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FAJ鉢物レポート8月 Indoor Plants Contest ! 6月14日開催

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FAJ鉢物レポート8月 Indoor Plants Contest ! 6月14日開催
FAJ鉢物レポート8月
●発行日:平成18年7月15日
●発 行:(株)フラワーオークションジャパン
鉢物営業センター
Vol.6
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
Indoor Plants Contest !
6月14日開催
今年で 3 回目を迎えたインドアプランツコンテスト。特賞を受賞した作品を一挙にご紹介いたします。
㈶日本花普及センター会長賞
審査講評
左)
オオタニワタリ 8 号
屋宜盛光(沖縄)
審査委員長
㈳日本インドアグリーン協会
副理事長 田中耕次
長引く不況デフレからようやく明るい兆しが見え始め
た昨今だが、観葉界においては長引く需要の低迷か
ら休業に追い込まれた生産者も多数いると聞く。その
㈳日本家庭園芸普及協会会長賞
中を生き残った者には他の者には理解できないほど
の努力があったことを推察することができる。このよう
フィロデンドロン‘ロジョコンゴ’ 8 号
花井 充 (愛知)
㈳日本花き生産協会会長賞
右)
な認識を胸に秘めつつ、技術の研鑚を重ね「いざ鎌
ヘデラ ヘリックス 3.5 号
カミソウ園芸 服部宗彦(愛知)
倉」に備えた生産者の出展作品を楽しみに第 3 回イ
ンドアプランツコンテストの審査に当たった。
今回は昨年度の出展を上回る 678 点で、内訳は
㈳日本インドアグリーン協会
理事長賞
愛知が 264 点、鹿児島 108 点、沖縄 68 点、次い
「日本農業新聞」賞
で東京、静岡などであった。特徴的なのはサトイモ科
左)
ザミア 10 号
玉那覇栄(沖縄)
の植物の出展が 138 点と群を抜いており、金賞 13
点のうち 6 点を占めたことだ。これは 5 ~ 6 年前より
続く、大葉好みの消費ニーズが続いていることにも起
「グリーン情報」賞
因している。大葉を好む傾向は、はじめストレリチア
オーガスタやタビビトノキなどの大鉢物から始まった
が、現在では中鉢クラスにまで及んでおり、デザインさ
れた鉢に植えられたカラーリーフと微妙な変化が見ら
「農耕と園芸」賞
れる。今まで観葉植物の主流を占めていたクワ科の
ピテケロビウム (エバーフレッシュ)
6号
加須植物園 新井保(埼玉)
「花時間」賞
フィカス類やドラセナ科のドラセナ類は減少傾向であ
るのはリース鉢物としての需要が少なくなったことに起
フィロデンドロン オキシカルジウム
‘バリエガツム’ 10 号
片岡農園 片岡豊(静岡)
因していると考えられる。小鉢物においてはやはり消
費者自身がアレンジするという用途から根強い人気
が感じられた。
今回の審査員構成は園芸店、リース業、仲卸など
チランドシア
‘セントレアスカイリーフ’5.5号
青木園 青木利和(愛知)
「月刊フラワーショップ」賞
大田市場花き事業協同組合
理事長賞
ユスラヤシ 12 号 から 14 名で中鉢、大鉢を異なる観点から平均的に
大牟礼秀人(鹿児島)
評価した。近年、中身を差し置いて売らんかの姿勢
FAJ社長賞
に、誇大ともいえるラッピングや格好のよいポットに植
えられたりして付加価値を最大限につけることが風潮
となっている。ともすれば本体であるものの評価が無
視されがちな流れになって久しいが、そろそろ消費者
も業者も植物を愛でる本質を考え直さなければなら
ストレリチア レギネ ユンケア 10 号
菊池義郎(東京)
