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小売業者によるPB開発
小売業者によるPB開発 山家グループ 久保 山家 今井 丸林 1・PB開発の目的 PBの目的 PB(プライベートブランド)? 小売業者の独自ブランドを付けた商品、その ブランドのこと。 NB(ナショナル・ブランド)? 生産者のブランド、小売業者に販売される商 品。 なぜNBではなく、PBを扱うのか • 商品の低価格での仕入れと販売? もともと大規模小売業者は、生産者との間に、販 売力の強さからパワー関係を形成して、低価格 で仕入れ、低価格で販売することで成長してきた。 それに店舗間の価格競争のためなら、他店でも 同じ品質であるNBを低価格で販売した方が宣伝 になる。 じゃあ、なぜ? 大規模小売業者のシェアの高まり 価格競争の限界 利益確保と品揃えの差別化 PBの導入 利益確保のためのPB どの大規模小売業者も、チェーン展開による 大量仕入れ、効率的な販売方法。 消費者を集められるNBとは、購買頻度が高く、 多くの消費者が購入するような商品にかぎら れる。 どの小売業者も似たようなNBを、同じように低 価格販売。 それでも、価格競争がある 大規模小売業者の利益を圧縮 低価格販売と利益確保の同時達成のために PBを導入 PBの利点 • 広告・宣伝のマーケティング費用を節約でき、 NBの余剰生産能力を利用することで、低価 格で仕入れられる。 • 最大の利点は、NBとは異なり他の小売業者 と競合することなく、独占的に仕入れ低価格 で販売でき、自らのマージンを確保すること が期待される点である。 品揃え差別化のためのPB NBの価格競争による利益率の圧縮 NBの品揃えの差別化による店舗差別化 有効であればすぐ模倣される PBを使った品揃えの差別化 2・PB開発とパワー関係 PB導入の条件 • 小売業者が生産者にPBを生産させることによ る生産者側の問題点。 1・様々な意思決定が制限される 2・NBより低価格での仕入れの要求 3・PBのシェア拡大による、NBのシェア 低下の可能性 小売業者と生産者の利害対立! そこで、小売業者の生産者に対する パワー関係! • 大規模な小売業者であれば仕入れ額の大き さから生産者の販売額に占める取引依存度 が高くなり、市場シェアが下位の生産者にあ るほど小売業者の仕入額に占める仕入依存 度が低くなるため、小売業者が大きいパワー を形成できる。 生産者がPB生産を拒否できない PBのためのパワー関係 • たしかに、取引依存度に基づくパワー関係も 重要だが、取引相手を自由に入れ替えれる かどうかもパワーの大きさに関係。 この取引相手の代替可能性に影響を与える 条件として、小売業者が消費者にNBの代わ りにPBを購入させることができるかどうかとい うことがある。 そのために、小売業者はPBの販売促 進に努める。 しかし、 すでに生産者のマーケティング活動においてブランド・ロイヤ ルティが形成されているNBと競合するPBの場合 消費者があらかじめ購入する商品をきめているため、小売業 者の販促努力の影響力が小さくなる。その上、このような NBを消極的に扱い、PB販売を優先すれば消費者にとって 魅力のない店舗になってしまう。 だから、小売業者は取引相手をスイッチできないため、ブラン ド・ロイヤルティを持つ生産者に対しては、パワー関係を形 成しにくい。 一方、ブランド・ロイヤルティの強いNB がない場合 小売業者によるPB の販促努力によって消費者の 商品選択に影響を与えることができる。 小売業者は取引する生産者をスイッチできるため、 小売業者のパワーは大きくなる。 しかも、市場シェアで上位の生産者でも、PBの供給 を拒否した際に、NBよりもPBを優先されたりする ことでの予想される損失の大きさからPBの供給 に応じることになる。 市場シェア下位の生産者にPB生産を 任せた場合。 ◎取引依存度から、市場シェア下位の生産者 になるほど、パワー関係を形成しやすい。 ×商品の開発力や品質、大量の供給力におけ る限界の問題。 そこで、市場地位の高い生産者にPBを生産さ せることが重要になり、可能になればなるほ ど、PB導入が有効になる。 3・製販同盟に基づく共同商品開発 製販統合から共同商品開発へ • 共同商品開発とは? 製販統合における企業間での安定的な関係 や情報共有からの、双方の企業共同での商 品開発のこと。 製販統合…物流情報システムの効率化を 目指すもの 製販統合による共同商品開発の利点 ・企業間の関係が安定しているため、共同での 開発への投資や努力がしやすい。 ・情報共有により相互に情報が蓄積されるだけ でなく、競争優位を目指すことができる。 生産者と小売業者間の製販統合によ る共同開発の利点 • 仕入れなどの取引、駆け引きをめぐり悩ませ ることがなくなる。 • 電子データ交換(EDI)による生産効率や流通 効率の改善。 • 小売販売のデータの蓄積からの新たなPB開 発。 結果 • 安定的で情報共有的な企業間関係はPB開発 を促進させ、企業はそれを期待して製版同盟 を形成・発展させることになる。 コラム • スーパーマーケット・チェーンは低価格販売で 成長してきたため、PBはフリル(付加価値)を 排除し、低価格であるのが特徴である。 • 百貨店は品揃えの差別化により成長してきた ため、PBの多くは、フリルを高め価格も低価 格ではなかったが、専門店チェーンに対抗す るために低価格でフリルを抑えたPBも導入さ れている SPA(アパレル製造小売業) • 製造小売業を小売業者とみるか、生産者とみ るかという問題。 筆者は、この問題に対しては様々な生産者の 商品を扱うのが小売業者であると、定義して SPAの商品はPBからはずれると述べている。 株式会社ファミリーマート 規模 ・売上 1兆1,218億円(2008年2月期) ・営業利益 216億8,900万円(2008年8月中間期) ・従業員数 2,805人(2008年2月末) ・店舗数 14,488店(国内 7,318店)(2008年11月末) タスポの導入に伴い、自動販売機からタバコ購入客 の流入が見られた。また、デザートの「Sweets+」では有 名パティシエ監修の商品シリーズとして発売 し、「三ツ 星パスタ」では麺のおいしさにこだわるなどしたことが中 食商品の売上好調につながった。また、生鮮品を取り 扱った店舗で夜間利用客が増加した。 FAMILY MART の海外展開 4,106店 7,318店 177店 2,312店 562店 13店 流通構造 商品開発・供給・ 配達・経営指導 本部 フランチャイズ・ チェーン・システム 特定地域での小売り 本部へのロイヤリティの 支払い 加盟店 買う 顧客 ファミリーマートの魅力 ・多くのオリジナル商品(PB) ・無印良品との提携による豊富な品揃え ・電子マネーによる支払い ・ファミマTカード ・通販サービス ・スイーツがおいしい ・ATMがおいてある ・ファミポート