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アジア中古車流通研究会 2013年05月 ミャンマー 三嶋(3)

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アジア中古車流通研究会 2013年05月 ミャンマー 三嶋(3)
KULIE
Working Paper Series
No.1
ミャンマーにおけるモータリゼーションに関する実態調査報告書
三嶋恒平
2013 年 10 月
Laboratory of Industrial Economics
Faculty of Economics, KEIO UNIVERSITY
2-15-45, Mita, Minato-ku, Tokyo 108-8345 JAPAN
Tel +81-3-5427-1574, Fax +81-3-5427-1578
《おことわり》
本報告書の作成・配布に関しては以下の方針をとっています。ご理解くださいますようお
願いします。

本報告書は研究・教育活動にのみご活用ください。

調査対象から公表を控えるよう指示を受けた情報については記載していません。それ
以外の情報については、研究・教育目的の範囲内で著者の責任において記載しています。
またこの方針は事前に各調査対象に通知してあります。

本報告書を著者に無断で複写・引用することはお控えください。複写・引用を希望する
場合、事前に筆者までお問い合わせくださいますようお願いします。問い合わせ先は本
冊子巻末に記載があります。
2
ミャンマーにおけるモータリゼーションに関する実態調査報告書
慶應義塾大学経済学部 准教授
三嶋恒平
mishima@econ.keio.ac.jp
《構成》
1
調査の目的と概要
2
ミャンマー調査のロジスティクスに関するメモ・注意点
3
ミャンマーバゴー管区・モン州における調査結果
4
調査のまとめと今後の考察課題
1
3
4
11
38
付録 1
ミャンマー調査のスケジュール 39
付録 2
ミャンマーの位置関係
40
調査の目的と概要
本調査は情報がほとんどないミャンマーにおけるモータリゼーションの動向をつかむこ
とを目的とした。詳細なスケジュールは付録 1 に示すとおりである。最初に簡単に本調査
結果をまとめると以下のようになる。すなわち、ミャンマーでは、首都ヤンゴンではオート
バイの一般人の利用が禁止されていること、バゴー管区では中国製オートバイが流通のメ
インを占めていること、モン州は東西回廊の西端に位置し、タイで購買したタイの日系オー
トバイが流通のメインであり中国製オートバイはほとんどみないこと、といった地域性が
みられた。その他、ベトナムより数段遅れた経済発展の動向について確認することができた。
本報告書の構成は次のようにする。まずミャンマーに関する情報が他の東南アジア諸国
に比べ多くはないことを鑑みて、最初にミャンマーにおける調査のロジ的な面を簡単に示
す。続いてバゴー管区の州都バゴーにおけるオートバイ販売店・修理店の訪問調査結果を記
す。さらに、モン州の州都モーラミャイン、ムドー、タンビュザヤにおけるオートバイ販売
店・修理店の訪問調査結果を明らかにしていく。これらはよりよい理解をねらい、写真もあ
わせて示すことにする。最後に本調査のまとめを行うとともに、今後の考察課題を示してい
く。なお、本報告書における写真は全て筆者が撮影したものである。また、本調査にあたっ
ては、筆者が代表を務める科学研究費(若手研究(B)
;新興国のモータリゼーションと価格
3
競争:日本企業のグローバル戦略からの国際比較研究研究課題番号 22730326)の助成を受
けた。
2
ミャンマー調査のロジスティクスに関するメモ・注意点
(1)入国

ミャンマー入国に必要な観光ビザはタイ・バンコクにて即日で取得できた。日本でミャ
ンマービザを申請するときに必要な職業証明といった書類は要求されなかった。申請
時間は 9 時から 12 時、受領時間が 15 時から 17 時まであった。申請に必要なものは、
①申請書(タイバンコクのミャンマー大使館でもらえる)、②ビザ申請料金(1260 バー
ツ(約 3400 円)
)
、③写真(1 枚、パスポートサイズ。とはいえ厳格な感じではなかっ
た)
、④パスポートコピーであった。なお、受け取りの時に列があったがそれは業者向
けの列であり、個人で申請した場合、待ち時間なく受領できた。日本でミャンマーの観
光ビザの申請・取得をしたことはないが、時間の余裕があるのであれば、タイ・バンコ
クでの取得もひとつの選択肢となりうるだろう。ただし、政治の状況によりビザの取得
時間等に変更が出るとのことである。
(ミャンマー大使館@Surasak, Bangkok)
(観光ビザの領収書。
ミャンマー文字で判読
できない)

ミャンマーのヤンゴン空港における入国審査は賄賂を要求されたり、大学人というこ
とで詮索されたりということはなかった。慇懃無礼な感じもなかった。問題を強いてあ
げるならば、入国審査官の作業スピードが遅く 20 分ほど待たされたことと、審査ブー
スの配置に問題があるため別の審査ブースのパソコンを入国者が見ることができるた
めプライバシー等がだだ漏れなことであった。
4
(まだ新しいヤンゴン国際空港)
(閑散とした空港免税店ショップ)
(2)移動

ミャンマーの首都ヤンゴンの空港から市内へは 30 分で到着し、料金相場はタクシーで
7 ドルである。ただし、私は出発ゲートに入ってきたタクシーに「Five」といって OK
をもらったのでそれに乗ったが、支払い時に 5 ドルを払うと猛烈に抗議された。ドラ
イバーは 5000kyat と思ったのだろう(5 ドルは 3750kyat ほど)。

タクシー車輌は非常にぼろい。クーラーは効かない。サスの調整も不十分で乗り心地は
悪い。メーターはあるものの料金は交渉制であった。ヤンゴンであれば数多く走ってい
るので、交渉がうまくいかなければ別のタクシーにすれば何ら問題はない。

地方では、タクシー台数は減るが、各街にはタクシーが集まっているポイント(バスタ
ーミナルにも必ずタクシーは待機している)があり、そこで交渉する。モーラミャイン
では 1 日チャーターし、料金は 150 ㎞ほどの走行距離で 30 万 Kyat+10 米ドルであっ
た。ビジネスでどこかの会社に行く場合、ハイヤー会社等もあるかもしれないが、自力
でタクシーを調達しアポイント先に向かうということは可能であるだろう。ミャンマ
ーの道路地図は市内の本屋で購入できた。Google map でも参照できるし、ポイントに
よっては Street view も可能である。便利な時代になった。

