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こちらからPDFがご覧になれます。 - 沖縄県医師会
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
九州医師会連合会第 271 回常任委員会
会長 稲 冨 洋 明
去る 5 月 21 日(土)、沖縄ハーバ
ービューホテルにおいて標記常任委
員が開催されたので、その概要を下
記のとおり報告する。
まず、九州医師会連合会長である
小職から挨拶を行った後、会次第に
沿って会議を進めた。
1.報 告
以下の 4 項目について、小職から
報告した。
1 )九州医師会連合会事務引継ぎ
について(沖縄)
(土)に、宮崎県
去る 4 月 23 日
医師会において、秦会長はじめ関係役職員
をするとの 3 点が提案として挙げられたが
ご出席の下、公印並びに関係書類等の確認
「医師会の災害医療の関わりというのは、
を行い、引継を行った。
今までの概念ではうまくいかないのではな
2)第 89 回定例委員総会について(沖縄)
当常任委員会に引き続いて、午後 4 時 40
分から定例委員総会を開催することとし、
いか。各県の支援の仕方として的を絞って
はどうか。」との意見等があり、再度検討
する必要があるとの結論に至った。
ご来賓として植松日本医師会長、武見参議
今後の日程については、9 月 10 日の各種
院議員、西島参議院議員にご出席いただく
協議会において、協議・検討し、10 月の九
ことになっている。
州各県・政令指定都市保健医療福祉主管
3 )九州・山口各県医師会災害・救急医療担
当理事連絡協議会について(沖縄)
部局長及び九州各県医師会長合同協議会
にはまとめて提示できるよう進めていくこ
去る 4 月 23 日(土)、福岡県医師会館に
とにしたい。
おいて開催された当連絡協議会において
なお、本件に関して、当協議会の取り纏
は、理想的な対応として、①各県医師会で
め役を担って頂いている佐賀県の沖田会長
医療救護班を設定し、県内の救護はもとよ
から次のとおり補足説明があった。
り他県への救護にも派遣できる体制を整備
本協議会については、担当理事より、各
する。②被災患者の受け入れ医療機関等の
県の一致した論点は見いだせなかったとの
把握、情報の共有化、連携体制の整備をす
報告を受けている。ついては、本会におい
る。③迅速に情報伝達が行えるよう、緊急
て論点を整理し、今後の方針を取り纏め、
時における連絡網(ネットワーク)の構築
九医連担当の沖縄県に送付してあるので、
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沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
2.議 事
第 1 号議案 平成 16 年度九州医師会
連合会歳入歳出決算に
関する件
大坪委員(宮崎県)
より説明。
第 2 号議案 平成 17 年度九州医師会
連合会事業計画に関す
る件
當山委員(沖縄県)
より説明。
第 3 号議案 平成 17 年度九州医師会
連合会負担金賦課に関
する件
友寄委員(沖縄県)
より説明。
後日、沖縄から各県へ送付して頂き、各県
第 4 号議案 平成 17 年度九州医師会連合会歳入
のご意見をお伺いすることにしている。必
歳出予算に関する件
要であれば、9 月 10 日の各種協議機会の前
友寄委員(沖縄県)より説明。
に会議を開催し意見調整を行い、その後、9
第 5 号議案 平成 17 年度九州医師会連合会監事
月 10 日の各種協議会の議を経て 10 月の九州
(2 名)の選定に関する件
各県・政令指定都市保健医療福祉主管部局
鮫島委員
(鹿児島県)
、地後井委員(熊本)
長及び九州各県医師会長合同協議会に上程
の推薦について報告。
したいと考えているので、ご理解賜りたい。
第 6 号議案 平成 17 年度第 105 回九州医師会医
4)春の叙勲等受章者への慶祝について
(沖縄)
学会事業計画に関する件
標記の件に関し、九医連役員等慶弔規程
に基づき、九医連会長名により、去る 5 月
當山委員(沖縄県)より説明。
第 7 号議案 平成 17 年度第 105 回九州医師会医
2 日に祝電により、祝意を表した。
学会会費賦課に関する件
①前九医連常任委員・前熊本県医師会長の
友寄委員(沖縄県)より説明。
柏木明先生 旭日小綬章
②元九医連常任委員・元沖縄県医師会長の
宜保好彦先生 旭日双光章
以上、第 1 号∼第 7 号については、原案
どおり承認され、定例委員総会に上程する
ことに決定した。
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沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
第 8 号議案 次回第 106 回(平成 18 年度)九州医
4 )日医「母体保護法指定医師の指定基準」
師会医学会開催担当県の決定並び
モデル等に関する検討委員会(プロジェク
に次々回第 107 回
(平成 19 年度)同
ト)委員の推薦依頼について(沖縄)
九州各県に照会したところ、福岡県、熊
学会開催担当県の内定に関する件
本県から推薦があり、各県選出の日医委員
次回第 106 回は大分県に決定し、次々回
会委員数を考慮して、熊本県医師会の八木
第 107 回は長崎県に内定した。
剛志先生を推薦したことを承認。
4.そ の 他
3.協 議
1)第 272回常任委員会の開催(7月 1日(金)
1)「後期臨床研修」に関する病院合同説明会
(仮称)について(福岡)
台北市)について(沖縄)
原案どおり、平成 17 年 7 月 1 日(金)
、台
福岡県の竹嶋会長より、資料に基づいて
以下のとおり説明があり、了承された。
北市の圓山大飯店で開催することに決定し
た。なお、翌日は、病院視察、台中市医師
九州ブロック「臨床研修終了後」研修等に関す
会役員との情報交換会も開催する。
2)第 273回常任委員会の開催(8月 6日(土)
那覇市)について(沖縄)
る病院説明会実施要領
主 催 九州ブロック
「臨床研修終了後」研
原案どおり、平成 17 年 8 月 6 日(土)
、沖
修等に関する病院説明会実行委
員会
縄ハーバービューホテルにおいて開催する
ことに決定した。なお、当常任委員会は、
「第 49 回九州ブロック学校保健学校医大
実行委員会 九州各県医師会 九州各県
後 援 福岡県病院協会、
会」並びに「平成 17 年度九州学校検診協
議会」に併せ開催することになっている。
福岡県私設病院協会
開催日時
平成 17 年 7 月 3 日(日)
10 : 00 ∼ 16 : 00 (予定)
学校保健関連行事は資料のとおり。
3 )第 274 回常任委員会並びに第 1 回各種協
開催場所
福岡国際会議場
(土)那覇市)について
議会の開催
(9 月 10 日
開催方法
病院毎にブースを設営、ポスタ
(沖縄)
ー並びにプロジェクターによる
原案どおり、平成 17 年 9 月 10 日(土)、
沖縄ハーバービューホテルにおいて開催す
プレゼンテーションを行う。
参加費用
1 施設 1 万円∼ 2 万円
ることに決定した。
開催する協議会は 3 種目とし、後日各県へ
また、実行委員長には、福岡医師会の竹嶋会
照会する。また、当日は、日医主催の「九州ブ
長の就任が承認され、第 1 回実行委員会を 5 月
ロック医師会広報担当理事連絡協議会につ
30 日、第 2 回実行委員会を 6 月 17 日に福岡県で
いて」も、併せて開催することになった。
開催することになり、各県から会長又は担当理
事が参加することになった。
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九州医師会連合会第 89 回定例委員総会に参加して
常任理事 友 寄 英 毅
九州医師会連合会 第89回定例委員総会 会場風景
去る 5 月 21 日(土)、那覇市(沖縄県担当)において標記定例委員総会
が開催され、九州医師会連合会の平成 16 年度決算と平成 17 年度事業計画
並びに予算等が審議され承認されたので、会議の概要を報告する。
はじめに、司会より開会が宣され、前九州医師会連合会長の秦喜八郎宮
崎県医師会長より平成 16 年度の九州医師会連合会諸事業への協力に対する
お礼と共に、今後の厳しい医療情勢において九州医師会は一丸となって植
松治雄日医会長を支えていく旨の激励を含めた挨拶が述べられた。
その後、稲冨九州医師会連合会長より、次のとおり挨拶があった。
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報 告
稲冨洋明九州医師会連合会長 挨拶
め、また、国民を不安と恐怖から払拭するため
にも、当連合会の諸事業の推進に積極的に取り
組んで参る所存でありますので、日本医師会並
びに九州各県医師会のご指導、ご支援、ご協力
の程をお願い申し上げる次第であります。
なお、本日は、お手元に配布致しております
資料のとおり、本年度の九州医師会連合会事業
計画、予算、九州医師医学会事業計画、予算等
を上程いたしておりますので、ご審議のうえご
承認賜りますようお願い申し上げましてご挨拶
と致します。
九州医師会連合会 稲冨 洋明 会長
本日は、九州医師会連合会第 89 回定例委員
植松治雄日本医師会長 挨拶
総会を開催致しましたところ、皆様におかれま
しては時節柄ご多忙の中を、遠路はるばるご来
沖いただきまして深く感謝申し上げます。
特に、日本医師会の植松治雄会長、参議院議
員の武見敬三先生、西島英利先生には、公務ご
多端の折、枉げてご臨席賜り、当定例委員総会
に錦上花を添えて下さいまして誠にありがとう
ございます。
先程、前九州医師会連合会長の宮崎県の秦会
長よりご挨拶いただきましたが、宮崎県医師会
日本医師会 植松 治雄 会長
におかれましては、昨年度 1 年間、九州医師会連
合会の諸行事について、役職員皆様方による綿
本日九州医師会連合会第 89 回定例委員総会
密なご計画と周到なご準備と運営で、大きな成
が盛会に開催されますことをお祝い申し上げる。
果を収められました。この場をお借りしまして衷
秦前九州医師会連合会長からもお話があった
心より感謝の意と敬意を表する次第であります。
ように、医療界にとっては昨年来非常に厳しい
さて、経済財政審問会議、規制改革・民間開
状況が続いている。就任以来、一生懸命やって
放推進会議、財務省などが主張する市場原理に
きたつもりではあるが、なかなか成果が上がら
基づく改革方針は、手綱を緩めることなく更に
ず先生方にもご不満があろうかと思う。この1 年
強力に推し進め、国民を不安と恐怖に陥れるこ
を振り返ってみて、7 月の西島英利先生の参議院
とは容易に察することができます。
議員選挙の結果については、ご批判ご叱責もあ
このような中で、日本医師会の植松会長は、
ろうかと思うが、私どもなりに一生懸命やって
先の代議員会において、日本医師会の基本姿勢
きたつもりである。トータル的には、会員の政
は、「社会保障制度を堅持して、国民皆保険制
治離れが大きく影を落としている。ただ自民党
度を守ることを中心に据え、国民と共に歩む」
の中では上位であったことがせめてもの慰めで
と強調されました。国民の健康と命を守ること
あるが、私どもは決して満足や喜んではいない。
は我々の重大な使命であり、私ども沖縄県と致
2 年後には同様に選挙があるが、これまでの教
しましても、今後 1 年間、九州医師会連合会の
訓を生かして後悔の残らないよう戦うべく、会
担当県として、日本医師会の基本姿勢を貫くた
員のご理解を得られるよう努力してまいりたい。
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沖縄医報 Vol.41 No.7
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報 告
昨年の 12 月には混合診療の全面解禁問題が
ていただきたい。
