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第2回国際備蓄構想研究会委員要求資料(PDF:76KB)

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第2回国際備蓄構想研究会委員要求資料(PDF:76KB)
第2回国際備蓄構想研究会委員要求資料
頁
1.穀物協定と国際備蓄構想に関する議論の経緯(東委員)
1
2 . 国 際 備 蓄 構 想 と WTO 協 定 と の 関 連 ( 山 田 委 員 )
3
3.食料援助に係る国際的議論の流れ(山田委員)
4
4.米国の食料援助の現状(山田委員)
5
5.EUの食料援助の現状(山田委員)
8
6.開発途上国の食料事情(松村委員)
10
(1)インドネシア
(2)バングラデシュ
(3)ジンバブエ
(4)サヘル地域
7.備蓄の仕組み(佐久間委員)
(参考)各国の保管コストの比較
14
1.穀物協定と国際備蓄構想に関する議論の経緯
1)ケネディ・ラウンド交渉
(1964−67年)
GATT のケネディ・ラウンド( KR )交渉において、関
係各国は、深刻な食糧不足に悩む開発途上国に対し穀物を
拠出する食料援助計画の遂行について合意した。
○輸出国の食料援助問題提起
・65年5月、ガット穀物グループにおいて、輸出国が食糧援
助問題を提起した。その後米国が1千万トンの援助を輸出国、
輸入国を問わず負担して実施することを提案し、最終的に食
糧援助規約の成立に至つた。
2)国際穀物協定の発効
(1967年)
KR 交渉での合意を受け、食糧援助規約が、小麦貿易規
約とともに国際穀物協定に盛り込まれた。(この成立の経
緯から、食糧援助規約による食料援助は、 KR 援助と呼ば
れている。)
3)国際小麦協定の発効
○食料援助が協定に組み込まれた理由
・当時、世界の小麦貿易量の3分の1が援助等であり、輸出国
はこれらに対しても何らかの規制が必要であり協定の対象に
すべしと主張。
・食料援助は輸入国といえども応分の負担を行うべきであり、
輸出入国とも援助を計算に入れた計画的生産が必要との米国
の主張。
(1971年)
国際小麦協定が国際穀物協定に代わり発効し、食糧援助
規約は、前協定と同様、小麦貿易規約と共に当協定を構成
するものとして引き継がれた。
○ 「国際穀物協定」が「国際小麦協定」に移行した背景
・国際穀物協定では、対象品目を小麦だけでなく粗粒穀物
まで拡大する方向で検討されたが、粗粒穀物は、大麦、
ライ麦、とうもろこし、ソルガム等品目が多岐に亘り、
また取引形態も様々であつたため、検討の対象とするに
止まつた。
・このような事情の下、新たな協定においては、粗粒穀物
を協定の対象外とし、小麦のみの協定となつた。
4)国際穀物備蓄構想の提案
(1974年)
1972年の世界的な食料危機の発生を契機に、米国
が同年11月に開催された世界食糧会議において、世界
食料安全保障を確保するため6千万トンの穀物備蓄が必
要との構想を提案した。(いわゆるキッシンジャー提
案)
5)国際穀物備蓄構想の再提案
(1975年)
同年9月の第7回国連特別総会において、米国が3千万
トンの穀物備蓄を提案。
また、国際小麦理事会では、「71年国際小麦協定」
に代わる新協定を作成する中で、米国の備蓄提案につい
て、検討を開始した。
○備蓄構想の仕組み
①各国が義務的に備蓄を保有。
②備蓄在庫の積増し・放出について統一的な仕組みを国際
的に取り決める。
③各国は、価格変動に応じて運用(各国の分担量の範囲内
で積増し・放出)し、価格の安定を図る。
④価格が大きく変動した場合には、各国の国内生産・消費
政策まで調整を行うことにより価格の安定を図る。
国際穀物備蓄
・各国義務
備蓄
A国
・統一的な
仕組み
B国
<価格の安定>
市
放出・積増し
場
C国
6)国際穀物備蓄構想の検討断念
(1981年)
本構想について、備蓄規模、積増し・放出時の備蓄穀物
の価格水準、開発途上国の優遇措置で各国の主張が対立
する中、81年1月米国がレーガン共和党政権に代わり
本構想に消極的となり、本構想の推進国がなくなったこ
とから、同年11月、検討が断念された。
(価格高騰時→放出)
