢性化するのか?ーその機序と対応
間中病院
間中 信也
アストラゼネカ株式会社
第 37 回
日本頭痛学会総会
2009 年 11 月
宇都宮東武ホテルグランデ
Headache Clinical Seminar Speakers Program
エーザイ株式会社
イブニングセミナー
CHRONIC DAILY HEADACHE : SPECIAL EMPHASIS ON CHRONIC MIGRAINE
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David W.Dodick
エーザイ株式会社
ランチョンセミナー
1
片頭痛の痛みのサイエンスと新たな治療ー CGRP をめぐる新たな動き
慶応義塾大学医学部
鈴木 則宏
ファイザー株式会社
ランチョンセミナー
2
片頭痛マネージメント~女性特有の病態と治療
神奈川歯科大学
五十嵐 久佳
グラクソ・スミスクライン株式会社
ランチョウンセミナー
3
頭痛患者に対する系統的アプローチ
東京女子医科大学
清水 俊彦
アストラゼネカ株式会社
市民公開講座
「頭痛と脳卒中」
グラクソ・スミスクライン株式会社
田辺三菱製薬株式会社
大塚製薬株式会社
第 38 回
日本頭痛学会総会
ランチョンセミナー
国際頭痛分類
2010 年 11 月
東京ドームホテル
1
第2版の理解のために
国際頭痛分類の過去・現在未来~迷宮からの脱出~
間中病院
間中 信也
- 143 -
エーザイ株式会社
ランチョンセミナー
頭痛診療
2
上津原甲一
アストラゼネカ株式会社
ランチョンセミナー
3
三叉神経痛の診断と治療
キッセイ薬品工業株式会社
ランチョンセミナー
4
Recent advances in Neuroendovascular Techniques
Kevin M.Cockroft
田辺三菱製薬株式会社
ランチョンセミナー
5
低髄液圧頭痛の診断と治療
喜多村 孝幸
MSD株式会社
ランチョンセミナー
6
日本発の抗血小板療法のエビデンスと忍容性に関する工夫
西山 和利
大塚製薬株式会社
イブニングセミナー
1
トリプタン使用の実際
座長
中島健二
グラクソ・スミスクライン株式会社
イブニングセミナー
2
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座長
坂井 文彦
ファイザー株式会社
イブニングセミナー
3
頭痛からみたクモ膜下出血
持田製薬株式会社
市民公開講座
頭痛をもっと知ろう
グラクソ・スミスクライン株式会社
以上、この3年間だけを通覧しても、トリプタン製剤メーカーが、いかに多く、協賛し
ているかが理解されることと思います。
このような状態ですので、現在では、片頭痛急性期の治療薬は、トリプタン製剤が殆ど
を占めるようになり、エルゴタミン製剤が極度に減少しています。
この実態は、名古屋の寺本純先生の「片頭痛を治す 薬物乱用頭痛といわれたら
講談社」
に詳しく述べられています。
一度、製薬メーカーと片頭痛の関係を知るためには、一度、読まれることをお勧め致し
ます。
片頭痛研究の別の視点
当医院のブログの記事の追加が急激に増加したきっかけは、小橋雄太さんのブログの「イ
ミグラン錠・副作用なしで偏頭痛をなおしちゃえ」がきっかけでした。私も、これを見る
までに、従来と同様に、「片頭痛は生まれつきのもの」で、治らないものと確信しておりま
した。このため「片頭痛は医療機関では治らない」という主張は衝撃的なことでした。本
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当にこのような事実があるのかと・・
これを契機に、ネット上で、「片頭痛を治す」をキイワードにして、ネット検索が始まり
ました。自分で治されたという体験談はこれ以外に3つ見つけました。
さらに、有料の「片頭痛克服・改善プログラム」が存在することも知りました。このよ
うなサイトは、私自身7つみつけました。これら7つ全てを購入してそれぞれを、私の知
識の範囲内で検証してみました。(この後、もう一つありましたが、どうせ同じようなもの
と考えて、購入はしておりませんが・・)
これらのマニュアルには、必ず、これを使って片頭痛を改善された方々の体験談が掲載
されています。ただ、医師が出すような、「治療成績」は残念ながら記載されてはおりませ
ん。何人の片頭痛患者さんにマニュアルを使ってもらって、このうちの何人が改善された
かという「成績」があれば、もっと説得力があるはずですが、ここが欠落しています。
このような点はあるのですが、百歩譲って、もし、これらのコマーシャルに示される通
りに「片頭痛が治せる」ものであれば、これまでの「片頭痛治療」は何だったのかという
疑問が当然浮上して来ます。
そこで、1997 年に、北里大学の坂井文彦教授がされたような「全国調査」を以下のよう
な方式で、行うことができれば、「片頭痛の実態」が明確になるのではないでしょうか。
それは、現在多くの「頭痛専門医」が日本全国におられます。日本頭痛学会が音頭とと
って、全国の「頭痛専門医」にアンケート調査を依頼することです。
具体的には、
「頭痛専門医」のいる医療機関で、これまで「片頭痛と診断された患者さん」
で、通院が中断(ドロップアウト)した患者さんの予後調査を行うことです。
どこの医療機関も、現在IT化しているはずです。ドロップアウトした患者さんは、簡
単に抽出できるはずです。これらの中断された患者さんに、アンケート調査なり、電話で
直接、その後の状態を確認する方法です。電話による聞き取り調査は、時間がかかり過ぎ
るため、患者個人に、アンケート調査表を郵送して調査する方法がよいかも知れませんが、
回答率が低下する可能性が大きく、どのような方法にするかが問題となります。
アンケート調査内容は、現在、頭痛はどうなっているのか?
頭痛が起きなくなってお
れば、どのような方法で改善させたのか?(質問の意味が十分に理解されるように、具体
的に、整体・カイロプラクテック手法・ヨガ・太極拳・歯科の矯正・生活習慣の改善等々
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です)
このような調査を、日本頭痛学会が中心となって、全国津々浦々まで、しらみつぶしに
調べることによって、片頭痛は治るのか治らないのかが、明確になるのではないでしょう
か?
確か2年前だったと思いますが「関西頭痛懇話会」で「薬剤乱用頭痛」の実態調査を計
画されたことがありましたが、結局中止になってしまいましたが、その当時先走って、私
独自に、この調査を行いました。当医院開院した平成2年から調査日までに受診された患
者さんのうち「国際頭痛分類初版および第2版」の診断基準で「片頭痛」と診断した患者
さん全てにアンケート用紙を郵送することによって予後調査を行いました。片頭痛の方は、
若い方が多く、転勤のため、アンケート用紙が多数返送され、実際に回答を頂けたものは、
半数前後でした。回答を頂いた方々の中には、かなり多数の方が、発作がなくなっていま
した。この実態を数字で、お示しするのが一番ですが、止めます。
といいますのは、私は「頭痛専門医」ではありません。従って、「頭痛専門医」でもない
人間が出した成績など、馬鹿にされるだけでしょうから・・
診断が違うのではないかと言われれば、それまでのことです。
以上のように、通院を中止(ドロップアウト)された方々の予後調査を行うことによっ
て、果たして、どの程度の方々が、片頭痛がなくなっているのかが明確になり、さらにど
のような手段で改善されたかを知ることが最も大切です。
このような全国調査を、1日も早く、実現させてほしいものです。
先程、述べたような「片頭痛克服マニュアル」を作成された方々が、コマーシャル目的
で、ありもしない体験談を掲載されているのかが、明確になるはずです。
もし、仮に、整体・カイロで頭痛が改善された方なら、「体の歪み」が、歯科のテンプレ
ート療法で改善された方なら、
「歯のかみ合わせ」が、ヨガとか太極拳や「生活習慣の是正」
で改善された方なら、「セロトニン不足」が、原因として考えられると思います。
このよ
うな結果が、もし出たとすれば、「国際頭痛分類第2版」で「片頭痛」と診断されたものは
「片頭痛症候群」と考えなくてはならないことになります。
もしそうなった場合は、片頭痛の発生機序に関する研究も曖昧なものとなってしまいか
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ねません。
こうしてみますと、いまだ「片頭痛」は「盲人たちが、象を触って、ああでもない、こ
うでもない」と論評しているに等しいと思われます。
一刻も早く、このような調査が行われることを期待しております。
一つの提言
日本頭痛学会が中心となって、片頭痛と関わりあいのある以下のような学会に呼びかけ
て、「片頭痛の実像・・片頭痛は治るのか」というタイトルのもとにシンポジウムを行って
みれば、面白いと思いますが、如何でしょうか?
参加を呼びかける学会および連盟は以下の通りです。
一般社団法人
JSCC
全日本カイロプラクテイック学会
日本カイロプラクテック徒手医学会
日本姿勢科学学会
日本カイロプラクテック師協会
日本整体師連盟
日本理学整体学会
日本整体師養成学院
日本整体カイロプラクテック師協会
公益社団法人
日本鍼灸師会
公益社団法人
日本鍼灸マッサージ師会
日本鍼灸師協会
公益社団法人
日本柔道整復師会
日本歯科医学会
日本矯正歯科学会
日本ヨーガ学会
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社団法人
日本ヨーガ療法学会
日本薬物脳波学会
日本ペインクリニック学会
日本臨床精神薬理学会
日本薬理学会
日本生理学会・・セロトニンとの関連で・・
各学会の会員の方々で、片頭痛関連の「お仕事」をされておられる方も多いのではない
でしょうか?
このような方々の考え方を拝聴するだけでも、大いに参考になると思いま
すが・・
全く、学術的でないと批判されるかもしれませんが、各団体には「学会」という名称が
少なくとも付けられております。
片頭痛全般に渡って、総説的に、俯瞰できる「頭痛学者」の出現が待たれます。
このような「シンポジウム」を行う「日本頭痛学会総会」の会長が出て来られることを
期待致します。
これでよいのか
私が「脳卒中医療」の真っ直中に邁進している最中に、1976 年 7 月 1 日に「神経学
全6巻」が南江堂から出版されました。
当時、私は、既に、急性期脳卒中には、年齢を問わず、「脳血管撮影」という方法を「脳
卒中医療」に組み入れて行っていました。(当時はCTスキャンのない時代でした)
この「神経学」には、「脳卒中に対する脳血管撮影に関して」以下のように記述されてい
ました。
絶対的に脳血管撮影を行ってならない例はないといえるが、検査の結果得られる所見が
治療上役立つか否かを考慮して行うべきであり、単にルーチーンの検査と考えるべきでは
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なく、とくに老年者にこの注意が必要である。
重篤な脳出血、脳梗塞、高度の脳の動脈硬化症を有する例、血管攣縮例には適応はない。
重篤例、昏睡例または神経症状の進行例では検査により悪い影響を与えることは確実であ
り、もし必要があっても経過をみて行う。
年齢に関するかぎり絶対的なものはないが、50 ~ 60 才以上の場合は、脳血管撮影に副
作用が伴いやすく、老年者の場合は行うべきではない。
と、以上のように記載されていました。私の「脳梗塞の臨床」をご覧頂ければ明確にな
りますが、脳梗塞の患者さんは、大半 70 才以降です。このような方々に、私は、ことご
とく「脳血管撮影」を行って参りました。90 才以上の方に行って「社会保険」からクレー
ムをつけられたこともありました。(予後を推定する意味で私は行いました。)
閉塞した側の血管に造影剤を注入して、どのような問題が起きるのでしょうか。ただ、少
なくとも「血管造影」を行う際には、「静脈注射」を行うと同様に、一気に「血管穿刺」を
行わないと、成功しません。脳血管造影を危険視される先生方は「一発穿刺」の出来ない
先生ばかりです。私も、以前はこのような「反対を唱える」先生に、実際「血管撮影」を
させてみました。どの先生も、一発穿刺の出来ない先生ばかりでした。このような先生が
なされば、当然(必ず)、弊害・事故は生じてきます。
そうであっても、してはならないということにはならないと思います。
自分で、手際よくスパッと、血管穿刺できるようになってから批判すべきでしょう。
そして、その2年後の 1978 年に、「臨床科学 THE JOURNAL OF CLINICAL SCIENCE
VOL.14 NO.2」に阪和病院脳卒中診療部の入野忠芳先生の「脳血管閉塞の再開通現象」が
掲載され、私は、これに感銘し、全てを託しました。
後戻りしますが、1976 年に出版された「神経学 第6巻」でありますが、その執筆者は
以下の通りです。
京都大学教授
亀山正邦
信州大学教授
塚越広
九州大学教授
黒岩義五郎
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群馬大学教授
平井俊策
東京女子医科大学教授
渡辺晴雄
東京都老人総合研究所
朝長正徳
東京大学講師
高須俊明
その他
以上のように、「脳梗塞の診療」に関しては、「脳血管撮影」抜きに論じられており、そ
の「概念」そのものが極めて曖昧模糊としたものでした。
もし仮に、私が、大学の教室に入局していた場合は、このようなことは、全て教授に反
対され、不可能だったでしょう。
ただ、私の属した「呉共済病院の内科医長の岡田啓成」という人物は、本来「アポ(脳
卒中患者さんのことです)嫌い」で有名でした。脳卒中患者の早期退院が可能となる、と
いう「殺し文句」で説得し、私の方式を認めさせ、従来、1年以上の入院期間を、平均3
カ月前後まで短縮しました。ただ、積極的な「血行再開療法」は現実のものとはなりませ
んでしたが・・
しかし、その後、多くの施設が、このような考えに賛同され、脳血管造影をされる施設
が増加し、これとともに、学会発表も、これに関するものが増加しました。
私にとって、一番報われたと思ったことは、保守的であった京都大学の亀山正邦先生の
教室の西村直卓先生に、1987 年に出版された「老年神経学ー新しい問題」南江堂に、私の
論文「脳梗塞と再開通現象」を引用して頂き「血行再開療法」の適応は、発症3~4時間
以内であろう、と記載して頂いたことです。
その後、rt-PA (アルテプラーゼ)の開発に繋がり、今日の「脳梗塞医療」の考え方の
礎になったと思っています。ただ、このような考えの後、10 年経過してです。
私が、申し上げたいことは、「大学の教室の中で、教授に言われるがまま研究する」こと
の是非です。「学位」を取るため、「頭痛専門医」の資格をとるため、いろいろ、あろうか
- 151 -
と思います。ただ、このために、「学問」そのものを歪めてはならないということです。
私たちが、「脳卒中医療」を目指した「同士」は「誰も、旧来の大学には、しがみつく人
間はいなかったはずです。このような新たな視点を持った人間しかできないことがあるは
ずです。
頭痛診療を目指す人間の中に、「侍」が出てくることを期待する次第です。
論文は、ありとあらゆるものを読破することは、極めて大切で、これ抜きには語れませ
ん。しかし、ここで終われば、先達と「同様」の道しか残されていないと思います。
論評は、誰でもできます。これを、どう「片頭痛診療」に生かしていくか、ここが問題
です。いかに、突飛な発想であっても、追求することが大切ではないでしょうか?
この「突飛な発想」を基準として、ありとあらゆる論文を読めば自ずと道が開けるので
はないでしょうか?
自分の考え方もなしに、いくら論文を読んでも、無駄なことです。
疫学調査のすすめ
先日、関西頭痛懇話会で、特別講演をされた「慶応義塾大学医学部 神経内科 講師の清
水利彦」先生のなされておられる研究方法をみますと、日本全国の「頭痛専門医」が、そ
れぞれ独自の考えで、外国文献を頼りにして、これを基盤として、ある仮説を立てて、各
自が「実験」を行っておられるとしか思えません。
このようなことを、日本全国の、頭痛を専門に研究される教室には、「一攫千金」の思い
でされ、今回の懇話会でも、主席者からは、賞賛の言葉しかありませんでした。
振り返れば、頭痛研究は、トリプタン製剤の開発が、ある転機とはなりましたが、未だ
に、「片頭痛の本質」を解明するまでには至っておりません。現実に、トリプタン製剤が開
発され、その服用方法のタイミングを厳格に守っても、いろいろ製剤を変更しても、トリ
プタン製剤の無効な患者さんは、実際に存在します。
これまでの「片頭痛の発生機序」を説明するものは、全て「仮説」に基づいたものです。
- 152 -
仮説、仮説では、何も解決はしないはずです。
もっと、大局的に、「片頭痛の本態」を見つめ直す段階に入っていると考えます。
例えば、従来から、片頭痛は、都市部とこれ以外の地域の発症率に差があることが言わ
れてきました。私も、これは、実感しています。私は、和歌山県田辺市で診療しておりま
す。以前から、近畿地区は、片頭痛は少ないとされておりました。東京都心部には、人口
密度の差はあるとしても、清水先生、大和田先生、坂井先生、五十嵐先生、平井先生、等
々有数の先生方々が診療され、すごい患者数とお聞きしております。この地域差は何なの
でしょうか?
ょうか?
ただ単に「有名である」ということで、患者さんを集めておられるのでし
わたしには、決してそうとは、考えられない点が多くあります。
これを、私の考えで申し上げると、また「憶測で」ものを言うなと批判を浴びることは
目に見えております。このようなことを踏まえて、「片頭痛の実態」調査を、行えば簡単に
判明することではないでしょうか。
日本頭痛学会が認定された「頭痛専門医」が、日本全国に現在, 700 名以上いらっしゃい
ます。これらの先生方に、各年度毎に、片頭痛と診断された患者さんの実数を調査するこ
とです。このことによって、日本全国各地の「片頭痛患者」の実数が明確になるはずです。
これが明確になれば、片頭痛患者の発症率の「地域差」が明確になります。
そして、年度毎に、片頭痛患者の実数が増加しているかどうかも・・
決して、患者への「啓蒙」だけで、増加したと考えることには問題があります。
患者さんの受診動機は、過去と現在は変わっていないはずです。
以前の記事にもしましたが、この中でドロップアウトされた方々の、現在の状況を確認
することです。「治ってしまって」通院しなくなったのかどうかということです。
治された方々が、どのような方法で治されたかということも調査項目に入れる必要があ
ります。
たったこれだけの調査で、「日本の片頭痛の実態」は明確になるはずです。
得てして、これまで受診された「片頭痛患者さん」が受診しなくなったのは、自分が治
したという考えは決して持たないことです。これは医師の「おごり」でしかありません。
- 153 -
私は、昨日の清水先生のされている「実験」は全く無駄と思っております。
「頭痛専門医」
の興味を引くことは、確かに認めますが、このようなことは大局的にみて、自己満足にし
か過ぎないことを認識すべきと思います。
片頭痛研究を行うためには、基本的な点を考え直す必要があると考えます。
以上のような観点から、最短距離で、研究が進むことを切に望む次第です。
第 18 回 関西頭痛懇話会報告
先日、第 18 回 関西頭痛懇話会が、大阪のホテル阪急インターナシヨナルで開催されま
した。開催されるまで、私は、東京女子医科大学の清水俊彦先生が講演されるとばかり思
っておりました。開催前のアナウンスでは、講演の題名が明らかにされておりませんでし
た。しかし、恐らくは「脳過敏症候群」についての講演であろうと予測して、あらかじめ、
この「脳過敏症候群」の発生機序に関して、質問内容と私の考え方を原稿用紙2枚にまと
め て準備して出席しました。
ところが、会場に入ってから、気がつきました。「しみず としひこ」先生には間違いな
かったのですが、同じ「しみず としひこ」先生でも、慶應義塾大学医学部 神経内科 講師
の「清水利彦」先生でした。全く、がっかりしたやら残念でした。
このような事情があったのですが、演題は「難治性片頭痛の臨床と病態」でした。
結局、従来の「変容性片頭痛」を表現を変えて、「難治性片頭痛」として、国際頭痛分類第
2版に照らし合わせて、その診断基準に関する説明をくどくどと述べられました。
結局、難治性片頭痛とは、慢性片頭痛(変容性片頭痛)と薬剤乱用頭痛を含めたものと
すると、考えられたようです。
そして、この「難治性片頭痛の症例」を多数まとめた成績を提示されるのかと、期待し
ましたが、1例だけの症例呈示に終わり、その病歴たるや、片頭痛が、いろいろ薬剤を使
用したけれども、うまくいかないといったものでした。片頭痛そのものが発症した背景と
か、どういった要因で、難治性の経過を辿ったのかという病歴が全く欠落していました。
- 154 -
その後、外国文献を参考に、仮説に基づいた実験を示されましたが、あくまでも推論で
しかないように思えてなりませんでした。
そして、いかに治療が困難であるかということを述べられたに過ぎません。このような
ことは、従来から指摘され、臨床医が一番、頭を悩めていることであるはずです。
どのような、臨床的事実があって、難治性の経過をとるようになったのか、ここが一番
知りたいことではないかと考えます。
最後の締めくくりとして、片頭痛でありながら、医療機関を受診されない方が多いとい
った、ことを述べられました。このようなことが、今回の演題とどのような関係があるの
か理解に苦しみました。
そして、フロアから、賞賛の声しか聞かれず、何とも後味の悪い講演でした。
このような研究方法をしている限り、「難治性片頭痛」克服は、まだまだ程遠い印象を持
ちました。
私が考えることは、「難治性片頭痛」の患者さんの、臨床経過を一例一例つぶさに検討す
ることによって、その共通項を見いだせば、「仮説に基づいた」実験を行うよりは、ずっと
有意義のように考えます。
具体的には、片頭痛の「発症年齢」と発症前の「生活習慣」がどのようであったのか、
さらに、片頭痛発症後、どのような引き金で「片頭痛発作」が起き、これに対して、どの
ような対処をしてきたか、使用薬剤との関連を検討し、
「セロトニン不足」を招くような「生
活習慣」がなかったかどうか、さらに、セロトニン不足を招く「生活習慣の是正」に努め
たかどうか、といったきめ細やかな「臨床的事項」の分析なくしては、「難治性片頭痛」の
病態解明は不可能と思われます。
最初に述べましたように、「清水 俊彦」先生の講演のために用意したもので、質問を余
程しようかと思いましたが、フロアの方々が全員、賞賛の言葉しかかけられないため、私
がこのような発言をして、懇話会をぶち壊しにしてはと・・、今後のこともあり、じっと
我慢して、会場を後にしました。
- 155 -
第 39 回 日本頭痛学会総会の案内が来ました
本年度は、第 39 回 日本頭痛学会で、埼玉の大宮ソニックシテイで、平成 23 年 11 月 25
日から 26 日まで開催されます。そのプログラム・抄録集が送付されました。
その「会長講演」として、埼玉医科大学の荒木信夫教授が「片頭痛と自律神経」を発表
されます。その予稿集をみて、極めてがっかりしました。それは、「片頭痛発作時に伴う自
律神経異常」に関して、述べられているに過ぎないからです。
片頭痛発作時に、諸々の「自律神経異常」が出現することは、「頭痛専門医」でなくても
「一般臨床医」が痛いほど思い知らされている所見で、今更、このようなことを明らかに
することではないと考えます。このような病態は、何の意味があるのでしょうか?