地方では長距離は四輪タクシーに頼るが、近場であればバイクタクシーが便利である。
このほか、人力車、中国製三輪車も頻繁に走っている。

ミャンマーの鉄道は安価であるが、安全面において問題を感じた。電化はされておらず、
ディーゼル車が牽引していた。運行速度は遅く、時速 50km にも常時達していなかっ
たと思われる。踏切は手動で専属の係員が操作していた。なお、鉄道で縦揺れを感じた
のはミャンマーが初めてである。時折脱線事故が生じているようだが、大いに納得でき
5
る状況である。列車運行時間はモーラミャインからの出発が 1 時間遅れ、それについ
てアナウンス等はなかった。時間には余裕を持って行動すべきだろう。

ミャンマーの鉄道で特筆すべきは次の 3 点である。1 つは、トイレが非常にきれいであ
ったことである。私は最廉価の二等車に乗車していたのだが、そこのトイレはゴミが落
ちておらず水があふれていることもなく、汚物が拡散ということもなかった。これは途
上国で初めてのことである。2 つめは、車輌内にゴミを散乱させる乗客が比較的少ない
ことである。マナーがインドに比べ数段よい。ただし、車輌内にゴミを捨てることは少
ないものの窓から投げ捨ててはいた。それゆえ、ビニルゴミが散乱している線路沿いの
状況は他のアジア諸国と同様であった。特にヤンゴン周辺がひどかった。3 つめは鉄道
職員(MRT)が親切であったことである。我々外国人は、外人向けのブースで外人料
金体系のチケットを買う必要があるが(あわせてパスポートの提示も必要有り)
、販売
ブースまで係員が案内してくれたり、車輌まで案内してくれたりしてくれた。それに対
するチップの要求もなかった。車輌内には警察官(軍人?)も 2 名ほど乗っていたが、
特に威圧的な雰囲気や行動はなかった。

ミャンマーの鉄道で興味深い点は次の 2 点である。1 つは、地方では列車がくると村々
から子どもが走り寄り、何かもらえないかとねだることである。列車の乗客はお菓子等
を投げ与えていた。犬まで走り寄っていたのはほほえましい光景であった。2 つめは、
がまの油売りではないが、何やら車輌内で大声で演説し、時に小型の拡声器を使いなが
ら話し、おそらく商品説明の紙(ミャンマー語のため読めない)を乗客一人一人に配り
(後に回収)
、商品の売り込みを図る人間が数名いることである。鉄道職員、軍隊がい
てもお構いなしで行われていた。

ミャンマーのバスは鉄道より高価であるが、便数が多く、コースも多様である。バスの
車体は日本の中古が多かった。私が乗ったバスは関西国際空港で 6 年ほど前まで使わ
れていたリムジンバスであった。バス内はミャンマーのドラマか映画の DVD が流れて
いた。

今回、ミャンマーでの移動は全て昼間に行った。というのも、ミャンマーの移動は鉄道
であれバスであれ、夜間移動は非常に冷えるということを聞いていたからだ。昼間に移
動した今回、寒さを感じたことはなかった。鉄道は窓が全開、バスはクーラー車であれ
ば窓は閉じているが、なければ全開、という状況であった。

バスターミナルは各都市にあり、各旅行会社がチケットを手配し、バスの運行をしてい
6
るようだ。ミャンマーの方々は親切である。例えば、別のところで食事をしていて、予
想以上にバスの到着が早かったこともある、係員がわざわざ迎えにきてくれた。また、
バゴーからモーラミャインへの移動する際、前日にバスのチケットを手配するときに
写真の撮影を行いたいからエアコンなし(窓を気兼ねなく開けられるから)のバスで窓
際の席、としつこく要求した。ところが、実際来たバスはエアコンバスであったものの、
係員(予約時に私が直接話した人間とは別の人間)は席まできて、エアコンバスではあ
るけれども窓は開けられるし、写真も撮れるということをジェスチャーで示した。こち
らの意思・要望の把握、
(要求通りではなかったけれども)連絡の徹底、こちらの要望
との齟齬への説明、フォローがなされたことは驚き、感動した。

ミャンマーの道路状況で驚いた点は、四輪が右ハンドルで、車輌は右側通行であったこ
とである。追い越し時、運転手は対向車をしっかり確認しているのかどうか不安であっ
た。ただし、運転マナーはベトナムよりもインドネシアよりもタイよりもよかった。全
体的にたらたら走っている感じである。途上国ではよく目にする暴走バス、暴走トラッ
クもほとんど見なかった。

オートバイはヤンゴンでは規制されているため、道路横断に際してベトナムのような
怖さはない。地方都市にいくとオートバイが走っているが、保有台数はまだ少ないため、
歩行に支障はない。瓶詰めガソリン売り、修理屋、木下商店(バイクの個人ベースの修
理屋。大樹の木陰に道具とタイヤを置いて、客を待ち構えていることが一般的)は他の
東南アジアより少ないものの、幹線道路沿いでは多かった。オートバイ使用環境、イン
フラは整っているといえる。

道路脇では歩行者が多い。タイやベトナムでは歩く人間をあまり見ない。インドでは歩
く人間をよく見る。そういう点では、ミャンマーは東南アジアよりインドに近いと感じ
た。

飛行機(国内線)
、船は今回利用していないので詳しいことは分からない。
(3)旅行・短期出張における宿泊環境

ミャンマーは首都であっても停電が頻繁に生じる。ただし、高級なホテルやレストラン、
主要なビル(Sakura Tower 等)は自家発電設備を備えている。

ミャンマーは首都の裏通りを夜中に出歩いても怖さを感じることはなかった。

ミャンマーのホテルは米ドル払いであり、カードが使えないところは滅多にない。鉄道、
7
飛行機、博物館などの公共施設も米ドル払いを要求する。十分な米ドルを持参したほう
がよいだろう。
(宿はどのグレードでも米ドル払い。
クレジットカード払いはほとんど不可。
(地方では 30 ドル程度の宿で十分。
ネットのホテル予約サイトも対象ホテルは
ただし、ネットは激重で使えず。
数が少なく 1 泊 150 ドル以上となる。写真
27 ドルの中級ホテル@Ngue Moe Hotel,
は米ドル払い宿泊料を示すフロントの掲示)
Mawlamyine)
(ヤンゴンで 10 ドル程度の安宿はビジネ
(クレジットカードが使えるホテルは 150
ス用途では厳しい。トイレ・シャワー共同、
ドルを超す。部屋、水回り、館内設備、両替
ネットなし。何だか痒くなる。
対応に問題なく快適。
13 ドルのゲストハウス@Daddy’s Home,
151 ド ル の 高 級 宿 @ Park Royal Hotel
Yangon)
Yangon, Yangon)
(4)現金関係