(価格下落時→積増し)
○各国間の対立点
①備蓄規模
米国等の輸出国は30百万トン規模を提案、EC、日本
等の輸入国は、15百万トンを提案。
②積増し・放出する備蓄の価格水準
輸出国は実勢価格を若干上回る水準、輸入国・開発途
上国は実勢価格を下回る水準をそれぞれ主張。
③開発途上国の優遇措置
備蓄基金の創設・備蓄倉庫の建設等に対する資金援助、
備蓄の積増し・放出価格の優遇(低く設定)、備蓄義
務の一時的免除を主張し、先進国と対立。
2 . 国 際 備 蓄 構 想 と WTO 協 定 と の 関 連
WTO農業協定
改革の過程がLDC及びNFIDC
に及ぼし得る悪影響に関する措置
についてのマラケシュ決定 (1994年)
○食料援助国の援助上の条件
(余剰処理原則及び食糧援助規約
(援助条件)を援用)
・食料援助の供与が、受益国に対する農産物の
商業的輸出に直接的にも間接的にも関連付け
られていないこと。
・余剰処理原則及び協議義務に従つて実施されこと 。
・完全な贈与の形又は援助規約に定める条件
( 支 払 期 間 及 び 金 利 )よ り 不 利 で は な い こ と 。
余 剰 処 理 原 則 ( FAO )
<援助の分類定義及び手続き>
○援助国の義務を規定
①被援助国との間で通常貿易必要量
( UMR ) の 設 定 。
②被援助国に対し援助品目の商業輸
出等を行つている関心国に対する
事前通報・協議
③ FAO 余 剰 処 理 小 委 員 会 に 対 す る 契
契約前の通報
○ 通 報 、 協 議 、 UMR の 設 定 が 必 要 な
15の援助形態の分類
( 現 物 供 与 、 現 金 供 与 、低 利 融 資 等)
○ 開 発 途 上 国 、 特 に LDC 及 び NFIDC が 基 礎 的
食料を輸入することができなくなるような悪影
響を与える可能性があることを認識。このため、
悪影響をあたえることのないよう適切なメカニ
ズムを設けることを合意。
食糧援助規約
(食糧援助委員会)
<国別最小拠出量の援助細目>
○加盟国の年間最小拠出数量設定
・合計約490万トンうち日本30
万トン(数値は小麦換算ベース)
○援助産品、受益国、援助形態・条
件拠出経路等援助の手法について
規定
○規約に基づく援助数量の一定割合
以上(80%)は無償供与
(各国報告ベース)
3 .食料援助に係る国際的議論の流れ
年代
FAO
1950 年代
○ 余 剰 処 理 原 則 を 制 定 ( 1954 年 、
参 加 国 47 カ国)
・農産物の世界的な過剰を背景
に、余剰農産物の建設的な使用
を促進するため、通常貿易必要
量の算定、取引の分類、協議手
続き等を規定。
60 年代
○ WFP ( 世 界 食 糧 計 画 ) の 発 足
( 1963 年 )
・ FAO と 国 連 の 共 同 計 画 と し て
発足。
・食料を開発途上国の経済社会
開発及び緊急食料援助に活用す
ることが目的。
FAC( 食 糧 援 助 委 員 会 )
GATT/WTO
○ケネディ・ラウンド交渉
( 1964-67 年 )
○ 食 糧 援 助 規 約 の 成 立 ( 1967 年 ) ・ 深 刻 な 食 料 不 足 に 悩 む 開 発 途 上 国
・ K R 交 渉 で の 合 意 を 受 け 、 国 に対し穀物を拠出する食料援助計画
際穀物協定の一部として成立。
の遂行を合意。
・加盟国の食料援助年間最小約
束拠出量、受益国、援助形態、
条件等を規定。
7 0 − 8 ・ WFP の プ ロ グ ラ ム に 国 際 緊 急 ○ 食 糧 援 助 規 約 の 改 定 ( 1986 年 )
0年代
リ ザ ー ブ ( IEFR ) が 追 加 ( 1976 ・ 食 料 援 助 条 件 ( 返 済 期 間 及 び
年)。
金利)
・ WFP の IEFR 中 に 緊 急 対 応 口 座
( IRA ) を 設 定 ( 1992 )。
90年代
○ 食 料 サ ミ ッ ト ( 1996 年)
○ 食 糧 援 助 規 約 を 改 定 ( 1999 年 )
・ 2015 年 ま で に 食 料 不 足 人 口 を ・ 食 料 援 助 の 一 定 割 合 ( 80 % )
半減をすることを決議。