このようなことではなく、これまで「片頭痛が生まれつきのもので」その発作の誘因と
して「気象」が関係していることは、一部の患者さんには否定できません。これを「気象
病」と捕らえて「自律神経の機能異常」と考えている方々もいます。決して、生まれつき
の「現象」ではないということです。
さらに、セロトニンの枯渇状態も、「自律神経異常」と関係があると指摘されています。
そして、頸部・後頭部の筋肉に負担を及ぼす病態が持続することによる「自律神経系に
及ぼす」影響も多々、報告されています。
このような点を、何ら踏まえることなく、発作時の「自律神経異常」を論ずること自体
何か、何を考えているのかと、不思議な感覚を持った次第です。
もっと、片頭痛の病態は、複雑怪奇なものであるはずです。このような単純な「見解」
で「臨床研究」が行われている限り、何時になっても、「片頭痛解明」には程遠い世界のよ
うに思えてなりません。
もっと、「片頭痛と自律神経」の関係を、「会長講演」とする以上、もっと、片頭痛の病
態そのものを総括的に論ずるべきと考えた次第です。
今回の学会でも、ネット社会で「頭痛専門医」による「頭痛外来」に対する批判に対す
- 156 -
る反論は、抄録集を点検する限り、何もありませんでした。
「頭痛専門医」の方々は、「国際頭痛分類 第2版」の「片頭痛の診断基準」を死守する
ことによって、「片頭痛は治らない」という姿勢を守るというのでしょうか?
もっとラジカルに、片頭痛の本質に迫る「頭痛研究者」が出現することを期待します。
日本頭痛学会の「枠」に嵌った考えで、物をみてる限りは何の解決方法はないと思いま
す。
これまで、片頭痛の患者さんが、7割の方々は「医療機関には受診されない」と報告さ
れています。このような受診されない方々に、「医療機関に受診を促す」ように啓蒙されま
す。私の診療する和歌山県田辺市では、このような「片頭痛患者さん」が医療機関を、例
え仮に受診されても、大半は悲惨な思いをされておられる事実も認識しなくてはなりませ
ん。基幹病院の脳神経外科の対応に疑問を感じています。このような状況にある「頭痛専
門医不在」の地域に対する「日本頭痛学会」の対応に期待するところです。
日本頭痛学会へのお願いです
この度、片頭痛とストレートネックに関して、当医院の過去 20 年間の成績を別項で提
示致しました。この結果片頭痛では、緊張型頭痛以上に高頻度に認められました。
この結果は無視できない事実と考えます。
これまで、日本頭痛学会および多くの頭痛専門医の見解では、頭痛とストレートネック
に関しては”エビデンス”がないとし無視されて来ました。
ネットで有名なホームページ「頭痛大学」にも一言も言及されておりません。そして、
これに関する文献も殆ど皆無に等しい状態です。
これまで、このような点に着目されておられる先生も少数ですがいらっしゃいました。
これまで、頸椎レントゲン検査が行われた症例だけででも、日本全国におられる頭痛専門
医に調査を依頼されて、ストレートネックの出現頻度を算出すべきと考えます。
この結果を基に、片頭痛の発症機転を再構築すべき段階にきているように考えます。
1日も早く、このような調査を実施されることを期待しています。
- 157 -
今回の私の成績は、結果が出た段階で当医院のブログに公表致しました。
本年 11 月の学会まで待てない気持ちでしたので・・
最後に
現在、片頭痛治療に関係する各分野は以下のようなものがあります。
鍼灸師の立場から
片頭痛と歯科
片頭痛とカイロプラクテイック
片頭痛とヨガ
片頭痛とボツリヌス毒素
片頭痛と外科的手術
片頭痛と足病変
これらは、ネットで上記をキイワードにして「検索」されれば、多数のサイトが閲覧で
きます。面倒であれば、当医院のブログ「頭医者のつぶやき」に多くのものを引用して掲
載しております。こちらをご覧下さい。
ここでも、引用を考えましたが、「著作権」の問題があり控えます。
いずれも、「ストレートネック」「セロトニン」に関与したものが大半です。
これに加えて、YOU TUBE で Migraine をキイワードにして検索されれば多くの記事が閲
覧できます。特に以下のものが参考になると考えます。
Andrew Blumenfeld on Migraine Pathophysiology
A Cure for the Migraine Headache
Dr.David Branch on Migraine Surgery
Grand Rounds Chronic Migraine
- 158 -
How to Overcome Migraine Headache
Guided Relaxation Self-Massage for Migraine
Migraine Prevention
Migraine Relief
Migraine Relief 2
Yoga for Migraine
Baba Ramdev for Migraine
Dr.Khiabani discusses Botox for Migraine
この中でも、Andrew Blumenfeld
の「片頭痛の発生機序」の説明は重要と考えます。
ここでは、歯のかみ合わせの悪さによる刺激が絶えず「三叉神経核」に送られこれが誘
因となっているという説明です。これを「ストレートネック」との関連に置き換えて考え
れば、私の考えが容易に理解されると思います。
それは、ストレートネックによる影響で絶えず「頸部筋肉の異常刺激」が三叉神経核へ
送られているということです。頸部との繋がりは「解剖学的事項」の部分で述べました。
最後に、首に関する書籍も多数出版されております。
首を温めると体調がよくなる
松井孝嘉
アスコム
パソコン疲れは首で治せる
松井孝嘉
アスキー新書
首こりは万病のもと
松井孝嘉
幻冬舎
首は健康ですか?
三井
岩波書店
肩こり・首痛は 99 %完治する
首こそ急所
首こそ名医
首の痛み・肩こり。頭痛改善
弘
酒井慎太郎
加藤光晴
幻冬舎
熊谷印刷出版部
ロビン・マッケンジー
実業之日本社
この中でも、松井先生の記述は、片頭痛の言葉はありませんが、片頭痛とダブッテ見
えてくるものがあると考えます。一度、ご覧下さい。
ストレートネックの意味合いを考察する上で、十分に納得できるものと考える次第です。
- 159 -
参考文献
1
さらに、足つぼ・整体「ゆめとわ」の記事を掲載させて頂きます。
整体師
松本基淳
両方の奥歯でよく噛むことの大切さ
私が子供の頃は硬い食べ物が多かったせいか、朝・晩の食事時は母親が、給食の時間は
小学校の先生が、必ず「よく噛んで食べなさい」
「一口30回は噛みなさい」などと言って、
噛むことを面倒だと思う子供たちをさとしていたものです。
しかし、この30年くらいで私たちの食生活は大きく変化し、食べ物は柔らかさを競う
ような傾向になり、グルメ嗜好から大人も子供も柔らかい食べ物を好むようになりました。
そして時間の節約と噛む労力の節約という目的で、“飲む朝食”のような栄養飲料まで登場
しています。
噛む筋肉の変調がもたらす体への主な影響(整体的な観点から)
①噛むことや顎関節の調子がおかしくなる
②体がねじれる、片頭痛をもたらす
③体に力が入らなくなる、体が重く感じ
る
④顔の歪み、頬のたるみや、目の調子の
変調など
「顎関節症」「痛くて噛めない」「口を開くと痛
い」「顎が歪んでいる」「噛み合わせが悪い」など
など、顎関節に関係するトラブルを抱えた人がし
ばしばやって来られます。
歯や歯茎などに問題がないのにこうしたトラブルを訴える人の多くは顔(頭蓋骨)が歪
- 160 -
んでいるからですが、それは体の歪みが顔にまで及んでいる場合がほとんどです。そして、
このような方々のほとんどが、どちらか一方の、あるいは両方の噛む筋肉がゆるんでいま
す。
整体師として仕事をしていてつくづく思うことは、“噛む筋肉からお腹の筋肉までは本当
に大切だ”ということです。このラインがしっかりしていないと全身がしっかりしてきま
せん。
誰もが重い荷物などを持ち上げたりするような、強い力を使うときには必ず歯を食いし
ばります。歯を食いしばるという行為は、噛む筋肉を収縮させる、ということです。まず
噛む筋肉に力をいれておいて、それから腕や腰や足の筋肉に力を入れるようになっていま
す。これが私たち人間をはじめとする脊椎動物の筋肉システムです。
噛む筋肉を専門的には“そしゃく筋”といいます。そしゃく筋には外側から触れること
のできる咬筋と側頭筋があります。
目の下の出っ張った頬骨から下顎にかけての筋肉が咬筋です。
こめかみのすぐ後ろから耳たぶの上、そして頭部の側面にある筋肉が側頭筋です。
整体的な観点で申し上げれば、このそしゃく筋がしっかりしていないと全身の筋肉がゆ
るんでしまいます。ここで云う筋肉が“ゆるむ”ということは“柔らかい”ということと
は違います。ヨーガやストレッチなどの運動において筋肉がゆるむということは善いこと
として受け取られますが、ここで云う“ゆるむ”という意味は、筋肉が“うまく働いてい
ない”、“ハリを保てていない”といった悪い意味です。
血液やリンパの循環で考えると、動脈は主に心臓の力によって巡りますが、静脈やリン
パは筋肉の働きによって巡ります。ですから、筋肉がゆるんでしまうと静脈やリンパが循
環不良を起こすということになります。静脈の循環が悪ければ、当然動脈の循環も悪くな
りなりますので、むくみや冷えといった不調を招くことにつながります。
①噛むことや顎関節の調子がおかしくなる
- 161 -
“硬いものを噛むと顎が痛くなる”というのは、咬筋
や側頭筋などそしゃく筋の筋力が弱く、強く噛むことが
できないため、硬いものを噛んだりするとき他の筋肉や
顎関節に余計な負担がかかるからだと考えられます。
現実に、一週間ほどガムを噛むことによってそしゃく
筋を鍛えてもらったところ、すっかり症状が消えてしま
った方がいました。
“口を開くと痛む”、“口を大きく開けることができない”というのは、顎関節にズレが
あるなど問題があるからです。顎関節は下顎と耳のある側頭骨との関節ですが、そしゃく
筋が直接的に影響を及ぼすこととしては、左側あるいは右側の一方でばかり噛んでいる“
片噛み癖”によるものがあります。単純な例では、よく噛んでいる方に下顎が引き寄せら
れます。するとそれだけで顎関節はズレを起こした状態になりますので、噛み合わせもお
かしくなったり、開口時に違和感や痛みをもたらすことになります。
ただし、実際に顎関節に症状をもった人を見ますと、そしゃく筋が直接関与しているケ
ースよりも、体が捻れていたり、頭蓋骨が歪んだりしている影響が顎関節に及んで症状を
もたらしている場合が多いので、施術では全身の歪みを修正していくことになります。
それでも、全身の歪みの出発点が“片噛み”などそしゃく筋の変調である場合もかなり
あります。
②体がねじれる、片頭痛をもたらす
体がねじれだす原因はいくつも候補がありますが、顔の中では目の使い癖と片噛みの癖
がねじれの出発点になりやすい要素です。片噛みの癖
では、よく噛んでいる方に体の捻れが始まります。例
えば右側の歯ばかりで噛んでいると、肋骨の上部が右
の方にねじれます。すると体はそれを修正するように
バストのあたりが左側にねじれます。するとその下が
右の方に、へそあたりを境にして骨盤は左側に‥‥、
と複数のねじれが生じます。ですから片噛みの癖は直
さなければなりません。
- 162 -
また、そしゃく筋は側頭骨と鎖骨や胸骨を結ぶ胸鎖乳突筋と連動しますので、噛むこと
が少なく、そしゃく筋がゆるむと胸鎖乳突筋もゆるみます。すると鎖骨や胸骨が下がって
しまいます。そして、その下がってしまった胸に連動するように顔の骨も下がってしまう
場合があります。額の骨も下がるのですが、すると後頭部の骨(後頭骨)は反対に上がり
ますので、骨盤の仙骨部から始まる背中の筋肉(脊柱起立筋群)は張ってしまい額やこめ
かみの筋膜を引っ張ります。それが偏頭痛や頭痛を起こす原因の一つになります。
③体に力が入らなくなる、体が重く感じる
強い力を出すときには歯を食いしばる必要があることから、そしゃく筋は全身の筋肉の
司令塔のような役割をしていることになります。噛むことがおろそかになると、そしゃく
筋はゆるんでしまいますので、全身の筋肉もゆるみ気味になります。ここで云う筋肉が“
ゆるむ”というのは、うまく収縮することができない状態だということですから、たとえ
トレーニングなどで筋肉を鍛えていたとしてもその筋力を十分に発揮することができる状
態ではないということです。これは、口をポカンと開けた状態で力を出そうとするのと、
奥歯をカシッと噛みしめて力を出そうとするのと、どちらが力を十分発揮できるか、その
違いだと思っていただければよいと思います。
このようにそしゃく筋がゆるんでいると、持てる力を十分に発揮することができなくな
ります。すると、体を支え、動かす筋肉も十分に働けなくなるので、“体が重たくて‥‥”
という状態になってしまいます。
④顔の歪み、頬のたるみや、目の調子の変調など
“頬がたるむ”という状態は、顔の皮膚や筋肉(表情筋)がたるんだ状態になっている
ということもありますが、頬骨そのものも下がった状態になっています。
上記②のなかで顔の骨が下がる理屈はお話ししましたが、そしゃく筋がしっかりしてい
るかどうかは顔にハリを保つ要になると云っても過言ではないと思います。
片噛み癖がある場合、噛んでいる方の頬はシャープになり、噛んでいない方はボワンと
した感じになります。そんな観点でご自分の顔を鏡でご覧になってみてください。いかが
でしょうか?
- 163 -
顔が歪む原因もさまざまですが、そしゃく筋の変調は大きく影響を及ぼします。眼鏡
をかけている人は、鏡で自分の顔をみたときなど、眼鏡が水平でないことがあると思うか
もしれません。それは耳の高さが左右で違うからなのですが、側頭骨の高さが違うという
ことなのです。上記②でそしゃく筋と胸鎖乳突筋は連動していると申し上げましたが、胸
鎖乳突筋は側頭骨に付着している筋肉ですから、そしゃく筋の状態は側頭骨の高さに影響
するという理屈になります。また、咬筋にしても側頭筋にしてもそしゃく筋は側頭骨や頬
骨と下顎骨を結んでいますので、下顎が左右で違うということにもなります。噛み合わせ
にも影響します。
“骨がずれると血流やリンパの流れが悪くなる”というのが、ここでの根本的な考え方
です。顔がむくむというのは、顔の骨格がずれているからです。
話が飛躍しますが、膝から下がむくんでパンパンするというのは、膝関節がおかしいか
らです。痛みを感じるほどではなくとも微妙にずれているので、血流やリンパの流れが停
滞するのです。
ところで、目や耳や鼻といった感覚器官は非常に繊細ですから、血液の流れが少しでも
低下しますと違和感を感じるようになります。顔や頭の骨格がずれていると、これら感覚
器官の能力が落ちてしまいます。
●注意したい噛みしめる癖
よく噛まないで食べてしまう癖や片噛みの癖が良くないことは申し上げましたが、もう
一つ“噛みしめる癖”にも注意しなければなりません。自分では自覚していなくとも、何
気ない時に噛みしめる癖を持っている人はけっこうおります。私自身、肩こりの強いお客
さんの揉みほぐし続いて握力が落ちてくると、つい歯を噛みしめて握力が低下するのを防
ごうとしてしまいます。考え事に集中しているとき、ストレスに対抗しているとき、ある
いは台所仕事に集中しているときなど、噛みしめたりしていませんか?
噛みしめることの多い人は、そしゃく筋がこわばっています。咬筋がこわばっていると
口を開くとき違和感や痛みを感じるかもしれません。側頭筋がこわばってしまうと、それ
だけでこめかみは緊張しますので、片頭痛をおこしたり、頭部を締めつけられるような感
じになったりします。
- 164 -
噛みしめる癖のある人は、咬筋や側頭筋をマッサージしてほぐしてあげてください。
ゆめとわでの対応
ゆるんでいたり、こわばっていたりするそしゃく筋を調整することは簡単にできます。
しかし、それは“一度調整すれば済む”というものではありません。日々の食事で両方の
奥歯でしっかりよく噛むことが何より大切です。
そしゃく筋は私たちの体の中で“根本をなす筋肉”であると私は考えています。
昔、ある人の講演で、「病弱でひ弱な時に、玄米の先生が『一口1000回噛んで食べな
さい』というのでそのようにしていると体の内側から力が湧いてきて‥‥」というような
話を聞いたことがあります。その方はそれ以来玄米菜食の道に進み、その世界では有名な
先生になられたようですが、玄米が善いかどうかは別にして、噛むという行為に、私たち
に内在している秘められたエネルギーを引き出す力があるのだと私は思っています。
実際、来られる人たちの顔を触り、そしゃく筋を触ると、ほとんどの人がゆるんでいま
す。これを改善するだけで“大きく変わるのに”と思うことしばしばです。皆さんには顔
や体が歪んでいる状況を説明し、そしてそれをもたらす原因を説明しています。そしてそ
の中で「よく噛んでください」「食事で噛めないなら、ガムでトレーニングしてください」
と申し上げております。
本当によく噛むことは大切なのです。それが実感です。
このような関連から「食事に際して、よく噛むことの大切さ」が認識されたかと思いま
す。このことは「セロトニン生活」の箇所でも、その重要性が、指摘されています。
- 165 -
また、胸鎖乳突筋と片頭痛に関しては、現在ネット上、カリスマと称される「片頭痛 大
革命」で有名な「坂戸孝志」の「いわゆるマッサージ方法」の有効性を、ある意味では支
持するものではないかと思いますが、ただ、これが全てではないことを認識すべきです。
ただ、このような方法で改善されておられるようですが・・・
参考文献2
片頭痛と食事 誘発因子として
田中脳神経外科クリニックの田中滋也院長は 2010 年 5 月 11 日「薬学の時間」で、
以下のように述べておられます。
食物と片頭痛の関連について検討した海外の報告は多く、食文化の相違や、食生活の様
式も片頭痛の発生に影響すると言われています。片頭痛を誘発する可能性がある有名な食
物として、チョコレート、チーズ、柑橘類などが挙げられており、それらに含まれる血管
作動性のアミンが頭痛の発生に関与する可能性が指摘されています。
今回私は、H 17年2月から H 18年 1 月までの1年間に当院を初めて受診し、国際頭
痛分類によって片頭痛と診断した約 250 例の患者さんについて、受診直前の頭痛と食物の
関係について調べてみました。その結果について簡単にお話しいたしますが、頭痛出現前 24
時間以内に、約 25 %の患者さんが、ラーメンや中華料理、チョコレート、柑橘類、ナッツ
類、チーズ、ビール、チョコレートを、1か月以上という間隔をあけて、つまり久しぶり
に摂取して、片頭痛が起こっていたということがわかりました。また、約 10 %の患者さん
は、これらの食物を二種類以上摂取して頭痛が起こっていました。
これらの患者さんの、頭痛が出現した時間について検討すると、睡眠中から朝起床時の
間に頭痛が起こった割合が明らかに多いことが分かりました。また、それらの食物の摂取
から頭痛出現までの時間も検討してみましたが、約3/4の症例が3時間から 12 時間後ま
での間に頭痛が出現していました。
- 166 -
それぞれの食物の摂取から頭痛出現までの時間については、長いものから述べますと、
チーズやチョコレートは約 12 時間、ビールは約 10 時間、ナッツ類は約8時間、ラーメン
・中華料理や柑橘類は約7時間、赤ワインは6時間という結果になりました。チーズやチ
ョコレートを食べてから頭痛が出現するまでの時間は、ラーメン・中華料理または柑橘類
による場合に比較して有意に長かったことがわかりました。
食物の片頭痛への関与を検討する方法として、アンケート調査、誘発食物を除去した食
事による検討、あるいは食物に対するチャレンジテストなどが行われてきました。しかし
食物と関連して頭痛が起こることを自覚している症例を母集団としている報告もあり、被
験者が頭痛の出現を予測することが指摘されています。またチャレンジテストではプラセ
ボ効果により頭痛が出現する可能性があり、テスト中のストレスも結果に影響すると言わ
れています。今回の検討は、初診患者さんに対して、受診直前の頭痛発作と食物について
検討いたしましたが、誘発する食物について患者さんの知識や先入観がない状態での検討
であり、プラセボ効果を考慮する必要がないことが利点であったと思われます。
これまでに、食物の摂取から頭痛出現までの時間に関して、最長で27時間との報告が
ありますが、その他の多くの報告は、食物摂取後24時間以内に出現した場合を食物によ
り誘発された頭痛としています。今回の検討でも、頭痛が出現する前、24時間以内の食
物を検討しましたが、その食物を前回摂取した時から今回の摂取までの間隔が 1 ヶ月以上
であった症例が約 25 %と高率であり、誘発した食物の内容は、ラーメンや中華料理、チョ
コレート、柑橘類の順に患者さんの数が多く、次いでチーズ、ナッツ類、ビール、赤ワイ
ンという結果でした。
片頭痛が出現する時間に関しては、ストレスを感じることが多い正午過ぎにピークがあ
るとの報告がありますが、今回の検討では、食物と関連する頭痛は睡眠中から朝、起床時
に高率に出現していたことも特徴的な事実と思われます。海外にも同じような報告があり、
この出現時間の偏りを考慮すると、食物と睡眠という複数の誘因により片頭痛が誘発され
ている可能性があると思われます。
赤ワイン、チーズ、ナッツ類などに含まれるチラミンは、交感神経の終末からノルエピ
ネフリンを放出させることにより血管収縮を起こします。そして、その後に反動として出
現する血管の拡張により、片頭痛が誘発されると考えられています。赤ワインに関しては
- 167 -
チラミンのみでなく、ヒスタミンやフラボノイドも関与することが示唆されています。ま
た、チョコレートのチラミン含有量は意外に多くはなく、むしろ特徴的に含まれるβ-フェ
ネチルアミンが関与しており、また柑橘類ではオクトパミンが頭痛を誘発すると言われて
います。
一方、グルタミン酸による頭痛の誘発には、いくつかの機序が考えられています。実験
的には、グルタミン酸には血管への直接的な収縮作用のみでなく、片頭痛と関連すること
が示されている三叉神経脊髄路核への刺激作用があることが示されていますし、更に大脳
皮質において、特に片頭痛の前兆に関連すると考えられる cortical spreading depression の発
生、進展、そして維持に重要な役割を担うことも示されています。
また、臨床的にも、片頭痛の患者さんでは頭痛発作中の血漿中グルタミン酸濃度が上昇
すること、前兆のある片頭痛の患者さんでは血小板中のグルタミン酸濃度が高いことが報
告されており、片頭痛発作や cortical spreading depression の発生にグルタミン酸が関与する
ことが示唆されています。
今回の検討では、ラーメン・中華料理を摂取した後に片頭痛が起こった症例が最も多か
ったのですが、それらの食べ物に含まれているグルタミン酸が、頭痛の発生に関与した可
能性が高いと考えられます。
グルタミン酸により引き起こされる頭痛として中華料理症候群が知られており、頭痛以
外に全身の脱力、動悸、胸部から後頭部の知覚異常などの症状を伴いますが、この場合、
グルタミン酸の摂取から症状発現までの時間は 15 分から 60 分と短いと言われています。
一方、グルタミン酸により誘発される片頭痛では、グルタミン酸の摂取から頭痛出現ま
での時間が中華料理症候群に比較して長いことが報告されており、今回の検討でも摂取か
ら約8時間後であったことから、中華料理症候群の頭痛と、グルタミン酸により誘発され
る片頭痛は、異なる機序により引き起こされるのかもしれません。
また約 10 %の症例において、複数の食物の摂取後に頭痛が出現していましたが、チラミ
ンがグルタミン酸による血管収縮作用を増強することを示した報告があり、食物の相乗作
用により頭痛が誘発された可能性も示唆されました。
食物の摂取から片頭痛出現までの時間については 24 時間以内、特に 12 時間以内が多い
と言われています。ある報告では、チョコレート摂取から頭痛出現までの時間は平均 22 時
間であったのに対して、赤ワインでは平均3時間であり、それぞれの成分の吸収速度の違
- 168 -
いにより頭痛出現までの時間が異なると述べています。今回の検討で、チーズまたはチョ
コレートの摂取から頭痛出現までの時間は、ラーメン・中華料理または柑橘類の場合に比
べて有意に長いという結果でした。それぞれの食物に含まれる成分により、頭痛誘発まで
の時間が異なることが示唆されます。
冒頭で述べましたように、食物の他にも様々な片頭痛の誘因があり、それらの相乗的な
作用により片頭痛が誘発されると考えられますが、今回の検討は、予備的な調査であるに
しても、特定の食物が片頭痛の誘因になる可能性を示しており、今後本邦においても前方
視的検討が行われることが期待されます。
参考文献
3
「ストレス社会におけるセロトニン的生活の勧め」
運動連鎖アプローチ研究所
セロトニン道場第一期生
山本尚司
Ⅰ.はじめに
セロトニン的生活とは、まさに規則正しく自然の摂理に則って生活をするということが
大前提となります。この太古から太陽が昇ると同時に活動を始め、陽が落ちると就寝する
という基本が現代生活において崩れていることは明らかです。当たり前の生活習慣の意義
を改めて学術的に再認識することで、意図的に自然に近い生活にコントロールしていく作
業をしていく必要があるのです。ではそのより自然の摂理にそった生活とは何か?そして
便利になったであろう現代が、敢えて直面しているストレス社会とは何なのか?
