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摂取一口量と摂食姿勢を考慮した むせにくい高齢者用液状食品の

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摂取一口量と摂食姿勢を考慮した むせにくい高齢者用液状食品の
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
27
<平成 23 年度助成>
摂取一口量と摂食姿勢を考慮した
むせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
*
水沼 博・**道脇 幸博
( *首都大学東京、**武蔵野赤十字病院)
Key Words:
られる。増粘させるほど誤嚥が抑制されるとは限
Swallowing, Liquid Foods, Rheology, Bolus, Pos-
らず、かつ過度な増粘は食欲を減退させてしまう
ture, Video Fluorography, Numerical Simulation
から、簡単に操作でき、かつ精度の良い粘度計が
1. 緒 言
求められている。調理の現場でも利用可能な簡便
な測定法としてガラス板上でガラスリング内側に
食べたものがむせて肺に入り、雑菌が繁殖し肺
試料を満たし、引上げた際の試料の広がりから、
炎となる誤嚥性肺炎は嚥下機能が低下した高齢者
降伏値や粘度を推測する測定法が中濱ら(1997)
や、後遺症の残った脳血管障害の患者にとって大
により報告されている。この測定法は簡単である
きな問題である。摂取一口量や摂食姿勢も誤嚥に
反面、ずり速度が定義できないなどの欠点がある。
関係し、しかも、嚥下動作は観察しにくい咽喉で
下笠ら(2007)は現場で簡単に使用することがで
主に起こり、1秒以下の短時間に終了し、個人ご
きる携帯型の回転粘度計を提案した。しかし、こ
とに特徴が異なる。X 線ビデオ造影検査( Video
れら粘性特性と誤嚥の関係は十分明らかになって
Fluorography, VF )は嚥下障害の有効な診察法で
いない。
あるが、X 線被爆や造影剤の誤嚥の危険があるた
食塊の嚥下は、嚥下機能、姿勢や食塊レオロ
め、その検査を支援する新たな診断手法が求めら
ジー特性だけでなく食塊と咽喉のすべりにも依存
れている。
する。一般に、液体が固体壁面上を流れるとき、
誤嚥性肺炎を予防するために飲み物に対して増
壁面上で流体速度はゼロであるとするすべり無し
粘剤が添加されている。増粘されると一般にむせ
の境界条件が成り立つ。一方、食塊は嚥下のと
にくくなることが知られている。この理由は,粘
きに粘液で覆われた粘膜上をすべる。粘膜粘液が
度の増加が食塊の分散を抑制し、嚥下速度を低下
食塊粘度より十分低いとき、粘膜粘液は食塊の嚥
させる効果があるためと考えられている。平成 6
下に対して潤滑液のように働き、粘液がない場合
年に厚生省が策定した高齢者用咀嚼・嚥下困難者
と比較すると、より少ない摩擦抵抗で食塊が嚥下
用食品の粘度基準では単一円筒回転粘度計による
される。このような粘膜粘液上の食塊摩擦は、固
測定で 1.5 Pa・s 以上の粘度とされている。単一
体食塊の場合には Ranc ら(2006)及び Prinz ら
円筒回転粘度計は B 型粘度計ともよばれ、試料
(2007)により豚の粘膜上で、また Mizunuma ら
中に回転円筒を浸し、その円筒に働くトルクから
(2009)により人工の粘膜上で測定された例があ
粘度を算出する粘度計である。欠点として、測定
るものの、液状食塊の場合にはほとんど研究され
に数 100 cc 程度の多くの試料を必要とし、液状食
ていない。
品によく見られる非ニュートン粘性の強い試料に
本研究は、誤嚥抑制に最適な液状食品のレオロ
対しては正確な粘性特性を測定できない点があげ
ジー特性を摂食条件を含めて明らかにすることを
28
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
目的とした。現在一般的に用いられている増粘剤
がある。造影剤 ④ はヨード含有率 300 mg/ml の
水溶液の各種レオロジー特性を調べるとともに、
透 明 液 体 で、 密 度 1340 kg/m 3、 粘 度 8.2 mPa・s
そのレオロジー特性のひとつである降伏応力の簡
(20 ℃)のニュートン粘性流体である。この造影
易測定法に関する検討を行った。また、レオロジー
剤のみの嚥下は、水などの低粘度の飲料の嚥下を
特性として、嚥下時の食塊のばらつきを抑制する
調べるために用いた。また、X 線造影撮影のため、
効果をもつ伸張粘度に着目した。すなわち、伸張
造影剤は水飴に対して質量濃度 40 w %、増粘剤
粘度が高いと山芋のように曳糸性を示すが、山芋
水溶液に 50 w %の濃度で添加した。X 線造影撮影
は喉ごしが良くかつ経験的に嚥下障害者の誤嚥を
用のとろろには、すりおろしたとろろの固形分濃
抑制すると言われている。また、患者への負担を
度が 20 w %となるよう、造影剤を添加した。造影
最小限としつつ精度の高い嚥下動作の予測を行う
剤を添加したとろろは、遠心分離により固形分を
ことを目的に、X 線ビデオ造影検査の役割を補完
主とする成分と粘質物質が溶解した造影剤溶液に
する嚥下シミュレーションの利用についても研究
分離できる。図 2 はすりおろした直後のとろろの
を進めた。
造影剤水溶液を回転速度 3500 rpm で 20 分間遠心
2. 方 法
2.1 試料(液状食品)
分離させた試料であり、これらの上澄みの粘液と
沈殿固形分(図 3 )に分離した試料もそれぞれレオ
ロジー特性の測定対象とした。
本研究では主に以下の試料を用いた。
①水飴
②嚥下障がい者用とろみ調整増粘剤(つるりん
こ、クリニコ)
③山芋(銀杏芋、千葉県産、 図 1 )、粉末山芋(山
芋パウダーお好み焼き用、ブランケネーゼ)
④ヨード含有水性 X 線造影剤イオバミドール(オ
図 1 銀杏芋(生山芋)
イパロミン 300、コニカミノルタ)
水飴は 3.1 で述べるように比較的粘度は高いが、
粘度はずり速度によらず一定となり、ニュートン
流体とみなすことができる。一方、増粘剤水溶液
は粘度も高く非ニュートン粘性を示す。山芋はす
りおろしたとろろとして使用し、開口部 0.5 mm
図 2 遠心分離後の山芋固形分と粘質物質の造影剤溶液
四方の金網を通すことにより固形粒子の粒度を調
整した。とろろのままで固形分と液状部分に分離
することは困難である。加熱乾燥後のとろろ固形
分質量を測定し、その質量からとろろの固形分濃
度は 34 w %とした。また、比較のためにフリー
ズドライ粉末山芋も試料として使用した。この山
芋はフリーズドライ後に粉末加工したものであ
り、水を加えてとろろにする。扱いが便利な利点
図 3 レーザー顕微鏡によるとろろ固形分の撮影写真
(スケールの長さは 100μ m)
/YVFšǪPFȳǛBǑljęśÛ(Ęˤ)EÛˈ2:ɻƐS8Y9Y”c•n˜ǹŨFǢĸ
ŀʇB2:"
29
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
ĺĶĺù×Bž5#(A׊à»
2.2 単純流れ場における流動特性
度ηはη =τ/ γ より求めた。標準では一つのずり
- @ × B 速度あたり、10 s の測定時間とした。試料液温は
A. ずり流れ
5WǗYB2@ēʔœ”cŒ˜u˜\ȁ%:"ēʔœ”cŒ˜u˜(Haake
RS-600, Thermo
UWęśÛ\ŸB4XŰÛBȳʎǸʎ*Ǧɱ2:ʠŜæǦǛEÛˈA+X"ĘˣG4W(Z
20 ℃とした。
ずり流れとして回転式レオメーターを用いた。
Fisher!Ę˥)GĘ˦EȞ4U&EÖʷBŌƬʻ!$X%GŌɥÖƬʻEɻƐ\Ǥ:2!ēʔ
UWęśÛ\ŸB4XŰÛBȳʎǸʎ*Ǧɱ2:ʠŜæǦǛEÛˈA+X"ĘˣG4W(Z
2:ȒŠFBZZFʠŜænjǦǛ\ēʔʟő
3500rpm A 20 ÛʻʨŤÛˈ16:ɻƐA$W!
B. 伸張流れ
回 転 式 レ オ メÖʷ(O:GÖƬ)BęĸÖƬʻE5WǗY\¶X"ŃɚFBZZGȲŞ
ー タ ー(Haake RS-600, Thermo
0.5mm ­›FęśÛ
2:ȒŠFBZZFʠŜænjǦǛ\ēʔʟő
3500rpm
A 20 ÛʻʨŤÛˈ16:ɻƐA$W!
/YVFšǪPFȳǛBǑljęśÛ(Ęˤ)EÛˈ2:ɻƐS8Y9Y”c•n˜ǹŨFǢĸ
図 4 )は
図 5 に示すように円錐と平板間、
\ćQ:R!8YVȲı*ÖʷBŌƬF4+OEGÑWʘP!ǢĸʀŇFǿ5XĀɍŨ*$
伸張流は円板間に挟んだ液体の柱が表面張力に
Fisher、
/YVFšǪPFȳǛBǑljęśÛ(Ęˤ)EÛˈ2:ɻƐS8Y9Y”c•n˜ǹŨFǢĸ
ŀʇB2:"
h = 0.5mm!ÖƬ
あるいは平行円板間に試料を満たし、
回転円錐(ま
よりその液柱直径を細くしていく流れを利用し、
ŀʇB2:" X"2:*=@!ŃɚBZZFĠĄGŌɥÖƬʻFǗY\áȁ2!ÖƬʻ˅
γ G γ = rω/h Bò޳Ʌ r EUWĦî2@2
ȒŞ D = 35mm B2:"ŌɥÖƬʻF5Wʟő
たは円板)
と固定円板間にずり流れを作る。山芋
伸張応力と伸張速度の比から伸張粘度を求める。
ĺĶĺù×Bž5#(A׊à»
r ≅ D/2
図 6 に示す直径 1.5 mm の上下 2 つの円板間
のとろろは粒径
0.5žmm
以下の固形分を含むため、
まずEUWƊʯ1YXSFF!ùĽ1\ǀ-"2:*=
B
5#
(A׊à»
ĺ Ķ ĺ  ù ×O&"8FǗYGŸB2@ħĉʬ
- @ × B γ GÖʷBŌƬʻ
に試料を充填し、液柱を作る。その後、各円板を
それら粒子が円錐と平板のすきまには入り込み、
- @ × B @!8FªFôȓFǦǛEŀ2@GÖʷŌƬʻFǗY\ȁ%:"5Wʟő
5WǗYB2@ēʔœ”cŒ˜u˜\ȁ%:"ēʔœ”cŒ˜u˜(Haake RS-600, Thermo
r EUV5™ĸBDX"/YVēʔ
FɰőθBÖʷɰʟőω UW γ = ω/θ BǍOW!ò޳Ʌ
5WǗYB2@ēʔœ”cŒ˜u˜\ȁ%:"ēʔœ”cŒ˜u˜(Haake
RS-600, Thermo
リニアモーターにより上下に移動させ、液柱を一
測定誤差の生ずる可能性がある。したがって、山
Fisher!Ę˥)GĘ˦EȞ4U&EÖʷBŌƬʻ!$X%GŌɥÖƬʻEɻƐ\Ǥ:2!ēʔ
τ \ǍR:"5Wȳőη
5WǗYEUWēʔÖƬO:GÖʷEË-z“g\Ǣĸ2!5WŦè
–1
Fisher!Ę˥)GĘ˦EȞ4U&EÖʷBŌƬʻ!$X%GŌɥÖƬʻEɻƐ\Ǥ:2!ēʔ
定の伸張速度 74 s で伸張させる。上下の円板は、
芋とろろの場合は平行円板間の流れを利用し、円
Öʷ(O:GÖƬ)BęĸÖƬʻE5WǗY\¶X"ŃɚFBZZGȲŞ 0.5mm ­›FęśÛ
s FǢĸƝʻB2:"ɻƐǛǡG
Gη = τ /γ UWǍR:"ƼǥAG™>F5Wʟő$:W!10
Öʷ(O:GÖƬ)BęĸÖƬʻE5WǗY\¶X"ŃɚFBZZGȲŞ
0.5mm
­›FęśÛ
h = 0.5 mm、円板直径 D = 35 mm とした。
間隔 0.2 mm から 1.2 mm
に移動した後に運動を停
板間隔
\ćQ:R!8YVȲı*ÖʷBŌƬF4+OEGÑWʘP!ǢĸʀŇFǿ5XĀɍŨ*$
20B2:"
\ćQ:R!8YVȲı*ÖʷBŌƬF4+OEGÑWʘP!ǢĸʀŇFǿ5XĀɍŨ*$
γ は γ = r ω/h と半径位置
止し、伸張して直径が小さくなった液柱はその後
平行円板間のずり速度
X"2:*=@!ŃɚBZZFĠĄGŌɥÖƬʻFǗY\áȁ2!ÖƬʻ˅
h = 0.5mm!ÖƬ
X"2:*=@!ŃɚBZZFĠĄGŌɥÖƬʻFǗY\áȁ2!ÖƬʻ˅
h = 0.5mm!ÖƬ
r により変化してしまう。その流れは主として外
に時間 t の経過とともに表面張力
σにより液柱直
r EUWĦî2@2
ȒŞ D = 35mm
B2:"ŌɥÖƬʻF5Wʟőγ G γ = rω/h Bò޳Ʌ
³
×
B
r
ȒŞ D = 35mm B2:"ŌɥÖƬʻF5Wʟőγ G γ = rω/h Bò޳Ʌ r EUWĦî2@2
周部 r ≅ D / 2 により支配されるものの、厳密さを
径 D ( t ) をさらに縮小させる。伸張粘度ηE はこの
O&"8FǗYGŸB2@ħĉʬ
r ≅ D/2 EUWƊʯ1YXSFF!ùĽ1\ǀ-"2:*=