ミャンマーでは ATM をほとんどみかけない。タイ等ではどこにでもある Money
8
Exchange を掲げた銀行、両替屋も見なかった。それゆえ、キャッシュ(米ドル)を持
参する必要がある。

ミャンマーで両替する場合、空港などでみかける公的な両替所ではレートが悪い。高級
ホテルで両替したほうがレートはよい。なお、ヤンゴンで一番レートが良かったのは、
Bogyoke Aung San Market 内の両替屋であった。彼らは宝石店のわきに椅子に腰掛け
ていて一見すると怪しい雰囲気であるが、しっかり交渉すれば何ら問題はなかった。参
考までに 2012 年 1 月 1 日に両替した際のレートは 1000chat=100 円であり、1 万円で
11000Chat であった。同年 1 月 5 日に両替した際は 1 万円で 10000chat であった。米
ドル、日本円の他、ユーロやタイバーツの両替も可能とのことであった。ただし、レー
トの良さは、米ドル>日本円>タイバーツであるとのことだ。
(Bogyoke Aung San Market 南東にある
新しい銀行。レートはよいとの噂も)
(Bogyoke Aung San Market 内の両替屋。
英語 OK)
9
(5)衣食

ミャンマーで独特であった点はノンヂー(腰巻き)着用の男女が多かったことである。
ただし、ヤンゴンは洋装も多かった。上下スーツの人間はほとんどみなかった。服装で
一番きっちりしていたのは警官、軍人であった。ビジネスでミャンマーを訪れた場合、
ノーネクタイの半袖 Y シャツ、長ズボンでよかろうと思う。ミャンマー人はサンダル
ばかりであったが、外人の我々はそうもいかないかもしれない。1 月に訪問したが寒さ
を感じることはなかったが、移動時や特定のオフィスでは尋常でない冷房の効きの場
合もあるので、長袖ジャケットが 1 着あるとよいだろう。

ミャンマーにコンビニはない。外資系小売流通業の進出が規制されているためと思わ
れる。

ヤンゴンには国営スーパーがあり、そこでは物価(の上限)が分かる。ただし、客はほ
とんどいない。10 年前のベトナム・ハノイの国営スーパーを彷彿とさせる品揃え、店
員の対応であった。ただ、当時のベトナム・ハノイの国営スーパーと比べても、ミャン
マーの国営スーパーのほうが圧倒的に少ない。政治体制が変わればすぐに消えていく
だろう。

ミャンマーの主食は米とカレーである。ただし、ミャンマーのカレーは日本のカレーと
もインドのカレーとも異なった。香辛料と油で具材を徹底的に煮込んだような感じが
ミャンマーのカレーであった。米は東南アジアで一般的なぱさぱさした長粒種であっ
た。地方に行くと田園風景が広がり、稲穂の香りが漂う。そこがアジアであることを実
感させられる。ただし、稲刈りをしているわきで、田植え、さらには種まきをしている
のをみるとそこが熱帯地方であり、日本とは異なることも分かる。農作業において機械
を導入しているのは私は見なかった。村落の集団作業(10 人程度)で手作業の人海戦
術のようであった。

ミャンマーの料理は非常に脂っこい。胃もたれを避けるため、モヒンガーなど脂質の少
ない料理を選択するか、油をよけて食するなどの対応が必要かもしれない。ただし、辛
さはなく、慣れると相当いける。