以上について無償供与とするこ
とを規定。
・ 年 間 最 小 拠 出 量 が 535 万 ト ン か
ら 490 万 ト ン に 減 少 。
○ウルグアイ・ラウンド交渉
・輸出補助金の迂回措置となり得る
農産物輸出信用及び食料援助につい
ては 、何 ら か の 規 制 が 必 要 と の 議 論 。
○ WTO 農 業 協 定 上 に 食 料 援 助 を 規
定( 1994 年 )
・既存の余剰処理原則及び食糧援助
規約(条件規定)を援用
4. 米国の食料援助の現状
1)米国の食料援助の理念
余剰農産物を開発途上国に援助することを通じて、米国農産
物の海外市場を拡大する。
90年農業法により、公法 480 号に基づく食料援助について
は、市場開発及び余剰農産物の処理から、食料安全保障の改善、
飢餓緩和、経済開発促進に重点がシフトした。
2)具体的な援助プログラム
ア.公法480号(PL480)
①タイトルⅠ
(譲許的条件での輸出プログラム)
農務省(海外農業総局)が実施する援助で、農産物を譲
許的融資条件で販売する援助。
②タイトルⅡ
(贈与)
国際開発庁が実施する援助で、人道的立場から、開発途上
国(緊急に食料を要する国、栄養改善を要する国等)に政府、
民間団体、公私企業、国際機関(WFP等)を介して農産物
を無償援助。
○譲許的融資条件
低利(2ー4%)、返済期間上限30年間、据置期間上限5年等。
○主たる援助国・金額・品目(99年、百万ドル)
・ロシア
287(牛肉、大豆粕、コーン)
・インドネシア 46(コメ、小麦)
・フィリピン
30(コメ、大豆粕)
・パキスタン
13(小麦)
○主たる援助国・金額・品目(同上)
・インド
91(コーン、大豆、植物油)
・ペルー
44(植物油、小麦粉製品)
・北朝鮮
33(コメ、コーン)
・エチオピア
26(豆類、植物油)
③タイトルⅢ
(開発プログラムのための食料援助)
国際開発庁が実施する援助で、食料安全保障を改善し、経
済開発を促進するため、後発開発途上国に対し農産物を政府
間で無償援助。
○主たる援助国・金額・品目(同上)
・ハイチ
6(小麦粉製品、コーン・大豆)
・モザンビーク3(小麦)
・エチオピア 3(小麦)
イ.海外向け無償援助
(1949 年農業法第416条)
農務省(CCC:商品金融公社)が実施する援助で、友好
国及び開発途上国に対しCCCが所有する余剰農産物を無償
援助。
○主たる援助国・金額・品目(同上)
・ロシア
245(小麦、脱脂粉乳)
・北朝鮮
110(小麦、小麦粉)
・バングラデシュ 89(小麦)
・インドネシア
60(小麦、脱脂粉乳)
ウ.進歩のための食料プログラム
(FFP:Food for Progress)
農務省(CCC:商品金融公社)が実施する援助で、民主
化へ政策転換を進めている国に対し、政府又は民間団体を通
じて食料を有償又は無償で援助。
○主たる輸出先(同上)
・ロシア
229(豚肉、脱脂粉乳、植物油)
・ホンジュラス 9(小麦、大豆粕)
・象牙海岸
6(コメ)
( 参 考 )
米 国 の 食 料 援 助 の 推 移
( 単 位 : 百 万 ド ル )
プ ロ グ ラ ム 名
食 料 援 助 額
1999 年 度 の 援 助 形 態 別
主 要 援 助 品 目
1995
1996
1997
1998
1999
Ⅰ 公 法 480 号
① タ イ ト ル Ⅰ
172
219
153
164
687
①
②
③
④
コ
牛
大
コ
メ 9 8
肉 8 7
豆 粕 7 3
ー ン 5 4 ⑤ 小 麦 2 9
② タ イ ト ル Ⅱ
458
504
413
475
581
①
②
③
④
植
コ
コ
麦
物
ー
メ
3
③ タ イ ト ル Ⅲ
83
39
28
21
19
Ⅱ セ ク シ ョ ン
416
Ⅲ F F P
合
計
7
−
−
油 1 7 2
ン ・ 大 豆 混 合 8 7
7 0
2 ⑤ 豆 類 2 2
① 小 麦 1 3
−
869
①
②
③
④
① 豚 肉 8 8 ② 脱 脂 粉 乳 7 1
③ 植 物 油 5 4
173
108
79
127
307
892
870
673
787
2,463
小
小
脱
コ
麦
麦
脂
ー
6
粉
粉
ン
0
9
乳
2
6
1