±ŗǗGÖƬʻEż];ǛµFư*ɦˌŗèEUW8FǛưȒŞ\Ⱥ-2@%-ǗY\á
O&"8FǗYGŸB2@ħĉʬ r ≅ D/2 EUWƊʯ1YXSFF!ùĽ1\ǀ-"2:*=
D ( t ) の測定より
欠く。したがって、その他の単相の溶液に対して
Papageorgiou(1995)の方法に基
γ GÖʷBŌƬʻ
@!8FªFôȓFǦǛEŀ2@GÖʷŌƬʻFǗY\ȁ%:"5Wʟő
ȁ2!±ŗŦèB±ŗʟőFNJ)V±ŗȳő\ǍRX"O5Ę˧EȞ4ȒŞ
1.5mm Fš› 2
γ GÖʷBŌƬʻ
@!8FªFôȓFǦǛEŀ2@GÖʷŌƬʻFǗY\ȁ%:"5Wʟő
γ は円
ω UW γ = ω/θ BǍOW!ò޳Ʌ
r EUV5™ĸBDX"/YVēʔ
FɰőθBÖʷɰʟő
づき
は円錐平板間の流れを用いた。ずり速度
>FÖƬʻEɻƐ\Îģ2!Ǜư\¶X"8FŠ!ăÖƬ\’|_˜u˜EUWš›EȢ
ω UW γ = ω/θ BǍOW!ò޳Ʌ r EUV5™ĸBDX"/YVēʔ
FɰőθBÖʷɰʟő
τ \ǍR:"5Wȳőη
5WǗYEUWēʔÖƬO:GÖʷEË-z“g\Ǣĸ2!5WŦè
ω よりγ=ω/74 s-1 A±ŗ16X"š›FÖƬG!ʻ˅
錐と平板間の角度θと円錐角速度
0.2mm
ì16!Ǜư\™ĸF±ŗʟő
(1)
τ \ǍR:"5Wȳő
η )V 1.2mm
5WǗYEUWēʔÖƬO:GÖʷEË-z“g\Ǣĸ2!5WŦè
s
FǢĸƝʻB2:"ɻƐǛǡG
Gη = τ /γ UWǍR:"ƼǥAG™>F5Wʟő$:W!10
r
によらず一定となる。こ
θと求まり、半径位置
EȢì2:ŠEʤì\Æǃ2!±ŗ2@ȒŞ*Ł1-D=:ǛưG8FŠEƝʻ
t FȽʥB
s FǢĸƝʻB2:"ɻƐǛǡG
Gη = τ /γ UWǍR:"ƼǥAG™>F5Wʟő$:W!10
20B2:"
れら回転ずり流れにより回転円板または円錐に働
と し て 求 め た。 こ こ で、X は 補 正 係 数 で、
20B2:" BSEɦˌŗèσ EUWǛưȒŞ D(t)\1VEɃŁ16X"±ŗȳőηE G/F D(t)FǢĸU
くトルクを測定し、ずり応力
τを求めた。ずり粘
W Papageorgiou
(1995)FƔǕEĞ?+ McKinley and Tripathi(2000)らの結果に基づき、
r ³ × B X = 0.7127 とした。高速ビデオカメラ( Memrecam
r ³ × B ±ŗǗGÖƬʻEż];ǛµFư*ɦˌŗèEUW8FǛưȒŞ\Ⱥ-2@%-ǗY\á
GX-1 Plus, NAC Imaging Technology )により液
±ŗǗGÖƬʻEż];ǛµFư*ɦˌŗèEUW8FǛưȒŞ\Ⱥ-2@%-ǗY\á
ȁ2!±ŗŦèB±ŗʟőFNJ)V±ŗȳő\ǍRX"O5Ę˧EȞ4ȒŞ 1.5mm Fš› 2
柱形状をモニターし、伸張方向に均一な伸張流が
ȁ2!±ŗŦèB±ŗʟőFNJ)V±ŗȳő\ǍRX"O5Ę˧EȞ4ȒŞ
1.5mm Fš› 2
>FÖƬʻEɻƐ\Îģ2!Ǜư\¶X"8FŠ!ăÖƬ\’|_˜u˜EUWš›EȢ
作られていることを確認しながら、液柱の高さ
>FÖƬʻEɻƐ\Îģ2!Ǜư\¶X"8FŠ!ăÖƬ\’|_˜u˜EUWš›EȢ
ì16!Ǜư\™ĸF±ŗʟő 74 s-1 A±ŗ16X"š›FÖƬG!ʻ˅ 0.2mm )V 1.2mm
方向中央の直径を LED/CCD
0.2mm 光学センサー
)V 1.2mm (LS ì16!Ǜư\™ĸF±ŗʟő 74 s-1 A±ŗ16X"š›FÖƬG!ʻ˅
EȢì2:ŠEʤì\Æǃ2!±ŗ2@ȒŞ*Ł1-D=:ǛưG8FŠEƝʻ t FȽʥB
7000, Keyence)に よ り 測 定 しtた。
表面張力は
EȢì2:ŠEʤì\Æǃ2!±ŗ2@ȒŞ*Ł1-D=:ǛưG8FŠEƝʻ
FȽʥB
BSEɦˌŗèσ EUWǛưȒŞ D(t)\1VEɃŁ16X"±ŗȳőηE G/F D(t)FǢĸU
ηE G/F D(t)FǢĸU
BSEɦˌŗèσ EUWǛưȒŞ D(t)\1VEɃŁ16X"±ŗȳő
Wilhelmy 法による表面張力計
(CBVP- Z、協和
W Papageorgiou (1995)FƔǕEĞ?+
W Papageorgiou (1995)FƔǕEĞ?+
界面科学)を用いて測定した。
›ľ ąĪ³‰5>AØÐì¶6
図 4 回転式レオメータ
›ļ ™ē±
›Ľġ¯Î«¯ĄΒ
¡ŒD…ä+/r³÷°6Ù¥
dI]hS
4
›ľ ąĪ³‰5>AØÐì¶6
›ļ ™ē±
›Ľġ¯Î«¯ĄΒ
›ľ
ąĪ³‰5>AØÐì¶6
表面張力による液柱直径の変化を利用した伸張粘度の測定
図 5 円錐平板(左)、平行円板(右)
図 6 ¡ŒD…ä+/r³÷°6Ù¥
›ļ ™ē±
›Ľġ¯Î«¯ĄΒ
dI]hS
¡ŒD…ä+/r³÷°6Ù¥
dI]hS
4
4
0.7127 İŠ%ĘMĹŀÆ^
B2:"˛ʟ‚ycdŒ‘(Memrecam
GX-1 Plus,
Imaging Technology)EUWǛư
θä ĭŠ*ğ h ń
ĠĐ
τ NAC
ńŽRĢŀđŽRŸıɊİIJŊŎšœšµ
y
śǺ\|u˜2!±ŗƔĆEě™D±ŗǗ*¶VY@%X/B\ȝɾ2D*V!ǛưF˛
H³!ŤĪŀĿŅЈ’ŒĐŋŝŖōťńŸĠŦ•^IJ ëêóŬîêëäČåä ıÖĬJ'ğĤĦđä
1ƔƞĬFȒŞ\ LED/CCD Ðĵq–l˜(LS-7000, Keyence)EUWǢĸ2:"ɦˌŗèG
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
30
Wilhelmy
ǕEUXɦˌŗèɳ(CBVP-Z!óĊȆˌȟĵ)\ȁ%@Ǣĸ2:"
C. Ç
簡易測定
(スプーン及び傾斜平板)
Ù ¥ R
Z h f  8 { Å ¯ Î õ
濃度は 0.8 ~ 3.0 w % の間で変化させた。
嚥下困難者用の液状食品の粘度を分類し、簡易
đ›ĖˉɉȁFǛǺ˕ČFȳő\Û˓2!ȰƚȏEßĸ4XɻP*ŏ>)ɻPVY@%X"
Thickener solutions
NJʕȏU-áȁ1Y@%XƔǕEo†˜–\Ê.:B+F/NYƔ\P@ßĸ4XƔǕ*$
Acryl plate
的に判定する試みが幾つか試みられている。比較
l
h
X"Ę˨GƖƨ©ʅ˕ó°A¹Ȟ1Y@%XĘA$X"šɵ
A T B FǢĸ\©ʅTïȌFǽ
g
的よく利用されている方法にスプーンを傾けたと
ĠAáȁ4XFGĖˉA$W!đ›ˆ*%FȋǺEʩ2:ȰƚȏǢĸƔǕFʺȍBƸɹ*Ǎ
きのこぼれ方をみて判定する方法がある。図 7 は
RVY@%X"//AG!Ę˨EȞ4o†˜–EUXȳőßĸFƸɹ\ɥ&BBSE!NJʕ
日本介護食協会で例示されている図である。上記
Flow
θ
ȏȰôDÊƑŌƬ\ȁ%XƔǕE>%@S!8FǢĸȴőFƸɴ\ɥ=:"o†˜–EUW
A や B の測定を介護や医療の現場で利用するの
ȳőȯė\ßĸ4Xĺ˙AG!Ę˨EȞ4BZPF&<!„”–w{”xm–hEȓŚ4X
は困難であり、嚥下障がいの症状に適した簡易的
BZPʂƎ˕Č\'V];"8F˕Č\o†˜–EBW!˜u˜A™ĸɰőEÊ.!8F
›ĿRZhf5>A÷°2C<6õÇꄥ
測定方法の開発と検証が求められている。ここで
B+Eo†˜–)V˕Č*/NYXƻıBɰőFʼ¾\ʂL:"
H=l・sinθ
図 8 傾斜平板による降伏応力の測定
ˮhttp://www.udf.jp/about/toromi.html
›ŀ {ůÎ5>AĦqº‰6Ù¥
ÊƑŌƬǕGĘ˩EȞ4U&EЊńˆ[į[}İ*ğ
h ĭįŀĽĕݶęĐ[}ıxÆ
図7
に示すスプーンによる粘度判定の検証を
D. 食塊のすべり
は、
^ń
ë ^ėľdĒİĜīĔęЊ%ĘMĹŀĭęıÆ^θńŽRĢŀđĞıy‰IJŠıFh£
行うとともに、比較的簡単な傾斜平板を用いる方
液状食塊の粘膜粘液上のすべり特性を調べるた
5
hÍĭĠīØg"τy ńŽRĢŀĻıĬēĿĐPaslay and Slibar (1958)EUWUėŁĦ×_ä
法についても、その測定精度の検討を行った。ス
め、図 8 の降伏応力測定用の傾斜平板を食塊の流
τ
y
(2)ä
ä プーンにより粘度範囲を判定する実験では、
図7
動が生じ得る角度に一定に傾け、食塊がこの平板
h=
ρ g sin θ
に示すとろみのうち、フレンチドレッシングに相
上を滑り落ちる様子を観察した。平板表面はアク
İŠ%ĘMĹŀÆ^θä ĭŠ*ğ h ń
ĠĐτy ńŽRĢŀđŽRŸıɊİIJŊŎšœšµ
当するとろみ調整食品をえらんだ。その食品をス
リルの乾燥面と、唾液で覆われた咽頭粘膜を模擬
H³!ŤĪŀĿŅЈ’ŒĐŋŝŖōťńŸĠŦ•^IJ
ëêóŬîêëäČåä
ıÖĬJ'ğĤĦđä
プーンにとり、モーターで一定角度に傾け、その
した人工粘膜面の2種類とした。人工粘膜は図 9
ときにスプーンから食品がこぼれる様子と角度の
に示すように水溶性の高分子 Polyethylene oxide
関係を調べた。
(PEO-15, Mw 3.6 x 10 6, 製鉄化学)を、常温では
水に溶けない Polyvinyl alcohol(PVA124、クラ
Thickener solutions
Acryl plate
レ)をつなぎとして壁面に固定した面である。
l
h
g
Mizunuma ら(2009)はこの湿潤状態の人工粘膜
面上で、ゼリーの摩擦係数を測定し、豚の咽喉粘
H=l・sinθ
Flow 膜とほぼ同等の摩擦係数が得られることを報告し
θ
ている。
図 7 スプーンによる粘度(とろみ)の簡易的判定
›ĿRZhf5>A÷°2C<6õÇꄥ
http://www.udf.jp/about/toromi.html
0.2mm
į Ÿ 6 , : @ ˮhttp://www.udf.jp/about/toromi.html
›ŀ {ůÎ5>AĦqº‰6Ù¥
図 8 に示すように、流体を水平な
傾斜平板法は
Anchored Strands of
ä Œ›àEı³»³ŒıĢĶĿšhńËĶŀ
5
h
平板上に厚さ
となるように置き、平板の傾斜
Soluble Polymer
ĦĺĐ>ŪıØg"ŽRŸıx[}ńàE
角度をıŠ%ʞġeŀÆ^İRİĜĐàEĘĞı
0 度から徐々に傾けていき、流動が始まる
Chains
ときの角度θを測定する。この方法は流体の塑性
[}ń“Ŀ¾ĨŀOńÅSĠĦđ[}ÀÜIJ
的性質として降伏応力
τy を測定するものであり、
ņŋŝŞı™ÜĭĐ8ŒĬÃŃŁĦ6Þ³»ń
Paslay ‚tĠĦX³»Üıũ©ßĭĠĦđX³»
and Slibar(1958)により導かれた関係式
Binding Insoluble
Polymer
図 9 高分子被膜による湿潤した人工粘膜
›Ł IJƒ¤Ćā5>AÚÜ+/nª÷ā
IJ > ū İ § Ģ Ľ ĕ İ ˆ ’ h ı â O すべりの影響は高粘度の食塊ほど大きな影響を
(2)
úĆăĎċĂąĎăäýăþĆāĆăä
úĆăĎĀĉāĎăĀąĀäĆčĂÿĀäæú÷ùéìðèäøČäîêñčìë6èä ÁÕ'QçńĐZĬIJˆİ’ĜįĔ
受けると推測されるため、試料としては高粘度の
æúüõìíïĐŋŜşçńĪįĚĭĠīIÜİ?RĠĦÜĬēŀđä
øĂďĊąĊĄý ľæíëëôçIJĞı”›iı
h を代入し、τy
水飴、増粘剤溶液、山芋とろろとした。これらの
に流動が始まる角度θと流体厚さ
X³»ÜĬĐŒŝţıqsvńŽRĠĐÌı69³»ĭķĸ1­ıqsvĘeľŁŀĞĭń
を測定する。測定用の供試流体にはキサンタン系
試料はいずれも 2.1 で述べたものであり、造影剤
C4ĠīĔŀđä
増粘剤(つるりんこ水溶液、クリニコ)
を使用し、
溶液を含んでいる。水平な平板上に試料を円板状
ä ĢĶĿıbÝIJâ³^ıàEķĮLęįbÝń-ĜŀĭnŽğŁŀĦĺĐÉwĭĠīIJâ³^ı
ˆáĐH³!’ŒĐW½ĭłłĭĠĦđĞŁľıÉwIJĔģŁĻ íêì ĬÐĶĦĻıĬēĿĐÒb!’Œ
ń3ŅĬĔŀđˆ[į[}İÉwń}›İÔ¶ĠĐĥıcİ[}ńRÆ^İĜĐĥıc
ı[}ıàEŠ%ńňřŜĬrbĠĦđä
31
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
に配置し、その後に平板を一定角度に傾け、その
制限がある。また、X 線の陰影は造影剤だけでな
後の平板上の食塊流動をカメラで撮影した。
く骨などの影響も受けるため、取得画像から識別