酒は普通に買えるし、列車内でも売り子がいた。若い女性は列車内で男性とともに飲ん
でいた。飲酒に対するネガティブな印象を強く感じることはなかった。ミャンマーの人
はビールよりもウイスキーを飲むことが多いようだ。ホテルの冷蔵庫にも数種類の缶
ビールが常備されていた。生ビールも飲めた。なお、缶ビールについて、列車内の売り
子では、ミャンマーのビール(Myanmar Beer350ml 缶 1 万 Kyat)よりもシンガポー
ル産の Tiger(350ml 缶 5000Kyat)やタイ産の Chang(350ml 缶 5000Kyat)のほう
が安価であったことは驚いた。
10
3
ミャンマーバゴー管区・モン州における調査結果
ここでは 2012 年 1 月に三嶋が販売店を訪問し、聞き取り(販売店員に直接英語で聞き取
った場合と英語を理解する人間を介しての場合の 2 通りあり)から明らかになったことを
記す。以下、調査結果一覧を表で示し、あわせて各店舗ごとの特徴と写真を示す。
表 1:ミャンマー(バゴー)におけるオートバイ販売状況(2012 年 1 月)
都市
店番号
名
排気
価格
量
中国
FEILING
110
110
350,000k
中国
FOLLOW ME
125
125
365,000k
中国
JLM
125i
125
455,000k
1軒目
中国
JLM
Waveα
110
380,000k
中国
MDG
Nang
125
350,000k
中国
ZHNENG
Smash
110
455,000k
タイ
Honda
Wave110s 110 1,000,000k
タイ
Honda
Wave125 125 1,100,000k
タイ
Honda
Spacy
125 1,350,000k
2軒目 中古・タイ
Honda
Sonic
900,000k
ベトナム
Honda
Waveα
100
950,000k
Smash110
タイ
Suzuki
110 1,000,000k
Revo
PGM-FI
中国
JLM
125
450,000k
125i
PGM-FI
中国
KENBO
125
450,000k
125i
3軒目
中国
LUOJIA
TIGER
110
470,000k
Bago
生産国
生産企業
モデル名
1000$
キャスト ディスク
REEBO
ZHENG
FEILING
LUOJIA
MDG
NEW ANBO
MDG125
Wave125
125
125
360,000k
430,000k
370,000k
450,000k
425,000k
460,000k
中国
NEW HANYUN
NANO
125
365,000k キャスト
中国
中国
VEVEBO
WANGBO
DREAM 110
SUPER125 125
330,000k スポーク
360,000k キャスト
中国
CHINENG
110
350,000k
中国
GENBO
125
370,000k
中国
LUOJIA
スポーク
キャスト
キャスト
スポーク
外装樹脂がもっこりと流
線型で機能的に不要な
パーツだろうが何となく
かっこいい。
かご付き。
かご付き。
NANOまでぱくっている
とは。。
ドラム
中国
MDG
NANO
中国
中国
タイ
中国
MDL
NULANG
Honda
NULANG
Super
DREAM
Wave125
5軒目
6軒目
125
350,000k
FIはステッカーのみで
キャブ仕様とのこと。
中国製オートバイで2番
目に人気
中国製オートバイで最
も売れている。
キャスト ディスク
4軒目
NANO
その他
スポーク
350$
キャスト ディスク 365$
スポーク
455$
スポーク
380$
スポーク
350$
スポーク
455$
1000$
1100$
1350$
900$
950$
中国
ベトナム
中国
中国
中国
中国
Waveα
125
110
110
ホイール ブレーキ
店員はこれをChinese
Hondaという。他の店で
も。ただし、モーラミャイ
ンではコピーといってい
た。
Yamahaのマーク、
Smashというステッ
カー。何でもありのコ
ピー。
125
340,000k
125
400,000k
125 1,700,000k
125
450,000k
出所:筆者の聞き取り調査に基づく。
注:表中の価格の列にある k とはミャンマーの通貨 kyat の略である。なお、2012 年 1 月の実
質的な為替レートは 1000kyat=100 円であった。
11
表 2:ミャンマー(モーラミャイン・ムドン・タンビュンザット)におけるオートバイ等販
売状況(2012 年 1 月)
都市
店番号
名
生産国
生産企業
モデル名
ベトナム
SYM
ANGELA
1軒目
ホンダ
純正 ベトナム
Mawl
amyin
e
2軒目
価格
ホイール ブレーキ
110 1,560,000k
SYM
Rapar X
125 1,550,000k
タイ
中国
中古・タイ
中国
中国
Honda
GOOBO
Honda
NEW ANBO
NULANG
Waves100
NANO
CBR250
Wave125
Dream
100 1,400,000k
125
450,000k
250 2,600,000k
125
500,000k
500,000k
タイ製CBR
中国
SPESE
125R
125
750,000k キャスト ディスク
SUPER
Fino
Click
Waveα
125
Waveα
450,000k
480,000k
950,000k
500,000k
510,000k
510,000k
タイ
Honda
Wave125
890,000k
1,300,000k
中国
NULANG
DREAM
中古・タイ
Honda
Sonic
2軒目 中古・タイ
Honda
Wavei
中古・タイ
Yamaha
Speed,mx
中国
中国
中国
中国
中国
中国
中国
中国
中国
中国
中国
AGUO
GIBO
JLM
KENBO
MDL
MLG
NEW ANBO
NEW WAIBO
ROSEBO
SUZUBO
TATABO
Wave
QIBOS
Wave110
DREAM
X
Wavei
Super
NAB
SHOGUN
125i
Super
Samusung
GALAXY
205,000k
ZTE中央
Sony Ericson
Xperia
45,000k
300,000k
MUDO
Than
byuza 1軒目
yat
携帯
Mawl 電話屋
amyin
e
3輪車
販売店
その他
タイから海路でヤンゴン
港に入りそこから陸路
で輸送されてくるとい
う。
中国
WANGBO
中古・タイ
Yamaha
中古・タイ
Yamaha
中国
ZHINGENG
中国
FOLLOW ME
ベトナム
Honda
1軒目
排気
量
900,000k
125
?
850,000k
110
110
110
110
125
125
110
125
125
125
中国
ライセンスなし。
政府の税金270,000kを
含む。
陸路で入ってくるとい
う。ベトナム製ホンダ
走行距離は2017km(怪
しい走行距離)
走行距離は1253km(怪
しい走行距離)
中古車の仕入れもメー
ソートで行っている。
500,000k
450,000k
500,000k
550,000k
550,000k
500,000k
500,000k
480,000k
480,000k
480,000k
450,000k
2,950,000k
中国製オートバイの約6
割の価格。
店の最廉価携帯
店の最高価格携帯
Shwe liから入ってくると
いう。
出所:筆者の聞き取り調査に基づく。
注:表中の価格の列にある k とはミャンマーの通貨 kyat の略である。なお、2012 年 1 月の実
質的な為替レートは 1000kyat=100 円であった。
12
(1)バゴーでの調査概要
2012 年 1 月 2 日はバゴー(Bago)にて午前 8 時から 10 時まで 6 軒のオートバイ販売店
を訪問し、聞き取りを行った。バゴー市内に 47 軒のオートバイ販売店があり、ある販売店
は 1 ヶ月あたり 250 台ほど販売しているという。単純計算するとバゴーという一つの都市
だけで年間 14 万台ほどの需要があることになる。これは実情に比べやや大き過ぎる数字と
思われるがそれでも相当な需要があることが分かる。
バゴーにおけるオートバイ販売は中国から KD セットを輸入し、それを組立、販売する、
という形態が多かった。価格は安いもので 350 ドル程度であった。なお、日系企業のオー
トバイはタイ製 Honda がほぼ全てをしめ、販売価格は 1000 ドル超と中国製オートバイの
3 倍程度であり、取り扱い販売店は少なかった。日系、中国製いずれもクレジット販売はな
く、現金一括形式であった。
KD セットを組み立てているところを見ることもできた。1 人あるいは 3 人で作業を行っ
ていた。無造作に KD 部品が置かれていたことには驚いた。作業環境や品質管理のレベル
は低く、ゼロといってもいいかもしれない。しかし、そうした問題点は山積するものの、新
しい大きな需要が目の前にあり、それに対応すべく組み立て、販売する、という熱気には終
始圧倒されることとなった。以下、表に沿って、各販売店で知り得た情報のうち、特徴的な
ことを記していく。
(2)バゴーにおけるオートバイ販売店の概要
①バゴー1 軒目(注;1 軒目とは表 1・表 2 の店に対応している。以下も同様)