あったが、これまでの医療担当者のみで活動を
今の経済状況の中で診療報酬を引き上げるこ
してきた我田引水的なイメージを払拭するた
とに罪悪感を感じる会員もおられるが、国民の
め、国民運動として展開すべく国民医療推進協
健康を守っていくために求めるべきものは当然
議会を立ち上げ、各都道府県医師会並びに地域
求めていきたい。医療費の引き上げを言っては
医師会にも同様の運動をお願いすると共に、署
ならないようなムードを作っては、かえって
名活動を展開した。各先生方並びに国民の皆さ
我々を呪縛にかけているのではないかと思う。
んのご理解を賜り、600 万人を余る署名を集め
今後は強い気持ちで、その呪縛を解き放つよう
ることが出来た。また、これらを生かすべく、
勇気を持って行動をしていきたい。
両院には誓願として採択をしてもらうと同時
未だ未熟な執行部であるが、強い運動が出来る
に、武見・西島両参議院議員にお願いをすると
よう各ブロックの医師会のご理解とご協力をお
共に、議員会館においても駆けずり回りながら
願いすると同時に、ご支援とご指導を賜りたい。
推薦人としての署名を各議員にお願いした。そ
れらも内閣からの手が回らないよう 2 ∼ 3 日の
武見敬三参議院議員 挨拶
短期間で行った次第である。
幸いにして、与党の約 8 割の先生方から署名
を頂き、衆・参議院議長に提出し採択された。
その際、尾辻厚生労働大臣、村上規制改革担
当大臣との間で取り交わされた文書では、従来
の特定療養費制度を廃止し、健康保険に取り入
れる医療と、患者の選択制のある医療に分けて
対応、国内未承認薬の承認を速やかにすること、
更にそれに付随して中医協改革問題が出ている。
現在、具体的な詰めが行われているが、その
武見 敬三 参議院議員
対応を間違えないよう対応していきたい。
また、骨太の方針 2005 においては、医療費
今年の最大の特徴は、 12 月の診療報酬・介
の抑制、社会保障費の抑制という大きな波が内
護報酬改定率の策定と、中長期的視点に立った
閣並びに財務省から出されており、これらにつ
医療制度改革を同時に行うことである。
いてはゾンビの如く繰り返し出て来ている。
これらの具体的政策決定の上で、焦点となっ
市場経済原理の改革を断行しようとする動き
ているのが 6 月の「骨太の方針(経済財政運営
が空くことなくこれからも押し寄せてくるであ
と構造改革に関する基本方針 2005 )」である。
ろうと予測されるが、現在も私どもは国民運動、
従来、「骨太の方針」は財政政策を策定する
ロビー活動を展開し続けているところである。
うえでの基本をとりまとめることだけであった
これから先にどのような展開になるか予測がつ
が、今年は中長期的視点に立った医療制度改革
きにくいが、私としては、医療の安全が強く求
の中身についても、その考え方が「骨太の方
められている現在、医療費の抑制、診療報酬の
針」に書き込まれることになった。従って、従
引き下げはあってはならないことであり、各政
来以上に今年の「骨太の方針」は医療に関わる
治家の先生方にも話し続けているところである。
政策決定になるとご理解いただきたい。そこに
このことは多くの議員のご理解を得なければ
焦点をあて、様々な審議会が中間取り纏めに取
ならず、そのためには、各医師会或いは政治連
り組んでいるところであるが、その中でも最大
盟において、強い力で地元の先生方にお話をし
の焦点になるのが、医療費に関わる総枠管理の
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沖縄医報 Vol.41 No.7
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報 告
考えが具体的に骨太の方針に書き込まれるかと
ていくときに、この各支部の中に協議会が設置
いう点である。
された場合、それぞれの都道府県医師会から、
潜在的国民負担率や、プライマリバランスと
いったものを通じて、その枠組みを策定しよう
役員の先生方が必ずこの協議会に参画すべきだ
と思う。
とする考えや、或いはある程度高齢者の人口増
それによって、健康づくり事業が地域医療と
加分について認める形で総枠管理を策定する考
密接に連携し、かかりつけ医機能が中核に位置
え等、正に百家争鳴の如く意見が出てきている
づけられる形で、新たな地域の活動が展開でき
ところである。
るようにしていく一つの要になると考える。
この議論については、厚生労働省自身は、現
年金の受け皿づくりについては、正に来週、
在進行中の医療制度改革の中で、具体的に医療
再来週が山場になる。実際に公務員型の独法に
費を抑制する枠組みを策定する考え方に基づい
すべきとする若手改革派と、それでは国民の信
て、あえて総枠管理には反対と言ってはいる
頼は得られなくなるため、保険料を強制徴収す
が、各論ではそれぞれ具体的な抑制策を組み立
る機関に国が直接関わり責任を明確にすべきと
て、それを組み立て併せる形で全体像を作ろう
いう点で、あくまでも社会保険庁と同様外局と
とするアプローチの違いがあるだけである。
して執り行うべきであるとする厚生労働関係の
こうした中で、如何にして医療費の抑制策に
シニアの先生方との間でデッドヒートが繰り広
対峙していくかが、私共の最大の課題になって
げられている。私はその取り纏めの責任者とし
いる。
て来週・再来週の間に両者の調整をすることに
内閣官房長官に下にある、社会保障のあり方に
なっている。これに加え、高齢者医療保険制度
関する懇談会も5 月 17 日の第 7 回の論点整理にお
の創設の議論がこれから約 3 か月間にわたって
いて「医療給付費の伸びの抑制に厳しく取り組
行われる。この際、改めて気をつけておかなけ
んでいく必要がある」との文言が明記されてる。
ればならないことは、この制度の設計をする時
この文言がそのまま、「骨太の方針」に盛り
に財務省が特にやりたがっている老人医療費の
込まれる可能性が高いだけに、これらについて
総枠管理機能がこの中に組み込まれないように
は改めて理論武装し、対処していくことが求め
設計するよう常に配慮することである。
られる。また、社会保険庁の改革の議論が最終
その他にも新たな保険の財源を考えた時に、
場面に差し掛かっている。 1 月に入ってから、
国庫負担をそれぞれ 5 割後期高齢者の中に組み
年金と医療を分離して新たな組織に再編するこ
込むということになると、改めてこの財源をど
とが大凡決まり、医療保険については政府管掌
のような形で工面するかという議論がこれから
健康保険を政府が保険者である現状を基本的に
再び大きくなると思う。
組み替え、全国一律の公法人のもとでそれぞれ
これらに加え、近々に重要になってくるのが
都道府県に支部を設け、その支部が協議会を設
中医協の改革の議論である。基本的に三者構成
置し、協議会がかなり独立性のある政策の策定
の変更は無いようであるが、それぞれ各委員の
を保険者として出来るよう組み立てられようと
割り当てを変更する意向が出てきている。その
している。その際、一定の枠組みの中で、保険
中で公益の委員を増やす意向はかなり広く定着
料の上げ下げも独自で行えるという考えが組み
してきており、医療側、特に医師を代表する5 人
込まれようとしていることに加え、健康づくり
の枠組みについては、医師国家試験に合格し、
事業等、いままでの保険者が十分に出来なかっ
医師個人を代表する組織として最も広く日本を
た分野についても、重点的にこれらの役割を新
代表し得るのは、明らかに日本医師会である。
たな各支部の協議会が担ってもらいたいという
その点からもこの 5 人枠を堅持し、医療界を
ことになっている。改めてこうした改革を進め
健全に反映させるための仕組みづくりについて
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報 告
るところであるが、最も多くの質疑時間を西島
考える最終局面に入ってきている。
その考えを取りまとめていく課程で更に診療
先生に取っていただいている。特に介護と医療
報酬のあり方についての議論が中医協の中で進
の連携については、この法案の中でも特に不備
行していくという極めて大きな改革が進められ
であり、政省令の中で如何に策定するかが鍵と
る。
なっている。そのため、委員会の質疑の中では
第 5 次医療法の改正についても同じく医療提
供体制の見直しの中で議論されてきているとこ
西島先生にしっかりとクイを打ってもらうよう
適切にご質問いただいているところである。
ろであるが、これについては、医療法人に関わ
このようにしっかりと連携をとりながら、医
る改革の中で新たに認定医療法人等が策定され
政の場で仕事させていただいていることをご報
る傾向にあるが、そこで一つ注意しなければな
告申し上げる。
らない課題は、医療法人に関わる会計基準の導
入である。病院会計準則を昨年導入して以来、
西島英利参議院議員 挨拶
役所は積極的に導入を急いでいるが、実際に導
入するとなると退職積立金の割合、リース会計
等について全ての医療法人適用するとなると極
めて現状以上に財政状況が不利益になる。また
同時に自己資本比率の問題も出てくる。医療法
人について、どこまで自己資本を確保できるか
ということが確認されるようになると、これも
大きな負担となる。加えて会計基準が導入され
ると、明らかに所轄官庁である厚生労働省の医
療法人に対する監督権が大幅に強化されること
西島 英利 参議院議員
になる。従ってこれらの内容を事前に整理する
ことなしに、安易に医療法人の会計基準を導入
幸い武見先生が厚生労働委員会の筆頭理事を
することは反対であるとの立場で、西島先生
されていることから、ことある毎に質問の時間
共々論陣を張っているところである。
を振り分けて頂いている。その中で、中医協に
これらの会計基準を導入すると中小の機関で
ついては非常に大きな問題であるが、今ある状
60 ∼ 250 万円の新たなコスト負担が生じること
況、あり方見直し協議会の議論を聞いていると
になる。大規模な医療機関に関しては、1,000
間違った知識の中で議論が行われているため、
万円を超える負担が生じる。従ってこのような
その確認の質問をしているところである。
負担が生じないように共通ソフトを厚生労働省
そのような中で今正しく問題なのは、中医協
が開発して医療法人に無料配布し、負担を負う
における診療側の 5 人枠についてである。規制
ことなく会計基準を導入できるような仕組み無
改革民間開放推進会議は恐らく日本医師会の力
しには、この導入を反対する立場で戦っている
を認めており、そのため 5 人の推薦枠を何とか
ところである。
崩そうとする戦略を立ててきているところでは
最終的にどのようになるか改めて突き詰めな
ないかと思う。病院団体に委員を出すと盛んに
ければならないところが多々あるが、取りあえ
言いながら、ある意味では日本医師会の力の分
ず報告させていただく。
断を図っているのではないかと思う。しかし、
西島先生も参議院議員として改めて国政の場
中医協は中医協法という法律によって成り立っ
でご活躍いただくことになった。厚生労働委員
ているものであり、当然最終的には国会で決着
会では、介護保険に関わる審議が進められてい
をみることになる。そのことからも自民党の中
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報 告
枢におられる方々と調整をしているところであ
ことも考えられる。ただ、これは非常に重要な
り、植松会長にも病院団体を一つに纏めていた
ところであり、脳死を人の死とするかどうかに
だくようお願いしているところである。もし中
ついては、一歩手続きを間違うと判断をした医
医協の中で分断されることになると、診療側は
師が殺人罪として告発される可能性もある。や
弱体化することは間違いなく、そのことからも
はり刑法の面でも整理をした上で臓器移植法を
地元の国会議員にレクチャーをお願いしたい。
提案しないと、結果的に医師に大変な状況に陥
医療費の伸び率管理問題については、数年前
ることになる。
にこの問題を押さえているが再度浮上してきて