2.3 ビ デ オ 嚥 下 造 影 撮 影 と 嚥 下 の 数 値 シ ミ ュ
レーション
する食塊輪郭の分解能に関しても制限がある。こ
表 1 に示す条件の下でビデオ嚥下造影撮影
嚥下の数値シミュレーション手法を開発してきた
( Video Fluorography, VF )を被験者に対して実
(Mizunuma ら(2009), Sonomura ら(2011))。 本
施した。撮影の目的は主として試料粘性特性が嚥
研究においても、VF の結果をより詳細に検討す
下に及ぼす影響を、被験者の姿勢を変えて評価す
るため、食塊の速度と広がりが大きい低粘度の造
る点にある。試料容積は標準で 5 cc とし、10 cc
影剤溶液の場合について、数値シミュレーション
と増やしたときの嚥下の変化、及びリクライニン
の結果と比較検討した。計算方法は Sonomura ら
グ角度を変えたときの嚥下の変化についても VF
(2011)の方法と同じとした。また、食塊のまとま
測定を行った。被験者は健常な成人男性とした。
りが良く、VF の食塊輪郭が明瞭な高粘度食塊に
本研究は武蔵野赤十字病院の倫理委員会の承認を
ついては、その輪郭測定をもとにして食塊内部の
得て行い、全ての被験者から、研究の説明の理解
流動を数値シミュレーションし、その食塊の流動
と参加への同意を試験前に書面にて得た。撮影は
過程を定量的に検討する方法を開発した。すなわ
武蔵野赤十字病院において実施した。
ち、図 10 に示すように、側面と正面の VF 画像(a)
VF 測定は X 線被爆のため取得データーの量に
からまず食塊部分の 2 次元的輪郭座標をとりだす
のような測定の制約を補完する目的で、著者らは
表 1 ビデオ嚥下造影撮影の条件
VF 評価項目
試料
①
試料粘性特性
(直立姿勢)
②
試料粘性特性
(リクライニ
ング姿勢)
③
試料容積
造影剤溶液
水飴
増粘剤溶液
山芋とろろ
造影剤溶液
水飴
増粘剤溶液
山芋とろろ
山芋とろろ
姿勢(撮影)
試料容積
被験者
直立
(正面/側面 )
5 cc
健常者男性
(61 歳)
150 度リクラ
イニング
(側面)
5 cc
健常者男性
(20 歳)
直立
(正面/側面)
5 cc
健常者男性
(61 歳)
健常者男性
(24 歳)
健常者男性
(45 歳)
10 cc
④
傾き角度
(a)
造影剤溶液
120 度(側面)
150 度(側面)
(b)
5 cc
(c)
図 10 VF 画像に基づく食塊内部流動のシュミレーション〜側面・正面から VF 撮影し(a)、
食塊の輪郭を抽出し(b)、食塊の 3D FEM モデルを作成し(c)、食塊輪郭の時間変化
に対応する内部流れを計算(d)
(d)
32
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
(b)。得られる同時刻の正面と側面の輪郭座標を
20 ℃でそれぞれ 8.2 mPa・s 及び 0.62 Pa・s である。
組み合わせることで 3 次元輪郭モデル(c)を作成
これら以外は全て粘度がずり速度によって変化す
する。作成のとき、2 次元食塊輪郭の座標データ
る非ニュートン流体である。 図 11 は円錐平板レ
は 100 点前後とし、3 次元の食塊表面輪郭は鉛直
オメーターにより測定した増粘剤の造影剤水溶液
方向と水平周方向に均等に分割する。これらの作
に対する粘性特性を示す。増粘剤濃度は 1 w %と
業を嚥下の連続する複数時刻に対して行い、食塊
した。粘度ηは(b)に示すようにずり速度ととも
輪郭の時間的変化を表す時系列データとしてまと
に減少し、典型的な嚥下障がい者用とろみ液の粘
め、汎用構造解析ソフト LS-DYNA( Livermore
性特性を示す。水飴造影剤溶液と比較すると、ず
Software Technology Corp. )を 用 い て 食 塊 内 部
り速度が約 60 s– 1 で粘度は等しいが、これより低
の流れを計算した。食塊内部流れを解析する手
いずり速度では増粘剤溶液の粘度は水飴の粘度よ
法 と し て ALE(Arbitrary Lagrangian Eulerian)
り高く、高いずり速度では逆に粘度は低い。
法を用いた。ALE 法は構造体解析に用いられる
すりおろしたままの山芋とろろの粘性特性を図
Lagrange 要素と流体解析に用いられる Euler 要
12 に示す。平行平板レオメーターにより測定した。
素の 2 つの要素を併用する方法で、要素が大変形
ずり応力は一般にずり速度とともに増加するが、
する場合の解析をすることができる。食塊モデル
測定結果は(a)に示すようにずり速度 60 s– 1 近く
を覆うように円柱状に計算領域となるメッシュを
で急に低下した。ペースト状の食品ではしばしば
図 10
A8Y9Y
(d)
)、その設定したメッシュ領域内
粘度測定時に壁面スリップが観察され
( Halliday
設定し(őG
őG
A8Y9Y
8.2mPa⋅sûJ
8.2mPa⋅sûJ
0.62Pa⋅s0.62Pa⋅s
A$X"/YV­ħGÒ@ȳő*5WʟőE
A$X"/YV­ħGÒ@ȳő*5WʟőE
に食塊輪郭を定義し、食塊内部を
ALE 要素で満
と
Smith
(1995), Plucinski ら(1998))、スリップ
U=@Ħî4Xˋ|Ž˜z–ǗµA$X"
U=@Ħî4Xˋ|Ž˜z–ǗµA$X"
Ę GÖʷŌƬ”cŒ˜u˜EUWǢĸ2:Ĥȳ
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ηGEȞ4
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æFʠŜænjǦǛEŀ4XȳŨǹŨ\Ȟ4"ĤȳæǮőG
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1 w%B2:"ȳő
1図w%B2:"ȳő
12(a)のようなずり応力の低下
たした。モデル化した嚥下時の食塊輪郭の変形に
の発生とともに
U&E5WʟőBBSEǠł2!ÔĜȏDđ›ˆ*%ɉȁBZPǛFȳŨǹŨ\Ȟ4"nj˗
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が生ずる。粘弾性の強い流体でしばしば観察され
従う食塊内部の流動を数値解析した。
ʠŜæǦǛBNJʕ4XB!5Wʟő*ȷ
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60 s-1 AȳőGȫ2%*!/YUW´%5WʟőAG
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る、平行平板間の測定部から試料が流出するよ
ĤȳæǦǛFȳőGnj˗FȳőUW˛-!˛%5WʟőAGʜEȳőG´%"
ĤȳæǦǛFȳőGnj˗FȳőUW˛-!˛%5WʟőAGʜEȳőG´%"
3. 結果と考察
うな不安定現象は観察されず、したがって山芋と
4W(Z2:OOFŃɚBZZFȳŨǹŨ\Ę
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12 EȞ4"
12 EȞ4"
ŌɥŌƬ”cŒ˜u˜EUWǢ
ŌɥŌƬ”cŒ˜u˜EUWǢ
3.1 液状食品の単純流れ場における流動特性
ろろにおいても壁面スリップが生ずると推測され
ĸ2:"5WŦèG™ɘE5WʟőBBSEĤé4X*!ǢĸȾƮG(a)EȞ4U&E5Wʟ
ĸ2:"5WŦèG™ɘE5WʟőBBSEĤé4X*!ǢĸȾƮG(a)EȞ4U&E5Wʟ
A. ずり流れ
る。高いずり速度での急激なずり応力の低下はと
ˆ˜ozǺF˕ČAG2H2HȳőǢĸƝEĥˌo’x†*ɯ
ˆ˜ozǺF˕ČAG2H2HȳőǢĸƝEĥˌo’x†*ɯ
ő 60 s-1 ʙ-AŧE´›2:"
ő 60 s-1 ʙ-AŧE´›2:"
ľ1Y(Halliday
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B Smith(1995),
B Smith(1995),
PlucinskiPlucinski
V(1998))!o’x†FȍǿBBSEĘ
V(1998))!o’x†FȍǿBBSEĘ
12(a)FU&D
に示すように測定さ
造影剤溶液と水飴造影剤溶液は粘度がずり速度
ろろの造影剤溶液でも 図 1312(a)FU&D
5WŦèF´›*ǿ5X"ȳřŨFŘ%ǗµA2H2Hɯľ1YX!ŌɥŌƬʻFǢĸʬ)
5WŦèF´›*ǿ5X"ȳřŨFŘ%ǗµA2H2Hɯľ1YX!ŌɥŌƬʻFǢĸʬ)
れた。低粘度の造影剤溶液を加えているため、粘
によらず一定のニュートン流体であり、粘度は
VɻƐ*ǗÚ4XU&DœĶĸǽʇGɯľ1Y5!2:*=@ŃɚBZZE(%@Sĥˌo
VɻƐ*ǗÚ4XU&DœĶĸǽʇGɯľ1Y5!2:*=@ŃɚBZZE(%@Sĥˌo
nj˗ʠŜ
njæ
˗Ǧ
ʠǛ
ŜæǦǛ
(a)ずり応力とずり速度
(b)ずり粘度とずり速度
(a)-@º‰2-@ė°
(a)-@º‰2-@ė°
(b)-@÷°2-@ė°
(b)-@÷°2-@ė°
図 11 増粘剤の造影剤水溶液の粘性特性
›ĹĹ ›ĹĹ
÷ˆ6ʵˆÔÛØ6÷»à»
÷ˆ6ʵˆÔÛØ6÷»à»
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
(a)ずり応力とずり速度
(b)ずり粘度とずり速度
図 12 山芋とろろのみの粘性特性
(a)ずり応力とずり速度
(b)ずり粘度とずり速度
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
(a)-@º‰2-@ė°
(b)-@÷°2-@ė°
›ĹĻ 2CCʵˆÛØ6÷»à»
(a)-@º‰2-@ė°
2CCʵˆÛØ6÷»à»
(b)-@÷°2-@ė°
図
13 とろろ造影剤溶液の粘性特性
›ĹĻ
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
›ĹĻ 2CCʵˆÛØ6÷»à»
›ĹĻ 2CCʵˆÛØ6÷»à»
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
›Ĺļ 2CCʵˆ$?Ĝ¹ƒĩ+/÷Ø6÷»à»
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
(a)ずり応力とずり速度
ずり粘度とずり速度
(a)-@º‰2-@ė°
(b)
(b)-@÷°2-@ė°
›Ĺļ
2CCʵˆ$?Ĝ¹ƒĩ+/÷Ø6÷»à»
(a)-@º‰2-@ė°
(b)-@÷°2-@ė°
›Ĺļ 2CCʵˆ$?Ĝ¹ƒĩ+/÷Ø6÷»à»
図 14 とろろ造影剤から遠心分離した粘液の粘性特性
›Ĺļ 2CCʵˆ$?Ĝ¹ƒĩ+/÷Ø6÷»à»
33
34
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
›Ĺļ 2CCʵˆ$?Ĝ¹ƒĩ+/÷Ø6÷»à»
›Ĺļ 2CCʵˆ$?Ĝ¹ƒĩ+/÷Ø6÷»à»
(a)ずり応力とずり速度
(b)ずり粘度とずり速度
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
(a)-@º‰2-@ė°
(b)-@÷°2-@ė°
›ĹĽ
2CCʵˆ$?÷ØDĜ¹ħŽ+/½ƒ6÷»à»
図 15 とろろ造影剤から粘液を遠心除去した成分の粘性特性
›ĹĽ 2CCʵˆ$?÷ØDĜ¹ħŽ+/½ƒ6÷»à»
9
(a)-@º‰2-@ė° (b)-@÷°2-@ė°
9
›Ĺľ öË©Ă ÔÛØ6÷»à»
’x†*ǿ5XBƁǢ1YX"˛%5WʟőAFŧǬD5WŦèF´›GBZZFʠŜæǦ
ǛASĘ 13 EȞ4U&EǢĸ1Y:"´ȳőFʠŜæǦǛ\é'@%X:R!ȳőGBZZ
FPFĠĄENJL´-!5WŦèF´›*ǿ5X5WʟőG˛-D=@%X*!Ę 12 B 13
FĸŨȏD5Wʟő»ĴŨGU-²@%X"™Ɣ!BZZFʠŜæǦǛ)VʨŤÛˈ1Y:
(a)ずり応力とずり速度
(b)ずり粘度とずり速度
(a)-@º‰2-@ė°
(a)-@º‰2-@ė°
14BĘ
(b)-@÷°2-@ė°
EȞ4U&EǢĸ5WʟőFȯėAG5
(b)-@÷°2-@ė°
šǪPFȳǛBǑljŰÛFȳŨǹŨGĘ
15
›Ĺľ図öË©Ă
›Ĺľ
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ÔÛØ6÷»à»