30 分から 45 分で一台の組立を行う。110cc の組立は簡単であるとのことだった。組立
作業はエンジンや樹脂等を車体に組み付けていく(スクリューをしめる)ことである。
その難易度はスクリュー位置が樹脂部品のウラで作業がしづらいとか、組み付け部分
が多いといっていた。とはいえ、そんなに難しそうには見えないし、精緻な作業でもな
いように思われた。実際、作業場は屋根がなく、たばこを吸いながら作業を行っていた。

10 台以上 1 日に売ることもあり、1 日平均 7 台(これが一番正確)、1 ヶ月平均 250 台
を販売する。

KD セットの納入は 2 日に 1 回の頻度である。
13
写真:Bago 販売店 1 軒目 店頭にて
(営業時間中はバイクを軒先に並べ、閉店になると店内にしまう。)
写真:Bago 販売店 1 軒目 シート下にある諸書類
(モデルタイプは JM110,出荷期日は 2012 年 1 月、重慶で生産されたことを中国語により
示す書類。
)
14
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(在庫管理 1)
(無造作に並ぶ KD セット(フレーム部分)。表面にモデルタイプ等情報がマジックで記載
されている。カンバンのようなものは見あたらない。)
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(在庫管理 2)
(タイヤ、リム、スポークも一式がセットで輸入されているようだ。ミャンマーの補修市場
ではミャンマー産タイヤもみられたが、タイヤレベルでも現調化が難しいということがう
かがわれる。
)
15
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(不良の程度)
(樹脂カバーの不良品。この程度の品質のものが KD セットとしてミャンマーに入ってき
ている。
)
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(組立作業環境)
(屋内とはいえ作業場に天井はなかった。雨天時、どうするのか。なお、写真中央の丸いも
のが写っているようにミャンマーの一般家屋の多くにテレビ視聴用衛星アンテナが立つ。
貧相な家屋、ブラウン管テレビとは対照的にチャンネル数は 100 程度ということも多い。
)
16
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(在庫管理 3)
(一応、KD セットは雨が直接当たらない屋根のあるところに置かれてはいた。
)
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(組立作業の様子 1)
(アッセンブリーの様子。くわえたばこをした中年男性が 1 人で淡々と組み立てていた。
)
17
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(組立作業の様子 2)
(仕掛かりそばの組み付け部品は無造作に床に置かれていた。日系企業であればこうした樹
脂部品はカバー等で厳重に管理されているが、それとは全く好対照であった。脇には KD セ
ットも無造作に置かれていることが分かるだろう。
)
写真:Bago 販売店 1 軒目 店内の様子(組立作業の様子 3)
(指さしている箇所は、従業員にいわく「ここがこの組立作業の難しいところ」とのことで
ある。物理的にスパナや手が入りにくいところが作業の難しいところのようだ。
)
18
②バゴー2 軒目

日系企業のオートバイの納入はタイから陸路のトラックで行われている。ベトナムの
Waveαまで販売されていることは驚いた。しかも、ミャンマー人にはベトナム製のオ
ートバイであることがしっかり認識されていた。
③バゴー3 軒目

全て 4 ストロークで 2 ストロークモデルの販売はないとのこと。ここでは何が一番売
れているのか聞いた。中国製のなかでも LUOJIA という企業のオートバイが売れてい
るとのことで、これは概ね他の中国製オートバイ販売店でも同様であった。
④バゴー4 軒目

すべて中国製オートバイであった。職場の責任者は中年女性のようであった。
⑤バゴー5 軒目

コピーの仕方が大胆なオートバイを多数販売していた。ここの販売員によると、BAGO
には 47 軒のオートバイ(完成車)販売店があるという(後に他の複数の販売店でも聞
いたが同様の回答であった)
。そのうちの多くがこの Street に集結している。
⑥バゴー6 軒目

完成車組立は 1 台あたり 30 分から 40 分かかる。3 人 1 組で作業を行うという。

中国製のオートバイは桂林からやってくるという(書類には重慶にて製造と書いてあ
ったのだが、複数人が桂林からと言っていた)。

この店にはオートバイでオートバイの KD セットを運ぶ写真があって衝撃的であった。
写真:Bago 販売店 2 軒目 外観(左)と付近の様子(右)
(高額な日系企業製オートバイを扱っているということで店構えも中国製オートバイの販
売店よりもきれいであった。
)
19
写真:Bago 販売店 3 軒目 外観(左)と内観(右)
(2 軒目、3 軒目は道路脇にビニルシートのテントを立て、その下にオートバイを並べて販
売するという形態であった。組み立て、補修作業は別の敷地で行い、ここでは販売に特化し
ているとのことであった。
)
写真:Bago 販売店 3 軒目 販売オートバイ(左が売れ筋の LUOJIA のオートバイ)
(ミャンマーで販売されているオートバイの大部分は、東南アジアのホンダの Wave タイ
プが一般的で、ミッション付きのタイプであった。またハンドルとシート間には荷物置き場
があり(上左)と長いシート形状になっている(上右)といった東南アジア各国でみられる
仕様がみられた。
)
20
写真:オートバイのホイール形状の違い(左;キャストホイール、右;リムホイール)
(オートバイのタイヤのホイール形状は各国市場の特徴が表れることが多い。例えば、タイ
では幅薄のリムホイール、インドネシアではキャストホイールが人気である。調査を行った
ミャンマー中部・中南部ではリムホイールのほうが人気があった。そのせいか、製造コスト
が高価なはずのキャストホイールよりもリムホイールのオートバイの販売価格のほうが高
い、という不思議な状況であった。販売員に聞いても、リムホイールのほうが人気が高いか
ら完成車の価格も高いとのことであった。これと同様、ディスクブレーキよりもドラムブレ
ーキのほうが人気で価格も高くなっていることもミャンマー特有で理解できなかった。)
21
写真:コピー等
(ミャンマーではベトナムでもみられなくなった露骨なコピーオートバイもよく見られた。
上左は Honda のロゴ-マークがそのまま、下左はヤマハのブランドマークがそのまま貼ら
れていた。また、右上は Wave125 とホンダのオートバイのモデル名、下左はインドの TATA
の廉価版四輪車のモデル名であった。また下中央のように、キャブレターモデルであっても、
ステッカーのみ FI というなんちゃってなモデルもみられた。
)
22
写真:販売店 6 軒目に展示されていたオートバイの搬入搬入の写真
写真:販売店 6 軒目
KD セットが雑然と置かれた店内
(1 軒目と同様、KD セットが山積みされていたが、こちらのほうが整理されていたし、し
っかりした建屋であった。写真右にみられるようにマジック書きだけでなく、カンバンのよ
うな伝票も各 KD セットには添付されていた。)
23
写真:販売店 6 軒目
(上左は車体関係部品、上右はエンジン周り、2 段目左は外装関係の部品であり、組立作業
24
のため開封され、地べたに置かれていた。2 段目右はエンジン周りの組立作業、3 段目左は
3 人で作業している様子、3 段目右は 2 人で車体関係の組立差魚の様子である。下段左は完
成したオートバイ、下段右は販売店 6 軒目を示している。下段右の看板にもなっている
SPESE は同じカラー、同じ垂れ幕でモーラミャイン等他の都市でもみられた販売店、修理
店であった。
)
⑦部品屋 1 軒目