本件についても自民党の委員会の中でしっか
おり、時間が経っても何も変わらない現状をふ
りと発言し、多くの方々の理解を得られたと思
まえ厚生労働委員会で質問を行っている。た
っている。
だ、伸び率管理を強く主張しているのは、経済
また、当初年齢については自民党案では年齢
財政諮問会議の民間議員の方々であり、大企業
を限らないとしていたが、小児科学会のご意見
の方が 2 人入っている。健康保険法で保険料の
等もいただき、基本的には 12 歳以上を対象とす
2 分の 1 は企業が負担していることから、企業
る形になると思っている。
にとっても非常に大きな問題である。そういう
もう一つの問題は、臨床心理士についてであ
意味では、全く別の視点からこの問題が出てき
るが、20 数年間国家資格化が言われてきたが、
ているということを理解しながら、説得工作を
臨床心理学会が「医師の指示」に対して反対を
していかなければならない。
してきている。しかしながら今正に心理士の必
介護保険問題については、65 分の時間をいた
要性が叫ばれるようになってきた。
だき厚生労働委員会で質問を行った。一番の問
医師の指示でないとチーム医療が出来ないと
題は新予防給付の問題である。筋力トレーニン
いう観点の中で、「医療心理士」として議員立
グマシンを使った筋力向上の給付をするもので
法すべく、ほぼ法案は固まっている。
あるが、これは後退しており、必ずしもマシン
そのような中で、先日臨床心理学会とすり合
を使ったプログラムを強制するものではないと
わせを行い、医師の指示の下でもよいとする所
いうところまでに至っている。
まで降りてきている。
更に通所介護、通所リハの場でトレーニング
しかしながら、大学院卒で無ければならない
マシンを使った新予防給付についても必置を強
としており、これも二つの案が議員立法として
制するものではないことを厚生労働大臣から確
出てくる可能性がある。
認を取ったところである。そういう意味で今ま
医師不足問題については、地域医療が臨床研
でと変わらないサービスが要支援、要介護 1 の
修制度が出来て大変な状況になってきていると
方々にも提供できるように政省令の中でしっか
全国の先生方から伺っている。これに関して
りと打ち込んでいきたい。
は、先日武見先生にお願いをし、臨床研修制度
臓器移植法については、法が出来て 3 年後に
見直すことになっていたが、それが成されない
の問題を厚生労働委員会の中で議論していただ
くよう検討を行うことになった。
まま 7 年が過ぎている。恐らく今度の国会で会
見直しが規定に入っているが問題があるので
期を延長されることから、臓器移植法の見直し
あれば、前倒しによる見直しということも必要
が出されるであろうと考えるが、これは議員立
であるので、この点についてもしっかりと議論
法のため政府からの提案ではなく、いろんな考
をしていきたい。
え方がある。殆ど自民党案で進んでいたが、脳
いずれにしても、先生方が安心して医療を提
死を人の死とする定義が公明党の中で二つに割
供できるよう、また、国民が安心して医療を受
れているため、二つの案が議員立法に出てくる
けられる環境づくりに全力をあげていく決意で
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沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
あるが、現場のご意見を頂かなければ、誤った
第 1 号議案 平成 16 年度九州医師会連合会歳入
方向への道筋をつけてしまう危険性をもってい
歳出決算に関する件
るため、先生方の忌憚のないご意見・ご指導を
第 2 号議案 平成 17 年度九州医師会連合会事業
お願いしたい。
計画に関する件
第 3 号議案 平成 17 年度九州医師会連合会負担
続いて、来賓(植松治雄日医会長、武見敬三
金賦課に関する件
参議院議員、西島英利参議院議員、秦喜八郎日
第 4 号議案 平成 17 年度九州医師会連合会歳入
医理事・宮崎県医師会長、竹嶋康弘日医理
歳出予算に関する件
事・福岡県医師会長)の紹介があった。
第 5 号議案 平成 17 年度九州医師会連合会監事
(2 名)の選定に関する件
その後、座長に稲冨洋明九州医師会連合会会
第 6 号議案 平成 17 年度第 105 回九州医師会医
長が選出され、報告、議事が進められた。報告
(1 )の第 271 回常任委員会については、座長の
学会事業計画に関する件
第 7 号議案 平成 17 年度第 105 回九州医師会医
稲冨会長より報告(詳細は本誌 18 ∼ 20 ページ
学会会費賦課に関する件
参照)があると共に、( 2 )の平成 16 年度九州
医師会連合会庶務並びに事業報告については、
なお、第 2 号議案の平成 17 年度九州医師会連
宮崎県の大坪委員より資料に基づいて平成 16
合会事業計画に関する件については、辻委員
年 4 月から平成 17 年 3 月までに開催された主な
(福岡)より、現在の厳しい医療情勢の中で、
事業内容について報告が行われた。
従来の形だけのイベントではなく、医療界が抱
引き続き行われた議事については次の 7 議案
える問題や日本の医療制度の良さをアピール
が上程され、それぞれ各担当委員より提案理由
し、九州の力を見せる新たな活動を行うべきで
の説明があり、協議した結果、全議案とも全会
あるとする意見があった。
一致で原案通り承認された。(平成 17 年度は本
会が当番県)
なお、第 5 号議案の監事( 2 名)の選定に関
する件については、鹿児島県の
島信一委員、
熊本県の地後井泰弘委員が選出された。
第 6 号議案の平成 17 年度第 105 回九州医師会
医学会事業計画に関する件については、平成 17
年 11 月 19 日(土)
、20 日(日)の両日、沖縄ハ
ーバービューホテルにおいて九州医師会総会・
医学会が開催される旨報告があった。
−27(687)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
懇親会での万歳三唱
印象記
沖縄県医師会代議員会議長 新 垣 善 一
本会の会則をみると、3 条に「各県医師会相互の交誼を厚くし、緊密な連絡協調を保ち、大同
団結をもって医師会本然の使命を全うすることを目的とする」とあります。
この主旨に則り、担当医師会は、地域の特有な課題をクローズアップして独自性を発揮すると
共に、福岡県の辻先生の提言のように、従来の形だけのイベントではなく、医療界が抱える問題
や、日本の医療制度の良さをアピールし、九州の力を見せる新たな活動を行うべしとの主張はそ
の通りであり、卓見であると考えます。
ところで、小泉内閣の「聖域なき構造改革」のもと、社会保障、なかんづく医療の中にも市場
経済原理を導入しようとの動きに対して植松会長は、昨年 12 月、混合診療の全面解禁問題の対処
に際し、国民運動としての国民医療推進協議会を立ち上げ、完全実施の阻止をしたことを報告し、
国民と共に国民とのコンセンサスを得て行動することが何故に大切なことかと云うことを実証し
ました。
医療の安全が強く求められる現在、医療費の抑制、診療報酬の引き下げはあってはならないこ
とであり、必要な医療の原資は要求すると明言された。
ひきつづき、武見・西島両参議院議員による国会報告があり、局面は課題山積、百家争鳴、風
雲急の状況にあり、特に医療費に関わる総枠管理の考えが、具体的に骨太の方針に書き込まれる
ことが危惧され、最大の焦点となるとの観測を示した。
−28(688)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
九州・山口各県医師会
災害・救急医療担当理事連絡協議会
常任理事 真栄田 篤彦
会場風景
九州・山口各県における大規模災害時の医療
1.医療班の派遣について
救護相互支援体制の整備に関して、平成 17 年 4 月
・医療救護班の派遣に対する補償の確保や、救
23 日に福岡県医師会館で九州各県の担当理事者
護班メンバーの反復確認が必要。(宮崎)
が一堂に会して協議を行ってきたので報告する。
・医療救護班要請の連絡は、原則は行政からと
平成 17 年 1 月の九医連常任委員会(九州の各
県医師会長の会)の中で、宮崎県医師会秦会長
思うが、初動は医師会の判断で出ることがで
きる。(熊本)
より、平成 17 年 10 月の「九州各県・政令都市
・初動は、装具や備蓄を持たない医師会が行っ
保健医療福祉主管部局長及び九州各県医師会
ても間に合わず、何もできない。もし派遣でき
長合同会議」に医療救護相互支援体制の整備に
たとしても、現場での指揮権や関係機関との
関して提案できるようにとのことで、佐賀県医
連携・調整が問題となるため、医師会単独で
師会主導で早急に取りまとめるよう検討の依頼
なく、行政からの要請で派遣すべき。
(鹿児島)
があったので、協議した次第である。
・数十人規模の災害であれば、地区医師会の救
佐賀県医師会で用意した提案に沿って協議を
護班が機動的で良いが、百人規模の災害にな
ると、日赤や DMAT に要請があり、医師会の
行った。
①医療救護班の派遣体制
出番は殆どないと思われる。災害の規模や時
②患者・被災者患者の受け入れ支援体制の構築
期(初動もしくは非難後等)によって医療支
③緊急時連絡網の整備
援の内容も変わってくる。医療救護派遣の相
互支援体制を作っておくことは良いが、救護
上記に関して各県から様々な角度で意見が出
班の派遣だけにとらわれず、被災地の医療機
され、各県の対応についても種々あることか
関への応援隊の派遣も含めて、新しい視点か
ら、一概に同一基準での構築が困難な状況であ
ら県内外における支援のあり方を議論する必
ったが、確認事項として佐賀県医師会が取りま
要がある。(大分)
とめたものを下記に紹介する。
−30(690)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
《上記等に対する結論・方向性》
各県医師会で県内の連絡体制を整備した上
①医療救護班の派遣体制については、万一に備
で、九州各県医師会間の連絡体制を整備し、
え、他県から被災地医療機関への人的支援も
九州・山口各県ブロックのネットワークを構
含め、医療救護班の派遣要請があった場合に
築する。
迅速に対応できるよう、各県で実情を勘案し
・情報伝達手段については、状況に応じて種々
の情報伝達手段を選択できるよう、「電話、
ながら対応体制を整備する。
②補償問題を担保すべくマニュアルを策定し、
FAX 、E メール、携帯電話、携帯メール、救
併せて協定を締結するなど、各県で行政等と
急医療情報システム」等、複数の手段で情報
調整頂く。
伝達を行える体制を各県で整備する。
・情報伝達の有効な手段の一つとして、福岡県
2 .受け入れ支援連携体制及び緊急連絡網の
医師会より紹介のあった携帯メール配信サー
整備について
ビスを九州・山口各県ブロックで利用できな
・受け入れ支援連携体制・連絡ネットワークを
いか、福岡県医師会にて確認・調整頂く。
整備し、
「電話回線等が不通になった場合の連
絡手段を協議しておくべき」との認識で一致。
3.今後の進め方
上記 1 、 2 の≪結論・方向性≫について、各
《結論・方向性》
・受け入れ支援体制については、各県で人工透
県から確認を取れれば、9 月に開催予定の九医
析装置、人工呼吸器を有する医療機関、精神科
連各種協議会までに各県で対応頂く事項につい
病院などの受け入れ支援医療機関をリストア
て、九医連担当の沖縄県医師会と佐賀県医師会
ップし、関係機関との緊急連絡網を構築する。
で調整しながら、改めて文書を送付する等お願
・上記の緊急時連絡網の構築については、まず
いをする。
印象記
常任理事 真栄田 篤彦
兵庫県・淡路大震災のあとを受けて、九州各県・山口県の各知事者会議で九州・山口各県で同
様な震災が発生した場合の対応をどうするか協議がなされた。結果として、各県行政が連携して
緊急時体制の構築を行うとのことに対し、医療に関しては、九州・山口各県での支援体制の構築