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24w%水溶液の粘性特性
16 粉末山芋
WŦèFŧǬD´›Gɯľ1YD)=:"NJʕF:REǢĸ2:!ȱƧŃɚ
24 w%njǦǛF
ǢĸȾƮGĘ
16 EȞ4U&E5WŦèFŧǬD´›Gɯľ1YD)=:*!
ǢĸƝʻEUW
’x†*ǿ5XBƁǢ1YX"˛%5WʟőAFŧǬD5WŦèF´›GBZZFʠŜæǦ
’x†*ǿ5XBƁǢ1YX"˛%5WʟőAFŧǬD5WŦèF´›GBZZFʠŜæǦ
度はとろろのみの場合に比べ低く、ずり応力の低
B. 伸張流れ
ǛASĘ
ǛASĘ
13 EȞ4U&EǢĸ1Y:"´ȳőFʠŜæǦǛ\é'@%X:R!ȳőGBZZ
13 EȞ4U&EǢĸ1Y:"´ȳőFʠŜæǦǛ\é'@%X:R!ȳőGBZZ
˒ɟDŇȉ*ɯľ1Y:"5WʟőˢDZ$:WFǢĸƝʻ\Ț-4XE>Y5WŦèG˛図 12と
下が生ずるずり速度は高くなっているが、
2 . 2 B で述べた伸張流を用い、液柱が表面張力
FPFĠĄENJL´-!5WŦèF´›*ǿ5X5WʟőG˛-D=@%X*!Ę
FPFĠĄENJL´-!5WŦèF´›*ǿ5X5WʟőG˛-D=@%X*!Ę
12 B 13 12 B 13
DW!ǢĸƝʻ*
0.1 ȠB 60 ȠBAƣĩ˦ÂȣőFŇȉ*ǿ3:"ǢĸƝʻ*ʹ-DXE>
13 の定性的なずり速度依存性はよく似ている。一
により液柱直径を細くしていく変化を測定し、そ
FĸŨȏD5Wʟő»ĴŨGU-²@%X"™Ɣ!BZZFʠŜæǦǛ)VʨŤÛˈ1Y:
FĸŨȏD5Wʟő»ĴŨGU-²@%X"™Ɣ!BZZFʠŜæǦǛ)VʨŤÛˈ1Y:
Y!BZZFŃɚŰÛFƺʠ*Ħî4XĀɍŨ*Ɉ'VYX"
図 17 に示した。試料は 2.1
方、とろろの造影剤溶液から遠心分離された上澄
šǪPFȳǛBǑljŰÛFȳŨǹŨGĘ
šǪPFȳǛBǑljŰÛFȳŨǹŨGĘ
14 BĘ 15
14の直径の時間的変化を
EȞ4U&EǢĸ5WʟőFȯėAG5
BĘ 15 EȞ4U&EǢĸ5WʟőFȯėAG5
図 14 と 図 15 に
で述べた山芋とろろ造影剤溶液から遠心分離に
みの粘液と沈殿成分の粘性特性は
WŦèFŧǬD´›Gɯľ1YD)=:"NJʕF:REǢĸ2:!ȱƧŃɚ
WŦèFŧǬD´›Gɯľ1YD)=:"NJʕF:REǢĸ2:!ȱƧŃɚ
24 w%njǦǛF
24 w%njǦǛF
r ³ × B ǢĸȾƮGĘ
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16 EȞ4U&E5WŦèFŧǬD´›Gɯľ1YD)=:*!
16 EȞ4U&E5WŦèFŧǬD´›Gɯľ1YD)=:*!
ǢĸƝʻEUW
ǢĸƝʻEUW
t=0示すように測定ずり速度の範囲ではずり応力の急
より分離した上澄み粘液成分である。時間
2.2B
AʚL:±ŗǗ\ȁ%!
Ǜư*ɦˌŗèEUWǛưȒŞ\Ⱥ-2@%-Ħî\Ǣĸ2!
˒ɟDŇȉ*ɯľ1Y:"5WʟőˢDZ$:WFǢĸƝʻ\Ț-4XE>Y5WŦèG˛˒ɟDŇȉ*ɯľ1Y:"5WʟőˢDZ$:WFǢĸƝʻ\Ț-4XE>Y5WŦèG˛1 s は円板間に液柱が静止した状態で保持され、
激な低下は観察されなかった。比較のために測定
8FȒŞFƝʻȏĦî\Ę
EȞ2:"
ɻƐG
DW!ǢĸƝʻ*
DW!ǢĸƝʻ*
0.1 ȠB 60
0.1ȠBAƣĩ˦ÂȣőFŇȉ*ǿ3:"ǢĸƝʻ*ʹ-DXE>
ȠB
60 ȠBAƣĩ˦ÂȣőFŇȉ*ǿ3:"ǢĸƝʻ*ʹ-DXE>
した、粉末山芋 24 w % 水溶液の測定結果は図 16
2.1 AʚL:ŃɚBZZʠŜæǦǛ)VʨŤÛ
Y!BZZFŃɚŰÛFƺʠ*Ħî4XĀɍŨ*Ɉ'VYX"
Y!BZZFŃɚŰÛFƺʠ*Ħî4XĀɍŨ*Ɉ'VYX"
に示すようにずり応力の急激な低下は観察されな
ˈEUWÛˈ2:šǪPȳǛŰÛA$X"Ɲʻ
かったが、測定時間により顕著な差異が観察され
B
³×B
r
t = 0³
- 1×sr
GÖƬʻEǛư*ˊǃ2:ǺŮA¿Ź
た。ずり速度1点あたりの測定時間を短くするに
1Y!t
2.2B AʚL:±ŗǗ\ȁ%!
= 2.2B
AʚL:±ŗǗ\ȁ%!
Ǜư*ɦˌŗèEUWǛưȒŞ\Ⱥ-2@%-Ħî\Ǣĸ2!
Ǜư*ɦˌŗèEUWǛưȒŞ\Ⱥ-2@%-Ħî\Ǣĸ2!
1 s ȒŠEÖƬFȢìEUW™ĸF±
8FȒŞFƝʻȏĦî\Ę
8FȒŞFƝʻȏĦî\Ę
EȞ2:"
秒と
EȞ2:"
ɻƐG
つれずり応力は高くなり、測定時間が
0.1
60 t =ɻƐG
ŗʟőAǛư*±ŗ1Y!ÖƬÆǃŠFȷ
32.1 AʚL:ŃɚBZZʠŜæǦǛ)VʨŤÛ
2.1 AʚL:ŃɚBZZʠŜæǦǛ)VʨŤÛ
秒とで最大
5
倍程度の差異が生じた。測定時間が
4 s )VɦˌŗèEUXǛưF±ŗ*ĮOX"Ę
ˈEUWÛˈ2:šǪPȳǛŰÛA$X"Ɲʻ
ˈEUWÛˈ2:šǪPȳǛŰÛA$X"Ɲʻ
長くなるにつれ、とろろの山芋成分の構造が変化
EG˪ēFǢĸȾƮ*Ȟ1Y@%X*!MN×
t = 0 - 1 s tGÖƬʻEǛư*ˊǃ2:ǺŮA¿Ź
= 0 - 1 s GÖƬʻEǛư*ˊǃ2:ǺŮA¿Ź
する可能性が考えられる。
ǽŨFə%ȾƮ*ŢVY@%X"
t = 4 - 10 s ʻF
1Y!t =1Y!t
1 s ȒŠEÖƬFȢìEUW™ĸF±
= 1 s ȒŠEÖƬFȢìEUW™ĸF±
ǢĸȾƮ)Vœ(1)\ȁ%@ŢVY:±ŗȳőF
ŗʟőAǛư*±ŗ1Y!
ŗʟőAǛư*±ŗ1Y!
ÖƬÆǃŠFȷ
ÖƬÆǃŠFȷ
t=3t = 3 -図 17 Pa BDW!ą3ɻƐFĘ 14
4ŌěÄG
s )VɦˌŗèEUXǛưF±ŗ*ĮOX"
4 s3800
)VɦˌŗèEUXǛưF±ŗ*ĮOX"
Ę F5W
Ę
EG˪ēFǢĸȾƮ*Ȟ1Y@%X*!MN×
ȳő 0.1 EG˪ēFǢĸȾƮ*Ȟ1Y@%X*!MN×
- 10 Pa⋅s ENJL 102 - 104 ÂF˛%ÄBD=
ǽŨFə%ȾƮ*ŢVY@%X"
ǽŨFə%ȾƮ*ŢVY@%X"
t = 4 - 10 st ʻF
= 4 - 10 s ʻF
とろろ造影剤溶液から分離した粘液の伸張粘度測定
›ĹĿ 2CCʵˆÛØ$?
ƒĩ+/÷Ø6r³÷°Ù¥
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
35
t = 1 s 直後に円板の移動により一定の伸張速度で
ここで測定されたように高い伸張粘度を示すか
液柱が伸張され、円板停止後の約 t = 3 - 4 s から
ら、山芋とろろの食塊をまとめる効果は、単にず
表面張力による液柱の伸張が始まる。図には 9 回
り粘度だけでなく伸張粘度も含めて検討する必要
の測定結果が示されているが、ほぼ再現性の良
がある。
い結果が得られている。t = 4 - 10 s 間の測定結果
C. 簡易測定(スプーン及び傾斜平板)
から式(1)を用いて得られた伸張粘度の平均値は
嚥下障がい者用増粘剤は、多数のメーカから
3800 Pa となり、同じ試料の図 14 のずり粘度 0.1 -
様々な種類のものが市販されている。その成分は
10 Pa・s に比べ 10 2 - 10 4 倍の高い値となっている。
大別すると澱粉系、グアーガム系、キサンタン系
ニュートン流体の場合、伸張粘度はずり粘度の 3
の 3 つに分類される。ここでは各メーカが使用法
倍(トルートン粘度)となるが、直鎖状高分子の
にポタージュ状などと記載している最も低い濃
溶液や棒状粒子の懸濁液は伸張粘度がずり粘度よ
度を基準として澱粉系(ムースアップ 2.4 w % 水溶
りも数桁高くなることが知られている。山芋とろ
液、日清サイエンス)、グアーガム系として A(ト
ろの場合も、すり下ろすときに細胞内から流出す
ロミアップA 1.5 w % 水溶液、日清オイリオグルー
る粘液成分が直鎖高分子状となっているものと推
プ)及び B(トロミファイン 0.8 w % 水溶液、キュー
測される。遠心分離前のすり下ろしたままの山芋
ピー)、そしてキサンタン系として A(つるりん
とろろも高い曳糸性を示すが、伸張粘度が高すぎ
こ 1.5 w % 水溶液、クリニコ)、B(スルーキング
るため用いた測定装置では表面張力により液柱が
1.5 w % 水溶液、キッセイ薬品工業)及び C(トロ
伸張されず、測定できなかった。むしろ液柱を保
ミクリア 1.3 w % 水溶液、ライオン)を使用した。
持する円板を引っ張り、変形と引っ張り力を測定
簡易測定を行う前に、これら各種増粘剤の粘性特
する単純な固体用の引っ張り試験を用いるべきと
性を円錐・平板レオメーターにより測定した。図
考えられる。一方、増粘剤溶液は全く曳糸性がな
18 に示すように、すべての増粘剤が非ニュート
く、伸張粘度も測定できなかった。粉末山芋も曳
ン粘性を示し、グアーガム系とキサンタン系はず
糸性が弱く、伸張粘度を測定することができな
り速度が 1 から 100 s – 1 へと増すにつれ、粘度は
かった。山芋をフリーズドライ状態にして粉末化
70 ~ 80% 低下した。一方、澱粉系の粘度変化は
するとき、曳糸性の原因となる直鎖状成分が破断
35%の低下にとどまった。共通して最も低いトロ
されると推測される。
ミと称される濃度で、キサンタン系は最大で 2.8
高い伸張粘度をもつ流体は、自由表面を持つ流
倍程度の差が生じた。また、ずり速度 100 s – 1 で
れにおいて表面の飛沫を抑制することが知られて
は同程度の粘度となる澱粉系とグアーガム系 B は
いる。伸張粘度の高い食品は嚥下の過程で食塊の
ずり速度 1 s – 1 で 10 倍の粘度の差異が生じている。
ばらつきを抑制できると予想される。ばらけやす
簡易測定のひとつとして、スプーンからたれる
い食品は、誤嚥の危険の高い食品の一つとして知
様子をスプーン傾き角度 60 度と 30 度の場合につ
られている。山芋のとろろはのどごしが良くかつ
いて撮影し、図 19 から図 22 に示した。増粘剤によ
食塊をまとめる効果があるため、嚥下障がい者に
る差異もあるが、共通して傾き角度が大きいほど
重宝に使われている。高橋ら(2010)は山芋とろ
液柱太さが太くなる。したがって、スプーンから
ろの刻み食をまとめる効果を嚥下造影撮影により
たらしたときの液柱太さをとろみの強さのめやす
研究し、山芋とろろが刻み食の咽頭残留を抑制す
として使う場合、スプーンを傾ける角度も一定に
る効果があることを指摘している。山芋とろろは
するなどの工夫が必要になる。スプーンによる測
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浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
36
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図 18 各種市販増粘剤水溶液の粘性特性~ guargum A(トロミアップ A1.5w%),
›Ĺŀ ”ï­ď ÷ˆÔÛØ6÷»à»Ńguargum
AVe[GTZł
B(トロミファイン 0.8w%); xanthan A(つるりんこ
1.5w%), B(スルー
キング 1.5w%)
, C(トロミクリア 1.3w%)
; starch(ムースアップ
2.4w%)
,Ve[YFHf
;xanthan
A0A@E)
,Rc
hJfL Ve[KbG %starch\hRGTZ 11
(1)(1)
60
(1)ő
6060
ő 度
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ő ő30 度
(2)
(1)
(1)
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図 19 スプーン角度による差異(デンプン系)
›ĹŁ
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RZhfć°5>A¬éUfZfø
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›ĹŁ
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›ĹŁ
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RZhfć°5>A¬éUfZfø
(1) 60
(1)
ő
60 60
ő 度
(2)30
(2)30
ő
ő 30 度
(1)
(2)
(1)
(1)
60
60
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ő
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ő
(1)
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ő ›ĺĸ
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RZhfć°5>A¬éJNfSf
RZhfć°5>A¬éJNfSf
スプーン角度による差異(キサンタン
A)
図 20 ›ĺĸ
›ĺĸ
RZhfć°5>A¬éJNfSf
›ĺĸ
RZhfć°5>A¬éJNfSf
›ĺĸ
›ĺĸRZhfć°5>A¬éJNfSf
RZhfć°5>A¬éJNfSf
RZhfć°5>A¬éJNfSf
(1)
(2)
(1)
60
(1)60
ő
60 度
ő
(2)30
(2)30
ő 30
ő 度
(1)
(1)
60
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(2)30
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(1)
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(2)30
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(1)
(1)
60
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ő
(2)30
(2)30
ő
ő
›ĺĹ
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スプーン角度による差異
(キサンタン B)
図
21 RZhfć°5>A¬éJNfSf
›ĺĹ
›ĺĹ
RZhfć°5>A¬éJNfSf
›ĺĹ
RZhfć°5>A¬éJNfSf
›ĺĹ
›ĺĹRZhfć°5>A¬éJNfSf
RZhfć°5>A¬éJNfSf
RZhfć°5>A¬éJNfSf
(1)60 度
(2)30 度
(1) 60
(1)図
ő
6022 ő スプーン角度による差異(キサンタン
(2)30
(2)30
ő ő C)
(1)
(1)
60
60
ő
ő
(2)30
(2)30
ő
ő
(1)
60
ő
(2)30
ő
(1)
(1)
60
60
ő
ő
(2)30
(2)30
ő
ő ›ĺĺ
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RZhfć°5>A¬éJNfSf
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›ĺĺ
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RZhfć°5>A¬éJNfSf
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›ĺĺ
›ĺĺ RZhfć°5>A¬éJNfSf
RZhfć°5>A¬éJNfSf
12 12
12
12
12
12
12
"nj˗\nj
+FØȕ\
Ê.:B+
4"ŌƬ\
˗GǛɑ
\ǗYĮR
Gʣ%SF
"Ǘì*Į
ĤȳæǦǛ
!nj˗ENJ
-Ȣìʓˈ
ˌFĠĄ!