パーツの輸入元は、タイ、中国であり、インド製部品はないとのことである。タイ、中
国からは陸路のトラックで輸入しているとのことだった。

価格はタイ製が高く、中国製が安いという。

タイヤ:ミャンマー製(EVER FLYING)6,000k、タイ製(IRC)40,000k、
(DUNLOP)
30,000k であった。

ミャンマー製の部品はタイヤのみ。
⑧部品 2 軒目

ミャンマー製部品はタイヤのみ。

部品は中国製とタイ製がメインであるという。一部ベトナム製部品もあるという。

チェーン(25H-84L)
;DID の純正チェーン 2,000k, ホンダの純正という箱に入った中
国製コピー部品 1,100k
写真:部品屋の外観(左)と内観(右)
25
写真:タイヤ(左の青いものが IRC、右が地場製の EVERFLYING)
写真:カムチェーン
(上の HONDA とあるのがコピー、下の D.I.D は純正である。)
写真:洗車屋(左)とガソリンスタンド(右)
(オートバイ 1 台の洗車料金は 1000k(約 100 円)であった。ガソリンスタンドは外資の
メジャー系のものは見ず、地場系スタンドのみであり、1 リットルあたり軽油 3500k(350
円)
、ガソリン 3650k(365 円)と非常に高額であった。
)
26
(2)モーラミャイン~ムドン~タンビュザヤにおける調査旅程概要
2012 年 1 月 3 日、
モーラミャインからムドン(Mudo)を経てタンビュザヤ(Thanbyuzayat)
を、クルマをチャーターして往復した。タンビュザヤを目指したのは第二次大戦時に建設さ
れた泰緬鉄道のミャンマー側起点であることから、現在進められているインドシナ半島に
おける東西回廊の展望についての何らかの示唆を得られるかもしれないと期待したからで
ある。なお、モーラミャインはモン州の州都であり、人口約 30 万人とミャンマー第 3 の都
市である。
この日の旅程は概ね次の通りであった。9:30 に 3 万 Kyat プラス 10 米ドル、ガソリン代
等諸々込みで交渉がまとまり、タクシーを借り上げた。いきなり街を出るのではなく、モー
ラミャイン刑務所(ジョージ・オーウェル『象を撃つ』の舞台とされた刑務所)
、ゼイジー
市場(日用品食料品等取り扱う中央市場)、二輪・四輪補修市場を周り、ホンダの純正二輪
販売店、中古二輪販売店を訪問した。ただし、刑務所は中に入れず、外を何度か周り、高台
から全体を眺めただけであった。
その後、10:45 にモーラミャインを出発し、ムドン、タンビュザヤへと国道 8 号線を南下
した。途中、巨大寝仏のあるウィンセントーヤ(Win Sein Tawya)に寄ったりしながら、
11:35 にムドンに到着した。ムドンでは 2 軒のオートバイ販売店を訪問し、あわせて街の中
央市場における駐輪場の駐車オートバイを調査した。12:00、ムドンを出発し、12:20 には
2 億 6000 万 kyat で建設中の仏像を見た。総額 5 億 kyat を要する事業といい、この大部分
は寄付でまかなわれているという。ミャンマーでは至る所でパヤーといわれる黄金の仏塔
を目にし、建造途中の大仏も何度か見かけ、仏教に対する信仰の篤さを実感した。
13:00 にタンビュザヤに到着し、食堂で昼食(運転手と私の 2 人で 3200kyat)をとった。
この食堂のおばちゃんに韓流スターの誰それに似ていると言われ、韓流ブームがミャンマ
ーのこのような田舎にまで浸透していることに驚いた。食後、泰緬鉄道の犠牲者を祀って日
本軍が建てた仏塔 Japan Paya や廃墟となった死の鉄道博物館(Death Railway Museum)
跡を訪問しながら、一つのオートバイ販売店に訪問、調査した。その後、連合軍兵士合同墓
地(War Cemetery)を訪問し、モーラミャインへの帰途についた。中国からの輸入三輪車
の販売店に寄り、17:30 にはモーラミャインに到着した。
27
写真:チャーターしたクルマ(日本のワゴンの旧車;左)と運転手(右;なお運転手右後ろ
に見える女性が食堂の主人であり韓流ファンである)
写真:モーラミャイン刑務所(左;正門、右;丘の上から撮影。木立の間が刑務所)
写真:ゼイジー市場@モーラミャイン
写真;ウィンセントーヤの寝仏とムドンの建造中大仏
28
写真;ジャパンパヤー(左:手前が記念碑、右奥が仏塔)と仏塔(右)
写真;泰緬鉄道のミャンマー側起点(左;モニュメントの SL)と博物館跡(右)
(3)国道 8 号線(モーラミャイン~ムドン~タンビュザヤ)の道路状況
モーラミャイン、ムドン、タンビュザヤ間の国道 8 号線は片道 1 車線であり、舗装路で
あった。途中、大きな穴など空いたところもあったが、一方で舗装工事もなされていた。ミ
ャンマーは右ハンドル右通行なので追い越し時にはひやひやされられた。この道路は、古い
日本車のライトバンやトラックが大量(というより日本でいう過積載以上の積載)の荷物、
ヒトを運んでいたが、交通量はそれほど多くはなかった。巡航速度は 30-40 ㎞程度であっ
たが、これは交通量の多さに起因するのではなく、旧式のクルマばかりであまりスピードを
上げられないということに起因する。四輪でセダンはほとんどなく、タイでみかける新型ピ
ックアップもほとんど目にしなかった。バスは日本や韓国の中古であった。オートバイもク
ルマ以上に見かけたが、ベトナムに比べると 100 分の 1 にも満たない交通量である。この
ほか、自転車、歩行者も多く見かけ、この点はタイやベトナムよりインドに近いように感じ
た。街の中心部にはオートバイタクシーのほか、3 輪車、旧式の日本車の後部を座席にした
乗り合いバスが常に待機していた。三輪車はタイであればトゥクトゥクに相当するが、ミャ
ンマーでは中国からの輸入車しか見かけなかった。
29
写真;過積載のトラック
写真:道路工事の様子(重機(左)が入るものの基本的にはマンパワー(右)メイン)
写真:日本の中古バス
30
写真:トラクターも移動・運搬手段として大活躍
写真;傘をさして自転車に乗る若い女性 2 人(左)と馬車に乗る家族(右)
写真:オートバイも過積載(左)道路は歩行者、オートバイ、自転車が交錯(右)
写真:道路脇の風景
(国道 8 号線脇にはゴム農園(左)が広がる。ただ、随所にオートバイの修理店や瓶詰めガ
ソリン販売所(右)も並び、オートバイ、自動車のための最低限のインフラは整っている。
)
31
(4)モーラミャイン~ムドン~タンビュザヤにおける訪問販売店概要
①モーラミャイン 1 軒目