人は生活する上で必ずストレス反応が生体内で起きています。ストレス反応の起きない人
間はいないわけですが、その中でストレスに対して生体がどのような準備状態にあるかが
大切となってきます。原点回帰ともいうべきリトリートが流行っていますが、セロトニン
- 169 -
的生活が目指すところは、積極的に社会に対して向き合いトライしていく活動性であろう
と考えます。
今回、現代社会におけるライフスタイルを、あらゆる角度から見直し生体内に何が起こっ
ているかを明らかにすることで、日々のセルフマネージメントをしていくための知識とい
うテクニックを身につけ、そして実際に運動療法などの実践方法について述べていきたい。
Ⅱ.ストレスとは何か?
ⅰ.ストレスの歴史
キャノンは物理工学の考えである物体に外から力を加えると、それによりお互いに力を及
ぼし、歪み(ストレイン)が生じるという考えを生物にも用いました。つまり、生体がス
トレス刺激に応じて、それぞれ個別に反応をすることにより、生体の内部環境が一定に保
たれるということです。この反応の中心は交感神経一副腎髄質系の活性化としています。
例えば、恐怖を感じると、ドキドキしたり、目をかっと見開いたり、空腹を感じなくなっ
たりする反応です。これらの反応は闘争や逃走に有利な反応で、緊急反応と呼ばれたりし
ています。
これに対して、セリエはストレス刺激の種類に関わらず非特異的に全身性に起こる反応
をストレスとしました。そして、このストレス反応の中心は下垂体前葉(ACTH)− 副腎
皮質ホルモン系(HPA 系)とし、この反応が環境変化に対する生体の防衛反応として、短
期的には適応するように働いているとしました。これをセリエは「汎適応症候群」とよび、
刺激が加わったときに生体が示す反応を「ストレス」とし、この反応を生じさせる刺激を
「ストレッサー」と名付けました。
セリエは、ストレス刺激の種類に関わらず起こる非特異的反応をストレスとしました。
ストレス反応としての非特異的反応を定量的に証明することは困難です。しかしながら、
ストレスの多さと動脈硬化が生じる指標が比例するなど、ストレスに共通する何らかのメ
カニズムがあるのではと近年考えられるようになっています。また、日常生活においてス
トレスという言葉が多用されるのは、この語のもつ情感に訴える強さが端的で便利である
と、日本人だけでなく、世界中の人々が感じているからではないかとされています。
職場での人間関係やテクノストレスなど肉体的ではない精神的なストレスが慢性化し
- 170 -
たものになると、胃潰瘍、糖尿病、心臓病などが発症するとがわかっています。つまり、
これらはストレスが身体に与える影響であり、
「胸腺・リンパ腺の委縮による免疫力の低下」
「副腎皮質の肥大」「胃潰瘍」をセリエのストレス三兆候としてまとめられています。
ⅱ.ストレスと自律神経
交感神経が高まると白血球の一つである顆粒球が以上に増えてしまう。顆粒球の特徴は酸
化力を持つ活性酸素であり、顆粒球が寿命を迎えて壊れると大量の活性酸素を放出する。
活性酸素で血液が酸化すると血液が流れにくくなり、さらなる低体温を招くという悪循環
に陥る。では副交感神経が常に優位であればいいかというと、そうとばかりは言えない。
何故なら副交感神経が過緊張となると血行は一時的には良くなるものの、それが長く続く
と逆に血行は悪くなってしまう。つまり緩慢な生活スタイルそのものも活動性を低下させ
るだけでなく自律神経そのものの働きも阻害するのである。
適度な緊張と弛緩の繰り返し、つまり自律神経のバランスがあってこその恒常性なので
す。
ⅲ.ストレスと体温
身体的なストレス反応として、まず免疫力の低下が起きてきます。過剰なストレスにより
自律神経のバランスが崩れると、免疫システムの精微なバランスにも影響を与えます。
現代人は低体温化しているとも言われており、運動不足による筋力低下、エアコンの普
及、過剰なストレスで自律神経のバランスが崩れていることが指摘されています。低体温
とは平熱が 36.0 ℃以下のことをいいます。いつ測るかによって体温は違いますが、起床時
から3~5時間経過しても 36.0 ℃以下であれば低体温と考えてよいようです。
ストレスに晒されると人は交感神経を興奮させ血管が収縮して血行が滞り体温が下がる一
因となる。体温は一度上がると免疫力は5~6倍になり、逆に一度下がると30%低下す
るといわれています。
Ⅳ.精神障害の定義
- 171 -
ストレスが関与している症候として、心身症があげられる。心身症とは身体疾患の中で、
その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し、器質的ないし機能的障害がみとめら
れる病態をいう。ただし神経症やうつ病など他の精神障害にともなう身体症状は除外する
(日本心身医学会
1991 年)。心身症は、過敏性大腸炎、胃潰瘍、狭心症、月経不順、高
血圧、気管支喘息などの要素を有していることがあるとされている。いわゆる心の問題の
関与が大きく精神の緊張やストレスが背景にあり、心因により症状の増悪に影響するとさ
れている。
神経症はといえば、統合失調症や躁鬱病よりも軽症であり、病因が器質的なものによらな
い精神疾患のことを指している。軽度のパニック障害や強迫神経症がこれにあたり総称し
て神経症とされていたようですが、現代ではその曖昧さにより徐々に定義として使われな
くなくなってきたとのことです。
Ⅴ.何故現代はうつ病が多いのか?
精神疾患といえば重度であれば統合失調症や躁鬱病、中等度であれば神経症やパニック
障害、適応障害などがある。精神疾患の原因の分類として心因性、外因性、内因性に分け
られ、うつ病は脳の器質的要因と定義されている内因性に分類されている。しかしながら、
うつ病は内因性に分類されてはいるが、明確には原因は心と脳の両面からおこるとされて
いる。躁鬱病は重度の分類に入っていますが、うつ病は生活に支障を来さない軽症なもの
から、自殺企図などの重症例などが存在する。
DSM-IV の診断基準は、2 つの主要症状が基本となる。それは「抑うつ気分」と「興味
・喜びの喪失」である。精神症状と共に身体的な症状を生じる。身体的な症状は、診断に
先立って訴えられることもある。
(精神症状)
ボーっとすることが多くなり、口数が少なくなる。学校・会社・部活動では、休みがちに
なったり、不登校になる。脳が萎縮することで集中力がなくなり、運動神経や記憶力が低
下し、勉強ができなくなったり、人の話を聞かなくなる。「抑うつ気分」とは、気分の落ち
込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどである。
「興味・喜びの喪失」
とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態である。
この 2 つの主要症状のいずれかが、うつ病を診断するために必須の症状であるとされてい
- 172 -
る。これら主要症状に加えて、「抑うつ気分」と類似した症状として、「自分には何の価値
もないと感じる無価値感」、「自殺念慮・希死念慮」、「パニック障害」などがある。
(身体的症状)
頭が割れるような頭痛。不眠症などの睡眠障害。消化器系の疾患で急性胃炎、慢性胃炎、
胃潰瘍。摂食障害に伴い、食欲不振と体重の減少あるいは過食による体重増加。全身の様
々な部位の痛み(腰痛、頭痛など)訴えとしては「食欲がなく体重も減り、眠れなくて、
いらいらしてじっとしていられない」もしくは「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも
眠たく寝てばかりいて、体を動かせない」というものである。
(その他)
自己中心的な行動が増えることで、対人関係が悪化し、さらに病気を悪化させるという悪
循環が起きやすい。
うつ病には実際には躁とうつを繰り返す双極性との鑑別が大切とされている。また、再
発のない単極性、繰り返しうつ病を発症する反復性などの分類もあり、その病態を注意し
て観察する必要がある。いわゆる双極性でないうつ病のみのことを大うつ病性障害として
おり、これを一般的にうつ病と呼んでいる。
現代社会において、このうつ病症状と合致する臨床所見が多いものと思われます。つま
り、既に社会問題化しているという時点で、社会の構造やライフスタイルそのものが脳に
何らかの問題を生じさせていることが推察されるのである。
Ⅵ.ストレスとプレッシャーの克服
セロトニン道場で最もベースとなる基本原理は「ストレスには勝てない」という考え方
です。スポーツ場面においてプレッシャーに強い、プレッシャーに押しつぶされた、など
の表現がよく使われます。ただ大舞台で強さを発揮できる選手はいるもので、オリンピッ
クのメダリストなどはその典型です。このプレッシャーに強いという表現からも、ストレ
スに強い人、弱い人という表現もまかり通ってきます。
プレッシャーとストレスは何が違うのでしょうか。プレッシャーとは精神的重圧と辞書に
はあります。また失敗が許されない場面という状況設定がされています。ストレスにもい
ろいろな種類がありますが、その中でも勝負事がかかった場面においてはプレッシャーが
- 173 -
使われるものと思われます。プレッシャーの場合は強い弱いと表現されており、過去の失
敗などの経験が生きることなど紹介されています。つまり気持の持ちようなどで克服する
といった感じです。スポーツ選手などの談話や紹介されるドキュメントでは往々にして、
ストレスは心の問題として紹介されるため、ストレスの対処方法もカウンセリングなどの
心の持ちようを強調されます。そしてストレスに強い人とは心の強い人、強心臓の持ち主
といったイメージが強化されています。
プレッシャーは強靭な精神力にて克服できるという風潮そのものが、ストレス社会と割
れる現代において我々を苦しめている可能性があるわけです。強靭な精神力の実態がわか
らないで、なんとなく言葉として使っているからです。重度なストレスによってうつ病な
どに罹患している人たちに対して、いわゆる一般健康者は「気持の問題だ」と片付けてし
まう風潮があります。自身の問題として捉えられない、他人の気持ちはわからない、その
境遇になってみないとわからない、というのはある意味仕方がないことでもあり、健常者
の発想そのものが具体的な心理的なストレスの対処方法や解明を遅らせていたのかもしれ
ません。
Ⅶ..「身体的ストレス」と「精神的ストレス」の刺激と反応
ストレスには「身体的ストレス」と「精神的ストレス」の二種類があります。また、この
ストレスは原因となる刺激と結果としておこる反応に分けられます。ホメオスタシスを直
接乱す刺激は身体的なストレス刺激であり、プレッシャーなどの生体がホメオスタシスを
乱すと判断した刺激は精神的ストレス刺激に入ります。このあたりの分類分けは明確では
ないようですが、ここでは刺激と反応を分けて話を進めていきます。
身体的ストレス刺激は暑さや寒さ、疼痛などの感覚器が直接感じる刺激になります。精神
的ストレス刺激は、悲しみや辛さなどの境遇に関するものになります。身体的ストレスに
対する反応については、自律神経失調などのメカニズムが明らかにされています。身体的
なストレス刺激は、環境を変えることで容易に改善が可能ですが、精神的なストレス刺激
においては取り除くことは困難です。もちろん精神的なストレス環境を変えればいいので
すが、社会生活そのものがストレスとなっている現代において全てを放り出して南国に行
くというような発想は夢物語でしかありません。実際に、そのような環境の変化ができた
としても、新たなストレスを生む可能性があります。沖縄やオーストラリアに移住しても、
- 174 -
一年あまりで帰ってきてしまうといったことからも必ずしも癒しスポットと呼ばれる環境
への移住がストレスの改善にはつながらないのです。
病気や怪我で肉体的なダメージにより、ストレスを抱えている人たちがいることは事実で
すが、現代はどちらかというと肉体的なストレスよりも、精神的なストレスが社会問題と
なっています。もちろん、身体的および精神的なストレス反応は双方向性であり、どのよ
うなストレス刺激によっても心身の反応の出方は個人差があると思いますが、心だけ身体
だけという反応の出方はしないでしょう。
鬱病やパニック症候群、自殺の問題などはその典型であり、もはや気持の問題とか考え方
の問題などというような自己責任的な考え方では対処できない社会問題となっています。
Ⅷ.現代社会と脳ストレス
ⅰ.ドーパミン的価値観とセロトニン的価値観
ドーパミン的価値観とは右肩上がりの高度成長期に代表される、頑張った分だけ結果と
報酬が得られるというシステムのなかで生まれる考え方といえます。始まりは、明治維新
に遡りますが、西洋文明、西洋思想が日本に入ってくることで、個人主義、能力主義がよ
り鮮明に色濃く反映された社会となりました。努力したことがそのまま結果となって報酬
につながらないという意味においては、戦後も同じような状況といえます。アメリカンド
リームはまさにドーパミン的価値観に基づいており、成功の証としてお金が全面にでてい
ます。このドーパミン神経は、快楽や報酬があると働く特徴がある。よって努力と成功が
セットであることが条件となっている。
しかしながら、高度成長期が終わり成熟した世の中となった現在、このドーパミン的価
値観が通用しなくなってきています。勉強をしていい大学を出ていい会社に入れば将来が
保障される時代は終わり、将来に対する明確な目標が見出しにくくなったのです。誰もが、
豊かになり中流意識が根付いて、余暇と娯楽を楽しみ世の中になって本当の意味でのハン
グリーが失われていることも背景にあります。豊かさとはお金や見た目の派手やかさでは
ないことに気づいてきた時代ともいえます。有名人がボランティアをやることで、本当の
意味においての喜びと充実感を味わっています。もちろんある程度の生活の豊かさは前提
ですが、人のためになることを損得勘定抜きでやるということが自らの心の満足感になる
- 175 -
のです。損か得かという時代から、共感することの喜びこそが人として元来持っている価
値観なのです。前頭前野は意欲や集中力そして共感を司っており、セロトニン神経の活性
化と深く関わっているのです。
日本は江戸時代に侍魂や武士道など独特の言いまわしで、日本人としての価値観を表し
てきました。これは人の為、他人のためという考え方が根底にあり、そのことが人間を幸
せにすることを知っているのです。日本人の根底には、この日本人的価値観が根付いてお
り、そのことが欧米式の成果主義、合理主義が日本社会に最終的には適さない理由なので
す。幕末の志士が日本人に共感をもって受け止められているのは、その本来持っている日
本人が日本人である所以となっている価値観、DNA のレベルで響いてくるからでしょう。
国際大会においてキャッチコピーが侍ブルー、侍スピリッツ、撫子ジャパンなどが無意識
のうちに標榜されるのは、日本人としてのルーツがそうさせるのだといえます。この自分
を捨ててチームや仲間のためにという考え方こそが、セロトニン的価値観であり日本人に
は最も必要なそして現代に求められている価値観なのです。
ⅱ.生活習慣病と脳ストレス
現代は、昼夜逆転の生活や、24時間営業の店など便利になった反面、心身ともに休ま
る暇がなくなっています。つまり、ゆっくりと休まる暇がなく膨大な情報を処理しながら、
次から次へと刺激を求めていく生活になっています。ロハスやリトリート、癒しが流行っ
て、原点回帰を求めるのは生体がバランスをとるための自然な営みであると思われます。
また、核家族化してパソコンや携帯電話の普及などで、ますます人と人とのコミュニケー
ション能力が損なわれる状況となっています。周りの環境もコンクリートで固められ、田
舎であっても野山で遊ぶという姿は消えつつあります。むしろ都会のほうがスポーツをす
る環境などが整えられ、運動をしているぐらいです。いずれにせよ、運動不足による運動
神経の低下は深刻な問題であり、その運動不足が心身の廃用を招き、身体のみならず情動
のコントロールを障害する結果となっています。
疲労の蓄積も免疫力を低下させる要因となり、徹夜などの睡眠不足が繰り返されると好中
球の可動レベルが低下してしまうという説もあります。また運動不足もストレスを増大さ
せる要因として挙げられます。動かないということは筋肉の収縮弛緩の機会が減少するこ
とであり、リンパ管の働きが低下することで循環が停滞してしまいます。リンパ管にはリ
- 176 -
ンパ球やマクロファージ、樹状細胞が内在しており流れが滞ると外からのウイルスなどが
侵入してきたときに速やかに対処できなくなります。また鼻呼吸の習慣化も免疫力低下を
予防する効果があります。鼻腔には線毛と粘膜に覆われたフィルターがあり、多くの細菌
やウイルスがこのフィルターにて排除されます。このように、ストレスとは心理的要因の
みならず身体的な背景も関係しており、同じ環境の同じストレス場面に遭遇しても身体の
抵抗性に差がでることが考えられます。
Ⅸ.ストレス反応に対する対処・治療方法
精神的ストレス反応については、長らく「気持や心の問題」として捉えられていたため、
具体的な対処方法が明確にならなりませんでした。もちろん何もせずに手をこまねいてい
たわけではなく、薬物療法やカウンセリングなどの治療方法にて対処してきたという歴史
があります。既存の方法も昔と比べ格段に進歩しており、病態に応じた治療方法が確立さ
れつつあるものと思われます。ただし、この社会現象と化した現状に追いついていないの
も事実であり、根本的に原因や対処方法を見直していく必要に迫られています。受動的な
方法からより能動的な方法は無いものか?その能動的な治療方法の先駆的な理論と実践方
法が、セロトニン神経の活性化であるといえます。
まず精神的ストレスを考えるときに大切なことは、精神的ストレスの反応とは何なのかを
はっきりさせることです。精神的ストレスの反応の正体は「脳が神経伝達物質を通じて感
じるストレス」しており、総称して「脳ストレス」と定義しています。脳にとって神経伝
達物質の阻害が起こることにより正常に機能しなくなるということです。脳がストレスを
感じるということは、必ずストレスを伝達する物質があり、それを抑制する機能もあると
いうことを前提として展開していきます。
繰り返しますが、うつ病は気持の問題ではなくて、脳のそれも神経伝達物質の問題である
ということです。本来、うつ病は内因性精神障害に分類されており、脳の器質的な問題と
されてきましが、その具体的な神経伝達物質および脳の局在が有田先生により解明された
ということです。
そして、治療の方針として「ストレスに対抗するのではなく、ストレスを受け流す体質を
つくる」機能により脳ストレスをコントロールするのです。
- 177 -
Ⅹ.気持や心が強くなるメカニズム
今まではストレスに勝つという発想で、気持で克服するという何の根拠もない漠然とした
ものでした。ストレスは無くすことはできないということを前提にすることで、スタンス
は変わってきます。ストレスが身体に入ってくることは避けようのない事実であり、過度
のストレスに対して、身体は必ず反応するわけです。あのイチローでさえも胃潰瘍になっ
たぐらいですから、身体は確実にストレスに反応するのです。
強靭な精神というと滝に打たれてなどの精神修行が思い浮かびますが、これだけやったの
だからというだけでは自信にならないことを私自身の経験からも感じます。大切なのは何
を積み重ねたかということであり、問題を克服するために論点を明確化し、実証性のある
具体的な対処方法を積み上げていくということなのです。滝を打たれることが大切なので
はなくて、滝を打たれることで何が得られるかが大切なのです。実感としては精神的なも
のであったとしても、その中身は身体の中で何かが変化しているという実証性が不可欠な
のです。このメカニズムのキーワードがセロトニン神経の活性なのです。
ⅩⅠ.セロトニン神経の活性化の方法。
ⅰ.セロトニン神経の活性化の方法としては以下の3つの柱があります。
① リズム運動:リズム運動は意識的な呼吸法やウィーキング、スクワット、咀嚼、自転車、
などがあげられます。
② 日光浴:日光浴は朝日を浴びるなど、太陽の出入りに合わせた規則正しい生活がベース
となります。
③ グルーミング:グルーミングとは動物でいえば毛づくろいのことであり、人間であれば
スキンシップがこれにあたります。広義にとらえると、人とのコミュニケーション、家族
の団らんや、地域社会のコニュニティーなどにつながってきます。
ⅱ.セロトニン神経の活性化の効果
① 意識の覚醒
② 情動の安定
- 178 -
③ 疼痛抑制
④ 姿勢筋・抗重力筋・運動ニューロンの促通効果
⑤ 自律神経調節
ⅲ.脳内での変化
① 血中セロトニン値:セロトニン神経が活性化すると、脳内および血中のセロトニンが増
えます。
② セロトニンは就寝時には分泌されないという特徴があります。つまり目覚めているとき
にセロトニン神経は活性化しているのです。これは運動時、安静時に関わらず常に活性化
しています。就寝時においてはレム睡眠では全く活動がみられず、ノンレム睡眠時に僅か
に見られる程度です。
③ 脳波:呼吸法においては5分後にはα波がみられ、15分でプラトーになるデータが示
されている。このα波は睡眠時やリラックス時のα波とは種を異にし、あくまで呼吸法に
て出てくるα波である。つまり座禅などで出てくるα波は眠くなったり活動性が下がるわ
けではなく、むしろ活動性が上がり元気になる。
④ セロトニン神経の変化:セロトニン神経活性のトレーニングを継続することで神経その
ものの変化がみられる。セロトニン神経にはオートレセプターによるネガティブフィード
バック機構を有しているが、トレーニングを継続することで、そのオートレセプターが減
少してくる。
ⅳ.活性化させるためのポイントとコツ。
セロトニン神経の活性化のポイントとしては以下が挙げられます。
① 複雑なリズムでなく単純なリズム運動が効果的
② 呼吸法で代表的な方法は座禅があるが、基本は入息出息に集中することである。つまり
漫然と呼吸をしても効果はなく、集中することが不可欠なのです。特に効果的なのは腹式
呼吸であり、呼気時に腹筋を締めるように意識すると良い。
③ リズム運動時に例えばお経を唱えるなど、運動時に声を出すことで集中力を高めること
ができます。お経などを唱えるという行為は、物語のようにストーリーがあり感情移入す
- 179 -
るわけでもなく、ただ機械的に声を出し続けていることになる。できるだけ考えないで唱
えることで、より集中力が増す。
④ ウォーキング:音楽を聴きながらウォーキングやジョギングをしている光景をよく目に
するが、音楽は歌詞などの意味が含まれるものよりも、リズム性のある音のほうが効果的
である。また身体をモニタリングしたり、何かしら集中できる状況を作り出すことが大切
である。
⑤ ヨガ:ヨガなどのボディーワークは呼吸と運動との連動性が強調されるエクササイズで
ある。ポーズと呼吸を協調させることでセロトニン神経が活性化される。
⑥ セロトニン神経の活性化は血中濃度を測定することで判断できる。研究結果によると各
種リズム運動5分後にはセロトニンが分泌され15分にてプラトーになる。つまり最低5
分以上のリズム運動を続けることが必要である。
① セロトニン神経の活性化の継続時間は一度であれば30分~二時間で効果が消失してし
ます。目安として毎日30分、三か月継続することでセロトニン神経そのものが変化しい
わゆるセロトニン神経を強化することができる。
ⅩⅠ.自らの体験
ヨガなどのエクササイズを呼吸にともない実践していくと、気持ちも体も落ち着いてきま
す。トレーニングが進んでくると普段の生活の中でも呼吸と動作が渾然一体化してきて、
いわゆる心身ともにコリが無くなってきます。
丹田呼吸を実践することで、まずは身体のバランスが整うことでコリが解消し、それにと
もない情動面においてもプラス効果が感じられます。
アロマテラピーなどの香りの効果もリフレッシュ・集中力・やる気の増進などを実感し
ており、セロトニン神経の関与がうかがえます。
全ての講座において、呼吸、グルーミング、リズム性がキーワードとなっており、手段
は違えども根本的な原理は共通項が見出せます。特に呼吸の効果は絶大であり、いかに横
隔膜呼吸が大切であるかがわかります。意識的な腹筋を使って呼気をベースとした呼吸、
ただ其れだけなのです。この簡単な方法にすばらしい脳ストレスを消すコンセプトが入っ
ているとは誰も気づかないでいます。
また、この忙しい現代生活のなかで、私の場合は問題に対してどのような思考をもつか?