AGąȣőFȳőBDXǫȱȶBh_˜e‹ȶ
B G5Wʟő
B G5Wʟő
˭˭A A
ÂFȳő
ÂFȳő
ʟő
ʟő
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˭AGąȣőFȳőBDXǫȱȶBh_˜e‹ȶ
FŇȉ*ǿ3@%X"
FŇȉ*ǿ3@%X"
ȰƚǢĸFIB>B2@!o†˜–)V:YXƻı\o†˜–Ê+ɰő
ȰƚǢĸFIB>B2@!o†˜–)V:YXƻı\o†˜–Ê+ɰő
őB
őB
őFĠ
őFĠ
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
ĄE>%@ƈŜ2!Ęˢ˪)VĘˣˣEȞ2:"ĤȳæEUXŇȉS$X*!Óʞ2@Ê+
ĄE>%@ƈŜ2!Ęˢ˪)VĘˣˣEȞ2:"ĤȳæEUXŇȉS$X*!Óʞ2@Ê+
37
ɰő*ĩ+%MCǛưĪ1*Ī-DX"2:*=@!o†˜–)V:V2:B+FǛưĪ1
ɰő*ĩ+%MCǛưĪ1*Ī-DX"2:*=@!o†˜–)V:V2:B+FǛưĪ1
(b)に示すようにレオメーターの結果とほぼ一致
定のもう一つの問題点は、
その結果がどのような
\BZPFŘ1FRT4B2@¸&ĠĄ!o†˜–\Ê.XɰőS™ĸE4XDCFŅī*
\BZPFŘ1FRT4B2@¸&ĠĄ!o†˜–\Ê.XɰőS™ĸE4XDCFŅī*
ťɬEDX"o†˜–EUXǢĸFS&™>FďˑDZG!8FȾƮ*CFU&DɻƐFǸŨ
ťɬEDX"o†˜–EUXǢĸFS&™>FďˑDZG!8FȾƮ*CFU&DɻƐFǸŨ
試料の物性と関係しているのかが不明な点である。
した。降伏応力だけで試料の粘性特性を全て表現
Bʼ¾2@%XF)*œƙDDZA$X"
Bʼ¾2@%XF)*œƙDDZA$X"
嚥下障がい者用増粘剤溶液の粘性特性の特徴は
することはできないが、この方法は測定者の主観
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に示されるように低ずり速度で高いずり
đ›ˆ*%ɉȁĤȳæǦǛFȳŨǹŨFǹţGĘ
11(a)EȞ1YXU&E´5WʟőA˛
11(a)EȞ1YXU&E´5WʟőA˛
図 11(a)
も入りにくく、精度の良い測定が可能である。
τy \
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2.2C
2.2C
%5WŦè\Ȟ2!
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ĢŨȏEŽXɗ&DZA$X"
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/FĢŨȏǹŨEŀŦ4Xʾ¯Ŧè
/FĢŨȏǹŨEŀŦ4Xʾ¯Ŧè
応力を示し、塑性的に振る舞う点である。この塑
D. 食塊のすべり
FÊƑŌƬ\ȁ%:ȰƚȏƔǕEUWǍR:"ɻƐEGfl–u–ȶĤȳæ(>XW]/!g
FÊƑŌƬ\ȁ%:ȰƚȏƔǕEUWǍR:"ɻƐEGfl–u–ȶĤȳæ(>XW]/!g
図 24 は食塊先端の平板に沿う移動距離を時間
性的特性に対応する降伏応力τy を 2.2 C の傾斜平
’|k)\Ǯő
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ˮAȁ%:"
ˮAȁ%:"
ÖʷŌƬ”cŒ˜u˜EUXȳŨǹŨFǢĸȾƮ\Ę
ÖʷŌƬ”cŒ˜u˜EUXȳŨǹŨFǢĸȾƮ\Ę
板を用いた簡易的方法により求めた。試料にはキ
に対して示している。平板の傾斜角度は水飴と増
-1
­šFƟɂ\5Wʟőr•Eħž2!
8F5WŦè\ʾ¯Ŧè
8F5WŦè\ʾ¯Ŧè
23(a)EEȞ4"
23(a)EEȞ4"
5Wʟő
5Wʟő
20 20
s-1 s­šFƟɂ\5Wʟőr•Eħž2!
サンタン系増粘剤(つるりんこ、クリニコ)を濃
粘剤溶液の場合は 15 度とし、山芋とろろの場合
B4X"ŢVY:ʾ¯ŦèBĤȳæǮőFʼ¾GĘ
B4X"ŢVY:ʾ¯ŦèBĤȳæǮőFʼ¾GĘ
23(b)EȞ4U&EMNɂśʼ¾E$X"
23(b)EȞ4U&EMNɂśʼ¾E$X"
度 0.8ÊƑŌƬFÊƑɰő\Ĥé16!ɻƐ*Ǘì\ʺĮ4Xɰő
w%
~
3.0
w
%
で用いた。円錐平板レオメー
は
45
度とした。また、水飴を湿潤面上に置くと
θ)Vœ(2)EUWʾ¯Ŧè\Ǎ
θ)Vœ(2)EUWʾ¯Ŧè\Ǎ
ÊƑŌƬFÊƑɰő\Ĥé16!ɻƐ*Ǘì\ʺĮ4Xɰő
図 23(a)に示
ターによる粘性特性の測定結果を
粘液との混合拡散が早く、食塊としての輪郭が識
R†•xz4XB!Ę
R†•xz4XB!Ę
23(b)EȞ4U&E”cŒ˜u˜FȾƮBMN™ɔ2:"ʾ¯Ŧè;.
23(b)EȞ4U&E”cŒ˜u˜FȾƮBMN™ɔ2:"ʾ¯Ŧè;.
AɻƐFȳŨǹŨ\Ò@ɦǽ4X/BGA+D%*!
AɻƐFȳŨǹŨ\Ò@ɦǽ4X/BGA+D%*!
/FƔǕGǢĸɉFŸɯSÑWE--!
/FƔǕGǢĸɉFŸɯSÑWE--!
す。ずり速度
20 s – 1 以上の曲線をずり速度ゼロに
別できなくなるため、湿潤面上での測定を行えな
ȴőFə%Ǣĸ*ĀɍA$X"
ȴőFə%Ǣĸ*ĀɍA$X"
外挿し、そのずり応力を降伏応力とする。得られ
図 23(b)に示す
た降伏応力と増粘剤濃度の関係は
かった。水飴を水平な乾燥面においたときの写真
を図 25(a)に、15 度平板を傾けたときの側面の写
ŸŸ
66
,,
::
@@
į
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ようにほぼ線形関係にある。傾斜平板の傾斜角度
真を(b)に示す。平板を傾けると(b)のように水
Ę
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G˕ġÏȩFŌƬEǔ&Ȣìʓˈ\ƝʻEŀ2@Ȟ2@%X"
G˕ġÏȩFŌƬEǔ&Ȣìʓˈ\ƝʻEŀ2@Ȟ2@%X"
ŌƬFÊƑɰőGnj˗
ŌƬFÊƑɰőGnj˗
を増加させ、試料が流動を開始する角度θから式
飴は液膜の流れのように平板上を流れ始める。増
BĤȳæǦǛFĠĄG
BĤȳæǦǛFĠĄG
őB2!ŃɚBZZFĠĄG
őB2!ŃɚBZZFĠĄG
őB2:"O:!nj˗\ǣǩˌš
őB2:"O:!nj˗\ǣǩˌš
(2)により降伏応力を求めプロットすると、図 23
粘剤溶液も速度は遅いものの、ほぼ同様に流れる。
EɅ-BȳǛBFǝĄŸƌ*Ɨ-!˕ġB2@Fʗʭ*ʄàA+D-DX:R!ǣǩˌšA
EɅ-BȳǛBFǝĄŸƌ*Ɨ-!˕ġB2@Fʗʭ*ʄàA+D-DX:R!ǣǩˌšA
FǢĸ\ɥ'D)=:"nj˗\nj
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ŌD ǵˌE(%:B+FØȕ\
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25(a)E!
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FÈˌFØȕ\EȞ4"
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Ê.XBFU&Enj˗GǛɑ
Ê.XBFU&Enj˗GǛɑ
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FǗYFU&EŌƬš\ǗYĮR
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X"ĤȳæǦǛSʟőGʣ%SF
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F!MNąƻEǗYX"Ǘì*Į
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OX´%5WʟőAGĤȳæǦǛ
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Gȳő*nj˗UW˛-!nj˗ENJ
Gȳő*nj˗UW˛-!nj˗ENJ
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(a)レオメータによる測定
(b)傾斜平板による測定
(a)(a)
dI]hSh5>AÙ¥
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(b){ůÎ5>AÙ¥
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図 23 傾斜平板による降伏応力の測定
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{Å+/lޏ8ÚܯÎj6įŸ,:@
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›ĺĻ
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{ůÎ5>AĦqº‰6Ù¥
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ǣǩˌFĠĄ!
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ĤȳæǦǛGnj˗MCAGD%SFFȳɑȳ
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ǛEŸƌǝĄ2ʗʭ*Ő*X"ǣǩˌFȢì
ǛEŸƌǝĄ2ʗʭ*Ő*X"ǣǩˌFȢì
ǛEŸƌǝĄ2ʗʭ*Ő*X"ǣǩˌFȢì
S ǵˌENJLʣ-DX"/YEŀ2!Ńɚ
S ǵˌENJLʣ-DX"/YEŀ2!Ńɚ
S ǵˌENJLʣ-DX"/YEŀ2!Ńɚ
BZZFȢìGʜEǣǩˌAƗ-! ǵˌA
BZZFȢìGʜEǣǩˌAƗ-! ǵˌA
BZZFȢìGʜEǣǩˌAƗ-! ǵˌA
13 13
ʣ%" ǵƑˌBǣǩƑˌšFŃɚBZZF
ʣ%" ǵƑˌBǣǩƑˌšFŃɚBZZF
ʣ%" ǵƑˌBǣǩƑˌšFŃɚBZZF
(a)Ô¯lÞĪ6Ôİ
(b)
lÞĪ6Ôİ
(a)水平乾燥面の水飴
(b)
乾燥面の水飴
(a)Ô¯lÞĪ6Ôİ
(b)
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(a)Ô¯lÞĪ6Ôİ
(b)
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Øȕ\Ę
BEȞ4"
ǵˌAGB
Øȕ\Ę
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ZZGĥˌE«Ȗ2D*VǗì4XFEŀ2!
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ǣǩˌAGęµFU&EÞƦFʗʭ\¿
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ȾƮG!ɁɲASʚL:U&EàE³^Ę³
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»³ŒĽĿ(âĔĭęİIJĐ³»³ŒĘàEı
»³ŒĽĿ(âĔĭęİIJĐ³»³ŒĘàEı
傾斜した乾燥及び湿潤平板上の食塊すべり
図
24 »³ŒĽĿ(âĔĭęİIJĐ³»³ŒĘàEı
AGD%SFFȳɑȳ:İTĠī”“ŒıĽĕİęĐ³ŒĘįĔD
:İTĠī”“ŒıĽĕİęĐ³ŒĘįĔD
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0ĭ‡ÏĢŀĭĐĽĿVįĔqsmlĬàEĘ:
0ĭ‡ÏĢŀĭĐĽĿVįĔqsmlĬàEĘ:
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(c)乾燥面の山芋
(d)湿潤面の山芋
(c)lÞĪ6©Ă
(c)lÞĪ6©Ă
(d)ÚÜĪ6©Ă
(c)lÞĪ6©Ă (d)ÚÜĪ6©Ă
(d)ÚÜĪ6©Ă
図 25 傾斜面上の水飴と山芋とろろ
›ĺĽ
›ĺĽ
{ÅĪj6Ôİ2©Ă2CC
›ĺĽ{ÅĪj6Ôİ2©Ă2CC
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Ő*X"ǣǩˌFȢì
X"/YEŀ2!Ńɚ
ğŁŀĞĭń§ĠīĔŀđĞıĽĕįqsIJЅ± 3.2B ĬÐĶŀvŏŘŚşţŏśšıŽ´^ń
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ǩˌAƗ-! ǵˌA ğŁŀĞĭń§ĠīĔŀđĞıĽĕįqsIJЅ± 3.2B ĬÐĶŀvŏŘŚşţŏśšıŽ´^ń
38
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
流動が始まる低いずり速度では増粘剤溶液は粘度
摩擦は、次節 3.2B で述べる数値シミュレーショ
が水飴より高く、水飴に比べ食塊の移動速度が遅
ンの予測精度を向上させる上で必要不可欠にな
く移動距離も短くなっている。湿潤面の場合、増
る。今後、どのような粘度からこのような固体的
粘剤溶液は水飴ほどではないものの粘膜粘液に拡
スリップが粘膜上で生ずるか、さらに研究を進め
散混合し輪郭が広がる。湿潤面の移動も乾燥面に
る計画である。
比べ遅くなる。これに対し、山芋とろろの移動は
3.2 嚥下流動に及ぼす諸因子の影響
›ĺľ ìñ
逆に湿潤面で早く、乾燥面で遅い。乾燥斜面と湿
A. ビデオ嚥下造影撮影
6˜k5>A
潤斜面上の山芋とろろの写真を図 25(c)と(d)に
表 1 の直立姿勢 ① の撮影結果について、造影剤6 î Š Ń $?6įŸĔ
を嚥下したときの撮影例を 図 26 に示す。撮影は
¾‚!ĔĞè
正面と側面の2方向から行った。撮影が行われる
æ|6Ȇ6
のは1方向からのみであるため、各方向の撮影は
Dą+ ÿÉ
別々に行った。図中には、図の後の時刻の VF 画
|7ĔĞĹD
像から得られた食塊の輪郭線とその時刻に対応す
+/Ȇ6æ
る番号も示されている。側面の輪郭線から、その
įŸ7ʵˆ
V
V
最下端の食塊速度 h と最上端の食塊速度 t を求
示す。乾燥面(c)ではとろろは壁面に付着しなが
ら流動するのに対し、湿潤面(d)では固体のよう
に初期の輪郭を保ったまま湿潤面上をスリップす
る。これらの結果は、緒言でも述べたように食塊
粘度が粘膜粘液より十分高いときには、粘膜粘液
が食塊の嚥下に対して潤滑液のように働き、粘液
がない場合と比較すると、より少ない摩擦抵抗で
-1 に各試料ごとに示した。造影
図s27
め、それらを60
食塊が嚥下されることを示している。このような
ZPA$W!Ę FȳőG5Wʟő
­šAnj˗UW´-DW!ʠŜæǦǛFȳ
?-"˕ġʟőG˕ġȳőBȓʼ4XBɈ'VYX)V!˕ġʟő*ąȣőBDXĤ
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Dą+ ÿÉ6æ
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+/Ȇ6æ|!