ホンダの純正品販売店であり、タイホンダとベトナムホンダ、SYM のモデルを取り扱
っている。タイからオートバイは海路ヤンゴン港に入り、そこから陸路で輸送されてく
るという。

ドライバーの話によると、ここは高いため地元民はこの販売店では購入しないという。
彼らはモーラミャインから 2000kyat(約 200 円)でミャワディ行きバスに乗り、そこ
からタイに入国し、国境の街メーサイでバイクを買うのが一般的であるという。
②モーラミャイン 2 軒目

モーラミャインには中国製オートバイの販売店はここともう 1 軒の 2 軒のみしかない
らしい。中国製オートバイに対する評価が驚くほど低いことに驚いた。

なぜ、モーラミャインにオートバイ屋が少ないかというと、皆、国境を越え、タイでオ
ートバイを買うからだという。タイのメーソートにあるオートバイの販売店に昼間行
って注文し、夜に不法にメコン川を渡って税関をすり抜けてミャンマーに入ってくる
という。手数料を払えばミャンマーまでの発送をタイのバイク屋はやってくれるとい
う。
③ムドン 1 軒目

ムドンには 10 軒のオートバイ販売店があるという。バゴーに比べると、総じて、タイ
製オートバイが安く、中国製オートバイが若干高かった。中国製オートバイの店も何と
か差別化しようと、タイから CBR を入れたり、ベトナムから Waveαを入れたりして
いた。

この販売店では 2 日で 5 台のオートバイが売れるという(本当か?)

仕入れは、バイク屋の彼らがメーソートまで小さなトラックで行き、そこでまとめて購
入しているという。メーソートではタイ製だけでなくベトナム製ホンダ(Waveα)も
購入できるという。
④タンビュザヤ 1 軒目