- 180 -
というカウンセリング的な気持の持ちようも効果的でした。
慢性的な不安感を抱えている場合は、プレッシャーへの対処の仕方がわからなくなってい
るのかもしれません。漠然とした不安感や課題に対して積極的になれない自分が見え隠れ
します。追い込まれないとできないというジレンマがストレスになります。
その場合は、自分が抱えているプレッシャーを明確にすると楽になります。何に対して
不安なのか?をしっかりと対峙して見つめなおすことで、見えてくるものがあります。意
外にも、その原因を見つめていない自分に気がつきます。真正面から対峙するというスタ
ンスも時には必要かもしれません。
・自分がその仕事に対して、何故強いプレッシャーを抱えるのか。
・どこからこの不安感がでてきているのか。
・自分はどこでこの不安感を身につけたのか。
責任感の強さがプレッシャーに変わっている場合があります。どうやら自分の場合は完
璧にできない、すぐにそのゴールが見えてこないという課題に対しては逃避する思考パタ
ーンがあるようです。
・そういう場合は、自分が何故強い責任感を身につけたのかを考えてみます。
原理原則から知りたいという欲求があるのと、自分で納得しなければ記憶しようとしない
思考パターンが根本原因だと思われます。それは、原理原則を知りうる喜びが先に待って
いると思うことで前向きになれそうです。
ⅩⅡ.まとめ
セロトニン欠乏脳の温床ともいえる社会のなかで、いかにセロトニン的生活を啓蒙してい
く必要性が高まっています。このセロトニンが欠乏してしまう要因の一つにストレスがあ
ります。現代は便利にどんどんなってくることで、より快適な生活ができるはずだとそう
信じて高度成長をがむしゃらに働いてきたはずなのに、ストレスは一向に減らないという
矛盾した現象がみられます。
現代の心の問題は、生活習慣病としての側面が多分にあり、規則正しい生活と運動そのも
のが改善されなければ根本的な解決に至らないのです。その大切な柱である運動指導は、
身体運動の専門家であるインストラクターやリハビリ従事者などが適任なのです。
また実際に心の問題やストレスを感じている人たちにとっても、可逆的な初期の段階で予
- 181 -
防し対処しておくことが大切です。ちょっとした生活の中で実践できることでセロトニン
神経を活性化できる方法はたくさんあります。大切なことは、その効果のある行為を意識
するかどうかなのです。セロトニン的生活を身につけ、物質的な豊かさではない真の幸せ
はココロのあり様にかかってきます。そのココロの背景には脳があり、セロトニン神経が
鍵を握っているのです。
参考文献
4
片頭痛と胸鎖乳突筋
このため、ある整体師のコメントを、提示致します。
整体をしていて気付いたのは、片頭痛持ちの人の共通点として、胸鎖乳突筋とうなじの
筋肉の左右のバランスが悪いということです。そして、これらの筋肉の凝りが酷い方に片
頭痛が発生するようです。
そこで、これらの筋肉をほぐせば、片頭痛を防止できるのではないかと思います。
胸鎖乳突筋のほぐし方のコツ
胸鎖乳突筋は、耳の後から首の前へと斜めに繋がっている筋肉です。この筋肉の裏には
リンパ腺が走っていて、下方向に流れています。胸鎖乳突筋をほぐすことでこのリンパの
流れが良くなるので頭がすっきりします。
具体的には、この筋肉を指で軽くつまんで下方向へ引っ張る感じでマッサージします。
5 分ほどで良いと思います。
うなじの筋肉のほぐし方のコツ
首の骨の側面が縦方向に凝っていると思います。また、頭と首の境目が特に凝っている
- 182 -
と思います。
首の骨の側面は、指で押圧すればそのうち楽になると思いますが、頭と首の境目は痛い
ので、余計に悪くなるような気がします。
もしできるなら、他の人に首を斜めに軽く引っ張ってもらうと良いでしょう。引っ張っ
てもらうコツは、ゆっくりと筋肉を伸ばすようにして、勢いは絶対につけないようにして
ください。
頭痛の治療は日本橋整体院が最も得意とする症状の一つです。
ひとくちに頭痛と言ってもさまざまな頭痛があります。
後頭部の頭痛、こめかみの頭痛、目の周りの頭痛、偏頭痛(片頭痛)、頭全体の頭痛・・
・。
後頭部の頭痛に対しては頚椎1番、2番の調整が必要です。
アゴの後ろにも頚椎1番の圧痛が出ることが多いので
アゴの圧痛も処理します。頚椎2
番は首の後ろだけではなく、首の横や前にも圧痛が出ます。これも PRT で処理します
必要であれば頭蓋骨の調整もします。
肩こりから頭痛になる場合も多く、その場合は首と頭を乗せている土台の肩の歪みを正
すのが先決です。土台の歪みが消えれば
その上に立っている建物(首と頭)もしっかり
としてきます。
具体的には胸と腕の筋肉の緊張を弛めます。
こめかみの頭痛、目の周りの頭痛は耳の後ろから鎖骨にかけて首をななめに横切る筋肉
(胸鎖乳突筋)が関与していることが多く目の奥に痛みや熱感、重さ、目がかすむ、など
の症状を訴える方が多いようです。
目の奥の痛みはお問い合わせも多く日本橋整体院が最も得意とする症状の一つです。
これは胸鎖乳突筋のトリガーポイントによるものと頚椎が関与しているもの、両者が混
在しているものとがあります。
- 183 -
胸鎖乳突筋のトリガー・ポイントを不活性化させ頚椎2番の調整をすればすぐに解消しま
す。
実際、一回でこんなに楽になるとは思わなかった・・・とおっしゃる方も大勢いらっしゃ
います。
以上です。
自律神経との関連
血管は、自律神経の働きによって支配されています。自律神経のコントロールが出来て
いないと片頭痛を起こしやすくなります。
自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経と副交感神経は正反対の働
きをします。
交感神経の働きは、血管を収縮させ、心拍数がを増加させ、血圧を上昇させます。
副交感神経の働きは、血管を拡張させ、心拍数を減少させ、血圧を低下させます。
一般にストレスを受けると交感神経が優位になり、身体は緊張状態になります。片頭痛
ではこの自律神経のバランスが崩れていることが多く見られます。
仕事のノルマ、プレッシャー、人間関係、通勤、不規則な食生活、睡眠不足など
精神的・身体的ストレスにより、交感神経ばかりはたらく生活が片頭痛の原因なのです。
片頭痛の明確な治療法はありませんが、交感神経をおさえて、副交感神経(休息・回復・
リラックス)を働かせることが大切です。
とはいえ、副交感神経を働かせたいと思っても、意識してできるものではありません。
でも、マッサージをされて眠たくなった経験、ありますよね?
体が緩んだからなのですが、眠たくなるのは副交感神経が活性化した証拠です。
自律神経は自分の意識では動かせませんが、体を緩めることはできます。
普段の生活で体を緩めるよう心がけるのも、片頭痛の大切な対処法の1つです。
また、自律神経と背骨は深い関係にあります。背骨の調節を行い機能を正常にすること
によって、自律神経のバランスが整い、片頭痛の改善が期待できます。特に首の上部(上
- 184 -
部頚椎)が重要で、上部頚椎に問題が見られることが多いようです。
『頭痛・片頭痛はあくまでも結果であり、それ自体が問題なのではありません。大事なの
は、その背景にある生活習慣や環境、または自己暗示的なものや社会心理的要素などが問
題点となって症状を作り出している』ということです。
『
ストレスからだろう・・・
』
この言葉は非常に大事です。
心が体に与える影響がどれだけ大きいことか、
、、、
多くの人は、頭痛・片頭痛を感じると「消したい」「治したい」と思います。ところが病院
では原因はわからない。もらった薬も特に効かない。そうなるとますます不安になります。
こうしたストレスが生理的な緊張を呼び、その緊張が自律神経を乱して慢性症状に拍車
をかける一つの原因だということがわかってきました。まさに悪循環です。
悪い生活習慣・ストレス等、様々なきっかけで自律率神経が乱れます。→
交感神経が優位に立ち体に緊張を起こします。頭痛・片頭痛発症します。→
強いストレスに陥る。→さらに症状が強くなる。→意識・無意識に限らず症状が習慣化
される。→
頭痛・片頭痛は更に続く・・・
上記の例では主に自律神経の影響を表していますが、もちろんそこから2次的、3次的
な頭痛・片頭痛対策の原因も考えられるわけです。
例えば体の酸素欠乏です。
酸素欠乏とは、筋肉や血管などが異常収縮してしまい、体に必要な酸素が十分に送られ
なくなる状態のことです。これにより各神経系の衰弱化がはじまり、頭痛・片頭痛などの
不快な症状を感じるようになります。
あなたは頭痛・片頭痛以外に首筋が辛かったり、肩がこったり、腰が痛かったり、とにか
く疲労がたまりやすい体をしていないでしょうか?
コリというものに、それほど自覚症状がない人も、誰かに肩や背中などを触ってもらって
- 185 -
みてください。「よく凝ってるわぁ」などと言われることでしょう。
頭痛・片頭痛を訴える方には、こうした2次的、3次的な症状を引き起こしているのが特
徴でもあり、その多くは自律神経の乱れや酸素欠乏、そして精神的ストレスによるものが
強い影響を与えていると考えられるのです。
そこで、これらの悪循環にストップをかけていくことがポイントになるのですが、今まで
薬だけでは、なぜあなたの症状は改善してくれなかったのか?
それはやはり、薬だけではカバーできない部分、つまりストレスへの対処やそこから発生
する、あらゆる体の緊張など、改善・対策すべきポイントを誰も教えてくれなかったから
ではないでしょうか。
そこで、慢性的な頭痛・片頭痛でお悩みの方に朗報です。
「病院に行っても相手にされない!原因がわからない!」
「なかなか効果の出る薬や治療に巡り会えない!」
「このままずっと薬漬けで生活していくのはイヤだ!!」
等々・・・
そうお悩みの方にとって症状克服の重要ポイントとなる、自律神経の乱れ、筋肉の緊張、
そして心身のコントロールといった改善のポイントをまとめた対策法がありますので、見
ていくことにしましょう。
頭痛・片頭痛を感じている方には様々な緊張が、体中至る所に存在します。その緊張は、
不自然な歪みや血行不良を起こします。
こうした機能低下の引き金となっている重要な筋肉があります。
それが胸鎖乳突筋と呼ばれる筋肉です。ちょうど頭の付け根(耳の後ろあたり)から、首
筋(くびすじ)、鎖骨にかけて首の両側に付いています。
■慢性頭痛の元をしっかり絶つ!
- 186 -
この筋肉の緊張は頭痛やめまい、耳鳴り、難聴などの引き金になる原因筋と考えられ、
おおかた自律神経を司る筋肉とみる治療家もいるほどです。
頭痛・片頭痛に悩む方の多くは、この筋肉の影響によって、首のいたるところに突っ張
りやコリ・鈍痛を感じるのが特徴でもあります。(一度、首や肩を色々と押してみてくださ
い。痛みやコリを感じる部分があるはずです)
そういったことから、この胸鎖乳突筋の緊張を和らげることが、頭痛・片頭痛のひとつの
改善ポイントになってくるのです。
しかし、胸鎖乳突筋は重要な筋肉だけに非常に凝りやすく、日常生活でのストレス、肉体
疲労、不摂生など、様々な環境からすぐに影響を受けてバランスを崩してしまいます。
ですから、マッサージや骨格矯正などで一時的に緊張を緩和することが出来ても、その
緩和した状態を維持させることは至難の業でした。
以上、自律神経がバランスよく働くには、規則的生活と睡眠、さらにストレスをなくす
ことが極めて大切です。
参考文献
5
気象病
私たちの身体は、日々、天気の影響を受けています。特に、関節リウマチ、片頭痛、腰痛
といった慢性の痛みをもつ患者さんでは、雨の日や寒い日に、痛みがひどくなるようです。
このような身体と天気の関係に対する概念は古く、古代ギリシャ時代までさかのぼりま
す。ドイツでは、1952 年からハンブルグ気象台で、気象が健康状態に与える影響の予報が
- 187 -
行われていたそうです。日本でも、1962 年に設立された「日本生気象学会」で、身体と健
康の研究が進められ、近年では、「健康天気予報」といった気象の変化を事前に知り、予防
を行うためのサービスも登場しています。
痛みに影響する気象の変化の一つは、気圧の低下だといわれています。外部の気圧が低
下すると、関節が膨張し、痛みが生じるようです。また、気温の低下も痛みを引き起こす
といわれています。これは、気温が低下することで血液の流れが悪くなり、交感神経が刺
激されることで痛みが生じると考えられています。しかし、全ての痛みの悪化が天気のせ
いだというわけではありません。いつも感じる天候による痛みとは違った、症状の変化を
感じた場合には、何かの原因疾患が隠れている可能性もあるため、医師に相談しましょう。
また最近、天気痛とか気象病という概念があります。
天気痛…気象の急変をもたらす前線の通過などによって起こる体の痛み。リウマチ、外
傷、神経疾患(片頭痛、頸椎症等々)の痛みなど。
気象病…天候や時間~日単位での気温や気圧・湿度などの気象条件の変化が、痛みに限
らず症状の変化の引き金になる疾患
直接原因は自律神経のパニックと血行の悪化とむくみ
交感神経と副交感神経からなる自律神経のうち、痛みと関連が強いのは 「体のテンショ
ンを上げる」交感神経の方です。天候が変わる程度の 範囲の変化では、気圧は低いと、ま
た温度は下がると、そして湿度は高いと、交感神経の作用で 痛みを感じやすくなることが
証明されました。しかし寒いけれど湿度も低い冬は、リウマチの 症状はむしろ軽くなる方
も多いことから、特に痛みに関しては、温度に較べて気圧と湿度の影響力 が大きいようで
す。
交感神経の作用で痛みが増すのは、筋肉や関節周辺では血管を収縮させ、血行が悪くな
- 188 -
り、 疲労物質がたまることが主因です。一方脳の血流は逆に増やすため、血管の拍動が主
原因の片頭痛も 起きやすくなります。さらに、痛いという感覚自体が交感神経を刺激して、
悪循環になります。
気圧が下がると副交感神経が優勢になりローテンションになります。天気が悪いとやる
気が起きずボーっとしてしまうのはこの作用が関係しています。
また副交感神経優位になると筋肉が緩み、関節の圧力が下がります。
最近、気圧が低下すると、ヒスタミンという物質が増えることがわかりました。ヒスタ
ミンは、外部からの刺激に反応して増え、アレルギーや関節の炎症を起こします。他に血
管を拡張させる作用や血管から水分などが周囲の組織にしみ出させる作用により、血圧を
急低下させたりします。トレーニング中や筋肉痛で筋肉がパンパンに張り、痛いのもこの
ヒスタミンの作用です。またヒスタミンは、神経伝達物質としては交感神経を刺激します。
気圧の低下で基本的に副交感神経が優勢になりローテンションでけだるいところに、ヒス
タミンの作用で交感神経への逆の指令も来るため、自律神経の統合が取れない状態となる
上に、ヒスタミンと交感神経のダブルの作用で血行が悪くなり、痛みに対処できなくなり
ます。 このようにして天気痛は現れます。むくみも血行が低下し疲労物質がたまる原因に
なります。また体液のカルシウムイオンが薄まることで、 筋肉や神経が過敏になって痛み
が出やすくなります。さらに汗が引きにくいことで、不快感もさることながら、 体温調節
しにくくなり、自律神経のバランスの乱れに拍車を かけます。
雨降りの前後の気圧のアップダウンと湿度の上昇による自律神経失調状態+むくみ+血行
の悪化が、 関節痛、神経痛、古傷の痛みを引き起すようです。
痛み対策
天気痛の対策には、筋肉を適度に使い疲労物質になっているヒスタミンを筋肉から押し
出すために、血行をよくする事が大切です。血行をよくするには自転車やウォーキングな
どの全身をほどよく使い、血液循環を促す有酸素運動がお勧めです。
夏は自律神経が正常に体温調節をするためには水分を出し入れすることが重要 なので、
上手にとって、ちゃんと出すことです。生の野菜や果物は、適度に水分を補給でき、 自律
神経を整えるビタミン C と、利尿作用のあるカリウムに富み、体の熱を放散させる効果が
- 189 -
あります。 とくに夏が旬のきゅうりやすいかなどのうり系統と、トマトや茄子などのなす
系統がおすすめです。 それから、自律神経や痛覚の神経をなだめ、骨や関節を強くするカ
ルシウムをとるよう心がけましょう。 牛乳だとお腹の調子が悪くなる・水分の摂りすぎが
心配、という方は、チーズやヨーグルト、 小魚など、手を変え品を変えるようにするとよ
いでしょう。
ストレッチも効果的
ストレッチなら自宅でも手軽にできます。
種目は痛みを感じる関節周りの筋肉をストレッチできるものを選んでください。筋肉を伸
ばす事でポンプ作用などが発生して、血行が改善されます。重要なのは痛みが感じない程
度で止めておくこと。その位置で 30 秒程止めましょう。種目数は一つの関節周りに対して
2~3種目行うと効果的です。
入浴と睡眠も効果的
夏ばてや冷え症と原因が似ていることもあり、対策もかなり共通します。
お風呂は強い味方です。汗をかく上にすっきり流して余分な水分を出し、さらに血行もよ
くなります のでむくみに大変効果的です。湿気と冷えは悪化の要因ですので、お風呂あが
りはしっかり拭いて、血行を妨げない ゆったりした服装を。冬は保温性第一ですが、夏の
場合は、体に熱がこもるのもよくありません。 続いて出てくる汗が引きやすいよう、通気
性と吸湿性がよいものを。全身の血行を上げるためには、普段より少しだけ心拍数を上げ
た状態を長くキープして体温を上げれば良いので、入浴も効果的です。この場合は、20 分
~ 30 分かけて十分に汗をかいてください。
また、自律神経のバランスをとるために睡眠を十分に取り、疲れを溜めない事も重要です。
自律神経を鍛えて気象病を予防しましょう!