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įŸ7ʵˆ!
A+XĀɍŨ\Ȟ2@%X"ʀđG™ɘE˕ġʟő v *ʟ%Bʐ/WT4-!8Fʟ
ġȳő*´%Bʟ%vVF=画像からの食塊輪郭の抽出。輪郭番号は画像
f(η)"2:*=@!©ʅ˕Fȳő\ʩÜEʂƎ4X/B*ʀ
図 26 直立姿勢の嚥下による食塊の移動~
-1
ZPA$W!Ę
FȳőG5Wʟő 60
­šAnj˗UW´-DW!ʠŜæǦǛFȳőEʙ
の時刻の経過を表し、背景の画像は輪郭
1 sを抽出した時刻の画像。食塊は造影剤
?-"˕ġʟőG˕ġȳőBȓʼ4XBɈ'VYX)V!˕ġʟő*ąȣőBDXĤȳæǦ
ǛBʠŜæǦǛG s-1 ­šF5WʟőAȳő*ʙ%ÄEDX"8FU&DNJʕȏ˛%5W
ʟőFǗY*!Đː)V˕ʦE).@FĐːŻšŠFʟ%ǗYEǿ3@%XBɈ'VYX"
Kumagai V
BdzʆV
GȳőBʑˍǖ{x†‘˜ǢĸEUX˕ġʟőBFȓʼ)
V 20ˮ30s-1 F5WʟőE(.Xȳő\ǸŨźƼB4X/B\Ƃƴ2@%X"ƨțȦE(.X
FȾƮG/YVFȾƮEʙ%"™ɘE!ʀđG˕ġFʟő\ʣ-4X;.Aɱǐ4XɷA
GD-!©ʅ˕FǸŨE>%@1VEĨɰȏɮĚ)VFƸɴ*ťɬA$Z&"
šʚFȾƮG!nj˗FU&Eȳő™ĸη0 F˕ČBȳő*5Wʟőγ EUWĦî4Xηγ ©ʅȁĤȳæǦǛB\ȼPĄ[6@ \ɥ&/BEUW!đ›\Ɗʯ4X5Wʟő\ƙ)E
A+XĀɍŨ\Ȟ2@%X"ʀđG™ɘE˕ġʟő v *ʟ%Bʐ/WT4-!8FʟőG˕
ġȳő*´%Bʟ%v = f(η)"2:*=@!©ʅ˕Fȳő\ʩÜEʂƎ4X/B*ʀđ¢ʽ
図 27 食塊最下端の食塊速度 Vh と最上端の食塊速度 Vt
›ĺĿįŸÊkò6įŸė° Vh 2
›ĺŀ˜kė°DÕ¥,AįŸ÷°
Êjò6įŸė° Vt
ė°6Õ¥ÆÖŃ oĎį2÷°i
$?6įŸĔĞ6
¾‚!ĔĞè“7
æ|6Ȇ6úĚ
Dą+ ÿÉ6æ
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
|7ĔĞĹD¾‚
39
+/Ȇ6æ|!
剤と増粘剤溶液の Vh は喉頭の挙上後に喉頭付近
り速度によって著しく変化するよう調整されてい
から食道にかけて高い速度となり、一方、V t は
るため、どのずり速度で粘度を調整すべきなのか
įŸ7ʵˆ!
各試料で顕著な差異は測定されなかった。増粘剤
ZPA$W!Ę FȳőG5Wʟő 60 s-1 わかっていない。ここで実施したように、介護食
­šAnj˗UW´-DW!ʠŜæǦǛFȳőEʙ
?-"˕ġʟőG˕ġȳőBȓʼ4XBɈ'VYX)V!˕ġʟő*ąȣőBDXĤȳæǦ
溶液は図 7 でフレンチドレッシング程度と分類さ
と粘度一定の食品の嚥下速度を VF から測定し、
ǛBʠŜæǦǛG s-1 ­šF5WʟőAȳő*ʙ%ÄEDX"8FU&DNJʕȏ˛%5W
れる程度のとろみであり、 図 11 の粘度はずり速
–1
もしその嚥下速度が一致すれば、 図 28 に示す各
ʟőFǗY*!Đː)V˕ʦE).@FĐːŻšŠFʟ%ǗYEǿ3@%XBɈ'VYX"
度 60 s 以上で水飴より低くなり、造影剤溶液の
食品の粘度曲線が交差する点η
(γ )= η を求め、
s
0
Kumagai V
BdzʆV
GȳőBʑˍǖ{x†‘˜ǢĸEUX˕ġʟőBFȓʼ)
粘度に近づく。食塊速度は食塊粘度と相関すると
その点のずり速度 γ s が嚥下を支配するずり速度
V 20ˮ30s-1 F5WʟőE(.Xȳő\ǸŨźƼB4X/B\Ƃƴ2@%X"ƨțȦE(.X
FȾƮG/YVFȾƮEʙ%"™ɘE!ʀđG˕ġFʟő\ʣ-4X;.Aɱǐ4XɷA
と推測できる。複数の粘度一定の食品の VF を行
考えられるから、食塊速度が同程度となる増粘剤
GD-!©ʅ˕FǸŨE>%@1VEĨɰȏɮĚ)VFƸɴ*ťɬA$Z&"
う必要があるが、いったん嚥下を支配するずり速
溶液と造影剤溶液は
100 s – 1 以上のずり速度で粘
šʚFȾƮG!nj˗FU&Eȳő™ĸη0 F˕ČBȳő*5Wʟőγ EUWĦî4Xηγ 度が近い値になる。そのような比較的高いずり速
度がわかれば、その値をとろみの調整をするとき
©ʅȁĤȳæǦǛB\ȼPĄ[6@ \ɥ&/BEUW!đ›\Ɗʯ4X5Wʟő\ƙ)E
度の流れが、喉頭から食道にかけての喉頭挙上後
に使用するずり速度とすれば良いことになり、よ
A+XĀɍŨ\Ȟ2@%X"ʀđG™ɘE˕ġʟő
v *ʟ%Bʐ/WT4-!8FʟőG˕
ġȳő*´%Bʟ%v = f(η)"2:*=@!©ʅ˕Fȳő\ʩÜEʂƎ4X/B*ʀđ¢ʽ
の速い流れに生じていると考えられる。Kumagai
り安全な食事の提供に役立つはずである。
ら(2009)と熊谷ら(2009)は粘度と超音波ドッ
プラー測定による食塊速度との相関から 20 ~
30 s – 1 のずり速度における粘度を物性指標とする
EťɬA$X"™Ɣ!8FȳőG˕ŭ*ə-DXU&E!5WʟőEU=@ɟ2-Ħî4X
U&ʂƎ1Y@%X:R!CF5WʟőAȳő\ʂƎ4L+DF)[)=@%D%"//A
ことを提案している。本研究における
VF の結果
ĺƕ2:U&E!©ʅ˕Bȳő™ĸF˕ČFđ›ʟő\ )VǢĸ2!S28Fđ›ʟő*
はこれらの結果に近い。一般に、誤嚥は食塊の速
™ɔ4YH!Ę EȞ4ă˕ČFȳőƟɂ*¥Ň4XDZηγs η0 \ǍR!8FDZF5Wʟő
度を遅くするだけで解決する訳ではなく、介護食
γs*đ›\Ɗʯ4X5WʟőBƁǢA+X"ɫƍFȳő™ĸF˕ČF \ɥ&ťɬ*$X*!
の物性についてさらに多角的見地からの検討が必
%=:]đ›\Ɗʯ4X5Wʟő*[)YH!8FÄ\BZPFʂƎ\4XB+E¸ȁ4X
要であろう。
5WʟőB4YHə%/BEDW!UWĶÒD˕£FƂºEŝȨ>G5A$X"
η0 の食
上述の結果は、水飴のように粘度一定
Gċː)V˕ʦE).@F
Vh B Vt BFʟőŇEUW˕ġGđ›ƔĆE±ŗ1YX"Ę
˕ġF±ŗ\ȘöAȞ2@%X"ŃɚBZZG8FʟőŇ*´-!˕ġF±ŗ*ŵâ1Y@
γ により変化する(η
(γ ))
品と粘度がずり速度
嚥下速度を決定する食塊粘度とずり速度の決定方法
›ĺĿįŸÊkò6įŸė° Vh 2 図 28
›ĺŀ˜kė°DÕ¥,AįŸ÷°3-@
%X"˕ġG´ȳőFĠĄE±ŗ;.AD-ŋSŐ*XÊĆ*ɯľ1Y:"˕ġFŐ*WG
介護用増粘剤溶液とを組み合わせて
VF を行うこ
~●介護食と粘度一定の水飴などの嚥下速度が等し
Êjò6įŸė° Vt
ė°6Õ¥ÆÖŃ oĎį2÷°i¥6Ô
ʀđF÷˃\˛RX"đ›EUX˕ġFŐ*W\ʂLX:R!
Ę F˕ġʗʭFʹ1\ǍR!
くなる交差点
とにより、嚥下を支配するずり速度を明かにでき
İ436˜kė°%ó+'4Am¬Ý
Ę EÈˌBDŽˌFȾƮ\Ȟ2:"ĘUWÈˌF UWDŽˌF E(%@!
v
る可能性を示している。誤嚥は一般に食塊速度
V h と V t との速度差により食塊は嚥下方向に伸
ʠŜæǦǛBĤȳæǦǛF˕ġFŐ*W*˒ɟEȞ1Y@%X"´ȳő˕ġFŐ*W\PX
15
が速いと起こりやすく、その速度は食塊粘度が
張される。 図 29 は咽頭から食道にかけての食塊
EG!ÈˌUWDŽˌ)VF *ʩ2@%XBɈ'VYX"
ʠŜæBĤȳæǦǛGšʚFU&EĐːFŻšŠE˛%ʟő
Vh AĐː«ʙ)V˕ʦEʢÑ
の伸張を矢印で示している。山芋とろろはその速
低いと速い
( v = f(η))。したがって、介護食の
4X"/YEŀ2˕ʦGÑÿ!Ťɒʙ-FNjȭÛńʬûJƽ˅ɑF˕ʦɨIJʬAǻȧ*$X"
粘度を適切に調整することが誤嚥予防に必要であ
度差が低く、食塊の伸張が抑制されている。食塊
2:*=@!ĐːFŻšŠE˕ʦEÑ=:ʠŜæBĤȳæǦǛF˕ġGˣȈȑFNjȭÛńʬ
る。一方、その粘度は食感が良くなるように、ず
は低粘度の場合に伸張だけでなく幅も広がる傾向
Fǻȧ\Ò@ʞʥA+5űåA™ƝȏEʋȇ2!ȇO=:˕ġ*ǻȧʬ)VĐːEĆ)=@
造影剤溶液
ʵˆÛØ
水飴
増粘剤粘剤溶液
Ôİ ÷ˆÛØ
図 29 食塊の伸張
›ĺŁįŸ6r³
山芋とろろ
©Ă2CC
%=:]đ›\Ɗʯ4X5Wʟő*[)YH!8FÄ\BZPFʂƎ\4XB+E¸ȁ4X
5WʟőB4YHə%/BEDW!UWĶÒD˕£FƂºEŝȨ>G5A$X"
5WʟőB4YHə%/BEDW!UWĶÒD˕£FƂºEŝȨ>G5A$X"
Vt BFʟőŇEUW˕ġGđ›ƔĆE±ŗ1YX"Ę Gċː)V˕ʦE).@F
VV
hB
h B Vt BFʟőŇEUW˕ġGđ›ƔĆE±ŗ1YX"Ę Gċː)V˕ʦE).@F
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
40
˕ġF±ŗ\ȘöAȞ2@%X"ŃɚBZZG8FʟőŇ*´-!˕ġF±ŗ*ŵâ1Y@
˕ġF±ŗ\ȘöAȞ2@%X"ŃɚBZZG8FʟőŇ*´-!˕ġF±ŗ*ŵâ1Y@
%X"˕ġG´ȳőFĠĄE±ŗ;.AD-ŋSŐ*XÊĆ*ɯľ1Y:"˕ġFŐ*WG
%X"˕ġG´ȳőFĠĄE±ŗ;.AD-ŋSŐ*XÊĆ*ɯľ1Y:"˕ġFŐ*WG
が観察された。食塊の広がりは誤嚥の危険を高
昇したときの VF 画像の例であり、貯留食塊の画
ʀđF÷˃\˛RX"
đ›EUX˕ġFŐ*W\ʂLX:R!
ĘĘ
F˕ġʗʭFʹ1\ǍR!
ʀđF÷˃\˛RX"
đ›EUX˕ġFŐ*W\ʂLX:R!
F˕ġʗʭFʹ1\ǍR!
図
める。嚥下による食塊の広がりを調べるため、
像
(
(a)
の長方形枠部分)
をとりだし、画像フレー
ĘĘEÈˌBDŽˌFȾƮ\Ȟ2:"ĘUWÈˌF
EÈˌBDŽˌFȾƮ\Ȟ2:"ĘUWÈˌFUWDŽˌF
UWDŽˌFE(%@!
E(%@!