フィロデンドロン
「花卉園芸新聞」賞
‘スーパーアトム’ 4.5 号
近藤園芸 近藤充宏(愛知)
ない時期に来ているのではなかろうか。
原油高が続き、生産サイドにあっては更なる課題が
増えるが、発想の転換でプラス要因として消化する力
を品質共世界一といわれている日本の観葉植物生
フィロデンドロン
‘プリンスオブオレンジ’ 6号
マルヨシ・グリーン 渡辺義弘(愛知)
産者は持っており、今後の発展を期待いたします。
フィロデンドロン
‘オージー’ 6号
稲嶺盛一(沖縄)
フィロデンドロン
インドアプランツコンテスト大賞は愛知県のベテラン花
’プリンスオブオレンジ 6号
井充さん出品のフィロデンドロン‘ロジョコンゴ’が獲得。
マルヨシ・グリーン 渡辺義弘(愛知県)
アレカヤシ 10 号
王子田逸雄(鹿児島)
おめでとうございました。
今月の行事
8月 2日
8月 7日
8月 8日
8月 9日
8月 13日
8月 15日
ハーブの日
花の日
立秋
薬草の日
月遅れ盆迎え火
月遅れ盆
8月16日
8月17日
8月23日
8月24日
8月31日
月遅れ盆送り火
パイナップルの日
処暑
月遅れ地蔵盆
野菜の日
鉢物営業センターからのお知らせ
8/20 以降 愛知県西尾の産地紹介 〔オークションルーム前中央通路にて〕
*なお、まだ予定のため変更になる場合があります。
鉢物レポート Vol.6
品目分析:カンキツ類
色づいた実だけではなく、花の香りも楽しめるカンキツ類。今月はそんな身近で、親しみ深いカン
表1
キツ類を分析してみます。
カンキツ類の人為分類
分 類 名
代表種・品種
◆生食用カンキツ類
カンキツ類とは
柑橘類とはミカン科ミカン亜科に分類される 33 属
類が栽培されているか、明らかなデータはありません
のうち、ミカン属 (Citrus) とキンカン属 (Fortunella)、
が、恐らく 500 を超える数百品種が栽培されている
カラタチ属 (Poncirus) の植物を総称した呼び名です
と判断できます。これだけ多くの品種があるゆえに、
(学者によってはさらに数属を加える)。
その分類も古くから行われています。しかし、分類方
ミカン類
温州ミカン、クレメンティン、ポンカン、オオベニ
ミカン、紀州柑、アンコール
スイートオレンジ類
ワシントンネーブル、バレンシア、福原オレン
ジ、ブラッドオレンジ
タンゴール
タンカン、マーコット、清見、不知火
タンゼロ
ミネオラ、セミノール、イヨカン、スイートスプリ
ング、サマーフレッシュ
タンゼリン・タンゼロ
ロビンソン
ブンタン類
晩白柚、平戸ブンタン、土佐ブンタン、水晶
ブンタン
いずれもミカン状の果実(ミカン状果)をつけ、生
法は植物学上の分類(系統分類)と用途からみた分
食、ジュース、香り付けなどに利用されます。また実
類(人為分類)があり、書籍によってどちらを取るかに
グレープフルーツ
ダナンカン、ルビーレッド、スタールビー、オロブ
ランコ
付きの鉢植えや家庭向けの果樹苗として店頭に並
よって分類が異なっています。ここでは、統計処理を
雑柑類
夏みかん、ハッサク、日向夏、三宝柑、ナル
ト
びます。これら小売向けの鉢植えや苗物は種類が多
するにあたり九州東海大学の岩政正男教授の人為
キンカン類
ネイハキンカン、ナガキンカン、オオミキンカン
いことが特徴で、昨年一年間に取引された種・品種
◆調理用カンキツ類(香酸カンキツ
類)
分類を採用しています。
は 100 種類に及びます。日本国内にどのくらいの種
(表-1)
流通時期
カンキツ類の市場流通はかなり昔からありました。
ぴったりのアイテムと認識されてきたからです。レモン
もともとは観光ミカン園がお土産用に作った鉢植えを
やライムのように初夏に色づく種類もあり、また秋に
小売向けに販売したのがはじまりのようで、関東エリ