自律神経には気持ちを高ぶらせる「交感神経」と、リラックスさせる「副交感神経」の
2つがあり、この2つの神経がうまくバランスをとることで、私たちの体は正常に働いて
- 190 -
います。自律神経は言葉の通り”自律”した神経で、自分の意志ではコントロールするこ
とができません。(心臓や汗など)しかし、1つだけコントロールできるものがあります。
それは”呼吸”です。腹式呼吸で吸う(交感神経に作用)と吐く(副交感神経の作用)の
バランスを整えることによって乱れてしまった自律神経を元に戻すことができるのです。
腹式呼吸で自律神経のバランスを整えましょう!
腹式呼吸の利点
・息を吐くことに集中することで副交感神経が優性になり頭痛の緩和につながる
・腹式呼吸は、肺が大きく膨らみ酸素を多く取り込むため、血行がよくなる
腹式呼吸のやり方
椅子にゆったりと腰かけ、両手をおへそから指1本分下で重ね合わせ軽く目をつぶる
お腹を引っ込ませながらゆっくりと鼻から息を吐く
息を吐ききったら、自然と息を吸う(お腹を膨らませながら)
一度息を止めてから再度ゆっくりと息を吐く
以上を 10 回繰り返します
寝る前に行うと安眠効果もあります。
体調の悪い時には無理をしないで下さい
以上のように考えますと、気象が引き金となる片頭痛の方は、生まれつきの先天的な「脳
の興奮性・過敏さ」によるものと考えるよりは、「片頭痛体質」のある人が、ストレスや不
規則な生活習慣によって「自律神経の乱れ」を起こして、生じてくるものとも考えられな
くもありません。こういった意味合いで、改善の可能性が残されているのではないでしょ
うか?
- 191 -
参考文献
6
「体のユガミの簡単チェックと矯正法」
松岡勝彦
1.こんな姿勢や動作が体のユガミを作っている。
あなたの日常生活を振り返ってみてください。こんな姿勢や体の使い方をしていませんか?
★ あなたのこんな姿勢や体の使い方が、骨盤のユガミを作ってしまう。
◎ イスに座るとつい脚を組んでしまう
◎ ヒールの高いクツを長時間履いている
◎ 立っている時はたいていどちらかの足に体重を乗せている
◎ 横座りをする
◎ 立ち仕事や中腰の姿勢でいることが多い
◎ いつもどちらかを下にして横向きに寝ている
◎ または、うつ伏せになって寝ている
◎ 長時間座りっぱなしの仕事
- 192 -
◎ イスやソファーに浅く座ってしまう
◎ バックなどはいつも同じ方の肩にかける
◎ 重たいモノを持つ仕事をしている
◎ 赤ちゃんをダッコしていることが多いなど
いかがですか、思い当たることはありませんか?
このような体の使い方をしていると、知らず知らずのうちに仙腸関節がズレ、骨盤のユガ
ミから脊椎( 背骨) のユガミが生じてきます。
頭痛、肩こり、首のコリ、背中やそうして、胸の痛み、腰痛、股関節の痛み、膝の痛み、
足のむくみ、冷え症、生理痛などを引き起こしてしまうのです。
2.では、体( 背骨) が歪む( ユガム) とはどういうことでしょうか? なぜ、歪むの
でしょうか?
操体法を作られた橋本先生は、「人間は動く建物だ」と言われます。
動物はもともと四つんばいで家の形になるように設計されています。屋根の棟が脊椎で、
骨盤と肩胛骨が前後でそれを支え、四肢が柱です。これが基本の構造です。
ところが人間は、手と脳を発達させるために立ち上がってしまったので、四つ足で歩く
動物にはおこらない、脊柱の歪みが非常におこりやすくなりました。
頭の重さを短い椎骨を積み上げた柱で支えなければならない上、誰もが右ききだったり
左ききだったり、重心に偏りがあったり、仕事の都合で偏った運動を続けたりするからで
す。脊柱にはすべての内臓とつながる神経がありますから、脊柱の歪みは内臓にすぐ影響
します。また脊柱以外でも、局所の連続的な疲労が歪みの原因になることもあります。
しかし、ほとんどの人が自分自身の体のユガミに気が付いていないのが現実です。
体の怠さや、一部分の痛みやシビレ、不快感などを感じても、体のユガミを意識する人は
いません。
そして、その痛みやシビレ、不快感を感じている処だけ何とかしようと、対処療法に
走っているのです。
- 193 -
1.体( 背骨) のユガミは、仙腸関節のズレから
不自然な姿勢や体の使い方で、上半身の重みを支える仙腸関節にズレが生じます。
仙腸関節のズレは、骨盤のユガミを作り、骨盤を傾かせます。その結果、その上に
乗っている、背骨( 脊柱) をねじってしまいます。
これは一例ですが、骨盤のユガミの方向や上半身の体の使い方によって様々な方向に脊柱
( 背骨) はねじれていきます。
その結果、脊柱( 背骨) の中を通っている脊髄神経がネジレ、さらに各椎骨の間から出
ている神経が圧迫を受け、内臓をはじめとして全身に様々な症状を引き起こすと考えられ
ています。
( 脊柱を通る神経の働きには2 つあります。ひとつは体の色々な情報を脳に伝えること
「知覚神経」、もうひとつは脳からの命令を筋肉や器官などに伝えること「運動神経」
です。さらに、この脊髄にはすべての内臓の働きを支配する自律神経の大部分が
含まれていますから、体内の呼吸、消化、吸収、循環、排泄、分泌、生殖など生命の
基本的な機能に関係しているのです。)
また、背骨のネジレによって背骨を支える筋肉のアンバランスを引き起こし、様々な部位
での緊張や関節のひずみを作ってしまいます。これが、コリや痛みの正体です。
このユガミを放置したまま生活していくと、ユガミは段々深くなっていきます。
「操体」理論では、これを四つの段階に分けています。
1 ) まず形態的・運動的にユガミが発生する。本人は気づかない場合が多い。
2 ) 感覚異常が生じる。痛い、凝った、うまく動かない、不快感があるなどの愁訴がで
る。
普段は潜在していて、何かの拍子にでてくる不快感もある。
3 ) そのまま以上の状態が続くと、内部の機能に異常が出てくる。体の感じが悪いこと
と、ある部分の働きが悪くなることがこの段階で結びついてくる。
西洋医学で言えば、精密検査をすれば機能が低下していることが分かるが、それは
ひとつの傾向でまだ病気ではないとされ、治療手段はたいていの場合、ない。
4 ) それが進むと器質破壊となる。例えば食欲がなくなったり、胃がもたれたり、下痢
をしやすくなったりしていたのが、潰瘍として定着する。
- 194 -
西洋医学ではやっとこの段階になって病名が決まり、病名が決まることではじめて治療法
も決まるといった感じですね。
橋本先生の言葉をかりれば、「胃に創( きず) が付いたことが原因で、からだがだるか
ったり、尿の出が悪くなったり、下痢になったりしているように考えがちです。しかし、
事実はまったく逆であり、からだがだるいというように歪みがあるから、それが蓄積・進
行して、ついには胃に創がついたのです。」( 農山漁村文化協会「万病を治せる妙療法」)
ということです。
こう考えてみると、これまで胃薬を飲んでも、一時的に症状がとれることがあっても良く
なるわけはないし、潰瘍を切り取ってみても「体のユガミ」がある限り、また別の潰瘍が
出来たり、別の症状が出て来ることは目に見えています。
しかし逆に、もし「体のユガミ」を正していくことができれば、病気が進んだのと同じ経
過をたって治療が進んでいくのです。
2.「操体」はこの「体のユガミ」を正していく療法です。
私たち人間は、最新の科学技術を駆使したコンピューターやロボットでもまねのできな
い、素晴らしい内部感覚というものを本来もっているのです。
自分の体の状態を知るうえで、とても大切なこの感覚を、人間の原始感覚と言っても
よいでしょう。
操体療法では、この自分の感覚で、体のどこに、どんな歪みがあるのかを知ることが、
痛みや・コリをとる出発点になっています。
つまり、自分の原始感覚にたずねながら、体を動かして診て、痛みやコリの発生する
動きや方向を知り、自分で自分を癒す方法です。
これは、動かして診る→気持の良い方に動く→緊張させてから弛緩させる、という自然
に逆らわない三つの動きで体のバランスを回復することが基本になっています。
例えば、左右の肩をゆっくりと上下して、どちらの肩を上げるのが気持ち
いいのかを自分の感覚で判断します。(動かして診る)
次に気持ちの良い方が分かったら、気持ちの良い方の肩を上げる動きをします。
( 気持ちの良い方に動く)
- 195 -
反対の手で、上げようとする肩を押さえ、軽く抵抗します。しばらく( 2 ~ 3 秒) そ
の状態を保ってから、ストンと全身の力を抜きます。(緊張させてから弛緩させる)
この動作を2 ~ 3 回繰り返します。
では、もう一度左右の肩を上げ下げしてみてください。どうですか、先ほど上げにくかっ
た方の肩が、上がりやすくなっているでしょう。
少し練習をすれば、はじめての人でも簡単に安心してできるこの操体療法で、体のユガミ
をとって、バランスを整えれば、様々な症状を改善することができます。
3.では実際にあなたの体のユガミをチェックしてみましょう。
a . 片足立ちです。
まずは、目を開けたままで片足立ちをします。その状態でゆっくりと目を閉じてみましょ
う。
同様に反対の足で片足立ちをしてください。
どちらの足がグラグラしますか? グラグラする方の骨盤がズレています。両方ともグラ
グラする人は両方の骨盤がズレていますよ。
b.指先を合わせる方法です。
両目を閉じて、両手を横に広げます。人さし指を伸ばし、手首を内側に向けます。
両手を伸ばしたままで、ゆっくりと人さし指の先を合わせるように動かしていきます。
左右の人さし指の先がピッタリと合いましたか?
前後にずれていたり、上下にずれていたりと様々ではないでしょうか。ずれが大きいほど、
骨盤のユガミが大きいのです。
6.今の体の状態が分かったところで、骨盤のユガミを整える簡単な体操をしましょう。
この体操を操体といいます。操体のコツは、気持ちの良い方に動いて、しばらくその状態
を楽しみ、ポンと力を抜くことです。体と気持ちをリラックスさせ、ゆっくりと行ってく
ださい。
※ できれば、腹式呼吸で鼻から吸って、口からゆっくりと息を吐きながら行ってください。
① 左右の足の重さ比べ
- 196 -
楽に上を向いて寝た姿勢で、足を伸ばしたまま1 0 ~ 2 0 c m ほど床から足を上げ
てみます。
左右交互にゆっくりと、右足と左足の重さを比べてください。
※ お風呂の中でお湯の表面が波立たないくらいの、ゆっくりした動きで比べてください。
体の中の微妙な動きや違和感、重さなどを感じてくださいね。
左右の重さの違いが分かりましたか?
重さは変わらないけど、片方は気持ち良く上がり、反対の足は何だか違和感がある
という場合も当てはまります。
※ どちらを上げても違和感はないし、重さも変わらないと感じた場合には、この操法は
行いません。
重さの違いや、違和感や痛みのある・なしが分かれば、操法( 体操) に入ります。
まず軽く息をすって、吐きながら重く感じた方( 違和感や痛みのある方) の足を床に
軽く押しつけるように力を入れます。
同時に軽く感じた方の足( 楽な方) は1 0 ~ 2 0 c m ほど上にあげてください。
無理をせず、必ず気持ちの良い範囲で上げてください。
そのままの姿勢で、もう一度息をすって止めます。2 ~ 3 秒ほど保った後、息を吐くの
と同時に脱力します。上げていた足をストンと落としてください。
4 ~ 5 回繰り返してください。その後で、もう一度左右を比べてみます。
だいたい同じ感じになればO K 。
( 重かったのが、軽くなったと感じる場合もあります。)
② 左右の踵の伸ばし比べ
楽に上を向いて寝た姿勢で、左右のかかとを突き出すような感じで、交互にゆっくり伸ば
します。腰から下を伸ばすような感じです。
お風呂の中でお湯の表面が波立たないくらいの、ゆっくりした動きで比べてください。
体の中の微妙な動きや違和感、重さなどを感じてくださいね。
気持ちよく伸びる方が分かりましたか?
※ 痛いけど気持ちが良いは、N G ( ノーグッド) ですよ。気持ち良くスーッと動く方
を探してくださいね。
どちらも同じような感じで伸ばせるし、痛みも違和感もない場合にはこの操法は
行いません。
気持ちよくのびる方が分かれば、操法( 体操) に入ります。
- 197 -
まず軽く息をすって、吐きながら気持ちよく伸びる方の足を気持ちよく伸ばします。
※ 腰から下を伸ばすような気持ちで、踵を気持ちよく伸ばしてください。反対の腰は
心持ち上にあげるような感じです。
上半身も自由に動かして全身が気持ちの良い状態を作ることができればベストです。
そのままの姿勢で、もう一度息をすって止めます。しばらく( 2 ~ 3 秒ほど) 力を
入れたままにした後、息を吐くのと同時にストンと脱力します。
4 ~ 5 回繰り返してください。その後で、もう一度左右を比べてみる。
だいたい同じ感じになればO K です。
③ 両膝の左右への倒し比べ
楽に上を向いて寝ます。腰幅くらいに足を開いて、気持ちの良い角度で両膝を立てて
ください。
この状態から、ゆっくり左右に両膝を倒してください。上半身はそのままにして、下半身
を倒れるところまで倒してみます。
※ お風呂の中でお湯の表面が波立たないくらいのゆっくりした動きで比べてください。体
の中の微妙な動きや違和感、重さなどを感じてください。
どちらか倒れにくい方があれば、それ以上無理をしないでください。
気持ちよく倒せる方が分かりましたか?
※ 痛いけど気持ちが良いは、N G ( ノーグッド) ですよ。気持ち良くスーッと動く方
を探してくださいね。
どちらも同じような感じで倒せるし、どちらにも痛みや違和感がない場合にはこの操法は
行いません。
気持ちよく倒せる方が分かれば、操法( 体操) に入ります。
まず軽く息をすって、吐きながら、ゆっくりと両膝を気持ちの良い方に、倒していきます。
※ できる人は、腰をひねる感じで、膝を気持ちの良いところまで倒します。必ず上半身も
含めて全身が気持ちの良い動きをします。
そのままの姿勢で、もう一度息をすって止めます。しばらく( 2 ~ 3 秒ほど) 力を
入れたままにした後、息を吐くのと同時に腰の力をポンと抜いて脱力します。
4 ~ 5 回繰り返してください。その後で、もう一度左右へ倒し比べてみます。
だいたい同じ感じになればO K です。
- 198 -
★ 一度に整えてしまうことは無理です。
それと、「まだ肩の痛みや腰の痛みが残っているよ」って、言われる皆さんに説明します。
骨盤のユガミを整えたということは、土台になる部分を整えたことになります。しかし、
それまでの長期間にわたる間違った体の使い方や習慣で、様々な部位に緊張を残していま
す。土台である骨盤を整えたとはいえ、すぐに各部の緊張が取れるわけではありません。
気になる部分の痛みや不快感を改善したい場合は、各部位に対応した体操( 操法) をす
る必要があります。
その場合には、こちらを参照してください。http://www.soutaido.jp/soutai-top.htm
とはいえ、骨盤を整えることによって、今までの足の長さ違いが改善されますから、
当然歩き方も姿勢も変わってきます。姿勢が良くなり、疲れにくくなります。
繰り返し行うことで、体のバランスが整ってきますので、様々な症状が改善されてきます。
参考文献
7
ストレスへの耐性を高めるセロトニン神経
現代社会ではストレスは避けて通れません。しかし、その過剰な蓄積は、胃潰瘍、高血
圧など身体への影響だけではなく、鬱など心への影響が心配されます。
これにどう対応すればよいのでしょうか。ストレス回避が不可能だとすれば選択肢は 2
つしかありません。ストレスを解消するか、ストレス耐性を持つことです。
ストレスに強い心と体を作るために非常に重要な神経があります。脳内のセロトニン神
経です。セロトニン研究の第一人者である東邦大学医学部の有田秀穂教授は、この神経が
ストレス耐性を高めるカギを握っていることを解明しました。
セロトニン神経の強化でストレス耐性は高まる
- 199 -
「150 億もあると言われている脳の神経細胞の中で、セロトニン神経はわずか数万個し
かありません。にもかかわらず、脳全体に情報を発信しているという点で非常に珍しい神
経なのです」と有田教授は述べています。
この神経の持つ働きは 5 つあります。
第 1 に「睡眠から覚醒へのシフトを行う」。睡眠時はほとんど活動しないが、覚醒とともに
活発に働き始めます。働きが不十分だと、目が覚めても頭がすっきりしない状態になりま
す。
第 2 は「心の不安や緊張を取る」。通常、覚醒時は、脳波はベータ波が優位になるが、セ
ロトニン神経が活発に働くとアルファー 2 という特別な脳波が出現します。癒やしやリラ
ックスの働きをする脳波で、有田教授が「クールな覚醒」と呼ぶものです。緊張や不安が
取れ混乱も静まるので、ネガティブ思考が減少し、元気になります。
第 3 は「自律神経を適度なレベルに保つ」。覚醒時には交感神経が、睡眠時には副交感神
経が優位になりますが、それらが低レベルであれば上げ、過活動なら下げ、適度なレベル
に保ちます。
第 4 は「痛みの制御」。痛みに対して過剰反応しないように調整する働きを持ちます。こ
れが正常に働かないと「線維筋痛症」を発症。痛みを生み出す外的要因はほとんどないに
もかかわらず体の各部に激しい痛みを感じ苦しむ病気ですが、セロトニン神経の働きを活
性化する治療薬で改善します。
第 5 は「正しい姿勢を保つ」。朝起きてセロトニン神経が動き出すと全身の抗重力筋が活
性化し、姿勢がシャンとし、瞼もパッチリで引き締まった顔の表情になります。
「このように、セロトニン神経は、過剰ストレスで生じる様々な症状、例えば、不眠、不
安、心の緊張、ネガティブシンキング、自律神経のバランス破壊、疲れた表情や姿勢など
と、実に深く関わっていることが分かると思います。つまり、この神経を活発に働かせる
ことが、ストレス耐性の高い心と体を作ることになるのです」(有田教授)
太陽の光を浴びて、3 つのリズム運動をする
- 200 -
それでは、セロトニン神経はどうすれば活性化できるのでしょうか。意外に簡単で、日
常生活の中で 2 つのことを実践すればよいのです。
1 つは、朝、しっかりと太陽の光を浴びます。重要なのは明るさ。蛍光灯の灯りはどん
なに明るく見えても照度は低く、太陽の明るさには及びません。できれば 30 分以上、外で
日の光を浴びましよう。
2 つ目は「基本的なリズム運動」をします。人間の様々な運動の中でリズムを伴うもの
とは 3 つあります。歩行、咀嚼、呼吸、です。
歩行については、ウォーキング、ジョギング、スクワットなどを 5 分から 10 分実践しま
す。朝、起きて、日の光を浴びながらウォーキングをするということは、まさに一石二鳥。
忙しい人は、通勤時間の中で歩く時間を多く作ればいいのです。
咀嚼については、朝、しっかりと朝食を取ること。野菜ジュースやヨーグルトだけで済
ます人が増加していますが、咀嚼という観点から見ると不十分と言わざるを得ません。
呼吸については、リズム正しい呼吸を繰り返すのがポイントです。それを様式化したの
が座禅です。お経を唱えるのもお勧めですが、日常生活では難しいので、リズム正しい呼
吸を意識しながらウォーキングするとよいでしょう。
良質の睡眠にも不可欠なセロトニン
逆説的だが、ストレス耐性を高めるセロトニン神経は、ストレスに弱いのです。一日中
ストレスにさらされ続けるますと、その働きは弱まります。夜になると、情緒不安定にな
ったりキレやすくなったり、表情も疲れるのは、このためです。だからこそ、なおさら朝
の活性化が重要になります。
また、疲れた心身を蘇らせるために重要なのは、夜の睡眠ですが、実はこれにもセロト
- 201 -
ニンが深く関わっています。脳内物質であるセロトニンは、夜になるとメラトニンという
物質に変化します。睡眠を誘い深い眠りをもたらす自前の睡眠薬です。
昼間にセロトニンが不十分ですと、メラトニンが不足して夜よく寝れません。夜型の生
活を続けますと、良質の睡眠が得られないのはこのためです。なお、メラトニンは夜暗く
ならないと十分に放出されませんので、夜にコンビニのような明るい場所で働くと寝つき
が悪くなります。
朝起きて、日の光を浴びて歩き、朝食を取り、夜はできるだけ暗くする。ストレス耐性
を高めるこの基本は、実は昔の日本人の生活だったことを思うと、現代社会で健康的に生
活することの難しさを痛感します。
セロトニンと自律神経
セロトニンは、脳内神経伝達物質で、「ドーパミン」「ノルアドレナリン」と並んで、体
内で重要な役割をしている三大神経伝達物質の一つで、「セロトニン神経」で合成され神経
伝達に利用されます。
「セロトニン神経」は、「ドーパミン神経」と「ノルアドレナリン神経」の両方をコント
ロールし、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを取っています。目覚めている
ときの心と体の状態を調整している神経なのです。一般的には、セロトニン=副交感神経
(内臓神経、リラックス神経)、ノルアドレナリン=交感神経(戦闘神経、緊張)。の図式
です。
「生存」に関係しているドーパミン神経は、人間が生きていく上で必要不可欠な本能行動
に関係し、「不安やストレス反応」に関係しているノルアドレナリン神経は、不安やストレ
スをどのように処理していくかを判断しています。
「幸福感」に関係しているセロトニン神経が、この 2 つの神経の働きをうまくコントロー
- 202 -
ル出来ていれば、まさに幸福感に満ち溢れた人生といえるでしょう。
しかし何らかの原因で、セロトニンの合成される量が減少してしまい、セロトニン神経
の働きが不十分になってしまうと、自律神経のバランスが乱れたり、不安やストレスに対
して反応できなくなってしまい、心と体の状態は下降線をたどることになるのです。
○セロトニン神経の働き
◆ 心と体を睡眠から覚醒させる。
◆ 心の不安や緊張を取る。
◆ 自律神経を適度なレベルに保つ。副交感神経の活性化。
◆ 痛みの感覚を制御する。
◆ 正しい姿勢を保つ。
このようにセロトニン神経は、ストレスで生じる様々な症状、不眠・不安・心の緊張・
マイナス思考・自律神経のバランスの乱れ・疲れた表情や姿勢などにも深く係わっていま
す。
不安や緊張・マイナス思考は、あなたの性格やあなたのせいではなく、セロトニン神経
の働きが弱くなっていただけなのです。
セロトニン神経を活性化する方法は、神経伝達物質セロトニンを増やすことです。脳内
のセロトニンが増えると、それだけ脳の中での情報のやり取りがしやすくなり、セロトニ
ン神経が活性化します。
セロトニンとは自律神経のバランスを整え、心とカラダを元気にしてくれる脳の神経伝
達物質です。
セロトニン神経を活性化させると、脳内でセロトニンが作られます。
この神経は「太陽の光り」と「リズム運動」で活性化されます。
- 203 -
私は現代のストレス社会、セロトニン活性はとても大切なことだと感じています。
セロトニンが活性化すると心もカラダも元気に、そして質の良い睡眠がとれるからです!
