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ゼロ・ドリフトの高精度計装アンプ
16Vレールtoレール、ゼロ・ドリフトの 高精度計装アンプ AD8230 特長 2.0 抵抗により設定可能なゲイン範囲:101∼1000 電源電圧範囲:±4∼±8V、+8∼+16V レールtoレールの入力および出力 動作温度範囲:−40∼+125℃ 1.5 オフセット電圧(µV RTI) 1.0 優れたAC/DC性能 CMRR:110dB(min)(@60Hz、ゲイン=10∼1000時) オフセット電圧:10μV(max)(RTI、±5V時) オフセット・ドリフト:50nV/℃(max) ゲイン非直線性:20ppm(max) 0.5 0 –0.5 –1.0 アプリケーション –2.0 –50 圧力計測 温度計測 ストレイン・ゲージ 自動車用診断装置 05063-107 –1.5 –30 –10 10 30 50 70 90 110 130 150 温度(℃) 図1. 相対的なオフセット電圧の温度特性 +5V –5V 概要 0.1µF AD8230は低ドリフト、差動サンプリングの高精度計装アンプ 0.1µF です。オート・ゼロ調整機能により、オフセット電圧ドリフト を50nV/℃未満に抑えます。AD8230は、熱電対やブリッジ・ トランスデューサのアプリケーションに最適です。 110dB ( min )の高い CMRR 性能により、センサーを計測機器から離 して計測を行う場合のライン・ノイズを除去できます。 16V レールtoレールの同相入力電圧範囲を備えているため、グラウ ンド電位が数Vも変動するようなノイズの多い環境で効果を発 揮します。低周波数ノイズが 3µVp-p まで抑えられるため、最 高度の DC 精度が要求されるアプリケーションに最適です。 AD8230はさらに、−40∼+125℃の拡張工業用温度範囲で高 い性能を維持します。 ゲインのプログラミング設定には、2 本の外付け抵抗を使用し ます。高精度にマッチングした外付け抵抗を使用するため、 1 本の抵抗のみを使用してゲイン設定を行う計装アンプと比べ て、AD8230ははるかに高いゲイン安定性を維持します。101∼ 1000 の範囲内でゲインをプログラミング設定できるだけでな く、出力オフセット電圧を調整することも可能です。 2 4 アナログ・デバイセズ株式会社 8 V OUT 7 5 6 3 34.8kΩ 05063-002 284Ω 図2. 熱電対計測 AD8230は汎用的で簡単に使用できます。オート・ゼロ調整方 式により、整流型またはチョッパー型の計装アンプで一般的に 発生する入力/出力トランジェントを最小限に抑えます。±4 ∼±8V(+8∼+16V)の電源で動作し、8ピンSOICパッケー ジで提供しています。 1 REV. 0 1 AD8230 K型の熱電対 AD8230のゲインは最低2までプログラミング設定できますが、この場合、最大入 力電圧が約750mVに制限されます。 アナログ・デバイセズ社は、提供する情報が正確で信頼できるものであることを期していますが、その情報の 利用に関して、あるいは利用によって生じる第三者の特許やその他の権利の侵害に関して一切の責任を負いま せん。また、アナログ・デバイセズ社の特許または特許の権利の使用を明示的または暗示的に許諾するもので もありません。仕様は予告なく変更する場合があります。本紙記載の商標および登録商標は、各社の所有に属 します。 ※日本語データシートはREVISIONが古い場合があります。最新の内容については、英語版をご参照ください。 © 2004 Analog Devices, Inc. All rights reserved. 本 社/ 〒105-6891 東京都港区海岸1-16-1 ニューピア竹芝サウスタワービル 電話03(5402)8200 大阪営業所/ 〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原3-5-36 新大阪MTビル2号 電話06(6350)6868 AD8230 目次 入力電圧範囲. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 入力保護. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 電源のバイパス処理. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 マルチチャンネル・システムの電源バイパス処理. . . . . . . 11 レイアウト. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12 アプリケーション. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 12 外形寸法 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13 オーダー・ガイド. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13 仕様 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3 絶対最大定格 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 ESDに関する注意 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5 代表的な性能特性 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6 動作原理 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10 ゲインの設定. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 10 出力のレベル・シフト. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11 信号源インピーダンスと入力セトリング時間. . . . . . . . . . . 11 改訂履歴 2004年10月−リビジョン0:初版 ―2― REV. 0 AD8230 仕様 VS=±5V、VREF=0V、RF=100kΩ、RG=1kΩ(特に指定のない限り、@TA=25℃、G=202、RL=10kΩ) 表1 パラメータ 電圧オフセット VOSI(入力換算オフセット) オフセット・ドリフト 同相ノイズ除去比(CMRR) 60Hzに対するCMRR(1kΩの信号源不平衡時) Min 条件 V+IN=V–IN=0V V+IN=V–IN=0V、 TA=−40∼+125℃ VCM=−5∼+5V 入力換算電圧オフセットの電源変動除去比(PSRR) G=2 G=202 ゲイン ゲイン範囲 ゲイン誤差 G=2 G=10 G=100 G=1000 ゲイン非直線性 入力 入力同相動作電圧範囲 規定温度範囲における入力同相動作電圧範囲 入力差動動作電圧範囲 平均入力オフセット電流2 出力 出力振幅 規定温度範囲における出力振幅 短絡電流 10 50 µV nV/℃ 120 dB 120 120 120 140 dB dB 1000 0.01 0.01 0.01 0.02 TA=−40∼+125℃ −VS −VS TA=−40∼+125℃ −VS+0.1 −VS+0.1 20 ppm +VS +VS V V mV pA +VS−0.2 +VS−0.2 V V mA +1 V 15 −1 スルーレート VIN=500mV、G=10 240 3 内部サンプリング・レート TA=−40∼+125℃ 2 V/µs kHz ±8 +16 2.7 −40 nV/ Hz µV p-p 6 ±4 +8 温度範囲 規定性能 V/V % % % % 750 33 VCM=0V VIN+、VIN–、VREF=0 f=0.1∼10Hz 2 単位 110 101 ノイズ 電圧ノイズ密度(1kHz、入力換算) 電圧ノイズ 1 Max G=2(1+RF /RG) リファレンス入力 電圧範囲 電源 動作電圧範囲(両電源) 動作電圧範囲(単電源) 無負荷時電源電流 Typ 3.5 V V mA +125 ℃ AD8230は最低で2のゲインまで動作できます。ただし、差動入力電圧範囲が約750mVに制限されるため、ゲインを10未満に設定すると出力電圧範囲の全域を利用できなくな ります。 差動信号源抵抗値が10kΩ未満の場合、入力バイアス電流または直列抵抗のミスマッチによる電圧オフセットは発生しません。 REV. 0 ―3― AD8230 VS=±8V、VREF=0V、RF=100kΩ、RG=1kΩ(特に指定のない限り、@TA=25℃、G=202、RL=10kΩ) 表2 パラメータ 電圧オフセット VOSI(入力換算オフセット) オフセット・ドリフト 同相ノイズ除去比(CMRR) 60Hzに対するCMRR(1kΩの信号源不平衡時) Min 条件 V+IN=V–IN=0V V+IN=V–IN=0V、 TA=−40∼+125℃ VCM=−8∼+8V 入力換算電圧オフセットの電源変動除去比(PSRR) G=2 G=202 ゲイン ゲイン範囲 ゲイン誤差 G=2 G=10 G=100 G=1000 ゲイン非直線性 入力 入力同相動作電圧範囲 規定温度範囲における入力同相動作電圧範囲 入力差動動作電圧範囲 平均入力オフセット電流2 出力 出力振幅 