ここも中国製オートバイの販売店であった。国境からのタイ製日系オートバイの流入
への対抗が厳しいためか、オートバイのみの取り扱いではなく、炊飯ジャーなど家電製
品も含めた中国製耐久消費財をまとめて取り扱っていた。バイクのみに特化するので
はなく、家電等の中国製品をあわせて輸入販売し、売上収益を確保しているのだろう。
32
写真:モーラミャインの補修部品市場(左)と部品屋ショーケース(右)
写真:モーラミャイン販売店 1 軒目(ホンダ正規取扱店)
(上段左は外観、上段右は内観であり、中国製オートバイ販売店とは数段格式高い店構えで
ある。下段左と下段中央は台湾系メーカーの VMEP がベトナムで生産した証明書である。
記述もベトナムと英語が混在している。下段右はその VMEP のモデルである。)
33
写真:モーラミャイン 2 軒目(中国製オートバイ販売店)
(外観(左)と内観(右)であり、先のホンダ正規店とは雰囲気が異なることが分かるだろ
う。ここはおそらく店奥で組立作業を行っているものと思われる。)
写真:モーラミャイン 2 軒目(登録証明書関係)
写真:ムドー1 軒目(中国製オートバイ販売店)
(バゴーと異なり、ムドーでは差別化戦略の一環なのか、中国製オートバイの販売店ではベ
トナム製オートバイ(右;ホンダ Waveα)を販売していた。
)
34
写真:ムドー2 軒目(タイ製日系オートバイの中古販売店)
写真:ムドーの部品屋
写真:タンビュザヤ 1 軒目(中国製オートバイの販売店)
35
写真:中国製三輪車販売店
」
(5)駐車場にみる保有オートバイの状況
Mudo では市場で駐車しているオートバイの調査も行った。調査時点(2012 年 1 月 2 日
11:30 頃)では 59 台のオートバイの駐車を確認した。そのうち、中国製オートバイは 3 台、
ベトナム製ホンダ(Waveα)が 3 台であった。この他の 53 台は全てタイ製ホンダであっ
た。Honda が圧倒的であったこと、Yamaha も Suzuki も見なかったこと、中国製オートバ
イが少なかったこと、に驚いた。
さらに店員向け駐車場も確認した。ここには 18 台のオートバイが駐車してあり、中国製
オートバイはゼロであった。驚いた点は、Wave110i という FI 仕様のオートバイまであっ
たことである。
また、2012 年 1 月 4 日(6:30~7:00)には鉄道駅であるモーラミャイン駅にて駐車バイ
クの調査を行った。ここには 56 台のオートバイが駐車してあり、5 台以外全てタイ製ホン
ダであった。3 台が中国製オートバイ、1 台がベトナムホンダ、1 台がスズキであった。と
にかく、タイ製ホンダが圧倒的な世界であることを再認識することとなった。
36
表 3:駐車場におけるオートバイの種類
調査日
2012年1月3日
2012年1月3日
2012年1月4日
調査場所
Mudo中心部市場の
客向け駐車場
Mudo中心部市場の
従業員向け駐車場
Mawlamyine駅前の駐車場
合計
合計駐車
台数
59台
18台
56台
133台
タイ製
ホンダ
53台
(89.8%)
18台
(100%)
51台
(91%)
122台
(91.7%)
3台
(5%)
ベトナム製
(ホンダ
Waveα )
3台
(5%)
なし
なし
なし
3台
(5%)
6台
(4.5%)
1台
(1.7%)
4台
(3%)
1台(1.7%)
(スズキ)
1台
(0.7%)
中国製
その他
なし
出所:筆者調査に基づく。
写真:ムドーの中央市場における客向け駐車場
(左が市場正門からの外観であり、右が駐車場の様子である。Honda ばかり並んでいる。
)
写真:ムドーの中央市場における従業員向け駐車場
写真:モーラミャイン鉄道駅の駐車場
37
4
調査のまとめと今後の考察課題
(1)調査のまとめ
今回の調査では、4 つの都市の販売店、3 つの駐車場を巡った。これを踏まえ、本報告書
では販売店と駐車オートバイの概要とれの比較対照表を示した。また、オートバイの流入経
路として 2 つが明らかになった。第 1 は、中国からの流入経路であり、あわせて組み立て
概要や注文方法も概要はつかめた。第 2 はタイからの流入経路であった。タイ国境の街メ
ーソートに近く、ミャンマー人の多くは地元都市の販売店ではなく、路線バスで行き、タイ
に入国し、夜不法にオートバイを渡して、関税を逃れて購入する、という形態を取っている
とのことであった。軍政ゆえ我々外国人にはハードルが高い国境であるが中の人間にはそ
れほどでもなさそうな感じが意外であった。
さらに道路・駐車状況から、バゴー管区では中国製オートバイ、モン州ではホンダ(タイ
製ホンダ)が圧倒的優位にあることが分かった。特にモン州ではローンによる分割払いがな
いにも関わらず、中国製ではなく、ホンダのオートバイを求める需要は強かった。それ以上
に、地域性も大きなものであった。クルマで 5 時間ほどの距離で、市場がタイ製の日系オー
トバイなのか中国製オートバイなのかと鮮明に区分できた。歴史、民族等々からすると当然
なのかもしれないが、オートバイという1つの製品で市場や需要の違いがこれほど顕在化
するのは東南アジアでもミャンマーに特有である。
(2)今後の考察課題
今回の調査を踏まえ、今後、ミャンマー二輪車産業に関する考察をさらに深めていきたい。
そこでの課題は、第 1 に、地域における需要の違いである。こうした地域性はオートバイに
限らないはずでミャンマー経済全体を踏まえながら考察していく必要があるだろう。第 2
に、タイからの流入経路をタイ側から明らかにしていくことである。1990 年代後半、タイ
からラオスを経由してベトナムへタイ製日系企業のオートバイが流入していたことがあっ
た。今また、ミャンマーでも同様のことが生じている。これはミャンマーにおける生産拠点
が順次整えば解消するだろうけれども、インドシナ半島の東西南北回廊とからめ、いずれの
国が生産拠点となり、いずれの国が消費地のみに終始するのか、といった点にも示唆を与え
うると考える。これは具体的な市場や国に留まらず、生産拠点と機能の集中と分配という概
念にもインプリケーションを与えうるだろう。第 3 に今回十分調べられなかった点である
が、首都ヤンゴンにおけるオートバイ禁止の詳細についてである。
38
付録 1:ミャンマー調査のスケジュール
2011 年 12 月 28 日 熊本から福岡へバスで移動、福岡からタイ・バンコクへ空路移動
11:40 福岡発 15:35 タイ・Bangkok 着(便名 TG649)
Bangkok 泊(ホテル名 Citadines Sukhumvit 16 Bangkok)
2011 年 12 月 29 日 バンコクにてミャンマービザを取得、需要(一般消費)動向の調査
Bangkok 泊(ホテル名 Citadines Sukhumvit 16 Bangkok)
2011 年 12 月 30 日 バンコクにて需要(一般消費・オートバイ)動向の調査
Bangkok 泊(ホテル名 Citadines Sukhumvit 16 Bangkok)
2011 年 12 月 31 日 Bangkok からミャンマー・Yangon へ空路移動
16:25 タイ・Bangkok 発 17:10 ミャンマー・Yangon 着(便名 FD3772)
Yangon 泊(ホテル名 Daddy’s Home)
2012 年 1 月 1 日 ヤンゴンにて需要動向の調査および Bago への移動(鉄道)
Bago 泊(ホテル名 Mya Nan Da Hotel)
2012 年 1 月 2 日 Bago にてオートバイ販売店、需要動向調査、Mawlamyine へ移動(バ
ス)
Mawlamyine 泊(ホテル名 Ngue Moe Hotel)
2012 年 1 月 3 日 Mawlamyine,Mudon,Thanbyuzayat にてオートバイ販売店、需要動向
調査
Mawlamyine 泊(ホテル名 Ngue Moe Hotel)
2012 年 1 月 4 日 Mawlamyine から Yangon へ移動(鉄道)
Yangon 泊(ホテル名 Park Royal Hotel Yangon)
2012 年 1 月 5 日 Yangon にて自動車補修市場調査、資料収集
Yangon 泊(ホテル名 Park Royal Hotel Yangon)
2012 年 1 月 6 日 Yangon から Bangkok へ移動(空路)
8:30
Yangon 発 10:15 Bangkok 着
Bangkok にて需要動向調査、資料収集
Bangkok 泊(ホテル名 Citadines Sukhumvit 16 Bangkok)
2012 年 1 月 7 日 Bangkok にて資料収集
2012 年 1 月 8 日 Bangkok から福岡へ空路移動。福岡から熊本へバスにて移動。
1:00 Bangkok 発 8:00 福岡着 11:30 熊本着
(筆者は調査当時、熊本学園大学商学部経営学科に所属していたため、熊本の発着となって
いる)
39
付録 2:ミャンマーの位置関係
出所:Google map
出所:Google map より。なお、筆者が本報告書に関連する地名に○をつけた。
40
41
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------KULIE Working Paper Series No.1
2013 年 10 月発行
編集:三嶋恒平
発行・印刷:〒108-8345 東京都港区三田 2-15-45
慶應義塾大学経済学部工業経済学研究室(三嶋恒平研究会)
電話:03-5427-1574(代表)
、03-5418-6448(直通)
Fax:03-5427-1578
E-mail:[email protected]
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------42
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