緑色の果実を利用するカボスやスダチもあります。7
アでは神奈川や静岡のミカン農家が生産した鉢植え
月に一通りの種類を揃えて並べておけば、旬の商品
レモン
ユーレカ、マイヤー、リスボン
ライム類
メキシカンライム、タヒチライム
ユズ類
ユズ、ハナユ、スダチ、カボス
ダイダイ類
サワーオレンジ、カブス
四季橘、菊ダイダイ、地球柑、仏手柑、キン
ズ
◆観賞用カンキツ類
◆台木用カンキツ類
順位
商品名称
金額
1
金柑
3,729,890
2
レモン
3,328,870
3
ユズ
2,039,670
4
花ユズ
1,546,621
が市場に入荷していました。販売時期は、9 月末か
から少しずつ売れて行き、年内には大半が片づきま
ら入荷がはじまり、温州ミカンやユズが色づく晩秋か
す。仮に年を越しても、カンキツ類の定植の適期が
ら年末にかけてがピークでした。
2 ~ 3 月にあり、そこでも売りようがあります。このよう
順位
ところが最近は 7 月の販売量が増えています。そ
にカンキツ類は夏の売場を飾る商品として、またロス
1
金柑
4,885
5
デコポン(不知火)
1,331,150
2
レモン
4,747
6
温州ミカン‘宮川早生’
1,239,330
の理由は、広い売り場をもつ小売業者にとって、花
になりにくい商品として、特に広い売り場をもつ皆さん
3
シークワシャー
2,606
7
大実金柑
1,129,550
保ちが悪くなる真夏の外売場を売場らしく見せるのに
に必須のアイテムです。
4
ユズ
1,743
8
温州ミカン(早生)
1,031,760
5
大実金柑
1,644
9
リスボンレモン
820,180
6
花ユズ
1,635
10
サイパンレモン
705,020
7
デコポン(不知火)
1,244
8
温州ミカン(早生)
1,165
9
サイパンレモン
851
温州ミカン‘宮川早生’
810
販売構成
次に、分類別の販売構成比のグラフとシェアベスト
4 については各月の扱額の折れ線グラフを用意しま
以上、種類も多く様々な提案ができるカンキツ類、
是非品揃えに加えてください。
商品名称
10
類です。その果実は料理用に使われ、高級感もあ
3,500
1%
2%
3%
ンカン類。喉に良いといわれ、冬に需要が高まりま
6%
香酸カンキツ類
キンカン類
ミカン類
タンゴール
3,000
5%
す。販売時期は晩秋から年明けが中心で、販売期
2,500
2,000
間の長い商品です。それに続くのは温州ミカンを中
49%
10%
染みの種類であり、栽培も容易。次に多いのはタン
数字を伸ばしています。
2005年 カンキツ類 取扱数量の推移
2005年 カンキツ類の数量の構成比
り、家庭に1本植えてあると便利な果樹です。次はキ
ゴール類で、デコポン(不知火)に人気があり、昨今
FAJ 2005年 取扱金額
FAJ 2005年 取扱数量
した。販売額でみるとシェア第一位は香酸カンキツ
心としたミカン類、そして雑柑類です。ミカン類は馴
数量
24%
香酸カンキツ
キンカン類
ミカン類
タンゴール
観賞用カンキツ
雑柑類
タンゼロ
その他
1,500
1,000
500
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
歳時記:新盆と旧盆
お盆は正式には盂蘭盆会というのでしょうか。7 月
す。そして新しいゴザを敷き、チガヤで編んだ縄を張
15 日を挟む 5 日間がその期間ですが、新暦で行う新
り、棚に位牌を並べてその前に盆花や丑午(ナスに
東京周辺は新盆です。そしてゴザはマコモを青刈り
盆と旧暦で行う旧盆があります。しかし、それ以外の日
足を付けた牛とキュウリに足を付けた馬)、くだものな
して作り、草縄もマコモでなうと云います。そして、迎
取りで行う地方もあります。私の故郷では、近年まで新