5 1
8
5.EUの食料援助の現状
※EUの食料援助:①欧州委員会(EC)による援助と
②加盟15カ国政府による援助の2つに大別 。
1)欧州委員会(EC)としての食料援助
ア.理念
①欧州委員会の食料援助は、1967年の食糧援助規約の成立を受
けて開始。
②初期の理念は、人道的理由から飢餓や食料危機の緩和及びEC域
内の余剰農産物の処分の観点から、緊急的飢餓状態にある国に対
する現物での食料援助。
③現在のEUの食料援助は、次の4点を重視。
・全世界での健康的な食生活の実現、基礎的食料の獲得
・食料援助政策の、貧困の緩和という長期目標への確実な貢献
・開発途上国での食料生産と購買力の向上
・開発途上国での特に女性等社会的弱者への権限の付与
イ.EUの食料援助組織
①欧州委員会(EC ):食料援助計画の管理運営機関
・開発理事会:開発的性質の食料援助担当
・ECHO(人道局 ):緊急的食料援助担当
② Euroaid (32のNGOのアンブレラ機関):
・NGO経由の食料援助物資の購入、被援助国への輸送・引渡
ウ.仕組み
① 現物による食料援助
被援助国の緊急時や恒久的な危機、危機後そして復興時に実施。
② 資金による援助
地域市場及び国際市場での直接購入による被援助国への財政支
援。
○ECとしての食料援助実績(単位:100万ユーロ、全て無償)
95年 646(アフリカの角地域への緊急援助)
96年 560
97年 524
98年 578
99年 505 (世界全体の 17 %、米国の 63 %に次いで世界第2位、総費用の30%が輸送費)
○品目別実績(99年総量:244万9千トン(穀物換算トン ))
穀類
225万8千トン(92%)小麦・小麦粉、雑穀、コメ他
穀類以外 19万1千トン( 8%)魚肉、豆類、食用油他
○地域別割合(99年)
欧州・旧ソ連
サハラ以南アフリカ
アジア
南米・カリブ諸国
北アフリカ・中東
60% (ロシア、旧ユーゴ(コソボ関係支援の影響)他)
26%(エチオピア、ルワンダ、マラウイ、スーダン、アンゴラ、ソマリア他)
12%(バングラディシュ、北朝鮮他)
1%
1%
2)EU加盟主要5カ国の食料援助
ア.理念
各国により多少異なるが、被援助国の食料安全保障、長期的な貧困
緩和等。
イ.各国の食料援助の特徴
①英国・ドイツ
・被援助国の食料生産の衰退を防ぐ観点から、現物援助よりも経済
的援助を優先。
・援助の太宗は、現金供与の形で実施。
②イタリア
・EUの他の加盟国と異なり、二国間の現物援助を多用。
③フランス
・旧宗主国としての歴史的背景から、99年の食料援助の2/3
がアフリカ諸国向け。
④デンマーク
・全てWFP、EC等を通じて実施。
・豆類等、穀物以外の援助の比率が高い。
○EU加盟主要5カ国の食料援助実績 (EC経由分除く、99年、単位:穀物換算トン)
・英 国
(総量: 219,485 )
214,772 (98%)
穀類
4,713 ( 2%)
穀類以外
主要援助先:バングラディシュ、中国、マラウィ、インド等
・ドイツ
(総量: 221,992 )
186,360 (83%)
穀類
35,632(16%)
穀類以外
主要援助先:エチオピア、旧ユーゴ、バングラディシュ等
・イタリア (総量: 169,337 )
157,918 (93%)
穀類
11,419( 7%)
穀類以外
主要援助先:キューバ、エリトリア、エチオピア等
・フランス (総量: 140,492 )
140,385 (99.9 %)
穀類
107( 0.1 %)
穀類以外
主要援助先:エジプト、ルワンダ、エチオピア、ニカラグア等
・デンマーク(総量: 146,528 )
114,378 (78%)
穀類
32,150(22%)
穀類以外
主要援助先:ベトナム、シリア、エジプト、ガザ自治区等
6.開発途上国の食料事情
(1)インドネシア
(千㌧、千t、万人)
コメの生産・消費の状況
消費量
34000
1)
1968 年以降、主食であるコメの安定供給を最重要課
題として農業振興策を実施し、84 年にはコメの自給を
達成するなど、順調に生産を拡大。
生産量
29000
24000
人口
2)
しかし、住宅地や工業用地への転用による優良農地の