規定温度範囲における出力振幅 短絡電流 Typ Max 単位 20 50 µV nV/℃ 110 120 dB 120 120 120 140 dB dB G=2(1+RF /RG) 101 1000 0.01 0.01 0.01 0.02 TA=−40∼+125℃ −VS −VS TA=−40∼+125℃ % % % % 20 ppm +VS +VS V V mV pA +VS−0.2 +VS−0.4 V V mA +1 V 750 33 VCM=0V −VS+0.1 −VS+0.1 15 リファレンス入力 電圧範囲 −1 V/V ノイズ 電圧ノイズ密度(1kHz、入力換算) 電圧ノイズ VIN+、VIN–、VREF=0 f=0.1∼10Hz 240 3 nV/ Hz µV p-p スルーレート VIN=500mV、G=10 2 V/µs 6 kHz 内部サンプリング・レート 電源 動作電圧範囲(両電源) 動作電圧範囲(単電源) 無負荷時電源電流 ±4 +8 TA=−40∼+125℃ 温度範囲 規定性能 1 2 ±8 +16 3.2 −40 4 V V mA +125 ℃ AD8230は最低で2のゲインまで動作できます。ただし、差動入力電圧範囲が約750mVに制限されるため、ゲインを10未満に設定すると出力電圧範囲の全域を利用できなくな ります。 差動信号源抵抗値が10kΩ未満の場合、入力バイアス電流または直列抵抗のミスマッチによる電圧オフセットは発生しません。 ―4― REV. 0 AD8230 絶対最大定格 接続図 パラメータ 定格 電源電圧 内部消費電力 出力短絡電流 入力電圧(同相) 差動入力電圧 保存温度 動作温度範囲 ±8V、+16V 304mW 20mA ±VS ±VS −65∼+150℃ −40∼+125℃ –V S 1 8 V OUT +V S 2 7 RG V REF 1 3 5 –IN AD8230 上面図 (実寸ではありません) 図3 上記の絶対最大定格を超えるストレスを加えると、デバイスに 恒久的な損傷を与えることがあります。この規定はストレス定 格のみを指定するものであり、この仕様の動作に関するセク ションに記載されている規定値以上でのデバイスの動作を定め たものではありません。デバイスを絶対最大定格の状態に置く と、デバイスの信頼性に影響を与えることがあります。 仕様は、自然空冷下のデバイスに対するものです。 SOICパッケージのθJA(4層JEDECボードに実装)=121℃/W です。 注意 ESD(静電放電)の影響を受けやすいデバイスです。人体や試験機器には4000Vもの高圧の静 電気が容易に蓄積され、検知されないまま放電されることがあります。本製品は当社独自の ESD保護回路を内蔵してはいますが、デバイスが高エネルギーの静電放電を被った場合、回復 不能の損傷を生じる可能性があります。したがって、性能劣化や機能低下を防止するため、 ESDに対する適切な予防措置を講じることをお勧めします。 REV. 0 6 V REF 2 +IN 4 ―5― 05063-001 表3 AD8230 代表的な性能特性 20 サンプルの合計数=3ロットから2839個 VCM=0Vに対して正規化 500 15 10 オフセット電圧(µV RTI) サンプル数 400 300 200 5 0 –5 –10 05063-100 100 –9 –6 –3 0 3 6 05063-007 0 –15 –20 9 –6 –4 –2 オフセット電圧(µV RTI) 図4. オフセット電圧(入力換算)の分布 (±5V、VCM=0V、TA=+25℃時) VCM=0Vに対して正規化 30 10 オフセット電圧(µV RTI) 15 サンプル数 25 20 15 5 0 –5 –10 5 –15 05063-108 10 –10 10 30 –20 –10 50 –8 –6 –4 –2 オフセット電圧ドリフト (nV/℃) 図5. 6 20 35 –30 4 図7. 同相電圧 対 オフセット電圧(入力換 算)(VS=±5V時) サンプルの合計数=3ロットから300個 0 –50 2 05063-008 40 0 同相電圧(V) 0 2 4 6 8 10 同相電圧(V) 図8. 同相電圧 対 オフセット電圧(入力換 算)(VS=±8V時) オフセット電圧(入力換算)ドリフトの分布 0 0 –2 –1 V S = ±5V –2 オフセット電圧(µV ) –6 –8 –10 V S = ±8V –12 –14 –3 –4 –5 ±5V 電源 –6 –16 –30 –10 10 30 50 70 90 110 130 –8 150 0 温度(℃) 図6. ±8V 電源 05063-009 –18 –20 –50 –7 05063-005 オフセット電圧(µV RTI) –4 1 2 3 4 5 6 信号源インピーダンス(kΩ) 図9. 