どのお供えを並べ、灯明(アルコール製のランプ)と
え火と送り火はオガラを燃やします。マコモは池や河
暦の 10 日遅れ(7 月 25 日前後)にお盆を迎えてい
香炉(線香立て)、お輪を並べます。それが済むと提
川の浅瀬に群生するイネ科の多年草で、その茎は食
ました。源平の時代、源義経が東道(あずまみち)を通
灯を持ってお寺に出かけ、お寺から火を頂戴して家
用とするほか、昔はゴザやムシロに使われました。オ
り、奥州藤原へ逃げたという言い伝えがあり、その騒動
に帰り、灯明に点火して盆迎え(迎え火)としていまし
ガラ(麻幹)は皮を剥いだ麻の茎で、軽くて良く着火
がきっかけで 10 日遅れのお盆になったと聞いていま
た。子供の頃、お盆を前にチガヤを刈り集め、陰干し
し、種火から火を起こすときに燃やしたり、それを炭に
すが、恐らくは養蚕が盛んな地域であり、養蚕が一区
してから縄を編むようになり、迎え火も子供の仕事で
した麻炭は花火の火薬に混ぜていました(そうすると
切りつく時期に移したというのが真実のようです。
した。お盆が終わる 17 日には丑午と盆花などをもっ
爆発力が増す)。
子供の頃のお盆、それは楽しい思い出です。まず、
て裏の辻に行き、そこで丑午や盆花を並べ、灯明か
盆の入りとなる 13 日には盆棚(精霊棚)を組み立てま
ら移した提灯の火でワラに火をつけ、線香に火を点し
Vol.6
て盆送り(送り火)をしました。
ちなみに、今の時代はマコモのゴザとオガラがセット
で販売され、花市場でも入手できます。
FLOWER AUCTION JAPAN, INC.
園芸店の基礎知識その 6 APG植物分類とは?
「シクラメンは何科?」こう問われれば、園芸家の 100%がサクラソウ科と答え
るはずです。ところが、最新の分類学によるとマンリョウなどと同じヤブコウジ
科に変わりそうな雲行きなのです。
同様に、キンギョソウはゴマノハグサ科からオオバコ科に、カエデ科はム
クロジ科に統合され、ヒガンバナ科やユリ科を含む単子葉植物類は大幅に
組み替えられています。
左上)サクラソウ科に分類さ
れるプリムラ・マラコイデス
◆植物分類は変化するの?
ここまで読んで、植物分類が変化することを初めて
比較して 24 のグループ(リンネの 24 綱)に整理しま
「新エングラー系統」を中心にしたドイツ学派と、イギリ
聞く人がいると思いますので、分類が変わってきたこと
した。その後、進化論の考え方を取り入れ、進化の過
スのベンサム (George Bentham ; 1800-84) とフッ
を簡単に解説しましょう。
程を考慮した分類学へ変化しました。しかし、数億年
カー (Jpseph Dalton Hooker ; 1817-1911) の学説
植物全体を見通し、それを体系的にまとめた最初
の歴史がある動植物の進化を現生する生物から探る
を発展させた「クロンキスト系統」(1981 年と 1988 年
の学者はカール・フォン・リンネ(Carl von Linné ; 1707
のは難しく、化石が残した歴史などを参照しながら、
に発表)に代表されるイギリス&米国学派の、ふたつ
年~ 1778 年)です。彼はスウェーデン生まれの博物
現生する生物種に見られる様々な特徴を駆使しなが
の学派があるように見えます。園芸界も同様で、植木
学や生物学の学者で、生物名の表記ルール(学名)
ら分類してきたのが現実です。
業界は新エングラー系統を採用し、園芸業界はクロ
を定めたほか、生物種の分類学の基礎となるアイデ
日本における植物の分類方式をながめると、ドイツ
アを『自然の体系』(Systema Naturae)としてまとめま
のエングラー (Adolf Engler ; 1844-1930) とプラン
した。植物では花弁や雄しべの数など、花の構造を