を各県医師会が中心となり、平成 17 年度中に上程したいとのことで協議を行ってきた訳だが、各
県の事情が違うので、一律に支援体制を構築することができなかった。本協議会の開催する前の 3
月 20 日に発生した福岡県西方沖地震に関して、福岡県医師会からの報告では電話、FAX 、携帯電
話等が一斉に使用不能に陥り、唯一携帯メールのみが使用できたとのこと。今後、連絡ネットワ
ークの構築手段が一番のネックであるように思う。なお、沖縄県において、九州他県からの被災
者受け入れに関しては、地理的状況を考慮に入れてもわかる様に、無理があるのではと思われる。
しかし、沖縄県医師会の役割として、被災地への医療救護班の派遣等に関しては、前向きに検
討をしなければいけないであろう。
−31(691)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
都道府県医師会医事紛争担当理事・
自浄作用活性化担当理事合同連絡協議会
常任理事 友寄 英毅
理 事 稲田 隆司
去る 5 月 19 日(木)、日本医師会館に於いて
足の問題等、いろいろな問題が医療事故に繋が
標記合同連絡協議会が開催されたので、その概
っていくことも申し上げている。やはり国民か
要を報告する。
ら一番に求められているのは医療の安全であ
り、就任以来、医療の安全については、従来に
司会の日本医師会野中常任理事より開会が宣
増して会員の協力を得ながら対応するというこ
とをマスコミ、その他へ申し上げており、倫理
言され会が進行された。
等の問題、更には自浄作用について報告、検討
1.日本医師会 植松治雄会長挨拶
しているが、社会からは実際の行動を示せとい
日本医師会植松治雄会長より、概ね次のとお
う声がある。そういう意味でも、リピーターの
問題について今後対応せざるを得ない。リピー
り挨拶があった。
ご存知のとおり、「骨太方針 2005 」に向けて
ターといってもおのおの事情が違うため、その
医療費抑制の働きがある。社会保障改革の中
対応は難しい面もあるが、我々がその必要性を
で、社会保障費を抑制しようというのが基本的
感じながら、準備に取り掛かっているところで
な流れである。その第一に医療費抑制が言われ
あり、本日はリピーター医師等を対象とした
ている。医療の安全を考えると、今の医療費で
「医療事故防止研修会」について後程ご提案申
十分やれるとは到底考えられない。医療安全の
し上げる予定である。リピーター医師への生涯
実現にはコストが掛かるものだと主張しなが
教育としての意味での教育であり、人権を無視
ら、来年の診療報酬改定はプラス改定でなけれ
するようなものではないことを十分ご理解いた
ばならないと政界に働きかけているところであ
だきながら、本日はご意見を頂戴したいと思っ
る。また、勤務医の過労の問題、或いは医師不
ている。
−32(692)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
2 .倫理の高揚と自浄作用活性化の必
要性、および社会状況について
された行政処分を受けた医師に対する再教育に
関する検討会等について説明があり、このよう
日本医師会寺岡副会長から、
「医療事故防止研
に様々な取り組みが成されているが医療事故が
修会」の開催並びに日本医師会の医療安全に関す
減らないことについて、現場への伝達が適切に
る取り組み状況、背景等について説明があった。
なされていないこと、医師個人がその気になっ
始めに、本合同協議会の開催趣旨について、
ていないこと、医療事故を起こしやすい構造的
日本医師会は、安心、安全で最前の医療提供体
欠陥の是正がなされていないことを指摘し、職
制の構築を最大の課題としており、その具体的
能団体としての医師会の自立的改革、自らを律
取り組みを早急に実行する事を内外に公表して
する意識改革等、自浄作用活性化の必要性につ
きた。その具体的取り組みの一環として、全国
いて述べ、医師会に求められる対応として、①
規模の「医療事故防止研修会」を開催すること
医療事故を繰り返す構造の是正、②医療事故防
としており、この研修会の開催の前に、日本医
止プログラムの提示、③医師会と会員が一体と
師会、都道府県医師会、更には郡市区医師会が
なった研修会の開催等を挙げた。
共通認識に立つべく、本協議会を開催したと説
最後に、本日提案する「医療事故防止研修
会」は、リピーター医師の再教育の域を超える
明があった。
次に、事務局体制について、これまで日本医
医療システムの質の向上を目指したものであ
師会の医療安全対策に係る事務については複数
る。心ある会員に参加していただき、その内容
の部署で横断的に行ってきたが、本年 5 月から
を会員へ伝達出来るよう都道府県医師会、郡市
の事務局新体制づくりの中で、医療安全対策課
区医師会共々一体的な取り組みにしていただき
を新設して、医療安全対策、医事紛争対策を一
たいと述べ、協力を求めた。
元的に対応すると説明があった。
日本医師会の医療安全に関する取り組みにつ
いて、医療安全対策委員会の設置、及び「患者
の安全確保対策室」の設置、医療安全推進者養
3.提案−「医療事故防止研修会」−
「医療事故防止研修会」の研修カリキュラム
橋本常任理事より資料に基づき次のような説
成講座の開講、日医提案の「患者の安全に関す
明があった。
る世界医師会宣言」が世界医師会ワシントン総
1 )臨床研修修了後の医師教育は 3 つのカテゴ
リーに分けられる。
会で採択されたこと等について説明があり、そ
の中で、医療安全推進者養成講座について、平
A .医師の生涯教育・・・日本医師会が昭和
成 13 年 2 月から医療施設における医療安全推進
62 年から制度化した、患者安全確保、医療事
者のリーダーを主体に開催し、毎年約 1,000 名
故防止、医療の質の向上の要に位置する。
の参加者を受けており、その方々がそれぞれの
B .リピーター医師の再教育・・・日本医師
現場で医療安全に主体的に取り組んでいただい
会が「医療事故防止研修会」として行う。
ているものと期待していると述べた。また、
C.行政処分を受けた医師の再教育・・・厚生
「患者の安全に関する世界医師会宣言」につい
労働省が昨年 10 月から検討を開始し、今年
ては、臨床医学に内在する不可避的なリスク、
3 月末に報告書がまとまった。その主なもの
個々のエラーの結合によるハイリスクについて
は倫理研修と技術研修の2 本の柱からなって
説明があり、我々もよく認識し取り組み、国民
いる。大体 3 ヶ月から 1 年位の予定で再教育
へも理解を求めなければならないと述べ、医療
を行おうとするものである。指導医は助言
安全のためのシステム・アプローチの必要性に
指導者という名称で全国で 100 名程度にな
ついて強調した。その他、医療事故訴訟の推
る。また、医業停止の医師は直近の5 年間の
移、また、医道審議会の対象者、厚労省に設置
対象者で約 200 名位であると推測している。
−33(693)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
4.質疑応答
2)医療過誤による死亡者数(米国)
医療過誤による死亡者数は交通事故、乳ガ
【質問 1 】
ン、AIDS より高く、順位は 8 位である。こ
れが重大な社会問題になっている。
研修会参加者の件だが、医師会員ではある
が公的病院の場合はどうするか。
3 )薬物療法の医療過誤による死亡者数は労働
(日医・寺岡副会長)
災害の死亡者数を上回り、これによって余
分にかかる経費は 1 人当たり 4,700 ドルであ
公的病院であっても特に参加対象者から除
くという考えはない。
った。医療過誤による国の損失は実に 170
∼ 290 億ドルにのぼった。
【質問 2 】
4 )エラーの原因には実行と計画それぞれの段
階で原因がある。
医師としてはこうあるべきだという医学部
教育への働きかけはどうなのか。また、研修
5 )日本病院会の調査では、1 年間に 1 施設当た
り 129.8 件の事故・インシデントがあった。
事故が 31.7 %、インシデントが 68.3 %であ
会へ参加を拒否する医師についてはどうする
のか。非会員の場合はどうするのか。
(日医・寺岡副会長)
り、職種では看護師 82.6 %、医師 5.9 %、薬
剤師 4.0 %、検査技師 2.7 %であった。
医学部教育は非常に大切な事だが、現在の
医療に携わる構成員の方々の中には社会が求
6)医療事故の原因としては不注意、思い込み、
める基本的な評価にたえられない方々がいる
病態把握不足、患者側要因、スタッフ間の
事は認めざるを得ない。そうであれば、基本
連携不足が上位を占め、この事は日常診療
的な事からの教育を説き起こす必要があると
において参考になると思う。
思う。また、それ以降は技術的・専門的な別
7)医療事故はなくても医事紛争は起こる。これ
の形の研修も当然必要だと思う。
は医事紛争の発生要因の中で医師と患者と
非会員については原則としては参加してい
の関係、コミュニケーション、IC 等の人的
ただく事にはなっていない。この問題は自浄
な原因に起因するものが多い事でもわかる。
作用活性化委員会でも度々議論があるが、現
8 )医療事故防止研修会カリキュラム(案)に
ついて
在は明確な回答は出来ない。
(日医・橋本常任理事)
研修で中心的なものはⅠ.医師の職業倫理
昔と異なり現在の医学部学生、臨床研修医
Ⅱ.患者医師関係、 Ⅲ.患者安全になる。
にはこの様な教育が行われている。特に、医
また、特別講演には柳田邦男氏と行天良雄
師患者関係を非常に重要視して行っている。
氏の 2 名を予定している。
しかし、医の職業倫理というものは老若問わ
※医療事故防止研修者の対象について
ず、いつでも学ぶ事が重要だと思う。もう一
①日医、都道府県医師会において把握された
つは、医師の生涯教育だが沢山の医師がカテ
医療事故を繰り返す医師会員および医療機
ゴリー A で受けている。問題はカテゴリー B
関の管理者。
の医師のカリキュラムだ。この医師にはこの
②①にあてはまらないが、
「患者の相談窓口」に
辺りを改めて勉強していただく事が重要だと
寄せられる情報などから著しく医師の職業
思う。さらに付け加えると、社会に対し、日
倫理に悖っていると判断され、都道府県医師
本医師会は医師の職能団体としてこの様な事
会が再教育の必要ありと判断する医師会員。
をやっているという事を示す必要があるとい
③自発的参加者。
う事である。
④担当理事。
以上、を検討している。
−34(694)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
【質問 3 】
【質問 5 】
研修会参加者の選定だが、自発的に参加す
講習を受ける医師の決定が一番難しい。医
る方は良いが、診療態度が悪い会員や技術が
師が決めるのは難しい。医師だけで決定する
医療水準に未達の会員を選定する場合、以前
のか、第三者を入れても良いのか。
の会議では各医師会に設置されている相談窓
(日医・藤村常任理事)
口に寄せられる情報などから選定するという
都道府県の会長先生が過去 3 年間で 3 回の
事だった。その情報により選定し、日本医師会
有責の医事紛争を起こした医師を選定してい
へ報告する事は個人情報としてどうなるのか。
ただきたい。この情報を日本医師会へいただ
(日医・藤村常任理事)
ければ、聞き取りなどを行い日本医師会で責
基本的には医療事故を起こしてしまった、
任を持って選定する。
何回も繰り返した医師を対象にするという事
が基本だ。事故の責任に濃淡はあるが、医療
5.総 括
事故を繰り返したという事実を基に情報をい
櫻井副会長から概ね次の様な総括があった。
ただきたい。基本的には 3 回、 4 回と繰り返
本日は現場の先生方の活発な生のご意見をお
した医師には是非とも情報をいただきたい。
聞きすることができた。日本医師会でもこの問
たとえ 1 回でも紛争処理委員会の中で「ひど
題については今まで長い時間をかけて議論をし
い、もう少し勉強してもらったほうがよい」
てきた。このような事を始めるのは日本医師会