信号源インピーダンス 対 オフセット電圧(入力 換算) (入力ピン間に1µFのコンデンサを接続) オフセット電圧(入力換算)の温度特性 ―6― REV. 0 AD8230 6.8k 40 VREF=0Vに対して正規化 30 6.6k 6.4k クロック周波数(Hz) オフセット電圧(µV RTI) 20 10 0 –10 ±8V 6.2k 6.0k ±5V 5.8k –20 –1.0 –0.5 0 0.5 1.0 5.4k –50 1.5 05063-013 –40 –1.5 5.6k 05063-010 –30 –30 –10 10 30 50 70 90 110 130 温度(℃) VREF(V) 図10. リファレンス電圧 対 オフセット電圧 (入力換算) 図13. 130 クロック周波数の温度特性 1.0 信号源の不平衡がないときのCMRR +85°C 0.8 120 +125°C 0.6 平均入力バイアス電流(µA) 110 90 80 70 1kΩの信号源不平衡時のCMRR 60 –40°C 0.4 0.2 0 –0.2 –0.4 0°C 05063-011 –0.6 50 40 10 100 1k 05063-020 CMRR(dB) 100 +25°C –0.8 –1.0 10k –6 –4 –2 周波数(Hz) 図11. 0 2 4 6 同相電圧(V) 図14. 同相電圧 対 平均入力バイアス電流 (−40℃、+25℃、+85℃、+125℃時) 同相ノイズ除去比の周波数特性 130 3.5 128 3.4 126 3.3 124 3.2 正電源電流(mA) 122 ±5V 電源 120 118 ±8V 電源 116 3.1 3.0 ±5V 2.9 2.8 2.7 05063-012 114 112 110 0 2 4 6 8 10 05063-018 CMRR(dB) ±8V 2.6 2.5 –50 12 0 図12. 信号源インピーダンス 対 同相ノイズ除去比 (入力ピン間に1.1µFのコンデンサを接続) REV. 0 50 100 温度(℃) 信号源インピーダンス(kΩ) 図15. ―7― 電源電流の温度特性 150 90 80 80 70 70 60 60 50 50 40 30 40 30 20 20 10 10 0 –10 10 100 1k 10k 05063-016 ゲイン (dB) 90 05063-014 ゲイン (dB) AD8230 0 –10 10 100k 100 ゲインの周波数特性(G=2) 図19. 90 80 80 70 70 60 60 50 50 40 30 20 10 0 –10 1k 10k ゲインの周波数特性(G=100) 30 10 100 0 –10 100k 10 100 周波数(Hz) 図17. 100k 40 20 10 10k 05063-017 ゲイン (dB) 90 05063-015 ゲイン (dB) 図16. 1k 周波数(Hz) 周波数(Hz) 1k 10k 100k 周波数(Hz) ゲインの周波数特性(G=10) 図20. ゲインの周波数特性(G=1000) 0.010 40 G = +20 0.008 30 0.006 20 ゲイン誤差(%) 0 –10 0.002 0 –0.002 –0.004 –20 –40 –5 –4 –3 –2 –1 0 1 2 3 4 05063-036 –0.006 –30 05063-019 非直線性(ppm) 0.004 10 –0.008 –0.010 5 0 VOUT(V) 図18. 5 10 15 20 信号源インピーダンス(kΩ) ゲイン非直線性(G=20) 図21. ―8― 差動信号源インピーダンス 対 ゲイン誤差 REV. 0 0.35 140 0.30 120 0.25 100 PSRR(dB) µV/ Hz AD8230 0.20 0.15 G = +100 G = +1000 80 G = +10 60 40 0.05 20 05063-024 0.10 0 1 10 100 1k 10k 05063-035 G = +2 0 0.1 100k 1 図22. 10 周波数(kHz) 周波数(Hz) 図25. 周波数 対 ノイズ電圧密度 負電源のPSRRの周波数特性(入力換算) 10 V S = ±8V 8 –40°C 6 –40°C +125°C +25°C 0 +25°C –2 +125°C V S = ±5V +25°C –40°C –6 05063-102 +25°C 2 –4 2µV/DIV +125°C V S = ±5V +125°C –8 V S = ±8V 05063-109 出力電圧振幅(V) 4 –40°C –10 1s/DIV 0 2 4 6 8 10 12 出力電流(mA) 図23. 