セロトニンは必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝過程で、脳の中にある「縫線核」
で生成されます。また、代謝を経て、メラトニンという睡眠リズムに関係する物質にもな
り質のよい睡眠をとるためには必要不可欠です。
人間の感情は大きく2つに分けるとプラスとマイナスに分ける事ができます。例えばプ
ラスの感情、気持よかったり、うれしかったりする感情だけが強すぎると、それがなけれ
ば生きていけない「中毒」になるおそれがあれます。ギャンブル依存症やアルコール依存
症というやつです。反対にストレスでイライラしてマイナスの感情に引きずられれば、う
つ状態になる恐れがあります。そこでそれらの感情を偏りなく心をうまく安定させること
ができるのがセロトニンの役割です。
簡単にいうと平常心のある状態。平常心というものは、感情に左右されることなく普段
のように落ち着いた気持で、物事に柔軟に対応できる状態です。腹の奥底に「覚悟」があ
り、心がぶれないといった状態です。
セロトニンが十分分泌されていると、脳が活性化してスッキリの状態が持続するため、
前向きな気分になれて気持ちも落ち着いて過ごせます。またわ~ぁ雪がキレイ~!とか今
日も元気に子供達が学校に行った!と秋の空気に変わったなぁ~と情緒が豊かになり些細
な事に満足感や充実感を感じやすくなります。逆にセロトニンが不足すると感情にブレー
キがかかりにくくなるため、ストレスを強く感じたり、うつになりやすくなります。
現代は心の時代。心の病には、少なからず脳内の神経伝達物質が関係していますが、な
かでもセロトニンは、うつ、パニック障害、自殺、切れやすい子供、引きこもりなどに深
く関わっています。ある調査でうつ病で自殺した人の脳を調べてみたらセロトニンの濃度
が、一般の人よりも低かったことが分かりました。これらの病気の治療薬として、脳内の
セロトニン量を増やすクスリも繁用されるようになってきました。
- 204 -
このような心の病は現代の生活習慣病であるといえるのではないでしょうか?高血圧や
糖尿病などで知られている生活習慣病とは、読んで字のごとく毎日繰り返す生活習慣が原
因となり症状として現れることをいいます。
テレビゲームやインターネットが普及し、外でカラダを動かさない、人とのふれあいの
ない環境、またファミリーレストランやコンビニが24時間営業になり昼夜逆転の生活が
できるようになりました。このような生活がセロトニン神経を弱らせる原因になっていま
す。私が子供のときは親から外で遊んでくるようにせかされ、公園にある遊具を駆使して
遊びパターンを考えていたものです。。
現代の親は学力や運動能力の発達には熱心ですが、心の発達についてはあまり関心をも
っていないように思います。セロトニン神経が弱ると、ちょっとしたことで興奮し、それ
を制御できなくなります。また朝の寝起きが悪くなり、姿勢が悪く、すぐにしゃがみこん
でしまいます。そして痛みに弱く、頭やお腹などにちょっとしたlことで痛みを感じてし
まいます。 切れる子供や引きこもりの子供にあてはまる行動だと思いませんか?
セロトニン神経が活性化させ、良く寝て、心強く充実した毎日を過ごしましょう!
心理ストレスから病気
ストレスで悩むことや身体、心の病気になるとは生理学ではどういうことなのか確認し
ておきます。
心の病気になる仕組み、心の病気に身体症状がある理由を生理学的な側面を理解してお
くと、治療や予防に役にたちます。
ストレス反応
動物が危機におかれた時、それに対処する戦術に2つの選択肢があります。交感神経優
位の防御反応(攻撃または逃走をとるか)と副交感神経優位の行動制御をとるかです。個
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体や種のちがい、状況的脈絡により生存率を高めるほうが選択されています。人が種々の
行動をとるのも、自分にとって、最もよいと判断した行動を選択しています。ですが、そ
れが、根本的な問題解決になるわけではありません。
(A)防御反応=ストレッサーと闘う姿勢をみせる反応。交感神経優位です。威嚇ー怒り・
闘争、または逃走の行動にそった反応です。この時、情動性自律反応(心拍増加、血圧上昇、
骨格筋血流の増大、消化器運動および血流の減少、瞳孔散大、呼吸促進、血糖上昇など)が
出現します。視床下部、脳下垂体、青斑核が亢進します。
(B)受動的ストレス反応(行動抑制反応)=襲撃者にみつからないように、じっと動かず危
険が去るのを待ちます。すくみ行動、フリージング。副交感神経優位ですが、ストレスを
感じていますので、身体内部では、ストレス反応が起きています。ACTH(脳下垂体)-副腎
皮質系の亢進などが起きます。
ストレス内分泌反応(HPA 軸)
ストレスを受けますと、主に
2つの反応が起きます。視床下
部→脳下垂体→副腎の反応の系
列を「HPA 軸、HPA 系」といい
ます。
( a) 視 床 下 部 ( CRH) → 脳 下 垂 体
(ACTH)→副腎皮質ホルモン(コ
ルチゾール)→免疫抑制
ストレスが加わりますと、その
刺激は大脳辺縁系から視床下部
に及び、視床下部からCRH(コ
ルチコロトピン放出ホルモン)
が分泌され、それが脳下垂体か
らACTH(副腎皮質刺激ホル
モン)を分泌させます。すると、
- 206 -
副腎皮質から、コルチゾールが分泌されます。
短期的には、ストレスに対処する反応ですが、繰り返されると、免疫力を低下させ、種々
の病気への抵抗力が落ちます。コルチゾールは、血糖値を上昇させ、細胞面疫や液性面疫
を抑制します。 ナチュラルキラー(NK)細胞の活動を抑制しますので、がんを悪化させた
り、起こしたりします。
(b)交感神経の興奮→種々の臓器に作用、副腎髄質からカテコールアミン
カテコールアミンは、血管収縮、心拍数増加、血圧上昇、血小板の凝集能増加、胃の粘
膜血流の低下、肝臓からブドウ糖を血中に放出などの反応を起こします。繰り返される種
々の病気を起こします。
ストレスと自律神経(交感神経、副交感神経)
多くの内臓が自律神経の支配を受けています。心臓や血管や胃の筋肉を支配し、それら
に収縮や弛緩をひきおこします。また自律神経は内分泌腺をも支配して、ホルモンの分泌
をひきおこします。
交感神経は標的器官に作用して「攻撃や逃避」に必要な作用を助けます。 心拍が増加、
血圧の上昇、呼吸の促進、ブドウ糖の供給などを起こします。
副交感神経は、「安静と回復」の条件を整えます。消化管への血流、消化酵素の分泌、心拍
の低下、気道の縮小などです。
心理的ストレスから、交感神経が興奮することが繰り返されますと、上記の種々の臓器の
興奮、ホルモンの分泌が過剰になり、免疫を抑制し、身体の各種の部分の障害が起きます。
心の病気の場合、交感神経が興奮することが多いので、身体症状が伴うことが多いのです。
ストレスを受け続けると、免疫を抑制しますので、がんになりやすい。がんになった人
が、心理的に絶望すると、それが心理的ストレスとなり、免疫を抑制して、がんが進行し
て、早く重態になります。がんとなった時、心理的なケアが重要なのはこのためです。呼
吸法をとりいれたマインドフルネス心理療法の心得は、このような場合にも効果を発揮す
るでしょう。
痛み・抑うつ
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痛みは、種々の病気に伴いますが、ストレス、がん、セロトニン神経、抑うつとも関係
が深いのです。がん患者に痛みがあれば、抑うつになることがあります。長い間、頭痛で
悩まされて、痛みどめの薬物療法を受けても治らない、はきけまでともなう「片頭痛」が
ありますが、片頭痛は、腹式呼吸法や、抗うつ薬で治ることがあります。セロトニン神経
が弱って痛みやはきけを抑制しなくなったためです。
うつ病に頭痛、胸通などの痛みの症状を伴うことがあります。痛み、交感神経、セロト
ニン神経、抑うつに、次のような関係が明らかになっています。
痛みがあると、交感神経が興奮
深部組織や内臓器官に病変がありますと、病変部位の近隣の脊髄分節が支配する屈筋が
持続的に収縮します。このとき同時に交感神経の活動が高まって、情動性自律反応が起き
ます。この反応は意志と無関係に起こる反射活動です。
痛みがあると、交感神経が興奮して、副腎髄質ホルモンが分泌されて、免疫能が低下しま
す。
慢性の痛みがあると、睡眠障害、抑うつ
痛みが慢性化しますと、睡眠障害、痛みに対する耐性の低下、精神的抑うつ状態などが
起きます。セロトニンが減ったためと説明されています。がん患者でも痛みがコントロー
ルされないと、抑うつ症状が起きます。
二つの痛みの伝導路があります
末梢からの痛みの伝導路には2つあります。鋭い痛みを早く伝える回路と、広範な重い
慢性的な痛みを伝える回路です。
セロトニン神経が痛み抑制
縫線核に細胞体を持つニューロン(セロトニンが神経伝達物質)が脊髄後角でシナプス
接続して、痛みを抑制します。片頭痛の患者に、セロトニン神経に作用する抗うつ薬を投
与しますと、軽快します。
- 208 -
うつ病の患者に頭痛、胸通などの痛みの症状がある場合がありますが、うつ病の軽快に
よって消失することも知られています。うつ病の人に呼吸法や瞑想(心の観察)をしても
らいますと、やがて、頭痛なども軽快します。心理療法では、痛みの治療をしなくても、
うつのカウンセリングをして、うつが治れば、頭痛、胸痛も消失することがあります。薬
で治らなかった片頭痛が呼吸法で治ることがあります。セロトニン神経を活性化するため
です。
以上、セロトニンが自律神経機能といかに関係が深いかが理解して頂けたかと思います。
片頭痛の発症要因として重要な鍵を握っていると思われます。
参考文献
8
片頭痛と足病変
以下は、
笠原 巌のホームページから抜粋してみました。
『片頭痛の根本原因は足と首の異常にあった』
片頭痛で悩んでいる人は 840 万人いると報告されています。
しかし問題なのは片頭痛の原因を間違えている、本当の原因を発見していない、そのた
め治療法も間違って薬の選び方や組み合わせ方ばかりに気を取られ、根本治療に至ってい
ないということです。
薬を中心とした対処療法を何十年も続け、結果的になかなか治癒に結びつかないでいる
のが現状なのです。ですから、もう一つの新しい考え方「セカンド医学」(重力とのバラン
ス)を中心に考え、薬は補助的に使うべきなのです。
セカンド医学の考え
- 209 -
その「セカンド医学」の考えとは、『足裏の異常により首が変形し、その変形した骨が周
りの神経を刺激することが、頭痛、肩こりの根本原因になっている』というものです。確
かにこれがすべてではありませんが、どんなに低くそして少なく見積もったとしても 70 %
はこれが関係しているのです。
あとの残りの 30 %は先天的な要因と後天的な要因と環境学的要因とがあります。この内
訳は、先天的原因(遺伝気質)10 %、後天的要因(病変気質)10 %、環境学的要因(環境
気質)10 %です。(環境学的要因の中には日常生活における姿勢のほかに心の問題、仕事や
人間関係のストレスも含まれる。) しかし、このそれぞれ残りの 30 %が同時に起きたり、
また重なり合う事は殆どないので一般的には 10 %と考えるのが妥当です。
片頭痛の 90 %は足が原因 結論として、片頭痛の 90 %は足と首の異常が関係しているの
です。したがって治療法も「足裏から首のバランスを整え、重力との調和を図り、自然治
癒力を発揮させる。」という事が根本治療となるのです。
このような説をとなえるとすぐ眉唾(まゆつば)者とか、攻撃的になったり、また落と
し入れようとする人が必ず出てきますが、その前に開く耳を持っていただきたいのです。
人間の体も地球の構造に合わせて造られているのです。この自然界の法則に沿った考え(過
労性構造体医学の理論)、これをセカンド医学として構築しています。自然界の法則に従っ
た考え方はどんなに優秀な医師であろうと科学者であっても、くつがえすことはできない
と思うからです。そして何より多くの人を助けることができるからです。
常識という洗脳からの脱出
頭痛を治すには、まず今まで知りえた常識という洗脳からの脱出を図ることが必要です。
なぜなら、頭痛の根本原因を正しく診断することができていない為、正しい治療法に結び
ついていないからです。その結果、不適切な治療でこじらせたり、薬づけや薬の飲み比べ
になっていて、なかなか治らないのが現状だからです。確かに薬は病原菌に対しては万能
です。しかし、関節の変形からくる痛みや不調には万能ではないのです。この先入観から
- 210 -
の脱出が必要です。
ここでは今までとは全く異なる「足と首」からの診断法と治療法を紹介していきます。
患者さんの真実にそった内容なので、医師を含めた多くの人達にセカンド医学「過労性構
造体医学」が大いに役立つと思います。
頭痛の実態
慢性頭痛を持っている人はおよそ 3,000 万人いると報告されています。この中で一番多
いのが「緊張形頭痛」、2 番目が「片頭痛」、3 番目が「群発頭痛」です。頭痛は数字で表す
ような基準やまた人と比べることができません。本人の訴えにより判断していくわけです
が、心配で病院に行くような症状を訴える人の殆どは片頭痛といわれるものです。緊張形
頭痛は症状が軽かったり、なんとなく原因が思い当たり緊急性も感じないので病院へ行く
人は少ないのです。また群発頭痛は突然起こり、症状もひどく恐怖感に悩む人も多く、殆
どの人が病院へ行くのですが数が少なく 1 万人に 1 人位とされています。
初めて明かされる片頭痛のセカンド医学
片頭痛を訴える人の足を調べると約 90 %に足裏の異常があります。その異常とは外反母
趾、指上げ足(浮足)、扁平足などでいずれも重心が踵に片寄り過ぎています。このような
足は、足裏の免震機能が著しく低下し、歩行時に「過剰な衝撃波やねじれ波」が発生して
首へ繰り返されることになるのです。つまり、足裏の異常は重心が踵へ片寄るため、2 つ
の有害なストレスを発生させてしまうということなのです。
その 2 つとは、
●重心が踵への片寄ると、(1)足裏のクッション作用が衰え、歩行時に「過剰な衝撃波」が
首へ繰り返され、頚椎のつぶれ、圧迫、微細な疲労骨折を起こす。
●重心が踵への片寄ると、(2)左右異なる歩き方をするため体が揺れ易く、上部に伝わる時
「過剰なねじれ波」となって首を歪ませバランスを悪くする。
- 211 -
首の歪みとは、土台となる足裏や背骨に対し首が前に落ちていたり、逆に後に反ってい
たり、また左側や右側へ片寄っていたり、頚椎の生理的湾曲が少なく真っ直ぐ過ぎるため
上下のバランスが悪いなどといった頚椎の特徴や姿勢を言うのです。つまり、首の(前・後)
×(左・右)×(上下)の構造的な歪み(ズレ)を指すのです。
片頭痛の根本原因のまとめ
片頭痛の原因をまとめると、次の通りです。
● 足裏の異常つまり外反母趾や指上げ足(浮指)、扁平足などがあると重心が踵に片寄り足
裏が不安定になる。
●足裏が不安定になると、それを補うため頚に歪み(ズレ)が起こる。
● その歪んだ首に、歩行時に発生する「過剰な衝撃波やねじれ波」が繰り返されるため、
首が変形する。『首の変形とは、歪み(ズレ)と微細な疲労骨折(圧迫)のことです。』
変形した首は回りの筋肉を緊張させたり、三叉神経や自律神経を刺激し誤作動を起こさ
せるのです。筋肉が緊張して固くなったり神経が誤作動を起こすと血管も圧迫され、血液
が流れにくくなり、脳への酸素や血液が不足します。酸素や血液が不足すると、これを回
復させる為に血管が拡張され、このとき心臓の脈拍にあわせたズキン、ズキン、あるいは
ガンガンというような痛みが生じ、これを感じる人が半数近くいるのです。
片頭痛の症状とは
片頭痛は首の変形が原因ですから症状も当然、首か凝る、首がだるい、首の動きが悪い、
手がしびれる、肩こり、めまいなどの違和感が以前からあります。そして、首を動かした
時、また次の動作に移った時、力仕事や日常生活などのわずかな動きでもズキン、ズキン、
ガンガンしてきます。ズキン、ズキン、ガンガンはなくても吐き気がしたり、時に吐いて
しまったり、あるいは光や音にも敏感になりイライラしたりします。
治療法が間違っていると多くの場合、三叉神経の異常や自律神経失調症を伴い日常生活に
- 212 -
支障をきたすようになってきます。
片頭痛は片側ばかりでなく両側に起こったりもします。またズキン、ズキン、ガンガン
といったはっきりとした症状を訴える人は半数近くになります。疲労で首に負担が加わっ
たり、歪んだ時に強く出て、逆に首の安静度が上廻っている時は頭痛は殆どなく普通の生
活が送れるという特徴があります。
頭痛には悪い足による悪い歩き方が隠れている
このように悪い足となる外反母趾、指上げ足(浮足)、扁平足など足裏の異常があると、
足裏が不安定になり、重心が踵の方へ移動して歩き方も悪くなってしまうのです。そして、
悪い歩き方は時間経過に伴い、首に過剰な衝撃波やねじれ波という有害なストレスを歪み
の多い首へ繰り返し伝えてしまうため、何倍もの負担を加え続けることになるのです。次
第に変形(歪みや微細な疲労骨折)を起こして頭痛を発症させてしまうのです。
ですから足裏のバランスを整えて、重力の上に効率よく立ち、そして正しい歩行をする
ことが重要なのです。
人間にも免震構造設計が必要
今まで頭痛に対し、人間の土台となる足裏から原因を追究するという考え方がなかった
為、解明できなかったのです。人間も建築物も力学的には同じ構造体なのです。異なる点
は『歩く』という動作が加わるだけなのです。 人間の体も足裏のバランスを整えることが
「基礎工事」であり、それがしっかりしてこそ免震、あるいは耐震構造設計が万全になる
のです。
もしこの基礎工事に欠陥があると、家やビルなどの建築物は耐震構造設計ミスというこ
とで逮捕されますが、人間は逮捕されない変わりに頭痛や肩こり、めまい、自律神経失調
症、腰痛、ひざ痛などを起こして一生苦しむことになるのです。
- 213 -
頭痛、肩こりに対する治療の 3 原則
頭痛、肩凝りの治療と予防には『治療の三原則』。この法則に従うことです。
1. 足裏から全身及び首の構造学的バランスを整えて、自然治癒力を発揮させる。
2. 足裏に免震処置をした上で全身の血行促進を図り、自然治癒力を発揮させる。
3. 首に繰り返される負担度より安静度が上回る補強(コルセット)をして、自然治癒力を
発揮させる。
これが自然界の法則なのです。治療は対処的な事を出発点とするのではなく、原因を追求
することを出発点とすることが重要です。治療法も自然界の法則に従うことは、結果的に
根本療法となり治癒への最短距離となるのです。
具体的な対処法
A. 足裏と首筋の付け根を低周波で刺激、ほぐします。足裏を刺激する目的は、外反母趾、
指上げ足、扁平足などの悪い歩き方により足底筋群が疲労して固くなっているため、これ
をほぐします。もう一つは足裏への刺激により足底反射(原始反射)つまり踏ん張る力をつ
けるためです。
B. 次に専用マッサージ器(足裏天国)で足裏から首のマッサージを行い、血行促進と共に疲
労を回復させ、次に行う整体が効果的かつ安全に行われるよう全身の筋肉をほぐします。
C. 足裏から全身のバランスを整える「足裏バランス整体」を行う。具体的に説明すると、
足のリスフラン関節亜脱臼の整復、骨盤の歪みや猫背の調整、頚椎への安全整体です。
D. 整体の後にはその効果を持続させる為、足裏のバランスをテーピングで整えておきます。
(足裏バランステーピング法)テーピングを外した後やテーピングができない場合はテー
ピングの代わりとなる 3 本指タイプの専用テーピング靴下を履きます。
- 214 -
足裏のバランスを整えると、重力の上に効率よく立つことができるため自然と正しい歩行
が促され全身のバランスが整うのです。また、靴の中には人工筋肉素材の免震インソール
を入れるか専用の免震シューズを履き、足裏へ基礎工事となる免震構造設計を施します。
E. 症状がひどい場合は首の専用コルセットを使用します。これは、頭の重さと地面からの
突き上げが歩く度に首で激突を繰り返さないよう補強、つっかえ棒の役割をさせ、首の安
静度を高めて自然治癒力を発揮させるものです。
結局、足の異常が頸椎に問題を起こして、歩行の度に、三叉神経末梢を刺激して、これ
が、脳過敏に影響を及ぼすという考えは、確かに納得できるかもしれません。
ただ、片頭痛の原因の殆どが、これで占められるということは言い過ぎではないでしょ
うか?