という意見のある医師は我々医師集団の責任
としても初めての事である。これをスタートと
として行動してみたいと思っている。
し、これからどう続けていくかが大切である。
【質問 4 】
今後も先生方のご意見、ご協力をぜひともお願
リピーター医師の研修会への参加要請は日
いしたい。
本医師会から出来ないのか。
(日医・寺岡副会長)
その要望についてはお聞きする。
印象記
常任理事 友寄 英毅
、7 日(日)に開催される「医療事故防止研修会」である。
今回の協議会の眼目は本年 8 月 6 日(土)
カリキュラム案によると柳田邦男氏(作家)、日野原重明氏(聖路加病院理事長)、高久史麿氏
(日本医学会長)
、森岡恭彦氏(赤十字社医療センター名誉院長)
、行天良雄氏(評論家)等著名な
講師陣を揃え、2 日間にわたって行なわれる。医療事故を繰り返し起こした医師及び医療機関の代
表者も参加してもらうことになるが、該当する会員は積極的に参加して頂きたい。
「医療事故防止研修会」は、医療事故を減少させ、国民やマスコミが持つ医療界への不満、不
信を改善するために行う日本医師会の画期的事業になるものと期待している。
−35(695)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
印象記
理事 稲田 隆司
システムの落とし穴としての医療事故という発想からすると、「医療事故防止研修会」は一見、
個人の責任追及型の思考ではないかと戸惑う向きもあるかもしれない。
同時に、単純な事故の発生件数だけで医療機関の質が問えるのか、高度で活発な医療であるが
故に事故の確率も高まるのではないかという議論もあろう。
今回の研修会の提案はこれら論点を踏まえた上で、尚かつ、共に医療の安全に取り組みたいと
する日医の熱意の表れ、呼びかけであると感じられた。
日医白クマ通信への申し込みについて
さて、日本医師会では会員及び、マスコミへ「ニュースやお知らせ」等の各種情報をEメールにて
配信するサービス(白クマ通信)をおこなっております。
当該配信サービスをご希望の日医会員の先生方は日本医師会ホームページのメンバーズルーム
(http://www.med.or.jp/japanese/members/)からお申し込みください。
※メンバーズルームに入るには、ユーザーIDとパスワードが必要です。
(下記参照)
不明の場合は氏名、電話番号、
所属医師会を明記の上、[email protected]までお願いいたします。
ユーザーID
※会員ID(日医刊行物送付番号)の10桁の数字(半角で入力)
。
日医ニュース、日医雑誌などの宛名シール下部に印刷されているID番号です。
「0」も含め、すべて入力して下さい。
パスワード
※生年月日6桁の数字(半角で入力)
。
生年月日の西暦の下2桁、月2桁、日2桁を並べた6桁の数字です。
例)1948年1月9日生の場合、
「480109」となります。
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沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
平成 17 年度第 1 回福祉保健部・県医師会連絡会議
副会長 宮 城 信 雄
会場風景
去る 5 月 24 日(火)
、午後 1 時より沖縄県庁に
おいて開催された標記連絡協議会について、次
のとおり報告する。
平成 17 年度初めての会議ということと行政機
宮
城
副
会
長
構が変わったことから出席者の紹介があり、沖
縄県福祉保健部 喜友名朝春部長の議事進行に
より開催された。議題は 3 題とも県医師会から
の提案であった。
<議題 1 >沖縄県医師会用地と県有地との等
そのような状況の中、平成 15 年 9 月開催の福
価交換の進捗状況について
宮城副会長から提案について説明を行った。
祉保健部との連絡会議で「県有地農業試験場跡
本会は沖縄県医療福祉センター建物の一角に
地と県医師会所有地との等価交換」の提案があ
事務所を有しているが、諸事業の拡大等により
り、本会代議員会で協議した結果、等価交換地
現在の狭隘なスペースでは支障をきたすことが
への建設が望ましいとの結論を得て、その旨福
多く、時代のニーズに即して情報通信分野も含
祉保健部へ報告致しました。
め事業の推進に適切に対応できるスペースの確
その後、平成 16 年 1 月 22 日に開催された福祉
保に迫られ、沖縄県医師会館建設が必要である
保健部との連絡会議においては、県素案の「等
との結論を得て、現執行部の喫緊の重要課題と
価交換に関するスケジュール」が示され、本会
して平成 16 年 3 月までに結論を得るべく検討を
でもそれに基づき作業を進めていく方針を決定
進めて参りました。
しております。
−37(697)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
稲田 理事
呉屋 医務・国保課長
その作業スケジュールの一環として、福祉保
當山 副会長
医療に対する不信感に がる。苦情等の内容
健部の設定により平成 16 年 7 月 22 日に本会役員
は、誤解に基づくものもあると思われるので、
並びに地区医師会の関係者による等価交換の候
その辺の内容を具体的に調査分析することが、
補地視察を行い、相互の了解の下スケジュール
バランスのとれた報道に がると考える。
に沿って県関係部局で等価交換に向けた調整作
ついては、現在の相談体制の整備をおこな
業が進められ、本会へ等価交換の選定場所を提
い、苦情等の内容の分析、何割かの事例の事実
示することになっております。
確認を行い、県民イメージが偏らないような発
本会会館の建設は、急を要する問題であり、等
価交換地での建設は本会代議員会の決定事項で
あります。等価交換作業の早急な対応を望むもの
であり、現在の進捗状況についてお伺いします。
表をしていただきたい。
稲田理事:
具体的にいえば、マスコミへの提案のあり方
を改善いただきたい。より積極的には、医療苦
情・相談内容をすべて調査するのは大変なので、
〔回答〕医務・国保課
何割かの事例(せめて 10 例位)の事実確認を行
福祉保健部においては、県農業試験場跡地利
い、そのうちどれくらいが誤解であったのか、
用に関して沖縄県医師会館建設用地として活用
本当に事実であったのはどれくらいか調査する
したい旨、農林水産部及び企画開発部へ要望
必要があるのではないかという趣旨で提案した。
し、ゾーニングについて調整してきました。
呉屋医務・国保課長
また、同会館用地の確保に関しては、医師会
5 月の新聞報道の際の、あの記事は、具体的
所有地と県有地との等価交換の方向で、関係部
な相談内容が掲載されていたが、マスコミに流
局に対し、その必要性や面積について提示して
す際には、医療安全推進協議会に諮って、マス
きており、今後もその方向で総務部等関係部局
コミへの情報提供に際し、報道にあたってはそ
と調整していきたいと考えています。
の相談内容は確定された事実でないことに充分
に配慮することを求めた。
<議題 2 >沖縄県医療安全支援センターの医
療苦情・相談等内容の分析について
相談内容に係る事実の確認については、セン
ターの機能強化や医師等専門職員の人事配置等
【提案要旨】
を含めた業務体制の整備等クリアーにすべき課
医療に関する患者の苦情や相談等に迅速に対
題があり、センターの調査権限等については、
応するために、沖縄県では苦情相談事業をやっ
医療機関への指導権限等も含めて、センターの
ておられるが、マスコミ等の報道に際して、苦
事業実施根拠等の法的整備を国に求めていきた
情・相談件数のみが先行すると、医療に対する
い。また、センターの業務体制の整備について
県民のイメージが偏った認識で受け止められ、
は相談件数の増加や内容等を踏まえ、協議会で
−38(698)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
喜
友
名
部
長
稲
冨
会
長
ご討議いただいた上、関係部署と調整を行って
いきたい。
稲田理事:
このような協力体制はおこなう。回答にもあ
当面、センターには調査権限がないものの、
るように、事実確認については、スタッフ等い
相談者が医療機関名を明かした上で当該医療機
ろいろ問題があるが、最低でも 10 件位でも、事
関に対して情報を提供してよいとしたものにつ
実確認いただきたい。このような作業を踏み込
いては、医療機関の協力を得てその事実確認に
んでやっていただきたい。
努めていきたい、今後マスコミへの情報提供に
前にも紹介したが、富山県が行っている医療
際しては、事実確認済みであるか否かについて
相談センターの内容を富山県厚生部と富山県医
も提供したい。
師会が共同で冊子を作成してあるので、是非参
考にしていただきたい。
當山副会長:
この協議会で、前から、その報道のあり方に
対して、もう少し吟味して提供してほしいとお
<議題 3 >福祉保健部の嘱託医の委嘱に伴う
書類について
願いしている。やはり同じ回答である。苦情・
本会から次のとおり提案した。
相談等の中で、実際誤解に基づくものがいくつ
提出書類の簡素化については、以前から改善
あるのか、医療行為が年間どれだけあるのか。
が求められていたが、最近、宮古地区医師会で
400 件の苦情・相談等が出てきたが、分母がい
起こった事例から本件が再び問題化した。福祉
くつか、%がどうなっているのかわからない。
保健部の嘱託医について、同地区医師会が推薦
医療の特殊性、病気という困った状況、誰もが
し、承諾した会員が、①医師免許証(写し)、
難渋するものを対象にして行う医療行為であ
②承諾書、③履歴書(写真添付)、④健康診断
り、当然そこで満足いかないというのもありう
書(公務員用)、⑤身分証明書(自治体発行)、
るかもしれない。その中での相談・苦情であ
⑥面接調書(更新の場合は省略)、以上の提出
り、大変慎重に扱っていただきたい。協議会で
書類を求められ、就任を辞退したものである。
もう少し練り上げて、信頼関係を築きあげてい
本会としては、下記の理由から嘱託医委嘱に
ただきたい。我々も稲冨会長を中心に医の倫理
係る提出書類を、医師会の推薦書または、会員
とか、信頼される医療とか言っているので、悪
の承諾書のみにするよう要請したい。
質なものはどんどんいって欲しい。但し誤解で
1 .同嘱託医の委嘱に係る提出書類については
あるものは、誤解を解いていただきたい。
規定、施行規則等がないものと思われる。
呉屋医務・国保課長
この場合、提出書類に係る権限や責任の所
相談内容によっては、医療の専門的なところ
は、県医師会に相談を仰ぎたい。
−39(699)
−
在が不明確になる。
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
2.医師免許証などは既に、保健所への医師届、
あった。但し、③については、略歴程度で収め
医師会への入会手続として提出・保管され
られないか、今後、人事課と調整して行きたい
ており、必要があれば確認可能である。
と考える。④については、週 1 回程度の極端に
3 .個人情報保護法の観点からも、個人情報の
勤務日数が少ないケースについては、健康診断
書の提出は不要。どの程度の勤務日数の場合に
提出は少ない方がよい。
4.各種審議会や委員会の委員委嘱については、
省略するかは今後検討する。⑤については、医
県行政機関と医師会の信頼関係に基づき、
師会からの推薦のある医師については不要。そ
医師会の推薦だけで済ませており、業務上
の他の医師については今後検討する。⑥につい
なんらの支障も生じていない。
ては、提出不要。
5 .提出書類の簡素化は、実行可能なミニ行政
【上記回答に対する県医師会コメント】
改革である。
6 .本件のような事例で会員が不満、不信を持
将来的に出来るだけ提出書類は簡素化してい
つことは、会員数の少ない地域医師会にお
ただきたい。また、行政との連携を密にして、
ける地域保健医療推進の上で大きな障害と
保健、医療、福祉を円滑に推進することが本会
なる。
の役目でもあるので、県の各種委員会委員並び