減少等により生産性が鈍化する一方で、人口や一人当た
り消費量の増加等により、近年、消費が生産を上回り、
自給は達成できていない。
19000
14000
生産面積
9000
80
3)
気象災害等により大幅に生産が落ち込むなど、その生
産基盤は脆弱であり、 97 年のエルニーニョの影響によ
る干ばつの際には、国際価格が大幅に上昇している中で
食料援助を含む600万トン(世界の貿易量の25%相
当)余りのコメを輸入した。
その際、我が国は、80万トンのコメによる食料援助
を実施。このうち、70万トンは現物貸付。
(返済条件は、30年返済(10年据置)、インドネシ
ア産米又はその時の国際価格による金銭償還)
(千㌧)
6000
85
90
95
(㌦/㌧)
400
コメの貿易(援助)の状況
4000
300
2000
200
0
80
4)
インドネシアでは、人口の増加や都市部への集中に伴
い、土地なし農民や失業者が増加しており、1230万
人の栄養不足人口の縮減が重要な課題となっている。
00
(穀物年度)
85
輸入
輸出
90
援助
95
コメ価格
100
00
(穀物年度)
資料:USDA(援助はFAO)
(注)・援助は、穀物の援助数量である。
・コメ価格はタイ産米(WR10%)FOB価格である。
(2)バングラデシュ
1)
主要農作物は主食である米、小麦などの穀物、ジュー
トであり、これらの作物で総作付け面積の 8 割以上を占
めている。農家の平均経営規模は 0.69ha と零細で、経
済的に貧しい農家が殆どである。
(千㌧、千ha、万人)
消費量
コメの生産・消費の状況
生産量
18000
2)
1971 年の独立前後には穀物の輸入量が国内生産量の
15 ∼ 20 %に達していたことから、農業生産を振興し、
80 年代後半にはコメの自給は達成に近づいたが、近年
は、生産性の鈍化や人口増に伴い、消費量が生産量を上
回って推移している。
人口
13000
生産面積
8000
80
85
90
95
00
(穀物年度)
3)
国土は低地デルタ地帯に位置するため、モンスーン期
には平年でも国土の20%が水没するという自然条件下
にあり、毎年のように洪水被害が発生している。
1998 年には、大洪水が発生し、250万トンのコメ
の輸入(援助を含む。)が行われた。
(千㌧)
コメの貿易(援助)の動向
3000
2000
4)
バングラデシュでは、人口の約8割は農村に集中し、
その半数の 4,680 万人が栄養不足状態にある。
このため、基本的には農業生産の拡大に対する協力が
重要であるが、当面は、農村部の貧困層を中心に食料援
助に頼らざる得ない状況にある。
1000
0
80
85
輸入
90
輸出
援助
資料:USDA(援助はFAO)
注)援助は、穀物の援助数量である。
95
00
(穀物年度)
(3)ジンバブエ
1)
主な農産物は、主食であるトウモロコシ、小麦、大麦、
ミレット、ソルガムであり、穀物以外では、さとうきび、
葉たばこの生産が盛んである。
(千㌧、千ha、万人)
トウモロコシの生産・消費の状況
3000
2500
2)
生産構造は、大きく分けて生産力の高い土地での大規
模農業と生産力の低い土地での小規模農業の二重構造と
なっている。
生産量
2000
消費量
生産面積
1500
人口
1000
3)
一応、食料自給を達成しているが、国土の8割以上の
地域で年間降水量は 800 ミリ以下であり、干ばつ被害を
受けやすいため、安定した生産を行うまでには至ってい
ない。
500
80
2000
5)
最近では1992年に大干ばつが発生しており、通常
輸出しているトウモロコシを200万トン以上輸入する
状況となった。
ジンバブエでは、420万人の栄養不足人口の殆どが、
生産力の低い土地に住む小規模農民となっており、干ば
つの発生時等に、このような小農層で深刻な食料不足が
生じている。
90
干ばつ
95
00
(穀物年度)
(千㌧)
4)
85
トウモロコシの貿易(援助)状況 92干ばつ
1500
1000
500
0
80
85
輸入
輸出
90
援助
資料:USDA(援助はFAO)
(注)援助は、穀物の援助数量である。
95
00
(穀物年度)
(4)サヘル地域(西アフリカ)における食料安全保障等の取組み