0.1∼10Hz時の入力換算電圧ノイズ (G=100) 図26. 出力電流 対 出力電圧振幅 (−40℃、+25℃、+85℃、+125℃時) 160 140 G = +1000 PSRR(dB) 120 100 G = +100 G = +10 80 G = +2 60 40 0 0.1 05063-034 20 1 10 周波数(kHz) 図24. REV. 0 正電源のPSRRの周波数特性(入力換算) ―9― AD8230 動作原理 オート・ゼロ調整機能は入力換算電圧オフセットをµVレベルま で、電圧オフセット・ドリフトを nV/ ℃レベルまで低減する、 ダイナミックなオフセット/ドリフト・キャンセル技術です。 また、この技術のもう1 つのメリットである低周波数ノイズの 低減により、特に1/fのノイズ成分が低く抑えられます。 AD8230はオート・ゼロ調整方式を採用し、さらにこの技術を 高度な同相ノイズ除去特性と組み合わせた計装アンプです。内 部の信号経路は、アクティブな差動サンプル&ホールド段(プ リアンプ)と後段の差動アンプ(ゲイン・アンプ)で構成され ます。 2 つのアンプがオート・ゼロ調整機能を実行し、オフ セットとドリフトを最小限に抑えます。完全差動方式を採用し ているため、寄生ノイズと温度に対する信号の耐性が向上しま す。アンプのゲインは、TCマッチングしやすいように、2本の 外付け抵抗を使用して設定します。 フェーズBでは、差動信号がホールド・コンデンサに転送され、 C H O L D の値をリフレッシュします。プリアンプの出力は、リ ファレンス電位V REF によって決まる同相電圧に保持されます。 このようにして、AD8230は差動信号を処理し、出力電圧レベ ルを設定します。ゲイン・アンプは、ホールド・コンデンサ CHOLDが保持する更新済みの信号を処理します。 ゲインの設定 2本の外付け抵抗によりAD8230のゲインを設定します。ゲイン は、以下の関数で表します。 (1+ ゲイン=2 RF RG ) +V S –V S オンチップの 6kHz 発振器とロジックで信号サンプリング・ レートを制御し、必要なクロック・フェーズをオーバーラップ なく生成します。説明を簡素化するため、 2 つの連続したク ロック・フェーズを内部動作の順にAとBに区別し、図27と図 28にそれぞれ図示します。 0.1µF 10µF 0.1µF 4 1 AD8230 ゲイン・アンプ プリアンプ V REF2 5 V REF1 –V S – – + CHOLD 図29. RG RF 05063-103 V REF 表4. フェーズAのサンプリング段階 フェーズAのサンプリング段階では、サンプリング・コンデン サが入力に接続されます。差動入力信号の電圧差VDIFFがサンプ リング・コンデンサCSAMPLEに保持されます。サンプリング・コ ンデンサは差電圧のみを保持するため、同相電圧が除去されま す。この間ゲイン・アンプはプリアンプに接続されないため、 図27に示すように、出力は、CHOLDコンデンサに保持されたサ ンプリング済みの入力信号が設定するレベルに維持されます。 ゲイン・アンプ プリアンプ –V S CHOLD V +IN V DIFF +V CM + – – + V OUT CSAMPLE V –IN RG 標準の1%抵抗を用いたゲイン設定 ゲイン RF RG 実際のゲイン 2 10 50 100 200 500 1000 0Ω(短絡) 8.06kΩ 12.1kΩ 9.76kΩ 10kΩ 49.9kΩ 100kΩ なし 2 10 50.5 99.6 202 501 1002 2kΩ 499Ω 200Ω 100Ω 200Ω 200Ω RL| (RF+RG) > 2kΩ | RF フェーズBのサンプリング段階 05063-104 V REF ゲイン設定 図29と表4は、ゲイン設定例を示したものです。表4に示すよう に、AD8230は広範な抵抗値を使用できます。計装アンプの駆 動能力には限りがあるため、ゲイン設定抵抗の合計値と負荷の 並列抵抗値は必ず2kΩを超えるようにしてください。 CHOLD –V S 図28. RF RG –V S 図27. 6 V OUT CSAMPLE V –IN V OUT 7 05063-030 + 8 RG 3 CHOLD V +IN V DIFF +V CM 10µF 2 フィードバック抵抗値RFを低くすることによって、高温時のオ フセット電圧ドリフトを最小限に抑えることができます。オフ セット電圧ドリフトは、RGピン(7番ピン)上で発生する接合 部の漏れ電流が原因で発生します。ゲイン設定抵抗がオフセッ ト電圧ドリフトに及ぼす影響を図30に示します。また、ゲイン のフィードバック・ループに巻線抵抗を使用すると、オフセッ ト電圧性能が劣化する可能性があることが経験上確認されてい ます。 ― 10 ― REV. 0 AD8230 入力電圧範囲 0 AD8230の入力同相電圧範囲は、レールtoレールです。ただし、 差動入力電圧範囲は約750mVに制限されます。入力がオーバー –1 オフセット電圧(µV RTI) ドライブされても、位相反転は起きません。 入力保護 –2 入力電圧は内部のESD保護用ダイオードによって、ダイオード 1個の降下電圧分だけ電源レールを超える電圧範囲内に制限さ れます。図32に示すように、漏れ電流の低いダイオードと抵抗 を用いて、外部の過電圧と過電流を制限し、入力の損傷を防ぐ ことができます。図34は、熱電対とAD8230間の過電圧保護回 路を示しています。 –3 RF = 100kΩ、RG = 1kΩ –4 RF = 10kΩ、RG = 100Ω 0 50 100 150 温度(℃) 05063-110 +V S –5 –50 0.1µF 図30. フィードバック抵抗によるオフセット電圧ドリフトへ の影響 2 4 2.49kΩ 図32. V OUT 19.1kΩ 200Ω 過電圧入力保護 電源のバイパス処理 AD8230への電源供給には、安定化されたDC電圧を使用してく ださい。電源ピンに乗るノイズが性能に悪影響を及ぼすことが あります。バイパス用コンデンサを使用して、アンプをデカッ プリングしてください。 +V S –V S 0.1µF 0.1µF AD8230はクロック回路を内蔵しているため、適切な電源バイ パス処理が必要です。0.1µFのコンデンサを各電源ピンにでき るだけ近接させてください。図 29 に示すように、 10µF のタン タル・コンデンサはAD8230から離して接続できます。 2 1 AD8230 8 V OUT 7 5 6 3 +V S –V S BAV199 8 7 5 05063-037 図31に示すようにリファレンス電圧を使用して、出力を中間電 位から1Vレベル・シフトできます。レベル・シフトを行わない 場合、リファレンス電圧は通常、中間電位に接続します。ゲイ ン誤差の発生を防ぐため、出力のレベル・シフトに使用する電 圧源の出力インピーダンスを低く抑えてください。またこの電 圧源に電流のソースおよびシンク能力を持たせる必要がありま す。オフセット電圧を最低限に抑えるため、VREFピンをローカ ル・グラウンド、またはローカル・グラウンドに接続されるリ ファレンス電圧源に接続してください。 1 AD8230 2.49kΩ 出力のレベル・シフト 4 –V S BAV199 0.1µF +V S –V S 6 3 RF マルチチャンネル・システムの電源バイパス 処理 V LEVEL-SHIFT = 図31. (+V S + –VS ) ±1V 2 05063-031 RG 出力のレベル・シフト 信号源インピーダンスと入力セトリング時間 図27と図28に示したように、AD8230の入力段はアクティブ駆 動の2 個の差動スイッチ・コンデンサで構成されます。差動入 力信号をCSAMPLE上でサンプリングし、これに関連する70pFの 寄生容量を2 つの入力間で平衡化することで、高い同相ノイズ 除去比が得られます。サンプリング期間(約85µs)ごとに、こ れらの寄生容量を信号源インピーダンス( 10kΩ ( max ))に よって同相電圧に再充電する必要があります。 REV. 0 マルチチャンネル・システムでクロック干渉を防ぐ最良の方法 は、PCボードをレイアウトする際に正電源と負電源をそれぞれ スター結線することです。 AD8230 はそれぞれペア配線でス ター・ノードに接続してください。これによって、クロック間 で発生するクロストークが最小限に抑えられます。スター結線 が無理な場合は、厚いパターン配線を使用して寄生インダクタ ンスを最小限に抑え、電源パターン配線に沿って多くのデカッ プリング処理を実施してください。図33にこの例を示します。 細心の注意を払い、事前に十分配慮すれば、性能を最大限に高 めることができます。 ― 11 ― AD8230 –V S +V S 10µF 1µF 10µF 0.1µF 1 0.1µF –V S 1µF 7 2 3 6 4 5 7 2 3 6 4 5 +V S 0.1µF –V S 1 1 AD8230 1µF 0.1µF 8 8 2 1µF 0.1µF +V S 0.1µF 0.1µF 0.1µF –V S 8 1 7 2 3 6 3 4 5 8 1 7 2 3 6 4 5 +V S 0.1µF –V S +V S AD8230 AD8230 0.1µF –V S 8 +V S 7 6 5 4 AD8230 AD8230 STAR –V S 10µF STAR +V S 10µF 1 1 8 +V S 7 2 3 6 4 5 2 0.1µF –V S 0.1µF 0.1µF 0.1µF –V S 1 8 +V S 2 3 6 3 4 5 2 3 6 4 5 AD8230 AD8230 –V S 1 8 +V S 7 7 0.1µF –V S 0.1µF 8 +V S 7 6 05063-106 0.1µF 0.1µF 5 4 AD8230 AD8230 図33. +VSと−VSにスター・ノード(または厚いパターン配線)を使用し、 電源配線に沿って多くのデカップリング処理を行う構成回路 ンピーダンスをマッチングさせることが重要です。