26 ʠŜæǦǛBĤȳæǦǛF˕ġFŐ*W*˒ɟEȞ1Y@%X"´ȳő˕ġFŐ*W\PX
の食塊輪郭の長さを求め、図 30(a)
(b)に側面
ム番号とともに時系列的に(b)に図示した。(b)
ʠŜæǦǛBĤȳæǦǛF˕ġFŐ*W*˒ɟEȞ1Y@%X"´ȳő˕ġFŐ*W\PX
と正面の結果を示した。図より側面の
VF(a)よ
のフレーム # 20 が(a)に対応し、1 フレームあた
EG!ÈˌUWDŽˌ)VF
EG!ÈˌUWDŽˌ)VF*ʩ2@%XBɈ'VYX"
*ʩ2@%XBɈ'VYX"
り正面の
VF(b)において、造影剤溶液と増粘剤
りの時間間隔は 33.3
ms である。フレーム # 26 以
ʠŜæBĤȳæǦǛGšʚFU&EĐːFŻšŠE˛%ʟő
h AĐː«ʙ)V˕ʦEʢÑ
ʠŜæBĤȳæǦǛGšʚFU&EĐːFŻšŠE˛%ʟőVV
h AĐː«ʙ)V˕ʦEʢÑ
溶液の食塊の広がりが顕著に示されている。低粘
降で食道のぜん動運動により貯留食塊は嚥下され
4X"
/YEŀ2˕ʦGÑÿ!
Ťɒʙ-FNjȭÛńʬûJƽ˅ɑF˕ʦɨIJʬAǻȧ*$X"
4X"
/YEŀ2˕ʦGÑÿ!
Ťɒʙ-FNjȭÛńʬûJƽ˅ɑF˕ʦɨIJʬAǻȧ*$X"
度食塊の広がりをみるには、側面より正面からの
る。このような貯留は V h が高い造影剤と増粘剤
2:*=@!ĐːFŻšŠE˕ʦEÑ=:ʠŜæBĤȳæǦǛF˕ġGˣȈȑFNjȭÛńʬ
2:*=@!ĐːFŻšŠE˕ʦEÑ=:ʠŜæBĤȳæǦǛF˕ġGˣȈȑFNjȭÛńʬ
溶液のみに観察された。食塊容積が多く、かつ食
VFFǻȧ\Ò@ʞʥA+5űåA™ƝȏEʋȇ2!ȇO=:˕ġ*ǻȧʬ)VĐːEĆ)=@
が適していると考えられる。
Fǻȧ\Ò@ʞʥA+5űåA™ƝȏEʋȇ2!ȇO=:˕ġ*ǻȧʬ)VĐːEĆ)=@
造影剤と増粘剤溶液は上述のように喉頭の挙上
道のぜん動運動の低下がさらにあると、貯留する
後に高い速度 V h で喉頭付近から食道に進入する。
食塊が梨状陥凹から喉頭内へ入り込み、誤嚥の原
これに対し食道は入口、心臓近くの気管分岐部及
因になる可能性が考えられる。 図 32 は直立姿勢
び横隔膜の食道裂孔部で狭窄がある。したがって、
で山芋とろろを 5 cc と 10 cc を嚥下した場合の食
喉頭の挙上後に食道に入った造影剤と増粘剤溶液
塊速度を示す。10 cc の食塊の場合、V h が一定と
の食塊は2番目の気管分岐部の狭窄を全て通過で
なる結果となった。食塊容積の効果についてはさ
きず手前で一時的に貯留し、留まった食塊が狭窄
らに測定条件と測定数を増やす必要がある。
図 33 は 150 度のリクライニング姿勢による嚥
部から喉頭に向かって滞留水位を上昇させた。図
ʵˆÛØ
Ôİ
©Ă2CC
ʵˆÛØ
Ôİ ÷ˆÛØ
÷ˆÛØ
©Ă2CC
31(a)はそのような造影剤嚥下時の貯留水位が上
下の
VF
画像と各食塊輪郭の経時変化を示す。低
›ĺŁįŸ6r³
›ĺŁįŸ6r³
(a)側面
(a)zĪ
(a)zĪ
(b)正面
(b)ÒĪ
(b)ÒĪ
図 30 直立姿勢の嚥下における食塊輪郭の長さ
›Ļĸìñ£‹6˜k5#(AįŸĔĞ6ģ*
›Ļĸìñ£‹6˜k5#(AįŸĔĞ6ģ*
1616
#13
#13
(a)# 20
(a) #20
#14
#14
#15
#15
#20
#20
#26
#26
#30
#30
#32
#32
#34
#34
(b)
(b)
梨状陥凹への低粘度食塊の貯留~造影剤溶液
™ĸĶ図 31 Ïßĥ€85rõ®Ĭ5ĎåŀĖ³‡ÙÖ
EǺȦ[Ñ?ʝʤ@*4Űä@˜ƜȎDʊȆ1
ȆN<9˔Ġ)ǺȦʫ(UďˏDą(<?
ǦȆNj²[™Ɨ059!ė F7ET%CʟśåКƜEʊȆNj²)™Ɨ19A*E ȄËE¸@#V ʊȆ˔ĠEȄËEʸƓŚƮʫÚ[AV:1 Ȅ˃“—ŠȇāAAR
˔ĠEŏ)V[ʁKW9Q
ė EʖʬEʸ0[njQ
ė Dȝ19!ėTVʟśå
Eʖʬʸ0F©E˔ĠEğăTVRƘU(Dʸ, ʟśåǥǚ)ɪˆDŏ)<9ǖX@
VF ȄË[ȼƜȎDȝ3!ȄËEȇāF
VF ȄË[ȼƜȎDȝ3!ȄËEȇāF
33.3 33.3
ms ʺ˄EȄËEȇā[ɥ3!˔ĠFþɏÔ[ş
ms ʺ˄EȄËEȇā[ɥ3!˔ĠFþɏÔ[ş
.A[ȝ1?$W!
ƓDȡë1(#10)
ƓDȡë1(#10)
þɏşƓDʦ19˔ĠE˜ʫ)ĊˏJǧX?ʡÐ1
þɏşƓDʦ19˔ĠE˜ʫ)ĊˏJǧX?ʡÐ1
0UD7E˔ĠFš
0UD7E˔ĠFš
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
³ȲŐE˔ĠF™ɴET%DɪˆCǖXDCWAƀǡ0XW!
ė F 41
ŐE‘f
ĊˏJʡÐ3W!7Eş
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ďˏEź™)ĭNV
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˔ĠF˔ʥDʡÐ3W!ɦ˘ɈFÆʼnɈ@
˔ĠF˔ʥDʡÐ3W!ɦ˘ɈFÆʼnɈ@
•gįì@³ȲŐEʟśåǥǚ[К19A*E
#V#V
ɿĐF1?$C$)ɿĐEö˂E˚$КA$&W!ģȲåǥǚEğăR
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ďˏEź
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™ĸķ ĉ¤î4=@ªçŀ§
™äD˔Ġ)šĊˏN@ʡÐ3WĄƺEК)ɮĽ0X9!7E©ENj˖AłəAYYEğ
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7ET%Cďˏź™äE˔ĠʡÐFɮĽ0XC(<9!ė
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37 FłəAYYEğăE
37 FłəAYYEğăE
VF VF
ȄË[ȝ1
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˔Ġ)þɏÔ[şƓDȡëş
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ďˏ)ź™1(#23)
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ďˏɟ)ďˏÐþ[ɬ<9
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(#26)şD˔Ġ)ĊˏDʡÐ1(#27)
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˔ʥJA˔Ġ)К0XW(#31)!‘f_{•gįìE
˔ʥJA˔Ġ)К0XW(#31)!‘f_{•gįìE
VF ȄË[ȼƜȎDȝ3!ȄËEȇāF
33.3 ms
ʺ˄EȄËEȇā[ɥ3!˔ĠFþɏÔ[ş
VF ȄË[ȼƜȎDȝ3!ȄËEȇāF
33.3
ms ʺ˄EȄËEȇā[ɥ3!˔ĠFþɏÔ[ş
³ȲŐ˔ĠEğă
³ȲŐ˔ĠEğă
ȑȧįìAȈCWǰF
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ďˏź™äD˔Ġ)þɏ(UĊˏJʡÐ3Wǰ
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ƓDȡë1(#10)
þɏşƓDʦ19˔ĠE˜ʫ)ĊˏJǧX?ʡÐ1
0UD7E˔ĠFš
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0UD7E˔ĠFš
37 AȈCWɦ˘ɈDTV‘f_{•gɯŐ
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120 ŐA
120 ŐA
150 Ő@ʟ
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A$&W!ė
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38 Fė
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36 36
ĊˏJʡÐ3W!7Eş
ďˏEź™)ĭNV
˔ĠF˔ʥDʡÐ3W!ɦ˘ɈFÆʼnɈ@
ĊˏJʡÐ3W!7Eş
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śåǥǚ[К19A*E
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VF (UnjQ9˔ĠʞŐA˔Ġʖʬʸ0[ȝ3!КEʤȢFė
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#V #V
ɿĐF1?$C$)ɿĐEö˂E˚$КA$&W!ģȲåǥǚEğăR
ďˏEź
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ďˏEź
36 EğăALMĄ2@#V
36 EğăALMĄ2@#V
N9N9
120 ŐA
120 ŐA
150 ŐAEņȈFLA\BC(<9!.EȮĖE
150 ŐAEņȈFLA\BC(<9!.EȮĖE
™äD˔Ġ)šĊˏN@ʡÐ3WĄƺEК)ɮĽ0X9!7E©ENj˖AłəAYYEğ
™äD˔Ġ)šĊˏN@ʡÐ3WĄƺEК)ɮĽ0X9!7E©ENj˖AłəAYYEğ
‘f_{•gɯŐEņF.EğăDʻ1?FКDņȈ[R9U0C(<9!
‘f_{•gɯŐEņF.EğăDʻ1?FКDņȈ[R9U0C(<9!
ă
7ET%Cďˏź™äE˔ĠʡÐFɮĽ0XC(<9!ė
37 FłəAYYEğăE
VF VF
ă 7ET%Cďˏź™äE˔ĠʡÐFɮĽ0XC(<9!ė
37 FłəAYYEğăE
図 32 試料容積による差異~山芋とろろ、直立姿勢の側面からの撮影
ȄË[ȝ1
˔Ġ)þɏÔ[şƓDȡëş
ďˏ)ź™1(#23)
ďˏɟ)ďˏÐþ[ɬ<9
ȄË[ȝ1
˔Ġ)þɏÔ[şƓDȡëş
ďˏ)ź™1(#23)
ďˏɟ)ďˏÐþ[ɬ<9
(#26)şD˔Ġ)ĊˏDʡÐ1(#27)
˔ʥJA˔Ġ)К0XW(#31)!‘f_{•gįìE
(#26)şD˔Ġ)ĊˏDʡÐ1(#27)
˔ʥJA˔Ġ)К0XW(#31)!‘f_{•gįìE
³ȲŐ˔ĠEğă
ȑȧįìAȈCWǰF
ďˏź™äD˔Ġ)þɏ(UĊˏJʡÐ3Wǰ
³ȲŐ˔ĠEğă
ȑȧįìAȈCWǰF
ďˏź™äD˔Ġ)þɏ(UĊˏJʡÐ3Wǰ
120 ŐA
A$&W!ė
38 Fė
37 AȈCWɦ˘ɈDTV‘f_{•gɯŐ
120 150
ŐAŐ@ʟ
150 Ő@ʟ
A$&W!ė
38 36
Fė37
36AȈCWɦ˘ɈDTV‘f_{•gɯŐ
śåǥǚ[К19A*E
VF (UnjQ9˔ĠʞŐA˔Ġʖʬʸ0[ȝ3!КEʤȢFė
śåǥǚ[К19A*E
VF (UnjQ9˔ĠʞŐA˔Ġʖʬʸ0[ȝ3!КEʤȢFė
36 EğăALMĄ2@#V
N9 120
36 EğăALMĄ2@#V
N9ŐA
120 150
ŐAŐAEņȈFLA\BC(<9!.EȮĖE
150 ŐAEņȈFLA\BC(<9!.EȮĖE
‘f_{•gɯŐEņF.EğăDʻ1?FКDņȈ[R9U0C(<9!
‘f_{•gɯŐEņF.EğăDʻ1?FКDņȈ[R9U0C(<9!