テル (Karl Prantl ; 1888-1911) の学説を引き継ぐ
ンキスト系統を採用する傾向があるように見えます。
◆混迷を深める植物分類
現実には、どの学説を採用するかで、同じ植物が異
(1983、1985 年)ではネギ科に独立させています。
大きな問題ですが、私は参考書を定めて、それに従
なる科に分類されることになります。例えば、Allium 属
このように植物の分類には幾つもの学説があり、書籍
うことにしています。私も含め、日本では D. J. Mab-
は、新エングラー系統ではユリ科に、ヤングの分類
によって科名が異なることは珍しくなく、多くの図書が
berley がまとめた”The Plant-Book second edition”
(1982 年)ではヒガンバナ科に組み入れ、クロンキスト
ある植物は新エングラーを、またある植物はクロンキ
を参考にすることが増えています。
系統ではユリ科とヒガンバナ科を分けずにユリ科に統
ストの学説を採用しているのが現実です。
合してしまいました。しかし、ダークグレンの分類
ちなみに、原稿を書くとき、どの学説を採用するかが
◆DNA解析を活用した植物分類
て進化してきたかを推測することができます。
従来の分類手法は花の構造を中心に比較し、いく
るようになった手法です。植物の場合、細胞の内部
つかの進化の方向性を定めて体系化したものです。
小器官である核や葉緑体、ミトコンドリア、リボゾーム
DNA をもつ小器官のうち、核遺伝子(nDNA) は両親
その成果として新エングラー体系やクロンキスト体系
に DNA があります。それらは細胞が分裂するとき、い
から半分ずつ引き継がれますが、ミトコンドリアなどは
が生まれ、日本でも広く支持されていることは前記の
ずれも自分と同じコピーを複製してから分裂します。
母親から母親に引き継がれます。そして、代々引き
通りです。
その DNA はふつう正確に複製されますが、ごく稀にコ
継がれる DNA のうちミトコンドリア DNA(mtDNA)だけ
一方、1990 年頃より、進化の歴史を探る新たな手
ピーミスが発生し、植物が分化・進化する数万年、数
は世代を引き継ぐ途中で他の DNA が混入することが
法が見いだされました。それは DNA の塩基配列を解
十万年という長い期間にはコピーミスが集積してゆき
なく、もしある時に遺伝子のコピーミスが発生すると、
析する手法です。親子関係を鑑定するための DNA
ます。コピーミスがどんな頻度で発生するか判れば、
その異常は娘から娘に引き継がれます。
鑑定、犯人を特定するための DNA 鑑定などで知られ
コピーミスの数を数えることで何万年前に枝分かれし
◆分子分類学の登場
ミトコンドリアのイブ
遺伝子解析を生物種の系統発生(生物の進化の道筋)の解明に利用する流れもとき
DNA のコピーミスを調べ、実際に進化の道筋をたどる
を同じくして始まりました。DNA の塩基配列を調べて、その違いを比較することで系統発
研究は、まずヒトの進化を探る分野で画期的な成果を
生を明らかにし、その道筋に沿った分類を構築するというものです。それを分子分類学と
生みました。
いい、その成果として APG 植物分類が発表されました。
1980 年年代、アメリカのアラン・ウィルソン女史らは
世界各地から集めた臍帯血を使い、mtDNA の変異を
◆APG植物分類学とは
調べました。そして、mtDNA は 100 万年で 2%の突然
APG は Angiosperm Phylogeny Group の頭文字を並べたもの。”Angiosperm”は被
変異を集積すると仮定して計算してみると、約 20 万年
子植物のことで、子房に包まれた胚珠をもち、雌しべや雄しべ、花被などの組織からな
前に存在したひとつの mtDNA を先祖にもつことが判明