ごく一部の片頭痛の方の原因となりうるかもしれません。
このような理由から、足ツボ(つぼ)マッサージが、片頭痛に効果的とされています。
詳しくは、片頭痛・足もみ」で検索されれば、その詳細が説明されています。
ここでは、片頭痛の原因としての可能性として「足病変」を提示するのが目的ですので
・・・・
参考文献
9
片頭痛と睡眠
樋口脳神経クリニックのホームページから
不眠(睡眠障害)と慢性頭痛は互いに影響しあうことで、それぞれの疾患を悪化させてい
ます。すなわち睡眠障害は頭痛を悪化させ、頭痛は睡眠障害を悪化させます。また、頭痛の
程度が重いほど(特に頭痛発作の頻度が重要)、睡眠障害を持つ確率が高く、逆の場合も同
- 215 -
様です。睡眠障害をコントロールできないと、頭痛のコントロールも難しいため、双方の症
状を同時に治療することが必要です。
頭痛専門外来で片頭痛と診断された 1,283 名の患者(平均 37.4 歳)を対象に、頭痛と睡眠
に関する調査が行われたことがあります。その結果、半数以上の片頭痛患者は、睡眠の導入
と維持が困難なことを経験し、その多くが慢性的な睡眠不足でした。50%の片頭痛患者で
は睡眠障害が引き金になって頭痛発作が起こり、71%の片頭痛患者が頭痛のために夜間に
目が覚めたそうです。発作が頻発する慢性の片頭痛患者では、発作が少ない片頭痛患者より
も睡眠時間が短く、睡眠のトラブルを多く有していました。また、睡眠が短時間(平均6時
間)の患者は頭痛頻度が高く、痛みの程度も重症でした。
片頭痛患者の約半数の方で、夜間の睡眠中に頭痛発作が起こったり、逆に頭痛が軽くな
ることを経験しています。睡眠不足や眠りすぎなど睡眠パターンが変化すると、片頭痛が
起こりやすくなります。片頭痛のために目覚めた場合には、レム睡眠からの目覚めが多い
ようです。また、眠りすぎた時に起こる片頭痛は、深い睡眠が増えることと関係がありま
す。
睡眠中に起こる片頭痛は休日に起きることが多いため、
「週末頭痛」とも呼ばれています。
これは、平日よりも長い時間眠ることのほかに、精神的にストレスから解放されることや、
飲酒も関係しています。過剰な睡眠やリラックス、アルコールが脳の血管を広げて、片頭
痛が起こるのです。
このような片頭痛の予防や治療には、睡眠の習慣を整えることが大切です。なるべく平
日と休日の睡眠時間を、同じくらいの時間にします。それが難しければ、平日には積極的
に仮眠をとって、睡眠時間を少しでも確保しましょう。
片頭痛患者さんの中には、特定の状況下で発作が起こりやすいことを認識している人も
多く見受けられます。そのような誘発因子を除去することは、片頭痛の予防につながるこ
とから、発作が起こる直前の状態を聴取することは有用です。最近の調査によると、片頭
痛の誘発因子としては、「睡眠不足」71.1 %、「頸・肩の凝り」67.1 %、「旅行・外出」65.3
- 216 -
%、「過労」52.9 %、「目の疲れ」44.5 %、「緊張」43.6 %、「睡眠過多」27.6 %などが挙げ
られました。また、チョコレートや赤ワインなどの特定の食品により頭痛が誘発されたと
する人は極めて少数でした。
このように、「睡眠不足」が最も多い誘因であることが、理解されると思います。
睡眠の機能は,体内の恒常性機能の維持や記憶の定着などが主な目的とされます。頭痛
との関連でいえば,特に深睡眠(デルタ波睡眠)や REM 睡眠が不十分だと,セロトニン
が十分補充されなくなり,片頭痛が慢性化する一つの要因になります。脳内セロトニン濃
度自体は睡眠を剥奪してもすぐには変化しませんが,代謝物である 5-HIAA が神経終末内
に増えてきて,代謝の亢進が確認されるようになります。したがって慢性の睡眠不足はセ
ロトニン代謝を促進し,長期になるとセロトニン枯渇につながる可能性があるのです。ま
た、夜間のホルモン濃度変化などから,慢性片頭痛では視床下部不全を示唆する状態にな
っているとの報告があります。すなわち慢性片頭痛では視床下部がドパミン系の過剰活動
の状態になっており,睡眠障害が重要な背景であるかもしれないそうです。
睡眠は多すぎても少なすぎても頭痛を悪化させます。睡眠中のセロトニンや他の神経伝
達物質の増減が頭痛の発現や悪化に関与するようです。片頭痛の人が週末に寝すぎて頭痛
が悪化することはよく知られています。他方,睡眠により頭痛が良くなり,睡眠が頭痛治
療になるという人もいます。一部の頭痛患者さんは昼寝で頭痛が楽になる(特に思春期)
といいますが,多くの成人患者さんでは昼寝は頭痛の引き金になるとされます。また昼寝
を何度もすると夜の良好な睡眠が失われ,早朝頭痛につながるとされます。頭痛患者さん
は午後 3 時過ぎの昼寝を制限し,夜間の睡眠に影響を及ぼさないようにするのが良いよう
です。”寝たり起きたりの時間を一定にする”睡眠統制と呼ばれる方法は,頭痛治療にも重
要な役割を果たします。
頭痛は睡眠障害の症状としても起こりますが,反対に,慢性頭痛患者には睡眠障害の頻
度が増えてきます。頭痛との関係でもっとも重要な REM 睡眠は一晩に 4 - 6 回起こり,
夢と関係の深い睡眠であると言われています。片頭痛の発症は REM 睡眠の回数と直接的
な関係があるとされ,群発頭痛の場合はこの関係はより顕著です。夜間の片頭痛は REM
睡眠中あるいは終了後,または私たちが翌朝すっきりと覚醒してリフレッシュしたと感じ
るのに必要な 3 - 4 度深睡眠(デルタ波睡眠)の時に起きるとされます。
- 217 -
睡眠行動を改善するための簡単な方法を実行するだけで、変容性片頭痛(反復発作性片頭
痛患者に発症し、数か月ないし数年かけてその頻度がほぼ毎日にまで進行し、治療が特に困
難)を持つ女性の頭痛の頻度と強度が有意に減少することが、米国ノースカロライナ大学
(UNC)神経学科の研究者らにより発表されました。
背景:変容性片頭痛は最も一般的な形態の慢性日常性頭痛で、患者が頭痛外来を受診する最
も一般的な原因となっています。過去の研究から、変容性片頭痛女性のほぼ全例において、体
力の回復をもたらさない睡眠と貧弱な睡眠習慣が認められています。しかし、ベッドのなか
でテレビ鑑賞や読書をしないこと、就寝の 4 時間前までに夕食をすませるなどの睡眠行動
変容(BSM)が変容性片頭痛患者に有益な影響をもたらすか否かを調べた研究はありません
でした。
対象と方法: UNC 病院の頭痛外来で変容性片頭痛の治療を受けている女性 46 例を対象と
し、うち 23 例を BSM の指導を受ける群にランダム化割り付けしました。 BSM 指導の内容
は、(1)毎晩同じ時間に就寝する、(2)8 時間の睡眠時間を確保する、(3)ベッドのなかでテレ
ビ鑑賞、読書、音楽鑑賞をしない、(4)眠りに落ちるまでの時間を短縮するために視覚化テク
ニックを使用する、(5)就寝の 4 時間以上前に夕食をすませる、(6)就寝前 2 時間は飲料の摂
取を制限する、(7)昼寝をしない、でした。
対照群の 23 例は、(1)夕食時間を一定にする、(2)1 日 2 回 2 分間、肘の上部にあるつぼを指
圧する、(3)3 日間連続して飲料の摂取量を記録する、(4)毎朝 5 分間緩やかな身体活動を行
う、(5)朝食に 1 食分の蛋白質を摂取する、などの偽の指示を受けました。被験女性全例が、標
準化された日記に頭痛の状態を記録し、行動介入に加えて通常の頭痛治療を受けました。フ
ォローアップ受診が 2 回行われ、 1 回目は行動介入の開始から 6 週間後でした。
結果:2 回目の受診では、 BSM 群は頭痛の頻度が 29 %、強度が 40 %減少していました(と
もに統計学的に有意)。また、ほぼ毎日起きていた変容性片頭痛が、反復発作性片頭痛に回復
する確率が高く認められました。一方、対照群では全く改善が見られず、変容性片頭痛から反
復発作性片頭痛に回復した者はいませんでした。 2 回目の受診後、対照群に BSM 群と同じ
指示が与えられました。 3 回目と 4 回目(最後)の受診までに、新しい指示を受けた女性の
43.6 %が変容性片頭痛から反復発作性片頭痛に回復しました。
結論:睡眠習慣の有益な変化は、頭痛の頻度と重症度の軽減、変容性片頭痛から反復発作性
片頭痛への回復と関連していることがわかりました。このことから、 BSM は標準的な医療
- 218 -
と組み合わせて使用すると、変容性片頭痛の軽減に有効なようです。
頭痛と睡眠の関連性は以前から知られていますが、変容性片頭痛(片頭痛) 患者におけ
る特異な睡眠障害については、あまり知られていません。本試験では、変容性片頭痛
(片頭痛)
の女性患者 147 例を対象に、睡眠に関する聞き取り調査を行い、変容性片頭痛(片頭痛)
の患者における非回復性睡眠(眠っても疲労が回復しない睡眠)の有病率と多様性が調べ
られました。主観的な眠りの質については、起床時の状態が「爽快感」であるか「疲労感」
であるかで評価されました。
その結果、変容性片頭痛(片頭痛) の患者では起床時に「爽快感」があったと報告し
た例はなく、患者の 83.7 %は起床時に「疲労感」を感じていました。このように変容性片頭
痛(片頭痛) の患者においては、非回復性睡眠を有する割合が非常に高く、睡眠に対する不
満を訴える患者の割合も同様に高いことが示されました。
10 歳代は身体の成長に加え,学業やクラブ活動,友人関係など多忙なうえに多くのスト
レスのかかる時期です。睡眠不足も相まって,慢性頭痛に悩まされている若者は少なくあ
りません。今回,ノルウェー・オスロ大学の研究グループにより,13 ~ 18 歳の中高生約
6,000 人を対象に行った調査結果が発表されました。それによると,10 歳代では不健康な
生活習慣と慢性頭痛が関連しており,過体重,運動不足,喫煙の 3 要素すべてを満たした
群では,すべての要素がない群と比べて慢性頭痛リスクが 3.4 倍でした。
方法・対象:Nord-Trøndelag Health Study(Helseundesøkelsen I Nord-Trøndelag;HUNT)の
一部として実施されました。同調査では,1995 年 8 月~ 97 年 6 月にヌール・トロンデラ
ーグ県在住の中高生 5,847 人を対象に,肺活量や身長,体重などとともに,頭痛聞き取り
調査や学校外での運動頻度,喫煙に関連したアンケートを実施。慢性頭痛は聞き取りを行
った看護師によって片頭痛,緊張型頭痛,分類不能頭痛の 3 つに分けられました。各情報
が集積できた 5,588 人(男子 2,680 人,女子 2,908 人)を対象に,「学校外での運動頻度が
週 2 回以下」「喫煙があり」「過体重もしくは肥満」がすべて当てはまる場合を生活習慣不
良群,2 つ当てはまる場合を生活習慣やや不良群,1 つ当てはまる場合を生活習慣中等度群,
すべて当てはまらない場合を生活習慣良好群とし,慢性頭痛との関連を分析しました。
結果:5,588 人のうち過体重は 891 人(男子 421 人,女子 470 人),低運動頻度は 1,717 人
- 219 -
(同 700 人,1,017 人)
,喫煙 1,069 人(同 440 人,629 人)で,慢性頭痛を訴えているのは 1,601
人(同 554 人,1,047 人)。頭痛のタイプでは緊張型頭痛が 950 人で最多でした。
慢性頭
痛の発症率は,良好群の 24.5 %に対して不良群では 54.7 %で,3.4 倍のリスク上昇が認め
られました(オッズ比 3.4,95 % CI 2.2 ~ 5.2,P < 0.0001)。中等度群のオッズ比は 1.3(95
% CI 1.1 ~ 1.4),やや不良群は 1.8(同 1.5 ~ 2.1)となっています。
一方,生活習慣項
目別の慢性頭痛リスクを見ますと,過体重はオッズ比 1.4(95 % CI 1.2 ~ 1.6,P < 0.0001),
低運動頻度は 1.2(同 1.1 ~ 1.4,P = 0.002),喫煙は 1.5(同 1.3 ~ 1.7,P < 0.0001)。過
体重と喫煙は性差が認められなかったものの,低運動頻度は女子で有意差が消失していま
した。また,過体重と片頭痛および緊張型頭痛,低運動頻度と緊張型頭痛,喫煙とすべて
の分類の頭痛で有意な相関が認められました。
結論:生活習慣が頭痛に関連することを,若年者でも示すことができました。さらに今回
の結果は,ライフスタイルを改善することで頭痛が予防できることを強く示しています。
小児およびティーンエイジャーの頻発性の頭痛(慢性頭痛)と睡眠障害にも、成人同様
に密接な関わりがあるようです。慢性連日性(日常性)頭痛をもつ子供・少年の 3 分の 2
が、睡眠障害(特に入眠の遅れ)を経験していることが米カリフォルニア州で開催された幼
少年睡眠障害会議で報告されました。6 ~ 17 歳の子供・少年を100人ずつ、2つのグル
ープに分けて比較した結果、慢性連日性(日常性)頭痛(1 カ月に 15 日以上頭痛があり、そ
れが 3 カ月以上続く場合と定義)の患児 100 人では、約 3 分の 2 の患児に睡眠障害がありま
した。睡眠障害としては、いわゆる不眠症にみられるような、入眠遅延や夜間・早朝に何度
も覚醒するタイプが多かったそうです。一方、反復発作性頭痛(発生頻度は慢性より少なく、
時折起こるだけ)の患児 100 人における睡眠障害は約 5 分の 1 の患児にみられ、明らかに慢
性連日性(日常性)頭痛の患児よりも少数でした。米国では小児の10~20%に反復発
作性頭痛が見られ、慢性連日性(日常性)頭痛は女児の4%、男児の2%に発症するそうで
す。慢性連日性(日常性)頭痛の多くは、先行する反復発作性頭痛を繰り返すうちに慢性化
しているため、反復発作性頭痛を有する患者の睡眠障害に対応することで、治療困難な慢性
連日性(日常性)頭痛への移行を避けることができるかもしれません。
参考:一般的には慢性連日性(日常性)頭痛は主に「変容型片頭痛」と「慢性緊張型頭痛」
- 220 -
です。小児の慢性連日性(日常性)頭痛では 90 %以上が変容型片頭痛といわれています。
一方、小児の反復発作性頭痛では「片頭痛」が 50 %、「反復発作性緊張型頭痛」が10%
強です。このことから、片頭痛の方が緊張型頭痛よりも慢性連日性(日常性)頭痛へ移行
しやすいようです。
さらに慢性連日性頭痛(このうち小児では 90 %以上が変容型 片頭痛 )をもつ子供の多く
が、睡眠障害、特に入眠の遅れを経験していることから、正しい睡眠習慣の確立は必須であ
ると言えます。
以上、片頭痛と睡眠の関係を、ざっとみてきましたが、片頭痛治療・予防のために、
如何に、正しい睡眠習慣が大切か理解して頂けたかと思います。
参考文献
10
片頭痛と食事
「ゲルソン食事療法」
マックス・ゲルソンは 1881 年、ドイツに生まれた医学博士。自分の不治の病であった片
頭痛をなんとか治したいと試みた結果、塩、脂肪、漬物や燻製食品などを避けるなどの食
事制限をし、新鮮な果物や野菜を食べれば、片頭痛がコントロールできるのを発見しまし
た。その後、肺結核、心臓病から腎臓病、そしてガンに至るまでの多くの病気の治療に成
功。シュバイツァー博士の夫人の結核を、彼の食事療法で治したことからシュバイツァー
博士は、1959 年にゲルソンが死去した際には「彼は医学の歴史上,最も傑出した天才の1人
であった」と述べています。
彼の食事を用いた30年にわたる療法の要約が彼の著書「ガン食事療法全書」(今村光一
訳、原題
A Cancer Therapy)で述べられています。
ゲルソンの食事療法は果物と葉菜、そして野菜から作った新鮮なジュース、大量の生の
果物と野菜、蒸し煮の野菜、砂糖煮の果物、とろ火で煮た果物、じゃがいも、オート・ミ
- 221 -
ール、そして塩抜きのライ・ブレッドから成っています。
全て新鮮なものを用い,
塩分は全く使わないことです。6~12週間すると、コッテー
ジ・チーズ、スキムミルクから作ったヨーグルト、そしてバターミルク(発酵ミルク;バ
ター用脂肪分を除いたミルク)のような動物性蛋白質を加えます。原則として塩分を可能
な限り取り除かなければなりません。そして可能なレベルまで、体をカリウムでいっぱい
にしなければなりません。この食事は普通の食事よりも消化しやすいため、どの食事もす
ぐに消化されてしまいます。ですから、何度でも、いくらでも食べることが必要です。患
者を、可能な限り食べて、飲むように励ますことが大事です。
ゲルソン療法で禁じられているのはタバコ、塩、スパイス、お茶、コーヒー、ココア、
チョコレート、アルコール、精製された砂糖と小麦粉、キャンディー、アイスクリーム、
ケーキ、ナッツ、マッシュルーム、大豆と大豆製品、ピクルス、きゅうり、パイナップル、
全てのベリー類(ただしアカスグリは除く)、水(胃のスペースを野菜や果物のジュースの
ために使うため)、アボガド、缶詰や保存食品、硫黄で漂白したえんどう豆、豆類、冷凍食
品、燻製もしくは塩漬けの野菜、乾燥もしくは粉末にした食べ物、缶ジュース(びんジュ
ースも含む)、そして全ての油と脂肪です。髪の毛の染料も使ってはいけません。
この食事療法を行うのは簡単に見えますが、この療法を始めると多くの人は、ある程度
の吐き気、頭痛、うつ病、腹部のガスの発生を生じ、時には吐いたりします。その時はペ
パーミントティー(煮立った2カップの湯に乾燥したペパーミントの葉大さじ1杯を入れ
て5分煮立て、好みで赤砂糖とレモンを一切れ入れる)を浄化の飲み物として飲むと、嫌
な臭いが無くなり、食事を摂ることができるようになります。
また、患者は不愉快な現象ですが、突然起きる「好転反応」を覚悟しなくてはなりませ
んが、この反応は数日以上続くことはありません。これは健康に必要なもので、毒素を排
出しているのです。ゲルソンは、この現象なくして病気が治ることはないと信じています。
この「好転反応」によって患者が打撃を受けないためには、コーヒー浣腸を用いて体を解
毒させなければなりません。この点で、ゲルソン療法を、他の療法と併用するのは危険だ
と言われています。予期せずして、危険なほど激しい「好転反応」を引き起こすかもしれ
- 222 -
ません。
ベータ・ビショップは彼女の著書“ガンに勝って(My Triumph Over Cancer)”の中で、鼠
頸部にまで広がり6~8ヶ月と言われていた melanoma を、完璧にゲルソン療法に従うこと
によって、克服した様を述べています。彼女の場合、ガンに打ち勝つまでに18ヶ月かか
りました。
ゲルソンはカリウムとヨー素を取り入れるために、ルゴール液を用いました。「多量のカリ
ウムと少量のナトリウムという状況が、損傷を受けた細胞を正常な細胞の形状に局部的に
もどす」とその著書の中で書いています。カリウムの欠乏はガン、白血病、糖尿病、緑内
障、慢性関節炎、急性ならびに慢性喘息の患者にみられます。
ゲルソンは他にナイアシン50mgを、毎日 6 回飲むことを勧めています。ビタミン B
12については彼は結論を出していません。しかし、ほかのビタミンの投与は、ビタミン
が時々腫瘍を逆戻りさせることがあるため反対しています。ガン患者の中の正常な組織に
対しては、ビタミンは正常な人の組織と同じように害を及ぼすことがありません。ビタミ
ンは、普通の状態ではとても健康的なのですが、ガンがある人々にとってはマイナスの働
きをするのかもしれません。ゲルソン研究所は、ゲルソン療法による成功率を 50 %から 80
%としています。
参考文献
11 片頭痛と遺伝
まず、「片頭痛と遺伝」の関連については、かなり専門的な知識が要求されます。
私が、いろいろ文献的に検索した結果、日本頭痛学会の見解が、基本でしょうが、素人
には、とても難解ですので、最も簡明に解説されておられる、樋口脳神経クリニックの樋
口先生の「ホームページ」から、引用させて頂きます。
片頭痛は遺伝するか?
