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5)ルピナス=昇藤
花の縁 02-02-05 1 5)ルピナス=昇藤 ルピナスはマメ科ルピナス属の総称である。1~2 年草および多年草で、和名は花 の咲き方がフジに似ており、フジは花房が垂れ下がるのに対して、ルピナスは逆に なることから『ノボリフジ』といわれる。また葉の形からハウチワマメなどといわれる こともある。何といってもこの花は色彩が鮮やかなところと、丈夫で育てやすい ところがいい。ルピナス属の属名はオオカミを意味する『Lupinus』で、 その意味は どんな土地でもよく育ち、土地の持つ栄養分をことごとく食い尽くすところから来た ものである。南ヨーロッパやアフリカの地中海沿岸地方から、北アメリカおよび 南アメリカが原産で、約 300 種が知られている。主に庭や花壇などに植えられるが、 ルピナスは酸性土壌と移植だけは苦手のようで、播種する前には石灰を入れて、弱 アルカリ性にしておくと良い。地中海方面を原産地とする種は、ほとんどが酸性土 を嫌い、本種もその例外ではないからである。また移植をするときは本葉が 2 枚 ぐらいのうちに行なうようにしたい。これは直根性でヒゲネがほとんど出ないためで、 原則としては直播きしにする。1~2 年性種は秋に蒔くと翌年の 5~6 月頃には花が 咲き、多年草種のものは春に蒔くのが普通である。ヒゲネのない種は乾燥には強い ものの、過湿には極めて弱い種が多いことも再三述べてきたが、ルピナスも同様 である。従って植え場所は水捌けが良くて、陽当りがいいところに限る。土質は酸性 以外のものであれば特にこだわらない。できれば夏期あまり高温になるところは 避けるようにしたい。この点を考慮すると夏の暑い地方では、1年草種のほうが 夏までに花が終わってしまうから良いだろう。 古代ギリシャ、ローマではこの花を食用にしていたらしい。ルピナスの葉は有毒 で害虫も着かない。それどころかこの葉をいぶすとブヨ除けにもなるくらいである。 この植物に含まれるアルカロイドの一種は人間が食べると興奮状況や幻覚症状を作り 出し、強心剤や強壮剤などにも利用された。種子から作った油薬は、シミやソバカス をとる作用もあったから、昔は薬草として栽培されていたらしい。しかし素人療法 は禁物で、量を間違えると命を落としかねない。また昔はこの豆を粉にして石鹸と して用いられたことがアラビアン・ナイトにも記されている。 よく園芸栽培されているものには、南ヨーロッパ原産で高さ 40~50cm、秋蒔きの キバナルピナス、同じく南ヨーロッパが原産で、高さが 50~60cm になる秋蒔き種の カサザキルピナス、イギリスのラッセル氏が改良した多年草種のラッセルルピナス などがある。キバナルピナスは黄色種で、カササギルピナスは青紫、白色、ラッセル ルピナスは黄色、赤色、紫色、橙色、青色など賑やかである。またこの他にもハート ウェギーという品種があってひときわ美しい。これはメキシコ原産で高さ 60~90cm、 秋蒔き種で 5~6 月頃に紅色、青紫、ピンク、白色などの花を咲かせる。ルピナスの 苗は春先ホームセンターなどで入手することができる。 1 花の縁 02-02-05 色とりどりのルピナスの花、北杜市から八ヶ岳にかけてこの花によく出会う(山梨県北杜市) 。 2 2 花の縁 02-02-05 3 ルピナスの花は生命力が旺盛で、他の花の分まで養分を吸いとってしまう(山梨県北杜市) 。 3 花の縁 02-02-05 4 ルピナスの花、こうして集団で咲くとなかなか美しい花ではある。イメージ的にはキンギョソウ にも似ている(山梨県北杜市) 。 色とりどりのルピナスの花(山梨県北杜市) 。 4 目次に戻る