造影剤溶液
Ė³‡ÙÖ
Ė³‡ÙÖ
水飴
ÒĭÒĭ
増粘剤粘剤溶液
žõ‡ÙÖ
žõ‡ÙÖ
とろろ
1BB
1BB
度による嚥下
図 33 リクライニング姿勢150
™ĸĸaJ`GVeK¡Š
™ĸĸaJ`GVeK¡Š
®4=@–j
®4=@–j
粘度の造影剤溶液の食塊輪郭は他の試料に比べい
流れであることを示している。
りくんだ複雑な形状であり、食塊は複雑な流れに
低粘度の食塊は上記のように複雑な流れになる
なっていると推測される。輪郭から求めた食塊速
と推測される。 図 36 は 150 度のリクライニング
度 V h と V t を 図 34 に示す。直立姿勢の場合に比
姿勢で低粘度の造影剤溶液を嚥下したときの VF
べ、食塊速度は低下し、食塊試料による差異も小
画像を経時的に示す。画像の番号は 33.3 ms 間隔
さくなっている。嚥下による食塊の広がりを調べ
の画像の番号を表す。食塊は口腔内を後方に移動
Ė³‡ÙÖ
Òĭ Òĭ
žõ‡ÙÖ
1BB
Ė³‡ÙÖ
žõ‡ÙÖ
1BB
図 33 の輪郭の長さを求め、
図 35 に示した。
るため、
し(#10)、口腔後方に達した食塊の一部が咽頭へ
™ĸĸaJ`GVeK¡Š
®4=@–j
™ĸĸaJ`GVeK¡Š
®4=@–j
図より造影剤溶液の輪郭長さは他の食塊の場合よ
漏れて進入し、さらにその食塊は下咽頭へ進入す
りも明らかに長く、造影剤溶液が複雑に広がった
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150 ®4"'@
150 ®4"'@
る。その後、喉頭の挙上が始まり、食塊は食道に
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®4
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18 18
図 34 リクライニング姿勢150 度における食塊最下端の
食塊速度 Vh と最上端の食塊速度
Vt ®4"'@
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150
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150 ®4"'@
図 35 リクライニング姿勢150 度における食塊輪郭の長さ
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42
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
進入する。被験者は健常者であり、誤嚥はしてい
点といえる。図 38 は図 36、37 と異なる被験者に
ないが誤嚥の危険の高い嚥下といえる。増粘剤溶
よりリクライニング角度 120 度と 150 度で造影剤
液の場合も、喉頭の挙上前に食塊が下咽頭まで進
溶液を嚥下したときの VF から求めた食塊速度と
入する同様の嚥下が観察された。その他の水飴と
食塊輪郭長さを示す。嚥下の過程は 図 36 の場合
山芋とろろの場合、そのような喉頭挙上前の食塊
とほぼ同じであり、また 120 度と 150 度との差異
進入は観察されなかった。 図 37 は山芋とろろの
はほとんどなかった。この範囲のリクライニング
場合の VF 画像を示し、食塊が口腔内を後方に移
角度の差はこの場合に関しては嚥下に差異をもた
動後、喉頭が挙上し(# 23 )、喉頭蓋が喉頭入口
らさなかった。
を覆った(# 26 )後に食塊が咽頭に進入し(# 27 )、
B. 嚥下の数値シミュレーション
食道へと食塊が嚥下される(# 31 )。リクライニン
低粘度の食塊は前節で述べたように嚥下速度が
グ姿勢の低粘度食塊の場合、直立姿勢と異なる点
高く、食塊の広がりも複雑であり、VF からその
は、喉頭挙上前に食塊が口腔から咽頭へ進入する
嚥下の詳細を把握することは容易でない。このよ
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#10
口腔内移動
#16
咽頭への進入 #24
下咽頭への進入
#31 喉頭挙上 įě96Ė@
#32 食道への送り
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図 36 喉頭挙上前の造影剤溶液の咽頭及び食道への進入
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#23 喉頭挙上開始
#26 喉頭蓋倒れこみ
#27 咽頭部食塊
#31 食道への送り
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図 37 喉頭挙上後の山芋とろろの正常嚥下
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(b)
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度による食塊速度
(a)と食塊輪郭長さ(b)~造影剤溶液
図 38 リクライニング120
›ĻŀbKaHWfL
度及び150
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(a)
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43
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
うな VF 測定の問題点を解決するため、著者らが
定量化し、その障がいにあった食べやすく、かつ
開発している数値シミュレーターを利用し、前節
誤嚥しにくい食品を提供することが可能になると
の造影剤溶液 5 cc の嚥下についてシミュレーショ
考えられる。また、上述の数値シミュレーション
(b)
ンを行った。図 39(a)が VF の側面図を示し、
を行うにも、その障がいの程度を定量的にモデル
と(c)が(a)に 対 応 す る と 考 え ら れ る 時 刻 の シ
化することが必要になる。この観点から 2.3 で述
˜ k 6  x P [ _ d h P ` f ミュレーション結果である。
(b)と(c)では、食塊
べた画像解析と数値シミュレーションを組み合わ
´ȳőF˕ġGåȮAʚL:U&Eđ›ʟő*˛-!˕ġFŐ*WSɫˇA$W!VF )V
が倒れこんだ喉頭蓋を覆い、左右に分岐する様子
せた解析手法を開発した。対象とした増粘剤溶液
˜ k 6  x P [ _ d h P ` f 8Fđ›FɼȺ\Ŵƃ4X/BGļƚAD%"
/FU&D VF ǢĸFďˑDZ\ɱǐ4X:R!
図 39 より前の時刻の、喉
を明瞭に示している。
とその VF 画像は Nishinari
ら(2011)の画像を中
´ȳőF˕ġGåȮAʚL:U&Eđ›ʟő*˛-!˕ġFŐ*WSɫˇA$W!VF
)V
ɟɉV*ʺȍ2@%XƍÄmŠŽ”˜u˜\áȁ2!åȮFʠŜæǦǛ
5cc Fđ›E>%@
頭蓋の倒れこみがまだ浅い時刻からの嚥下の過程
心とした研究の中で利用されたものとした。この
8Fđ›FɼȺ\Ŵƃ4X/BGļƚAD%"
/FU&D VF ǢĸFďˑDZ\ɱǐ4X:R!
mŠŽ”˜m–\ɥ=:"Ę
39(a)* VF FÈˌĘ\Ȟ2!(b)B(c)*(a)EŀŦ4XBɈ'V
に示す。食塊は
(a)で舌根と咽頭後壁に
1 桁高い粘性
を 図 40 YXƝãFmŠŽ”˜m–ȾƮA$X"(b)B(c)AG!˕ġ*ÃY/];Đːɠ\ɭ%!ņ
増粘剤溶液は 図 11 の溶液よりほぼ
ɟɉV*ʺȍ2@%XƍÄmŠŽ”˜u˜\áȁ2!åȮFʠŜæǦǛ
5cc Fđ›E>%@
mŠŽ”˜m–\ɥ=:"Ę
39(a)*
VF39
FÈˌĘ\Ȟ2!(b)B(c)*(a)EŀŦ4XBɈ'V
āEÛń4Xƻı\ƙȗEȞ2@%X"Ę
UWåFƝãF!ĐːɠFÃY/P*O;ǘ%
よりはさまれ、
(b)
(c)で左右に分岐し、(d)
で再
特性を示す。被験者の正面と側面から撮影された
YXƝãFmŠŽ”˜m–ȾƮA$X"(b)B(c)AG!˕ġ*ÃY/];Đːɠ\ɭ%!ņ
Ɲã)VFđ›Fʥȣ\Ę
40 EȞ4"˕ġG(a)AɖƲBċːŠĥEUWG1OY!(b)(c)A
び合流する様子が示されている。数値シミュレー
VF から 2 次元的食塊輪郭を求め、それらから求
āEÛń4Xƻı\ƙȗEȞ2@%X"Ę 39 UWåFƝãF!ĐːɠFÃY/P*O;ǘ%
ņāEÛń2!(d)A×JĄǗ4Xƻı*Ȟ1Y@%X"ƍÄmŠŽ”˜m–G
VF
\ɪķ次に、
に示す。
ションは
VF を補完して詳細な嚥下過程を予測す
めた食塊の 3 次元的嚥下過程を図 41
Ɲã)VFđ›Fʥȣ\Ę 40 EȞ4"˕ġG(a)AɖƲBċːŠĥEUWG1OY!(b)(c)A
2@ɼȺDđ›ʥȣ\¢Ǣ4XűLjB2@áȁĀɍA$X"
これら食塊輪郭の内部を増粘剤溶液の粘性特性を
る手段として利用可能である。
VF \ɪķ
ņāEÛń2!(d)A×JĄǗ4Xƻı*Ȟ1Y@%X"ƍÄmŠŽ”˜m–G
˛ȳőF˕ġGđ›FʥȣAOBOW*ə-!VF ANJʕȏƙȗE8Fʗʭ\BV'X/B
反映した流体(指数則粘性流体)で満たし、輪郭
高粘度の食塊は嚥下の過程でまとまりが良く、
2@ɼȺDđ›ʥȣ\¢Ǣ4XűLjB2@áȁĀɍA$X"
*A+X"8F˕ġʗʭ\áȁ2@˕ġFÕʬǗì\ɱƭ2!ɧ˙ɉFċĐ*˕ġECFU
の 3 次元的変形と運動により誘起される食塊内部
VF で比較的明瞭にその輪郭をとらえることがで
˛ȳőF˕ġGđ›FʥȣAOBOW*ə-!VF ANJʕȏƙȗE8Fʗʭ\BV'X/B
&EË%:)\șX/B*A+YH!ŪɉFˆ*%Fƻı\ĸʳî2!8Fˆ*%E$=:
の流体の流れを数値シミュレーションにより求
きる。その食塊輪郭を利用して食塊の内部流動を
*A+X"8F˕ġʗʭ\áȁ2@˕ġFÕʬǗì\ɱƭ2!ɧ˙ɉFċĐ*˕ġECFU
˕LT4-!)>ʀđ2E-%˕Č\Ƃº4X/B*ĀɍEDXBɈ'VYX"O:!šʚ
め、 図 42 に示した。食塊の先端と後端の速度差
解析し、被験者の咽喉が食塊にどのように働いた
&EË%:)\șX/B*A+YH!ŪɉFˆ*%Fƻı\ĸʳî2!8Fˆ*%E$=:
FƍÄmŠŽ”˜m–\ɥ&ES!8Fˆ*%Fȣő\ĸʳȏEy“î4X/B*ťɬ
˕LT4-!)>ʀđ2E-%˕Č\Ƃº4X/B*ĀɍEDXBɈ'VYX"O:!šʚ
により食塊形状が伸張する様子が示されている。
かを知ることができれば、患者の障がいの様子を
FƍÄmŠŽ”˜m–\ɥ&ES!8Fˆ*%Fȣő\ĸʳȏEy“î4X/B*ťɬ
(a)
(b)
(c)
›ĻŁ s÷°Øt6˜k6 (a)2ÂxP[_dhP`f(b)(c)
(a)
(a)
(b)
(c)
(b)
(c)
図 39 低粘度液体の嚥下の VF(a)と数値シミュレーション(b)
(c)
›ĻŁ s÷°Øt6˜k6 (a)2ÂxP[_dhP`f(b)(c)
Side view
(a)
(a)
Side view
Frontal view
(b)
(b) (c)
(c) (d)
(d) Frontal
view
›ļĸ
s÷°Øt6˜kP[_dhP`f
低粘度液体の嚥下シミュレーション
図 40 (a)
(b)
(c)
(d)
›ļĸ s÷°Øt6˜kP[_dhP`f
20
44
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
また輪郭からはわからないが、45 ms と 60 ms で
では健常者のように食塊が咽頭から押されるよう
は喉頭近傍の食塊後端で流れが停滞し、一部で逆
な流れとならず、この特徴は障がい者の嚥下機能
流していることも示されている。図 41 と図 42 は
の低下を表すと解釈できる。
いずれも健常者であるが、図 43 は健常者(a)と嚥
下障がい者(b)の比較を示している。障がい者の
食塊速度は健常者の約 2 / 3 程度と遅い。特に後端
4. 結 言
液状食品の粘性特性が嚥下に及ぼす影響を VF
図 41 正面と側面からの VF 画像に基づく食塊の3次元的嚥下過程の再現
0ms
15ms
30ms
45ms
60ms
図 42 食塊内断面の速度ベクトル図
(a)健常者
(b)嚥下障害者
図 43 食塊内断面の速度ベクトルの比較
75ms
摂取一口量と摂食姿勢を考慮したむせにくい高齢者用液状食品のレオロジー特性
45
により調べた。介護用に利用される増粘剤溶液は
文 献
一般にずり速度が高くなるにつれ粘度が低下す
P. J. Halliday, A. C. Smith, Estimation of the wall slip velocity
in the capillary flow of potato granule pastes, J. Rheol. 39 (1)
(1995), 139-149.
る。用いた増粘剤溶液の粘度もずり速度が高く
なると低下し、一定粘度 0.62 Pa・s の水飴と比較
するとずり速度が 0.1 ~ 1 s– 1 では水飴より高く、
10 ~ 10 0 s– 1 では逆に低くなる。嚥下の VF の結
果は増粘剤溶液と低粘度の造影剤溶液が、水飴と
山芋とろろよりも食塊貯留と直立姿勢の嚥下速度
とに関してより誤嚥の危険性を高める結果を示し
た。従って、更に検討が必要であるが、嚥下障が
い者用の介護食のずり粘性特性としては、ずり速
度 10 ~ 100 s– 1 で 0.6 Pa・s 以上の粘度が必要と推
測される。また、増粘剤を水飴のようなニュート
ン流体と組み合わせて VF の試験をすることによ
り、嚥下のずり速度、そして嚥下速度と粘度との
関係を推定できることも示唆した。これらについ
ては引き続き研究を続ける。
増粘剤溶液のずり粘性特性を簡易的に計測する
方法として、傾斜平板により降伏応力を測定する
方法は、その降伏応力と嚥下ずり速度の粘度との
相関から間接的に調べることが可能であるが、あ
らかじめその相関を調べておく必要がある。ス
プーンによる判定はその物理的意義が明らかでは
なく、スプーンの傾斜角度にも依存するので、適
切な判定方法とは言えない。ずり速度を測定条件
として与えられる粘度計がより良いと考えられる。
VF は嚥下障がいを診断するうえで重要な手法
であるが、VF を補完する目的で新たに VF と数値
シミュレーションを組み合わせる方法を開発した。
その結果は嚥下障がいのシミュレーションを個々の
患者に合わせて実施するうえで必要不可欠な障が
いの定量的モデル化を可能にすると期待できる。
謝 辞
本研究を実施するにあたり研究助成事業として
支援していただいた(公財)浦上食品・食文化振興
財団の皆様に深く感謝の意を表します。
H. Kumagai, A. Tashiro, A. Hasegawa, K. Kohyama, H.
Kumagai, Relationship between flow properties of thickener
solutions and their velocity through the pharynx measured by
the ultrasonic pulse Doppler method, Food Sci. Technol. Res.,
15 (3), 203-210 (2009).
熊谷仁、熊谷日登美、レオロジーと食品工学ー嚥下障害者
用介護食の物性を中心として、日本食品工学会誌、10 (3),
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14(3), 201-211 (2010).
46
浦上財団研究報告書 Vol.21(2014)
Rheological characteristics of liquid care foods for
swallowing disorders and their relationship with
bolus volume and swallowing postures
Hiroshi Mizunuma*, Yukihiro Michiwaki**
* Tokyo Metropolitan University
** Musashino Red Cross Hospital
Rheological characteristics of care foods and their simple measurement methods
were discussed. Shear thinning viscosity and extensional viscosity were measured for
commercial thickener solutions and grated yam using a rotational rheometer and a capillary
thinning extension viscometer. The shear viscosities measured were compared with the
flow patterns fallen from a spoon and the yield stresses obtained from an inclined plate
method. The flow pattern fallen from a spoon depended on the inclining angle and it was
difficult to correlate the flow pattern and the viscous property. The yield stresses obtained
from an inclined plate method gave a good correlation with the rheometric measurements.
However, the yield stress cannot give the viscous property direct in a high shear region,
which was found to be critical in pharyngeal swallowing. A video fluorography test was
applied to liquid foods. A thickener solution used had lower viscosity than a starch solution
at the shear rates higher than 60 s-1 and showed higher bolus head velocity than the starch
solution. The starch solution had a constant viscosity of 0.62 Pa • s, independent of shear
rate. The viscosity of the thickener solution was higher than that of the starch solution at
the shear rate lower than 60 s-1. Thus, a liquid bolus that has the viscosity higher than 0.6
Pa • s at the shear rates higher than 60 s-1 reduces the bolus head velocity.
Numerical simulations were introduced to complement and enhance video
fluorography of swallowing. The simulation showed an good agreement with the video
fluorography for a normal subject. The characteristics of swallowing disorder were revealed
by the combination of simulation and video fluorography. Numerical simulation is a
promising tool to prevent a miss swallowing.
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