に嘱託医等については、本会を通さずに直接委
嘱することは避けて欲しい。
【県福祉保健部回答】
本件について、人事課と調整した結果、①∼
③については、医師であることの確認、本人の
尚、同提出書類については、沖縄県より各関
意思確認、行政上の意志決定における基礎的な
係機関(福祉保健所等)に対して周知方に関す
判断材料となる、以上のように人事行政の手続
る文書を送付することになった。
き上人事課としては簡素化は難しいとの見解で
印象記
副会長 宮 城 信 雄
喜友名朝春福祉保健部長が 4 月に就任して初めての福祉保健部と県医師会との定例連絡会議で
あった。部長を筆頭に殆どの次長、課長が入れ替わっていた。出席者の紹介から会は始められた。
沖縄県医師会用地と県有地との等価交換の話はこの定例連絡会議の場で福祉保健部側から持ち
出された経緯があり、等価交換のスケジュールも提示され概ね作業スケジュール通り進行してい
るものと理解をしていた。作業の遅れが若干気になり議題 1 のような提案をしたが、福祉保健部
の担当者の最初の回答は医師会側として到底納得のできるものではなかった。
種々のやり取りの後に医務・国保課の今回の回答になった。
医師会からの要望を実現していくには福祉保健部だけでなく所轄の部を通して総務部や県執行
部との交渉も大事なことがよく解った。積み上げられた信頼関係を継続していくためにもお互い
最大限の努力が必要であることを痛感した。
−40(700)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
第 2 回沖縄県救急医療協議会(報告)
常任理事 真栄田 篤彦
救急救命士の気管挿管病院実習について平成
●
消防大学校における救急科において、上記
16 年 6 月 30 日に作業部会が開催され、沖縄県と
の 2 つと同等の研修を受講し、所定の試験
して、気管挿管訓練を実施するのかどうか議論
を合格し、受講終了認定書を有している
をし、各地区メディカルコントロール(以下
者。
MC と略す)協議会での意見を集約すると、作
業部会で気管挿官の体制を整備することは必要
②受け入れ施設基準
次の 2 つの条件を満たし、地区 MC 協議会
であるとの認識であった。
地区MC 協議会で気管挿管の段階に達している
が選定した施設
のかを議論。気管挿管に関する専門委員会の設置
●
と、外傷に関する専門員会の設置を検討している。
あらかじめ当該施設長、並びに麻酔科の長
が実習受け入れを了承している。
平成 17 年 3 月 15 日に第 2 回目の MC 作業部会
●
日本麻酔科学会認定専門医(以下麻酔科専
を開催し、「救急救命士による気管挿管実施に
門医という)が麻酔科の長として勤務して
関する専門委員会」について協議し、「沖縄県
いる。
救急救命士気管挿管病院実習要領」と「気管挿
但し、麻酔科長の職種がない場合、下記
管業務プロトコール」について各委員の意見を
の 3 つの条件を満たし、地区 MC 協議会が
集約してから県救急医療協議会へ提出すること
選定した施設。
になった。
●
それを受けて平成 17 年 3 月 24 日に沖縄県救急
施設長が指導的な役割を担うことを認め、
実際に責任を持って指導を行える常勤の麻
医療協議会が開催され、2 つの議題について協
酔科専門医がいること。
議を行ったので、以下に主な点を紹介する。
●
あらかじめ当該施設長、並びに常勤の麻酔
専門医が受け入れを承認している。
議題 1 .沖縄県メディカルコント
ロール作業部会検討事案について
( 1 )沖縄県救急救命士気管挿管病院実習要領
●
③実習内容
について
●
①実習受講資格に関しては、
●
●
日本麻酔科学会麻酔科認定病院でもある。
実習生 1 人につき、気管挿管の成功例 30 例
以上実施させること。
救急救命士の資格を有し、基礎研修(座
●
気管の挿管の試行は、2 回までとする。
学)を受け、所定の試験に合格し、受講終
●
救急救命士が行う実習は麻酔導入時マスク
了認定証を有している者。
による自発呼吸下酸素吸入、導入後のマス
または、救急救命士学校養成所指定規則の
クによる人工呼吸から、喉頭展開、気管挿
一部を改正する省令による改正後の救急救
管、管の固定、人工呼吸再開までを原則と
命士学校養成所指定規則に基づく教育を履
する。
修し、救急救命士の資格を有している者。
−42(702)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
④事故発生時の責任
●
相当高度な診療機能を有する施設。
指導内容及び指導態度等に起因する注意義
務違反については指導した麻酔科専門医の
新型救命救急センターとは、救命センターの
内、概ね 10 床程度の施設。
責任とする。
●
実施に伴う事故の責任は実施者にあるもの
1 )本県の救命救急医療は、県立中部病院が
とする。
●
県の救命救急医療体制の考え方
病院実習を希望する救急救命士を有する消
(昭和 52 年 4 月指定) 24 時間体制で救命救
防本部は、救急業務賠償責任保険等の病院
実習に掛かる保険に加入する等事故発生時
急を実施している。
2 )人口の約 51 %、患者の発生件数が全体の約
に備えること。
半分を占める南部保健医療圏に救命救急セ
(2 )気管挿管の業務プロトコール
ンターがないことから、離島、南部地区の
気管挿管の対象者
救命救急医療を担う県立高度・多機能病院
気管挿管の適応が考慮される対象者は「心
(仮称)に救命救急センターを平成 18 年度
肺停止」の症例(心停止かつ呼吸停止のも
の)で、従来の気道確保器具での気道確保が
に開院(設置)する予定。
3 )既設の救命救急センターとの地理的位置関
できないもの、あるいはそれらが困難もしく
係、道路状況、人口の密集状況から南部、
は不適切であることが明らかに予想されるも
中部の医療圏の境界である浦添市、宜野湾
のとする。
市及び周辺地域の救命救急医療を担うため
以下省略するが、上記に関しては琉球大学
に、10 床規模の新型救命救急センター 1 ヶ
附属病院救急部長久木田一朗先生の作成によ
所設置を検討することを平成 16 年 8 月に策
る。
定した沖縄県保健医療計画に記載したとこ
ろです。
平成 17 年 4 月以降、MC 協議会が推薦した医
4 )以前から浦添総合病院から新型救命救急セ
療機関においては、手術を受けられる患者様へ
ンターの設置の希望があるが、これを新型
の協力お願いとして、救急救命士による気管挿
救命救急センターとして指定することによ
管の研修への協力を得なければできないので、
り中部地区の救命救急医療を既設の県立中
実習が効率よくできるよう行政でも社会への啓
部病院救命救急センター、中南部地区の一
発するようお願いしている。
部を浦添綜合病院救命救急センター、離
島、南部地区を県立高度・多機能病院(仮
一日でも早く、かつ確実に研修を終えた救急
称)が担うことで救命救急医療については、
救命士が実際現場での活躍をお祈りしたい。
ほぼ全域をカバーできるものと考えている。
議題 2 .新型救命救急センターの
指定について
以上を踏まえた報告に対して、琉大附属病院
救急部長の久木田一朗先生より、これまでの琉
《救命救急センターとは》
救命救急センターとは概ね 20 床以上の専用
大病院の救急医療実績の報告(年度別・月別救
病床を有し、 24 時間体制で重症及び複数の診
急車搬入患者数 4 年分、平成 9 年度の 4,396 名か
療科領域にわたるすべての重篤な救急患者に対
ら平成 15 年度 8,409 名の増加実績、平成 8 年度
する高度な診療機能を有する施設。
から平成 15 年度までの科別重症別分類表、各
高度救命救急センターとは、救命センターの
市町村からの救急患者数の解析図表等の提示)
内、広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒症等の特
があり、浦添総合病院の新型救命救急センター
殊疾病患者に対する救命医療を行う為に必要な
指定を今すぐ決定しないで頂きたい旨の意見が
−43(703)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
出たが、その他の委員からも多くの意見が出
尚、琉大附属病院の救急部の位置づけに関し
て、協議の結果浦添総合病院の新型救命救急セ
ては、県としては三次救急を扱う、いわゆる高
ンターを指定することが決定した。
度救命救急センターとして位置づけている旨の
説明があった。
印象記
常任理事 真栄田 篤彦
沖縄県全体をカバーするための救急医療体制の構築に関して、これまで各県立病院が多大な貢
献をしてきたことは十分に評価されるが、今後はより高度の救命救急医療を提供していただく琉
大附属病院と、平成 18 年開院予定の高度・多機能病院(仮称)を中心に、その他の県病、そして民
間の病院・医院等の地域医療連携の枠組みを沖縄県全体として取り組んで頂きたいと願っている。
「全ては医療を必要としている県民患者の為に」を検討して頂きたい。
−44(704)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
常任理事 真栄田 篤彦
司会の宮城英雅先生とお孫さん
今回で 8 回目のチャリティーコンサートを去る 3 月 13 日(日)県立郷土劇場に
おいて開催しました。
県医師会では、地域の患者と医師とのふれあいを深め、かかりつけ医の推進を
目的として開催して参りました。お互いの心の交流を音楽という媒体を通して温
め合う企画です。しかし、開催回数が多くなるにつれ、会員の間ではマンネリ化
のご指摘や、中止しては如何との声も聞えて参りました。
でも、僅か 2 時間だけのフェスティバルですが、その収益金を恵まれない知的
障害者が勤労する施設や、関連団体に寄付を続けてきており、社会に僅かながらも
還元してきております。厳しい医療環境の中にあっても、このチャリティーを継
続する方向でおりますので、会員の引き続きのご協力をお願いしたいと思います。
さて、今回は実行委員会で検討した結果、はじめてのお笑いトークショウも企
画しました。それでは当日鑑賞できなかった会員の皆様にプログラムの演目をご
紹介します。
まず、開会の挨拶として、稲冨洋明県医師会長から開催趣旨のお話をしていた
だき、フェスティバル出演最多の人気抜群のメディカルジャズオーケストラによ
るジャズ演奏です。
司会は白でまとめたスーツ姿でいつもダンディな宮城英雅先生が軽やかなスピ
ーチで演目紹介や、演奏者の紹介など会場内でのアナウンスはピカイチでした。
−45(705)
−
2005
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
ジャズ演奏(Medical Jazz Orchestra M.J.O)
第 1 回開催から今回まで、連続出場して頂い
② The String of pearls (真珠の首飾り)
グレンミラーのおなじみの名曲。
ています。元県立那覇病院のメンバーを中心に
③ Besame Mucho
結成されたドクターたちのバンドです。
ラテンの名曲をトロンボーンのユニゾンと
新田武司先生がバンドリーダーを務めています。
① Mission Impossible Theme
テナーサックスで、先生方の名演奏が印象的
トムクルーズ主演映画、スパイ大作戦のテ
ーマ。かつて TV 映画で大ヒットした「スパイ
でした。会場からは拍手喝采でした。
④ Here There and Everywhere
ビートルズの曲を 3 拍子のジャズにアレンジ。
大作戦」。毎回のイントロで、声優の大平透
氏の低音の声で「例によって、このテープは
⑤ Beyond the Sea
自動的に消却され、当局は一切今後関知しな
⑥ Sing Sing Sing
いので・・・」懐かしいテープレコーダーの
ジャズバンドの最後の演奏は、ベニーグッド
回転リールのテープから白煙が噴出すシーン
マン楽団の有名な曲で、会場の皆さんの多く
を会員の先生方も御記憶にあると思います。
が手拍子と、足でリズムをとって興に乗って