- 223 -
片頭痛を起こしやすい体質(素因)について重要なことは、片頭痛を起こす人と起こさない
人の脳には違いがあり、前者を migraineous brain(片頭痛脳)と表現することもあります。す
なわち片頭痛は遺伝子の関与が示唆される神経生物学的な疾患です。
片頭痛は家系内発症例が多く、親兄弟や親族の間で形質を比較する連鎖解析により、いく
つかの連鎖領域が報告されています。「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」は共に家族
集積性が認められ、それらの発症には遺伝因子の関与が大きいようです。双子研究による一
卵性双生児と二卵性双生児の疾患一致率は、 「前兆のある片頭痛」ではそれぞれ 34% と
12%、「前兆のない片頭痛」ではそれぞれ 28% と 18%となっています。前兆の有無によらず一
卵性双生児の方が二卵性より一致率が高いことは、発症における遺伝因子が存在することの
証拠となります。
片頭痛発作のトリガーになる要因としては、遺伝的因子(素因)と環境因子(誘因)がありま
す。片頭痛は複数の環境因子と遺伝因子が重なって発症するようです。遺伝子は、環境的トリ
ガー、すなわち外的因子(天候の変化、運動、飲酒、光・音・臭い刺激など)や内的因子(ホルモン
・睡眠習慣・心理的な変化など)に対する感受性に関与しています。分離解析の結果から、片頭
痛は複数の遺伝子の構成が関与して発症することが示唆されています。メンデル遺伝性疾患
(単一遺伝子疾患:いわゆる遺伝病)の原因遺伝子に対し、多因子疾患の発症に関与する複数
の遺伝子を疾患感受性遺伝子といいます。ちなみに高血圧や糖尿病などの生活習慣病も多因
子疾患と考えられています。患者対照関連解析によって患者集団内で正常対照集団内より頻
度の高いアリル(対立遺伝子)を見つけることができます。このアリルが存在する遺伝子が疾
患感受性遺伝子であり、その同定により、疾患発症の機序や他の発症因子との関係の解明が
期待されます。片頭痛の疾患感受性遺伝子の同定に向けて多くの研究がなされていますが、
現時点ではコンセンサスの得られた疾患感受性遺伝子は発見されていません。また、一つの
疾患感受性遺伝子の同定は疾患機序解明の端緒にすぎません。
参考文献
12
- 224 -
「セロトニン生活のすすめ」
有田秀穂著
Ⅰ
青春出版社
、2006 年
毎日の生活にセロトニンは十分ですか
1 日光不足症状-太陽光は体と心の元気の源-
(1) 元気が出ない
(2) 寝つきが悪く、朝の目覚めがスッキリしない。
(3) なんとなく憂鬱な気分のまま、毎日を送っている。
(4) 仕事や勉強に集中できず、疲れやすい。
(5) ストレス解消と称して、衝動買いをしてしまう。
(6) いらいらするとお腹はすいているわけではないのに食べてしまう。
(7) ささいなことで落ち込んで、くよくよしてしまう。
2 お日様と脳内神経の不思議な関係
「冬季うつ病」、「季節性感情障害」はセロトニン神経の不活性による。セロトニン神経は
太陽光で活性化する。この光は太陽光と同じ照度が必要である。
3 セロトニン不足タイプ
(1) お日さま不足タイプ-心と体の覚醒不足-
脳内セロトニンは他の脳内ホルモンと違い、光や単純な運動で増やすことが出来る。
網膜に入った刺激はセロトニン神経に影響を与える。2,500 ルクス前後の光が必要(日没時)
(2) セロトニンの原料不足タイプ
- 225 -
トリプトファンはセロトニンの原料で、大豆製品(納豆、豆腐)や牛乳に多く含まれる。
また、トリプトファンを合成するためにビタミン B6(玄米、小麦胚芽、いわし、さんま)
が必要であり、トリプトファンを脳内に取り込むために炭水化物が必要になる。ただし、
肉類はセロトニンの吸収を妨げる。
(3) 運動不足タイプーセロトニン神経を弱らせるー
セロトニン神経の活性化は「単純な連続運動」が必要-「咀嚼」「歩行」「呼吸」など
Ⅱ
セロトニン神経の働き
セロトニン神経は脳内神経(ドーパミンやノルアドレナリン)の活動を支える神経
-指揮者-
(1) 大脳皮質を覚醒させ、意識レベルを調節する。-すっきり爽快、集中力-
(2) 自律神経を調節する。
(3) 筋肉へ働きかける。
-抗重力筋を活性化、背筋を伸ばしまっすぐな姿勢、生き生きした症状を作るー
(4) リズム運動(ガム咀嚼 30 分)でセロトニンが増加
(5) 痛みの感覚を抑制する。-不足すると、体の痛みを感じるようになる
(6) 心のバランスを保つ-悲しみや喜びの感情のバランス
Ⅲ
心身の不調の鍵を握るセロトニン神経
セロトニンは、ドーパミン(快)ノルアドレナリン(不快)の機能を抑制し、平常心を保
つ。
- 226 -
-脳内ホルモンの変調による症状を改善する機能を持っているー
(1) セロトニン不足はうつ、摂食障害、パニック障害、片頭痛を起こす。治療には SSRI
を服用
(2) ドーパミンは、食欲、性欲、快の衝動を起す。-過剰の場合は各種依存症-ギャン
ブル、アルコール、買い物依存症、食欲のコントロール不能な摂食障害
(3) ノルアドレナリンが強い場合は「パニック障害」「不安症」を起す。
(4) 自律神経のバランス調整
交感神経が活動すると血管の収縮が強くなり「冷え性」になる。
Ⅳ
セロトニンを鍛える 3 つのキーワード
(1) 日光を浴びる
(2) リズム運動をする-咀嚼、腹式呼吸-効果を実感できるまでに 3 ヶ月
(3) 腹筋を使った運動をする
これらの運動を始めると 5 分程度でセロトニン神経が活性化する(今まで 1 秒間 3 回出て
いたインパルスが 6 回になる)。これを 20 ~ 30 分続けるとセロトニン神経の活動が高まる
(やりすぎは疲れる。禁物)
Ⅴ
セロトニン効果
1 若々しく美人になる
抗重力筋が適度に緊張し、姿勢が良くなり、まぶたやほほが引き締まる。
2 夜はグッスリ、朝はすっきり
「睡眠時無呼吸症候群」はセロトニン不足による筋緊張が弱まり、気道の確保が出来ない
ことが原因
3 仕事が出来る
セロトニン神経は自律神経に働き、目覚めているときの活動を高める。朝、目覚めると活
動を始める。
4 冷え性とお別れ
- 227 -
冷え性は交感神経が過度に興奮している状態、副交感神経とのバランスを取るために、セ
ロトニンを増やすと良い。
5 生理痛やつらい痛みが楽になる。
セロトニンの「鎮痛効果」による
6 憂鬱な偏頭痛が和らぐ
セロトニンの「鎮痛効果」。片頭痛は収縮した脳の血管が過度に弛緩するときの痛みで、
「ズキ」「ズキ」と脈打つ痛みが特徴。血液中のセロトニンは血管を収縮させる効果がある
ので、血管の過度の拡張を抑える。セロトニンに変化する前のトリプトファンも片頭痛の
治療に効果がある。
7 イライラ、ドキドキに動じなくなる
ストレスを感じたとき、ノルアドレナリン神経(脳内危機管理センター)が活動し、イ
ライラやドキドキを感じたとき、このノルアドレナリンの過度の活動をセロトニンが抑え
る。
8 ストレス食いをしなくなる
セロトニンは食欲や性欲を抑える。摂食障害には SSRI が使われている
9 ほしがらない心になる
食事、買い物、飲酒などの快楽を求めるドーパミンの過剰な活動をセロトニンが抑える。
10 すっきり快調
セロトニンが減少すると、腸の蠕動運動が減少し、便秘気味になる。セロトニンの補給
が必要。
【注意】セロトニンは薬では増えない
SSRI(選択性セロトニン再取り込み阻止剤)はセロトニンの量そのものを増やすのでは
なく、次の神経に伝達すべきセロトニンをセロトニン神経自身が再取り込みをしてしまう
ために、次の神経に伝えられず、有効に働くセロトニンが減少するのを防ぐ(再取り込み
を阻止する)ためのものである。
セロトニンを増やすためには、セロトニン神経を直接刺激することであり、「セロトニン
- 228 -
・トレーニング」が役立つ。
【セロトニン・トレーニング】
STEP 1 日光浴
(1) 2,500 ルックス以上の光が必要。「すっきり効果」
(2) セロトニン神経は 5 分で活性化する。日光浴の限度は 20 分から 30 分、
それ以上になるとセロトニン自己抑制機能が働く。「気持ちいい」と感じているかぎ
り日光浴を続けてもかまわない。
(3) 日光浴は朝がいい。
一日の活動開始の時間のリセット。朝は 2,500 ルックス以上の照度があ
り、セロトニン活性に望ましい。
STEP 2 一石二鳥の朝ごはん
(1) セロトニンの原料を取ること。咀嚼(リズム運動)がセロトニン神経を
活性化する。
(ガムをかむ実験では、5 分噛むとセロトニン神経が活性化する)
(2) セロトニンは食事から作られる
セロトニンの原料(トリプトファン)は体内で合成されない。
セロトニンの原料
(ア) トリプトファンは→大豆製品(味噌、豆腐、納豆)、牛乳、チーズ
(イ) ビタミン B6
サンマ、イワシ、サバ、カツオ、マグロ、小麦胚芽、玄米、大豆、しょうが、ニンニク、
唐辛子、肉類(ただし、過剰な摂取はセロトニンの合成を妨げる。)
(ウ) 炭水化物→トリプトファンが脳内に取り込まれるのを促進する。
(3) 一日一食でも「スローフード」にしよう
ゆっくり時間を掛けて、噛むことがセロトニン神経の活性化になる。
- 229 -
STEP 3
リズムに乗って、体を動かす。
(1) セロトニン神経のためのリズム運動の原則
① リズム運動の種類は何でもいい-毎日続けること-
ウォーキング、自転車、ダンス、フラダンス、日本舞踊、盆踊り、阿波踊り、太鼓たたき、
カラオケを歌うことなど
② 時間は 5 分から 30 分以内
セロトニンが活性化するのは 30 分がピーク、「すっきり爽快感」が目安
③ 簡単に出来るもの-慣れているものがベスト-
階段の上り下り、ウォーキング、縄跳びなどなれているもの、新しい運動はストレスが掛
かるので、セロトニン神経の活性化にはならない。例えば、エアロビックなど
④ 軽く負荷を掛け、疲れない程度の運動がよい。
ウォーキング、自転車漕ぎを少し早めになど、少しずつ負荷を掛ける。
⑤ ながら運動ではだめ
「テレビを見ながら」、「考え事をしながら」などはセロトニンの増加はない。ただし「音
楽を聴きながら」はよい。念仏を唱える、50 音を無心に唱えることも役立つ。
⑥ とりあえず 3 ヶ月は継続する
セロトニンが増えたと実感するのには 3 ヶ月掛かる。セロトニン神経は訓練によって神
経線維を伸ばし、セロトニンを多く神経に伝えていくが、同時に自分自身にも線維を延ば
し、「自己受容対」を作って、セロトニンの増加を抑制する(自己抑制作用)が働く。
トレーニングの開始ごろは自己受容対が多く、セロトニン効果が持続していくと自己受
容対が減少してセロトニンの増加が得られる。
⑦ カラオケを歌う
⑧ 笑い。泣き
笑いの研究(筑波大学村上和雄教授)では、笑うとセロトニンが増えるという実験結果
がある。また、笑いはセロトニンを活性化する呼吸法を行っている。
STEP 4 呼吸を意識する
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(1) 腹筋を使った意識的な呼吸(腹式呼吸)は先ず、息を吐くことから始まる
(2) 呼吸していることに意識を集中する
(3) 時間は 5 分から 30 分程度
(4) 息を吐くことに重点を置く
(5) 呼吸回数を無理に決めない
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著者略歴
氏名
田草川
良彦
昭和 19 年 2 月 17 日
住所
生
和歌山県田辺市芳養松原2丁目15番17号
経歴
昭和 43 年
広島大学医学部卒業
昭和 44 年
広島大学医学部臨床研修
昭和 45 年
国家公務員等共済組合連合会
昭和 50 年
秋田県立脳血管研究センターへ
昭和 51 年
国家公務員等共済組合連合会
昭和 63 年
富永記念病院脳神経内科に勤務
平成3年
成和神経内科医院を開設し現在に至る。
呉共済病院内科医として勤務
呉共済病院神経内科医長
論文
1.慢性血液透析患者に併発した脳血管障害の臨床病理学的検討。広島医学 31:44-48,1978.
2.脳梗塞の神経放射線学的検討ー特に基底核・視床小梗塞巣を中心としてー。広島医
学 32:26-35,1979.
3.長期にわたり局所充血所見(Capillary blush および Early venous filling)を呈した脳梗
塞の 1 例。広島医学 32:34-39,1979.
4.脳梗塞の臨床的・神経放射線学的検討ーとくに再開通現象についてー。広島医学
32:9-15,1979.
5.出血性脳梗塞について。広島医学 33:54-59,1980.
6.脳梗塞における Contrast enhancement.広島医学 33:28-34,1980.
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7.椎骨・脳底動脈狭窄ないし閉塞症のCT所見について。広島医学 33:18-27,1980.
8.脳梗塞における脳浮腫の検討。広島医学 34:24-32,1981.
9.脳梗塞に伴つた慢性硬膜下血腫の 2 症例。広島医学 34:20-26,1981.
10.高齢者脳動脈瘤によるクモ膜下出血について。広島医学 34:23-27,1981.
11.脳梗塞ー再開通症例の臨床的検討(第 2 報)。広島医学 36:43-47,1983.
12.脳梗塞における内頚動脈病変の意義。広島医学 36:34-36,1983.
13.超音波ドップラー血管造影法による頚動脈分岐部病変の診断ー ANGIOSCAN FLOW
MAP による正常例の検討ー。広島医学 37:41-47,1984.
14.超音波血流動態測定装置 ANGIOSCAN FLOW MAP による頚動脈分岐部病変の診断
ー脳血管写施行 122 例との対比検討ー。広島医学 37:13-19,1984.
15.超 音 波 ド ッ プ ラ ー 法 に よ る 椎 骨 動 脈 血 流 検 査 ー 超 音 波 血 流 動 態 測 定 装 置
ANGIOSCAN FLOW MAP による正常例 173 例の検討ー。広島医学 37:23-26,1984.
16.Lacunar infarction の臨床的検討。広島医学 38:26-32,1985.
17.脳卒中型内頚動脈閉塞症の臨床的検討。広島医学 38:3-9,1985.
18.中大脳動脈閉塞症(脳卒中型)の臨床的検討ーとくに機能予後についてー広島医学
38:8-14,1985.
19.脳梗塞と再開通現象。広島医学 38:97-101,1985.
20.発症早期に血行再開した脳底動脈閉塞症の 1 例。広島医学 38:8-12,1985.
21.脳梗塞と悪性腫瘍の合併について。広島医学 35:39-45,1982.
22.一 過 性 脳 虚 血 発 作 の 臨 床 的 検 討 ー と く に 神 経 放 射 線 学 的 検 討 ー 。 広 島 医 学
39:28-36,1986.
23.一過性脳虚血発作時及び発作後の脳血管写所見ー embolus の証明と消失ー。広島医
学 39:13-18,1986.
24.一過性脳虚血発作の臨床的検討。広島医学 39:20-22,1986.
25.TIAで発症した慢性硬膜下血腫と未破裂脳動脈瘤を合併した 1 例。広島医学
39:80-82,1986.
26.脳梗塞の核磁気共鳴画像。広島医学 40:87-94,1987.
27.脳梗塞症例の平均在院日数。広島医学 40:48-52,1987.
28.脳梗塞の核磁気共鳴画像(第 2 報)ー特に経時的変化についてー。広島医学
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40:80-86,1987.
29.脳梗塞の核磁気共鳴画像(第 3 報)ー発症 24 時間以内施行例の検討ー。広島医学
40:9-18,1987.
30.脳梗塞の核磁気共鳴画像(第 4 報)ーX線CTとの検出能の比較ー。広島医学
40:3-6,1987.
31.脳梗塞の I-IMP による脳シンチグラム所見。広島医学 40:6-12,1987.
32.脳梗塞の早期リハビリテーシヨン。広島医学 40:67-74,1987.
33.救急医療をめぐる諸問題。共済医報 29:63-72,1980.
34.再開通現象と出血性梗塞。共済医報 29:76-82,1980.
35.脳梗塞と悪性腫瘍の合併について。共済医報 31:36-47,1982.
36.脳梗塞の臨床的・神経放射線学的検討ー脳血管写施行 297 例の検討ー。共済医報
32:33-46,1983.
37.超音波血流動態測定装置 ANGIOSCAN FLOW MAP による頚動脈分岐部および椎骨
動脈病変の診断。共済医報 33:50-63,1984.
38.脳梗塞の臨床。共済医報 35:1-27,1986.
39.一過性脳虚血発作の神経放射線学的検討。共済医報 35:25-39,1986.
40.脳梗塞の核磁気共鳴画像。共済医報 36:39-53,1987.
参考図書
頭痛診断と治療
監修:佐野圭司
現代医療社
頭痛の基礎と臨床~その正しい対応のために~
頭痛診療のコツと落とし穴
臨床頭痛学
寺本純
編集:坂井文彦
黒岩義之編
医薬ジャーナル社
中山書店
診断と治療社
小児科臨床ピクシス 小児の頭痛診かた治しかた
小児内科 特集小児の頭痛ー診断と治療の進歩
編集:五十嵐隆
東京医学社
神経内科 第66 巻3 号
特集:頭痛診療の進歩ー
神経内科 第53 巻5 号
特集:特発性低髄液圧症候群
- 234 -
科学評論社
科学評論社
神経内科 第47 巻3 号
特集:特殊な頭痛
神経内科 第45 巻2 号
特集:片頭痛
神経内科 第26 巻5 号
特集:頭痛ー最近の治療を中心としてー
頭痛の診かた
科学評論社
科学評論社
診断と治療2002 Vol.90 No.6
Vol.46 No.3 Jun.2002
神経研究の進歩
治療学vol.36 no.7 2002
診断と治療社
特集頭痛:疼痛
頭痛普及しつつある新しい薬と治療法
症例とQ&A で学ぶ頭痛
今すぐ役立つ診療ガイド
新しい診断と治療のABC 21 頭痛
神経2
診断と治療社
頭痛診療の進歩と課題
寺本純
診断と治療社
片頭痛診療マニュアル
寺本純
診断と治療社
日本内科学会雑誌 Vol.82 No.1
特集頭痛
日本内科学会雑誌 Vol.90 No.4
特集慢性頭痛
日本内科学会
日本内科学会
頭痛クリニック 1
臨床医のための頭痛診療攻略本
頭痛クリニック 2
緊張型頭痛を制する者は頭痛診療を制す
頭痛クリニック 3
群発頭痛は頭痛診療能力の試金石
頭痛クリニック 4
一歩リードできる片頭痛治療
症例から学ぶ戦略的片頭痛診断・治療
編集:鈴木則宏
ELH スピーリングス著
寺本純
診断と治療社
寺本純
寺本純
寺本純
診断と治療社
診断と治療社
診断と治療社
平田幸一・五十嵐久佳・他編
南山堂
中外医学社
臨床医のための片頭痛ー基礎から臨床までー
片頭痛の治療
日本医師会
診断と治療社
片頭痛の治療手引き
片頭痛診療ハンドブック
総合医学社
最新医学社
日本医師会雑誌会 平成20 年2 月第136 巻第11 号
寺本純
ライフサイエンス社
編集:間中信也
診断と治療 最新の頭痛診療ー頭痛の全てが分かる
片頭痛の診断の手引き
科学評論社
編集:片山宗一
寺本純訳
ライフサイエンス
診断と治療社
MECHANISM AND MANAGEMENT OF HEADACHE Fifib Edition James W.Lance BH
PSYCHIATRIC ASPECTS OF HEADACHE Cbarles S. Adler Sbeila Morrissey Adler Russell C,
Packard WILLIAMS & WILKINS
まちがいなく片頭痛を診断する術
寺本純
診断と治療社
これでわかる頭痛診療頭痛外来でのノウハウとコツ
頭痛
大和田潔
Primary care note
鈴木則宏・他
新水社
頭痛
作田学
日本医事新報社
- 235 -
南江堂
トリプタンの使い方
新しい片頭痛治療薬のさじ加減
頭痛どう捉え、どう治すか
小児の頭痛
下村登規夫
フジメデイカル出版
金原出版
Paul Winner A.David Rothner
寺本純訳
診断と治療社
片頭痛へのアプローチよりよい日常生活を配慮した診療を目指して
慢性頭痛とつきあう法
頭痛外来へようこそ
寺本純
図解「頭痛の治し方」
保健同人社
五十嵐久佳
これで治す最先端の頭痛治療
主婦の友社
ワンツーマガジン社
清水俊彦
服薬指導Q&Aシリーズ
角川学芸出版
慢性頭痛薬編
頭痛、耳鳴り、めまい、難聴を治す本
あなたの頭痛原因・症状・治し方
頭痛に強くなる 寺本純
ようこそ頭痛外来へ
保健同人社
講談社
清水俊彦
こどもの頭痛を治す本
旬報社
日本頭痛学会
濱口勝彦
群発頭痛を治す 寺本純
ママ、頭が痛いよ
講談社
清水俊彦
さよなら!不快症状頭痛
田代邦雄
清水俊彦
手塚博幸
白馬出版
講談社
北見公一
立岡良久
頭痛正しい知識と治し方
頭痛はこわい
頭痛
青海社
悠飛社
純診断と治療社
河出書房新社
岩波新書
頭痛をなんとかしたい解消&予防
<新版>頭痛
永関慶重
悠飛社
寺本
間中信也
高須俊明
医薬ジャーナル社
主婦の友社
「頭痛クリニック開院」 依存から自立、そして自活へ
頭痛退治読本
坂井文彦
大和田潔
頭痛女子のトリセツ
西東社
新水社
清水俊彦
頭痛解消パーフェクトガイド
五十嵐久佳
マガジンハウス
竹島多賀夫
東京書店
こうして治す片頭痛薬物乱用頭痛といわれたら
寺本純
新型頭痛「脳過敏症候群」のすべてがわかる本
清水俊彦
国際頭痛分類第2版新訂増補日本語版
講談社
講談社
日本頭痛学会訳
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医学書院
先端医学社
あとがき
平成 24 年 3 月 7 日、当医院開設後過去 20 年間の片頭痛とストレートネックとの関連に
ついての成績をまとめて、日本で指導的立場をされておられる頭痛専門医の方々 20 名に直
接郵送致しました。これと同時に、医院のブログ「頭医者のつぶやき」にも公開致しまし
た。しかし、どなたも無関心というか、無視されました。
やはり、頭痛そのものとストレートネックはエビデンスがなく関係ないと考えておられ
るようです。ということは、私の考え方は、謂わば”異端児”的ということになります。
しかし、現実は、鍼灸師、カイロプラクターの施術で多くの方々が、片頭痛を改善され
ておられます。このような事実をどのように考えておられるのでしょうか?
いつまでも、片頭痛の原因は「頭蓋内にある」「先天的なもので治すことは不可能」と考
えておられるようです。
私が、本書で述べましたように、必ず「治る片頭痛」は確実に存在します。
これを、世間の「頭痛専門医」に問う目的で本書を書き記しました。
日本頭痛学会の重鎮である先生方の頭を切り換えるには、世代交代が行われるまでは不
可能のようです。
恐らく、あと 10 年では無理なのかもしれません。
片頭痛を無くすまでの道のりは程遠いと思われます。
やはり、片頭痛は「自分で治さなくてはいけない」ようです。
「医療機関では片頭痛は治らない」という、小橋雄太さんの嘲笑が何時まで続くのでし
ょうか?
しかし、片頭痛で悩まれる方々が本書をお読みになられて、治療の参考にして頂ければ、
望外の喜びです。
平成 24 年 3 月 20 日
成和脳神経内科医院
田草川 良彦
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終わりに
この書籍は、樋口 真秀先生の御霊前に捧げます。
この度、この書籍を刊行するに当たって、片頭痛とストレートネックに関する「アンケ
ート調査」を先生にご依頼申し上げました。
ところが、郵送した後、奥様から訃報が届けられました。
ご冥福をお祈り致しております。
思い起こせば、先生は関西頭痛懇話会での唯一の論客でした。
今回も、私のような”異端児”の考えに忌憚のない意見をお願い申し上げました。
ご意見を戴けなかったことは、極めて残念でなりませんでした。
先生が存命中であれば、私の考えに必ずやご批判頂けるものと思っておりましたのに、・
・・
これで、また、近畿地区の頭痛診療の進展が遅れて仕舞わないよう懸念致しております。
この書籍の中にも先生のご意見を多く収録させて頂いております。
平成 24 年 3 月 20 日
成和脳神経内科医院
田草川 良彦
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