この回路は レイアウト AD8230には、VREF1とVREF2の2本のリファレンス電圧ピンがあ ります。VREF1は、内部電圧リファレンスを設定するために電流 を引き込みます。これに対し、VREF2は電流を引き込まずに出力 信号の同相電圧を設定します。したがって、VREF1とVREF2をグ 193のゲイン設定で構成され、全体の温度感度は10mV/℃です。 +V S –V S 0.1µF ラウンド(またはリファレンス電圧)に対してスター結線する必 要があります。また、CMRRを最大化するために、VREF2とゲ イン抵抗RG間の接続パターン配線を短くしてください。 2 4 350Ω アプリケーション +V S 6 3 V OUT 1µF 102kΩ 1kΩ –V S 0.1µF 4 8 6 3 工業用アプリケーションでロード・セルの計測が難しい場合、 ロード・セルは計装アンプから離れた場所に実装されることが あります。そのため、同相電位が数Vに達してしまい、よくあ る5Vオート・ゼロ調整式計装アンプでは、その同相入力電圧範 囲を超えてしまう可能性があります。しかし、幸いにも AD8230は16Vまでの広範な同相入力電圧範囲を備えているた め、同相電圧範囲について心配する必要はありません。 19.1kΩ 05063-032 200Ω +V S –V S BAV199 フィルタ出力を使用したブリッジ計測回路 V OUT 7 5 1nF 図35. 1 AD8230 1µF –V S 図34. 7 2 1nF 4.99kΩ 350Ω –V S 0.1µF 4.99kΩ 100MΩ 350Ω 4kΩ 8 05063-033 +V S J型熱電対 1 AD8230 350Ω 5 BAV199 +V S –V S 100MΩ 0.1µF +V S 過電圧保護とRFIフィルタを備えたJ型熱電対 図2 と図34 に示すように、AD8230 は熱電対のアプリケーショ ンに利用できます。図34は、工業用アプリケーションに利用し た回路の例です。この回路のフロントエンドには、電圧過負荷 保護回路(詳細については「入力保護」を参照)とRFIフィル タが備わっています。マッチングされた100MΩの抵抗は、入 力バイアス電流を入力トランジスタに供給するだけでなく、熱 電対接続が切断されたことを示すインジケータとしても使用し ます。 RFI フィルタには、高精度にマッチングされた 1 %の 4.99kΩ抵抗を使用します。高いCMRRを得るには、信号源イ ― 12 ― REV. 0 AD8230 外形寸法 5.00 (0.1968) 4.80 (0.1890) 4.00 (0.1574) 3.80 (0.1497) 8 5 1 4 1.27 (0.0500) BSC 0.25 (0.0098) 0.10 (0.0040) 平坦性 0.10 実装面 6.20 (0.2440) 5.80 (0.2284) 1.75 (0.0688) 1.35 (0.0532) 0.51 (0.0201) 0.31 (0.0122) 0.50 (0.0196) ×45° 0.25 (0.0099) 8° 0.25 (0.0098) 0° 1.27 (0.0500) 0.40 (0.0157) 0.17 (0.0067) JEDEC規格MS-012AAに準拠 管理寸法はミリメートルの単位で表記しています。カッコ内に示すインチ単位の 寸法はミリメートル値に基づく概数で、参考のためにのみ記載しています。設計 ではこの値を使用しないでください。 図36. 8ピンSOIC ナロー・ボディ(R-8) 寸法単位:mm(インチ) オーダー・ガイド モデル 1 AD8230YRZ AD8230YRZ-REEL1 AD8230YRZ-REEL71 AD8230-EVAL 1 温度範囲 パッケージ パッケージ・オプション −40∼+125℃ −40∼+125℃ −40∼+125℃ 8ピンSOIC 8ピンSOIC(13インチのテープ&リール) 8ピンSOIC(7インチのテープ&リール) R-8 R-8 R-8 評価用ボード Z=鉛フリー製品 REV. 0 ― 13 ― AD8230 ― 14 ― REV. 0 AD8230 REV. 0 ― 15 ― D05063-0-10/04(0)-J AD8230 ― 16 ― REV. 0