ました。
−46(706)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
コーラス 女性合唱団
那覇市内の「月桃」
「那覇コール・
コスモス」二つの女性合唱団の有志
で構成されたグループです。かつて
は学校の先生だったベテランの方た
ちで、すばらしい合唱曲を披露して
頂きました。
①翼をください
②芭蕉布
③プロジェクト X のメインテーマ
「地上の星」
コント ゆうりきや∼
アメリカンポップス アンダーカレント
NHK 沖縄放送「うちにおいでよ」でお馴染
みの「おばあ」役、山田力也さんと、脚本家と
しても活躍中の城間祐司さんのお笑いコンビに
よる楽しくもおかしなコント。会場は抱腹絶倒
の連続でした。
メインのボーカルは美しい方で、ボリューム
たっぷりの美声で会場を魅了してくれました。
① 明日に架ける橋
② 真っ赤な太陽
③ オルフェのサンバ
④ ルート66 ナットキング・コールの名曲です。
−47(707)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
バイオリン演奏 西川祐梨子
今回のチャリティーコンサートのトリを演
奏して頂いたのは中部地区医師会員、美里皮
膚科の廖先生のご令嬢で美しく将来を嘱望さ
れているバイオリニストでした。
①エルガーの愛の挨拶
②ラフマニノフのボカリーズ
③ドビッシーの美しき夕暮れ
尚、西川祐梨子氏は来る 7 月 8 日に那覇市民会館で開催される演奏会で、ドイ
ツの有名なライプツヒ管弦楽団と協演します。皆様がご存知のメンデルスゾー
ンのバイオリン協奏曲を演奏します。是非ご鑑賞頂きたい旨お願い申し上げま
す。(チケットに関しては沖縄県医師会事務局までご連絡ください。)
今後も同チャリティー公演の開催に関してのご意見・ご協力の程お願い申し
上げます。
会場風景
−48(708)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
現在の医療・介護の国の動きと
医師会主張
副会長 當山 護
平成 17 年 6 月 1 日(水)沖縄県医師会は新霞
もうひとつは介護保険法改正である。予防重
がビル内にある日医連研修センターに出向い
視型、住居・食費の見直し(いわゆるホテルコ
た。
スト)、地域包括支援センターの創設、費用負
友寄英毅、金城進、今山裕康、稲田隆司、中
担のあり方検討などが 6 月の通常国会で審議さ
田安彦、下地晃、當山護の 6 人に事務局 2 人で
れる。そして政府案が略々承認され、平成 18 年
ある。宮崎県医師会からも数人の方々が同じ目
4 月から施行されるであろう事が予想されてい
的で上京して同室で同席となり、各県選出の国
る。下記に日医より提供された具体的グラフや
会議員と懇談した。
表を示し、日本医師会の意見を掲載しておく。
この 2 つの事項について我々の大切な主張を
理由は何か、
国会議員の皆様方へ陳情を計ったのである。
ひとつは政府の経済財政諮問会議が「骨太方針
2005 」について本格的検討に入ったからであ
特に医療費の総枠予算制となるとすべての病
る。その中には日本の医療費総枠予算制(医療
医院に与える影響は大であり、それこそ予算の
費伸び率管理)が入る事が極めて高くある。こ
ぶん取り合戦になる事であろうし、医療の進歩
の事が文章化され閣議決定となると、小泉内閣
に伴う予算配分やこれから益々増加懸念の高い
の「政高党低」型の推移はいかんともなしがた
超高齢化社会の到来にどう対応するのか社会保
く動き、イギリス並みの低医療費政策が日本で
障、国民皆保険制度の維持が本当に心配な所が
続く事になる。
ある。
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表1.健 康 と 医 療 費
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沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
*日本の医療制度は、国際的に見て、きわめて
安い費用で、世界一の成果を上げている。平
均寿命、健康寿命、健康達成度総合成績、乳
幼児死亡率の低さ全て世界一である。一方、
対 GDP 比国民医療費は、世界で 17 位(表 1)
*国民医療費の伸びは、医療の進歩、高齢者の
増加など多くの要因があるが、きわめて単純
に国民の寿命の伸びと一致している。(表 2 )
*医療費財源は、公費(税金)と保険料と患者
金城進先生(中央)
、中田安彦先生(右側)
負担で構成されている。
患者負担の増加(社保本人 3 割負担、老人定
率負担)によって、医療費を確保するという
*厚生年金保険料率と健康保険料率に大きな差
最近の政策は、社会保障の理念に反してい
があり、そのことが医療費不足の大きな要因
る。(表 3 )
となっている。(表 4 )
࿖ 表2.国民医療費と平均寿命の推移
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表3.財源別国民医療費の推移
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沖縄医報 Vol.41 No.7
報 告
*国民負担率(租税負担率 + 社会保障負担率)は、ここ 18 年間、37 %前後
で推移しており、諸外国に比べてきわめて低い水準にある。(表 5 、表 6 )
*主要国の対 GDP 国民医療費比率および公私支出の内訳を比較すると、日本
の医療費は、GDP 比で 1 ∼ 2 %の公費部分の増額が必要である。(表 7 )
*医療費財源確保の一方法として、煙草料金の値上げを提案する。
喫煙は、健康を阻害する重大な因子であり、その費用の一部を健康回復の
ための健康保険に利用することは、きわめて理にかなっている。(自動車
税、ガソリン税は道路や橋の財源に当てられている)
煙草 1 箱、100 円の値上げをすれば、1 兆数千億円の財源が確保できる。ま
た、それによって喫煙者が減るとすれば、病気になる人が減るので大変良
いことだし、その結果医療費の節約にもなる。1 石 3 鳥である。(表 8 )
ஜ表4.健康保険料率と厚生年金保険料の推移
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表5.国民負担率
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沖縄医報 Vol.41 No.7
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表7.主要国の対GDP国民医療費比較、
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および公私支出の内訳 2002年
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−53(713)
−
2005
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
問
題
点
*「医療費適正化」という名前の「医療費抑
制政策」の方向。
*医療費の総枠(総額)管理、伸び率管理。
社会保障費の伸びを経済成長率以下に抑
制しようとする動き。
経済財政諮問会議。財政制度等審議会。
社会保障有識者会議。
*日本医師会の基本的な考え方。
・健康な生活は国民の権利であり、社会保障の増進
は国の義務である。
・医療は社会的共通資本であり、その基盤整備は、
国の責務である。
・医療を経済に合わせるのではなく、医療に経済が
合わせるべきである。
・医療の質を確保し、安全な医療を提供するために
は、医療費財源が必要である。医療費抑制政策
は、医療の質を低下させ、安全な医療の提供を阻
害する危険性がある。
いわゆる「混合診療」問題に関する日医の考え方
*尾辻厚生労働大臣と村上特命担当大臣との合意
要旨:いわゆる「混合診療」は導入しないで、現行の公的医療保険制度の中で諸問題に対処する。
特定療養費用制度を見直して、新しい制度とする。
医師主導の治験を促進して、新しい薬剤(癌の治療薬など)の早期導入を図る。
植松日医会長のコメント
このたびいわゆる「混合診療」の全面解禁の見送りは、それなりにわれわれにとって意義がありま
す。合意の内容については、一部満足とはいえない部分もありますが、総合的にみて、われわれの主
張に沿っていると理解できます。
今後、中医協の問題が最重要課題になることは認識し
ており、積極的に対処していきたいと思います。
*特定療養費制度の見直し
この問題が、中医協の場で議論されることが重要。
・治験の促進について。
・高度でない「先進医療」について。
・回数制限のある医療行為について。
・医療と直接関係のない、いわゆる「選定療養」の
範囲について。
稲田理事(左側)
、友寄常任理事(中央)
*中医協の見直し問題
・見直しのための委員会:厚生労働大臣の下に置かれることになったことは一応評価できると考える。
・「中医協の在り方に関する有識者会議」委員構成:
5 分野からの選定(医学、政治・行政、経済、法曹、女性)
−54(714)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
*今回の「混合診療」解禁問題に関する「根本的な問題点」
いわゆる「混合診療」の全面解禁は見送られたが、今回の「混合診療」解禁問題に関する「根本
的な問題点」は、規制改革民間開放推進会議を中心とした一部の市場原理主義の経済人が、公的医
療保険の縮小と自費診療の拡大を画策し、そのことに財務省が相乗りしたことにある。
一部の経済人が、自分たちの金儲けのために、国の重要政策を左右しようとする現在の構図を、
断じて許すことはできない。
介護保険法改正(案)に対する日医の考え方
*介護費用の給付:いわゆる「ホテルコスト」の徴収。
・基本としては、ホテルコストの徴収には、反対である。
・どうしてもホテルコストを徴収するならば、修正案としてかんがえられる方法として次の 2 通りの
案がある。いずれも、医療保険への波及を防ぐため。
1.特養、老健施設まで徴収。療養病床介護型からは徴収しない。
2.ホテルコスト徴収の根拠を、本来は年金給付(生活のための給付)の減額であるとして、その
替わりとして介護保険給付を減額する形で徴収することとする。
*新しい「介護状態区分」の提案。特に「介護予防」について。
・日本医師会は、以前より「介護予防」という用語はおかしい。
「要介護予防」という意味なら、はっ
きりそのように言うべきだと主張していた。
・今回、この用語を、はっきり法律に入れて、しかも、きわめて広い範囲の用語として使っている。
・「介護予防」という用語は、以下の 2 つにはっきり分けるべきである。
①「要介護予防」:介護が必要になる状態になることを防ぐこと。
②「要介護度進展予防」:介護が必要な状態が進行することを防ぐ。介護度 4 の人が介護度 5 にな
らないように、できれば介護度 3 になるように努めること。
・②は、介護保険法本来の目的であるから、どんどん実施すべきである。
・①については、介護保険法で給付すべき範囲を、限定すべきである。
健康→疾病→要介護状態、という経過を考えて、疾病発生後の予防、つまり「三次予防」に限
定すべきである。
例をあげると、健康だった人が脳梗塞のために手足の麻痺が起きた場合に、要介護状態にな
らないようにするための「三次予防」は「要介護予防」で介護保険の範囲である。しかし、健
康な人が脳梗塞にならないための一次予防(生活習慣の改善など)、二次予防(健康診断など)
は、疾病の予防であるから、医療の範囲である。
*「介護予防」の関連で、新しい概念(言葉)の導入
「介護予防サービス」「介護予防サービスの支給」「地域密着型介護予防サービス」「指定介護予防支
援事業者」「地域包括支援センター」等の新しい書き込みが、上記の問題点と関係して出てくる。
老健局・行政支配の強化に繋がることが懸念される。医師会の関与は?