1)
1968 年から 73 年にかけて西アフリカのサヘル地域で
の干ばつが原因となって、飢餓、栄養失調、砂漠化等
の諸問題が顕在化した。
CILSSの概要
○ 加盟国(9ヶ国)
ブルキナ・ファソ、カーボ・ヴェルデ、ガンビア、ギニアビサ
オ、マリ、モーリタニア、セネガル、ニジェール、チャド
○
2)
1973 年、このような状況の中で、干ばつ対策と食料
援助の拡大を目指して、サヘル諸国は CILSS (シルス
:サヘル干ばつ対策国家間常設委員会)を設立した。
3)
1976 年、サヘル諸国と CILSS の支援のため、先進国
が中心となってサヘルクラブを設立(事務局は OECD
の一部局。日本からも資金を拠出)、食料安全保障等
に関する討議を行っている。
4)
1980 年代には、しばしば食料援助の実施が遅れ、収
穫期に援助食料が届いたことから、市場価格の下落、
農業生産増進意欲の減退などの悪影響がみられた。
5)
このような事態を踏まえ、1990 年に CILSS 加盟国及
び援助国は「サヘル食料援助憲章」を採択した。
主な活動内容
・食料援助の受入の調整等
・干ばつの早期警戒、食料安全保障等のための情報収集・
提供
・食料自給に達成のためのプログラムの実施
・砂漠化防止対策の実施
サヘルクラブの概要
○ 西アフリカ地域の開発に係わる先進国、途上国の関係者が
自由に意見交換するためのフォーラム。 FAO 、WFP等も参
加。
○ サヘル地域の飢餓対策、食料安全保障のため、食料援助調
整・助言、自然資源の管理に関する活動等を実施。
○ 近年は、地域統合、食料安全保障の戦略的枠組み、援助の
改革について議論。
サヘル食料援助憲章の概要
○
食料援助に伴う悪影響を抑制し、長期的に見た食料安全保
障のための支援の確立が目的。
○ 食料援助は、農業生産の動向、住民のリスク、市場価格に
関する適正な情報に基づき行われるべき。
7
備蓄の仕組み
○
○ アセアン緊急米備蓄
1)備蓄の仕組み
1)備蓄の仕組み
アセアン緊急米備蓄
国際穀物備蓄構想(キッシンジャー提案)の仕組み
《緊急時》
アセアン
加盟国
備蓄量:8.7 万トン
支援要請
国際穀物備蓄
・各国義務
備蓄
A国
・統一的な
仕組み
B国
《価格の安定》
市
(放出・積増し)
A
タ
イ
国
貸
場
付
C国
フィリピン
・
・
価格高騰時 → 放出
価格下落時 → 積増し
(各国で備蓄)
2)問題点
・備蓄量が小規模なことから大規模な食糧危機に対応できない。
・生産・消費等の統計が未整備のため、必要備蓄規模の把握が
困難。
・貸付方式となっているため、借受資金が必要となり、活用し
にくい。
・アセアン域内の輸出国と輸入国は、同時に援助国と被援助国
の関係にあり、貿易と援助の仕訳が困難。
「南アジア地域協力機構の食料安全保障備蓄」も同様の仕組み
2)問題点
・備蓄規模、積増し・放出する小麦備蓄の価格水準等で各
国の主張が対立。
・開発途上国は、備蓄基金の創設・備蓄倉庫の建設等に対
する資金援助、備蓄の積増し・放出価格の優遇、備蓄義
務の一時的免除を主張し、先進国と対立。
(参考)
各国の保管コストの比較
生産国
保管コスト
備
考(保管倉庫)
邦貨換算
中
国
(東北)
10 元 / 籾 M T ・ 月
約 1800 円
/籾MT・年
・国家糧食局生産地倉庫
タ
イ
55 − 95 バ ー ツ
/籾MT・月
約 2700 円
/籾MT・年
・生産地民間倉庫
米
国
1.2 − 1.3 ド ル
/ 籾 CWT ・ 年
約 3300 円
/籾MT・年
・精米所近郊の営業倉庫
日
本
約 12000 円
/玄米MT・年
・備 蓄 米 の 平 均 的 な 保 管
経費
( 注 ) 1 . 為 替 レ ー ト は 、 120 円 / 米 ド ル 、 15 円 / 元 、 3 円 / バ ー ツ 。
2 . 1 CWT ( hundredweight ) は 、 約 45 k g で あ る 。
3.日本については高温期に低温保管する場合のコスト。常温保管
コ ス ト は 、 約 10,000 円 / 年 。
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