る「花」を咲かせる植物群です。次の”Phylogeny”は系統発生学あるいは系統発生を意
しました。その持ち主をミトコンドリア・イブと呼び、世界の
味し、植物の進化の歴史を探ること、あるいはその学術分野を指します。APG は分子レ
全人類はミトコンドリア・イブの血を引くというのです。そし
ベルの解析(DNA 解析)によって植物群の系統発生(近縁関係)を調べ、被子植物の
てミトコンドリア・イブはアフリカに暮らしていたことも推測
全体的な分類体系をまとめるために集まった植物学者のグループを指しており、1998
されています。
年に成果第一弾として”APG System”を公表し、2003 年には第二弾として”APG Ⅱ
2003”を公表しました。
“APG Ⅱ 2003”驚異の調査結果は次号に続く
FAJ 鉢物レポート
生産者紹介
8 月は洋蘭の生産者をご紹介します。
㈲大野オーキッド
大野 仁さん
約 40 年間の洋蘭の栽培の歴史がある大野オー
学。カリフォルニア大学で英語を学び、ハワイ大学
キッドは埼玉県桶川市にあります。
でバイオの研究を行いました。その後、お父様の跡
社長の大野仁さんは早稲田大学卒業後、先代の
を継ぎ、平成 9 年には㈲大野オーキッドとして法
社長であるお父様から「メリクロンができなくてはダメ
人化し現在では新しい温室を含めて 1,600 坪、年
だ」といわれたことをきっかけに、2 年間アメリカに留
間 18 万株のコチョウランを栽培しています。
おすすめ商品
おすすめは主力の商品のひとつであるファレノ ソーゴユキディアン
上の段の左側が社長の大野仁さん
‘V-3’。花弁が大きく、花の並びがきれいで花もちのよい品種です。大
野オーキッドでは「ロイヤルホワイト」の名前で出荷しており、年間生産す
る18万株のうちの14万株がこの「ロイヤルホワイト」です。
上)出荷を待つ
ロイヤルホワイト。
大野さんから一言
台湾から安価で良質な苗の供給が可能になったため、今までのコ
チョウランの高いというイメージを覆せるような、リーズナブルな価格
「ロイヤルホワイ
ト」は大野オーキッ
ドの代名詞。
花保ちと花並びの良
さ、大輪が特徴。
でボリューム感のある商品を定期的に提供できるようになりました。
上)温室
2005年3月には新しい温室を500
商品をお買い上げいただいたお客様が喜んでいただけるような商
坪増設し、出荷量も約1.5倍増え
品作りを心がけていきたいと思います。
た
草場農園
草場小夜子さん
草場さんは福岡県小郡市でシンビジウムとデン
した。今から 18 年前のことです。
今ではシンビジウムはご主人の利勝さん、デ
ファレの生産を行っています。
もともとはシンビジウム専門に生産をしてきまし
たが、「シンビジウムの出荷がない夏に出荷でき
ンファレは奥さんの小夜子さんが中心となって
生産しています。
るものを」ということでデンファレの生産をはじめま
生産におけるモットー
デンファレのもつ柔らかさやしなやかさを表現したいと思って
います。品種や花色、花形にもこだわって女性らしい感覚を
左から3番目が濃いピンクのエプロンが草場小夜子さ
ん。左奥がご主人の利勝さん。
大切にしています。
草場小夜子さんから一言
洋蘭は価格が高いため、今までは贈答用に使われてきま
した。これからのはテーブルにそっと置いたり、窓際にさりげな
く飾れるような、消費者が自分のために買い求める、そんな
ニーズに応えれるように作っていきたいと思います。
仕立方もデンファレがしなやか
さや柔らかさが伝わるようなな
工夫がされている
出荷を待つデンファレ
http://www.faj.co.jp
右)
白にピンクのストライプが入る
デンファレ ベビーストライプス
左)ニュアンスカラーの
‘ソングオブパラダイスアリラン’
Fly UP