*全体としての問題点
・「在宅」においては、「医療保険」と「介護保険」が独立して給付されるのに、介護施設となる
と、両者が混在していることに問題がある。
「医療保険」と「介護保険」の守備範囲について、根本的な見直しが必要ではないかと考える。
−55(715)
−
広 報 委 員 会
広報委員会では、県民の健康増進に資
③図やイラスト、グラフの添付は可
するため、沖縄タイムス及び琉球新報の
能。
紙面を借りて医療に関する情報を提供し
・図やイラスト、グラフは簡単な
ております。
原稿をいただければ、新聞社の
つきましては、会員の皆さまからの原
デザイン係の方で紙面用に仕上
稿を下記のとおり募集いたします。
げます。
なお、執筆内容が専門的な傾向になら
④本企画は、県民の健康増進に資す
ないよう、文章全体のトーンとしては、
るため、医療知識の適切な提供と
一般の読者が親しみやすいように”医療
その啓発普及を主旨としておりま
随筆”風の柔らかい感じを希望します。
す。企画主旨にそぐわない内容・
表現について、または修飾語、助
記
詞、見出しについては、新聞社・
○掲載日
編集側にて若干の手直しを行う場
「命ぐすい耳ぐすい」
合がありますので、ご了承下さい。
:沖縄タイムス毎週水曜日朝刊
⑤新聞掲載に際して著作権は本会に
「うちなー健康歳時記」
帰属されます。ご投稿は同意され
:琉球新報毎週火曜日夕刊
たこととみなしますのでご了承下
○掲載要領:
さい。
①字数
「命ぐすい耳ぐすい」:1000字
「うちなー健康歳時記」:1200字
・注釈をつける場合は、その字数
⑥新聞掲載の採否については広報委
員会にご一任下さい。
⑦文中に固有名詞の使用はお控え下
さい。
も含める。
・執筆者の顔写真をご提供下さい。
原稿と併せて掲載致します。
②原稿のタイトル並びにサブタイト
ルを10文字程度でお付け下さい。
○原稿の送付先
〒901-2104 浦添市字当山422
沖縄県医師会広報委員会宛
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
県立浦添看護学校存続の
署名運動について
理事 嶺井 進
県当局は「新沖縄県行政システム改革大綱」
また、助産師の県内での養成数もわずかであ
における公社等、外郭団体の見直しに基づい
り、確保が困難な産婦人科医師に負担を強いて
て、関係部署において協議を進めていると伺っ
おり、現状が改善されなければ、ますます産婦人
ているが、これまでの県立浦添看護学校存続の
科志望の医師は少なくなることが危惧される。
要望に対する行政の対応から、看護師不足を無
本県の大きな問題の一つに、他府県の約 2 倍
視して同校の廃校を意図している懸念がある。
の 8 %に達する高失業率があり、若年者の失業
それ故、本県の医療の担い手としての県医師
率は 10 %を超えると言われている。看護職は就
会、各地区医師会、県看護協会ならびに各医
職率 100 %で、他府県のどこに行ってもすぐ就
療、福祉関係団体は県立浦添看護学校の存続を
職出来、必要とされる看護師を養成する看護学
確実なものとするため、10 万人以上の目標を目
校は、特に高失業率の本県においては、増やす
指し広く署名活動を実施することを決定した。
ことはあっても減らしてはいけないと思う。本
5 年前にスタートした介護保険による在宅看
県における過去 15 年間の看護職養成数は少な
護および介護、デイケア、デイサービスその他
くなっており、県立コザ看護学校と那覇看護学
福祉事業、医療の高度化と質の向上のなかでの
校の統合による減員、那覇高等学校衛生看護科
手厚い看護、高齢者の増加に伴った福祉施設の
の廃止、国立療養所沖縄愛楽園附属准看護学校
整備などで、看護職のニーズは急速に高まって
の閉校、さらに沖縄県立看護学校の閉校によっ
いる。
て年間の看護職の養成減は約 350 人に達する。
新聞の看護師募集広告は、連日、少なからず
これ以上、医療介護現場の実状を無視した若
掲載され、医療福祉現場の看護職の過重負担の
者の雇用機会を奪う看護学校の閉校を許しては
悲鳴が聞こえてくるようである。
ならない。
県は、平成 15 年度に看護職需給見直しを実
他国に例をみないスピードで進みつつある高
施した結果、平成 17 年度で約 800 人の不足を認
齢社会において県民の健康を守り、老後を安心
めており、平成 16 年県議会の 12 月定例会でも
して送る為に必要な看護師養成を切実な問題と
看護師、助産師養成の必要性を認め、県立浦添
して、県立浦添看護学校の存続の必要性を社会
看護学校における養成課程の必要性を全会一致
に訴え、その為にも各施設にて署名運動に御協
で可決している。
力をお願いしたい。
−57(717)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
恒例の那覇市医師会学校検診に参加して
当山美容形成外科 當山 護
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健年
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毎年 6 月、那覇市医師会は全会員参加して市
内の小・中学校の学童定期健康診断を行なって
も古い職員(?)の一人が校医であるそうであ
る。頭の下がる思いがする。
3 日間で私が診た児童からみつけた疾病(あ
いる。
いつの時代から始まったかは定かでないが地
域学童の健康状態を診て、病魔から守るのは地域
えてみつけなくて良かったものを含めて)は以
下の通りであった。
医師に与えられた当たり前の行動なのであろう。
私は例年の如く小禄のマンモス小学校と云わ
れる金城(かなぐすく)小学校へ 3 日間出動した。
耳)折れ耳、立ち耳など外耳変形
眼)先天性眼瞼下垂(軽度)2 例、斜視 2 例、眼球
今時珍しい多人数の学校であるので小禄で開業
結膜充血
(砂場で異物が入ったようである)
、
している先生方を中心に医師 8 人、看護師 8 人
逆まつげ(疑い)2 例
の合計 16 人チームで編成した検診隊である。
那覇市立金城小学校を紹介しておきたい。
鼻)鼻汁、鼻炎疑い
口腔内)扁桃腺肥大・発赤多数
(但し肥大の程
度等分折せず)、口蓋垂裂(粘膜下口
校長は上原敏彦先生、養護教員は山里勝子先
蓋裂なし)
生である。昭和 61 年度、新入生 77 名で始まっ
た比較的新しい学校ではあるが、平成に入り周
皮膚)アトピー性皮膚炎 2 例、扁平母斑
辺が住宅地域になると共に学童数もうなぎ登り
胸部)ロート胸、扁平胸、
手術後(フェロー 4 徴)
ケロイド
に増え、平成 4 年からは全校生 1,000 人を超える
県内随一の大型(?)の小学校となって久しい。
校医は 15 年前から、かなぐすくクリニックの
手)多指症手術痕(立派に手術されてあった)
呼吸音)肺雑音(気管支ぜんそく?)
武村先生が受け持ち、毎年我々検診チームのリ
腹部)臍ヘルニア 2 例
ーダーを努めて頂いている。武村先生に云わせ
下肢)オスグット氏病(痛みあり)
ると金城小学校では校長や養護の先生方より最
−58(718)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
上原校長先生へのインタビュー
筆者(左側)
、上原敏彦 校長先生(右側)
Q .いつからかなぐすく小学校の校長先生をな
Q .かなぐすく小学校では新聞沙汰になるよう
さっているのですか?
な事はありませんネ(笑)
A.今年の 4 月に赴任して来ました。行政が長く
A .幸いな事に現在まではありませんが、本校
沖縄県義務教育課に 7 年いました。その前が那
は塀がなくすべて樹木で囲まれている学校です
覇市教育委員 4 年、合計行政経験は 11 年です。
ので、その点父兄から心配の声もあります。
Q.現場に戻って懐かしく思いますか?
Q .かなぐすく小学校は県内一のマンモス校で
A .浦島太郎になった気分ですが、行政と現場
すが、校長先生は一人ではなく 2 ∼ 3 人必要で
の違いに戸惑っています。学童と過ごすのは楽
はありませんか(笑)
しいのですが、行政と違う厳しさも味わってい
A .出来ましたら校長はともかく教頭先生は 2
ます。
人位いたらと思う時はあります。
Q.厳しいとは?
Q .今回我々は医師 8 人で検診に来ております
A .行政は直接ではないのですが、学校ですと
が、検診医に対する希望や御不満はありません
直接父兄や教職員と相談がある。最近の事件、
か?
事故など心配事が多いのです。
A .それ以前に学童達がきちんと検診を受けら
Q.年間行事やテスト、登下校の問題があり 10
れる体制になっているのかどうかが課題です。
年前、上原先生が現場にいた頃とはどう違うの
Q .小学生ですからお行儀良くとはいかないの
ですか?
では?
A .登下校時の不審者に心配したり、学んでい
A .そうは云いましても教育現場としては気に
る時間のみではなく、学校以外の時間にも心配
なる所です。
りをしなければならない事が増えています。
−59(719)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
武村先生の診察風景
武村先生は金城小の健康管理責任者でもあります。
万が一検診医が欠席しますと先生が児童のすべてを診る事
になります。
インタビューに答える養護教員の山里勝子 先生(右側)
Q .養護教員としてかなぐすく小に赴任して何
校医の武村先生へのインタビュー
Q.校医になって何年になりますか?
年目ですか?
A .平成 2 年からですから、15 年位、かなぐす
A.4 年目です。
く小学校の校医をしている事になります。
Q.かなぐすく小の子供の健康状態は?
Q .校医は診療をなげうってやる仕事もありま
A .子供は健康です。特徴としては父兄の意識
すか、かなぐすく小学校生徒の健康状態や最近
が大変高いと思います。都会的意識(?)を持
の児童の特徴は?
っておられます。
A .時々学校にも来ておりますが、学童は活発
Q .田舎の場合とは違うと云う事ですネ。児童
に外に出て活動しているようです。眼が悪い子
の肥満などは?
供が多くなっております。
A .太っているか、やせているかのどちらかで
Q .一時スクリーニングで引っかかった児童は
す。
先生がすべて診られるのですか?
Q.学校の特徴として転入学など多そうですが?
A .心電図などは診ております。心臓の悪い児
A.1 学期で 30 人位います。多いと思います。
童など専門性が必要なのは琉大などへ紹介して
Q .子供達のとけ込み具合は、本土の方も多い
おります。
地域かと思われますが?
A .本土の方も沢山おられますが、子供達のと
養護教員の山里勝子先生へのインタビュー
け込みは大変良いと思います。
Q .今回我々が診た結果を学校はどう生かして
Q.子供のストレスなどは?
いるのでしょうか?
A .最近の子供は習い事多く、毎日あっちこっ
A .学校では検診医が診た結果を各児童の父兄
ちと学校が終ったら出掛けているようです。掛
に文書で知らせております。その結果で内科に
け持ちで時間的に厳しい子供もいます。
行きなさいなど指導させてもらっています。
Q .校医の武村先生とは仲良くやっております
Q .高学年の女子児童は発育もしっかりして胸
か?
など診るのに慎重にならざるを得ませんが、肺
A .武村先生とは大変仲良しで、子供の健康に
雑音、副乳など見落としも困りますが、
関し常に相談しながらやっております。
A .当然配慮は必要ですが、医師として見落と
しのないようしっかり診てもらいたいと思って
います。
−60(720)
−
沖縄医報 Vol.41 No.7
2005
報 告
向かって左から 筆者、伊良波隆先生(いらはクリニック)
、
金城幸博先生(たばる内科胃腸科)
、
武村盛信先生(かなぐすくクリニック・金城小校医)
、
上原校長、川平博子先生(川平病院)
、川平病院の看護師さん
その他写真に写っていないが
仲里博彦先生(仲里眼科)にもご協力頂いている。
向かって
左 石間友明 先生(セントペアレント石間)
中央 上原敏彦 校長
右 照喜名重治 先生(那覇西クリニック)
診察第1番目の児童
「宜しくお願いします。
」
「どうぞ宜しく」
「仲良くハイピース」
金城幸博先生の診察風景
先生は3日間グッピーやめだかを学校に持ってきて飼い方な
どを教頭先生に教えていました。
来年学校でめだかが増えると良いですネ。
印象記
当山美容形成外科 當山 護
見つけて良かったものかどうか(口蓋垂裂など)
、余計な事をしたのではないかと云う思いも実
は一部である。
その点を養護の山里先生に伝え、検診後、逆に父兄が心配するようなら連絡をしてほしいと頼んだ。
心雑音に明らかな異常を示す児童はいなかったと思うが、心臓検診の先生がおられるのでその
部分はおまかせをした。
側弯を診るには小学生はくねくねして調べにくい。
扁桃腺は舌圧子でおさえて診るより、「あ∼」と声を出してもらうと良く診えると云うのを隣り
で診察の金城先生に教えて頂いた。
出べそまで診たのは余計だったのかも知れないが、歩行状態や足趾まで診ていないのは心残り
でもあった。
児童が元気に育って、また来年こちらも元気で検診に出掛けたいと思ったものである。
−61(721)
−
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